ナノスケール電界効果トランジスタの構体
本発明は、ラップゲート構造を有する縦型ナノワイヤトランジスタに関する。縦型ナノワイヤトランジスタの閾値電圧は、ナノワイヤの直径、ナノワイヤの不純物添加レベル、ナノワイヤへのヘテロ構造のセグメントの導入、ナノワイヤを取り囲むシェル構造における不純物添加、ゲートスタックの仕事関数の適応、歪み調整、誘電体材料の制御又はナノワイヤ材料の選択により制御される。異なる閾値電圧を有するトランジスタが同一の基板上に形成されることにより、直接結合フィールドロジックと同様に、閾値電圧の変化を利用する最先端回路の設計が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノスケール電界効果トランジスタに関する。特に、本発明は、ナノワイヤラップゲート電界効果トランジスタの構体を含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、電子回路を設計するための基本構成素子である。使用されるトランジスタの速度、電力消費及び数などの性能を表す数値は、トランジスタを実現するためにどのトランジスタ技術を選択するかということと直接関連する。従って、どの技術を選択するかによって、回路の性能は大きな影響を受ける。
【0003】
電界効果トランジスタ(FET)を定義する主な要素は、使用されるキャリアの種類(n又はp)及び閾値電圧である。キャリアの種類は、ドレイン端子における出力電流に対するゲートへの入力電圧の応答を決定する。n型デバイスの場合、ゲート電圧が増すにつれてオン電流は増加するが、p型デバイスの場合、ゲート電圧が増すにつれてオン電流は減少する。伝導型は、材料の不純物添加により設定される。閾値電圧は、トランジスタがオフ状態からオン状態に移行するときの電圧レベルを決定する。プレーナ技術において、閾値電圧はデバイスの幾何学的構造により規定される。ノーマリオン(すなわちデプリーション型)DFETは、多くの場合、ノーマリオフ(すなわちエンハンスメント型)EFETと比較して有利な高周波数性能を有する。これは、DFETのチャネルがゲートのソース側及びドレイン側で開放状態のままであり、その結果、アクセス抵抗が減少するからである。EFETのチャネルの外側部分は部分的に空乏状態のままであり、これが抵抗を増加するので、EFETのアクセス抵抗は高い場合が多い。従って、当該技術分野において、高性能のエンハンスメント型デバイスを設計し且つ製造するのが困難であることは周知である。
【0004】
1種類のトランジスタのみを使用して回路が設計されてもよいが、多くの場合、異なる種類のトランジスタを組み合わせるのが好ましい。例えば、相補型金属酸化膜半導体技術(CMOS)において、主に論理素子における電力消費を減少するために、n型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とp型NOSFETとが組み合わされる。特に、CMOSは静電力をごくわずかしか消費せず、主に動電力を消費する。電力消費は減少されるが、その代わりに、この実現例の欠点は、比較的低速であるPMOSトランジスタにより速度が設定されてしまうことである。
【0005】
一般にIII/V族半導体と呼ばれる半導体を使用することの主な利点は、キャリア搬送特性である。通常、正孔の移動度より電子の移動度が相当に高いことから、n型デバイスが主に考慮される。III/V族の設計においてはCMOS技術を使用しないので、DFETのみを使用する設計が考慮されてもよく、例えばアンバッファードFET(unbufferedFET)論理回路及びショットキーダイオードFET論理回路においてそのことが実証されている。しかし、それらの回路は、負バイアスと正バイアスとの切り替えにレベルシフタを必要とし、回路中に2つの信号レベルを必要とする場合もある。その結果、回路は更に複雑になり且つ電力消費は増加する。EFETはノーマリオフのトランジスタであるのでDFET設計と比較して静電力の消費が少ないため、EFETのみを使用する設計のほうが有利である。しかし、EFETが比較的低速であることが欠点となる。多くの用途において、EFET及びDFETの双方を利用し、直接結合電界効果論理(DCFL)回路で採用されているように、1対のトランジスタの間で伝導率を切り替えるために交流閾値電圧を使用することが望まれる。それらの回路は記録的な低出力と高速動作を実証している。プレーナ技術における限界は、先に述べたようにアクセス抵抗が低いEFETの製造が困難であること、成長後処理において閾値電圧の制御が困難であること、プレーナゲート長が減少するにつれて短チャネル効果が出現すること並びに狭禁制帯技術に適する基板及び格子整合へテロ構造材料が存在しないことに関連している。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の方法は、明らかにEFET及びEFETとDFETとの組み合わせを小さな寸法で製造できない。
【0007】
本発明の目的は、ナノスケールEFET、及び/又は、EFETとDFETとの組み合わせを含むデバイス、並びに、そのようなデバイスを製造する方法を提供することである。この目的は、請求項1に定義されるようなデバイス及び請求項20に定義されるような方法により達成される。
【0008】
本発明に係るナノワイヤ技術により、フレキシブルな設計が可能になると共に、同一のチップ上に複数のトランジスタを製造できる。同一の成長ランにおいて、大きさの異なる金属触媒を利用して、直径の異なるナノワイヤが成長されてもよい。これにより、異なる閾値電圧を有するトランジスタを集積できる。更に別の利点は、異なるバンドギャップ及び/又は異なる不純物添加レベルを有するセグメントを使用して、搬送チャネルに沿って禁制帯構造を適応可能であることである。これにより、ソース・ゲート間アクセス抵抗及びゲート・ドレイン間アクセス抵抗の双方を減少できる。それらのセグメントは成長中に直接組み込まれてもよく、そのような直接組み込みはプレーナ技術においては不可能である。特に、これによりEFETの臨界高周波数性能を改善できるであろう。
【0009】
本発明は、ラップゲートナノワイヤトランジスタにおいてナノワイヤの設計によって閾値電圧を制御するための種々の方法を説明する。閾値電圧は、ナノワイヤの直径、ナノワイヤの不純物添加レベル、ナノワイヤへのヘテロ構造セグメントの導入、ナノワイヤを取り囲む不純物添加層の追加、ゲートスタックにおける仕事関数の適応、又はチャネルの歪み調整により制御されてもよい。本発明は、異なる閾値電圧を有するトランジスタの組み合わせ、特にエンハンスメント型トランジスタとデプリーション型トランジスタとの組み合わせを容易にする。
【0010】
閾値電圧の物理的起点はポアソン方程式の解から得られるので、材料の誘電率を考慮することが不可欠である。特に、この場合、全体を通して誘電率>1であるデバイスを考える。すなわち、半導体材料で幾何学的に充満されたデバイスを考える。
【0011】
本発明に係る半導体デバイスにおいて、先に説明したように得られるトランジスタの特性を適正に選択し且つ使用されるナノワイヤの数を選択することによりデバイスのゲート幅及び電流レベルを調整するために、異なる閾値電圧を有する少なくとも2つの縦型ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)が使用される。同一の特性を有する縦型ナノワイヤWIGFETが、通常1×1〜15×15の範囲の行列である1つの集合として配列される。次に、半導体デバイスを形成するために、異なる閾値電圧を有する複数の集合が結合される。半導体デバイスのゲート幅及び電流レベルは、デバイスにおいて使用される特定の集合及び各集合で使用されるナノワイヤの数により調整される。
【0012】
本発明の実施形態は、従属請求項において定義される。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、添付の図面及び請求の範囲と関連させて以下の本発明の詳細な説明を考慮することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る半導体デバイスを概略的に示す図である。
【図2】WIGFETのデプリーション型及びエンハンスメント型の特徴を示すために閾値電圧がどのように使用されるかを示すグラフである。
【図3】本発明に係る半導体デバイスにおいて使用されてもよいE‐WIGFETを概略的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図5】基板上にナノワイヤが配置されたバックゲートを使用して横型構造で測定が実行された場合に直径が変化にするにつれて閾値電圧がどのように変化するかを表す直径の変化に従ったナノワイヤのコンダクタンスの変化を示すグラフである。
【図6】トランジスタが同一のランにおいて処理され、ゲート長はいずれも80nm(公称)であり且つ蒸着技術によって処理された場合の70nm(左側)及び55nm(右側)の異なる直径を有するWIGFETに関する実験室温データを示すグラフである。
【図7】図6のトランジスタの伝達特性(左側)及び推定される閾値電圧の値(右側)の比較を示すグラフである。
【図8】プレーナバックゲートInAs/InAsPFETにおいてヘテロバリアセグメントの導入により閾値電圧がどのように変化するかを示す実験データのグラフであり、左側の曲線はホモ構造InAs FETであり且つ右側の曲線はヘテロ構造InAs/InAsP FETである。
【図9】異なるトランジスタの集合において異なるヘテロ構造を使用する本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図10】コア‐シェル構造を使用する本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図11】n型不純物添加トランジスタ及びp型不純物添加トランジスタを具備する本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る半導体デバイスが図1に概略的に示される。デバイスは、少なくとも2つのラップゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)101、102の構体を具備する。各トランジスタは、通常はIII/V族半導体のナノワイヤ105をチャネルとして具備する。ナノワイヤ105は、中空の円筒であるナノチューブと比較して塊状である。塊状ではあるが、ナノワイヤは異なる材料組成を有する1つ以上のセグメントを含んでもよい。ナノワイヤ105は基板110上で成長されている。ナノワイヤの一端部にソースコンタクト140が形成され、反対側の端部にドレインコンタクト150が形成される。ソースコンタクト140とドレインコンタクト150との間にゲートコンタクト160が配置される。ゲートコンタクト160はそれぞれ対応するナノワイヤ105を取り囲み(すなわち包み込み)、ナノワイヤの一部、すなわちゲート部分107を被覆する。基板110がソースコンタクト140を形成してもよい。あるいは、パターン形成層の形態をとる専用ソースコンタクト140が基板の面上に形成される。ゲートコンタクト160とナノワイヤ105との間に誘電体層170がある。誘電体層はゲート部分107に限定されてもよく、あるいはナノワイヤ105の更に広い部分を被覆してもよい。ゲートコンタクト160、ゲートコンタクトにより包囲される誘電体層170の部分、及び、ゲートコンタクト160とナノワイヤ105との間に配置されることが可能である他の層又は包囲部分をゲートスタック163と呼ぶ。
【0015】
ナノワイヤは、5〜200nmの範囲の直径及びμmのオーダーまでの長さ又は高さを有する。通常、誘電体層の厚さは1〜20nmである。
【0016】
ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)を具備する本発明に係る半導体デバイスは、FETの実現例の新たな可能性を開く。従来のIII/V族FET技術における閾値電圧制御はウェハ全体を被覆する2次元エピタキシャル層の厚さの正確な制御に依存し、この場合、閾値電圧は別個の処理ランにおいて制御されるが、ナノワイヤ技術は、フレキシブルな設計を可能にすると共に、同一のチップ上にトランジスタを製造できる。
【0017】
異なる閾値電圧を有するように構成される少なくとも2つのナノワイヤ105を具備する本発明に係る半導体設計の製造に際し、上述の融通性が発揮される。通常、半導体デバイスは、FETのエンハンスメントモード動作と関連する第1の閾値電圧を有する第1のナノワイヤ利用FETの集合と、FETのデプリーションモード動作と関連する第2の閾値電圧を有する第2のナノワイヤ利用FETの集合とを具備するのが好ましい。以下の説明中、E‐WIGFETという用語はエンハンスメント型ラップゲート電界効果トランジスタを表すために使用され、D‐WIGFETという用語はデプリーション型ラップゲート電界効果トランジスタを表すために使用される。
【0018】
