説明

静電保護回路およびそれを用いた半導体集積装置

【課題】 サージおよびラッチアップの両方に対して十分な保護電圧を有し、集積化するのに好適な構造を備えた静電保護回路およびそれを用いた半導体集積装置を提供する。
【解決手段】 アノードAが第1端子P1に接続され、カソードKが第2端子P2に接続されたサイリスタ11と、第1の順方向電圧VF1を有する第1整流素子D1と、第1の順方向電圧VF1と異なる第2の順方向電圧VF2を有する第2整流素子D2とが順方向に直列接続され、サイリスタ11の第2ゲートG2に第1整流素子D1のアノードA1が接続され、サイリスタ11のカソードKに第2整流素子D2のカソードK2が接続された整流回路12とを具備する。
第1および第2の順方向電圧VF1、VF2の組み合わせにより、サイリスタ11のターンオン電圧を微調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電保護回路およびそれを用いた半導体集積装置に係り、特に十分な保護電圧を有し、集積化するのに好適な構造を備えた静電保護回路およびそれを用いた半導体集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、特にCMOS(相補型MOS)トランジスタを有する半導体装置においては、外部からの静電気による静電放電(ESD:Electrostatic Discharge)から半導体素子を保護するために、静電保護素子を有する静電保護回路が用いられている。
【0003】
静電保護素子の1つに、一旦オン状態になると高い放電能力を保持し続けるサイリスタがある。しかし、サイリスタ自身のターンオン電圧は、例えば40V程度と高いので、静電保護素子であるサイリスタがターンオンする前に内部回路の半導体素子が破壊されてしまう問題がある。
【0004】
これに対して、サイリスタ自身のターンオン電圧よりも低い電圧で、サイリスタをターンオンさせる静電保護回路が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
非特許文献1に開示された静電保護回路は、アノード、カソード、第1および第2ゲートを有し、アノードが第1端子に接続され、カソードが第2端子に接続され、第1ゲートが抵抗を介して第2端子に接続されたサイリスタと、複数のpn接合ダイオードが順方向に直列接続され、pn接合ダイオードのアノードがサイリスタの第2ゲートに接続され、pn接合ダイオードのカソードがサイリスタのカソードに接続されたトリガ整流素子とを有している。
【0006】
第1端子に、pn接合ダイオードの順方向電圧VFと直列接続段数Nの積で表される整流回路の順方向電圧N×VFとサイリスタのアノードと第2ゲートの順方向電圧の和より大きな正極性のサージが印加されると、整流回路が導通し、順方向電流が流れる。
この電流がトリガとなってサイリスタがターンオンするので、第1端子に印加されたサージがサイリスタのアノードからカソードを通して第2端子に放電される。
【0007】
即ち、順方向に直列接続されたpn接合ダイオードの接続段数を適宜選択することによりサイリスタ自身のターンオン電圧より低いターンオン電圧を得ている。
【0008】
近年、半導体装置の高集積化・低電圧化が進み、半導体素子であるMOSトランジスタのゲート酸化膜の破壊耐圧が低下している。そのため、サイリスタがターンオンする電圧は酸化膜の耐圧より低く設定する必要がある。
一方、半導体装置は出荷検査として高温・高電圧下で通電する、所謂バーンイン試験を受けるので、サイリスタがターンオンする電圧はバーンイン試験時に印加される高電圧によりサイリスタがターンオンしてラッチアップを起こす電圧より高く設定する必要がある。
【0009】
即ち、静電保護素子であるサイリスタがターンオンする電圧は、半導体装置の仕様から決まる種々の制約に合せてきめ細かく調整する必要があり、その許容される幅は、例えば0.5V程度と年々狭くなっている。
【0010】
然しながら、非特許文献1に開示された静電保護回路では、ターンオン電圧はpn接合ダイオードの順方向電圧に応じたステップで調整するので、ターンオン電圧を許容幅に調整しきれない問題がある。その結果、半導体装置が破壊される恐れがある。
