電気アーク溶接用モジュラー電源及び出力チョッパ
【課題】最初の2ステージが単一のモジュールであり、出力ステージが独立した置換可能なモジュールであるように各ステージがモジュラー化されている電気アーク溶接用3ステージ電源を提供する。
【解決手段】AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、第2のステージのDC出力信号を、溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、入力ステージ及び第2のステージが、第1のモジュールに組み込まれており、かつ第3のステージが、第1のモジュールに接続可能な第2のモジュールに組み込まれていることを特徴とする。
【解決手段】AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、第2のステージのDC出力信号を、溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、入力ステージ及び第2のステージが、第1のモジュールに組み込まれており、かつ第3のステージが、第1のモジュールに接続可能な第2のモジュールに組み込まれていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アーク溶接の分野に関し、より具体的には、そのような溶接のためのモジュラー電源及び溶接機のための新規なデュアルモードチョッパ出力ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
電気アーク溶接は、金属電極と被加工物との間にACまたはDC電流を流すことを必要とし、この場合、金属電極は、通常、有心金属ワイヤまたは固体金属ワイヤである。電源は、アークが、繰り出される溶接ワイヤの端部を溶融して、その溶融金属を被加工物に付着させるように、所定の電流パターンおよび/または繰り出す電極ワイヤと被加工物との間の極性を生成するのに用いられる。電源には、様々なコンバータ技術が用いられるが、最も有効なものは、インバータをベースとする電源であり、この場合、スイッチングネットワークは、高周波で作動して、溶接プロセスのための所望の波形または電流レベルを生成するスイッチを含む。インバータタイプの電源は、Blankenshipの米国特許第5,278,390号明細書で論じられており、インバータは、本発明の好適な実施形態に従って作動する。この好適な作動手順は、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニー(The Lincoln Electric Company)により開発された“波形制御技術”を含む。この技術では、実際の波形は通常18kHz超の周波数で生成された一連の短パルスによって発生し、この短パルス群は波形ジェネレータによって制御される特性を有する。この公知のインバータ制御技術は、本発明の好適な実施形態に用いられ、また、詳細に説明する必要はない。
【0003】
標準的な電源技術によれば、電源のインバータステージへの入力信号は、サイン波電源からの整流電流である。適当な力率補正コンバータは、共通の実施であり、Kookenの米国特許第5,991,169号明細書に示されているように、インバータスイッチングネットワーク自体の一部であるか、あるいは、Churchの同第6,177,645号明細書に示されているように、インバータステージの前に設けられている。実際に、力率補正コンバータまたはステージを有する電源は、長年にわたって、溶接技術において知られている。ブーストコンバータの形をとる、入力力率補正コンバータを用いる他の電源が、Churchの米国特許第6,504,132号明細書に示されている。Churchのこれら2つの特許及びKookenの特許は、背景情報として、および、本発明に関連する技術として本願明細書に援用する。Kookenの米国特許第5,991,169号明細書及びChurchの同第6,504,132号明細書において、実際の溶接電流は、出力チョッパまたはバックコンバータによって調整され、絶縁は、インバータステージの出力または入力ブーストコンバータの出力のいずれかにおける変圧器によって得られる。電源のためのこれらの様々なトポロジーは、アーク溶接技術においては常識である。これらの従来の技術の特許においては、実際の溶接電流、電圧または電力は、電源の出力ステージにおいて、または出力ステージの前で調整され、その出力ステージは、インバータまたはチョッパのいずれかである。インバータもチョッパも、本発明により前もって予期されているように、調整型溶接ステージを駆動する固定された低電圧DCバスを生成するように調整されている。
【0004】
溶接動作の絶縁は、ほとんどの溶接用電源の特徴である。「溶接」という用語は、「プラズマ切断」を含む。Vogelの米国特許第5,991,180号明細書においては、ブーストコンバータを用いたプリレギュレータが、溶接調整後に設けられた出力絶縁変圧器を有し、かつ溶接動作を直接駆動するチョッパとして開示されているコンバータに割当てられている。この電源において、チョッパネットワークは、所望の調整された出力溶接電流を生成するように制御され、絶縁は、出力ステージにおいて形成される。同様に、Thommesの米国特許第5,601,741号明細書は、実際の溶接動作に対して調整された出力信号を与えるパルス幅変調制御インバータを駆動するブーストコンバータを開示している。Vogel及びThommesの両米国特許においては、第2ステージが、プリレギュレータから溶接動作へ力率制御電流を流すように調整される。溶接調整は、第2ステージで行われ、通常、パルス幅変調制御回路によって駆動される。Vogel及びThommesの両米国特許は、背景技術として本願明細書に援用する。Moriguchiの米国特許第6,278,080号明細書においては、インバータ型電源が、所望の溶接電流を制御するように調整される。絶縁は、DC溶接動作として開示されている、制御された第2ステージのインバータと溶接出力との間の変圧器によって得られる。
【0005】
同様の電源は、Moriguchiの米国特許第5,926,381号明細書及びMoriguchiの同第6,069,811号明細書に示されており、制御電流のインバータステージからの絶縁は、インバータの出力において行われ、溶接動作を直接駆動する。Moriguchiの米国特許第5,926,381号明細書は、第1ステージのブーストコンバータの出力における電圧を用いて、調整型インバータステージまたはブーストコンバータ自体のいずれかのためのコントローラ電圧を供給する共通の構成を開示している。Moriguchiのこれら3つの特許は、従来技術の電源を示す背景情報として本願明細書に援用し、この場合、調整型インバータは、絶縁のために用いられる出力変圧器に向けられる制御された溶接電流を生成するために、入力ブーストコンバータまたは整流器のDC出力によって駆動される。上記絶縁変圧器の二次AC信号は、溶接動作に直接用いられる。ここには、本発明の新規な電源において用いられるような第3ステージトポロジーはない。
【0006】
次に、非溶接技術について説明すると、本発明の態様は、DC/DC第2ステージコンバータの出力に同期整流器素子を用いている。同期整流器は、共通の実施であり、1つのそのような整流器は、Boylanの米国特許第6,618,274号明細書に示されている。Calkinの米国特許第3,737,755号明細書は、低電力用DC/DCコンバータを開示しており、この場合、固定された調整電流は、非可変出力DC信号を供給するために、非調整型インバータに流される。入力DC信号が、インバータの固定出力DC信号を制御するために調整することができる唯一のパラメータであるように、非調整型インバータのいかなる制御も、インバータの入力側で行われる。このことは、インバータが、制御された固定出力信号を生成するように、信号のインバータに対する制御を必要とする仕組みである。これは、本発明の利用により予想されるのとは異なるコンセプトであるが、同期整流器及び非調整型インバータのバージョンを説明するために、Boylan及びCalkinの特許における非溶接の一般的な背景技術を本願明細書に援用し、この場合、いかなる調整も、入力DC信号のレベルを制御することにより、上記インバータの前で実行される。それらの特許のいずれも、溶接用電源に関係なく、同期整流器素子及び非調整型インバータ等の一般的な技術コンセプトとしてのみ本願明細書に援用する。最少の高調波ひずみを、コンバータに流れる電流に伝える非溶接2ステージAC/DCコンバータが、Smolenskiの米国特許第5,019,952号明細書に示されている。負荷は、可変ではなく、かつ溶接動作において要求されるような調整を必要としない。この特許は、電気アーク溶接用電源の要求に決して関連していない一般的な技術を説明するために援用する。
【0007】
これらの特許は、溶接動作によって調整すべき電源に関する本発明の背景を構成し、この場合、そのような調整は、実際の溶接動作の平均電流、平均電圧及び電力のフィードバックループによるものである。固定負荷電源は、一般的な技術情報としてのものを除いて、本発明に関係ない。
【0008】
従来、電源内のインバータは、電流、電圧または電力等の溶接動作におけるパラメータによって調整された溶接電流を出力していた。このインバータは、一般に、パルス幅変調器によって制御され、高周波で作動するスイッチのデューティサイクルは、デューティサイクルが実質的に100%未満に調整されるように、溶接動作からのフィードバックによって制御されていた。このタイプのPWM制御型インバータは、調整型単ステージインバータと呼ばれる。このようなインバータは、電源の出力を形成し、電源の最終ステージであった。より低いデューティサイクルは、より高い一次電流及びより大きい損失をもたらした。インバータの効率は、溶接に適した出力信号を生成するために、単ステージインバータの出力を調整するという要求によって生じるデューティサイクル調節により変化した。最終ステージが調整型単ステージインバータである電源を用いると、熱損失、低効率、高コスト及び構成要素のサイズの増大が生じていた。これらの理由のため、いくつかの溶接電源の製造者は、高コスト及び他の困難さを伴うためインバータを使用しないので、インバータ電源よりも良好な電源を市場に出していた。出力を絶縁し、かつ溶接に適した電流を生成する目的のために電流を調整するという2つの機能を有していたインバータステージは、回避すべきであった。背景として本願明細書に援用するHoversonの米国特許第6,723,957号明細書及びCanales−Abarcaの同米国特許第6,723,957号明細書を参照されたい。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,278,390号明細書
【特許文献2】米国特許第5,991,169号明細書
【特許文献3】米国特許第6,177,645号明細書
【特許文献4】米国特許第6,504,132号明細書
【特許文献5】米国特許第5,991,180号明細書
【特許文献6】米国特許第5,601,741号明細書
【特許文献7】米国特許第6,278,080号明細書
【特許文献8】米国特許第5,926,381号明細書
【特許文献9】米国特許第6,069,811号明細書
【特許文献10】米国特許第6,618,274号明細書
【特許文献11】米国特許第3,737,755号明細書
【特許文献12】米国特許第5,019,952号明細書
【特許文献13】米国特許第6,723,957号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、最初の2ステージが単一のモジュールであり、かつ第2のステージまたは出力ステージが独立した置換可能なモジュールであるように各ステージがモジュラー化されている、電気アーク溶接用3ステージ電源の提供である。
【0011】
本発明の別の目的は、電源が、モジュラー化された第1及び第2のステージを利用し、第1のモジュールを、単一の出力モジュールを駆動するために、並列に接続することができる、上記定義したような3ステージ電源の提供である。
【0012】
本発明のまた別の目的は、3ステージ電源が出力モジュールを有し、出力ステージの電力スイッチがソフトスイッチング回路を有する、上記定義したような3ステージ電源の提供である。ソフトスイッチング回路は、受動であり、かつスイッチング電圧及びスイッチング電流を制御する。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、電源が、DC正、DC負またはACで作動して、MIG溶接、TIG溶接、タンデム溶接及びサブマージアーク溶接のための出力溶接動作を制御することができる新規な出力チョッパモジュールを有する、上記定義したような3ステージ電源の提供である。
【0014】
本発明の他の目的は、MIG溶接、TIG溶接、タンデム溶接及びサブマージアーク溶接のための溶接動作を制御するために、出力ステージを、DC−、DC+、ACの間で変えることができる、電気アーク溶接に用いられる電源の出力ステージのための新規なデュアルモードチョッパの提供である。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、溶接プロセスを変更するために、電源を、多数の異なる第3ステージモジュールに適応させることができる、上記定義したような3ステージ電源の提供である。
【0016】
本発明のまた追加の目的は、3ステージ電源が、入力第1ステージと組み合わされ、かつMIG溶接、TIG溶接、タンデム溶接及びサブマージアーク溶接のための出力溶接信号(DC+、DC−、またはAC)を生成するのに用いられる、絶縁用の非調整型第2ステージを含む新規な3ステージ電源の提供である。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、新規なチョッパが、受動ソフトスイッチング回路を有する2つの電力スイッチを有する、上記定義したような新規なチョッパの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、電源のインバータが、従来のような第2ステージであるが、溶接に適した電流を生成する実際の調整を実行できるようにするために、第3ステージを付加することができるように調整されない、電気アーク溶接(プラズマ切断)用電源と共に利用される。この3ステージコンセプトを用いることにより、インバータは、非常に高周波のスイッチングで作動することができるのに対して、出力の第3ステージは、低周波のスイッチングで作動するチョッパとすることができる。従って、スイッチング周波数は、出力溶接電流の実際の調整に用いられるパルス幅変調インバータステージにおいて高周波を用いる必要性とは対照的に、ステージによって実行される機能によって最適化される。さらに、調整型第3ステージに対する絶縁された固定DC電圧は、入力コンバータステージからのDC電圧よりも実質的に低く、かつ実際の溶接出力電圧よりもかなり高くすることができる。
【0019】
本発明を利用する上記3ステージ電源は、パルス幅変調インバータが、単に、第2ステージのパルス幅変調インバータへの帰還信号を伴わずに、絶縁固定出力DCバスを生成する第2ステージである、電源のための新規な構造を含む。この絶縁されたバスは、溶接に適した電流を生成するための実際の溶接パラメータによって調整される第3ステージで用いられる。従って、本発明は、必要な絶縁をもたらすだけではなく、溶接調整がなされる第3ステージによって使用される固定DC出力バスを形成する非調整型第2ステージを含む。非調整型第2ステージインバータは、電源の動作中に固定されるデューティサイクルを伴って高周波で作動する。周波数は、18kHz超であり、好ましくは、約100kHzである。デューティサイクルは、様々なレベルで固定されるが、好適なデューティサイクルは、本発明の利用により得られる最大効率レベルをもたらす100%程度である。固定された高デューティサイクルの利用は、位相シフト変調器制御型インバータの第2ステージの電流環流時間を最少化して、熱を実質的に低減し、かつ効率を向上させる。上記第2の非調整型インバータステージの出力は、公知の同期整流器素子を用いることができる整流器であり、素子は、第2ステージの非調整型インバータの内部絶縁変圧器の二次巻線によって制御される。第2ステージの出力に同期整流素子を用いることにより、上記電源の総効率のさらなる改善がなされる。本発明を用いることにより、上記第1ステージは、入力整流器、または力率補正コンバータを有する入力整流器のいずれかとなる。第1ステージ力率補正コンバータが好適である。このコンバータは、標準的な整流器の後にあり、あるいは、整流器と組み合わせることができる。当然、このコンバータは、受動力率補正コンバータ、または、ブースト、バックまたはバック+ブーストコンバータ等の能動コンバータとすることができる。
【0020】
本発明の第1ステージは、固定電圧を有する第1のDCバスを形成する。上記電源に標準的な第1ステージを用いることにより、非調整型インバータへの入力DCバスである第1のDC出力信号は、約400〜900ボルトDCの値に調整及び固定することができる。新規な電源の第2ステージを構成する非調整型の絶縁インバータの出力は、第1ステージからの入力DCバスと一定の関係を有する固定DCバスである。第2のDCバスまたは出力の電圧は、実質的に、第1ステージからのDCバスの電圧よりも小さい。従って、電源は、上記力率補正コンバータからの入力DCバスと一定の厳密な関係を有する第2のDCバスを形成する。標準的な実施によれば、上記第2ステージの非調整型インバータは、二次巻線が電源の入力と絶縁されるように、一次巻線及び二次巻線を有する絶縁変圧器を含む。本願明細書に援用するSteigerwaldの米国特許第4,864,479号明細書を参照されたい。非調整型の第2ステージインバータは、第2ステージインバータの動作を最適化するようなスイッチング周波数で作動することができる。従って、上記新規な非調整型の第2ステージインバータの構成要素のサイズ及びコストを低減するために、非常に高いスイッチング周波数が用いられる。位相シフト制御を伴う一定のデューティサイクルを用いることにより、スイッチング素子における電圧及び電流サージは、ソフトなスイッチング動作を生じるように低減される。実際に、好適な実施形態において、デューティサイクルは、スイッチが完全にオンまたは完全にオフになるように、100%に固定される。このことは、上記第2ステージにおける環流電流を劇的に低減し、かつ上記電源の溶接出力と電源のAC入力を絶縁するという機能も実現できる第2ステージインバータの動作特性を大幅に向上させる。第2ステージの非調整型インバータにおけるスイッチング素子を完全にオン状態で作動させることにより、このインバータは、高効率を有し、かつ動作が非常にフレキシブルになる。絶縁変圧器は、非調整型の第2ステージの入力側の上記固定DCバス(上記第1ステージからの「第1の出力信号」)と、この第2ステージの出力のDC出力バス(「第2のDC出力信号」)の関係を決める。従来のいくつかの電源においては、調整型インバータの絶縁変圧器の一次巻線におけるデューティサイクルは、溶接動作によって調整される。本発明に用いられる新規な電源の第1ステージまたは第2ステージのいずれかにおける溶接動作による調整はない。
【0021】
上記電源の第2ステージの非調整型インバータは、システム絶縁を実行できるため、多くの種類の非絶縁型コンバータを力率補正プリレギュレータとして用いることができる。ブーストコンバータは、電流波形整形機能及びこの種の変換の連続ライン電流特性により、最もポピュラーなコンバータである。しかし、ブーストコンバータの出力電圧は、最も高いライン電圧のピークよりも高く、このピークは、775ボルト程にもなる可能性がある。すなわち、第2ステージが調整されず、絶縁を形成する3ステージ電源である他の能動力率補正レギュレータを、本発明に対して用いることができる。能動力率補正入力または第1ステージに対する他の選択肢のうちの1つは、第2ステージに対する一次電圧バスまたは入力バスを、電源に対する入力AC電圧信号のピークよりも低くすることができるような逓昇/逓降コンバータである。この種の力率補正コンバータは、低高調波を生じる。そのような力率コンバータは、バック+ブーストコンバータと呼ばれる。上記第2ステージに用いられる400〜500ボルトDCバスは、115ボルト〜575ボルトの入力AC電圧を用いて得られる。上記第1ステージへのAC電圧に関係なく、上記能動力率コンバータの出力電圧は、400ボルト〜500ボルトのレベルになるように制御される。他の種類の能動及び受動力率補正インバータを本発明に用いることができる。好適なコンバータは能動であり、それに伴って、第2の制御回路を要する第2のスイッチングネットワークを構成する。電気アーク溶接という用語を用いる場合、用語は、プラズマ切断等の他の出力プロセスも含む。
【0022】
ここまで説明したように、本発明を利用する上記電源は、電気アーク溶接用の3ステージ電源を含む。第3ステージにおける帰還制御は、溶接に適した出力電流を生成する。入力の第1ステージは、通常、第2のスイッチングネットワーク及び第2の独立した制御回路を要する能動力率補正コンバータである。この3ステージ構造は、従来技術においては用いられていない。この構造を持たせることにより、付加された第2ステージは、単に、第2ステージの一次側における高圧DCバスを、一次側と絶縁された第2ステージの二次側における低圧DCバスに変換するのに用いられる。従って、電源は、バスを溶接電力の調整に用いることができるように、第2ステージの二次側にDCバスを含む。「バス」という用語は、制御された固定レベルを有するDC信号を意味する。本発明においては、「第1のDC出力」と呼ぶ、入力ステージからの第1のDCバスがあり、この第1のDC出力は、制御されたDC電圧を有する。上記第2ステージの二次側には、「第2のDC出力」と呼ばれる第2のDCバスがあり、この第2のDC出力も制御されたDC電圧レベルである。非調整型インバータの二次側における第2のDCバスの生成は、これまでに説明したような非調整型の第2ステージインバータの利用に関連する利点以外の利点を有する。
【0023】
二次DCバスまたは第2のDC出力は、第3ステージの溶接制御回路に要する絶縁がないように、第2ステージの一次側と絶縁されている。換言すれば、チョッパ等の出力制御回路は、固定された電圧レベルを有する入力DCバスを有する。実際には、チョッパは、入力DCからチョッパに引き出される制御電圧を有するコントローラを有する。この入力DC信号は、入力電力と絶縁されている。従って、出力ステージまたはチョッパのコントローラのための制御電圧は、非絶縁型のDC源から得ることができる。これは、通常、チョッパへの入力信号である。出力ステージで用いられるコントローラのための制御電圧の独立した絶縁は必要ない。上記第2ステージからの固定されたDCバスの利用は、溶接動作によって調整される出力の第3ステージへのDC電圧を、上記電源の通常の入力一次DCバス(「第1のDC出力」)よりもかなり低くすることを可能にする。従来、力率コンバータの出力は、ブーストコンバータの使用に基づく比較的高いレベルのDC信号である。この高いDC電圧は、溶接に適した電流を出力する際に用いる調整型インバータステージに向けられる。本発明を用いることにより、上記力率コンバータの出力バスからの高電圧は、劇的に低減される。400ボルトのDCバスを15ボルトの制御電力に変換することよりも、100ボルトのDCバスを15ボルトの制御電力に変換することの方がより効率的である。第2の低圧DCバスの生成は、本発明の3ステージ電源の実質的な利点である。
【0024】
本発明によれば、電源が、AC入力及び第1のDC出力信号を有する入力ステージを備える、電気溶接プロセス用電源が提供される。非調整型DC/DCコンバータの形をとる第2ステージは、第1のDC出力信号に接続された入力と、第1のDC出力信号に対して所定の比の大きさを有する、第1のDC出力信号と電気的に絶縁された第2のDC出力信号の形をとる出力とを有する。電源は、第2のDC出力信号を、溶接プロセスのための溶接電流に変換する第3ステージを含む。本発明の別の態様によれば、新規な3ステージ電源の第1ステージとしての力率補正コンバータが提供される。電源の第3ステージは、チョッパまたはインバータ等の調整型コンバータを含む。インバータを用いる場合、出力は、極性ネットワークまたはスイッチに向けられるDC信号であり、スイッチは、電源によるDC溶接を可能にする。極性スイッチは、DC正、DC負またはACのいずれかの溶接を可能にする。チョッパまたはインバータを用いる溶接プロセスは、MIG溶接等のシールドガスを用いて実行することができ、かつタングステン、有心ワイヤまたは固体金属ワイヤ等のいかなる種類の電極も用いることができる。
【0025】
