説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションシステム及び渋滞情報案内プログラム

【課題】渋滞に巻き込まれたときに、同じ渋滞にいる他の車両からその車両情報を収集することでより詳細な渋滞情報をドライバーに提供する。
【解決手段】同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するナビゲーション装置である。このナビゲーション装置は、撮影手段により得られた画像を解析した後に、撮影開始指示の有無を検出する。そして撮影開始指示がある場合には前方の車両を撮影して画像を取得してから、取得した画像の車両部分を識別させた後に、全画像中における車両部分の割合を算出し、算出結果を基に案内出力手段を制御する。この際、算出した割合が所定割合以上である場合には自車の前方が混雑していると判断した後、前方の他車の外部装置に対して他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させて、前方の他車の外部装置から入力された混雑情報を基に渋滞情報を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションシステム及び渋滞情報案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、快適なドライブを楽しむ装置としてナビゲーション装置が普及している。このナビゲーション装置の基本的な機能は、目的地までの経路を検索、表示し、それをドライバーに通知することで運転の補助を行うことだが、近年においては、案内音声に録音した肉声を用いたり、音声認識の機能を組み込んで、ドライバーからの音声入力に反応したり、またそれらの案内を行う際に、予め用意されたキャラクタの画像を画面上に表示したりするナビゲーション装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1記載のナビゲーション装置では、車両に取り付けた各種センサからの検出結果を基に特定状況(渋滞、高速道路走行、路面凍結等)の可能性があるか否かについて初期判断を行った後に、その特定状況が実際発生しているかどうかをドライバーに確認することで最終判断を下すようになっている。
【0003】
上記したことで特定状況の1つである渋滞の有無をも確実に検出できるが、これだけでは渋滞の混み具合までは判断できないので、VICSセンターから送信された道路交通情報を基にすることで渋滞の長さや、渋滞を抜けるまでの予測所要時間を予測できるようになっている。
【特許文献1】特開2000−221049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、VICSセンターから受け取る道路交通情報は、各地から収集した情報をVICSセンターで編集・処理した後に送信されているために、どうしても時間的な誤差が生じ、ナビゲーション装置が道路交通情報を入手した時点では実際の状況は多少なりとも変化していることがある。また、取得した渋滞の長さや予測所要時間も、入手した道路交通情報から計算によって求められた値であるため、実際の渋滞の長さや所要時間とは異なるという問題もあった。そのため、ドライバーにとっては実際には自分が渋滞のどの辺りにいるのか、また渋滞を抜けるまで残りどのくらいかかるのかなどが正確には判断できなかった。
【0005】
そこで本発明の課題は、渋滞に巻き込まれたときに、同じ渋滞にいる他の車両からその車両情報を収集することでより詳細な渋滞情報をドライバーに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するナビゲーション装置であって、
同一車線上の他車に搭載されて位置情報、混雑情報を出力自在な外部装置と通信する通信手段と、
渋滞案内を出力する案内出力手段と、
前方の他車を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分を識別する画像解析手段と、
前記撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出結果を基に案内出力手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、
算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のナビゲーション装置において、
自車の速度を検出する速度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断してから、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
現在地を検出する現在地検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記後方の他車の前記外部装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力し、
他方、算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、前記自車が渋滞の先頭であると判断して、前記現在地検出手段の検出結果を含む先頭情報を前記通信手段を制御して、後方の他車の前記外部装置に出力させることを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記後方の他車の前記外部装置からの前記混雑情報送信指示の入力に基づいて、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力することを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記前方の他車の前記外部装置から前記先頭情報が入力されると、予め前記混雑情報送信指示信号を受信している場合には前記通信手段を制御して前記先頭情報を前記後方の他車の前記外部装置に出力して、
他方、予め前記混雑情報送信指示信号を受信していない場合には前記先頭情報を前記混雑情報として、当該混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の発明は、
同一車線上の他車に搭載されて位置情報、混雑情報を出力自在な外部装置と通信する通信手段と、渋滞案内を出力する案内出力手段と、前方の他車を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分及び背景部分に分割する画像解析手段とを用いることにより、同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するナビゲーション方法であって、
前記撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出した結果に基づいて案内する案内工程と、
を有することを特徴としている。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のナビゲーション方法において、
