説明

電子回路

【課題】
内部電源回路からの内部電源電圧が安定状態となり、レベルシフタの入力が適正となった後に、レベルシフタを活性化させるパワーダウンモードの復帰シーケンスを備えた電子回路を提供する。
【解決手段】
電源電圧からシステム電圧を発生するシステム電圧発生回路10と、システム電圧を供給されて動作する内部回路30と、入出力回路24と、内部回路からの信号を入力し、電源電圧の電圧レベルに変換し入出力回路へ出力するレベルシフタ23と、レベルシフタを制御する制御回路40とを備え、システム電圧発生回路10が停止状態から動作状態へ移行するとき、制御回路は内部回路が動作状態であることを判定する第1の判定手段41と、システム電圧が所定値に達したか、または所定値に収束したかを判定する第2の判定手段42とを備え、双方の判定手段の結果に基づいてレベルシフタを活性化する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電圧で駆動される電子回路に関し、特に電池電圧に応じて電源供給を許可または遮断する機能を有する電子回路の電源制御に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などに搭載される電子回路の内部は、複数の電源電圧によって駆動されることが一般的である。たとえば、外部と情報交換を行う入出力回路では、電気的な外部ノイズの影響を抑えるためや、表示パネルなどの高い駆動力が必要な回路を動作させるために、比較的高い電圧レベルの電源電圧で駆動され、電子回路の内部で、情報処理のために高速で動作する演算回路などは、消費電力を極力抑えるために、低い電圧レベルの電源電圧で駆動される。
【0003】
このような複数の電圧レベルの電源で動作する電子回路は、低電圧電源を出力する内部電源回路を内蔵して、高速動作の回路ブロックに低電圧電源を供給し、他の回路ブロックは、低電圧電源よりも高い電圧レベルの電源で駆動される。そして、電源電圧の異なるそれぞれの回路ブロックは、信号の電圧レベルを変換するレベルシフタと呼ばれる変換回路を介して信号の受け渡しが行われる。
【0004】
また、特に電池駆動されている電子回路では、消費電力の低減を目的として、所定の条件で回路動作を一時的に停止するパワーダウンモードを備えることが一般的である。たとえば、電子回路の電源である二次電池の電池電圧が低下した場合、内部電源回路をパワーダウンモードに移行させて内部電源電圧の出力を遮断し、二次電池の電圧が回復するまで電子回路の消費電流を最小限に抑える制御を行う。そして、二次電池が充電されるなどして電池電圧が回復した場合は、内部電源回路をパワーダウンモードから復帰させて内部電源電圧の供給を許可し、電子回路を通常動作状態とする制御が実施される。
【0005】
しかし、パワーダウンモードへの移行とパワーダウンモードからの復帰によって、内部電源電圧の出力停止または出力開始を行うと、パワーダウンモードからの復帰切り替え時に電子回路が通常動作とは異なる不安定動作を行い、様々な不具合が発生する場合がある。以下、図面によりパワーダウンモードを備えた内部電源回路を有する従来の電子回路の一例から、パワーダウンモードの切り替え時に生じる不具合を説明する。
【0006】
図27は、従来から知られているパワーダウンモードを備えた内部電源回路を有する電子回路の一例であり、太陽電池と二次電池を備えた時計システムを例としている。図27において、電子回路800は、ワンチップICによる時計用電子回路であり、内部電源回路であるシステム電圧発生回路810、内部回路820、レベルシフタ830、入出力回路840などによって構成される。また、2は太陽電池(以下SCと略す)であり、3は二次電池であり、4は逆流防止用のダイオードであり、5は時計の時針または分針(共に図示せず)等を動かすモータである。
【0007】
ここで、SC2は、光によって起電力を発生し、並列に接続されている二次電池3に充電電流を供給して充電を行う。なお、SC2のマイナス側は、ダイオード4を介して二次電池3のマイナス側に接続している。二次電池3のプラス側は電子回路800のプラス端子801に接続され、二次電池3のマイナス側は電子回路800のマイナス端子802に接続される。この接続によって、電子回路800は、SC2によって充電される二次電池3を電源として動作する。
【0008】
また、電子回路800のプラス端子801は、回路の電源電圧VDDに接続され、マイナス端子802は、回路の電池電圧VBTに接続される。これにより、電源電圧VDDはプラス側の電源電圧となり、電子回路800のグランドとなる。また、電池電圧VBTは、電源電圧VDDに対してマイナスの電源電圧であり、二次電池3の充電量に応じて電圧値が変動する。
【0009】
また、電子回路800に内蔵されるシステム電圧発生回路810は、電圧レギュレータ回路であり、後述する電源電圧VSSを入力して低電圧のシステム電圧VREGを発生し出力する。また、812と813はスイッチ素子であり、スイッチ素子812は、ONによってシステム電圧VREGを電源電圧VDDにプルアップし、スイッチ素子813は、ONによって電源電圧VSSを電源電圧VDDにプルアップする機能を備えている。なお、電源電圧VSSは電池電圧VBTから作られるが、電源電圧VSSの発生回路であるVSS電源回路の図示は省略している。また、各電源電圧の電圧レベルは、絶対値レベルでVBT>VSS>VREGの関係にある。
【0010】
内部回路820は、図示しないが時計の計時処理回路や記憶回路等で構成され、電源電圧VSSとシステム電圧VREGの両方を電源として動作している。レベルシフタ830は、電池電圧VBTによって動作し、イネーブル端子ENに電源電圧VSSが接続され、内部回路820からの制御信号P100を入力して、電池電圧VBTの電圧レベルにレベルシフトした出力信号P101を出力する。
【0011】
入出力回路840は、電池電圧VBTによって動作し、出力信号P101を入力し、電子回路800の外部に駆動信号P102を出力する。この駆動信号P102は、出力端子803を介してモータ5に供給され、モータ5を駆動して時針または分針等を動かして時刻を表示する。また、入出力回路840からは、起動信号P103が出力し、前述したスイッチ素子812、813に入力して、スイッチ素子812、813のONまたはOFF制御を行う。
【0012】
次に、この従来の電子回路800の動作の概略を図28のタイミングチャートによって説明し、電子回路800の不具合を検証する。図28において、入出力回路840からの起動信号P103が論理“0”のとき、スイッチ素子812、813はON状態であって、システム電圧VREGと電源電圧VSSは、電源電圧VDDにプルアップされて出力が遮断状態にあり、電子回路800の内部回路820は、パワーダウンモードが継続される。また、このパワーダウンモードにおいて、レベルシフタ830のイネーブル端子ENは、電源電圧VSSが接続されており、この電源電圧VSSは電源電圧VDDにプルアップされているので、レベルシフタ830は非活性状態となり、レベルシフタ830の出力である出力信号P101は、論理“0”が保持され、これによって、入出力回路840からの駆動信号P102は出力されず、モータ5の動作は停止している。
【0013】
ここで、図28のタイミングT1において、入出力回路840から出力される起動信号P103が所定の条件で論理“1”に復帰すると、スイッチ素子812、813はOFF状態となって、システム電圧VREGと電源電圧VSSのプルアップが解除される。
【0014】
このタイミングT1で電子回路800はパワーダウンモードから復帰し、通常動作モードとなるが、タイミングT1でVSS電源回路(図示せず)が動作を開始しても、電源電圧VSSがほぼ安定するのにタイミングT2までの経過時間が必要である。また、システム電圧発生回路810は、電源電圧VSSを電源としてシステム電圧VREGを発生するので、システム電圧VREGは、電源電圧VSSよりさらに遅れて発生し、タイミングT3において、ほぼ安定化状態となる。
【0015】
ここで、レベルシフタ830のイネーブル端子ENは、前述したように電源電圧VSSに接続されているので、電源電圧VSSが安定化するタイミングT2以降は、レベルシフタ830は活性状態となる。しかし、タイミングT2ではシステム電圧VREGは、まだ正常な電圧レベルではないので内部回路820は不定状態が続いており、その出力である制御信号P100からは、正常な信号ではない不正信号が出力される可能性が高い。
【0016】
ここで、内部回路820は、システム電圧VREGが正常な安定した電圧レベルになるタイミングT3において、正常動作を開始できるので、レベルシフタ830が活性化するタイミングT2から、システム電圧VREGが安定した電圧レベルになるタイミングT3までの期間は、図27に示すようにレベルシフタ830からは、不正出力である出力信号P101が発生し、モータ5などの外部の機器を誤動作させる原因となる。また、タイミングT2からT3の期間は、レベルシフタ830の動作が不安定となるので、回路に流れる貫通電流が増大して、二次電池3の消費電力が増大する不具合もある。
【0017】
このようなパワーダウンモードの切り替え時の不具合を解消するために、パワーダウンモードからの復帰において、パワーダウンモードを制御するパワーダウン信号のオフ後に、レベルシフタを活性化するレベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせて出力する制御技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0018】
この特許文献1における従来の制御技術は、パワーダウンモードからの復帰において、パワーダウン信号のオフ後の経過時間を計測する内部タイマーを備え、レベルシフタを活性化するレベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせる制御が開示されている。
【0019】
また、パワーダウン信号のオフ後に、内部電源電圧が供給されて動作する発振部の発振信号が所定周波数に達したことを検出する周波数検出手段を備え、この周波数検出手段からの検出信号によって、レベルシフタを活性化するレベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせる制御も開示されている。
【0020】
また、パワーダウン信号のオフ後に、電圧レベルが徐々に上昇する電圧信号を出力する電圧発生回路と、電圧信号が所定電圧に上昇したことを検出する電圧検出回路を有し、この電圧検出回路からの検出信号によって、レベルシフタを活性化するレベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせる制御も開示されている。
【0021】
また、所定のコマンドを認識するコマンド認識部を有し、所定コマンドが外部から印加されてコマンド認識部の出力信号が出力されるまで、レベルシフタを活性化するレベルシフタ制御信号を遅らせる制御も開示されている。そして、これらの制御技術によって、パワーダウンモードからの復帰時に、内部回路に流れる貫通電流が増大する不具合を防止できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許第4188722号公報(第9頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、特許文献1の従来技術は、パワーダウン信号のオフ後の経過時間を計測する内部タイマーを備えているが、このタイマーによってレベルシフタを活性化するレベルシフタ制御信号が所定時間だけ遅れたとしても、内部電源電圧が安定領域に達している保証がなく、レベルシフタが活性化したときに、内部電源電圧の不安定状態によってレベルシフタから異常な不正信号が出力される可能性がある。
また、内部回路がアナログ処理を行うアナログ回路を有し、このアナログ回路が内部電源電圧を基準バイアスとして動作する場合、内部電源電圧が不安定状態であれば、アナログ回路は正常動作ができず、これを原因としてレベルシフタから不正信号が出力される可能性もある。
【0024】
また、発振回路と周波数検出手段を備えた場合においても、内部電源電圧が発振回路の最低動作電圧に達した時点で発振回路は発振を開始するので、発振回路の周波数が所定周波数に達したからといって、内部電源電圧が安定状態に達している保証がなく、レベルシフタが活性化したときに、内部電源電圧の不安定状態によってレベルシフタから不正信号が出力される可能性がある。
【0025】
また、電圧発生回路を有する場合においても、内部電源電圧が立ち上がってから安定状態に達するまでの復帰時間は、環境温度やICの製造ばらつき等で影響を受けるので、電圧レベルが徐々に上昇する電圧発生回路を用いてレベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせたとしても、その所定時間経過後に内部電源電圧が安定領域に達している保証がなく、レベルシフタが活性化したときに、内部電源電圧の不安定状態によってレベルシフタから不正信号が出力される可能性がある。
【0026】
また、特定のコマンドが出力されるまで、レベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせたとしても、内部電源電圧が安定状態に達している保証がないので、レベルシフタが活性化したときに、内部電源電圧の不安定状態によってレベルシフタから不正信号が出力される可能性がある。また、安全を見込んで、相当長い経過時間後にコマンドを発行すれば安全性は高まるが、これでは、パワーダウンモードからの復帰に時間がかかりすぎて、実用的ではない。
【0027】
すなわち、特許文献1に示した従来技術では、内部電源電圧が安定状態に達しているかどうかを検出していないため、レベルシフタ制御信号を所定時間だけ遅らせても、レベルシフタから不正信号が出力される可能性を排除することはできないのである。
【0028】
本発明の目的は上記課題を解決し、内部電源回路からの内部電源電圧が安定状態となり、レベルシフタの入力が適正となった後に、レベルシフタを活性化させるパワーダウンモードの復帰シーケンスを備えた電子回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の電子回路は、下記記載の構成を採用する。
【0030】
電源電圧から降圧してシステム電圧を発生するシステム電圧発生回路と、
システム電圧を供給されて動作する第1の内部回路と、
電源電圧を供給されて動作する第2の内部回路と、
第1の内部回路からの信号を入力し、電源電圧の電圧レベルに変換し第2の内部回路へ出力するレベルシフタと、
レベルシフタを制御する制御回路と、を備える電子回路であって、
システム電圧発生回路が停止状態から動作状態へ移行するとき、
制御回路は、第1の内部回路が動作状態であることを判定する第1の判定手段と、システム電圧が所定値に達したか、または所定値に収束したかを判定する第2の判定手段と、を備え、双方の判定手段の結果に基づいて出力される動作開始信号に基づいてレベルシフタを活性化するように制御することを特徴とする。
【0031】
このような構成にすれば、パワーダウンモードからの復帰において、内部回路の状態とシステム電圧の状態との2つの条件に基づいてレベルシフタを制御することができるから
、レベルシフタからの不正信号の出力を解消することができる。
【0032】
制御回路は、電圧レベル調整回路を有し、
電圧レベル調整回路は、動作開始信号を入力し、その電圧レベルを、レベルシフタを活性化できる電圧レベルに変換して、レベルシフタ制御信号として出力し、
制御回路は、レベルシフタ制御信号により、レベルシフタを活性化するようにしてもよい。
【0033】
このような構成にすれば、適正な電圧レベルでレベルシフタを制御することができる。
【0034】
システム電圧発生回路は、リファレンス電圧生成回路と差動増幅回路と出力回路とを有する電圧レギュレータ回路であり、
リファレンス電圧生成回路は、電源電圧を降圧して、電源電圧に依存しない定電圧であるリファレンス電圧を生成し、
差動増幅回路は、一方の入力をリファレンス電圧とし、他方の入力を出力回路からフィードバックされた電圧として、双方の入力の差を増幅して出力するものであり、
出力回路は、差動増幅回路の出力に基づいて制御される電圧をシステム電圧として出力する回路であるようにしてもよい。
【0035】
このような構成にすれば、電源電圧に依存しない定電圧のシステム電圧とすることができる。
【0036】
第1の判定手段は、発振回路と発振検出回路とを含み、
発振回路は、所定の発振信号を出力し、
発振検出回路は、発振信号を検出することで動作開始信号を出力し、
第2の判定手段は、遅延回路を含み、
遅延回路は、動作開始信号にシステム電圧またはリファレンス電圧に応じた所定の遅延時間を与えたレベルシフタ制御信号を出力し、
制御回路は、レベルシフタ制御信号によってレベルシフタを活性化するように制御するようにしてもよい。
【0037】
このような構成においては、内部回路の状態とシステム電圧の状態との2つの条件のうち、前者を発振回路の発振状態、後者を遅延回路の出力であるレベルシフタ制御信号とすることができる。特に後者は、動作開始信号をただ遅延するのではなく、システム電圧またはリファレンス電圧に応じて遅延することができるので、システム電圧の状態に基づく制御を行うことができる。
【0038】
第1の判定手段は、発振回路と発振検出回路とを含み、
発振回路は、所定の発振信号を出力し、
発振検出回路は、発振信号を検出することで動作開始信号を出力し、
第2の判定手段は、電圧検出回路を含み、
電圧検出回路は、システム電圧が所定値に達したかをリファレンス電圧の電圧値で検出して電圧検出信号を出力し、
制御回路は、動作開始信号と電圧検出信号との論理積であるレベルシフタ制御信号によってレベルシフタを活性化するように制御するようにしてもよい。
【0039】
システム電圧は、リファレンス電圧から生成するため、このような構成にすれば、より早くシステム電圧の状態を判定に用いることができる。
【0040】
発振回路から出力される発振信号は、第1の内部回路に入力して第1の内部回路の動作
を行なわせるクロック信号であるようにしてもよい。
【0041】
このような構成にすれば、発振回路から出力される発振信号で第1の内部回路を動作させることができるから、第1の内部回路に別途発振回路を設ける必要がない。また、システムが動作状態であることを確実に判定することができる。
【0042】
発振回路は、システム電圧で駆動するようにしてもよい。
【0043】
このような構成にすれば、発振回路をより低消費電力にすることができる。
【0044】
発振回路は、発振開始から所定の時間を経過した後に安定した発振振幅となる定常発振状態になり、
