説明

電流制御用半導体素子およびそれを用いた制御装置

【課題】電流検出回路におけるゲインaおよびオフセットbの変動を補正して、1チップのIC内で高精度な電流検出が可能な電流制御用半導体素子およびそれを用いた制御装置を提供することにある。
【解決手段】電流制御用半導体素子100は、同一半導体チップ上に、MOSFET100Hと、2つの定電流源Ic1,Ic2と、MOSFETの電流および定電流源の電流を検出する電流検出回路120とを備える。さらに、定電流源は、その電流値を計測するための外部接続端子T5を備える。補正用測定値保持レジスタ145は、外部から測定した定電流源の電流値を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制御用半導体素子およびそれを用いた制御装置に係り、特に、電流検出回路をICチップに内蔵するに好適な電流制御用半導体素子およびそれを用いた制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種制御対象が電子制御されるに従って、電気信号を機械的運動や油圧に変換するためにモータやソレノイドなどの電動アクチュエーターが広く用いられるようになっている。これらの電動アクチュエーターの高度化には、高精度な電流制御が必須である。近年では高精度な電流制御のために、デジタルフィードバック制御が用いられることが一般的である。
【0003】
電流のデジタルフィードバック制御のためには、制御対象である電流値Ioutのデジタル値を取得する必要がある。このために、まず、電流−電圧変換回路の出力VoutをADコンバータによりデジタル変換し、ADコンバータの参照電圧Vrefとの相対値のデジタル値Voutd(=Vout/Vref)を得る。次に、ADコンバータの出力Voutdに対し、電流−電圧変換回路とADコンバータを含む電流検出回路の入出力特性に対応した補正を行い、電流値Ioutdのデジタル値を得る。
【0004】
電流検出回路は様々な構成が考えられるが、制御アルゴリズム簡素化の観点から、電流検出回路の入出力特性はリニアとすることが望ましく、この場合、デジタルの電流値Ioutdは、ゲインaおよびオフセットbを用い、以下の式(1)により求められる。

Ioutd=a・Voutd+b …(1)