前記第1算出工程で算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、前記通信手段により、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させる第1出力工程を有し、
前記案内工程は、前記第1出力工程で前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に、案内出力手段により渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載のナビゲーション方法において、
自車の速度を検出する速度検出手段を更に備え、
前記第1出力工程は、前記第1算出工程で算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断してから、前記通信手段によって前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力させることを特徴としている。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のナビゲーション方法において、
前記後方の他車の前記外部装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第2算出工程と、
前記第2算出工程で算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段によって前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力する第2出力工程と、
前記第2算出工程で算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、前記自車が渋滞の先頭であると判断して、現在地を検出する現在地検出手段の検出結果を含む先頭情報を前記通信手段によって、後方の他車の前記外部装置に出力させる第3出力工程とを有することを特徴としている。
【0016】
請求項11記載の発明は、請求項10記載のナビゲーション方法において、
前記第3出力工程は、前記後方の他車の前記外部装置からの前記混雑情報送信指示の入力に基づいて、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段によって前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力することを特徴としている。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項10又は11記載のナビゲーション方法において、
前記前方の他車の前記外部装置から前記先頭情報が入力されると、予め前記混雑情報送信指示信号を受信している場合には前記通信手段によって前記先頭情報を前記後方の他車の前記外部装置に出力する第4出力工程を有し、
予め前記混雑情報送信指示信号を受信していない場合には、前記案内工程に移行して、前記先頭情報を前記混雑情報として、当該混雑情報を基に案内出力手段により渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0018】
請求項13記載の発明は、
渋滞情報を案内するために混雑情報の送信を指示する混雑情報送信指示信号を出力する一のナビゲーション装置と、前記混雑情報送信指示信号を受信して混雑情報を前記一のナビゲーション装置に出力する他のナビゲーション装置からなり、同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するためのナビゲーションシステムであって、
前記一のナビゲーション装置は、
前記他のナビゲーション装置と通信する通信手段と、
渋滞案内を出力する案内出力手段と、
前方の他車を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分を識別する画像解析手段と、
前記撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出結果を基に案内出力手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記ナビゲーション装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記ナビゲーション装置から入力された前記混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内し、
前記他のナビゲーション装置は、
渋滞案内を出力する他の案内出力手段と、
前記通信手段と通信する他の通信手段と、
前方の他車を撮影する他の撮影手段と、
前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分を識別する他の画像解析手段と、
前記他の撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記他の画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出結果を基に前記他の案内出力手段を制御する他の制御手段とを備え、
前記他の制御手段は、前記混雑情報送信指示信号を受信したとき、対応する混雑情報を前記他の通信手段を制御して前記一のナビゲーション装置に送信する、
ことを特徴としている。
【0019】
請求項14記載の発明は、請求項13記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記一のナビゲーション装置は、
自車の速度を検出する速度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断してから、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記他のナビゲーション装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記他の前記ナビゲーション装置から入力された前記混雑情報を基に前記案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0020】
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記他のナビゲーション装置は、現在地を検出する現在地検出手段を更に備え、
前記他の制御手段は、前記後方の前記一のナビゲーション装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記他の撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記他の画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記他の前記通信手段を制御することで、前記前方の他のナビゲーション装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力し、
