面画像生成装置
【課題】簡易な構成で、検査対象物の面の状態を表わす画像を生成することができるようにする。
【解決手段】駆動部12によって、水平面上で板状の検査対象物を移動させる。また、レーザ照射部14によって、検査対象物の移動方向と直交するする方向を長さ方向とするレーザスリット光を、検査対象物に対して照射し、エリアカメラ18によって、検査対象物からのレーザスリット光の反射光を含む領域を撮像する。画像処理部32によって、複数の撮像画像の各々から、反射光を表わす画素ラインを抽出し、画素ラインの抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、検査対象物の面状態を表わすプレーン画像を生成する。
【解決手段】駆動部12によって、水平面上で板状の検査対象物を移動させる。また、レーザ照射部14によって、検査対象物の移動方向と直交するする方向を長さ方向とするレーザスリット光を、検査対象物に対して照射し、エリアカメラ18によって、検査対象物からのレーザスリット光の反射光を含む領域を撮像する。画像処理部32によって、複数の撮像画像の各々から、反射光を表わす画素ラインを抽出し、画素ラインの抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、検査対象物の面状態を表わすプレーン画像を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面画像生成装置に係り、特に、検査対象物を撮像して、面の状態を表わす画像を生成する面画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、短時間に且つ信頼性の高い測定をすることができるようにした3次元曲面形状の測定方法が知られている(特許文献1)。この測定方法では、複数の線状スリット光を被測定対象の全面に亘って同時に回転走査し、スリット光の回転走査角度を測定し、被測定対象表面を撮像して得られるビデオ信号の画面内の各画素に対応する被測定対象表面の各位置毎に、その点を一本乃至複数本のスリット光が通過した瞬間の回転走査角度又はそれに相当する値の中の1つをその画素の値とする画像を合成している。また、合成画像に基づいて被測定対象の3次元曲面形状を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−260443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、スリット光を回転走査する構成、及び回転走査角度を検出する構成が必要となるため、装置構成が複雑となってしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、検査対象物の面の状態を表わす画像を生成することができる面画像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明に係る面画像生成装置は、板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上で前記検査対象物を移動させる駆動手段と、照射方向を前記厚み方向に対して傾斜させて、前記検査対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、前記検査対象物に対して照射する光照射手段と、前記検査対象物からの前記線状の光の反射光を含む領域を撮像する撮像手段と、前記検査対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、前記厚み方向と直交する方向に画素が配列され、かつ、前記反射光を表わす画素列を抽出し、前記画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、前記検査対象物の面状態を表わす面画像として生成する画像生成手段とを含んで構成されている。
【0007】
本発明に係る面画像生成装置によれば、駆動手段によって、板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上で検査対象物を移動させる。また、光照射手段によって、照射方向を前記厚み方向に対して傾斜させて、検査対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、検査対象物に対して照射し、撮像手段によって、検査対象物からの線状の光の反射光を含む領域を撮像する。
【0008】
そして、画像生成手段によって、検査対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、厚み方向と直交する方向に画素が配列され、かつ、反射光を表わす画素列を抽出し、画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、検査対象物の面状態を表わす面画像を生成する。
【0009】
このように、複数の撮像画像から線状の光の反射光を表わす画素列を抽出して、撮像順に並べて合成することにより、簡易な構成で、検査対象物の面状態を表わす面画像を生成することができる。
【0010】
本発明の面画像生成装置は、画像生成手段によって生成された面画像から、所定輝度以下となる部分を、欠陥部分として検出する欠陥検出手段を更に含むことができる。これによって、簡易な構成で、検査対象物の面の欠陥を検出することができる。
【0011】
本発明の画像生成手段は、複数の撮像画像の各々から、輝度が所定値以上となる画素列を、反射光を表わす画素列として抽出し、面画像を生成することができる。
【0012】
上記の光照射手段は、直線性及び非拡散性を有する線状の光を検査対象物に対して照射することができる。
【0013】
上記の検査対象物を、面で光を反射し、かつ、光透過性を有する部材とすることができる。また、上記の検査対象物は、部材で形成された複数の層を含むことができる。これによって、各層の面の状態を表わす画像を生成することができる。
【0014】
上記の所定の移動量を、検査対象物が移動する平面と撮像手段による撮像方向とのなす角、及び画素サイズに基づいて定めることができる。
【0015】
上記の検査対象物が移動する平面と線状の光の照射方向とのなす角、及び該平面と撮像手段による撮像方向とのなす角を、同一とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の面画像生成装置によれば、複数の撮像画像から線状の光の反射光を表わす画素列を抽出して、撮像順に並べて合成することにより、簡易な構成で、検査対象物の面状態を表わす面画像を生成することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る面検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】検査対象物、エリアカメラ、及びレーザ照射部を配置した様子を示すイメージ図である。
