説明

ナビゲーション装置およびプログラム

【課題】通行料金の割引の適用を受けることができるように設定された有料道路の出入口につき、この出入口を介して適切に有料道路に出入りできるように通行案内を行うこと。
【解決手段】算出された有料優先経路に通行料金の割引が適用される有料道路の出入口が含まれている場合、この出入口の区間を、一般道路を経由するように補正することができる(s310〜s410)。これにより、ユーザが有料優先経路を案内経路として指定した場合に、上記出入口の区間につき、一般道路を経由するように通行案内することができる。つまり、通行料金の割引の適用を受けることができるように設定された有料道路の出入口について、この出入口を介して適切に有料道路に出入りできるような通行案内を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づいて算出された案内経路に従って目的地までの通行案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路においては、所定の出口で降りて別の入口から有料道路に乗り直した場合に、通行料金の割引について適用を受けることができるように設定された出入口の区間がある。ここでいう割引とは、例えば、上記所定の出口にて割引の適用を受けられる旨の情報を取得し(例えば、情報を有する紙媒体の取得,記憶媒体への情報の記憶など)、上記別の入口にてその情報を適切に処理する(例えば、紙媒体を係員に渡す,記憶媒体から情報を読み取らせるなど)ことで、その区間の通行料金が割り引かれたり、支払不要となったりすることである。
【0003】
このような区間では、単に有料道路から一般道路へ降りて有料道路に乗り直しただけでは両方の有料道路における通行料金が徴収されてしまうところが、割引の適用を受けることで通行料金として徴収される合計金額を少なくすることができる。
【0004】
そして、近年では、このように割引の適用が受けられることをユーザに認識させるようにするための技術が種々提案されている。例えば、有料道路に出入りするにあたり、その出入口(ゲート施設)が割引の適用される区間の出入口であるか否かを判定し、該当する出入口である場合に、その旨を報知する、といった技術である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−18247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただ、上述した技術においては、割引の適用される区間の出入口であるか否かをユーザに認識させることはできるが、どの出口から降りる,または,どの入口から乗ると割引が適用されるのかといった経路までを充分に認識させることはできない。
【0006】
そのため、適切な出入口を認識できないユーザは、適切な出入口を介して有料道路に出入りすることができず、結果として割引の適用を受けられなくなってしまう恐れがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、通行料金の割引の適用を受けることができるように設定された有料道路の出入口につき、この出入口を介して適切に有料道路に出入りできるように通行案内を行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1に記載のナビゲーション装置は、道路に関する情報を示す地図データに基づいて出発地から目的地へと至る案内経路を算出する経路算出手段と、該経路案内手段により算出された案内経路に従って現在地から目的地までの通行案内を行う通行案内手段と、を備えたナビゲーション装置である。
【0008】
このナビゲーション装置では、出入口情報取得手段が、有料道路に関する情報であって、有料道路を降りてから有料道路に乗り直した場合に通行料金の割引が適用されることとなる出口および入口である割引出入口に関する出入口情報を、外部から取得する。
【0009】
また、区間判定手段が、前記経路算出手段により算出された案内経路のうちの有料道路で構成される有料経路に、前記割引出入口の区間が含まれているか否かを、前記出入口情報取得手段により取得された出入口情報に基づいて判定する。
【0010】
こうして、区間判定手段により前記割引出入口の区間が含まれていると判定された場合、経路補正手段が、その割引出入口における出口から前記有料経路を降りて一般道路を経由し、その割引出入口における入口から前記有料経路に乗り直す経路となるように、前記経路算出手段により算出された案内経路を補正する。
【0011】
このように構成されたナビゲーション装置であれば、案内経路における有料経路に通行料金の割引が適用される出入口が含まれている場合、この出入口の区間が一般道路を経由するように案内経路が補正され、こうして補正された案内経路に従って通行案内を行うこととなる。つまり、通行料金の割引の適用を受けることができるように設定された有料道路の出入口について、この出入口を介して適切に有料経路に出入りできるような通行案内を実現することができる。
【0012】