他方、算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、当該他のナビゲーション装置を搭載する車両が渋滞の先頭であると判断して、前記現在地検出手段の検出結果を含む先頭情報を前記通信手段を制御して、後方の前記一のナビゲーション装置に出力させることを特徴としている。
【0021】
請求項16記載の発明は、請求項15記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記制御手段は、前記前方の他の前記ナビゲーション装置から前記先頭情報が入力されると、予め前記混雑情報送信指示信号を受信している場合には前記通信手段を制御して前記先頭情報を前記後方の他の前記ナビゲーション装置に出力して、
他方、予め前記混雑情報送信指示信号を受信していない場合には前記先頭情報を前記混雑情報として、当該混雑情報を基に前記案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴としている。
【0022】
請求項17記載の発明は、
同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するための渋滞情報案内プログラムであって、
撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段により前方の車両を撮影して画像を取得してから、前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップで算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、通信手段により、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させる第1出力ステップと、
前記第1出力ステップで前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に、案内出力手段により渋滞情報を案内する案内ステップとを有することを特徴としている。
【0023】
請求項18記載の発明は、請求項17記載の渋滞情報案内プログラムにおいて、
前記後方の他車の前記外部装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記撮影手段により前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第2算出ステップと、
前記第2算出ステップで算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段により前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力する第2出力ステップと、
前記第2算出ステップで算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、前記自車が渋滞の先頭であると判断して、自車の現在地を含む先頭情報を前記通信手段により、後方の他車の前記外部装置に出力させる第3出力ステップ工程とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、撮影手段により得られた前方の画像を解析して全画像中における車両部分の割合を算出し、当該算出結果を基に案内出力手段を制御するので、この画像によって自車両よりも前方の状況を把握することが可能となる。前方の車両を撮影して得られた画像中の車両部分の割合が所定割合以上であると、前方車両との車間距離が狭まっていることが想定されるために自車の前方が混雑していると判断されることになり、前方の他車の外部装置に対して混雑情報送信指示信号が出力される。このように混雑情報送信指示信号を受信したことにより他車の外部装置が自車のナビゲーション装置に混雑情報を送信すると、自車のナビゲーション装置の案内出力手段は、入力された混雑情報を基にして渋滞情報を案内する。つまり渋滞に巻き込まれると、同じ渋滞にいる他車の外部装置からその車両情報(位置情報や混雑情報)を収集し、解析することで、他車の現在状況を考慮することができ、結果としてより詳細な渋滞情報をドライバーに提供することができる。
【0025】
また、例えば画像における車両部分の割合が所定割合未満であっても自車が低速走行であれば渋滞に巻き込まれている場合も考えられる。このため、車両部分の割合が所定割合未満である場合であっても自車の速度が所定値未満であると、車の前方が混雑していると判断していれば、渋滞に巻き込まれていることがより正確に判断されることになる。
【0026】
そして、自車が渋滞の先頭であると判断した場合には、後方の他車の外部装置に先頭情報が出力されるので、他車の外部装置に自車が先頭である旨を伝達することができる。一方、自車の前方が混雑していると判断した場合には、前方の他車の外部装置に対して混雑情報送信指示信号が更に出力されるので、前方の他車が先頭であるか否かを認識することが可能となる。つまり、これらを繰り返すことで渋滞の先頭車両を認識することが可能となる。
【0027】
そして、前方の他車の外部装置から先頭情報が入力されると、自車のナビゲーション装置が予め混雑情報送信指示信号を受信していた場合には先頭情報を後方の他車の外部装置に出力し、予め混雑情報送信指示信号を受信していない場合には先頭情報を混雑情報として、当該混雑情報を基に渋滞情報を案内するので、先頭情報を確実に案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
まず、本実施形態のナビゲーションシステムに備えられる複数のナビゲーション装置について図1を参照にして説明する。これら複数のナビゲーション装置は、同一車線に並んだ車の位置情報や渋滞情報を案内するため互いに通信可能となっている。また、ナビゲーション装置は、例えば車に搭載されるカーナビゲーション装置や、ナビゲーション機能を有する携帯機器(例えば携帯電話、PDA等)であるが、以下の説明においてはカーナビゲーション装置を例にして説明する。
【0029】
図1はカーナビゲーション装置1の主制御構成を表すブロック図である。この図1に示すようにカーナビゲーション装置1には、外部装置と通信する本発明の通信手段としての通信部2と、地図データを記憶する地図データ用記憶部3と、目的地情報を記憶する目的地用記憶部4と、走行履歴を記憶する走行履歴用記憶部5と、現在地を検出する本発明の現在地検出手段としての現在地検出部6と、各種指示入力される入力部7と、車両の速度を検出する本発明の速度検出手段としての速度検出部8と、前方の他車を撮影する本発明の撮影手段としての撮影部9と、撮影部9の撮影により得られた画像を解析して、車両部分を識別する本発明の画像解析手段としての画像解析部10と、通信部2により収集した情報等を記憶する収集情報用記憶部11と、目的地までの経路案内が出力される本発明の案内出力手段としての案内出力部12とが設けられている。
【0030】
通信部2の通信方式としては、走行中に他車両のカーナビゲーション装置と通信できる方式であれば如何なる通信方式であってもよく、例えば無線LAN、DSRC、赤外線通信方式等が挙げられる。通信部2には、他車からの渋滞情報や位置情報、VICSセンターからの道路交通情報等が受信されるようになっている。