【非特許文献1】M.Mergens et al; “Diode Triggered SCR(DTSCR) for RF-ESD Protection of BiCMOS SiGe HBTs and CMOS Ultra-Thin Gate Oxides” International Electron Devices Meeting December 8-10,2003, Technical Digest, P.515-518, Fig.2.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、サージおよびラッチアップの両方に対して十分な保護電圧を有し、集積化するのに好適な構造を備えた静電保護回路およびそれを用いた半導体集積装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の静電保護回路では、所定の電位が与えられる第1端子と、前記所定の電位より低い電位が与えられる第2端子と、アノード、カソード、第1および第2ゲートを有し、アノードが前記第1端子に接続され、カソードが前記第2端子に接続されたサイリスタと、第1の順方向電圧を有する第1整流素子と、前記第1の順方向電圧と異なる第2の順方向電圧を有する第2整流素子とが順方向に直列接続され、前記サイリスタの第2ゲートに一方の前記整流素子のアノードが接続され、前記サイリスタのカソードに他方の前記整流素子のカソードが接続された整流回路と、を具備することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の一態様の半導体集積装置では、半導体基板と、前記半導体基板の主面に形成され、所定の電位が与えられる第1端子と、前記所定の電位より低い電位が与えられる第2端子と、前記半導体基板の主面に形成されたn型第1ウェル領域にp型第1拡散層と前記第1拡散層と離間して対向したn型第2拡散層とが形成され、前記第1ウェル領域の一側に隣接したp型第2ウェル領域にp型第3拡散層と前記第3拡散層と離間して対向したn型第4拡散層とが形成され、前記第1拡散層が前記第1端子に接続され、前記第3および第4拡散層がそれぞれ前記第2端子に接続されたサイリスタと、前記第1ウェル領域の他側に隣接したp型第3ウェル領域に形成され、前記第2拡散層をドレインとして、前記ドレインとゲートが接続されたn型MOSトランジスタを有する第1整流素子と、前記半導体基板の主面に形成され、アノードが前記MOSトランジスタのソースに接続され、カソードが前記第2端子に接続された第2整流素子と、を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、順方向電圧の異なる第1および第2整流素子を順方向に直列接続したので、サイリスタのターンオン電圧を第1および第2の順方向電圧に応じたステップの組み合わせで調整することができる。
【0015】
従って、サイリスタのターンオン電圧を半導体装置の仕様に合せてきめ細かく設定することができるので、サージおよびラッチアップの両方に対して十分な保護電圧を有する静電保護回路が得られる。
その結果、高集積・低電圧駆動で信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1に係る静電保護回路を示す回路図である。本実施例は電源Vddラインに侵入した正極性のサージから内部回路を保護する静電保護回路の例である。
【0018】
本明細書では、pnpn接合を有するサイリスタにおいて、等価的に形成されるnpn型トランジスタのベースを第1ゲート、pnp型トランジスタのベースを第2ゲートと称している。
【0019】
図1に示すように、本実施例の静電保護回路10は、アノードA、カソードK、第1および第2ゲートG1、G2を有するサイリスタ11と、第1の順方向電圧VF1を有する第1整流素子D1と、第1の順方向電圧VF1と異なる第2の順方向電圧VF2を有する第2整流素子D2とが順方向に直列接続された整流回路12とを具備している。
【0020】
サイリスタ11のアノードAが第1端子P1に接続され、カソードKが第1端子P1と電気的に絶縁された第2端子P2に接続され、第1ゲートG1が抵抗R1を介して第2端子P2に接続されている。
