MEMSおよびMEMS製造方法
【課題】ピエゾ抵抗部とそのコンタクトホールとのアライメント精度を向上させる。
【解決手段】半導体層の表面に絶縁層を形成し、前記絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールが形成された前記絶縁層の表面に通孔を有する保護膜を形成し、前記通孔から露出している前記絶縁層を貫通させて前記半導体層に不純物を注入することにより複数の前記コンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する、ことを含むMEMS製造方法。
【解決手段】半導体層の表面に絶縁層を形成し、前記絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールが形成された前記絶縁層の表面に通孔を有する保護膜を形成し、前記通孔から露出している前記絶縁層を貫通させて前記半導体層に不純物を注入することにより複数の前記コンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する、ことを含むMEMS製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)およびMEMS製造方法に関し、特にピエゾ抵抗部の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピエゾ抵抗を用いたMEMSとして加速度センサ、振動ジャイロスコープ、圧力センサ、振動センサ、マイクロホン、力覚センサ等が知られている。このようなMEMSのピエゾ抵抗部は半導体層の表面にフォトレジストからなる保護膜を形成し、保護膜の通孔から露出している半導体層に不純物を注入することによって形成される。そしてピエゾ抵抗部が形成された半導体層の表面には絶縁層が形成され、ピエゾ抵抗部のコンタクトホールがエッチングによって絶縁層に形成される(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−136494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記従来の方法では次の問題がある。すなわち、ピエゾ抵抗部が形成された直後の半導体層の表面にも、ピエゾ抵抗部が形成された半導体層の表面に絶縁層が形成された直後の絶縁層の表面にも明瞭な凹凸がない。したがってコンタクトホールのパターンを、絶縁層の表面の凹凸をアライメントマークに用いて正確に位置決めすることができないという問題がある。また、アライメントマークを形成するためのプロセスを追加すれば製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0004】
本発明はこの問題を解決するために創作されたものであってピエゾ抵抗部とそのコンタクトホールとのアライメント精度の向上を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのMEMS製造方法は、半導体層の表面に絶縁層を形成し、絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールが形成された絶縁層の表面に通孔を有する保護膜を形成し、通孔から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入することにより複数のコンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する、ことを含む。
【0006】
コンタクトホールが形成された絶縁層の表面には明瞭な凹凸が表れる。したがってコンタクトホールの形成後に保護膜の通孔を形成する工程では、コンタクトホールと保護膜の通孔とのアライメント精度が向上する。本発明によると、コンタクトホールの形成後に形成された保護膜の通孔から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入するため、ピエゾ抵抗部とコンタクトホールとのアライメント精度を向上させることができる。
【0007】
(2)上記目的を達成するためのMEMS製造方法において、コンタクトホールの直下の半導体層にピエゾ抵抗部より高濃度の不純物を注入することにより、ピエゾ抵抗部に連続するコンタクト抵抗低減部を形成する、ことを含むことが望ましい。
コンタクトホールに形成される配線要素とピエゾ抵抗部との間にピエゾ抵抗部よりも高濃度の不純物を注入することにより、配線要素とピエゾ抵抗部との電気的な接続が良好になる(オーミック接触性が良好になる)。
【0008】
(3)上記目的を達成するためのMEMS製造方法において、ピエゾ抵抗部とコンタクトホールとに対応する通孔を保護膜に形成し、通孔から露出している絶縁層および半導体層に不純物を注入することによりピエゾ抵抗部とコンタクト抵抗低減部とを同時に形成する、ことを含むことが望ましい。
ピエゾ抵抗部とコンタクト抵抗低減部とを同時に形成することにより、MEMSの製造コストを低減することができる。
【0009】
(4)上記目的を達成するためのMEMS製造方法において、コンタクトホールに対応する他の通孔を有する他の保護膜を絶縁層の表面に形成し、他の通孔から露出している半導体層に不純物を注入することによりコンタクト抵抗低減部を形成する、ことを含んでもよい。
【0010】
(5)上記目的を達成するためのMEMSは、半導体層と半導体層に形成されているピエゾ抵抗部と半導体層に結合している絶縁層とを備える可撓部を備え、ピエゾ抵抗部のコンタクトホールが絶縁層に形成され、ピエゾ抵抗部およびピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層に不純物が注入されている。
【0011】
このような構造を有するMEMSは、半導体層の表面に絶縁層を形成し、絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールが形成された絶縁層の表面に保護膜を形成し、保護膜から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入することにより複数のコンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する方法により製造できる。したがってこのような構造を採用することにより、ピエゾ抵抗部とコンタクトホールとのアライメント精度が高いMEMSを実現することができる。
【0012】
(6)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、ピエゾ抵抗部およびピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層に注入された不純物のピーク濃度がピエゾ抵抗部にあってもよい。
【0013】
(7)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、ピエゾ抵抗部およびピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層に注入された不純物のピーク濃度が絶縁層にあることが好ましい。
このような構造を有するMEMSは、上述したように半導体層の表面に絶縁層を形成し、絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールが形成された絶縁層の表面に保護膜を形成し、保護膜から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入することにより複数のコンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する方法により製造できる。この方法で製造する場合、ピエゾ抵抗部の不純物の最大濃度は半導体層の絶縁層との界面に位置し、半導体層のその断面における不純物の分布は絶縁層との界面近傍の狭い範囲に限定される。したがって、このような構造を有するMEMSは、感度が高くなる方法で製造することができる。
【0014】
(8)上記目的を達成するためのMEMSにおいてピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層の不純物ピーク濃度とコンタクトホールの直下の半導体層の不純物ピーク濃度とが等しい、
このような構造を有するMEMSはピエゾ抵抗部とコンタクト抵抗低減部とを同時に形成する方法により製造できる。したがってこのような構造を採用することにより、MEMSの製造コストを低減することができる。
【0015】
請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSの第一実施形態としてピエゾ抵抗型の加速度センサを図1A、図1B、図1Cに示す。加速度センサ1は互いに直交する3軸の加速度成分を検出するためのMEMSである。
【0017】
加速度センサ1は平面視が十文字の形態を有する可撓部Fと、可撓部Fの4つの端部と結合している支持部Sと、可撓部Fの中央に結合している錘部Mと、可撓部Fの変形または変位を検出するためのピエゾ抵抗部131とを備える。
【0018】
可撓部FはSOIウエハのSOI層である半導体層13と絶縁層20とで主に構成されている。可撓部Fにはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とが含まれている。半導体層13の厚さは例えば10μmとする。絶縁層20は半導体層13に結合している。絶縁層20の厚さは半導体層13よりも十分薄く、例えば0.3μmとする。絶縁層20は二酸化シリコン(SiO2)からなる。絶縁層20にはピエゾ抵抗部131のコンタクトホールH1が複数形成されている。
【0019】
半導体層13の表層(錘部Mと結合していない面を表とする。)にはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とが形成されている。半導体層13の残部は単結晶シリコン(Si)からなる。ピエゾ抵抗部131にはホウ素(B)イオンがシリコンの不純物として注入されている。コンタクト抵抗低減部132はピエゾ抵抗部131の両端部に連続している。コンタクト抵抗低減部132にはピエゾ抵抗部131よりも高濃度でホウ素イオンがシリコンの不純物として注入されている。コンタクトホールH1においてコンタクト抵抗低減部132と配線31bとが結合している。配線31bとピエゾ抵抗部131とはコンタクト抵抗低減部132を介して電気的に接続されている。配線31bは白金(Pt)からなる。ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132に注入する不純物としてはホウ素の他にリン(P)、ヒ素(As)等を用いることができる。
