説明

高スループットの非プラズマ処理を行う処理システム及び方法

高スループットの非プラズマ処理を行う装置及び方法の実施例(100)が一般的に本明細書において記載されている。他の実施例も記載及び主張されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は概して半導体集積回路の製造に関し、より詳細には高スループット非プラズマ処理を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の処理中、プラズマエッチング処理は一般的に、半導体基板上にパターニングされた微細線に沿って材料をエッチングすなわち除去し、又は半導体基板上にパターニングされたビア若しくはコンタクト内部にある材料をエッチングすなわち除去するのに利用される。プラズマエッチング処理は一般的に、パターニングされた保護層-たとえばフォトレジスト層-を上に備えた半導体基板を処理チャンバ内に設置する工程を含む。一旦基板がチャンバ内に設置されると、分解性のイオン化可能ガス混合物が所定の流速にてチャンバ内部へ導入されると同時に、真空ポンプは周辺圧力程度の処理圧力を実現するように絞られる。その後ガス混合物中に存在するガス種の一部が、誘導的若しくは容量的に高周波(RF)電力又はたとえば電子サイクロトロン共鳴(ECR)を用いたマイクロ波電力が与えられることにより加熱された電子によってイオン化する。しかも加熱された電子とガス分子との間での衝突は、周辺のガス種の一部を分解して、かつ曝露された表面のエッチングに係る化学的性質に適した1つ以上の反応種を生成する役割を果たす。一旦プラズマが生成されると、そのプラズマは基板の1面以上の選ばれた表面をエッチングする。
【0003】
プラズマエッチング処理は、適切な条件を実現するように調節される。適切な条件には、基板の選ばれた領域での様々な部位(たとえば溝、ビア、コンタクト、ゲート等)をエッチングするための所望の反応物及びイオンの適した濃度が含まれる。一貫していてかつ再現可能なプラズマ処理を開始及び持続するには、かなりの電力の印加、特化した装置、及び規則的な保守が必要とされる。
【0004】
エッチング処理は通常、単一ウエハを処理する構成のクラスタ装置を用いて実行される。そのクラスタ装置は、ロードロックチャンバ、ウエハ搬送ステーション、及び1つ以上の共通処理チャンバを有する。その共通処理チャンバは、全ての処理チャンバの装着及び取り外しを行うために前記ウエハ搬送ステーション内で単一ウエハ用ハンドラを共有する。単一ウエハを処理する構成は、ウエハ内部でもウエハ間でも一貫してかつ再現可能な特性を供するように、チャンバ毎に1枚のウエハを処理することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6891124号明細書
【特許文献2】米国特許第5282925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エッチング用クラスタ装置が半導体基板上の様々な部位をエッチングするのに必要な特性を供する一方で、必要とされる処理特性を供しながら処理装置のスループットを増大させることは、半導体処理の分野において進歩である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様では、各々が1層を有する基板を複数処理する処理システムであって:処理空間、該処理空間内で前記基板を支持するように備えられている複数の温度制御された基板載せ台、及び前記基板上の層を化学的に改質するため前記処理空間へ複数種類のプロセスガスを供給するように備えられているガス分配システムを有する化学処理チャンバ;複数の温度制御された基板ホルダを有する熱処理チャンバ;並びに、前記化学処理チャンバと熱処理チャンバとの間に設けられていて前記基板を前記化学処理チャンバと熱処理チャンバとの間で搬送させるように備えられている専用ハンドラを有する隔離集合体;を有する処理システム、が記載されている。
【0008】
本発明の第2態様では、各々が処理可能な材料で構成された1層の層を有する複数の基板を、熱処理チャンバと結合する化学処理チャンバを有するシステム内で処理する方法であって:化学処理システム内で前記基板を複数の種類のプロセスガスに曝露することで、前記基板の各々の上に設けられた前記層中の処理可能な材料を化学的に改質する工程;熱処理システム内で前記基板及び該基板の各々の上に設けられた層を加熱する工程;専用ハンドラを用いて前記基板を前記熱処理チャンバから前記化学処理チャンバへ搬送する工程;並びに、前記基板が前記化学処理チャンバ又は熱処理チャンバ内で処理されるときに前記化学処理チャンバを前記熱処理チャンバから隔離する工程;を有する方法、が記載されている。
【0009】
本発明の第3態様では、各々が少なくとも1層の露出した酸化物表面層を有する複数の基板を処理する方法であって:化学処理チャンバ内で前記基板を複数の種類のプロセスガスに曝露することで、前記基板の各々の上に設けられた前記少なくとも1層の露出した酸化物表面層を化学的に改質する工程;前記基板を前記化学処理チャンバから熱処理チャンバへ搬送する工程;前記プロセスガスへの曝露後に前記少なくとも1層の露出した酸化物表面層がエッチングされるように、前記熱処理チャンバ内で前記少なくとも1層の露出した酸化物表面層を熱処理する工程;並びに、前記化学処理及び熱処理中、前記化学処理チャンバと前記熱処理チャンバとを互いに隔離する工程;を有する方法、が記載されている。
【0010】
他の態様は「特許請求の範囲」の従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1処理システム、第2処理システム、並びに該第1及び第2処理システム用の搬送システムを有する処理システムの実施例の概略的側面図である。
【図2】図1の搬送システムの概略的上面図である。
【図3】図1と似た処理システムの代替実施例の概略的側面図である。
【図4】温度制御された基板載せ台とガス分配システムを備えた化学処理システム、基板リフタ集合体を備えた熱処理システム、及び化学処理チャンバを熱処理チャンバから断熱する断熱集合体を有する処理システムの実施例に係る部分断面を表す概略的側面図である。
【図5】図4の化学処理システムの部分断面を表す概略的側面図である。
【図6】図4の熱処理システムの部分断面を表す概略的側面図である。
【図7】図4の化学処理システムの温度制御された基板載せ台の概略的断面図である。
【図8】図4のガス分配システムの概略的断面図である。
【図9】図8と似たガス分配システムの別な実施例の概略的断面図である。
【図10】図8に図示されたガス分配システムの一部を拡張した図である。
【図11】図8のガス分配システムの斜視図である。
【図12】図4及び図6の基板リフタ集合体を表す図である。
【図13】図4の断熱集合体の側面図である。
【図14】図13の断熱集合体の概略的分解断面図である。
【図15】複数の基板を処理するためのフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面-これらは本明細書に含まれ、かつ本明細書の一部を構成する-は、本発明の実施例を例示し、かつ以降で与えられる実施例についての詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0013】
