説明

駆動装置、現像装置、クリーニング装置、作像装置、画像形成装置及び駆動方法

【課題】特別な装置を付加することなくバンディングの少ない駆動装置、現像装置、クリーニング装置、作像装置、高画質なカラー画像形成装置及び駆動方法を提供する。
【解決手段】並列に複数配置された駆動装置において、感光体1に対して非同期に回転する回転体を有し、前記回転体の回転数は、それぞれ略一定の差がある駆動装置、現像装置2、クリーニング装置700、作像装置、高画質なカラー画像形成装置100を提供することができる。並列に複数配置された駆動装置の駆動方法において、回転体を感光体1に対して非同期に回転し、前記回転体の回転数に、それぞれ略一定の差を設ける駆動装置の駆動方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンデム型カラー複写機、タンデム型カラープリンタのように複数の作像手段が必要な画像形成装置に使用される駆動装置、及び前記駆動装置を有する作像装置、画像形成装置及び駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、画像形成装置では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラー画像出力のものが多くなってきている。
カラー画像形成装置には、1つの感光体のまわりに複数色の現像装置を備え、それらの現像装置でトナーを付着させて感光体上に合成トナー画像を形成し、そのトナー画像を転写してシートにカラー画像を記録する、いわゆる1ドラム型のものと、並べて備える複数の感光体にそれぞれ個別に現像装置を備え、各感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次転写してシートに合成カラー画像を記録する、いわゆるタンデム型のものとがある。
1ドラム型とタンデム型とを比較すると、前者には、感光体が1つであるから、比較的小型化でき、コストも低減できる利点はあるものの、1つの感光体を用いて複数回(通常4回)画像形成を繰り返してフルカラー画像を形成するから、画像形成の高速化には困難である。後者は、逆に大型化しコスト高となる欠点はあるものの、画像形成の高速化が容易である利点がある。最近は、フルカラーもモノクロ並みのスピード要求が望まれることから、タンデム型が注目されてきている。
【0003】
タンデム型の画像形成装置は概ね同種の作像に関連する装置が複数、並列に配置される。装置によってはカラー用作像装置とブラック用作像装置の設計が異なる場合があるが、それでもカラー作像装置の3色については同じ作像装置が配置されることが多い。
当然それらの作像装置には現像ローラやクリーニングローラ等を駆動するために駆動装置が配置され、少なくともカラー用作像装置は同種のものが並列されるので、同じ駆動入力がなされる。そして、駆動装置にはギヤやタイミングベルトなど伝達装置が不可欠で、それらが振動を発することは避けられない。特に大型の装置の場合、作像装置の負荷も大きくなり、それに伴って駆動装置の負荷が当然に大きくなる。その結果、振動も大きくなるという問題点があった。
次に、問題となるのが、同じ振動源が並列に配置されているということである。同じ振動源ということは発生する振動周波数も同一となる。また、一般的にギヤ等のかみ合いの位相をコントロールすることは困難であり、複数の振動の位相が揃ってしまうことになる。さらに問題となるのが、前記同じ振動源が同一の構造体に設置固定されていることが一般的であるという点である。また相関的に位置精度を保証するために作像系も同じ構造体に設置されていることが多い。このような場合、構造体を通じて振動波が足しこまれることになり、振幅が複数倍になるため大きな振動となってしまう。その結果、同じく構造体を通じて作像系周辺にその振動が及ぶため、感光体や転写体も振動し、バンディング画像をもたらすことになり、問題となっていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、駆動モータからの駆動力を画像形成用の回転体に伝達する複数のギアのうち、少なくともその1つのギアを、直径の異なる複数のギアを同軸状に設けた多段のギアによって構成し、当該多段のギアの大歯車と小歯車のモジュールと歯数を異ならせるような構成にすることが、開示されていた。これにより、歯車減速機構を採用した場合でも、回転むらが増幅され、画像ジッターが著しく発生したり、アイドラギアの噛み合い周波数の振動が増幅されて回転体に伝わり、画像品位を低下させるのを防止することができ、低コストにて高品位の画像を形成することが可能な回転体の駆動装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することができた。
【0005】
しかしながら、上記手段では、複数の振動の位相が揃うことによる作像系周辺の振動の増幅を防止できるものの、歯車の大きさを変えるなどの部品の変更が必要であった。そのため、製造時の時間とコストがアップし、また機械によって部品が異なるなどの問題が生じていた。そこで、部品の変更など特別な装置を付加することなく解決することが望まれていた。
【0006】
また、特許文献2には、トナー像が形成される像担持体を支持し且つ前記像担持体と一体的に回転する像担持体支持軸と、前記像担持体支持軸に装着された回転力伝達ギアと、前記回転力伝達ギアに、像担持体回転力を伝達する像担持体駆動モータと、前記像担持体支持軸にトルクリミッタを介して接続された振動減衰用補助モータとを備えた像担持体駆動装置が、開示されている。これにより、担持体の回転駆動系の共振周波数を機械的な重量増加及び装置の大型化を伴うことなく調節可能にすることができる。
