説明

DPP−IV阻害剤

本発明は式(I)の化合物に関する:(I)、式中、Z、R1-5、X、n、A1およびA2は、説明および特許請求の範囲に記載される通りの意味を持つ。該化合物はDPP-IV阻害剤として有用である。本発明は、このような化合物の調製、ならびに薬剤としてのその製造にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、しばしばインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と呼ばれるII型糖尿病、ならびに肥満および脂質障害などのこの疾患にしばしば関連する状態の治療において、その薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む、治療用化合物として有用な新しい分類のジペプチジルペプチダーゼ阻害剤に関する。本発明は、このような阻害剤の調製のための過程にも関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、原因となる多くの要因から派生して、絶食状態または経口ブドウ糖負荷試験におけるブドウ糖投与後の血漿中ブドウ糖値の上昇または高血糖を特徴とする疾患プロセスを指す。持続性または管理不能高血糖は、切迫および死亡の増加および早期発生に関連する。ブドウ糖ホメオスタシスの異常は、しばしば、脂質、リポタンパク質およびアポリポタンパク質代謝の異常、ならびにその他の代謝および血行力学疾患に直接および間接的に関連する。従って、II型糖尿病患者は、冠動脈心疾患、卒中発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、ニューロパシーおよび網膜症を含む大血管性および小血管性合併症のリスクが増大する。従って、ブドウ糖ホメオスタシス、脂質代謝および高血圧の治療的管理は、糖尿病の臨床的管理および治療において極めて重要である。
【0003】
糖尿病には一般的に認識された二つの型がある。I型またはインスリン依存性糖尿病(IDDM)の場合、患者はブドウ糖利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんどまたは全く産生しない。II型またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、患者はしばしば、糖尿病でない対象に比べて同一または高い血漿中インスリン値を示す。これらの患者は、主たるインスリン感受性組織、つまり、筋、肝および脂肪組織におけるブドウ糖および脂質代謝に対するインスリン刺激作用に対して抵抗性を生じる。さらに、上昇した血漿中インスリン値は、顕著なインスリン抵抗性を克服するには不十分である。
【0004】
インスリン抵抗性は、主に、インスリンレセプターの数の減少によるものではなく、まだ理解されていない後インスリンレセプター結合障害によるものである。このインスリン反応性に対する抵抗性の結果、筋におけるブドウ糖の取り込み、酸化および貯蔵のインスリン活性化が不足し、脂肪組織における脂質分解および肝におけるブドウ糖の産生および分泌のインスリン抑制が不十分となる。
【0005】
II型糖尿病の有効な治療は、長年、実質的に変化しておらず、限界があることが認識されている。身体的運動および食事性のカロリー摂取の減少は糖尿病状態を劇的に改善するが、すっかり定着した座位中心のライフスタイルおよび食物、特に飽和脂肪酸を多量の含む食物の過剰摂取のために、この治療法のコンプライアンスは極めて低い。膵β細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えば、トルブタミドおよびグリピジド)もしくはメグリチニドの投与、および/またはスルホニル尿素もしくはメグリチニドが機能しなくなった場合にインスリンの注入によって血漿中インスリン値を上昇させると、インスリン濃度はインスリン抵抗性組織を十分に刺激し得るほど高くなる。しかし、インスリンまたはインスリン分泌促進物質(スルホニル尿素またはメグリチニド)の投与に起因して血漿中ブドウ糖値が危険なほど低くなる可能性があり、またより高い血漿中インスリン値に起因して高レベルのインスリン抵抗性が生じることもある。ビグアナイドはインスリン感受性を高め、高血糖をある程度是正する。しかし、2つのビグアナイドであるフェンホルミンおよびメトフォルミンは乳酸アシドーシスおよび悪心/下痢を誘発する可能性がある。メトフォルミンはフェンホルミンよりも副作用が少なく、しばしば、II型糖尿病の治療のために処方される。
【0006】
グリタゾン(即ち、5-ベンジルチアゾリジン-2,4-ジオン)は、II型糖尿病の多くの症状を緩和する可能性のある最近報告されたクラスの化合物である。これらの物質は、II型糖尿病の複数の動物モデルにおいて筋、肝および脂肪組織のインスリン感受性を実質的に高めて、それにより、低血糖症の発症を伴うことなく上昇した血漿中ブドウ糖値をある程度または完全に是正する。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)、主としてPPAR-γサブタイプのアゴニストである。PPAR-γアゴニストは、一般に、グリタゾンを用いて認められるインスリン感受性の亢進を司ると信じられている。II型糖尿病の治療について試験が行われているより新しいPPARアゴニストは、α、γ、もしくはδのサブタイプのアゴニスト、またはこれらの組み合わせであり、多くの場合、グリタゾンとは化学的に異なる(即ち、それらはチアゾリジンジオンではない)。トログリタゾンなどのいくつかのグリタゾンに伴って、重篤な副作用(例えば、肝毒性)が発現している。
【0007】
この疾患のその他の治療方法は、未だ、試験中である。最近導入された、またはまだ開発中である新しい生化学的アプローチは、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)およびタンパク質であるチロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤を用いた治療を含む。
【0008】
ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-IV)酵素の阻害剤である化合物も、糖尿病、特にII型糖尿病の治療において有用であり得る薬物として、検討中である。例えば、WO-A-97/40832、WO-A-98/19998、WO-A-03/180およびWO-A-03/181を参照されたい。II型糖尿病の治療におけるDPP-IV阻害剤の有用性は、DPP-IVがインビボにおいてグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)および胃抑制性ペプチド(GIP)を容易に不活化するという事実に基づくものである。GLP-1およびGIPはインクレチンであり、食物摂取時に産生される。このインクレチンはインスリンの産生を刺激する。DPP-IVの阻害はインクレチンを不活化し、この結果、膵臓によるインスリン産生の刺激におけるインクレチンの有効性が増大する。従って、DPP-IVの阻害は血清中インスリン値を上昇させる。好都合なことに、インクレチンは生体によって食物摂取時にのみ産生されるので、DPP-IV阻害が、極端に低い血糖値(低血糖症)に至る可能性のある食間などの不適切な時期にインスリン値を増加させることは期待されない。従って、DPP-IVの阻害は、インスリン分泌促進物質の使用に関連する危険な副作用である低血糖症のリスクを増大させることなくインスリンを増加させると期待される。
【発明の開示】
【0009】
DPP-IV阻害剤には、本出願において他に考察するように、その他の治療上の有用性もある可能性がある。DPP-IV阻害剤については、特に糖尿病以外の有用性に関しては、現在まで徹底した研究は行われていなかった。糖尿病ならびに潜在的なその他の疾患および状態の治療のために改良されたDPP-IV阻害剤が見出され得るために新しい化合物が必要である。
【0010】
従って、本発明の目的は、II型糖尿病およびその他のDPP-IV変調疾患の治療において有効であり得る新しいクラスのDPP-IV阻害剤を提供することである。
【0011】
従って、本発明は、特許請求の範囲に規定されるように式(I)の新規化合物を提供する。
【0012】
好ましくは、本発明は式(I)の新規化合物:

またはその薬学的に許容される塩を提供する、式中、
Zは以下からなる群より選択される
フェニル;
ナフチル;
C3-7シクロアルキル;
ヘテロ環;および
ヘテロ二環;
式中、Zは以下の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい
ハロゲン;
CN;
OH;
=O、この場合、環は少なくとも部分的に飽和している;
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;および
O-C16アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
R1、R2、R4、R5は、以下からなる群より互いに独立して選択される
H;
F;
OH;
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;および
O-C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR1およびR2は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR2およびR3は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR3およびR4は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR4およびR5は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
R3はHまたはC1-6アルキルである;
Xは以下からなる群より選択される
H;
F;および
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
nは0、1または2である;
A1、A2は、以下からなる群より互いに独立して選択される
H;
ハロゲン;
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;および
A1およびA2の一方であるという条件で、R6
R6は-C(R7R8)-Y-Tである;
R7、R8は、以下からなる群より互いに独立して選択される、
H;
F;および
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR7およびR8は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
Yは以下からなる群より選択される
-O-;
-C1-6アルキル-O-;
-N(R9)-;
-C1-6アルキル-N(R9)-
-S-;
-C1-6アルキル-S-;
-S(O)-;
-C1-6アルキル-S(O)-;
-S(O)2;および
-C1-6アルキル-S(O)2-;
式中、それぞれのC1-6アルキルは 一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
R9、Tは互いにT1-T2またはT2から独立である;
T1は、以下からなる群より選択される、
-C1-6アルキル-;
-C1-6アルキル-O-
-C1-6アルキル-N(R10)-
-C(O)-;
-C(O)-C1-6アルキル-;
-C(O)-C1-6アルキル-O-;
-C(O)-C1-6アルキル-N(R10)-;
-C(O)O-;
-C(O)O-C1-6アルキル-;
-C(O)O-C1-6アルキル-O-;
-C(O)O-C1-6アルキル-N(R10)-;
-C(O)N(R10)-;
-C(O)N(R10)-C1-6アルキル-;
-C(O)N(R10)-C1-6アルキル-O-;
-C(O)N(R10)-C1-6アルキル-N(R11)-;
-S(O)2-;
-S(O)2-C1-6アルキル-;
-S(O)2-C1-6アルキル-O-;および
-S(O)2-C1-6アルキル-N(R10)-;
式中、それぞれのC1-6アルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
R10、R11は互いにHまたはC1-6アルキルから独立であり、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
T2は以下からなる群より選択される、
H;
フェニル;
ナフチル;
式中、フェニルおよびナフチルは以下の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい、
ハロゲン;
CN;
R12
COOH;
OH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
COOT3
OT3
C(O)NHT3
S(O)2NHT3;または
T3
C3-7シクロアルキル;
ヘテロ環;および
ヘテロ二環;
式中、C3-7シクロアルキル、ヘテロ環およびヘテロ二環は以下の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい、
ハロゲン;
CN;
R13
OH;
=O、この場合、環は少なくとも部分的に飽和している;
NH2
COOH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
COOT3
OT3
C(O)NHT3
S(O)2NHT3
NHT3;または
T3
R12は以下からなる群より選択される、
C1-6アルキル;
O-C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R15)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R17)-C1-6アルキル;
S(O)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;および
N(R18)S(O)2-C1-6アルキル;
式中、それぞれのC1-6アルキルは、F、COOR19、C(O)N(R20R21)、S(O)2N(R22R23)、OR24、N(R25R26)、T3、O-T3またはN(R27)-T3の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい;
R13は以下からなる群より選択される、
C1-6アルキル;
O-C1-6アルキル;
N(R14)-C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R15)-C1-6アルキル;
N(R16)-C(O)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R17)-C1-6アルキル;
S(O)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;および
-N(R18)S(O)2-C1-6アルキル;
式中、それぞれのC1-6アルキルは、F、COOR19、C(O)N(R20R21)、S(O)2N(R22R23)、OR24、N(R25R26)、T3、O-T3またはN(R27)-T3の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい;
R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27は、互いにHまたはC1-6アルキルから独立である;
T3は以下からなる群より選択される、
フェニル;
ナフチル;
式中、フェニルおよびナフチルは以下の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい、
ハロゲン;
CN;
COOH;
OH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
C1-6アルキル;
O- C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R28)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R29)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;または
N(R30)S(O)2-C1-6アルキル;
ヘテロ環;
ヘテロ二環;および
C3-7シクロアルキル;
式中、C3-7シクロアルキル、ヘテロ環およびヘテロ二環は、以下の一つ、または互いに独立の複数で置換されていてもよい
ハロゲン;
CN;
OH;
=O、この場合、環は少なくとも部分的に飽和している;
NH2
COOH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
C1-6アルキル;
O-C16アルキル;
N(R31)- C1-6アルキル;
COO- C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R32)-C1-6アルキル;
N(R33)-C(O)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R34)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;または
-N(R35)S(O)2-C1-6アルキル。
【0013】
本発明の意味の範囲内において、用語は以下の通り用いられる:
【0014】
「アルキル」は、二重または三重結合を含み得る直鎖または分岐炭素鎖を意味する。一般に、アルキルは二重または三重結合は含まないことが好ましい。「C1-6アルキル」は、例えば、メチル、エチル、-CH=CH2、-C=-CH、n-プロピル、イソプロピル、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、n-ブチル、イソブチル、-CH=CH-CH2-CH3、-CH=CH-CH=CH2、sec-ブチルtert-ブチル、n-ペンタン、n-ヘキサン、または例えば-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)-、-C(CH2)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-CH(CH3)2-の中の1〜6個の炭素原子を持つアルキル鎖を意味する。C1-6アルキル炭素の各水素は、置換基で置換することができる。
【0015】
「C3-7シクロアルキル」は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどの3〜7個の炭素原子を持つ環式アルキル鎖を意味する。シクロアルキル炭素の各水素は、置換基で置換することができる。
【0016】
「ハロゲン」は、フッ化、塩化、臭化またはヨウ化を意味する。一般に、ハロゲンはフッ化または塩化であることが好ましい。
【0017】
「ヘテロ環」は、最大数までの二重結合を含み得るシクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロヘプタン環(完全飽和、一部飽和、または未飽和の芳香環または非芳香環)を意味し、少なくとも1個から最大4個までの炭素原子が硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素および窒素(=N(O)-を含む)からなる群より選択されるヘテロ原子によって置換され、環は炭素または窒素原子を介して分子のその他の部分と連結する。ヘテロ環の例は、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、イソキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルフォリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、アゼピンまたはホモピペラジンである。
【0018】
「ヘテロ二環」は、二環式環構造を形成するためにフェニルまたは一つの追加のヘテロ環と共に縮合したヘテロ環を意味する。二環式環構造を形成するための「縮合」は、2つの環が2つの環原子を共有することによって互いに結合することを意味する。ヘテロ二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズオキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、ジヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンズアゼピン、プリンまたはプテリジンである。
【0019】
本発明に基づく化合物の好ましい立体化学を式(Ia)に示す

