説明

クロム膜のパターニング方法及びクロム電極

【課題】ウェットエッチング処理工程を含まず、塩素系ガスの専用処理設備を必要としない、安価な装置構成で処理可能な、クロム膜のパターニング方法を提供する。
【解決手段】基材10上にクロム膜11’を形成するクロム膜形成工程と、クロム膜11’の上に、後のパターニング工程における酸素プラズマ条件で除去されないマスク材料膜12’を形成するマスク材料膜形成工程と、マスク材料12’膜をパターニングして所定のマスクパターン12を形成するマスクパターン形成工程と、マスクパターン12が設けられていない部分のクロム膜を、載置されるステージを加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲とし且つ塩素原子を含まない酸素プラズマに晒して酸化クロムとして昇華除去するパターニング工程と、を有するように構成して、所定のクロムパターン11を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロム膜のパターニング方法及びクロム電極に関し、特に半導体装置を構成するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のいずれか1以上の電極として好ましく形成することができるクロム膜のパターニング方法、及びその方法で得られたクロム電極に関する。
【背景技術】
【0002】
クロムは、薄膜トランジスタ等を構成する電極の構成材料としてしばしば用いられている。例えば下記特許文献1には、半導体基板上に形成されたパターン電極として、クロム層からなるパターン電極が記載されている。同文献では、クロム層からなるパターン電極の形成方法として、スパッタ又は蒸着で成膜したクロム層上にレジストパターンを形成し、その後、硫酸セリウムアンモニウムをベースとしたエッチャントでウェットエッチングする方法が記載されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、薄膜トランジスタのゲート電極として、シリコン膜とクロム膜とからなる複合型のパターン電極が記載されている。同文献では、クロム膜のパターニング方法として、スパッタリング法で成膜したクロム膜上にレジストパターンを形成し、その後、硝酸第2セリウムアンモニウム系のエッチング液を用いてウェットエッチングする方法が記載されている。なお、同文献では、ウェットエッチング後の金属クロムのと、クロムシリサイドからなる残存物とを除去する方法として、塩素ガスと酸素ガスとを含む混合ガスを用いたプラズマ処理を採用することを提案している。
【0004】
また、下記特許文献3には、薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極として、クロム膜とアルミニウム膜とを積層してなる複合型のパターン電極が記載されている。同文献では、クロム膜のパターニング方法として、スパッタリング法でクロム膜とアルミニウム膜とを形成した後、レジストパターンをマスクとしてウェットエッチングし、ウェットエッチング後のクロムの残渣とシリサイド等の残渣とを除去する方法として、酸素ガスを含むプラズマ処理を採用することを提案している。
【0005】
また、下記特許文献4には、絶縁基板上にスパッタリング等で形成したクロム膜のパターニング方法として、クロム膜上にレジストパターンを形成し、その後、硝酸第2セリウムアンモニウム系のエッチング液を用いてウェットエッチングする方法と、前記同様、硝酸第2セリウムアンモニウム系のエッチング液を用いて所定の厚さ残るようにクロム膜をウェットエッチングした後、さらに塩素系ガスと酸素ガスとを含む混合ガスを用いたプラズマ雰囲気でドライエッチングする方法と、を提案している。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−114214号公報
【特許文献2】特開2007−311431号公報
【特許文献3】特開平5−283427号公報
【特許文献4】特開平11−131263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1〜4に記載のように、クロム膜のパターニングは、通常、セリウム塩を含むエッチング液を用いたウェットエッチングで行われているが、そのウェットエッチング後においては上記のようにクロムの残渣が製品の歩留まりを悪化させる原因になっている。そのため、特許文献2〜4では、そうした残渣をプラズマ処理で除去するという二重の処理が行われている。さらに、そのエッチング後のリンス工程においては、局部的にpH値が弱酸性になってセリウムが析出することがあり、前記同様、製品の歩留まりを悪化させる原因になっている。
【0008】