式(1)に従い電流値を測定する場合、ゲインaおよびオフセットbを、実際の電流検出回路の特性といかに精度良く一致させるかが、電流測定精度を向上させる上で重要となる。
【0005】
また、高精度な電流制御に加えて、制御装置の小型化、低価格化のニーズも高く、電流検出回路をICチップ内に内蔵することによって、これに対応している。ここで、電流検出回路をICチップ内に内蔵するために、ICチップ内に電流検出用抵抗を内蔵するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−203805号公報
【特許文献2】特開2006−165100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載のように、電流検出用抵抗をICチップ内に内蔵することは、電流検出のための外付け部品を削減でき、装置の小型化、低価格化に関して優れた方法である。
【0008】
しかしながら、ICチップ内形成される抵抗の値は温度により数十%変動し、これがそのまま、式(1)のゲインaの変動となって現れる。また、検出した電流値のデジタル変換に用いられるADコンバータの参照電圧Vrefの変動も、ゲインaを数%変動させる要因となる。さらに、電流検出回路で用いられるオペアンプの入力オフセットにより、式(1)のオフセットbも数%変動する。
【0009】
このように、電流検出回路をICチップに内蔵する場合、式(1)におけるゲインaおよびオフセットbが設計値と比較して大きく変動し、電流検出誤差が増大するという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、電流検出回路における式(1)のゲインaおよびオフセットbの変動を補正して、1チップのIC内で高精度な電流検出が可能な電流制御用半導体素子およびそれを用いた制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、同一半導体チップ上に、MOSFETと、少なくとも2つの定電流源と、前記MOSFETの電流および前記定電流源の電流を検出する電流検出回路とを備え、さらに、前記定電流源は、その電流値を計測するための外部接続端子を備えるようにしたものである。
かかる構成により、電流検出回路におけるゲインaおよびオフセットbの変動を補正して、1チップのIC内で高精度な電流検出が可能となる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記外部接続端子を用いて、外部から測定した前記定電流源の電流値,若しくは前記電流検出回路が前記定電流源の電流を測定した時の検出値を保持する記憶素子を備えるようにしたものである。
【0013】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記記憶素子に保持された値を用いて、前記電流検出回路のゲイン及びオフセットの補正値を算出する補正値算出手段と、該補正値算出手段により算出された前記ゲイン及びオフセットの補正値を用いて、前記電流検出回路により検出された値を補正して、補正された電流値を算出する電流値算出手段を備えるようにしたものである。
【0014】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記補正値算出手段は、前記電流制御用半導体素子の温度測定値を用いて、前回補正を行ったときの温度との差が所定値以上のとき、前記補正値算出回路の開始判定を行うようにしたものである。
【0015】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記電流制御用半導体素子は、PWMにより、負荷に流れる電圧をオン・オフするものであり、前記補正値算出手段は、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも長いときは、前記PWMのオフ期間に前記2つの定電流源の電流を測定し、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも短いときは、前記PWMのオン期間の内PWMオン直後以外の期間において前記2つの定電流源の電流を測定するようにしたものである。
【0016】
(6)また、上記目的を達成するために、本発明は、電流制御用半導体素子と、該電流制御用半導体素子を制御するマイクロコントローラとを有する制御装置であって、前記電流制御用半導体素子は、同一半導体チップ上に、MOSFETと、少なくとも2つの定電流源と、前記MOSFETの電流および前記定電流源の電流を検出する電流検出回路と、前記電流検出回路が前記定電流源の電流を測定した時の検出値を保持する記憶素子とを備え、前記マイクロコントローラは、前記記憶素子に保持された値を用いて、前記電流検出回路のゲイン及びオフセットの補正値を算出する補正値算出手段と、該補正値算出手段により算出された前記ゲイン及びオフセットの補正値を用いて、前記電流検出回路により検出された値を補正して、補正された電流値を算出する電流値算出手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、電流検出回路におけるゲインaおよびオフセットbの変動を補正して、1チップのIC内で高精度な電流検出が可能となる。
【0017】
(7)上記(6)において、好ましくは、前記補正値算出手段は、前記電流制御用半導体素子の温度測定値を用いて、前回補正を行ったときの温度との差が所定値以上のとき、前記補正値算出回路の開始判定を行うようにしたものである。
【0018】