式(I)または(Ia)の好ましい化合物は、その中に含まれる一つまたは複数の残基が以下に示す意味を持つ化合物であり、好ましい置換基の定義のすべての組み合わせが本発明の対象である。式(I)または(Ia)のすべての好ましい化合物に関して、本発明は、すべての互変異性および立体異性型ならびにすべての割合のその混合物、およびそれらの薬学的に許容される塩も含む。
【0020】
本発明の好ましい態様において、互いに独立の式(I)または(Ia)のR1-R5、Z、X、n、A1およびA2の置換基は以下の意味を持つ。従って、R1-R5、Z、X、n、A1およびA2の置換基の一つまたは複数は、以下に示される好ましいまたはより好ましい意味を持つことができる。
【0021】
Zは好ましくはフェニルまたはヘテロ環であり、Zは互いに独立して1、2または3個、より好ましくは最大2または3個のCl、F、CN、CH3またはOCH3で置換されていてもよい。一つの態様において、Zは最大3個のFで置換される。
【0022】
好ましくは、R1、R2、R4、R5は互いに独立してH、F、OH CH3またはOCH3からなる群より選択される。
【0023】
好ましくは、R3はHである。
【0024】
好ましくは、XはH、FまたはCH3である。
【0025】
好ましくはnは1である。その他の態様において、nは0または2である。
【0026】
好ましくは、A1がR6であり、A2はH、FまたはCH3である。この場合、nは、好ましくは1または2である。その他の態様において、特にnが0または2である場合、A2はこのましくはR6である。この場合、好ましくはA2はH、FまたはCH3である。
【0027】
R6は好ましくは-CH2-Y-Tである。
【0028】
Yは好ましくは-O-、-N(R9)-または-S(O)2-であり、より好ましくは-O-または-N(R9)-である。
【0029】
好ましくは、R9は、H、CH3、COOH、COOCH3、C(O)NH2、C(O)N(CH3)2、およびS(O)2CH3からなる群より選択されて、より好ましくはH、CH3であり、最も好ましくはHである。
【0030】
TはT1-T2またはT2であり、T1は以下からなる群より選択されることが好ましい
-CH2-;
-C(O)-;
-C(O)-CH2-;
-C(O)O-;
-C(O)O-CH2-;
-C(O)NH-;
-C(O)NH-CH2-;
-S(O)2-;および
-S(O)2-CH2-。
【0031】
より好ましくは、T1は、-C(O)-;-CH2-;-S(O)2-;および-C(O)NH-からなる群より選択される。
【0032】
TはT1-T2であることが好ましい。この場合、T1-T2は、好ましくは以下に定義される基である。
【0033】
一つの態様において、T1-T2は好ましくはCH2-フェニルであり、それによってフェニルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される、好ましくはF、Cl、O-Me、MeまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る。一つの態様において、T1-T2は好ましくはCH2-C3-7シクロアルキルであり、より好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルであり、さらに好ましくはシクロプロピルであり、それによってシクロアルキルはハロゲン;CN;OH;NH2COOH;C(O)NH2;またはS(O)2NH2、より好ましくはCOOHまたはC(O)NH2の1または2個、好ましくは1個と置換され得る。一つの態様において、T1-T2は好ましくはC1-4アルキルであり、好ましくはメチル、エチルまたはプロピルであり、最も好ましくはメチルである。一つの態様において、T1-T2は好ましくはC(O)-フェニルであり、それによってフェニルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される、好ましくはF、Cl、O-Me、MeまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る。一つの態様において、T1-T2は好ましくはC(O)-C3-7シクロアルキルであり、より好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルであり、さらに好ましくはシクロプロピルであり、それによって、シクロアルキルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルから選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得て、それによって、アルキルは1〜3個のFでさらに置換され得る;より好ましくはシクロアルキルは1〜3個のFで置換された1個のC1-4アルキルで置換され得る。一つの態様において、T1-T2は好ましくはC(O)-ヘテロ環であり、それによって、ヘテロ環はハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る;好ましくは、このヘテロ環は芳香族であり、より好ましくは、NおよびOから選択される1または2個のヘテロ原子を含む芳香族であり、最も好ましくはNを含む芳香族である。一つの態様において、T1-T2は好ましくはS(O)2-フェニルであり、それによってフェニルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される、好ましくはF、Cl、O-Me、MeまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る。一つの態様において、T1-T2は好ましくはS(O)2-C3-7シクロアルキルであり、より好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルであり、さらに好ましくはシクロプロピルであり、それによって、シクロアルキルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルから選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得て、それによって、アルキルは1〜3個のFでさらに置換され得る;より好ましくはシクロアルキルは1〜3個のFで置換された1個のC1-4アルキルで置換され得る。一つの態様において、T1-T2は好ましくはS(O)2-C1-4アルキルであり、好ましくはS(O)2CH3である。
【0034】
一つの態様において、T1-T2は好ましくはC(O)-NH -フェニルであり、それによってフェニルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る。
【0035】
TがT2である場合、Tは好ましくは以下に定義される基である。
【0036】
一つの態様において、T2は好ましくはHである。一つの態様において、T2は好ましくはフェニルであり、それによってフェニルはハロゲン、CN、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される、好ましくはF、Cl、O-Me、MeまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る。一つの態様において、T2は好ましくはヘテロ環であり、それによって、ヘテロ環はハロゲン、CN、フェニル、ヘテロ環、O-C1-4アルキル、C1-4アルキルまたはS(O)2CH3から選択される1〜3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で置換され得る;好ましくは、このヘテロ環は芳香族であり、より好ましくは、NおよびOから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む芳香族であり、最も好ましくはNを含む芳香族である。ヘテロ環がフェニルまたはヘテロ環で置換される場合、このヘテロ環は好ましくは芳香族であり、より好ましくはNおよびOから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む芳香族であり、最も好ましくはNを含む芳香族であり、このフェニルまたはヘテロ環は1または2個のFまたはS(O)2CH3でさらに置換され得る。
【0037】
一つの態様において、T2は好ましくはCF3である。
【0038】
T2は、好ましくはフェニルまたはヘテロ環である。
【0039】
好ましくはR6は-CH2-N(R36)-Tであり、R36はH、S(O)2CH3またはS(O)2-C3-7シクロアルキルであり、最も好ましくはHである。
【0040】
一つの態様において、R6は-CH2-O-Tである。
【0041】
YがR9の官能基を含む場合、態様においては以下が好ましい: R9はT1-T2であり、-C1-6アルキルを示し、TはT1-T2であって-C1-6アルキルを示し、R9およびTは連結して1個のNを含む3〜7員環、好ましくは5または6員環の官能基を形成し得る。
【0042】
上記の官能基の一部またはすべてが好ましいまたはより好ましい意味を持つ式(I)または(Ia)の化合物も本発明の対象である。
【0043】
本発明に基づく化合物の好ましい態様を、式(IIa)〜(IIi)に示す。



【0044】
以下の化合物も好ましい:









【0045】
さらに、本発明は上記のように本発明の化合物のプロドラッグ化合物を提供する。
【0046】
「プロドラッグ化合物」は、生体内の生理学的条件下において、酵素、胃酸などとの反応、例えば、それぞれが酵素的に行われる酸化、還元、加水分解などの反応によって、本発明に基づく化合物に転換される誘導体を意味する。プロドラッグの例は、本発明の化合物内のアミノ基がアセチル化、アルキル化またはホスホリレート化して、例えば、エイコサノイルアミノ、アラニルアミノ、ピバロイロキシメチルアミノを形成する化合物、またはヒドロキシル基がアセチル化、アルキル化、ホスホリレート化、またはアセチロキシ、パルミトイロキシ、ピバロイロキシ、サクシニロキシ、フマリロキシ、アラニロキシなどのホウ酸塩に転換する化合物、またはカルボキシル基がエステル化もしくはアミド化する化合物である。これらの化合物は、本発明の化合物から周知の方法に従って産生することができる。
【0047】
式(I)または(Ia)の化合物の代謝物も、本発明の範囲内である。
【0048】
一般式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはそれらのプロドラッグの、例えばケト・エノール互変異性体のような互変異性体が生じ得る場合、ケト体およびエノール体のような個々の型は別々に、および任意の割合の混合物として一緒に特許請求される。鏡像異性体、シス/トランス異性体、配座異性体などの立体異性体についても、同様である。所望ならば、異性体は、例えば、液体クロマトグラフィーなど、当技術分野において周知の方法によって分離することができる。鏡像異性体についても、例えば、キラル固定相などを使用することによって、同様のことが当てはまる。さらに、鏡像異性体は、ジアステレオマーに転換、即ち、鏡像異性体的に純粋な補助化合物とのカップリング、続いて得られたジアステレオマーの分離、および補助残渣の開裂によって単離することもできる。または、式(I)または(Ia)の化合物の任意の鏡像異性体は、任意で純粋な開始物質を用いて立体選択的合成から得ることもできる。
【0049】
式(I)または(Ia)に基づく化合物が一つまたは複数の酸性または塩基性官能基を含む場合、本発明はそれらの対応する薬学的または毒性学的に許容される塩、特にそれらの薬学的に利用可能な塩をさらに含む。
【0050】
このように、酸性官能基を含む式(I)または(Ia)の化合物はこれらの基に存在することができて、例えば、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、またはアンモニウム塩として本発明に従って使用することができる。このような塩のより正確な例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、またはアンモニアもしくは例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンまたはアミノ酸などの有機アミンとの塩が含まれる。一つまたは複数の塩基性官能基、即ち、プロトン化することができる官能基を含む式(I)または(Ia)の化合物が存在し得て、無機または有機酸との付加塩の形で本発明に従って使用することができる。適切な酸の例には、塩酸、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、蟻酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミニン酸(sulfaminic acid)、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、および当業者に公知のその他の酸が含まれる。式(I)または(Ia)の化合物が分子内に酸性および塩基性の基を同時に含む場合、本発明は上述の塩の型に加えて、分子内塩またはベタイン(両性イオン)も含む。式(I)または(Ia)に基づく代表的な塩は、例えば、これらを溶媒または分散剤中の有機もしくは無機の酸もしくは塩基と接触させることによって、またはその他の塩を用いた陰イオン交換もしくは陽イオン交換によるなど、当業者に公知である慣例的方法によって得ることができる。本発明は、生理学的適合性が低いために、そのままでは薬剤への使用には適切でないが、化学反応のための中間体として、または薬学的に許容される塩の調製のために用いることができる式(I)または(Ia)の化合物のすべての塩をさらに含む。
【0051】
本発明は、DPP-IV阻害剤である一般式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはそれらのプロドラッグを提供する。DPP-IVは、様々な生物学的機能に関与している細胞表面タンパク質である。この物質は、幅広い組織分布(腸、腎、肝、膵、胎盤、胸腺、脾、上皮細胞、血管内皮細胞、リンパ系および骨髄細胞、血清)ならびに特徴的な組織および細胞タイプ発現量を持つ。DPP-IVはT細胞活性化マーカーであるCD26と一致し、インビトロにおいて多くの免疫調節ペプチド、内分泌ペプチドおよび神経学的ペプチドを開裂することができる。これは、このペプチダーゼの様々な疾患プロセスにおける潜在的役割を示唆している。
【0052】
DPP-IV関連疾患は、参照により本明細書に組み入れられるWO-A-03/181の「ユーティリティー」のパラグラフに詳細に記載されている。
【0053】
従って、本発明は、薬剤としての使用のための式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはそれらのプロドラッグもしくはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
さらに、本発明は、インスリン非依存性(II型)糖尿病;高血糖;肥満;インスリン抵抗性;脂質障害;異常脂肪血症;高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;HDL減少;LDL増加;アテローム性動脈硬化症;成長ホルモン欠乏症;免疫応答関連疾患;HIV感染;好中球減少症;神経障害;不安;うつ病;腫瘍転移;良性前立腺肥大;歯肉炎;高血圧;骨粗鬆症;精子運動性関連疾患;耐糖能低下;インスリン抵抗性;イスト(ist)続発症;血管再狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む;その他の炎症状態;膵炎;腹部肥満;神経変性疾患;網膜症;腎症;ニューロパシー;シンドロームX;卵巣高アンドロゲン症(多嚢胞性卵巣症候群;n型糖尿病;または成長ホルモン欠乏症の治療または予防のための薬剤の製造のための式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはそれらのプロドラッグもしくはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。好ましくは、インスリン非依存性(II型)糖尿病および肥満である。
【0055】
本発明は、活性成分として式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはそのプロドラッグもしくはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と共に含む薬学的組成物を提供する。
【0056】
「薬学的組成物」は、一つまたは複数の活性成分、および担体を形成する一つまたは複数の不活性成分、ならびに任意の2つまたはそれよりも多い成分の組み合わせ、複合体形成もしくは凝集から、または1つもしくは複数の成分の解離から、または1つもしくは複数の成分のその他のタイプの反応もしくは相互作用から直接的または間接的に生じる任意の産物を意味する。従って、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体の混合によって作成される任意の組成物を含む。
【0057】
本発明の薬学的組成物は、活性成分として、式(I)もしくは(Ia)の一つまたは複数の追加化合物、またはプロドラッグ化合物もしくはその他のDPP-IV阻害剤などの、1つまたは複数のその他の化合物をさらに含み得る。 その他の活性成分は、参照により本明細書に組み入れられるWO-A-03/181において「併用療法」のパラグラフに開示される。 従って、その他の活性成分は、インスリン感作物質;PPARアゴニスト;ビグアナイド;タンパク質であるチロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤;インスリンおよびインスリン模倣物質;スルホニル尿素およびその他のインスリン分泌促進物質;a-グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴンレセプターアンタゴニスト;GLP-1、GLP-1模倣物質およびGLP-1レセプターアゴニスト;GIP、GIP模倣物質およびGIPレセプターアゴニスト;PACAP、PACAP模倣物質およびPACAPレセプター3アゴニスト;コレステロール低下剤;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;捕捉剤;ニコチニルアルコール;ニコチン酸またはその塩;PPARaアゴニスト;PPARolyデュアルアゴニスト;コレステロール吸収阻害剤;アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;抗酸化剤;PPARoアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;もしくは抗炎症剤、またはこれらの活性化合物の薬学的に許容される塩であり得る。
【0058】
「薬学的に許容される塩」という用語は、無機の塩基または酸および有機の塩基または酸を含む、薬学的に許容される無毒の塩基または酸から調製される塩を指す。
【0059】
この組成物には経口、経直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、眼球(眼)、肺(経鼻または経頬吸入)、または経鼻投与が含まれるが、任意の所与のケースにおいて最も適切な経路は治療される状態の特徴および程度、ならびに活性成分の特徴に依存するであろう。それらは単位投与剤形として便利に提供され得て、薬学の技術分野において周知の任意の方法によって調製され得る。
【0060】
実用面では、式(I)または(Ia)の化合物は、簡便な薬学的化合物形成技術に従って、密接混合物において活性成分として薬学的担体と混合することができる。担体は、例えば、経口または非経口(静脈内を含む)などの投与に望ましい調製物の剤形に依存して、様々な剤形をとり得る。経口投与剤形のための組成物の調製では、例えば、懸濁剤、エリキシル剤および溶液などの経口用液体調製物の場合は水、グリコール、油、アルコール、香料物質、保存剤、着色物質などの通常の任意の薬学的媒質が用いられ得て、または例えば粉末、ハードカプセルおよびソフトカプセル、ならびにタブレットなどの経口用固体調製物の場合はデンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化物質、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの通常の任意の薬学的担体が用いられ得て、液体調製物よりも固体の経口用調製物が好ましい。
【0061】
投与が簡便であることから、明らかに固体の薬学的担体が用いられる場合はタブレットおよびカプセルがもっとも有利な経口投与単位剤形である。所望ならば、タブレットは標準的な水性または非水性技術によってコーティングしてもよい。このような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。勿論、これらの組成物中の活性化合物のパーセントは変更することができて、簡便には投与単位の重量に対して約2%〜約60%とすることができる。このような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は有効投与量が得られる量である。活性化合物は、例えば、液体の小滴またはスプレーとして経鼻的に投与することもできる。
【0062】
タブレット、丸剤、カプセルなどは、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味料剤を含むこともできる。投与単位剤形がカプセルである場合は、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体の担体を加えることができる。
【0063】
その他に様々な物質が、コーティング剤として、または投与単位の物理的形状を変化させるために加えることができる。例えば、タブレットは、シェラック、糖または双方でコーティングしてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味料剤としてのショ糖、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素、ならびにチェリーまたはオレンジフレーバーなどの香料剤を含んでもよい。
【0064】
式(I)または(Ia)の化合物は非経口的に投与してもよい。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中で調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの油中混合液中で分散剤を作製することもできる。通常の保存および使用の条件下において、これらの調製物は微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。
【0065】
注射可能な使用に適した薬学的剤形には、無菌の水性の溶液または分散液、および無菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。いずれの場合も、その剤形は無菌でなければならず、かつ、シリンジ操作性が容易であるという点で液体でなければならない。組成物は、製造および貯蔵条件下において安定であり、しかも、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されて保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒質であることもできる。哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効量を提供するために、任意の適切な投与経路が用いられ得る。例えば、経口、経直腸、局所、非経口、眼、肺、経鼻などが用いられ得る。投与剤形には、タブレット、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどが含まれる。好ましくは、式(I)または(Ia)の化合物は経口的に投与される。
【0066】
用いられる活性成分の有効投与量は、用いられる特定の化合物、投与経路、治療される状態、および治療される状態の程度に応じて変更してよい。このような投与量は、当業者によって確認され得る。
【0067】
糖尿病および/または高血糖もしくは高トリグリセリド血症、または式Iの化合物が適用とされるその他の疾患を治療または予防する場合、本発明の化合物が動物の体重kg当たり約0.1mg〜約100mgの一日投与量で投与されると全般的に満足な結果が得られて、好ましくは一日一回投与として、もしくは一日2回から6回の分割投与にて、または持続放出剤形にて投与される。大半の大型哺乳類において、総一日投与量は約1.0mg〜約1000mgであり、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人の場合、総一日投与量は一般に約7mg〜約350mgであろう。この投与計画は、最適な治療反応を得るために調整することができる。
【0068】
本発明の式(I)の化合物は、標準的なペプチドカップリング条件を用いて、式(IV)のようなベータアミノ酸中間体および式(III)のような置換型アミン中間体から調製されることができる。これらの中間体の調製については、以下のスキームで説明する。
【0069】
本出願において用いられ得るいくつかの略号は以下の通りである。
【0070】
略号
名称
bs 幅広一重線
bm 幅広多重線
Boc(またはBOC) tert-ブトキシカルボニル
CDI N,N-カルボニルジイミダゾール
DCE 1,2-ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
EDC 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
Et3N トリエチルアミン
Fmoc 9-フルオレニルメトキシカルボニル
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HCI 塩酸
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
M.P. 融点
NMR 核磁気共鳴
PG 保護基
rt 保持時間
tBuOH tert-ブタノール
TFA トリフルオロ酢酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0071】
有効な開始材料は式(III)を持つアミンであり得る。

【0072】
それらはAcros、Astatech、Array、Sigma-Aldrich、Fluka、ABCRなどの市販供給元から購入するか、当業者によって合成されてもよい。アミノ基を含む化合物と、カルボキシル、スルホニルまたはイソシアン酸塩の機能性を含む化合物の一般的反応は、適切に機能化された開始材料を用いたそれらの合成において用いられ得る。適切な脱離基(例えば、ハロゲン化物、メシレート、トシレート)を含む化合物と求核剤(例えば、アミン)の間の求核性置換反応も利用することができる。様々な官能基(エステル、アルコール、アミド、ニトリル、アジドなど)の転換は、いくつかの中間体または最終化合物の合成を可能とし得る。スキームA〜Gは、以下に示すいくつかの化合物の合成のための一般的手順の概略を示す。スキーム中に特記する場合を除いて、変数は上記と同じ意味を持つ。
スキームA

スキームB

スキームC

スキームD

スキームE

スキームF

スキームG

【0073】
式(IV)