【0020】
可撓部Fの中央部には錘部Mの中央部が結合している。錘部Mの平面視は中央の矩形の4つの角のそれぞれに矩形が接続された形態を有する。錘部Mの中央部以外は、可撓部Fにも支持部Sにも重なっていない。錘部Mはバルク層11と接続層12と半導体層13と絶縁層20とからなる。錘部Mと可撓部Fとは半導体層13においてC字形の4つのスリットS1によって切り分けられている。バルク層11はSOIウエハの単結晶シリコンからなるベースウエハからなる。バルク層11と半導体層13とを結合している接続層12はSOIウエハの二酸化シリコンからなる絶縁層からなる。
【0021】
支持部Sは矩形枠の形態を有する。支持部Sはバルク層11、接続層12、半導体層13および絶縁層20からなる。支持部Sと錘部Mとは絶縁層20および半導体層13においてC字形の4つのスリットS1によって切り分けられている。支持部Sと錘部Mとはバルク層11および接続層12において環状のスリットS2によって切り分けられている。
【0022】
加速度センサ1は配線31bに接続される外部配線によって図示しない検出回路に接続される。検出回路はブリッジ回路を構成している。ピエゾ抵抗部131の抵抗値は可撓部Fの変形量または変位量を示す電圧信号に検出回路によって変換される。可撓部Fは3次元の変形が可能である形態であるため、加速度センサ1を用いて3次元の加速度を検出できる。
【0023】
図2A、図2Bはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と絶縁層20の不純物濃度の一例を示す図である。図2Bに実線で示す濃度分布は図2Aに示すAA線の断面における不純物濃度を示している。図2Bに一点鎖線で示す濃度分布は図2Aに示すBB線の断面における不純物濃度を示している。コンタクト抵抗低減部132の不純物濃度とピエゾ抵抗部131の不純物濃度とを同じ深さで比較すると、いずれの深さ(絶縁層20の表面を基準とする)で比較しても、ピエゾ抵抗部131の不純物濃度よりもコンタクト抵抗低減部132の不純物濃度が高い。したがってピエゾ抵抗部131と配線31bとのオーミック接触性は、これらの間に接続されているコンタクト抵抗低減部132によって向上している。
【0024】
図2Bの実線で示すように、ピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークはピエゾ抵抗部131にあり、半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置する。すなわちピエゾ抵抗部131の真上領域における絶縁層20の不純物の最大濃度はピエゾ抵抗部131の不純物ピーク濃度よりも低くなっている。そしてピエゾ抵抗部131の不純物濃度ピークは半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置する。可撓部Fが変形するとき、応力は可撓部Fの表面において最も大きくなる。可撓部Fの表層を構成する絶縁層20は半導体層13に比べて十分薄く、ピエゾ抵抗部131は半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置し、ピエゾ抵抗部131の不純物濃度ピークは半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置する。したがってピエゾ抵抗部131の不純物濃度ピークが半導体層13の中層近傍に位置する場合に比べると本実施形態の加速度センサ1の感度は高くなる。
【0025】
半導体層13と絶縁層20とにおいてこのような不純物濃度分布を有する加速度センサ1は次に述べる方法によって製造することができる。
【0026】
(製造方法)
はじめに図3に示すようにSOIウエハ10の半導体層13の表面に絶縁層20を形成する。その結果、半導体層13の表面に結合された絶縁層20が形成される。SOIウエハ10は、例えば単結晶シリコンからなる厚さ625μmのバルク層11と、熱酸化により形成された二酸化シリコンからなる厚さ1μmの絶縁層である接続層12と、単結晶シリコンからなる厚さ10μmのボンドウエハである半導体層13とで構成される。続いてフォトレジストからなりコンタクトホールH1に対応する通孔を有する保護膜R1を絶縁層20の表面に形成する。さらに続いて保護膜R1を用いたエッチングにより絶縁層20にコンタクトホールH1を形成する。具体的には例えばCF4をエッチングガスに用いた反応性エッチングにより絶縁層20をエッチングする。
【0027】
次に絶縁層20を単層の保護膜として用いて、または絶縁層20と保護膜R1とを二層の保護膜として用いて、半導体層13の表層に不純物を注入する。その結果、コンタクトホールH1の直下においてコンタクト抵抗低減部132が半導体層13の表面近傍に形成される。このときコンタクト抵抗低減部132は不純物の拡散によってコンタクトホールH1からはみ出す領域にまで形成される。不純物イオンの膜厚方向の濃度分布は、イオン注入のための加速電圧によって制御される。その後、アニールによって半導体層13の結晶構造を整形し、コンタクト抵抗低減部132を活性化する。
【0028】
次に図4Aに示すようにフォトレジストからなりピエゾ抵抗部131に対応する通孔を有する保護膜R2を接続層12およびコンタクトホールH1から露出している半導体層13の表面に形成する。マスクを用いて保護膜R2を露光するとき、保護膜R2の下地である絶縁層20にはコンタクトホールH1が形成されているため、コンタクトホールH1に対応する明瞭な凹凸を基準に用いてコンタクトホールH1に対して保護膜R2のマスクを正確にアライメントすることができる。したがって保護膜R2の現像により、ピエゾ抵抗部131に対応する通孔をコンタクトホールH1を基準として保護膜R2に正確に形成することができる。
【0029】
続いて保護膜R2から露出している絶縁層20を貫通させて半導体層13に不純物を注入することにより、図4に示すように半導体層13にピエゾ抵抗部131を形成する。保護膜R2がコンタクトホールH1を基準に用いて正確にパターニングされているため、コンタクトホールH1とその直下に形成されているコンタクト抵抗低減部132とに対して正確な領域にピエゾ抵抗部131が形成される。このとき保護膜R2の通孔から露出しているのは絶縁層20であり、ピエゾ抵抗部131を形成すべき領域の真上には絶縁層20が重なっている。したがって、少なくとも一部の不純物が絶縁層20を貫通し半導体層13の表層にとどまる加速電圧を用いて不純物を注入する。具体的には図2Bに実線で示すように不純物濃度のピークが半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置するようにイオン注入のための加速電圧が設定される。その結果、コンタクト抵抗低減部132に連続するピエゾ抵抗部131が半導体層13の絶縁層20との界面近傍に形成される。その後、アニールによって半導体層13および絶縁層20の結晶構造を整形し、ピエゾ抵抗部131を活性化する。尚、半導体層13に注入する不純物の深さ方向の濃度分布がばらついたとしても(例えばピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132のそれぞれの濃度ピークの位置が設計値からずれたとしても)、抵抗の差分をブリッジ回路で検出し、その差分から加速度を導出可能であるため、特段の問題はない。
【0030】
次に図5に示すようにピエゾ抵抗部131の配線となる導電層31を、コンタクトホールH1から露出した半導体層13の表面と絶縁層20の表面全体に形成する。具体的には導電層31として、例えば厚さ0.1μmの白金からなる堆積膜をスパッタリングによって形成する。白金を堆積させる前に密着層として厚さ30nmのチタン(Ti)の膜を形成してもよい。またイリジウム(Ir)、二酸化イリジウム(IrO2)、SrRuO3などから導電層31を形成してもよい。
【0031】
次に図6Aに示すようにフォトレジストからなる保護膜R4を用いて導電層31をエッチングすることにより、図6Bに示すピエゾ抵抗部131の配線31bを形成する。たとえば白金からなる導電層31はアルゴンイオンを用いたミリングによってエッチングする。導電層31を反応性イオンエッチングによってエッチングしてもよい。
【0032】
次に図7A、図7Bに示すように図示しないフォトレジストからなる保護膜を用いて絶縁層20および半導体層13をエッチングすることによってC字形のスリットS1を形成する。その結果、支持部Sと可撓部Fの半導体層13および絶縁層20からなる部分が形成される。絶縁層20および半導体層13は例えばCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエッチングされる。フッ酸(HF)や緩衝フッ酸(BHF)を用いたウエットエッチングによって絶縁層20および半導体層13をエッチングしてもよい。
【0033】
次に図8A、図8Bに示すようにワークの表面(配線が形成されている面)を補強基板100に接着する。接着剤Bとして例えばワックスを用いる。フォトレジスト、両面粘着テープなどでワークを補強基板100に接着してもよい。続いてフォトレジストからなる保護膜R5を用いてバルク層11をエッチングすることにより環状のスリットS2を形成する。その結果、支持部Sと錘部Mのバルク層11からなる部分が形成される。バルク層11は、例えばC4F8プラズマによるパッシベーションとSF6プラズマによるエッチングとを短く交互に繰り返すDeeP−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってエッチングされる。
【0034】
次に図9A、図9Bに示すようにバルク層11を保護膜として用いて接続層12をエッチングし、半導体層13を露出させる。その結果、接続層12のスリットS1とスリットS2との間にあった領域が除去され、可撓部Fが形成される。例えば二酸化シリコンからなる接続層12は緩衝フッ酸を用いてエッチングする。