しかしながら、上記従来技術のように、マスクパターンのエッチングに加えてクロムについてもウェットエッチングする場合には、前処理装置、エッチング処理装置、後処理装置、廃水処理装置等からなる専用ラインが重複して必要になるのに加え、上記のような残渣等を除去するためのプラズマ処理工程を加えると、さらに大掛かりな装置構成となり、生産コストに影響するという問題がある。また、上記特許文献2,3に記載のように、塩素系ガスを含む混合ガスでプラズマ処理を行うドライエッチング工程では、腐食性ガスである塩素系ガスを処理するための専用設備が必要になり、装置コストがかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ウェットエッチング処理工程を含まない安価な装置構成で処理可能な、クロム膜のパターニング方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そうしたパターニング方法で得られたクロム電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明のクロム膜のパターニング方法は、基材上にクロム膜を形成するクロム膜形成工程と、前記クロム膜の上に、後のパターニング工程における酸素プラズマ条件で除去されないマスク材料膜を形成するマスク材料膜形成工程と、前記マスク材料膜をパターニングして所定のマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、前記マスクパターンが設けられていない部分のクロム膜を、載置されるステージを加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲とし且つ塩素原子を含まない酸素プラズマに晒して酸化クロムとして昇華除去するパターニング工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第1に、塩素原子を含まない酸素プラズマでのクロムのパターニングを、ステージを加熱してなる酸素プラズマ条件の温度範囲で行うことにより、酸化クロムとして効率的に昇華除去することができる。そして、第2に、パターニング工程における酸素プラズマ条件で除去されないマスク材料膜を用いたので、クロム膜を選択的にエッチングでき、微細なクロムパターンを形成できる。こうした第1、第2の特徴を有するクロム膜のパターニング方法によれば、クロム膜のパターニング工程においてはウェットエッチング処理も塩素系ガスを含むプラズマ処理も行わないので、安価な装置構成でクロム膜をパターニングすることが可能となる。その結果、従来のような残渣や析出物等の影響による歩留まりの低下が起こらず、また、高価で複雑な装置を用いなくてもよいので、クロム膜のパターニング工程でのコスト低減を実現できる。
【0012】
本発明のクロム膜のパターニング方法の好ましい態様として、(1)前記マスク材料膜が前記パターニング工程で酸素プラズマに晒されても昇華反応を起こさないフォトレジストであり、該フォトレジストのパターニングをフォトリソグラフィで行うように構成してもよいし、(2)前記マスク材料膜が前記パターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさないアルミニウム、モリブデン、タンタルから選ばれる金属材料膜であり、該金属材料膜のパターニングをウェットエッチングで行うように構成してもよいし、(3)前記マスク材料膜が前記パターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさないポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素から選ばれるケイ素系材料膜であり、該ケイ素系材料膜のパターニングをフッ素系ガスを用いたドライエッチングで行うように構成してもよい。
【0013】
本発明のクロム膜のパターニング方法の好ましい態様として、前記基材は、前記クロム膜との間に中間膜が設けられていてもよい、ガラス材、耐熱プラスチック材、酸化ケイ素材、窒化ケイ素材、酸窒化ケイ素材から選ばれるいずれかであるように構成する。
【0014】
また、本発明は、半導体装置を構成するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のいずれか1以上が、上記本発明に係るクロム膜のパターニング方法によって形成されてなることを特徴とするクロム電極を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のクロム膜のパターニング方法によれば、クロム膜のパターニング工程において、クロム膜を酸化クロムとして効率的且つ選択的に除去することができるので、微細なクロムパターンを形成できる。そのため、クロム膜のパターニング工程においてはウェットエッチング処理も塩素系ガスを含むプラズマ処理も不要となり、安価な装置構成でクロム膜をパターニングすることが可能となるので、従来のような残渣や析出物等の影響による歩留まりの低下が起こらず、また、高価で複雑な装置を用いなくてもよい。その結果、クロム膜のパターニング工程でのコスト低減を実現できる。
【0016】
また、本発明のクロム膜のパターニング方法によれば、酸素プラズマによるクロム膜の昇華除去に適した温度を、載置するステージを加熱するという簡便な手段により実現できるので、安価な装置構成で高精度なクロムパターンを形成可能なドライプロセスを提供することができる。
【0017】
こうした本発明によれば、LSIやディスプレイ用電極配線等に用いられる微細で高精度のクロムパターンを歩留まりよく形成できるので、半導体装置の電極パターンとして、又は、有機EL素子や液晶表示素子等の各種ディスプレイパネルの回路電極として適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のクロム膜のパターニング方法及びその方法によって得られたクロム電極について詳細に説明するが、本発明は図面の形態や以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