【0007】
しかしながら、上記手段は、画像形成装置の各構成部分の動作やクラッチ機構のON/OFF時の振動等に起因して像担持体の回転速度に変動が生じた場合や、像担持体の駆動装置に使用される歯車のバックラッシュによる瞬間的な回転速度の変動が生じた場合、あるいは像担持体の速度が瞬間的に変動した場合には効果があるものの、複数の振動の位相が揃うことによる作像系周辺の振動の増幅を十分に防止できないという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−189325号公報
【特許文献2】特開2003−140424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、特別な装置を付加することなくバンディングの少ない駆動装置、現像装置、クリーニング装置、作像装置、高画質なカラー画像形成装置及び駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明は、並列に複数配置された駆動装置において、感光体に対して非同期に回転する回転体を有し、前記回転体の回転数は、それぞれ略一定の差があることを特徴とする駆動装置である。
本発明は、原動手段、減速手段、出力手段により、前記回転体に駆動力を伝達することを特徴とする。
本発明は、前記原動手段は、速度検出器の目標設定値をそれぞれ異なる値とするDCサーボモータであることを特徴とする。
本発明は、前記原動手段は、入力する交流電源の周波数をそれぞれ異なる値とするACモータであることを特徴とする。
本発明は、前記原動手段は、入力パルスの周波数をそれぞれ異なる値とするステッピングモータであることを特徴とする。
本発明は、前記減速手段は、ギヤ列を有し、少なくとも隣接した前記減速手段のギヤの歯数及び減速比の設定は同一であることを特徴とする。
本発明は、前記減速手段は、タイミングベルト列を有し、少なくとも隣接した前記減速手段のタイミングベルト列の歯数及び減速比の設定は同一であることを特徴とする。
本発明は、前記回転体は、隣接した回転体の回転数の差が、2%以上であることを特徴とする。
本発明は、前記回転体は、現像装置の現像ローラ及び/又は攪拌搬送スクリュであることを特徴とする。
本発明は、前記回転体は、クリーニング装置の回収スクリュであることを特徴とする。
本発明は、前記回転体は、ブラシ状塗布ローラであることを特徴とする。
本発明は、前記記載の駆動装置により駆動される現像ローラ及び/又は攪拌搬送スクリュを有することを特徴とする現像装置である。
本発明は、前記記載の駆動装置により駆動される回収スクリュを有することを特徴とするクリーニング装置である。
本発明は、感光体を挟んで設置される現像装置と、クリーニング装置とを一体的に構成した作像装置において、前記記載の駆動装置を有することを特徴とする作像装置である。
本発明は、感光体を挟んで設置される現像装置と、クリーニング装置とを一体的に構成した作像装置において、前記記載の現像装置と前記記載のクリーニング装置を有することを特徴とする作像装置である。
本発明は、感光体と、感光体に潜像を作る光書込み装置と、感光体の潜像を可視化するための現像装置と、潜像残を清掃するクリーニング装置と、を複数有し、前記記載の駆動装置と、感光体上のトナー画像を転写、搬送する中間転写装置と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明は、感光体と、感光体に潜像を作る光書込み装置と、感光体の潜像を可視化するための現像装置と、潜像残を清掃するクリーニング装置と、を複数有し、前記記載の駆動装置と、転写紙を静電吸着して感光体上を搬送する転写装置と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
本発明は、並列に複数配置された駆動装置の駆動方法において、回転体を感光体に対して非同期に回転し、前記回転体の回転数に、それぞれ略一定の差を設けることを特徴とする駆動装置の駆動方法である。
本発明は、原動手段、減速手段、出力手段により、前記回転体に駆動力を伝達することを特徴とする。
本発明は、DCサーボモータで、速度検出器の目標設定値をそれぞれ異なる値とすることを特徴とする。
本発明は、ACモータで、入力する交流電源の周波数をそれぞれ異なる値とすることを特徴とする。
本発明は、ステッピングモータで、入力パルスの周波数をそれぞれ異なる値とすることを特徴とする。
本発明は、前記減速手段は、ギヤ列を有し、少なくとも隣接した前記減速手段のギヤの歯数及び減速比の設定を同一とすることを特徴とする。
本発明は、前記減速手段は、タイミングベルト列を有し、少なくとも隣接した前記減速手段のタイミングベルト列の歯数及び減速比の設定を同一とすることを特徴とする。
本発明は、隣接した前記回転体の回転数の差を、2%以上とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記解決するための手段によって、特別な装置を付加することなくバンディングの少ない駆動装置、現像装置、クリーニング装置、作像装置、高画質なカラー画像形成装置及び駆動方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0014】
