電気化学的用途のための高導電性表面
【課題】
電気化学的用途における電気回路に低価格な塗装を提供でき、それらの電気導電性および/又は耐腐食性を強化することができる技術が望まれている。
【解決手段】
溶射技術を用いて高い導電性材料および耐腐食性材料、もしくは高導電性材料および耐腐食性材料に先行する初期物質を耐腐食性金属基板の表面上に被覆し、耐腐食性金属基板の全表面より少ない当該耐腐食性金属基板表面の一部を覆う複数スプラットを当該耐腐食性金属基板表面上に生成する方法。
電気化学的用途における電気回路に低価格な塗装を提供でき、それらの電気導電性および/又は耐腐食性を強化することができる技術が望まれている。
【解決手段】
溶射技術を用いて高い導電性材料および耐腐食性材料、もしくは高導電性材料および耐腐食性材料に先行する初期物質を耐腐食性金属基板の表面上に被覆し、耐腐食性金属基板の全表面より少ない当該耐腐食性金属基板表面の一部を覆う複数スプラットを当該耐腐食性金属基板表面上に生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年8月15日に出願した電気化学的用途のための高導電性表面の製造方法を名称とする米国仮出願第61/089,233号、2008年1月24日に出願した電気化学的用途のための高導電性表面の形成のためのスプレー方法を名称とする米国仮出願第61/023,273号、および、2008年1月8日に出願した電気化学的用途のための金属の腐食防止方法を名称とする米国仮出願第61/019,657号の優先権を主張し、あわせてそれらを引用して本明細書の内容とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、電気化学的用途で使用される金属組成物の金属表面の導電性および/または耐腐食性に関し、特に、これらの金属組成物のデザインおよび耐腐食性金属基板表面の表面電気接触抵抗を下げるために少量の導体材料を被覆する、コストの面で効果的な製造方法の使用に関する。
【0003】
(技術背景)
電気化学的用途において、金属素材は塩素アルカリ処理に使用される電極や、低温燃料電池(プロトン交換膜)と高温燃料電池(個体酸化物)両方における分離と連結板材を含む様々な電気化学的装置に広く使用されている。金属素材は又、電池、電解槽、電気化学的気体分離にも使用されている。電気化学的装置の稼働と効率よく稼働さることによる装置内部の電気損失を減らすため、金属素材は表面に高電気導電性(又は低電気導電性)を有することが望ましい。電気化学的用途により直面する問題の一つに、金属性材料が高導電性だけでなく高耐腐食性も求められる点である。
【0004】
金属性材料を例えばクロムやニッケル層といった耐腐食性物質で塗装するという方法は一般的な産業の習わしである。しかし、これらの物質は電気化学的装置内部の複数の腐食されうる環境では使用することができない。高品質な金属には高耐腐食性と高電気導電性が備わっているが、商用のための大量生産には高価になりがちである。
【0005】
例えばチタン、ジルコニウムやシリコンといった他の物質は、とりわけそれに適した被膜処理をすると、極めて優れた耐腐食性と電気導電性を持つ。しかし、これらの物質には複数の制約がある。例えば、表面安定処理後は特に、電気的接触抵抗が非常に高い。さらに、これらの物質は非常に高価であり、および/または処理が困難な場合がある。結果的に、これらの物質を商用目的で使用するには制約ができてしまう場合がある。
【0006】
このため、電気化学的用途における電気回路に低価格な塗装を提供でき、それらの電気導電性および/又は耐腐食性を強化することができる技術が望まれている。そのような塗装は、例えば燃料電池、電池、電解槽といった金属から作られる部品を有する電気化学的用途に使用されうる。
【0007】
(詳細な説明)
電子化学的用途に使用され、金属回路基板の導電性および/または耐腐食性を従来よりも安価に向上させるために金属回路基板に処理される物質に関する様々な実施形態を下記に記載する。これらの実施形態は、例えば燃料電池、電池、電解槽、気体分離装置といった金属を基板とする部品をもつ電気化学的用途における装置に使用されうる。
【0008】
本発明のいくつかの形態において、耐腐食性金属基板の電気接触抵抗は耐食金属基板表面に高導電性の接触ポイントおよび接触エリアを被覆することによって下げられる。これらの接触ポイントは、製品の電気的導通を維持する電気化学的装置にあるほかのコンポーネントと一体になる、耐食金属基板を有するコンポーネントに電気的に接続するために用いられうる。これらの接触ポイントによる表面(例えば、接触表面)の全部をカバーする必要がないため、材料および製造コストを低く抑える結果を得ることができる。これらの接触ポイントは、例として貴金属、導電性窒化物、炭化物および炭素等が挙げられるが、これには限らない、多種多様な耐食および/または導電性物質を含むことができる。
【0009】
図1Aは、本発明の一実施形態における、耐腐食性金属基板10の表面に被覆された多重金属板もしくはドット12を含む構造の断面図である。この金属板12は、たとえば電気化学的装置にある金属コンポーネントに接続ために、高導電性の接触ポイントとして用いられうる。例えば、耐食金属基板10は、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、および/またはタンタラムおよび/またはこれらの金属の合金を含むことができる。別の例として、耐食金属基板10は、低コストのカーボン・スチール、ステンレス鋼、銅および/またはアルミニウムおよび/またはこれらの金属の合金を含むことができる。更に別の例として、耐食金属基板10は、鉄、クロム、もしくはニッケルおよび/またはこれらの金属の合金を含むことができる。いくつかの実施形態において、この耐食金属基板10は、金属基板の表面に金属より耐腐食性を有する材料からなる耐食コーティング層を被覆させることを含むことができる。金属基板の表面に耐食コーティング層を蒸着処理(例えば、PVDもしくはCVD)で被覆することができる。金属基板と耐食コーティング層との粘着力を増強するために、接着工程が用いられうる。例えば、耐食コーティング層は空気中に約一時間かけて450℃に加熱処理されうる。
【0010】
このスプラット(Splat)12は、耐腐食性金属基板10の表面に噴霧あるいは/接着される貴金属粒子を含むことができる。このスプラット12は、高い電気導電性を有し、金、パラジウム、プラチナ、イリジウムあるいは/またはルテニウムを含むことができる。スプラット12に使われる材料の一例として、50メガ平行センチメートル(mΩ/cm2)以下の接触抵抗を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、その接触抵抗値が10メガ平行センチメートル(mΩ/cm2)以下であることが好ましい。このスプラットの薄さは約1nm(ナノメートル)から約5μm(マイクロメートル)の範囲内である。いくつかの実施形態において、このスプラットが金であり、その厚さは、1nm−5nm、1nm−10nm、10nm−50nm、10nm−100nm、10nm−20μm、1nm−0.5μm、20nm−0.5μm、100nm−0.5μm、20nm−1μm、100nm−1μm、0.5μm−5μmもしくは1μm−20μmの範囲にあり、例えば、特定の実施形態において、10μm−20μmの範囲内であることが好ましい。この導電性のスプラット12は、例えば、溶射もしくはコールドスプレー(Cold Spray)によって、耐腐食性金属基板10の上に被覆されることができる。
【0011】
溶射技術は、いろいろな応用における幅広い材料に被覆に使用されうる、低コストで、迅速な製作析出技術を提供することができる。典型的な溶射技術では、まず、材料が例えば摂氏800℃以上に加熱され、次いで、その表面上にスプレーがされうる。材料は、例えば、炎、プラズマもしくは電気アークによって加熱され、一旦加熱されれば、材料は大量なガスによってスプレーされうる。溶射は、例えば、金属、セラミックス、ポリマーに被覆する際に用いられる。供給材料は、パウダー、ワイヤー(wire)、溶液、棒(rod)、小粒子懸濁であることができる。
【0012】
材料の被覆に用いられる溶射技術には多種多様なタイプがあり、例えば、食塩水、金属粒子懸濁液、乾燥した金属粒子、金属線、もしくは金属とセラミックとの複合粒子が例として挙げられる。溶射の一タイプは冷却ガスダイナミックなスプレーである。冷却ガスダイナミックなスプレーにおいて、基板に噴射される材料は非常に高速で一般的には華氏1000度以下の限定温度での限定
【0013】
この実施形態において、金属スプラット12が、食塩水もしくは金属懸濁粒子を溶射することによって、耐腐食性金属基板10の頂面に溶射されうる。食塩水は例えば、水に1重量パーセントの酢酸金溶液を含むことができる。金属懸濁粒子はたとえば金のパウダー(金粉)エチレン・グリコール、および界面活性剤を含むことができる。金属懸濁粒子の1つの具体例として、超音波プローブを用いて15分間分散することによって、2.25グラム(g)の金粉(直径が約0.5μm)、80gのエチレン・グリコールおよび0.07gの界面活性剤(Uniquema社からのPD-700)の混合物を含むことができる。
【0014】
金属スプラット12が、耐腐食性金属基板10の全表面に比べて狭い耐腐食性金属基板10の表面(たとえば、表面エリア)の一部を覆うように被覆されうる。言い換えれば、
耐腐食性金属基板10の表面の全エリアより少ない部分とは、金属スプラット12によって覆われる別の成分に接触するため典型的に使用される方法である。この方法において、金属スプラット12が、耐腐食性金属基板10表面に貴金属層を被覆するよりも実質的に少ない貴金属量で耐腐食性金属基板10表面導電性を増強することができる。いくつかの実施形態において、複数の金属スプラット12によって覆われている耐腐食性金属基板10の一部もしくは総量(例えば頂面エリア)が予め決められ、被覆されている金属スプラット12の割合が予定の量に達するために制御されうる。例えば、金属スプラット12によって覆われている耐腐食性金属基板10の表面パーセンテージは、0.5%から10%、10%から30%、20%から40%、30%から50%、40%から60%もしくは50%から70%、または50%から95%の間にありうる。別の実施形態において、金属スプラット12によって覆われている耐腐食性金属基板10の表面パーセンテージは、おおよそ50%未満、60%未満、70%未満もしくは95%未満であることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板10に金属スプラットもしくはドット12を被覆させるには、別の被覆方法が用いられる。一般的な被覆技術の1つは、めっき工程を用いて貴金属を基板上にめっきする方法である。場合によっては、めっきの結果が耐腐食性金属基板10に金属スプラットもしくはドット12の接着力が弱い場合がある。この場合において、付着特性を強化するためにそれに続いて結合ステップもしくはプロセスを行うことが好ましい。結合ステップもしくはプロセスは、例えば空気中に一時間かけて金属スプラット12を摂氏450度での溶射を含めることができる。別の被覆技術は、真空の環境下基板に材料を被覆する物理的気相成長法(PVD)がある。しかしながら、PVD法は真空の環境下で行うため、このコストが非常に高い。
【0016】
図1Bは図1Aに開示した平面図である。図1Bに示されているのは、スプレープロセスの結果で、金属スプラット12のサイズおよび/または配置が耐腐食性金属基板10の表面にそれぞれに変化している。たとえば、金属スプラット12は特別のパターンもしくは配置を必要としない。
【0017】
図2Aは、本発明の一実施形態における、耐腐食性金属基板10の表面上の突起部分14に被覆された複数の金属スプラット12の断面図である。例えば、耐腐食性金属基板10はほかのデバイスもしくは構成成分と物理的および電気的な接触を行うために、突起部分14を有することができ、同時に生じた低い部分(谷)は反応(例えば、電気化学反応)において大量輸送を行うことができる。この場合において、金属スプラット12は、耐腐食性金属基板10の表面上の突起部分14以外の部分ではなく、突起部分の14に被覆されることが好ましい。この場合の金属スプラット12に用いられる貴金属は、物理的および電気的な接触用の範囲内に限定することができる。
【0018】
耐腐食性金属基板10の表面の突起部14に金属スプラット12を包含し、限定するためには、開口部16aを有するマスク16が用いられる。例えば、溶射の過程において、開口部16aは、金属スプラット12が耐腐食性金属基板10の表面のほかの箇所ではなく、突起部14のみに被覆されるように、実質突起部14と同じ大きさに設定することができる。マスクははずされることを前提にプロセス時に一時的に用いられ、または金属板に永久的に残ることができる。
【0019】
図2Bは、図2Aに開示された構造の平面図である。図2Bにしめされているように、マスクされたスプレープロセスの結果として、金属スプラット12の分布はそれぞれ耐腐食性金属基板10の突起部分14に限定されている。
【0020】
図3は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板20の表面に被覆された導電金属層24を有する複数の耐腐食性粒子22の断面図である。金属層24は、例えば、電気化学的装置にある接触金属成分のための高導電接触ポイントとして用いられる。たとえば、耐腐食性金属基板20がチタニウム、ニオビウム、ジルコニウムおよび/またはこれらの金属のいずれかからなる合金を含むことができる。別の例として、耐腐食性金属基板20が、低コストカーボン・スチール、ステンレス鋼、銅、および/またはアルミニウム、および/またはこれらの金属のいずれかからなる合金を含むことができる。さらに別の例として、耐腐食性金属基板20が、鉄、クロム、もしくはニッケルまたはこれらの金属のいずれからなる合金を含むことができる。耐腐食性粒子22が導電金属層24のための先駆体として用いられる初期物質から作られうる。
【0021】