【図3】エリアカメラによる撮像が行われる毎に、検査対象物を移動させる様子を示すイメージ図である。
【図4】フレーム間の移動量を説明するための図である。
【図5】レーザスリット光が反射する面の高さに応じて、エリアセンサへ入射する位置が変化する様子を示すイメージ図である。
【図6】(A)複数フレームの撮像画像から各画素ラインを抽出する様子を示すイメージ、及び(B)同一の画素ラインを集めてプレーン画像を生成する様子を示すイメージ図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る面検査システムにおける検査処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る面検査システムにおける撮像画像取得処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】レーザスリット光の反射光を撮像した撮像画像の例を示す図である。
【図10】(A)ガラス部の下面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図、及び(B)ガラス部の上面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図である。
【図11】(A)フィルム部の上面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図、及び(B)フィルム部の下面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図である。
【図12】ガラス部の上面の状態を表わすプレーン画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、検査対象物の面の状態を検査する面検査システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る面検査システム10は、光透過性を有する板状の検査対象物を、駆動ステージに載せて水平面上(検査対象物の厚み方向(板状の検査対象物の面に対する法線方向)を法線とする平面上)で所定の移動方向に移動させる駆動部12と、検査対象物に対して線状のレーザスリット光を、検査対象物の厚み方向に対して斜めから照射するレーザ照射部14と、検査対象物からの線状のレーザスリット光の反射光を含む領域を撮像するエリアカメラ18と、エリアカメラ18により撮像された撮像画像に基づいて、検査対象物の面の状態を表わす面画像を生成して、欠陥候補を検出し、表示装置22に表示させるコンピュータ20とを備えている。
【0020】
検査対象物は、面で光を反射し、かつ、光透過性を有する板状のほぼ透明な部材で形成された複数の層を厚み方向に積層したものである。したがって、検査対象物は、各層の双方の面(上面、下面)で、入射された光を反射させる。
【0021】
図2に示すように、駆動ステージ13上の面に対して、検査対象物の厚み方向(面の法線方向)に対して傾斜させて、移動方向と直交する方向を長さ方向とするレーザスリット光を照射するように、レーザ照射部14が設置されている。また、駆動ステージ13上の面(検査対象物が移動する平面)とレーザスリット光の照射方向とのなす角(入射角)と、駆動ステージ13上の面とエリアカメラ18の撮像方向とのなす角とが同一になるように(例えば、θ=45°)、レーザ照射部14及びエリアカメラ18が設置されている。すなわち、レーザ照射部14からのレーザスリット光が検査対象物の面で正反射したときの反射光の方向と、エリアカメラ18の撮像方向とが平行になるように、レーザ照射部14及びエリアカメラ18が設置されている。また、線状のレーザ光の反射光を含む領域が撮像されるようにエリアカメラ18が配置されている。レーザ照射部14及びエリアカメラ18は固定され、また、検査対象物24のみ移動させるように検査対象物24が駆動部12の駆動ステージ13上に設置される。
【0022】
なお、後述する処理を簡単にするために、上記のなす角θが45°になるようにレーザ照射部14及びエリアカメラ18を設置しておくことが好ましいが、45°に限定されるものではない。また、レーザスリット光の幅は、1ピクセル分であることが好ましい。
【0023】
エリアカメラ18は、2次元に配列された複数の画素の各々に入射された可視光に応じた信号を出力する複数の受光素子を備え、複数の受光素子から出力された信号をデジタル信号に変換して、カラー画像である撮像画像を生成する。
【0024】
コンピュータ20は、CPU、後述する検査処理ルーチンのプログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ20をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、上記図1に示すように、コンピュータ20は、駆動部12による検査対象物24の移動を制御する駆動制御部28と、検査対象物24の移動に応じてエリアカメラ18による撮像を制御すると共にエリアカメラ18から連続して出力される複数の撮像画像を取得する画像取得部30と、複数の撮像画像に対して画像処理を行って、検査対象物の面の状態を表わす面画像(以下、プレーン画像とも称する。)を生成する画像処理部32と、面画像から、検査対象物の欠陥候補を検出して表示装置22に出力する欠陥検出部34とを備えている。なお、画像処理部32が、画像生成手段の一例である。
【0025】
駆動制御部28は、図3に示すように、エリアカメラ18による撮像が行われる毎に、予め決定された移動量分だけ検査対象物を移動させるように駆動部12を制御する。ここで、移動量は、以下のように予め決定される。
【0026】
まず、以下の(1)式から、画素サイズ(ピクセルサイズ)が得られる。
画素サイズ = カメラの技術仕様よる画素の大きさ / レンズの倍率 ・・・(1)
【0027】
画素サイズ(例えば、12μm/pixel)が得られると、図4に示すように、以下の(2)式に従って、オーバーラップ無しに全領域撮像するための、撮像間における検査対象物の移動量aを算出する。
移動量a = 画素サイズ * cosθ ・・・(2)
【0028】
例えば、移動量が8μm(=12μm*cos45°)に決定される。なお、このときの高さの分解能は、8μmである。