発振回路は、所定の時間を経過するまでの間だけは、電源電圧で駆動されるようにしてもよい。
【0045】
このような構成にすれば、発振のしやすさと低消費電力化とを両立することができる。
【0046】
遅延回路は、容量素子と、システム電圧またはリファレンス電圧に基づく放電電流でその容量素子を放電する放電手段と、を備えるようにしてもよい。
【0047】
このような構成にすれば、システム電圧またはリファレンス電圧に応じた遅延時間を容易に生成することができる。
【0048】
遅延回路は、容量素子の電圧に基づいて放電手段をバイパスするバイパス手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0049】
このような構成にすれば、遅延回路に含まれるインバータに流れる貫通電流を低減させることができる。詳しくは、容量素子の電圧が放電過程で中間電位をたどる際に、容量素子の電圧を入力する後段の回路に生じる貫通電流を低減させることができる。
【0050】
レベルシフタ制御信号は、第1の内部回路と第2の内部回路との一方、または双方の初期状態を解除するようにしてもよい。
【0051】
このような構成にすれば、レベルシフタが活性化したときには、システムは初期状態からの動作開始が確実となる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の電子回路により、パワーダウンモードからの復帰において、レベルシフタへの入力信号が適正になるまで、レベルシフタを制御して入力信号を遮断し、レベルシフタからの不正信号の出力を解消するので、電子回路によって制御される外部装置の誤動作を防止できると共に、内部回路の安定動作を実現できる。また、パワーダウンモードからの復帰時に発生する回路の貫通電流を低減できるので、電子回路の低消費電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態の電子回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の電子回路に含まれる第1の判定手段の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の電子回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態の電子回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の電子回路の制御回路の一部を示す回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の電子回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態の電子回路の構成例1を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の電子回路の構成例2を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の電子回路の構成例3を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の電子回路の構成例4を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の電子回路に含まれる第1の判定手段の構成を示す回路図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の電子回路に含まれる第2の判定手段の構成例1を示す回路図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の電子回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態の電子回路に含まれる第2の判定手段の構成例2を示す回路図である。
【図15】本発明の第3の実施形態の電子回路に含まれる第2の判定手段の構成例3を示す回路図である。
【図16】本発明の第3の実施形態の電子回路に含まれる第2の判定手段の構成例3の動作を説明するタイミングチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態の電子回路に含まれる制御回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図18】本発明の第4の実施形態の電子回路の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の電子回路に含まれるシステム電圧発生回路と電圧検出回路の構成の一例を示す回路図である。
【図20】本発明の第4の実施形態の電子回路に含まれる論理積回路の構成の一例を示す回路図である。
【図21】本発明の第4の実施形態の電子回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図22】本発明の第5の実施形態の電子回路の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第5の実施形態の電子回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図24】本発明の電子回路に含まれる第1の内部回路の構成例AとBを示すブロック図である。
【図25】本発明の電子回路に含まれる第1の内部回路の構成例CとDを示すブロック図である。
【図26】本発明の電子回路に含まれる第1の内部回路のアナログブロックの構成例を示す回路図である。
【図27】従来の電子回路の構成を説明するブロック図である。
【図28】従来の電子回路の動作の不具合を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の特徴的な部分は、レベルシフタの活性または非活性の制御に、2つの判定を行なっている点である。すなわち、内部回路の動作状態を判定する第1の判定手段と、システム電圧が所定値に達したか、または収束したことを判定する第2の判定手段と、を用いて判定するものである。
【0055】
第1の判定手段は、発振回路と発振検出回路とを備えており、発振回路が発振を開始したことを発振検出回路が検出する。この検出により内部回路が動作状態にあることを判定するのである。
【0056】
第2の判定手段は、システム電圧(もしくは、システム電圧を生成するときの基準となるリファレンス電圧)が所定値に達したか、または所定値に収束したかを検出する電圧検出回路を備えている。また、第2の判定手段は、第1の判定手段の出力信号である動作開始信号をシステム電圧(もしくは、リファレンス電圧)の収束に応じて遅延させる遅延回路を備えている。遅延回路を有しているということは、システム電圧の収束状態に応じて動作開始信号に遅延時間を与えたレベルシフタ制御信号を出力することで、システム電圧が所定値に収束したことを判定することができるということでもある。
【0057】
第2の判定手段が遅延回路を備えるときは、第1の判定手段からの出力信号は、システム電圧に応じてなる信号である必要がある。その場合、第1の判定手段を構成する発振検出回路が、システム電圧で駆動されていれば、その出力信号はシステム電圧に応じた信号となる。一方、発振検出回路がシステム電圧ではない電圧で駆動されていれば、発振検出回路の出力に信号の電圧レベルをシステム電圧にする回路を設ければ、その回路からの出力信号はシステム電圧に応じた信号となる。
【0058】
つまり、本発明は、レベルシフタの活性または非活性の制御に、発振が成されていることと、システム電源が正常に出力されていることとの2つの条件が揃わないと、レベルシフタを活性または非活性にする制御信号が出力しないのである。
これによって、パワーダウンモードからの復帰において、レベルシフタへの入力信号である内部回路からの信号が適正になるまで、その信号を遮断することができるのである。
【0059】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
なお、本発明の実施形態は、太陽電池と二次電池とを備えたアナログ時計システムを制御する電子回路を例にして説明する。つまり、光の照射により太陽電池で生成される起電力が元になる電池電圧VBT、その電池電圧VBTより生成される電源電圧VSS、及びグランド電位である電源電圧VDDの各電圧を有する電源系を備えたアナログ時計システムである。電池電圧VBTと電源電圧VSSとは同一の電圧値を有していてもよいが、実際の時計システムにおいては、上述のように、電池電圧VBTから電源電圧VSSを生成する場合が多いため、その例で説明することにする。
【0060】
なお、この構成は、従来例として図27で提示した太陽電池と二次電池とを備えたアナログ時計システムと基本的な部分は同一であるので、同一要素には同一番号を付し重複する説明は一部省略するものとする。
【実施例1】
【0061】
[第1の実施形態の構成の説明:図1]
まず、図1を用いて第1の実施形態の電子回路の構成について説明する。
第1の実施形態の特徴は、第1の判定手段として独立した発振回路と発振検出回路とを備え、第2の判定手段としてシステム電圧が所定値に達したかを検出する電圧検出回路を備え、2つの判定結果の論理積によってレベルシフタの活性または非活性を制御することである。これによって、内部回路が正常に動作し、かつ、システム電圧が所定値に達した条件で、レベルシフタを活性化することができる。
【0062】
図1において、1は電子回路である。電子回路1は従来例の図27と同様にワンチップICによる時計用電子回路であり、システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、第1の内部回路としての内部回路30、レベルシフタ23、第2の内部回路としての入出力回路24、及び、レベルシフタ23を制御する制御回路40などによって構成される。
【0063】
電子回路1の周辺には、従来例と同様にSC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(共に図示せず)等を動かす電子回路1の外部装置であるモータ5が配置されている。なお、外部装置は図1の例に限定されず、例えば、電子回路1がデジタル時計用である場合は、外部装置はデジタル表示パネルが用いられる。
【0064】
SC2は、光によって起電力を発生し、ダイオード4を介して並列に接続されている二次電池3に充電電流を供給して充電を行う。二次電池3のプラス側は電子回路1のプラス端子1aに接続され、二次電池3のマイナス側は電子回路1のマイナス端子1bに接続される。そして、電子回路1のプラス端子1aは、回路の電源電圧VDDに接続され、マイナス端子1bは、回路のマイナス電源電圧として電池電圧VBTに接続される。これにより、電源電圧VDDはプラスの電源電圧となり、電子回路1のグランドとなる。また、電池電圧VBTは電源電圧VDDに対してマイナスの電源電圧であり、二次電池3の充電量に応じて、その電圧値は変動する。以上の接続によって電子回路1は、SC2及び二次電池3を電源として動作する。
【0065】
電子回路1に内蔵されるシステム電圧発生回路10は、電圧レギュレータ回路であり、電源電圧VSSまたは電池電圧VBTを入力して降圧し、電源電圧VSSまたは電池電圧VBTに依存しない低電圧かつ安定した(定電圧の)システム電圧VREGを発生し出力する。なお、システム電圧発生回路10の詳細については後述する。
【0066】
スイッチ素子21は、ONによってシステム電圧VREGを電源電圧VDDにプルアップし、スイッチ素子22は、ONによって電源電圧VSSを電源電圧VDDにプルアップする機能を備えている。このスイッチ素子21と22は、例えば、知られている電界効果型トランジスタ素子などを用いることができる。スイッチ素子21、22は、後述する起動信号P4によりONまたはOFFする。
【0067】
なお、電源電圧VSSは電池電圧VBTから作られる安定化した電源電圧である。例えば、抵抗分圧回路や電圧レギュレータ回路などを用いて生成することができる。もちろん、システム電圧発生回路10と同様な回路であってもかまわない。また、各電源電圧の電圧レベルは、従来例と同様とすれば、絶対値レベルでVBT>VSS>VREGの関係にある。このとき、各電圧の一例を挙げると次のようになる。すなわち、電源電圧VDDをグランド(0V)とすると、電池電圧VBTは、−1.2V、電源電圧VSSは、−1.1V、システム電圧VREGは、−0.8Vである。もちろん、電池電圧VBTと電源電圧VSSとは同じ電圧値としてもかまわない。
【0068】
内部回路30は、電子回路1の中核となる回路群であり、システム電圧VREGの供給を受けて動作する。図1に示す例では、電源電圧VSSも供給を受けており、デジタル回路の回路ブロックとしてAブロック31とBブロック32とを含んでいる。また、図示しないが、アナログ処理を行うアナログブロックを含んでもよい。
【0069】
Aブロック31は、比較的高速で動作する計時処理回路によって構成され、低消費電力を実現するために低電圧のシステム電圧VREGによって動作し、Bブロック32は、計時情報を記憶するメモリ(例えば、不揮発性メモリ)等によって構成され、電源電圧VSSによって動作する。
また、内部回路30の発振回路34から出力される基準クロック信号P22は、一定の発振周波数を有する発振信号であり、図1の例では、Aブロック31に供給しているが、この信号を、内部回路30全体を動作させるための基準の発振信号として用いてもよい。そして、この内部回路30は、計時情報を含んだ計時制御信号P1を出力する。なお、内部回路30の詳細な構成例は後述する。
【0070】
レベルシフタ23は電池電圧VBTによって動作し、内部回路30からの計時制御信号P1を入力して、電池電圧VBTの電圧レベルに変換した出力信号P2を出力する。また、イネーブル端子ENを有し、このイネーブル端子ENに入力される“0”または“1”の論理(後述するレベルシフタ制御信号P10)によってレベルシフタ23は活性状態か非活性状態になる。例えば、論理“0”が入力されると、レベルシフタ23は活性化して入力信号である計時制御信号P1をレベルシフトして出力信号P2が出力され、イネーブル端子ENに論理“1”が入力されると、レベルシフタ23は非活性化して計時制御信号P1を遮断し、出力信号P2は論理“0”に固定される。
【0071】
入出力回路24は電池電圧VBTによって動作し、出力信号P2を入力して、電子回路1の外部に駆動信号P3を出力する。この駆動信号P3は、電子回路1の出力端子1cを介してモータ5に供給され、モータ5を駆動して時針または分針等を動かして時刻を表示する。また、入出力回路24からは、パワーダウンモードを制御する起動信号P4が出力し、前述したスイッチ素子21、22に入力する。これらスイッチ素子は、パワーダウンモード時に共にONしており、パワーダウンモードから復帰するときに、共にOFFするように制御される。
【0072】
制御回路40は、レベルシフタ23の活性または非活性を制御し、レベルシフタ23からの不正信号を遮断する重要な機能を有している。この制御回路40は、第1の判定手段41と第2の判定手段42とを含んでいる。第1の判定手段41は、内部回路30と同様に、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとの供給を受けて動作する。そして、発振回路50と発振検出回路60とを内蔵する。
【0073】
発振回路50は、発振が開始されると発振信号P11を出力し、発振検出回路60は、発振信号P11を入力して動作開始信号P5を出力する。詳しくは後述するが、発振回路50が発振をしていることを発振検出回路60が検出しなければ、動作開始信号P5も出力されないのである。なお、発振回路50は、内部回路30の発振回路34と同一の回路構成であることが好ましい。発振回路50および発振検出回路60の詳細は後述する。
【0074】
第2の判定手段42は、基準電圧発生回路とアナログコンパレータ(共に図示せず)等による電圧検出回路80によって構成される。この電圧検出回路80は、電池電圧VBTの供給を受けて動作し、システム電圧VREGを入力してシステム電圧VREGが所定の電圧値に達したならば電圧検出信号P13を出力する。
【0075】
また、90は論理積回路であり、動作開始信号P5と電圧検出信号P13とを入力して論理積反転(NAND)を行い、レベルシフタ制御信号(以下、LS制御信号と略す)P10を出力してレベルシフタ23のイネーブル端子ENに供給する。この論理積回路90によって、第1の判定手段41と第2の判定手段42との2つの条件が揃ったことを検出して、レベルシフタ23を制御するのである。
【0076】
[第1の実施形態の第1の判定手段の詳細な説明:図2]
次に、第1の実施形態の制御回路に含まれる第1の判定手段の回路構成の一例を図2を用いて説明する。
図2において、第1の判定手段41は、発振回路50、発振検出回路60、及び電源切替回路70によって構成されている。発振回路50は、後述する発振回路電源電圧VOSCを電源として動作し、発振インバータ51の入出力端子に水晶振動子52が接続された水晶発振回路であり、発振信号P11を出力する。なお、発振回路50は、CR発振回路などで構成してもかまわない。
【0077】
発振検出回路60は、バッファ61、インバータ62、Nch電界効果型トランジスタ
(以下、Nchトランジスタと略す)63、インバータ64が直列接続され、バッファ61は発振信号P11を入力し、インバータ64は動作開始信号P5を出力する。また、Nchトランジスタ63とインバータ64の入力端子の接続点と電源電圧VDDとの間には、コンデンサ65と定電流源66とが並列接続されている。
【0078】
この発振検出回路60は、図示するように電源電圧VSSに接続されて動作するが、電源は電源電圧VSSに限定されず、システム電圧VREGや後述する発振回路電源電圧VOSCでもよい。なお、発振回路50と発振検出回路60の動作説明は、後述する電子回路の動作説明で詳しく行なう。
【0079】
次に、電源切替回路70は、2つのスイッチ素子71と72、及びインバータ73によって構成される。スイッチ素子71は電源電圧VSSを入力し、スイッチ素子72はシステム電圧VREGを入力する。スイッチ素子71、72の接続点は、発振回路電源電圧VOSCとして発振回路50の電源となる。また、インバータ73は、発振信号P11を分周する分周回路(図示せず)からの分周信号である切り替え制御信号P7を入力し、この切り替え制御信号P7をスイッチ素子71の制御端子に接続し、インバータ73の出力である切り替え制御信号P7の反転信号をスイッチ素子72の制御端子に接続する。つまり、スイッチ素子71とスイッチ素子72とは反転制御されている。