を持つ鏡像異性体的に純粋なベータアミノ酸は、文献中で公知の市販品でもよく、または、例えば、Cole, Tetrahedron, 32, 9517 (1994), Juaristi et al., Aldrichimica Acta, 27, 3, 1994、もしくはJuaristi, Enantioselective Synthesis of β-Amino Acids, Ed. Wiley-VCH, New York, 1997において既に刊行および総説されている方法の一つを用いて簡便に合成してもよい。特に、3-アミノ-4-(2, 4, 5-トリフルオロ-フェニル)-酪酸は、WO 2004069162、WO 2004064778、WO 2004037169、WO 2004032836の特許出願ならびにJACS, 126, 3048 (2004)およびJACS, 126, 9918 (2004)の論文において報告された様々な方法によって合成してもよい。
【0074】
特記される場合を除いて、すべての非水反応は市販のドライ溶媒を用いてアルゴン大気下にて実施した。化合物は、Merckシリカゲル60(230〜400メッシュ)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー、またはShimadzu LC8A-ポンプおよびSPD-10Avp UV/Visダイオードアレイ検出器付きのReprosil-Pur ODS3、5μm、20×125 mmカラムを用いた逆相分離HPLCを用いて精製した。1H-NMRスペクトルは、溶媒としてd6-ジメチルスルホキシドを用いたVarian VXR-S(1H-NMRにおいて300MHz)で記録した;化学シフトはテトラメチルシランに対するppmの単位で報告する。分析LC/MSはReprosil-Pur ODS3、5μm、1×60mmのカラムを用いて実施して、線形グラジエントは水(0.1%TFA)中5%〜95%アセトニトリルとし、流量は250μl/分とした;保持時間は分の単位で与えられる。方法は以下の通りである:(I)SPD-M10Avp UV/Visダイオードアレイ検出器およびESI+モードのQP2010 MS検出器付きのLC10Advp-ポンプ(Shimadzu)にて分析、UVは214、254および275nmにて10分間、線形グラジエントにて検出;(II)前記に同じ、但し、線形グラジエントは5分間;(III)SPD-10Avpデュアル波長UV検出器およびESI+モードのQP2010 MS検出器付きLC10Advpポンプ(Shimadzu)にて分析、UVは214および254nmにて10分間、線形グラジエントにて検出;(IV)前記に同じ、但し、線形グラジエントは5分間;(V)SPD-10Avp UV/Visダイオードアレイ検出器およびESI+モードのQP2010 MS-検出器付きLC10Advpポンプ(Shimadzu)にて分析、UVは214、254および275nmにて検出し、線形グラジエントは水(0.1%TFAまたは蟻酸)中5%〜95%アセトニトリルとした。この場合、データは次の通り報告される:LC/MS(V)(5〜90%、5分):rt 1.60、m/z 171(M+H)+;(VI)SPD-10Avpデュアル波長UV検出器およびESI+モードのQP2010 MS-検出器付きのLC10Advpポンプ(Shimadzu)にて分析、UVは214および254nmにて検出、線形グラジエントは水(0.1%TFAまたは蟻酸)中5%〜95%アセトニトリルとした。この場合、データは次の通り報告される:LC/MS(VI)(5〜90%、5分):rt 1.60、m/z 171(M+H)+;方法(VII)は、エンドキャップしたLiChroCART 30-4 Purospher STAR RP-18、3μm(Merck)のカラムにて分析する。グラジエント溶出は、溶出液(A):20mM HCO2NH4/NH4OH緩衝液、pH 7.4を加えたアセトニトリル/水(5:95)を使用。溶出液(B)20mM HCO2NH4/NH4OH緩衝液、pH 7.4を加えたアセトニトリル/水(80:20)。グラジエント:70:30(%A:%B)を0分;5:95(%A:%B)を2.5分;5:95(%A:%B)を4.3分;70:30(%A:%B)を4.4分;70:30(%A:%B)を5分。流量 1.5mL/分;UV検出 220nM。
【0075】
本発明の化合物作成のための一般的操作
一般に、式(I)

式中、変数は前記の意味を持つ、を持つ化合物は、標準的なペプチドカップリング条件、試薬および保護基を用いて調製してよい。例えば、塩化メチレンまたはN,N-ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、1-ヒドロキシベンゾトラゾール(HOBt)および塩基(トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)と併用した1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、または塩基の存在下においてO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)を使用することが可能であり得る。
【0076】
スキームHは、本発明の態様である化合物を合成するために、スキームA〜Gに従って形成されたアミンを用いるための手順の概略を示す。
スキームH

【0077】
保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis第3版、Wiley-VCH編、New York;1999に記載されるように、例えば、9-フルオレニルメトキシカルボニルの場合はジクロロメタン中ジエチルアミンを用いて、またはtert-ブトキシカルボニルの場合は(ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸またはジオキサン中塩酸などの)酸性条件を用いて除去され得る。中間体または最終産物の精製のためには、遊離アミンにはシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーが適切である可能性があり、分離HPLCの使用は対応するトリフルオロ酢酸または蟻酸塩が単離される。
【0078】
実施例
以下の実施例は、本発明がより完全に理解され得るように提供される。これらの実施例は専ら例示的であって、いかなる場合も本発現を制限するものと見なされるべきではない。
【0079】
調製物
実施例1

(2S)-(ベンゾイルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
2mLのN,N-ジメチルホルムアミド中、127mg(1.04mmol)安息香酸、219mg(1.14mmol)1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、154mg(1.14mmol)1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、および271μl(1.56mmol)ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の混合物を室温で10分間撹拌した後、2mLのN,N-ジメチルホルムアミド中250mg(1.24mmol)の(2S)-2-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを加えて、一晩継続して撹拌する。この溶液を酢酸エチル50mLで希釈して、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、および鹹水で順次洗って、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下で除去する。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:クロロヘキサン中0%〜10%酢酸エチル)による未精製生成物の精製により、表題の化合物が得られる。

【0080】
工程2

N-ピロリジン-(2S)-イルメチル-ベンズアミド(TFA塩)
表題の化合物を得るために、1.0mLジクロロメタンおよび0.5mLトリフルオロ酢酸中20.0mg(0.07mmol)(2S)-(ベンゾイルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程1)の溶液を室温で30分間、撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。
【0081】
表1の中間体は、実施例1において示す手順に従って合成する。
【表1】


【0082】
実施例10

工程1

(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル.(合成については、J. Med. Chem.; 42; 4; 1999; 677-690も参照されたい)
0℃の2mLテトラヒドロフラン中塩化ナトリウム119.2mg(60%油中分散液、2.98mmol)のスラリーに2mLテトラヒドロフラン中500mg(2.48mmol)の(2S)-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルの溶液を滴下して加えて、混合物を5分間攪拌する。ベンジルブロミドの325μL(119mg、2.73mmol)を加えて、反応液を室温まで昇温させて、一晩攪拌する。水および1N塩酸水溶液を加えて、混合物を酢酸エチルで抽出する。回収された有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液、鹹水および水で順次洗って、続いて、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:0%〜10%シクロヘキサン中酢酸エチル)を用いて未精製混合液を精製する。
LC/MS(IV) rt 3.41、m/z 233(M+H-Boc+AcCN)+
【0083】
工程2

(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン(TFA塩)
1.5mLジクロロメタンおよび1.5mLトリフルオロ酢酸中300mg(1.03mmol)(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程1)の溶液を室温で1時間、撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、未精製混合液を5mLジクロロメタンで希釈して、1.43g(4.12mmol)の(ポリスチリルメチル)トリメチル重炭酸アンモニウムを加えて1時間撹拌した後、濾過して、減圧下にて蒸発させる。

【0084】
実施例11

工程1

2-メトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
1mLテトラヒドロフラン中150mg(0.75mmol)N-Boc-プロリノールおよび33mg(0.82mmol)塩化ナトリウムの溶液を室温で10分間、撹拌する。0.5mL THF中128mg(0.90mmol)ヨウ化メチルを加えて、反応物を1時間撹拌する。メタノールを加えて、溶媒を減圧下で蒸発させる。この未精製材料に1N塩酸水溶液を加えて、混合物を酢酸エチルで抽出する。回収した有機相を鹹水および水で洗い、続いて硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)を用いて未精製混合物を精製する。
LC/MS(II)rt 4.46、m/z 201(M+H-CH3+
【0085】
工程2

2-メトキシメチル-ピロリジン(TFA塩)
1mLトリフルオロ酢酸および2mLジクロロメタン中、工程1から得られる産物の51mg(0.24mmol)の溶液を室温で1時間撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。生成物はTFA塩として単離される。

【0086】
実施例12

工程1

2-シクロプロピルメトキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
500μLのテトラヒドロフラン中100mg(0.50mmol)(2S)-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルの溶液に水素化ナトリウム(40mg、油中60%分散液、0.99mmol)を加え、混合物を10分間、撹拌する。(ブロモメチル)シクロプロパン(202mg、1.49mmol)を加えて、反応物をマイクロ波にて100℃で10分間、加熱する。酢酸エチルを加えて、混合物を鹹水で洗い(3回)、続いて、硫酸ナトリウムで乾燥させて減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:シクロヘキサン中10%酢酸エチル)を用いて未精製混合物を精製する。
LC/MS(II)rt 4.55、m/z 256(M+H-CH3+
【0087】
工程2

2-シクロプロピルメトキシメチル-ピロリジン(TFA塩).
実施例1の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。
【0088】
実施例13

工程1

2-フェノキシメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
5mLジクロロメタン156mg(0.89mmol)中1.02g(1.12mmol)ポリマー結合トリフェニルホスフィンに0℃でジエチルアゾジカルボン酸(DEAD)を加えて、混合物を5分間、撹拌する。この混合物に、2mLジクロロメタン中150mg(0.75mmol)Boc-L-プロリノール、70mg(0.75mmol)フェノールおよび116μl(1.13mmol)トリエチルアミンを加えて、反応物を室温まで昇温させて、60時間、撹拌する。濾過処理によりポリマーを除去して、溶液を減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:シクロヘキサン中0%〜20%酢酸エチル)を用いて未精製混合物を精製する。
LC/MS(III)rt 5.68、m/z 263(M+H-CH3+
【0089】
工程2

2-フェノキシメチル-ピロリジン(TFA塩)
実施例1の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。

【0090】
表2の化合物は、実施例13において示す手順に従って合成される。
【表2】


【0091】
実施例20

工程1

(2S)-(ベンゼンスルホニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル.
3mLジクロロメタン中150mg(0.75mmol)の(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルおよび117μL(90.0mg、0.90mmol)トリエチルアミンの溶液に、0℃において62μL(85.7mg、0.80mmol)塩化ベンゼンスルホニルを加える。表題の化合物を約70%含む未精製混合物を得るために、この混合物を室温で1.5時間撹拌して、続いて減圧下で蒸発させ、これをそのまま次の工程に供する。
LC/MS(I) rt 4.34、m/z 241(M-+H-Boc)+
【0092】
工程2

N-ピロリジン-(2S)-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
1.5mLジクロロメタンおよび0.5mLトリフルオロ酢酸中231mg(純度 約70%、0.47mmol)(2S)-(ベンゼンスルホニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程1)の溶液を室温で2時間、撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。この油性生成物を5mLジクロロメタン中で希釈して、酸化アルミニウムに通して濾過する(溶出液:ジクロロメタン中0%〜10%メタノール)。表題の化合物を得るために、回収された分画を濃縮する。