その後、ワークから接着剤Bを剥離し、ダイシングなどの後工程を実施すると図1に示す加速度センサ1が完成する。
【0035】
以上説明した方法によって加速度センサ1を製造すると、ピエゾ抵抗部131を形成するための保護膜R2を、ピエゾ抵抗部131のコンタクトホールH1を絶縁層20に形成した後に形成するため、コンタクトホールH1とその直下に形成されているコンタクト抵抗低減部132とに対して正確な領域にピエゾ抵抗部131を形成することができる。そして、コンタクトホールH1に対応する凹凸をアライメントマークとして用いるため、保護膜R2をパターニングするためのアライメントマークを付加的に形成する必要がない。したがって製造コストが増大することはない。
【0036】
(変形例)
図10A、図10Bはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と絶縁層20の不純物濃度の変形例を示す図である。図10Bに実線で示す濃度分布は図10Aに示すAA線の断面における不純物濃度を示している。図10Bに一点鎖線で示す濃度分布は図10Aに示すBB線の断面における不純物濃度を示している。図10Bの実線で示すように、ピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークは絶縁層20にあり、絶縁層20の半導体層13との界面近傍に位置してもよい。この場合、ピエゾ抵抗部131の不純物の濃度ピークは半導体層13の絶縁層20との界面に位置し、半導体層13のその断面における不純物の分布は絶縁層20との界面近傍の狭い範囲に限定される。したがってピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークが半導体層13にある場合に比べるとモーションセンサの感度が高くなる。
【0037】
2.第二実施形態
本発明のMEMSの第二実施形態として6次元のモーションセンサを図11A、図11B、図11Cに示す。モーションセンサ2は互いに直交する3軸の加速度成分と、互いに直交する3軸の角速度成分とを検出するためのMEMSである。
【0038】
モーションセンサ2の可撓部Fは半導体層13と絶縁層20と絶縁層40とで主に構成されている。可撓部Fにはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と圧電素子30とが含まれている。
【0039】
圧電素子30はピエゾ抵抗部131の真上に位置し、絶縁層20の平坦かつ平滑な表面に結合している。圧電素子30とピエゾ抵抗部131とを垂直方向に重ねることによってレイアウト効率が高まる。圧電素子30は、絶縁層20に結合している下層電極31aと、圧電層32と、上層電極33aとから構成されている。下層電極31aは白金(Pt)からなる。下層電極31aと圧電層32との界面は平坦かつ平滑に形成されている。圧電層32は下層電極31aと上層電極とに結合している。圧電層32はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。上層電極33aは白金からなる。下層電極31aと表面配線51とは配線31cによって接続されている。上層電極33aは表面配線51に直接接続されている。
【0040】
絶縁層40は圧電素子30、圧電素子30の下層電極31aの配線31c、ピエゾ抵抗部131の内部配線31bおよび絶縁層20の全体を覆っている。表面配線51は絶縁層40に形成されているコンタクトホールを介してピエゾ抵抗部131の内部配線31b、圧電素子30の下層電極31aの配線31cおよび圧電素子30の上層電極33aに接続している。
【0041】
ピエゾ抵抗部131と表面配線51とは、コンタクトホールH1を介してコンタクト抵抗低減部132に接続されている内部配線31bとピエゾ抵抗部131に接続されているコンタクト抵抗低減部132とによって電気的に接続されている。
【0042】
図12A、図12Bはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と絶縁層20の不純物濃度を示す図である。図12Bに実線で示す濃度分布は図12Aに示すAA線の断面における不純物濃度を示している。図12Bに一点鎖線で示す濃度分布は図12Aに示すBB線の断面における不純物濃度を示している。図12Bに示すように、実線で示されたピエゾ抵抗部131の真上領域における絶縁層20の不純物ピーク濃度と一点鎖線で示されたコンタクトホール直下の半導体層13の不純物ピーク濃度は等しい。図12Bの実線で示すようにピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークは絶縁層20に位置する。すなわちピエゾ抵抗部131の真上領域における絶縁層20の不純物ピーク濃度はピエゾ抵抗部131の不純物ピーク濃度よりも高くなっている。そしてピエゾ抵抗部131の不純物の最大濃度は半導体層13の絶縁層20との界面に位置し、半導体層13のその断面における不純物の分布は絶縁層20との界面近傍の狭い範囲に限定されている。したがってピエゾ抵抗部131を構成する不純物が深さ方向において半導体層13の広い範囲に分布する場合に比べると本実施形態のモーションセンサ2の感度は高くなる。
【0043】
図11に示すモーションセンサ2は表面配線51に接続される外部配線によって図示しない駆動検出回路に接続される。圧電素子30には可撓部Fを励振するための駆動電圧が駆動検出回路によって印加される。ピエゾ抵抗部131の抵抗値は可撓部Fの変形量または変位量を示す電圧信号にブリッジ回路によって変換される。可撓部Fの励振と角速度とによって生ずるコリオリ力による可撓部の変位成分の振動周波数は可撓部Fの励振周波数と一致する。一方、加速度による可撓部Fの変位成分は可撓部Fの励振周波数と無関係である。したがって可撓部Fの励振周波数を、検出対象とする加速度の周波数よりも十分高く設定することにより、可撓部Fの変位から加速度成分と角速度成分とを抽出可能になる。可撓部Fは3次元の振動が可能である形態であるため、モーションセンサ2を用いて3次元の加速度と3次元の角速度がそれぞれ検出できる。
【0044】
(製造方法)
はじめに図13に示すように半導体層13の表面に絶縁層20を形成する。続いて、コンタクトホールH1に対応する通孔を有する保護膜R1を絶縁層20の表面に形成する。続いて保護膜R1を用いたエッチングにより絶縁層20にコンタクトホールH1を形成する。
【0045】
次に図14に示すようにピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とに対応する通孔を有する保護膜R2aを接続層20の表面に形成する。マスクを用いて保護膜R2aを露光するとき、保護膜R2の下地である絶縁層20にはコンタクトホールH1が形成されているため、コンタクトホールH1に対応する明瞭な凹凸を基準に用いてコンタクトホールH1に対して保護膜R2aのマスクを正確にアライメントすることができる。したがって保護膜R2aの現像により、ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132に対応する通孔をコンタクトホールH1を基準として保護膜R2aに正確に形成することができる。
【0046】
次に保護膜R2aの通孔から露出している絶縁層20と半導体層13とに不純物を注入することによりピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とを同時に形成する。保護膜R2aがコンタクトホールH1を基準に用いて正確にパターニングされているため、コンタクトホールH1に対して正確な領域にピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とが形成される。このとき絶縁層20の表面に打ち込まれる不純物の濃度ピークが図12に示すように絶縁層20に位置し、半導体層13の絶縁層20との界面近傍にまでその不純物が拡散するように、イオン注入の加速電圧が設定される。このような加速電圧の設定は絶縁層20の厚さが特定の範囲にある場合に可能である。また絶縁層20に保護されている半導体層13に不純物を注入することによりピエゾ抵抗部131を形成する一方で半導体層13の表面に直接不純物を打ち込んでコンタクト抵抗低減部132を形成するため、コンタクト抵抗低減部132の不純物濃度はピエゾ抵抗部131の不純物濃度よりも高くなる。そして絶縁層20に保護されている半導体層13に不純物を注入することによりピエゾ抵抗部131を形成するため、ピエゾ抵抗部131を半導体層13の絶縁層20との界面近傍の狭い範囲に形成することができるとともにピエゾ抵抗部131の不純物濃度のピークを絶縁層20との界面に位置づけられる。その後、アニールによって半導体層13および絶縁層20の結晶構造を整形し、ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132を活性化する。
【0047】
次に図15に示すようにピエゾ抵抗部131の配線および圧電素子の下層電極の配線となる導電層31を、コンタクトホールH1から露出した半導体層13の表面と絶縁層20の表面全体に形成する。導電層31の表面を平坦かつ平滑に形成するため、下地となる絶縁層20の結晶構造と結晶構造が連続するように(エピタキシャル成長的に)導電層31の膜を堆積させることが望ましい。具体的には導電層31として、例えば厚さ0.1μmの白金からなる膜をスパッタリングによって形成する。白金を堆積させる前に密着層として厚さ30nmのチタン(Ti)の膜を形成してもよい。またイリジウム(Ir)、二酸化イリジウム(IrO2)、SrRuO3などから導電層31を形成してもよい。
【0048】
次に導電層31の表面全体に圧電層32を形成する。圧電層32の結晶構造と下地である導電層31の結晶構造とが連続するように(エピタキシャル成長的に)圧電層32の膜を堆積させることが望ましい。具体的には圧電層32として、例えば厚さ3μmのPZTからなる膜をスパッタリングによって形成する。スパッタリングの代わりにゾルゲル法を用いてもよい。PZTの代わりにBLT(Bi4−xLaxTi3O12)、BaTiO3、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いてもよい。
【0049】