図1は、現像形成ユニットを示す図である。1は感光体ドラム、900は帯電装置で901が帯電ローラ、902がクリーニングローラを示す。また、2は現像装置であり3が現像ローラ、4が攪拌搬送スクリュである。さらに、700はクリーニング装置で703が回収スクリュである。また、800は塗布装置で801がブラシ状塗布ローラである。
本発明は、並列に複数配置された駆動装置において、感光体に対して非同期に回転する回転体を有している。回転体としては、現像形成ユニット中では、現像ローラ3、攪拌搬送スクリュ4、回収スクリュ703、ブラシ状塗布ローラ801がある。また、感光体に対して同期に回転する帯電ローラ901、クリーニングローラ902などは、本発明の駆動装置の回転体には適用できない。
駆動装置は、原動手段、減速手段、出力手段により、回転体に駆動力を伝達する。原動手段としては、速度検出器の目標設定値をそれぞれ異なる値とするDCサーボモータ、入力する交流電源の周波数をそれぞれ異なる値とするACモータ、入力パルスの周波数をそれぞれ異なる値とするステッピングモータ等がある。
また、減速手段としては、ギヤ列、タイミングベルト列等を有する手段がある。
さらに、出力手段としては、加速度ピックアップ装置等がある。
【0015】
図2は、本発明を用いたタンデム画像形成装置の現像装置と駆動装置の構成図である。また、図3は、タンデム画像形成装置の現像装置の効果説明図であり、図4は、本発明を用いたタンデム画像形成装置の現像装置の効果説明図である。
1a〜1dは、感光体ドラムである。感光体ドラム1に隣接して現像装置2a〜2dが配置される。現像装置2として、現像ローラ3a〜3dと搬送スクリュ4a〜4dを図示した。現像ローラ3と搬送スクリュ4はそれぞれギヤ5a〜5dとギヤ6a〜6dが取り付けられ、噛合っている。本実施例では現像装置2と感光体1を同一の筐体7a〜7dに支持されているが、それぞれ別の筐体に支持される例もあり、本例の限りではない。筐体7には支持軸8a〜8d及び9a〜9dが形成されており、本体構造体10に嵌合して筐体7を保持固定している。
現像装置2の後方には駆動部11a〜11dが配される。モータ12a〜12dの出力は駆動ギヤ112a〜112dであり、減速ギヤ13a〜13dを駆動する。減速ギヤ13には同軸上に駆動ギヤ14a〜14dが配されており、現像ローラ3の同軸上に配される従動ギヤ15a〜15dと噛合い、現像ローラ3に駆動伝達している。これに伴い同じく現像ローラ3の同軸上のギヤ5によりギヤ6に駆動伝達され、搬送スクリュ4も回転駆動される。
【0016】
ここで、現像装置2a〜2d又は2a〜2cは同一のものを使っていることが一般的である。ギヤ対5、6、ギヤ対112、13、ギヤ対14、15も同一で、モータ12がすべて同じ回転数で駆動される場合はギヤ対5、6、ギヤ対112、13、ギヤ対14、15が噛合いにおいて発生する振動周波数は同一のものとなる。さらには、ギヤ対5、6、ギヤ対112、13、ギヤ対14、15の組み付け時の歯の位相は通常合わせることは困難である。そのため、最悪複数のステーションの任意のギヤ対の噛合いにおいて、振動位相が一致する場合がある。図3に示すように、同位相となった振動は合成されて、振幅を増幅させてしまう。
【0017】
一般的に、現像装置2の各デバイスの回転は、適正回転数に任意の幅を持っているため、必ず駆動回転数をすべてそろえる必要は無い。そこで、本発明のようにモータ12の各回転数をすべて異なるように設定する。モータにDCモータを用いたときは、回転速度を制御するクロック周波数をそれぞれ違う値とする。ACモータを用いた場合には交流電源周波数をそれぞれ変えて設定する。ステッピングモータを用いた場合には、制御用の入力パルスをそれぞれ違う設定にする。その結果、図4のように明確な周波数が見られなくなり、複数の振動が足しこまれて増幅しにくくなり、複数の同種の現像装置と駆動部が同時に稼動しても振動が大きくなりにくくなる。
以上の内容は図示していない感光体のクリーニング装置の回収スクリュ703、塗布装置のブラシ状塗布ローラ801についてもまったく同様の効果が得られる。
【0018】
図5は、駆動部の減速機構にタイミングベルトを用いた例を示す図である。モータ12の出力は駆動プーリになっており、タイミングベルト20を介して従動プーリ21を回転駆動する。動作、作用効果はギヤを使用した場合と同様である。
【0019】
図6は、回転ムラ測定装置を示す図である。エンコーダー150を感光体ドラム1の先に設置し、得られたデータを速度解析装置151に送って回転ムラを測定する。
また、駆動装置に、出力手段として回転体と接続した加速度ピックアップ装置を設置し、振動計測方法として、加速度ピックアップ装置から出力されるデータを速度解析装置151に送って、振動計測を測定することもできる。
【0020】
回転体の回転数は、それぞれ略一定の差がある。それぞれ同一種類の回転体同士の回転数が、略一定の差を有している。ランダムに差を設けた場合には、長期使用中に同位相による振動の合成があるが、略一定の差を設けることにより、同位相による振動の合成を確実に防止できる。
図7は、モータの設定速度差と振動足し込みの低減効果を実験的に求めた結果を示す図である。設定回転数の差を速度差で示している。
図7において、複数のモータの速度差が2%以上であると、増幅レベルが半分に低減する。速度差が2%より小さいと、振動は合成されて振幅の増幅を十分に防止できない。