【0093】
表3の化合物は、実施例20において示す手順に従って合成される。
【表3】


【0094】
実施例26

工程1

2-[(シクロプロパンスルホニル-メチル-アミノ)-メチル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
1mLテトラヒドロフラン中45mg(0.15mmol)2-(シクロプロパンスルホニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程1、実施例18)の溶液に、0.5mL THF中7.1mg(0.30mmol)水素化ナトリウムを加えて、反応物を5分間撹拌する。14μl(0.22mmol)ヨウ化メチルをゆっくりと加えて、反応物を一晩撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させて、未精製材料を酢酸エチルに溶解し、5%クエン酸水溶液および飽和重炭酸ナトリウム水溶液、ならびに鹹水で順次洗って、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空下で除去する。この未精製材料は、さらなる精製を行わずに、次の工程で使用する。
LC/MS(V)(5〜90%、5分):rt 2.85、m/z 382(M+H+Na+AcCN)+
【0095】
工程2

シクロプロパンスルホン酸メチル-ピロリジン-2-イルメチル-アミド(TFA塩).
実施例1の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。
LC/MS(V)(5〜90%、5分):rt 0.22、m/z 241(M+H+Na)+
【0096】
実施例27

工程1

(2S)-[(3-フェニル-ウレイド)-メチル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル.
3mLジオキサン中150mg(0.75mmol)(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルおよび86μL(93.7mg、0.79mmol)イソシアン酸フェニルの溶液を90℃で5時間、撹拌する。減圧下で溶媒を蒸発後、未精製混合物(表題産物を約50%含有)はさらなる精製を行わずに次の工程で使用する。
LC/MS(III)rt 4.18、m/z 320(M+H)+
【0097】
工程2

1-フェニル-3-ピロリジン-(2S)-イルメチル-ウレア(TFA塩).
0.5mLトリフルオロ酢酸および1.0mLジクロロメタン中253mg(約0.37mmol)(2S)-[(3-フェニル-ウレイド)-メチル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程1)の溶液を室温で2時間、撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、この未精製混合物をメタノール中1Mアンモニア溶液の2mLに溶解して、減圧下で濃縮し、続いて、フラッシュクロマトグラフィー(酸化アルミニウム、溶出液:0.1%アンモニア含有ジクロロメタン中0%〜10%メタノール)を用いて精製する。

【0098】
実施例28

工程1

Boc-アゼチジン-3-カルボン酸
15mL THF中100mg(0.99mmol)3-アゼチジンカルボン酸の溶液に5mL飽和重炭酸ナトリウム溶液および238mg(1.09mmol)ジ-tert-二炭酸ブチルを加える。この混合物を室温で一晩撹拌して、5%塩酸水溶液で酸性化し、酢酸エチルを用いて3回抽出する。有機相を一つにまとめて鹹水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥する。真空下で溶媒を除去して生成物を得て、この生成物はさらなる精製を行わずに次の工程で使用した。
LC/MS(II)rt 2.08、m/z 187(M+H-CH3+
【0099】
工程2

3-ヒドロキシメチル-アゼチジン -1-カルボン酸tert-ブチルエステル
15mLドライテトラヒドロフラン中工程1由来の未精製材料212mg(0.99mmol)および241mg(1.49mmol)CDIの混合物を室温で2時間撹拌して、続いて、0℃に冷却して、56mg(1.49mmol)水素化ホウ素ナトリウムの水中懸濁液を素早く加える。0℃でさらに1時間後、アセトンを加えて、混合物を室温まで昇温させて、溶媒を除去する。残りの材料を酢酸エチルおよび水に溶解して、相を分離させ、有機相を5%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液および鹹水で洗う。硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を除去することによって、アルコールが得られる。
LC/MS(II)rt 1.81、m/z 173(M+H-CH3+
【0100】
工程3

3-フェノキシメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
5mL THF中94mg(0.5mmol)Boc保護ヒドロキシメチルアゼチジン(工程2)の溶液に、354mg(0.5mmol)フルオラストリフェニルホスフィンおよび47mg(0.5mmol)フェノールを加えた。この混合物を0℃に冷却して、405mg(0.5mmol)フルオラスアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)を加えて、室温まで昇温させた。反応物を3日間撹拌して、アルミナ1gで乾固するまで蒸発させた。反応産物を含むアルミナをフルオラスシリカカートリッジにセットして、メタノール:水4:1の溶出液(4×1mL)で洗った。表題の生成物を得るために、濾液を減圧下で濃縮して分離TLC(シリカ、ヘキサン:酢酸エチル 1:1)に供した。
LC/MS(II)rt 1.89、m/z 164(M+H-Boc)+
【0101】
工程4

3-フェノキシメチル-アゼチジン(TFA塩)
表題の化合物を得るために、300μLトリフルオロ酢酸および300μLジクロロメタン中34.0mg(0.13mmol)3-フェノキシメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程3)の溶液を室温で30分間、撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。
【0102】
実施例29

2-(アゼチジン-3-イルメトキシ)-ピリジン(TFA塩).
実施例28の工程3および4において記載した手順に従って、3-ヒドロキシメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルおよびピリジン-2-オールから得られる。
LC/MS(II)rt 0.25、m/z 165(M+H)+
【0103】
実施例30

工程1

3-メタンスルホニルオキシメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
10mLドライジクロロメタン中170mg(0.90mmol)3-ヒドロキシメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルに155μl(1.08mmol)トリエチルアミンおよび75μl(0.99mmol)メタンスルホニルクロリドを0℃において加える。0℃において4時間後、ジクロロメタン(50mL)を加えて、有機相を鹹水で2回洗う。硫酸ナトリウムで有機相を乾燥させて、溶媒を除去し、得られる未精製材料はそのまま次の工程に供する。
LC/MS(II)rt 2.35、m/z 251(M+H-CH3+
【0104】
工程2

3-アジドメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
10mLドライN,N-ジメチルホルムアミド中3-メタンスルホニルオキシメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(266mg、0.90mmol、工程1)および176mg(2.70mmol)アジ化ナトリウムの混合物を1時間、90℃に加熱する。ワークアップのため、酢酸エチル60mLを加えて、有機相を鹹水で十分に洗い(3回)、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮する。シリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサンからシクロヘキサン中20%酢酸エチル)による精製によりアジ化物が得られる。
LC/MS(II)rt 2.57、m/z 198(M+H-CH3+
【0105】
工程3

3-アミノメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
20mLメタノール、1mLアンモニア(MeOH中2M)およびPd/C(5%および50%水)に溶解した73mg(0.35mmol)3-アジドメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程2)を加えて、混合物を1気圧のH2において1時間撹拌する。セライトを用いた濾過および溶媒の蒸発によって未精製アミンが得られて、これをそのまま次の工程に供する。
LC/MS(IV)rt 1.75、m/z 172(M+H-CH3+
【0106】
工程4

3-(ベンゼンスホニルアミン-メチル)-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
39mg(0.21mmol)3-アミノメチル-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(工程3)および32μl(0.25mmol)トリエチルアミンをジクロロメタンに溶解して、17μl(0.23mmol)塩化ベンゼンスルホニルを0℃において加える。その後、反応混合物を1時間撹拌して、ジクロロメタンで希釈する。有機相を5%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液および鹹水で洗って、硫酸ナトリウムで乾燥させる。未精製生成物を、シリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサンからシクロヘキサン中20%酢酸エチル)により精製する。
LC/MS(IV)rt 2.64、m/z 312(M+H-CH3+
【0107】
工程5

N-アゼチジン-3-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
実施例1の工程2に記載する手順に従って、工程4の生成物から得られる。
LC/MS(IV)rt 1.73、m/z 227(M+H)+
【0108】
実施例31

N-ピペリジン-3-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
実施例30に記載する手順に従って、1-Boc-ピペリジン-3-カルボン酸から得られる。
LC/MS(IV)rt 1.87、m/z 255(M+H)+
【0109】
実施例32

工程1

{(3R)-[(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン-1-イル]-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル.
2.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中44.8mg(0.15mmol)(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-[2-フルオロ-フェニル]-酪酸、28.3mg(0.21mmol)1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、39.9mg(0.21mmol)1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)および100μL(98.2mg、0.76mmol)ジイソプロピルエチルアミンの混合物を5分間、撹拌する。0.5mL N,N-ジメチルホルムアミド中50.0mg(0.17mmol)(2S)-ベンジルオキシメチルピロリジン(実施例10)を添加後、混合物をさらに16時間、撹拌する。この溶液を1N塩酸溶液5mLで希釈して、10mLジクロロメタンで2回抽出する。回収した有機相を鹹水および水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ジクロロメタン中0%〜10%メタノール)を用いて残渣を精製する。
LC/MS(I)rt 5.68、m/z 471(M+H))+
【0110】
工程2

(3R)-アミノ-1-[(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン-1-イル]-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オン(TFA塩).
0.5mLトリフルオロ酢酸および1mLジクロロメタン中8.00mg(約0.017mmol){(3R)-[(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン-1-イル]-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル}]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(工程1)の溶液を室温で1時間、撹拌し、続いて、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、未精製混合物を、HPLC(溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸を加えた水中5%〜95%アセトニトリル)を用いて精製する。

【0111】
表4の化合物は、実施例32において示す手順に従って合成される。
【表4】



【0112】
実施例32に概述する手順と同様の手順を用いて、次の化合物が調製された。
【0113】
実施例43

工程1

{(3R)-[(2S)-(ベンゾイルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-イル]-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル.
実施例32の工程1において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-ピロリジン-(2S)-イルメチル-ベンズアミド(実施例1)から得られる。
LC/MS(II)rt 2.99、m/z 506(M+Na)+
【0114】
工程2

{(3R)-[(2S)-(ベンゾイルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-イル]-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル}カルバミン酸tert-ブチルエステル(TFA塩).
実施例32の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。

【0115】
表5の化合物は、実施例43において示す手順に従って合成される。
【表5】




【0116】
実施例51

工程1

(1-(3-クロロ-ベンジル)-3-{2-[(2-メタンスルホニル-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-3-オキソ-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
2.5mL N,N-ジメチルホルムアミド中23mg(0.08mmol)(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-[3-クロロ-フェニル]酪酸、34.2mg(0.09mmol)O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム(HATU)、および39.3μL(0.22mmol)ジイソプロピルエチルアミンの混合物を室温で10分間、撹拌する。この溶液に1mL N,N-ジメチルホルムアミド中25.4mg(0.09mmol)2-メタンスルホニル-N-ピロリジン-2-イルメチル-ベンズアミド(実施例2)および19.6μL(0.11mmol)ジイソプロピルエチルアミンを加えて、混合物を一晩撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させる。未精製材料を酢酸エチルに溶解し、5%クエン酸水溶液および飽和重炭酸ナトリウム水溶液で順次洗って、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。この未精製生成物は、さらなる精製を行わずに、次の工程で使用する。
【0117】
工程2

N-{1-[3-アミノ-4-(3-クロロ-フェニル)-ブチリル]-ピロリジン-2-イルメチル}-2-メタンスルホニル-ベンズアミド
実施例32の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。
LC/MS(8分、10〜70%)rt 3.13、m/z 478(M+H)+
【0118】
表6の化合物は、実施例51において示す手順に従って合成される。
【表6】