E‐WIGFETとD‐WIGFETとを区別するために閾値電圧をどのように使用できるかを図2のグラフに示す。グラフ中、左側の線はD‐WIGFETに関連し、右側の線はE‐WIGFETに関連する。図に示されるように、負の閾値電圧VtはD‐WIGFETと関連し、正の閾値電圧VtはE‐WIGFETと関連する。図2のようなグラフは、Vtの符号によってDFETとEFETとを区別する長チャネル伝達特性に適する。短チャネルデバイスの場合、Isdとsqrt(Isd)との関係がグラフに示されることが多い。
【0019】
例えば、成長処理を開始するために使用される大きさの異なる触媒粒子を利用して、同一の成長ランにおいて異なる直径を有するナノワイヤが成長されてもよい。制御された異なる直径を有するナノワイヤを成長させる方法は、米国特許出願公開第2003/010244号明細書に記載される。この方法により、異なる閾値電圧を有するトランジスタを集積することが可能になり、その結果、例えば、直接結合フィールドロジックの場合のように閾値電圧のシフトを利用する最先端回路を設計できる。本発明はナノスケールWIGFETに限定されない。閾値電圧が重要な要素であるナノワイヤを利用する任意のデバイスの性能が本明細書中に記載される手段により適応されてよい。本発明に係るナノワイヤ技術の他の実現例はLED及びセンサを含むが、それらに限定されない。本発明に係るデバイスは、バンドギャップ及び/又は不純物添加レベルが異なるセグメントを使用して搬送チャネルに沿って禁制帯構造を適応させることも可能にする。これにより、ソース・ゲート間アクセス抵抗及びゲート・ドレイン間アクセス抵抗の双方を減少できる。それらのセグメントは、成長中に直接組み込まれてもよく、そのような組み込みはプレーナ技術においては不可能である。特に、この組み込みにより、EFETの臨界高周波数性能を改善できる。
【0020】
上述のように補関数デバイスを実現することが望まれ、ナノワイヤ技術の利点が与えられる場合、WIGFETを使用したこの要望の実現方法を考える。
【0021】
閾値電圧の物理的原点はポアソン方程式の解から得られるので、材料の誘電率を考慮することが不可欠である。特に、ナノワイヤ全体を通して誘電率>1であるようなナノワイヤ、すなわち半導体材料によって幾何学的に充満されたナノワイヤを考える。尚、一例としてナノワイヤが使用されるが、誘電率の条件が満たされるのであれば、他のナノ構造も利用できるであろう。以下の説明中、ナノワイヤという用語は、それらの特性を有する他のナノ構造も含むものとして考えられるべきである。
【0022】
同一の半導体材料から成るナノワイヤ又は異なる半導体材料から成るナノワイヤのいずれであってもよいが、n型ナノワイヤ及びp型ナノワイヤを使用してN型WIGFET及びp型WIGFETが製造されてもよい。典型的なIII/V族材料では、正孔と比較して電子の移動度が相当に高いため、通常、N型デバイスが考慮される。図3には、InAsのナノワイヤ105を具備するn型E‐WIGFETデバイスが例示される。この場合、不純物添加レベル及び直径は、0ゲートバイアスでチャネルが閉鎖されるように設計される。ナノワイヤは不純物添加レベルが異なる複数のセグメント、すなわち下部n+セグメント111、上部n+セグメント113及び中間n−セグメント112を具備する。この限定的でない例において、誘電体層170は、ゲート部分のみではなくナノワイヤのより広い部分を被覆する。InAs以外の、例えばGaAs、InAs、Ge、ZnO、InN、GaInN、GaN、AlGaInN、BN、InP、InAsP、GaInP、InGaP:Si、InGaP:Zn、GaInAs、AlInP、GaAlInP、GaAlInAsP、GaInSb、InSb及びSiなどの他の材料にも同一の設計が適用される。0ゲートバイアスでチャネルが開放状態のままであるように不純物添加レベルを増加することにより、D‐WIGFETが得られる。しかし、表1に示されるように、Geは電子及び正孔に関してこれに匹敵する移動度を有し、従って興味深い材料である。n型ナノワイヤ及びp型ナノワイヤは同一のナノワイヤの中にセグメントとして組み込まれてもよいが、同一のナノワイヤ上に個別のトランジスタを形成するために、成長後処理が使用される。あるいは、ナノワイヤは異なる成長ランにおいて成長され、基板上に互いに並列して配置されてもよい。この場合、トランジスタは同一の処理工程中に処理されてもよい。
【0023】
本発明の半導体デバイスにおいて、以下に説明される構成により得られるトランジスタの特性を適正に選択し且つ使用されるナノワイヤの数を選択することにより、デバイスのゲート幅及び電流レベルを調整するために、異なる閾値電圧を有する少なくとも2つの縦型ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)が使用される。同一の特性を有する縦型ナノワイヤWIGFETは、通常は1×1〜15×15の範囲の行列である1つの集合として配列される。少なくとも2つの集合が使用され、それらの集合は個別にアドレス指定可能である。
【0024】
図3に示されるように、EWIGFET及びDWIGFETを実現するために、以下に示されるような異なる閾値電圧制御方法が採用される。
【0025】
1.ナノワイヤの直径の変更
閾値電圧は、チャネル全体を空乏化するために除去される必要がある電荷の量により判定される。直径を設計することにより、図2に示されるように、トランジスタがEWIGFETとして動作する条件又はDWIGFETとして動作する条件が得られる。ナノワイヤ技術において、触媒粒子の直径によりナノワイヤの直径を制御する方法は周知である。直径の異なる粒子の集合体を設計することにより、同一の成長ラン中に、ウェハ上に直径の異なるナノワイヤが成長されてもよい。あるいは、異なる所定の大きさの複数の開口部を有するマスクを基板上に配置することも可能であり、その場合、開口部から成長するナノワイヤの直径は開口部の大きさに応じて異なる。
【0026】
図4に概略的に示される本発明に係る半導体デバイスの一実施形態によれば、1つのナノワイヤの集合405は直径dAを有し、別のナノワイヤの集合406は、dAより大きい直径dBを有する。小さいほうの直径dAはエンハンスメントモード、すなわちE‐WIGFETを形成し、大きいほうの直径dBはデプリーションモード、すなわちD‐WIGFETを形成する。E‐WIGFETのナノワイヤの直径dAは5nmまで減少されてもよく、D‐WIGFETのナノワイヤの直径dBは100nmまで増加されてもよい。双方のナノワイヤの集合は、例えば2つの大きさの異なる金属触媒又は成長マスクの大きさの異なる開口部を利用して、1つのチップ上に同時に成長されているのが好ましい。半導体デバイスにおいて、ゲート幅及び電流レベルを制御するために、組み合わされた2つの集合及び各集合に含まれるナノワイヤの数が使用される。
【0027】
図5〜図7は、異なるナノワイヤ直径を使用することによりE‐WIGFET及びD‐WIGFETを形成できることを示す測定データを示す。図5には、異なる直径に対するナノワイヤのコンダクタンスの変化が示され、上から下に向かって、65nm、50nm及び30nmの異なる3つの直径に対する閾値電圧の変化を表す。図6は、70nm(左側)及び55nm(右側)の異なる直径を有するWIGFETに関する実験室温データを示す。トランジスタは同一のランにおいて処理される。双方の場合において、ゲート長は80nm(公称)であり、処理は蒸着技術によって実行される。図7は、図6のトランジスタに関する伝達特性(左側)及び推定される閾値電圧の値(右側)の比較を示す。トランジスタが短チャネル挙動を示すため、線状プロットが使用される。尚、閾値電圧の変化は、直径が大きくなるに従って減少する。
【0028】
2.ナノワイヤトランジスタのチャネルにおける不純物添加レベルの調整
閾値電圧は、チャネル全体を空乏化するために除去される必要がある電荷の量により判定される。ナノワイヤトランジスタのチャネルにおける不純物添加レベルを制御することにより、トランジスタがEWIGFETとして動作する条件又はDWIGFETとして動作する条件が得られる。ソース・ゲート側及びゲート・ドレイン側の寄生アクセス抵抗を減少するために、それらの領域において、ナノワイヤはチャネルより高い不純物添加レベルを有するのが好ましい。成長中に、シランからのSi又はH2Sからのイオウなどの外部ガス源からのドーパントを導入することにより、不純物添加レベルの変更を実現できるであろう。背景キャリア濃度も不純物添加として作用し、成長温度及び気体相のV/III比により背景キャリア濃度が制御されてもよい。あるいは、In含有材料の場合のTMIとTEIとの置き換え及びGa含有材料の場合のTMGとTEGとの置き換えのように、ソース材料が変更されてもよい。有機金属内の原子間の結合強度に差があるため、化学ビームエピタキシ(CBE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)及び有機金属化学気相成長(MOCVD)において異なる組み込み構造を生成することは周知である。
【0029】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、特定の不純物添加レベルを有するナノワイヤを含む1つのWIGFETの集合を具備し、別の集合は異なる不純物添加レベルを有するナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。通常、不純物添加レベルは1016cm−3〜1018cm−3の範囲であるのが好ましく、E‐WIGFETはD‐WIGFETより低い不純物添加レベルを有する。
【0030】
3.ゲートスタックにおける仕事関数の変更
ゲートスタック162及び半導体ナノワイヤにおけるフェルミ準位の整合は、ナノワイヤにおける0ゲートバイアスデプリーション領域の広がりを判定する。Auのように大きな仕事関数を有する金属は、D‐WIGFETを形成するAl又はCrSi2のような小さい仕事関数を有する金属より長いデプリーション領域を有するので、E‐WIGFETを形成する。あるいは、仕事関数は、大量の不純物を添加されたポリ層における不純物添加レベルにより設定されてもよい。例えば金属の選択又は蒸着層の不純物添加レベルによってゲートスタックの仕事関数を調整することにより、閾値電圧が調整されてもよい。
【0031】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、1つの仕事関数を有するゲートスタック163を含むナノワイヤを有する1つのWIGFETの集合を具備し、別の集合は、別の仕事関数を有するゲートスタック163を含むナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。最大の仕事関数を有する集合はE‐WIGFETを形成し、それより低い仕事関数はD‐WIGFETを形成する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0032】
4.トランジスタのチャネルへのヘテロ構造バリアの追加
半導体のバンドギャップは、真性キャリア濃度を判定する。InAs及びInSbなどのバンドギャップが狭い材料の場合、このキャリア濃度は相当に高い。トランジスタのチャネルにヘテロ構造バリアを組み込むことにより、キャリア濃度は減少され、n型デバイスの場合、閾値電圧はより正のバイアスに移行される。この効果は図8に示される。図8は、ヘテロバリアセグメントの形態をとるヘテロ構造の導入がプレーナバックゲートInAs/InAsP FETにおける閾値電圧をどのように変化させるかを示す実験データを示す。左側の曲線はホモ構造InAs FETであり、右側の曲線はヘテロ構造InAs/InAsP FETである。ヘテロバリアを有する場合と有していない場合とでは、トランジスタの閾値電圧は異なり、補関数を実現するために、ヘテロバリアを有するトランジスタとヘテロバリアを有していないトランジスタとの組み合わせが使用されてもよい。ヘテロ構造を有するエピタキシャル成長ナノワイヤを形成する方法に関しては、米国特許出願公開第2004/0075464号明細書を参照されたい。
【0033】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、第1のヘテロ構造を具備するナノワイヤを有する1つのWIGFETの集合を具備し、別の集合は、異なる第2のヘテロ構造を有するナノワイヤを具備するか、あるいはヘテロ構造を有していないナノワイヤを具備する。ヘテロ構造は各ナノワイヤのゲート部分に配置される。これにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。大きなバリアを形成するヘテロ構造はE‐WIGFET特性を向上し、小さなバリアはD‐WIGFET特性を向上する。従って、デバイスのE‐WIGFETは、デバイスのD‐WIGFETより大きなバリアを形成するヘテロ構造を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。図9は、本発明に係る半導体デバイスを限定的でない一例として示す。図9において、第1のWIGFETの集合910は、ヘテロ構造908を具備し且つE‐WIGFETを形成するナノワイヤ907を有する。ヘテロ構造を有していないナノワイヤ912によって形成された第2の集合915に、D‐WIGFETが形成される。