耐腐食性金属もしくは合金粒子22は、耐腐食性金属基板20の頂面に被覆および/または結合されうる。耐腐食性合金粒子22は、耐腐食性金属基板20の頂面に、例えば、溶射プロセス、選択エッチングプロセス、遮蔽マスクを用いるスパッタリングプロセス(sputtering process)によって被覆されうる。耐腐食性合金粒子22は、用いられる溶射の技術によってスプラット、ドット、および/またはストリップ状に被覆されうる。結合は、例えば、空気中において約450度およそ1時間にかけて耐腐食性合金粒子22への熱処理を含むことができる。耐腐食性合金粒子22は例えばパラジウムを含むことができる。耐腐食性合金粒子22の厚さについては、0.01μmから20μmの範囲内である。いくつかの実施形態において耐腐食性合金粒子22の厚さは、たとえば、0.01μm−0.2μm、0.1μm−0.5μm、0.1μm‐1μm、0.1μm‐5μm、0.5μm‐1μm、1μm‐2μm、1μm‐5μm、2μm‐5μm、5μm‐10μm、または10μm‐20μmの範囲にあり、その中では、0.1μmから5μmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
薄い導電金属層24は貴金属を含み、また、耐腐食性合金粒子22の外表面に(例えば、電解加工めっきプロセスまたは無電解加工めっき(electroless chemical plating)プロセスによる)選択めっきされうる。耐腐食性合金粒子22を覆っている導電金属層24が耐腐食性合金粒子22の導電性および/または耐腐食性を強化するためである。導電金属層24が、例えば、金、プラチナ、イリジウムおよびルテニウムを含むことができる。導電金属層24の厚さが1nmから1μmの範囲にある。いくつかの実施形態において、導電金属層24の厚さが、例えば、1nm‐5nm、1nm‐10nm、10nm‐50nm、10nm‐100nm、1nm‐0.5μm、20nm‐0.5μm、100nm‐0.5μm、もしくは100nm‐1μmの範囲にあり、その中10nmから100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0023】
耐腐食性金属基板20の表面の一部を覆うために、耐腐食性合金粒子22が耐腐食性金属基板20の全表面より狭い範囲に被覆されることができる。この場合において、耐腐食性合金粒子22が導電金属層24と共に、耐腐食性金属基板20の表面の導電性を強化するために高導電性接触ポイントとして用い、これは、耐腐食性金属基板20の全表面に金属層を被覆させることより低コストである。図1Aで開示した、耐腐食性金属基板10の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図3の耐腐食性合金粒子22によって提供される被覆に適応されうる。
【0024】
図3に開示されたように、耐腐食性合金粒子22は耐腐食性金属基板20の頂面に被覆されている。好ましくは、耐腐食性合金粒子22は、他の成分に物理的および電気的な接触に用いられる、耐腐食性金属基板20の頂面の領域もしくは一部に被覆されている。前記の他の成分が当該領域における電気接点抵抗が導電金属層24に伴う耐腐食性合金粒子22によって弱められるような成分である。図3に示す構造の一応用例は、金属バイポーラ板が黒鉛ガス拡散層(graphite gas diffusion layer:GDL)に直接に接触する、固体高分子形膜燃料電池(polymer electrolyte member (PEM) fuel cell)にある。この実施例において、金属バイポーラ板とGDLとの間の低電気接点抵抗を達成するために、耐腐食性合金粒子22(たとえば、金に覆われているプラチナスプラット)が直接にGDLに接触することができる。
【0025】
図4は、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板21の表面に被覆された導電窒化物層25を有する複数の耐腐食性合金粒子23を持つ構造の断面図である。導電窒化物層25は、例えば、電気化学的装置にある金属成分と接触するための、高導電性接触ポイントとして使用されうる。図4の耐腐食性金属基板21は、前記図1Aから図3までに示された耐腐食性金属基板10または20と実質的に同じように材料から作られる。耐腐食性合金粒子23は導電窒化物層25のための先駆体として用いられる初期物質から作られうる。
【0026】
耐腐食性合金粒子23は、耐腐食性金属基板21の頂面に被覆および/または結合されうる。耐腐食性合金粒子23は、たとえば、溶射プロセス、選択めっきプロセス、選択エッチングプロセス、遮蔽マスクを用いるスパッタリングプロセス(sputtering process)によって耐腐食性金属基板21の頂面に被覆されうる。耐腐食性合金粒子23は、用いられる溶射の技術によってスプラット、ドット、および/またはストリップ状に被覆されうる。耐腐食性合金粒子23は、例えば、チタニウム、クロム、もしくはニッケル、もしくはこれらの金属のいずれかから形成された合金を含むことができる。耐腐食性合金粒子23の厚さは、約0.1μmから約100μmの範囲にある。いくつかの実施形態において耐腐食性合金粒子23の厚さは、たとえば、0.01μm‐0.5μm、0.1μm‐1μm、0.1μm‐50μm、0.5μm‐1μm、1μm‐2μm、1μm‐5μm、1μm‐10μm、1μm‐50μm、5μm‐50μm、10μm‐50μm、20μm‐50μm、または50μm‐100μmの範囲にあり、その中では、0.1μmから50μmの範囲にあることが好ましい。
【0027】
導電窒素化物層25は、実質上純窒素雰囲気に800度−1300度の範囲に耐腐食性粒子23の焼なまし等を含むニトロ化プロセスを用いて形成されうる。これらの場合において、ニトロ化プロセスによって、耐腐食性粒子23を有しない窒化物層25aが耐腐食性金属基板21の頂面に部分的に形成されるという結果がえられる。しかしながら、窒化物層25aは、耐腐食性金属基板21の導電性および耐腐食性にマイナスとなることはない。窒化物層25aに関する厚さは、約1nmから約10μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において窒化物層25aに関する厚さは、たとえば、1nm−5nm、1nm−10nm、2nm−1μm、10nm−50nm、10nm−100nm、1nm−0.5μm、5nm−20nm、20nm−0.5μm、100nm−0.5μm、100nm−1μm、もしくは1μm−10μmの範囲にあり、その中では、2nm−1μmの範囲にあることが好ましい。
【0028】
耐腐食性粒子23が耐腐食性金属基板21の全表面により狭い耐腐食性金属基板21表面の一部に覆うように被覆されうる。この場合において、耐腐食性粒子23および導電窒素化物層25とは、耐腐食性金属基板21の表面の導電性を強化することができるが、金属層を耐腐食性金属基板21全表面に被覆させるより低コストである。図1Aで開示した、耐腐食性金属基板10の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図4の耐腐食性合金粒子23によって提供される被覆に適応されうる。
【0029】
図5A−図5Cは、本発明の実施形態において、導電性セラミック粒子32を耐腐食性金属基板30の表面に結合するための耐腐食性結合金属34と複数の導電性セラミック粒子32とを有する構造の断面図である。図5A−5Cにある耐腐食性金属基板30は実質的に同じで、これらは、図1A−3に開示された耐腐食性金属基板10もしくは20のように実質的に同じ材料から作られうる。
【0030】
図5Aにおいて、導電性物質による被覆前の耐腐食性金属基板30が示されている。図5Bにおいて、耐腐食性金属基板30の頂面に被覆された導電性セラミック粒子32は、例えば、金属炭化物、金属ホウ化物、もしくは金属窒化物を含むことができる。導電性セラミック粒子32は、少なくともその外表面に被覆されている耐腐食性結合金属もしくは合金34を有することができる。いくつかの実施形態において、導電性セラミック粒子32および耐腐食性結合金属34は混合され、もしくは混合物を形成することができる。耐腐食性結合金属34は、例えば、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、金、パラジウム、プラチナ、イリジウム、もしくは、ハステロイC−276のような耐腐食性合金、ステンレス鋼、鉄、クロム、ニッケル、チタニウム、もしくはジルコニウムをベースとする合金を含むことができる。導電性セラミック粒子32は、耐腐食性金属基板30の電気接点抵抗を下げるために、高導電性接触ポイントとして、また、結合金属34は基板30に導電性セラミック粒子32を結合させるために用いられている。
【0031】
図5Bに示されているように、導電性セラミック粒子32と耐腐食性結合金属34は、耐腐食性金属基板30の表面に溶射および/または結合されうる。溶射される場合、耐腐食性結合金属34が溶射のプロセスにおいて溶かされ、結果として、小さい耐腐食性結合金属34斑点もしくはかけら(例えば、金属34a)にように耐腐食性金属基板30の頂面に被覆される。しかしながら、金属34aは、耐腐食性金属基板30の導電性もしくは耐腐食性にマイナスとなることはない。溶射および/または結合プロセスの結果として、導電性セラミック粒子32が分離され、少なくとも1つ別の導電性セラミック粒子32に結合し、および/または、少なくとも別の導電性セラミック粒子32に重なりうる。溶射による被覆後、導電性セラミック粒子32は部分的にもしくは完全に耐腐食性結合金属34によって、覆われている。
【0032】
図5は、耐腐食性結合金属34の少なくとも一部が導電性セラミック粒子32から取り除かれている様子を示している。この取り除きは、化学エッチングプロセス、電解加工研磨プロセス、機械研磨プロセスによって行われる。一例として、化学エッチングプロセスにおいて、取り除かれる耐腐食性結合金属34の量が、エッチング率および持続する時間による。耐腐食性結合金属34の一部の削除によって、導電性セラミック粒子32が露出され、耐腐食性金属基板30の電気接点抵抗を低下させるために、高導電性接触ポイントとして用いられる。耐腐食性結合金属34は、導電性セラミック粒子32と耐腐食性金属基板30と結合させるために用いられる。
いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板30および耐腐食性結合金属34は表面安定化処理プロセスを経ることによって、その耐腐食性をさらに強化することができる。密度の高い酸化被膜を形成させるための熱酸化プロセスが一例として表面安定化処理に含まれうる。別の例として、陽極酸化プロセスおよびそれに類似するプロセスが表面安定化処理に用いられる。
【0033】
導電性セラミック粒子32は、耐腐食性金属基板30の全表面により狭い耐腐食性金属基板30の頂面の一部を覆うように被覆されうる。図1Aで開示した、耐腐食性金属基板10の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図5A−5Cの耐腐食性合金粒子32によって提供される被覆に適応されうる。
【0034】
図6A−図6Cは、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板40の表面に被覆された導電性含有物44を有する合金粒子42を有する構造の断面図である。導電性含有物44は適した熱処理によって生じた合金42にある沈殿物である。導電性含有物44は、例えば、電気化学的装置にある金属成分のために高導電性接触ポイントとして用いられる。図6A−図6Cの耐腐食性金属基板40は、前記図1A−3に開示した耐腐食性金属基板10−20と実質的に同様な材料によって作られる。合金粒子42は導電性含有物44のための先駆体として用いられる初期物質から作られうる。
【0035】
図6Aにおいて、合金粒子42はステンレス鋼、クロム、モリブデナム、タングステン、またはニオビウム、もしくは、クロム、モリブデナム、タングステン、ニオビウム、もしくは、炭素含有量が9%未満、ホウ素含有量が5%未満、窒素含有量が1%未満のクロミウム、モリブデナム、タングステン、ニオビウムの合金から作られうる。本発明の一実施形態において、合金粒子42は、耐腐食性金属基板40の表面にスプレー(例えば溶射)および/または結合されうる。別の実施形態において、合金粒子42は、スパッタリングプロセスもしくはめっきプロセスによって、耐腐食性金属基板40の表面に被覆されうる。米国特許第6,379,476号には、ステンレス鋼の表面導電性を強化するために、特殊処置されたステンレス鋼基板において高濃度の炭素、窒素、および/またはホウ素を有する導電性含有物を用いる方法を記載されている。その内容を引用して本発明の内容とする。スプレーおよび/または結合プロセスの結果として、合金粒子42は分離し、接触されもしくは重なりそして耐腐食性金属基板40の表面の一部を覆うことができる。
【0036】
図6Bにおいて、合金粒子42は、スプラット42に炭素、窒素および/またはホウ素を生じさせることで、金属炭化物、金属窒化物、および/または金属ホウ化物含有物44の形で沈殿するために、制御された条件下で熱処理されうる。図6は含有物44が、化学エッチング処理、電解加工研磨プロセス、機械研磨プロセスによって、スプラット42のトップの部分を除去することで含有物を表面に露出させる模式を示している。これらの露出された含有物は、低電気接点抵抗を有する耐腐食性金属基板40の表面提供するために、高導電性接触ポイントとして用いられる。導電性含有物44を露出させた後に残った合金粒子42の部分は、導電性含有物44と耐腐食性金属基板40とを結合させるために用いられる。いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板40は、耐腐食性を高めるために、表面安定化処理を行うことができる。
【0037】
前記のように、合金42は、耐腐食性金属基板40の全表面もしくは耐腐食性金属基板40の全面より少なく耐腐食性金属基板40の帳面に野一部を覆うために被覆されうる。さらに、耐腐食性金属基板40全表面により少ない表面が覆われた場合、耐腐食性金属基板40の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図6A−6Cのスプラット42によって提供される被覆に適応されうる。
【0038】