現在地検出部6は、例えばGPS等の位置検出システムであり、走行時における検出結果を走行履歴として走行履歴用記憶部5に出力している。
【0031】
走行履歴用記憶部5は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成されていて、現在地検出部6の検出結果を基にした自車両の走行履歴を記憶するようになっている。
一方、地図データ用記憶部3や、目的地用記憶部4は、例えばハードディスクドライブや、CD、DVD等から構成されている。
【0032】
入力部7は、各種指示が入力される例えばタッチパネルや、リモートコントローラ、各種スイッチ等から構成されている。入力部7に入力される各種指示には、目的地の設定や、他車からの渋滞情報を収集するための通信部2に対する通信開始指示等が含まれている。
【0033】
速度検出部8は、車両の時速を検出するものであり、車両自体に搭載されている速度検出部に接続されていて、当該速度検出部の検出結果を基に車両の時速を検出する。
【0034】
撮影部9は、例えばCCDカメラ等であり、撮影した画像をデジタルデータとして画像解析部10に出力するようになっている。
画像解析部10は、撮影部9から得た画像データに対して画像処理を施すことで、全画像中の車両部分と背景部分とを識別するようになっている。
収集情報用記憶部11は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成されていて、通信部2からの情報や、制御プログラム実行時における各種データを記憶するようになっている。
【0035】
案内出力部12には、地図や経路、目的地情報等の画像が表示される表示部13と、音声データを基に案内音声を作成する音声処理部14と、音声処理部14で作成された案内音声を出力する音声出力部15とが設けられている。
【0036】
そして、カーナビゲーション装置1には、入力部7から入力された各種指示に基づいて、通信部2、地図データ用記憶部3、目的地用記憶部4、走行履歴用記憶部5、現在地検出部6、速度検出部8、撮影部9、画像解析部10、収集情報用記憶部11及び案内出力部12を制御プログラム(渋滞情報案内プログラム)に基づいて制御する本発明に係り制御手段としての制御部16が設けられている。
【0037】
制御プログラムに基づいて制御部16は、現在地検出部6で取得した現在地から、入力部7により設定された目的地までの経路を地図データ用記憶部3中の地図データを基に検索して、当該検索経路に基づいて案内出力部12を制御することで検索経路を案内するようになっている。具体的には、制御部16は、地図データ及び検索経路を基にして表示部13を制御することで、検索経路が強調された地図画像を表示部13上に表示させる。
【0038】
そして、制御部16は、撮影部9に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には撮影部9を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、画像解析部10を制御して取得した画像の車両部分を識別させた後に、全画像中における車両部分の割合を算出し、算出結果を基に案内出力部12を制御する。例えば、図2は渋滞時に撮影された画像例を表していて、図3は通常走行時に撮影された画像例を表している。図2及び図3を比較すると全画像中における車両部分(点線P内)の割合は図2の方が大きくなることが分かる。つまり、渋滞時においては車両部分の割合が大きくなるために、この車両部分の割合を渋滞判断の基準としている。
【0039】
具体的に制御部16は、算出した割合が所定割合(渋滞と判断するための割合であり、例えば通常走行時における平均的な割合間隔よりも大きい割合)以上である場合には自車の前方が混雑していると判断した後、通信部2を制御することで、前方の他車の外部装置に対して混雑情報送信指示信号を出力させる。ここで、混雑情報送信指示信号とは、他車の前方における混雑情報を出力させるための信号であり、他車の外部装置はこの混雑情報指示信号を受信すると、自身前方の混雑情報をカーナビゲーション装置1の通信部2に出力するようになっている。混雑情報とは、自車前方の混雑具合を表すものであり、例えば自車が渋滞の先頭である場合における自車の位置情報や、自車前方の車両から取得した渋滞先頭車両の位置情報などが挙げられる。そして、制御部16は、前方の他車の外部装置から入力された混雑情報を基に案内出力部12を制御して渋滞情報を案内するようになっている。混雑情報送信指示信号は、数台先の車両に搭載されたナビゲーション装置に対して送信してもよい。また、混雑情報送信指示信号の送信先を特定せず、これを受信した側で処理するか否かを決定するようにしてもよい。この場合、混雑情報送信指示信号には、送信元のナビゲーション装置が位置している道路の情報、位置情報及び進行方向情報がふかされて送信される。混雑情報送信指示信号を受信したナビゲーション装置は、受信した混雑情報送信指示信号中の道路の情報、位置情報及び進行方向情報を解析して、処理を行うか否かを決定する。具体的には、走行している道路及び進行方向が同じであり、位置情報から混雑情報送信指示信号を送信したナビゲーション装置が後方に位置している、という条件に合致する場合に、本発明の処理を実行して混雑情報を送信する。このとき、どの混雑情報送信指示信号に対応する混雑情報かを示す信号を付加してもよい。
本実施形態では、ナビゲーション装置から前方にあるナビゲーション装置に混雑情報送信指示信号が送信され、混雑情報送信指示信号を受信したナビゲーション装置が混雑情報を返信することを前提に説明するが、送信先を定めずに、混雑情報送信指示信号を受信したナビゲーション装置が当該混雑情報送信指示信号を処理するか否かを決定するようにしてもよいものとする。
【0040】
また、制御部16は、後方の他車の外部装置から混雑情報送信指示信号が入力されると、撮影部9を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、画像解析部10を制御して取得した画像の車両部分を識別させた後に、全画像中における車両部分の割合を算出する。そして、制御部16は、算出した割合が所定割合以上である場合には、自車の前方が混雑していると判断して、通信部2を制御することで、前方の他車の外部装置に対して混雑情報送信指示信号を出力する。他方、算出した割合が所定割合未満である場合には、自車が渋滞の先頭であると判断して、現在地検出部6の検出結果を含む先頭情報を通信部2を制御して、後方の他車の外部装置に出力させる。これにより、渋滞の先頭車両の現在地を外部装置に認識させることができる。
【0041】
ここで、自車の前方が混雑していると判断する際の判断条件としては、上記した車両部分の割合以外にも、速度検出部8の検出速度を条件としてもよい。具体的に制御部16は、算出した割合が所定割合未満である場合であっても速度検出部8の検出速度が所定値(渋滞と判断するための速度値であり、例えば、各道路における渋滞時における平均速度値程度)未満であると、自車の前方が混雑していると判断する。これにより、渋滞に巻き込まれたか否かをより正確に判断することができる。