【0034】
5.シェル層への不純物添加の追加
図10に概略的に示されるように、ナノワイヤチャネルのコアを形成するナノワイヤ105を取り囲むシェル層1010に不純物添加(n型又はp型)を追加することにより、閾値電圧が調整されてもよい。誘電体層1070はシェル層1010の外側にゲートコンタクトに隣接して形成されてもよい。図をわかりやすくするため、ドレインコンタクト及びソースコンタクトなどの本実施形態に無関係の部分は、図から省略されている。この不純物添加の追加は、トランジスタチャネルにおける電荷を追加又は補償してもよく、それにより、トランジスタの閾値電圧に影響を及ぼす。
【0035】
ナノワイヤチャネルのコアを取り囲むシェル層に不純物(n型又はp型)を追加することにより、閾値電圧が調整されてもよい。キャリアの量は、シェル層1010の厚さ及び不純物添加レベルにより判定される。通常、シェル層の厚さは2〜20nm程度であり、不純物添加レベルは1016cm−3〜1018cm−3程度である。この不純物添加の追加は、トランジスタチャネルにおける電荷を追加又は補償してもよく、それにより、トランジスタの閾値電圧に影響を及ぼす。シェルは、伝導帯の不連続性ΔEcによって、ゲートとトランジスタチャネルとの禁制帯の整合にも影響を及ぼすことがある。シェル材料組成の変更は、ゲート側及びチャネル側に異なる影響を与え、この差が閾値電圧に加わる。従って、シェル層の材料の設計は閾値電圧に影響を及ぼしてもよく、異なるシェルを有するラップゲートトランジスタを組み合わせることにより補関数が実現されてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、第1のコア/シェルへテロ構造を含むナノワイヤを具備する1つのWIGFETの集合と、異なるコア/シェルへテロ構造を具備する別の集合とを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0037】
6.チャネルの歪み調整
ナノワイヤ技術により、格子の不整合が激しい材料の成長が可能になり、その場合、歪みに対応するために半径方向歪み解放が使用される。バンドギャップが狭いナノワイヤに引っ張り歪みが加わると、ナノワイヤのバンドギャップが増加し、禁制帯構造は変化する。例えば、InAsにGaAs又はInPコア/シェルを追加することにより、半導体における伝導帯の位置が影響を受け、その結果、ゲート電極のフェルミ準位に対する整合が変化する場合があり、トランジスタの閾値電圧が変化する。
【0038】
デバイスの一実施形態によれば、1つのトランジスタの集合は、例えば歪みコア/シェルへテロ構造の成長によりチャネルに歪みが取り込まれているナノワイヤを具備し、別の集合は、例えば異なる歪みコア/シェル構造の成長によりチャネルに異なる歪みを有するナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。あるいは、集合のうち一方のみが歪みコア‐シェル構造を具備する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0039】
7.ゲートスタックにおける誘電体層の制御
閾値電圧において、ゲートとチャネルとの間の電位降下は、ゲート誘電体層における降下及び空乏ナノワイヤ半導体材料における降下により二分される。誘電体における電位降下は、誘電体層の厚さ及び材料の誘電率により判定される。異なるワイヤにおいて厚さ及び誘電率を変更することにより、閾値電圧が調整されてもよい。
【0040】
デバイスの一実施形態によれば、1つのトランジスタの集合は、1つの厚さ及び誘電率を有する誘電体層170をゲート領域107に具備するナノワイヤを具備し、別の集合は、異なる厚さ及び/又は誘電率を有する誘電体層170をゲート領域107に具備するナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。E‐WIGFETはD‐WIGFETより薄い誘電体層を有するか、又は誘電率が高い誘電体層を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0041】
8.ナノワイヤ材料の変更
ナノワイヤ技術により、異なる基板の上にナノワイヤを成長させることが可能になるので、同一の基板上に異なる材料から成るナノワイヤを成長させてもよい。閾値電圧はフェルミ準位Efに関連し、ナノワイヤにおいて、フェルミ準位はナノワイヤの表面電位に関連する。材料が異なれば、表面電位も異なる。すなわち、フェルミ準位は、禁制帯構造内部のそれぞれ異なる位置で固定される。例えば、GaAs、InP及びSiは中間禁制帯に固定され、GaSbは価電子帯に近接して固定され、InAsは伝導帯に近接して固定される。異なる材料から成るナノワイヤを使用することにより、閾値電圧の異なるデバイスを形成できる。
【0042】
一実施形態の半導体デバイスによれば、1つのトランジスタの集合は、1つの材料から成るナノワイヤを具備し、別の集合は別の材料から成るナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。E‐WIGFETを形成するトランジスタのナノワイヤは、D‐WIGFETのナノワイヤの材料より大きいバンドギャップを有する材料から製造される。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0043】
便宜上、異なる閾値電圧、すなわち個別のトランジスタのエンハンスメント特性又はデプリーション特性を実現するために、ナノワイヤの集合の間でただ1つのパラメータ、例えば直径が変更されるものとして上記の実施形態は説明された。当業者には理解されるであろうが、半導体デバイスの設計を更に適応させるために、上記の実施形態を組み合わせることができる。例えば、個別の効果を向上するために、直径の変更と、不純物添加レベルが異なるコアシェルとの組み合わせが使用されてもよい。閾値レベルを変更するために、先に説明された方法(1〜8)のいずれか又はそれらの組み合わせを使用でき、デバイスに集積される集合の数には原則として制限はない。上述の教示を用いれば、当該技術において周知である方法を使用する当業者が、そのような組み合わせを考え且つ実施することは可能である。
【0044】
デバイスの例示的な実現形態として、一実施形態が図11に概略的に示される。デバイスは2つのナノワイヤの集合を具備し、一方の集合のナノワイヤWIGFETはn型1101であり、他方の集合のナノワイヤWIGFETはp型1102である。デバイスの閾値電圧を調整するために、先に説明された方法、例えば直径又は不純物添加レベルが使用される。ナノワイヤ105は、図示されるような3つのセグメントによって形成されてもよく、リード1105及びチャネル1170は、図3の下部n+セグメント111、上部n+セグメント113及び中間n−セグメント112に対応する異なる半導体材料により補填される。n型FETの場合、リード/チャネルヘテロ接合はI型又はII型であり、チャネル材料はリード材料に対して正の伝導帯オフセットを有する。リードはn型不純物を添加されており、チャネルはp型不純物を添加されている。チャネルにInAsPを使用し且つリードにInAsを使用するなど、チャネルのp型不純物添加をリードにおける不純物添加より有効に取り込むことができるようにチャネル材料は選択される。ヘテロ接合と不純物添加との組み合わせにより、不純物添加又はヘテロ接合を単独で採用した場合と比較して低い不純物添加レベル及び小さな伝導帯オフセットを使用して、ある特定の閾値電圧差を実現できる。不純物添加の極性を逆にし且つ負の価電子帯オフセットを有するリード/チャネルヘテロ接合オフセットを使用して、p型FETも同様にして構成できる。
【0045】
異なるナノワイヤの集合を具備するデバイスの更に別の実施形態によれば、全ての集合は、先に説明された方法によって実現される異なる閾値電圧を有する。少なくとも1つの集合は、その集合をデプリーション型トランジスタ(DWIGFET)にする閾値電圧を有し、少なくとも1つの別の集合は、エンハンスメント型トランジスタ(EWIGFET)として動作する。閾値電圧の差は、集合のうち1つにヘテロ構造を挿入することにより実現される。双方の型(エンハンスメント型及びデプリーション型)のトランジスタが得られれば、それらのトランジスタを組み合わせて、複雑な回路、例えば直接結合フィールドロジック回路を形成してもよい。
【0046】
本発明に係るEWIGFET及びDWIGFETを具備するのに適する基本デバイスは、1つのE‐WIGFET及び1つのD‐WIGFETを具備する図12に概略的に示されるインバータである。E‐WIGFET及びD‐WIGFETは、基板上に個別に形成されてもよく、あるいは同一のナノワイヤに交互に形成されてもよい。
【0047】
デバイスの基板に適する材料はSi、GaAs、GaP、GaP:Zn、GaAs、InAs、InP、GaN、Al2O3、SiC、Ge、GaSb、ZnO、InSb、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)、CdS、ZnSe、CdTeを含むが、それらに限定されない。ナノワイヤに適する材料は、GaAs(p)、InAs、Ge、ZnO、InN、GaInN、GaN、AlGaInN、BN、InP、InAsP、GaInP、InGaP:Si、InGaP:Zn、GaInAs、AlInP、GaAlInP、GaAlInAsP、GaInSb、InSb及びSiなどのIV族半導体、III‐V族半導体、II‐VI族半導体を含むが、それらに限定されない。尚、本発明に係る方法及びデバイスは、バンドギャップが大きいことを特徴とし且つ高電圧及び/又は高出力の用途に適するGaN、InN及びAlNなどの窒化物を利用するデバイスの製造に適する。商用として興味深い他の組み合わせはGaAs、GaInP、GaAlInP、GaP系を含むが、それらに限定されない。使用可能なドナードーパントはSi、Sn、Te、Se、Sなどであるが、それらには限定されず、アクセプタドーパントはZn、Fe、Mg、Be、Cdなどである。
【0048】
本発明の一実施形態に係る直径の異なるナノワイヤを具備する半導体デバイスを製造する方法は、
a)基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の大きさの触媒粒子を蒸着するか、又は所定の第1の直径の複数の開口部が所定の位置に形成された成長マスクを基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に配置することにより、基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の大きさの大きさ定義を規定する工程と、
b)基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の大きさの触媒粒子を蒸着するか、又は所定の第2の直径の複数の開口部が所定の位置に形成された成長マスクを基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に配置することにより、基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の大きさの大きさ定義を規定する工程と、
c)第1の大きさの触媒粒子及び第2の大きさの触媒粒子の双方から同時にナノワイヤを成長させるか、又は第1の直径の開口部及び第2の直径の開口部から同時にナノワイヤを成長させることにより、第1の閾値と関連する第1の直径を有する第1のナノワイヤの集合及び第2の閾値と関連する第2の直径を有する第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
d)第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含む。
【0049】
本発明の一実施形態に係る異なる特性を示すナノワイヤを具備する半導体デバイスを製造する方法は、
a)第1の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の特性を有するナノワイヤを成長させ、第1のナノワイヤの集合を形成する工程と、
b)第2の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の特性を有するナノワイヤを成長させ、第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
c)第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含む。
【0050】