本発明の態様によれば、非調整型DC/DCコンバータの出力は、上記第2ステージへの入力よりも実質的に小さい。たいていの場合、第2ステージの入力及び出力は、概して固定された大きさを有するDC電圧である。入力ステージ及び第2のステージは、第1のモジュールに形成され、第3のステージは、第2のモジュールである。これは、新規なことである。これら3つのステージは、共通の構造ブロック上にはない。ここには、2つのパワーモジュールがある。その出力モジュールは、好ましくは、チョッパである。しかし、出力ステージは、DC、ACまたはSTT回路の間で変更することができる。2ステージ入力モジュールは、高出力チョッパモジュールを駆動するために並列にすることができる。このような並列接続の可能性の利点は、本願明細書に援用する、Stavaの米国特許第6,291,798号明細書に説明されている。
【0026】
本発明の1つの態様によれば、上記モジュラー化された3ステージ電源の第3ステージの電力スイッチは、本願明細書に援用する、能動無損失ソフトスイッチングPWMコンバータの特性及び合成というタイトルの、1997年5月のカリフォルニア大学の論文に記載されているような能動タイプの共通に用いられるソフトスイッチング回路を有する。同様の能動スイッチング回路は、本願明細書に援用する、Geisslerの米国特許第6,115,273号明細書及びChenの同第5,874,826号明細書に開示されている。本願明細書に援用する、Vogelの米国特許第5,991,180号明細書及びBhagwatの同第5,636,114号明細書も参照されたい。
【0027】
本発明は、新規な3ステージ電源をモジュラー化することに関するため、3ステージ全てが、共通のベースに形成されてはいない。本発明によれば、最初の2ステージは、単一のモジュール内にある。従って、入力モジュールは、力率補正ステージまたはプリレギュレータと、第2ステージが、パルス幅変調により固定されたデューティサイクルで作動する非調整型インバータである絶縁ステージとを含み、そのパルス幅変調器は、波形整形器または波形ジェネレータを用いる波形技術によって制御される。従って、力率補正ステージ及び絶縁ステージは、一緒に搭載され、それ自体の支持構造を有するどのような出力ステージとも一緒に用いることができる。好ましくは、出力ステージは、チョッパである。上記電源のための単一のプラットフォームの代わりに、2つの構造ブロックを用いることは、出力またはチョッパステージの変更を、DC正、DC負、ACまたはSTT等の様々な溶接プロセスの間で変更できるようにする。上記溶接のための新規な3ステージ電源の最初の2ステージをモジュラー化することにより、既存の高出力チョッパモジュールを駆動するための高入力を生成するために、モジュラー化された第1ステージを並列にすることができる。最初の2ステージを有する第1のモジュールと、第3ステージを有する第2のモジュールとのこの利用は、本発明が注力する新規な3ステージ溶接電源の実質的な改良である。本発明の別の態様によれば、チョッパは、チョッパの電力スイッチが、電流及び電圧において、ソフトにスイッチングされるように、多少共通のソフトスイッチング回路を備えている。出力ステージのためのソフトスイッチングネットワークは、モジュラー化コンセプトにより可能なさらなる改良である。
【0028】
本発明の別の態様によれば、チョッパは、チョッパの出力に、第1の極性経路を形成する第1の極性スイッチを有する第1の電力スイッチを有するデュアルモードチョッパである。第2の極性経路は、第2の電力スイッチと、反対極性の電流を生成する他方の極性スイッチとによって形成される。この種のデュアルモードチョッパは、電気アーク溶接のための新規な出力ステージを構成する。従って、チョッパデザインは、上記開示したモジュラー化した3ステージ構造とは異なる、本発明の態様を構成する。
【0029】
本発明によれば、電気アーク溶接機用電源のための出力ステージが提供される。この出力ステージは、第1の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有するチョッパである。さらに、この出力ステージは、チョッパを、第1の経路と第2の経路との間で交互に作動させる第1のモードと、チョッパを、2つの極性経路のうちの一方のみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含む。このように、単一のチョッパ出力ステージは、電力スイッチ及び補助極性スイッチのスイッチング信号を単に制御することにより、DC正、DC負またはACで作動することができる。これは、溶接に用いられる電源のための新規な出力ステージであり、また、第1及び第2のステージが単一のモジュール内にあり、かつ第3のステージまたはチョッパが、独立した置換え可能な第2のモジュール内にある3ステージ電源に用いられる。
【0030】
本発明の全ての態様によれば、中心の非調整型DC/DCコンバータを有する上記新規な3ステージ電源は、サブマージアーク溶接、2、3ステージ電源を用いるタンデム電極溶接、TIG溶接及び標準的なMIG溶接等の一連の異なる種類の溶接プロセスと組み合わせて用いられる。新規な3ステージ電源と組み合わされた溶接プロセスは、DCまたはACのいずれかである出力信号を用いる。DC信号は、固定された電圧、固定された電流信号、あるいは、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニーが先駆者である波形技術の利用によって決まる特定の形状を有するパルス信号である。DC溶接信号は、正または負である。AC溶接信号は、本願明細書に援用する、Blankenshipの米国特許第5,278,390号明細書及びStavaの同第6,683,278号明細書を含む多くの特許に開示されているような波形技術によって生成される。この技術は、DCまたはACのいずれかの出力信号が溶接プロセスに用いられる場合に、出力波形を決めるパルス幅変調器を制御するのに用いられる波形ジェネレータまたは波形整形器を必要とする。
【0031】
AC信号は、大きなエネルギ、または、両極性の振幅を有することができる。さらに、サブマージアークプロセス及びMIGプロセスに用いられる電極は、一般に、フラックスコア電極であるが、固体ワイヤ電極や合金コア電極も使用することができる。上記新規な3ステージ電源を用いる同様の溶接プロセスは、デュアルモードチョッパの形態の出力ステージを有する溶接電源によって実行される。このようなチョッパは、溶接産業においてはユニークなものであり、本願明細書に開示し、かつクレームする。デュアルモードチョッパは、DC入力信号によって駆動され、DCまたはACのいずれかである出力溶接信号が生成される。好ましくは、DC入力信号は、デュアルモードチョッパの直前の非調整型絶縁DC/DCコンバータを有する2ステージ入力回路によって生成される。上記新規な3ステージ電源のこれら及びその他の組み合わせ、および様々な出力溶接プロセスと組み合わされた上記新規なデュアルモードチョッパは、本発明の全般的な態様である。
【0032】
これら及び他の目的及び効果は、添付図面と共に解釈すれば、以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、上記のように構成したので、最初の2ステージが単一のモジュールであり、かつ第3のステージまたは出力ステージが独立した置換可能なモジュールであるように各ステージがモジュラー化されている電気アーク溶接用電源を提供可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明を詳細に説明する。
(1)はじめに、本発明に用いられる3ステージ電源について図1〜図21を用いて説明する。
本発明は、リンカーン・エレクトリック・カンパニーにより開発され、本発明に対する従来技術ではない、電気アーク溶接での用途のための新規な3ステージ電源の変更例である。新規な3ステージ電源は、AC信号を第1のDC出力バスに変換する入力ステージを有する。この出力バスは、固定電圧レベルを有し、かつ図17に最もよく示されている第2ステージの入力に向けられる。3ステージ電源のこの新規な第2ステージは、絶縁構造を含み、かつDC入力バスに比例する第2のDC出力または第2のDCバスを有する非調整型インバータである。レベル関係は、非調整型インバータの構造により固定される。第2ステージの非調整型インバータは、18kHz超、好ましくは約100kHzの高いスイッチング周波数でスイッチが作動するスイッチングネットワークを有する。上記電源の第2ステージを構成する非調整型インバータにおけるスイッチネットワークのスイッチング周波数は、小さい磁性構成要素の使用を可能にする。非調整型インバータの絶縁されたDC出力は、電源の第3ステージに向けられる。この第3ステージは、溶接動作の電流、電圧または電力等の溶接パラメータによって調節されるチョッパまたはインバータのいずれかとすることができる。上記変更例において、この第3ステージは、好ましくはチョッパである。3ステージ電源の構成は、第1のDC信号を生成する入力ステージと、溶接動作で用いられる電流を調節する電源の第3ステージによって用いられる絶縁された固定DC電圧またはDCバスを生成する第2の非調整型DC−DCステージとを有する。
【0035】
本発明が注力する3ステージ電源の実施例を図1〜図3に示す。図1の電源PS1は、第1ステージIと、第2ステージIIと、第3ステージIIIとを含む。この実施形態において、ステージIは、AC入力信号12を第1のDCバス14に変換するAC/DCコンバータ10を含む。入力12は、400〜700ボルトの間で変化することが可能な電圧を有する単相または三相ACライン供給である。コンバータ10は、(DC#1)とみなされるDCバス14を生成する整流器及びフィルタネットワークの形をとることが可能な非調整型デバイスとして描かれている。AC入力信号はライン電圧であるため、DCバス14は、通常、均一な大きさである。非調整型インバータAは、DCバス14(DC#1)を第2のDCバスまたは第2のDC出力20(DC#2)に変換する絶縁変圧器を有するDC/DCコンバータである。出力20は、コンバータ30であるステージIIIへの電力入力を形成する。ライン20上のDC電圧は、コンバータ30により、ラインBにおいて、溶接に適した電流に変換される。帰還制御または調節ループCは、溶接動作におけるパラメータを検知し、コンバータ30の調節により、ラインB上の電流、電圧または電力を調節する。実際には、コンバータ30はチョッパであるが、インバータの使用も代替例である。図1に示すような3ステージ電源PS1を持たせることにより、第2ステージのスイッチングネットワークは、通常、コンバータ30のスイッチング周波数よりも高い周波数を有する。さらに、ライン20のDC電圧(DC#2)は、ライン14上のステージIからのDC電圧(DC#1)よりもかなり小さい。実際には、インバータAには絶縁変圧器がある。変圧器は、ライン20上に電圧を生成するのに用いられる第2の部分または二次側よりもかなり多い巻線を有する入力または第1の部分あるいは一次側を有する。実際のこの巻線比は、ライン20上の電圧が、ライン14上の電圧の1/4になるように、4:1となっている。
【0036】
本発明が注力する3ステージ電源の包括的な構造を図1に示すが、図2は、電源PS2が、電源PS1と本質的に等しいステージII及びステージIIIを有するが、入力ステージIは、調整型DC/DCコンバータが後ろに続く整流器を含むAC/DCコンバータ40である好適な実施を示す。変換された信号は、第1のDCバス(DC#1)として示すライン14上のDC信号である。ライン14上の電圧は、標準的な技術に従って、帰還ライン42で示されるように調節される。従って、電源PS2においては、出力溶接コンバータ30は、フィードバックループCによって調節される。ライン14上の電圧は、ライン42として示すようなフィードバックループによって調節される。コンバータ40は、力率補正コンバータであるため、コンバータは、ライン44で表わされるような電圧波形を検知する。電源PS2を用いることにより、第1のDCバス14は、入力12において異なる単相または三相電圧を有する固定DC電圧である。すなわち、出力20は、単に、ライン14上のDC電圧の変換である。DC#2は、上記絶縁変圧器によって決まるレベルと、非調整型インバータAのスイッチングネットワークの固定されたデューティサイクルとを有する固定電圧である。これは、ステージIIが、固定された第1のDC出力またはDCバスを、チョッパまたはインバータ等の調節型溶接コンバータを駆動するのに用いられる第2の固定されたDC出力またはDCバスに変換する非調節型インバータである、3つの独立した及び別個のステージを用いる新規な電源の好適な実施である。別の代替例として、ステージIは、ライン20のDC#2バスからのフィードバックにより調節することができる。このことは、図2に点線46で表わされている。
【0037】
図3の電源PS3は、上記3ステージ電源の他の実施である。これは、好適な実施ではないが、本発明の3ステージ電源は、溶接電流出力Bからのフィードバックループ52によって調節される入力コンバータ50を有することができる。3ステージ電源のこの使用の場合、コンバータ50は、電源PS2の場合のようなライン14上の電圧によってではなく、溶接出力によって調節される。溶接出力Bによる調節の場合、コンバータ50は、力率補正ステージであり、かつ溶接レギュレータである。しかし、3ステージ電源のこの実施は、完全な技術的開示のために開示されている。
【0038】
上述したように、入力ステージIは、単相または三相AC信号12を、第2ステージIIを構成する非調節型インバータAによる使用のために、固定されたDCバス14(DC#1)に変換する。新規な3ステージ電源は、図1〜図3におけるライン14として示すDC電圧を生成するために、通常、ステージIにDC/DCコンバータを用いる。ステージIのDC/DCコンバータは、ライン14上に所望の電圧を生成するように選択することができる。これら3つのコンバータを図4〜図6に示し、入力整流器60は、それぞれ図4、図5及び図6に示すようなブーストコンバータ62、バックコンバータ64またはバック+ブーストコンバータ66であってもよいDC/DCコンバータに対する、ライン60a、60bのDC電圧を生成する。これらのコンバータを用いることにより、ステージIのDC/DCコンバータは、力率補正チップを含み、チップは、力率を補正できるようにし、それにより上記電源の入力における高調波ひずみを低減できるようにする。力率補正入力DC/DCコンバータの使用は、溶接技術においては公知であり、多くの従来の2ステージ構造において用いられている。コンバータ62、64及び66は、好ましくは、力率補正チップを含むが、このことは、必要なことではない。
【0039】
ステージIの主な目的は、ライン14にDCバス(DC#1)を生成することであり、バスは、図4〜図6においてライン14a、14bで示され、同図におけるライン20a、20bによって表されるライン20の固定DC電圧(DC#2)を生成する。力率補正は、上記新規な3ステージ構造の利点を利用するのに必要なことではない。非力率補正入力ステージを図7に示し、この場合、整流器60の出力ライン60a、60bは、ライン14a、14bの概して固定された電圧を生成するための大容量コンデンサ68によって結合されている。図7のステージIは、力率補正回路またはチップを含まない。しかし、電源は、第2ステージが、ライン20a、20bに概して固定された電圧を生成する非調整型の絶縁インバータAである3つのステージをなお含んでいる。入力ステージIの別の変更例を図8に示し、この場合、受動力率補正回路70は、インバータAの入力においてDCバス14(DC#1)を構成するライン14a、14bにわたって概して固定されたDC電圧を生成するために、三相AC入力L1、L2及びL3に接続されている。図4〜図8の変更されたステージIの開示は、単に本質的に典型であり、単相または三相入力信号のいずれかを有し、かつ力率補正を伴うまたは伴わない他の入力ステージも用いることができる。
【0040】
ライン20a、20bとして示す出力バス20に低い固定電圧を生成することにより、溶接のための新規な3ステージ電源の第3ステージを、18kHz超の周波数で作動するチョッパまたは他のコンバータとすることができる。上記非調整型インバータと調整型出力コンバータのスイッチング周波数は、異なっていてもよい。実際に、通常チョッパのスイッチング周波数は、非調節型インバータAの周波数よりもかなり小さい。図9に示す電源PS4は、本発明の利用を示し、ステージIIIは、電気アーク溶接に用いられるタイプの一般的な調節型コンバータ100である。このコンバータは、固定入力DCバス20によって駆動され、出力リード102、104にわたって溶接に適した電流を生成するために、溶接動作120からのフィードバックによって調節される。リード102は、正極性リードであり、リード104は、負極性リードである。2ステージインバータをベースとする電源のための一般的な出力技術に従って、リード102、104は、標準的な極性スイッチ110に向けられる。このスイッチは、極性スイッチ110の出力が、出力ライン110aに正極性を、出力ライン110bに負極性を有するように、リード102が溶接動作120の電極に向けられている第1の位置を有する。このことは、溶接動作120において、電極正DC溶接プロセスをもたらす。逆の極性スイッチネットワーク110は、溶接動作120において、電極負DC溶接プロセスをもたらすことができる。すなわち、DC負またはDC正のいずれかを有するDC溶接プロセスは、一般的な極性スイッチ110の設定に従って実行することができる。同様に、極性スイッチ110は、電極負と電極正の間で交番させて、溶接動作120にAC溶接プロセスをもたらすことができる。
【0041】
これは、一般的な技術であり、極性スイッチ110は、調整型コンバータ100からのDC出力を駆動して、AC溶接プロセスまたはDC溶接プロセスのいずれかをもたらす。このプロセスは、それぞれライン132、134で示されるように、コンバータ100を調節し、かつスイッチ110の極性を設定するコントローラ130に向けられたラインまたはループ122として示されているフィードバックシステムによって調節されかつ制御される。ステージIIIで溶接動作を調節することにより、ステージIIの非調節型インバータは、比較的高いスイッチング周波数を有して、上記電源の第2ステージにおける構成要素のサイズを低減することができる。上記3ステージ電源の好適な実施形態は、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニーにより開発された波形制御技術を用いる。この種の制御方式は公知であり、図9Aに概略的に示し、制御回路150は、ライン152aの電圧が波形ジェネレータ152から出力されたときに、波形特性を処理する。波形特性は、出力156を有する誤差増幅器154によって概略的に示すように、フィードバックループ122によって制御される。すなわち、ジェネレータ152からの波形の特性は、フィードバックループ122によって制御され、出力ライン156に信号を生成する。このラインは、発振器162の出力によって決まる高周波で作動する適当なパルス幅変調回路160に向けられる。この周波数は、18kHz超であり、40kHzより高い場合もある。調整型コンバータ100は、好ましくは、約100kHz未満で作動する。
【0042】
一般に、コントローラ130内のディジタル回路であるパルス幅変調器の出力は、調整型コンバータ100のために波形を制御するライン132として示されている。標準的な実施によれば、インバータ100の波形は、ACまたはDCのどちらかの特性を有することが可能である。この特徴を、図9Aの右の部分に、波形152b、152c及び152dとして概略的に示す。波形152bは、AC・MIG溶接で用いられる種類のAC波形であり、この場合、高い負の電極アンペア数が生成される。高い正のアンペア数も共通である。波形152cにおいて、電極負及び電極正に対するアンペア数は、より大きな負の電極部分の長さと本質的に等しい。当然、AC溶接のためのプロセスは、電極負または電極正のいずれかのために、平衡AC波形または不平衡AC波形を生成するように調節することができる。極性スイッチ110が、DC負またはDC正のいずれかの溶接動作に設定されている場合、波形152dとして示すパルス溶接波形は、波形ジェネレータ152によって制御される。様々な他の波形、AC及びDCは、溶接動作120を、ACまたはDCになるように調節できるように、コントローラ130によって制御することができる。さらに、溶接動作は、TIG、MIG、サブマージアークあるいは他の溶接とすることができる。どのようなプロセスも、電源PS4あるいは本発明を用いた他の電源によって実行することができる。電極は、有心金属、有心フラックスまたは固体ワイヤ等の非消耗または消耗型とすることができる。シールドガスは、使用する電極により用いても用いなくてもよい。DC溶接のみを実行する電源PS4の変更例を、図10に電源PS5として示す。
【0043】
この電源において、溶接動作120は、フィードバックループ122が、出力172を有するコントローラ170に向けられているため、DC溶接動作のみを実行する。調整型コンバータ100aは、好ましくは、ライン102a、104aにわたってDC電圧を生成するチョッパである。コントローラ170は、図9Aに示すように、波形ジェネレータ152によって制御される。ライン102a、104aの極性は、溶接動作120で実行されるDC溶接プロセスの要求に従って、電極負または電極正のいずれかになる。調整型コンバータ100aは、図9に示す電源PS4の溶接出力よりも単純化されている。図9及び図10は、図9Aに示す制御ネットワークまたは回路150と共に、上記新規な3ステージ電源の汎用性を示している。
【0044】
これら2種類の電源に用いられる上記調整型及び非調整型スイッチングネットワークの両方に対しては、上記コントローラを作動させるための電圧を供給する必要がある。図11は、電源PS6等の3ステージ電源の様々なコントローラを作動させる制御電圧を得るための構造及び方式を示す。2ステージ電源の第2ステージのプリレギュレータ及びスイッチングコントローラのスイッチングコントローラに制御電圧を供給するプリレギュレータの出力の利用は公知であり、本願明細書に援用するMoriguchiの米国特許第5,926,381号明細書に開示されている。溶接動作を実行する出力チョッパは、入力DC電圧からチョッパへのコントローラ制御電圧を定期的に取得する。これら2つの公知の技術は、電源PS6に組み入れられている。上記3ステージ電源は、電源の様々な位置から得られた電源を有するコントローラによって作動することができる。より具体的には、電源PS6は、出力182と、リード14a、14b(DC#1)上の第1のDCバスからの入力184、186とを有する電源180を有する。電源180は、ライン182上の低電圧に対する図2のプリレギュレータ40の出力における高電圧を低減する、図示しない、バックコンバータまたはフライバックコンバータを含む。
【0045】
この制御電圧は、5V〜20Vの範囲で変化させることができる。ライン182上の電圧は、一般的な方法に従って、プリレギュレータ40の動作を実行する出力リード192を有するコントローラ190に向けられている。プリレギュレータは、図2及び図3に示すが、図11では省略してある調節フィードバックライン42、44を有する。非調整型インバータAは、デューティサイクルを変調させるコントローラ、または入力電圧と出力電圧との間の決まった関係を必要としない。しかし、インバータは、ライン196のコントローラ作動電圧を電源180から受取るコントローラ194を必要とする。この構成は、第2ステージのコントローラ194が、従来の2ステージ電源に使用されている調節コントローラではないことを除いて、Moriguchiの米国特許第5,926,381号明細書に開示されているコンセプトと同様である。別法として、電源PS#3は、点線176で示す任意の電源電圧を与える入力12の単相で駆動される。ステージIIIの調整型出力コンバータ30は、リード20a、20bを含むように示されているDCバス20(DC#2)上の電圧によって決まるライン202上のコントローラ電圧を有する、PS#2と表わされた電源200を有する。ここでもまた、電源200は、非調整型コンバータAの出力におけるDCバスを、出力212を有するコントローラ210による使用のための低電圧に変換するバックコンバータまたはフライバックコンバータを含む。
【0046】