[クロム膜のパターニング方法]
図1は、本発明のクロム膜のパターニング方法の一例を示す模式的な工程図である。図2は、本発明のクロム膜のパターニング方法を適用する装置の一例を示す模式的な構成図である。本発明のクロム膜のパターニング方法は、図1に示すように、基材10上にクロム膜11’を形成するクロム膜形成工程(図1(a))と、そのクロム膜11’の上に、後のパターニング工程(図1(d))における酸素プラズマ条件で除去されないマスク材料膜12’を形成するマスク材料膜形成工程(図1(b))と、そのマスク材料膜12’をパターニングして所定のマスクパターン12を形成するマスクパターン形成工程(図1(c))と、そのマスクパターン12が設けられていない部分のクロム膜を、載置されるステージを加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲とし且つ塩素原子を含まない酸素プラズマに晒して酸化クロムとして昇華除去するパターニング工程(図1(d))と、を有している。なお、図1(e)に示すように、マスクパターン12は、通常、その後に除去される。
【0020】
以下、各工程について工程順に詳しく説明する。最初に、図1(a)に示すように、基材10上にクロム膜11’を形成する(クロム膜形成工程)。
【0021】
基材10は、後述する酸素プラズマ条件の要件である例えば100℃以上250℃以下、好ましくは150℃以上200℃以下に加熱されても耐熱性を有する材料で構成される。また、この基材10上に直接、クロム膜11’が形成される場合には酸素プラズマと反応しない材料で構成されることが必要である。そうした材料であれば有機基材であっても無機基材であってもよい。
【0022】
有機基材としては、例えば、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、又は熱可塑性ポリイミド等からなる有機基材、又はそれらの複合基材を挙げることができる。特に、ポリイミドで構成された有機基材は250℃程度の温度でも耐熱性を有するので、好ましく用いることができる。こうした有機基材は、剛性を有するものであってもよいし、例えば厚さが5μm以上300μm以下程度の薄いフレキシブルなフィルム状のものであってもよい。
【0023】
無機基材としては、例えば、ガラス材、酸化ケイ素材、窒化ケイ素材、酸窒化ケイ素、その他セラミックス材料のいずれかからなる基材や、SUS基材等の金属基材を挙げることができる。例えばガラス基材としては、厚さが0.05mm以上3.0mm以下程度の液晶ディスプレイ用途のガラス基材であってもよい。
【0024】
クロム膜11’は、例えばスパッタリング法や真空蒸着法によって形成する。クロム膜11’の厚さは、例えば50nm以上100nm以下程度とすることができる。なお、クロム膜11’は、通常、基材10上の全面に設けられるが、遮蔽マスクを設けてスパッタリングや真空蒸着を行うことにより、任意の部分に設けることもできる。
【0025】
基材10とクロム膜11’との間には中間膜(図示しない)が設けられていてもよい。中間膜は、例えば密着膜、バッファ膜(熱緩衝膜)、応力緩和膜、不純物遮蔽膜等として設けられ、後述する酸素プラズマ条件の要件である例えば100℃以上250℃以下、好ましくは150℃以上200℃以下に加熱されても耐熱性を有する材料で構成され、さらに、酸素プラズマに反応しない材料で構成される。具体的には、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等からなる膜を好ましく挙げることができる。中間膜の厚さはその機能に応じて任意に設定される。なお、この中間膜が基材10とクロム膜11’との間に設けられる場合は、基材10は少なくとも耐熱性を有すれば、酸素プラズマに対する非反応性は必ずしも有していなくてもよい。
【0026】
次に、図1(b)に示すように、クロム膜11’の上にマスク材料膜12’を形成する(マスク材料膜形成工程)。
【0027】
マスク材料膜12’としては、後のパターニング工程(図1(d))における酸素プラズマ条件で除去されない材料で構成されている。こうしたマスク材料でマスク材料膜12’を構成することにより、図1(d)に示すように、クロム膜11’のみを酸化クロムとして選択的に昇華除去することができ、微細なクロムパターン11を形成することができる。なお、マスク材料膜12’が後のパターニング工程で酸素プラズマと反応する場合には、マスク材料膜12’が昇華除去されてそのエッジが曖昧になり、微細で精度のよいマスクパターン12を得ることができず、クロム膜のパターニング精度が低下するおそれがある。
【0028】
マスク材料膜12’の構成材料としては、後のパターニング工程(図1(d))における酸素プラズマ条件で除去されない材料であれば特に限定されず、各種のもの用いることができる。例えば、フォトレジスト、金属材料、ケイ素系材料を挙げることができるが、特に金属材料とケイ素系材料については、後述するパターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさない材料であるとともに、ウェットエッチング又はドライエッチングでパターニングすることができるものであることが好ましい。
【0029】