高スループット非プラズマ処理を行う装置及び方法が様々な実施例中に開示されている。しかし当業者は、様々な実施例が1つ以上の具体的詳細が与えられなくても実施可能であり、あるいは他の置換及び/又は追加の方法、材料、若しくは部材によって実施可能であることを理解する。他の点では、本発明の様々な実施例の態様を曖昧にしないため、周知の構造、材料、又は動作は詳細に図示又は記載されていない。同様に本発明の完全な理解を供するため、具体的な数字、材料、及び構成が説明目的で与えられている。それでも本発明はこれらの具体的な詳細が与えられなくても実施可能である。さらに図示された様々な実施例は例示であり、必ずしも正しいスケールで描かれていないことに留意して欲しい。
【0014】
さらに特定の部位、構造、材料、又は特徴は、1つ以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わせられて良い。他の実施例において、様々な追加の層及び/又は構造が含まれて良く、かつ/あるいは、記載された特徴部位が省略されても良い。
【0015】
様々な動作は、本発明を理解する上で最も助けとなるように、複数の独立した動作として記載される。しかし記載順序は、これらの動作が必ず順序に依存することを示唆しているように解されてはならない。具体的には、これらの動作は提示された順序で実行されることを要しない。記載された動作は記載された実施例とは異なる順序で実行されて良い。追加の実施例では、様々な追加の動作が実行されて良く、かつ/あるいは、記載された動作が省略されても良い。
【0016】
複数の基板の高スループット処理を行うシステム及び方法、具体的には複数の基板の高スループット化学処理及び熱処理を行うシステム及び方法は一般的に必要とされている。複数の基板ホルダ及びステーション毎に1つの専用ハンドラを用いることによって、複数の基板の高スループット化学処理及び熱処理を改善することが可能である。
【0017】
複数の基板を処理する処理システムに係る一の実施例は、化学処理チャンバ、熱処理チャンバ、及び隔離集合体を有して良い。化学処理チャンバは、複数の温度制御された基板載せ台、化学処理チャンバと結合した第1真空排気システム、第1熱交換素子、及び複数の処理ガスを化学処理チャンバ内の処理空間へ供給して基板表面層を化学的に改質するガス分配システムを有して良い。熱処理チャンバは、複数の温度制御された基板ホルダ、第2熱交換素子、及び熱処理チャンバと結合した第2真空排気システムを有して良い。最後に隔離集合体は専用ハンドラを有して良い。その専用ハンドラは、複数の基板を化学処理チャンバと熱処理チャンバとの間で搬送し、かつ該化学処理チャンバと熱処理チャンバとの間に設けられている。
【0018】
図1及び図2を参照すると、複数の基板を処理するのに用いられる処理システム100が図示されている。たとえばその処理がマスク層を剥離するのに用いられる場合に当該処理システム100は用いられる。処理システム100は第1処理システム110及び該第1処理システム110と結合する第2処理システム120を有する。一の実施例では、第1処理システム110は化学処理システムで、第2処理システム120は熱処理システムである。他の実施例では、第2処理システム120は基板洗浄システム-たとえば水で洗浄するシステム-である。処理システム100は搬送システム130をさらに有する。搬送システム130は、第1処理システム110及び第2処理システム120に対して基板を搬入出する。搬送システム130はまた、多要素製造システム140と基板をやり取りするのにも用いられる。多要素製造システム140は、大気条件と低圧条件との間で基板のカセットが循環できるようにするロードロック要素を有して良い。
【0019】
第1処理システム110、第2処理システム120、及び搬送システム130はたとえば、多要素製造システム140内に処理要素を有して良い。搬送システム130は、第1処理システム110、第2処理システム120、及び多要素製造システム140の間で複数の基板を移動させるための専用ハンドラ160を有して良い。たとえば専用ハンドラ160は、処理システム(第1処理システム110及び第2処理システム120)と多要素製造システム140の間での複数の基板の搬送専用であって良いが、実施例はこれに限定されるわけではない。それに加えて搬送システム130は1つ以上の基板カセット(図示されていない)と基板442をやり取りして良い。
【0020】
一の実施例では、たとえ図1及び図2に2つしか処理システムが図示されていないとはいえ、多要素製造システム140は処理要素-エッチングシステム、堆積システム、コーティングシステム、パターニングシステム、計測システム等が含まれる-に対して基板を搬入出することを可能にすることができる。第1システムで起こる処理と第2システムで起こる処理とを隔離するため、各システムを結合する隔離集合体が利用される。たとえば隔離集合体150は、断熱を供するための断熱集合体又は真空隔離を供するためのゲートバルブ集合体のうちの少なくとも1つを有して良い。当然のことながら処理システム110、処理システム120、及び搬送システム130はどのような手順で設けられても良い。それに加えてたとえば、搬送システム130は隔離集合体150の一部の役割を果たして良い。
【0021】
処理システム100では、基板442は同一処理システム内において別な基板442と横に並んだ状態で処理される。代替実施例では、基板442は両面処理されて良い。図2の各処理システムには2枚しか基板が図示されていないが、各処理システムにおいて、2枚以上の基板が並列処理されても良い。
【0022】
図3を参照すると、代替実施例では、複数の基板を処理する処理システム100aが、第2処理システム120上に垂直に積層されるように第1処理システム110を設置している。それでも処理システム100aは処理システム100(図1及び図2)と実質的に同一である。
【0023】
一般的には、図1に図示された第1処理システム110及び第2処理システム120のうちの少なくとも1つは複数の基板の通り抜けを可能にする搬送開口部を少なくとも2つ有する。たとえば図1に図示されているように、第2処理システム120は2つの搬送開口部を有し、第1搬送開口部は第1処理システム110と第2処理システム120との間での基板の通り抜けを可能にし、かつ第2搬送開口部は搬送システム130と第2処理システム120との間での基板の通り抜けを可能にする。しかし図1及び図2に図示された処理システム100並びに図3に図示された処理システム100aに関しては、各処理システムはそれぞれ複数の基板の通り抜けを可能にする搬送開口部を少なくとも1つ有する。
【0024】