【0042】
そして、制御部16は、前方の他車の外部装置から先頭情報が入力されると、予め混雑情報送信指示信号を受信している場合には通信部2を制御して先頭情報を後方の他車の外部装置に出力する。他方、制御部16は、予め混雑情報送信指示信号を受信していない場合には先頭情報を混雑情報として、当該混雑情報を基に案内出力部12を制御して渋滞情報を案内する。
【0043】
次に、本実施形態の処理について図4,5を参照に説明する。
なお、以下の説明においては、同一車線上に並んだ車両の各カーナビゲーション装置が、他車両及び自車両ともに本実施形態のカーナビゲーション装置1である場合を例示して説明する。なお、自車が渋滞情報を要求した場合における自車要求プログラムと、他車から渋滞情報が要求された場合における他車要求プログラムにおける処理とを別個に説明する。図4は自車要求プログラムのフローチャート、図5は他車要求プログラムに対応するフローチャートである。
【0044】
まず、自車が渋滞情報を要求した場合における処理について図4を参照に説明する。この場合、自車に搭載されるカーナビゲーション装置1が本発明に係る一のナビゲーション装置となる。この図4に示すように、制御部16は、自車要求プログラムを実行すると、撮影部9に対する撮影開始指示の有無を検出している(ステップS1)。ない場合には、制御部16はそのままの状態で待機している。その後、ドライバーが渋滞に巻き込まれたと認識したことにより、カーナビゲーション装置1の入力部7に撮影開始指示が入力されると、制御部16は、撮影開始指示が有ることを判断してステップS2に移行する。
【0045】
ステップS2では、制御部16は、撮影部9を制御して自車前方の他車を撮影して画像データを取得する。その後、制御部16は、画像解析部10を制御して、画像データを画像処理させることで撮影画像中の車両部分と背景部分とを識別させる(ステップS3)。そして、制御部16は、画像解析部10の解析結果を基に全画像における車両部分の割合を算出し、収集情報用記憶部11に記憶させる(ステップS4)。
【0046】
そして、制御部16は、ステップS4で算出した割合を収集情報用記憶部11から読み出して当該割合が所定割合以上であるか否かを判定し(ステップS5)、所定割合以上である場合には自車の前方が混雑していると判断する(ステップS6)。
その後、制御部16は、通信部2を制御して前方の他車のカーナビゲーション装置1に混雑情報送信指示信号を出力させる(ステップS7)。
そして、ステップS8においては、制御部16は、前方の他車以前の車両の先頭情報が当該他車から送信されて受信するまでその状態で待機していて、受信するとステップS12に移行する
【0047】
ステップS5で、所定割合未満であると判断した場合には、制御部16は速度検出部8によっての現在速度を検出し(ステップS9)、当該現在速度が所定値未満であるか否かを判断して(ステップS10)、所定値未満であると判断した場合にはステップS6に移行する。
【0048】
ステップS10で所定値以上であると判断した場合には制御部16は、自車が渋滞の先頭であると判断して、自車に係る先頭情報を作成する(ステップS11)。
ステップS12では、制御部16は、予め混雑情報送信指示信号を受信していたか否かを判断し、受信していない場合には作成した先頭情報若しくは前方の他車以前の車両の先頭情報を基に案内出力部12を制御して渋滞情報を案内する(ステップS13)。ここで、前方の他車以前の車両の先頭情報を基に案内出力部12を制御する場合には、当該先頭情報と自車の位置情報を基にすることで、自車と渋滞先頭車両との距離差が算出できる。この距離差を渋滞時における平均速度で除算すれば渋滞から抜け出すまでの時間を認識することができる。制御部16は、案内出力部12を制御して渋滞先頭までの距離や脱出時間を案内させるのである。
一方、ステップS12で、混雑情報送信指示信号を受信していると判断した場合には、制御部16は、作成した先頭情報若しくは前方の他車以前の車両の先頭情報を通信部2を制御して後方の他車に出力する(ステップS14)。
【0049】
次に、他車から渋滞情報が要求された場合の処理について図5を参照に説明する。この場合、自車に搭載されるカーナビゲーション装置1が本発明に係る他のナビゲーション装置となる。この図5に示すように、後方の他車から図4のステップS7で送信された混雑情報送信指示信号を受信すると(ステップS21)、制御部16は撮影部9を制御して自車前方の他車を撮影して画像データを取得する(ステップS22)。その後、制御部16は、画像解析部10を制御して、画像データを画像処理させることで撮影画像中の車両部分と背景部分とを識別させる(ステップS23)。そして、制御部16は、画像解析部10の解析結果を基に全画像における車両部分の割合を算出し、収集情報用記憶部11に記憶させる(ステップS24)。
【0050】
そして、制御部16は、ステップS24で算出した割合を収集情報用記憶部11から読み出して当該割合が所定割合以上であるか否かを判定し(ステップS25)、所定割合以上である場合には自車の前方が混雑していると判断する(ステップS26)。
その後、制御部16は、通信部2を制御して前方の他車のカーナビゲーション装置1に混雑情報送信指示信号を出力させる(ステップS27)。
そして、ステップS28においては、制御部16は、前方の他車以前の車両の先頭情報が当該他車から送信されて受信するまでその状態で待機していて、受信するとステップS32に移行する。
【0051】
ステップS25で、所定割合未満であると判断した場合には、制御部16は速度検出部8によっての現在速度を検出し(ステップS29)、当該現在速度が所定値未満であるか否かを判断して(ステップS30)、所定値未満であると判断した場合にはステップS26に移行する。
【0052】
ステップS30で所定値以上であると判断した場合には制御部16は、自車が渋滞の先頭であると判断して、自車に係る先頭情報を作成する(ステップS31)。
ステップS32では、制御部16は、予め混雑情報送信指示信号を受信したか否かを判断し、混雑情報送信指示信号を受信していない場合には作成した先頭情報若しくは前方の他車以前の車両の先頭情報を基に案内出力部12を制御して渋滞情報を案内する(ステップS33)。
一方、ステップS32で、混雑情報送信指示信号を受信していた場合には、制御部16は、作成した先頭情報若しくは前方の他車以前の車両の先頭情報を通信部2を制御して後方の他車に出力する(ステップS34)。
【0053】
図6は同一車線上にA〜Z車が渋滞している場合の各車両の位置関係の具体例を表す説明図であるが、この図6を参照にして渋滞に巻き込まれたA車のドライバーが渋滞の先頭位置の検索要求をした場合について説明する。つまり、この場合では、A車のカーナビゲーション装置1が本発明に係る一のナビゲーション装置であり、A車以外の車両のカーナビゲーション装置1が本発明に他のナビゲーション装置となる。A車のカーナビゲーション装置1に撮影開始指示が入力されてA車の制御部16が自車要求プログラムを実行すると、A車の撮影部9により前方車両の撮影が行われて画像が取得される。この画像における車両部分の割合を基準にすることで、A車の制御部16ではA車前方の混雑状況が取得される。その結果、A車の制御部16がA車の前方が混雑していると判断すると、B車のカーナビゲーション装置1に対し混雑情報送信指示信号を出力する(第1要求)。