なお、この構成において、出入口情報取得手段は、外部(出入口情報取得手段の外部)から出入口情報を取得する手段であり、この出入口情報の取得元については特に限定されない。例えば、ナビゲーション装置に、出入口情報を含む各種情報を記憶する記憶部が備えられている場合であれば、この記憶部から出入口情報を読み出して取得するように構成すればよい。また、ナビゲーション装置に、出入口情報を配信可能な他の装置とのデータ通信を実現するための通信部が備えられている場合であれば、他の装置から配信される出入口情報を、通信部を介して取得するように構成すればよい。
【0013】
また、上述した出入口情報取得手段により取得される出入口情報は、有料道路を降りてから有料道路に乗り直した場合に通行料金の割引が適用されることとなる出口および入口に関する情報である。ここでいう「出口および入口」とは、それぞれが同じ有料道路に存在するものであってもよいし、それぞれが別の有料道路に存在するものであってもよい。
【0014】
また、上述した区間判定手段は、案内経路に有料道路で構成される有料経路が含まれている場合にのみ、割引出入口の区間が含まれているか否かの判定を行うように構成することが望ましい。このためには、例えば、請求項2に記載のナビゲーション装置のように構成することが考えられる。
【0015】
このナビゲーション装置は、前記経路算出手段により算出された案内経路に基づいて、該案内経路に前記有料経路が含まれているか否かを判定する有料判定手段を備えている。そして、区間判定手段が、前記有料判定手段により前記有料道路が含まれていると判定された場合に、前記有料経路に前記割引出入口の区間が含まれているか否かの判定を行う。
【0016】
このように構成すれば、有料道路で構成される有料経路が案内経路に含まれている場合にのみ、割引出入口の区間が含まれているか否かの判定,案内経路の補正についての処理を行うようにすることができる。
【0017】
なお、この構成において、有料判定手段は、案内経路に基づいて、この案内経路に有料経路が含まれているか否かを判定する手段であり、その具体的な判定方法については特に限定されない。例えば、経路算出手段により算出された案内経路が、有料経路を含んでいるか否かを判定可能なものとなっている場合には、この案内経路に基づいて、案内経路に有料経路が含まれているか否かを判定するように構成すればよい。また、地図データが有料道路に関する情報を含めた情報である場合には、この地図データに基づいて、案内経路に有料経路が含まれているか否かを判定するように構成すればよい。
【0018】
また、上述した区間判定手段は、単純に割引出入口の区間が有料経路に含まれているか否かのみを判定するように構成すればよいが、出入口情報取得手段により取得される出入口情報の内容に応じて、別の条件を付加した方法で判定を行うように構成してもよい。そして、そのように別の条件を付加して判定を行う構成とする場合には、経路補正手段による案内経路の補正についても、その条件に即した方法で行うように構成するとよい。
【0019】
具体的な例としては、例えば、出入口情報取得手段が、所定の有料道路を降りてから該有料道路と路線が異なる別の有料道路に乗り直した場合に、通行料金の割引が適用されることとなる出口および入口である割引出入口に関する情報を出入口情報として取得するのであれば、請求項3に記載のナビゲーション装置のように構成することが考えられる。
【0020】
このナビゲーション装置において、有料判定手段は、有料判定手段は、前記経路算出手段により算出された案内経路に、それぞれ異なるN路線(2≦N)の有料道路が前記有料経路として含まれているか否かを判定する。また、区間判定手段は、前記有料経路における第i(i=1〜N−1)番目に通過することとなる有料道路,および,第j(j=i+1〜N)番目に通過することとなる有料道路からなる経路に、前記割引出入口の区間が含まれているか否かを、前記出入口情報取得手段により取得された出入口情報に基づいて判定する。そして、経路補正手段は、前記経路算出手段により算出された案内経路のうち、前記区間判定手段により前記割引出入口の区間が含まれていると判定された第i番目および第j番目の有料道路にわたる前記割引出入口の区間を、その割引出入口で示される出口から前記第i番目の有料道路を降りて一般道路を経由し、その割引出入口で示される入口から前記第j番目の有料道路に乗る経路となるように補正する。
【0021】
このように構成すれば、複数の有料道路を乗り継ぐ経路に、割引の適用を受けられる区間が存在する場合には、その区間で一般道路を経由するように補正した案内経路に従った通行案内を行うことができる。
【0022】
例えば、第i番目の有料道路から第i+2番目の有料道路までの連続する経路において、第i+1番目の有料道路が渋滞しやすいなど通行が滞りやすい事情がある場合、渋滞緩和のためには、第i+1番目の有料道路に対する交通量を減らすことが有効である。近年では、このことを実現する目的で、上記経路において第i番目の有料道路を所定の出口で降り、第i+2番目の有料道路に所定の入口から乗るといった経路を、通行料金の割引適用が受けられる経路として設定される試みが行われている。こうして、通行料金の割引適用を受けようとするユーザが、第i番目の有料道路を所定の出口で降り、第i+2番目の有料道路に所定の入口から乗るといった経路を通行することで、第i+1番目の有料道路における通行量が減り、結果として渋滞の緩和が期待できる。