【0029】
画像取得部30は、駆動部12による駆動が停止している時に、エリアカメラ18による撮像を行うように制御する。撮像すべきフレーム枚数は、撮像する検査対象物の長さ及び撮像間の移動量に基づいて、決定される。
【0030】
また、画像取得部30は、例えば、A/Dコンバータや画像データを記憶する画像メモリ等を備え、エリアカメラ18から出力される複数の撮像画像を取得して保存する。
【0031】
次に、本発明に係る実施の形態の原理について説明する。
【0032】
上述したようにレーザ照射部14とエリアカメラ18とを設置し、検査対象物が設置された駆動ステージ13を一定距離移動させながら、連続的に画像を取る。
【0033】
ここで、図5(A)、図5(B)に示すように、検査する厚み方向に対して傾斜させたレーザ光を、光透過性を有する複数の層からなる検査対象物(例えば、フィルムとガラスからなるタッチパネル)に入射させると、入射されたレーザ光が反射する面(例えば、フィルムの上面、下面、及びガラスの上面、下面)の高さに応じて、正反射した反射光のエリアカメラに入る位置(検査対象物の厚み方向の位置)が変わる。
【0034】
従って、得られた画像データの、検査対象物の厚み方向に直交する方向の各画素ラインに入った光は、正反射した位置の実際の高さの情報を示している。そこで、上述したように連続撮像した撮像画像から、同一の画素ラインのみ抽出し並べ、プレーン画像を作ることで、その画素ラインに対応する高さとなる位置(x、y)を示す画像データが得られる。これにより、検査対象となる面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像を用いることにより、検査対象の面の状態を検査することができる。また、内部にある面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像を用いることにより、検査対象物の内部にある面の状態も検査することができる。
【0035】
以上より、本実施の形態では、画像処理部32によって、以下に説明するように、複数の撮像画像に基づいてプレーン画像を生成する。
【0036】
まず、例えば100フレームの全撮像画像から、0フレーム目、10フレーム目、20フレーム目、30フレーム目、・・・と所定フレーム間隔で複数枚選択し、選択された撮像画像の平均を取って、平均画像を生成する。
【0037】
生成された平均画像において、検査対象物の厚み方向に直交する方向の複数の画素ラインから、平均輝度が所定輝度以上となる高輝度の画素ラインを、レーザスリット光の反射光を表わす画素ラインとして決定する。
【0038】
次に、エリアカメラ18を、複数のラインカメラの集合として考え、決定された高輝度の画素ラインに対応する各ラインカメラが撮像したスリット画像として、高輝度の画素ラインの画像データを抽出する。例えば、エリアカメラ18から取り込んだ複数の撮像画像(x列y行z枚)から、決定された高輝度の画素ライン毎に、図6(A)に示すように同一画素ラインを抽出して集めて、図6(B)に示すようにフレーム順に並べて合成したプレーン画像(x列z行y枚)を生成する。このプレーン画像が、対応する特定の高さの位置を表わした画像、すなわち、特定の高さの面の状態を表わす画像となる。
【0039】
以上説明したように、画像処理部32は、画像処理を行うことにより、検査対象物の面の状態を表わす面画像を生成する。
【0040】
欠陥検出部34は、生成された面画像から、輝度値が指定輝度(パラメータで調整可能な値)以下となる部分を欠陥候補として検出する。また、欠陥検出部34は、検出された欠陥候補の各々について、明るさ、大きさ、及び形状に基づいて、欠陥を種別する。例えば、明るさが大きい場合には、汚れや指紋の可能性があると種別され、明るさが小さく、且つ、丸い形状である場合には、ダコンや気泡の可能性があると種別される。
【0041】
次に、本実施の形態に係る面検査システム10の作用について説明する。板状のほぼ透明な部材で形成された複数の層からなる検査対象物が(例えば、タッチパネル)が駆動ステージ13上に設置される。また、コンピュータ20に対して、画素サイズと、レーザスリット光の入射角及びエリアカメラ18の撮像方向と水平面とのなす角である角度とがオペレータによって入力されると、上記(2)式に従って撮像毎の移動量が決定される。また、コンピュータ20に対して、検査対象物の長さがオペレータによって入力されると、撮像すべきフレーム数が決定される。また、コンピュータ20において、図7に示す検査処理ルーチンが実行される。
【0042】
まず、ステップ100において、複数の撮像画像を取得する。上記ステップ100は、図8に示す撮像画像取得処理ルーチンによって実現される。
【0043】
ステップ120において、撮像する画像のフレーム番号を識別するための変数nを初期値の1に設定し、ステップ122において、エリアカメラ18による撮像を行うように制御すると共に、エリアカメラ18から出力される撮像画像を取得する。例えば、図9に示すような、検査対象物であるタッチパネルの各層の上下面で反射されたレーザスリット光の反射光を撮像した撮像画像が得られる。
【0044】
次のステップ124では、上記ステップ122で取得した撮像画像をビットマップ(BMP)ファイルとしてメモリ(図示省略)に保存する。
【0045】
そして、ステップ126において、予め決定された移動量分だけ検査対象物を移動させるように駆動部12を制御して、検査対象物を移動量分だけ移動させる。次のステップ128では、変数nが、撮像すべきフレーム数を表わす定数N未満であるか否かを判定し、変数nが定数N未満である場合には、ステップ130で、変数nをインクリメントして、ステップ122へ戻る。一方、撮像すべきフレーム数分だけ撮像画像が撮像され、変数nが定数Nに到達した場合には、撮像画像取得処理ルーチンを終了する。
【0046】
そして、検査処理ルーチンのステップ102において、上記ステップ100で取得した複数の撮像画像から所定フレーム間隔で得られる撮像画像の平均画像に対して、画素ラインの平均輝度が所定輝度以上となる高輝度の画素ラインを、反射光を表わす画素ラインとして決定する。以下では、高輝度の画素ラインが複数決定された場合を例に説明する。
【0047】
