説明

電界効果トランジスタ素子およびその製造方法

【課題】改善した能力を備えた、MOSFETやHEMTなどの半導体トランジスタ素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体トランジスタ素子は、トランジスタがオンしたとき、電流をトランジスタに通すために、キャリアが移動できるチャネル層を含むチャネルエリア(1)と、チャネル層に対して電流を供給するために、チャネル層と接触したソースエリア(4)およびドレインエリア(5)と、ゲート電極(3)とを備え、好ましくは、ゲート電極とチャネル層との間にゲート誘電体(2)が設けられ、前記チャネル層はIII−V族材料からなり、前記ソースエリアおよびドレインエリアはSiGe(SiGe1−x、xは0と100%の間)を含み、ヘテロ接合(30,31)がIII−V族材料とSiGeの間に存在し、前記ヘテロ接合は、前記電流が前記ヘテロ接合を通過するように配置されており、前記ヘテロ接合(30,31)は、前記ゲート誘電体(2)または前記ゲート電極と交差するように配向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善した能力を備えた素子を作成するために、III−V族材料(例えば、GaAs)などの半導体材料、好ましくは高バンドギャップ(>1eV)を有するIII−V族材料やGeを用いて、例えば、金属−酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)や高電子移動度トランジスタ(HEMT)などの半導体トランジスタ素子を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Ge,SiGe1−x,GaAs等のIII−V族材料は、半導体素子の製造で知られている。これらの材料は、キャリア(電子または正孔)の移動度の点で優れた特性を有しており、改善したFET素子の製造に好適である。
【0003】
しかしながら、特に、CMOS技術でのIII−V族材料の使用に関連した多くの課題がある。例えば、GaAsのイオン注入(implantation)は、GaAsエリアのイオン衝撃(bombardment)の後に欠陥をアニール除去する困難さによって、やさしい操作ではない。他の課題は、III−V族材料のコンタクトである。GaAsおよび他の類似の材料では、低抵抗のコンタクトを得ることが困難であり、複雑な金属被覆(metallization)手法を用いる必要がある。
【0004】
文献(米国特許第5036374号)は、MOSFET素子でのIII−V族材料やGeの使用に関連した課題、主として、チャネル層に高品質の誘電体を設ける困難さに関連した課題に着目している。MOSFETは、GaAs中のチャネル、ソースおよびドレインを備え、チャネルと誘電体の間の単結晶Si薄膜を備えたものが提案されている。1つの実施形態は、Siのソースエリアおよびドレインエリアと組み合せたGaAsやGeのチャネルを提案しているが、該チャネルは、有機金属化学気相成長法(MOCVD)または分子層エピタキシー(MLE)によって、前記ソースエリアおよびドレインエリアを備えたSi基板の上面に作成されている。
【0005】
文献(特開昭62−266873号)は、HEMT素子に関するもので、Ge層がAlGaAs電子供給層への入射光を阻止するために用いられる。Ge層は、AlGaAs層の上側部分および下側部分に設けられる。上記文献では、ヘテロ接合が水平に配向しており、ゲート誘電体とヘテロ接合との間の間隔(spacing)により、素子の動作中に、ゲートがヘテロ接合エネルギー障壁特性を制御できる程度に制限している。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5036374号明細書
【特許文献2】特開昭62−266873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した課題の解決法を提供する、例えば、MOSFETやHEMTなどの半導体トランジスタ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、添付の請求項に記載したような素子および方法に関する。本発明の素子および方法の好ましい実施形態は、独立請求項と1つ又はそれ以上の従属請求項の組合せで開示されている。