ナノワイヤの成長は、異方性成長を補助するために粒子が使用される選択エピタキシを含んでもよい。成長方法として、化学ビームエピタキシ又は異なる種類の気相エピタキシ法が採用されてもよい。金属粒子を規定するために、リソグラフィ法又は金属粒子蒸着が使用され、金属粒子の大きさはワイヤの直径を決定する。通常、標準偏差5%で、200nm以下の直径を製造できる。ワイヤは限定された場所でのみ成長し、この粒子補助成長モードにおいて、平面成長速度は無視できるほどの値である。半導体基板上にナノワイヤを成長させるのに適する方法は、米国特許出願公開第2003/010244号明細書に記載される。ヘテロ構造を有するエピタキシャル成長ナノワイヤを形成する方法に関しては、米国特許出願公開第2004/0075464号明細書を参照。これに代わる方法として、ナノワイヤを成長させるために選択エリアエピタキシ(SAE)を使用できる。
【0051】
以上、主にいくつかの実施形態を参照して本発明を説明した。しかし、当業者には容易に理解されるように、先に開示された実施形態以外の他の実施形態も、添付の請求の範囲により定義される本発明の範囲内で同等に可能である。
【0052】
【表1】
【0053】
歪みのない種々の半導体材料の室温移動度
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノスケール電界効果トランジスタに関する。特に、本発明は、ナノワイヤラップゲート電界効果トランジスタの構体を含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、電子回路を設計するための基本構成素子である。使用されるトランジスタの速度、電力消費及び数などの性能を表す数値は、トランジスタを実現するためにどのトランジスタ技術を選択するかということと直接関連する。従って、どの技術を選択するかによって、回路の性能は大きな影響を受ける。
【0003】
電界効果トランジスタ(FET)を定義する主な要素は、使用されるキャリアの種類(n又はp)及び閾値電圧である。キャリアの種類は、ドレイン端子における出力電流に対するゲートへの入力電圧の応答を決定する。n型デバイスの場合、ゲート電圧が増すにつれてオン電流は増加するが、p型デバイスの場合、ゲート電圧が増すにつれてオン電流は減少する。伝導型は、材料の不純物添加により設定される。閾値電圧は、トランジスタがオフ状態からオン状態に移行するときの電圧レベルを決定する。プレーナ技術において、閾値電圧はデバイスの幾何学的構造により規定される。ノーマリオン(すなわちデプリーション型)DFETは、多くの場合、ノーマリオフ(すなわちエンハンスメント型)EFETと比較して有利な高周波数性能を有する。これは、DFETのチャネルがゲートのソース側及びドレイン側で開放状態のままであり、その結果、アクセス抵抗が減少するからである。EFETのチャネルの外側部分は部分的に空乏状態のままであり、これが抵抗を増加するので、EFETのアクセス抵抗は高い場合が多い。従って、当該技術分野において、高性能のエンハンスメント型デバイスを設計し且つ製造するのが困難であることは周知である。
【0004】
1種類のトランジスタのみを使用して回路が設計されてもよいが、多くの場合、異なる種類のトランジスタを組み合わせるのが好ましい。例えば、相補型金属酸化膜半導体技術(CMOS)において、主に論理素子における電力消費を減少するために、n型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とp型NOSFETとが組み合わされる。特に、CMOSは静電力をごくわずかしか消費せず、主に動電力を消費する。電力消費は減少されるが、その代わりに、この実現例の欠点は、比較的低速であるPMOSトランジスタにより速度が設定されてしまうことである。
【0005】
一般にIII/V族半導体と呼ばれる半導体を使用することの主な利点は、キャリア搬送特性である。通常、正孔の移動度より電子の移動度が相当に高いことから、n型デバイスが主に考慮される。III/V族の設計においてはCMOS技術を使用しないので、DFETのみを使用する設計が考慮されてもよく、例えばアンバッファードFET(unbufferedFET)論理回路及びショットキーダイオードFET論理回路においてそのことが実証されている。しかし、それらの回路は、負バイアスと正バイアスとの切り替えにレベルシフタを必要とし、回路中に2つの信号レベルを必要とする場合もある。その結果、回路は更に複雑になり且つ電力消費は増加する。EFETはノーマリオフのトランジスタであるのでDFET設計と比較して静電力の消費が少ないため、EFETのみを使用する設計のほうが有利である。しかし、EFETが比較的低速であることが欠点となる。多くの用途において、EFET及びDFETの双方を利用し、直接結合電界効果論理(DCFL)回路で採用されているように、1対のトランジスタの間で伝導率を切り替えるために交流閾値電圧を使用することが望まれる。それらの回路は記録的な低出力と高速動作を実証している。プレーナ技術における限界は、先に述べたようにアクセス抵抗が低いEFETの製造が困難であること、成長後処理において閾値電圧の制御が困難であること、プレーナゲート長が減少するにつれて短チャネル効果が出現すること並びに狭禁制帯技術に適する基板及び格子整合へテロ構造材料が存在しないことに関連している。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の方法は、明らかにEFET及びEFETとDFETとの組み合わせを小さな寸法で製造できない。
【0007】
本発明の目的は、ナノスケールEFET、及び/又は、EFETとDFETとの組み合わせを含むデバイス、並びに、そのようなデバイスを製造する方法を提供することである。この目的は、請求項1に定義されるようなデバイス及び請求項20に定義されるような方法により達成される。
【0008】
本発明に係るナノワイヤ技術により、フレキシブルな設計が可能になると共に、同一のチップ上に複数のトランジスタを製造できる。同一の成長ランにおいて、大きさの異なる金属触媒を利用して、直径の異なるナノワイヤが成長されてもよい。これにより、異なる閾値電圧を有するトランジスタを集積できる。更に別の利点は、異なるバンドギャップ及び/又は異なる不純物添加レベルを有するセグメントを使用して、搬送チャネルに沿って禁制帯構造を適応可能であることである。これにより、ソース・ゲート間アクセス抵抗及びゲート・ドレイン間アクセス抵抗の双方を減少できる。それらのセグメントは成長中に直接組み込まれてもよく、そのような直接組み込みはプレーナ技術においては不可能である。特に、これによりEFETの臨界高周波数性能を改善できるであろう。
【0009】
本発明は、ラップゲートナノワイヤトランジスタにおいてナノワイヤの設計によって閾値電圧を制御するための種々の方法を説明する。閾値電圧は、ナノワイヤの直径、ナノワイヤの不純物添加レベル、ナノワイヤへのヘテロ構造セグメントの導入、ナノワイヤを取り囲む不純物添加層の追加、ゲートスタックにおける仕事関数の適応、又はチャネルの歪み調整により制御されてもよい。本発明は、異なる閾値電圧を有するトランジスタの組み合わせ、特にエンハンスメント型トランジスタとデプリーション型トランジスタとの組み合わせを容易にする。
【0010】
閾値電圧の物理的起点はポアソン方程式の解から得られるので、材料の誘電率を考慮することが不可欠である。特に、この場合、全体を通して誘電率>1であるデバイスを考える。すなわち、半導体材料で幾何学的に充満されたデバイスを考える。
【0011】
本発明に係る半導体デバイスにおいて、先に説明したように得られるトランジスタの特性を適正に選択し且つ使用されるナノワイヤの数を選択することによりデバイスのゲート幅及び電流レベルを調整するために、異なる閾値電圧を有する少なくとも2つの縦型ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)が使用される。同一の特性を有する縦型ナノワイヤWIGFETが、通常1×1〜15×15の範囲の行列である1つの集合として配列される。次に、半導体デバイスを形成するために、異なる閾値電圧を有する複数の集合が結合される。半導体デバイスのゲート幅及び電流レベルは、デバイスにおいて使用される特定の集合及び各集合で使用されるナノワイヤの数により調整される。
【0012】
本発明の実施形態は、従属請求項において定義される。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、添付の図面及び請求の範囲と関連させて以下の本発明の詳細な説明を考慮することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る半導体デバイスを概略的に示す図である。
【図2】WIGFETのデプリーション型及びエンハンスメント型の特徴を示すために閾値電圧がどのように使用されるかを示すグラフである。
【図3】本発明に係る半導体デバイスにおいて使用されてもよいE‐WIGFETを概略的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図5】基板上にナノワイヤが配置されたバックゲートを使用して横型構造で測定が実行された場合に直径が変化にするにつれて閾値電圧がどのように変化するかを表す直径の変化に従ったナノワイヤのコンダクタンスの変化を示すグラフである。
【図6】トランジスタが同一のランにおいて処理され、ゲート長はいずれも80nm(公称)であり且つ蒸着技術によって処理された場合の70nm(左側)及び55nm(右側)の異なる直径を有するWIGFETに関する実験室温データを示すグラフである。
【図7】図6のトランジスタの伝達特性(左側)及び推定される閾値電圧の値(右側)の比較を示すグラフである。
【図8】プレーナバックゲートInAs/InAsPFETにおいてヘテロバリアセグメントの導入により閾値電圧がどのように変化するかを示す実験データのグラフであり、左側の曲線はホモ構造InAs FETであり且つ右側の曲線はヘテロ構造InAs/InAsP FETである。
【図9】異なるトランジスタの集合において異なるヘテロ構造を使用する本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図10】コア‐シェル構造を使用する本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【図11】n型不純物添加トランジスタ及びp型不純物添加トランジスタを具備する本発明の一実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る半導体デバイスが図1に概略的に示される。デバイスは、少なくとも2つのラップゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)101、102の構体を具備する。各トランジスタは、通常はIII/V族半導体のナノワイヤ105をチャネルとして具備する。ナノワイヤ105は、中空の円筒であるナノチューブと比較して塊状である。塊状ではあるが、ナノワイヤは異なる材料組成を有する1つ以上のセグメントを含んでもよい。ナノワイヤ105は基板110上で成長されている。ナノワイヤの一端部にソースコンタクト140が形成され、反対側の端部にドレインコンタクト150が形成される。ソースコンタクト140とドレインコンタクト150との間にゲートコンタクト160が配置される。ゲートコンタクト160はそれぞれ対応するナノワイヤ105を取り囲み(すなわち包み込み)、ナノワイヤの一部、すなわちゲート部分107を被覆する。基板110がソースコンタクト140を形成してもよい。あるいは、パターン形成層の形態をとる専用ソースコンタクト140が基板の面上に形成される。ゲートコンタクト160とナノワイヤ105との間に誘電体層170がある。誘電体層はゲート部分107に限定されてもよく、あるいはナノワイヤ105の更に広い部分を被覆してもよい。ゲートコンタクト160、ゲートコンタクトにより包囲される誘電体層170の部分、及び、ゲートコンタクト160とナノワイヤ105との間に配置されることが可能である他の層又は包囲部分をゲートスタック163と呼ぶ。
【0015】
ナノワイヤは、5〜200nmの範囲の直径及びμmのオーダーまでの長さ又は高さを有する。通常、誘電体層の厚さは1〜20nmである。
【0016】
ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)を具備する本発明に係る半導体デバイスは、FETの実現例の新たな可能性を開く。従来のIII/V族FET技術における閾値電圧制御はウェハ全体を被覆する2次元エピタキシャル層の厚さの正確な制御に依存し、この場合、閾値電圧は別個の処理ランにおいて制御されるが、ナノワイヤ技術は、フレキシブルな設計を可能にすると共に、同一のチップ上にトランジスタを製造できる。
【0017】
異なる閾値電圧を有するように構成される少なくとも2つのナノワイヤ105を具備する本発明に係る半導体設計の製造に際し、上述の融通性が発揮される。通常、半導体デバイスは、FETのエンハンスメントモード動作と関連する第1の閾値電圧を有する第1のナノワイヤ利用FETの集合と、FETのデプリーションモード動作と関連する第2の閾値電圧を有する第2のナノワイヤ利用FETの集合とを具備するのが好ましい。以下の説明中、E‐WIGFETという用語はエンハンスメント型ラップゲート電界効果トランジスタを表すために使用され、D‐WIGFETという用語はデプリーション型ラップゲート電界効果トランジスタを表すために使用される。