図7は、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板50の表面に被覆された触媒52によって成長した複数のカーボン・ナノチューブ54を含んでいる構造の断面図である。図7の耐腐食性金属基板50は、前記図1A−3に開示した耐腐食性金属基板10−20と実質的に同様な材料によって作られる。触媒52は、カーボン・ナノチューブ54のための先駆体として用いられる初期物質とされる。
【0039】
カーボン・ナノチューブ54は、耐腐食性金属基板50の電気接点抵抗を減らすために高導電性接触ポイントとして用いられる。触媒52の薄い層は、耐腐食性金属基板50の上にカーボン・ナノチューブ54の成長を可能するために用いられうる。いくつかの実施形態において、カーボン・ナノチューブ54は、耐腐食性金属基板50の頂面の全体に実質的に成長されうる。別の実施形態において、カーボン・ナノチューブ54は、耐腐食性金属基板50の頂面の一部に、もしくは複数の部分に成長されうる。いくつかの実施形態において、たとえば、耐腐食性金属基板50がニッケル含有合金構造である場合、触媒52を必要とせずに耐腐食性金属基板50から直接にカーボン・ナノチューブ54を成長させることができる。
【0040】
カーボン・ナノチューブ54を成長させるために、金属表面に触媒52の薄い層が被覆される。触媒52は、ニッケル、鉄、プラチナ、パラジウム、および/または、その他同じ特徴を有する材料と含むことができる。触媒52は、耐腐食性金属基板50の頂面の全体を実質的に覆うように被覆され、また、耐腐食性金属基板50の表面の一部もしくは複数部分を覆うように被覆されうる。触媒52に伴う耐腐食性金属基板50は、化学蒸着(CVD)プロセスもしくはプラズマ化学気相成長法(PECVD)プロセスを介して、耐腐食性金属基板50にカーボン・ナノチューブ54を成長させるために、燃焼室に置かれる。カーボン・ナノチューブ54のトップに存在する触媒52は、耐腐食性金属基板50の頂面にカーボン・ナノチューブ54がしっかりと付着さした後に、化学エッチングプロセス、電気化学エッチングプロセスによって、取り除かれる。いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板50は、耐腐食性を高めるために、表面安定化処理を行うことができる。
【0041】
図8は、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板60の表面に被覆された耐腐食性コーティング層62にある複数高導電性接触ポイント64を含む構造の断面図である。耐腐食性金属基板60より耐腐食性コーティング層62が高い耐食特性有することができる。より高い耐腐食性および低い電気接点抵抗を有する耐腐食性金属基板60は、耐腐食性コーティング層62を耐腐食性金属基板60の表面に被覆し、そして、耐腐食性コーティング層62の表面の一部に導電性材料(例えば、高導電性接触ポイント64)の薄い層を被覆することによって達成される。
【0042】
耐腐食性金属基板60は、低コストの炭素鋼、ステンレス鋼、銅、および/またはアルミニウム、および/またはこれら材料のいずれかからなる合金を含むことができる。一例として、耐腐食性コーティング層62は、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウム、ニッケル、クロム、錫、タンタラム、および/またはこれらの材料のいずれかからなる合金を含むことができる。別の例において、耐腐食性コーティング層62が、例えば、炭化ケイ素、炭化クロム、または、窒化チタンのような導電性または半導電性化合物を含むことができる。耐腐食性コーティング層62の厚さは、約1nmから約50μmの範囲にある。いくつかの実施形態において、耐腐食性コーティング層62の厚さは、1nm−100nm、1nm−200nm、1nm−10μm、0.01μm−0.5μm、0.01μm−1μm、1μm−5μm、1μm−10μm、10μm−20μm、10μm−50μm、もしくは20μm−50μmの範囲にある。たとえば、1nm−10μmの範囲内にあることは特定の実施形態のおいて好ましい。
【0043】
耐腐食性コーティング層62は、蒸着処理(たとえば、PVDもしくはCVD)もしくはめっき処理によって耐腐食性金属基板60の頂面に被覆されうる。耐腐食性コーティング層62のために比較的に厚いコーティングを加えることによって、基板をコーティングするときに生じる典型的なエラーの数およびサイズを最小限にすることができる。さらに、耐腐食性金属基板60と耐腐食性コーティング層62と粘着を強化するために、耐腐食性コーティング層62を伴う耐腐食性金属基板60が適宜な熱処理(例えば、結合処理)を通過することができる。例えば、耐腐食性コーティング層62を伴う耐腐食性金属基板60は、空気中に450度の熱処理を一時間行うことができる。このような熱処理は、PVDプロセスによるコーティング層が被覆された結果として典型的に生じる小さい穴の数およびサイズを除去し、もしくは最小限にするために用いられる。いくつかの実施形態において、耐腐食性コーティング層62の耐食特性を高めるために、表面安定化処理は、導電性スプラット64が被覆された後に、耐腐食性コーティング層62に適用されうる。
【0044】
高導電性接触ポイント64は、たとえば、前記図1A−2Bに開示されているように、金、パラジウム、プラチナ、イリジウム、ルテニウム、ニオビウム、および/またはオスミウムを含むことができる。高導電性接触ポイント64は、たとえば、前記図3−7に開示されているように、窒化物、炭素ホウ化物(carbides boride)、カーボン・ナノチューブも含むことができる。
【0045】
高導電性接触ポイント64は、例えば、電解めっきプロセス、化学めっきプロセス、溶射プロセス、蒸着プロセス、または金属ブラシプロセスのいずれかを用いて被覆されうる。高温処理は、高導電性接触ポイント64と耐腐食性コーティング層62との間の接着を強化するための被覆後に用いられる。
【0046】
いくつかの実施形態において、例えば、拡散障壁層または接着層として用いられる界面層のような付加的な層(図8に示さず)は、耐腐食性金属基板60と耐腐食性コーティング層62との間に、および/または、耐腐食性コーティング層62と高導電性接触ポイント64との間に被覆もしくは置かれうる。拡散障壁層は、熱処理の際に低い表面もしくは層から高い表面もしくは層に材料の拡散を最小限にするために用いられる。接着層は、耐腐食性金属基板60のために高められた耐腐食性特徴を提供するために、層の間の結合および付着を高めるために用いられる。一例として、界面層は、タンタラム、ハフニウム、ニオビウム、ジルコニウム、パラジウム、バナジウム、タングステンを含むことができる。界面層はさらに、いくつかの酸化物および/または窒化物も含むことができる。界面層に関する厚さは、1nm−10μmの範囲にありうる。いくつかの実施形態において、界面層の厚さは、例えば、1nm−5nm、1nm−10nm、1nm−1μm、0.01μm−1μm、1μm−2μm、1μm−5μm、1μm−10μm、もしくは5μm−10μmの範囲にあり、特定の実施形態においては、0.01μm−1μmの範囲内にあることが好ましい。
【0047】
図8に開示されたような構造を製造する方法の最初の実施例において、1μmチタニウムコーティング層(耐腐食性コーティング層62)がスパッタリングプロセスを用いて、ステンレス鋼316(SS316)基板(耐腐食性金属基板60)上に被覆された。次いで、金のスプラット層(高導電性接触ポイント64)は、チタニウム層の表面エリアの一部を覆うドットもしくはスプラットのようにチタニウムコーティング層の表面上に(たとえば、溶射)によって被覆された。金のドットもしくはスプラットが被覆された後に、チタン被膜のSS316は、金のスプラットとチタニウムコーティング層表面との間、および、チタニウムコーティング層とSS316基板との間の結合を強化するに、空気中に450度で熱処理されうる。
【0048】
図9は、本発明の1実施形態において、0.004”厚さのチタン箔の表面に溶射された金の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図10−図11は、本発明の1実施形態において、チタンコーティングされた0.004”厚さのステンレス鋼箔の表面に溶射された金の走査型電子顕微鏡(SEM)および光学顕微鏡のそれぞれの写真である。図9から図11のいずれかは、前記実施例に作られた構造での方法と実質的に同様な方法で作られた構造の平面図もしくは上面図である。
【0049】
図12は、本発明の1実施形態において、標準のSS316基板表面の動的分極電食データ(dynamic polarization electrochemical corrosion data)を示すプロットである。このテストは、50ppm(parts−per−million)フッ化物を有し、pH=2の硫酸(H2S04)溶液を用いて80度で10ミリボルト毎秒(mV/min)のポテンシャル走査速度で行われうる。図12のプロットは、チタンコーティングSS316基板が標準のSS316基板に比べて、非常に弱い腐食電流を有することを示している。図12のテスト用基板は、その1つが前記図8に関する構造を作るための方法の第二実施例に基づいている。この実施例において、厚い(−3μm)チタンコーティング層(耐腐食性コーティング層62)がSS316基板(耐腐食性金属基板60)に、電子ビーム(e−ビーム)蒸着プロセスによって被覆された。金スプラットがチタンコーティングされたSS316基板上に溶射された。さらに、チタンコーティングされたSS316基板が、よりよい付着のために空気中に450度で別処理された。
【0050】
いくつかの実施形態において、たとえば、図9−図11のチタンコーティングされたSS316基板、もしくは図1A−2Bの耐腐食性金属基板10のような基板に金属ドットもしくはスプラットのための特定パターンもしくは配置を形成するために写真平版技術が用いられうる。このようなパターンは、規則的間隔の開口を有するマスクに用い、たとえば、スパッタリングプロセスを用いて導電性材料を被覆することで達成されうる。図13は、本発明の実施形態による、耐腐食性金属基板の頂面にある複数の金ドットパターンの光学顕微鏡写真である。
【0051】
基板上に材料、層もしくはコーティングを被覆するとき、コーティング欠陥は一般てきこのようなプロセスの結果として生じる。これらの欠陥は、コーティング層(たとえば、耐食コーティング層62)にあるような小さいピンホールもしくは微小亀裂のような形である。耐腐食性金属基板60とコーティング層材料62との間で電気的結合が起きうるため、このような欠陥は、耐腐食性金属基板60の腐食を促進されうる。以下では、たとえば、金、パラジウム、クロム、錫、もしくはプラチナのような耐腐食性金属を選択めっき(たとえば、電解めっき、化学めっき)することによって、耐食コーティング層62で起こりうるめっきプロセスが、たとえば、耐腐食性金属基板60の露出した部分を覆うための欠陥を密封するのに用いられうる多種多様な実施形態が記載されている。たとえば、耐腐食性金属が最初に、耐食コーティング層62の表面ではなく、耐食コーティング層62にある欠陥に結合するように、貴金属の選択電解めっきが電圧の制御によって起こる。適宜な電圧もしくは選択電解めっきに用いられる電圧は、典型的に経験によって、決められる。熱処理プロセスもしくはステップは、結合効果、および/または、耐腐食性金属基板60および/または耐食コーティング層62に伴う、金めっき、パラジウムめっき、錫めっき、クロムめっきまたはプラチナめっきの密封効果を確実にすることができる。この関連で、めっき金属は、コーティングの欠陥を密封するだけではなく、耐腐食性金属基板60と、耐腐食性金属基板60の導電特性を高めうる耐食コーティング層62との間に導電ビア(via)もしくは導電ルートとしても用いられうる。いくつかの実施形態において、コーティング欠陥の密封は、耐食コーティング層62に高導電性接触ポイント64が被覆される前に行われる。
【0052】
図14は、本発明の1実施形態において、シリコンコーティング層に金密封されたピンホールを有する、シリコンコーティングされたステンレス鋼の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。ステンレス鋼基板はシリコンベースの耐食コーティング層を有することができる。図14から分かるように、これらの欠陥が、金属表面の耐腐食性に対するこれらの欠陥による影響を最小限もしくは低減するように、選択めっきプロセスによって密封される。このような処理された構造に行った電食テストは、耐腐食性コーティング層62に欠陥があるステンレス鋼の腐食率が、耐腐食性コーティング層62の上の欠陥が密封されたステンレス鋼より高いこと示している。
【0053】
多種多少な実施形態が前記のように実施例として限定されずに記載されている。当業者にとって、開示の内容およびから範囲内において形式上および内容上の変更を行うことができる。事実上、前記内容を読めば、当業者にとって、実施形態をどうやって他の代替手段で行うことを理解することができる。このように、ここでの開示は、前記典型的な実施形態のいずれかに限定すべきでない。
【0054】
さらに、電気化学分野において用いられる関連の方法および構造は事実上複雑であるように、前記方法および構造は、具体的な課題の解決のために、操作パラメーターの適切な変化を経験的に決定することで、もしくは、コンピュータシミュレーションを通じて最良な実施形態である。したがって、あらゆる適当な改良、結合、およびこれに同等なものは、本発明の思想および範囲内に属すると考えられる。
【0055】
さらに、本発明の図面は事例として示すためのものであることを理解されたい。開示に示された構造は、実質上フレキシブルおよび変更可能で、図面に示された以外の構造を形成もしくは利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1Aは、実施形態における耐腐食性金属回路基板表面への多重塗装を含む構造の断面図である。 図1Bは、図1Aに示す構造の平面図である。
【図2】図2Aは、実施形態における耐腐食性金属回路基板の表面の突起した部分への多重塗装を含む構造の断面図である。 図2Bは、図2Aに示す構造の平面図である。
【図3】図3は、実施形態における貴金属層を有し、耐腐食性金属回路基板の表面に塗装される複数耐腐食性微粒子を含む構造の断面図である。
