説明

ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム

【課題】経路上にある施設までの所要時間を表示する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、現在位置から目的地に至る推奨ルート、有料優先ルートなどの5ルートを探索するが、探索した5ルートを地図上に表す機能に加え、例えば、何分後にはどのような施設があるかといった、そのルートを選択したときの時間毎の施設情報を提供する機能も備えている。このように、ナビゲーション装置1は、走行時間を表す時間軸上に施設を表すことができる。これによって、ナビゲーション装置1は、休憩ポイントなどの時間的分布をルート毎にユーザに事前開示し、ユーザは、施設の時間的分布を考慮に入れてルート選択を行ったり、走行計画を立てたりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラムに関し、例えば、車両の経路案内を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置によって車両を誘導することが盛んに行われている。
ナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路を探索する機能、GPS(Global Positioning System)衛星やジャイロなどのセンサを用いて自車両の位置を検出する機能、及び目的地までの経路と自車両の現在位置を地図上に表示する機能などを備えている。
【0003】
そして、ナビゲーション装置は、地図を用いて経路案内するために、例えば、施設名、施設の位置といった地理的な情報を施設情報として記憶している。
ナビゲーション装置は、ユーザから目的地の設定を受け付けると、目的地に至る経路を複数探索し、ユーザに表示するようになっている。
また、ナビゲーション装置は、施設情報を用いて探索した経路上のレストランやコンビニエンスストアなどの施設も表示する。
【0004】
ナビゲーション装置は、各経路を走行した場合の目的地までの所要時間を計算する機能を有しており、経路と共に所要時間を表示することにより、ユーザに所要時間を考慮した経路選択を可能としている。
経路探索は、例えば、距離の短いもの、所要時間の短いもの、料金の安いもの、有料道路の有無などの観点から行われ、5ルート探索などと呼ばれている。
このように目的地までの所要時間を計算する技術として、次の「経路案内システム及び経路案内方法のプログラム」がある。この技術は、経路の渋滞状況を考慮した所要時間を計算するものである。
【特許文献1】特開2006−3169公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ユーザが休憩場所を探す場合、「10kmで休憩しよう」などと距離に着目する場合よりも、「1時間後に休憩しよう」などと時間に着目する場合の方が一般的であると考えられる。
しかし、従来のナビゲーション装置では、所要時間という観点から施設を把握するという処理機能が実装されておらず、例えば、時間をキーとして施設を検索するなどの機能がなかった。
そのため、ユーザは、休憩計画を考慮に入れた経路選択が困難となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、経路周辺に存在する施設までの所要時間の認識を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索した経路上に存在する施設を特定する施設特定手段と、前記探索した経路を走行して前記特定した施設に到達するのに要する所要時間を計算する計算手段と、前記特定した施設の施設情報を、当該施設に対して計算した所要時間と対応づけて表示する表示手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記表示手段は、所要時間を座標値とすることにより、前記特定した施設情報を時間軸上に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記経路探索手段は、複数の経路を探索し、前記表示手段は、時間軸上に各経路の施設情報を、何れの経路の施設情報であるかを識別可能に一覧表示することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記特定した施設のうち、当該施設に対して計算された所要時間が所定の時間であるものを抽出する抽出手段を具備し、前記表示手段は、前記抽出された施設の施設情報を表示することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、時間の設定を受け付ける時間受付手段を具備し、前記抽出手段は、前記設定を受け付けた時間を所定の時間として施設を抽出することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索機能と、前記探索した経路上に存在する施設を特定する施設特定機能と、前記探索した経路を走行して前記特定した施設に到達するのに要する所要時間を計算する計算機能と、前記特定した施設の施設情報を、当該施設に対して計算した所要時間と対応づけて表示する表示機能と、をコンピュータで実現するナビゲーションプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、探索した経路上に存在する施設を特定し、特定した施設の施設情報を、当該施設に対して計算した所要時間と対応づけて表示するので、経路周辺に存在する施設までの所要時間を認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)実施の形態の概要