【0080】
ここで、電源切替回路70の動作を説明すると、切り替え制御信号P7は、発振回路50が発振開始前の状態では、図示しない分周回路が動作していないので論理“0”を出力し、スイッチ素子71はON、スイッチ素子72はOFFとなる。これにより、発振回路電源電圧VOSCは、電圧値の高い電源電圧VSSが供給されるので、発振回路50は短時間で発振動作を開始して発振信号P11を出力することができる。そして、図示しない分周回路が分周動作を開始する。
【0081】
なお、電源切替回路70は、上述の回路例に限定するものではなく、変更が可能である。例えば、スイッチ素子に抵抗を直列に接続する構成としてもよい。
すなわち、発振回路50の発振回路電源電圧VOSCとしてスイッチ素子72を介してシステム電圧VREGが供給される際、システム電圧VREGから抵抗を介して発振回路電源電圧VOSCが供給される構成としてもよい。
その理由は、発振回路50の動作電流と抵抗との電圧降下によって発振回路電源電圧VOSCの実効電圧を低下させて発振回路50の消費電流を低下することができるためである。なお、その抵抗はMΩの範囲(または程度)とすることができ、一例を挙げると1MΩである。
【0082】
また、発振回路50の発振回路電源電圧VOSCとしてスイッチ素子71を介して電源電圧VSSが供給される際にも、電源電圧VSSから抵抗を介して発振回路電源電圧VOSCが供給される構成としてもよい。
発振回路50が水晶発振回路であった場合には、電源電圧VSSが高電圧であると所定の周波数より高次の周波数で発振(オーバートーン)することがあり、所定の動作が得られなくなることがある。このため、前述と同様、発振回路50の動作電流と抵抗との電圧降下によって発振回路電源電圧VOSCの実効電圧を低下させることでオーバートーンを防止することができる。なお、その抵抗は数百kΩの値とすることができ、一例を挙げると500kΩである。
【0083】
発振回路50は、発振開始後は電源電圧VSSで駆動されるが、発振開始から所定の時間が経過すると、図示しない分周回路の分周動作によって切り替え制御信号P7が論理“1”となるので、スイッチ素子71はOFF、スイッチ素子72はONとなる。これにより、発振回路電源電圧VOSCは、電圧値の低いシステム電圧VREGに切り替えられる
。もちろん、発振回路50は発振を継続しているから、発振回路50の消費電流が低減されると共に、安定した発振振幅の定常発振状態が妨げられることはないのである。
【0084】
すなわち、電源切替回路70は、発振回路50の発振開始時において、電圧が比較的高い電源電圧VSSを供給して発振起動性を向上させて発振開始を確実に行い、発振開始後には、低い電圧値のシステム電圧VREGを供給して消費電流を低減する機能を有している。ところで、システム電圧VREGは、すでに説明したようにシステム電圧発生回路10により生成されているが、この電圧値は、発振回路50が発振を継続できる電圧値に設定しておくことは、言うまでもないだろう。なお、発振開始時の電源としては、電源電圧VSSの代わりに電池電圧VBTを用いてもよい。
【0085】
また、電源切替回路70は、内部回路30の発振回路34(図1参照)にも付加することが好ましい。これは、双方の発振回路の特性を一致させて、第1の判定手段41の発振回路50が発振を開始して動作開始信号P5が出力した場合、内部回路30の発振回路34も発振を開始していることが好ましいからである。すなわち、第1の判定手段41と内部回路30との動作開始特性を一致させることで、第1の判定手段41によって内部回路30の動作開始状態を判定することがより精度よくできる。なお、本発明の動作説明においては、電源切替回路70は図2に例示した構成に限定されないが、その他の構成については、発明の主要部分ではないため省略する。
【0086】
また、前述の電源切替回路70を用いない場合は、発振回路50はシステム電圧VREGや電源電圧VSSで駆動されるのであるが、そのとき、発振回路50は知られているように、どんな回路構成であっても、それらの電圧を供給されたときにすぐさま発振動作を開始するものが多い反面、所定の電圧レベルの振幅に達する定常発振状態になるには、多少の遅れが発生するものである。要するに、発振はすぐさま起こるがその電圧レベルは、時間と共に増してゆき、やがて定常状態になるのである。発振検出回路60は、発振回路50が定常状態になる前であっても(所定の電圧レベルでの振幅を有していないときでも)、それを検出することができる。
【0087】
[第1の実施形態の電子回路の動作説明:図1、図2、図3]
次に、以上説明した第1の実施形態の電子回路の動作をタイミングチャートの図3を主に用い、図1、図2を適宜参照して説明する。
図3において、起動信号P4が論理“0”であるとき、電子回路1はパワーダウンモードであり、スイッチ素子21、22はONとなるので、電源電圧VSSとシステム電圧VREGは、共に電源電圧VDDにプルアップされている。ここで、電子回路1がパワーダウンモードになる条件は、一例として、SC2に長時間光が照射されず、二次電池3によって電子回路1は動作を継続するが、二次電池3の充電量が減少して電池電圧VBTが所定の電圧値以下になった場合である。この場合、二次電池3の過放電を防ぐために、電子回路1の入出力回路24が図示しない手段によって電池電圧VBTの電圧低下を検出し、起動信号P4を論理“0”として、パワーダウンモードに移行する。
【0088】
このパワーダウンモードでは、前述したように、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとは、共に電源電圧VDDにプルアップされるので、内部回路30は、必要な情報をBブロックのメモリ(図示せず)に記憶後、動作を停止する。また、制御回路40からのLS制御信号P10は論理“1”に固定され、レベルシフタ23は非活性となって、計時制御信号P1を遮断するので、入出力回路24からの駆動信号P3は停止し、電子回路1の全体が停止状態となる。
【0089】
次に、SC2に光が照射されて二次電池3がある程度充電されて電池電圧VBTが所定の電圧値以上に上昇した場合、入出力回路24は図示しない手段、例えば、電圧コンパレ
ータなどで電圧を比較するなどして電池電圧VBTの電圧上昇を検出して起動信号P4を論理“1”とする(図3:タイミングT11)。
【0090】
これにより、スイッチ素子21、22は共にOFFとなるので、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとはプルアップ状態が解除されて、まず、電池電圧VBTから作られる電源電圧VSSが、比較的短時間で安定領域に到達する(タイミングT12)。
【0091】
一方、システム電圧VREGは、電源電圧VSSから作られるので、システム電圧VREGは電源電圧VSSが出力されてから出力が開始され、システム電圧VREGが所定の電圧に達して安定する時間は、タイミングT12より遅れることになる。
【0092】
ここで、システム電圧VREGが所定の電圧値に到達する前に、システム電圧VREGが発振回路50(図2参照)の最低動作電圧Vminを越えたと仮定すると、発振回路50は、その時点で発振を開始して、発振信号P11の出力が開始する(タイミングT13)。
【0093】
次に、発振信号P11を入力する発振検出回路60(図2参照)の動作を説明する。
図3において、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達する前は、発振検出回路60に入力される発振信号P11の電圧レベルは、図示するように、ほぼ電源電圧VSSの電圧レベルに推移し、その論理は“0”であるので、発振検出回路60のバッファ61の出力も論理“0”が保持され、これによって、Nchトランジスタ63はOFF状態であり、コンデンサ65は定電流源66によって放電されるので、インバータ64の入力は電源電圧VDDに等しい状態が保持されて論理“1”となる。この結果、インバータ64の出力である動作開始信号P5は、発振回路50が発振を開始するまでは論理“0”の状態が保持される。
【0094】
次に、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達して発振回路50が発振を開始すると(タイミングT13)、発振信号P11は、クロック信号として論理“1”と論理“0”とを繰り返すので、発振検出回路60のバッファ61の出力は論理“1”、インバータ62の出力は論理“0”となる瞬間が発生する。これにより、Nchトランジスタ63は、発振信号P11の論理“1”に同期してONとなる瞬間が発生する。
【0095】
ここで、Nchトランジスタ63がONになると、コンデンサ65には瞬時に電源電圧VDDからの充電電流が流れて充電され、それによって、インバータ64の入力は、電源電圧VSSの電圧レベルに引かれるので、その論理は“0”となり、動作開始信号P5は発振信号P11が出力されると同時に論理“1”となる。
【0096】
そして、発振信号P11は、論理“1”の次の瞬間に論理“0”となるが、Nchトランジスタ63が再びOFFとなっても、コンデンサ65に充電された電荷を定電流源66によって放電する放電時間が、発振信号P11の周期よりも長く設定されていれば、発振回路50の発振が継続されている期間、インバータ64の入力レベルは、論理“0”が保持されるので、動作開始信号P5は図示するように、タイミングT13以降、論理“1”が継続する。
【0097】
次に第2の判定手段としての電圧検出回路80(図1参照)の動作を説明する。
図3において、システム電圧VREGを入力する電圧検出回路80は、システム電圧VREGが目標電圧Vtgに達する以前は、電圧検出信号P13を論理“0”として出力する。そして、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminを越えてマイナス側に低下し続け、所定値である目標電圧Vtgに達すると、電圧検出回路80は、システム電圧VREGが目標電圧Vtgに達したことを検出して電圧検出信号P13を論理“1”とする(
タイミングT14)。なお、目標電圧Vtgは、内部回路30が十分に正常動作を維持できる電圧値に設定されていればよく、システム電圧VREGと同一であってもかまわない。
【0098】
次に論理積回路90(図1参照)の動作を説明する。
論理積回路90は、第1の判定手段41からの動作開始信号P5と第2の判定手段42からの電圧検出信号P13とを入力して論理積反転を実施し、LS制御信号P10を出力する。すなわち、図3において、動作開始信号P5と電圧検出信号P13との双方が論理“1”となるタイミングT14で、LS制御信号P10が論理“0”となる。ここで、レベルシフタ23は、イネーブル端子ENに入力されるLS制御信号P10が論理“1”で非活性状態を保持し、LS制御信号P10が論理“0”で活性状態に移行するので、レベルシフタ23はタイミングT14で活性状態となる。
【0099】
ここで第1の実施形態の動作をまとめると、電子回路1の制御回路40は論理積回路90によって、第1の判定手段41が出力する動作開始信号P5と、第2の判定手段42が出力する電圧検出信号P13との論理積が真となった時点でLS制御信号P10を出力し、レベルシフタ23を活性化する。すなわち、第1の判定手段41は、発振回路50の発振開始を検出して内部回路30が動作状態であることを判定し、かつ、第2の判定手段42によってシステム電圧VREGが所定値である目標電圧Vtgに達したことを判定し、この双方の判定結果に基づいてレベルシフタ23を活性化する。
【0100】
従って、レベルシフタ23は、内部回路30が十分に正常動作状態に移行した後に活性状態となるので、レベルシフタ23から不正な信号が出力されることを確実に防ぎ、外部回路の誤動作を防止できる。また、第2の内部回路である入出力回路24に不正な信号が入力されることがないので、電子回路の内部の安定動作を実現し、回路の貫通電流を低減することができる。
【0101】
以上のように、第1の実施形態は、電子回路1が停止状態から動作状態に移行するとき、すなわち、パワーダウンモードからの復帰において、2つの判定結果の論理積によって行う復帰シーケンスを備え、レベルシフタへの入力信号が適正になるまで、その入力信号を遮断することで、パワーダウンモードからの復帰を誤動作なく確実に実施することができ、信頼性の高いパワーダウンモードを備えた電子回路を提供することができる。
【0102】
また、説明した例の第2の判定手段42は、システム電圧VREGの電圧レベルが所定値に達したか否かを判定する一般的なアナログコンパレータで構成できるので、制御回路40の構成が簡単であり、回路規模を増やすことなくパワーダウンモードの制御を実現することができる。
【実施例2】
【0103】
[第2の実施形態の構成説明:図4]
次に、図4を用いて第2の実施形態の電子回路の構成例を説明する。
なお、第2の実施形態は、前述の第1の実施形態の電子回路に含まれる制御回路の一部が異なるだけであるので、電子回路、及びその周辺部の同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0104】
第2の実施形態の特徴は、制御回路に含まれる発振検出回路が、2つの役割を担う点である。すなわち、発振検出回路が、発振回路の動作検出(第1の判定手段)と、システム電圧VREGが所定の電圧値に達したこととを判定(第2の判定手段)する。そして、制御回路は電圧レベル調整回路によってレベルシフタを制御する制御信号を出力するのである。これによって、内部回路が正常に動作し、かつ、システム電圧が所定値に達したとい
う2つの条件で、レベルシフタを活性化することができる。
なお、以下の説明では、発振回路の動作検出及びシステム電圧VREGが所定の電圧値に達したことを判定する構成を、第1及び第2の判定手段と呼ぶことにする。
【0105】
図4において、100は第2の実施形態の電子回路である。電子回路100は、ワンチップICによる時計用電子回路であり、システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、第1の内部回路としての内部回路30、第2の内部回路としての入出力回路24を含んでいる。内部回路30は、発振回路34、Aブロック31、Bブロック32を有している。これらの回路は、図1で示した第1の実施形態と同様であるので、同一番号を付し詳細な説明は省略する。
【0106】
また、110はレベルシフタ23の活性または非活性を制御する制御回路である。この制御回路110は、第1及び第2の判定手段111と電圧レベル調整回路としての電圧変換回路120を含んでいる。第1及び第2の判定手段111は、発振回路50と発振検出回路60´を内蔵して動作開始信号P5´を出力する。
発振回路50は、電源電圧VSSまたはシステム電圧VREGを電源として動作し、発振検出回路60´はシステム電圧VREGを電源として動作する。なお、内部回路30の発振回路34と制御回路110の発振回路50とは、すでに説明した例と同様に回路構成と電源を同一にすることが好ましい。これは発振回路50の動作状態が内部回路30の動作状態と同じであることが好ましいからである。
【0107】
また、電子回路100の周辺には、SC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0108】
[第2の実施形態の制御回路の詳細な説明:図5]
次に、第2の実施形態の制御回路110の第1及び第2の判定手段111に含まれる発振検出回路60´と電圧変換回路120の構成を図5を用いて説明する。
なお、第1及び第2の判定手段111の発振回路50の回路構成は、前述した第1の実施形態の制御回路40の発振回路50(図2参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。また、発振検出回路60´は、システム電圧VREGを電源として動作することに違いがあるものの、前述した第1の実施形態の制御回路40の発振検出回路60(図2参照)と基本構成は同じであるので、重複する説明は一部省略する。
【0109】
図5において、第1及び第2の判定手段111に含まれる発振検出回路60´は、バッファ61、インバータ62、Nchトランジスタ63、バッファ67が直列接続され、バッファ61は発振回路50(図4参照)からの発振信号P11を入力し、バッファ67は動作開始信号P5´を出力する。また、Nchトランジスタ63とバッファ67の入力端子の接続点と電源電圧VDDとの間には、コンデンサ65と定電流源66が並列接続されている。
【0110】
この発振検出回路60´の電源は、図示するようにシステム電圧VREGに接続され、出力である動作開始信号P5´の電圧レベルは、システム電圧VREGである。ここで、発振検出回路60´が、前述の第1の実施形態の発振検出回路60と異なる点は、出力である動作開始信号P5´の論理が反転していることと、電源が第1の実施形態の発振検出回路60は電源電圧VSSであるが、発振検出回路60´の電源はシステム電圧VREGであることである。
【0111】
次に、動作開始信号P5´の電圧レベルを変換する電圧変換回路120の構成を説明する。
図5の電圧変換回路120において、インバータ121は起動信号P4を入力し、その出力はNchトランジスタ122とPchトランジスタ123とのゲート端子Gに接続されている。Nchトランジスタ122のソース端子Sは電池電圧VBTに接続され、Nchトランジスタ122のドレイン端子Dは、スイッチ素子であるPchトランジスタ124のドレイン端子Dと、インバータ125の入力端子と容量素子であるコンデンサ126の一方の端子とに接続され、この接続点をEと定義する。
【0112】
Pchトランジスタ124のゲート端子Gは、動作開始信号P5´が入力されており、また、Pchトランジスタ124のソース端子Sは、Pchトランジスタ123のドレイン端子Dに接続されている。Pchトランジスタ123のソース端子Sは、電源電圧VDDに接続され、コンデンサ126の他方の端子も電源電圧VDDに接続されている。そして、インバータ125の出力端子からはLS制御信号P10が出力されている。
この電圧変換回路120は、動作開始信号P5´の電圧レベル(システム電圧VREG)をレベルシフタ23の活性化を制御する電池電圧VBTのレベルであるLS制御信号P10に変換する機能を有するが、その動作の詳細は後述する。
【0113】
なお、制御回路110が電圧変換回路120を必要とする理由は、レベルシフタ23は、電池電圧VBTによって動作しているので、このレベルシフタ23を制御するLS制御信号P10の信号レベルは、システム電圧VREGの電圧レベルでは制御できず、電池電圧VBTの電圧レベルまで上げる必要があるからである。
【0114】
[第2の実施形態の動作説明:図4、図5、図6]