【図4】図4は、実施形態における導電性窒化物層を有し、耐腐食性金属回路基板の表面に塗装される複数導電性セラミック微粒子を含む構造の断面図である。
【図5】図5A−図5Cは、本発明の実施形態における、複数導電性セラミック粒子と、耐腐食性金属基板の表面に前記セラミック粒子を結合させる耐腐食性結合金属との断面図である。
【図6】図6A−図6Cは、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板の表面に被覆された高導電性接触ポイントのような導電性含有物を有する合金粒子を含む構造の断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板の表面に被覆された触媒の上に成長される複数カーボン・ナノチューブを含む構造の断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板より耐腐食性を有する、耐腐食性金属基板の表面に被覆された耐腐食性コーティング層にある複数導電スプラットを含む構造の断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態における、チタニウム表面に金を溶射したSEM図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態における、チタニウムコーティングされたステンレス鋼表面に金を溶射したSEM写真である。
【図11】図11は、本発明の実施形態における、チタニウムコーティングされたステンレス鋼表面に金を溶射した光学顕微鏡による写真である。
【図12】図12は、本発明の実施形態における、標準SS316(ステンレス鋼)の動的分極の電食データを表示したプロットである。
【図13】図13は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板の表面に形成された複数の金のドットの光学顕微鏡による写真である。
【図14】図14は、本発明の実施形態における、シリコンコーティング層にある金で密封したピンホールを有しシリコンコーティングされたステンレス鋼の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年8月15日に出願した電気化学的用途のための高導電性表面の製造方法を名称とする米国仮出願第61/089,233号、2008年1月24日に出願した電気化学的用途のための高導電性表面の形成のためのスプレー方法を名称とする米国仮出願第61/023,273号、および、2008年1月8日に出願した電気化学的用途のための金属の腐食防止方法を名称とする米国仮出願第61/019,657号の優先権を主張し、あわせてそれらを引用して本明細書の内容とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、電気化学的用途で使用される金属組成物の金属表面の導電性および/または耐腐食性に関し、特に、これらの金属組成物のデザインおよび耐腐食性金属基板表面の表面電気接触抵抗を下げるために少量の導体材料を被覆する、コストの面で効果的な製造方法の使用に関する。
【0003】
(技術背景)
電気化学的用途において、金属素材は塩素アルカリ処理に使用される電極や、低温燃料電池(プロトン交換膜)と高温燃料電池(個体酸化物)両方における分離と連結板材を含む様々な電気化学的装置に広く使用されている。金属素材は又、電池、電解槽、電気化学的気体分離にも使用されている。電気化学的装置の稼働と効率よく稼働さることによる装置内部の電気損失を減らすため、金属素材は表面に高電気導電性(又は低電気導電性)を有することが望ましい。電気化学的用途により直面する問題の一つに、金属性材料が高導電性だけでなく高耐腐食性も求められる点である。
【0004】
金属性材料を例えばクロムやニッケル層といった耐腐食性物質で塗装するという方法は一般的な産業の習わしである。しかし、これらの物質は電気化学的装置内部の複数の腐食されうる環境では使用することができない。高品質な金属には高耐腐食性と高電気導電性が備わっているが、商用のための大量生産には高価になりがちである。
【0005】
例えばチタン、ジルコニウムやシリコンといった他の物質は、とりわけそれに適した被膜処理をすると、極めて優れた耐腐食性と電気導電性を持つ。しかし、これらの物質には複数の制約がある。例えば、表面安定処理後は特に、電気的接触抵抗が非常に高い。さらに、これらの物質は非常に高価であり、および/または処理が困難な場合がある。結果的に、これらの物質を商用目的で使用するには制約ができてしまう場合がある。
【0006】
このため、電気化学的用途における電気回路に低価格な塗装を提供でき、それらの電気導電性および/又は耐腐食性を強化することができる技術が望まれている。そのような塗装は、例えば燃料電池、電池、電解槽といった金属から作られる部品を有する電気化学的用途に使用されうる。
【0007】
(詳細な説明)
電子化学的用途に使用され、金属回路基板の導電性および/または耐腐食性を従来よりも安価に向上させるために金属回路基板に処理される物質に関する様々な実施形態を下記に記載する。これらの実施形態は、例えば燃料電池、電池、電解槽、気体分離装置といった金属を基板とする部品をもつ電気化学的用途における装置に使用されうる。
【0008】
本発明のいくつかの形態において、耐腐食性金属基板の電気接触抵抗は耐食金属基板表面に高導電性の接触ポイントおよび接触エリアを被覆することによって下げられる。これらの接触ポイントは、製品の電気的導通を維持する電気化学的装置にあるほかのコンポーネントと一体になる、耐食金属基板を有するコンポーネントに電気的に接続するために用いられうる。これらの接触ポイントによる表面(例えば、接触表面)の全部をカバーする必要がないため、材料および製造コストを低く抑える結果を得ることができる。これらの接触ポイントは、例として貴金属、導電性窒化物、炭化物および炭素等が挙げられるが、これには限らない、多種多様な耐食および/または導電性物質を含むことができる。
【0009】
図1Aは、本発明の一実施形態における、耐腐食性金属基板10の表面に被覆された多重金属板もしくはドット12を含む構造の断面図である。この金属板12は、たとえば電気化学的装置にある金属コンポーネントに接続ために、高導電性の接触ポイントとして用いられうる。例えば、耐食金属基板10は、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、および/またはタンタラムおよび/またはこれらの金属の合金を含むことができる。別の例として、耐食金属基板10は、低コストのカーボン・スチール、ステンレス鋼、銅および/またはアルミニウムおよび/またはこれらの金属の合金を含むことができる。更に別の例として、耐食金属基板10は、鉄、クロム、もしくはニッケルおよび/またはこれらの金属の合金を含むことができる。いくつかの実施形態において、この耐食金属基板10は、金属基板の表面に金属より耐腐食性を有する材料からなる耐食コーティング層を被覆させることを含むことができる。金属基板の表面に耐食コーティング層を蒸着処理(例えば、PVDもしくはCVD)で被覆することができる。金属基板と耐食コーティング層との粘着力を増強するために、接着工程が用いられうる。例えば、耐食コーティング層は空気中に約一時間かけて450℃に加熱処理されうる。
【0010】
このスプラット(Splat)12は、耐腐食性金属基板10の表面に噴霧あるいは/接着される貴金属粒子を含むことができる。このスプラット12は、高い電気導電性を有し、金、パラジウム、プラチナ、イリジウムあるいは/またはルテニウムを含むことができる。スプラット12に使われる材料の一例として、50メガ平行センチメートル(mΩ/cm2)以下の接触抵抗を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、その接触抵抗値が10メガ平行センチメートル(mΩ/cm2)以下であることが好ましい。このスプラットの薄さは約1nm(ナノメートル)から約5μm(マイクロメートル)の範囲内である。いくつかの実施形態において、このスプラットが金であり、その厚さは、1nm−5nm、1nm−10nm、10nm−50nm、10nm−100nm、10nm−20μm、1nm−0.5μm、20nm−0.5μm、100nm−0.5μm、20nm−1μm、100nm−1μm、0.5μm−5μmもしくは1μm−20μmの範囲にあり、例えば、特定の実施形態において、10μm−20μmの範囲内であることが好ましい。この導電性のスプラット12は、例えば、溶射もしくはコールドスプレー(Cold Spray)によって、耐腐食性金属基板10の上に被覆されることができる。
【0011】
溶射技術は、いろいろな応用における幅広い材料に被覆に使用されうる、低コストで、迅速な製作析出技術を提供することができる。典型的な溶射技術では、まず、材料が例えば摂氏800℃以上に加熱され、次いで、その表面上にスプレーがされうる。材料は、例えば、炎、プラズマもしくは電気アークによって加熱され、一旦加熱されれば、材料は大量なガスによってスプレーされうる。溶射は、例えば、金属、セラミックス、ポリマーに被覆する際に用いられる。供給材料は、パウダー、ワイヤー(wire)、溶液、棒(rod)、小粒子懸濁であることができる。
【0012】
材料の被覆に用いられる溶射技術には多種多様なタイプがあり、例えば、食塩水、金属粒子懸濁液、乾燥した金属粒子、金属線、もしくは金属とセラミックとの複合粒子が例として挙げられる。溶射の一タイプは冷却ガスダイナミックなスプレーである。冷却ガスダイナミックなスプレーにおいて、基板に噴射される材料は非常に高速で一般的には華氏1000度以下の限定温度での限定
【0013】
この実施形態において、金属スプラット12が、食塩水もしくは金属懸濁粒子を溶射することによって、耐腐食性金属基板10の頂面に溶射されうる。食塩水は例えば、水に1重量パーセントの酢酸金溶液を含むことができる。金属懸濁粒子はたとえば金のパウダー(金粉)エチレン・グリコール、および界面活性剤を含むことができる。金属懸濁粒子の1つの具体例として、超音波プローブを用いて15分間分散することによって、2.25グラム(g)の金粉(直径が約0.5μm)、80gのエチレン・グリコールおよび0.07gの界面活性剤(Uniquema社からのPD-700)の混合物を含むことができる。
【0014】
金属スプラット12が、耐腐食性金属基板10の全表面に比べて狭い耐腐食性金属基板10の表面(たとえば、表面エリア)の一部を覆うように被覆されうる。言い換えれば、
耐腐食性金属基板10の表面の全エリアより少ない部分とは、金属スプラット12によって覆われる別の成分に接触するため典型的に使用される方法である。この方法において、金属スプラット12が、耐腐食性金属基板10表面に貴金属層を被覆するよりも実質的に少ない貴金属量で耐腐食性金属基板10表面導電性を増強することができる。いくつかの実施形態において、複数の金属スプラット12によって覆われている耐腐食性金属基板10の一部もしくは総量(例えば頂面エリア)が予め決められ、被覆されている金属スプラット12の割合が予定の量に達するために制御されうる。例えば、金属スプラット12によって覆われている耐腐食性金属基板10の表面パーセンテージは、0.5%から10%、10%から30%、20%から40%、30%から50%、40%から60%もしくは50%から70%、または50%から95%の間にありうる。別の実施形態において、金属スプラット12によって覆われている耐腐食性金属基板10の表面パーセンテージは、おおよそ50%未満、60%未満、70%未満もしくは95%未満であることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板10に金属スプラットもしくはドット12を被覆させるには、別の被覆方法が用いられる。一般的な被覆技術の1つは、めっき工程を用いて貴金属を基板上にめっきする方法である。場合によっては、めっきの結果が耐腐食性金属基板10に金属スプラットもしくはドット12の接着力が弱い場合がある。この場合において、付着特性を強化するためにそれに続いて結合ステップもしくはプロセスを行うことが好ましい。結合ステップもしくはプロセスは、例えば空気中に一時間かけて金属スプラット12を摂氏450度での溶射を含めることができる。別の被覆技術は、真空の環境下基板に材料を被覆する物理的気相成長法(PVD)がある。しかしながら、PVD法は真空の環境下で行うため、このコストが非常に高い。
【0016】
図1Bは図1Aに開示した平面図である。図1Bに示されているのは、スプレープロセスの結果で、金属スプラット12のサイズおよび/または配置が耐腐食性金属基板10の表面にそれぞれに変化している。たとえば、金属スプラット12は特別のパターンもしくは配置を必要としない。
【0017】
図2Aは、本発明の一実施形態における、耐腐食性金属基板10の表面上の突起部分14に被覆された複数の金属スプラット12の断面図である。例えば、耐腐食性金属基板10はほかのデバイスもしくは構成成分と物理的および電気的な接触を行うために、突起部分14を有することができ、同時に生じた低い部分(谷)は反応(例えば、電気化学反応)において大量輸送を行うことができる。この場合において、金属スプラット12は、耐腐食性金属基板10の表面上の突起部分14以外の部分ではなく、突起部分の14に被覆されることが好ましい。この場合の金属スプラット12に用いられる貴金属は、物理的および電気的な接触用の範囲内に限定することができる。
【0018】
耐腐食性金属基板10の表面の突起部14に金属スプラット12を包含し、限定するためには、開口部16aを有するマスク16が用いられる。例えば、溶射の過程において、開口部16aは、金属スプラット12が耐腐食性金属基板10の表面のほかの箇所ではなく、突起部14のみに被覆されるように、実質突起部14と同じ大きさに設定することができる。マスクははずされることを前提にプロセス時に一時的に用いられ、または金属板に永久的に残ることができる。
【0019】
図2Bは、図2Aに開示された構造の平面図である。図2Bにしめされているように、マスクされたスプレープロセスの結果として、金属スプラット12の分布はそれぞれ耐腐食性金属基板10の突起部分14に限定されている。
【0020】