ナビゲーション装置1は、現在位置から目的地に至る推奨ルート、有料優先ルートなどの5ルートを探索するが、探索した5ルートを地図上に表す機能に加え、例えば、何分後にはどのような施設があるかといった、そのルートを選択したときの時間毎の施設情報を提供する機能も備えている。
このように、ナビゲーション装置1は、走行時間を表す時間軸上に施設を表すことができる。
これによって、ナビゲーション装置1は、休憩ポイントなどの時間的分布をルート毎にユーザに事前開示し、ユーザは、施設の時間的分布を考慮に入れてルート選択を行ったり、走行計画を立てたりすることができる。
また、ユーザが休憩しようとしても周辺に施設がない通りに入ってしまい、休憩タイミングを逃すといったことを回避することができる。
【0010】
(2)実施の形態の詳細
図1は本実施形態が適用されるナビゲーション装置1のシステム構成図である。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、この図に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両が何れの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0011】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリュームあるいは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。
つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0012】
GPS(Global Positioning System)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。
特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
このように、ナビゲーション装置1は、現在位置取得(検出)手段を備えている。
【0013】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
【0014】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43又はスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0015】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置1全体の総括的な演算及び制御を行う。
第1ROM22は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、目的地までの経路を案内するのに必要な施設情報の検索、施設までの所要時間の計算、計算した所要時間の表示などを行うためのナビゲーションプログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0016】
RAM24は、目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、又は情報記憶装置50から読み込まれた地図情報(施設情報も含まれる)を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0017】
第2ROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。画像プロセッサ27は、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサ27により処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0018】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
【0019】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、施設情報DB56、その他のデータファイル57を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、書き換え可能な記憶媒体であるハードディスク、フラッシュメモリなどで構成されるが、CD−ROM、DVD−ROMなどのROMと併用してもよい。
【0020】
地図データファイル51には、全国道路地図、任意地域の道路地図又は住宅地図等の地図データが記憶されている。