次に、以上説明した第2の実施形態の電子回路の動作をタイミングチャートの図6を主に用い、図4、図5を適宜参照して説明する。
なお、第2の実施形態の基本動作は、前述の第1の実施形態の動作と同様であるので、重複する説明は一部省略する。
図6において、起動信号P4が論理“0”であるとき、電子回路100はパワーダウンモードであり、スイッチ素子21、22はONとなるので、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとは、共に電源電圧VDDにプルアップされている。
【0115】
このパワーダウンモードでは、前述したように、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとは、共に電源電圧VDDにプルアップされるので、内部回路30は、必要な情報をBブロックのメモリ(図示せず)に記憶後、動作を停止する。また、制御回路110からのLS制御信号P10は論理“1”に固定され、レベルシフタ23は非活性となって、計時制御信号P1を遮断するので、入出力回路24からの駆動信号P3は停止し、電子回路100の全体が停止状態となる。
【0116】
次に、パワーダウンモードから通常動作モードに復帰する場合は、入出力回路24が起動信号P4を論理“1”とすることで実現する(図6:タイミングT21)。これにより、スイッチ素子21、22は共にOFFとなるので、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとはプルアップ状態が解除されて、まず、電池電圧VBTから作られる電源電圧VSSが、比較的短時間で安定領域に到達する(タイミングT22)。
【0117】
一方、システム電圧VREGは、電源電圧VSSから作られるので、システム電圧VREGは電源電圧VSSが出力されてから出力が開始され、システム電圧VREGが安定領域に到達する時間は、タイミングT22より後のタイミングとなる。
【0118】
ここで、システム電圧VREGが所定の電圧値に到達する前に、システム電圧VREGが発振回路50の最低動作電圧Vminを越えたと仮定すると、発振回路50は、その時点で発振を開始して、発振信号P11の出力が開始する(タイミングT23)。
【0119】
次に、発振信号P11を入力する発振検出回路60´(図5参照)の動作を説明する。
ここで、この発振検出回路60´の動作は、前述の第1実施形態の発振検出回路60(図2参照)と基本動作は同様であるので、異なる動作を中心に説明する。
図6において、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達する前は、発振検出回路60´に入力される発振信号P11の電圧レベルは、図示するように、ほぼシステム電圧VREGの電圧レベルに推移し、その論理は“0”であるので、発振検出回路60´のバッファ61の出力も論理“0”が保持される。
【0120】
これにより、Nchトランジスタ63はOFF状態であり、コンデンサ65は定電流源66によって放電されるので、バッファ67の入力は電源電圧VDDに等しい状態が保持されて論理“1”となる。この結果、バッファ67の出力である動作開始信号P5´は、電源電圧VDDの電圧レベル(すなわち論理“1”)の状態が保持される。
【0121】
次に、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達して発振回路50が発振を開始すると(タイミングT23)、発振信号P11は、クロック信号として論理“1”と論理“0”とを繰り返すので、Nchトランジスタ63がONになるタイミングが発生し、コンデンサ65は充電されて、バッファ67の入力は論理“0”となるので、出力である動作開始信号P5´は、システム電圧VREGの電圧レベル(すなわち、論理“0”)となる。
【0122】
そして、発振信号P11は、論理“1”の次の瞬間に論理“0”となるが、Nchトランジスタ63が再びOFFとなっても、コンデンサ65に充電された電荷を定電流源66によって放電する放電時間が、発振信号P11の周期よりも長く設定されていれば、発振回路50の発振が継続されている期間、バッファ67の入力レベルは、論理“0”が保持されるので、動作開始信号P5´は図示するように、タイミングT23以降、システム電圧VREGの電圧レベル(論理“0”)が継続する。
【0123】
ここで注意すべき点は、発振回路50に供給される電源が最低動作電圧Vminを越えて発振回路50が発振を開始し、発振信号P11が発振検出回路60´に入力されたとしても、システム電圧VREGを電源とする発振検出回路60´が正常に動作しなければ、動作開始信号P5´は論理“0”になることはできないという点である。たとえば、システム電圧VREGが電源電圧VDDに近ければ、Nchトランジスタ63はONできないので、コンデンサ65は充電されず、動作開始信号P5´は論理“1”が継続する。
【0124】
すなわち、動作開始信号P5´が論理“0”を出力する条件は、発振回路50が発振を開始して動作状態となり、かつ、システム電圧VREGが発振検出回路60´を正常に動作させる所定の電圧値に達した場合である。これにより、発振検出回路60´を含む第1及び第2の判定手段111は、発振回路50の発振検出(すなわち、内部回路30の動作検出:第1の判定手段)と、システム電圧VREGが所定の電圧値に達したことの判定(第2の判定手段)との2つの判定手段を備えていることになる。
【0125】
次に動作開始信号P5´を入力する電圧変換回路120(図5参照)の動作を説明する。
図6において、起動信号P4が論理“1”となったタイミングT21から発振回路50が発振開始するまでのタイミングT23の期間は、電圧変換回路120のNchトランジスタ122はOFFであり、Pchトランジスタ123はONであり、Pchトランジスタ124は動作開始信号P5´が論理“1”なのでOFFである。これにより、コンデンサ126に溜まっている電荷は、放電されずに保持されるので、接続点Eは、図示するように、電池電圧VBTの電圧レベルが保持され、インバータ125の出力であるLS制御
信号P10は、論理“1”(電源電圧VDDの電圧レベル)が保持されている。
【0126】
ここで、発振回路50が発振を開始し、発振検出回路60´が発振を検出して動作開始信号P5´が論理“0”(システム電圧VREGの電圧レベル)になると(タイミングT23)、Pchトランジスタ124がONとなって、コンデンサ126の放電ルートが形成され、Pchトランジスタ124を介して放電電流が流れて、コンデンサ126は放電される。これにより、接続点Eの電位は、タイミングT23で電池電圧VBTから電源電圧VDDまで速やかに上昇し、接続点Eを入力とするインバータ125の出力であるLS制御信号P10は、タイミングT23で論理“0”に反転する。すなわち、電池電圧VBTの電圧レベルとなる。
【0127】
ここで、LS制御信号P10は、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに入力され、レベルシフタ23は、イネーブル端子ENに入力されるLS制御信号P10が論理“1”で非活性状態を保持し、LS制御信号P10が論理“0”で活性状態に移行する。すなわち、制御回路110は、内部回路30が動作状態であり、かつ、システム電圧VREGが所定の電圧値に達したという2つの条件が揃ったことでLS制御信号P10を出力してレベルシフタ23を活性化する。
【0128】
この結果、レベルシフタ23は、内部回路30が十分に正常動作状態に移行した後に活性状態となるので、レベルシフタ23から不正な信号が出力されることを確実に防ぐことができる。このように、第2の実施形態は制御回路の構成は異なるが、前述の第1の実施形態と同様に、レベルシフタ23を制御してシステム全体の誤動作を防止することができる。
【0129】
このように、第2の実施形態は、発振回路50と発振検出回路60´とによる第1及び第2の判定手段111だけでレベルシフタ23を活性化する2つの条件が揃ったことを判定できるので、第1の実施形態に比べて、より小規模な回路構成で電子回路を構成できるメリットがある。
【実施例3】
【0130】
次に第3の実施形態の電子回路の構成例を説明する。
第3の実施形態の特徴は、第2の判定手段が動作開始信号をシステム電圧の収束に応じて遅延する遅延回路を備えて、レベルシフタを活性または非活性にする制御信号を出力することでレベルシフタを制御することである。
【0131】
第3の実施形態の電子回路の構成においては、4つの構成例を説明する。
構成例1は、制御回路の第1の判定手段を構成する発振回路と第1の内部回路に含まれる発振回路とが独立している例である。
構成例2は、第1の内部回路の発振回路を省き、第1の判定手段の発振回路による発振信号を第1の内部回路に入力するものであり、1つの発振回路を共用する例である。
構成例3は、第1の判定手段の発振回路を省き、第1の内部回路に含まれる発振回路による発振信号を第1の判定手段に入力するものであり、1つの発振回路を共用する例である。
構成例4は、構成例3の改良であり、第1の内部回路に発振検出回路も含まれる例である。
【0132】
また、制御回路を構成する第1の判定手段と第2の判定手段も2つある。以降、電子回路の構成例1〜構成例4と、第1の判定手段および第2の判定手段の構成とを、図を参照して順次説明する。なお、電子回路の動作の詳細な説明については、各構成例の内容を説明したあとにタイミングチャートを用いて説明する。
【0133】
[第3の実施形態の構成例1の説明:図7]
まず、図7を用いて第1の実施形態の電子回路の構成例1について説明する。
図7において、200は第3の実施形態の電子回路である。電子回路200は、ワンチップICによる時計用電子回路であり、システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、第1の内部回路としての内部回路30、第2の内部回路としての入出力回路24を含んでいる。内部回路30は、発振回路34、Aブロック31、Bブロック32を有している。これらの回路は、図1で示した第1の実施形態と同様であるので、同一番号を付し詳細な説明は省略する。
【0134】
210は制御回路である。制御回路210はレベルシフタ23の活性または非活性を制御し、レベルシフタ23からの不正信号を遮断する機能を有している。この制御回路210は、第1の判定手段211と第2の判定手段212とを含んでいる。第1の判定手段211は発振回路50と発振検出回路60´とを内蔵し、内部回路30と同様に、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとの供給を受けて動作する。また、第2の判定手段212は、遅延回路220を内蔵する。
【0135】
第3の実施形態の構成例1の特徴は、内部回路30と制御回路210とが独立した発振回路を備える構成となっている。1つの電子回路の中で異なる発振回路が存在しても、それらが起動して発振を開始すること自体に大きな時間的ずれがないため、このような構成が成立するのである。もちろん、内部回路30と制御回路210との発振回路が同一の回路構成を有していれば、それらが発振を開始するときの時間的ずれは極めて小さいことは無論であろう。なお、双方の発振回路の構成は、双方の回路の都合で決めることもできるため、回路設計の自由度が大きいという効果もある。
【0136】
また、電子回路200の周辺には、SC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0137】
第1の判定手段211の発振回路50は、発振が開始されると発振信号P11を出力し、発振検出回路60´は、発振信号P11を入力して動作開始信号P5´を出力する。
なお、発振回路50は、発振回路34と同一の回路構成であることが好ましい。発振回路50および発振検出回路60´の詳細は後述する。
【0138】
第2の判定手段212の遅延回路220は、電池電圧VBTの供給を受けて動作し、起動信号P4と動作開始信号P5´とを入力してLS制御信号P10を出力し、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに入力する。
詳しくは後述するが、本実施形態のLS制御信号P10は、動作開始信号P5´にシステム電圧VREGの収束状態に応じた所定の遅延時間が与えられて出力される信号である。つまり、システム電圧VREGが所定の電圧値に収束されていないとLS制御信号P10が出力されることはないのである。
【0139】
[動作の簡単な説明]
先の説明の通り、第3の実施形態の動作は、各構成例の説明の後に詳細に行なうが、ここで構成例1の動作を簡単に説明しておく。
内部回路30からの計時制御信号P1の電圧レベルは、電源電圧VDD(0V)とシステム電圧VREG(−0.8V)との間の振幅である。第2の内部回路である入出力回路24からの駆動信号P3は、電源電圧VDDと電池電圧VBT(−1.2V)との間の振幅である。そこで、これらの電圧レベルを変換するのが、レベルシフタ23である。
レベルシフタ23の活性または非活性とする制御は、内部回路30の動作状態を判定す
る第1の判定手段211と、システム電圧VREGが所定値に収束したことを判定する第2の判定手段212と、を用いて判定するものである。
【0140】
パワーダウンモードのとき、起動信号P4はそれを示す論理信号となっており、スイッチ素子21、22をONさせている。制御回路210は、起動信号P4の論理により、レベルシフタ23を非活性とする論理信号のLS制御信号P10を出力している。このため、レベルシフタ23は非活性となっている。
パワーダウンモードから復帰するときは、スイッチ素子21、22がOFFとなり、電子回路1には、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとが供給される。
【0141】
すると、第1の判定手段211の発振回路50は発振を開始する。内部回路30に設けている発振回路34も同じく発振を開始する。第1の内部回路30と制御回路210とには、電源電圧VSSやシステム電圧VREGが共に供給されるため、これら2つの発振回路は、仮に構成が異なっていたとしても、起動して発振を開始すること自体にさほどの時間的ずれがない。
そこで、第1の判定手段211の発振回路50から出力される発振信号P11を用いて発振検出回路60´で発振を検出することで、発振回路34から出力される基準クロック信号P22を直接検出せずとも、内部回路30の発振回路34も動作しているとみなすことができる。
つまり、基準クロック信号P22が内部回路30全体を動作させるための基準の発振信号となっているときは、発振信号P11をもって、内部回路30が動作しているとみなすこともできる。
【0142】
しかし、内部回路30が動作をしているとはいえ、このタイミングでは、レベルシフタ23への入力信号である計時制御信号P1が適正になっているかどうかはわからないので、レベルシフタ23を非活性状態のままに保っている。
【0143】
発振検出回路60´は、発振信号P11を入力され、動作開始信号P5´を出力する。この動作開始信号P5´は、第2の判定手段212の遅延回路220に入力される。
遅延回路220は、システム電圧VREGが所定値(所定の電圧値)に収束されるとLS制御信号P10を出力する。レベルシフタ23は、このLS制御信号P10により、非活性状態から活性状態に移行する。
【0144】
このように、制御回路210は、発振が成されていることと、システム電源VREGが所定の電圧値に収束し出力していることとの2つの条件が揃わないと、レベルシフタ23への入力信号である計時制御信号P1が適正になったと判断せず、レベルシフタ23を活性化しないのである。この2つの条件が揃わない間は、計時制御信号P1を遮断するから、入出力回路24への不正信号の出力を解消できるのである。
【0145】
[第3の実施形態の構成例2の説明:図8]
次に、第3の実施形態の構成例2を図8を用いて説明する。
なお、構成例2は、図7で示した構成例1の電子回路の内部構成の一部が異なるだけであるので、電子回路とその周辺部の同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0146】
第3の実施形態の構成例2の特徴は、第1の内部回路の発振回路を省き、制御回路の発振回路の発振信号を第1の内部回路の基準クロック信号として入力し、1つの発振回路を共用することである。このようにすれば、回路規模を縮小することができ、消費電流も低減できる。
【0147】
図8において、300は第の実施形態の構成例2の電子回路である。電子回路300は、ワンチップICによる時計用電子回路である。システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、第2の内部回路としての入出力回路24は、図7で示した構成例1と同様であるので、同一番号を付し重複する説明は省略する。
また、310は第1の内部回路としての内部回路であり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとの供給を受けて動作し、回路ブロックとしてAブロック311とBブロック312とを含むことは、構成例1と同様であるが、基準クロック信号を発生する発振回路は存在せず、後述する制御回路からの基準クロック信号P12を入力する構成である。
【0148】
320はレベルシフタ23の活性または非活性を制御する制御回路である。この制御回路320は、構成例1と同様に第1の判定手段321と第2の判定手段322とを含んでいる。第1の判定手段321は、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとの供給を受けて動作し、構成例1と同様に発振回路50と発振検出回路60´とを内蔵する。また、発振回路50は発振信号P11を出力して発振検出回路60´に供給すると共に、発振信号P11と同一信号である基準クロック信号P12を出力して内部回路310に供給する。また、発振検出回路60´は動作開始信号P5´を出力する。
【0149】
第2の判定手段322は、構成例1と同様に遅延回路220によって構成され、電池電圧VBTの供給を受けて動作し、動作開始信号P5´を入力してLS制御信号P10を出力し、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに入力する。
【0150】
また、電子回路300の周辺には、構成例1と同様にSC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(共に図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、詳細な説明は省略する。
【0151】