【0009】
本発明は、半導体の内部またはその上に、特に、フィールドエリア(フィールド酸化物/誘電体エリア)によって区切られた、基板のいわゆる「アクティブエリア」の内部またはその上に作製されたソースエリアおよびドレインエリアを備えた、半導体トランジスタ素子に関する。
【0010】
本発明は、チャネルエリアを備えた半導体トランジスタ素子に関するものであり、前記チャネルエリアは、トランジスタがオンしたとき、電流をトランジスタに通すために、キャリアが移動できるチャネル層と、
チャネル層に対して電流を供給するために、チャネル層と接触したソースエリアおよびドレインエリアとを備え、
前記チャネル層はIII−V族材料からなり、前記ソースエリアおよびドレインエリアはSiGe1−x(xは0と100%の間)を含み、
ヘテロ接合がIII−V族材料とSiGe1−xの間に存在し、前記ヘテロ接合は、前記電流が前記ヘテロ接合を通過するように配置されている。
【0011】
第1実施形態によれば、前記エリアは基板中に設けられ、前記基板は、前記III−V族材料の上部層を備え、2つの開口が前記上部層に存在しており、前記開口は、SiGeで充填されて、前記ソースエリアおよびドレインエリアを形成している。
【0012】
第2実施形態によれば、前記エリアは基板中に設けられ、前記基板は、SiGe1−xの上部層を備え、開口が前記上部層に存在しており、前記開口は、III−V族材料で充填されて、前記チャネルエリアを形成している。
【0013】
前記III−V族材料は、GaAs,AlP,GaP,AlAs,InGaNAs,InGaAs,InPおよびAlSbからなるグループから選択してもよい。
【0014】
前記ソースエリア及び/又はドレインエリアは、金属ゲルマニウム化物及び/又は金属シリサイドからなるコンタクト部を設けてもよい。
【0015】
前記素子は、MOSFETまたはHEMTであってもよい。
【0016】
本発明は、同様に、本発明に係る素子を製造する方法に関するものであり、前記方法は、III−V族材料からなる上部層を有する基板を用意する工程と、
フォトリソグラフ技術によって、III−V族層に2つの空洞をエッチバックで作成して、前記空洞間にチャネルエリアを形成する工程と、
前記空洞をSiGeで充填して、チャネルエリアと接触するソースエリアおよびドレインエリアを形成する工程とを含む。
【0017】
第2実施形態によれば、本発明の素子を製造する方法は、
SiGeからなる上部層を有する基板を用意する工程と、
チャネルエリアを形成するために、フォトリソグラフ技術によってSiGe層に空洞をエッチバックで作成する工程と、
前記空洞をIII−V族材料で充填して、チャネルエリアを形成する工程とを含む。
【0018】
上記において、「III−V族基板」、「SiGe基板」とは、こうした材料で作製した基板、またはこうした材料の上部層を含む基板とすることができる。
【0019】
一実施形態によれば、xは100%より小さい。他の実施形態によれば、xは、それぞれ90%,80%,70%より小さい。
【0020】
該素子は、同様に、ゲート電極、好ましくは、ゲート電極とチャネル層との間に設けられたゲート誘電体を備える。本発明によれば、ヘテロ接合は、ゲート誘電体またはゲート電極(ゲート誘電体が存在していない場合)と交差、即ち、物理的に接触するように配向している。本発明によれば、前記ヘテロ接合は、該エリアが設けられる基板面に対して平行でなく、前記面は基板の表面によって規定され、即ち、基板を水平に向けたとき、ヘテロ接合は水平でない。
【0021】
上記特徴を得るために、2つの実施形態がある。
【0022】
・基板がIII−V族材料の上部層を含み、2つの開口が前記上部層に存在しており、前記開口がSiGeで充填され、前記ソースエリアおよびドレインエリアを形成している。換言すると、III−V族基板の上側層は、2つのSiGe領域を含み、これがソースエリアおよびドレインエリアを形成する。SiGe領域は、所定の深さを有し(即ち、基板中に埋め込まれている)、III−V族材料に対して側方で隣接している。
【0023】