次に図16に示すように圧電層32の表面全体に圧電素子の上層電極となる導電層33を形成する。導電層33として例えば厚さ0.1μmの白金からなる膜をスパッタリングによって形成する。白金を堆積させる前に密着層として厚さ30nmのチタンの膜を形成してもよい。イリジウム、二酸化イリジウム、金(Au)等から導電層33を形成してもよい。
【0050】
次に図17に示すようにフォトレジストからなる保護膜R3を用いて導電層33をエッチングすることにより上層電極33aを形成する。例えば白金からなる導電層33はアルゴン(Ar)イオンを用いたミリングによってエッチングする。ベーキングや多階調マスクを用いて保護膜R3の端面を斜面に形成し、ミリングによって保護膜R3の断面形状を上層電極33aに転写してもよい。
【0051】
次に図18に示すように保護膜R3または上層電極33aを用いて圧電層32をエッチングする。例えばPZTからなる圧電層32は塩素(Cl2)ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエッチングする。圧電層32をエッチングする前に保護膜R3を除去してもよいし、圧電層32のエッチング中に保護膜R3が消失してもよい。
【0052】
次に図19に示すようにフォトレジストからなる保護膜R4を用いて導電層31をエッチングすることにより、ピエゾ抵抗部131の内部配線31bと圧電素子30の下層電極31aの配線31c(図11C参照)とを形成する。その結果、下層電極31aが絶縁層20の表面に結合され圧電層32が下層電極31aの表面に結合された圧電素子30が内部配線31b、31cとともに形成される。たとえば白金からなる導電層31はアルゴンイオンを用いたミリングによってエッチングする。導電層31を反応性イオンエッチングによってエッチングしてもよい。
【0053】
次に図20に示すように圧電素子30と内部配線31b、31cと絶縁層20の表面に絶縁層40を形成する。絶縁層40にはコンタクトホールを形成する。このとき、例えば図20Bに示すように可撓部と支持部となる領域以外の領域において絶縁層40が切り欠かれ絶縁層20の錘部となる部分が露出するパターンとなるように、コンタクトホール以外の領域も除去する。例えば、感光性ポリイミドを10μmの厚さ塗布し、露光し、現像することにより有機物からなる絶縁層40を形成する。二酸化シリコン、窒化シリコン、アルミナなどの無機絶縁膜を形成し、これらの無機絶縁膜をエッチングすることにより絶縁層40を形成してもよい。続いてコンタクトホールから露出した圧電素子30の上層電極33aと内部配線31b、31cとに接続される表面配線51を絶縁層40の表面に形成する。表面配線51は、例えばスパッタリングによって厚さ0.5μmのアルミニウムからなる導電膜を形成し、この導電膜を塩素ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエッチングすることによって形成する。アルミニウムシリサイド(AlSi)、AlSiCuなどから表面配線51を形成してもよい。アルミニウムからなる表面配線51を形成する前に密着層として厚さ30nmのチタンの膜を形成してもよい。アルゴンイオンを用いたミリングや燐酸、硝酸、酢酸等の混合液を用いたウエットエッチングによって表面配線51をエッチングしてもよい。
【0054】
その後、第一実施形態と同様に図21、図22、図23に示す工程を実施することにより、C字形のスリットS1、環状のスリットS2を形成し、接続層12をエッチングし、ダイシングなどの後工程を実施すると図11に示すモーションセンサ2が完成する。
【0055】
3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明は圧力センサ、振動センサ、マイクロホン、力覚センサなどピエゾ抵抗を用いた様々なMEMSに適用できる。また上記実施形態で示した材質や寸法や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1A、図1Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図1Cは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図2】図2Aは本発明の第一実施形態にかかる部分断面図。図2Bは本発明の第一実施形態にかかる線グラフ。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図4】図4Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図4Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図6】図6Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図6Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図7】図7Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図7Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図8】図8Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図8Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図9】図9Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図9Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図10】図10Aは本発明の第一実施形態の変形例にかかる部分断面図。図10Bは本発明の第一実施形態の変形例にかかる線グラフ。
【図11】図11A、図11Bは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図11Cは本発明の第二実施形態にかかる平面図。
【図12】図12Aは本発明の第二実施形態にかかる部分断面図。図12Bは本発明の第二実施形態にかかる線グラフ。
【図13】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図14】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図15】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図16】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図17】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図18】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図19】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図20】図20Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図20Bは本発明の第二実施形態にかかる平面図。
【図21】図21Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図21Bは本発明の第二実施形態にかかる平面図。
【図22】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図23】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【符号の説明】
【0057】
1:加速度センサ、2:モーションセンサ、10:ウエハ、11:バルク層、12:接続層、13:半導体層、20:絶縁層、30:圧電素子、31:導電層、31a:下層電極、31b:配線、31c:配線、32:圧電層、33:導電層、33a:上層電極、40:絶縁層、51:表面配線、100:補強基板、131:ピエゾ抵抗部、132:コンタクト抵抗低減部、B:接着剤、F:可撓部、H1:コンタクトホール、M:錘部、R1:保護膜、R2:保護膜、R3:保護膜、R4:保護膜、R5:保護膜、S:支持部、S1:スリット、S2:スリット
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)およびMEMS製造方法に関し、特にピエゾ抵抗部の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピエゾ抵抗を用いたMEMSとして加速度センサ、振動ジャイロスコープ、圧力センサ、振動センサ、マイクロホン、力覚センサ等が知られている。このようなMEMSのピエゾ抵抗部は半導体層の表面にフォトレジストからなる保護膜を形成し、保護膜の通孔から露出している半導体層に不純物を注入することによって形成される。そしてピエゾ抵抗部が形成された半導体層の表面には絶縁層が形成され、ピエゾ抵抗部のコンタクトホールがエッチングによって絶縁層に形成される(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−136494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記従来の方法では次の問題がある。すなわち、ピエゾ抵抗部が形成された直後の半導体層の表面にも、ピエゾ抵抗部が形成された半導体層の表面に絶縁層が形成された直後の絶縁層の表面にも明瞭な凹凸がない。したがってコンタクトホールのパターンを、絶縁層の表面の凹凸をアライメントマークに用いて正確に位置決めすることができないという問題がある。また、アライメントマークを形成するためのプロセスを追加すれば製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0004】