【0018】
E‐WIGFETとD‐WIGFETとを区別するために閾値電圧をどのように使用できるかを図2のグラフに示す。グラフ中、左側の線はD‐WIGFETに関連し、右側の線はE‐WIGFETに関連する。図に示されるように、負の閾値電圧VtはD‐WIGFETと関連し、正の閾値電圧VtはE‐WIGFETと関連する。図2のようなグラフは、Vtの符号によってDFETとEFETとを区別する長チャネル伝達特性に適する。短チャネルデバイスの場合、Isdとsqrt(Isd)との関係がグラフに示されることが多い。
【0019】
例えば、成長処理を開始するために使用される大きさの異なる触媒粒子を利用して、同一の成長ランにおいて異なる直径を有するナノワイヤが成長されてもよい。制御された異なる直径を有するナノワイヤを成長させる方法は、米国特許出願公開第2003/010244号明細書に記載される。この方法により、異なる閾値電圧を有するトランジスタを集積することが可能になり、その結果、例えば、直接結合フィールドロジックの場合のように閾値電圧のシフトを利用する最先端回路を設計できる。本発明はナノスケールWIGFETに限定されない。閾値電圧が重要な要素であるナノワイヤを利用する任意のデバイスの性能が本明細書中に記載される手段により適応されてよい。本発明に係るナノワイヤ技術の他の実現例はLED及びセンサを含むが、それらに限定されない。本発明に係るデバイスは、バンドギャップ及び/又は不純物添加レベルが異なるセグメントを使用して搬送チャネルに沿って禁制帯構造を適応させることも可能にする。これにより、ソース・ゲート間アクセス抵抗及びゲート・ドレイン間アクセス抵抗の双方を減少できる。それらのセグメントは、成長中に直接組み込まれてもよく、そのような組み込みはプレーナ技術においては不可能である。特に、この組み込みにより、EFETの臨界高周波数性能を改善できる。
【0020】
上述のように補関数デバイスを実現することが望まれ、ナノワイヤ技術の利点が与えられる場合、WIGFETを使用したこの要望の実現方法を考える。
【0021】
閾値電圧の物理的原点はポアソン方程式の解から得られるので、材料の誘電率を考慮することが不可欠である。特に、ナノワイヤ全体を通して誘電率>1であるようなナノワイヤ、すなわち半導体材料によって幾何学的に充満されたナノワイヤを考える。尚、一例としてナノワイヤが使用されるが、誘電率の条件が満たされるのであれば、他のナノ構造も利用できるであろう。以下の説明中、ナノワイヤという用語は、それらの特性を有する他のナノ構造も含むものとして考えられるべきである。
【0022】
同一の半導体材料から成るナノワイヤ又は異なる半導体材料から成るナノワイヤのいずれであってもよいが、n型ナノワイヤ及びp型ナノワイヤを使用してN型WIGFET及びp型WIGFETが製造されてもよい。典型的なIII/V族材料では、正孔と比較して電子の移動度が相当に高いため、通常、N型デバイスが考慮される。図3には、InAsのナノワイヤ105を具備するn型E‐WIGFETデバイスが例示される。この場合、不純物添加レベル及び直径は、0ゲートバイアスでチャネルが閉鎖されるように設計される。ナノワイヤは不純物添加レベルが異なる複数のセグメント、すなわち下部n+セグメント111、上部n+セグメント113及び中間n−セグメント112を具備する。この限定的でない例において、誘電体層170は、ゲート部分のみではなくナノワイヤのより広い部分を被覆する。InAs以外の、例えばGaAs、InAs、Ge、ZnO、InN、GaInN、GaN、AlGaInN、BN、InP、InAsP、GaInP、InGaP:Si、InGaP:Zn、GaInAs、AlInP、GaAlInP、GaAlInAsP、GaInSb、InSb及びSiなどの他の材料にも同一の設計が適用される。0ゲートバイアスでチャネルが開放状態のままであるように不純物添加レベルを増加することにより、D‐WIGFETが得られる。しかし、表1に示されるように、Geは電子及び正孔に関してこれに匹敵する移動度を有し、従って興味深い材料である。n型ナノワイヤ及びp型ナノワイヤは同一のナノワイヤの中にセグメントとして組み込まれてもよいが、同一のナノワイヤ上に個別のトランジスタを形成するために、成長後処理が使用される。あるいは、ナノワイヤは異なる成長ランにおいて成長され、基板上に互いに並列して配置されてもよい。この場合、トランジスタは同一の処理工程中に処理されてもよい。
【0023】
本発明の半導体デバイスにおいて、以下に説明される構成により得られるトランジスタの特性を適正に選択し且つ使用されるナノワイヤの数を選択することにより、デバイスのゲート幅及び電流レベルを調整するために、異なる閾値電圧を有する少なくとも2つの縦型ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(WIGFET)が使用される。同一の特性を有する縦型ナノワイヤWIGFETは、通常は1×1〜15×15の範囲の行列である1つの集合として配列される。少なくとも2つの集合が使用され、それらの集合は個別にアドレス指定可能である。
【0024】
図3に示されるように、EWIGFET及びDWIGFETを実現するために、以下に示されるような異なる閾値電圧制御方法が採用される。
【0025】
1.ナノワイヤの直径の変更
閾値電圧は、チャネル全体を空乏化するために除去される必要がある電荷の量により判定される。直径を設計することにより、図2に示されるように、トランジスタがEWIGFETとして動作する条件又はDWIGFETとして動作する条件が得られる。ナノワイヤ技術において、触媒粒子の直径によりナノワイヤの直径を制御する方法は周知である。直径の異なる粒子の集合体を設計することにより、同一の成長ラン中に、ウェハ上に直径の異なるナノワイヤが成長されてもよい。あるいは、異なる所定の大きさの複数の開口部を有するマスクを基板上に配置することも可能であり、その場合、開口部から成長するナノワイヤの直径は開口部の大きさに応じて異なる。
【0026】
図4に概略的に示される本発明に係る半導体デバイスの一実施形態によれば、1つのナノワイヤの集合405は直径dAを有し、別のナノワイヤの集合406は、dAより大きい直径dBを有する。小さいほうの直径dAはエンハンスメントモード、すなわちE‐WIGFETを形成し、大きいほうの直径dBはデプリーションモード、すなわちD‐WIGFETを形成する。E‐WIGFETのナノワイヤの直径dAは5nmまで減少されてもよく、D‐WIGFETのナノワイヤの直径dBは100nmまで増加されてもよい。双方のナノワイヤの集合は、例えば2つの大きさの異なる金属触媒又は成長マスクの大きさの異なる開口部を利用して、1つのチップ上に同時に成長されているのが好ましい。半導体デバイスにおいて、ゲート幅及び電流レベルを制御するために、組み合わされた2つの集合及び各集合に含まれるナノワイヤの数が使用される。
【0027】
図5〜図7は、異なるナノワイヤ直径を使用することによりE‐WIGFET及びD‐WIGFETを形成できることを示す測定データを示す。図5には、異なる直径に対するナノワイヤのコンダクタンスの変化が示され、上から下に向かって、65nm、50nm及び30nmの異なる3つの直径に対する閾値電圧の変化を表す。図6は、70nm(左側)及び55nm(右側)の異なる直径を有するWIGFETに関する実験室温データを示す。トランジスタは同一のランにおいて処理される。双方の場合において、ゲート長は80nm(公称)であり、処理は蒸着技術によって実行される。図7は、図6のトランジスタに関する伝達特性(左側)及び推定される閾値電圧の値(右側)の比較を示す。トランジスタが短チャネル挙動を示すため、線状プロットが使用される。尚、閾値電圧の変化は、直径が大きくなるに従って減少する。
【0028】
2.ナノワイヤトランジスタのチャネルにおける不純物添加レベルの調整
閾値電圧は、チャネル全体を空乏化するために除去される必要がある電荷の量により判定される。ナノワイヤトランジスタのチャネルにおける不純物添加レベルを制御することにより、トランジスタがEWIGFETとして動作する条件又はDWIGFETとして動作する条件が得られる。ソース・ゲート側及びゲート・ドレイン側の寄生アクセス抵抗を減少するために、それらの領域において、ナノワイヤはチャネルより高い不純物添加レベルを有するのが好ましい。成長中に、シランからのSi又はH2Sからのイオウなどの外部ガス源からのドーパントを導入することにより、不純物添加レベルの変更を実現できるであろう。背景キャリア濃度も不純物添加として作用し、成長温度及び気体相のV/III比により背景キャリア濃度が制御されてもよい。あるいは、In含有材料の場合のTMIとTEIとの置き換え及びGa含有材料の場合のTMGとTEGとの置き換えのように、ソース材料が変更されてもよい。有機金属内の原子間の結合強度に差があるため、化学ビームエピタキシ(CBE)、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)及び有機金属化学気相成長(MOCVD)において異なる組み込み構造を生成することは周知である。
【0029】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、特定の不純物添加レベルを有するナノワイヤを含む1つのWIGFETの集合を具備し、別の集合は異なる不純物添加レベルを有するナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。通常、不純物添加レベルは1016cm−3〜1018cm−3の範囲であるのが好ましく、E‐WIGFETはD‐WIGFETより低い不純物添加レベルを有する。
【0030】
3.ゲートスタックにおける仕事関数の変更
ゲートスタック162及び半導体ナノワイヤにおけるフェルミ準位の整合は、ナノワイヤにおける0ゲートバイアスデプリーション領域の広がりを判定する。Auのように大きな仕事関数を有する金属は、D‐WIGFETを形成するAl又はCrSi2のような小さい仕事関数を有する金属より長いデプリーション領域を有するので、E‐WIGFETを形成する。あるいは、仕事関数は、大量の不純物を添加されたポリ層における不純物添加レベルにより設定されてもよい。例えば金属の選択又は蒸着層の不純物添加レベルによってゲートスタックの仕事関数を調整することにより、閾値電圧が調整されてもよい。
【0031】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、1つの仕事関数を有するゲートスタック163を含むナノワイヤを有する1つのWIGFETの集合を具備し、別の集合は、別の仕事関数を有するゲートスタック163を含むナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。最大の仕事関数を有する集合はE‐WIGFETを形成し、それより低い仕事関数はD‐WIGFETを形成する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0032】
4.トランジスタのチャネルへのヘテロ構造バリアの追加
半導体のバンドギャップは、真性キャリア濃度を判定する。InAs及びInSbなどのバンドギャップが狭い材料の場合、このキャリア濃度は相当に高い。トランジスタのチャネルにヘテロ構造バリアを組み込むことにより、キャリア濃度は減少され、n型デバイスの場合、閾値電圧はより正のバイアスに移行される。この効果は図8に示される。図8は、ヘテロバリアセグメントの形態をとるヘテロ構造の導入がプレーナバックゲートInAs/InAsP FETにおける閾値電圧をどのように変化させるかを示す実験データを示す。左側の曲線はホモ構造InAs FETであり、右側の曲線はヘテロ構造InAs/InAsP FETである。ヘテロバリアを有する場合と有していない場合とでは、トランジスタの閾値電圧は異なり、補関数を実現するために、ヘテロバリアを有するトランジスタとヘテロバリアを有していないトランジスタとの組み合わせが使用されてもよい。ヘテロ構造を有するエピタキシャル成長ナノワイヤを形成する方法に関しては、米国特許出願公開第2004/0075464号明細書を参照されたい。
【0033】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、第1のヘテロ構造を具備するナノワイヤを有する1つのWIGFETの集合を具備し、別の集合は、異なる第2のヘテロ構造を有するナノワイヤを具備するか、あるいはヘテロ構造を有していないナノワイヤを具備する。ヘテロ構造は各ナノワイヤのゲート部分に配置される。これにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。大きなバリアを形成するヘテロ構造はE‐WIGFET特性を向上し、小さなバリアはD‐WIGFET特性を向上する。従って、デバイスのE‐WIGFETは、デバイスのD‐WIGFETより大きなバリアを形成するヘテロ構造を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。図9は、本発明に係る半導体デバイスを限定的でない一例として示す。図9において、第1のWIGFETの集合910は、ヘテロ構造908を具備し且つE‐WIGFETを形成するナノワイヤ907を有する。ヘテロ構造を有していないナノワイヤ912によって形成された第2の集合915に、D‐WIGFETが形成される。