図3は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板20の表面に被覆された導電金属層24を有する複数の耐腐食性粒子22の断面図である。金属層24は、例えば、電気化学的装置にある接触金属成分のための高導電接触ポイントとして用いられる。たとえば、耐腐食性金属基板20がチタニウム、ニオビウム、ジルコニウムおよび/またはこれらの金属のいずれかからなる合金を含むことができる。別の例として、耐腐食性金属基板20が、低コストカーボン・スチール、ステンレス鋼、銅、および/またはアルミニウム、および/またはこれらの金属のいずれかからなる合金を含むことができる。さらに別の例として、耐腐食性金属基板20が、鉄、クロム、もしくはニッケルまたはこれらの金属のいずれからなる合金を含むことができる。耐腐食性粒子22が導電金属層24のための先駆体として用いられる初期物質から作られうる。
【0021】
耐腐食性金属もしくは合金粒子22は、耐腐食性金属基板20の頂面に被覆および/または結合されうる。耐腐食性合金粒子22は、耐腐食性金属基板20の頂面に、例えば、溶射プロセス、選択エッチングプロセス、遮蔽マスクを用いるスパッタリングプロセス(sputtering process)によって被覆されうる。耐腐食性合金粒子22は、用いられる溶射の技術によってスプラット、ドット、および/またはストリップ状に被覆されうる。結合は、例えば、空気中において約450度およそ1時間にかけて耐腐食性合金粒子22への熱処理を含むことができる。耐腐食性合金粒子22は例えばパラジウムを含むことができる。耐腐食性合金粒子22の厚さについては、0.01μmから20μmの範囲内である。いくつかの実施形態において耐腐食性合金粒子22の厚さは、たとえば、0.01μm−0.2μm、0.1μm−0.5μm、0.1μm‐1μm、0.1μm‐5μm、0.5μm‐1μm、1μm‐2μm、1μm‐5μm、2μm‐5μm、5μm‐10μm、または10μm‐20μmの範囲にあり、その中では、0.1μmから5μmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
薄い導電金属層24は貴金属を含み、また、耐腐食性合金粒子22の外表面に(例えば、電解加工めっきプロセスまたは無電解加工めっき(electroless chemical plating)プロセスによる)選択めっきされうる。耐腐食性合金粒子22を覆っている導電金属層24が耐腐食性合金粒子22の導電性および/または耐腐食性を強化するためである。導電金属層24が、例えば、金、プラチナ、イリジウムおよびルテニウムを含むことができる。導電金属層24の厚さが1nmから1μmの範囲にある。いくつかの実施形態において、導電金属層24の厚さが、例えば、1nm‐5nm、1nm‐10nm、10nm‐50nm、10nm‐100nm、1nm‐0.5μm、20nm‐0.5μm、100nm‐0.5μm、もしくは100nm‐1μmの範囲にあり、その中10nmから100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0023】
耐腐食性金属基板20の表面の一部を覆うために、耐腐食性合金粒子22が耐腐食性金属基板20の全表面より狭い範囲に被覆されることができる。この場合において、耐腐食性合金粒子22が導電金属層24と共に、耐腐食性金属基板20の表面の導電性を強化するために高導電性接触ポイントとして用い、これは、耐腐食性金属基板20の全表面に金属層を被覆させることより低コストである。図1Aで開示した、耐腐食性金属基板10の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図3の耐腐食性合金粒子22によって提供される被覆に適応されうる。
【0024】
図3に開示されたように、耐腐食性合金粒子22は耐腐食性金属基板20の頂面に被覆されている。好ましくは、耐腐食性合金粒子22は、他の成分に物理的および電気的な接触に用いられる、耐腐食性金属基板20の頂面の領域もしくは一部に被覆されている。前記の他の成分が当該領域における電気接点抵抗が導電金属層24に伴う耐腐食性合金粒子22によって弱められるような成分である。図3に示す構造の一応用例は、金属バイポーラ板が黒鉛ガス拡散層(graphite gas diffusion layer:GDL)に直接に接触する、固体高分子形膜燃料電池(polymer electrolyte member (PEM) fuel cell)にある。この実施例において、金属バイポーラ板とGDLとの間の低電気接点抵抗を達成するために、耐腐食性合金粒子22(たとえば、金に覆われているプラチナスプラット)が直接にGDLに接触することができる。
【0025】
図4は、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板21の表面に被覆された導電窒化物層25を有する複数の耐腐食性合金粒子23を持つ構造の断面図である。導電窒化物層25は、例えば、電気化学的装置にある金属成分と接触するための、高導電性接触ポイントとして使用されうる。図4の耐腐食性金属基板21は、前記図1Aから図3までに示された耐腐食性金属基板10または20と実質的に同じように材料から作られる。耐腐食性合金粒子23は導電窒化物層25のための先駆体として用いられる初期物質から作られうる。
【0026】
耐腐食性合金粒子23は、耐腐食性金属基板21の頂面に被覆および/または結合されうる。耐腐食性合金粒子23は、たとえば、溶射プロセス、選択めっきプロセス、選択エッチングプロセス、遮蔽マスクを用いるスパッタリングプロセス(sputtering process)によって耐腐食性金属基板21の頂面に被覆されうる。耐腐食性合金粒子23は、用いられる溶射の技術によってスプラット、ドット、および/またはストリップ状に被覆されうる。耐腐食性合金粒子23は、例えば、チタニウム、クロム、もしくはニッケル、もしくはこれらの金属のいずれかから形成された合金を含むことができる。耐腐食性合金粒子23の厚さは、約0.1μmから約100μmの範囲にある。いくつかの実施形態において耐腐食性合金粒子23の厚さは、たとえば、0.01μm‐0.5μm、0.1μm‐1μm、0.1μm‐50μm、0.5μm‐1μm、1μm‐2μm、1μm‐5μm、1μm‐10μm、1μm‐50μm、5μm‐50μm、10μm‐50μm、20μm‐50μm、または50μm‐100μmの範囲にあり、その中では、0.1μmから50μmの範囲にあることが好ましい。
【0027】
導電窒素化物層25は、実質上純窒素雰囲気に800度−1300度の範囲に耐腐食性粒子23の焼なまし等を含むニトロ化プロセスを用いて形成されうる。これらの場合において、ニトロ化プロセスによって、耐腐食性粒子23を有しない窒化物層25aが耐腐食性金属基板21の頂面に部分的に形成されるという結果がえられる。しかしながら、窒化物層25aは、耐腐食性金属基板21の導電性および耐腐食性にマイナスとなることはない。窒化物層25aに関する厚さは、約1nmから約10μmの範囲内にある。いくつかの実施形態において窒化物層25aに関する厚さは、たとえば、1nm−5nm、1nm−10nm、2nm−1μm、10nm−50nm、10nm−100nm、1nm−0.5μm、5nm−20nm、20nm−0.5μm、100nm−0.5μm、100nm−1μm、もしくは1μm−10μmの範囲にあり、その中では、2nm−1μmの範囲にあることが好ましい。
【0028】
耐腐食性粒子23が耐腐食性金属基板21の全表面により狭い耐腐食性金属基板21表面の一部に覆うように被覆されうる。この場合において、耐腐食性粒子23および導電窒素化物層25とは、耐腐食性金属基板21の表面の導電性を強化することができるが、金属層を耐腐食性金属基板21全表面に被覆させるより低コストである。図1Aで開示した、耐腐食性金属基板10の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図4の耐腐食性合金粒子23によって提供される被覆に適応されうる。
【0029】
図5A−図5Cは、本発明の実施形態において、導電性セラミック粒子32を耐腐食性金属基板30の表面に結合するための耐腐食性結合金属34と複数の導電性セラミック粒子32とを有する構造の断面図である。図5A−5Cにある耐腐食性金属基板30は実質的に同じで、これらは、図1A−3に開示された耐腐食性金属基板10もしくは20のように実質的に同じ材料から作られうる。
【0030】
図5Aにおいて、導電性物質による被覆前の耐腐食性金属基板30が示されている。図5Bにおいて、耐腐食性金属基板30の頂面に被覆された導電性セラミック粒子32は、例えば、金属炭化物、金属ホウ化物、もしくは金属窒化物を含むことができる。導電性セラミック粒子32は、少なくともその外表面に被覆されている耐腐食性結合金属もしくは合金34を有することができる。いくつかの実施形態において、導電性セラミック粒子32および耐腐食性結合金属34は混合され、もしくは混合物を形成することができる。耐腐食性結合金属34は、例えば、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、金、パラジウム、プラチナ、イリジウム、もしくは、ハステロイC−276のような耐腐食性合金、ステンレス鋼、鉄、クロム、ニッケル、チタニウム、もしくはジルコニウムをベースとする合金を含むことができる。導電性セラミック粒子32は、耐腐食性金属基板30の電気接点抵抗を下げるために、高導電性接触ポイントとして、また、結合金属34は基板30に導電性セラミック粒子32を結合させるために用いられている。
【0031】
図5Bに示されているように、導電性セラミック粒子32と耐腐食性結合金属34は、耐腐食性金属基板30の表面に溶射および/または結合されうる。溶射される場合、耐腐食性結合金属34が溶射のプロセスにおいて溶かされ、結果として、小さい耐腐食性結合金属34斑点もしくはかけら(例えば、金属34a)にように耐腐食性金属基板30の頂面に被覆される。しかしながら、金属34aは、耐腐食性金属基板30の導電性もしくは耐腐食性にマイナスとなることはない。溶射および/または結合プロセスの結果として、導電性セラミック粒子32が分離され、少なくとも1つ別の導電性セラミック粒子32に結合し、および/または、少なくとも別の導電性セラミック粒子32に重なりうる。溶射による被覆後、導電性セラミック粒子32は部分的にもしくは完全に耐腐食性結合金属34によって、覆われている。
【0032】
図5は、耐腐食性結合金属34の少なくとも一部が導電性セラミック粒子32から取り除かれている様子を示している。この取り除きは、化学エッチングプロセス、電解加工研磨プロセス、機械研磨プロセスによって行われる。一例として、化学エッチングプロセスにおいて、取り除かれる耐腐食性結合金属34の量が、エッチング率および持続する時間による。耐腐食性結合金属34の一部の削除によって、導電性セラミック粒子32が露出され、耐腐食性金属基板30の電気接点抵抗を低下させるために、高導電性接触ポイントとして用いられる。耐腐食性結合金属34は、導電性セラミック粒子32と耐腐食性金属基板30と結合させるために用いられる。
いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板30および耐腐食性結合金属34は表面安定化処理プロセスを経ることによって、その耐腐食性をさらに強化することができる。密度の高い酸化被膜を形成させるための熱酸化プロセスが一例として表面安定化処理に含まれうる。別の例として、陽極酸化プロセスおよびそれに類似するプロセスが表面安定化処理に用いられる。
【0033】
導電性セラミック粒子32は、耐腐食性金属基板30の全表面により狭い耐腐食性金属基板30の頂面の一部を覆うように被覆されうる。図1Aで開示した、耐腐食性金属基板10の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図5A−5Cの耐腐食性合金粒子32によって提供される被覆に適応されうる。
【0034】
図6A−図6Cは、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板40の表面に被覆された導電性含有物44を有する合金粒子42を有する構造の断面図である。導電性含有物44は適した熱処理によって生じた合金42にある沈殿物である。導電性含有物44は、例えば、電気化学的装置にある金属成分のために高導電性接触ポイントとして用いられる。図6A−図6Cの耐腐食性金属基板40は、前記図1A−3に開示した耐腐食性金属基板10−20と実質的に同様な材料によって作られる。合金粒子42は導電性含有物44のための先駆体として用いられる初期物質から作られうる。
【0035】
図6Aにおいて、合金粒子42はステンレス鋼、クロム、モリブデナム、タングステン、またはニオビウム、もしくは、クロム、モリブデナム、タングステン、ニオビウム、もしくは、炭素含有量が9%未満、ホウ素含有量が5%未満、窒素含有量が1%未満のクロミウム、モリブデナム、タングステン、ニオビウムの合金から作られうる。本発明の一実施形態において、合金粒子42は、耐腐食性金属基板40の表面にスプレー(例えば溶射)および/または結合されうる。別の実施形態において、合金粒子42は、スパッタリングプロセスもしくはめっきプロセスによって、耐腐食性金属基板40の表面に被覆されうる。米国特許第6,379,476号には、ステンレス鋼の表面導電性を強化するために、特殊処置されたステンレス鋼基板において高濃度の炭素、窒素、および/またはホウ素を有する導電性含有物を用いる方法を記載されている。その内容を引用して本発明の内容とする。スプレーおよび/または結合プロセスの結果として、合金粒子42は分離し、接触されもしくは重なりそして耐腐食性金属基板40の表面の一部を覆うことができる。
【0036】
図6Bにおいて、合金粒子42は、スプラット42に炭素、窒素および/またはホウ素を生じさせることで、金属炭化物、金属窒化物、および/または金属ホウ化物含有物44の形で沈殿するために、制御された条件下で熱処理されうる。図6は含有物44が、化学エッチング処理、電解加工研磨プロセス、機械研磨プロセスによって、スプラット42のトップの部分を除去することで含有物を表面に露出させる模式を示している。これらの露出された含有物は、低電気接点抵抗を有する耐腐食性金属基板40の表面提供するために、高導電性接触ポイントとして用いられる。導電性含有物44を露出させた後に残った合金粒子42の部分は、導電性含有物44と耐腐食性金属基板40とを結合させるために用いられる。いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板40は、耐腐食性を高めるために、表面安定化処理を行うことができる。