【0054】
B車の制御部16は、A車からの混雑情報送信指示信号を受信すると、他車要求プログラムを実行して、B車前方の車両の撮影及び解析を行い、B車前方の混雑状況を取得する。その結果、B車の制御部16がB車の前方が混雑していると判断すると、C車のカーナビゲーション装置1に対し混雑情報送信指示信号を出力する(第2要求)。この要求が順次前方の車両に対して行われる(第3要求・・・第n要求)。
【0055】
Z車の制御部16は、第n要求による混雑情報送信指示信号を受信すると、他車要求プログラムを実行して、Z車前方の車両の撮影及び解析を行い、Z車前方の混雑状況を取得する。その結果、Z車の制御部16がZ車前方が混雑していないと判断すると、当該制御部16は、Z車が渋滞の先頭であると認識して先頭情報を作成する。そして、Z車の制御部16は予め混雑情報送信指示信号を受信しているので、後方の他車に先頭情報を送信する(第1送信)。各後続車両においても同様に混雑情報送信指示信号を受信しているか否か判断されるために、A車まで先頭情報が送信されることになる(第n−2送信、第n−1送信、第n送信)。そして、A車では、予め混雑情報送信指示信号を受信していなかったために、A車の制御部16は受信した先頭情報及び自車の位置情報を基にして案内出力部12を制御することで、渋滞脱出までの時間や渋滞先頭までの距離等を案内する。ここで、Z車からA車までのデータ伝達に時間がかかり、Z車が先頭情報を作成した時刻と、A車が先頭情報を受信した時刻とが大きく差が出る場合には、A車の制御部16は、自身の走行履歴からZ車の作成時刻に近い時刻の位置情報を用いて、距離の計算を行うようにすることが好ましい。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、前方の車両を撮影して得られた画像中の車両部分の割合が所定割合以上であると、前方車両との車間距離が狭まっていることが想定されるために自車の前方が混雑していると判断されて、前方の他車の外部装置に対して混雑情報送信指示信号が出力される。このように混雑情報送信指示信号を受信したことにより他車のカーナビゲーション装置1が自車のカーナビゲーション装置1に混雑情報を送信する。自車のカーナビゲーション装置1の案内出力部12は、入力された混雑情報を基にして渋滞情報を案内する。このように、渋滞に巻き込まれると、同じ渋滞にいる他車のカーナビゲーション装置1からその車両情報(位置情報や混雑情報)を収集し、解析することで、他車の現在状況を考慮することができ、結果としてより詳細な渋滞情報をドライバーに提供することができる。これにより、渋滞時におけるドライバーの心理的負担を軽減することができる。また、場合によっては途中から別ルートに変更するなどの、以後のプランの判断材料にもできる。
【0057】
そして、自車が渋滞の先頭であると判断した場合には、後方の他車のカーナビゲーション装置1に先頭情報が出力されるので、他車のカーナビゲーション装置1に自車が先頭である旨を伝達することができる。一方、自車の前方が混雑していると判断した場合には、前方の他車のカーナビゲーション装置1に対して混雑情報送信指示信号が更に出力されるので、前方の他車が先頭であるか否かを認識することが可能となる。つまり、これらを繰り返すことで渋滞の先頭車両を認識することが可能となる。
【0058】
また、前方の他車のカーナビゲーション装置1から先頭情報が入力されると、自車のカーナビゲーション装置1が予め混雑情報送信指示信号を受信している場合には先頭情報を後方の他車のカーナビゲーション装置1に出力し、予め混雑情報送信指示信号を受信していない場合には先頭情報を混雑情報として、当該混雑情報を基に渋滞情報を案内するので、混雑情報送信指示信号を出力したカーナビゲーション装置1、つまり前方の渋滞情報を要求したカーナビゲーション装置1は確実に渋滞情報を案内することができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、ドライバーによって直接、入力部7に撮影開始指示が入力されたか否かを制御部16が判断し、ある場合には車両前方の撮影が開始される場合を例示して説明したが、自動的に撮影開始指示が発せられてもよい。具体的には、VICSセンターからの道路交通情報における渋滞経路に自車が進入した場合や、走行履歴での位置情報の変化量及び速度が著しく低下した場合等に撮影開始指示が発せられることが挙げられる。なお、走行履歴での位置情報の変化量及び速度が著しく低下した場合には、信号による停止も渋滞として判断されるおそれがあるので、所定時間内の移動量や平均速度から渋滞であるか信号停止であるかを判断することが好ましい。
【0060】
また、本実施形態では、先頭車両(Z車)から後方の車両に対して一台ずつ先頭情報を伝達することで、先頭情報を要求車両(A車)まで導く方式について説明したが、これ以外にも、先頭車両の通信範囲内に要求車両が存在しているのであれば、先頭車両から当該先頭車両後方の要求車両まで直接先頭情報を送信することも可能である。
そして、先頭車両と要求車両との間にある車両においても、要求車両まで先頭情報が伝達するまでの間に、受信した先頭情報を基にして渋滞情報を案内してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、先頭情報に先頭車両の位置情報のみが含まれている場合を例示して説明したが、先頭車両で得られた画像データが先頭情報に含まれていれば、要求車両で先頭車両の画像データを表示することができ、渋滞先頭の状況を画像で伝えることが可能となる。
更に、先頭車両と要求車両との間にある車両においても、先頭情報を中継する際に、当該先頭情報に自ら撮影して取得した画像データを付与して中継すれば、要求車両で渋滞先頭までの各車両の画像データを表示することができ、渋滞途中の状況をも画像で伝えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態に係るナビゲーションシステムを構成するカーナビゲーション装置の主制御構成を表すブロック図である。
【図2】図1のカーナビゲーション装置に備わる撮影部によって渋滞時に撮影された画像例を表す説明図である。
【図3】図2のカーナビゲーション装置に備わる撮影部によって通常走行時に撮影された画像例を表す説明図である。
【図4】図1のカーナビゲーション装置で実行される自車要求プログラムのフローチャートである。
【図5】図1のカーナビゲーション装置で実行される他車要求プログラムのフローチャートである。
【図6】図1のカーナビゲーション装置を搭載する車両の配列例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 カーナビゲーション装置(ナビゲーション装置)
2 通信部(通信手段)
3 地図データ用記憶部
4 目的地用記憶部
5 走行履歴用記憶部