道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路(比較的狭い道路)等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形、及び道路名称等が表示される市街図である。
【0021】
交差点データファイル52には、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが記憶されている。
ノードデータファイル53には、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等が記憶される。
道路データファイル54には、道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが記憶されている。
写真データファイル55には、各種施設や観光地、又は主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データやコンピュータグラフィックス画像データなどが記憶されている。
【0022】
施設情報DB56は、施設情報を表す各種ファイルから構成されたデータベースである。
施設情報は、POI(Point of Interest)情報、あるいは地点情報とも呼ばれ、例えば、コンビニエンスストアやレストラン、あるいはデパートといった店舗や、給油所、競技場、劇場、学校、行政施設、福祉施設、民間会社の本支社や営業所、観光地など、ユーザが経路案内などで興味を持つと考えられる地点に関する情報である。
施設情報は、施設のジャンル、所在地、詳細情報などの項目から構成されており、ナビゲーション装置1は、探索した経路上に存在する施設の所在地の特定と所要時間の計算、ジャンルによる施設の絞り込み、詳細な情報の提供を行うことができる。
【0023】
図2(a)は、ナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示した全ルート画面の一例を示した図である。
ナビゲーション装置1は、目的地が入力されると、所定のアルゴリズムに従って現在位置から目的地に至る推奨ルート、有料優先ルート、一般優先ルート、距離優先ルート、別ルートの合計5つのルートを探索する。
このように、ナビゲーション装置1は、現在位置を出発地とし、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段を備えている。
【0024】
そして、デフォルトとして推奨ルートによる目的地までの全ルートをディスプレイ42に表示する。
なお、図2(a)は、全ルートを現在位置から目的地まで示しているが、ルートの拡大・縮小表示を行うこともできる。
【0025】
なお、5ルートの内訳は次の通りである。
推奨ルートは、一般道と有料道路を特に一方を排他することなく、最も一般的に走行すると思われるルートである。
有料優先ルートは、一般道路よりも有料道路を優先的に設定したルートである。
一般優先ルートは、有料道路よりも一般道路を優先的に設定したルートである。
距離優先ルートは、目的地までの距離が最短となるように設定したルートである。
別ルートは、上記の何れにも該当しないが、目的地に向かって走行する可能性のあるルートである。
【0026】
全ルート画面は、詳細ボタン61、5ルートボタン62、ルート変更ボタン63、案内開始ボタン64、広域ボタン65を画面下部に表示している。
ディスプレイ42の表面には入力装置41が備えるタッチパネルが設けられており、ナビゲーション装置1は、ユーザが何れかのボタンをタッチすると、これを検知してユーザがどのボタンを選択したかを認識することができる。
【0027】
図2(b)は、ナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示した5ルート画面の一例を示した図である。
5ルート画面は、ユーザが全ルート画面で5ルートボタン62を選択すると表示される。
5ルート画面では、ナビゲーション装置1が探索した5つのルートが色分けされて地図上に表示される。
5ルート画面は、詳細ボタン61、全行程一覧表ボタン66、及び広域ボタン65を画面下部に表示しており、タッチパネルによってユーザが何れかを選択できるようになっている。
【0028】
図3は、ナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示した全行程一覧表画面の一例を示した図である。
全行程一覧表画面は、5ルート画面でユーザが全行程一覧表ボタン66を選択すると表示される。
全行程一覧表画面の上部には、時間毎周辺施設ボタン71、戻るボタン72が表示されており、その下部領域に全行程の一覧が表示されている。
全行程の一覧は、「探索条件」、「全行程」、「有料道路」、「料金」、「所要時間」の各項目から構成されてている。
【0029】
項目「探索条件」には、縦方向に上から順に、推奨ボタン73、有料優先ボタン74、一般優先ボタン75、距離優先ボタン76、及び別ルートボタン77が表示されている。
これらのボタンは、それぞれ、推奨ルート、有料優先ルート、一般優先ルート、距離優先ルート、及び別ルートに対応している。
その他の項目には、以下のような各項目の値が項目「探索条件」の各ボタンに対応させて表示されている。