図4を参照すると、複数の基板の化学処理及び熱処理を行う処理システム100の実施例が与えられている。処理システム100は化学処理システム410及び該化学処理システム410と結合する熱処理システム420を有する。化学処理システム410は化学処理チャンバ411を有する。その化学処理チャンバ411は温度制御が可能である。熱処理システム420は熱処理チャンバ421を有する。その熱処理チャンバ421は温度制御が可能である。化学処理チャンバ411及び熱処理チャンバ421は、断熱集合体430を用いることにより互いに断熱され、かつゲートバルブ集合体496を用いることにより互いの真空状態が隔離されて良い。これについては後で詳述する。
【0025】
図4、図5、及び図7を参照すると、熱処理システム410は、複数の温度制御された基板載せ台440、化学処理チャンバ411と流体のやり取りを行うように結合する第1真空排気システム450、及び化学処理チャンバ411内の処理空間462へ1種類以上の処理ガスを導入するガス分配システム460を有する。温度制御された基板載せ台440は、化学処理チャンバ411から実質的に断熱されるように備えられ、さらに複数の基板を支持するように備えられている。第1真空排気システム450は、化学処理チャンバ411を排気するように備えられている。図4及び図5に図示された化学処理チャンバ411の実施例は2つの温度制御された基板載せ台を使用している様子を表しているが、この実施例は2つの載せ台に限定されない。載せ台440と似た追加の温度制御された基板載せ台(図示されていない)が、複数の基板の並列処理を可能にするように各化学処理チャンバ411に含まれて良い。
【0026】
化学処理チャンバ411、熱処理チャンバ421、及び断熱集合体430は、基板442が通り抜けることで搬送される共通開口部494を画定する。処理中、2つのチャンバ411と421での独立した処理を可能にするため、共通開口部494は、ゲートバルブ集合体496を用いて閉じられることで封止されて良い。図1に最も良く表されているように、搬送開口部498は熱処理チャンバ421内に形成されることで、搬送システム130との基板のやり取りを可能にする。たとえば第2断熱集合体431は、熱処理チャンバ421を搬送システム130(図1と整合する)から断熱するように実装されて良い。開口部498が熱処理チャンバ421の一部として図示されているとはいえ、搬送開口部498は熱処理チャンバ421内でなく化学処理チャンバ411内に形成されて良いし(この場合両チャンバ位置は図1とは逆になる)、又は搬送開口部498は化学処理チャンバ411内と熱処理チャンバ421内の両方に形成されても良い(図3に図示されているように)。
【0027】
化学処理チャンバ410は、複数の基板442を熱的に制御して処理する複数の動作機能を供する複数の基板載せ台440及び基板載せ台集合体444を有する。基板載せ台440及び基板載せ台集合体444は、基板442を基板載せ台440に静電的に固定する静電クランプシステムを有して良い。そのため、各基板載せ台440はさらに静電クランプ(ESC)728を有する。ESC728は、セラミック層730、該セラミック層730内に埋め込まれたクランプ電極732、及び電気的接続736を用いて前記クランプ電極732と結合した高電圧(HV)DC電源734を有する。ESC728はたとえば単極でも双極でも良い。係る静電チャックの設計及び実装は当業者には周知である。あるいはその代わりに各基板載せ台440は、1枚以上の基板442を機械的に固定する機械固定システムを有して良い。
【0028】
基板載せ台440の各々はたとえば、再循環する冷媒流を有する冷却システムをさらに有する。前記再循環する冷媒流は、基板載せ台440から熱を受け取ってその熱を熱交換システム(図示されていない)へ輸送し、あるいは加熱のときには、熱を熱交換システム(図示されていない)から受け取って基板載せ台440へ輸送する。他の実施例では、加熱/冷却素子-抵抗加熱素子又は熱電ヒータ/クーラー-は、化学処理チャンバ411の壁内だけでなく基板載せ台440内にも含まれて良い。
【0029】
再び図4及び図5を参照すると、化学処理システム410は、高温に維持された温度制御された化学処理チャンバ411をさらに有する。たとえば加熱素子466は温度制御ユニット468と電気的に結合して良く、かつ加熱素子466は熱を化学処理チャンバ411の壁へ輸送するように備えられている。温度制御ユニット468はたとえば、加熱素子466と電気的に結合した制御可能なDC電源を有して良い。冷却素子も化学処理チャンバ411内に用いられて良い。化学処理チャンバ411の温度はたとえば熱電対(たとえばK型熱電対、Ptセンサ等)のような温度検知装置を用いて監視されて良い。さらに制御装置は、化学処理チャンバ411の温度を制御するため、壁の温度制御ユニット468へのフィードバックとして温度測定を利用して良い。
【0030】
化学処理チャンバ410の温度制御されたガス分配システム460は任意の選ばれた温度で維持することが可能である。たとえば加熱素子567は温度制御ユニット569と電気的に結合して良く、かつ加熱素子567は熱をガス分配システム460へ輸送するように備えられて良い。ガス分配システム制御ユニット569はたとえば、加熱素子567と電気的に結合する制御可能なDC電源を有して良い。ガス分配システム460の温度はたとえば熱電対(たとえばK型熱電対、Ptセンサ等)のような温度検知装置を用いて監視されて良い。さらに制御装置は、ガス分配システム460の温度を制御するため、ガス分配システム制御ユニット569へのフィードバックとして温度測定を利用して良い。図9-11のガス分配システムもまた温度制御システムに内蔵されて良い。あるいはその代わりに、又はそれに加えて、冷却素子は任意の実施例で用いられて良い。
【0031】
第1真空排気システム450は真空ポンプ452及びチャンバ圧力を絞るためのゲートバルブ454を有して良い。真空ポンプ452はたとえば、約5000l/sec以上の排気速度が可能なターボ分子ポンプ(TMP)を有して良い。たとえばTMPはセイコーSTP-A803真空ポンプ又は荏原ET1301W真空ポンプであって良い。TMPは低圧-典型的にはたとえば約50mTorr未満の圧力-での処理に有用である。高圧(つまり約100mTorrよりも大きい圧力)又は低スループットの処理(つまりガス流が存在しない)では、メカニカルブースターポンプ及びドライ粗引きポンプが用いられて良い。
【0032】
化学処理チャンバ411は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、化学処理システム410からの出力を監視するのみならず、化学処理システム410への入力をやり取りし、かつ起動させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも第1制御装置535は、基板載せ台集合体444、ガス分配システム460、第1真空排気システム450、ゲートバルブ集合体496、壁温度制御ユニット468、及びガス分配システム温度制御ユニット569と結合して情報をやり取りして良い。たとえばメモリ内に記憶されるプログラムは、プロセスレシピに従って、化学処理システム410の上記部材への入力を起動するのに利用されて良い。第1制御装置535の一例はデル株式会社(Dell Corporation)から市販されているDELL PRECISION WORKSTATION610(商標)である。
【0033】