また、整流回路12の第1整流素子D1のアノードA1がサイリスタ11の第2ゲートG2に接続され、第2整流素子D2のカソードK2がサイリスタ11のカソードKに接続されている。
【0021】
第1端子P1は、例えば正電源Vddに接続された端子であり、第2端子P2は、例えば接地GNDに接続された端子である。
【0022】
サイリスタ11のターンオン電圧Vtは、電源電圧Vdd、例えば1.2Vより高く設定されているので、通常動作時にはサイリスタ11および整流回路12はともにオフ状態にある。
【0023】
第1端子P1に正極性のサージが侵入し、サイリスタ11のアノードAの電圧がサイリスタ11のターンオン電圧Vtより高くなると整流回路12はオン状態になり、順方向電流が流れる。
この電流がトリガとなってサイリスタ11がターンオンするので、第1端子P1に印加されたサージがサイリスタ11のアノードAからカソードKを通って第2端子P2に放電される。
サージが放電されて、サイリスタ11のアノードAの電圧がサイリスタ11のターンオン電圧Vtより低くなると、サイリスタ11および整流回路12はともにオフ状態に復帰する。
【0024】
抵抗R1は、サイリスタ11に電流が流れはじめたときに、抵抗R1に流れる電流による電圧降下分だけ第1ゲートG1の電位を上げ、サイリスタ11がターンオンし易くしている。
【0025】
サイリスタ11は、周知のようにpnpn接合を有し、等価的にpnp型トランジスタQ1のエミッタがnpn型トランジスタQ2のベースに接続され、npn型トランジスタQ2のコレクタがpnp型トランジスタQ1のベースに接続された正帰還ループを構成している。
第2ゲートG2にゲート電流を流し込むことにより、サイリスタ11がターンオンし、ターンオンするとトランジスタQ1、Q2が相互にベース電流を供給し合うので、ターンオン状態が維持される。
第1整流素子D1は、例えばゲートg1がドレインd1に接続されたn型MOSトランジスタM1を有している。n型MOSトランジスタM1の閾値電圧Vthは、ゲートチャンネルの不純物濃度を変えることにより調整でき、例えば0.3〜0.5V程度に設定することができる。
従って、第1整流素子D1の第1の順方向電圧VF1はn型MOSトランジスタM1の閾値電圧Vthに等しく、例えば0.3V程度に設定することができる。
【0026】
第2整流素子D2は、例えば2個のpn接合ダイオード13を有している。pn接合ダイオード13の順方向電圧は1V程度である。
従って、第2整流素子D2の第2の順方向電圧VF2はpn接合ダイオード13の順方向電圧の2倍に等しく、2V程度に設定することができる。
【0027】
その結果、整流回路12の順方向電圧VF3は第1整流素子D1の第1の順方向電圧VF1と第2整流素子D2の第2の順方向電圧VF2との和に等しく、2.3V程度に設定することができる。
【0028】
サイリスタ11のターンオン電圧Vtは整流回路12の順方向電圧(VF1+VF2)と、サイリスタ11のアノードAと第2ゲートG2間のpn接合の順方向電圧VF3、たとえば1V程度との和に等しく、3.3V程度に設定することができる。
【0029】
図2はMOSトランジスタのゲート酸化膜の破壊電圧Vesdとバーンイン試験電圧Vbinとサイリスタ11の設定可能なターンオン電圧Vtとの関係を、従来例と比較して模式的に示したもので、図中の白丸aが本実施例による場合、黒丸bが従来例による場合である。
【0030】
図2から明らかなように、本実施例では1個のn型MOSトランジスタM1と2個のpn接合ダイオード13を組み合わせたので、MOSトランジスタのゲート酸化膜の破壊電圧Vesd、例えば3.5Vより低く、且つバーンイン試験電圧Vbin、例えば3Vより高いターンオン電圧Vt、例えば3.3Vが得られている。
従って、半導体装置の仕様から決まる種々の制約に合せて、ターンオン電圧Vtをきめ細かく設定することが可能である。
【0031】
一方、従来の静電保護回路では2個のpn接合ダイオード13の組み合わせなので、ターンオン電圧Vtは、例えば3Vとなり、MOSトランジスタのゲート酸化膜の破壊電圧Vesdより低く、且つバーンイン試験電圧Vbinより高いターンオン電圧を設定することができない。
【0032】