【0023】
このように、第i番目の有料道路から第i+2番目の有料道路までの連続する経路が案内経路に含まれている場合、上記ナビゲーション装置では、第i+1番目の有料道路を通らない経路となるようにその案内経路を補正することができるため、通行が滞りやすい有料道路を回避できるような通行案内を実現することが期待できる。
【0024】
なお、この構成において、区間判定手段により割引出入口の区間が複数含まれていると判定されうる場合には、上記含まれていると判定される区間にうち、いずれかの区間についてのみ一般道路を経由するように案内経路が補正される構成とすればよい。
【0025】
具体的な例としては、例えば、区間判定手段により割引出入口の区間が含まれていると判定された場合に、この割引出入口の区間が他の割引出入口の区間と重なっているか否かを判定し、重なっていないと判定されたときのみ、全ての区間について一般道路を経由するように補正する構成とすることが考えられる。
【0026】
また、区間判定手段が、第i番目の有料道路との間で割引出入口区間が含まれているか否かの判定を、第i+1番目の有料道路から第N番目の有料道路まで順番に行うように構成し、所定の順番(例えば、最初,最後)に含まれていると判定された割引出入口の区間についてのみ一般道路を経由するように案内経路が補正される構成とすることが考えられる。
【0027】
このためには、例えば、請求項4に記載のように、経路補正手段が、前記第i+1番目の有料道路から第N番目の有料道路のうち、前記第i番目の有料道路との間で、前記区間判定手段により最後に含まれていると判定された前記割引出入口の区間を、その割引出入口で示される出口から前記第i番目の有料道路を降りて一般道路を経由し、その割引出入口で示される入口から前記第j番目の有料道路に乗る経路となるように補正する、ように構成するとよい。
【0028】
この構成であれば、第m番目の有料道路とそれ以降の有料道路とからなる経路中に複数の割引区間が含まれる場合でも、第m番目の有料道路と、割引区間が含まれている最後の有料道路と、の間における割引区間のみで一般道路を経由するように案内経路を補正することができる。
【0029】
また、上述した各ナビゲーション装置において、経路算出手段は、案内経路として1つの経路のみを算出するものであってもよく、複数の条件に基づく案内経路それぞれを算出するものであってもよい。この後者のように、経路算出手段が複数種類の案内経路それぞれを算出する場合には、通行案内経路が、複数種類の案内経路のうち、ユーザに選択させた1の案内経路に従って通行案内を行うように構成すればよい。
【0030】
また、経路算出手段が複数種類の案内経路それぞれを算出する場合には、各案内経路それぞれに対して経路補正手段による補正が行われるように構成してもよいが、処理負担を軽減する観点からすると、有料道路が含まれる確率の高い案内経路に対してのみ補正を行うように構成してもよい。この後者のための構成としては、例えば、請求項5に記載のナビゲーション装置のように構成することが考えられる。
【0031】
このナビゲーション装置において、前記経路算出手段は、前記案内経路を算出するための条件として、有料道路を優先的に使用する条件を含む複数の条件に基づく案内経路それぞれを算出する。また、通行案内手段は、前記経路案内手段により算出された複数種類の案内経路のうち、ユーザにより選択された案内経路に従った通行案内を行う。そして、区間判定手段は、前記経路算出手段により算出された案内経路のうち、有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路である有料優先経路に対して、前記割引出入口の区間が含まれているか否かの判定を行う、ように構成されている。
【0032】
このように構成すれば、有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路に対してのみ、割引出入口の区間が含まれているか否かの判定が行われる。そのため、その判定で割引出入口の区間が含まれているとされた場合の案内経路の補正についても、有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路,つまり有料道路の含まれる確率が高い案内経路に対してのみ行われるようにすることができる。
【0033】
なお、この構成において、ユーザに案内経路を選択させるためには、経路案内手段により算出された複数種類の案内経路のうち、いずれかの案内経路をユーザに選択させる経路選択手段を備えた構成とすればよい。
【0034】
また、この構成における経路補正手段は、有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路を補正することとなるが、補正前の案内経路については、ユーザに選択させるべき案内経路の候補として残さないように構成すればよい。