各温度制御された基板載せ台440は、化学処理チャンバ411の下側の壁と結合した接合部材710、該接合部材710と結合した絶縁部材712、及び該絶縁部材712と結合した温度制御部材714を有して良い。チャンバ接合部材710及び温度制御部材714はたとえば、電気伝導性及び伝熱性材料-たとえばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル等-から製造されて良い。絶縁部材712はたとえば、チャンバ接合部材710及び温度制御部材714を構成する材料よりも電気伝導度及び熱伝導度の低い熱抵抗性材料-たとえば石英、アルミナ、テフロン等-から製造されて良い。
【0034】
温度制御部材714は熱交換素子又は温度制御素子を有して良い。温度制御素子とはたとえば、冷却チャネル、加熱チャネル、抵抗加熱素子、又は熱電素子である。典型的実施例では図7で最良に表されているように、温度制御素子714は、冷媒流入口722及び冷媒流出口724を有する冷媒チャネル720を有する。冷媒チャネル720はたとえば、温度制御素子714の伝熱-対流冷却を供するような冷媒の流速を可能にする、温度制御部材714内部に設けられた螺旋流路であって良い。あるいはその代わりに温度制御部材714は熱電素子のアレイを有して良い。アレイを構成する各素子は、各素子を流れる電流の方向に依存して基板を加熱又は冷却する機能を有する。典型的な熱電素子はアドバンストサーモエレクトリックモデルST-127-1.4.8.5M(最大伝熱電力が72Wの40mm×40mm×3.4mmの熱電素子)である。
【0035】
温度制御された基板載せ台440の各々は、伝熱ガス-たとえばヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)を含む不活性ガス、プロセスガス、又は酸素(O2)、窒素(N2)、若しくは水素(H2)を含む他のガス-を基板背面へ供給する背面ガス供給システム740をさらに有する。背面ガス供給システム740はたとえば、たとえば2領域(中心-端部)システムのような複数領域供給システムであって良い。ここで背圧は中心から端部へ半径方向に変化して良く、かつ基板442の中心と端部との間で独立に変化して良い。伝熱ガスの存在により、基板442と基板載せ台440との間でのガスギャップ熱伝導が改善される。基板442の温度制御が昇温又は降温の際に必要ない場合には、係るシステムは省略されて良い。
【0036】
絶縁部材712は、温度制御部材714と下地の接合部材710との間に追加的な断熱を供するため、断熱ギャップ750をさらに有する。断熱ギャップ750は、排気システム(図示されていない)又は第1真空排気システム450及び/若しくは第2真空排気システム480の一部としての真空ラインを用いることによって排気されて良く、かつ/あるいは熱伝導度を変化させるためにガス供給システム(図示されていない)と結合して良い。ガス供給体はたとえば、伝熱ガスを基板442の背面へ結合するのに用いられる背面ガス供給システム740であって良い。
【0037】
接合部材710は、処理システム内の温度制御された基板載せ台440の上側表面及び1つ以上の搬送面に対して基板を垂直に並進させるため、3つ以上のリフトピン762を昇降させることのできるリフトピン集合体760をさらに有する。
【0038】
部材710、712、714の各々は、一の部材を他の部材に固定し、かつ温度制御された基板載せ台440を化学処理チャンバ411へ固定するため、固定素子(たとえばボルトやタップ穴)をさらに有する。さらに部材710、712、714の各々は、各部材を上述したように利用することを補助する。処理システムの真空状態を保持することが必要な場合には、真空封止-たとえばエラストマー製のo-リング-が利用される。
【0039】
基板載せ台440の温度はたとえば熱電対(たとえばK型熱電対、Ptセンサ等)のような温度検知装置744を用いて監視されて良い。さらに制御装置は、基板載せ台440の温度を制御するため、基板載せ台集合体444へのフィードバックとして温度測定を利用して良い。たとえば流体の流速、流体温度、伝熱ガスの種類、伝熱ガスの圧力、固定力、抵抗加熱素子電流又は電圧、熱電素子電流又は極性などのうちの少なくとも1つが、基板載せ台440の温度変化及び/又は基板442の温度変化に影響を与えるように調節されて良い。
【0040】
図8を参照すると、化学処理システム410のガス分配システム460は、ガス分配集合体802を有するシャワーヘッドガス注入システム、及びガス分配集合体802と結合してガス分配プレナム806を形成するように備えられたガス分配プレート804をさらに有する。図示されていないとはいえ、ガス分配プレナム806は1つ以上のガス分配バッフルプレートを有して良い。ガス分配プレート804は、プロセスガスをガス分配プレナム806から化学処理チャンバ411内部の処理空間462へ分配するため、1つ以上のガス分配オリフィス808をさらに有する。それに加えて1つ以上のガス供給ライン810、810’等は、1種類以上のガスを含むプロセスガスを供給するため、たとえばガス分配供給集合体を介してガス分配プレナム806と結合して良い。プロセスガスはたとえば、アンモニア(NH3)、フッ化水素(HF)、H2、O2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、Ar、及びHeのうちの1種類以上を含んで良い。とはいえプロセスガスは上記に限定されるわけではない。
【0041】
図9-図11を参照すると、代替実施例では、少なくとも2種類のガスを含むプロセスガスを分配するガス分配システム460aは、部材924、926及び928のうちの1つ以上を有するガス分配集合体802、該ガス分配集合体802と結合する第1ガス分配プレート930、並びに該第1ガス分配プレート930と結合する第2ガス分配プレート932を有する。なお図9-図11では、図4-図8と同様の部位には同様の参照番号が付されている。第1ガス分配プレート930は、第1ガスを化学処理チャンバ411(図4及び図5)に結合するように備えられている。第2ガス分配プレート932は、第2ガスを化学処理チャンバ411に結合するように備えられている。
【0042】
第1ガス分配プレート930は、ガス分配集合体802と結合するときには、第1ガス分配プレナム940を形成する。それに加えて第2ガス分配プレート932は、第1ガス分配プレート930と結合するときには、第2ガス分配プレナム942を形成する。ガス分配プレナム940及び942は1つ以上のガス分配バッフルプレート(図示されていない)を有して良い。第2ガス分配プレート932は、第1ガス分配プレート930内部に形成された1つ以上の流路946からなるアレイと一致するように結合する1つ以上のオリフィス944からなる第1アレイ、及び1つ以上のオリフィス948からなる第2アレイをさらに有する。1つ以上のオリフィス944からなる第1アレイは、1つ以上の流路946からなるアレイと接続することで、第1ガスを第1ガス分配プレナム940から化学処理チャンバ411の処理空間462へ分配するように備えられている。1つ以上のオリフィス948からなる第2アレイは、第2ガスを第2ガス分配プレナム942から化学処理チャンバ411の処理空間へ分配するように備えられている。このように構成される結果、第1ガスと第2ガスは、処理空間462以外では相互作用も混合も起こさずにそれぞれ独立して処理空間へ導入される。