ライン212上の信号は、それぞれ、図1及び図2の電源PS1、PS2に関して説明したように、ラインC上のフィードバック信号に従って、溶接コンバータ30の出力を調節する。DCバス14(DC#1)及びDCバス20(DC#2)は、コントローラ190、194及び210に対して低レベルのDC制御電圧を生成するDC/DCコンバータである電源180、200への入力を与える。点線220で示す代替例として、PS#1で表わされた電源180は、コントローラ210に制御電圧を供給することができる。図11は、PS#1及びPS#2で表わされた種々の固定DC電圧レベルから低減された電源電圧を受取ることができるコントローラを有する3ステージ電源を用いることの汎用性を説明するために開示されている。PS#3で示すような変圧器によるAC入力電圧12の単相への整流接続等のコントローラ電圧を供給するその他の構成を用いることもできる。
【0047】
図12の電源PS7は、同じ識別番号を有する構成要素を有する電源PS6と同様である。出力ステージIIIは、電極Eと被加工物Wとの間にDC電流を流すチョッパ230である。電流分流器Sは、帰還信号Cをコントローラ210に供給する。ステージIIの高速スイッチングインバータ240は、一次巻線252と二次巻線254とを有する変圧器250によってもたらされる絶縁に関してこれまで説明した特徴を有する。DC/DCコンバータ240の一次側は、一次巻線252に交流電流を流すスイッチングネットワークである。二次側254からの整流出力は、コンバータ240の第2の部分または二次側である。コンバータ240は、コントローラ194によって設定されるデューティサイクルまたは位相シフトを有する高速スイッチングインバータを用いる。スイッチング周波数は、この電源の実際の態様においては、約100kHzである。デューティサイクルは、チョッパ230による溶接動作の間、同じままであるが、インバータのデューティサイクルまたは位相シフトは、コントローラ194を調節する出力262を有する“ADJ”回路260によって示すように調節することができる。デューティサイクルは、スイッチのペアが、インバータ240の一次側における最大時間、導通するように100%に近い。
【0048】
しかし、第1のDCバス14と第2のDCバス20との一定の関係を変えるために、回路260は、デューティサイクルまたは位相シフトを調節するのに用いることができる。従って、非調整型の絶縁インバータ240は、異なるが、固定されたデューティサイクルを有するように変えられる。しかし、デューティサイクルは、通常、ほとんど100%に近いため、スイッチのペアは、本質的に同時に作動する。デューティサイクルは、上記3ステージ電源の通常の用途においては、80〜100%で変化する。新規な電源の好適な実施においては、図4に示すブーストコンバータ62が、力率補正入力ステージIのために用いられる。このブーストコンバータは、上述したような制御電圧182を有するコントローラ190に従って作動する。わずかな変更例によれば、電源270は、単相の一方の相または三相AC入力12にわたるライン272、274によって接続された変圧器を有する。電源270の整流器及びフィルタは、必要に応じて、ライン182の制御電圧の代わりの使用のために、最適な点線276に低制御電圧を生成する。これら2つの代替例は、電源PS7の動作特性に影響を及ぼさない。電気アーク溶接用の3ステージ電源の他のこのような変更例は、上述の説明及び溶接分野における公知の技術から得ることができる。
【0049】
入力ステージIは、通常、図4〜図8に開示したように、整流器及び力率補正DC/DCコンバータを含む。これらの入力ステージは、入力12として表わす様々な大きさの三相及び単相AC信号に用いることができる。三相AC入力電力のための入力ステージのある態様は、図13〜図16における回路に関して開示されている。それらの回路の各々は、低高調波ひずみ率及び入力ステージに対する高力率で得られる三相入力及びDCバス出力(DC#1)を有する。図1〜図12の開示は、一般に、上記新規な3ステージ電源に適用可能であるが、使用する特定のステージIは、従来の2ステージ電源及び新規な3ステージ電源の両方に関連する。図13において、ステージIの入力回路300は、出力リード302a、302bを有する三相整流器302を含む。ブーストスイッチ310は、インダクタ312、ダイオード314及び並列コンデンサ316と直列である。
【0050】
一般的な力率補正チップである適切な回路320は、入力電圧を決める入力322と、調節フィードバックライン322aと、ブーストスイッチを作動させて、入力12の電流を入力電圧と概して同期させる出力324とを有する。このチップは、本発明に用いることができ、かつ一般的な2ステージ電源にも用いられる標準的な力率補正ブーストコンバータチップである。同様に、図14に示す入力回路330は、上述したような出力リード302a、302bを有する三相整流器302を有する。インダクタ350、ダイオード352、354及びコンデンサ356、358を含むブースト回路は、回路330の出力における電流及び入力電圧12の調整を実行できるスイッチ340、342と共に用いられる。この目的を実現するために、標準的なチップ360は、入力366における検知電圧及びライン367、368におけるフィードバック調節信号に従って、ライン362、364にゲートパルスを生成する。このことは、2ステージ電源または上記新規な3ステージ電源の入力を生成するタイプの力率補正を可能にする一般的な技術である。三相入力に対して作動した場合、能動三相回路300、330が、約0.95の入力力率を実現できることが分かっている。単相AC入力を有する場合のステージIの力率は、約0.99まで上方に補正することができる。
【0051】
三相電源は、低いレベルの方に対してのみ一般に補正することができないため、2ステージまたは3ステージ電源の入力ステージIのための受動回路が、能動力率補正回路の性能といくらか釣り合っていることが分かっている。標準的な能動回路400を図15に示し、三相の各々は、DC電流を出力リード302a、302bを介して、インダクタ412及びコンデンサ414を含むフィルタ回路に流す三相整流器302によって整流される。図15に示すような受動回路が、三相入力の力率を、約0.95程度のレベルに補正することができることが分かっている。これは、三相入力回路のための能動回路の性能とやや似ている。バック+ブースト入力回路420を図16に示す。ライン302a、302b上の整流電流は、まず、ブーストスイッチ440を作動させるチップ434も操縦する、入力12からの電圧波形信号を有するライン432を有する標準的な力率補正チップ430を用いて、スイッチ422により取り入れられる。スイッチ422、440は、インダクタ450、ダイオード452及びコンデンサ454を含む回路を用いて入力力率を制御するために、同時に作動される。回路300、330、400及び420は、標準的な技術、および入力電圧波形及びDC#1の電流によって制御される使用可能なスイッチを用いた標準的な三相受動力率補正回路である。図13〜図16は、上記3ステージ電源の第1ステージに対して実行できるある変更例を例証する。当然、力率を改善し、かつ電気アーク溶接機の電源を駆動するのに用いられるタイプのDC及びAC信号の高調波ひずみを低減するその他の技術もある。
【0052】
ステージIIの非調整型インバータAは、種々のインバータ回路を用いることができる。好適な回路を図17に示し、インバータは、絶縁変圧器250の一次巻線252に対する入力によって形成される第1の部分または一次側と、二次巻線254の出力によって形成される第2の部分または二次側との間で分割されている。まず、インバータAの第1の部分または一次側について説明すると、ペアのスイッチSW1/SW2及びSW3/SW4が、コンデンサ548の両端にあり、リード502、504によって接続されているフルブリッジ回路500が用いられている。これらのスイッチは、それぞれ、ライン510、512、514及び516上のゲートパルスによって交番順に通電される。コントローラ194は、ライン510〜516にゲートパルスを出力し、かつ上述したように、回路260からのライン262上の論理によって決まる調節されたデューティサイクルを出力する。デューティサイクルは、ライン510、512及びライン514、516の位相シフトを変えることにより制御される。
回路260は、上記ペアのスイッチのデューティサイクルまたは位相シフトを調節する。この調節は、インバータAの動作中、固定される。実際には、回路500は、約50%のデューティサイクルまたは位相シフトを有し、この場合、各スイッチのペアは、導通の最大期間を有する。デューティサイクルは、好ましくは、約100%または80〜100%である。コントローラ194は、上述したように、ライン196で示す適当な電源からの制御電圧を有する。回路500の動作時、交流電流が一次巻線252を介して流れる。この電流は、通常、少なくとも約100kHzの超高周波を有するため、構成要素のサイズ、重量及びコストを低減することができる。この高いスイッチング周波数は、溶接動作によって必然的に決まるものではないが、上記3ステージ電源の非調整型ステージAの効率のために選択される。インバータAの第2の部分または二次側は、同期整流素子522、524を有する整流器520である。同期整流素子は、通常の電気工学においては公知であり、本願明細書に援用するBoylanの米国特許第6,618,274号明細書に記載されている。
【0053】
これらの素子は、標準的な技術に従って、二次巻線254の対向端部に形成されたライン526、528上の信号によって制御される。リード530、532及び534は、リード20a、20bの両端にDC電圧(DC#2)を生成する整流器520の出力リードを形成する。電流は、チョーク544によって平滑され、標準的な溶接技術に従ってコンデンサ546の両端に生じる。インバータAは調節されず、これは、溶接動作からの実時間帰還信号によって調節されないことを意味する。インバータは、単に、DCバス12(DC#1)をDCバス20(DC#2)に変換する。この変換は、インバータAを用いた電源の非調整型の第3ステージに向けられる電圧の実質的な低減を可能にする。この電圧の低減は、変圧器250の巻線比によって基本的に決まり、好適な実施形態において、比は、約4:1である。従って、出力バス20上の固定電圧は、上記第1ステージの出力バス12上の固定電圧の約1/4である。非調整型ステージのいくつかの利点は、背景情報として本願明細書に援用する、Dr.Ray Ridleyの“The incredible Shrinking(Unregulated)Power Supply”という論文に含まれている。基本的な利点は、周波数を100kHz超まで増加させて、インバータステージのサイズ及びコストを低減する能力である。
【0054】
本発明の新規なステージIIを構成する非調整型インバータAに対しては、様々な回路を用いることができる。特定の種類のインバータは、制御されていない。いくつかのインバータを用いてきた。図18〜図21にいくつか示しておく。図18において、インバータAは、変圧器250の一次側にフルブリッジ回路600を用いるように示されている。スイッチ及びダイオードの並列回路602、604、606及び608は、図17に示すインバータAの態様に関して説明したように、標準的な位相シフトフルブリッジ技術に従って作動する。直列スイッチ回路610、612及び614、616を有するカスケードブリッジを用いたインバータAの内部機構の変更例を図19に示す。
【0055】
これらのスイッチ回路は、ハーフブリッジと同様に作動し、コンデンサ620と並列で、ダイオード622、624と直列のスイッチング回路にエネルギを供給する入力コンデンサ548a、548bを含む。2つのスイッチ回路は、直列であるため、図17のフルブリッジインバータのための技術と同様の位相シフト制御技術を用いた場合には、個別のスイッチの両端に、低減された電圧が生じる。この種のインバータスイッチングネットワークは、3レベルインバータとも呼ばれることがあるカスケードブリッジを用いたインバータが示されている、本願明細書に援用するCanales−Abarcaの米国特許第6,349,044号明細書に例示されている。スイッチ630、632が、変圧器250aの一次巻線の部分252aにパルスを供給する二重フォワードインバータを図20に示す。同様に、スイッチ634、636は、第1の部分252bに反対極性のパルスを供給するために、同時に作動する。交流パルスは、二次巻線254に絶縁されたDC出力を生成するために、変圧器250aの一次巻線にACを生成する。
【0056】
標準的なハーフブリッジ回路は、図21のインバータAの構造のように示される。このハーフブリッジは、交互にスイッチングされて、変圧器250の一次巻線252にACを生成するスイッチ640、642を含む。二次側の絶縁されたAC信号が整流されて、DC#2としてリード20a、20b上に出力されるように、変圧器250の一次巻線にAC信号を供給するために、これら及びその他のスイッチング回路を用いることができる。ある典型的で標準的なスイッチングネットワークの単なる説明は、徹底的なものであるとはみなされないが、まさに例証であるとみなされる。溶接電流の制御は、上記第2ステージでは実行されない。このステージでは、高電圧を有するDCバスが、第3ステージを駆動するための低電圧を有する固定DCバス(DC#2)に変換され、第3ステージは、電気アーク溶接に適した電流を供給する調節型ステージである。電気アーク溶接は、プラズマ切断のコンセプト等の他の溶接関連用途を含み、かつ含むように意図されている。上記3つのステージに用いられる種々の回路は、3ステージ電源である基本的な構造のための様々な構造を構成するように組み合わせることができる。
【0057】
(2)次に、図22〜図29を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1〜図21に示しかつ記載した3ステージ電源は、電気アーク溶接の技術における実質的な進歩を構成する。本発明は、図22に示すようにモジュラー化した構造に形成した、図11に概して示したような、この新規な3ステージ電源を含む。電源700は、単一のベース上の固定アセンブリフレームを構成する第1のモジュール702を含む。このモジュールは、第1の入力ステージ62と、非調整型インバータAの形の絶縁ステージまたは第2のステージとを含む。図11に示すように、コントローラ190及びコントローラ194等の2つのステージ内に示す2つのコントローラは、ライン192、198を介して制御信号を、モジュール702の2つの別々のステージへ流す。第1のモジュール702の出力は、ライン20a、20b(DC#2)である。この出力電圧は、独立した第2のモジュールまたはフレーム704へ向けられる。第2のフレームは、図11及び図22にチョッパ30として示されている、コントローラの出力第3ステージを支持する。溶接コントローラ210は、入力ライン212上の信号を介して、チョッパ30の出力を制御する。この信号は、コントローラ210内の波形整形器または波形ジェネレータの指示の下で、パルス幅変調器によって生成される。
【0058】
コントローラ210への電力は、ライン204、206による第2のDCバスによって供給される。分流器Sからの帰還電流信号は、溶接動作の出力電流または溶接電流を表す、ライン706a上の信号を生成する電流センサ回路706によって受取られる。同様に、電圧センサ回路708は、溶接動作のアークの両端の電圧を検知して、溶接電圧を表す信号をライン708a上に生成する。これら2つの信号は、ライン212上のチョッパ入力信号を決めるために、コントローラ210のフィードバック回路へ向けられる。出力第3ステージを、独立したモジュール704上に設けることにより、このモジュールは、異なる溶接動作を実行する電源を変更するために、替えることができる。さらに、異なるチョッパを、電源700の第3ステージとして用いることができる。電源は、単一のモジュールに設けられているのではなく、入力モジュール702と、別の最終ステージの電源704とに設けられている。この新規なモジュラー化した構造の他の利点は、図28及び図29に示す本発明の実施において議論することにする。
【0059】
図23及び図24は、モジュール704での使用のための2つの出力回路を示す。図23において、チョッパ710は、ライン212上の信号によってコントローラ210により作動される交換可能なモジュール704上に設けられている。チョッパ710は、ライン212上の高周波信号によって制御される電力スイッチ712を含む。信号は、コントローラ210内のパルス幅変調器によって生成される。電力スイッチ712は、入力リード20a、20bからの電流をチョーク714を介して流して、電極Eと被加工物Wとの間で溶接動作を実行する。フィルタコンデンサ718は、チョッパ710への電圧信号を制御するために、DCバスまたはリード20a、20bにわたって接続されている。この出力チョッパは、図22の3ステージ電源700に対して、入力リード20a、20bに取り外し可能に接続されている。従って、上記3ステージ電源は、出力チョッパを有する。出力チョッパは、本発明の好適な実施形態であるが、独立したモジュール704は、図24に示すSTT回路730等の他の出力回路を含むこともできる。
【0060】
このSTT回路は、電流パルスをチョーク734を介して、電極Eと被加工物Wとの間の溶接動作へ向ける電力スイッチ732を含む。ライン212上の信号は、溶接動作におけるSTTパルス特性を決める。STT波形または特性は、リンカーン・エレクトリック・カンパニーに独自のものであり、本願明細書に援用する、Parksの米国特許第4,866,247号明細書等のいくつかの特許に記載されている。STT回路730は、短絡金属転移が、電極と被加工物との間のメタルネックの破裂に近づいたときに、入力740aを活動化させる予告スイッチ740を含む。破裂が起きる直前に、スイッチ740は、短絡した溶融金属を分離するための電流を増加させるために閉じられる。スイッチが開いたとき、抵抗器742は、チョーク734及び電極Eを含む直列回路に接続される。コンデンサ744は、スイッチが開いて、電流が抵抗器742に流れたときに、スイッチ740の両端の電圧を制御する。ダイオード746は、抵抗器742の逆方向電流を防いでコンデンサ744を放電させる。入力フィルタコンデンサ738は、リード20a、20bによって形成されるDCバスの間に接続されている。STT溶接動作を電源700によって実行する場合、図24に示すモジュール730は、図23に示すチョッパモジュール710と取って代わるために用いられる。これらの図は、異なる溶接動作を実行するための、モジュール704の出力回路の互換性を示す。
【0061】
本発明の他の態様は、モジュール704での使用のための新規な出力チョッパである。この新規な出力チョッパを図25に示し、チョッパ750は、デュアルモードの動作を有する。チョッパは、2つの別々の極性経路を有する。第1の経路は、ライン762上の制御パルスによって作動する極性スイッチ760を含む。ライン766上のゲートパルスを受取り、かつフリーホイールダイオード788を有する変調スイッチ764は、極性スイッチ760及びチョーク770と直列になっている。極性スイッチ760及び変調スイッチ764の作動は、電極Eと被加工物Wとの間のギャップにわたって、第1の極性方向に電流を生じさせる。第2の経路は、反対極性の溶接アークにわたって電流を生成し、かつライン782上のゲートパルスを受取る極性スイッチ780を含む。対応する変調スイッチ784は、ゲート信号ライン786と、フリーホイールダイオード768とを有する。第2の極性経路内のチョーク790は、第1の極性経路内のチョーク770に対応する。スイッチ信号制御デバイス800は、第1の極性経路を作動させるために、ライン762及びライン766に信号を生成する。同様に、ライン782及びライン786の信号は、反対極性経路に電流を生じさせる。制御部800は、発振器802によって決まる周波数を有し、かつディジタル方式で、上記コントローラ内にパルス幅変調器を含む。
【0062】
デバイス804は、動作のモードを選択する。このデバイスは、極性経路の一方が、正方向または負方向のいずれかで、単に標準的なチョッパ回路を形成するように作動することを可能にする。2つの極性経路を交番させることにより、AC信号が生成される。変調スイッチ764、784は、本質的に、チョッパ750における2つのモードの電力スイッチである。これは、AC出力を生成するチョッパ回路である。図9に示すような独立した種類の異なる極性スイッチは必要ない。デュアルモードチョッパ750は、電気アーク溶接に対して新規であり、極性を逆にすることができ、かつACモードで作動することができるチョッパを本質的に用いる。従って、電極Eと被加工物Wとの間の溶接動作は、異なるモードの間で変えることができると共に、同じ回路を用い、チョッパコンセプトの利点を備えている。チョッパ750は、ACモードで作動した場合、図26に示す従来のAC溶接電源にまさる実質的な改良となる。
【0063】
この従来のユニットは、二重フォワード電圧降下を伴う独立した極性経路を有するフルブリッジ出力回路である。チョッパコンセプトはない。電圧810は、DCリンク820、822を出力DCバス830、832に変換するのに用いられるインバータ812によって駆動される。このDCバスは、チョーク834を介してフルブリッジを駆動する。ブリッジ810は、リードaにより作動されるスイッチ840、842と、リードbにより作動されるスイッチ850、852とを有する。これらのスイッチへの信号は、電力スイッチからなる2つのセットの間で交番させるコントローラ860によって生成され、電力スイッチは、それぞれ、逆並列ダイオード840a、842a、850a、852aを有する。図25に示すデュアルモードチョッパは、AC動作だけではなく、出力変調も実行できる。このことは、ブリッジ810にまさる実質的な改良であり、入力インバータ812を必要としない。図23、図24及び図25に開示されている出力モジュールは、いずれも、図22に示すように、上記3ステージ電源700に用いることができる。これらの回路のうちの1つを有するモジュール704は、2ステージ入力モジュール702に接続された出力ステージとして用いられる。
【0064】
本発明の他の態様によれば、モジュール704の出力チョッパは、図27に最もよく示されているように、ソフトスイッチング回路900を備えている。図23のチョッパ710は、発振器882によって制御される周波数で、パルス幅変調器880により駆動される電力スイッチ712を有する。パルス幅変調器880の出力880aは、ライン706a上にフィードバック回路信号を有する、ライン886上の波形整形器または波形ジェネレータからのコマンド信号を比較するコンパレータ884による制御の下で、入力880bにより制御される。これは、チョッパにとって通常の動作である。ソフトスイッチング回路900は、共通して用いられるソフトスイッチング回路である。回路は、上記電力スイッチ及びダイオードD4の両端の電流を制御するインダクタ902を含む。
【0065】
コンデンサ906は、スイッチング動作中の電力スイッチの両端の電圧を制御する。コンデンサ904及び906は、図27に示すように、ダイオードD1、D2、D3及びD4を用いて接続されている。これらのコンデンサは、スイッチ712の両端の電圧を制御する。インダクタ902は、ダイオードD4を通る電流を制御する。従って、電力スイッチ712及びダイオードD4は、スイッチング動作中に、電流及び電圧の両方でソフトスイッチングされる。この回路は、“Properties and Synthesis of Passive,Loseless Soft−Switching PWM Converters”というタイトルのカリフォルニア大学の論文に掲載されている。この1997年5月の論文は、共通に用いられる回路900の動作をさらに説明するために、本願明細書に援用する。チョッパ710は、本質的に、電力スイッチのターンオン及びターンオフシーケンス中の電流及び電圧の両方を制御するソフトスイッチング回路を有する電力スイッチを有する。同じタイプのソフトスイッチング回路は、デュアルモードチョッパ750の電力スイッチ760、780に用いられている。換言すれば、モジュール704の出力チョッパは、ソフトスイッチング回路を備えており、このソフトスイッチング回路は、スイッチング動作中の適当なときに、電圧及び電流の両方を制御する。
【0066】