具体的には、(1)マスク材料膜12’をフォトレジストとした場合は、そのフォトレジストのパターニングをフォトリソグラフィで行う。又は、(2)マスク材料膜12’を、パターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさないアルミニウム、モリブデン、タンタルから選ばれる金属材料膜とした場合は、その金属材料膜のパターニングをウェットエッチングで行う。又は、(3)マスク材料膜12’を、パターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさないポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素から選ばれるケイ素系材料膜とした場合は、そのケイ素系材料膜のパターニングをフッ素系ガスを用いたドライエッチングで行う。
【0030】
マスク材料膜12’を、後述するパターニング工程で酸素プラズマに晒されても昇華反応を起こさないフォトレジストとした場合、フォトレジストは市販のものを任意に使用でき、スピンコート等の従来公知の手段で形成できる。こうしたフォトレジストは、通常、後述するパターニング工程における酸素プラズマ条件では除去されない。したがって、マスク材料膜12’をパターニングして所定のマスクパターン12とした後に後述するパターニング工程で酸素プラズマに晒せば、クロム膜11’のみを選択的に昇華除去することができる。なお、レジストの厚さは特に限定されないが、通常、1μm程度で形成される。
【0031】
マスク材料膜12’を上記した金属材料膜とした場合、各金属材料膜はスパッタリングや真空蒸着により形成できる。こうした金属材料膜は、後述するパターニング工程における酸素プラズマ条件では除去されない。したがって、こうしたマスク材料膜12’をパターニングして所定のマスクパターン12とした後に後述するパターニング工程で酸素プラズマに晒せば、クロム膜11’のみを選択的に昇華除去することができる。なお、金属材料膜の厚さは特に限定されないが、通常、50nm程度で形成される。
【0032】
マスク材料膜12’を上記したケイ素系材料膜とした場合、各ケイ素系材料膜はスパッタリングや真空蒸着により形成できる。こうしたケイ素系材料膜は、後述するパターニング工程における酸素プラズマ条件では除去されない。したがって、こうしたマスク材料膜12’をパターニングして所定のマスクパターン12とした後に後述するパターニング工程で酸素プラズマに晒せば、クロム膜11’のみを選択的に昇華除去することができる。なお、ケイ素系材料膜の厚さは特に限定されないが、通常、50nm程度で形成される。
【0033】
次に、図1(c)に示すように、マスク材料膜12’をパターニングして所定のマスクパターン12を形成する(マスクパターン形成工程)。
【0034】
パターニングの具体的手段は、マスク材料膜12’の種類に応じて選択される。例えば、マスク材料膜12’が後のパターニング工程で酸素プラズマに晒されても昇華反応を起こさないフォトレジストである場合には、従来公知のフォトリソグラフィ(遮蔽マスクを用いて露光した後に現像)にてマスクパターン12を形成できる。
【0035】
一方、マスク材料膜12’が、後のパターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさない金属材料膜又はケイ素系材料膜である場合には、その金属材料膜又はケイ素系材料膜上にフォトレジストをスピンコート等で形成し、そのフォトレジストをフォトリソグラフィにてパターニングし、その後、パターン開口部の金属材料膜やケイ素系材料膜を例えばウェットエッチングやドライエッチングでエッチング除去することにより、金属材料膜やケイ素系材料膜からなるマスクパターン12を形成する。
【0036】
ウェットエッチングは、上記の金属材料膜に好ましく適用でき、例えば塩化第二鉄溶液、硝酸・酢酸・リン酸の混合液、過塩素酸・硝酸の混合液等のエッチャントを例示できる。一方、ドライエッチングは、ウェットエッチングと比較すると高解像度パターンを形成できる点で有利であり、例えば、CF又はSF等のフッ素系ガスと酸素ガスとを混合した、塩素を含まないエッチャントを好ましく挙げることができる。こうしたフッ素系ガスは、塩素系のような腐食性ガスではなく、さらに、クロム膜に対してエッチングレートが小さい(表面を荒らす程度)ので、少なくともマスク材料膜12’である金属材料膜やケイ素系材料膜をエッチング除去することができる。
【0037】
より微細なクロム膜のパターニングを行うという観点からは、ケイ素系材料膜からなるマスクパターン12を形成することが好ましい。その理由は、ケイ素系材料膜は、レジストや金属材料膜よりも薄く形成することができるので、ケイ素系材料膜からなるマスクパターン12の厚さをレジストや金属材料膜からなるマスクパターン12の厚さよりも薄くすることができる。その結果、後述の酸素プラズマ条件下でのクロム膜のパターニングを微細且つ精度よく行うことができる。
【0038】
特に精度の高い微細なクロムパターン11を形成するという観点では、マスク材料膜12’を、ポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素から選ばれるケイ素系材料膜とすることが好ましい。これらのケイ素系材料膜は、ドライエッチング可能という理由で上記の金属材料膜よりも精度よくパターニングできるので、高精度で微細なマスクパターン12とすることができる。中でも、ケイ素膜(ポリシリコン又はアモルファスシリコン)は、そのエッチングがラジカル主体のエッチングであるため、下地であるクロム膜を傷つけることが少ないので好ましい。なお、酸化ケイ素膜は、イオン性のエッチングであるため、下地のクロム膜にダメージ(表面を荒らす程度)が生じることがある。