【0034】
5.シェル層への不純物添加の追加
図10に概略的に示されるように、ナノワイヤチャネルのコアを形成するナノワイヤ105を取り囲むシェル層1010に不純物添加(n型又はp型)を追加することにより、閾値電圧が調整されてもよい。誘電体層1070はシェル層1010の外側にゲートコンタクトに隣接して形成されてもよい。図をわかりやすくするため、ドレインコンタクト及びソースコンタクトなどの本実施形態に無関係の部分は、図から省略されている。この不純物添加の追加は、トランジスタチャネルにおける電荷を追加又は補償してもよく、それにより、トランジスタの閾値電圧に影響を及ぼす。
【0035】
ナノワイヤチャネルのコアを取り囲むシェル層に不純物(n型又はp型)を追加することにより、閾値電圧が調整されてもよい。キャリアの量は、シェル層1010の厚さ及び不純物添加レベルにより判定される。通常、シェル層の厚さは2〜20nm程度であり、不純物添加レベルは1016cm−3〜1018cm−3程度である。この不純物添加の追加は、トランジスタチャネルにおける電荷を追加又は補償してもよく、それにより、トランジスタの閾値電圧に影響を及ぼす。シェルは、伝導帯の不連続性ΔEcによって、ゲートとトランジスタチャネルとの禁制帯の整合にも影響を及ぼすことがある。シェル材料組成の変更は、ゲート側及びチャネル側に異なる影響を与え、この差が閾値電圧に加わる。従って、シェル層の材料の設計は閾値電圧に影響を及ぼしてもよく、異なるシェルを有するラップゲートトランジスタを組み合わせることにより補関数が実現されてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、第1のコア/シェルへテロ構造を含むナノワイヤを具備する1つのWIGFETの集合と、異なるコア/シェルへテロ構造を具備する別の集合とを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0037】
6.チャネルの歪み調整
ナノワイヤ技術により、格子の不整合が激しい材料の成長が可能になり、その場合、歪みに対応するために半径方向歪み解放が使用される。バンドギャップが狭いナノワイヤに引っ張り歪みが加わると、ナノワイヤのバンドギャップが増加し、禁制帯構造は変化する。例えば、InAsにGaAs又はInPコア/シェルを追加することにより、半導体における伝導帯の位置が影響を受け、その結果、ゲート電極のフェルミ準位に対する整合が変化する場合があり、トランジスタの閾値電圧が変化する。
【0038】
デバイスの一実施形態によれば、1つのトランジスタの集合は、例えば歪みコア/シェルへテロ構造の成長によりチャネルに歪みが取り込まれているナノワイヤを具備し、別の集合は、例えば異なる歪みコア/シェル構造の成長によりチャネルに異なる歪みを有するナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。あるいは、集合のうち一方のみが歪みコア‐シェル構造を具備する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0039】
7.ゲートスタックにおける誘電体層の制御
閾値電圧において、ゲートとチャネルとの間の電位降下は、ゲート誘電体層における降下及び空乏ナノワイヤ半導体材料における降下により二分される。誘電体における電位降下は、誘電体層の厚さ及び材料の誘電率により判定される。異なるワイヤにおいて厚さ及び誘電率を変更することにより、閾値電圧が調整されてもよい。
【0040】
デバイスの一実施形態によれば、1つのトランジスタの集合は、1つの厚さ及び誘電率を有する誘電体層170をゲート領域107に具備するナノワイヤを具備し、別の集合は、異なる厚さ及び/又は誘電率を有する誘電体層170をゲート領域107に具備するナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。E‐WIGFETはD‐WIGFETより薄い誘電体層を有するか、又は誘電率が高い誘電体層を有する。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0041】
8.ナノワイヤ材料の変更
ナノワイヤ技術により、異なる基板の上にナノワイヤを成長させることが可能になるので、同一の基板上に異なる材料から成るナノワイヤを成長させてもよい。閾値電圧はフェルミ準位Efに関連し、ナノワイヤにおいて、フェルミ準位はナノワイヤの表面電位に関連する。材料が異なれば、表面電位も異なる。すなわち、フェルミ準位は、禁制帯構造内部のそれぞれ異なる位置で固定される。例えば、GaAs、InP及びSiは中間禁制帯に固定され、GaSbは価電子帯に近接して固定され、InAsは伝導帯に近接して固定される。異なる材料から成るナノワイヤを使用することにより、閾値電圧の異なるデバイスを形成できる。
【0042】
一実施形態の半導体デバイスによれば、1つのトランジスタの集合は、1つの材料から成るナノワイヤを具備し、別の集合は別の材料から成るナノワイヤを具備し、それにより、2つの集合は異なる閾値電圧を有する。E‐WIGFETを形成するトランジスタのナノワイヤは、D‐WIGFETのナノワイヤの材料より大きいバンドギャップを有する材料から製造される。異なる閾値電圧を有する2つのトランジスタの組み合わせが提供する効果を実現するために、デバイス中、それらの集合は組み合わせて使用される。
【0043】
便宜上、異なる閾値電圧、すなわち個別のトランジスタのエンハンスメント特性又はデプリーション特性を実現するために、ナノワイヤの集合の間でただ1つのパラメータ、例えば直径が変更されるものとして上記の実施形態は説明された。当業者には理解されるであろうが、半導体デバイスの設計を更に適応させるために、上記の実施形態を組み合わせることができる。例えば、個別の効果を向上するために、直径の変更と、不純物添加レベルが異なるコアシェルとの組み合わせが使用されてもよい。閾値レベルを変更するために、先に説明された方法(1〜8)のいずれか又はそれらの組み合わせを使用でき、デバイスに集積される集合の数には原則として制限はない。上述の教示を用いれば、当該技術において周知である方法を使用する当業者が、そのような組み合わせを考え且つ実施することは可能である。
【0044】
デバイスの例示的な実現形態として、一実施形態が図11に概略的に示される。デバイスは2つのナノワイヤの集合を具備し、一方の集合のナノワイヤWIGFETはn型1101であり、他方の集合のナノワイヤWIGFETはp型1102である。デバイスの閾値電圧を調整するために、先に説明された方法、例えば直径又は不純物添加レベルが使用される。ナノワイヤ105は、図示されるような3つのセグメントによって形成されてもよく、リード1105及びチャネル1170は、図3の下部n+セグメント111、上部n+セグメント113及び中間n−セグメント112に対応する異なる半導体材料により補填される。n型FETの場合、リード/チャネルヘテロ接合はI型又はII型であり、チャネル材料はリード材料に対して正の伝導帯オフセットを有する。リードはn型不純物を添加されており、チャネルはp型不純物を添加されている。チャネルにInAsPを使用し且つリードにInAsを使用するなど、チャネルのp型不純物添加をリードにおける不純物添加より有効に取り込むことができるようにチャネル材料は選択される。ヘテロ接合と不純物添加との組み合わせにより、不純物添加又はヘテロ接合を単独で採用した場合と比較して低い不純物添加レベル及び小さな伝導帯オフセットを使用して、ある特定の閾値電圧差を実現できる。不純物添加の極性を逆にし且つ負の価電子帯オフセットを有するリード/チャネルヘテロ接合オフセットを使用して、p型FETも同様にして構成できる。
【0045】
異なるナノワイヤの集合を具備するデバイスの更に別の実施形態によれば、全ての集合は、先に説明された方法によって実現される異なる閾値電圧を有する。少なくとも1つの集合は、その集合をデプリーション型トランジスタ(DWIGFET)にする閾値電圧を有し、少なくとも1つの別の集合は、エンハンスメント型トランジスタ(EWIGFET)として動作する。閾値電圧の差は、集合のうち1つにヘテロ構造を挿入することにより実現される。双方の型(エンハンスメント型及びデプリーション型)のトランジスタが得られれば、それらのトランジスタを組み合わせて、複雑な回路、例えば直接結合フィールドロジック回路を形成してもよい。
【0046】
本発明に係るEWIGFET及びDWIGFETを具備するのに適する基本デバイスは、1つのE‐WIGFET及び1つのD‐WIGFETを具備する図12に概略的に示されるインバータである。E‐WIGFET及びD‐WIGFETは、基板上に個別に形成されてもよく、あるいは同一のナノワイヤに交互に形成されてもよい。
【0047】
デバイスの基板に適する材料はSi、GaAs、GaP、GaP:Zn、GaAs、InAs、InP、GaN、Al2O3、SiC、Ge、GaSb、ZnO、InSb、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)、CdS、ZnSe、CdTeを含むが、それらに限定されない。ナノワイヤに適する材料は、GaAs(p)、InAs、Ge、ZnO、InN、GaInN、GaN、AlGaInN、BN、InP、InAsP、GaInP、InGaP:Si、InGaP:Zn、GaInAs、AlInP、GaAlInP、GaAlInAsP、GaInSb、InSb及びSiなどのIV族半導体、III‐V族半導体、II‐VI族半導体を含むが、それらに限定されない。尚、本発明に係る方法及びデバイスは、バンドギャップが大きいことを特徴とし且つ高電圧及び/又は高出力の用途に適するGaN、InN及びAlNなどの窒化物を利用するデバイスの製造に適する。商用として興味深い他の組み合わせはGaAs、GaInP、GaAlInP、GaP系を含むが、それらに限定されない。使用可能なドナードーパントはSi、Sn、Te、Se、Sなどであるが、それらには限定されず、アクセプタドーパントはZn、Fe、Mg、Be、Cdなどである。
【0048】
本発明の一実施形態に係る直径の異なるナノワイヤを具備する半導体デバイスを製造する方法は、
a)基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の大きさの触媒粒子を蒸着するか、又は所定の第1の直径の複数の開口部が所定の位置に形成された成長マスクを基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に配置することにより、基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の大きさの大きさ定義を規定する工程と、
b)基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の大きさの触媒粒子を蒸着するか、又は所定の第2の直径の複数の開口部が所定の位置に形成された成長マスクを基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に配置することにより、基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の大きさの大きさ定義を規定する工程と、
c)第1の大きさの触媒粒子及び第2の大きさの触媒粒子の双方から同時にナノワイヤを成長させるか、又は第1の直径の開口部及び第2の直径の開口部から同時にナノワイヤを成長させることにより、第1の閾値と関連する第1の直径を有する第1のナノワイヤの集合及び第2の閾値と関連する第2の直径を有する第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
d)第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含む。
【0049】
本発明の一実施形態に係る異なる特性を示すナノワイヤを具備する半導体デバイスを製造する方法は、
a)第1の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の特性を有するナノワイヤを成長させ、第1のナノワイヤの集合を形成する工程と、
b)第2の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の特性を有するナノワイヤを成長させ、第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