本発明はこの問題を解決するために創作されたものであってピエゾ抵抗部とそのコンタクトホールとのアライメント精度の向上を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのMEMS製造方法は、半導体層の表面に絶縁層を形成し、絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールが形成された絶縁層の表面に通孔を有する保護膜を形成し、通孔から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入することにより複数のコンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する、ことを含む。
【0006】
コンタクトホールが形成された絶縁層の表面には明瞭な凹凸が表れる。したがってコンタクトホールの形成後に保護膜の通孔を形成する工程では、コンタクトホールと保護膜の通孔とのアライメント精度が向上する。本発明によると、コンタクトホールの形成後に形成された保護膜の通孔から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入するため、ピエゾ抵抗部とコンタクトホールとのアライメント精度を向上させることができる。
【0007】
(2)上記目的を達成するためのMEMS製造方法において、コンタクトホールの直下の半導体層にピエゾ抵抗部より高濃度の不純物を注入することにより、ピエゾ抵抗部に連続するコンタクト抵抗低減部を形成する、ことを含むことが望ましい。
コンタクトホールに形成される配線要素とピエゾ抵抗部との間にピエゾ抵抗部よりも高濃度の不純物を注入することにより、配線要素とピエゾ抵抗部との電気的な接続が良好になる(オーミック接触性が良好になる)。
【0008】
(3)上記目的を達成するためのMEMS製造方法において、ピエゾ抵抗部とコンタクトホールとに対応する通孔を保護膜に形成し、通孔から露出している絶縁層および半導体層に不純物を注入することによりピエゾ抵抗部とコンタクト抵抗低減部とを同時に形成する、ことを含むことが望ましい。
ピエゾ抵抗部とコンタクト抵抗低減部とを同時に形成することにより、MEMSの製造コストを低減することができる。
【0009】
(4)上記目的を達成するためのMEMS製造方法において、コンタクトホールに対応する他の通孔を有する他の保護膜を絶縁層の表面に形成し、他の通孔から露出している半導体層に不純物を注入することによりコンタクト抵抗低減部を形成する、ことを含んでもよい。
【0010】
(5)上記目的を達成するためのMEMSは、半導体層と半導体層に形成されているピエゾ抵抗部と半導体層に結合している絶縁層とを備える可撓部を備え、ピエゾ抵抗部のコンタクトホールが絶縁層に形成され、ピエゾ抵抗部およびピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層に不純物が注入されている。
【0011】
このような構造を有するMEMSは、半導体層の表面に絶縁層を形成し、絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールが形成された絶縁層の表面に保護膜を形成し、保護膜から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入することにより複数のコンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する方法により製造できる。したがってこのような構造を採用することにより、ピエゾ抵抗部とコンタクトホールとのアライメント精度が高いMEMSを実現することができる。
【0012】
(6)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、ピエゾ抵抗部およびピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層に注入された不純物のピーク濃度がピエゾ抵抗部にあってもよい。
【0013】
(7)上記目的を達成するためのMEMSにおいて、ピエゾ抵抗部およびピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層に注入された不純物のピーク濃度が絶縁層にあることが好ましい。
このような構造を有するMEMSは、上述したように半導体層の表面に絶縁層を形成し、絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールが形成された絶縁層の表面に保護膜を形成し、保護膜から露出している絶縁層を貫通させて半導体層に不純物を注入することにより複数のコンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する方法により製造できる。この方法で製造する場合、ピエゾ抵抗部の不純物の最大濃度は半導体層の絶縁層との界面に位置し、半導体層のその断面における不純物の分布は絶縁層との界面近傍の狭い範囲に限定される。したがって、このような構造を有するMEMSは、感度が高くなる方法で製造することができる。
【0014】
(8)上記目的を達成するためのMEMSにおいてピエゾ抵抗部の真上領域における絶縁層の不純物ピーク濃度とコンタクトホールの直下の半導体層の不純物ピーク濃度とが等しい、
このような構造を有するMEMSはピエゾ抵抗部とコンタクト抵抗低減部とを同時に形成する方法により製造できる。したがってこのような構造を採用することにより、MEMSの製造コストを低減することができる。
【0015】
請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSの第一実施形態としてピエゾ抵抗型の加速度センサを図1A、図1B、図1Cに示す。加速度センサ1は互いに直交する3軸の加速度成分を検出するためのMEMSである。
【0017】
加速度センサ1は平面視が十文字の形態を有する可撓部Fと、可撓部Fの4つの端部と結合している支持部Sと、可撓部Fの中央に結合している錘部Mと、可撓部Fの変形または変位を検出するためのピエゾ抵抗部131とを備える。
【0018】
可撓部FはSOIウエハのSOI層である半導体層13と絶縁層20とで主に構成されている。可撓部Fにはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とが含まれている。半導体層13の厚さは例えば10μmとする。絶縁層20は半導体層13に結合している。絶縁層20の厚さは半導体層13よりも十分薄く、例えば0.3μmとする。絶縁層20は二酸化シリコン(SiO2)からなる。絶縁層20にはピエゾ抵抗部131のコンタクトホールH1が複数形成されている。
【0019】
半導体層13の表層(錘部Mと結合していない面を表とする。)にはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とが形成されている。半導体層13の残部は単結晶シリコン(Si)からなる。ピエゾ抵抗部131にはホウ素(B)イオンがシリコンの不純物として注入されている。コンタクト抵抗低減部132はピエゾ抵抗部131の両端部に連続している。コンタクト抵抗低減部132にはピエゾ抵抗部131よりも高濃度でホウ素イオンがシリコンの不純物として注入されている。コンタクトホールH1においてコンタクト抵抗低減部132と配線31bとが結合している。配線31bとピエゾ抵抗部131とはコンタクト抵抗低減部132を介して電気的に接続されている。配線31bは白金(Pt)からなる。ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132に注入する不純物としてはホウ素の他にリン(P)、ヒ素(As)等を用いることができる。
【0020】
可撓部Fの中央部には錘部Mの中央部が結合している。錘部Mの平面視は中央の矩形の4つの角のそれぞれに矩形が接続された形態を有する。錘部Mの中央部以外は、可撓部Fにも支持部Sにも重なっていない。錘部Mはバルク層11と接続層12と半導体層13と絶縁層20とからなる。錘部Mと可撓部Fとは半導体層13においてC字形の4つのスリットS1によって切り分けられている。バルク層11はSOIウエハの単結晶シリコンからなるベースウエハからなる。バルク層11と半導体層13とを結合している接続層12はSOIウエハの二酸化シリコンからなる絶縁層からなる。
【0021】
支持部Sは矩形枠の形態を有する。支持部Sはバルク層11、接続層12、半導体層13および絶縁層20からなる。支持部Sと錘部Mとは絶縁層20および半導体層13においてC字形の4つのスリットS1によって切り分けられている。支持部Sと錘部Mとはバルク層11および接続層12において環状のスリットS2によって切り分けられている。
【0022】
加速度センサ1は配線31bに接続される外部配線によって図示しない検出回路に接続される。検出回路はブリッジ回路を構成している。ピエゾ抵抗部131の抵抗値は可撓部Fの変形量または変位量を示す電圧信号に検出回路によって変換される。可撓部Fは3次元の変形が可能である形態であるため、加速度センサ1を用いて3次元の加速度を検出できる。
【0023】
図2A、図2Bはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と絶縁層20の不純物濃度の一例を示す図である。図2Bに実線で示す濃度分布は図2Aに示すAA線の断面における不純物濃度を示している。図2Bに一点鎖線で示す濃度分布は図2Aに示すBB線の断面における不純物濃度を示している。コンタクト抵抗低減部132の不純物濃度とピエゾ抵抗部131の不純物濃度とを同じ深さで比較すると、いずれの深さ(絶縁層20の表面を基準とする)で比較しても、ピエゾ抵抗部131の不純物濃度よりもコンタクト抵抗低減部132の不純物濃度が高い。したがってピエゾ抵抗部131と配線31bとのオーミック接触性は、これらの間に接続されているコンタクト抵抗低減部132によって向上している。
【0024】
図2Bの実線で示すように、ピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークはピエゾ抵抗部131にあり、半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置する。すなわちピエゾ抵抗部131の真上領域における絶縁層20の不純物の最大濃度はピエゾ抵抗部131の不純物ピーク濃度よりも低くなっている。そしてピエゾ抵抗部131の不純物濃度ピークは半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置する。可撓部Fが変形するとき、応力は可撓部Fの表面において最も大きくなる。可撓部Fの表層を構成する絶縁層20は半導体層13に比べて十分薄く、ピエゾ抵抗部131は半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置し、ピエゾ抵抗部131の不純物濃度ピークは半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置する。したがってピエゾ抵抗部131の不純物濃度ピークが半導体層13の中層近傍に位置する場合に比べると本実施形態の加速度センサ1の感度は高くなる。