(8)上記(7)において、好ましくは、前記電流制御用半導体素子は、PWMにより、負荷に流れる電圧をオン・オフするものであり、前記補正値算出手段は、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも長いときは、前記PWMのオフ期間に前記2つの定電流源の電流を測定し、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも短いときは、前記PWMのオン期間の内PWMオン直後以外の期間において前記2つの定電流源の電流を測定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電流検出回路におけるゲインaおよびオフセットbの変動を補正して、1チップのIC内で高精度な電流検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子に用いる電流−電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子に用いる参照電流生成回路の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子における補正値算出回路の補正開始判定及び測定処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子における補正値算出回路の補正開始判定及び測定処理の内容を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子における補正値算出回路の補正開始判定及び測定処理の内容を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの全体構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いた自動変速機制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いたブレーキ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いたブラシレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図6を用いて、本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの全体構成を示すブロック図である。
【0022】
電流制御用半導体素子100は、ワンチップのICチップである。電流制御用半導体素子100には、同一の半導体素子チップ上に、ハイサイドMOSFET100Hと、ローサイドMOSFET100Lと、電流検出回路120と、参照電流生成回路130と、マルチプレクサ140と、補正用測定値保持レジスタ145と、補正値算出回路150と、デジタル電流算出回路155と、IF回路160と、温度センサ165と、テストモード制御部170と、フィードバック制御部180とが内蔵されている。電流検出回路120は、電流−電圧変換回路122と、ADコンバータ124とを備えている。
【0023】
ハイサイドMOSFET100HとローサイドMOSFET100Lとは直列接続されている。すなわち、ハイサイドMOSFET100Hのソース端子が、ローサイドMOSFET100Lのドレイン端子に接続されている。ハイサイドMOSFET100Hのドレイン端子は、電流制御用半導体素子100の外部接続端子T1に接続される。外部接続端子T1には、外部のバッテリーBから直流電圧Vbが印加される。ローサイドMOSFET100Lのソース端子は、外部接続端子T2に接続され、電流制御用半導体素子100の外部で接地される。
ハイサイドMOSFET100Hのソース端子とローサイドMOSFET100Lのドレイン端子の接続部は、外部接続端子T3に接続される。外部接続端子T3には、電流制御の対象であるソレノイドSOが接続され、電流Ioutが供給される。ハイサイドMOSFET100Hのゲート端子には、フィードバック制御部180からゲート信号Vg1が入力する。ローサイドMOSFET100Lのゲート端子には、フィードバック制御部180からゲート信号Vg3が入力する。フィードバック制御部180は、ゲート信号Vg1,ゲート信号Vg2及び後述するゲート信号Vg2を、並列に出力する。
【0024】
ハイサイドMOSFET100Hは、ソレノイドSOとバッテリーBとの間のスイッチで、ハイサイドMOSFET100Hのゲート信号Vg1がハイレベル時にオンで、ローレベル時にオフとなる。ハイサイドMOSFET100Hがオン時はソレノイドSOに流れる電流が上昇し、オフ時は減少する。
【0025】
ローサイドMOFET100Lは、ハイサイドMOSFET100Hがオフの時、ソレノイドSOに流れる電流を還流させる経路として使用し、ハイサイドMOSFET100Hがオフの期間、ローサイドMOFET100Lはオンとなる。なお、ハイサイドMOSFET100HとローサイドMOSFET100Lとが共にオフとなるデッドタイムを設けてもよいものである。
【0026】
電流制御用半導体素子100は、PWM(Pulse Width Modulation)により、ソレノイドSOに印加する電圧をオン・オフし、ソレノイドSOに流れる電流Ioutを制御することで、ソレノイドSOを駆動する。
【0027】
電流−電圧変換回路122は、マルチプレクサ140により、電流−電圧変換回路122の端子X1がハイサイドMOSFET100HとローサイドMOSFET100Lとの接続点Y1に接続されると、ハイサイドMOSFET100Hに並列接続される。それにより、電流−電圧変換回路122は、ハイサイドMOSFET100Hに流れる電流を検出し、電圧Voutに変換して出力する。
【0028】
ここで、図2を用いて、本実施形態による電流制御用半導体素子に用いる電流−電圧変換回路122の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子に用いる電流−電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【0029】
電流−電圧変換回路122は、センスMOSFET122Aと、オペアンプ122Bと、センス抵抗(電流検出抵抗)122Cと、差動増幅器122Dと、オフセット電圧源122Eと、OR回路122Fとを備えている。
【0030】
センスMOSFET122Aは、ゲート信号Vg1がハイレベル時、すなわち、ハイサイドMOSFET100Hが通電している間オンとなる。センスMOSFET122Aがオンのとき、センスMOSFET122Aに流れる電流は、センス抵抗122Cにも流れる。センス抵抗122Cの両端電圧は、差動増幅器122Dにより検出され、電流値を電圧に変換し、Voutとして出力する。
【0031】
ここで、図1と図2を対比すると理解されるように、電流−電圧変換回路122の端子X1がハイサイドMOSFET100HとローサイドMOSFET100Lとの接続点Y1に接続された時、ハイサイドMOSFET100HとセンスMOSFET122Aとは、並列接続される。ハイサイドMOSFET100Hがオンの時、ハイサイドMOSFET100Hに流れる電流は、例えば、1Aである。それに対して、センスMOSFET122Aには、その1/10の0.1Aの電流が流れる。そのため、ハイサイドMOSFET100Hのゲート幅に対して、センスMOSFET122Aのゲート幅を狭くしている。これにより、センス抵抗122Cに流れる電流を小さくできるため、センス抵抗122Cにおける電力消費を少なくできる。なお、ハイサイドMOSFET100HとセンスMOSFET122Aとの分流比は、1/10に限らず、1/10〜1/100程度に設定することができる。