・あるいは、基板がSiGeの上部層を含み、開口が前記上部層に存在しており、前記開口がIII−V族材料で充填され、前記チャネルエリアを形成している。換言すると、SiGe基板の上側層は、III−V族材料からなる領域を含み、前記領域はチャネルエリアを形成している。III−V族領域は、所定の深さを有し(即ち、基板中に埋め込まれている)、SiGeに対して側方で隣接している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、半導体トランジスタ素子に関し、例えば、図1と図2に示すようなMOSFETなどに関する。図面は、1つの素子が構築されたアクティブエリアのみを示している。フィールドエリアが、各図面で示す素子を取り囲んでいると理解すべきである。本発明に係るMOSFETは、典型的な構成要素、即ち、ゲート誘電体2およびゲート電極3の下に配置された、チャネル1と称される第1半導体エリアを備える。チャネル1は、それぞれソースエリアおよびドレインエリアと称される2つの半導体エリア4,5の間に位置する。スペーサ6は、通常、ゲート3の片側に存在している。MOSFETの場合、図面に示すように、実際のチャネルは、チャネルエリア1の上部層(本願の内容では「チャネル層」と称する)と誘電体2の間の界面である。
【0025】
本発明によれば、少なくともチャネルエリアのチャネル層はIII−V族材料、例えば、GaAsからなり、一方、ソースエリアおよびドレインエリアはSiGeを含み、ヘテロ接合(30,31)がIII−V族材料とSiGeの間の境界エリアの各々に形成されている。前記ヘテロ接合は、チャネルを流れる電流が前記ヘテロ接合を通過するように配置されている。
【0026】
HEMT素子において、その構造は、図1と図2に示したものと類似しているが、チャネルエリア1は、2つのアクティブ層で挟まれた導電層中に2次元電子ガスを得るように設計された、幾つかの層で構築されている。HEMT素子では、誘電体層2は必ずしも存在していない。本発明に係るHEMT素子において、前記アクティブ層の少なくとも1つ(チャネル層)がIII−V族材料からなり、一方、ソースエリアおよびドレインエリアはSiGeを含み、ヘテロ接合がIII−V族材料とSiGeの間の境界エリアの各々に形成されている。前記ヘテロ接合は、チャネルを流れる電流が前記ヘテロ接合を通過するように配置されている。
【0027】
本発明に係る何れの素子は、SiGeとIII−V族材料の間にあるヘテロ接合の存在によって特徴付けられ、前記ヘテロ接合は、チャネルを流れる電流が前記ヘテロ接合を通過するように配置されている。
【0028】
本発明によれば、上述したヘテロ接合は、基板面に対して平行でない(即ち、ヘテロ接合は、添付図面において水平でない)。図面に示す実施形態によれば、ヘテロ接合は、垂直に配向している。本発明によれば、ヘテロ接合は、ゲート誘電体2またはゲート電極3(例えば、HEMTなどで、ゲート誘電体が存在していない場合)と交差、即ち、物理的に接触するように配向している。この特徴は、ゲートに対してヘテロ接合の近い接近を確保し、ヘテロ接合の障壁特性に関してゲートによる最適な制御を達成する。ゲートは、ヘテロ接合の両側に渡って延びており、両側からヘテロ接合のエネルギー障壁を介したトンネル現象を制御する。
【0029】
用語「SiGe」(シリコン−ゲルマニウム)は、本願の内容において、SiGe1−x(xは0と100%の間)として理解すべきである。xは、変化するSiとGeの濃度を持つ材料の範囲であり、純粋Siおよび純粋Geである限界を含む。これは、「SiGe」が半導体技術の当業者によって一般に解釈されている手法である。適切な場合には、完全な表現「SiGe1−x」を使用し、それ以外は単に「SiGe」としている。好ましい実施形態は、いろいろなの範囲(それぞれx<100%,<90%,<80%,<70%)で純粋Siの使用を除外している。
【0030】
第1実施形態によれば、図1に示すように、本発明の素子は、III−V族材料の基板10を備え、開口、即ち、空洞11,12が、例えば、エッチングによって生成されている。前記開口はSiGeで充填されて、ソースエリアおよびドレインエリア4,5を形成している。換言すると、III−V族基板の上側層は、2つのSiGe領域を含み、ソースエリアおよびドレインエリア4,5を形成している。SiGe領域は、所定の深さを有し、チャネルエリアのIII−V族材料に対して側方で隣接している。