次のステップ104では、上記ステップ100で取得した複数の撮像画像の各々から、高輝度の画素ラインの各々について、同一画素ラインを抽出して集め、フレーム順に並べて合成することにより、上記ステップ102で決定された高輝度画素ラインの各々に対応するプレーン画像を各々生成する。例えば、図10(A)に示すような、ガラス部の下面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像や、図10(B)に示すような、ガラス部の上面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像が生成される。また、図11(A)に示すような、フィルム部の上面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像や、図11(B)に示すような、フィルム部の下面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像が生成される。
【0048】
そして、ステップ106では、上記ステップ104で生成されたプレーン画像から、輝度値が所定値以下である部分を欠陥候補として検出すると共に、欠陥候補の各々について欠陥を種別する。例えば、図12に示すような、ガラス部の上面の状態を表わすプレーン画像から、キズやマーカー印などの欠陥が検出される。
【0049】
次のステップ108では、上記ステップ104で生成されたプレーン画像と上記ステップ106で検出された欠陥候補とを表示装置22に出力し、表示装置22に表示させて、検査処理ルーチンを終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る面検査システムによれば、複数の撮像画像からレーザスリット光の反射光を表わす画素ラインを抽出し、同一の画素ラインの抽出結果を撮像順に並べて合成することにより、簡易な構成で、検査対象物の面状態を表わすプレーン画像を生成することができ、また、検査対象物の面の欠陥を検出することができる。
【0051】
板状のほぼ透明な部材で形成された複数の層からなる検査対象物について、各層の上下面の各々の状態を表わすプレーン画像を各々生成することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、検査対象物を一定量移動させる毎に、エリアカメラによる撮像を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動ステージを動かしながら連続的に撮像を行って、所定フレーム数分の撮像画像を得るようにしてもよい。この場合には、フレーム間の移動量から、駆動ステージの速度とエリアカメラのフレームレートとを算出し、算出された速度で検査対象物を移動させると共に、算出された所定のフレームレートで連続撮像を行う。そして、検査対象物の長さに応じたフレーム数分撮像されると、撮像を終了すると共に、移動を終了させ、得られた各撮像画像をビットマップファイルで保存する。
【0053】
また、プレーン画像の輝度に応じて欠陥を検出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、欠陥検出部34は、各面の材質に応じて異なる検査方法を行うようにしてもよい。例えば、検査対象の面がPET材質のフィルム部の面(コート有)である場合には、テクスチャ処理を行って、異なる模様を欠陥候補として検出するようにしてもよい。また、検査対象の面がガラス部の面である場合には、ドットスペーサ(内部に接着されている電極)をマスクし、ドットスペーサ以外の領域から、欠陥候補を検出するようにしてもよい。
【0054】
また、高輝度の画素ラインについてのみプレーン画像を生成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、全ての画素ラインについてプレーン画像を各々生成し、そのうち、高輝度の画素ラインに対応するプレーン画像を、検査対象物の面の状態を表わす画像として選択するようにしてもよい。
【0055】
また、検査対象物を水平面上に移動させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上(板状の検査対象物の面と平行な平面上)で、検査対象物を所定方向に移動させるようにすればよい。この場合には、検査対象物が移動する平面とレーザスリット光の照射方向とのなす角、及び検査対象物が移動する平面とエリアカメラの撮像方向とのなす角が同一となるように構成すればよい。
【0056】
また、レーザスリット光を照射する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、直線性及び非拡散性を有するスリット光であれば、他の種類の光を照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 面検査システム
12 駆動部
14 レーザ照射部
18 エリアカメラ
20 コンピュータ
24 検査対象物
28 駆動制御部
30 画像取得部
32 画像処理部
34 欠陥検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、面画像生成装置に係り、特に、検査対象物を撮像して、面の状態を表わす画像を生成する面画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、短時間に且つ信頼性の高い測定をすることができるようにした3次元曲面形状の測定方法が知られている(特許文献1)。この測定方法では、複数の線状スリット光を被測定対象の全面に亘って同時に回転走査し、スリット光の回転走査角度を測定し、被測定対象表面を撮像して得られるビデオ信号の画面内の各画素に対応する被測定対象表面の各位置毎に、その点を一本乃至複数本のスリット光が通過した瞬間の回転走査角度又はそれに相当する値の中の1つをその画素の値とする画像を合成している。また、合成画像に基づいて被測定対象の3次元曲面形状を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−260443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、スリット光を回転走査する構成、及び回転走査角度を検出する構成が必要となるため、装置構成が複雑となってしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、検査対象物の面の状態を表わす画像を生成することができる面画像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明に係る面画像生成装置は、板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上で前記検査対象物を移動させる駆動手段と、照射方向を前記厚み方向に対して傾斜させて、前記検査対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、前記検査対象物に対して照射する光照射手段と、前記検査対象物からの前記線状の光の反射光を含む領域を撮像する撮像手段と、前記検査対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、前記厚み方向と直交する方向に画素が配列され、かつ、前記反射光を表わす画素列を抽出し、前記画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、前記検査対象物の面状態を表わす面画像として生成する画像生成手段とを含んで構成されている。