【0032】
オペアンプ122Bの負端子は、センスMOSFET122Aのソース端子に接続され、正端子は、端子X1,すなわち、ハイサイドMOSFET100HとローサイドMOSFET100Lの接続点に接続される。そして、オペアンプ122Bは、両者の電圧が一定となるように制御する。これは、センスMOSFET122Aのゲート信号Vg1の電圧が変化した場合、センスMOSFET122Aのオン抵抗が変化するので、この変化の影響を防止するためである。
【0033】
オフセット電圧源122Eは、I−V変換回路122の内部寄生電圧であり、前述の式(1)におけるオフセット電圧bに相当するものである。このオフセット電圧bが変化すると、電流検出精度に影響するため、後述の方法によりこの影響を除去するようにしている。
【0034】
また、オア回路122Fは、ゲート信号Vg1またはゲート信号Vg2の論理和をとるため、ゲート信号Vg2がハイレベル時、すなわち、参照電流生成回路130の内部のMOSFETが通電している間オンとなる。センスMOSFET122Aがオンのとき、センスMOSFET122Aに流れる電流は、センス抵抗122Cにも流れる。センス抵抗122Cの両端電圧は、差動増幅器122Dにより検出され、参照電流値を電圧に変換し、Voutとして出力する。参照電流生成回路130の内部構成については、図3を用いて後述する。
【0035】
ここで、センス抵抗122Cとしては、ICチップに内蔵可能なポリシリコン抵抗等を用いる。一方、センス抵抗がICチップの外部に外付けされる場合には、プリント抵抗等が用いられる。プリント抵抗は、トリミング等の技術により、所定の抵抗値に調整可能であるとともに、温度変化の影響を受けにくいものである。一方、ポリシリコン抵抗等は、温度によって抵抗値が変化する。その結果、前述の式(1)におけるゲインaが変化するため、これを補正する必要がある。
【0036】
再び、図1において、参照電流生成回路130は、電流−電圧変換回路122からADコンバータ124に至る電流検出回路120のオフセットbおよびゲインaを補正するための参照電流を発生するもので、ゲート信号Vg2がハイレベル時に動作する。
【0037】
ここで、図3を用いて、本実施形態による電流制御用半導体素子に用いる参照電流生成回路130の構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子に用いる参照電流生成回路の構成を示す回路図である。
【0038】
参照電流生成回路130は、MOSFET131と、2つの定電流源133,135と、2つのマルチプレクサ137,139とを備えている。定電流源133は、電流値Ic1の定電流源であり、定電流源135は、電流値Ic2の定電流源である。電流値Ic1,Ic2は、図1のハイサイドMOSFET100Hを流れる電流の1/10〜1/100となる例えば、ハイサイドMOSFET100Hを流れる電流の最大値を1Aとすると、電流値Ic1は0.1であり,電流値Ic2は、0.05のように設定されている。
【0039】
ここで、ゲート信号Vg2がハイレベル時、MOSFET131がオンとなり、定電流源133または定電流源135により発生する電流が流れる。定電流源133または定電流源135のどちらの電流を通電するかは、補正値算出回路150から供給される信号により動作するマルチプレクサ137,139により選択される。
【0040】
ここで、図1において、電流−電圧変換回路122の端子X1が参照電流生成回路130の端子Y2(図3における端子Y2)に接続された時、ハMOSFET131とセンスMOSFET122Aとは、並列接続される。MOSFET131がオンの時、MOSFET131に流れる電流は、Ic1若しくはIc2である。それに対して、センスMOSFET122Aには、その1/10の電流が流れる。そのため、MOSFET131のゲート幅に対して、センスMOSFET122Aのゲート幅を狭くしている。これにより、センス抵抗122Cに流れる電流を小さくできるため、センス抵抗122Cにおける電力消費を少なくできる。
【0041】
したがって、ゲート信号Vg2がハイレベル時、すなわち、参照電流生成回路130の内部のMOSFET131が通電している間、図2のセンスMOSFET122Aがオンのとき、センスMOSFET122Aに流れる電流は、センス抵抗122Cの両端電圧とし、差動増幅器122Dにより検出され、参照電流値を電圧に変換し、Voutc1,Voutc2として出力する。
【0042】
再び、図1において、ADコンバータ124は、電流−電圧変換回路122の出力Voutをデジタル変換し、参照電圧Vrefとの相対値のデジタル値Voutd(=Vout/Vref)を出力する。また、参照電流Ic1,IC2を検出しているときは、参照電流の検出値に対するデジタル値Voutdc1,Voutdc2を出力する。
【0043】
補正用測定値保持レジスタ145は、電流検出系のゲインaおよびオフセットbの補正用に、参照電流生成回路130に含まれる定電流源の電流値Ic1,Ic2を保持する。
【0044】
補正値算出回路150は、ADコンバータ124の出力の内、参照電流の検出値に対するデジタル値Voutdc1,Voutdc2、および補正用測定値保持レジスタ145の保持する定電流源の電流値Ic1,Ic2から、電流検出系のオフセットbおよびゲインaを算出する。
【0045】
また、補正値算出回路150は、温度センサ165の出力T、およびフィードバック制御部180からのPWMオフ期間値Tpwm_offより、補正用の定電流源測定、および補正値算出回路150によるゲイン、オフセット補正の開始判定を行う。温度センサ165は、電力制御用半導体素子100の温度のデジタル値Tを出力する。補正値算出回路150は、温度センサ165により検出された温度が、所定温度以上変化した場合に、補正値算出動作を起動する。
【0046】
電流値算出回路155は、ADコンバータ124の出力Voutdと、補正値算出回路150が算出した電流検出系のオフセットbおよびゲインaから、デジタル電流値Ioutdを、以下の式(1)により算出する。