【0043】
図4及び図6を参照すると、熱処理システム420は、熱処理チャンバ421内部に設けられている複数の温度制御された基板ホルダ470、熱処理チャンバ421と流体をやり取りするように結合する第2真空排気システム480、及び熱処理チャンバ421と結合する基板リフタ集合体490をさらに有する。基板ホルダ470は、熱処理チャンバ421から実質的に断熱されるように備えられ、かつ基板442’を支持するようにも備えられている。第1真空排気システム450及び第2真空排気システム480は別々なシステムであって良いし、あるいはその代わりに同一の真空排気システムであっても良い。
【0044】
図6で最良に図示されているように、基板ホルダ470の各々は、熱バリア674を用いて熱処理チャンバ421から実質的に断熱された台672を有する。たとえば、各基板ホルダ470はアルミニウム、ステンレス鋼、又はニッケルから製造されて良く、かつ熱バリア674はたとえばテフロン、アルミナ、又は石英のような断熱材から製造されて良い。各基板ホルダ470は、該ホルダ内部に埋め込まれた加熱素子676及び当該ホルダと電気的に結合した温度制御ユニット678をさらに有する。加熱素子676はたとえば抵抗加熱素子を有して良い。基板ホルダ温度制御ユニット678はたとえば、加熱素子と電気的に結合する制御可能なDC電源を有して良い。あるいはその代わりに、複数の温度制御された基板ホルダ470のうちの1つ用の加熱素子676はたとえば、ワトロー(Watlow)社から市販されている最大動作温度が約400℃から約450℃の鋳込みヒータ、又は同じくワトロー(Watlow)社から市販されている約300℃の動作温度で最大約23.35W/cm2の電力密度の窒化アルミニウム材料を含む膜ヒータであって良い。あるいはその代わりに冷却素子は複数の基板ホルダ470のうちの少なくとも1つに内蔵されて良い。
【0045】
温度制御された基板ホルダ470の温度はたとえば熱電対(たとえばK型熱電対、Ptセンサ等)のような温度検知装置を用いて監視されて良い。さらに制御装置は、基板ホルダ470の温度を制御するため、基板ホルダ温度制御ユニット678へのフィードバックとして温度測定を利用して良い。
【0046】
あるいはその代わりに基板温度は、たとえば約50℃から約200℃までの測定が±1.5℃の精度で測定可能なアドバンストエナジー社(Advanced Energies Inc.)から市販されているOR2000F型光ファイバ温度計のような温度検知装置を用いて監視されて良い。他の適切な温度検知装置は特許文献1に記載されているようなバンド端温度測定システムである。
【0047】
熱処理システム420は、選ばれた温度に維持可能な温度制御された熱処理チャンバ421をさらに有する。たとえば加熱素子483は熱処理チャンバ421の壁に熱を輸送するように備えられて良い。加熱素子483はたとえば抵抗加熱素子を有して良い。温度制御ユニット481はたとえば加熱素子483と結合する制御可能なDC電源を有して良い。あるいはその代わりに、又はそれに加えて、冷却素子が熱処理チャンバ421内に用いられて良い。熱処理チャンバ421の温度はたとえば熱電対(たとえばK型熱電対、Ptセンサ等)のような温度検知装置を用いて監視されて良い。さらに制御装置は、熱処理チャンバ421の温度を制御するため、制御ユニット468へのフィードバックとして温度測定を利用して良い。
【0048】
熱処理システム420はさらに上部集合体を有して良く、その上部集合体はたとえば、パージガス、プロセスガス、又は洗浄ガスを熱処理チャンバ421へ導入するガス注入システムを有して良い。あるいはその代わりに熱処理チャンバ421は上部集合体から隔離されたガス注入システムを有して良い。たとえばパージガス、プロセスガス、又は洗浄ガスは、熱処理チャンバの側壁を介して熱処理チャンバ421へ導入されて良い。熱処理チャンバ421はさらにカバー又は縁部を有して良い。その縁部は、その縁部を閉じられた位置に留めるため、ちょうつがい、ハンドル、及び留め具のうちの少なくとも1つを有する。代替実施例では、上部集合体484は、基板リフタ集合体490のブレード1200(図12参照)の上に存在する基板442’’を加熱するタングステンハロゲンランプからなるアレイのような放射性ヒータを有して良い。この場合、基板ホルダ470は熱処理チャンバ421から除かれて良い。
【0049】
熱処理システム420は、選ばれた温度に維持可能な温度制御された上部集合体484をさらに有して良い。たとえば加熱素子685は温度制御ユニット686と電気的に結合して良く、かつ加熱素子685は熱を上部集合体484へ輸送するように備えられて良い。加熱素子685はたとえば抵抗加熱素子を有して良い。上部集合体温度制御ユニット686はたとえば加熱素子685と結合する制御可能なDC電源を有して良い。上部集合体484の温度はたとえば熱電対(たとえばK型熱電対、Ptセンサ等)のような温度検知装置を用いて監視されて良い。さらに制御装置は、上部集合体484の温度を制御するため、温度制御ユニット686へのフィードバックとして温度測定を利用して良い。それに加えて又はその代わりに上部集合体484は冷却素子を有して良い。
【0050】
熱処理システム420は第2真空排気システム480をさらに有する。真空排気システム480はたとえば、真空ポンプ及び絞りバルブ-たとえばゲートバルブ又はバタフライバルブ-を有して良い。真空ポンプはたとえば、約5000/sec(以上)の排気速度のTMPを有して良い。高圧(つまり約100mTorrよりも大きな圧力)での処理では、メカニカルブースターポンプ及びドライ粗引きポンプが用いられて良い。
【0051】
再度図6を参照すると、熱処理システム420は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、熱処理システム420からの出力を監視するのみならず、熱処理システム420への入力をやり取りし、かつ起動させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも第2制御装置675は、基板ホルダ温度制御ユニット678、上部集合体温度制御ユニット686、上部集合体484、熱処理チャンバ壁温度制御ユニット481、真空排気システム480、及び基板リフタ集合体490と結合して情報をやり取りして良い。たとえばメモリ内に記憶されるプログラムは、プロセスレシピに従って、熱処理システム420の上記部材への入力を起動するのに利用されて良い。第2制御装置675の一例はデル株式会社(Dell Corporation)から市販されているDELL PRECISION WORKSTATION610(商標)である。
【0052】
一の実施例では、制御装置535及び675は同一の制御装置であって良い。
【0053】