【0007】
本発明に係る面画像生成装置によれば、駆動手段によって、板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上で検査対象物を移動させる。また、光照射手段によって、照射方向を前記厚み方向に対して傾斜させて、検査対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、検査対象物に対して照射し、撮像手段によって、検査対象物からの線状の光の反射光を含む領域を撮像する。
【0008】
そして、画像生成手段によって、検査対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、厚み方向と直交する方向に画素が配列され、かつ、反射光を表わす画素列を抽出し、画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、検査対象物の面状態を表わす面画像を生成する。
【0009】
このように、複数の撮像画像から線状の光の反射光を表わす画素列を抽出して、撮像順に並べて合成することにより、簡易な構成で、検査対象物の面状態を表わす面画像を生成することができる。
【0010】
本発明の面画像生成装置は、画像生成手段によって生成された面画像から、所定輝度以下となる部分を、欠陥部分として検出する欠陥検出手段を更に含むことができる。これによって、簡易な構成で、検査対象物の面の欠陥を検出することができる。
【0011】
本発明の画像生成手段は、複数の撮像画像の各々から、輝度が所定値以上となる画素列を、反射光を表わす画素列として抽出し、面画像を生成することができる。
【0012】
上記の光照射手段は、直線性及び非拡散性を有する線状の光を検査対象物に対して照射することができる。
【0013】
上記の検査対象物を、面で光を反射し、かつ、光透過性を有する部材とすることができる。また、上記の検査対象物は、部材で形成された複数の層を含むことができる。これによって、各層の面の状態を表わす画像を生成することができる。
【0014】
上記の所定の移動量を、検査対象物が移動する平面と撮像手段による撮像方向とのなす角、及び画素サイズに基づいて定めることができる。
【0015】
上記の検査対象物が移動する平面と線状の光の照射方向とのなす角、及び該平面と撮像手段による撮像方向とのなす角を、同一とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の面画像生成装置によれば、複数の撮像画像から線状の光の反射光を表わす画素列を抽出して、撮像順に並べて合成することにより、簡易な構成で、検査対象物の面状態を表わす面画像を生成することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る面検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】検査対象物、エリアカメラ、及びレーザ照射部を配置した様子を示すイメージ図である。
【図3】エリアカメラによる撮像が行われる毎に、検査対象物を移動させる様子を示すイメージ図である。
【図4】フレーム間の移動量を説明するための図である。
【図5】レーザスリット光が反射する面の高さに応じて、エリアセンサへ入射する位置が変化する様子を示すイメージ図である。
【図6】(A)複数フレームの撮像画像から各画素ラインを抽出する様子を示すイメージ、及び(B)同一の画素ラインを集めてプレーン画像を生成する様子を示すイメージ図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る面検査システムにおける検査処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る面検査システムにおける撮像画像取得処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】レーザスリット光の反射光を撮像した撮像画像の例を示す図である。
【図10】(A)ガラス部の下面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図、及び(B)ガラス部の上面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図である。
【図11】(A)フィルム部の上面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図、及び(B)フィルム部の下面に対応する画素ラインのプレーン画像を示す図である。
【図12】ガラス部の上面の状態を表わすプレーン画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、検査対象物の面の状態を検査する面検査システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る面検査システム10は、光透過性を有する板状の検査対象物を、駆動ステージに載せて水平面上(検査対象物の厚み方向(板状の検査対象物の面に対する法線方向)を法線とする平面上)で所定の移動方向に移動させる駆動部12と、検査対象物に対して線状のレーザスリット光を、検査対象物の厚み方向に対して斜めから照射するレーザ照射部14と、検査対象物からの線状のレーザスリット光の反射光を含む領域を撮像するエリアカメラ18と、エリアカメラ18により撮像された撮像画像に基づいて、検査対象物の面の状態を表わす面画像を生成して、欠陥候補を検出し、表示装置22に表示させるコンピュータ20とを備えている。
【0020】
検査対象物は、面で光を反射し、かつ、光透過性を有する板状のほぼ透明な部材で形成された複数の層を厚み方向に積層したものである。したがって、検査対象物は、各層の双方の面(上面、下面)で、入射された光を反射させる。
【0021】