Ioutd=a・Voutd+b …(1)

IF(インターフェース)回路160は、電力制御用半導体素子100の外部から、補正用測定値保持レジスタ145が保持する値をリード/ライトするインターフェース機能を有している。
【0047】
テストモード制御部170は、端子T4を介して外部から起動される。図1に示す例では、端子T5は接地されている。しかし、テストモード時には、一点鎖線で示すように、端子T5にはセンス抵抗Rsns2が接続される。そして、テストモード制御部170の起動時は、参照電流生成回路130を制御して参照電流生成回路130に流れる電流を端子T5に出力し、外付けされたセンス抵Rsns2により、参照電流生成回路130に流れる電流値Ic1,Ic2を、電圧値Vc1,Vc2として正確に計測する。このように、定電流源の電流値Ic1,Ic2を正確に計測可能な外部接続端子を備える点も、本実施形態の電流制御用半導体素子100の特徴の一つである。
【0048】
計測により求められた電流値Ic1,Ic2は、マイクロコントローラ200の内部のEP−ROM等の不揮発性メモリに予め記憶されている。一方、電流制御用半導体素子100の内部の補正用測定値保持レジスタ145は、電流制御用半導体素子100への電力供給が停止されると、保持されていた値を失う。そこで、電流制御用半導体素子100への通電再開時に、マイクロコントローラ200に保持された電流値Ic1,Ic2を、インターフェース回路160を介して、補正用測定値保持レジスタ145に書き込むようにする。なお、電流制御用半導体素子100の内部に、EP−ROMのような不揮発性メモリを内蔵可能な場合には、その不揮発メモリに計測により求められた電流値Ic1,Ic2を書き込むことができる。
【0049】
フィードバック制御部180は、電流値算出回路155により算出されたデジタル電流値Ioutdが、マイクロコントローラ200から与えられた制御電流目標値I*に等しくなるように、ゲート信号Vg1,Vg3の通電時間を制御し、PWMにより、ソレノイドSOに印加する電圧をオン・オフし、ソレノイドSOに流れる電流Ioutを制御する。また、フィードバック制御部180は、補正値算出回路150の指示に基づいて、参照電流を検出する場合には、ゲート信号Vg2を出力する。
【0050】
次に、図1〜図3を用いて説明した、電流−電圧変換回路122からADコンバータ124に至る電流検出回路120の特性を、数式を用いて説明する。
【0051】
ハイサイドMOSFET100Hのオン抵抗値をR1、センスMOSFET20のオン抵抗値をR2、電流−電圧変換回路122が備えるオペアンプ122Aの入力オフセット電圧をVoff、センス抵抗122Cの抵抗値をRsnsとすると、ハイサイドMOSFET100Hがオン時にソレノイドSOに流れる電流値Ioutと、ADコンバータ124の出力Voutdとの関係は、式(2)の通りとなる。