【0031】
第2実施形態によれば、図2に示すように、素子は、SiGeの基板13を備え、開口、即ち、空洞14が、例えば、エッチングによって生成されている。前記開口はIII−V族材料、例えば、GaAsで充填されて、チャネルエリア1を形成している。換言すると、SiGe基板の上側層は、III−V族材料からなる領域を含み、前記領域はチャネルエリア1を形成している。III−V族領域は、所定の深さを有し、ソースエリアおよびドレインエリアのSiGeに対して側方で隣接している。
【0032】
両方の場合、最終結果物は、MOSFET(またはHEMT、図6)であり、III−V族のチャネル1と、SiGeのソースエリアおよびドレインエリア4,5を備える。両方の実施形態では、ソースエリアおよびドレインエリアをドーピングする困難さが、もはや存在していない。SiGeは、イオン注入(implantation)またはその場(in-situ)ドーピングの技術によって、容易にドーピング可能であるためである。さらに、SiGeは、種々の金属被覆(metallization)手法を用いて、容易にコンタクトをとることができる。
【0033】
ゲルマニウム化(germanidation)及び/又はシリサイド化(silicidation)がSiGe領域上で使用可能であり(例えば、ゲルマニウム化ニッケル−NiGeを形成することにより)、前記ソースエリアおよびドレインエリアにおいて、ある領域を形成する。この領域は、金属ゲルマニウム化物及び/又は金属シリサイドからなり、前記領域はソースおよびドレインのコンタクトを容易にする。
【0034】
ある実施形態によれば、実施形態1,2のように、SiGeにおいてソースエリアおよびドレインエリアを、好ましくは、純粋Geで生成した後、金属、例えば、Niの層が基板上に成膜され、その結果、NiGeの領域(20,21)が基板の表面近くに形成される。図3を参照。
【0035】
NiGeの形成は、好ましくは、Niの連続層を基板全体に成膜して、NiGeがGe領域上で形成されることによって生ずる。その後、残りの領域にある未反応Niが、エッチング工程によって除去される。このタイプのNiGeエリアの自己整合(self-aligned)製造は、先行技術で知られている。他のタイプの金属を使用してもよく、SiGe1−xエリアにおいて種々のSiとGeの濃度を備えたソース/ドレインエリアの組合せで、例えば、Pt,Pt,Co,Niなどの金属と半導体材料SiGe1−xの合金によって金属性領域を形成する。xが0と100%の間で、境界値を除外する場合、混合したゲルマニウム化物/シリサイド化合物が、成膜した金属とともに形成されることになる。
【0036】
チャネルエリア1に用いられるIII−V族材料は、好ましくは、GaAs,AlP,GaP,AlAs,InGaNAs,InGaAs,InP,AlSbからなるリストから選択される。これらの材料は、1eVを超えるバンドギャップを有する(図4)。III−V族材料は、これらの元素の混合物とすることも可能である。チャネル材料は、同様に、低いバンドギャップ(即ち、<1eV)を持つIII−V族材料とすることができるが、好ましい場合ではない。
【0037】
ソースおよびドレイン4,5の材料はSiGeであり、実際には、上述したようなSiGe1−x(xは0と100%の間)である。
【0038】
SiGeおよびIII−V族材料によって形成されたヘテロ接合は、ゲルマニウムおよびGaAsの場合、これらの材料の伝導バンド端に沿ってバンドアライメントを有するようになり、これらの接合をnMOS応用に理想的に適したものにする。他のIII−V族材料も類似の特性を有することができ、あるいは、バンドアライメントがこれらの材料の価電子バンド端で生ずる場合、pMOSに使用してもよい。
【0039】
好ましい実施形態では、III−V族材料およびソース/ドレイン材料は、実質的に同じ格子定数を有する。従って、理想の組合せは、図4のグラフから導出できるように、GaAs/GeまたはAlAs/Geである。基板10,13は、バルク結晶のGaAs基板またはSiGe基板とすることができ、あるいは、他の基板、例えば、シリコンウエハなどへの堆積(deposition)または層トランスファー技術によって成膜されたGaAs層またはSiGe層とすることができる。
【0040】