このように、構成例2の電子回路300は、内部回路310に構成例1で示した発振回路34が存在せず、制御回路320の発振回路50からの基準クロック信号P12を入力して共用する構成であるので、回路規模を縮小でき、また、発振回路が1つで構成されるので消費電流も低減できる特徴を有している。
【0152】
また、内部回路310と制御回路320とが発振回路50を共用することで、制御回路320の発振回路50が発振を開始して発振信号P11が出力されると、同一信号である基準クロック信号P12が内部回路310に供給されるので、制御回路320の動作開始と内部回路310の動作開始を完全に同一とすることができるという利点がある。なお、この利点は、後述する構成例3、4についても同様である。
【0153】
[第3の実施形態の構成例3の説明:図9]
次に、第3の実施形態の構成例3の電子回路を図9によって説明する。
なお、構成例3は、すでに説明した構成例の電子回路の内部構成の一部が異なるだけであるので、電子回路とその周辺部の同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0154】
第3の実施形態の構成例3の特徴は、第1の判定手段の発振回路を省き、第1の内部回路に含まれる発振回路が出力する基準クロック信号を制御回路の発振検出回路に入力して、1つの発振回路を共用することである。
【0155】
図9において、400は第3の実施形態の構成例3の電子回路である。電子回路400は、ワンチップICによる時計用電子回路である。システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、第2の内部回路としての入出力回路24は、構成例1と同様であるので、同一番号を付し重複する説明は省略する。
また、410は第1の内部回路としての内部回路であり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとの供給を受けて動作し、回路ブロックとしてAブロック411とBブロック412とを含むと共に、基準クロック源として、発振回路34を有しており、基準クロック信号P22を出力する。なお、発振回路34は、すでに説明したように、水晶振動子の振動を用いた公知の水晶発振回路としてもよい。
【0156】
420はレベルシフタ23の活性または非活性を制御する制御回路である。この制御回路420は、すでに説明した構成例と同様に第1の判定手段421と第2の判定手段422とを含んでいる。
第1の判定手段421は、電源電圧VSSとシステム電圧VREGの供給を受けて動作し、発振検出回路60´を内蔵して動作開始信号P5´を出力する。この発振検出回路60´は、前述の内部回路410の発振回路34からの基準クロック信号P22を入力して動作する。すなわち、制御回路420の第1の判定手段421は、内部回路410の発振回路34を共用するので、図示するように、制御回路420の一部の回路は、内部回路410に含まれる構成である。
【0157】
第2の判定手段422は、すでに説明した構成例と同様に遅延回路220によって構成され、電池電圧VBTの供給を受けて動作し、起動信号P4と動作開始信号P5´とを入力してLS制御信号P10を出力し、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに入力する。
【0158】
また、電子回路400の周辺には、すでに説明した構成例と同様にSC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(共に図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、詳細な説明は省略する。
【0159】
このように、構成例3の電子回路400は、制御回路420に構成例1で示した発振回路50が存在せず、制御回路420は、内部回路410の発振回路34からの基準クロック信号P22を入力して共用する構成であるので、回路規模を縮小でき、また、発振回路が1つで構成されるので消費電流を低減できる特徴を有している。
【0160】
[第3の実施形態の構成例4の説明:図10]
次に、第3の実施形態の構成例4の電子回路を図10によって説明する。
なお、構成例4は、すでに説明した構成例の電子回路の内部構成の一部が異なるだけであるので、電子回路とその周辺部の同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0161】
第3の実施形態の構成例4の特徴は、第1の内部回路の発振回路を省き、第1の内部回路に含まれる発振回路を制御回路が共用すると共に、第1の内部回路に制御回路の発振検出回路が含まれていることである。
【0162】
図10において、500は第3の実施形態の構成例4の電子回路である。電子回路500は、ワンチップICによる時計用電子回路である。システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、第2の内部回路としての入出力回路24は、構成例1と同様であるので、同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0163】
また、510は第1の内部回路としての内部回路であり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとの供給を受けて動作し、回路ブロックとしてAブロック511とBブロック512とを含むと共に、基準クロック源として、発振回路50を有しており、発振信号P11と基準クロック信号P12とを出力する。これらの信号は、同一の信号であるが、すでに説明した構成例2と同様に、名称を分けている。
【0164】
なお、発振回路50は、すでに説明した例と同様に、水晶振動子の振動を用いた公知の水晶発振回路としてもよい。また、この内部回路510は、後述する制御回路の第1の判定手段521の発振検出回路60´を内蔵している。発振検出回路60´は、内部回路510内にて発振回路50と隣接して配置される。
【0165】
520はレベルシフタ23の活性または非活性を制御する制御回路である。この制御回路520は、すでに説明した構成例と同様に第1の判定手段521と第2の判定手段522とを含んでいるが、前述したように、第1の判定手段521を構成する発振回路50と発振検出回路60´とは、内部回路510に含まれている。そして、発振検出回路60´からは動作開始信号P5´が出力される。このように、内部回路510は、制御回路520の第1の判定手段521を含んだ構成となる。
【0166】
また、第2の判定手段522は、すでに説明した構成例と同様に遅延回路220によって構成され、電池電圧VBTの供給を受けて動作し、起動信号P4と動作開始信号P5´を入力してLS制御信号P10を出力し、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに入力する。
【0167】
また、電子回路500の周辺には、すでに説明した構成例と同様にSC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、詳細な説明は省略する。
【0168】
このように、構成例4の電子回路500は、内部回路510の中に制御回路520の大部分が含まれる構成であり、回路規模を縮小できると共に、発振回路が1つで構成されるので消費電流を低減できる特徴を有している。そして、内部回路510内にあっては、発振回路50と発振検出回路60´とが隣接して配置されることで、これらの回路間の信号の受信に遅延が発生しにくく、発振検出回路60´は、発振回路50が発振したか否かを遅れなく検出することができる。
【0169】
[第3の実施形態の第1の判定手段の説明:図11]
次に、第3の実施形態の制御回路に含まれる第1の判定手段の回路構成の一例を図11を用いて説明する。
なお、第1の判定手段は、図7に示した第3の実施形態の構成例1の第1の判定手段211に基づいて説明するが、構成例2〜4のそれぞれの第1の判定手段321、421、521についても、発振回路がどの回路に含まれるかの違いはあるが、基本的な構成は同様である。
【0170】
図11において、第1の判定手段211は、発振回路50、発振検出回路60´、及び電源切替回路70によって構成されている。これらの各回路は、前述した第1の実施形態の第1の判定手段41(図2参照)と一部の回路を除いて同等であるので、異なる部分を中心に説明する。ここで発振回路50及び電源切替回路70は、第1の判定手段41の発振回路50及び電源切替回路70と同等であるので説明は省略する。なお、発振回路50からは、発振検出回路60´に供給する発振信号P11と、第3の実施形態の構成例2および構成例4の場合は、基準クロック信号P12が出力される。また、第3の実施形態の構成例3において発振回路は、前述のように、内部回路410側に含まれる発振回路34として配置される。
【0171】
第1の判定手段211の発振検出回路60´は、バッファ61、インバータ62、Nchトランジスタ63、バッファ67が直列接続され、バッファ61は発振信号P11を入力し、バッファ67は動作開始信号P5´を出力する。また、Nchトランジスタ63と
バッファ64の入力端子の接続点と電源電圧VDDとの間には、コンデンサ65と定電流源66が並列接続されている。この発振検出回路60´は、前述の第2の実施形態の発振検出回路60´(図5参照)と同等であるので、同一番号で記載している。
【0172】
この発振検出回路60´の電源は、図示するようにシステム電圧VREGに接続されている。このため、出力の動作開始信号P5´の電圧レベルは、システム電圧VREGである。すでに説明しているように、遅延回路220は、動作開始信号P5´を遅延する回路であるが、このとき、動作開始信号P5´は、システム電圧VREGに応じた信号でなければならない。このため、基本的には、発振検出回路60´の駆動電圧はシステム電圧VREGである必要があるが、発振検出回路60´の電源を、電源電圧VSSや電池電圧VBTなどとすることができる。詳しくは後述する。
【0173】
[第3の実施形態の第2の判定手段の構成例1の説明:図12]
次に、第3の実施形態の電子回路の制御回路に含まれる第2の判定手段の構成例1としての遅延回路220を図12を用いて説明する。
なお、遅延回路220は、第3の実施形態の全ての構成例1〜4の電子回路に適応される。そして、この遅延回路220は、2つのインバータと、3つのトランジスタと、1つのコンデンサによって構成されている。
【0174】
すでに説明したように、第1の判定手段211は、発振回路50の発振状態をいち早く検出する。ただし、発振回路50が発振していることと、内部回路30が正常に動作していることとは一致しない場合があるから、この第2の判定手段212を用いて動作開始信号P5´を遅延させるのである。
【0175】
図12の遅延回路220において、インバータ221は、起動信号P4を入力し、その出力はNchトランジスタ222とPchトランジスタ223とのゲート端子Gに接続されている。Nchトランジスタ222のソース端子Sは電池電圧VBTに接続され、Nchトランジスタ222のドレイン端子Dは、定電流源であるPchトランジスタ224のドレイン端子Dと、インバータ225の入力端子と容量素子であるコンデンサ226の一方の端子とに接続され、この接続点をAと定義する。
【0176】
Pchトランジスタ224のゲート端子Gは、動作開始信号P5´が入力されており、また、Pchトランジスタ224のソース端子Sは、Pchトランジスタ223のドレイン端子Dに接続されている。Pchトランジスタ223のソース端子Sは、電源電圧VDDに接続され、コンデンサ226の他方の端子も電源電圧VDDに接続されている。そして、インバータ225の出力端子からはLS制御信号P10が出力されている。
【0177】
ここで、Pchトランジスタ224は、ゲート端子Gに入力される動作開始信号P5´の論理“0”のシステム電圧VREGの電圧レベルに基づいて所定の定電流源(放電電流I1を流す定電流源)となるようにトランジスタサイズが最適化されて、コンデンサ226の放電手段として機能する。
【0178】
遅延回路220は、発振検出回路60´から動作開始信号P5´を所定の時間、遅延させるものである。動作開始信号P5´は、発振検出回路60´からの動作開始信号P5´がシステム電圧VREGに応じた信号であるから、動作開始信号P5´が入力されたということは、第1の判定手段211が、発振回路50の発振と、システム電圧VREGが所定値に収束していることとの2つの条件が揃ったと判断でき、遅延回路220を構成する各要素に応じた遅延時間を動作開始信号P5´に与える。
【0179】
[第3の実施形態の動作説明:図7、図11、図12、図13]
次に、以上説明した第3の実施形態の電子回路の動作をタイミングチャートの図13を主に用い、図7、図11、図12を適宜参照して説明する。
なお、電子回路の構成は構成例1(図7参照)に基づき、第1の判定手段211は図11、第2の判定手段212は図12に基づいて説明する。また、構成例2〜4についても基本的動作は、同様である。また、第3の実施形態の基本動作の一部は、前述の第1の実施形態の動作と同様であるので、重複する説明は一部省略する。
【0180】
図13において、起動信号P4が論理“0”であるとき、構成例1の電子回路200はパワーダウンモードであり、スイッチ素子21、22はONとなるので、電源電圧VSSとシステム電圧VREGは、共に電源電圧VDDにプルアップされている。
【0181】
このパワーダウンモードでは、前述したように、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとは、共に電源電圧VDDにプルアップされるので、内部回路30は、必要な情報をBブロックのメモリ(図示せず)に記憶後、動作を停止する。また、制御回路210からのLS制御信号P10は論理“1”に固定され、レベルシフタ23は非活性となって、計時制御信号P1を遮断するので、入出力回路24からの駆動信号P3は停止し、電子回路200の全体が停止状態となる。
【0182】
次に、パワーダウンモードから通常動作モードに復帰する場合は、入出力回路24が起動信号P4を論理“1”とすることで実現する(図13:タイミングT31)。これにより、スイッチ素子21、22は共にOFFとなるので、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとはプルアップ状態が解除されて、まず、電池電圧VBTから作られる電源電圧VSSが、比較的短時間で安定領域に到達する(タイミングT32)。
【0183】
一方、システム電圧VREGは、電源電圧VSSから作られるので、システム電圧VREGは電源電圧VSSが出力されてから出力が開始され、システム電圧VREGが安定領域に到達する時間は、タイミングT32より後のタイミングとなる。
【0184】
ここで、システム電圧VREGが安定領域に到達する前に、システム電圧VREGが発振回路50の最低動作電圧Vminを越えたと仮定すると、発振回路50は、その時点で発振を開始して、発振信号P11の出力が開始する(タイミングT33)。
【0185】
次に、発振信号P11を入力する発振検出回路60´(図11参照)の動作を説明する。なお、この発振検出回路60´の動作は、前述の第2実施形態の発振検出回路60´と同様であるので、詳細な説明は省略する。図13において、発振回路50が発振を開始するまでは、発振検出回路60´の動作開始信号P5´は、論理“1”の状態が保持される。
【0186】
ここで、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達して発振回路50が発振を開始すると(タイミングT33)、発振検出回路60´は、発振を検出して動作開始信号P5´は論理“0”となる。そして、発振回路50の発振が継続されている期間、バッファ67の入力レベルは、論理“0”が保持されるので、動作開始信号P5´は図示するように、タイミングT33以降、論理“0”(システム電圧VREGの電圧レベル)が継続する。なお、タイミングT33直後のシステム電圧VREGは所定値に収束していないので、動作開始信号P5´の電圧レベルも同様に収束していない。
【0187】
次に動作開始信号P5´を入力する第2の判定手段としての遅延回路220(図12参照)の動作を説明する。
図13において、起動信号P4が論理“1”となったタイミングT31から発振回路50が発振開始するまでのタイミングT33の期間は、遅延回路220のNchトランジス
タ222はOFFであり、Pchトランジスタ223はONであり、Pchトランジスタ224は動作開始信号P5´が論理“1”なのでOFFである。これにより、コンデンサ226に溜まっている電荷は、放電されずに保持されるので、接続点Aは、図示するように、電池電圧VBTの電圧レベルが保持され、インバータ225の出力であるLS制御信号P10は、論理“1”が保持されている。
【0188】
ここで、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達すると、発振回路50は発振を開始して動作開始信号P5´が論理“0”となるが(タイミングT33)、この時点では、システム電圧VREGは、収束状態には達しておらず、一定の時間経過の後、一例としてタイミングT34でシステム電圧VREGは、所定値(この例では、−0.8V)に収束して安定する。このため、動作開始信号P5´はタイミングT33から論理“0”となっても、その電圧レベルはシステム電圧VREGに依存しているのでタイミングT34までは収束しない。
【0189】
そして、タイミングT34で、システム電圧VREGが所定の電圧値に収束すると、動作開始信号P5´の電圧レベルも所定の値に収束する。これにより、タイミングT34付近で、遅延回路220のPchトランジスタ224がONとなって、コンデンサ226の放電ルートが形成され、Pchトランジスタ224を介してほぼ定電流の放電電流I1が流れる。
【0190】
ここで、図13に示すように、タイミングT34付近から流れ出す電流を放電電流I1a(実線)とすると、コンデンサ226は、この放電電流I1aによって放電されるので、接続点Aの電圧レベル(実線)は、コンデンサ226の放電量に比例し、タイミングT34付近を基点として電池電圧VBTからほぼ直線的に増加してタイミングT36で電源電圧VDDに到達する。
【0191】
そして、接続点Aの電圧レベルが電池電圧VBTの約1/2に到達したタイミングT35で、インバータ225の入力レベルが閾値を越えるので、出力であるLS制御信号P10の論理が“1”から“0”に反転する。したがって、LS制御信号P10は、動作開始信号P5´が論理“0”になったタイミングT33からタイミングT35まで遅延時間Taが与えられて出力されることになる。