図3は静電保護回路10を半導体基板上に集積した半導体集積装置を示す断面図である。図3に示すように、本実施例の半導体集積装置20はp型シリコン基板21の主面に、サイリスタ11が形成される第1素子形成領域Aと、n型MOSトランジスタM1が形成される第2素子形成領域Bと、2個のpn接合ダイオード13が順方向に直列接続された第2整流素子D2が形成される第3素子形成領域(図示せず)が形成されている。
【0033】
第1素子形成領域Aには、等価的にpnp型トランジスタQ1が形成されるn型第1ウェル領域22と等価的にnpn型トランジスタQ2が形成されるp型第2ウェル領域23とが接して形成されている。第2素子形成領域Bには、p型第3ウェル領域24が形成されている。
【0034】
n型第1ウェル領域22には、p型第1拡散層25と、Shallow Trench Isolation(以下STIという)26によりp型第1拡散層25と離間して対向したn型第2拡散層27とが形成されている。また、n型第2拡散層27の一部はp型第3ウェル領域24に延伸して形成されている。
【0035】
p型第2ウェル領域23には、p型第3拡散層28と、STI29によりp型第3拡散層28と離間して対向したn型第4拡散層30とが形成されている。また、n型第4拡散層30はSTI31によりp型第1拡散層25と離間して対向している。
【0036】
これにより、p型第1拡散層25とn型第1ウェル22とp型第2ウェル23によりpnp型トランジスタQ1が、n型第1ウェル22とp型第2ウェル23とn型第4拡散層30によりnpn型トランジスタQ2が、それぞれ等価的に構成され、p型第1拡散層25をアノードA、n型第4拡散層30をカソードKとするサイリスタ11が形成されている。
【0037】
アノードAのp型第1拡散層25が第1端子P1に接続され、カソードKのn型第4拡散層30がそれぞれ第2端子P2に接続されている。第1ゲートG1のp型第2ウェル23はp型第2ウェル23のシリーズ抵抗R1を介してカソードKのn型第4拡散層30に接続されている。
【0038】
p型第3ウェル領域24には、n型第2拡散層27と離間して対向したn型第5拡散層32と、STI33によりn型第5拡散層32と離間して対向したp型第6拡散層34と、n型第2拡散層27とn型第5拡散層32との間にゲート電極35が形成されている。
【0039】
これにより、n型第2拡散層27の一部をドレインd1、n型第5拡散層32をソースs1、ゲート電極35をゲートg1として、ドレインd1とゲートg1が接続されたn型MOSトランジスタM1が構成され、第1整流素子D1が形成されている。
【0040】
n型第5拡散層32は第2整流素子D2のアノードA2に接続され、p型第6拡散層34は第2整流素子D2のカソードKに接続されている。
【0041】
図4は、静電保護回路10を用いた半導体装置、例えばCMOSインバータ装置を示すブロック図で、電源Vddラインに侵入した両極性のサージ、および入力端子に侵入した両極性のサージから内部回路を保護する半導体装置の例である。
【0042】
図4に示すように、本実施例の半導体装置40は、第1端子P1、例えば正電源Vddと第2端子P2、例えば負電源Vssと、第3端子P3、例えば入力Vinに接続された内部回路41を有し、第1静電保護回路42と第3pn接合ダイオードD3の並列回路が第1端子P1と第2端子P2の間に接続されている。
【0043】
更に、第2静電保護回路43と第4pn接合ダイオードD4の並列回路が、第1端子P1と第3端子P3との間に接続され、第3静電保護回路44と第5pn接合ダイオードD5の並列回路が第3端子P3と第2端子P2との間に接続されている。
【0044】
第1静電保護回路42のターンオン電圧は、例えば3.3Vに設定され、第3pn接合ダイオードD3のターンオン電圧は、例えば3Vに設定されている。
【0045】
これにより、電源Vddラインに侵入したサージが、正極性の場合には第1静電保護回路42により内部回路41が保護され、負極性の場合には第3pn接合ダイオードD3により内部回路41が保護される。
【0046】
バーンイン試験では正極性の高電圧のみが印加されるので、第1静電保護回路42によりラッチアップが防止され、内部回路41が保護される。
即ち、バーンイン試験では正極性の高電圧に対して第3pn接合ダイオードD3は常時逆バイアスになるので、ターンオン電圧を調整する必要がない。
【0047】