こうした基板は知られており、例えば、ゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)では、誘電体層の上にある結晶ゲルマニウム層がIII−V族材料の層を成長するために存在しており、あるいは、シリコン・オン・インシュレータでは、誘電体層の上にある結晶シリコン層が、III−V族材料の層が形成可能であるシリコン/ゲルマニウム層およびゲルマニウム層を成長するために存在している。
【0041】
図5は、第1実施形態に係るMOSFETの具体的な実施形態を示すものであり、Siウエハ100の上に、下記の構成を備える。
・Siとの界面近くでは低いGe濃度を有し、反対側へ進むにつれてGe濃度が大きくなり、上部でほぼ100%のGeになる組成傾斜Si/Ge層101。
・選択エピタキシーによって成長したGe層102。
・Ge上の選択MOCVDによって成長した、例えば、GaAsまたはGaIn1−xAsなどのIII−V族層103。
【0042】
そして、層103は、図1の基板10と同等になる。この層103の上には、例えば、GaAsのエッチングおよびGaAs上のGeのエピタキシャル成長によって、Geのソースおよびドレイン4,5が形成される。図5の素子は、GeOI基板(ゲルマニウム・オン・インシュレータ)の上に構築することも可能であり、これにより層102は誘電体層の上に形成される。
【0043】
本発明の第1実施形態に係る素子を製造する方法は、下記の工程を含む。
【0044】
・III−V族材料からなる上部層を有する基板を用意する工程。これは、III−V族ウエハ10または、III−V族層103が堆積したSiウエハ100とすることができ、例えば、図5に示すように、SiとIII−V族層との間に他の層(101,102)があってもよい。
【0045】
・フォトリソグラフ技術によって、III−V族層に2つの空洞をエッチバックで作成して、前記空洞間にチャネルエリア1を形成する工程。
【0046】
・好ましくは、選択堆積技術、例えば、エピタキシャル成長によって、前記空洞をSiGeで充填して、チャネルエリア1と接触するソースエリアおよびドレインエリア4,5を形成する工程。前記空洞にSiGeを選択的に形成するための他の技術が適用でき、例えば、均等な成長および、先行技術で知られたフォトリソグラフのパターニングおよびエッチング工程を用いたSiGeの空洞外除去による。
【0047】
本発明の第2実施形態に係る素子を製造する方法は、下記の工程を含む。
【0048】
・SiGeからなる上部層を有する基板を用意する工程。これは、SiGeウエハ13または、SiGe層が堆積したSiウエハとすることができ、SiとSiGeとの間に他の層があってもよい。
【0049】
・チャネルエリア1を形成するために、フォトリソグラフ技術によってIII−V族層に空洞14をエッチバックで作成する工程。
【0050】
・好ましくは、選択堆積技術、例えば、エピタキシャル成長によって、前記空洞をIII−V族材料で充填して、チャネルエリア1を形成する工程。
【0051】
両方の実施形態に係る方法の工程は、先行技術で知られた方法によって、SiGeのソース領域およびドレイン領域にドーピングを施す工程と、ソースコンタクト、ドレインコンタクトおよびゲートコンタクトを作製する工程とが続く。
【0052】
上述のように、本発明は、MOSFETに限定されない。他のタイプのトランジスタにおいても、ソースエリアおよびドレインエリアをSiGeに作製し、例えば、GaAsを用いて、非水平ヘテロ接合を形成することが可能である。これは、例えば、HEMTトランジスタ(高電子移動度トランジスタ)の場合とすることができる。上述したように、HEMTトランジスタにおいて、III−V族層の構造は、MOSFETの場合と異なることになり、III−V族材料の多重層を含むことになる。
【0053】
こうしたHEMT構造の例は、図6に示している。アクティブ層70,80がゲート電極3の下に存在している。少なくともチャネル層80は、III−V族層、例えば、GaN層である。層70もまた、先行技術で知られているように、III−V族、例えば、AlGaN層である。チャネルは、層70,80の間にある界面に形成される。もし層70に対向した層80に近接して第3の層が存在している場合、2次元キャリアガスがチャネル層80に作成され、これによりソース4とドレイン5の間の導電経路を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係る素子を示す。