図2に示すように、駆動ステージ13上の面に対して、検査対象物の厚み方向(面の法線方向)に対して傾斜させて、移動方向と直交する方向を長さ方向とするレーザスリット光を照射するように、レーザ照射部14が設置されている。また、駆動ステージ13上の面(検査対象物が移動する平面)とレーザスリット光の照射方向とのなす角(入射角)と、駆動ステージ13上の面とエリアカメラ18の撮像方向とのなす角とが同一になるように(例えば、θ=45°)、レーザ照射部14及びエリアカメラ18が設置されている。すなわち、レーザ照射部14からのレーザスリット光が検査対象物の面で正反射したときの反射光の方向と、エリアカメラ18の撮像方向とが平行になるように、レーザ照射部14及びエリアカメラ18が設置されている。また、線状のレーザ光の反射光を含む領域が撮像されるようにエリアカメラ18が配置されている。レーザ照射部14及びエリアカメラ18は固定され、また、検査対象物24のみ移動させるように検査対象物24が駆動部12の駆動ステージ13上に設置される。
【0022】
なお、後述する処理を簡単にするために、上記のなす角θが45°になるようにレーザ照射部14及びエリアカメラ18を設置しておくことが好ましいが、45°に限定されるものではない。また、レーザスリット光の幅は、1ピクセル分であることが好ましい。
【0023】
エリアカメラ18は、2次元に配列された複数の画素の各々に入射された可視光に応じた信号を出力する複数の受光素子を備え、複数の受光素子から出力された信号をデジタル信号に変換して、カラー画像である撮像画像を生成する。
【0024】
コンピュータ20は、CPU、後述する検査処理ルーチンのプログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ20をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、上記図1に示すように、コンピュータ20は、駆動部12による検査対象物24の移動を制御する駆動制御部28と、検査対象物24の移動に応じてエリアカメラ18による撮像を制御すると共にエリアカメラ18から連続して出力される複数の撮像画像を取得する画像取得部30と、複数の撮像画像に対して画像処理を行って、検査対象物の面の状態を表わす面画像(以下、プレーン画像とも称する。)を生成する画像処理部32と、面画像から、検査対象物の欠陥候補を検出して表示装置22に出力する欠陥検出部34とを備えている。なお、画像処理部32が、画像生成手段の一例である。
【0025】
駆動制御部28は、図3に示すように、エリアカメラ18による撮像が行われる毎に、予め決定された移動量分だけ検査対象物を移動させるように駆動部12を制御する。ここで、移動量は、以下のように予め決定される。
【0026】
まず、以下の(1)式から、画素サイズ(ピクセルサイズ)が得られる。
画素サイズ = カメラの技術仕様よる画素の大きさ / レンズの倍率 ・・・(1)
【0027】
画素サイズ(例えば、12μm/pixel)が得られると、図4に示すように、以下の(2)式に従って、オーバーラップ無しに全領域撮像するための、撮像間における検査対象物の移動量aを算出する。
移動量a = 画素サイズ * cosθ ・・・(2)
【0028】
例えば、移動量が8μm(=12μm*cos45°)に決定される。なお、このときの高さの分解能は、8μmである。
【0029】
画像取得部30は、駆動部12による駆動が停止している時に、エリアカメラ18による撮像を行うように制御する。撮像すべきフレーム枚数は、撮像する検査対象物の長さ及び撮像間の移動量に基づいて、決定される。
【0030】
また、画像取得部30は、例えば、A/Dコンバータや画像データを記憶する画像メモリ等を備え、エリアカメラ18から出力される複数の撮像画像を取得して保存する。
【0031】
次に、本発明に係る実施の形態の原理について説明する。
【0032】
上述したようにレーザ照射部14とエリアカメラ18とを設置し、検査対象物が設置された駆動ステージ13を一定距離移動させながら、連続的に画像を取る。
【0033】
ここで、図5(A)、図5(B)に示すように、検査する厚み方向に対して傾斜させたレーザ光を、光透過性を有する複数の層からなる検査対象物(例えば、フィルムとガラスからなるタッチパネル)に入射させると、入射されたレーザ光が反射する面(例えば、フィルムの上面、下面、及びガラスの上面、下面)の高さに応じて、正反射した反射光のエリアカメラに入る位置(検査対象物の厚み方向の位置)が変わる。
【0034】
従って、得られた画像データの、検査対象物の厚み方向に直交する方向の各画素ラインに入った光は、正反射した位置の実際の高さの情報を示している。そこで、上述したように連続撮像した撮像画像から、同一の画素ラインのみ抽出し並べ、プレーン画像を作ることで、その画素ラインに対応する高さとなる位置(x、y)を示す画像データが得られる。これにより、検査対象となる面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像を用いることにより、検査対象の面の状態を検査することができる。また、内部にある面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像を用いることにより、検査対象物の内部にある面の状態も検査することができる。
【0035】
以上より、本実施の形態では、画像処理部32によって、以下に説明するように、複数の撮像画像に基づいてプレーン画像を生成する。
【0036】
まず、例えば100フレームの全撮像画像から、0フレーム目、10フレーム目、20フレーム目、30フレーム目、・・・と所定フレーム間隔で複数枚選択し、選択された撮像画像の平均を取って、平均画像を生成する。
【0037】
生成された平均画像において、検査対象物の厚み方向に直交する方向の複数の画素ラインから、平均輝度が所定輝度以上となる高輝度の画素ラインを、レーザスリット光の反射光を表わす画素ラインとして決定する。
【0038】
次に、エリアカメラ18を、複数のラインカメラの集合として考え、決定された高輝度の画素ラインに対応する各ラインカメラが撮像したスリット画像として、高輝度の画素ラインの画像データを抽出する。例えば、エリアカメラ18から取り込んだ複数の撮像画像(x列y行z枚)から、決定された高輝度の画素ライン毎に、図6(A)に示すように同一画素ラインを抽出して集めて、図6(B)に示すようにフレーム順に並べて合成したプレーン画像(x列z行y枚)を生成する。このプレーン画像が、対応する特定の高さの位置を表わした画像、すなわち、特定の高さの面の状態を表わす画像となる。
【0039】