Ioutd=((R2/R1)・(Vref/Rsns))・Voutd+(Voff/R1) …(2)

ここで、ソレノイドSOの電流を測定する場合の電流検出系のゲインをa、オフセットをbとすると、それぞれ、式(3),式(4)のように、

a=(R1/R1)・(Vref/Rsns) …(3)

b=(Voff/R1) …(4)

となる。
【0052】
一方、参照電流生成回路130の電流を測定する場合、参照電流生成回路130の電流値をIc、参照電流生成回路130が備えるMOSFET131のオン抵抗値をR3とすると、電流値IcとADコンバータ124の出力Voutdとの関係は式(5)の通りとなる。

Ic=((R2/R3)・(Vref/Rsns))・Voutd+(Voff/R3) …(5)

ここで、参照電流生成回路130の電流を測定する場合の電流検出系のゲインをa1、オフセットをb1とすると、それぞれ、式(6),式(7)のように、

a1=(R2/R3)・(Vref/Rsns) …(6)

b=(Voff/R3) …(7)

となる。
【0053】
式(3),式(4),式(6),式(7)より、ゲインa,a1およびオフセットb,b1の関係式を導くと、

a=(R3/R1)・a1 …(8)

b=(R3/R1)・b1 …(9)

となる。
【0054】
ハイサイドMOSFET100Hのオン抵抗値R1とMOSFET131のオン抵抗値R3の比は高い精度で設計値と一致させることができるため、a1、b1が分かれば、間接的にa、bを求めることができる。
【0055】
以上説明した電流検出回路120の特性を用い、補正値算出回路150はソレノイドSOの電流を測定する場合の電流検出系のゲインaおよびオフセットbを演算する。補正値算出回路150がゲインaおよびオフセットbを求める手法を以下に説明する。
【0056】
参照電流生成回路130が備える定電流源31の電流値をIc1、定電流源32の電流値をIc2、定電流源31の電流値を測定した時のADコンバータ124の出力値をVoutdc1、定電流源32の電流値を測定した時のADコンバータ124の出力値をVoutdc2とすると、式(5)より、ゲインa1、およびオフセットb1は、

a1=(Ic1−Ic2)/(Voutdc1−Voutdc2) …(10)

b1=((Ic2・Voutdc1)−(Ic1・Voutdc2)/(Voutddc1−Voutdc2) …(11)

と解くことができる。
【0057】
ここで、定電流源31の電流値Ic1、定電流源32の電流値Ic2は、テストモード制御部170を用いて外部から高精度に測定し、予めマイクロコントローラ200の不揮発性メモリ等に値を保存する。電流制御用半導体素子100の起動時には、IF回路160を介して電流測定補正用測定値保持レジスタ145にIc1,Ic2の値を転送する。
【0058】
これにより、補正値算出回路150は、補正が必要となる任意のタイミングで、補正用電流Ic1,Ic2に対するデジタル値Voutdc1およびVoutdc2を測定し、電流測定補正用測定値保持レジスタ145に格納された電流値Ic1,Ic2の値を用いて、式(10),式(11)によりゲインa1、およびオフセットb1を、さらに式(8),式(9)によりゲインaおよびオフセットbを求めることができる。
【0059】
以上説明した、補正値算出回路150によるゲインaおよびオフセットbの、補正誤差は、定電流源31の電流値Ic1、定電流源32の電流値Ic2の絶対誤差に依存するが、これらの定電流源の電流値は電源や温度に依存ぜず原理的に変動を0に近づけることができるため、高い精度でゲインaおよびオフセットbを補正することができる。
【0060】
その上で、電流値算出回路155は、ADコンバータ124の出力Voutdと、補正値算出回路150が算出した電流検出系のオフセットbおよびゲインaから、デジタル電流値Ioutdを、以下の式(1)により算出する。

Ioutd=a・Voutd+b …(1)