【0119】
実施例54

工程1

2-[(2,2,2-トリフルオロ-アセチルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
2-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(200mg、1.00mmol)を1mLメタノールに溶解する。トリエチルアミン(113μl、1.10mmol)および無水トリフルオロ酢酸(210mg、0.99mmol)を順次加えて、反応物を室温で一晩撹拌する。表題の化合物を得るために、溶媒を減圧下で蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:シクロヘキサン中0%〜30%酢酸エチル)を用いて未精製材料を精製する。
LC/MS(IV)rt 2.81、m/z 282(M+H-CH3+
【0120】
工程2

2,2,2-トリフルオロ-N-ピロリジン-2-イルメチル-アセタミド(TFA塩).
実施例1の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。

【0121】
工程3

(1- (2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-3-{2-[(2,2,2-トリフルオロ-アセチルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-プロピル)-カルボン酸tert-ブチルエステル.
実施例32の工程1において記載した手順に従って、工程3の生成物および3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-酪酸から得られる。
LC/MS(IV)rt 3.05、m/z 498(M+Na)+
【0122】
工程4

[3-(2-アミノメチル-ピロリジン-1-イル)-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルボン酸tert-ブチルエステル.
(1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-3-{2-[(2,2,2-トリフルオロ-アセチルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(工程3、155mg、0.33mmol)を1mLメタノールに溶解して、0.4N水酸化バリウム溶液の2mLを加える。反応物を室温で一晩撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させて、水を加え、未精製材料をジクロロメタンで抽出する。溶媒を蒸発させて、未精製材料をメタノール/ジクロロメタン混合物に再溶解して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。この未精製材料は、さらなる精製を行わずに、次の工程で使用する。

【0123】
工程5

(1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-{2-[(3-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-3-オキソ-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
実施例32の工程1に記載する手順に従って、工程4の生成物および3-メトキシ-塩化ベンゾイルから得られる。
LC/MS(II)rt 2.97、m/z 536(M+H+Na)+
【0124】
工程6

N-{1-[3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピロリジン-2-イルメチル}-3-メトキシ-ベンズアミド(TFA塩).
実施例1の工程2に記載する手順に従って、工程5の生成物から得られる。
LC/MS(II)rt 2.09、m/z 414(M+H)+
【0125】
表7の化合物は、実施例54において示す手順に従って合成される。
【表7】



【0126】
実施例63

工程1

[3-{2-[(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-3-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロ-ベンジル)-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
1mLのジクロロメタン中70.0mg(0.21mmol)(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-[2-フルオロ-フェニル]-酪酸、31.3mg(0.23mmol)1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、45.0mg(0.23mmol)1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩および56μL(0.31mmol)ジイソプロピルエチルアミンの混合物を0℃において30分間、撹拌する。1mLジクロロメタンおよびさらに56L(0.31mmol)のジイソプロピルエチルアミン中87.0mg(0.26mmol)シクロプロパンカルボン酸(ピロリジン-2-イルメチル)-アミド(実施例4)を加えた後、混合物を室温で一晩撹拌する。この溶液をジクロロメタンで希釈して、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、および鹹水で順次洗って、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空下で除去する。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:シクロヘキサン中5%〜10%酢酸エチル)を用いて未精製生成物を精製する。
【0127】
工程2

(3R)-アミノ-1-[(2S)-ベンジルオキシメチル-ピロリジン-1-イル]-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブタン-1-オン(TFA塩)
ジクロロメタン中30%トリフルオロ酢酸に工程1の生成物を溶解した液を0℃で1時間撹拌し、続いて、1mLメタノールを加える。溶媒を減圧下で蒸発させる。未精製材料をジクロロメタンに溶解して、溶媒を減圧下で除去する。この操作を3〜4回、繰り返す。表題の化合物を得るために、未精製材料を、HPLC(溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸を加えた水中5%〜95%アセトニトリル)を用いて精製する。

【0128】
表8の化合物は、実施例63において示す手順に従って合成される。
【表8】

【0129】
実施例66

工程1

{(3R)-[(2S)-(ベンゾイルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-イル]-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル}カルバミン酸tert-ブチルエステル.
実施例32の工程1において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびフェニル-ピロリジン-(2S)-イルメチル-アミンから得られる。
LC/MS(III)rt 4.16、m/z 455(M+H)+
【0130】
工程2

(3R)-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-1-[(2S)-フェニルアミノメチル-ピロリジン-1-イル]-ブタン-1-オン(TFA塩).
実施例32の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。

【0131】
表9の化合物は、実施例66において示す手順に従って合成される。
【表9】

【0132】
実施例68

工程1

3-{2-[(5-シアノ-ピリジン-2-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
20 mg(0.05mmol)[3-(2-アミノメチル-ピロリジン-1-イル)-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(工程4、実施例50)および25μl(0.16mmol)ジイソプロピルアミンを1mL NMPに溶解する。21mg(0.16mmol)6-クロロニコチノニトリルを室温で加える。反応混合物を室温で3時間、および80℃で3時間、撹拌する。室温に冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させて、未精製生成物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%メタノール)により精製する。
LC/MS (II)rt 2.85、m/z 482(M+H)+
【0133】
工程2

6-({1-[3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピロリジン-2-イルメチル}-アミノ)-ニコチノニトリル(HCl塩).
工程1の生成物をジオキサン中4N塩酸の1mLに溶解する。この溶液を室温で1時間撹拌して、溶媒を減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、未精製材料をメタノールに再溶解して、溶媒を減圧下で蒸発させる。
LC/MS(II)rt 2.09、m/z 382(M+H)+
【0134】
表10の化合物は、実施例68において示す手順に従って合成される。
【表10】

【0135】
実施例70

工程1

[(3R)-[(2S)-(ベンゼンスルホニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1-イル]-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル.
実施例32の工程1において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-ピロリジン-(2S)-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(実施例20)から得られる。
LC/MS (III)rt 4.98、m/z 542(M+Na)+
【0136】
工程2

N-{1-[(3R)-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピロリジン-(2S)-イルメチル}-ベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
実施例32の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。

【0137】
表11の化合物は、実施例70において示す手順に従って合成される。
【表11】


【0138】
実施例78

工程1

[3-{2-[(3,4-ジメトキシ-ベンゼンスルホニルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
15 mg(0.04mmol)[3-(2-アミノメチル-ピロリジン-1-イル)-1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(工程4、実施例51)および8μl(0.06mmol)トリエチルアミンを1μL ジクロロメタンに溶解する。11mg(0.05mmol)3,4-ジメトキシ-ベンゼンスルホニルクロリドを室温で加える。反応混合物を室温で一晩撹拌して、溶媒を減圧下で蒸発させ、未精製生成物はさらなる精製を行わずに次の工程で使用する。
【0139】
工程2

N-{1-[3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピロリジン-2-イルメチル}-3,4-ジメトキシベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
実施例32の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。
LC/MS(IV)rt 2.21、m/z 480(M+H)+
【0140】
表12の化合物は、実施例78において示す手順に従って合成される。
【表12】



【0141】
実施例86

工程1

(1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-(3R)-{(2S)-[3-フェニル-ウレイド)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル.
実施例32の工程1において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸および1-フェニル-3-ピロリジン-(2S)-イルメチル尿素(実施例27)から得られる。
LC/MS(III)rt 4.79、m/z 521(M+Na)+
【0142】
工程2

1-{1-[(3R)-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピロリジン-(2S)-イルメチル}-3-フェニル-尿素.
実施例32の工程2に記載する手順に従って、工程1の生成物から得られる。

【0143】
実施例87

N-{1-[(3R)-アミノ-4- (2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピペリジン-(2S)-イルメチル}-ベンズアミド(TFA塩).
実施例32において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-ピペリジン-(2S)-イルメチル-ベンズアミド(実施例7)から得られる。

【0144】
実施例88

N-{1-[(3R)-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピペリジン-(2S)-イルメチル}ベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
実施例32において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-ピペリジン-(2S)-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(実施例25)から得られる。
LC/MS(II)rt 2.26、m/z 434(M+H)+
【0145】
実施例89

N-{1-[3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピペリジン-3-イルメチル}-ベンゼンスルホンアミド
実施例32において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-ピペリジン-3-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(実施例31)から得られる。

【0146】
実施例90

N-{1-[(3R)-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-アゼチジン-3-イルメチル}-ベンズアミド(TFA塩).
実施例32において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-アゼチジン-3-イル-メチル-ベンジルアミド(実施例8)から得られる。

【0147】
実施例91

N-{1-[3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-アゼチジン-3-イルメチル}-ベンゼンスルホンアミド(TFA塩).
実施例32において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸、N-アゼチジン-3-イルメチル-ベンゼンスルホンアミド(実施例30)から得られる。

【0148】
実施例92

工程1

1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-3-(3-フェノキシメチル-アゼチジン-1-イル)-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
2.5mLのDCM中33.0mg(0.11mmol)(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-[2-フルオロ-フェニル]-酪酸、16.0mg(0.21mmol)1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、23.0mg(0.12mmol)1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩および114μL(0.65mmol)ジイソプロピルエチルアミンの混合物を5分間、撹拌する。48.0mg(0.11mmol)3-フェノキエイメチル-アゼチジン(実施例28)の添加後、混合物を一晩撹拌する。溶液をジクロロメタンで希釈して、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および鹹水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:酢酸エチル中25%シクロヘキサン)を用いて残渣を精製する。
LC/MS(115)rt 3.21、m/z 443(M+H)+
【0149】
工程2

3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-1-(3-フェノキシメチル-アゼチジン-1-イル)-ブタン-1-オン(TFA塩).
表題の化合物を得るために、300μLトリフルオロ酢酸および700μLジクロロメタン中20.0mg(0.045mmol)1-(2-フルオロ-ベンジル)-3-オキソ-3-(3-フェノキシメチル-アゼチジン-1-イル)-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルの溶液を室温で1時間撹拌して、続いて、減圧下で蒸発させる。

【0150】
表13の化合物は、実施例92において示す手順に従って合成される。
【表13】

【0151】
実施例94

N-{1-[(3R)-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-ブチリル]-ピペリジン-3-イルメチル}-ベンズアミド(TFA塩).
実施例32において記載する手順に従って、(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)酪酸およびN-ピペリジン-3-イルメチル-ベンジルアミド(実施例9)から得られる。ジアステレオマーの混合物として調製される。
LC/MS(II) rt 2.14、m/z 398(M+H)+
【0152】
実施例95
スキームFに従って中間体を作成するための手順.