図28及び図29は、電源700をモジュラー化することの2つの利点を説明するものである。図28において、モジュール704は、出力電力ステージ920を備えており、出力電力ステージ920は、図23に示すようなDCチョッパ、図25に示すようなACチョッパ、または、図24に示すようなSTT回路とすることができる。本発明を用いることにより、異なるタイプの電源を構成するために、異なるモジュール704を入力モジュール702に接続することができ、上記新規な3ステージ構造を維持できる。コントローラ922は、図11及び図22に示すコントローラ190、194の機能を兼ね備え、ライン924から制御電圧を受取る。次に、図29について説明すると、本発明のモジュラー化した3ステージ電源を用いることの第2の利点が示されている。2つの独立した入力モジュール702a、702bは、2つの入力モジュールからの出力リード20a、20bを相互接続することによって並列に接続されている。従って、チョッパ30は、単一のモジュール702から利用できるレベルよりも高い入力レベルを有する。当然、チョッパ30の入力に相当量の溶接電流を生成するために、2つを超える入力モジュールを用いることができる。図29において、電源700aは、出力ライン192a、198a及び出力ライン192b、198bを介してコントローラ930により同時に制御される2つの入力モジュール702a、702bを含む。制御電圧は、それぞれ、ライン932、934により、モジュール702a、702b内のDCバスによって生成される。従って、本発明のモジュラー化された3ステージ電源を用いることにより、出力ステージを選択的に変えることができ、あるいは、入力ステージを並列にすることができる。小さなモジュールの並列化は、広範な電力レベルに必要なモジュールの数を低減する。モジュラー化の2つの利点を、図28及び図29に示す。用途の幅広さをもたらすと共に、図1〜図21に示す新規な3ステージ電源の利点を維持する他の利点は明白である。
【0067】
(3)以下に、図30〜図41を参照して、本発明の溶接方法について説明する。
図1〜図21に開示した新規な3ステージ電源及び図25に示す新規なデュアルモードチョッパは、多くの溶接プロセスを実行するために開発されてきた。図30〜図41は、それらの溶接プロセスを伴うそのような電源の組合せを示す。図30において、サブマージアークMIG溶接プロセス1000は、出力リード1012、1014を有する新規な3ステージ電源1010を用いる。リード1014は、標準的な技術に従って、接地リードとすることができる。サブマージアーク溶接プロセスは、多量の粒状フラックス材1020を用いて、被加工物WPにおいて、被加工物及び周囲に沿って移動可能な電極Eを必要とする。電極Eが被加工物WPに対して移動すると、電極は、凝固する前に、溶接アーク及び溶融金属たまりを保護するために、粒状フラックス1020をかき分けて進む。本発明の一つの態様によれば、溶接プロセスは、図1〜図21に開示した3ステージ電源によって実行される。本発明の一実施形態において、電極Eは、図31に示すようなフラックスコア電極であり、電極は、フラックスを含有する内部コア1032を囲む外部金属シース1030を含むワイヤである。フラックスコア電極は、シース1030のスチールと合金をつくる粒状物質も含んでいる。合金物質の含有は、“フラックスコア”電極であるという電極の明確な限定を変えない。
【0068】
フラックスがない場合、電極は、シース1030によって囲まれた、粒状形態の金属合金材を有する“有心”電極となる。本願明細書に開示したいくつかの溶接プロセスは、固体ワイヤ、金属コア電極またはフラックスコア電極を用いることができ、フラックスコア電極は好適であり、図31に概略的に示す。
【0069】
本発明の別の態様によれば、図1〜図21の3ステージ電源は、図31に示すようなタンデム溶接プロセス1050と共に用いられる。このプロセスは、出力リード1062、1064を有する3ステージ電源1060を用いる。溶接信号は、被加工物WPに沿って方向Dに移動可能な電極E1に向けられる。第2の電極E2は、出力リード1082、1084を有する3ステージ電源180から溶接信号を受取る。両電源のこれらの出力リードは、リード1086によって被加工物WPに接続されている。電極E1及び電極E2を被加工物WPに沿って方向Dに移動させることにより、タンデム電極溶接が実行される。このプロセスは、粒状フラックス1090を用いたサブマージアークプロセスとして示されている。図32のMIGタンデムプロセスは、サブマージアークプロセスである必要はなく、図31に示すように、単にフラックスコア電極を用いることができる。サブマージアーク溶接プロセスの粒状フラックスを用いた場合、電極は、一般に、固体金属または金属コアである。
【0070】
本発明の3ステージ電源は、図33に示すTIG溶接プロセス1100等のどのような溶接プロセスとも組み合わされる。電源1110は、電極Eと被加工物WPとの間に出力リード1112、1114を有する。TIG溶接プロセスは、タングステン電極Eを用い、電極Eは、溶接中に消耗されない。TIG溶接プロセスに追加的な金属を与えるために、フィラー金属ロッドFを用いることができる。一般的なMIG溶接プロセス1120のための3ステージ電源の同様の組合せを図34に示す。電源1122は、出力リード1124、1126を有する。電極Eは、スプール1130として示す供給部に入れられた溶接ワイヤ、フラックスコアまたは他の手段である。従って、溶接ワイヤWは、コンタクトチップ1132を通って、被加工物WPにおける溶接プロセスに入っていく。標準的なMIG技術によれば、リード1124は、溶接信号を電極Eに向けるために、コンタクトチップ1132に接続されている。この一般的なMIG溶接プロセスは、図1〜図21に開示した3ステージ電源と組み合わせて使用する。
【0071】
図35及び図36に示す種々の溶接出力信号が、図1〜図21に開示した新規な3ステージ電源または図25に示すデュアルモードチョッパによって生成される。図35において、AC溶接信号1200は、正の部分1202と負の部分1204とを含む。これらの部分は、波形技術により生成される近接して離間した一連の電流パルス1210によって生成され、この場合、各パルスの大きさは、波形整形器または波形ジェネレータの制御の下で、パルス幅変調器によって決定される。これは、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニーが先駆者である標準的な技術によるものである。図35のAC溶接信号は、図36に示すようなDC溶接信号1250と置き換える事ができる。ピーク電流1252は、正極性または負極性のいずれかの固定値とすることができる。図示の実施形態において、溶接信号1250はパルス信号であり、ピークレベル1252には、増加部1254が先にあり、減少部1256が後に続いている。このことが、バックグラウンドレベル1258を超えるパルスをもたらす。本発明の好適な実施形態によれば、波形は、波形整形器または波形ジェネレータの制御の下で、パルス幅変調器によって生成される一連の個々の電流パルス1260によって生成される。
【0072】
図30〜図36に示したプロセスと電源の組合せは、好ましくは、図25に示すような新規なデュアルモードチョッパ出力ステージによって実行される。このコンセプトを図37及び図38に示す。図37において、粒状フラックスを用いることにより、サブマージアークプロセスとすることができるMIG溶接プロセス1300は、非調整型絶縁DC/DCコンバータからの出力信号をデュアルモードチョッパ1314へ流す入力2ステージモジュール1312を有する3ステージ電源1310と組み合わされているものとして示されている。チョッパ1314を駆動するDC信号は、ライン1316にある。リード1320上の出力溶接信号は、図35及び図36に示すような信号である。溶接信号は、MIG溶接プロセス1300のために、コンタクトチップ1132に接続されている。電源1310と組み合わされたTIG溶接プロセス1350を図38に示す。様々な構成要素に対してこれまで用いてきた数字を図38で用いる。図35及び図36に示すような溶接信号は、出力リード1320によって、タングステン電極Eへ流れる。フィラー金属ロッドFは、DC TIG溶接プロセス中に、追加的な金属を与えるために用いられる。一般に、このフィラー金属は、AC TIG溶接には用いられないが、それも使用可能である。一般的なMIG溶接プロセス1300及び一般的なTIG溶接プロセス1350は、それぞれ図37、図38に示すように、図25に開示したデュアルモードチョッパ710を用いた新規な組合せである。
【0073】
デュアルモードチョッパ750は、図25に示すように、組み合わされた溶接プロセスを実行するために、様々な絶縁入力電源からのDC信号によって駆動することができる。一般的なDC駆動信号の利用を図39〜図41に示し、これまで使用したのと同じ数字は、同じまたは同様の構成要素に対応する。MIG溶接プロセス1400を図39に示し、一般的なDC入力1410は、コンタクトチップ1132においてACまたはDC溶接信号を生成するために、デュアルモードチョッパ1314によって変換される。図39のMIG溶接プロセス1400は、図40のサブマージアークMIG溶接プロセス1420に変換される。この変換は、電極Eの周りに粒状フラックス材1422を付加して、溶接プロセスのアーク及び溶融金属たまりを保護することにより実施される。一般的な入力DC駆動信号1410を伴うデュアルモードチョッパは、図41に示すTIG溶接プロセス1430を可能にする電源と組み合わされる。リード1320上のACまたはDC溶接信号は、被加工物WPにおけるTIG溶接のために、タングステン電極Eによって用いられる。
【0074】
図30〜図41に示すように、図1〜図21に示す新規な3ステージ電源及び図25に示す新規なデュアルモードチョッパは、新規な方法を生み出すために、ある溶接プロセスと組み合わされ、新規な方法は、本発明の他の態様を構成する。図30〜図41に示す方法は、溶接プロセスを、本発明の新規な電源と組み合わせるという本発明を開示している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】3ステージ電源を示し、かつ本発明により改良された3ステージ電源の一実施形態を開示するブロック図である。
【図2】3ステージ電源の別の実施形態を開示する、図1と同様のブロック図である。
【図3】3ステージ電源の別の実施形態を開示する、図1と同様のブロック図である。
【図4】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図5】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図6】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図7】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図8】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図9】図9(A)は、出力ステージがAC溶接電流を生成する、3ステージ電源の後の2ステージを示すブロック図、図9(B)は、図9(A)に示す3ステージ電源で用いる波形技術制御回路のブロック図と、3つの溶接波形を示すグラフである。
【図10】出力ステージがDC溶接電流である、3ステージ電源の第2及び第3ステージを示すブロック図である。
【図11】2つの独立したコントローラ制御電圧供給源によって、電気アーク溶接に適した電流を生成する、3ステージ電源の構造を示すブロック図である。
【図12】本発明が注力する構造を用いる特定の3ステージ電源を示すブロック図である。
【図13】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図14】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図15】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図16】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図17】本発明が注力する3ステージ電源の新規な第2ステージを構成する非調整型インバータの好適な実施形態を示すブロック図と配線図を兼ねる図である。
【図18】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図19】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図20】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図21】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図22】本発明のモジュラー化した3ステージ電源を説明する配線図である。
【図23】図22に開示した本発明の出力モジュールとして用いられる標準的なチョッパの配線図である。
【図24】図22に示す本発明の出力モジュールに用いられる標準的なSTT回路である。
【図25】本発明の別の態様を構成し、かつ図22に開示した本発明の出力モジュールとして使用可能な新規なデュアルモードチョッパ回路である。
【図26】図25の新規なチョッパ回路によって改善されるAC溶接電流を得る従来の出力回路の配線図である。
【図27】電力スイッチの波形技術の制御を伴い、かつ電力スイッチのための共通に使用されるソフトスイッチング回路を備える、図23に示すような出力チョッパの詳細な配線図である。
【図28】図22に示す好適な実施形態の1つの効果を示す、ブロック図と配線図を兼ねる図である。
【図29】図22に示す好適な実施形態の別の効果を示す、ブロック図と配線図を兼ねる図である。
【図30】サブマージアーク溶接プロセスと組み合わせた新規な3ステージ電源の概略図である。
【図31】図30及び図32〜図41に概略的に示した組合せ方法で好ましくは用いられる有心電極を示す部分的な図である。
【図32】サブマージアーク溶接として図示されているタンデム溶接プロセスと組み合わされた2つの新規な3ステージ電源の概略図である。
【図33】ACまたはDCのいずれかのTIG溶接プロセスと組み合わされた新規な3ステージ電源の概略図である。
【図34】ACまたはDCのいずれかのMIG溶接プロセスと組み合わされた新規な3ステージ電源の概略図である。
【図35】本発明の新規な3ステージ電源または新規なデュアルモードチョッパによって生成されるAC出力溶接信号の電流図である。
【図36】信号を正または負のいずれかとすることができる、本発明の新規な3ステージ電源または新規なデュアルモードチョッパによって生成されるDC出力溶接信号の電流図である。
【図37】MIG溶接プロセス、サブマージアーク溶接または他の方法と組み合わされた3ステージ電源における新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図38】ACまたはDCのいずれかのTIG溶接プロセスと組み合わされた新規な3ステージ電源の出力としての本発明の新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図39】MIG溶接プロセスと組み合わされた、一般的なDC入力信号を伴う新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図40】図示したMIG溶接プロセスがサブマージアークプロセスである、図39に示したような新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図41】ACまたはDCのいずれかのTIG溶接プロセスと組み合わされた、図39、図40に示したような、本発明の新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【符号の説明】
【0076】
700 電源
702 入力モジュール
704 出力モジュール
750 デュアルモードチョッパ
760、780 電力スイッチ(極性スイッチ)
764、784 変調スイッチ
800 スイッチ信号制御デバイス
802 発振器
920 出力電力ステージ
E 電極
W 被加工物
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アーク溶接の分野に関し、より具体的には、そのような溶接のためのモジュラー電源及び溶接機のための新規なデュアルモードチョッパ出力ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
電気アーク溶接は、金属電極と被加工物との間にACまたはDC電流を流すことを必要とし、この場合、金属電極は、通常、有心金属ワイヤまたは固体金属ワイヤである。電源は、アークが、繰り出される溶接ワイヤの端部を溶融して、その溶融金属を被加工物に付着させるように、所定の電流パターンおよび/または繰り出す電極ワイヤと被加工物との間の極性を生成するのに用いられる。電源には、様々なコンバータ技術が用いられるが、最も有効なものは、インバータをベースとする電源であり、この場合、スイッチングネットワークは、高周波で作動して、溶接プロセスのための所望の波形または電流レベルを生成するスイッチを含む。インバータタイプの電源は、Blankenshipの米国特許第5,278,390号明細書で論じられており、インバータは、本発明の好適な実施形態に従って作動する。この好適な作動手順は、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニー(The Lincoln Electric Company)により開発された“波形制御技術”を含む。この技術では、実際の波形は通常18kHz超の周波数で生成された一連の短パルスによって発生し、この短パルス群は波形ジェネレータによって制御される特性を有する。この公知のインバータ制御技術は、本発明の好適な実施形態に用いられ、また、詳細に説明する必要はない。
【0003】
標準的な電源技術によれば、電源のインバータステージへの入力信号は、サイン波電源からの整流電流である。適当な力率補正コンバータは、共通の実施であり、Kookenの米国特許第5,991,169号明細書に示されているように、インバータスイッチングネットワーク自体の一部であるか、あるいは、Churchの同第6,177,645号明細書に示されているように、インバータステージの前に設けられている。実際に、力率補正コンバータまたはステージを有する電源は、長年にわたって、溶接技術において知られている。ブーストコンバータの形をとる、入力力率補正コンバータを用いる他の電源が、Churchの米国特許第6,504,132号明細書に示されている。Churchのこれら2つの特許及びKookenの特許は、背景情報として、および、本発明に関連する技術として本願明細書に援用する。Kookenの米国特許第5,991,169号明細書及びChurchの同第6,504,132号明細書において、実際の溶接電流は、出力チョッパまたはバックコンバータによって調整され、絶縁は、インバータステージの出力または入力ブーストコンバータの出力のいずれかにおける変圧器によって得られる。電源のためのこれらの様々なトポロジーは、アーク溶接技術においては常識である。これらの従来の技術の特許においては、実際の溶接電流、電圧または電力は、電源の出力ステージにおいて、または出力ステージの前で調整され、その出力ステージは、インバータまたはチョッパのいずれかである。インバータもチョッパも、本発明により前もって予期されているように、調整型溶接ステージを駆動する固定された低電圧DCバスを生成するように調整されている。
【0004】
溶接動作の絶縁は、ほとんどの溶接用電源の特徴である。「溶接」という用語は、「プラズマ切断」を含む。Vogelの米国特許第5,991,180号明細書においては、ブーストコンバータを用いたプリレギュレータが、溶接調整後に設けられた出力絶縁変圧器を有し、かつ溶接動作を直接駆動するチョッパとして開示されているコンバータに割当てられている。この電源において、チョッパネットワークは、所望の調整された出力溶接電流を生成するように制御され、絶縁は、出力ステージにおいて形成される。同様に、Thommesの米国特許第5,601,741号明細書は、実際の溶接動作に対して調整された出力信号を与えるパルス幅変調制御インバータを駆動するブーストコンバータを開示している。Vogel及びThommesの両米国特許においては、第2ステージが、プリレギュレータから溶接動作へ力率制御電流を流すように調整される。溶接調整は、第2ステージで行われ、通常、パルス幅変調制御回路によって駆動される。Vogel及びThommesの両米国特許は、背景技術として本願明細書に援用する。Moriguchiの米国特許第6,278,080号明細書においては、インバータ型電源が、所望の溶接電流を制御するように調整される。絶縁は、DC溶接動作として開示されている、制御された第2ステージのインバータと溶接出力との間の変圧器によって得られる。
【0005】
同様の電源は、Moriguchiの米国特許第5,926,381号明細書及びMoriguchiの同第6,069,811号明細書に示されており、制御電流のインバータステージからの絶縁は、インバータの出力において行われ、溶接動作を直接駆動する。Moriguchiの米国特許第5,926,381号明細書は、第1ステージのブーストコンバータの出力における電圧を用いて、調整型インバータステージまたはブーストコンバータ自体のいずれかのためのコントローラ電圧を供給する共通の構成を開示している。Moriguchiのこれら3つの特許は、従来技術の電源を示す背景情報として本願明細書に援用し、この場合、調整型インバータは、絶縁のために用いられる出力変圧器に向けられる制御された溶接電流を生成するために、入力ブーストコンバータまたは整流器のDC出力によって駆動される。上記絶縁変圧器の二次AC信号は、溶接動作に直接用いられる。ここには、本発明の新規な電源において用いられるような第3ステージトポロジーはない。
【0006】
次に、非溶接技術について説明すると、本発明の態様は、DC/DC第2ステージコンバータの出力に同期整流器素子を用いている。同期整流器は、共通の実施であり、1つのそのような整流器は、Boylanの米国特許第6,618,274号明細書に示されている。Calkinの米国特許第3,737,755号明細書は、低電力用DC/DCコンバータを開示しており、この場合、固定された調整電流は、非可変出力DC信号を供給するために、非調整型インバータに流される。入力DC信号が、インバータの固定出力DC信号を制御するために調整することができる唯一のパラメータであるように、非調整型インバータのいかなる制御も、インバータの入力側で行われる。このことは、インバータが、制御された固定出力信号を生成するように、信号のインバータに対する制御を必要とする仕組みである。これは、本発明の利用により予想されるのとは異なるコンセプトであるが、同期整流器及び非調整型インバータのバージョンを説明するために、Boylan及びCalkinの特許における非溶接の一般的な背景技術を本願明細書に援用し、この場合、いかなる調整も、入力DC信号のレベルを制御することにより、上記インバータの前で実行される。それらの特許のいずれも、溶接用電源に関係なく、同期整流器素子及び非調整型インバータ等の一般的な技術コンセプトとしてのみ本願明細書に援用する。最少の高調波ひずみを、コンバータに流れる電流に伝える非溶接2ステージAC/DCコンバータが、Smolenskiの米国特許第5,019,952号明細書に示されている。負荷は、可変ではなく、かつ溶接動作において要求されるような調整を必要としない。この特許は、電気アーク溶接用電源の要求に決して関連していない一般的な技術を説明するために援用する。
【0007】
これらの特許は、溶接動作によって調整すべき電源に関する本発明の背景を構成し、この場合、そのような調整は、実際の溶接動作の平均電流、平均電圧及び電力のフィードバックループによるものである。固定負荷電源は、一般的な技術情報としてのものを除いて、本発明に関係ない。
【0008】
従来、電源内のインバータは、電流、電圧または電力等の溶接動作におけるパラメータによって調整された溶接電流を出力していた。このインバータは、一般に、パルス幅変調器によって制御され、高周波で作動するスイッチのデューティサイクルは、デューティサイクルが実質的に100%未満に調整されるように、溶接動作からのフィードバックによって制御されていた。このタイプのPWM制御型インバータは、調整型単ステージインバータと呼ばれる。このようなインバータは、電源の出力を形成し、電源の最終ステージであった。より低いデューティサイクルは、より高い一次電流及びより大きい損失をもたらした。インバータの効率は、溶接に適した出力信号を生成するために、単ステージインバータの出力を調整するという要求によって生じるデューティサイクル調節により変化した。最終ステージが調整型単ステージインバータである電源を用いると、熱損失、低効率、高コスト及び構成要素のサイズの増大が生じていた。これらの理由のため、いくつかの溶接電源の製造者は、高コスト及び他の困難さを伴うためインバータを使用しないので、インバータ電源よりも良好な電源を市場に出していた。出力を絶縁し、かつ溶接に適した電流を生成する目的のために電流を調整するという2つの機能を有していたインバータステージは、回避すべきであった。背景として本願明細書に援用するHoversonの米国特許第6,723,957号明細書及びCanales−Abarcaの同米国特許第6,723,957号明細書を参照されたい。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,278,390号明細書