図4、図6、及び図12を参照すると、熱処理システム420は基板リフタ集合体490をさらに有する。基板リフタ集合体490は、保持面(実線)と基板ホルダ470(破線)との間で、又は中間の搬送面(図示されていない)に基板442’’を垂直方向に並進させて良い。より詳細には基板リフタ集合体490は、基板442’を基板ホルダ470の上面へ下げるだけでなく、基板442’’を基板ホルダ470の上面から保持面又は中間搬送面へ持ち上げるように備えられている。搬送面では、基板442’’は化学処理チャンバ411及び熱処理チャンバ421に対して基板を搬入出するのに利用される搬送システムとやり取りされて良い。保持面では、基板442’’は冷却される一方で、別な基板は搬送システムと化学処理チャンバ411及び熱処理チャンバ421との間でやり取りされて良い。
【0054】
図12で最良に図示されているように、基板リフタ集合体490は、3つ以上のタブ1210を有するブレード1200、基板リフタ集合体490を熱処理チャンバ421へ結合するフランジ1220、及び熱処理チャンバ421内部でのブレード1200の垂直な並進を可能にする駆動システム1230を有する。タブ1210は、上昇した位置で基板442’’を掴み、かつ下降した位置で基板ホルダ470(図6参照)内部に形成された受け取りキャビティ640内部に収まるように備えられている。駆動システム1230はたとえば、様々な仕様を満たすように設計されたニューマティック駆動システムであって良い。様々な仕様には、シリンダストローク長、シリンダストローク速度、位置の精度、回転しない精度等が含まれる。その設計は当業者には既知である。
【0055】
一の実施例では、加熱素子466、483、567、685の各々は抵抗加熱素子-たとえばタングステン、ニッケル-クロム合金、アルミニウム-鉄合金、窒化アルミニウム等-、フィラメントを有して良い。そのような抵抗加熱素子の典型的な材料には、カンタル社(Kanthal Corporations)から市販されているKANTHAL(登録商標)、NIKROTHAL(登録商標)、及びAKRONTHAL(登録商標)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。KANTHAL(登録商標)ファミリーはフェライト合金(FeCrAl)を含む。NIKROTHAL(登録商標)ファミリーはオーステナイト合金(NiCr,NiCrFe)を含む。係る抵抗加熱素子に電流が流れるとき、電力は熱として放散される。
【0056】
代替実施例では、加熱素子466又は483のいずれかが、ワトロー(Watlow)社から市販されているファイアロッドカートリッジヒータを少なくとも1つ有して良い。代替実施例では、加熱素子567又は685のいずれかが、2領域シリコーンゴムヒータ(厚さ約1.0mm)を有して良い。この2領域シリコーンゴムヒータは約1400Wの電力(すなわち約5W/インチ2)を有することができる。
【0057】
図5、図13、及び図14を参照すると、断熱集合体430はインターフェースプレート1331及び該インターフェースプレート1331と結合する断熱プレート1332を有して良い。インターフェースプレート1331は、たとえば図13に図示されているように化学処理チャンバ411と結合し、かつ熱処理チャンバ421(図14参照)と化学処理チャンバ411との間に構造上のコンタクトを形成するように備えられている。断熱プレート1332は、熱処理チャンバ421と化学処理チャンバ411との間での熱的接触を減少させるように備えられている。さらに図13では、インターフェースプレート1331は1つ以上の構造上のコンタクト部材1333を有し、その構造上のコンタクト部材1333は接合表面1334を有し、かつその接合表面1334は熱処理チャンバ421上の接合表面と結合するように備えられている。インターフェースプレート1331は、2つのチャンバ411と421の間での剛性を有するコンタクトを形成するため、金属-たとえばアルミニウム、ステンレス鋼等-で作製されて良い。断熱プレート1332は、熱伝導度の低い材料-たとえばテフロン、アルミナ、石英等-で作製されて良い。
【0058】
ゲートバルブ集合体496は、共通開口部494を開閉するため、ゲートバルブ497を垂直に並進させるのに利用される。ゲートバルブ集合体496はゲートバルブアダプタプレート1439をさらに有して良い。そのゲートバルブアダプタプレート1439は、インターフェースプレート1331を真空封止し、かつゲートバルブ497を封止する。
【0059】
2つのチャンバ411と421は、1つ以上の位置合わせデバイス1435を用い、かつ1つ以上の位置合わせ受け取り体1435’及び第1チャンバ(たとえば化学処理チャンバ411)上のフランジを貫通する1つ以上の固定デバイス1436(つまりボルト)で終端させることによって互いに結合して良い。図14に図示されているように、真空封止は、たとえば1つ以上のエラストマー製o-リング封止1438を用いることによって、断熱プレート1332、ゲートバルブアダプタプレート1439、及び化学処理チャンバ411の間で形成され、かつ、真空封止は、o-リング封止1438によってインターフェースプレート1331と熱処理チャンバ421との間に形成されて良い。
【0060】
さらに化学処理チャンバ411及び熱処理チャンバ421を有する部材の1つ以上の表面は、保護バリアでコーティングされて良い。保護バリアは、カプトン、テフロン、表面陽極酸化、セラミックスプレイコーティング-たとえばアルミナ、イットリア、プラズマ電解酸化等-のうちの少なくとも1つを有して良い。
【0061】
断熱集合体430に似た集合体もまた隔離集合体150として用いられて良い。
【0062】
図15を参照すると、処理システム(図1-図14)の動作方法がフローチャート1510として与えられている。ブロック1510では、基板442が搬送システム130を用いて化学処理システム410へ搬送される。複数の基板442のうちの1つが各基板載せ台440内部に備えられているリフトピン762によって受け取られ、かつ基板442は基板載せ台440にまで下げられる。その後、基板442は静電クランプシステム728を用いることによって固定され、かつ伝熱ガスが基板442の背面に供給される。
【0063】
ブロック1520では、基板442の化学処理に係る1つ以上の化学処理パラメータが設定される。たとえば1つ以上の化学処理パラメータは、処理圧力、壁の温度、基板載せ台の温度、基板温度、ガス分配温度、及びガス流速のうちの少なくとも1つを有する。たとえば以下のうちの1つ以上のことが生じて良い。1)温度制御ユニット468及び第1温度検知デバイスと結合する第1制御装置535が化学処理チャンバ411の温度の設定に用いられる。2)温度制御ユニット569及び第2温度検知デバイスと結合する第1制御装置535が化学処理チャンバ411の化学処理システム温度の設定に用いられる。3)少なくとも1つの温度制御素子及び第3温度検知デバイスと結合する第1制御装置535が基板載せ台440の温度の設定に用いられる。4)温度制御素子、背面ガス供給システム、及びクランプシステムのうちの少なくとも1つ並びに各基板載せ台440内の第4温度検知デバイスと結合する第1制御装置535が基板温度の設定に用いられる。5)第1真空排気システム450又はガス分配システム460のうちの少なくとも1つ及び圧力検知デバイスと結合する第1制御装置535が処理チャンバ411内の処理圧力の設定に用いられる。かつ/あるいは6)1種類以上のプロセスガスのマスフロー速度が、ガス分配システム内の1つ以上のマスフローコントローラと結合する第1制御装置535によって設定される。