【0025】
半導体層13と絶縁層20とにおいてこのような不純物濃度分布を有する加速度センサ1は次に述べる方法によって製造することができる。
【0026】
(製造方法)
はじめに図3に示すようにSOIウエハ10の半導体層13の表面に絶縁層20を形成する。その結果、半導体層13の表面に結合された絶縁層20が形成される。SOIウエハ10は、例えば単結晶シリコンからなる厚さ625μmのバルク層11と、熱酸化により形成された二酸化シリコンからなる厚さ1μmの絶縁層である接続層12と、単結晶シリコンからなる厚さ10μmのボンドウエハである半導体層13とで構成される。続いてフォトレジストからなりコンタクトホールH1に対応する通孔を有する保護膜R1を絶縁層20の表面に形成する。さらに続いて保護膜R1を用いたエッチングにより絶縁層20にコンタクトホールH1を形成する。具体的には例えばCF4をエッチングガスに用いた反応性エッチングにより絶縁層20をエッチングする。
【0027】
次に絶縁層20を単層の保護膜として用いて、または絶縁層20と保護膜R1とを二層の保護膜として用いて、半導体層13の表層に不純物を注入する。その結果、コンタクトホールH1の直下においてコンタクト抵抗低減部132が半導体層13の表面近傍に形成される。このときコンタクト抵抗低減部132は不純物の拡散によってコンタクトホールH1からはみ出す領域にまで形成される。不純物イオンの膜厚方向の濃度分布は、イオン注入のための加速電圧によって制御される。その後、アニールによって半導体層13の結晶構造を整形し、コンタクト抵抗低減部132を活性化する。
【0028】
次に図4Aに示すようにフォトレジストからなりピエゾ抵抗部131に対応する通孔を有する保護膜R2を接続層12およびコンタクトホールH1から露出している半導体層13の表面に形成する。マスクを用いて保護膜R2を露光するとき、保護膜R2の下地である絶縁層20にはコンタクトホールH1が形成されているため、コンタクトホールH1に対応する明瞭な凹凸を基準に用いてコンタクトホールH1に対して保護膜R2のマスクを正確にアライメントすることができる。したがって保護膜R2の現像により、ピエゾ抵抗部131に対応する通孔をコンタクトホールH1を基準として保護膜R2に正確に形成することができる。
【0029】
続いて保護膜R2から露出している絶縁層20を貫通させて半導体層13に不純物を注入することにより、図4に示すように半導体層13にピエゾ抵抗部131を形成する。保護膜R2がコンタクトホールH1を基準に用いて正確にパターニングされているため、コンタクトホールH1とその直下に形成されているコンタクト抵抗低減部132とに対して正確な領域にピエゾ抵抗部131が形成される。このとき保護膜R2の通孔から露出しているのは絶縁層20であり、ピエゾ抵抗部131を形成すべき領域の真上には絶縁層20が重なっている。したがって、少なくとも一部の不純物が絶縁層20を貫通し半導体層13の表層にとどまる加速電圧を用いて不純物を注入する。具体的には図2Bに実線で示すように不純物濃度のピークが半導体層13の絶縁層20との界面近傍に位置するようにイオン注入のための加速電圧が設定される。その結果、コンタクト抵抗低減部132に連続するピエゾ抵抗部131が半導体層13の絶縁層20との界面近傍に形成される。その後、アニールによって半導体層13および絶縁層20の結晶構造を整形し、ピエゾ抵抗部131を活性化する。尚、半導体層13に注入する不純物の深さ方向の濃度分布がばらついたとしても(例えばピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132のそれぞれの濃度ピークの位置が設計値からずれたとしても)、抵抗の差分をブリッジ回路で検出し、その差分から加速度を導出可能であるため、特段の問題はない。
【0030】
次に図5に示すようにピエゾ抵抗部131の配線となる導電層31を、コンタクトホールH1から露出した半導体層13の表面と絶縁層20の表面全体に形成する。具体的には導電層31として、例えば厚さ0.1μmの白金からなる堆積膜をスパッタリングによって形成する。白金を堆積させる前に密着層として厚さ30nmのチタン(Ti)の膜を形成してもよい。またイリジウム(Ir)、二酸化イリジウム(IrO2)、SrRuO3などから導電層31を形成してもよい。
【0031】
次に図6Aに示すようにフォトレジストからなる保護膜R4を用いて導電層31をエッチングすることにより、図6Bに示すピエゾ抵抗部131の配線31bを形成する。たとえば白金からなる導電層31はアルゴンイオンを用いたミリングによってエッチングする。導電層31を反応性イオンエッチングによってエッチングしてもよい。
【0032】
次に図7A、図7Bに示すように図示しないフォトレジストからなる保護膜を用いて絶縁層20および半導体層13をエッチングすることによってC字形のスリットS1を形成する。その結果、支持部Sと可撓部Fの半導体層13および絶縁層20からなる部分が形成される。絶縁層20および半導体層13は例えばCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエッチングされる。フッ酸(HF)や緩衝フッ酸(BHF)を用いたウエットエッチングによって絶縁層20および半導体層13をエッチングしてもよい。
【0033】
次に図8A、図8Bに示すようにワークの表面(配線が形成されている面)を補強基板100に接着する。接着剤Bとして例えばワックスを用いる。フォトレジスト、両面粘着テープなどでワークを補強基板100に接着してもよい。続いてフォトレジストからなる保護膜R5を用いてバルク層11をエッチングすることにより環状のスリットS2を形成する。その結果、支持部Sと錘部Mのバルク層11からなる部分が形成される。バルク層11は、例えばC4F8プラズマによるパッシベーションとSF6プラズマによるエッチングとを短く交互に繰り返すDeeP−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってエッチングされる。
【0034】
次に図9A、図9Bに示すようにバルク層11を保護膜として用いて接続層12をエッチングし、半導体層13を露出させる。その結果、接続層12のスリットS1とスリットS2との間にあった領域が除去され、可撓部Fが形成される。例えば二酸化シリコンからなる接続層12は緩衝フッ酸を用いてエッチングする。
その後、ワークから接着剤Bを剥離し、ダイシングなどの後工程を実施すると図1に示す加速度センサ1が完成する。
【0035】
以上説明した方法によって加速度センサ1を製造すると、ピエゾ抵抗部131を形成するための保護膜R2を、ピエゾ抵抗部131のコンタクトホールH1を絶縁層20に形成した後に形成するため、コンタクトホールH1とその直下に形成されているコンタクト抵抗低減部132とに対して正確な領域にピエゾ抵抗部131を形成することができる。そして、コンタクトホールH1に対応する凹凸をアライメントマークとして用いるため、保護膜R2をパターニングするためのアライメントマークを付加的に形成する必要がない。したがって製造コストが増大することはない。
【0036】
(変形例)
図10A、図10Bはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と絶縁層20の不純物濃度の変形例を示す図である。図10Bに実線で示す濃度分布は図10Aに示すAA線の断面における不純物濃度を示している。図10Bに一点鎖線で示す濃度分布は図10Aに示すBB線の断面における不純物濃度を示している。図10Bの実線で示すように、ピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークは絶縁層20にあり、絶縁層20の半導体層13との界面近傍に位置してもよい。この場合、ピエゾ抵抗部131の不純物の濃度ピークは半導体層13の絶縁層20との界面に位置し、半導体層13のその断面における不純物の分布は絶縁層20との界面近傍の狭い範囲に限定される。したがってピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークが半導体層13にある場合に比べるとモーションセンサの感度が高くなる。
【0037】
2.第二実施形態
本発明のMEMSの第二実施形態として6次元のモーションセンサを図11A、図11B、図11Cに示す。モーションセンサ2は互いに直交する3軸の加速度成分と、互いに直交する3軸の角速度成分とを検出するためのMEMSである。
【0038】
モーションセンサ2の可撓部Fは半導体層13と絶縁層20と絶縁層40とで主に構成されている。可撓部Fにはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と圧電素子30とが含まれている。
【0039】
圧電素子30はピエゾ抵抗部131の真上に位置し、絶縁層20の平坦かつ平滑な表面に結合している。圧電素子30とピエゾ抵抗部131とを垂直方向に重ねることによってレイアウト効率が高まる。圧電素子30は、絶縁層20に結合している下層電極31aと、圧電層32と、上層電極33aとから構成されている。下層電極31aは白金(Pt)からなる。下層電極31aと圧電層32との界面は平坦かつ平滑に形成されている。圧電層32は下層電極31aと上層電極とに結合している。圧電層32はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。上層電極33aは白金からなる。下層電極31aと表面配線51とは配線31cによって接続されている。上層電極33aは表面配線51に直接接続されている。
【0040】