【0035】
また、補正前の案内経路とは別に、この案内経路を補正してなる案内経路をユーザに選択させるべき追加的な案内経路とすることも考えられる。このためには、例えば、請求項6に記載のナビゲーション装置のように構成することが考えられる。
【0036】
このナビゲーション装置において、経路補正手段は、前記有料優先経路を補正してなる案内経路を、ユーザに選択させるべき追加的な案内経路として生成する。
このように構成すれば、有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路を、そのままユーザが選択可能な案内経路として残したまま、経路補正手段により補正された案内経路についてもユーザが選択可能な案内経路とすることができる。
【0037】
なお、上述した各ナビゲーション装置は、例えば、車両に備えられる装置(いわゆるカーナビゲーション装置)としたり、携帯情報端末(携帯電話端末を含む)に備えられる装置としたり、といった構成とすればよい。
【0038】
また、請求項7に記載のプログラムは、請求項1から6のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0039】
このようなプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1から5のいずれかに記載のナビゲーション装置の一部を構成することができる。
なお、上述した各プログラムは、コンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、各種記録媒体や通信回線を介してナビゲーション装置やこれを利用するユーザに提供されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載される装置(いわゆるカーナビゲーション装置)であり、図1に示すように、ナビゲーション装置1自身の現在地(現在位置)を特定する現在地特定部12、ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ群14、ナビゲーション装置1外部との間で情報を入出力する外部情報入出力部20、各種情報を記憶する記憶部22との間でデータを入出力するデータ入力部24、地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示部26、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部28、ユーザからの音声を入力するための音声入力部30、CD,DVDまたはメモリカードなどのメディアとの間でデータを入出力するメディアドライブ32、各構成要素の動作を制御する制御部34、リモートコントロール端末(リモコン)42との間でデータ通信を行うリモコンセンサ44、路上に設置された装置との間で通信を行うことで有料道路等の料金収受を行うETC(Electronic Toll Collection)車載器46などを備えている。
【0041】
なお、ここでは、ETC車載器46がナビゲーション装置1に備えられた構成を例示したが、このETC車載器46は、ナビゲーション装置1とデータ通信可能であれば、ナビゲーション装置1と別体の装置として構成されたものであってもよい。
【0042】
現在地特定部12は、GPS受信機12a、ジャイロスコープ12b、車速センサ12cなどからなる。これらのうち、GPS受信機12aは、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナで受信してナビゲーション装置1自身の位置,方位,速度等を検出する。また、ジャイロスコープ12bは、車両に加えられる回転運動の大きさを検出する。また、車速センサ12cは、車両の前後方向の速度を車速パルス発生器から発生される車速パルスに基づいて検出する。そして、これらセンサ類は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用されることで、ナビゲーション装置1自身の現在地を示す現在地情報(座標)が取得される。なお、現在地特定部12は、上述した構成のうちの一部からなるものとしてもよく、その他、ステアリングの回転センサ,各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0043】
操作スイッチ群14は、表示部26における表示面に沿って設置されたタッチパネル,および,表示部26の周辺に設けられたキースイッチなどからなる。
外部情報入出力部20は、FM放送信号や、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)サービス用の固定局から送信される電波ビーコン信号および光ビーコン信号を受信し、これら信号で特定される交通情報(渋滞情報,事故・工事の情報,交通規制の情報など)を取得する。
【0044】