6 現在地検出部(現在地検出手段)
7 入力部
8 速度検出部(速度検出部)
9 撮影部(撮影手段)
10 画像解析部(画像解析手段)
11 収集情報用記憶部
12 案内出力部(案内出力手段)
13 表示部
14 音声処理部
15 音声出力部
16 制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するナビゲーション装置であって、
同一車線上の他車に搭載されて位置情報、混雑情報を出力自在な外部装置と通信する通信手段と、
渋滞案内を出力する案内出力手段と、
前方の他車を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分を識別する画像解析手段と、
前記撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出結果を基に案内出力手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、
算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2記載のナビゲーション装置において、
自車の速度を検出する速度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断してから、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
現在地を検出する現在地検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記後方の他車の前記外部装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力し、
他方、算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、前記自車が渋滞の先頭であると判断して、前記現在地検出手段の検出結果を含む先頭情報を前記通信手段を制御して、後方の他車の前記外部装置に出力させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記後方の他車の前記外部装置からの前記混雑情報送信指示の入力に基づいて、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、前記前方の他車の前記外部装置から前記先頭情報が入力されると、予め前記混雑情報送信指示信号を受信している場合には前記通信手段を制御して前記先頭情報を前記後方の他車の前記外部装置に出力して、
他方、予め前記混雑情報送信指示信号を受信していない場合には前記先頭情報を前記混雑情報として、当該混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
同一車線上の他車に搭載されて位置情報、混雑情報を出力自在な外部装置と通信する通信手段と、渋滞案内を出力する案内出力手段と、前方の他車を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分及び背景部分に分割する画像解析手段とを用いることにより、同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するナビゲーション方法であって、
前記撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出した結果に基づいて案内する案内工程と、
を有することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
請求項7記載のナビゲーション方法において、
前記第1算出工程で算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、前記通信手段により、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させる第1出力工程を有し、
前記案内工程は、前記第1出力工程で前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に、案内出力手段により渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載のナビゲーション方法において、
自車の速度を検出する速度検出手段を更に備え、
前記第1出力工程は、前記第1算出工程で算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断してから、前記通信手段によって前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力させることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項10】
請求項9記載のナビゲーション方法において、
前記後方の他車の前記外部装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第2算出工程と、
前記第2算出工程で算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段によって前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力する第2出力工程と、
前記第2算出工程で算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、前記自車が渋滞の先頭であると判断して、現在地を検出する現在地検出手段の検出結果を含む先頭情報を前記通信手段によって、後方の他車の前記外部装置に出力させる第3出力工程とを有することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項11】
請求項10記載のナビゲーション方法において、
前記第3出力工程は、前記後方の他車の前記外部装置からの前記混雑情報送信指示の入力に基づいて、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段によって前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項12】
請求項10又は11記載のナビゲーション方法において、
前記前方の他車の前記外部装置から前記先頭情報が入力されると、予め前記混雑情報送信指示信号を受信している場合には前記通信手段によって前記先頭情報を前記後方の他車の前記外部装置に出力する第4出力工程を有し、
予め前記混雑情報送信指示信号を受信していない場合には、前記案内工程に移行して、前記先頭情報を前記混雑情報として、当該混雑情報を基に案内出力手段により渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項13】
渋滞情報を案内するために混雑情報の送信を指示する混雑情報送信指示信号を出力する一のナビゲーション装置と、前記混雑情報送信指示信号を受信して混雑情報を前記一のナビゲーション装置に出力する他のナビゲーション装置からなり、同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するためのナビゲーションシステムであって、