【0030】
即ち、項目「全行程」には、各ルートの全行程の距離が表示されている。
項目「有料道路」には、各ルートに含まれる有料道路の距離の合計が表示されている。
項目「料金」には、各ルートに含まれる有料道路の料金の合計が表示されている。
項目「所要時間」には、各ルートを走行した場合に、目的地に到着するのに要すると予測される時間が表示されている。
このように、全行程一覧表画面では、ユーザは、各ルートの概要を一覧することができる。
【0031】
推奨ボタン73〜別ルートボタン77は、これらのルートを選択するためのボタンであり、ユーザが何れかを選択すると、ナビゲーション装置1は、選択されたルートを案内ルートに設定する。
時間毎周辺施設ボタン71は、時間毎周辺施設画面に遷移するためのボタンである。
戻るボタン72は、5ルート画面に戻るためのボタンである。
【0032】
図4は、ナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示した時間毎周辺施設画面の一例を示した図である。
時間毎周辺施設画面は、全行程一覧表画面で時間毎周辺施設ボタン71を選択すると表示される。
時間毎周辺施設画面には、推奨ルート〜別ルートの各ルートに対応したものがあり、推奨ルート用の時間毎周辺施設画面→有料優先ルート用の時間毎周辺施設画面→・・・→別ルート用の時間毎周辺施設画面というように、ユーザの操作によって循環的に遷移できるようになっている。
なお、図4は、推奨ルート用の時間毎周辺施設画面である。
【0033】
時間毎周辺施設画面の左上部には、推奨ボタン81が表示されている。推奨ボタン81がユーザに選択されると、ナビゲーション装置1は、推奨ルートを案内ルートに設定する。
推奨ボタン81の下方には、時間軸86が表示されている。時間軸86は、車両が発車してから目的地に到着するまでの時間を表しており、デフォルトでは、30分毎に時間による目盛り(以下、目盛り時間)が形成されている。
なお、図示しないが、時間毎周辺施設画面には、時間軸86の目盛り時間設定項目が設けてあり、当該項目から、例えば、「45分毎」、「1時間毎」などと、ユーザが目盛り時間を設定できるようになっている。
この場合、ナビゲーション装置1は、時間の設定を受け付ける時間受付手段を備え、ナビゲーション装置1は、当該設定を受け付けた時間を所定の時間として施設を抽出する。
【0034】
時間軸86の下方には、車両が施設に到着するまでの所要時間を座標値として、施設のマークが時間軸86に対応して表示されている。
表示する施設のジャンルは、デフォルトではコンビニエンスストアとレストランに設定されているが、この他に給油所、ホテルなど、ユーザが任意に設定できるようになっている。
なお、マーク82はコンビニエンスストアを表し、マーク83はレストランを表しており、マーク84は目的地を表している。
【0035】
ナビゲーション装置1は、各目盛り時間に対する施設を次のようにして特定する。
例えば、30分の目盛り時間に対応して表示する施設の場合、ナビゲーション装置1は、ルート上で30分後に到達する地点を特定し、施設情報DB56にて当該地点からルートの前後所定の1kmの範囲に存在する施設を検索する。
即ち、ナビゲーション装置1は、目盛り時間を所要時間として到達する地点の前後所定距離の範囲にある施設を抽出して当該目盛り時間に対応させて表示する。
これは、目盛り時間に到達する地点の前後所定距離にある施設への所要時間は概ね目盛り時間であると考えられるからである。
【0036】
又は、次のようにして、目盛り時間に対応する施設を特定することもできる。
即ち、施設情報DB56からルート上の各施設の所在地を特定し、これに仮定される車速を用いて各施設に対して到着するのに要する所要時間を計算する。
この施設までの所要時間の計算は、従来技術で出発地から目的地までの所要時間を計算した方法を用いる。即ち、施設を目的地と仮定すれば、出発地から施設までの所要時間を計算することができる。
そして、当該所要時間が目盛り時間の±5分間に含まれるものを抽出して、当該施設のマークを時間軸86の対応する目盛り時間の位置に表示する。
例えば、ナビゲーション装置1は、所要時間が25分から35分の施設を抽出し、当該施設のマークを30分の目盛り時間に対応させて表示する。
【0037】
上記2つの方法の何れも、探索したルート上の施設を特定し、当該施設までの所要時間を計算しており、ナビゲーション装置1は、探索した経路上に存在する施設を特定する施設特定手段と、当該探索した経路を走行して当該特定した施設に到達するのに要する所要時間を計算する計算手段と、を備えている。
また、計算によって算出される所要時間は分秒の単位まで定まるが、実際の車速は計算上使用した車速と異なるのが一般的であり、また、所要時間は概算でよいので、ナビゲーション装置1は、施設への所要時間を目盛り時間に丸めている。
【0038】
詳細情報ボタン85は、30分の目盛り時間に対応させて表示されている施設の詳細な情報を参照する場合に選択するボタンである。
90分、120分など、他の目盛り時間の施設に関しても同様に詳細情報ボタンが設けられている。
有料優先ボタン87は、有料優先ルート用の時間毎周辺施設画面に遷移する際に選択するボタンである。