【0039】
なお、金属材料膜の中で特に好ましいものとしては、アルミニウムを挙げることができる。このアルミニウムは、他の金属に比べて安価で一般的あるとともに、他の材料はエッチャントの選択がやや難しいことがある。
【0040】
次に、図1(d)に示すように、そのマスクパターン12が設けられていない部分(開口部分という。)のクロム膜11’を、載置されるステージ(図2を参照)を加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲とし、且つ塩素原子を含まない酸素プラズマに晒して酸化クロムとして昇華除去する(パターニング工程)。
【0041】
パターニングは、所定の酸素プラズマ条件下で、開口部分のクロム膜11’を酸化クロムとして昇華除去することによって行われる。酸素プラズマ条件は、(1)プラズマが発生するのに必要な減圧状態であること、(2)塩素を含まない酸素ガスを原料ガスとして用いること、(3)例えば100℃以上250℃以下の温度範囲で行うこと、が要件であり、図2に示す態様の並行平板電極21,22間に被処理体23であるパターニング対象物を置き、こうした条件下で酸素プラズマを発生させることによりクロム膜のパターニングを行うことができる。
【0042】
並行平板電極21,22は、図2に示す態様のドライエッチング装置20のチャンバー24内に対向して配置されており、所定の条件下で、両電極21,22の間に所定周波数(例えば13.56MHz)の交流電圧を印加することによって、両電極間の空間25にプラズマを発生させることができる。なお、図2中には示さないが、ドライエッチング装置20には、酸素ガスを含む原料ガスを装置20内に導入するガス導入装置、真空排気装置、交流電源、及びそれらの制御装置等を備えている。並行平板電極21,22のうち下側に配置された電極21は、被処理体2を載置するステージとして用いられる。本発明では、ステージ(電極21)は加熱装置を備えており、ステージを加熱することにより酸素プラズマ条件の温度範囲(100℃以上250℃以下の温度範囲)にすることができる。
【0043】
酸素プラズマ条件である減圧条件は、例えば1Pa以上500Pa以下程度であることが好ましく、後述の実施例に記載の133Pa程度とすることが好ましい。また、原料ガスは、塩素を含まない酸素ガスを使用する。この原料ガスには、不活性ガスであるヘリウムガス等が含まれていてもよい。ガス流量は特に限定されず、チャンバーサイズや排気側のバルブ開度にもよるが、通常、5〜15sccm(standard cubic centimeter per minute)程度である。また、温度条件は、被処理体23を載置するステージ(電極21)を加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲とする。このときの温度は、被処理体23の温度として測定される温度であり、酸素プラズマが発生した条件下で被処理体23をその温度範囲内とすることにより、クロムが酸素プラズマと反応して酸化クロムとして昇華する。こうして、マスクパターン12が設けられていない開口部分のクロムが除去されて、所望のクロムパターン11を形成することができる。
【0044】
なお、上記した温度範囲を、150℃以上200℃以下の温度範囲にすると、クロムが酸素プラズマとより反応し易くなるので、クロムパターン11をより効率的に形成することができる。
【0045】
最後に、図1(e)に示すように、マスクパターン12を除去する(マスクパターン除去工程)。この工程は必要に応じて設けられればよく、マスクパターン12の種類によっては残したままであってもよい。
【0046】
以上説明したように、本発明のクロム膜のパターニング方法によれば、第1に、塩素原子を含まない酸素プラズマでのクロムのパターニングを、ステージを加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲である例えば100℃以上250℃以下の温度範囲で行うことにより、酸化クロムとして効率的に昇華除去することができる。そして、第2に、パターニング工程における酸素プラズマ条件で除去されないマスク材料膜を用いたので、クロム膜を選択的にエッチングでき、微細なクロムパターンを形成できる。こうした第1、第2の特徴を有するクロム膜のパターニング方法によれば、クロム膜のパターニング工程においてはウェットエッチング処理も塩素系ガスを含むプラズマ処理も行わないので、安価な装置構成でクロム膜をパターニングすることが可能となる。その結果、従来のような残渣や析出物等の影響による歩留まりの低下が起こらず、また、高価で複雑な装置を用いなくてもよいので、クロム膜のパターニング工程でのコスト低減を実現できる。
【0047】
また、本発明のクロム膜のパターニング方法によれば、酸素プラズマによるクロム膜の昇華除去に適した温度を、載置するステージを加熱するという簡便な手段により実現できるので、安価な装置構成で高精度なドライプロセスを提供することができる。
【0048】
[クロム電極]