前記一のナビゲーション装置は、
前記他のナビゲーション装置と通信する通信手段と、
渋滞案内を出力する案内出力手段と、
前方の他車を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分を識別する画像解析手段と、
前記撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出結果を基に案内出力手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記ナビゲーション装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記ナビゲーション装置から入力された前記混雑情報を基に案内出力手段を制御して渋滞情報を案内し、
前記他のナビゲーション装置は、
渋滞案内を出力する他の案内出力手段と、
前記通信手段と通信する他の通信手段と、
前方の他車を撮影する他の撮影手段と、
前記撮影手段により得られた画像を解析して、車両部分を識別する他の画像解析手段と、
前記他の撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記他の画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出結果を基に前記他の案内出力手段を制御する他の制御手段とを備え、
前記他の制御手段は、前記混雑情報送信指示信号を受信したとき、対応する混雑情報を前記他の通信手段を制御して前記一のナビゲーション装置に送信する、
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項14】
請求項13記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記一のナビゲーション装置は、
自車の速度を検出する速度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記算出した前記割合が所定割合未満である場合であっても前記速度検出手段の検出速度が所定値未満であると、前記自車の前方が混雑していると判断してから、前記通信手段を制御することで、前記前方の他車の前記他のナビゲーション装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力させて、前記前方の他車の前記他の前記ナビゲーション装置から入力された前記混雑情報を基に前記案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項15】
請求項13又は14記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記他のナビゲーション装置は、現在地を検出する現在地検出手段を更に備え、
前記他の制御手段は、前記後方の前記一のナビゲーション装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記他の撮影手段を制御して前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記他の画像解析手段を制御して前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出し、算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記他の前記通信手段を制御することで、前記前方の他のナビゲーション装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力し、
他方、算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、当該他のナビゲーション装置を搭載する車両が渋滞の先頭であると判断して、前記現在地検出手段の検出結果を含む先頭情報を前記通信手段を制御して、後方の前記一のナビゲーション装置に出力させることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項16】
請求項15記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記制御手段は、前記前方の他の前記ナビゲーション装置から前記先頭情報が入力されると、予め前記混雑情報送信指示信号を受信している場合には前記通信手段を制御して前記先頭情報を前記後方の他の前記ナビゲーション装置に出力して、
他方、予め前記混雑情報送信指示信号を受信していない場合には前記先頭情報を前記混雑情報として、当該混雑情報を基に前記案内出力手段を制御して渋滞情報を案内することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項17】
同一車線に並んだ車の渋滞情報を案内するための渋滞情報案内プログラムであって、
撮影手段に対する撮影開始指示の有無を検出して、有りの場合には前記撮影手段により前方の車両を撮影して画像を取得してから、前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップで算出した前記割合が所定割合以上である場合には前記自車の前方が混雑していると判断した後、通信手段により、前記前方の他車の前記外部装置に対して前記他車の前方における混雑情報を出力させるための混雑情報送信指示信号を出力させる第1出力ステップと、
前記第1出力ステップで前記前方の他車の前記外部装置から入力された前記混雑情報を基に、案内出力手段により渋滞情報を案内する案内ステップとを有することを特徴とする渋滞情報案内プログラム。
【請求項18】
請求項17記載の渋滞情報案内プログラムにおいて、
前記後方の他車の前記外部装置から前記混雑情報送信指示信号が入力されると、前記撮影手段により前方の車両を撮影させて画像を取得してから、前記取得した画像の前記車両部分を識別させた後に、全画像中における前記車両部分の割合を算出する第2算出ステップと、
前記第2算出ステップで算出した前記割合が所定割合以上である場合には、前記自車の前方が混雑していると判断して、前記通信手段により前記前方の他車の前記外部装置に対して前記混雑情報送信指示信号を出力する第2出力ステップと、
前記第2算出ステップで算出した前記割合が前記所定割合未満である場合には、前記自車が渋滞の先頭であると判断して、自車の現在地を含む先頭情報を前記通信手段により、後方の他車の前記外部装置に出力させる第3出力ステップ工程とを有することを特徴とする渋滞情報案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−139448(P2007−139448A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330163(P2005−330163)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】