c)第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、第1のナノワイヤの集合及び第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含む。
【0050】
ナノワイヤの成長は、異方性成長を補助するために粒子が使用される選択エピタキシを含んでもよい。成長方法として、化学ビームエピタキシ又は異なる種類の気相エピタキシ法が採用されてもよい。金属粒子を規定するために、リソグラフィ法又は金属粒子蒸着が使用され、金属粒子の大きさはワイヤの直径を決定する。通常、標準偏差5%で、200nm以下の直径を製造できる。ワイヤは限定された場所でのみ成長し、この粒子補助成長モードにおいて、平面成長速度は無視できるほどの値である。半導体基板上にナノワイヤを成長させるのに適する方法は、米国特許出願公開第2003/010244号明細書に記載される。ヘテロ構造を有するエピタキシャル成長ナノワイヤを形成する方法に関しては、米国特許出願公開第2004/0075464号明細書を参照。これに代わる方法として、ナノワイヤを成長させるために選択エリアエピタキシ(SAE)を使用できる。
【0051】
以上、主にいくつかの実施形態を参照して本発明を説明した。しかし、当業者には容易に理解されるように、先に開示された実施形態以外の他の実施形態も、添付の請求の範囲により定義される本発明の範囲内で同等に可能である。
【0052】
【表1】
【0053】
歪みのない種々の半導体材料の室温移動度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの縦型ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(101、102)を含む半導体デバイスであって、
各トランジスタは、前記トランジスタのチャネルを含む塊状ナノワイヤ(105)含み、前記トランジスタのうちの1つのトランジスタの閾値電圧は、前記トランジスタのうちの他のトランジスタの閾値電圧と異なる、
こととを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記トランジスタは、それぞれ個別にアドレス指定可能な少なくとも2つの集合に分類され、前記少なくとも2つの集合のそれぞれは、同一の閾値電圧を有する複数のナノワイヤからなることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項3】
第1のトランジスタの集合(405)は、第1の閾値電圧を規定する第1の直径を各々が有する複数のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合(406)は、第2の閾値電圧を規定する第2の直径を各々が有する複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の集合(405)の前記ナノワイヤの直径は、前記第2の集合(406)の前記ナノワイヤの直径より小さいことを特徴とする請求項3記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1の集合の前記ナノワイヤの直径は20nm未満である請求項4記載の半導体デバイス。
【請求項6】
第1のトランジスタの集合は、第1の閾値電圧を規定する第1の不純物添加レベルを各々が有する複数のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の閾値電圧を規定する第2の不純物添加レベルを各々が有する複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の集合の前記ナノワイヤの不純物添加レベルは、前記第2の集合の前記ナノワイヤの不純物添加レベルより低いことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記不純物添加レベルは1016cm−3から1018cm−3の範囲内であることを特徴とする請求項7記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記トランジスタの各々は、前記ナノワイヤ(105)の一部を取り囲むゲートコンタクト(160)と、前記ゲートコンタクト(160)と前記ナノワイヤ(105)との間の誘電体層(170)とを含むゲートスタックを含み、
第1のトランジスタの集合は、第1の閾値電圧を規定する第1の仕事関数を示す第1のゲートスタックを各々が有する複数のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の閾値電圧を規定する第2の仕事関数を示す第2のゲートスタックを各々が有する複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1のゲートスタックは、前記第2のゲートスタックより大きい仕事関数を有することを特徴とする請求項9記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1のゲートスタックは第1の金属又は金属の組み合わせのゲートコンタクトを含み、前記第2のゲートスタックは第2の金属又は金属の組み合わせのゲートコンタクトを含み、前記第1の金属又は金属の組み合わせは、前記第2の金属又は金属の組み合わせより大きい仕事関数を有することを特徴とする請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1のゲートスタックは、第1の仕事関数を規定する第1の不純物添加レベルを有する不純物添加層を含み、前記第2のゲートスタックは、第2の仕事関数を規定し且つ前記第1の不純物添加層とは異なる第2の不純物添加層を有する不純物添加層を含むことを特徴とする請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記トランジスタは、前記ナノワイヤ(105)の一部を取り囲むゲートコンタクト(160)を含み、前記取り囲まれた部分は、ゲート領域(107)を規定し、
第1のトランジスタの集合は、第1の閾値電圧を規定する第1のヘテロ構造を前記ゲート領域(107)内に各々が有する複数のナノワイヤ(105)を含み、第2のトランジスタの集合は、第2の閾値電圧を規定するヘテロ構造を前記ゲート領域(107)内に各々が有するか又はヘテロ構造を有さない複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1のトランジスタの集合の前記ナノワイヤにおける前記へテロ構造は、前記第2のトランジスタの集合の前記ナノワイヤにおける前記へテロ構造より大きいバリアを形成することを特徴とする請求項13記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記ナノワイヤ(105)は少なくとも部分的に不純物添加シェル層(1010)により取り囲まれ、第1のトランジスタの集合の各トランジスタは、第1の閾値電圧を規定するように前記取り囲まれたナノワイヤに対して第1のキャリア濃度を規定する第1のシェル層(107)を含み、第2のトランジスタの集合の各トランジスタは、第2の閾値電圧を規定するように前記取り囲まれたナノワイヤに対して前記第1のキャリア濃度とは異なる第2のキャリア濃度を規定する第2のシェル層(107)を含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記第1の不純物添加シェル層及び前記第2の不純物添加シェル層は厚さが異なることを特徴とする請求項15記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記第1の不純物添加シェル層及び前記第2の不純物添加シェル層は不純物添加レベルが異なることを特徴とする請求項15記載の半導体デバイス。
【請求項18】
第1のトランジスタの集合の各トランジスタは、第1の閾値電圧を規定するように前記ナノワイヤに第1の歪みを発生する構造に従って配列され、第2のトランジスタの集合の各トランジスタは、第2の閾値電圧を規定するように前記ナノワイヤに第2の歪みを発生する構造に従って配列されることを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記第1の集合の前記トランジスタは第1のコア/シェル構造を有し、前記第2の集合の前記トランジスタは異なるコア/シェル構造を有することを特徴とする請求項18記載の半導体デバイス。
【請求項20】
各トランジスタは、前記ナノワイヤ(105)の一部を取り囲むゲートコンタクト(160)と、前記ゲートコンタクト(160)と前記ナノワイヤ(105)との間の誘電体層(170)とを含むゲートスタックを含み、
第1のトランジスタの集合は、第1の誘電体層を有する第1のゲートスタックを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の誘電体層を有する第2のゲートスタックを含み、前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は厚さ又は誘電率が異なることを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の誘電体層は、前記第2の誘電体層より薄いか又は前記第2の誘電体層の誘電率より高い誘電率を有することを特徴とする請求項20記載の半導体デバイス。
【請求項22】
第1のトランジスタの集合は、第1の材料のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の材料のナノワイヤを含み、前記材料のバンドギャップはそれぞれ異なることを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項23】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の材料は前記第2の材料より大きいバンドギャップを有する請求項22記載の半導体デバイス。
【請求項24】
異なる閾値電圧を有する前記トランジスタは同一のナノワイヤに形成される請求項1乃至23のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項25】
異なる閾値電圧を有する前記トランジスタは1回の成長ランの間に形成されることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項26】
前記トランジスタはn型及びp型の双方である請求項1乃至25のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
前記トランジスタはn型及びp型の双方である請求項1乃至25のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
複数のナノワイヤを具備する半導体デバイスを製造する方法であって、
第1の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の特性を有する複数のナノワイヤを成長させ、第1のトランジスタの集合を形成する工程と、
第2の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の特性を有する複数のナノワイヤを成長させ、第2のトランジスタの集合を形成する工程と、
前記第1のトランジスタの集合及び前記第2のトランジスタの集合が個別にアドレス指定可能であるように、前記第1のトランジスタの集合及び前記第2のトランジスタの集合を接触させる工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記ナノワイヤの集合は第1の閾値及び第2の閾値を特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の大きさの触媒粒子を蒸着する工程と、
前記基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の大きさの触媒粒子を蒸着する工程と、
前記第1の触媒粒子及び前記第2の触媒粒子の双方から同時にナノワイヤを成長させ、それにより、第1の閾値に関連する第1の直径を有する第1のナノワイヤの集合及び第2の閾値に関連する第2の直径を有する第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の直径の複数の開口部を有する成長マスクを配置する工程と、
前記基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の直径の複数の開口部を有する成長マスクを配置する工程と、
前記第1の直径の開口部及び前記第2の直径の開口部の双方から同時にナノワイヤを成長させ、それにより、第1の閾値に関連する第1の直径を有する第1のナノワイヤの集合及び第2の閾値に関連する第2の直径を有する第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項1】