また、速度差が大きくなると振動レベルは飽和するので、速度差の上限は特に限定されない。しかしながら、速度差が大きくなると、現像装置におけるトナー供給不足や、クリーニング装置のトナー排出が十分でなくなる虞があり、好ましくは15%であり、さらに好ましくは10%である。
【0021】
作像装置は、感光体1を挟んで設置される現像装置2と、クリーニング装置700とを一体的に構成し、駆動装置を有する。
また、駆動装置により駆動される現像ローラ3及び/又は攪拌搬送スクリュ4を有する現像装置2と、駆動装置により駆動される回収スクリュ703を有するクリーニング装置700とを有する。
これにより、作像装置への負荷も小さく、駆動装置への負荷も小さくでき、振動を防止できる。また、作像系周辺の振動を防止してバンディング画像を防止でき、良好な画像を得ることができる。
【0022】
図8は、中間転写方式の場合の実施例である。この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式の画像形成装置である。図8中符号100は画像形成装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は画像形成装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
画像形成装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体110を設ける。中間転写体110は、ベース層を、例えば伸びの少ないフッ素系樹脂や伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層をつくり、その上に弾性層を設ける。弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどでつくる。その弾性層の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層で被ってなる。そして、図8に示すとおり、中間転写体110は、3つの支持ローラ114、115、116に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
本実施例では、3つのなかで第2の支持ローラ115の左に、画像転写後に中間転写体110上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置117を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ114と第2の支持ローラ115間に張り渡した中間転写体110上には、その搬送方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置120を構成する。そのタンデム画像形成装置120の上には、図8に示すように、さらに露光装置121を設ける。
【0023】
一方、中間転写体110を挟んでタンデム画像形成装置120と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、実施例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体110を介して第3の支持ローラ116に押し当てて配置し、中間転写体110上の画像をシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、実施例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置120と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0024】
このカラー画像形成装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータと駆動ローラで回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体110を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体1を回転して各感光体1上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体110の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体110上に合成カラー画像を形成する。
【0025】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して画像形成装置本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体110上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体110と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0026】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体110は、中間転写体クリーニング装置117で、画像転写後に中間転写体110上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが,シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0027】