【0192】
また、システム電圧VREGの所定値への収束が早い場合(VREGb:破線)は、放電電流I1b(破線)は、タイミングT34より早期に流れ出すので、接続点Aの電圧レベル(破線)は、タイミングT34より早期に上昇を開始して電源電圧VDDに到達する。これにより、接続点Aの電圧レベルが電池電圧VBTの約1/2に到達する点は、タイミングT35より早期になるので、LS制御信号P10はタイミングT35より早期に論理が“1”から“0”に反転する(破線)。この結果、LS制御信号P10は、動作開始信号P5´から短い遅延時間Tbが与えられて出力される。
【0193】
一方、システム電圧VREGの所定値への収束が遅い場合(VREGc:粗い破線)は、放電電流I1c(粗い破線)は、タイミングT34より遅れて流れ出すので、接続点Aの電圧レベル(粗い破線)は、タイミングT34より遅れて上昇を開始して電源電圧VDDに到達する。これにより、接続点Aの電圧レベルが電池電圧VBTの約1/2に到達する点は、タイミングT35より遅くなるので、LS制御信号P10はタイミングT35より遅れて論理が“1”から“0”に反転する(粗い破線)。この結果、LS制御信号P10は、動作開始信号P5´から長い遅延時間Tcが与えられて出力される。
【0194】
すなわち、LS制御信号P10は、動作開始信号P5´にシステム電圧VREGの収束状態に応じて、システム電圧VREGの変化に連動した所定の遅延時間が与えられて出力
されることになる。ここで、レベルシフタ23は、イネーブル端子ENに入力されるLS制御信号P10が論理“1”で非活性状態を保持し、LS制御信号P10が論理“0”で活性状態に移行するので、レベルシフタ23はシステム電圧VREGの収束状態に応じて、システム電圧VREGの変化に連動して活性化するタイミングが遅延することになる。なお、LS制御信号P10に与えられる遅延時間は、システム電圧VREGに応じて変化するので、以降の説明では、遅延時間Tとして記載する。
【0195】
このように、制御回路210がシステム電圧VREGの収束に連動してLS制御信号P10を遅延させて出力することで、システム電圧VREGが所定値に収束前のために内部回路30が不安定動作を行って計時制御信号P1が不正信号を出力したとしても、レベルシフタ23によってその不正信号を遮断することができる。これにより、不正信号が入出力回路24に入力されることがなく、システム全体の誤動作を防止することができる。
【0196】
[制御回路の動作まとめ]
ここで、本実施例の特徴である制御回路210の動作をまとめると、制御回路210は、システム電圧VREGで動作する第1の判定手段211によって、同じシステム電圧VREGで動作する内部回路30が動作状態になったことを判定して動作開始信号P5´を出力する。また、制御回路210は第2の判定手段212によって、システム電圧VREGの収束状態に応じて動作開始信号P5´に遅延時間Tを与えたLS制御信号P10を出力することで、システム電圧VREGが所定値に収束したことを判定する。すなわち、LS制御信号P10は、第1の判定手段211と第2の判定手段212との双方の判定結果に基づいてレベルシフタ23を活性化する。
【0197】
このように、本発明の電子回路は、電子回路が停止状態から動作状態に移行するとき、すなわち、パワーダウンモードからの復帰において、内部回路の動作状態の判定を2段階によって行う復帰シーケンスを備え、レベルシフタへの入力信号が適正になるまで、その入力信号を遮断することで、パワーダウンモードからの復帰を誤動作なく確実に実施することができる。このため、信頼性の高いパワーダウンモードを備えた電子回路を提供することができる。
【0198】
[第3の実施形態の第2の判定手段の構成例2の説明:図14]
次に、第3の実施形態の電子回路の制御回路に含まれる第2の判定手段の他の構成としての構成例2を図14を用いて説明する。
なお、第2の判定手段の構成例2も発振検出回路60´から動作開始信号P5´を所定の時間、遅延させるものであるが、その特徴は、容量素子を放電するとき、放電電流I1はシステム電圧発生回路10からのリファレンス電圧VREF1またはVREF2によって制御されることである。このような構成にする理由は、同じ値の放電電流I1を確保するのに、Pchトランジスタのサイズを小さくできるためである。
また、このような構成にすれば、動作開始信号P5´が必ずしもシステム電圧VREGの電圧レベルを有している必要はない。システム電圧VREGの元となるリファレンス電圧VREF1またはVREF2を用いるため、システム電圧VREGに応じた時間の遅延を発生させることができるからである。
【0199】
第2の判定手段である遅延回路の変形例の構成を図14を用いて説明する。なお、詳細な動作については第3の実施形態と同様なので省略する。
【0200】
図14において、730は第2の判定手段のである遅延回路の変形例であり、インバータ721は、起動信号P4を入力し、その出力はNchトランジスタ722とPchトランジスタ723とのゲート端子Gに接続されている。また、Pchトランジスタ723のドレイン端子DはPchトランジスタ724のソース端子Sと接続されており、Pchト
ランジスタ724のドレイン端子DはPchトランジスタ727のソース端子Sと接続されている。さらに、Nchトランジスタ722のソース端子Sは電池電圧VBTに接続され、Nchトランジスタ722のドレイン端子Dは、Pchトランジスタ727のドレイン端子Dと、インバータ725の入力端子とコンデンサ726の一方の端子とに接続されており、この接続点をAと定義する。
【0201】
また、Pchトランジスタ724のゲート端子Gは動作開始信号P5´を入力し、Pchトランジスタ727のゲート端子Gはシステム電圧VREGの発生に連動して得られるリファレンス電圧VREF1またはVREF2が入力され、Pchトランジスタ723のソース端子Sは電源電圧VDDに接続され、コンデンサ726の他方の端子も電源電圧VDDに接続されている。そして、インバータ725の出力端子からはLS制御信号P10が出力されている。
【0202】
ここで、Pchトランジスタ724はゲート端子Gに入力される動作開始信号P5´によって制御されるスイッチ素子であり、Pchトランジスタ727はゲート端子Gに入力されるリファレンス電圧VREF1またはVREF2の電圧レベルに基づく放電電流I1を流す定電流源として動作する。なお、Pchトランジスタ724はスイッチ素子として動作するので、動作開始信号P5´の電圧レベルは電源電圧VSS、またはシステム電圧VREGのいずれでも構わない。
【0203】
この場合、リファレンス電圧VREF1、VREF2は電圧レベルが低いので、図12の構成と比較すると、同じ値の放電電流I1を確保するのにPchトランジスタのサイズを小さくできるメリットがある。
【0204】
以上説明した第2の判定手段の構成例2の遅延回路730と、図12を用いてすでに説明した第2の判定手段の構成例1の遅延回路220との相違点は、動作開始定信号で制御されるスイッチ素子と定電流源とをそれぞれ別のPchトランジスタに分離し、さらに定電流源であるPchトランジスタを動作させる電圧を小さくしたことである。したがって、遅延回路730の動作も、遅延回路220の動作とさほど変わらないため、タイミングチャートを用いての動作説明は省略する。
【0205】
[第3の実施形態の第2の判定手段の構成例3の説明:図15]
次に、第3の実施形態の電子回路の制御回路に含まれる第2の判定手段の他の構成としての構成例3を図15を用いて説明する。
なお、第2の判定手段の構成例2の特徴は、容量素子をバイパスして放電するバイパス手段を備えていることである。このような構成にする理由は、遅延回路に含まれるインバータに流れる貫通電流を低減させるためである。
【0206】
図15において、230は第2の判定手段の構成例3としての遅延回路であり、インバータ231は、起動信号P4を入力し、その出力はNchトランジスタ232とPchトランジスタ233とのゲート端子Gに接続されている。また、Nchトランジスタ232のソース端子Sは電池電圧VBTに接続され、Nchトランジスタ232のドレイン端子Dは、Pchトランジスタ234のドレイン端子Dと、インバータ235の入力端子とコンデンサ236の一方の端子と、Pchトランジスタ237のドレイン端子Dとに接続されており、この接続点をAと定義する。
【0207】
また、Pchトランジスタ234のゲート端子Gは動作開始信号P5´を入力し、また、Pchトランジスタ234のソース端子Sは、Pchトランジスタ233のドレイン端子Dに接続されている。また、Pchトランジスタ233のソース端子Sは、電源電圧VDDに接続され、コンデンサ236の他方の端子も電源電圧VDDに接続されている。ま
た、Pchトランジスタ237のソース端子Sは、Pchトランジスタ234のソース端子Sに接続され、Pchトランジスタ237のゲート端子Gは、インバータ235の出力端子に接続されている。そして、インバータ235の出力端子からはLS制御信号P10が出力されている。
【0208】
ここで、Pchトランジスタ234は、ゲート端子Gに入力される動作開始信号P5´の論理“0”の電圧レベルに基づいて所定の定電流源となるようにトランジスタサイズが最適化され、コンデンサ236の放電手段として機能する。
【0209】
また、Pchトランジスタ237は、ON抵抗の小さいトランジスタであり、放電手段であるPchトランジスタ234に並列接続して、コンデンサ236に充電された電荷を瞬時に放電させる放電手段をバイパスするバイパス手段としての機能を有している。なお、第2の判定手段の構成例2である遅延回路730、構成例3である遅延回路230は、第3の実施形態のどの構成例に対しても適応することができる。
【0210】
[第2の判定手段の構成例3の動作説明:図7、図11、図15、図16]
次に、第2の判定手段の構成例3の遅延回路230の動作を説明するために、前述の第3の実施形態の構成例1の第2の判定手段212を遅延回路230に置き換えた場合の動作をタイミングチャートの図16を主に用い、図7、図11、図15を適宜参照して説明する。
なお、電子回路200の構成は図7に基づき、第1の判定手段211は図11、第2の判定手段212の構成例3の遅延回路230は図15を参照して説明する。なお、第2の判定手段の構成例3を用いた動作は、前述した第3の実施形態の電子回路200の動作説明(図13のタイミングチャート)と基本的には同様であるので、発振回路50や発振検出回路60´等の動作説明は一部省略する。
【0211】
図16において、起動信号P4が論理“0”であるとき、電子回路200はパワーダウンモードであり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとは、共に電源電圧VDDにプルアップされている。
【0212】
次に、所定の条件によって入出力回路24が起動信号P4を論理“1”にすると(タイミングT41)、電源電圧VSSとシステム電圧VREGとはプルアップ状態が解除されて、まず、電池電圧VBTから作られる電源電圧VSSが、比較的短時間で安定領域に到達する(タイミングT42)。
【0213】
一方、システム電圧VREGは、電源電圧VSSから作られるので、システム電圧VREGは電源電圧VSSが出力されてから出力が開始され、システム電圧VREGが安定領域に到達する時間は、タイミングT42より後のタイミングとなる。
【0214】
また、システム電圧VREGが安定領域に到達する前に、システム電圧VREGが発振回路50の最低動作電圧Vminを越えたと仮定すると、発振回路50は、その時点で発振を開始して、発振信号P11の出力が開始する(タイミングT43)。
【0215】
一方、発振検出回路60´の動作開始信号P5´は、発振回路50が発振を開始するまでは論理“1”の状態が保持される。そして、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達して発振回路50が発振を開始すると(タイミングT43)、動作開始信号P5´は、そのタイミングで論理“0”となる。
【0216】
次に、動作開始信号P5´を入力する遅延回路230(図15参照)の動作を説明する。
図16において、起動信号P4が論理“1”となった時点(タイミングT41)から発振回路50が発振開始するまで(タイミングT43)の期間は、遅延回路230のNchトランジスタ232はOFFであり、Pchトランジスタ233はONであり、Pchトランジスタ234は動作開始信号P5´が論理“1”であるのでOFFである。これにより、コンデンサ236に溜まっている電荷は、放電されずに保持されるので、接続点Aは、図示するように、電池電圧VBTの電圧レベルが保持され、インバータ235の出力であるLS制御信号P10は、論理“1”が保持されている。これにより、Pchトランジスタ237はOFFが保持されるので、コンデンサ236のバイパス手段は遮断されている。
【0217】
ここで、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達すると、発振回路50は発振を開始して動作開始信号P5´が論理“0”となるが(タイミングT43)、この時点では、システム電圧VREGは、収束状態には達しておらず、一定の時間経過の後、一例としてタイミングT44でシステム電圧VREGは、所定の電圧値に収束して安定する。このため、動作開始信号P5´はタイミングT33から論理“0”となっても、その電圧レベルはシステム電圧VREGに依存しているのでタイミングT44までは収束しない。
【0218】
そして、タイミングT44付近で、システム電圧VREGが所定の電圧値に収束すると、動作開始信号P5´の電圧レベルも所定の値に収束する。これにより、タイミングT44付近で、遅延回路230のPchトランジスタ234がONとなって、コンデンサ236の放電ルートが形成され、Pchトランジスタ234には、ほぼ定電流の放電電流I1が流れる。
【0219】
このタイミングT44付近から流れ出す放電電流I1によってコンデンサ236は放電されるので、接続点Aの電圧レベルは、コンデンサ236の放電量に比例し、タイミングT44付近を基点として電池電圧VBTからほぼ直線的に電源電圧VDDに向かって増加する。
【0220】
そして、接続点Aの電圧レベルが電池電圧VBTの約1/2に到達したタイミングT45で、インバータ235の入力レベルが閾値を越えるので、出力であるLS制御信号P10の論理が“1”から“0”に反転する。したがって、LS制御信号P10は、動作開始信号P5´が論理“0”になったタイミングT43からタイミングT45まで遅延時間Tが与えられて出力されることになる。
【0221】
そして、この遅延時間Tは、第2の判定手段の構成例1の遅延回路220と同様に、システム電圧VREGの収束状態に応じて、システム電圧VREGの変化に連動するので、LS制御信号P10はシステム電圧VREGの変化に連動し、システム電圧VREGが安定状態となった後に出力される。
【0222】
また、タイミングT45において、LS制御信号P10が論理“0”になると、バイパス手段であるPchトランジスタ237がONするので、Pchトランジスタ237には、放電電流I2が図示するように瞬時に流れ、それによってコンデンサ236の電荷が瞬時にほぼ零になるので、その後の放電電流I1、I2は零となる。これにより、接続点Aの電位は、タイミングT45において瞬時に電源電圧VDDに引き上げられる。すなわち、Pchトランジスタ237は、接続点Aの電圧レベルに基づいて、Pchトランジスタ234をバイパスするバイパス手段として機能する。
【0223】
ここで、図16に示すように、遅延回路230のインバータ235に流れる貫通電流をI3とすると、貫通電流I3は接続点Aの電圧レベルが電池電圧VBTの1/2に近づく
と増加するが、タイミングT45において接続点Aの電圧レベルは電源電圧VDDに瞬時に引き上げられるので、貫通電流I3は瞬時に零となる。すなわち、Pchトランジスタ237がコンデンサ236の電荷を瞬時に放電させるバイパス回路となることで、インバータ235に流れる貫通電流I3を約半減させることができる。
【0224】
このインバータ235の内部回路は、図示しないがPchトランジスタとNchトランジスタとのコンプリメンタリ構造であるので、その入力が電源電圧の1/2付近の電位である場合、PchとNchとの両方のトランジスタがON状態となって大きな貫通電流が流れるが、第2の判定手段の構成例3である遅延回路230では、この貫通電流を約半減できる。これにより、本発明の電子回路は、二次電池の無駄な消費電流を低減し、電池駆動時間を延長できる大きなメリットを有している。
【0225】
[第3の実施形態の制御回路の他の構成例の説明:図11、図17]
次に、第3の実施形態の制御回路の他の構成例を図17を主に、一部図11を参照して説明する。
この制御回路の特徴は、第1の判定手段を電源電圧VSSで駆動し、電圧変換回路によって動作開始信号をシステム電圧VREGの電圧レベルに変換して出力することである。
【0226】
制御回路を構成する発振検出回路の駆動電圧がシステム電圧VREGである必要があることは、すでに説明した通りであるが、前述の通り、発振検出回路の電源を、電源電圧VSSや電池電圧VBTなどとすることができる場合がある。例えば、次に示す例の場合である。
【0227】
すなわち、図11に示す発振回路50に用いる水晶振動子52の特性や発振インバータ51の特性、発振開始時に供給している電源電圧の電圧値などによっては、定常発振状態に移行する前であっても、一度発振が開始してしまえばその後に定常発振状態になるであろうというおおよその予測ができる場合がある。そのようなときに、発振回路50が発振したか否かを検出するには、発振動作を開始した直後のタイミングで発振を検出してもよいことになる。
その場合は、発振回路50が発振開始時に電源電圧VSSや電池電圧VBTで駆動されていれば、発振検出回路60´も電源電圧VSSや電池電圧VBTで駆動させてもよい。つまり、発振回路50が発振開始時に供給している電源電圧と同一の電源電圧で動作させてもよいのである。
【0228】
ただし、この場合は、遅延回路220が受け取る発振検出回路の出力信号がシステム電圧VREGに応じたものではなくなってしまうので、別途、システム電圧VREGで動作する回路(すなわち、システム電圧VREGに応じた動作をする回路)を付加する必要がある。それが電圧変換回路である。
電圧変換回路は、図11に示すバッファ67の出力に、システム電圧VREGを電源とする別のバッファやインバータなどの回路で構成することができる。このようにすれば、発振検出回路の出力である動作開始信号の電圧レベルは、システム電圧VREGとする(システム電圧VREGに応じた信号とする)ことができる。