【0064】
ブロック1530では、基板442はブロック1520にて設定された条件下で第1周期の間化学処理される。第1周期はたとえば約10秒から約480秒の範囲であって良い。
【0065】
ブロック1540では、基板442が化学処理チャンバ411から熱処理チャンバ421へ搬送される。この期間中、基板クランプが取り外され、かつ基板442の背面への伝熱ガスの流れが止まる。基板442は、基板載せ台440内に設けられているリストピン集合体760を用いることによって、基板載せ台440から搬送面へ垂直に運ばれる。搬送システム130は、リフトピン762から基板442を受け取り、かつ熱処理システム420内に基板442を設置する。基板リフタ集合体490は搬送システム130から基板442を受け取って、その基板442を基板ホルダ470にまで下げる。
【0066】
ブロック1550では、基板442の熱処理に係る1つ以上の熱処理パラメータが設定される。たとえば1つ以上の熱処理パラメータは、壁の温度、上部集合体の温度、基板温度、基板ホルダの温度、及び処理圧力のうちの少なくとも1つを有する。たとえば以下のうちの1つ以上のことが生じて良い。1)温度制御ユニット481及び熱処理チャンバ421内の第1温度検知デバイスと結合する第2制御装置675が壁の温度の設定に用いられる。2)温度制御ユニット686及び上部集合体484内の第2温度検知デバイスと結合する第2制御装置675が上部集合体の温度の設定に用いられる。3)温度制御ユニット678及び加熱された基板ホルダ470内の第3温度検知デバイスと結合する第2制御装置675が基板ホルダの温度の設定に用いられる。4)温度制御ユニット及び加熱された基板ホルダ470内の第4温度検知デバイスと結合して基板442とも結合する第2制御装置675が基板温度の設定に用いられる。かつ/あるいは5)第2真空排気システム480、ガス分配システム460、及び圧力検知デバイスと結合する第2制御装置675が熱処理チャンバ421内の処理圧力の設定に用いられる。
【0067】
ブロック1560では、基板442はブロック1550にて設定された条件下で第2周期の間熱処理される。第2周期はたとえば約10秒から約480秒の範囲であって良い。
【0068】
具体的な例では、図1-図3に図示されている処理システム100は、特許文献2に記載されているように酸化物ハードマスクを除去する化学的な酸化物除去システムのための高スループットシステムを有して良い。当該処理システム100は、基板上の露出した表面層-たとえば酸化物表面層-を化学的に処理する化学処理システム410を有する。ここで露出表面上へのプロセス化学物質の吸着は、表面層の化学改質に影響を及ぼす。それに加えて当該処理システム100は、基板を熱的に処理する熱処理システム420を有する。ここで基板温度は、基板上の化学的に改質した露出表面層を脱離(すなわち蒸発)させるために昇温される。
【0069】
この具体的処理を実施するため、化学処理システム410内の処理空間462(図4)が排気され、かつHF及びNH3を含むプロセスガスが導入される。あるいはその代わりにプロセスガスはさらにキャリアガスを有して良い。キャリアガスはたとえば不活性ガス-たとえばアルゴン、キセノン、ヘリウム等-を有して良い。処理圧力は約1mTorrから約100mTorrの範囲であって良い。あるいはその代わりに処理圧力は約2mTorrから約25mTorrの範囲であって良い。プロセスガス流速は各ガス種につき約1sccmから約200sccmの範囲であって良い。あるいはその代わりに流速は約10sccmから約100sccmの範囲であって良い。図4及び図5に図示されている第1真空排気システム450は化学処理チャンバ411に側部からアクセスするが、均一な(3次元)圧力場を実現することができる。表1は、処理圧力及びガス分配システム460と基板442の上面との間の空間に対する基板表面での圧力の均一性の依存性を表している。
【0070】
【表1】


それに加えて化学処理チャンバ411は、約10℃から約200℃の範囲の温度にまで加熱されて良い。あるいはその代わりにチャンバ温度は約35℃から約55℃の範囲であって良い。それに加えてガス分配システムは約10℃から約200℃の範囲の温度にまで加熱されて良い。あるいはその代わりにガス分配システムは約40℃から約60℃の範囲であって良い。基板は約10℃から約50℃の範囲の温度に維持されて良い。あるいはその代わりに基板は約25℃から約30℃の範囲であって良い。
【0071】
代替実施例では、化学処理チャンバ411は、第1ガス成分HF及び任意である第2ガス成分アンモニア(NH3)を含むプロセスガス混合物を導入するように備えられている。2種類のガス成分は一緒に導入されても良いし、又は互いに独立して導入されても良い。それに加えてガス成分のうちの少なくとも1つがキャリアガス-たとえば不活性ガスのような-と共に導入されても良い。不活性ガスとはたとえばアルゴンのような希ガスを有して良い。複数の基板上の酸化膜を2種類のガス成分に曝露することによって化学処理することで、酸化膜表面から自己制限深さ(self-limiting depth)まで化学改質が起こる。
【0072】
処理圧力は約1mTorrから約1000Torrの範囲であって良い。あるいはその代わりに処理圧力は約2mTorrから約100Torrの範囲であって良い。あるいはその代わりに処理圧力は約5mTorrから約500mTorrの範囲であって良い。プロセスガス流速は各成分につき約1sccmから約10000sccmの範囲であって良い。あるいはその代わりにプロセスガス流速は各成分につき約10sccmから約100sccmの範囲であって良い。
【0073】
それに加えて化学処理チャンバ411は約10℃から約450℃の範囲で動作して良い。あるいはその代わりに化学処理チャンバ411の温度は約30℃から約60℃の範囲であって良い。複数の基板442の温度は約10℃から約450℃の範囲であって良い。あるいはその代わりに基板温度は約30℃から約60℃の範囲であって良い。
【0074】
熱処理システム420では、熱処理チャンバ421は約20℃から約200℃の範囲の温度にまで加熱されて良い。あるいはその代わりにチャンバ温度は約75℃から約100℃の範囲であって良い。それに加えて上部集合体は約20℃から約200℃の範囲の温度にまで加熱されて良い。あるいはその代わりに上部集合体の温度は約75℃から約100℃の範囲であって良い。基板は約100℃を超える温度-たとえば約100℃から約200℃の範囲の温度-にまで加熱されて良い。あるいはその代わりに基板温度は約50℃から約100℃の範囲であって良い。
【0075】
他の実施例では、熱処理システム420は複数の基板442の温度を約50℃から約450℃の範囲の温度にまで昇温し、望ましくは複数の基板442の温度は約100℃から約300℃の範囲であって良い。たとえば基板温度は約100℃から約200℃の範囲であって良い。化学的に改質した酸化物表面層が熱処理されることで、表面層の揮発すなわち蒸発が起こる。