【0039】
このように、時間毎周辺施設画面では、ユーザは、時間軸86に沿ってどのように施設が分布しているのかを一瞥にて把握することができる。
また、時間軸86が長時間にわたるため一画面に表示しきれない場合、ナビゲーション装置1は、領域88にスクロールボタンを表示し、画面をスクロールできるようにする。
【0040】
また、時間毎周辺施設画面では、施設のマークを時間軸86に対応させて表示しており、このため、ナビゲーション装置1は、探索経路上にあるとして特定した施設の施設情報(マークにより象徴的に表し、詳細は他画面で表示するようになっている)を、当該施設に対して計算した所要時間と対応づけて表示する表示手段を備えており、当該表示手段は、所要時間を座標値とすることにより、前記特定した施設情報を時間軸(時間軸86)上に表示している。
また、ナビゲーション装置1は、目盛り時間に対応した施設を抽出して表示するため、ナビゲーション装置1は、特定した施設のうち、当該施設に対して計算された所要時間が所定の時間であるものを抽出する抽出手段を備えている。
【0041】
図5は、有料優先ルート用の時間毎周辺施設画面の一例を示した図である。
有料優先ルート用の時間毎周辺施設画面は、推奨ルート用の時間毎周辺施設画面(図4)で有料優先ボタン87を選択すると表示される。
有料優先ルート用の時間毎周辺施設画面の構成は、推奨ルート用の時間毎周辺施設画面と同様である。
【0042】
ユーザが有料優先ボタン91をタッチして選択すると、ナビゲーション装置1は、有料優先ルートを案内ルートとして設定する。
また、ユーザが一般優先ボタン92をタッチして選択すると、ナビゲーション装置1は、一般優先用の時間毎周辺施設画面に遷移する。
一般優先ルート用、距離優先ルート用、及び別ルート用の時間毎周辺施設画面の構成も同様である。
【0043】
図6は、施設詳細ジャンル画面の一例を示した図であり、ユーザが詳細情報ボタン85(図4)をタッチして選択した場合にナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示したものである。
施設詳細ジャンル画面には、目盛り時間表示部94、スクロールボタン95、96、ジャンルボタンエリア97などが表示されている。
目盛り時間表示部94には、ユーザが選択した詳細情報ボタン85(図4)の目盛り時間が表示される。
スクロールボタン95、96は、それぞれ画面を上下にスクロールする場合にタッチするためのボタンである。
【0044】
ジャンルボタンエリア97には、当該目盛り時間に対応して表示されていたマークのジャンルが、ジャンルボタンによって選択可能に表示される。
ユーザがジャンルボタンを選択すると、当該ジャンルに属する店舗の情報が表示される。
このように、施設詳細ジャンル画面では、ユーザが時間毎周辺施設画面で選択した詳細情報ボタンに対応する施設のジャンルが選択可能に一覧表示される。
【0045】
図7は、施設詳細店舗画面の一例を示した図であり、ユーザがジャンルボタンエリア97でレストランを選択した場合にナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示したものである。
施設詳細店舗画面には、選択されたジャンルのマーク100、スクロールボタン95、96、店舗ボタンエリア101などが表示されている。
スクロールボタン95、96は、それぞれ画面を上下にスクロールする場合にタッチするためのボタンである。
【0046】
店舗ボタンエリア101には、ユーザが選択したジャンルに属する店舗の店舗ボタンが選択可能に表示される。
図7は、レストランが選択されたため、「牛ドンドン」、「山中レストラン」など、レストランの店舗ボタンが選択可能に表示されている。
ユーザが、何れかの店舗ボタンを選択すると、ナビゲーション装置1は、当該店舗に対するより詳細な情報を表示する。
【0047】
図8は、施設詳細案内画面の一例を示した図であり、ユーザが図7の店舗ボタンエリア101で「牛ドンドン」を選択した場合にナビゲーション装置1がディスプレイ42に表示したものである。
施設詳細案内画面では、例えば、店舗紹介、メニュー、営業時間など、店舗の詳細な情報が表示される。
なお、図示しないが、図6〜図8の各画面には、戻るボタンが設けられており、遷移前の画面に戻れるようになっている。
【0048】
図9は、ナビゲーション装置1がルート案内処理を行う全体的な手順を説明するためのフローチャートである。
図9以降のフローチャートで説明するナビゲーション装置1の処理は、CPU21(図1)が所定のプログラムに従って行うものである。
図示しないが、ナビゲーション装置1は、住所、電話番号、郵便番号など、目的地を特定するための情報をユーザから受け付ける目的地設定画面を表示することができ、これによって、ユーザが設定した地点を目的地に決定する(ステップ5)。
【0049】
次に、ナビゲーション装置1は、GPS受信装置14(図1)が受信したGPS信号などを用いて現在位置を特定する。
そして、ナビゲーション装置1は、ノードデータファイル53などを用いて現在位置から目的地までのルートを探索する(ステップ10)。