絶縁層40は圧電素子30、圧電素子30の下層電極31aの配線31c、ピエゾ抵抗部131の内部配線31bおよび絶縁層20の全体を覆っている。表面配線51は絶縁層40に形成されているコンタクトホールを介してピエゾ抵抗部131の内部配線31b、圧電素子30の下層電極31aの配線31cおよび圧電素子30の上層電極33aに接続している。
【0041】
ピエゾ抵抗部131と表面配線51とは、コンタクトホールH1を介してコンタクト抵抗低減部132に接続されている内部配線31bとピエゾ抵抗部131に接続されているコンタクト抵抗低減部132とによって電気的に接続されている。
【0042】
図12A、図12Bはピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132と絶縁層20の不純物濃度を示す図である。図12Bに実線で示す濃度分布は図12Aに示すAA線の断面における不純物濃度を示している。図12Bに一点鎖線で示す濃度分布は図12Aに示すBB線の断面における不純物濃度を示している。図12Bに示すように、実線で示されたピエゾ抵抗部131の真上領域における絶縁層20の不純物ピーク濃度と一点鎖線で示されたコンタクトホール直下の半導体層13の不純物ピーク濃度は等しい。図12Bの実線で示すようにピエゾ抵抗部131を通る断面において不純物濃度のピークは絶縁層20に位置する。すなわちピエゾ抵抗部131の真上領域における絶縁層20の不純物ピーク濃度はピエゾ抵抗部131の不純物ピーク濃度よりも高くなっている。そしてピエゾ抵抗部131の不純物の最大濃度は半導体層13の絶縁層20との界面に位置し、半導体層13のその断面における不純物の分布は絶縁層20との界面近傍の狭い範囲に限定されている。したがってピエゾ抵抗部131を構成する不純物が深さ方向において半導体層13の広い範囲に分布する場合に比べると本実施形態のモーションセンサ2の感度は高くなる。
【0043】
図11に示すモーションセンサ2は表面配線51に接続される外部配線によって図示しない駆動検出回路に接続される。圧電素子30には可撓部Fを励振するための駆動電圧が駆動検出回路によって印加される。ピエゾ抵抗部131の抵抗値は可撓部Fの変形量または変位量を示す電圧信号にブリッジ回路によって変換される。可撓部Fの励振と角速度とによって生ずるコリオリ力による可撓部の変位成分の振動周波数は可撓部Fの励振周波数と一致する。一方、加速度による可撓部Fの変位成分は可撓部Fの励振周波数と無関係である。したがって可撓部Fの励振周波数を、検出対象とする加速度の周波数よりも十分高く設定することにより、可撓部Fの変位から加速度成分と角速度成分とを抽出可能になる。可撓部Fは3次元の振動が可能である形態であるため、モーションセンサ2を用いて3次元の加速度と3次元の角速度がそれぞれ検出できる。
【0044】
(製造方法)
はじめに図13に示すように半導体層13の表面に絶縁層20を形成する。続いて、コンタクトホールH1に対応する通孔を有する保護膜R1を絶縁層20の表面に形成する。続いて保護膜R1を用いたエッチングにより絶縁層20にコンタクトホールH1を形成する。
【0045】
次に図14に示すようにピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とに対応する通孔を有する保護膜R2aを接続層20の表面に形成する。マスクを用いて保護膜R2aを露光するとき、保護膜R2の下地である絶縁層20にはコンタクトホールH1が形成されているため、コンタクトホールH1に対応する明瞭な凹凸を基準に用いてコンタクトホールH1に対して保護膜R2aのマスクを正確にアライメントすることができる。したがって保護膜R2aの現像により、ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132に対応する通孔をコンタクトホールH1を基準として保護膜R2aに正確に形成することができる。
【0046】
次に保護膜R2aの通孔から露出している絶縁層20と半導体層13とに不純物を注入することによりピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とを同時に形成する。保護膜R2aがコンタクトホールH1を基準に用いて正確にパターニングされているため、コンタクトホールH1に対して正確な領域にピエゾ抵抗部131とコンタクト抵抗低減部132とが形成される。このとき絶縁層20の表面に打ち込まれる不純物の濃度ピークが図12に示すように絶縁層20に位置し、半導体層13の絶縁層20との界面近傍にまでその不純物が拡散するように、イオン注入の加速電圧が設定される。このような加速電圧の設定は絶縁層20の厚さが特定の範囲にある場合に可能である。また絶縁層20に保護されている半導体層13に不純物を注入することによりピエゾ抵抗部131を形成する一方で半導体層13の表面に直接不純物を打ち込んでコンタクト抵抗低減部132を形成するため、コンタクト抵抗低減部132の不純物濃度はピエゾ抵抗部131の不純物濃度よりも高くなる。そして絶縁層20に保護されている半導体層13に不純物を注入することによりピエゾ抵抗部131を形成するため、ピエゾ抵抗部131を半導体層13の絶縁層20との界面近傍の狭い範囲に形成することができるとともにピエゾ抵抗部131の不純物濃度のピークを絶縁層20との界面に位置づけられる。その後、アニールによって半導体層13および絶縁層20の結晶構造を整形し、ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132を活性化する。
【0047】
次に図15に示すようにピエゾ抵抗部131の配線および圧電素子の下層電極の配線となる導電層31を、コンタクトホールH1から露出した半導体層13の表面と絶縁層20の表面全体に形成する。導電層31の表面を平坦かつ平滑に形成するため、下地となる絶縁層20の結晶構造と結晶構造が連続するように(エピタキシャル成長的に)導電層31の膜を堆積させることが望ましい。具体的には導電層31として、例えば厚さ0.1μmの白金からなる膜をスパッタリングによって形成する。白金を堆積させる前に密着層として厚さ30nmのチタン(Ti)の膜を形成してもよい。またイリジウム(Ir)、二酸化イリジウム(IrO2)、SrRuO3などから導電層31を形成してもよい。
【0048】
次に導電層31の表面全体に圧電層32を形成する。圧電層32の結晶構造と下地である導電層31の結晶構造とが連続するように(エピタキシャル成長的に)圧電層32の膜を堆積させることが望ましい。具体的には圧電層32として、例えば厚さ3μmのPZTからなる膜をスパッタリングによって形成する。スパッタリングの代わりにゾルゲル法を用いてもよい。PZTの代わりにBLT(Bi4−xLaxTi3O12)、BaTiO3、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いてもよい。
【0049】
次に図16に示すように圧電層32の表面全体に圧電素子の上層電極となる導電層33を形成する。導電層33として例えば厚さ0.1μmの白金からなる膜をスパッタリングによって形成する。白金を堆積させる前に密着層として厚さ30nmのチタンの膜を形成してもよい。イリジウム、二酸化イリジウム、金(Au)等から導電層33を形成してもよい。
【0050】
次に図17に示すようにフォトレジストからなる保護膜R3を用いて導電層33をエッチングすることにより上層電極33aを形成する。例えば白金からなる導電層33はアルゴン(Ar)イオンを用いたミリングによってエッチングする。ベーキングや多階調マスクを用いて保護膜R3の端面を斜面に形成し、ミリングによって保護膜R3の断面形状を上層電極33aに転写してもよい。
【0051】
次に図18に示すように保護膜R3または上層電極33aを用いて圧電層32をエッチングする。例えばPZTからなる圧電層32は塩素(Cl2)ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエッチングする。圧電層32をエッチングする前に保護膜R3を除去してもよいし、圧電層32のエッチング中に保護膜R3が消失してもよい。
【0052】
次に図19に示すようにフォトレジストからなる保護膜R4を用いて導電層31をエッチングすることにより、ピエゾ抵抗部131の内部配線31bと圧電素子30の下層電極31aの配線31c(図11C参照)とを形成する。その結果、下層電極31aが絶縁層20の表面に結合され圧電層32が下層電極31aの表面に結合された圧電素子30が内部配線31b、31cとともに形成される。たとえば白金からなる導電層31はアルゴンイオンを用いたミリングによってエッチングする。導電層31を反応性イオンエッチングによってエッチングしてもよい。
【0053】
次に図20に示すように圧電素子30と内部配線31b、31cと絶縁層20の表面に絶縁層40を形成する。絶縁層40にはコンタクトホールを形成する。このとき、例えば図20Bに示すように可撓部と支持部となる領域以外の領域において絶縁層40が切り欠かれ絶縁層20の錘部となる部分が露出するパターンとなるように、コンタクトホール以外の領域も除去する。例えば、感光性ポリイミドを10μmの厚さ塗布し、露光し、現像することにより有機物からなる絶縁層40を形成する。二酸化シリコン、窒化シリコン、アルミナなどの無機絶縁膜を形成し、これらの無機絶縁膜をエッチングすることにより絶縁層40を形成してもよい。続いてコンタクトホールから露出した圧電素子30の上層電極33aと内部配線31b、31cとに接続される表面配線51を絶縁層40の表面に形成する。表面配線51は、例えばスパッタリングによって厚さ0.5μmのアルミニウムからなる導電膜を形成し、この導電膜を塩素ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエッチングすることによって形成する。アルミニウムシリサイド(AlSi)、AlSiCuなどから表面配線51を形成してもよい。アルミニウムからなる表面配線51を形成する前に密着層として厚さ30nmのチタンの膜を形成してもよい。アルゴンイオンを用いたミリングや燐酸、硝酸、酢酸等の混合液を用いたウエットエッチングによって表面配線51をエッチングしてもよい。
【0054】
その後、第一実施形態と同様に図21、図22、図23に示す工程を実施することにより、C字形のスリットS1、環状のスリットS2を形成し、接続層12をエッチングし、ダイシングなどの後工程を実施すると図11に示すモーションセンサ2が完成する。
【0055】