【特許文献2】米国特許第5,991,169号明細書
【特許文献3】米国特許第6,177,645号明細書
【特許文献4】米国特許第6,504,132号明細書
【特許文献5】米国特許第5,991,180号明細書
【特許文献6】米国特許第5,601,741号明細書
【特許文献7】米国特許第6,278,080号明細書
【特許文献8】米国特許第5,926,381号明細書
【特許文献9】米国特許第6,069,811号明細書
【特許文献10】米国特許第6,618,274号明細書
【特許文献11】米国特許第3,737,755号明細書
【特許文献12】米国特許第5,019,952号明細書
【特許文献13】米国特許第6,723,957号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、最初の2ステージが単一のモジュールであり、かつ第2のステージまたは出力ステージが独立した置換可能なモジュールであるように各ステージがモジュラー化されている、電気アーク溶接用3ステージ電源の提供である。
【0011】
本発明の別の目的は、電源が、モジュラー化された第1及び第2のステージを利用し、第1のモジュールを、単一の出力モジュールを駆動するために、並列に接続することができる、上記定義したような3ステージ電源の提供である。
【0012】
本発明のまた別の目的は、3ステージ電源が出力モジュールを有し、出力ステージの電力スイッチがソフトスイッチング回路を有する、上記定義したような3ステージ電源の提供である。ソフトスイッチング回路は、受動であり、かつスイッチング電圧及びスイッチング電流を制御する。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、電源が、DC正、DC負またはACで作動して、MIG溶接、TIG溶接、タンデム溶接及びサブマージアーク溶接のための出力溶接動作を制御することができる新規な出力チョッパモジュールを有する、上記定義したような3ステージ電源の提供である。
【0014】
本発明の他の目的は、MIG溶接、TIG溶接、タンデム溶接及びサブマージアーク溶接のための溶接動作を制御するために、出力ステージを、DC−、DC+、ACの間で変えることができる、電気アーク溶接に用いられる電源の出力ステージのための新規なデュアルモードチョッパの提供である。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、溶接プロセスを変更するために、電源を、多数の異なる第3ステージモジュールに適応させることができる、上記定義したような3ステージ電源の提供である。
【0016】
本発明のまた追加の目的は、3ステージ電源が、入力第1ステージと組み合わされ、かつMIG溶接、TIG溶接、タンデム溶接及びサブマージアーク溶接のための出力溶接信号(DC+、DC−、またはAC)を生成するのに用いられる、絶縁用の非調整型第2ステージを含む新規な3ステージ電源の提供である。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、新規なチョッパが、受動ソフトスイッチング回路を有する2つの電力スイッチを有する、上記定義したような新規なチョッパの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、電源のインバータが、従来のような第2ステージであるが、溶接に適した電流を生成する実際の調整を実行できるようにするために、第3ステージを付加することができるように調整されない、電気アーク溶接(プラズマ切断)用電源と共に利用される。この3ステージコンセプトを用いることにより、インバータは、非常に高周波のスイッチングで作動することができるのに対して、出力の第3ステージは、低周波のスイッチングで作動するチョッパとすることができる。従って、スイッチング周波数は、出力溶接電流の実際の調整に用いられるパルス幅変調インバータステージにおいて高周波を用いる必要性とは対照的に、ステージによって実行される機能によって最適化される。さらに、調整型第3ステージに対する絶縁された固定DC電圧は、入力コンバータステージからのDC電圧よりも実質的に低く、かつ実際の溶接出力電圧よりもかなり高くすることができる。
【0019】
本発明を利用する上記3ステージ電源は、パルス幅変調インバータが、単に、第2ステージのパルス幅変調インバータへの帰還信号を伴わずに、絶縁固定出力DCバスを生成する第2ステージである、電源のための新規な構造を含む。この絶縁されたバスは、溶接に適した電流を生成するための実際の溶接パラメータによって調整される第3ステージで用いられる。従って、本発明は、必要な絶縁をもたらすだけではなく、溶接調整がなされる第3ステージによって使用される固定DC出力バスを形成する非調整型第2ステージを含む。非調整型第2ステージインバータは、電源の動作中に固定されるデューティサイクルを伴って高周波で作動する。周波数は、18kHz超であり、好ましくは、約100kHzである。デューティサイクルは、様々なレベルで固定されるが、好適なデューティサイクルは、本発明の利用により得られる最大効率レベルをもたらす100%程度である。固定された高デューティサイクルの利用は、位相シフト変調器制御型インバータの第2ステージの電流環流時間を最少化して、熱を実質的に低減し、かつ効率を向上させる。上記第2の非調整型インバータステージの出力は、公知の同期整流器素子を用いることができる整流器であり、素子は、第2ステージの非調整型インバータの内部絶縁変圧器の二次巻線によって制御される。第2ステージの出力に同期整流素子を用いることにより、上記電源の総効率のさらなる改善がなされる。本発明を用いることにより、上記第1ステージは、入力整流器、または力率補正コンバータを有する入力整流器のいずれかとなる。第1ステージ力率補正コンバータが好適である。このコンバータは、標準的な整流器の後にあり、あるいは、整流器と組み合わせることができる。当然、このコンバータは、受動力率補正コンバータ、または、ブースト、バックまたはバック+ブーストコンバータ等の能動コンバータとすることができる。
【0020】
本発明の第1ステージは、固定電圧を有する第1のDCバスを形成する。上記電源に標準的な第1ステージを用いることにより、非調整型インバータへの入力DCバスである第1のDC出力信号は、約400〜900ボルトDCの値に調整及び固定することができる。新規な電源の第2ステージを構成する非調整型の絶縁インバータの出力は、第1ステージからの入力DCバスと一定の関係を有する固定DCバスである。第2のDCバスまたは出力の電圧は、実質的に、第1ステージからのDCバスの電圧よりも小さい。従って、電源は、上記力率補正コンバータからの入力DCバスと一定の厳密な関係を有する第2のDCバスを形成する。標準的な実施によれば、上記第2ステージの非調整型インバータは、二次巻線が電源の入力と絶縁されるように、一次巻線及び二次巻線を有する絶縁変圧器を含む。本願明細書に援用するSteigerwaldの米国特許第4,864,479号明細書を参照されたい。非調整型の第2ステージインバータは、第2ステージインバータの動作を最適化するようなスイッチング周波数で作動することができる。従って、上記新規な非調整型の第2ステージインバータの構成要素のサイズ及びコストを低減するために、非常に高いスイッチング周波数が用いられる。位相シフト制御を伴う一定のデューティサイクルを用いることにより、スイッチング素子における電圧及び電流サージは、ソフトなスイッチング動作を生じるように低減される。実際に、好適な実施形態において、デューティサイクルは、スイッチが完全にオンまたは完全にオフになるように、100%に固定される。このことは、上記第2ステージにおける環流電流を劇的に低減し、かつ上記電源の溶接出力と電源のAC入力を絶縁するという機能も実現できる第2ステージインバータの動作特性を大幅に向上させる。第2ステージの非調整型インバータにおけるスイッチング素子を完全にオン状態で作動させることにより、このインバータは、高効率を有し、かつ動作が非常にフレキシブルになる。絶縁変圧器は、非調整型の第2ステージの入力側の上記固定DCバス(上記第1ステージからの「第1の出力信号」)と、この第2ステージの出力のDC出力バス(「第2のDC出力信号」)の関係を決める。従来のいくつかの電源においては、調整型インバータの絶縁変圧器の一次巻線におけるデューティサイクルは、溶接動作によって調整される。本発明に用いられる新規な電源の第1ステージまたは第2ステージのいずれかにおける溶接動作による調整はない。
【0021】
上記電源の第2ステージの非調整型インバータは、システム絶縁を実行できるため、多くの種類の非絶縁型コンバータを力率補正プリレギュレータとして用いることができる。ブーストコンバータは、電流波形整形機能及びこの種の変換の連続ライン電流特性により、最もポピュラーなコンバータである。しかし、ブーストコンバータの出力電圧は、最も高いライン電圧のピークよりも高く、このピークは、775ボルト程にもなる可能性がある。すなわち、第2ステージが調整されず、絶縁を形成する3ステージ電源である他の能動力率補正レギュレータを、本発明に対して用いることができる。能動力率補正入力または第1ステージに対する他の選択肢のうちの1つは、第2ステージに対する一次電圧バスまたは入力バスを、電源に対する入力AC電圧信号のピークよりも低くすることができるような逓昇/逓降コンバータである。この種の力率補正コンバータは、低高調波を生じる。そのような力率コンバータは、バック+ブーストコンバータと呼ばれる。上記第2ステージに用いられる400〜500ボルトDCバスは、115ボルト〜575ボルトの入力AC電圧を用いて得られる。上記第1ステージへのAC電圧に関係なく、上記能動力率コンバータの出力電圧は、400ボルト〜500ボルトのレベルになるように制御される。他の種類の能動及び受動力率補正インバータを本発明に用いることができる。好適なコンバータは能動であり、それに伴って、第2の制御回路を要する第2のスイッチングネットワークを構成する。電気アーク溶接という用語を用いる場合、用語は、プラズマ切断等の他の出力プロセスも含む。
【0022】
ここまで説明したように、本発明を利用する上記電源は、電気アーク溶接用の3ステージ電源を含む。第3ステージにおける帰還制御は、溶接に適した出力電流を生成する。入力の第1ステージは、通常、第2のスイッチングネットワーク及び第2の独立した制御回路を要する能動力率補正コンバータである。この3ステージ構造は、従来技術においては用いられていない。この構造を持たせることにより、付加された第2ステージは、単に、第2ステージの一次側における高圧DCバスを、一次側と絶縁された第2ステージの二次側における低圧DCバスに変換するのに用いられる。従って、電源は、バスを溶接電力の調整に用いることができるように、第2ステージの二次側にDCバスを含む。「バス」という用語は、制御された固定レベルを有するDC信号を意味する。本発明においては、「第1のDC出力」と呼ぶ、入力ステージからの第1のDCバスがあり、この第1のDC出力は、制御されたDC電圧を有する。上記第2ステージの二次側には、「第2のDC出力」と呼ばれる第2のDCバスがあり、この第2のDC出力も制御されたDC電圧レベルである。非調整型インバータの二次側における第2のDCバスの生成は、これまでに説明したような非調整型の第2ステージインバータの利用に関連する利点以外の利点を有する。
【0023】
二次DCバスまたは第2のDC出力は、第3ステージの溶接制御回路に要する絶縁がないように、第2ステージの一次側と絶縁されている。換言すれば、チョッパ等の出力制御回路は、固定された電圧レベルを有する入力DCバスを有する。実際には、チョッパは、入力DCからチョッパに引き出される制御電圧を有するコントローラを有する。この入力DC信号は、入力電力と絶縁されている。従って、出力ステージまたはチョッパのコントローラのための制御電圧は、非絶縁型のDC源から得ることができる。これは、通常、チョッパへの入力信号である。出力ステージで用いられるコントローラのための制御電圧の独立した絶縁は必要ない。上記第2ステージからの固定されたDCバスの利用は、溶接動作によって調整される出力の第3ステージへのDC電圧を、上記電源の通常の入力一次DCバス(「第1のDC出力」)よりもかなり低くすることを可能にする。従来、力率コンバータの出力は、ブーストコンバータの使用に基づく比較的高いレベルのDC信号である。この高いDC電圧は、溶接に適した電流を出力する際に用いる調整型インバータステージに向けられる。本発明を用いることにより、上記力率コンバータの出力バスからの高電圧は、劇的に低減される。400ボルトのDCバスを15ボルトの制御電力に変換することよりも、100ボルトのDCバスを15ボルトの制御電力に変換することの方がより効率的である。第2の低圧DCバスの生成は、本発明の3ステージ電源の実質的な利点である。
【0024】
本発明によれば、電源が、AC入力及び第1のDC出力信号を有する入力ステージを備える、電気溶接プロセス用電源が提供される。非調整型DC/DCコンバータの形をとる第2ステージは、第1のDC出力信号に接続された入力と、第1のDC出力信号に対して所定の比の大きさを有する、第1のDC出力信号と電気的に絶縁された第2のDC出力信号の形をとる出力とを有する。電源は、第2のDC出力信号を、溶接プロセスのための溶接電流に変換する第3ステージを含む。本発明の別の態様によれば、新規な3ステージ電源の第1ステージとしての力率補正コンバータが提供される。電源の第3ステージは、チョッパまたはインバータ等の調整型コンバータを含む。インバータを用いる場合、出力は、極性ネットワークまたはスイッチに向けられるDC信号であり、スイッチは、電源によるDC溶接を可能にする。極性スイッチは、DC正、DC負またはACのいずれかの溶接を可能にする。チョッパまたはインバータを用いる溶接プロセスは、MIG溶接等のシールドガスを用いて実行することができ、かつタングステン、有心ワイヤまたは固体金属ワイヤ等のいかなる種類の電極も用いることができる。
【0025】
本発明の態様によれば、非調整型DC/DCコンバータの出力は、上記第2ステージへの入力よりも実質的に小さい。たいていの場合、第2ステージの入力及び出力は、概して固定された大きさを有するDC電圧である。入力ステージ及び第2のステージは、第1のモジュールに形成され、第3のステージは、第2のモジュールである。これは、新規なことである。これら3つのステージは、共通の構造ブロック上にはない。ここには、2つのパワーモジュールがある。その出力モジュールは、好ましくは、チョッパである。しかし、出力ステージは、DC、ACまたはSTT回路の間で変更することができる。2ステージ入力モジュールは、高出力チョッパモジュールを駆動するために並列にすることができる。このような並列接続の可能性の利点は、本願明細書に援用する、Stavaの米国特許第6,291,798号明細書に説明されている。
【0026】
本発明の1つの態様によれば、上記モジュラー化された3ステージ電源の第3ステージの電力スイッチは、本願明細書に援用する、能動無損失ソフトスイッチングPWMコンバータの特性及び合成というタイトルの、1997年5月のカリフォルニア大学の論文に記載されているような能動タイプの共通に用いられるソフトスイッチング回路を有する。同様の能動スイッチング回路は、本願明細書に援用する、Geisslerの米国特許第6,115,273号明細書及びChenの同第5,874,826号明細書に開示されている。本願明細書に援用する、Vogelの米国特許第5,991,180号明細書及びBhagwatの同第5,636,114号明細書も参照されたい。
【0027】
本発明は、新規な3ステージ電源をモジュラー化することに関するため、3ステージ全てが、共通のベースに形成されてはいない。本発明によれば、最初の2ステージは、単一のモジュール内にある。従って、入力モジュールは、力率補正ステージまたはプリレギュレータと、第2ステージが、パルス幅変調により固定されたデューティサイクルで作動する非調整型インバータである絶縁ステージとを含み、そのパルス幅変調器は、波形整形器または波形ジェネレータを用いる波形技術によって制御される。従って、力率補正ステージ及び絶縁ステージは、一緒に搭載され、それ自体の支持構造を有するどのような出力ステージとも一緒に用いることができる。好ましくは、出力ステージは、チョッパである。上記電源のための単一のプラットフォームの代わりに、2つの構造ブロックを用いることは、出力またはチョッパステージの変更を、DC正、DC負、ACまたはSTT等の様々な溶接プロセスの間で変更できるようにする。上記溶接のための新規な3ステージ電源の最初の2ステージをモジュラー化することにより、既存の高出力チョッパモジュールを駆動するための高入力を生成するために、モジュラー化された第1ステージを並列にすることができる。最初の2ステージを有する第1のモジュールと、第3ステージを有する第2のモジュールとのこの利用は、本発明が注力する新規な3ステージ溶接電源の実質的な改良である。本発明の別の態様によれば、チョッパは、チョッパの電力スイッチが、電流及び電圧において、ソフトにスイッチングされるように、多少共通のソフトスイッチング回路を備えている。出力ステージのためのソフトスイッチングネットワークは、モジュラー化コンセプトにより可能なさらなる改良である。
【0028】
本発明の別の態様によれば、チョッパは、チョッパの出力に、第1の極性経路を形成する第1の極性スイッチを有する第1の電力スイッチを有するデュアルモードチョッパである。第2の極性経路は、第2の電力スイッチと、反対極性の電流を生成する他方の極性スイッチとによって形成される。この種のデュアルモードチョッパは、電気アーク溶接のための新規な出力ステージを構成する。従って、チョッパデザインは、上記開示したモジュラー化した3ステージ構造とは異なる、本発明の態様を構成する。
【0029】
本発明によれば、電気アーク溶接機用電源のための出力ステージが提供される。この出力ステージは、第1の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有するチョッパである。さらに、この出力ステージは、チョッパを、第1の経路と第2の経路との間で交互に作動させる第1のモードと、チョッパを、2つの極性経路のうちの一方のみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含む。このように、単一のチョッパ出力ステージは、電力スイッチ及び補助極性スイッチのスイッチング信号を単に制御することにより、DC正、DC負またはACで作動することができる。これは、溶接に用いられる電源のための新規な出力ステージであり、また、第1及び第2のステージが単一のモジュール内にあり、かつ第3のステージまたはチョッパが、独立した置換え可能な第2のモジュール内にある3ステージ電源に用いられる。
【0030】
本発明の全ての態様によれば、中心の非調整型DC/DCコンバータを有する上記新規な3ステージ電源は、サブマージアーク溶接、2、3ステージ電源を用いるタンデム電極溶接、TIG溶接及び標準的なMIG溶接等の一連の異なる種類の溶接プロセスと組み合わせて用いられる。新規な3ステージ電源と組み合わされた溶接プロセスは、DCまたはACのいずれかである出力信号を用いる。DC信号は、固定された電圧、固定された電流信号、あるいは、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニーが先駆者である波形技術の利用によって決まる特定の形状を有するパルス信号である。DC溶接信号は、正または負である。AC溶接信号は、本願明細書に援用する、Blankenshipの米国特許第5,278,390号明細書及びStavaの同第6,683,278号明細書を含む多くの特許に開示されているような波形技術によって生成される。この技術は、DCまたはACのいずれかの出力信号が溶接プロセスに用いられる場合に、出力波形を決めるパルス幅変調器を制御するのに用いられる波形ジェネレータまたは波形整形器を必要とする。
【0031】
AC信号は、大きなエネルギ、または、両極性の振幅を有することができる。さらに、サブマージアークプロセス及びMIGプロセスに用いられる電極は、一般に、フラックスコア電極であるが、固体ワイヤ電極や合金コア電極も使用することができる。上記新規な3ステージ電源を用いる同様の溶接プロセスは、デュアルモードチョッパの形態の出力ステージを有する溶接電源によって実行される。このようなチョッパは、溶接産業においてはユニークなものであり、本願明細書に開示し、かつクレームする。デュアルモードチョッパは、DC入力信号によって駆動され、DCまたはACのいずれかである出力溶接信号が生成される。好ましくは、DC入力信号は、デュアルモードチョッパの直前の非調整型絶縁DC/DCコンバータを有する2ステージ入力回路によって生成される。上記新規な3ステージ電源のこれら及びその他の組み合わせ、および様々な出力溶接プロセスと組み合わされた上記新規なデュアルモードチョッパは、本発明の全般的な態様である。
【0032】
これら及び他の目的及び効果は、添付図面と共に解釈すれば、以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、上記のように構成したので、最初の2ステージが単一のモジュールであり、かつ第3のステージまたは出力ステージが独立した置換可能なモジュールであるように各ステージがモジュラー化されている電気アーク溶接用電源を提供可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明を詳細に説明する。
(1)はじめに、本発明に用いられる3ステージ電源について図1〜図21を用いて説明する。
本発明は、リンカーン・エレクトリック・カンパニーにより開発され、本発明に対する従来技術ではない、電気アーク溶接での用途のための新規な3ステージ電源の変更例である。新規な3ステージ電源は、AC信号を第1のDC出力バスに変換する入力ステージを有する。この出力バスは、固定電圧レベルを有し、かつ図17に最もよく示されている第2ステージの入力に向けられる。3ステージ電源のこの新規な第2ステージは、絶縁構造を含み、かつDC入力バスに比例する第2のDC出力または第2のDCバスを有する非調整型インバータである。レベル関係は、非調整型インバータの構造により固定される。第2ステージの非調整型インバータは、18kHz超、好ましくは約100kHzの高いスイッチング周波数でスイッチが作動するスイッチングネットワークを有する。上記電源の第2ステージを構成する非調整型インバータにおけるスイッチネットワークのスイッチング周波数は、小さい磁性構成要素の使用を可能にする。非調整型インバータの絶縁されたDC出力は、電源の第3ステージに向けられる。この第3ステージは、溶接動作の電流、電圧または電力等の溶接パラメータによって調節されるチョッパまたはインバータのいずれかとすることができる。上記変更例において、この第3ステージは、好ましくはチョッパである。3ステージ電源の構成は、第1のDC信号を生成する入力ステージと、溶接動作で用いられる電流を調節する電源の第3ステージによって用いられる絶縁された固定DC電圧またはDCバスを生成する第2の非調整型DC−DCステージとを有する。
【0035】