ナビゲーション装置1は、このルート探索を、推奨ルート、有料優先ルート、一般優先ルート、距離優先ルート、別ルートの5ルートについて行う。
これら5ルート探索に用いるアルゴリズムは従来から用いられているものを使用することができる。
【0050】
次に、ナビゲーション装置1は、探索したルート上の施設を施設情報DB56でルート毎に検索する。そして、検索された施設に到着するのに要する時間を個々の施設に対して計算し、時間毎周辺施設データを生成する(ステップ15)。
【0051】
次に、ナビゲーション装置1は、全行程一覧表画面(図3)、時間毎周辺施設画面(図4など)などからユーザのルートを受け付けるルート選択処理を行う(ステップ20)。
そして、ナビゲーション装置1は、ユーザが選択したルートの案内処理を行う(ステップ25)。
案内処理は、従来の方法を用いることができる。
【0052】
図10は、ステップ15(図9)の時間毎周辺施設データ生成処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、ナビゲーション装置1は、5ルートのうち、1のルート(例えば、推奨ルート)を特定する(ステップ50)。
次に、ナビゲーション装置1は、出発地点から30分毎(即ち、目盛り時間毎)に到着する地点を、1のルート上で特定する(ステップ55)。
【0053】
なお、ナビゲーション装置1は、例えば、ルートを構成する各ノード間の走行速度の推定値や、各道路を走行する際の走行速度推定値などを予めその他のデータファイル57に記憶しており、これによって、30分毎の到着地点を予測することができる。
また、データ送受信装置16(図1)を用いてサーバ装置が配信する現在の道路状況放送を受信し、これを用いて計算してもよい。
【0054】
次に、ナビゲーション装置1は、特定した地点からルートに沿って前後1kmの範囲を施設検索範囲として特定する(ステップ60)。
なお、本実施の形態では、特定した地点からルート沿いの前後1kmを施設検索範囲としたが、範囲設定方法は各種可能であり、例えば、特定した地点を中心とする所定半径の円領域としたり、特定した地点を中心としてルート方向に所定長さ、ルートに垂直な方向に所定長さを有する矩形領域としたりすることができる。
【0055】
次に、ナビゲーション装置1は、施設情報DB56の施設のうち、施設検索範囲を所在地とするものを、特定した地点毎に抽出する(ステップ65)。
そして、ナビゲーション装置1は、検索した施設を、目盛り時間に対応づけることにより時間毎周辺施設データを生成する(ステップ70)。
即ち、目盛り時間30分に対して検索された施設は、目盛り時間30分に対応させ、目盛り時間1時間に対して検索された施設は、目盛り時間1時間に対応させる。
ナビゲーション装置1は、以上の処理を5ルートの全てに対して行う。
【0056】
図11は、ステップ20(図9)のルート選択処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、ナビゲーション装置1は、ユーザが5ルート画面(図2(b))で全行程一覧表ボタン66の選択を受け付け、全行程一覧表画面(図3)を表示する(ステップ105)。
【0057】
全行程一覧表画面において時間毎周辺施設ボタンが選択された場合(ステップ110;Y)、ナビゲーション装置1は、時間毎周辺施設画面(図4、5など)を表示し(ステップ115)、ルートの選択を受け付ける。
一方、全行程一覧表画面において推奨ボタン73〜別ルートボタン77が選択された場合(ステップ110;N)、ナビゲーション装置1は、当該ボタンに対応するルートの選択を受け付ける。
このようにして、ナビゲーション装置1は、時間毎周辺施設画面、又は推奨ボタン73〜別ルートボタン77でルートの選択を受け付けると、図示しないが、当該ルートの詳細情報を表すルート詳細情報画面を表示する(ステップ120)。
【0058】
以上に説明した本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)施設の位置を走行時間による時間軸によって表すことができる。
(2)ドライブ時に休憩ポイントを設定するなど、運転開始前に立ち寄る地点を決める場合、何時間後に到着する施設といったように、走行時間による検索を行うことができる。
(3)走行時間による施設検索ができるため、ユーザの時間間隔に応じた施設検索、及びルート選択を行うことができる。
(4)5ルート選択時に、全行程一覧表に表した時間・距離などのルート情報だけでなく、ルートを選択した場合に、所定時間後にはどのような施設が存在するのかといった情報を提供することができる。
【0059】
次に、図12を用いて時間毎周辺施設画面の変形例について説明する。
先に説明した本実施の形態では、推奨ルート用→有料優先ルート用→・・・など、5ルート毎に循環的に画面を切り替える必要があったが、本変形例に係る時間毎周辺施設画面は、画面下部に、推奨ボタン111、有料優先ボタン112、一般優先ボタン113、距離優先ボタン114、及び別ルートボタン115が一覧表示されており、ユーザはこれらのボタンを選択することにより、直接所望の画面に遷移することができる。
【0060】
そして、推奨ボタン111〜別ルートボタン115のうち、ユーザが選択したものは、他のボタンから識別可能となるように、例えば、表示色などの表示状態が変化するようになっている。