【0229】
図17において、250は第3の実施形態の他の構成例としての制御回路である。この制御回路250以外の回路構成は、例えば、前述の電子回路200(図7参照)と同等であるので、制御回路250以外の記述は省略する。
【0230】
制御回路250は、第1の判定手段251と、第2の判定手段252によって構成される。第1の判定手段251は、構成例1と同様に発振回路50と発振検出回路60を備えているが、これらの回路は、電源電圧VSSによって駆動されるため、前述の第1の実施
形態における第1の判定手段の構成と同じである。(図2参照)。よって、発振検出回路60´ではなく発振検出回路60と表記している。
発振回路50は発振信号P11を出力し、発振検出回路60は発振信号P11を入力して電源電圧VSSレベルの動作検出信号P5(同じく、動作検出信号P5´ではなく動作開始信号P5と表記)を出力する。また、253は信号のレベル変換を行う変換回路であり、動作検出信号P5を入力して、システム電圧VREGの電圧レベルである動作検出変換信号P14を出力する。
【0231】
ここで、図2における第1の判定手段に従うと発振検出回路60より出力される動作開始信号P5は正論理の信号であるが、遅延回路220へは負論理の信号として入力する必要があるため、変換回路253は例えばインバータなどの論理反転回路で構成される。
【0232】
第1の判定手段251は、上記構成によって発振回路50の動作開始状態を、システム電圧VREGの電圧レベルである動作検出変換信号P14として出力するので、例えば、構成例1に示した第1の判定手段211と同等の機能を備えている。すなわち、第1の判定手段251から出力される動作検出変換信号P14と、構成例1で示した第1の判定手段211から出力される動作検出信号P5´は、共にシステム電圧VREGの電圧レベルで出力される同一信号となる。
【0233】
また、制御回路250の第2の判定手段252は、構成例1と同等の遅延回路220(図12参照)で構成されており、電池電圧VBTに駆動され、起動信号P4と動作検出変換信号P14を入力して、動作検出変換信号P14によってシステム電圧VREGの収束に応じた遅延時間Tが与えられたLS制御信号P10が出力される。
【0234】
このように、制御回路250は、発振回路50と発振検出回路60が電源電圧VSSで駆動されるが、変換回路253を備えることで、システム電圧VREGの電圧レベルである動作検出変換信号P14を得ることができるので、前述の構成例1の制御回路210が出力するLS制御信号P10と同一信号を出力してレベルシフタ23の非活性または活性を制御することができる。
【0235】
以上のように、第3の実施形態の他の構成例である制御回路250は、構成例1〜4の制御回路と同様の制御を実現するが、第1の判定手段251の発振回路50と発振検出回路60の電源が電源電圧VSSのみで構成するので、回路構成がシンプルであり、回路規模を縮小できるメリットがある。
【0236】
なお、発振検出回路60を電源電圧VSSや電池電圧VBTで駆動させると、発振開始をいち早く検出したい場合には有利であるが、その電圧値はシステム電圧VREGよりも高いので、消費電流を低減する効果は薄くなる。このような事情もあるから、どのような電圧値で駆動するかは、本発明の電子回路を搭載する機器などの仕様に応じて選ぶ必要がある。
【実施例4】
【0237】
[第4の実施形態の構成説明:図18]
次に、図18を用いて第4の実施形態の電子回路の構成例を説明する。
なお、第4の実施形態は、前述の第3の実施形態の電子回路に含まれる制御回路が異なるだけであるので、電子回路、及びその周辺部の同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
また、第4の実施形態の電子回路の特徴は、システム電圧の基準となるリファレンス電圧を検出して制御回路の第2の判定手段とすることである。つまり、システム電圧が所定値に達したかをリファレンス電圧の電圧値で検出するのである。
【0238】
図18において、600は第4の実施形態の電子回路である。電子回路600は、ワンチップICによる時計用電子回路であり、システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、第1の内部回路としての内部回路30、第2の内部回路としての入出力回路24は、第3の実施形態と同様であるので、同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0239】
また、610はレベルシフタ23の活性または非活性を制御する制御回路である。この制御回路610は、第1の判定手段611と第2の判定手段612を含んでいる。第1の判定手段611は電源電圧VSSとシステム電圧VREGの供給を受けて動作し、第3の実施形態と同様に発振回路50と発振検出回路60´を内蔵して、動作開始信号P5´を出力する。
【0240】
また、第2の判定手段612は電圧検出回路620によって構成され、この電圧検出回路620はシステム電圧発生回路10からのリファレンス電圧VREF1、VREF2の電圧値を検出して電圧検出信号P15を出力する。
また、630は論理積回路であり、この論理積回路630は動作開始信号P5´と電圧検出信号P15の論理積を行い、LS制御信号P10を出力し、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに入力する。なお、電圧検出回路620と論理積回路630の詳細な回路構成は後述する。
【0241】
また、電子回路600の周辺には、SC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、第3の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0242】
[第4の実施形態の電圧検出回路の説明:図19]
次に、第4の実施形態の電子回路の制御回路に含まれる第2の判定手段612の回路構成を図19を用いて説明する。
なお、第2の判定手段612は、前述したように電圧検出回路620によって構成される。また、電圧検出回路620に入力されるリファレンス電圧VREF1、VREF2を説明するために、このリファレンス電圧VREF1、VREF2を出力するシステム電圧発生回路10の回路構成の一例も説明する。
【0243】
図19において、システム電圧発生回路10は電圧レギュレータ回路であり、リファレンス電圧発生回路10aと、差動増幅回路10bと、出力回路10cによって構成される。リファレンス電圧発生回路10aは、Pchトランジスタ11a、12aと、Nchトランジスタ11b、12b、抵抗13によって構成され、電源電圧VSSを降圧して、電源電圧VSSに依存しない定電圧であるリファレンス電圧VREF1を出力する。
【0244】
また、差動増幅回路10bは差動増幅器14によって構成され、一方の入力にリファレンス電圧VREF1を入力し、他方の入力に出力回路10cからフィードバックされたリファレンス電圧VREF2を入力し、双方の入力の差を増幅して出力する。
また、出力回路10cは、Pchトランジスタ15aとNchトランジスタ15bと定電流源17とコンデンサ16等によって構成され、差動増幅回路10bの出力に基づいて制御される電圧をシステム電圧VREGとして出力する。
【0245】
以上の構成によって、システム電圧発生回路10は、システム電圧VREGと、2つのリファレンス電圧VREF1、VREF2を出力する。また、このシステム電圧発生回路10は、電源として電源電圧VSSの供給を受けて動作するが、電源は電池電圧VBTでも良い。
出力のシステム電圧VREGの電圧値は、すでに説明した例では、−0.8Vを例示していたが、電源電圧VDDに対して−0.7V〜−0.8Vと、若干の電圧幅を持っていてもよく、同様に、リファレンス電圧VREF1、VREF2は、−0.4V〜−0.5V位である。なお、システム電圧発生回路10が正常に動作し、システム電圧VREGが安定出力している場合、リファレンス電圧VREF2は、差動増幅回路10bの働きによってリファレンス電圧VREF1と等しい電圧値となる。
【0246】
次に、電圧検出回路620は、図示するように差動増幅器621によって構成される。この差動増幅器621は、システム電圧発生回路10からのリファレンス電圧VREF1、VREF2を入力し、リファレンス電圧VREF1とVREF2との電圧値の差を検出して電圧検出信号P15を出力する。ここで、電圧検出回路620は、一例としてリファレンス電圧VREF1とVREF2とが所定の電圧差以上のときは、電圧検出信号P15を論理“1”とし、リファレンス電圧VREF1とVREF2とが所定の電圧差以内のときは、電圧検出信号P15を論理“0”とする。なお、システム電圧発生回路10および電圧検出回路620の回路構成は一例であって、その回路構成は限定するものではなく、自由に変更が可能である。
【0247】
[第4の実施形態の論理積回路の説明:図20]
次に、第4の実施形態の電子回路の制御回路に含まれる論理積回路630の構成を図20を用いて説明する。
この論理積回路630は、2つのインバータと、4つのトランジスタと、1つの容量素子であるコンデンサによって構成される。このような構成にする理由は、論理積回路630の入力信号が電源電圧VSS、あるいはシステム電圧VREGの電圧レベルであっても出力信号は電源電圧VBTの電圧レベルとして得られるためである。
【0248】
図20の論理積回路630において、インバータ631は、起動信号P4を入力し、その出力はNchトランジスタ632とPchトランジスタ635のゲート端子Gに接続される。Nchトランジスタ632のソース端子Sは電池電圧VBTに接続され、Nchトランジスタ632のドレイン端子Dは、Pchトランジスタ633のドレイン端子Dと、インバータ637の入力端子とコンデンサ636の一方の端子に接続され、この接続点をBと定義する。
【0249】
また、Pchトランジスタ633のゲート端子Gは電圧検出信号P15を入力し、Pchトランジスタ634のゲート端子Gは動作開始信号P5´を入力する。また、Pchトランジスタ633のソース端子SはPchトランジスタ634のドレイン端子Dに接続され、Pchトランジスタ634のソース端子Sは、Pchトランジスタ635のドレイン端子Dに接続される。また、Pchトランジスタ635のソース端子Sは、電源電圧VDDに接続され、コンデンサ636の他方の端子も電源電圧VDDに接続される。そして、インバータ637の出力端子からはLS制御信号P10が出力される。
【0250】
ここで、起動信号P4が論理“0”のとき、Nchトランジスタ632がONするので、コンデンサ636に充電電流が流れて電池電圧VBTの電荷が蓄積され、起動信号P4が論理“1”となってNchトランジスタ632がOFFになっても、接続点Bの電位は電池電圧VBTの電圧レベルに保たれる。
【0251】
[第4の実施形態の電子回路の動作説明:図18、図19、図20、図21]
次に、第4の実施形態の電子回路600の動作をタイミングチャートの図21を中心に説明する。
なお、電子回路600の全体構成は図18に基づき、電圧検出回路620と論理積回路630は図19、図20を参照して説明する。また、第4の実施形態の動作の基本は、前
述した第1の実施形態の動作(図3参照)と基本的には同様であるので、重複する説明は一部省略する。
【0252】
図21において、起動信号P4が論理“0”であるとき、電子回路600はパワーダウンモードであり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGは、共に電源電圧VDDにプルアップされている。
【0253】
次に、所定の条件によって入出力回路24が起動信号P4を論理“1”にすると(タイミングT51)、電源電圧VSSとシステム電圧VREGはプルアップ状態が解除されて、まず、電池電圧VBTから作られる電源電圧VSSが、比較的短時間で安定領域に到達する(タイミングT52)。
【0254】
一方、システム電圧VREGは、電源電圧VSSから作られるので、システム電圧VREGが安定領域に到達する時間は、タイミングT52より後のタイミングT54となる。
【0255】
また、システム電圧VREGが安定領域に到達する前に、システム電圧VREGが発振回路50の最低動作電圧Vminを越えたと仮定すると、発振回路50は、その時点で発振を開始して、発振信号P11の出力が開始する(タイミングT53)。
【0256】
一方、発振検出回路60´からの動作開始信号P5´は、発振回路50が発振を開始するまでは論理“1”の状態が保持される。そして、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達して発振回路50が発振を開始すると(タイミングT53)、動作開始信号P5´は論理“0”となる。
【0257】
次に、電圧検出回路620の動作を説明する。
図21において、起動信号P4が論理“1”となったタイミングT51からシステム電圧VREGが所定値に収束して安定領域に達するタイミングT54まで、システム電圧発生回路10は、不安定動作を続けるので、2つのリファレンス電圧VREF1とVREF2は、図示するように電圧値が不安定であり、一致した電圧値は出力されない。そして、システム電圧発生回路10がタイミングT54において安定状態に達すると、2つのリファレンス電圧VREF1とVREF2の電圧値が一致し、システム電圧VREGは収束して安定領域となる。
【0258】
ここで、電圧検出回路620は、システム電圧VREGが所定の電圧値に収束したか否かをリファレンス電圧VREF1とVREF2の電圧で検出し、その電圧差が所定値以下であればシステム電圧VREGが所定の電圧値に収束したと判定して、電圧検出信号P15を論理“0”とする。すなわち、電圧検出回路620は、タイミングT54で電圧検出信号P15を論理“0”とする。これにより、電圧検出回路620は、リファレンス電圧VREF1とVREF2によってシステム電圧VREGが所定値に収束して安定領域に達したことを確実に検出することができる。
【0259】
以上の動作により、第1の判定手段611は、発振回路50の発振開始によって内部回路30が動作状態であることを判定してタイミングT53で動作開始信号P5´を論理“0”とし、また、第2の判定手段612は、システム電圧VREGの収束を確実に検出してタイミングT54で電圧検出信号P15を論理“0”とする。
【0260】
次に、論理積回路630の動作を説明する。
図21において、タイミングT51以前、すなわち、パワーダウンモードにおいて起動信号P4が論理“0”であるとき、前述したように論理積回路630のNchトランジスタ632がONするので、コンデンサ636に充電電流が流れて電池電圧VBTの電荷が
蓄積される。これにより、接続点Bの電圧レベルは電池電圧VBTに保たれ、論理“0”となるので、インバータ637の出力であるLS制御信号P10は、論理“1”が継続する。
【0261】
そして、タイミングT51に起動信号P4が論理“1”となると、論理積回路630のNchトランジスタ632はOFF、Pchトランジスタ635はONとなるが、Pchトランジスタ633と634は、依然としてOFFであるので、コンデンサ636の電荷が放電するルートが存在せず、接続点Bは論理“0”が保持され、LS制御信号P10は、論理“1”が継続する。次に、動作開始信号P5´は、前述したように、タイミングT53で論理“0”となるので、Pchトランジスタ634はONするが、Pchトランジスタ633が依然としてOFFであるので、コンデンサ636の放電ルートは存在せず、接続点Bは論理“0”が保持され、LS制御信号P10は、論理“1”が継続する。
【0262】
そして、電圧検出信号P15は、前述したように、タイミングT54で論理“0”となるので、電圧検出信号P15を入力するPchトランジスタ633がONする。これにより、タイミングT54以降はPchトランジスタ633、634、635の全てがONすることになり、コンデンサ636の放電ルートが形成され、コンデンサ636に蓄積されていた電荷は一気に放電されて接続点Bの電位は電源電圧VDDのレベル、すなわち、論理“1”となり、LS制御信号P10は、論理“0”(電池電圧VBTの電圧レベル)が出力される。
【0263】
すなわち、電子回路600の制御回路610は論理積回路630によって、第1の判定手段611が出力する動作開始信号P5´と第2の判定手段612が出力する電圧検出信号P15の論理積が真となった時点でLS制御信号P10を論理“0”として、レベルシフタ23を活性化する。この結果、第1の判定手段611が内部回路30が動作状態であることを判定し、かつ、第2の判定手段612である電圧検出回路620がシステム電圧VREGの所定値への収束を判定し、双方の判定結果に基づいてレベルシフタ23を活性化するので、レベルシフタ23から不正な信号が出力されることを確実に防ぐことができる。
【0264】
以上のように、第4の実施形態は、電子回路600が停止状態から動作状態に移行するとき、すなわち、パワーダウンモードからの復帰において、2つの判定結果の論理積によって行う復帰シーケンスを備え、レベルシフタへの入力信号が適正になるまで、その入力信号を遮断することで、パワーダウンモードからの復帰を誤動作なく確実に実施することができ、極めて信頼性の高いパワーダウンモードを備えた電子回路を提供することができる。
【実施例5】
【0265】
[第5の実施形態の構成説明:図22]
次に、図22を用いて第5の実施形態の電子回路の構成例を説明する。
なお、第5の実施形態は、前述の第3の実施形態の電子回路の一部が異なるだけであるので、電子回路、及びその周辺部の同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
第5の実施形態の電子回路の特徴は、レベルシフタを活性化する制御信号を内部回路の初期状態を解除する信号として共用することである。これによって、パワーダウンモードから論理的にも誤動作のない確実な動作状態へ復帰することができる。
【0266】
図22において、700は第5の実施形態の電子回路である。電子回路700は、ワンチップICによる時計用電子回路であり、システム電圧発生回路10、2つのスイッチ素子21と22、レベルシフタ23、及び制御回路210は、前述の第3の実施形態の構成
例1(図7参照)と同様であるので、同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0267】