第2静電保護回路43と第4pn接合ダイオードD4、および第3静電保護回路44と第5pn接合ダイオードD5は、例えば第1静電保護回路42と第3pn接合ダイオードD3と同じターンオン電圧に設定されている。
【0048】
これにより、入力ラインに侵入したサージが第2端子P2に対して正極性の場合には、第3静電保護回路44により内部回路41が保護され、負極性の場合には第3pn接合ダイオードD3により内部回路41が保護される。
また、第1端子P1に対して正極性の場合には、第4pn接合ダイオードD4により内部回路41が保護され、負極性の場合には第2静電保護回路43により内部回路41が保護される。
【0049】
バーンイン試験では第3端子P3に第2端子P2に対して正極性の高電圧のみが印加されるので、第3静電保護回路44によりラッチアップが防止され、内部回路41が保護される。
即ち、第3pn接合ダイオードD3および第4pn接合ダイオードD4は常時逆バイアスになるので、ターンオン電圧を調整する必要がない。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、順方向電圧の異なる第1および第2整流素子D1、D2を順方向に直列接続したので、サイリスタのターンオン電圧Vtを第1および第2の順方向電圧VF1、VF2に応じたステップの組み合わせで調整することができる。
【0051】
従って、サイリスタのターンオン電圧を半導体装置の仕様に合せてきめ細かく設定することができるので、サージおよびラッチアップの両方に対して十分な保護電圧を有する静電保護回路が得られる。その結果、高集積・低電圧駆動で信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0052】
ここでは、第1整流素子D1が1個のn型MOSトランジスタM1を有し、第2整流素子D2が2個のpn接合ダイオード13を有する場合について説明したが、所定のターンオン電圧が得られる範囲で、n型MOSトランジスタM1とpn接合ダイオード13を適宜有していても構わない。
【0053】
例えば、第1整流素子D1が4個のn型MOSトランジスタM1を有し、第2整流素子D2が1個のpn接合ダイオード13を有する整流回路12であっても構わない。これによれば、サイリスタ11のターンオン電圧Vtとして、3.2Vが得られる。
【0054】
また、第1整流素子D1のアノードA1を第2ゲートG2に接続し、第2整流素子D2のカソードK2をサイリスタ11のカソードKに接続した場合について説明したが、第1および第2ダイオードD1、D2の接続順を入れ替えても構わない。
【0055】
即ち、第2整流素子D2のアノードA2を第2ゲートG2に接続し、第1整流素子D1のカソードK1をサイリスタ11のカソードKに接続しても構わない。
【0056】
更に、内部回路がCMOSインバータの場合について説明したが、MOSトランジスタを有するどのような構成の内部回路であっても構わない。また、第3端子P3が出力端子であっても構わない。
【0057】
抵抗R1が第1ゲートG1と第2端子P2の間に接続された場合について説明したが、抵抗R1は接続されていなくても構わない。
【実施例2】
【0058】
図5は本発明の実施例2に係る静電保護回路を示す回路図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
本実施例が実施例1と異なる点は、整流回路を第1端子とサイリスタの第1ゲートとの間に接続したことにある。
【0060】
即ち、図5に示すように、本実施例の静電保護回路50は、アノードAが第1端子P1に接続され、カソードKが第1端子P1と電気的に絶縁された第2端子P2に接続され、第2ゲートG2が抵抗R2を介して第1端子P1に接続されたサイリスタ51と、第2整流素子D2のアノードA2が第1端子P1に接続され、第1整流素子D1のカソードK1がサイリスタ51の第1ゲートG1に接続された整流回路52とを有している。
また、第1整流素子D1はゲートg2がソースs2に接続されたp型MOSトランジスタM2を有している。
【0061】