本発明が注力する3ステージ電源の実施例を図1〜図3に示す。図1の電源PS1は、第1ステージIと、第2ステージIIと、第3ステージIIIとを含む。この実施形態において、ステージIは、AC入力信号12を第1のDCバス14に変換するAC/DCコンバータ10を含む。入力12は、400〜700ボルトの間で変化することが可能な電圧を有する単相または三相ACライン供給である。コンバータ10は、(DC#1)とみなされるDCバス14を生成する整流器及びフィルタネットワークの形をとることが可能な非調整型デバイスとして描かれている。AC入力信号はライン電圧であるため、DCバス14は、通常、均一な大きさである。非調整型インバータAは、DCバス14(DC#1)を第2のDCバスまたは第2のDC出力20(DC#2)に変換する絶縁変圧器を有するDC/DCコンバータである。出力20は、コンバータ30であるステージIIIへの電力入力を形成する。ライン20上のDC電圧は、コンバータ30により、ラインBにおいて、溶接に適した電流に変換される。帰還制御または調節ループCは、溶接動作におけるパラメータを検知し、コンバータ30の調節により、ラインB上の電流、電圧または電力を調節する。実際には、コンバータ30はチョッパであるが、インバータの使用も代替例である。図1に示すような3ステージ電源PS1を持たせることにより、第2ステージのスイッチングネットワークは、通常、コンバータ30のスイッチング周波数よりも高い周波数を有する。さらに、ライン20のDC電圧(DC#2)は、ライン14上のステージIからのDC電圧(DC#1)よりもかなり小さい。実際には、インバータAには絶縁変圧器がある。変圧器は、ライン20上に電圧を生成するのに用いられる第2の部分または二次側よりもかなり多い巻線を有する入力または第1の部分あるいは一次側を有する。実際のこの巻線比は、ライン20上の電圧が、ライン14上の電圧の1/4になるように、4:1となっている。
【0036】
本発明が注力する3ステージ電源の包括的な構造を図1に示すが、図2は、電源PS2が、電源PS1と本質的に等しいステージII及びステージIIIを有するが、入力ステージIは、調整型DC/DCコンバータが後ろに続く整流器を含むAC/DCコンバータ40である好適な実施を示す。変換された信号は、第1のDCバス(DC#1)として示すライン14上のDC信号である。ライン14上の電圧は、標準的な技術に従って、帰還ライン42で示されるように調節される。従って、電源PS2においては、出力溶接コンバータ30は、フィードバックループCによって調節される。ライン14上の電圧は、ライン42として示すようなフィードバックループによって調節される。コンバータ40は、力率補正コンバータであるため、コンバータは、ライン44で表わされるような電圧波形を検知する。電源PS2を用いることにより、第1のDCバス14は、入力12において異なる単相または三相電圧を有する固定DC電圧である。すなわち、出力20は、単に、ライン14上のDC電圧の変換である。DC#2は、上記絶縁変圧器によって決まるレベルと、非調整型インバータAのスイッチングネットワークの固定されたデューティサイクルとを有する固定電圧である。これは、ステージIIが、固定された第1のDC出力またはDCバスを、チョッパまたはインバータ等の調節型溶接コンバータを駆動するのに用いられる第2の固定されたDC出力またはDCバスに変換する非調節型インバータである、3つの独立した及び別個のステージを用いる新規な電源の好適な実施である。別の代替例として、ステージIは、ライン20のDC#2バスからのフィードバックにより調節することができる。このことは、図2に点線46で表わされている。
【0037】
図3の電源PS3は、上記3ステージ電源の他の実施である。これは、好適な実施ではないが、本発明の3ステージ電源は、溶接電流出力Bからのフィードバックループ52によって調節される入力コンバータ50を有することができる。3ステージ電源のこの使用の場合、コンバータ50は、電源PS2の場合のようなライン14上の電圧によってではなく、溶接出力によって調節される。溶接出力Bによる調節の場合、コンバータ50は、力率補正ステージであり、かつ溶接レギュレータである。しかし、3ステージ電源のこの実施は、完全な技術的開示のために開示されている。
【0038】
上述したように、入力ステージIは、単相または三相AC信号12を、第2ステージIIを構成する非調節型インバータAによる使用のために、固定されたDCバス14(DC#1)に変換する。新規な3ステージ電源は、図1〜図3におけるライン14として示すDC電圧を生成するために、通常、ステージIにDC/DCコンバータを用いる。ステージIのDC/DCコンバータは、ライン14上に所望の電圧を生成するように選択することができる。これら3つのコンバータを図4〜図6に示し、入力整流器60は、それぞれ図4、図5及び図6に示すようなブーストコンバータ62、バックコンバータ64またはバック+ブーストコンバータ66であってもよいDC/DCコンバータに対する、ライン60a、60bのDC電圧を生成する。これらのコンバータを用いることにより、ステージIのDC/DCコンバータは、力率補正チップを含み、チップは、力率を補正できるようにし、それにより上記電源の入力における高調波ひずみを低減できるようにする。力率補正入力DC/DCコンバータの使用は、溶接技術においては公知であり、多くの従来の2ステージ構造において用いられている。コンバータ62、64及び66は、好ましくは、力率補正チップを含むが、このことは、必要なことではない。
【0039】
ステージIの主な目的は、ライン14にDCバス(DC#1)を生成することであり、バスは、図4〜図6においてライン14a、14bで示され、同図におけるライン20a、20bによって表されるライン20の固定DC電圧(DC#2)を生成する。力率補正は、上記新規な3ステージ構造の利点を利用するのに必要なことではない。非力率補正入力ステージを図7に示し、この場合、整流器60の出力ライン60a、60bは、ライン14a、14bの概して固定された電圧を生成するための大容量コンデンサ68によって結合されている。図7のステージIは、力率補正回路またはチップを含まない。しかし、電源は、第2ステージが、ライン20a、20bに概して固定された電圧を生成する非調整型の絶縁インバータAである3つのステージをなお含んでいる。入力ステージIの別の変更例を図8に示し、この場合、受動力率補正回路70は、インバータAの入力においてDCバス14(DC#1)を構成するライン14a、14bにわたって概して固定されたDC電圧を生成するために、三相AC入力L1、L2及びL3に接続されている。図4〜図8の変更されたステージIの開示は、単に本質的に典型であり、単相または三相入力信号のいずれかを有し、かつ力率補正を伴うまたは伴わない他の入力ステージも用いることができる。
【0040】
ライン20a、20bとして示す出力バス20に低い固定電圧を生成することにより、溶接のための新規な3ステージ電源の第3ステージを、18kHz超の周波数で作動するチョッパまたは他のコンバータとすることができる。上記非調整型インバータと調整型出力コンバータのスイッチング周波数は、異なっていてもよい。実際に、通常チョッパのスイッチング周波数は、非調節型インバータAの周波数よりもかなり小さい。図9に示す電源PS4は、本発明の利用を示し、ステージIIIは、電気アーク溶接に用いられるタイプの一般的な調節型コンバータ100である。このコンバータは、固定入力DCバス20によって駆動され、出力リード102、104にわたって溶接に適した電流を生成するために、溶接動作120からのフィードバックによって調節される。リード102は、正極性リードであり、リード104は、負極性リードである。2ステージインバータをベースとする電源のための一般的な出力技術に従って、リード102、104は、標準的な極性スイッチ110に向けられる。このスイッチは、極性スイッチ110の出力が、出力ライン110aに正極性を、出力ライン110bに負極性を有するように、リード102が溶接動作120の電極に向けられている第1の位置を有する。このことは、溶接動作120において、電極正DC溶接プロセスをもたらす。逆の極性スイッチネットワーク110は、溶接動作120において、電極負DC溶接プロセスをもたらすことができる。すなわち、DC負またはDC正のいずれかを有するDC溶接プロセスは、一般的な極性スイッチ110の設定に従って実行することができる。同様に、極性スイッチ110は、電極負と電極正の間で交番させて、溶接動作120にAC溶接プロセスをもたらすことができる。
【0041】
これは、一般的な技術であり、極性スイッチ110は、調整型コンバータ100からのDC出力を駆動して、AC溶接プロセスまたはDC溶接プロセスのいずれかをもたらす。このプロセスは、それぞれライン132、134で示されるように、コンバータ100を調節し、かつスイッチ110の極性を設定するコントローラ130に向けられたラインまたはループ122として示されているフィードバックシステムによって調節されかつ制御される。ステージIIIで溶接動作を調節することにより、ステージIIの非調節型インバータは、比較的高いスイッチング周波数を有して、上記電源の第2ステージにおける構成要素のサイズを低減することができる。上記3ステージ電源の好適な実施形態は、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニーにより開発された波形制御技術を用いる。この種の制御方式は公知であり、図9Aに概略的に示し、制御回路150は、ライン152aの電圧が波形ジェネレータ152から出力されたときに、波形特性を処理する。波形特性は、出力156を有する誤差増幅器154によって概略的に示すように、フィードバックループ122によって制御される。すなわち、ジェネレータ152からの波形の特性は、フィードバックループ122によって制御され、出力ライン156に信号を生成する。このラインは、発振器162の出力によって決まる高周波で作動する適当なパルス幅変調回路160に向けられる。この周波数は、18kHz超であり、40kHzより高い場合もある。調整型コンバータ100は、好ましくは、約100kHz未満で作動する。
【0042】
一般に、コントローラ130内のディジタル回路であるパルス幅変調器の出力は、調整型コンバータ100のために波形を制御するライン132として示されている。標準的な実施によれば、インバータ100の波形は、ACまたはDCのどちらかの特性を有することが可能である。この特徴を、図9Aの右の部分に、波形152b、152c及び152dとして概略的に示す。波形152bは、AC・MIG溶接で用いられる種類のAC波形であり、この場合、高い負の電極アンペア数が生成される。高い正のアンペア数も共通である。波形152cにおいて、電極負及び電極正に対するアンペア数は、より大きな負の電極部分の長さと本質的に等しい。当然、AC溶接のためのプロセスは、電極負または電極正のいずれかのために、平衡AC波形または不平衡AC波形を生成するように調節することができる。極性スイッチ110が、DC負またはDC正のいずれかの溶接動作に設定されている場合、波形152dとして示すパルス溶接波形は、波形ジェネレータ152によって制御される。様々な他の波形、AC及びDCは、溶接動作120を、ACまたはDCになるように調節できるように、コントローラ130によって制御することができる。さらに、溶接動作は、TIG、MIG、サブマージアークあるいは他の溶接とすることができる。どのようなプロセスも、電源PS4あるいは本発明を用いた他の電源によって実行することができる。電極は、有心金属、有心フラックスまたは固体ワイヤ等の非消耗または消耗型とすることができる。シールドガスは、使用する電極により用いても用いなくてもよい。DC溶接のみを実行する電源PS4の変更例を、図10に電源PS5として示す。
【0043】
この電源において、溶接動作120は、フィードバックループ122が、出力172を有するコントローラ170に向けられているため、DC溶接動作のみを実行する。調整型コンバータ100aは、好ましくは、ライン102a、104aにわたってDC電圧を生成するチョッパである。コントローラ170は、図9Aに示すように、波形ジェネレータ152によって制御される。ライン102a、104aの極性は、溶接動作120で実行されるDC溶接プロセスの要求に従って、電極負または電極正のいずれかになる。調整型コンバータ100aは、図9に示す電源PS4の溶接出力よりも単純化されている。図9及び図10は、図9Aに示す制御ネットワークまたは回路150と共に、上記新規な3ステージ電源の汎用性を示している。
【0044】
これら2種類の電源に用いられる上記調整型及び非調整型スイッチングネットワークの両方に対しては、上記コントローラを作動させるための電圧を供給する必要がある。図11は、電源PS6等の3ステージ電源の様々なコントローラを作動させる制御電圧を得るための構造及び方式を示す。2ステージ電源の第2ステージのプリレギュレータ及びスイッチングコントローラのスイッチングコントローラに制御電圧を供給するプリレギュレータの出力の利用は公知であり、本願明細書に援用するMoriguchiの米国特許第5,926,381号明細書に開示されている。溶接動作を実行する出力チョッパは、入力DC電圧からチョッパへのコントローラ制御電圧を定期的に取得する。これら2つの公知の技術は、電源PS6に組み入れられている。上記3ステージ電源は、電源の様々な位置から得られた電源を有するコントローラによって作動することができる。より具体的には、電源PS6は、出力182と、リード14a、14b(DC#1)上の第1のDCバスからの入力184、186とを有する電源180を有する。電源180は、ライン182上の低電圧に対する図2のプリレギュレータ40の出力における高電圧を低減する、図示しない、バックコンバータまたはフライバックコンバータを含む。
【0045】
この制御電圧は、5V〜20Vの範囲で変化させることができる。ライン182上の電圧は、一般的な方法に従って、プリレギュレータ40の動作を実行する出力リード192を有するコントローラ190に向けられている。プリレギュレータは、図2及び図3に示すが、図11では省略してある調節フィードバックライン42、44を有する。非調整型インバータAは、デューティサイクルを変調させるコントローラ、または入力電圧と出力電圧との間の決まった関係を必要としない。しかし、インバータは、ライン196のコントローラ作動電圧を電源180から受取るコントローラ194を必要とする。この構成は、第2ステージのコントローラ194が、従来の2ステージ電源に使用されている調節コントローラではないことを除いて、Moriguchiの米国特許第5,926,381号明細書に開示されているコンセプトと同様である。別法として、電源PS#3は、点線176で示す任意の電源電圧を与える入力12の単相で駆動される。ステージIIIの調整型出力コンバータ30は、リード20a、20bを含むように示されているDCバス20(DC#2)上の電圧によって決まるライン202上のコントローラ電圧を有する、PS#2と表わされた電源200を有する。ここでもまた、電源200は、非調整型コンバータAの出力におけるDCバスを、出力212を有するコントローラ210による使用のための低電圧に変換するバックコンバータまたはフライバックコンバータを含む。
【0046】
ライン212上の信号は、それぞれ、図1及び図2の電源PS1、PS2に関して説明したように、ラインC上のフィードバック信号に従って、溶接コンバータ30の出力を調節する。DCバス14(DC#1)及びDCバス20(DC#2)は、コントローラ190、194及び210に対して低レベルのDC制御電圧を生成するDC/DCコンバータである電源180、200への入力を与える。点線220で示す代替例として、PS#1で表わされた電源180は、コントローラ210に制御電圧を供給することができる。図11は、PS#1及びPS#2で表わされた種々の固定DC電圧レベルから低減された電源電圧を受取ることができるコントローラを有する3ステージ電源を用いることの汎用性を説明するために開示されている。PS#3で示すような変圧器によるAC入力電圧12の単相への整流接続等のコントローラ電圧を供給するその他の構成を用いることもできる。
【0047】
図12の電源PS7は、同じ識別番号を有する構成要素を有する電源PS6と同様である。出力ステージIIIは、電極Eと被加工物Wとの間にDC電流を流すチョッパ230である。電流分流器Sは、帰還信号Cをコントローラ210に供給する。ステージIIの高速スイッチングインバータ240は、一次巻線252と二次巻線254とを有する変圧器250によってもたらされる絶縁に関してこれまで説明した特徴を有する。DC/DCコンバータ240の一次側は、一次巻線252に交流電流を流すスイッチングネットワークである。二次側254からの整流出力は、コンバータ240の第2の部分または二次側である。コンバータ240は、コントローラ194によって設定されるデューティサイクルまたは位相シフトを有する高速スイッチングインバータを用いる。スイッチング周波数は、この電源の実際の態様においては、約100kHzである。デューティサイクルは、チョッパ230による溶接動作の間、同じままであるが、インバータのデューティサイクルまたは位相シフトは、コントローラ194を調節する出力262を有する“ADJ”回路260によって示すように調節することができる。デューティサイクルは、スイッチのペアが、インバータ240の一次側における最大時間、導通するように100%に近い。
【0048】
しかし、第1のDCバス14と第2のDCバス20との一定の関係を変えるために、回路260は、デューティサイクルまたは位相シフトを調節するのに用いることができる。従って、非調整型の絶縁インバータ240は、異なるが、固定されたデューティサイクルを有するように変えられる。しかし、デューティサイクルは、通常、ほとんど100%に近いため、スイッチのペアは、本質的に同時に作動する。デューティサイクルは、上記3ステージ電源の通常の用途においては、80〜100%で変化する。新規な電源の好適な実施においては、図4に示すブーストコンバータ62が、力率補正入力ステージIのために用いられる。このブーストコンバータは、上述したような制御電圧182を有するコントローラ190に従って作動する。わずかな変更例によれば、電源270は、単相の一方の相または三相AC入力12にわたるライン272、274によって接続された変圧器を有する。電源270の整流器及びフィルタは、必要に応じて、ライン182の制御電圧の代わりの使用のために、最適な点線276に低制御電圧を生成する。これら2つの代替例は、電源PS7の動作特性に影響を及ぼさない。電気アーク溶接用の3ステージ電源の他のこのような変更例は、上述の説明及び溶接分野における公知の技術から得ることができる。
【0049】
入力ステージIは、通常、図4〜図8に開示したように、整流器及び力率補正DC/DCコンバータを含む。これらの入力ステージは、入力12として表わす様々な大きさの三相及び単相AC信号に用いることができる。三相AC入力電力のための入力ステージのある態様は、図13〜図16における回路に関して開示されている。それらの回路の各々は、低高調波ひずみ率及び入力ステージに対する高力率で得られる三相入力及びDCバス出力(DC#1)を有する。図1〜図12の開示は、一般に、上記新規な3ステージ電源に適用可能であるが、使用する特定のステージIは、従来の2ステージ電源及び新規な3ステージ電源の両方に関連する。図13において、ステージIの入力回路300は、出力リード302a、302bを有する三相整流器302を含む。ブーストスイッチ310は、インダクタ312、ダイオード314及び並列コンデンサ316と直列である。
【0050】
一般的な力率補正チップである適切な回路320は、入力電圧を決める入力322と、調節フィードバックライン322aと、ブーストスイッチを作動させて、入力12の電流を入力電圧と概して同期させる出力324とを有する。このチップは、本発明に用いることができ、かつ一般的な2ステージ電源にも用いられる標準的な力率補正ブーストコンバータチップである。同様に、図14に示す入力回路330は、上述したような出力リード302a、302bを有する三相整流器302を有する。インダクタ350、ダイオード352、354及びコンデンサ356、358を含むブースト回路は、回路330の出力における電流及び入力電圧12の調整を実行できるスイッチ340、342と共に用いられる。この目的を実現するために、標準的なチップ360は、入力366における検知電圧及びライン367、368におけるフィードバック調節信号に従って、ライン362、364にゲートパルスを生成する。このことは、2ステージ電源または上記新規な3ステージ電源の入力を生成するタイプの力率補正を可能にする一般的な技術である。三相入力に対して作動した場合、能動三相回路300、330が、約0.95の入力力率を実現できることが分かっている。単相AC入力を有する場合のステージIの力率は、約0.99まで上方に補正することができる。
【0051】
三相電源は、低いレベルの方に対してのみ一般に補正することができないため、2ステージまたは3ステージ電源の入力ステージIのための受動回路が、能動力率補正回路の性能といくらか釣り合っていることが分かっている。標準的な能動回路400を図15に示し、三相の各々は、DC電流を出力リード302a、302bを介して、インダクタ412及びコンデンサ414を含むフィルタ回路に流す三相整流器302によって整流される。図15に示すような受動回路が、三相入力の力率を、約0.95程度のレベルに補正することができることが分かっている。これは、三相入力回路のための能動回路の性能とやや似ている。バック+ブースト入力回路420を図16に示す。ライン302a、302b上の整流電流は、まず、ブーストスイッチ440を作動させるチップ434も操縦する、入力12からの電圧波形信号を有するライン432を有する標準的な力率補正チップ430を用いて、スイッチ422により取り入れられる。スイッチ422、440は、インダクタ450、ダイオード452及びコンデンサ454を含む回路を用いて入力力率を制御するために、同時に作動される。回路300、330、400及び420は、標準的な技術、および入力電圧波形及びDC#1の電流によって制御される使用可能なスイッチを用いた標準的な三相受動力率補正回路である。図13〜図16は、上記3ステージ電源の第1ステージに対して実行できるある変更例を例証する。当然、力率を改善し、かつ電気アーク溶接機の電源を駆動するのに用いられるタイプのDC及びAC信号の高調波ひずみを低減するその他の技術もある。
【0052】
ステージIIの非調整型インバータAは、種々のインバータ回路を用いることができる。好適な回路を図17に示し、インバータは、絶縁変圧器250の一次巻線252に対する入力によって形成される第1の部分または一次側と、二次巻線254の出力によって形成される第2の部分または二次側との間で分割されている。まず、インバータAの第1の部分または一次側について説明すると、ペアのスイッチSW1/SW2及びSW3/SW4が、コンデンサ548の両端にあり、リード502、504によって接続されているフルブリッジ回路500が用いられている。これらのスイッチは、それぞれ、ライン510、512、514及び516上のゲートパルスによって交番順に通電される。コントローラ194は、ライン510〜516にゲートパルスを出力し、かつ上述したように、回路260からのライン262上の論理によって決まる調節されたデューティサイクルを出力する。デューティサイクルは、ライン510、512及びライン514、516の位相シフトを変えることにより制御される。
回路260は、上記ペアのスイッチのデューティサイクルまたは位相シフトを調節する。この調節は、インバータAの動作中、固定される。実際には、回路500は、約50%のデューティサイクルまたは位相シフトを有し、この場合、各スイッチのペアは、導通の最大期間を有する。デューティサイクルは、好ましくは、約100%または80〜100%である。コントローラ194は、上述したように、ライン196で示す適当な電源からの制御電圧を有する。回路500の動作時、交流電流が一次巻線252を介して流れる。この電流は、通常、少なくとも約100kHzの超高周波を有するため、構成要素のサイズ、重量及びコストを低減することができる。この高いスイッチング周波数は、溶接動作によって必然的に決まるものではないが、上記3ステージ電源の非調整型ステージAの効率のために選択される。インバータAの第2の部分または二次側は、同期整流素子522、524を有する整流器520である。同期整流素子は、通常の電気工学においては公知であり、本願明細書に援用するBoylanの米国特許第6,618,274号明細書に記載されている。
【0053】
これらの素子は、標準的な技術に従って、二次巻線254の対向端部に形成されたライン526、528上の信号によって制御される。リード530、532及び534は、リード20a、20bの両端にDC電圧(DC#2)を生成する整流器520の出力リードを形成する。電流は、チョーク544によって平滑され、標準的な溶接技術に従ってコンデンサ546の両端に生じる。インバータAは調節されず、これは、溶接動作からの実時間帰還信号によって調節されないことを意味する。インバータは、単に、DCバス12(DC#1)をDCバス20(DC#2)に変換する。この変換は、インバータAを用いた電源の非調整型の第3ステージに向けられる電圧の実質的な低減を可能にする。この電圧の低減は、変圧器250の巻線比によって基本的に決まり、好適な実施形態において、比は、約4:1である。従って、出力バス20上の固定電圧は、上記第1ステージの出力バス12上の固定電圧の約1/4である。非調整型ステージのいくつかの利点は、背景情報として本願明細書に援用する、Dr.Ray Ridleyの“The incredible Shrinking(Unregulated)Power Supply”という論文に含まれている。基本的な利点は、周波数を100kHz超まで増加させて、インバータステージのサイズ及びコストを低減する能力である。