以上説明したように、画像処理部32は、画像処理を行うことにより、検査対象物の面の状態を表わす面画像を生成する。
【0040】
欠陥検出部34は、生成された面画像から、輝度値が指定輝度(パラメータで調整可能な値)以下となる部分を欠陥候補として検出する。また、欠陥検出部34は、検出された欠陥候補の各々について、明るさ、大きさ、及び形状に基づいて、欠陥を種別する。例えば、明るさが大きい場合には、汚れや指紋の可能性があると種別され、明るさが小さく、且つ、丸い形状である場合には、ダコンや気泡の可能性があると種別される。
【0041】
次に、本実施の形態に係る面検査システム10の作用について説明する。板状のほぼ透明な部材で形成された複数の層からなる検査対象物が(例えば、タッチパネル)が駆動ステージ13上に設置される。また、コンピュータ20に対して、画素サイズと、レーザスリット光の入射角及びエリアカメラ18の撮像方向と水平面とのなす角である角度とがオペレータによって入力されると、上記(2)式に従って撮像毎の移動量が決定される。また、コンピュータ20に対して、検査対象物の長さがオペレータによって入力されると、撮像すべきフレーム数が決定される。また、コンピュータ20において、図7に示す検査処理ルーチンが実行される。
【0042】
まず、ステップ100において、複数の撮像画像を取得する。上記ステップ100は、図8に示す撮像画像取得処理ルーチンによって実現される。
【0043】
ステップ120において、撮像する画像のフレーム番号を識別するための変数nを初期値の1に設定し、ステップ122において、エリアカメラ18による撮像を行うように制御すると共に、エリアカメラ18から出力される撮像画像を取得する。例えば、図9に示すような、検査対象物であるタッチパネルの各層の上下面で反射されたレーザスリット光の反射光を撮像した撮像画像が得られる。
【0044】
次のステップ124では、上記ステップ122で取得した撮像画像をビットマップ(BMP)ファイルとしてメモリ(図示省略)に保存する。
【0045】
そして、ステップ126において、予め決定された移動量分だけ検査対象物を移動させるように駆動部12を制御して、検査対象物を移動量分だけ移動させる。次のステップ128では、変数nが、撮像すべきフレーム数を表わす定数N未満であるか否かを判定し、変数nが定数N未満である場合には、ステップ130で、変数nをインクリメントして、ステップ122へ戻る。一方、撮像すべきフレーム数分だけ撮像画像が撮像され、変数nが定数Nに到達した場合には、撮像画像取得処理ルーチンを終了する。
【0046】
そして、検査処理ルーチンのステップ102において、上記ステップ100で取得した複数の撮像画像から所定フレーム間隔で得られる撮像画像の平均画像に対して、画素ラインの平均輝度が所定輝度以上となる高輝度の画素ラインを、反射光を表わす画素ラインとして決定する。以下では、高輝度の画素ラインが複数決定された場合を例に説明する。
【0047】
次のステップ104では、上記ステップ100で取得した複数の撮像画像の各々から、高輝度の画素ラインの各々について、同一画素ラインを抽出して集め、フレーム順に並べて合成することにより、上記ステップ102で決定された高輝度画素ラインの各々に対応するプレーン画像を各々生成する。例えば、図10(A)に示すような、ガラス部の下面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像や、図10(B)に示すような、ガラス部の上面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像が生成される。また、図11(A)に示すような、フィルム部の上面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像や、図11(B)に示すような、フィルム部の下面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像が生成される。
【0048】
そして、ステップ106では、上記ステップ104で生成されたプレーン画像から、輝度値が所定値以下である部分を欠陥候補として検出すると共に、欠陥候補の各々について欠陥を種別する。例えば、図12に示すような、ガラス部の上面の状態を表わすプレーン画像から、キズやマーカー印などの欠陥が検出される。
【0049】
次のステップ108では、上記ステップ104で生成されたプレーン画像と上記ステップ106で検出された欠陥候補とを表示装置22に出力し、表示装置22に表示させて、検査処理ルーチンを終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る面検査システムによれば、複数の撮像画像からレーザスリット光の反射光を表わす画素ラインを抽出し、同一の画素ラインの抽出結果を撮像順に並べて合成することにより、簡易な構成で、検査対象物の面状態を表わすプレーン画像を生成することができ、また、検査対象物の面の欠陥を検出することができる。
【0051】
板状のほぼ透明な部材で形成された複数の層からなる検査対象物について、各層の上下面の各々の状態を表わすプレーン画像を各々生成することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、検査対象物を一定量移動させる毎に、エリアカメラによる撮像を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動ステージを動かしながら連続的に撮像を行って、所定フレーム数分の撮像画像を得るようにしてもよい。この場合には、フレーム間の移動量から、駆動ステージの速度とエリアカメラのフレームレートとを算出し、算出された速度で検査対象物を移動させると共に、算出された所定のフレームレートで連続撮像を行う。そして、検査対象物の長さに応じたフレーム数分撮像されると、撮像を終了すると共に、移動を終了させ、得られた各撮像画像をビットマップファイルで保存する。
【0053】
また、プレーン画像の輝度に応じて欠陥を検出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、欠陥検出部34は、各面の材質に応じて異なる検査方法を行うようにしてもよい。例えば、検査対象の面がPET材質のフィルム部の面(コート有)である場合には、テクスチャ処理を行って、異なる模様を欠陥候補として検出するようにしてもよい。また、検査対象の面がガラス部の面である場合には、ドットスペーサ(内部に接着されている電極)をマスクし、ドットスペーサ以外の領域から、欠陥候補を検出するようにしてもよい。
【0054】