図6は静電保護回路50を半導体基板上に集積した半導体集積装置を示す断面図である。図6に示すように、本実施例の半導体集積装置60はn型シリコン基板61の主面に、サイリスタ51が形成される第1素子形成領域Aとp型MOSトランジスタM2が形成される第2素子形成領域Cと、2個のpn接合ダイオード13が順方向に直列接続された第2整流素子D2が形成される第3素子形成領域(図示せず)が形成されている。
【0062】
第2素子形成領域Cにはn型第4ウェル領域64が形成され、n型第4ウェル領域64には延伸されたp型第3拡散層28と離間して対抗したp型第7拡散層72と、STI73によりp型第7拡散層72と離間して対抗したn型第8拡散層74と、p型第3拡散層28とp型第7拡散層72との間にゲート電極75が形成されている。
【0063】
これにより、p型第3拡散層28の一部をドレインd2、p型第7拡散層72をソースs2、ゲート電極75をゲートg2とし、ドレインd2とゲートg2が接続されたp型MOSトランジスタM2が構成され、第1整流素子D1が形成されている。
【0064】
p型第1拡散層25およびn型第2拡散層27がそれぞれ第1端子P1に接続され、n型第4拡散層30が第2端子P2に接続され、p型第7拡散層72は第2整流素子D2のカソードK2に接続されている。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施例2によれば、サイリスタ11のターンオン電圧を半導体装置の仕様に合せてきめ細かく設定することができるとともに、n型シリコン基板を用いた半導体装置の静電保護回路として適している。
【0066】
ここでは、第2整流素子D2のアノードA2をサイリスタ11のアノードAに接続し、第1整流素子D1のカソードK1をサイリスタ11の第1ゲートG1に接続した場合について説明したが、第1および第2ダイオードD1、D2の接続順を入れ替えても構わない。
【0067】
即ち、第1整流素子D1のアノードA1をサイリスタ11のアノードAに接続し、第2整流素子D2のカソードK2をサイリスタ11の第1ゲートG1に接続しても構わない。
【0068】
上述した実施例において、第1整流素子D1がダイオード接続されたMOSトランジスタ、第2整流素子がpn接合ダイオードの場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定のターンオン電圧が得られる範囲内であれば、その他の整流素子、例えばショットキーダイオード、あるいはベースがコレクタに接続されたバイポーラトランジスタであっても構わない。
ショットキーダイオードであれば、さらに低い順方向電圧、例えば0.2V程度が得られるので、よりきめ細かにターンオン電圧を設定できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1に係る静電保護回路を示す回路図。
【図2】本発明の実施例1に係る整流回路とサイリスタのターンオン電圧の関係を示す図。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体集積装置の構造を示す断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の実施例2に係る静電保護回路を示す回路図。
【図6】本発明の実施例2に係る半導体集積装置の構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0070】
10、50 静電保護回路
11、51 サイリスタ
12、52 整流回路
13 pn接合ダイオード
20、60 半導体集積装置
21 p型シリコン基板
22 n型第1ウェル領域
23 p型第2ウェル領域
24 p型第3ウェル領域
25 p型第1拡散層
26、29、31、33、73 STI(shallow Trench Isolation)
27 n型第2拡散層
28 p型第3拡散層
30 n型第4拡散層
32 n型第5拡散層
34 p型第6拡散層
35、75 ゲート電極
41 内部回路
42 第1静電保護回路
43 第2静電保護回路
44 第3静電保護回路
61 n型シリコン基板
64 n型第4ウェル領域
72 p型第7拡散層
74 n型第8拡散層
P1 第1端子
P2 第2端子
P3 第3端子
D1 第1整流素子
D2 第2整流素子
D3 第3ダイオード
D4 第4ダイオード
D5 第5ダイオード
M1 n型MOSトランジスタ