本発明のクロム電極は、半導体装置を構成するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のいずれか1以上として用いられ、そのクロム電極が、上記本発明に係るクロム膜のパターニング方法によって形成されてなることを特徴とする。そのため、LSIやディスプレイ用電極配線等に用いられる微細で高精度のクロム電極パターンを歩留まりよく形成できるので、半導体装置の電極パターンとして、又は、有機EL素子や液晶表示素子等の各種ディスプレイパネルの回路電極として適用することができる。なお、クロム電極を備えた半導体装置の態様として、以下では、ボトムゲートタイプの薄膜トランジスタとトップゲートタイプの薄膜トランジスタとを代表例として説明するが、本発明がそれらの形態のみに限定されないことは言うまでもない。
【0049】
図3は、本発明のパターニング方法で形成したクロム膜をゲート電極等とした薄膜トランジスタの例を示す模式的な断面図であり、(A)はボトムゲートタイプの薄膜トランジスタであり、(B)はトップゲートタイプの薄膜トランジスタである。
【0050】
図3(A)に示す薄膜トランジスタ30Aは、いわゆるボトムゲート・トップコンタクト構造からなる薄膜トランジスタであり、その構造は、基材31と、基材31上に形成された窒化ケイ素膜又は酸化ケイ素膜32と、窒化ケイ素膜又は酸化ケイ素膜32上に形成されたゲート電極33と、ゲート電極33上に又はゲート電極33を覆うように形成されたゲート絶縁膜34と、そのゲート絶縁膜34上に形成された半導体層35と、その半導体層35上に離間して形成されたソース電極36及びドレイン電極37を有している。符号39は保護層である。なお、半導体層35上には、電極形成時のダメージを防止するための薄い保護膜(図示しない)が設けられていてもよい。また、このボトムゲート・トップコンタクト構造では、半導体層35は、通常、アモルファスシリコンである。
【0051】
この薄膜トランジスタ30Aにおいては、ゲート電極33が上記本発明のパターニング方法で形成されたクロム膜である。
【0052】
図3(B)に示す薄膜トランジスタ30Bは、いわゆるトップゲート・トップコンタクト構造からなる薄膜トランジスタであり、その構造は、基材31と、基材31上に形成された窒化ケイ素膜又は酸化ケイ素膜32と、窒化ケイ素膜又は酸化ケイ素膜32上に形成された半導体層38(ソース側拡散膜38s、チャネル膜38c及びドレイン側拡散膜38d)と、半導体層38のうちソース側拡散膜38s及びドレイン側拡散膜38d上にコンタクトホール部を有するように形成したゲート絶縁膜34と、コンタクトホール部に形成されてソース側拡散膜38s及びドレイン側拡散膜38dにそれぞれ接続するソース電極36及びドレイン電極37と、チャネル膜38cの真上のゲート絶縁膜34上に形成されたゲート電極33とを有している。符号39は保護層である。
【0053】
この薄膜トランジスタ30Bにおいては、ゲート電極33とソース電極36とドレイン電極37が上記本発明のパターニング方法で形成されたクロム膜である。
【0054】
図3(A)に示した薄膜トランジスタ30Aは、一例として次のように製造できる。先ず、例えばポリエーテルサルホン(PES)からなる基材31上に窒化ケイ素膜32をスパッタリング等で成膜し、その窒化ケイ素膜32上に上記本発明に係るパターニング方法(図1を参照)で所定のクロムパターンからなるゲート電極33を形成する。次いで、そのゲート電極33を覆うように例えば酸化ケイ素からなる絶縁膜を真空蒸着等で形成した後にその絶縁膜をパターニングしてゲート絶縁膜34を形成する。次いで、そのゲート絶縁膜34上の所定の部分にマスクを用いて選択的に例えばアモルファスシリコンをスパッタリング等で成膜してシリコン半導体層35を形成するか、あるいは、そのゲート絶縁膜34を覆うように例えばアモルファスシリコンをスパッタリング等で成膜した後にパターニングして所定パターンのシリコン半導体層35を形成する。次に、そのシリコン半導体層35を覆うように例えばアルミニウム膜を真空蒸着等で成膜した後、そのアルミニウム膜をパターニングして、シリコン半導体層35上で相互に接触しないように離間してソース電極36及びドレイン電極37を形成する。こうして薄膜トランジスタ30Aを製造することができる。
【0055】
図3(B)に示した薄膜トランジスタ30Bは、一例として次のように製造できる。先ず、例えばポリエーテルサルホン(PES)からなる基材31上に窒化ケイ素膜32をスパッタリング等で成膜し、その窒化ケイ素膜32上に例えばアモルファスシリコンをスパッタリング等で成膜する。成膜したアモルファスシリコンを必要に応じてレーザーアニール処理してポリシリコンとし、そのポリシリコン上に例えば酸化ケイ素からなるマスクパターンを形成した後にイオン注入を行い、ポリシリコンからなる半導体層38の各部をソース側拡散膜38s、チャネル膜38c及びドレイン側拡散膜38dとする。イオン注入によってアモルファスシリコンになった部分がある場合は必要に応じて再びレーザーアニールを行って再結晶させる。次に、その半導体層38を覆うように例えば酸化ケイ素からなる絶縁膜を真空蒸着等で形成した後、その絶縁膜をパターニングしてチャネル膜38c上にはゲート絶縁膜34を形成するとともに、ソース側拡散膜38sとドレイン側拡散膜38d上にはコンタクトホール部を形成する。次に、それらゲート絶縁膜34とコンタクトホール部の上にクロム膜を形成した後、上記本発明に係るパターニング方法(図1を参照)で、所定のクロムパターンからなるゲート電極33とソース電極36とドレイン電極37とを形成する。こうして薄膜トランジスタ30Bを製造することができる。なお、必要に応じて高圧水蒸気処理等を行ってもよい。