3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明は圧力センサ、振動センサ、マイクロホン、力覚センサなどピエゾ抵抗を用いた様々なMEMSに適用できる。また上記実施形態で示した材質や寸法や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1A、図1Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図1Cは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図2】図2Aは本発明の第一実施形態にかかる部分断面図。図2Bは本発明の第一実施形態にかかる線グラフ。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図4】図4Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図4Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図6】図6Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図6Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図7】図7Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図7Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図8】図8Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図8Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図9】図9Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図9Bは本発明の第一実施形態に係る平面図。
【図10】図10Aは本発明の第一実施形態の変形例にかかる部分断面図。図10Bは本発明の第一実施形態の変形例にかかる線グラフ。
【図11】図11A、図11Bは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図11Cは本発明の第二実施形態にかかる平面図。
【図12】図12Aは本発明の第二実施形態にかかる部分断面図。図12Bは本発明の第二実施形態にかかる線グラフ。
【図13】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図14】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図15】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図16】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図17】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図18】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図19】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図20】図20Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図20Bは本発明の第二実施形態にかかる平面図。
【図21】図21Aは本発明の第二実施形態にかかる断面図。図21Bは本発明の第二実施形態にかかる平面図。
【図22】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図23】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【符号の説明】
【0057】
1:加速度センサ、2:モーションセンサ、10:ウエハ、11:バルク層、12:接続層、13:半導体層、20:絶縁層、30:圧電素子、31:導電層、31a:下層電極、31b:配線、31c:配線、32:圧電層、33:導電層、33a:上層電極、40:絶縁層、51:表面配線、100:補強基板、131:ピエゾ抵抗部、132:コンタクト抵抗低減部、B:接着剤、F:可撓部、H1:コンタクトホール、M:錘部、R1:保護膜、R2:保護膜、R3:保護膜、R4:保護膜、R5:保護膜、S:支持部、S1:スリット、S2:スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層の表面に絶縁層を形成し、
前記絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールが形成された前記絶縁層の表面に通孔を有する保護膜を形成し、
前記通孔から露出している前記絶縁層を貫通させて前記半導体層に不純物を注入することにより複数の前記コンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する、
ことを含むMEMS製造方法。
【請求項2】
前記コンタクトホールの直下の前記半導体層に前記ピエゾ抵抗部より高濃度の不純物を注入することにより、前記ピエゾ抵抗部に連続するコンタクト抵抗低減部を形成する、
ことを含む請求項1に記載のMEMS製造方法。
【請求項3】
前記コンタクトホールに対応する他の通孔を有する他の保護膜を前記絶縁層の表面に形成し、前記他の通孔から露出している前記半導体層に不純物を注入することにより前記コンタクト抵抗低減部を形成する、
ことを含む請求項2に記載のMEMS製造方法。
【請求項4】
前記ピエゾ抵抗部と前記コンタクトホールとに対応する前記通孔を前記保護膜に形成し、
前記通孔から露出している前記絶縁層および前記半導体層に不純物を注入することにより前記ピエゾ抵抗部と前記コンタクト抵抗低減部とを同時に形成する、
ことを含む請求項2に記載のMEMS製造方法。
【請求項5】
半導体層と前記半導体層に形成されているピエゾ抵抗部と前記半導体層に結合している絶縁層とを備える可撓部を備え、
前記ピエゾ抵抗部のコンタクトホールが前記絶縁層に形成され、
前記ピエゾ抵抗部および前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層に不純物が注入されている、
MEMS。
【請求項6】
前記ピエゾ抵抗部および前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層に注入された前記不純物のピーク濃度が前記ピエゾ抵抗部にある、
請求項5に記載のMEMS。
【請求項7】
前記ピエゾ抵抗部および前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層に注入された前記不純物のピーク濃度が前記絶縁層にある、
請求項5に記載のMEMS。
【請求項8】
前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層の不純物ピーク濃度と前記コンタクトホールの直下の前記半導体層の不純物ピーク濃度とが等しい、
請求項5または7に記載のMEMS。
【請求項1】
半導体層の表面に絶縁層を形成し、
前記絶縁層に複数のコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールが形成された前記絶縁層の表面に通孔を有する保護膜を形成し、
前記通孔から露出している前記絶縁層を貫通させて前記半導体層に不純物を注入することにより複数の前記コンタクトホールの間にピエゾ抵抗部を形成する、
ことを含むMEMS製造方法。
【請求項2】
前記コンタクトホールの直下の前記半導体層に前記ピエゾ抵抗部より高濃度の不純物を注入することにより、前記ピエゾ抵抗部に連続するコンタクト抵抗低減部を形成する、
ことを含む請求項1に記載のMEMS製造方法。
【請求項3】
前記コンタクトホールに対応する他の通孔を有する他の保護膜を前記絶縁層の表面に形成し、前記他の通孔から露出している前記半導体層に不純物を注入することにより前記コンタクト抵抗低減部を形成する、
ことを含む請求項2に記載のMEMS製造方法。
【請求項4】
前記ピエゾ抵抗部と前記コンタクトホールとに対応する前記通孔を前記保護膜に形成し、
前記通孔から露出している前記絶縁層および前記半導体層に不純物を注入することにより前記ピエゾ抵抗部と前記コンタクト抵抗低減部とを同時に形成する、
ことを含む請求項2に記載のMEMS製造方法。
【請求項5】
半導体層と前記半導体層に形成されているピエゾ抵抗部と前記半導体層に結合している絶縁層とを備える可撓部を備え、
前記ピエゾ抵抗部のコンタクトホールが前記絶縁層に形成され、
前記ピエゾ抵抗部および前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層に不純物が注入されている、
MEMS。
【請求項6】
前記ピエゾ抵抗部および前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層に注入された前記不純物のピーク濃度が前記ピエゾ抵抗部にある、
請求項5に記載のMEMS。
【請求項7】
前記ピエゾ抵抗部および前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層に注入された前記不純物のピーク濃度が前記絶縁層にある、
請求項5に記載のMEMS。
【請求項8】
前記ピエゾ抵抗部の真上領域における前記絶縁層の不純物ピーク濃度と前記コンタクトホールの直下の前記半導体層の不純物ピーク濃度とが等しい、
請求項5または7に記載のMEMS。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−266928(P2009−266928A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112423(P2008−112423)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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