そして、表示状態が変化した状態で、当該ボタンが再度選択されると、ナビゲーション装置1は、当該ボタンのルートがルート選択されたものと認識する。
このように、本変形例では、ユーザは、5ルートのうち、所望のルートの時間毎周辺施設画面を直接選択することができる。
【0061】
図13は、時間毎周辺施設画面の他の変形例を説明するための図である。
本変形例に係る時間毎周辺施設画面では、施設を表示した推奨ルート〜別ルートの時間軸131〜135が一覧表示される。
ただし、施設はマークで表すと1画面に表示しきれないため、例えば三角印などの省略された形状で表示される。
【0062】
そして、時間軸131〜135の左側には、各時間軸に対応した推奨ボタン121、有料優先ボタン122、一般優先ボタン123、距離優先ボタン124、及び別ルートボタン125が一覧表示されており、ユーザが何れかを選択すると、ナビゲーション装置1は、当該ボタンで特定されるルート用の時間毎周辺施設画面(例えば、図4)に遷移する。
このように、本変形例では、ユーザは、各ルートの施設の時間的分布を一覧して見ることができる。
このように、本変形例では、ナビゲーション装置1は、複数の経路を探索し、時間軸上に各経路の施設情報を、何れの経路の施設情報であるかを識別可能に一覧表示している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図2】全ルート画面と5ルート画面の一例を示した図である。
【図3】全行程一覧表画面の一例を示した図である。
【図4】推奨ルート用の時間毎周辺施設画面の一例を示した図である。
【図5】有料優先ルート用の時間毎周辺施設画面の一例を示した図である。
【図6】施設詳細ジャンル画面の一例を示した図である。
【図7】施設詳細店舗画面の一例を示した図である。
【図8】施設詳細案内画面の一例を示した図である。
【図9】ナビゲーション装置がルート案内する手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】時間毎周辺施設データ生成処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】ルート選択処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】時間毎周辺施設画面の変形例を説明するための説明図である。
【図13】時間毎周辺施設画面の他の変形例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ナビゲーション装置
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
41 入力装置
50 情報記憶装置
56 施設情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記探索した経路上に存在する施設を特定する施設特定手段と、
前記探索した経路を走行して前記特定した施設に到達するのに要する所要時間を計算する計算手段と、
前記特定した施設の施設情報を、当該施設に対して計算した所要時間と対応づけて表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段は、所要時間を座標値とすることにより、前記特定した施設情報を時間軸上に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索手段は、複数の経路を探索し、
前記表示手段は、時間軸上に各経路の施設情報を、何れの経路の施設情報であるかを識別可能に一覧表示することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記特定した施設のうち、当該施設に対して計算された所要時間が所定の時間であるものを抽出する抽出手段を具備し、
前記表示手段は、前記抽出された施設の施設情報を表示することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
時間の設定を受け付ける時間受付手段を具備し、
前記抽出手段は、前記設定を受け付けた時間を所定の時間として施設を抽出することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
出発地から目的地までの経路を探索する経路探索機能と、
前記探索した経路上に存在する施設を特定する施設特定機能と、
前記探索した経路を走行して前記特定した施設に到達するのに要する所要時間を計算する計算機能と、
前記特定した施設の施設情報を、当該施設に対して計算した所要時間と対応づけて表示する表示機能と、
をコンピュータで実現するナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−36541(P2009−36541A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199021(P2007−199021)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】