【0037】
前記のように、合金42は、耐腐食性金属基板40の全表面もしくは耐腐食性金属基板40の全面より少なく耐腐食性金属基板40の帳面に野一部を覆うために被覆されうる。さらに、耐腐食性金属基板40全表面により少ない表面が覆われた場合、耐腐食性金属基板40の頂面エリアの一部が金属スプラット12によって覆われたと同じ比率もしくはパーセンテージとが、図6A−6Cのスプラット42によって提供される被覆に適応されうる。
【0038】
図7は、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板50の表面に被覆された触媒52によって成長した複数のカーボン・ナノチューブ54を含んでいる構造の断面図である。図7の耐腐食性金属基板50は、前記図1A−3に開示した耐腐食性金属基板10−20と実質的に同様な材料によって作られる。触媒52は、カーボン・ナノチューブ54のための先駆体として用いられる初期物質とされる。
【0039】
カーボン・ナノチューブ54は、耐腐食性金属基板50の電気接点抵抗を減らすために高導電性接触ポイントとして用いられる。触媒52の薄い層は、耐腐食性金属基板50の上にカーボン・ナノチューブ54の成長を可能するために用いられうる。いくつかの実施形態において、カーボン・ナノチューブ54は、耐腐食性金属基板50の頂面の全体に実質的に成長されうる。別の実施形態において、カーボン・ナノチューブ54は、耐腐食性金属基板50の頂面の一部に、もしくは複数の部分に成長されうる。いくつかの実施形態において、たとえば、耐腐食性金属基板50がニッケル含有合金構造である場合、触媒52を必要とせずに耐腐食性金属基板50から直接にカーボン・ナノチューブ54を成長させることができる。
【0040】
カーボン・ナノチューブ54を成長させるために、金属表面に触媒52の薄い層が被覆される。触媒52は、ニッケル、鉄、プラチナ、パラジウム、および/または、その他同じ特徴を有する材料と含むことができる。触媒52は、耐腐食性金属基板50の頂面の全体を実質的に覆うように被覆され、また、耐腐食性金属基板50の表面の一部もしくは複数部分を覆うように被覆されうる。触媒52に伴う耐腐食性金属基板50は、化学蒸着(CVD)プロセスもしくはプラズマ化学気相成長法(PECVD)プロセスを介して、耐腐食性金属基板50にカーボン・ナノチューブ54を成長させるために、燃焼室に置かれる。カーボン・ナノチューブ54のトップに存在する触媒52は、耐腐食性金属基板50の頂面にカーボン・ナノチューブ54がしっかりと付着さした後に、化学エッチングプロセス、電気化学エッチングプロセスによって、取り除かれる。いくつかの実施形態において、耐腐食性金属基板50は、耐腐食性を高めるために、表面安定化処理を行うことができる。
【0041】
図8は、本発明の実施形態において、耐腐食性金属基板60の表面に被覆された耐腐食性コーティング層62にある複数高導電性接触ポイント64を含む構造の断面図である。耐腐食性金属基板60より耐腐食性コーティング層62が高い耐食特性有することができる。より高い耐腐食性および低い電気接点抵抗を有する耐腐食性金属基板60は、耐腐食性コーティング層62を耐腐食性金属基板60の表面に被覆し、そして、耐腐食性コーティング層62の表面の一部に導電性材料(例えば、高導電性接触ポイント64)の薄い層を被覆することによって達成される。
【0042】
耐腐食性金属基板60は、低コストの炭素鋼、ステンレス鋼、銅、および/またはアルミニウム、および/またはこれら材料のいずれかからなる合金を含むことができる。一例として、耐腐食性コーティング層62は、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウム、ニッケル、クロム、錫、タンタラム、および/またはこれらの材料のいずれかからなる合金を含むことができる。別の例において、耐腐食性コーティング層62が、例えば、炭化ケイ素、炭化クロム、または、窒化チタンのような導電性または半導電性化合物を含むことができる。耐腐食性コーティング層62の厚さは、約1nmから約50μmの範囲にある。いくつかの実施形態において、耐腐食性コーティング層62の厚さは、1nm−100nm、1nm−200nm、1nm−10μm、0.01μm−0.5μm、0.01μm−1μm、1μm−5μm、1μm−10μm、10μm−20μm、10μm−50μm、もしくは20μm−50μmの範囲にある。たとえば、1nm−10μmの範囲内にあることは特定の実施形態のおいて好ましい。
【0043】
耐腐食性コーティング層62は、蒸着処理(たとえば、PVDもしくはCVD)もしくはめっき処理によって耐腐食性金属基板60の頂面に被覆されうる。耐腐食性コーティング層62のために比較的に厚いコーティングを加えることによって、基板をコーティングするときに生じる典型的なエラーの数およびサイズを最小限にすることができる。さらに、耐腐食性金属基板60と耐腐食性コーティング層62と粘着を強化するために、耐腐食性コーティング層62を伴う耐腐食性金属基板60が適宜な熱処理(例えば、結合処理)を通過することができる。例えば、耐腐食性コーティング層62を伴う耐腐食性金属基板60は、空気中に450度の熱処理を一時間行うことができる。このような熱処理は、PVDプロセスによるコーティング層が被覆された結果として典型的に生じる小さい穴の数およびサイズを除去し、もしくは最小限にするために用いられる。いくつかの実施形態において、耐腐食性コーティング層62の耐食特性を高めるために、表面安定化処理は、導電性スプラット64が被覆された後に、耐腐食性コーティング層62に適用されうる。
【0044】
高導電性接触ポイント64は、たとえば、前記図1A−2Bに開示されているように、金、パラジウム、プラチナ、イリジウム、ルテニウム、ニオビウム、および/またはオスミウムを含むことができる。高導電性接触ポイント64は、たとえば、前記図3−7に開示されているように、窒化物、炭素ホウ化物(carbides boride)、カーボン・ナノチューブも含むことができる。
【0045】
高導電性接触ポイント64は、例えば、電解めっきプロセス、化学めっきプロセス、溶射プロセス、蒸着プロセス、または金属ブラシプロセスのいずれかを用いて被覆されうる。高温処理は、高導電性接触ポイント64と耐腐食性コーティング層62との間の接着を強化するための被覆後に用いられる。
【0046】
いくつかの実施形態において、例えば、拡散障壁層または接着層として用いられる界面層のような付加的な層(図8に示さず)は、耐腐食性金属基板60と耐腐食性コーティング層62との間に、および/または、耐腐食性コーティング層62と高導電性接触ポイント64との間に被覆もしくは置かれうる。拡散障壁層は、熱処理の際に低い表面もしくは層から高い表面もしくは層に材料の拡散を最小限にするために用いられる。接着層は、耐腐食性金属基板60のために高められた耐腐食性特徴を提供するために、層の間の結合および付着を高めるために用いられる。一例として、界面層は、タンタラム、ハフニウム、ニオビウム、ジルコニウム、パラジウム、バナジウム、タングステンを含むことができる。界面層はさらに、いくつかの酸化物および/または窒化物も含むことができる。界面層に関する厚さは、1nm−10μmの範囲にありうる。いくつかの実施形態において、界面層の厚さは、例えば、1nm−5nm、1nm−10nm、1nm−1μm、0.01μm−1μm、1μm−2μm、1μm−5μm、1μm−10μm、もしくは5μm−10μmの範囲にあり、特定の実施形態においては、0.01μm−1μmの範囲内にあることが好ましい。
【0047】
図8に開示されたような構造を製造する方法の最初の実施例において、1μmチタニウムコーティング層(耐腐食性コーティング層62)がスパッタリングプロセスを用いて、ステンレス鋼316(SS316)基板(耐腐食性金属基板60)上に被覆された。次いで、金のスプラット層(高導電性接触ポイント64)は、チタニウム層の表面エリアの一部を覆うドットもしくはスプラットのようにチタニウムコーティング層の表面上に(たとえば、溶射)によって被覆された。金のドットもしくはスプラットが被覆された後に、チタン被膜のSS316は、金のスプラットとチタニウムコーティング層表面との間、および、チタニウムコーティング層とSS316基板との間の結合を強化するに、空気中に450度で熱処理されうる。
【0048】
図9は、本発明の1実施形態において、0.004”厚さのチタン箔の表面に溶射された金の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図10−図11は、本発明の1実施形態において、チタンコーティングされた0.004”厚さのステンレス鋼箔の表面に溶射された金の走査型電子顕微鏡(SEM)および光学顕微鏡のそれぞれの写真である。図9から図11のいずれかは、前記実施例に作られた構造での方法と実質的に同様な方法で作られた構造の平面図もしくは上面図である。
【0049】
図12は、本発明の1実施形態において、標準のSS316基板表面の動的分極電食データ(dynamic polarization electrochemical corrosion data)を示すプロットである。このテストは、50ppm(parts−per−million)フッ化物を有し、pH=2の硫酸(H2S04)溶液を用いて80度で10ミリボルト毎秒(mV/min)のポテンシャル走査速度で行われうる。図12のプロットは、チタンコーティングSS316基板が標準のSS316基板に比べて、非常に弱い腐食電流を有することを示している。図12のテスト用基板は、その1つが前記図8に関する構造を作るための方法の第二実施例に基づいている。この実施例において、厚い(−3μm)チタンコーティング層(耐腐食性コーティング層62)がSS316基板(耐腐食性金属基板60)に、電子ビーム(e−ビーム)蒸着プロセスによって被覆された。金スプラットがチタンコーティングされたSS316基板上に溶射された。さらに、チタンコーティングされたSS316基板が、よりよい付着のために空気中に450度で別処理された。
【0050】
いくつかの実施形態において、たとえば、図9−図11のチタンコーティングされたSS316基板、もしくは図1A−2Bの耐腐食性金属基板10のような基板に金属ドットもしくはスプラットのための特定パターンもしくは配置を形成するために写真平版技術が用いられうる。このようなパターンは、規則的間隔の開口を有するマスクに用い、たとえば、スパッタリングプロセスを用いて導電性材料を被覆することで達成されうる。図13は、本発明の実施形態による、耐腐食性金属基板の頂面にある複数の金ドットパターンの光学顕微鏡写真である。
【0051】
基板上に材料、層もしくはコーティングを被覆するとき、コーティング欠陥は一般てきこのようなプロセスの結果として生じる。これらの欠陥は、コーティング層(たとえば、耐食コーティング層62)にあるような小さいピンホールもしくは微小亀裂のような形である。耐腐食性金属基板60とコーティング層材料62との間で電気的結合が起きうるため、このような欠陥は、耐腐食性金属基板60の腐食を促進されうる。以下では、たとえば、金、パラジウム、クロム、錫、もしくはプラチナのような耐腐食性金属を選択めっき(たとえば、電解めっき、化学めっき)することによって、耐食コーティング層62で起こりうるめっきプロセスが、たとえば、耐腐食性金属基板60の露出した部分を覆うための欠陥を密封するのに用いられうる多種多様な実施形態が記載されている。たとえば、耐腐食性金属が最初に、耐食コーティング層62の表面ではなく、耐食コーティング層62にある欠陥に結合するように、貴金属の選択電解めっきが電圧の制御によって起こる。適宜な電圧もしくは選択電解めっきに用いられる電圧は、典型的に経験によって、決められる。熱処理プロセスもしくはステップは、結合効果、および/または、耐腐食性金属基板60および/または耐食コーティング層62に伴う、金めっき、パラジウムめっき、錫めっき、クロムめっきまたはプラチナめっきの密封効果を確実にすることができる。この関連で、めっき金属は、コーティングの欠陥を密封するだけではなく、耐腐食性金属基板60と、耐腐食性金属基板60の導電特性を高めうる耐食コーティング層62との間に導電ビア(via)もしくは導電ルートとしても用いられうる。いくつかの実施形態において、コーティング欠陥の密封は、耐食コーティング層62に高導電性接触ポイント64が被覆される前に行われる。
【0052】
図14は、本発明の1実施形態において、シリコンコーティング層に金密封されたピンホールを有する、シリコンコーティングされたステンレス鋼の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。ステンレス鋼基板はシリコンベースの耐食コーティング層を有することができる。図14から分かるように、これらの欠陥が、金属表面の耐腐食性に対するこれらの欠陥による影響を最小限もしくは低減するように、選択めっきプロセスによって密封される。このような処理された構造に行った電食テストは、耐腐食性コーティング層62に欠陥があるステンレス鋼の腐食率が、耐腐食性コーティング層62の上の欠陥が密封されたステンレス鋼より高いこと示している。
【0053】
多種多少な実施形態が前記のように実施例として限定されずに記載されている。当業者にとって、開示の内容およびから範囲内において形式上および内容上の変更を行うことができる。事実上、前記内容を読めば、当業者にとって、実施形態をどうやって他の代替手段で行うことを理解することができる。このように、ここでの開示は、前記典型的な実施形態のいずれかに限定すべきでない。
【0054】
さらに、電気化学分野において用いられる関連の方法および構造は事実上複雑であるように、前記方法および構造は、具体的な課題の解決のために、操作パラメーターの適切な変化を経験的に決定することで、もしくは、コンピュータシミュレーションを通じて最良な実施形態である。したがって、あらゆる適当な改良、結合、およびこれに同等なものは、本発明の思想および範囲内に属すると考えられる。