以上のようにして、本実施形態により、高精度でゲインaおよびオフセットbを補正し、高精度な電流測定が可能となる。
【0061】
次に、図4〜図6を用いて、本実施形態による電流制御用半導体素子における補正値算出回路150の補正開始判定及び測定処理について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子における補正値算出回路の補正開始判定及び測定処理の内容を示すフローチャートである。図5及び図6は、本発明の一実施形態による電流制御用半導体素子における補正値算出回路の補正開始判定及び測定処理の内容を示すタイミングチャートである。
【0062】
図4は、補正値算出回路150における補正開始判定および補正用測定タイミングを制御するフラグをセットするアルゴリズムを示している。
【0063】
最初に、ステップS10において、補正値算出回路150は、温度センサ165の出力Tと、前回補正を行った時の温度センサ165の出力T_preの差の絶対値が、閾値T_thより大きいかを判定し、閾値T_thより大きい場合、ステップS20に進み、そうでない場合アルゴリズムを終了する。
【0064】
ゲインaおよびオフセットbは、温度に依存して変動するため、ステップS10の判定により、ゲインaおよびオフセットbに一定以上の変動がある場合に限り、Voutdc1およびVoutdc2の測定、および補正値算出回路150によるゲインaおフセットbの補正を行い、補正に伴う電力を削減することができる。閾値T_thは、例えば、10℃としているが、これより小さくして精度を上げてもよいし、大きくして補正処理の頻度を小さくしてもよいものである。
【0065】
次に、ステップS20において、補正値算出回路150は、PWMのオフ期間Tpwm_offがある閾値Tpwm_off_thより大きいかを判定する。ここで、閾値Tpwm_off_thは、2点のVoutdが測定できる期間に設定する。閾値Tpwm_off_thは、例えば、10μsである。オフ期間Tpwm_offが閾値Tpwm_off_thより大きい場合、ステップS40に進み、そうでない場合、ステップS30にて強制補正フラグをセットし、ステップS40に進む。
【0066】
次に、ステップS40において、補正値算出回路150は、参照電流のデジタル値Voutdc1およびVoutdc2の測定、および補正値算出回路150によるゲインa及びオフセットbの補正を開始し、最後にステップS50にて補正値算出回路150T_preの更新、および強制補正フラグのリセットを行い、アルゴリズムを終了する。
【0067】
図5は、図4にて説明した強制補正フラグがセットされていない場合(図4のステップS20でYESの場合)の、参照電流のデジタル値Voutdc1およびVoutdc2の測定タイミングチャートである。
【0068】
参照電流のデジタル値Voutdc1およびVoutdc2の測定は、通常の電流測定Voutd_m1〜Voutd_mn測定を干渉しないタイミングで実行することが、PWMオン区間に渡る電流測定精度を向上する上で好ましい。このため、PWMのオフ期間Tpwm_offが閾値Tpwm_off_thより大きい、すなわち、PWMオフ期間が参照電流のデジタル値Voutd1およびVoutd2の2点を測定するに十分な大きさである場合は、PWMがオフの期間に参照電流のデジタル値Voutd1、およびVoutd2を測定する。
【0069】
図6は、図4にて説明した強制補正フラグがセットされている場合(図4のステップS20でNOの場合)の、参照電流のデジタル値Voutdc1およびVoutdc2の測定タイミングチャートである。
【0070】
強制補正フラグがセットされている、すなわち、PWMオフ期間が参照電流のデジタル値Voutd1およびVoutd2の2点を測定するに十分な大きさでない場合は、通常の電流測定(Voutd_m1〜Voutd_mn測定)の間に参照電流のデジタル値Voutd1およびVoutd2の測定を挿入する。なお、PWMがオン直後は、電流変化が急峻なため、参照電流のデジタル値Voutd1およびVoutd2の測定箇所は、PWMオン直後を避ける方が、PWMオン区間に渡る電流測定精度を向上する上で好ましい
以上説明したように、ステップS20による判定に従い、参照電流のデジタル値Voutdc1およびVoutdc2の測定タイミングを制御することにより、PWM全区間に渡る電流測定精度の低下を最小限に抑えたまま、補正値算出回路150によるゲインaおよびオフセットbの補正を行うことができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、ICチップに内蔵した定電流源の電流値を測定して電流検出回路の補正を行うことから、1チップのIC内で高精度な電流検出手段を実現することができる。
【0072】
また、定電流源の電流値は、予め外部から高精度に測定した値を利用して補正を行うことから、補正精度を向上させることができる。
【0073】
次に、図7を用いて、本発明の他の実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの構成及び動作について説明する。
図7は、本発明の他の実施形態による電流制御用半導体素子を用いた電動アクチュエータの全体構成を示すブロック図である。なお、図7において、図1と同一符号は同一部分を示している。
【0074】
図1に示した例では、 電流制御用半導体素子100には、補正値算出回路150と、デジタル電流算出回路155と、フィードバック制御部180とが内蔵されていた。
【0075】
それに対して、本実施形態では、これらは、補正値算出回路250と、デジタル電流算出回路255と、フィードバック制御部280として、マイクロコントローラ200Aに内蔵されている。
【0076】
電流制御用半導体素子100Aにおいて、電流測定補正用測定値保持レジスタ145Aは、参照電流IC1,Ic2のデジタル値Voutdc1およびVoutdc2の測定値、および温度センサ165の出力Tを保持する。
【0077】
マイクロコントローラ200Aの補正値算出回路250やデジタル電流算出回路255は、ソフトウエアとして実装されている。補正値算出回路250は、電流測定補正用測定値保持レジスタ145に保持されたデジタル値Voutdc1Voutdc2及び温度の測定値Tを、IF回路160を介して読み出し、ゲインaおよびオフセットbの補正、および補正開始判定等を行う。
【0078】
そして、デジタル電流算出回路255により、補正されたデジタル電流値Ioutdを算出する。
【0079】
ゲインaおよびオフセットbの補正は、時定数の大きな温度変化の周期で行えば良いため、補正値算出回路250をマイクロコントローラのソフトウエアで実現した場合も、マイクロコントローラに対する処理オーバーヘッドは少なく、容易に実装することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、ICチップに内蔵した定電流源の電流値を測定して電流検出回路の補正を行うことから、1チップのIC内で高精度な電流検出手段を実現することができる。
【0081】
また、定電流源の電流値は、予め外部から高精度に測定した値を利用して補正を行うことから、補正精度を向上させることができる。
【0082】
さらに、補正値算出回路250を電流制御用半導体素子に内蔵するために必要な面積を削減し、電流制御用半導体素子のコストを下げることができる。
【0083】
次に、図8を用いて、本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いた自動変速機制御装置の構成及び動作について説明する。
図8は、本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いた自動変速機制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図8において、図1や図7と同一符号は同一部分を示している。
【0084】
自動変速機制御装置ATCUは、図1に示したマイクロコントローラ200と、電流制御用半導体素子100に相当する複数の電流制御用半導体素子100a,…,100eとから構成される。なお、自動変速機制御装置ATCUは、図7に示したマイクロコントローラ200Aと、電流制御用半導体素子100Aに相当する複数の電流制御用半導体素子100a,…,100eとから構成することもできる。
【0085】
マイクロコントローラ100は、エンジン回転数センサ302、シフトレバー位置センサ304、アクセルペダル位置センサ306からセンサ値を入力し、入力されたセンサ値から、最適な変速比を演算し、その変速比を実現するための、変速機300が備える複数のクラッチ(図示せず)の油圧指令値と、その油圧に対応したソレノイドSOa,…,SOeの電流値指令値を演算し、その電流値指令値Ia*,…,Ie*を電流制御用半導体素子100a,…,100eに出力する。