図9は、直接転写タイプの画像形成装置を示す図である。この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型直接転写方式の画像形成装置である。
イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置している。不図示のスタートスイッチを押すと、個々の画像形成手段18でその感光体1を回転して各感光体1上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、搬送ベルト60による転写紙の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して、転写紙上に合成カラー画像を形成する。
【0028】
本発明は、並列に複数配置された駆動装置を有する画像形成装置において、前記駆動装置に内在する周波数が互いに異なる周波数でモータの回転数が設定されるため、複数の発生する振動が合成されても増幅されにくく、振動が大きくなりにくい駆動装置が可能となる。
また、並列に複数配置された駆動装置において、前記駆動装置はメカ的な構成が同一でも、駆動入力デバイスの入力周波数が互いにずらした周波数に設定されるため、特別な機構を用意することなく、複数の発生する振動が合成されても増幅されにくく、振動が大きくなりにくい駆動装置が可能となる。さらに、本発明は、並列して複数配置されるトナー画像等を作像する画像形成装置の駆動手段に、前記記載の駆動装置を用いたため、発生する振動が増幅されにくい画像形成装置の提供が可能となる。
また、本発明は、タンデム式のカラー画像形成装置において、前記駆動装置と互いに異なる周波数に設定される現像装置及びクリーニング装置を用いたため、発生する振動が増幅されにくく、バンディングの少ないタンデム式のカラー画像形成装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】現像形成ユニットを示す図である。
【図2】本発明を用いたタンデム画像形成装置の現像装置と駆動装置の構成図である。
【図3】タンデム画像形成装置の現像装置の効果説明図である。
【図4】本発明を用いたタンデム画像形成装置の現像装置の効果説明図である。
【図5】駆動部の減速機構にタイミングベルトを用いた例を示す図である。
【図6】回転ムラ測定装置を示す図である。
【図7】モータの設定速度差と振動足し込みの低減効果を実験的に求めた結果を示す図である。
【図8】中間転写方式の場合の実施例である。
【図9】直接転写タイプの画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1a〜1d 感光体ドラム
2a〜2d 現像装置
3a〜3d 現像ローラ
4a〜4d 搬送スクリュ
5a〜5d ギヤ
6a〜6d ギヤ
7a〜7d 筐体
8a〜8d 支持軸
9a〜9d 支持軸
10 本体構造体
11a〜11d 駆動部
12a〜12d モータ
112a〜112d 駆動ギヤ
13a〜13d 減速ギヤ
14a〜14d 駆動ギヤ
15a〜15d 従動ギヤ
18 画像形成手段
20 タイミングベルト
21 従動プーリ
22 2次転写装置
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 搬送ベルト
100 画像形成装置本体
110 中間転写体
114 支持ローラ
115 支持ローラ
116 支持ローラ
117 中間転写体クリーニング
120 タンデム画像形成装置
121 露光装置
150 エンコーダー
151 速度解析装置
152 ドラム駆動手段
153 ドラム軸
154 カップリング
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
700 クリーニング装置
703 回収スクリュ
800 塗布装置
801 ブラシ状塗布ローラ
900 帯電装置
901 帯電ローラ
902 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に複数配置された駆動装置において、
感光体に対して非同期に回転する回転体を有し、
前記回転体の回転数は、それぞれ略一定の差がある
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
原動手段、減速手段、出力手段により、前記回転体に駆動力を伝達する
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記原動手段は、速度検出器の目標設定値をそれぞれ異なる値とするDCサーボモータである
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記原動手段は、入力する交流電源の周波数をそれぞれ異なる値とするACモータである
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記原動手段は、入力パルスの周波数をそれぞれ異なる値とするステッピングモータである
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の駆動装置において、
前記減速手段は、ギヤ列を有し、
少なくとも隣接した前記減速手段のギヤの歯数及び減速比の設定は同一である
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかに記載の駆動装置において、