少なくとも2つの縦型ナノワイヤラップ絶縁ゲート電界効果トランジスタ(101、102)を含む半導体デバイスであって、
各トランジスタは、前記トランジスタのチャネルを含む塊状ナノワイヤ(105)含み、前記トランジスタのうちの1つのトランジスタの閾値電圧は、前記トランジスタのうちの他のトランジスタの閾値電圧と異なる、
こととを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記トランジスタは、それぞれ個別にアドレス指定可能な少なくとも2つの集合に分類され、前記少なくとも2つの集合のそれぞれは、同一の閾値電圧を有する複数のナノワイヤからなることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項3】
第1のトランジスタの集合(405)は、第1の閾値電圧を規定する第1の直径を各々が有する複数のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合(406)は、第2の閾値電圧を規定する第2の直径を各々が有する複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の集合(405)の前記ナノワイヤの直径は、前記第2の集合(406)の前記ナノワイヤの直径より小さいことを特徴とする請求項3記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1の集合の前記ナノワイヤの直径は20nm未満である請求項4記載の半導体デバイス。
【請求項6】
第1のトランジスタの集合は、第1の閾値電圧を規定する第1の不純物添加レベルを各々が有する複数のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の閾値電圧を規定する第2の不純物添加レベルを各々が有する複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の集合の前記ナノワイヤの不純物添加レベルは、前記第2の集合の前記ナノワイヤの不純物添加レベルより低いことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記不純物添加レベルは1016cm−3から1018cm−3の範囲内であることを特徴とする請求項7記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記トランジスタの各々は、前記ナノワイヤ(105)の一部を取り囲むゲートコンタクト(160)と、前記ゲートコンタクト(160)と前記ナノワイヤ(105)との間の誘電体層(170)とを含むゲートスタックを含み、
第1のトランジスタの集合は、第1の閾値電圧を規定する第1の仕事関数を示す第1のゲートスタックを各々が有する複数のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の閾値電圧を規定する第2の仕事関数を示す第2のゲートスタックを各々が有する複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1のゲートスタックは、前記第2のゲートスタックより大きい仕事関数を有することを特徴とする請求項9記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1のゲートスタックは第1の金属又は金属の組み合わせのゲートコンタクトを含み、前記第2のゲートスタックは第2の金属又は金属の組み合わせのゲートコンタクトを含み、前記第1の金属又は金属の組み合わせは、前記第2の金属又は金属の組み合わせより大きい仕事関数を有することを特徴とする請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1のゲートスタックは、第1の仕事関数を規定する第1の不純物添加レベルを有する不純物添加層を含み、前記第2のゲートスタックは、第2の仕事関数を規定し且つ前記第1の不純物添加層とは異なる第2の不純物添加層を有する不純物添加層を含むことを特徴とする請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記トランジスタは、前記ナノワイヤ(105)の一部を取り囲むゲートコンタクト(160)を含み、前記取り囲まれた部分は、ゲート領域(107)を規定し、
第1のトランジスタの集合は、第1の閾値電圧を規定する第1のヘテロ構造を前記ゲート領域(107)内に各々が有する複数のナノワイヤ(105)を含み、第2のトランジスタの集合は、第2の閾値電圧を規定するヘテロ構造を前記ゲート領域(107)内に各々が有するか又はヘテロ構造を有さない複数のナノワイヤを含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1のトランジスタの集合の前記ナノワイヤにおける前記へテロ構造は、前記第2のトランジスタの集合の前記ナノワイヤにおける前記へテロ構造より大きいバリアを形成することを特徴とする請求項13記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記ナノワイヤ(105)は少なくとも部分的に不純物添加シェル層(1010)により取り囲まれ、第1のトランジスタの集合の各トランジスタは、第1の閾値電圧を規定するように前記取り囲まれたナノワイヤに対して第1のキャリア濃度を規定する第1のシェル層(107)を含み、第2のトランジスタの集合の各トランジスタは、第2の閾値電圧を規定するように前記取り囲まれたナノワイヤに対して前記第1のキャリア濃度とは異なる第2のキャリア濃度を規定する第2のシェル層(107)を含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記第1の不純物添加シェル層及び前記第2の不純物添加シェル層は厚さが異なることを特徴とする請求項15記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記第1の不純物添加シェル層及び前記第2の不純物添加シェル層は不純物添加レベルが異なることを特徴とする請求項15記載の半導体デバイス。
【請求項18】
第1のトランジスタの集合の各トランジスタは、第1の閾値電圧を規定するように前記ナノワイヤに第1の歪みを発生する構造に従って配列され、第2のトランジスタの集合の各トランジスタは、第2の閾値電圧を規定するように前記ナノワイヤに第2の歪みを発生する構造に従って配列されることを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記第1の集合の前記トランジスタは第1のコア/シェル構造を有し、前記第2の集合の前記トランジスタは異なるコア/シェル構造を有することを特徴とする請求項18記載の半導体デバイス。
【請求項20】
各トランジスタは、前記ナノワイヤ(105)の一部を取り囲むゲートコンタクト(160)と、前記ゲートコンタクト(160)と前記ナノワイヤ(105)との間の誘電体層(170)とを含むゲートスタックを含み、
第1のトランジスタの集合は、第1の誘電体層を有する第1のゲートスタックを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の誘電体層を有する第2のゲートスタックを含み、前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層は厚さ又は誘電率が異なることを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の誘電体層は、前記第2の誘電体層より薄いか又は前記第2の誘電体層の誘電率より高い誘電率を有することを特徴とする請求項20記載の半導体デバイス。
【請求項22】
第1のトランジスタの集合は、第1の材料のナノワイヤを含み、第2のトランジスタの集合は、第2の材料のナノワイヤを含み、前記材料のバンドギャップはそれぞれ異なることを特徴とする請求項2記載の半導体デバイス。
【請求項23】
前記第1のトランジスタの集合はエンハンスメント型であり、前記第2のトランジスタの集合はデプリーション型であり、前記第1の材料は前記第2の材料より大きいバンドギャップを有する請求項22記載の半導体デバイス。
【請求項24】
異なる閾値電圧を有する前記トランジスタは同一のナノワイヤに形成される請求項1乃至23のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項25】
異なる閾値電圧を有する前記トランジスタは1回の成長ランの間に形成されることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項26】
前記トランジスタはn型及びp型の双方である請求項1乃至25のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
前記トランジスタはn型及びp型の双方である請求項1乃至25のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
複数のナノワイヤを具備する半導体デバイスを製造する方法であって、
第1の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の特性を有する複数のナノワイヤを成長させ、第1のトランジスタの集合を形成する工程と、
第2の成長ランにおいて、基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の特性を有する複数のナノワイヤを成長させ、第2のトランジスタの集合を形成する工程と、
前記第1のトランジスタの集合及び前記第2のトランジスタの集合が個別にアドレス指定可能であるように、前記第1のトランジスタの集合及び前記第2のトランジスタの集合を接触させる工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記ナノワイヤの集合は第1の閾値及び第2の閾値を特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の大きさの触媒粒子を蒸着する工程と、
前記基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の大きさの触媒粒子を蒸着する工程と、
前記第1の触媒粒子及び前記第2の触媒粒子の双方から同時にナノワイヤを成長させ、それにより、第1の閾値に関連する第1の直径を有する第1のナノワイヤの集合及び第2の閾値に関連する第2の直径を有する第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
基板の少なくとも1つの第1の限定された領域に第1の直径の複数の開口部を有する成長マスクを配置する工程と、
前記基板の少なくとも1つの第2の限定された領域に第2の直径の複数の開口部を有する成長マスクを配置する工程と、
前記第1の直径の開口部及び前記第2の直径の開口部の双方から同時にナノワイヤを成長させ、それにより、第1の閾値に関連する第1の直径を有する第1のナノワイヤの集合及び第2の閾値に関連する第2の直径を有する第2のナノワイヤの集合を形成する工程と、
前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合が個別にアドレス指定可能であるように、前記第1のナノワイヤの集合及び前記第2のナノワイヤの集合を接触させる工程とを含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図8】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−503981(P2010−503981A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527847(P2009−527847)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059914
【国際公開番号】WO2008/034850
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(506177590)クナノ アーベー (15)
【氏名又は名称原語表記】QuNano AB
【住所又は居所原語表記】Ideon Park,SE−223 70 Lund,Sweden
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059914
【国際公開番号】WO2008/034850
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(506177590)クナノ アーベー (15)
【氏名又は名称原語表記】QuNano AB
【住所又は居所原語表記】Ideon Park,SE−223 70 Lund,Sweden
【Fターム(参考)】
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