【0056】
こうした本発明のクロム電極によれば、LSIやディスプレイ用電極配線等に用いられる微細で高精度のクロムパターンを歩留まりよく形成できるので、半導体装置の電極パターンとして、又は、有機EL素子や液晶表示素子等の各種ディスプレイパネルの回路電極として適用することができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例と比較例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
試料基材10として厚さ0.1mmで50mm×50mmのPES基板を用い、その基板上に、熱緩衝機能を有する中間膜として厚さ300〜500nmの窒化ケイ素膜をRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。その窒化ケイ素膜上に厚さ100nmのクロム膜11’をRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。次に、そのクロム膜11’上に酸化ケイ素からなる厚さ100nmのマスク材料膜12’をRFマグネトロンスパッタリング法で形成し、引き続いて、そのマスク材料膜12’上に厚さ1200nmのフォトレジストをスピンコート法により形成し、そのフォトレジストをフォトリソグラフィでパターニングし、所望のレジストパターン(図1中では図示しない)をクロム膜11’上に形成した。なお、パターニングは、ガラス基板上に所定の遮蔽パターンが形成された遮蔽マスクを用い、露光、現像して行った。得られたレジストパターンは、厚さ1μm・幅10μmのラインがピッチ10μmで並列したものである。
【0059】
次に、こうした被処理体を、図2に示すチャンバー24内に置き、レジストパターンが設けられていない開口部で露出した酸化ケイ素膜をドライエッチングした。このときのドライエッチングは、エッチングガスとしてCF:O=9:1の混合ガスを用い、その混合ガスを100sccmの流量で雰囲気内に供給することにより行うとともに、RF500W、10Pa、約1minの条件にして行った。得られたマスクパターン12は、厚さ0.1μm・幅10μmのラインがピッチ10μmで並列したものである。こうしたドライエッチングで酸化ケイ素膜を除去し、開口部分にクロム膜を露出させた。
【0060】
次に、チャンバー24内に置かれた被処理体23を酸素プラズマ処理した。酸素プラズマ処理は、酸素ガスを導入した133Paの減圧雰囲気とし、且つ、チャンバー24内の下部側電極21であるステージを加熱して被処理体23の温度を150℃とし、その雰囲気下で、並行平板電極21,22間に周波数13.56MHzで500Wの電力を印加することによって行った。こうした条件下で発生した酸素プラズマは、開口部分に露出したクロム膜と反応し、クロム膜を酸化クロムとして昇華除去した。最後に、クロム膜上のマスクパターン12を上記したのと同様のドライエッチングで除去し、厚さ0.1μm・幅10μmのラインがピッチ10μmで並列したクロムパターン11を形成することができた。
【0061】
(実施例2)
実施例1において、酸化ケイ素からなるマスク材料膜の代わりに、アルミニウムからなるマスク材料膜を形成し、そのマスク材料膜のパターニングを硝酸・酢酸・リン酸の混合液でウェットエッチングした以外は、実施例1と同様にしてクロムパターンを形成した。ただし、この実施例2は、実施例1に比較して、マスク材料膜をウェットエッチングする際のオーバーエッチングにより得られたマスクパターンにサイドカット等が入り易く、パターニング精度が低下することがあるため、高精細パターニング(約5μm以下)にはやや適さないことがある。
【0062】
(実施例3)
実施例1において、酸化ケイ素からなるマスク材料膜の代わりに、モリブデンからなるマスク材料膜を形成し、そのマスク材料膜のパターニングを過塩素酸・硝酸の混合液でウェットエッチングした以外は、実施例1と同様にしてクロムパターンを形成した。ただし、この実施例3においても、実施例1に比較して、マスク材料膜をウェットエッチングする際のオーバーエッチングにより得られたマスクパターンにサイドカット等が入り易く、パターニング精度が低下することがあるため、高精細パターニング(約5μm以下)にはやや適さないことがある。
【0063】
(実施例4)
実施例1において、酸化ケイ素からなるマスク材料膜の代わりに、ポリシリコンからなるマスク材料膜を形成し、そのマスク材料膜のパターニングを酸化ケイ素と同様のドライエッチングで行った以外は、実施例1と同様にしてクロムパターンを形成した。この実施例4のパターニング精度は、実施例1と同等であった。
【0064】
(実施例5)
実施例1において、酸化ケイ素からなるマスク材料膜の代わりに、フォトレジストからなるマスク材料膜を形成し、そのマスク材料膜のパターニングをフォトリソグラフィで行った以外は、実施例1と同様にしてクロムパターンを形成した。ただし、この実施例5においては、上記実施例1〜4で用いた金属膜や無機膜によるマスク材料膜に比べ、フォトレジスト自体がアッシング効果によりマスクパターンのサイドエッジが後退してパターニング精度が悪化することがあるため、実施例1〜5の中で比較した場合、高精細パターニングにはやや適さないことがある。
【0065】
(結果)