M2 p型MOSトランジスタ
Q1 pnp型トランジスタ
Q2 npn型トランジスタ
R1、R2 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電位が与えられる第1端子と、
前記所定の電位より低い電位が与えられる第2端子と、
アノード、カソード、第1および第2ゲートを有し、アノードが前記第1端子に接続され、カソードが前記第2端子に接続されたサイリスタと、
第1の順方向電圧を有する第1整流素子と、前記第1の順方向電圧と異なる第2の順方向電圧を有する第2整流素子とが順方向に直列接続され、前記サイリスタの第2ゲートに一方の前記整流素子のアノードが接続され、前記サイリスタのカソードに他方の前記整流素子のカソードが接続された整流回路と
を具備することを特徴とする静電保護回路。
【請求項2】
所定の電位が与えられる第1端子と、
前記所定の電位より低い電位が与えられる第2端子と、
アノード、カソード、第1および第2ゲートを有し、アノードが前記第1端子に接続され、カソードが前記第2端子に接続されたサイリスタと、
第1の順方向電圧を有する第1整流素子と、前記第1の順方向電圧と異なる第2の順方向電圧を有する第2整流素子とが順方向に直列接続され、前記サイリスタの第1ゲートに一方の前記整流素子のカソードが接続され、前記サイリスタのアノードに他方の前記整流素子のアノードが接続された整流回路と
を具備することを特徴とする静電保護回路。
【請求項3】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面に形成され、所定の電位が与えられる第1端子と、
前記所定の電位より低い電位が与えられる第2端子と、
前記半導体基板の主面に形成されたn型第1ウェル領域にp型第1拡散層と前記第1拡散層と離間して対向したn型第2拡散層とが形成され、前記第1ウェル領域の一側に隣接したp型第2ウェル領域にp型第3拡散層と前記第3拡散層と離間して対向したn型第4拡散層とが形成され、前記第1拡散層が前記第1端子に接続され、前記第3および第4拡散層がそれぞれ前記第2端子に接続されたサイリスタと、
前記第1ウェル領域の他側に隣接したp型第3ウェル領域に形成され、前記第2拡散層をドレインとして、前記ドレインとゲートが接続されたn型MOSトランジスタを有する第1整流素子と、
前記半導体基板の主面に形成され、アノードが前記MOSトランジスタのソースに接続され、カソードが前記第2端子に接続された第2整流素子と
を具備することを特徴とする半導体集積装置。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面に形成され、所定の電位が与えられる第1端子と、
前記所定の電位より低い電位が与えられる第2端子と、
前記第1素子形成領域に形成されたp型第2ウェル領域にp型第3拡散層と前記第3拡散層と離間して対向したn型第4拡散層とが形成され、前記第2ウェル領域の一側に隣接したn型第1ウェル領域にp型第1拡散層と前記第1拡散層と離間して対向したn型第2拡散層とが形成され、前記第4拡散層が前記第2端子に接続され、前記第1および第2拡散層がそれぞれ前記第1端子に接続されたサイリスタと、
前記第2ウェル領域の他側に隣接したn型第4ウェル領域に形成され、前記第3拡散層をドレインとして、前記ドレインとゲートが接続されたp型MOSトランジスタを有する第1整流素子と、
前記半導体基板の主面に形成され、アノードが前記第1端子に接続され、カソードが前記MOSトランジスタのソースに接続された第2整流素子と
を具備することを特徴とする半導体集積装置。
【請求項5】
前記第2整流素子が、pn接合ダイオード、ショットキーバリアダイオード、ゲートがドレインに接続されたMOSトランジスタまたはベースがコレクタに接続されたバイポーラトランジスタの少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−121014(P2006−121014A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310110(P2004−310110)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】