また、710は第1の内部回路としての内部回路であり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGの供給を受けて動作し、回路ブロックとしてAブロック711とBブロック712を含むことは、第3の実施形態と同様であるが、内部の回路ブロックを初期化するリセット端子R1を有することが異なっている。また、720は第2の内部回路としての入出力回路であり、レベルシフタ23からの出力信号P2を入力して外部のモータ5などに駆動信号P3を出力するが、内部回路を初期化するリセット端子R2を有している。
【0268】
また、制御回路210は、第1の判定手段211と第2の判定手段212を含み、第3の実施形態と同様であるので、内部回路の構成や結線情報等の説明は省略する。この制御回路210の第2の判定手段212を構成する遅延回路220の出力であるLS制御信号P10は、レベルシフタ23のイネーブル端子ENに接続されると共に、前述の内部回路710のリセット端子R1と入出力回路720のリセット端子R2に接続される。この接続により、LS制御信号P10によって、レベルシフタ23が活性化されると同時に、内部回路710と入出力回路720の初期状態が解除される。
【0269】
また、電子回路700の周辺には、第3の実施形態と同様にSC2、二次電池3、逆流防止用のダイオード4、及び、時計の時針または分針(図示せず)等を動かすモータ5が配置されているが、詳細な説明は省略する。
【0270】
[第5の実施形態の電子回路の動作説明:図22、図23]
次に、第5の実施形態の電子回路700の動作をタイミングチャートの図23を中心に説明する。
なお、電子回路700の全体構成は図22を参照して説明する。また、第5の実施形態の動作の基本は、前述した第3の実施形態の動作(図13参照)と基本的には同様であるので、重複する説明は一部省略する。
【0271】
図23において、起動信号P4が論理“0”であるとき、電子回路700はパワーダウンモードであり、電源電圧VSSとシステム電圧VREGは、共に電源電圧VDDにプルアップされている。
【0272】
次に、所定の条件によって入出力回路720が起動信号P4を論理“1”にすると(タイミングT61)、電源電圧VSSとシステム電圧VREGはプルアップ状態が解除されて、まず、電池電圧VBTから作られる電源電圧VSSが、比較的短時間で安定領域に到達する(タイミングT62)。
【0273】
一方、システム電圧VREGは、電源電圧VSSから作られるので、システム電圧VREGが安定領域に到達する時間は、タイミングT62の後のタイミングとなる。
【0274】
また、システム電圧VREGが安定領域に到達する前に、システム電圧VREGが発振回路50の最低動作電圧Vminを越えたと仮定すると、発振回路50は、その時点で発振を開始して、発振信号P11の出力が開始する(タイミングT63)。
【0275】
次に、発振検出回路60´の動作開始信号P5´は、システム電圧VREGが最低動作電圧Vminに到達するまでは、すなわち、発振回路50が発振を開始するまでは論理“1”の状態が保持されが、発振回路50が発振を開始すると動作開始信号P5´は、タイミングT63で論理“0”となる。
【0276】
次に遅延回路220の動作は、第3の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する
が、遅延回路220(図12参照)の接続点Aの電圧レベルが、電池電圧VBTの1/2付近に達すると、LS制御信号P10は、論理“1”から論理“0”に変化する(タイミングT64)。すなわち、LS制御信号P10は、動作開始信号P5´が論理“0”になったタイミングT63からタイミングT64までの遅延時間Tが与えられて出力されることになる。そして、この遅延時間Tは、第3の実施形態と同様にシステム電圧VREGの収束状態に応じた時間となる。
【0277】
そして、LS制御信号P10が論理“0”となるタイミングT64において、レベルシフタ23は活性化されて、制御信号P1の遮断を解除して、出力信号P2の出力を許可する。また、第1の内部回路である内部回路710と第2の内部回路である入出力回路720とは、LS制御信号P10が論理“0”となるタイミングT64において、初期状態(リセット状態)が解除されて通常動作となる。
【0278】
以上のように、本発明の第5の実施形態は、パワーダウンモードからの復帰において、システム電圧VREGが収束し安定した電圧値となった後に、内部回路710と入出力回路720が初期状態から解除されて起動するので、論理的にも誤動作のない確実な動作状態への復帰を実現でき、極めて信頼性の高い電子回路を提供することができる。なお、第5の実施形態においては、LS制御信号P10が内部回路710と入出力回路720との双方に接続されて初期状態を解除しているが、これに限定されず、LS制御信号P10の接続は、回路構成や仕様に基づいてどちらか一方でも良い。
【0279】
[電子回路の第1の内部回路の構成例Aの説明:図24(a)]
次に、本発明の第1〜第5の実施形態の電子回路に含まれる第1の内部回路の各ブロックは様々な構成が考えられるので、4つの構成例、及びアナログブロックの回路例として図24〜図26を用いて説明する。なお、これらの構成例は、第1〜第5の実施形態のすべての電子回路に適応できるが、説明の都合上、第1の実施形態で示した電子回路1の内部回路30に基づいて説明する。
【0280】
まず、第1の内部回路の構成例Aを図24(a)によって説明する。
図24(a)において、内部回路30は、前述したように、回路ブロックとしてAブロック31とBブロック32とによって構成される。ここで、Aブロック31は比較的高速で動作する計時処理回路等によって構成され、システム電圧発生回路10からのシステム電圧VREGによって動作する。また、Bブロック32は、計時情報を記憶するメモリ等によって構成され、電源電圧VSSによって動作する。そして、Aブロック31とBブロック32は、制御バスB1によって接続され、様々な情報伝達が実施される。
【0281】
この構成例Aは、比較的高速で動作するAブロックに低電圧のシステム電圧VREGを供給し、メモリ等の比較的低速で動作するBブロックに通常電圧の電源電圧VSSを供給することで、電子回路の消費電力を低減できると共に、それぞれの回路ブロックに最適な電源電圧を供給することで、環境温度や外来ノイズに対して信頼性に優れた電子回路を実現することができる。
【0282】
[本発明の電子回路の第1の内部回路の構成例Bの説明:図24(b)]
次に、第1の内部回路の構成例Bを図24(b)を用いて説明する。
図24(b)において、内部回路30は、回路ブロックとして電源電圧VSSを電源とするBブロック32と、電源電圧VSSを電源とし、システム電圧VREGをDCバイアスとして入力するアナログブロック33によって構成される。また、Bブロック32とアナログブロック33は、制御バスB3によって接続され、情報伝達が実施される。
【0283】
この構成例Bは、システム電圧VREGで動作する回路ブロックAが存在しないので、
電源ラインの分離が不要であり、回路構成がシンプルなことが特徴である。また、アナログブロックを有することで、アナログ処理が可能な内部回路を実現できる。なお、アナログブロック33の詳細は後述する。
【0284】
[本発明の電子回路の第1の内部回路の構成例Cの説明:図25(a)]
次に、第1の内部回路の構成例Cを図25(a)を用いて説明する。
図25(a)において、内部回路30は、回路ブロックとしてAブロック31とBブロック32、及び、アナログブロック33によって構成される。ここで、Aブロック31はシステム電圧発生回路10からのシステム電圧VREGによって動作する。また、Bブロック32は、電源電圧VSSによって動作する。また、アナログブロック33は電源電圧VSSを電源とし、システム電圧VREGをDCバイアスとして入力する。
【0285】
そして、Aブロック31とBブロック32は制御バスB1によって接続され、Aブロック31とアナログブロック33は制御バスB2によって接続され、Bブロック32とアナログブロック33は制御バスB3によって接続されて、様々な情報伝達が実施される。このように、構成例Cは、Aブロック31、Bブロック32、アナログブロック33を有することで、構成例AとBの両方の特徴を備えた高機能で低消費電力の電子回路を実現できる。
【0286】
[本発明の電子回路の第1の内部回路の構成例Dの説明:図25(b)]
次に、第1の内部回路の構成例Dを図25(b)を用いて説明する。
図25(b)において、内部回路30は、回路ブロックとしてAブロック31とアナログブロック33によって構成される。ここで、Aブロック31はシステム電圧発生回路10からのシステム電圧VREGによって動作する。また、アナログブロック33は電源電圧VSSを電源とし、システム電圧VREGをDCバイアスとして入力する。
【0287】
そして、Aブロック31とアナログブロック33は制御バスB2によって接続され、様々な情報伝達が実施される。このように、構成例Dは、Aブロック31、アナログブロック33を有することで、比較的高速なデジタル処理を実現できると共に、アナログ処理が可能な内部回路を実現できる。
【0288】
[本発明の電子回路の第1の内部回路に含まれるアナログブロックの説明:図26]
次に、本発明の電子回路の第1の内部回路に含まれるアナログブロック33の構成の一例を図26によって説明する。
図26において、アナログブロック33は、一例として電源電圧監視手段の機能を有し、差動増幅器33aと2つの抵抗33b、33cとによって構成される。
【0289】
ここで、差動増幅器33aのプラス入力端子は、基準のDCバイアスとしてシステム電圧発生回路10からのシステム電圧VREGを入力し、差動増幅器33aのマイナス入力端子は、電源電圧VSSの分割電圧を得るために、電源電圧VDDと電源電圧VSSの間で抵抗33bと33cが直列接続された接続点Cを入力する。また、差動増幅器33aの出力端子からは監視信号33dが出力される。
【0290】
次に、このアナログブロック33の概略動作を説明する。差動増幅器33aは、システム電圧VREGと接続点Cの分割電圧を入力し、システム電圧VREGを基準として電源電圧VSSが所定の電圧値以上の時は、監視信号33dを論理“0”とし、電源電圧VSSが所定の電圧値以下の時は、監視信号33dを論理“1”とする。この動作によって、アナログブロック33は、電源電圧VSSの電圧値を監視する電源電圧監視手段として機能することができる。このように、本発明の電子回路の第1の内部回路に、アナログブロック33のようなアナログ処理回路を組み込むことで、様々なアナログ処理機能を備えた
電子回路を実現することができる。
【0291】
しかし、このようなアナログブロック33は、当然のことであるが、基準となるDCバイアスとしてのシステム電圧VREGが不安定な電圧値を発生すると正確な動作ができずに、その監視信号33dは不正な信号を出力することになる。このため、特許文献1で示した従来例のように、内部電源電圧が安定状態に達している保証がない状態でレベルシフタを活性化すると、内部電源電圧をアナログ回路の基準のDCバイアスとしている場合、アナログ回路からの不正な信号がレベルシフタを通過して、電子回路の外部に出力される不具合が発生する。
【0292】
しかしながら、本発明の電子回路は、内部電源電圧であるシステム電圧VREGが所定電圧に収束し安定化したことを、2つの判定手段の結果に基づいて確実に判定してレベルシフタを活性化するので、第1の内部回路に構成例で示したアナログブロック33のようなアナログ処理回路が含まれていたとしても、不正信号が外部に出力されることを防止し、信頼性の高い電子回路を提供することができる。このように、本発明の電子回路は、第1の内部回路の構成を任意に変更することによって、様々な機能を有する電子回路に適応できる。
【0293】
また、各実施形態において、システム電圧発生回路10が停止状態から動作状態へ移行する動作を、電子回路のパワーダウンモードからの復帰として説明したが、これに限定されず、電子回路の一部の回路ブロックが停止状態から復帰する場合でも、本発明は適応される。尚、本発明の実施例で示したブロック図や回路図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。
【産業上の利用可能性】
【0294】
本発明の電子回路は、太陽電池を備えた時計システムはもちろんのこと、電池駆動によって動作し、パワーダウンモードを備えた様々な電子機器の電子回路に好適である。
【符号の説明】
【0295】
1、100、200、300、400、500、600、700 電子回路
2 太陽電池(SC)
3 二次電池
4 ダイオード
5 モータ
10 システム電圧発生回路
10a リファレンス電圧生成回路
10b 差動増幅回路
10c 出力回路
21、22 スイッチ素子
23 レベルシフタ
24、720 入出力回路
30、310、410、510、710 内部回路
31、311、411、511、711 Aブロック
32、312、412、512、712 Bブロック
33 アナログブロック
34、50 発振回路
40、110、210、320、420、520、610 制御回路
41、211、321、421、521、611 第1の判定手段
42、212、322、422、522、612 第2の判定手段
60、60´ 発振検出回路
80、620 電圧検出回路
90、630 論理積回路
111 第1及び第2の判定手段
120 電圧変換回路
220、230 遅延回路
P1 計時制御信号
P2 出力信号
P3 駆動信号
P4 起動信号
P5、P5´ 動作検出信号
P7 切り替え制御信号
P10 レベルシフタ制御信号(LS制御信号)
P11 発振信号
P12、P22 基準クロック信号
P13、P15 電圧検出信号
P14 動作検出変換信号
VDD、VSS 電源電圧
VBT 電池電圧
VREG システム電圧
VREF1、VREF2 リファレンス電圧


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧から降圧してシステム電圧を発生するシステム電圧発生回路と、
前記システム電圧を供給されて動作する第1の内部回路と、
前記電源電圧を供給されて動作する第2の内部回路と、
前記第1の内部回路からの信号を入力し、前記電源電圧の電圧レベルに変換し前記第2の内部回路へ出力するレベルシフタと、
前記レベルシフタを制御する制御回路と、を備える電子回路であって、
前記システム電圧発生回路が停止状態から動作状態へ移行するとき、
前記制御回路は、前記第1の内部回路が動作状態であることを判定する第1の判定手段と、前記システム電圧が所定値に達したか、または所定値に収束したかを判定する第2の判定手段と、を備え、双方の判定手段の結果に基づいて出力される動作開始信号に基づいて前記レベルシフタを活性化するように制御することを特徴とする電子回路。
【請求項2】
前記制御回路は、電圧レベル調整回路を有し、
前記電圧レベル調整回路は、前記動作開始信号を入力し、その電圧レベルを、前記レベルシフタを活性化できる電圧レベルに変換して、レベルシフタ制御信号として出力し、
前記制御回路は、前記レベルシフタ制御信号により、前記レベルシフタを活性化することを特徴とする請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記システム電圧発生回路は、リファレンス電圧生成回路と差動増幅回路と出力回路とを有する電圧レギュレータ回路であり、
前記リファレンス電圧生成回路は、電源電圧を降圧して、電源電圧に依存しない定電圧であるリファレンス電圧を生成し、
前記差動増幅回路は、一方の入力を前記リファレンス電圧とし、他方の入力を前記出力回路からフィードバックされた電圧として、双方の入力の差を増幅して出力するものであり、
前記出力回路は、前記差動増幅回路の出力に基づいて制御される電圧を前記システム電圧として出力する回路であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記第1の判定手段は、発振回路と発振検出回路とを含み、
前記発振回路は、所定の発振信号を出力し、
前記発振検出回路は、前記発振信号を検出することで動作開始信号を出力し、
前記第2の判定手段は、遅延回路を含み、
前記遅延回路は、前記動作開始信号に前記システム電圧または前記リファレンス電圧に応じた所定の遅延時間を与えた前記レベルシフタ制御信号を出力し、
前記制御回路は、前記レベルシフタ制御信号によって前記レベルシフタを活性化するように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1の判定手段は、発振回路と発振検出回路とを含み、
前記発振回路は、所定の発振信号を出力し、
前記発振検出回路は、前記発振信号を検出することで動作開始信号を出力し、
前記第2の判定手段は、電圧検出回路を含み、
前記電圧検出回路は、前記システム電圧が所定値に達したかを前記リファレンス電圧の電圧値で検出して電圧検出信号を出力し、
前記制御回路は、前記動作開始信号と前記電圧検出信号との論理積である前記レベルシフタ制御信号によって前記レベルシフタを活性化するように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電子回路。
【請求項6】
前記発振回路から出力される前記発振信号は、前記第1の内部回路に入力して前記第1
の内部回路の動作を行なわせるクロック信号であることを特徴とする請求項4または5に記載の電子回路。
【請求項7】
前記発振回路は、前記システム電圧で駆動することを特徴とする請求項4から6のいずれか1つ記載の電子回路。
【請求項8】
前記発振回路は、発振開始から所定の時間を経過した後に安定した発振振幅となる定常発振状態になり、
前記発振回路は、前記所定の時間を経過するまでの間だけは、前記電源電圧で駆動されることを特徴とする請求項7に記載の電子回路。
【請求項9】
前記遅延回路は、容量素子と、前記システム電圧または前記リファレンス電圧に基づく放電電流で該容量素子を放電する放電手段と、を備えたことを特徴とする請求項4に記載の電子回路。
【請求項10】
前記遅延回路は、前記容量素子の電圧に基づいて前記放電手段をバイパスするバイパス手段をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の電子回路。
【請求項11】
前記レベルシフタ制御信号は、前記第1の内部回路と前記第2の内部回路との一方、または双方の初期状態を解除することを特徴とする請求項4から10のいずれか1つに記載の電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−151723(P2011−151723A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13169(P2010−13169)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】