記憶部22は、道路に関する情報,出入口情報,ポイントデータベースなどからなる地図データや、位置検出精度向上のためのマップマッチング用データなどのデータを、記憶媒体(本実施形態においてはハードディスク)に記憶している。なお、上述した道路に関する情報とは、有料道路の通行区間それぞれに対応する通行料金についての情報を含む情報である。また、上述したポイントデータベースとは、目的地として設定可能なポイントの名称それぞれに対し、該当するポイントのカテゴリ,該当するポイントの所在地を示す所在地情報(座標)などが対応づけて登録されたデータベースである。また、上述した出入口情報とは、図2に示すように、所定の有料道路を降りてから、この有料道路と路線が異なる別の有料道路に乗り直した場合に通行料金の割引が適用されることとなる出口および入口(割引出入口)が、その割引率と共に登録されたデータテーブルである。
【0045】
制御部34は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、現在地特定部12の各検出信号から座標および進行方向を車両の現在地として算出し、地図表示処理や後述する経路案内処理などを実行する。この「地図表示処理」とは、データ入力部24を介して読み込んだ現在地付近の地図データや、操作スイッチ群14に対する操作またはリモコン42により指示された範囲の地図データを表示部26に表示させる処理である。
(2)制御部34による経路案内処理
以下、制御部34により実行される経路案内処理の処理手順を図3,図4に基づいて説明する。この経路案内処理は、操作スイッチ群14またはリモコン42によって、表示部26にメニュー画面を表示させるための操作が行われることにより開始される。
【0046】
この経路案内処理が開始されると、まず、表示部26にメニュー画面が表示される(s110)。ここでは、メニュー画面として、目的地をユーザに指定させるための各種メニューからなる画面が表示される。こうして、メニュー画面が表示された後、ユーザは、操作スイッチ群14,リモコン42により目的地とすべきポイント(地図上のポイント)を指定する操作を行うことができる。
【0047】
このs110にてメニュー画面が表示された以降、操作スイッチ群14またはリモコン42による操作が行われたら、その操作が目的地を指定する操作であるか否かがチェックされる(s120)。
【0048】
このs120で、操作スイッチ群14またはリモコン42による操作が目的地を指定する操作でないと判定された場合(s120:NO)、その操作に対応する処理(その他の処理)が行われた後(s130)、プロセスがs120へ戻る。なお、ここで本経路案内処理を終了するための操作が行われた場合には、s120へ戻ることなく本経路案内処理そのものが終了されることとなるが、その処理内容については省略する。
【0049】
また、上述したs120で、操作スイッチ群14またはリモコン42による操作が目的地を指定する操作であると判定された場合(s120:YES)、こうして指定されたポイントが目的地として設定される(s140)。
【0050】
次に、現在地特定部12により特定される現在地からs140で設定された目的地までの案内経路が、データ入力部24を介して読み込んだ地図データに基づいて算出される(s150)。このとき、現在地から目的地に至る案内経路としては、国道などの主要道路を主に使用することを条件に算出される「推奨経路」,有料道路を優先的に使用することを条件に算出される「有料優先経路」,有料道路を使用しないことを条件に算出される「一般優先経路」,目的地までの距離を最も短くすることを条件に算出される「距離優先経路」,「推奨経路」とは異なる道路を使用することを条件に算出される「別ルート」,の5種類それぞれが算出される。そして、こうして算出された案内経路それぞれが、制御部34における内蔵メモリの案内経路記憶用の記憶領域に記憶される。
【0051】
次に、s150にて算出された案内経路それぞれについて、各案内経路に含まれる有料道路を通過する際に必要な通行料金の合計金額が算出される(s160)。ここでは、各案内経路のうち、有料道路を含んでいる案内経路についてのみ、通行料金の合計金額が算出される。
【0052】
次に、s150にて算出された各案内経路と、それぞれについてs160にて算出された通行料金の合計金額と、が対応づけられた状態で、制御部34のメモリにおける所定の記憶領域に記憶される(s170)。このとき、有料道路を含んでいない案内経路に対しては、合計金額「0」を示す値が対応づけられた状態で記憶される。
【0053】
次に、s150にて算出された案内経路のうちの「有料優先経路」が、有料道路を使用する経路として算出されたものであるか否かがチェックされる(s180)。
このs180で、有料優先経路が有料道路を使用する経路として算出されたものであると判定された場合には(s180:YES)、後述するs310〜s430を終えた後で次の処理(s200)へ移行する。一方、有料道路を使用する経路として算出されたものでないと判定された場合には(s180:NO)、後述するs310〜s430を行うことなく、次の処理(s200)へ移行する。
【0054】
ここで、s180にて有料道路を使用する経路として算出されたものであると判定された場合に行われる処理を図4に基づいて説明する。