【0055】
さらに、本発明の図面は事例として示すためのものであることを理解されたい。開示に示された構造は、実質上フレキシブルおよび変更可能で、図面に示された以外の構造を形成もしくは利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1Aは、実施形態における耐腐食性金属回路基板表面への多重塗装を含む構造の断面図である。 図1Bは、図1Aに示す構造の平面図である。
【図2】図2Aは、実施形態における耐腐食性金属回路基板の表面の突起した部分への多重塗装を含む構造の断面図である。 図2Bは、図2Aに示す構造の平面図である。
【図3】図3は、実施形態における貴金属層を有し、耐腐食性金属回路基板の表面に塗装される複数耐腐食性微粒子を含む構造の断面図である。
【図4】図4は、実施形態における導電性窒化物層を有し、耐腐食性金属回路基板の表面に塗装される複数導電性セラミック微粒子を含む構造の断面図である。
【図5】図5A−図5Cは、本発明の実施形態における、複数導電性セラミック粒子と、耐腐食性金属基板の表面に前記セラミック粒子を結合させる耐腐食性結合金属との断面図である。
【図6】図6A−図6Cは、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板の表面に被覆された高導電性接触ポイントのような導電性含有物を有する合金粒子を含む構造の断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板の表面に被覆された触媒の上に成長される複数カーボン・ナノチューブを含む構造の断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板より耐腐食性を有する、耐腐食性金属基板の表面に被覆された耐腐食性コーティング層にある複数導電スプラットを含む構造の断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態における、チタニウム表面に金を溶射したSEM図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態における、チタニウムコーティングされたステンレス鋼表面に金を溶射したSEM写真である。
【図11】図11は、本発明の実施形態における、チタニウムコーティングされたステンレス鋼表面に金を溶射した光学顕微鏡による写真である。
【図12】図12は、本発明の実施形態における、標準SS316(ステンレス鋼)の動的分極の電食データを表示したプロットである。
【図13】図13は、本発明の実施形態における、耐腐食性金属基板の表面に形成された複数の金のドットの光学顕微鏡による写真である。
【図14】図14は、本発明の実施形態における、シリコンコーティング層にある金で密封したピンホールを有しシリコンコーティングされたステンレス鋼の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射技術を用いて高い導電性材料および耐腐食性材料、もしくは高導電性材料および耐腐食性材料に先行する初期物質を耐腐食性金属基板の表面上に被覆し、
耐腐食性金属基板の全表面より少ない当該耐腐食性金属基板表面の一部を覆う複数スプラットを当該耐腐食性金属基板表面上に生成し、
前記高い導電性材料および耐腐食性材料が50ミリオーム(mΩcm2)以下の電気接触抵抗を有することを特徴とし、
前記耐腐食性金属基板が、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、タンタラム、カーボン・スチール、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、もしくは、チタン、ニオビウム、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケル、銅またはアルミニウムからなる合金から作られていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記溶射技術が、食塩水、金属粒子懸濁、乾燥金属粒子、金属線、金属およびセラミックを有する複合粒子を噴射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の金属スプラットの厚さが、10nmから20ミクロン間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
耐腐食性金属基板の表面部分が複数のスプラットによって覆われるパーセンテージがおよそ95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数スプラットの電気導電性を促進するために熱処理工程、エッチング工程、めっき工程、化学蒸着工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
高導電性材料および耐腐食性材料が、金、パラジウム、プラチナ、イリジウムおよびルテニウムからなるグループから選んだ1つの材料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高導電性材料および耐腐食性材料が、金属窒化物、カーボン・ナノチューブ、もしくは導電性セラミックおよび金属を有する複合粒子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
耐腐食性金属基板が、当該金属基板の耐腐食性を強化するために金属基板の表面に耐腐食性の塗工層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
電気化学的用の高耐腐食性および低電気接触抵抗を有する装置であって、
耐腐食性金属基板と、
前記耐腐食性金属基板の表面に被覆され、耐腐食性金属基板の表面全体より少ない耐腐食性金属基板の表面の一部を覆っている複数の高導電性接触ポイントとを含み、
前記高導電性接触ポイントが金属窒化物、カーボン・ナノチューブ、もしくは導電性セラミックおよび金属を有する複合粒子から作られていること、
前記耐腐食性金属基板の表面の高導電性接触エリアが全体面積の約95%以下であることを特徴とする前記装置。
【請求項10】
前記耐腐食性金属基板が、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、タンタラム、カーボン・スチール、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、もしくは、チタン、ニオビウム、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケル、銅またはアルミニウムからなるグループからの合金で作られていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
耐腐食性金属基板の表面の全部より少ない一部を覆うように、当該耐腐食性金属基板の表面に複数の耐腐食性粒子を被覆するステップと、
複数耐腐食性粒子のトップ表面に導電層を被覆するステップとを含む方法であって、
耐腐食性金属基板がチタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、タンタラム、カーボン・スチール、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、もしくは、チタン、ニオビウム、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケル、銅またはアルミニウムからなるグループからの合金で作られていることを特徴とする方法
【請求項12】
前記複数耐腐食性粒子が、溶射、選択めっき、選択エッチング、遮蔽マスクに伴うスパッタ法によって耐腐食性金属基板の表面に被覆されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電導層が、金、プラチナ、イリジウム、ルテニウムを含み、電導層の厚さが10nmから100nm間にあることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
複数耐腐食性粒子がチタニウム、クロム、ニッケル、もしくはチタニウム、クロム、ニッケルからなる合金から作られることと、
複数耐腐食性粒子の厚さが0.1ミクロンから50ミクロン間にあること、
電導層が窒化物層を含むこと、
電導層の厚さが2nmから10μm間にあることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
耐腐食性金属基板を複数耐食粒子とともに実質的に純窒素雰囲気で摂氏800度から摂氏1300度の間の温度下で焼きなます工程を含むニトロ化プロセスを通じて窒化物層を生成するステップをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数耐腐食性粒子で覆われる耐腐食性金属基板の部分のパーセンテージがおおよそ95%以下のであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
耐腐食性金属基板と、
耐腐食性金属基板の表面に被覆された複数の電導粒子とを含み、
前記電導粒子が電導セラミック粒子、および、導電性のセラミックを耐腐食性金属基板に接接着させる接合金属から作られること、
導電性のセラミック粒子の表面部分が露出され、かつ、当該露出した導電性のセラミック粒子が前記耐腐食性金属基板の電気接触ポイントに適することを特徴とする装置。
【請求項18】
導電性セラミック粒子が金属炭化物、金属ホウ化物、金属窒化物を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記接合金属が、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、金、パラジウム、プラチナ、イリジウ、ルテニウム、ステンレス鋼、ハステロイC−276、クロム含有合金、ニッケル含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
請求項17の装置の製造方法であって、
導電セラミック粒子および接合金属によって製造された複数の導電性粒子を、耐腐食性金属基板の表面上に、当該複数導電性粒子が耐腐食性金属基板の全体の表面より狭い面積に被覆するステップと、
導電性セラミック粒子の表面部分を露出させ、耐腐食性金属基板の表面に結合された複数導電性粒子から接合金属を取り除くために化学エッチングプロセス、電解研磨プロセス、機械研磨プロセスを使用するステップとを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項21】
請求項17の装置の製造方法であって、
耐腐食性金属基板に表面の一部を覆うため溶射技術を用いて複数の合金板(alloy splat)を耐腐食性金属基板に表面に被覆するステップと、
導電性セラミック粒子を合金板に沈着させるため、耐腐食性金属基板を複数合金板と共に溶射するステップと、
導電性セラミック粒子の表面の部分を露出させ、残りの合金が耐腐食性金属基板上の導電セラミック粒子と結合するために、複数の合金板のトップ部分から合金の一部を取り除くために化学エッチングプロセス、電解研磨プロセス、機械研磨プロセスを使用するステップとを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項22】
前記合金がステンレス鋼、クロミウム、モリブデナム、タングステン、ニオビウム、もしくは、炭素含有量が9%未満、ホウ素含有量が5%未満、窒素含有量が1%未満のクロミウム、モリブデナム、タングステン、ニオビウムの合金を含むことを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
耐腐食性金属基板と
耐腐食性金属基板の表面の少なくとも一部にある複数カーボン・ナノチューブとを含む装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置の製造方法であって、
耐腐食性金属基板の表面の少なくとも一部に触媒を被覆するステップと、
化学的蒸着(CVD)プロセスもしくはプラズマ化学気相成長法(PECVD)プロセスによって、触媒の上に多数のカーボン・ナノチューブを成長させるステップとを含む製造方法。
【請求項25】
触媒がニッケル、鉄、プラチナおよびパラジウを含むことを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
触媒の被覆法が溶射プロセスもしくは物理的気相成長法(PVD)プロセスを含むことを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
【請求項27】
金属基板と、
前記金属基板の表面に被覆された耐腐食性コーティング層、および、 耐腐食性コーティング層の表面全体より狭い耐腐食性コーティング層の一部に被覆された導電性および耐腐食性物質とを含む装置。
【請求項28】
金属基板がカーボン・スチール、ステンレス鋼、銅、もしくはアルミニウム、または、鉄、クロム、ニッケル、銅、もしくはアルミニウムからなる合金から作られることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
耐腐食性コーティング層が、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウム、ニッケル、クロム、錫、タンタラム、シリコン、金属窒化物、金属炭化物、もしくはこれらの金属のいずれかの合金を含むことと、
前記耐腐食性コーティング層の厚さが0.001ミクロンから10ミクロンにあることとを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項30】
導電性および耐腐食性材料が、金、パラジウム、プラチナ、イリジウム、ルテニウム、金属炭化物、金属ホウ化、金属窒化物、カーボン・ナノチューブからなるグループから選択された材料を含むことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項31】