【図2】本発明の第2実施形態に係る素子を示す。
【図3】本発明の素子を示し、ソースエリアおよびドレインエリアは、ゲルマニウム化(germanidation)されている。
【図4】本発明の好ましい範囲に含まれるIII−V族材料を表すグラフを示し、先行技術文献から引用している。
【図5】第1実施形態に係る素子の具体例を示す。
【図6】本発明に係るHEMT素子の例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタがオンしたとき、電流をトランジスタに通すために、キャリアが移動できるチャネル層を含むチャネルエリア(1)と、
チャネル層に対して電流を供給するために、チャネル層と接触したソースエリア(4)およびドレインエリア(5)と、
ゲート電極(3)とを備え、好ましくは、ゲート電極とチャネル層との間にゲート誘電体(2)が設けられ、
前記チャネル層はIII−V族材料からなり、前記ソースエリアおよびドレインエリアはSiGe(SiGe1−x、xは0と100%の間)を含み、
ヘテロ接合(30,31)がIII−V族材料とSiGeの間に存在し、前記ヘテロ接合は、前記電流が前記ヘテロ接合を通過するように配置されており、
前記ヘテロ接合(30,31)は、前記ゲート誘電体(2)または前記ゲート電極と交差するように配向している半導体トランジスタ素子。
【請求項2】
前記基板は、前記III−V族材料の上部層(10)を備え、2つの開口(11,12)が前記上部層に存在しており、前記開口は、SiGeで充填されて、前記ソースエリアおよびドレインエリア(4,5)を形成するようにした請求項1記載の素子。
【請求項3】
前記基板は、SiGeの上部層(13)を備え、開口(14)が前記上部層に存在しており、前記開口は、III−V族材料で充填されて、前記チャネルエリア(1)を形成するようにした請求項1記載の素子。
【請求項4】
前記III−V族材料は、GaAs,AlP,GaP,AlAs,InGaNAs,InGaAs,InPおよびAlSbからなるグループから選択される請求項1〜3のいずれかに記載の素子。
【請求項5】
前記ソースエリア及び/又はドレインエリアは、金属ゲルマニウム化物及び/又は金属シリサイドからなるコンタクト部(20,21)が設けられた請求項1〜4のいずれかに記載の素子。
【請求項6】
前記素子は、MOSFETである請求項1〜5のいずれかに記載の素子。
【請求項7】
前記素子は、HEMTである請求項1〜5のいずれかに記載の素子。
【請求項8】
請求項2記載の素子を製造する方法であって、
III−V族材料からなる上部層(10)を有する基板を用意する工程と、
フォトリソグラフ技術によって、III−V族層に2つの空洞(11,12)をエッチバックで作成して、前記空洞間にチャネルエリア(1)を形成する工程と、
前記空洞をSiGeで充填して、チャネルエリア(1)と接触するソースエリアおよびドレインエリア(4,5)を形成する工程とを含む方法。
【請求項9】
請求項3記載の素子を製造する方法であって、
SiGeからなる上部層を有する基板(13)を用意する工程と、
チャネルエリア(1)を形成するために、フォトリソグラフ技術によってSiGe層に空洞(14)をエッチバックで作成する工程と、
前記空洞(14)をIII−V族材料で充填して、チャネルエリア(1)を形成する工程とを含む方法。
【請求項10】
xは、100%より小さい請求項1記載の素子。
【請求項11】
xは、90%より小さい請求項1記載の素子。
【請求項12】
xは、80%より小さい請求項1記載の素子。
【請求項13】
xは、70%より小さい請求項1記載の素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−160131(P2008−160131A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−330477(P2007−330477)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【Fターム(参考)】