また、高輝度の画素ラインについてのみプレーン画像を生成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、全ての画素ラインについてプレーン画像を各々生成し、そのうち、高輝度の画素ラインに対応するプレーン画像を、検査対象物の面の状態を表わす画像として選択するようにしてもよい。
【0055】
また、検査対象物を水平面上に移動させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上(板状の検査対象物の面と平行な平面上)で、検査対象物を所定方向に移動させるようにすればよい。この場合には、検査対象物が移動する平面とレーザスリット光の照射方向とのなす角、及び検査対象物が移動する平面とエリアカメラの撮像方向とのなす角が同一となるように構成すればよい。
【0056】
また、レーザスリット光を照射する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、直線性及び非拡散性を有するスリット光であれば、他の種類の光を照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 面検査システム
12 駆動部
14 レーザ照射部
18 エリアカメラ
20 コンピュータ
24 検査対象物
28 駆動制御部
30 画像取得部
32 画像処理部
34 欠陥検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上で前記検査対象物を移動させる駆動手段と、
照射方向を前記厚み方向に対して傾斜させて、前記検査対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、前記検査対象物に対して照射する光照射手段と、
前記検査対象物からの前記線状の光の反射光を含む領域を撮像する撮像手段と、
前記検査対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、前記厚み方向と直交する方向に画素が配列され、かつ、前記反射光を表わす画素列を抽出し、前記画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、前記検査対象物の面の状態を表わす面画像を生成する画像生成手段と、
を含む面画像生成装置。
【請求項2】
前記画像生成手段によって生成された面画像から、所定輝度以下となる部分を、欠陥部分として検出する欠陥検出手段を更に含む請求項1記載の面画像生成装置。
【請求項3】
前記画像生成手段は、前記複数の撮像画像の各々から、輝度が所定値以上となる画素列を、前記反射光を表わす画素列として抽出し、前記面画像を生成する請求項1又は2記載の面画像生成装置。
【請求項4】
前記光照射手段は、直線性及び非拡散性を有する線状の光を前記検査対象物に対して照射する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項5】
前記検査対象物を、面で光を反射し、かつ、光透過性を有する部材とした請求項1〜請求項4の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項6】
前記検査対象物は、前記部材で形成された複数の層を含む請求項5記載の面画像生成装置。
【請求項7】
前記所定の移動量を、前記検査対象物が移動する前記平面と前記撮像手段による撮像方向とのなす角、及び画素サイズに基づいて定めた請求項1〜請求項6の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項8】
前記検査対象物が移動する前記平面と前記線状の光の照射方向とのなす角、及び該平面と前記撮像手段による撮像方向とのなす角を、同一とした請求項1〜請求項7の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項1】
板状の検査対象物の厚み方向を法線とする平面上で前記検査対象物を移動させる駆動手段と、
照射方向を前記厚み方向に対して傾斜させて、前記検査対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、前記検査対象物に対して照射する光照射手段と、
前記検査対象物からの前記線状の光の反射光を含む領域を撮像する撮像手段と、
前記検査対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、前記厚み方向と直交する方向に画素が配列され、かつ、前記反射光を表わす画素列を抽出し、前記画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成することにより、前記検査対象物の面の状態を表わす面画像を生成する画像生成手段と、
を含む面画像生成装置。
【請求項2】
前記画像生成手段によって生成された面画像から、所定輝度以下となる部分を、欠陥部分として検出する欠陥検出手段を更に含む請求項1記載の面画像生成装置。
【請求項3】
前記画像生成手段は、前記複数の撮像画像の各々から、輝度が所定値以上となる画素列を、前記反射光を表わす画素列として抽出し、前記面画像を生成する請求項1又は2記載の面画像生成装置。
【請求項4】
前記光照射手段は、直線性及び非拡散性を有する線状の光を前記検査対象物に対して照射する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項5】
前記検査対象物を、面で光を反射し、かつ、光透過性を有する部材とした請求項1〜請求項4の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項6】
前記検査対象物は、前記部材で形成された複数の層を含む請求項5記載の面画像生成装置。
【請求項7】
前記所定の移動量を、前記検査対象物が移動する前記平面と前記撮像手段による撮像方向とのなす角、及び画素サイズに基づいて定めた請求項1〜請求項6の何れか1項記載の面画像生成装置。
【請求項8】
前記検査対象物が移動する前記平面と前記線状の光の照射方向とのなす角、及び該平面と前記撮像手段による撮像方向とのなす角を、同一とした請求項1〜請求項7の何れか1項記載の面画像生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−175283(P2010−175283A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15439(P2009−15439)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]