【0076】
本明細書に記載された化学処理システム及び熱処理システムは、約60秒間の熱酸化物の化学処理で約10nm超の露出された酸化物表面層をエッチングし、約180秒間の熱酸化物の化学処理で約25nm超の露出された酸化物表面層をエッチングし、かつ約180秒間のオゾンTEOSの化学処理で約10nm超の露出された酸化物表面層をエッチングすることができる。その処理はまた前記基板全体にわたって約2.5%未満のエッチングばらつきを実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が1層を有する基板を複数処理する処理システムであって:
処理空間、該処理空間内で前記基板を支持するように備えられている複数の温度制御された基板載せ台、及び前記基板上の層を化学的に改質するため前記処理空間へ複数種類のプロセスガスを供給するように備えられているガス分配システムを有する化学処理チャンバ;
複数の温度制御された基板ホルダを有する熱処理チャンバ;並びに、
前記化学処理チャンバと熱処理チャンバとの間に設けられていて前記基板を前記化学処理チャンバと熱処理チャンバとの間で搬送させるように備えられている専用ハンドラを有する隔離集合体;
を有する処理システム。
【請求項2】
さらに制御装置を有する処理システムであって、
前記制御装置は、前記化学処理チャンバの温度、前記ガス分配システムの温度、前記化学処理チャンバの基板ホルダの温度、前記化学処理チャンバでの処理圧力、前記化学処理チャンバでのガス流速、前記熱処理チャンバのチャンバ温度、前記熱処理チャンバの基板ホルダの温度、前記熱処理チャンバでの基板温度、前記熱処理チャンバでの処理圧力、又は前記熱処理チャンバでのガス流速のうちの少なくとも1つの監視及び制御を行うように備えられている、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記隔離集合体が断熱及び真空隔離のうちの少なくとも1つを供する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記隔離集合体が断熱集合体又はゲートバルブ集合体のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記温度制御された基板載せ台が、静電クランプシステム、背面ガス供給システム、又は温度制御素子のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記基板載せ台の各々が、冷却チャネル、加熱チャネル、抵抗加熱素子、及び熱電デバイスからなる群から選ばれる第1熱交換素子を有する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記ガス分配システムが複数のガス注入オリフィスを備えたガス分配プレートを有する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項8】
前記ガス分配システムが:
第1ガス分配プレナム;
前記処理空間と第1ガスを結合する複数のオリフィスからなる第1アレイ、及び複数のオリフィスからなる第2アレイを有する第1ガス分配プレート;
第2ガス分配プレナム;並びに、
前記処理空間に第2ガスを結合するための流路を内部に有する第2ガス分配プレート;
を有し、
前記第2ガスは前記の第2ガス分配プレート内の流路及び前記の第1ガス分配プレート内の第2アレイを介して前記処理空間に結合する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項9】
各々が処理可能な材料で構成された1層の層を有する複数の基板を、熱処理チャンバと結合する化学処理チャンバを有するシステム内で処理する方法であって:
化学処理システム内で前記基板を複数の種類のプロセスガスに曝露することで、前記基板の各々の上に設けられた前記層中の処理可能な材料を化学的に改質する工程;
熱処理システム内で前記基板及び該基板の各々の上に設けられた層を加熱する工程;
専用ハンドラを用いて前記基板を前記熱処理チャンバから前記化学処理チャンバへ搬送する工程;並びに、
前記基板が前記化学処理チャンバ又は熱処理チャンバ内で処理されるときに前記化学処理チャンバを前記熱処理チャンバから隔離する工程;
を有する方法。
【請求項10】
前記プロセスガスがHF及びNH3を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化学処理チャンバの温度が10℃から200℃の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化学処理チャンバの動作圧力が1mTorrから100mTorrの範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
各々が少なくとも1層の露出した酸化物表面層を有する複数の基板を処理する方法であって:
化学処理チャンバ内で前記基板を複数の種類のプロセスガスに曝露することで、前記基板の各々の上に設けられた前記少なくとも1層の露出した酸化物表面層を化学的に改質する工程;
前記基板を前記化学処理チャンバから熱処理チャンバへ搬送する工程;
前記プロセスガスへの曝露後に前記少なくとも1層の露出した酸化物表面層がエッチングされるように、前記熱処理チャンバ内で前記少なくとも1層の露出した酸化物表面層を熱処理する工程;並びに、
前記化学処理及び熱処理中、前記化学処理チャンバと前記熱処理チャンバとを互いに隔離する工程;
を有する方法。
【請求項14】
前記露出した酸化物表面層が熱酸化物で、かつ
前記熱処理は、60秒間の化学処理で10nm超の前記熱酸化物をエッチングするのに有効である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記露出した酸化物表面層が熱酸化物で、かつ
前記熱処理は、180秒間の化学処理で25nm超の前記熱酸化物をエッチングする、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記露出した酸化物表面層がオゾンTEOS酸化物で、かつ
前記熱処理は、180秒間の化学処理で10nm超の前記TEOS酸化物をエッチングする、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記基板のうちの少なくとも1つの全体にわたる前記露出した酸化物表面層のエッチング量のばらつきが2.5%以下である、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−520649(P2010−520649A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552817(P2009−552817)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/055623
【国際公開番号】WO2008/109504
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】