【0054】
本発明の新規なステージIIを構成する非調整型インバータAに対しては、様々な回路を用いることができる。特定の種類のインバータは、制御されていない。いくつかのインバータを用いてきた。図18〜図21にいくつか示しておく。図18において、インバータAは、変圧器250の一次側にフルブリッジ回路600を用いるように示されている。スイッチ及びダイオードの並列回路602、604、606及び608は、図17に示すインバータAの態様に関して説明したように、標準的な位相シフトフルブリッジ技術に従って作動する。直列スイッチ回路610、612及び614、616を有するカスケードブリッジを用いたインバータAの内部機構の変更例を図19に示す。
【0055】
これらのスイッチ回路は、ハーフブリッジと同様に作動し、コンデンサ620と並列で、ダイオード622、624と直列のスイッチング回路にエネルギを供給する入力コンデンサ548a、548bを含む。2つのスイッチ回路は、直列であるため、図17のフルブリッジインバータのための技術と同様の位相シフト制御技術を用いた場合には、個別のスイッチの両端に、低減された電圧が生じる。この種のインバータスイッチングネットワークは、3レベルインバータとも呼ばれることがあるカスケードブリッジを用いたインバータが示されている、本願明細書に援用するCanales−Abarcaの米国特許第6,349,044号明細書に例示されている。スイッチ630、632が、変圧器250aの一次巻線の部分252aにパルスを供給する二重フォワードインバータを図20に示す。同様に、スイッチ634、636は、第1の部分252bに反対極性のパルスを供給するために、同時に作動する。交流パルスは、二次巻線254に絶縁されたDC出力を生成するために、変圧器250aの一次巻線にACを生成する。
【0056】
標準的なハーフブリッジ回路は、図21のインバータAの構造のように示される。このハーフブリッジは、交互にスイッチングされて、変圧器250の一次巻線252にACを生成するスイッチ640、642を含む。二次側の絶縁されたAC信号が整流されて、DC#2としてリード20a、20b上に出力されるように、変圧器250の一次巻線にAC信号を供給するために、これら及びその他のスイッチング回路を用いることができる。ある典型的で標準的なスイッチングネットワークの単なる説明は、徹底的なものであるとはみなされないが、まさに例証であるとみなされる。溶接電流の制御は、上記第2ステージでは実行されない。このステージでは、高電圧を有するDCバスが、第3ステージを駆動するための低電圧を有する固定DCバス(DC#2)に変換され、第3ステージは、電気アーク溶接に適した電流を供給する調節型ステージである。電気アーク溶接は、プラズマ切断のコンセプト等の他の溶接関連用途を含み、かつ含むように意図されている。上記3つのステージに用いられる種々の回路は、3ステージ電源である基本的な構造のための様々な構造を構成するように組み合わせることができる。
【0057】
(2)次に、図22〜図29を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1〜図21に示しかつ記載した3ステージ電源は、電気アーク溶接の技術における実質的な進歩を構成する。本発明は、図22に示すようにモジュラー化した構造に形成した、図11に概して示したような、この新規な3ステージ電源を含む。電源700は、単一のベース上の固定アセンブリフレームを構成する第1のモジュール702を含む。このモジュールは、第1の入力ステージ62と、非調整型インバータAの形の絶縁ステージまたは第2のステージとを含む。図11に示すように、コントローラ190及びコントローラ194等の2つのステージ内に示す2つのコントローラは、ライン192、198を介して制御信号を、モジュール702の2つの別々のステージへ流す。第1のモジュール702の出力は、ライン20a、20b(DC#2)である。この出力電圧は、独立した第2のモジュールまたはフレーム704へ向けられる。第2のフレームは、図11及び図22にチョッパ30として示されている、コントローラの出力第3ステージを支持する。溶接コントローラ210は、入力ライン212上の信号を介して、チョッパ30の出力を制御する。この信号は、コントローラ210内の波形整形器または波形ジェネレータの指示の下で、パルス幅変調器によって生成される。
【0058】
コントローラ210への電力は、ライン204、206による第2のDCバスによって供給される。分流器Sからの帰還電流信号は、溶接動作の出力電流または溶接電流を表す、ライン706a上の信号を生成する電流センサ回路706によって受取られる。同様に、電圧センサ回路708は、溶接動作のアークの両端の電圧を検知して、溶接電圧を表す信号をライン708a上に生成する。これら2つの信号は、ライン212上のチョッパ入力信号を決めるために、コントローラ210のフィードバック回路へ向けられる。出力第3ステージを、独立したモジュール704上に設けることにより、このモジュールは、異なる溶接動作を実行する電源を変更するために、替えることができる。さらに、異なるチョッパを、電源700の第3ステージとして用いることができる。電源は、単一のモジュールに設けられているのではなく、入力モジュール702と、別の最終ステージの電源704とに設けられている。この新規なモジュラー化した構造の他の利点は、図28及び図29に示す本発明の実施において議論することにする。
【0059】
図23及び図24は、モジュール704での使用のための2つの出力回路を示す。図23において、チョッパ710は、ライン212上の信号によってコントローラ210により作動される交換可能なモジュール704上に設けられている。チョッパ710は、ライン212上の高周波信号によって制御される電力スイッチ712を含む。信号は、コントローラ210内のパルス幅変調器によって生成される。電力スイッチ712は、入力リード20a、20bからの電流をチョーク714を介して流して、電極Eと被加工物Wとの間で溶接動作を実行する。フィルタコンデンサ718は、チョッパ710への電圧信号を制御するために、DCバスまたはリード20a、20bにわたって接続されている。この出力チョッパは、図22の3ステージ電源700に対して、入力リード20a、20bに取り外し可能に接続されている。従って、上記3ステージ電源は、出力チョッパを有する。出力チョッパは、本発明の好適な実施形態であるが、独立したモジュール704は、図24に示すSTT回路730等の他の出力回路を含むこともできる。
【0060】
このSTT回路は、電流パルスをチョーク734を介して、電極Eと被加工物Wとの間の溶接動作へ向ける電力スイッチ732を含む。ライン212上の信号は、溶接動作におけるSTTパルス特性を決める。STT波形または特性は、リンカーン・エレクトリック・カンパニーに独自のものであり、本願明細書に援用する、Parksの米国特許第4,866,247号明細書等のいくつかの特許に記載されている。STT回路730は、短絡金属転移が、電極と被加工物との間のメタルネックの破裂に近づいたときに、入力740aを活動化させる予告スイッチ740を含む。破裂が起きる直前に、スイッチ740は、短絡した溶融金属を分離するための電流を増加させるために閉じられる。スイッチが開いたとき、抵抗器742は、チョーク734及び電極Eを含む直列回路に接続される。コンデンサ744は、スイッチが開いて、電流が抵抗器742に流れたときに、スイッチ740の両端の電圧を制御する。ダイオード746は、抵抗器742の逆方向電流を防いでコンデンサ744を放電させる。入力フィルタコンデンサ738は、リード20a、20bによって形成されるDCバスの間に接続されている。STT溶接動作を電源700によって実行する場合、図24に示すモジュール730は、図23に示すチョッパモジュール710と取って代わるために用いられる。これらの図は、異なる溶接動作を実行するための、モジュール704の出力回路の互換性を示す。
【0061】
本発明の他の態様は、モジュール704での使用のための新規な出力チョッパである。この新規な出力チョッパを図25に示し、チョッパ750は、デュアルモードの動作を有する。チョッパは、2つの別々の極性経路を有する。第1の経路は、ライン762上の制御パルスによって作動する極性スイッチ760を含む。ライン766上のゲートパルスを受取り、かつフリーホイールダイオード788を有する変調スイッチ764は、極性スイッチ760及びチョーク770と直列になっている。極性スイッチ760及び変調スイッチ764の作動は、電極Eと被加工物Wとの間のギャップにわたって、第1の極性方向に電流を生じさせる。第2の経路は、反対極性の溶接アークにわたって電流を生成し、かつライン782上のゲートパルスを受取る極性スイッチ780を含む。対応する変調スイッチ784は、ゲート信号ライン786と、フリーホイールダイオード768とを有する。第2の極性経路内のチョーク790は、第1の極性経路内のチョーク770に対応する。スイッチ信号制御デバイス800は、第1の極性経路を作動させるために、ライン762及びライン766に信号を生成する。同様に、ライン782及びライン786の信号は、反対極性経路に電流を生じさせる。制御部800は、発振器802によって決まる周波数を有し、かつディジタル方式で、上記コントローラ内にパルス幅変調器を含む。
【0062】
デバイス804は、動作のモードを選択する。このデバイスは、極性経路の一方が、正方向または負方向のいずれかで、単に標準的なチョッパ回路を形成するように作動することを可能にする。2つの極性経路を交番させることにより、AC信号が生成される。変調スイッチ764、784は、本質的に、チョッパ750における2つのモードの電力スイッチである。これは、AC出力を生成するチョッパ回路である。図9に示すような独立した種類の異なる極性スイッチは必要ない。デュアルモードチョッパ750は、電気アーク溶接に対して新規であり、極性を逆にすることができ、かつACモードで作動することができるチョッパを本質的に用いる。従って、電極Eと被加工物Wとの間の溶接動作は、異なるモードの間で変えることができると共に、同じ回路を用い、チョッパコンセプトの利点を備えている。チョッパ750は、ACモードで作動した場合、図26に示す従来のAC溶接電源にまさる実質的な改良となる。
【0063】
この従来のユニットは、二重フォワード電圧降下を伴う独立した極性経路を有するフルブリッジ出力回路である。チョッパコンセプトはない。電圧810は、DCリンク820、822を出力DCバス830、832に変換するのに用いられるインバータ812によって駆動される。このDCバスは、チョーク834を介してフルブリッジを駆動する。ブリッジ810は、リードaにより作動されるスイッチ840、842と、リードbにより作動されるスイッチ850、852とを有する。これらのスイッチへの信号は、電力スイッチからなる2つのセットの間で交番させるコントローラ860によって生成され、電力スイッチは、それぞれ、逆並列ダイオード840a、842a、850a、852aを有する。図25に示すデュアルモードチョッパは、AC動作だけではなく、出力変調も実行できる。このことは、ブリッジ810にまさる実質的な改良であり、入力インバータ812を必要としない。図23、図24及び図25に開示されている出力モジュールは、いずれも、図22に示すように、上記3ステージ電源700に用いることができる。これらの回路のうちの1つを有するモジュール704は、2ステージ入力モジュール702に接続された出力ステージとして用いられる。
【0064】
本発明の他の態様によれば、モジュール704の出力チョッパは、図27に最もよく示されているように、ソフトスイッチング回路900を備えている。図23のチョッパ710は、発振器882によって制御される周波数で、パルス幅変調器880により駆動される電力スイッチ712を有する。パルス幅変調器880の出力880aは、ライン706a上にフィードバック回路信号を有する、ライン886上の波形整形器または波形ジェネレータからのコマンド信号を比較するコンパレータ884による制御の下で、入力880bにより制御される。これは、チョッパにとって通常の動作である。ソフトスイッチング回路900は、共通して用いられるソフトスイッチング回路である。回路は、上記電力スイッチ及びダイオードD4の両端の電流を制御するインダクタ902を含む。
【0065】
コンデンサ906は、スイッチング動作中の電力スイッチの両端の電圧を制御する。コンデンサ904及び906は、図27に示すように、ダイオードD1、D2、D3及びD4を用いて接続されている。これらのコンデンサは、スイッチ712の両端の電圧を制御する。インダクタ902は、ダイオードD4を通る電流を制御する。従って、電力スイッチ712及びダイオードD4は、スイッチング動作中に、電流及び電圧の両方でソフトスイッチングされる。この回路は、“Properties and Synthesis of Passive,Loseless Soft−Switching PWM Converters”というタイトルのカリフォルニア大学の論文に掲載されている。この1997年5月の論文は、共通に用いられる回路900の動作をさらに説明するために、本願明細書に援用する。チョッパ710は、本質的に、電力スイッチのターンオン及びターンオフシーケンス中の電流及び電圧の両方を制御するソフトスイッチング回路を有する電力スイッチを有する。同じタイプのソフトスイッチング回路は、デュアルモードチョッパ750の電力スイッチ760、780に用いられている。換言すれば、モジュール704の出力チョッパは、ソフトスイッチング回路を備えており、このソフトスイッチング回路は、スイッチング動作中の適当なときに、電圧及び電流の両方を制御する。
【0066】
図28及び図29は、電源700をモジュラー化することの2つの利点を説明するものである。図28において、モジュール704は、出力電力ステージ920を備えており、出力電力ステージ920は、図23に示すようなDCチョッパ、図25に示すようなACチョッパ、または、図24に示すようなSTT回路とすることができる。本発明を用いることにより、異なるタイプの電源を構成するために、異なるモジュール704を入力モジュール702に接続することができ、上記新規な3ステージ構造を維持できる。コントローラ922は、図11及び図22に示すコントローラ190、194の機能を兼ね備え、ライン924から制御電圧を受取る。次に、図29について説明すると、本発明のモジュラー化した3ステージ電源を用いることの第2の利点が示されている。2つの独立した入力モジュール702a、702bは、2つの入力モジュールからの出力リード20a、20bを相互接続することによって並列に接続されている。従って、チョッパ30は、単一のモジュール702から利用できるレベルよりも高い入力レベルを有する。当然、チョッパ30の入力に相当量の溶接電流を生成するために、2つを超える入力モジュールを用いることができる。図29において、電源700aは、出力ライン192a、198a及び出力ライン192b、198bを介してコントローラ930により同時に制御される2つの入力モジュール702a、702bを含む。制御電圧は、それぞれ、ライン932、934により、モジュール702a、702b内のDCバスによって生成される。従って、本発明のモジュラー化された3ステージ電源を用いることにより、出力ステージを選択的に変えることができ、あるいは、入力ステージを並列にすることができる。小さなモジュールの並列化は、広範な電力レベルに必要なモジュールの数を低減する。モジュラー化の2つの利点を、図28及び図29に示す。用途の幅広さをもたらすと共に、図1〜図21に示す新規な3ステージ電源の利点を維持する他の利点は明白である。
【0067】
(3)以下に、図30〜図41を参照して、本発明の溶接方法について説明する。
図1〜図21に開示した新規な3ステージ電源及び図25に示す新規なデュアルモードチョッパは、多くの溶接プロセスを実行するために開発されてきた。図30〜図41は、それらの溶接プロセスを伴うそのような電源の組合せを示す。図30において、サブマージアークMIG溶接プロセス1000は、出力リード1012、1014を有する新規な3ステージ電源1010を用いる。リード1014は、標準的な技術に従って、接地リードとすることができる。サブマージアーク溶接プロセスは、多量の粒状フラックス材1020を用いて、被加工物WPにおいて、被加工物及び周囲に沿って移動可能な電極Eを必要とする。電極Eが被加工物WPに対して移動すると、電極は、凝固する前に、溶接アーク及び溶融金属たまりを保護するために、粒状フラックス1020をかき分けて進む。本発明の一つの態様によれば、溶接プロセスは、図1〜図21に開示した3ステージ電源によって実行される。本発明の一実施形態において、電極Eは、図31に示すようなフラックスコア電極であり、電極は、フラックスを含有する内部コア1032を囲む外部金属シース1030を含むワイヤである。フラックスコア電極は、シース1030のスチールと合金をつくる粒状物質も含んでいる。合金物質の含有は、“フラックスコア”電極であるという電極の明確な限定を変えない。
【0068】
フラックスがない場合、電極は、シース1030によって囲まれた、粒状形態の金属合金材を有する“有心”電極となる。本願明細書に開示したいくつかの溶接プロセスは、固体ワイヤ、金属コア電極またはフラックスコア電極を用いることができ、フラックスコア電極は好適であり、図31に概略的に示す。
【0069】
本発明の別の態様によれば、図1〜図21の3ステージ電源は、図31に示すようなタンデム溶接プロセス1050と共に用いられる。このプロセスは、出力リード1062、1064を有する3ステージ電源1060を用いる。溶接信号は、被加工物WPに沿って方向Dに移動可能な電極E1に向けられる。第2の電極E2は、出力リード1082、1084を有する3ステージ電源180から溶接信号を受取る。両電源のこれらの出力リードは、リード1086によって被加工物WPに接続されている。電極E1及び電極E2を被加工物WPに沿って方向Dに移動させることにより、タンデム電極溶接が実行される。このプロセスは、粒状フラックス1090を用いたサブマージアークプロセスとして示されている。図32のMIGタンデムプロセスは、サブマージアークプロセスである必要はなく、図31に示すように、単にフラックスコア電極を用いることができる。サブマージアーク溶接プロセスの粒状フラックスを用いた場合、電極は、一般に、固体金属または金属コアである。
【0070】
本発明の3ステージ電源は、図33に示すTIG溶接プロセス1100等のどのような溶接プロセスとも組み合わされる。電源1110は、電極Eと被加工物WPとの間に出力リード1112、1114を有する。TIG溶接プロセスは、タングステン電極Eを用い、電極Eは、溶接中に消耗されない。TIG溶接プロセスに追加的な金属を与えるために、フィラー金属ロッドFを用いることができる。一般的なMIG溶接プロセス1120のための3ステージ電源の同様の組合せを図34に示す。電源1122は、出力リード1124、1126を有する。電極Eは、スプール1130として示す供給部に入れられた溶接ワイヤ、フラックスコアまたは他の手段である。従って、溶接ワイヤWは、コンタクトチップ1132を通って、被加工物WPにおける溶接プロセスに入っていく。標準的なMIG技術によれば、リード1124は、溶接信号を電極Eに向けるために、コンタクトチップ1132に接続されている。この一般的なMIG溶接プロセスは、図1〜図21に開示した3ステージ電源と組み合わせて使用する。
【0071】
図35及び図36に示す種々の溶接出力信号が、図1〜図21に開示した新規な3ステージ電源または図25に示すデュアルモードチョッパによって生成される。図35において、AC溶接信号1200は、正の部分1202と負の部分1204とを含む。これらの部分は、波形技術により生成される近接して離間した一連の電流パルス1210によって生成され、この場合、各パルスの大きさは、波形整形器または波形ジェネレータの制御の下で、パルス幅変調器によって決定される。これは、オハイオ州クリーブランドのリンカーン・エレクトリック・カンパニーが先駆者である標準的な技術によるものである。図35のAC溶接信号は、図36に示すようなDC溶接信号1250と置き換える事ができる。ピーク電流1252は、正極性または負極性のいずれかの固定値とすることができる。図示の実施形態において、溶接信号1250はパルス信号であり、ピークレベル1252には、増加部1254が先にあり、減少部1256が後に続いている。このことが、バックグラウンドレベル1258を超えるパルスをもたらす。本発明の好適な実施形態によれば、波形は、波形整形器または波形ジェネレータの制御の下で、パルス幅変調器によって生成される一連の個々の電流パルス1260によって生成される。
【0072】
図30〜図36に示したプロセスと電源の組合せは、好ましくは、図25に示すような新規なデュアルモードチョッパ出力ステージによって実行される。このコンセプトを図37及び図38に示す。図37において、粒状フラックスを用いることにより、サブマージアークプロセスとすることができるMIG溶接プロセス1300は、非調整型絶縁DC/DCコンバータからの出力信号をデュアルモードチョッパ1314へ流す入力2ステージモジュール1312を有する3ステージ電源1310と組み合わされているものとして示されている。チョッパ1314を駆動するDC信号は、ライン1316にある。リード1320上の出力溶接信号は、図35及び図36に示すような信号である。溶接信号は、MIG溶接プロセス1300のために、コンタクトチップ1132に接続されている。電源1310と組み合わされたTIG溶接プロセス1350を図38に示す。様々な構成要素に対してこれまで用いてきた数字を図38で用いる。図35及び図36に示すような溶接信号は、出力リード1320によって、タングステン電極Eへ流れる。フィラー金属ロッドFは、DC TIG溶接プロセス中に、追加的な金属を与えるために用いられる。一般に、このフィラー金属は、AC TIG溶接には用いられないが、それも使用可能である。一般的なMIG溶接プロセス1300及び一般的なTIG溶接プロセス1350は、それぞれ図37、図38に示すように、図25に開示したデュアルモードチョッパ710を用いた新規な組合せである。
【0073】
デュアルモードチョッパ750は、図25に示すように、組み合わされた溶接プロセスを実行するために、様々な絶縁入力電源からのDC信号によって駆動することができる。一般的なDC駆動信号の利用を図39〜図41に示し、これまで使用したのと同じ数字は、同じまたは同様の構成要素に対応する。MIG溶接プロセス1400を図39に示し、一般的なDC入力1410は、コンタクトチップ1132においてACまたはDC溶接信号を生成するために、デュアルモードチョッパ1314によって変換される。図39のMIG溶接プロセス1400は、図40のサブマージアークMIG溶接プロセス1420に変換される。この変換は、電極Eの周りに粒状フラックス材1422を付加して、溶接プロセスのアーク及び溶融金属たまりを保護することにより実施される。一般的な入力DC駆動信号1410を伴うデュアルモードチョッパは、図41に示すTIG溶接プロセス1430を可能にする電源と組み合わされる。リード1320上のACまたはDC溶接信号は、被加工物WPにおけるTIG溶接のために、タングステン電極Eによって用いられる。
【0074】
図30〜図41に示すように、図1〜図21に示す新規な3ステージ電源及び図25に示す新規なデュアルモードチョッパは、新規な方法を生み出すために、ある溶接プロセスと組み合わされ、新規な方法は、本発明の他の態様を構成する。図30〜図41に示す方法は、溶接プロセスを、本発明の新規な電源と組み合わせるという本発明を開示している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】3ステージ電源を示し、かつ本発明により改良された3ステージ電源の一実施形態を開示するブロック図である。
【図2】3ステージ電源の別の実施形態を開示する、図1と同様のブロック図である。
【図3】3ステージ電源の別の実施形態を開示する、図1と同様のブロック図である。