実施例1〜5の結果より、クロム膜のパターニング工程では、ウェットエッチングも塩素系ガスの処理装置も不要とすることができた。特に実施例1,4に示すクロムパ膜のパターニング方法のように、ケイ素系材料膜をマスク材料膜としてドライエッチングした場合には、マスク材料膜のドライエッチング精度が高いので、マスク材料膜をパターニングする際に行うフォトリソグラフィの解像度を維持することができ、その結果、高いパターニング精度のクロムパターンが得られた。一方、実施例2,3に示すクロム膜のパターニング方法のように、アルミ等の金属材料膜をマスク材料膜としてウェットエッチングした場合には、マスク材料膜をウェットエッチングする際の精度に依存してクロム膜のパターニング精度が決まる結果となった。また、実施例5に示すクロム膜のパターニング方法のように、フォトレジストをマスク材料膜とした場合では、クロム膜のパターニング精度は10μm程度が限界であった。
【0066】
なお、実施例1〜5と、クロム膜のパターニングをウェットエッチングで行う従来例(上記各特許文献に記載のもの)とを比較した結果、実施例1〜5では、析出物による歩留まり悪化の影響がなかった。特に、マスク材料膜をドライエッチングした場合におけるクロム膜のパターニングは高精細化を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のクロム膜のパターニング方法の一例を示す模式的な工程図である。
【図2】本発明のクロム膜のパターニング方法を適用する装置の一例を示す模式的な構成図である。
【図3】本発明のパターニング方法で形成したクロム膜をゲート電極等とした薄膜トランジスタの例を示す模式的な断面図であり、(A)はボトムゲートタイプの薄膜トランジスタであり、(B)はトップゲートタイプの薄膜トランジスタである。
【符号の説明】
【0068】
10 基材
11 クロムパターン
11’ クロム膜
12 マスクパターン
12’ マスク材料膜
20 ドライエッチング装置
21 電極(ステージ)
22 電極
23 被処理体
24 チャンバー
25 空間
30A,30B 薄膜トランジスタ
31 基材
32 窒化ケイ素膜又は酸化ケイ素膜
33 ゲート電極
34 ゲート絶縁膜
35 半導体層(アモルファスシリコン)
35a 半導体層(ポリシリコン)
35b 半導体層(アモルファスシリコン)
36 ソース電極
37 ドレイン電極
38 半導体層
38c チャネル膜
38s ソース側拡散膜
38d ドレイン側拡散膜
39 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にクロム膜を形成するクロム膜形成工程と、
前記クロム膜の上に、後のパターニング工程における酸素プラズマ条件で除去されないマスク材料膜を形成するマスク材料膜形成工程と、
前記マスク材料膜をパターニングして所定のマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンが設けられていない部分のクロム膜を、載置されたステージを加熱して酸素プラズマ条件の温度範囲とし且つ塩素原子を含まない酸素プラズマに晒して酸化クロムとして昇華除去するパターニング工程と、を有することを特徴とするクロム膜のパターニング方法。
【請求項2】
前記マスク材料膜が、前記パターニング工程で酸素プラズマに晒されても昇華反応を起こさないフォトレジストであり、該フォトレジストのパターニングをフォトリソグラフィで行う、請求項1に記載のクロム膜のパターニング方法。
【請求項3】
前記マスク材料膜が、前記パターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさないアルミニウム、モリブデン、タンタルから選ばれる金属材料膜であり、該金属材料膜のパターニングをウェットエッチングで行う、請求項1に記載のクロム膜のパターニング方法。
【請求項4】
前記マスク材料膜が、前記パターニング工程で酸素プラズマに晒されても酸化による昇華反応を起こさないポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素から選ばれるケイ素系材料膜であり、該ケイ素系材料膜のパターニングをフッ素系ガスを用いたドライエッチングで行う、請求項1に記載のクロム膜のパターニング方法。
【請求項5】
前記基材は、前記クロム膜との間に中間膜が設けられていてもよい、ガラス材、耐熱プラスチック材、酸化ケイ素材、窒化ケイ素材、酸窒化ケイ素材から選ばれるいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクロム膜のパターニング方法。
【請求項6】
半導体装置を構成するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のいずれか1以上が、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクロム膜のパターニング方法によって形成されてなることを特徴とするクロム電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−87086(P2010−87086A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252385(P2008−252385)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】