この場合、まず、s150にて算出された有料優先経路に基づいて、この有料優先経路を構成する有料道路の路線数Nが算出される(s310)。
【0055】
次に、s310にて算出された路線数Nが1より大きいか否か(1<N)がチェックされる(s320)。
このs320で、路線数Nが1より大きいと判定された場合(s320:YES)、変数mに「1」がセット(1→m)され(s330)、この変数mの値が変数nにセット(m→n)された後(s340)、変数nに「1」が加算(n+1→n)される(s350)。このs340,s350により、変数nは、変数mに「1」を加算した値(n=m+1)となる。
【0056】
次に、有料優先経路を構成する有料道路のうち、通過する順番が第m番目の路線を降りてから第n番目の路線に乗り直した場合に、通行料金の割引の適用が受けられる出口および入口の区間(以降、「割引区間」という)が、第m番目〜第n番目の経路に存在しているか否かがチェックされる(s360)。ここでは、まず、データ入力部24を介して出入口情報(図2参照)が読み込まれ、この出入口情報に、第m番目の経路に存在する出口,および,第n番目の経路に存在する入口の組み合わせ(両出入口の対応づけられたレコード)が登録されているか否かのチェックが行われる。なお、出入口情報は、このs360が最初に行われるときにデータ入力部24を介して取得して制御部34の内蔵メモリに記憶しておき、以降に行われるs360では、この内蔵メモリに記憶された出入口情報を参照するように構成してもよい。
【0057】
このs360で、割引区間が存在していると判定された場合には(s360:YES)、この割引区間が、第m番目の経路から降りて一般道路を経由した後で第n番目の経路となるように、有料優先経路が補正された後(s370)、プロセスが次の処理(s380)へ移行する。このs370では、まず、有料優先経路における割引区間の出口までの経路,および,この出口から割引区間の入口に至るまでを一般道路でつないだ経路が、上述したs150と同様、地図データに基づいて算出される。そして、こうして算出された案内経路が、有料優先経路とは別の案内経路として生成される。
【0058】
なお、本経路案内処理の起動後、先に行われたs370で既に上記別の案内経路が生成されていたとしても、その経路が以降の処理(s390)にて一時記憶されていない場合には、このs370において上記別の案内経路が生成し直されることになる。それに対し、その経路が以降の処理(s390)にて一時記憶されている場合、このs370においては、その生成済み経路における割引区間の出口までの経路,および,この出口から割引区間の入口に至るまでを一般道路でつないだ経路が地図データに基づいて算出される。
【0059】
一方、上述したs360で割引区間が存在していないと判定された場合には(s360:NO)、s370を行うことなく、プロセスが次の処理(s380)へ移行する。
次に、変数nの値が路線数Nと同じ値になっている(n=N)か否かがチェックされる(s380)。
【0060】
このs380で変数nの値が路線数Nと同じ値になっていないと判定された場合(s380)、プロセスがs350へ戻る。こうして、s350へ戻った以降は、このs350にて変数nに「1」が加算されることから、割引区間の有無および案内経路の補正が、第m番目の路線と直前のs360〜s370で参照した路線の次の路線との関係で行われるようになる。
【0061】
こうして、s350〜s380の処理が、変数nの値が路線数Nに到達するまで繰り返されたら、s380において変数nの値が路線数Nと同じ値になっていると判定され(s380:YES)、直前に行われたs370にて生成された案内経路が、制御部34のバッファに一時記憶される(s390)。
【0062】
次に、変数mに、この時点における変数nの値がセットされた後(s400)、変数mの値が路線数Nと同じ値になっている(m=N)か否かがチェックされる(s410)。
このs410で変数mの値が路線数Nと同じ値になっていないと判定された場合(s410:NO)、プロセスがs340へ戻る。こうして、s340へ戻った以降は、s400で変数mに変数nがセットされていることから、割引区間の有無および案内経路の補正を行う際の基準となる路線(第m番目の路線)が、先に基準となっていた路線から変数nの値で示される路線に変更されたうえで、以降の処理が行われるようになる。
【0063】
こうして、s340〜s410の処理が、変数mの値が路線数Nに到達するまで繰り返されたら、s410において変数mの値が路線数Nと同じ値になっていると判定され(s410:YES)、次の処理(s420)へ移行する。
【0064】
また、上述したs320で、路線数Nが1以下であると判定された場合(s320:NO)、s310〜s410を行うことなく、次の処理(s420)へ移行する。