【図4】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図5】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図6】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図7】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図8】異なる第1ステージの実施形態を有する3ステージ電源を示す部分ブロック図である。
【図9】図9(A)は、出力ステージがAC溶接電流を生成する、3ステージ電源の後の2ステージを示すブロック図、図9(B)は、図9(A)に示す3ステージ電源で用いる波形技術制御回路のブロック図と、3つの溶接波形を示すグラフである。
【図10】出力ステージがDC溶接電流である、3ステージ電源の第2及び第3ステージを示すブロック図である。
【図11】2つの独立したコントローラ制御電圧供給源によって、電気アーク溶接に適した電流を生成する、3ステージ電源の構造を示すブロック図である。
【図12】本発明が注力する構造を用いる特定の3ステージ電源を示すブロック図である。
【図13】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図14】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図15】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図16】3ステージ電源の第1ステージの力率を補正する回路を示す配線図である。
【図17】本発明が注力する3ステージ電源の新規な第2ステージを構成する非調整型インバータの好適な実施形態を示すブロック図と配線図を兼ねる図である。
【図18】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図19】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図20】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図21】本発明が注力する3ステージ電源の新規な態様を備える第2ステージの非調整型絶縁インバータとして用いられるインバータを示す配線図である。
【図22】本発明のモジュラー化した3ステージ電源を説明する配線図である。
【図23】図22に開示した本発明の出力モジュールとして用いられる標準的なチョッパの配線図である。
【図24】図22に示す本発明の出力モジュールに用いられる標準的なSTT回路である。
【図25】本発明の別の態様を構成し、かつ図22に開示した本発明の出力モジュールとして使用可能な新規なデュアルモードチョッパ回路である。
【図26】図25の新規なチョッパ回路によって改善されるAC溶接電流を得る従来の出力回路の配線図である。
【図27】電力スイッチの波形技術の制御を伴い、かつ電力スイッチのための共通に使用されるソフトスイッチング回路を備える、図23に示すような出力チョッパの詳細な配線図である。
【図28】図22に示す好適な実施形態の1つの効果を示す、ブロック図と配線図を兼ねる図である。
【図29】図22に示す好適な実施形態の別の効果を示す、ブロック図と配線図を兼ねる図である。
【図30】サブマージアーク溶接プロセスと組み合わせた新規な3ステージ電源の概略図である。
【図31】図30及び図32〜図41に概略的に示した組合せ方法で好ましくは用いられる有心電極を示す部分的な図である。
【図32】サブマージアーク溶接として図示されているタンデム溶接プロセスと組み合わされた2つの新規な3ステージ電源の概略図である。
【図33】ACまたはDCのいずれかのTIG溶接プロセスと組み合わされた新規な3ステージ電源の概略図である。
【図34】ACまたはDCのいずれかのMIG溶接プロセスと組み合わされた新規な3ステージ電源の概略図である。
【図35】本発明の新規な3ステージ電源または新規なデュアルモードチョッパによって生成されるAC出力溶接信号の電流図である。
【図36】信号を正または負のいずれかとすることができる、本発明の新規な3ステージ電源または新規なデュアルモードチョッパによって生成されるDC出力溶接信号の電流図である。
【図37】MIG溶接プロセス、サブマージアーク溶接または他の方法と組み合わされた3ステージ電源における新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図38】ACまたはDCのいずれかのTIG溶接プロセスと組み合わされた新規な3ステージ電源の出力としての本発明の新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図39】MIG溶接プロセスと組み合わされた、一般的なDC入力信号を伴う新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図40】図示したMIG溶接プロセスがサブマージアークプロセスである、図39に示したような新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【図41】ACまたはDCのいずれかのTIG溶接プロセスと組み合わされた、図39、図40に示したような、本発明の新規なデュアルモードチョッパの概略図である。
【符号の説明】
【0076】
700 電源
702 入力モジュール
704 出力モジュール
750 デュアルモードチョッパ
760、780 電力スイッチ(極性スイッチ)
764、784 変調スイッチ
800 スイッチ信号制御デバイス
802 発振器
920 出力電力ステージ
E 電極
W 被加工物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アーク溶接プロセスのための電源であって、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を、前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、
前記入力ステージ及び前記第2のステージが、第1のモジュールに組み込まれており、かつ前記第3のステージが、前記第1のモジュールに接続可能な第2のモジュールに組み込まれていることを特徴とする電源。
【請求項2】
前記入力ステージが、整流器と、力率補正コンバータとを含むことを特徴とする請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記力率補正コンバータが、ブーストコンバータであることを特徴とする請求項2に記載の電源。
【請求項4】
前記力率補正コンバータが、バックコンバータであることを特徴とする請求項2に記載の電源。
【請求項5】
前記第2のモジュールの前記第3のステージが、所定の周波数で作動する電力スイッチを有するチョッパであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電源。
【請求項6】
前記電力スイッチが、ソフトスイッチング回路を有することを特徴とする請求項5に記載の電源。
【請求項7】
前記チョッパが、第1の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有するデュアルモードチョッパであることを特徴とする請求項5又は6に記載の電源。
【請求項8】
前記チョッパを、前記第1の極性経路と前記第2の極性経路との間で交互に作動させる第1のモードと、前記チョッパを、前記極性経路のうちの1つのみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項7に記載の電源。
【請求項9】
前記第1及び第2の電力スイッチが、それぞれ、ソフトスイッチング回路を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の電源。
【請求項10】
前記第2のモジュールの前記第3のステージが、STT溶接プロセスを実行する電力スイッチを有する回路であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の電源。
【請求項11】
電気アーク溶接プロセスのための電源であって、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、
前記第3のステージが、前記電源から分離可能なチョッパであることを特徴とする電源。
【請求項12】
前記入力ステージが、整流器と、力率補正コンバータとを含むことを特徴とする請求項11に記載の電源。
【請求項13】
前記力率補正コンバータが、ブーストコンバータであることを特徴とする請求項12に記載の電源。
【請求項14】
前記力率補正コンバータが、バック+ブーストコンバータであることを特徴とする請求項12に記載の電源。
【請求項15】
前記チョッパが、電力スイッチを有することを特徴とする請求項11〜14の何れかに記載の電源。
【請求項16】
前記電力スイッチが、パルス幅変調器によって作動されることを特徴とする請求項15に記載の電源。
【請求項17】
前記第1及び第2のステージが、独立した単一のモジュールに組み込まれていることを特徴とする請求項11〜16の何れかに記載の電源。
【請求項18】
前記電力スイッチが、ソフトスイッチング回路を有することを特徴とする請求項15〜17の何れかに記載の電源。
【請求項19】
前記チョッパが、第1の変調スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の変調スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有するデュアルモードチョッパであることを特徴とする請求項11〜18に記載の電源。
【請求項20】
前記チョッパを、前記第1の極性経路と第2の極性経路との間で交互に作動させる第1のモードと、前記チョッパを、前記極性経路のうちの一方のみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項19に記載の電源。
【請求項21】
電気アーク溶接プロセスのための電源であって、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、
前記第3のステージが、STT溶接プロセスを実行する回路であることを特徴とする電源。
【請求項22】
最終ステージが、DC入力を有するデュアルモードチョッパである複数のステージと、第1の変調電力スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の変調または電力スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有する電源を含むことを特徴とする溶接機。
【請求項23】
前記チョッパを、前記第1の極性経路と第2の極性経路との間で交互に作動させる第1のモードと、前記チョッパを、前記極性経路のうちの一方のみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項22に記載の溶接機。
【請求項24】
前記チョッパのための出力リードと、MIG溶接ステーションのコンタクトチップと、前記出力リードを前記コンタクトチップに接続する手段とを含むことを特徴とする請求項22又は23に記載の溶接機。
【請求項25】
前記チョッパのための出力リードと、TIG溶接ステーションの非消耗電極と、前記出力リードを前記非消耗電極に接続する手段とを含むことを特徴とする請求項22又は23に記載の溶接機。
【請求項26】
前記第1の極性経路の動作と、前記第2の極性経路の動作との間で交互に変化させる第1のモードと、前記第1の極性経路の動作のための第2のモードと、前記第2の極性経路の動作のための第3のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項22〜25の何れかに記載の溶接機。
【請求項27】
前記電源が、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備えることを特徴とする請求項22〜26の何れかに記載の溶接機。
【請求項28】
前記電源の前記第1のステージがDC出力を有し、このDC出力を前記デュアルモードチョッパのDC入力に接続したことを特徴とする請求項22〜27の何れかに記載の溶接機。
【請求項29】
(a)被加工物の方へ繰り出す溶接ワイヤからなる電極を設ける工程と、
(b)溶接出力信号を有する電源を設ける工程と、
(c)前記電源に、前記ワイヤと前記被加工物との間で溶接動作を生じさせるための前記溶接出力信号を生成するデュアルモードチョッパ出力ステージを設ける工程とを含むことを特徴とするMIG溶接の方法。
【請求項30】
前記電源が3つの独立したステージを有し、中央のステージが非調整型絶縁フルブリッジインバータであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記溶接出力信号が、AC信号であることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記溶接出力信号が、DC信号であることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項33】
(d)前記電極の周り及び前記被加工物上に粒状フラックスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項29〜32の何れかに記載の方法。
【請求項34】
前記AC信号が、正の部分とエネルギまたは大きさが異なる負の部分を有することを特徴とする請求項31又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記負の部分の差が前記正の部分よりも大きいことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記電極が、フラックスコア電極であることを特徴とする請求項29〜35の何れかに記載の方法。
【請求項37】
(a)被加工物の方へ繰り出す溶接ワイヤを設ける工程と、
(b)溶接出力信号を有する電源を設ける工程と、
(c)3ステージ電源に非調整型DC/DCコンバータの形の中央ステージを設け、前記溶接ワイヤと前記被加工物との間で溶接動作を生じさせるための前記溶接出力信号を生成する工程と、
を含むことを特徴とするMIG溶接の方法。
【請求項38】
前記デューティーサイクルが、調節可能に構成したことを特徴とする請求項1、11,21の何れかに記載の電源。
【請求項1】
電気アーク溶接プロセスのための電源であって、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を、前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、
前記入力ステージ及び前記第2のステージが、第1のモジュールに組み込まれており、かつ前記第3のステージが、前記第1のモジュールに接続可能な第2のモジュールに組み込まれていることを特徴とする電源。
【請求項2】
前記入力ステージが、整流器と、力率補正コンバータとを含むことを特徴とする請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記力率補正コンバータが、ブーストコンバータであることを特徴とする請求項2に記載の電源。
【請求項4】
前記力率補正コンバータが、バックコンバータであることを特徴とする請求項2に記載の電源。
【請求項5】
前記第2のモジュールの前記第3のステージが、所定の周波数で作動する電力スイッチを有するチョッパであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電源。
【請求項6】
前記電力スイッチが、ソフトスイッチング回路を有することを特徴とする請求項5に記載の電源。
【請求項7】
前記チョッパが、第1の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の電力スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有するデュアルモードチョッパであることを特徴とする請求項5又は6に記載の電源。
【請求項8】
前記チョッパを、前記第1の極性経路と前記第2の極性経路との間で交互に作動させる第1のモードと、前記チョッパを、前記極性経路のうちの1つのみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項7に記載の電源。
【請求項9】
前記第1及び第2の電力スイッチが、それぞれ、ソフトスイッチング回路を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の電源。
【請求項10】
前記第2のモジュールの前記第3のステージが、STT溶接プロセスを実行する電力スイッチを有する回路であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の電源。
【請求項11】
電気アーク溶接プロセスのための電源であって、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、
前記第3のステージが、前記電源から分離可能なチョッパであることを特徴とする電源。
【請求項12】
前記入力ステージが、整流器と、力率補正コンバータとを含むことを特徴とする請求項11に記載の電源。
【請求項13】
前記力率補正コンバータが、ブーストコンバータであることを特徴とする請求項12に記載の電源。
【請求項14】
前記力率補正コンバータが、バック+ブーストコンバータであることを特徴とする請求項12に記載の電源。
【請求項15】
前記チョッパが、電力スイッチを有することを特徴とする請求項11〜14の何れかに記載の電源。
【請求項16】
前記電力スイッチが、パルス幅変調器によって作動されることを特徴とする請求項15に記載の電源。
【請求項17】
前記第1及び第2のステージが、独立した単一のモジュールに組み込まれていることを特徴とする請求項11〜16の何れかに記載の電源。
【請求項18】
前記電力スイッチが、ソフトスイッチング回路を有することを特徴とする請求項15〜17の何れかに記載の電源。
【請求項19】
前記チョッパが、第1の変調スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の変調スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有するデュアルモードチョッパであることを特徴とする請求項11〜18に記載の電源。
【請求項20】
前記チョッパを、前記第1の極性経路と第2の極性経路との間で交互に作動させる第1のモードと、前記チョッパを、前記極性経路のうちの一方のみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項19に記載の電源。
【請求項21】
電気アーク溶接プロセスのための電源であって、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備え、
前記第3のステージが、STT溶接プロセスを実行する回路であることを特徴とする電源。
【請求項22】
最終ステージが、DC入力を有するデュアルモードチョッパである複数のステージと、第1の変調電力スイッチ及び極性スイッチを有する第1の極性経路と、第2の変調または電力スイッチ及び極性スイッチを有する第2の極性経路とを有する電源を含むことを特徴とする溶接機。
【請求項23】
前記チョッパを、前記第1の極性経路と第2の極性経路との間で交互に作動させる第1のモードと、前記チョッパを、前記極性経路のうちの一方のみで作動させる第2のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項22に記載の溶接機。
【請求項24】
前記チョッパのための出力リードと、MIG溶接ステーションのコンタクトチップと、前記出力リードを前記コンタクトチップに接続する手段とを含むことを特徴とする請求項22又は23に記載の溶接機。
【請求項25】
前記チョッパのための出力リードと、TIG溶接ステーションの非消耗電極と、前記出力リードを前記非消耗電極に接続する手段とを含むことを特徴とする請求項22又は23に記載の溶接機。
【請求項26】
前記第1の極性経路の動作と、前記第2の極性経路の動作との間で交互に変化させる第1のモードと、前記第1の極性経路の動作のための第2のモードと、前記第2の極性経路の動作のための第3のモードとを有するコントローラを含むことを特徴とする請求項22〜25の何れかに記載の溶接機。
【請求項27】
前記電源が、
AC入力と第1のDC出力信号とを有する入力ステージと、
前記第1のDC出力信号に接続された入力と、前記入力を第1の内部高周波AC信号に変換するために、所定のデューティサイクルによって高周波でスイッチングされるスイッチ群からなるネットワークと、前記第1の内部高周波AC信号によって駆動される一次巻線及び第2の内部高周波AC信号を生成する二次巻線を有する絶縁変圧器と、前記第2の内部高周波AC信号を前記スイッチ群の前記デューティサイクルに関連する大きさの第2のステージの第2のDC出力信号に変換する整流器とを有する非調整型DC/DCコンバータの形の第2のステージと、
前記第2のDC出力信号を、前記溶接プロセス用の溶接出力に変換する第3のステージとを備えることを特徴とする請求項22〜26の何れかに記載の溶接機。
【請求項28】
前記電源の前記第1のステージがDC出力を有し、このDC出力を前記デュアルモードチョッパのDC入力に接続したことを特徴とする請求項22〜27の何れかに記載の溶接機。
【請求項29】
(a)被加工物の方へ繰り出す溶接ワイヤからなる電極を設ける工程と、
(b)溶接出力信号を有する電源を設ける工程と、
(c)前記電源に、前記ワイヤと前記被加工物との間で溶接動作を生じさせるための前記溶接出力信号を生成するデュアルモードチョッパ出力ステージを設ける工程とを含むことを特徴とするMIG溶接の方法。
【請求項30】
前記電源が3つの独立したステージを有し、中央のステージが非調整型絶縁フルブリッジインバータであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記溶接出力信号が、AC信号であることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記溶接出力信号が、DC信号であることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項33】
(d)前記電極の周り及び前記被加工物上に粒状フラックスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項29〜32の何れかに記載の方法。
【請求項34】
前記AC信号が、正の部分とエネルギまたは大きさが異なる負の部分を有することを特徴とする請求項31又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記負の部分の差が前記正の部分よりも大きいことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記電極が、フラックスコア電極であることを特徴とする請求項29〜35の何れかに記載の方法。
【請求項37】
(a)被加工物の方へ繰り出す溶接ワイヤを設ける工程と、
(b)溶接出力信号を有する電源を設ける工程と、
(c)3ステージ電源に非調整型DC/DCコンバータの形の中央ステージを設け、前記溶接ワイヤと前記被加工物との間で溶接動作を生じさせるための前記溶接出力信号を生成する工程と、
を含むことを特徴とするMIG溶接の方法。
【請求項38】
前記デューティーサイクルが、調節可能に構成したことを特徴とする請求項1、11,21の何れかに記載の電源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2006−223092(P2006−223092A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15765(P2006−15765)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(399011597)リンカーン グローバル インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(399011597)リンカーン グローバル インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】
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