工程1

N-ヒドロキシベンズアミジン
40mLメタノールに溶解した10.31g(0.10mol)のベンゾニトリルに20.73g(0.15mole)の微粉末化した炭酸カリウムを加える。これに、120mLメタノールに溶解した13.89g(0.20mol)の塩酸ヒドロキシルアミンを、撹拌しながら少量ずつ加える。続いて、この混合物を5時間還流して、室温に冷却後、溶媒を減圧下で除去する。残渣を50mL水および200mLクロロホルムに移す。有機相を分離して、30mLの水で2回洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させる。次いで、混合物を濾過して、減圧下で蒸発させる。表題の化合物を得るために、残渣をジエチルエーテルで結晶化させる。
M.P.:77〜79℃
【0153】
工程2

3-フェニル-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール
塩化カルシウム乾燥チューブで保護した250mL容丸底フラスコ内の40.05g(129.7mmol;23.7mL)無水トリクロロ酢酸に、工程1の生成物8.82g(64.80mmol)を撹拌しながら少しずつ、室温で20分かけて加える。加え終わったら、混合物を90〜120℃に75分間加熱して、続いて、高温の混合物を撹拌した氷冷水に注ぎ入れる。表題の化合物を得るために、得られる固体をヘキサンまたはジエチルエーテルを用いて結晶化する。

【0154】
実施例96
スキームFに従って、実施例95に概述する手順で調製する。

【0155】
工程1

N-ヒドロキシピリジン-2-カルボキサミド
実施例95の工程1に従って、ピリジン-2-カルボニトリルおよび塩酸ヒドロキシルアミンから得られる。
M.P.:115〜117℃
【0156】
工程2

2-(5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-ピリジン
実施例95の工程2に従って、N-ヒドロキシ-ピリジン-2-カルボキアミド(実施例96、工程1)から得られる。

【0157】
実施例97
スキームFに従って、実施例95に概述する手順で調製する。

【0158】
工程1

3-クロロ-N-ヒドロキシ-ベンズアミジン
実施例95の工程1に従って、3-クロロベンゾニトリルおよび塩酸ヒドロキシルアミンから得られる。
M.P.:115〜118℃
【0159】
工程2

3-(3-クロロフェニル)-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール
実施例95の工程2に従って、3-クロロ-N-ヒドロキシ-ベンズアミジン(実施例97、工程1)から得られる。

【0160】
実施例98
スキームFに従って、実施例95に概述する手順で調製する。

【0161】
工程1

3-フルオロ-N-ヒドロキシ-ベンズアミジン
実施例95の工程1に従って、3-フルオロベンゾニトリルおよび塩酸ヒドロキシルアミンから得られる。
M.P.:74〜76℃
【0162】
工程2

3-(3-フルオロフェニル)-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール
実施例95の工程2に従って、3-フルオロ-N-ヒドロキシ-ベンズアミジン(実施例98、工程1)から得られる。

【0163】
実施例99
スキームFに従って、実施例95に概述する手順で調製する。

【0164】
工程1

N-ヒドロキシ-4-メタンスルホニル-ベンズアミジン
実施例95の工程1に従って、4-メタンスルホニル-ベンゾニトリルおよび塩酸ヒドロキシルアミンから得られる。
M.P.:115〜118℃
【0165】
工程2

3-(4-メタンスルホニル-フェニル)-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール
実施例95の工程2に従って、N-ヒドロキシ-4-メタンスルホニル-ベンズアミジン(実施例99、工程1)から得られる。

【0166】
実施例100
以下の実施例は、スキームGおよびHに従って調製される。

【0167】
工程1

(2S)-[3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
5mLドライN,N-ジメチルホルムアミド中164.40mg(0.62mmol)3-フェニル-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール(実施例95)および150.0mg(0.75mmol)(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを60℃で12時間、撹拌する。反応の進行はTLC(Kieselgel Merck 5554シート、溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 2:1)でモニターする。表題の化合物を得るため、混合物を減圧下で乾固するまで蒸発させて、残渣を同一の溶媒系を用いた分離薄層クロマトグラフィーにより精製する。

【0168】
工程2

(3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン塩酸塩
工程1の生成物である(2S)-[3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを4mLジクロロメタンに溶解して、続いて、8mL飽和HCl/ジオキサン溶液を加える。混合物を2時間撹拌した後、表題の化合物を得るために溶媒を減圧下で蒸発させて、この化合物はさらなる精製および性状分析を行わずにそのまま次の工程で使用する。
【0169】
工程3

(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-オキソ-3-{(2S)-[(3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ-メチル]ピロリジン-1-イル}-プロピル)カルボン酸tert-ブチルエステル
5mLドライ1,2-ジクロロエタン中74.90mg(0.38mmol)(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-酪酸および64.70mg(0.40mmol;1.05eq.)1,1'-カルボニルジイミダゾールの混合物を25mL容丸底フラスコに入れて窒素下で2時間、撹拌する。別に、4mLドライ1,2-ジクロロエタン中106.70mg(0.38mmol)3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン塩酸塩(実施例100、工程2)および107.90mg、(0.83mmol;145.0μL;2.2eq.)N,N-ジイソプロピルエチルアミンを15分間、撹拌して、この溶液を、上記で調製した酪酸および1,1'-カルボニルジイミダゾール反応混合物に加える。室温で一晩継続して撹拌し、続いて、混合物を5時間、沸騰させる。溶液を室温まで冷却して、5%クエン酸溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水および鹹水で連続的に洗って、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、溶媒を減圧下で除去する。表題の化合物を得るために、残渣をシリカゲルを用いた分離薄層クロマトグラフィー(溶出液:ジクロロエタン/エタノール 5:1)に供して、この化合物はさらなる性状分析を行わずにそのまま次の工程に使用する。
【0170】
工程4

(3R)-アミノ-4-(2-フルオロフェニル)-1-{(2S)-[(3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-ブタン-1-オン塩酸塩
工程3の生成物である(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-オキソ-3-{(2S)-[(3-フェニル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ-メチル]-ピロリジン-1-イル}-プロピル)カルバミン酸tert-ブチルエステルを4mLジクロロメタンに溶解して、続いて、10mL飽和HCl/ジオキサン溶液を加える。表題の化合物を得るために、この混合物を2時間撹拌して、次いで、減圧下で溶媒を除去する。残渣が固体である場合は、ジエチルエーテルおよびヘキサンに移して、濾過する。その他の場合は、残渣が油であれば、これを10mLジオキサンに移して、溶媒を乾固するまで蒸発させる。表題の化合物を得るために、この手順を2回反復する。

【0171】
実施例101

スキームGおよびHに従って、実施例100、工程1〜4について上記に概述する手順に基づいて調製する。
【0172】
工程1

(2S)-[(3-ピリジン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
2-(5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル)-ピリジン(実施例96)および(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから得られて、実施例100、工程1の手順に従って合成される。

【0173】
工程2

(3-ピリジン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)-ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン二塩酸塩
(2S)-[(3-ピリジン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例101、工程1)から得られて、実施例100、工程2の手順に従って合成される。
【0174】
工程3

(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-オキソ-3-{(2S)-[(3-ピリジン-2-yl-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-プロピル)-カルボン酸tert-ブチルエステル
(3-ピリジン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)-ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン二塩酸塩(実施例101、工程2)および(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-酪酸から得られて、実施例100、工程3に従って合成される。
【0175】
工程4

(3R)-アミノ-4-(2-フルオロフェニル)-1-{(2S)-[(3-ピリジン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-ブタン-1-オン二塩酸塩
(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-オキソ-3-{(2S)-[(3-ピリジン-2-イル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例101、工程3)から得られて、実施例100、工程4の手順に従って合成される。

【0176】
実施例102

スキームGおよびHに従って、実施例100、工程1〜4について上記に概述する手順に基づいて調製される。
【0177】
工程1

(2S)-{[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
3-(3-クロロフェニル)-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール(実施例97)および(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから得られて、実施例100、工程1の手順に従って合成される。
【0178】
工程2

[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5イル]-ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン塩酸塩
(2S)-{[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例102、工程1)から得られて、実施例100、工程2の手順に従って合成される。

【0179】
工程3

[3-(2S)-{[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1イル)-(1R)- (2-フルオロベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル]-ピロリジン-(2S)イルメチルアミン塩酸塩(実施例102、工程2)および(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-酪酸から得られて、実施例100、工程3に従って合成される。

【0180】
工程4

(3R)-アミノ-1-(2S)-{[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]メチル}-ピロリジン-1-イル)-4-(2-フルオロフェニル)-ブタン-1-オン塩酸塩
[3-(2S)-{[3-(3-クロロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-イル)-(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例 102、工程3)から得られて、実施例100、工程4の手順に従って合成される。

実施例103

スキームGおよびHに従って、実施例100、工程1〜4について上記に概述する手順に基づいて調製される。
【0181】
工程1

(2S)-{[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
3-(3-フルオロフェニル)-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール(実施例98)および(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから得られて、実施例100、工程1の手順に従って合成される。
【0182】
工程2

[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル]-ピロリジン-(2S)イルメチルアミン塩酸塩
(2S)-{[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例103、工程1)から得られて、実施例100、工程2の手順に従って合成される。

【0183】
工程3

[(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-((2S)-{[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル]-ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン塩酸塩(実施例103、工程2)および(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4- (2-フルオロ-フェニル)-酪酸から得られて、実施例100、工程3に従って合成される。
【0184】
工程4

(3R)-アミノ-4-(2-フルオロフェニル)-1-((2S)-{[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4lオキサジアゾール-5-イルアミノ]メチル}-ピロリジン-1-イル)-ブタン-1-オン塩酸塩
[(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-((2S)-{[3-(3-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例103、工程3)から得られて、実施例100、工程4の手順に従って合成される。

【0185】
実施例104

スキームGおよびHに従って、実施例100、工程1〜4について上記に概述する手順に基づいて調製される。
【0186】
工程1

(2S)-{[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
3-(4-メタンスルホニル-フェニル)-5-トリクロロメチル-[1,2,4]オキサジアゾール(実施例99)および(2S)-アミノメチル-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルから得られて、実施例100、工程1の手順に従って合成される。

【0187】
工程2

[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル]-ピロリジン-(2S)-イルメチルアミン塩酸塩
(2S)-{[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例104、工程1)から得られて、実施例100、工程2の手順に従って合成される。
【0188】
工程3

[(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-((2S)-{[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4lオキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1イル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル
[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル]-ピロリジン-(2S)イルメチルアミン塩酸塩(実施例104、工程2)および(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4- (2-フルオロ-フェニル)-酪酸から得られて、実施例100、工程3に従って合成される。
【0189】
工程4

(3R)-アミノ-4-(2-フルオロフェニル)-1-((2S)-{[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-イル)-ブタン-1-オン塩酸塩
[(1R)-(2-フルオロベンジル)-3-((2S)-{[3-(4-メタンスルホニルフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イルアミノ]-メチル}-ピロリジン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例104、工程3)から得られて、実施例100、工程4の手順に従って合成される。

【0190】
以下の化合物(実施例105)は以下の実験手順に従って調製された:
【0191】

96穴マイクロタイタープレート(96-MTP)のウェルにおいて1.5eqのトリエチルアミンを含む(3R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-[2-フルオロ-フェニル]-酪酸の0.6M N,N-ジメチルホルムアミド溶液 200μLに、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N-N-N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)の0.6M N,N-ジメチルホルムアミド溶液 200μLを加える。室温で15分後、それぞれのアミンの0.5M N,N-ジメチルホルムアミド溶液 200μLおよびN-メチルモルフォリン 11μL(0.15mmol)を加えて、反応混合物を50℃にて一晩撹拌する。溶媒を減圧下で除去して、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸(33% v/v)の溶液500μLを加えて、反応混合物を室温で2時間、撹拌する。表題の化合物を得るために、減圧下で溶媒を除去後、メタノール 500μLを加えて、未精製材料を水(0.1%TFA)中5%〜95%アセトニトリルの10分間線形グラジエントを用いた分離HPLCにより精製する。
【0192】
実施例105

3-アミノ-4-(2-フルオロ-フェニル)-1-(3-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル)-ブタン-1-オン
LC/MS(VI)(1〜30%、8分)rt 5.28、m/z 295((M+H))+
【0193】
このシリーズのさらなる実施例を以下に例示する:



【0194】
アッセイ
DPP-IVペプチダーゼ活性の阻害を連続的蛍光定量アッセイでモニターした。このアッセイは、遊離AMCを放出するDPP-IVによる基質Gly-Pro-AMC(Bachem)の開裂に基づく。アッセイは、96穴マイクロタイタープレートにて実施される。総液量100μLにおいて、10mM Hepes、150mM NaCl、0.005% Tween 20を含む緩衝液(pH 7.4)を用いて50pM DPP-IVと共に化合物をインキュベートする。反応は基質 16μMを加えて開始させて、遊離するAMCの蛍光は370nmの励起波長および450nmの放出波長を用いた蛍光リーダー(BMG-Fluostar; BMG- Technologies)で25℃において10分間、検出する。DMSOの最終濃度は1%である。化合物の阻害能を判定した。DPP-IV活性のアッセイは、ヒトおよびブタDPP-IVを用いて実施された(以下を参照されたい);両酵素は同等の活性含有量を示した。
【0195】
膜貫通アンカー(Gly31-Pro766)を持たない可溶性ヒトDPP-IVは、組換え型酵母株においてPre-Pro-alpha-交雑融合体として発現した。分泌された生成物(rhuDPP-IV-Gly31-Pro766)は発酵液から精製されて(純度 >90%)、社内スクリーニングのために使用された。
【0196】
下表は、上記のアッセイにおいて測定されたDPP-IVペプチダーゼ活性の阻害におけるIC50値を列記する。このIC50値は3つに分類される:a≦100nM;b≧101nMかつ≦1001nM;c≧1001nM≦2000nM。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物

またはその薬学的に許容される塩:

式中、Zは以下からなる群より選択される、
フェニル;
ナフチル;
C3-7シクロアルキル;
ヘテロ環;および
ヘテロ二環;
式中、Zは以下の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい
ハロゲン;
CN;
OH;
=O、この場合、環は少なくとも部分的に飽和している;
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;および
O-C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;

R1、R2、R4、R5は、互いに独立して以下からなる群より選択される、
H;
F;
OH;
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;および
O-C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR1およびR2は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR2およびR3は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR3およびR4は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR4およびR5は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;

R3はHまたはC1-6アルキルである;

Xは以下からなる群より選択される、
H;
F;および
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
nは0、1または2である;

A1、A2が以下からなる群より互いに独立して選択される、
H;
ハロゲン;
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;および
A1およびA2の一方であるという条件で、R6

R6は-C(R7R8)-Y-Tである;

R7、R8は、互いに独立して以下からなる群より選択される、
H;
F;および
C1-6アルキル、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;
ならびに/またはR7およびR8は連結してC3-7シクロアルキルを形成していてもよく、このC3-7シクロアルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;

Yは以下からなる群より選択される
-O-;
-C1-6アルキル-O-;
-N(R9)-;
-C1-6アルキル-N(R9)-
-S-;
-C1-6アルキル-S-;
-S(O)-;
-C1-6アルキル-S(O)-;
-S(O)2;および
-C1-6アルキル-S(O)2-;
式中、それぞれのC1-6アルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;

R9、Tは互いに独立してT1-T2またはT2である;

T1は、以下からなる群より選択される、
-C1-6アルキル-;
-C1-6アルキル-O-
-C1-6アルキル-N(R10)-
-C(O)-;
-C(O)-C1-6アルキル-;
-C(O)-C1-6アルキル-O-;
-C(O)-C1-6アルキル-N(R10)-;
-C(O)O-;
-C(O)-C1-6アルキル-;
-C(O)-C1-6アルキル-O-;
-C(O)-C1-6アルキル-N(R10)-;
-C(O)N(R10)-;
-C(O)N(R10)-C1-6アルキル-;
-C(O)N(R10)-C1-6アルキル-O-;
-C(O)N(R10)-C1-6アルキル-N(R11)-;
-S(O)2-;
-S(O)2-C1-6アルキル-;
-S(O)2-C1-6アルキル-O-;および
-S(O)2-C1-6アルキル-N(R10)-;
式中、それぞれのC1-6アルキルは一つまたは複数のFと置換されていてもよい;

R10、R11は互いに独立してHまたはC1-6アルキルであり、一つまたは複数のFと置換されていてもよい;

T2は以下からなる群より選択される、
H;
CF3
フェニル;
ナフチル;
式中、フェニルおよびナフチルは以下の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい;
ハロゲン;
CN;
R12
COOH;
OH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
COOT3
OT3
C(O)NHT3
S(O)2NHT3;または
T3
C3-7シクロアルキル;
ヘテロ環;および
ヘテロ二環;
式中、C3-7シクロアルキル、ヘテロ環およびヘテロ二環は以下の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい;
ハロゲン;
CN;
R13
OH;
=O、この場合、環は少なくとも部分的に飽和している;
NH2
COOH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
COOT3
OT3
C(O)NHT3
S(O)2NHT3
NHT3;または
T3

それによって、R9はT1-T2で、-C1-6アルキルを示し、かつTはT1-T2で、-C1-6アルキルを示すとき、R9およびTは連結して1個のNを含む3〜7員環の官能基を形成し得る;

R12は以下からなる群より選択される、
C1-6アルキル;
O-C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R15)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R17)-C1-6アルキル;
S(O)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;および
N(R18)S(O)2-C1-6アルキル;
式中、それぞれのC1-6アルキルは、F、COOR19、C(O)N(R20R21)、S(O)2N(R22R23)、OR24、N(R25R26)、T3、O-T3またはN(R27)-T3の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい;

R13は以下からなる群より選択される、
C1-6アルキル;
O-C1-6アルキル;
N(R14)-C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R15)-C1-6アルキル;
N(R16)-C(O)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R17)-C1-6アルキル;
S(O)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;および
-N(R18)S(O)2-C1-6アルキル;
式中、それぞれのC1-6アルキルは、F、COOR19、C(O)N(R20R21)、S(O)2N(R22R23)、OR24、N(R25R26)、T3、O-T3またはN(R27)-T3の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい;

R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27は、互いに独立して、HまたはC1-6アルキルである;

T3は以下からなる群より選択される、
フェニル;
ナフチル;
式中、フェニルおよびナフチルは以下の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい;
ハロゲン;
CN;
COOH;
OH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
C1-6アルキル;
O-C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R28)- C1-6アルキル;
S(O)2N(R29)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;または
N(R30)S(O)2-C1-6アルキル;
ヘテロ環;
ヘテロ二環;および
C3-7シクロアルキル;
式中、C3-7シクロアルキル、ヘテロ環およびヘテロ二環は、以下の一つ、または互いに独立して複数で置換されていてもよい
ハロゲン;
CN;
OH;
=O、この場合、環は少なくとも部分的に飽和している;
NH2
COOH;
C(O)NH2
S(O)2NH2
C1-6アルキル;
O-C1-6アルキル;
N(R31)-C1-6アルキル;
COO-C1-6アルキル;
OC(O)-C1-6アルキル;
C(O)N(R32)-C1-6アルキル;
N(R33)-C(O)-C1-6アルキル;
S(O)2N(R34)-C1-6アルキル;
S(O)2-C1-6アルキル;または
-N(R35)S(O)2-C1-6アルキル。
【請求項2】
式(Ia)

またはその薬学的に許容される塩であって、Z、R1-R5、A1、A2、nおよびXが請求項1記載の意味を持つ、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Zがフェニルまたはヘテロ環であり、Zが互いに独立してCl、F、CN、CH3またはOCH3のうち最大2個で置換されていても良い、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
R1、R2、R4、R5が互いに独立してH、F、OH、CH3、OCH3からなる群から選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
R3がHである、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
XがH、FまたはCH3である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
nが1である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
A1がR6であり、A2がH、FまたはCH3である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
R6が-CH2-Y-Tである、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
Yが-O-、-N(R9)-または-S(O)2-である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
R9がH、CH3、COOH、COOCH3、C(O)NH2、C(O)N(CH3)2、およびS(O)2CH3からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
TがT1-T2またはT2であり、T1が以下からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物:
-CH2-;
-C(O)-;
-C(O)-CH2-;
-C(O)O-;
-C(O)O-CH2-;
-C(O)NH-;
-C(O)NH-CH2-;
-S(O)2-;および
-S(O)2-CH2-。
【請求項13】
TがT1-T2またはT2であり、T1が-C(O)-;-CH2-;-S(O)2-;および-C(O)NH-からなる群より選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
R6が-CH2-N(R36)-Tであり、R36がHまたはS(O)2CH3である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
T2がフェニルまたはヘテロ環である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
以下からなる群またはその薬学的に許容される塩より選択される、請求項1記載の化合物。










【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物のプロドラッグ化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか一項記載のもう一つの化合物;もう一つのDPP-IV阻害剤;インスリン感作物質;PPARアゴニスト;ビグアナイド;タンパク質であるチロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤;インスリンおよびインスリン模倣物質;スルホニル尿素およびその他のインスリン分泌促進物質;a-グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴンレセプターアンタゴニスト;GLP-1、GLP-1模倣物質、およびGLP-1レセプターアゴニスト;GIP、GIP模倣物質およびGIPレセプターアゴニスト;PACAP、PACAP模倣物質およびPACAPレセプター3アゴニスト;コレステロール低下剤;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;捕捉剤;ニコチニルアルコール;ニコチン酸またはその塩;PPARaアゴニスト;PPARolyデュアルアゴニスト;コレステロール吸収阻害剤;アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;抗酸化剤;PPARoアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;ならびに抗炎症剤からなる群より選択される、一つまたは複数の追加の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項20】
薬剤としての使用のための、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
インスリン非依存性(II型)糖尿病;高血糖;肥満;インスリン抵抗性;脂質障害;異常脂肪血症;高脂血症;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;HDL減少;LDL増加;アテローム性動脈硬化症;成長ホルモン欠乏症;免疫応答関連疾患;HIV感染;好中球減少症;神経障害;不安;うつ病;腫瘍転移;良性前立腺肥大;歯肉炎;高血圧;骨粗鬆症;精子運動性関連疾患;耐糖能低下;インスリン抵抗性;イスト(ist)続発症;血管再狭窄;過敏性腸症候群;炎症性腸疾患;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む;その他の炎症状態;膵炎;腹部肥満;神経変性疾患;網膜症;腎症;ニューロパシー;シンドロームX;卵巣高アンドロゲン症(多嚢胞性卵巣症候群;n型糖尿病;または成長ホルモン欠乏症の治療または予防のための薬剤の製造のための、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項22】
DPP-IV阻害剤としての、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項23】
以下の段階を含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物の調製のためのプロセス:
・標準的なペプチドカップリング条件、試薬および保護基を用いて、式(IVa)のアミノ保護β-アミノ酸をカップリングする段階であって、

式中、PGは式(III)のアミンを有する保護基である、段階;

・保護基(PG)を除去する段階。
【請求項24】
カップリング試薬が、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)および塩基(トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)と併用される1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、または塩基の存在下におけるO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)であり、保護基が9-フルオレニルメトキシカルボニルまたはtert-ブトキシカルボニルである、請求項23記載のプロセス。
【請求項25】
保護基が9-フルオレニルメトキシカルボニルの場合はジクロロメタン中ジエチルアミンを用いて、またはtert-ブトキシカルボニルの場合には酸性条件を用いて除去される、請求項23または24記載のプロセス。

【公表番号】特表2007−513910(P2007−513910A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543480(P2006−543480)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014040
【国際公開番号】WO2005/056003
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(505336024)サンセラ ファーマシューティカルズ (シュバイツ) アーゲー (21)
【Fターム(参考)】