少なくとも金属基板と耐腐食性コーティング層との間の界面に、および耐腐食性層と導電性材料および耐腐食性材料との間の界面に被覆された界面層をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記界面層が、タンタラム、ハフニウム、ニオビウム、ジルコニウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化物および窒化物からなるグループからの材料を含み、その界面層の厚さが、1nmから10ミクロンの間であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
耐腐食性コーティング層にある欠陥を密封するために、耐腐食性コーティング層の一部に被覆される、金、パラジウム、クロム、錫、およびプラチナかなるグループから選ばれる材料をさらに含み、
前記耐腐食性コーティング層の一部に欠陥がなければ、実質上前記材料も含まないことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項1】
溶射技術を用いて高い導電性材料および耐腐食性材料、もしくは高導電性材料および耐腐食性材料に先行する初期物質を耐腐食性金属基板の表面上に被覆し、
耐腐食性金属基板の全表面より少ない当該耐腐食性金属基板表面の一部を覆う複数スプラットを当該耐腐食性金属基板表面上に生成し、
前記高い導電性材料および耐腐食性材料が50ミリオーム(mΩcm2)以下の電気接触抵抗を有することを特徴とし、
前記耐腐食性金属基板が、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、タンタラム、カーボン・スチール、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、もしくは、チタン、ニオビウム、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケル、銅またはアルミニウムからなる合金から作られていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記溶射技術が、食塩水、金属粒子懸濁、乾燥金属粒子、金属線、金属およびセラミックを有する複合粒子を噴射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の金属スプラットの厚さが、10nmから20ミクロン間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
耐腐食性金属基板の表面部分が複数のスプラットによって覆われるパーセンテージがおよそ95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数スプラットの電気導電性を促進するために熱処理工程、エッチング工程、めっき工程、化学蒸着工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
高導電性材料および耐腐食性材料が、金、パラジウム、プラチナ、イリジウムおよびルテニウムからなるグループから選んだ1つの材料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高導電性材料および耐腐食性材料が、金属窒化物、カーボン・ナノチューブ、もしくは導電性セラミックおよび金属を有する複合粒子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
耐腐食性金属基板が、当該金属基板の耐腐食性を強化するために金属基板の表面に耐腐食性の塗工層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
電気化学的用の高耐腐食性および低電気接触抵抗を有する装置であって、
耐腐食性金属基板と、
前記耐腐食性金属基板の表面に被覆され、耐腐食性金属基板の表面全体より少ない耐腐食性金属基板の表面の一部を覆っている複数の高導電性接触ポイントとを含み、
前記高導電性接触ポイントが金属窒化物、カーボン・ナノチューブ、もしくは導電性セラミックおよび金属を有する複合粒子から作られていること、
前記耐腐食性金属基板の表面の高導電性接触エリアが全体面積の約95%以下であることを特徴とする前記装置。
【請求項10】
前記耐腐食性金属基板が、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、タンタラム、カーボン・スチール、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、もしくは、チタン、ニオビウム、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケル、銅またはアルミニウムからなるグループからの合金で作られていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
耐腐食性金属基板の表面の全部より少ない一部を覆うように、当該耐腐食性金属基板の表面に複数の耐腐食性粒子を被覆するステップと、
複数耐腐食性粒子のトップ表面に導電層を被覆するステップとを含む方法であって、
耐腐食性金属基板がチタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、タンタラム、カーボン・スチール、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、もしくは、チタン、ニオビウム、ジルコニウム、タンタル、クロム、ニッケル、銅またはアルミニウムからなるグループからの合金で作られていることを特徴とする方法
【請求項12】
前記複数耐腐食性粒子が、溶射、選択めっき、選択エッチング、遮蔽マスクに伴うスパッタ法によって耐腐食性金属基板の表面に被覆されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電導層が、金、プラチナ、イリジウム、ルテニウムを含み、電導層の厚さが10nmから100nm間にあることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
複数耐腐食性粒子がチタニウム、クロム、ニッケル、もしくはチタニウム、クロム、ニッケルからなる合金から作られることと、
複数耐腐食性粒子の厚さが0.1ミクロンから50ミクロン間にあること、
電導層が窒化物層を含むこと、
電導層の厚さが2nmから10μm間にあることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
耐腐食性金属基板を複数耐食粒子とともに実質的に純窒素雰囲気で摂氏800度から摂氏1300度の間の温度下で焼きなます工程を含むニトロ化プロセスを通じて窒化物層を生成するステップをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数耐腐食性粒子で覆われる耐腐食性金属基板の部分のパーセンテージがおおよそ95%以下のであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
耐腐食性金属基板と、
耐腐食性金属基板の表面に被覆された複数の電導粒子とを含み、
前記電導粒子が電導セラミック粒子、および、導電性のセラミックを耐腐食性金属基板に接接着させる接合金属から作られること、
導電性のセラミック粒子の表面部分が露出され、かつ、当該露出した導電性のセラミック粒子が前記耐腐食性金属基板の電気接触ポイントに適することを特徴とする装置。
【請求項18】
導電性セラミック粒子が金属炭化物、金属ホウ化物、金属窒化物を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記接合金属が、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、金、パラジウム、プラチナ、イリジウ、ルテニウム、ステンレス鋼、ハステロイC−276、クロム含有合金、ニッケル含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
請求項17の装置の製造方法であって、
導電セラミック粒子および接合金属によって製造された複数の導電性粒子を、耐腐食性金属基板の表面上に、当該複数導電性粒子が耐腐食性金属基板の全体の表面より狭い面積に被覆するステップと、
導電性セラミック粒子の表面部分を露出させ、耐腐食性金属基板の表面に結合された複数導電性粒子から接合金属を取り除くために化学エッチングプロセス、電解研磨プロセス、機械研磨プロセスを使用するステップとを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項21】
請求項17の装置の製造方法であって、
耐腐食性金属基板に表面の一部を覆うため溶射技術を用いて複数の合金板(alloy splat)を耐腐食性金属基板に表面に被覆するステップと、
導電性セラミック粒子を合金板に沈着させるため、耐腐食性金属基板を複数合金板と共に溶射するステップと、
導電性セラミック粒子の表面の部分を露出させ、残りの合金が耐腐食性金属基板上の導電セラミック粒子と結合するために、複数の合金板のトップ部分から合金の一部を取り除くために化学エッチングプロセス、電解研磨プロセス、機械研磨プロセスを使用するステップとを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項22】
前記合金がステンレス鋼、クロミウム、モリブデナム、タングステン、ニオビウム、もしくは、炭素含有量が9%未満、ホウ素含有量が5%未満、窒素含有量が1%未満のクロミウム、モリブデナム、タングステン、ニオビウムの合金を含むことを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
耐腐食性金属基板と
耐腐食性金属基板の表面の少なくとも一部にある複数カーボン・ナノチューブとを含む装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置の製造方法であって、
耐腐食性金属基板の表面の少なくとも一部に触媒を被覆するステップと、
化学的蒸着(CVD)プロセスもしくはプラズマ化学気相成長法(PECVD)プロセスによって、触媒の上に多数のカーボン・ナノチューブを成長させるステップとを含む製造方法。
【請求項25】
触媒がニッケル、鉄、プラチナおよびパラジウを含むことを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
触媒の被覆法が溶射プロセスもしくは物理的気相成長法(PVD)プロセスを含むことを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
【請求項27】
金属基板と、
前記金属基板の表面に被覆された耐腐食性コーティング層、および、 耐腐食性コーティング層の表面全体より狭い耐腐食性コーティング層の一部に被覆された導電性および耐腐食性物質とを含む装置。
【請求項28】
金属基板がカーボン・スチール、ステンレス鋼、銅、もしくはアルミニウム、または、鉄、クロム、ニッケル、銅、もしくはアルミニウムからなる合金から作られることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
耐腐食性コーティング層が、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウム、ニッケル、クロム、錫、タンタラム、シリコン、金属窒化物、金属炭化物、もしくはこれらの金属のいずれかの合金を含むことと、
前記耐腐食性コーティング層の厚さが0.001ミクロンから10ミクロンにあることとを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項30】
導電性および耐腐食性材料が、金、パラジウム、プラチナ、イリジウム、ルテニウム、金属炭化物、金属ホウ化、金属窒化物、カーボン・ナノチューブからなるグループから選択された材料を含むことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項31】
少なくとも金属基板と耐腐食性コーティング層との間の界面に、および耐腐食性層と導電性材料および耐腐食性材料との間の界面に被覆された界面層をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記界面層が、タンタラム、ハフニウム、ニオビウム、ジルコニウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化物および窒化物からなるグループからの材料を含み、その界面層の厚さが、1nmから10ミクロンの間であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
耐腐食性コーティング層にある欠陥を密封するために、耐腐食性コーティング層の一部に被覆される、金、パラジウム、クロム、錫、およびプラチナかなるグループから選ばれる材料をさらに含み、
前記耐腐食性コーティング層の一部に欠陥がなければ、実質上前記材料も含まないことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−509349(P2011−509349A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541600(P2010−541600)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/030475
【国際公開番号】WO2009/089376
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510187026)トレッドストーン テクノロジーズ インク. (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/030475
【国際公開番号】WO2009/089376
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510187026)トレッドストーン テクノロジーズ インク. (2)
【Fターム(参考)】
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