【0086】
前述の各実施形態における説明の通り、電流制御用半導体素子100a,…,100eにより高精度な電流検出、および電流制御ができるため、滑らかな変速が可能となり、自動車の乗り心地が向上する。
【0087】
なお、図8ではマイクロコントローラ200がエンジン回転数センサ302、シフトレバー位置センサ304、アクセルペダル位置センサ306の3つのセンサからセンサ値を入力しているが、変速制御方式に対応して、入力するセンサの数や種類を変えても良い。また、図8ではマイクロコントローラ200がセンサからセンサ値を直接入力しているが、他のマイクロコントローラやICを経由して入力しても良い。また、図8では自動変速機300が5つのクラッチを備える例を示しているが、変速機構に対応して、クラッチの数、およびそれに対応したソレノイド電流制御装置の数を変えても良い。
【0088】
次に、図9を用いて、本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いたブレーキ制御装置の構成及び動作について説明する。
図9は、本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いたブレーキ制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図9において、図1や図7と同一符号は同一部分を示している。
【0089】
ブレーキ制御装置BCUは、図1に示したマイクロコントローラ200と電流制御用半導体素子100とから構成される。なお、ブレーキ制御装置BCUは、図7に示したマイクロコントローラ200Aと電流制御用半導体素子100Aとから構成することもできる。
【0090】
マイクロコントローラ200は、ブレーキペダル位置センサ402、車速センサ404からセンサ値を入力し、入力されたセンサ値から、最適なブレーキの制動力を演算し、その制動力を実現するための、油圧ブレーキ91の油圧指令値と、その油圧に対応したソレノイドSOの電流値指令値を演算し、その電流値指令値I*を電流制御用半導体素子100に出力する。
【0091】
前述の各実施形態における説明の通り、電流制御用半導体素子100は高精度な電流検出、および電流制御ができるため、滑らかなブレーキが可能となり、自動車の乗り心地が向上する。
【0092】
なお、図9ではマイクロコントローラ200がブレーキペダル位置センサ402、車速センサ404の2つのセンサからセンサ値を入力しているが、制動方式に対応して、入力するセンサの数や種類を変えても良い。また、図9ではマイクロコントローラ200がセンサからセンサ値を直接入力しているが、他のマイクロコントローラやICを経由して入力しても良い。
【0093】
次に、図10を用いて、本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いたブラシレスモータ制御装置の構成及び動作について説明する。
図10は、本発明の各実施形態による電流制御用半導体素子を用いたブラシレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図9において、図1や図7と同一符号は同一部分を示している。
【0094】
ブラシレスモータ制御装置MCUは、図1に示したマイクロコントローラ200と電流制御用半導体素子100とから構成される。なお、ブラシレスモータ制御装置BCUは、図7に示したマイクロコントローラ200Aと電流制御用半導体素子100Aとから構成することもできる。
【0095】
マイクロコントローラ200は、モータの目標回転数、およびトルクを実現するためのモータ500の3相コイルCu,Cv,Cwに対する3相電流指令値を演算し、その電流値指令値Iu*,Iv*,Iw*を電流制御用半導体素子100a,…,100cに出力する。
【0096】
前述の各実施形態における説明の通り、電流制御用半導体素子100a,…,100cは高精度な電流検出、および電流制御ができるため、滑らかなモータ制御が可能となる。
【符号の説明】
【0097】
100…電流制御用半導体素子
110H…ハイサイドMOSFET
110L…ローサイドMOSFET
120…電流検出回路
122…電流−電圧変換回路
124…ADコンバータ
130…参照電流生成回路
140…マルチプレクサ
145…補正用測定値保持レジスタ
150…補正値算出回路
160…IF回路
165…温度センサ
170…テストモード制御部
180…フィードバック制御部
200…マイクロコントローラ
B…バッテリー
SO…ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一半導体チップ上に、MOSFETと、少なくとも2つの定電流源と、前記MOSFETの電流および前記定電流源の電流を検出する電流検出回路とを備え、 さらに、前記定電流源は、その電流値を計測するための外部接続端子を備えることを特徴とする電流制御用半導体素子。
【請求項2】
請求項1記載の電流制御用半導体素子において、
前記外部接続端子を用いて、外部から測定した前記定電流源の電流値,若しくは前記電流検出回路が前記定電流源の電流を測定した時の検出値を保持する記憶素子を備えることを特徴とする電流制御用半導体素子。
【請求項3】
請求項2記載の電流制御用半導体素子において、
前記記憶素子に保持された値を用いて、前記電流検出回路のゲイン及びオフセットの補正値を算出する補正値算出手段と、
該補正値算出手段により算出された前記ゲイン及びオフセットの補正値を用いて、前記電流検出回路により検出された値を補正して、補正された電流値を算出する電流値算出手段を備えることを特徴とする電流制御用半導体素子。
【請求項4】
請求項3記載の電流制御用半導体素子において、
前記補正値算出手段は、前記電流制御用半導体素子の温度測定値を用いて、前回補正を行ったときの温度との差が所定値以上のとき、前記補正値算出回路の開始判定を行うことを特徴とする電流制御用半導体素子。
【請求項5】
請求項4記載の電流制御用半導体素子において、
前記電流制御用半導体素子は、PWMにより、負荷に流れる電圧をオン・オフするものであり、
前記補正値算出手段は、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも長いときは、前記PWMのオフ期間に前記2つの定電流源の電流を測定し、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも短いときは、前記PWMのオン期間の内PWMオン直後以外の期間において前記2つの定電流源の電流を測定することを特徴とする電流制御用半導体素子。
【請求項6】
電流制御用半導体素子と、該電流制御用半導体素子を制御するマイクロコントローラとを有する制御装置であって、
前記電流制御用半導体素子は、同一半導体チップ上に、
MOSFETと、
少なくとも2つの定電流源と、
前記MOSFETの電流および前記定電流源の電流を検出する電流検出回路と、
前記電流検出回路が前記定電流源の電流を測定した時の検出値を保持する記憶素子とを備え、
前記マイクロコントローラは、
前記記憶素子に保持された値を用いて、前記電流検出回路のゲイン及びオフセットの補正値を算出する補正値算出手段と、
該補正値算出手段により算出された前記ゲイン及びオフセットの補正値を用いて、前記電流検出回路により検出された値を補正して、補正された電流値を算出する電流値算出手段を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の制御装置において、
前記補正値算出手段は、前記電流制御用半導体素子の温度測定値を用いて、前回補正を行ったときの温度との差が所定値以上のとき、前記補正値算出回路の開始判定を行うことを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の制御装置において、
前記電流制御用半導体素子は、PWMにより、負荷に流れる電圧をオン・オフするものであり、
前記補正値算出手段は、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも長いときは、前記PWMのオフ期間に前記2つの定電流源の電流を測定し、前記PWMのオフ期間が、前記2つの定電流源の電流測定に要する期間よりも短いときは、前記PWMのオン期間の内PWMオン直後以外の期間において前記2つの定電流源の電流を測定することを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−97434(P2011−97434A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250701(P2009−250701)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】