前記減速手段は、タイミングベルト列を有し、
少なくとも隣接した前記減速手段のタイミングベルト列の歯数及び減速比の設定は同一である
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動装置において、
前記回転体は、隣接した回転体の回転数の差が、2%以上である
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動装置において、
前記回転体は、現像装置の現像ローラ及び/又は攪拌搬送スクリュである
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動装置において、
前記回転体は、クリーニング装置の回収スクリュである
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の駆動装置において、
前記回転体は、ブラシ状塗布ローラである
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項12】
請求項9に記載の駆動装置により駆動される現像ローラ及び/又は攪拌搬送スクリュを有する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項10に記載の駆動装置により駆動される回収スクリュを有する
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項14】
感光体を挟んで設置される現像装置と、クリーニング装置とを一体的に構成した作像装置において、
請求項1乃至11のいずれかに記載の駆動装置を有する
ことを特徴とする作像装置。
【請求項15】
感光体を挟んで設置される現像装置と、クリーニング装置とを一体的に構成した作像装置において、
請求項12記載の現像装置と請求項13に記載のクリーニング装置を有する
ことを特徴とする作像装置。
【請求項16】
感光体と、感光体に潜像を作る光書込み装置と、感光体の潜像を可視化するための現像装置と、潜像残を清掃するクリーニング装置と、
をそれぞれ複数有し、
請求項1乃至11のいずれかに記載の駆動装置と、
感光体上のトナー画像を転写、搬送する中間転写装置と、
を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
感光体と、感光体に潜像を作る光書込み装置と、感光体の潜像を可視化するための現像装置と、潜像残を清掃するクリーニング装置と、
をそれぞれ複数有し、
請求項1乃至11のいずれかに記載の駆動装置と、
転写紙を静電吸着して感光体上を搬送する転写装置と、
を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
並列に複数配置された駆動装置の駆動方法において、
回転体を感光体に対して非同期に回転し、
前記回転体の回転数に、それぞれ略一定の差を設ける
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項19】
請求項18に記載の駆動装置の駆動方法において、
原動手段、減速手段、出力手段により、前記回転体に駆動力を伝達する
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項20】
請求項19に記載の駆動装置の駆動方法において、
DCサーボモータで、速度検出器の目標設定値をそれぞれ異なる値とする
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項21】
請求項19に記載の駆動装置の駆動方法において、
ACモータで、入力する交流電源の周波数をそれぞれ異なる値とする
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項22】
請求項19に記載の駆動装置の駆動方法において、
ステッピングモータで、入力パルスの周波数をそれぞれ異なる値とする
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項23】
請求項19乃至22のいずれかに記載の駆動装置の駆動方法において、
前記減速手段は、ギヤ列を有し、
少なくとも隣接した前記減速手段のギヤの歯数及び減速比の設定を同一とする
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項24】
請求項19乃至22のいずれかに記載の駆動装置の駆動方法において、
前記減速手段は、タイミングベルト列を有し、
少なくとも隣接した前記減速手段のタイミングベルト列の歯数及び減速比の設定を同一とする
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。
【請求項25】
請求項18乃至24のいずれかに記載の駆動装置の駆動方法において、
隣接した前記回転体の回転数の差を、2%以上とする
ことを特徴とする駆動装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−183568(P2007−183568A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258260(P2006−258260)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】