次に、上述したs390にて記憶された「乗継経路」について、この経路に含まれる有料道路を通過する際に必要な通行料金の合計金額が算出される(s420)。この「乗継経路」については、割引区間の出口から入口までの経路が一般道路になっているため、この前後の有料道路を通過する際に必要な通行料金それぞれが合計金額の一部として計上されることになる。ただ、割引区間の入口以降の有料道路を通過する際に必要な通行料金として計上される金額は、上記割引区間に対応づけて出入口情報(図2参照)に登録された割引率を乗算した金額である。
【0065】
次に、上述したs390にてメモリに記憶された乗継経路と、s420にて算出された通行料金の合計金額と、が対応づけられた状態で、制御部34のメモリにおける所定の記憶領域に記憶される(s430)。
【0066】
こうして、s430を終えた後、または、上記s180で有料優先経路が有料道路を使用する経路として算出されたものでないと判定された場合(s180:NO)、表示部26に経路選択画面が表示される(s200)。ここでは、図5に示すように、s170,s430にてメモリに記憶された各案内経路の中から、通行案内を受けるべき案内経路をユーザに指定させるための各種メニュー(上述した「推奨経路」102,「有料優先経路」104,「一般優先経路」106,「距離優先経路」108,「別ルート」110の各ボタン、および、後述する「乗継ルート」112のボタン)からなる経路選択画面が表示される。こうして、経路選択画面が表示された後、ユーザは、操作スイッチ群14またはリモコン42により、いずれかの案内経路を選択(いずれかのボタンを選択)する操作を行うことができる。
【0067】
このs200にて経路選択画面が表示された以降、操作スイッチ群14またはリモコン42による操作が行われたら、その操作が案内経路を選択する操作であるか否かがチェックされる(s210)。
【0068】
このs210で、操作スイッチ群14またはリモコン42による操作が案内経路を選択する操作でないと判定された場合(s210:NO)、その操作に対応する処理(その他の処理)が行われた後(s220)、s210へ戻る。なお、ここで本経路案内処理を終了するための操作が行われた場合には、s210へ戻ることなく本経路案内処理そのものが終了されることとなるが、この処理については省略する。
【0069】
そして、上述したs210で、操作スイッチ群14またはリモコン42による操作が案内経路を選択する操作であると判定された場合(s210:YES)、こうして選択された案内経路が表示部26に表示された後(s230)、この案内経路に従った経路案内(走行案内)が開始される(s240)。
(3)作用,効果
このように構成されたナビゲーション装置1によれば、図3のs150で算出された有料優先経路に通行料金の割引が適用される有料道路の出入口が含まれている場合、この出入口の区間(割引区間)を、図4のs310〜s410により一般道路を経由するように補正することができる。これにより、図3のs210でユーザが有料優先経路を案内経路として選択した場合には、上記割引区間につき、一般道路を経由するように通行案内することができる。つまり、通行料金の割引の適用を受けることができるように設定された有料道路の出入口について、この出入口を介して適切に有料道路に出入りできるような通行案内を実現することができる。
【0070】
例えば、次に示すような経路が割引区間として設定されている場合を例示して説明する。すなわち、第i番目から第i+2番目の有料道路が連続する経路において、第i番目の有料道路を所定の出口で降り、第i+2番目の有料道路に所定の入口から乗る経路が、第i+1番目の有料道路の混雑を緩和する目的で割引区間として設定されている場合である。この場合において、上述した第i番目の有料道路から第i+2番目の有料道路までの連続する経路が有料優先経路に含まれていると、上記ナビゲーション装置1は、第i+1番目の有料道路を通らないようにその有料優先経路を補正することになる。これにより、混雑する有料道路を回避して適切に有料道路に出入りできるような通行案内が実現できる。
【0071】
また、上記実施形態では、有料優先経路が複数の有料道路を乗り継ぐ経路である場合に、連続する有料道路間で割引の適用を受けられる区間が存在すれば、その区間で一般道路を経由するように補正した経路に従った通行案内を行うことができる。
【0072】
また、上記実施形態では、図3におけるs180で有料優先経路に有料道路を使用する経路であると判定された場合にのみ、図4のs310以降の処理,つまり有料優先経路に割引区間が含まれているか否かの判定(同図s360),この有料優先経路を補正してなる経路の生成(同図s370)などを行うようにすることができる。
【0073】
また、上記実施形態において、経路案内処理では、有料優先経路,つまり有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路に対してのみ、割引区間が含まれているか否かの判定が行われる(図4のs360)。そのため、その判定で割引区間が含まれているとされた場合の案内経路の補正についても(同図s370)、有料優先経路,つまり有料道路の含まれる確率が高い案内経路に対してのみ行われるようにすることができる。
【0074】
また、上記実施形態において、経路案内処理では、図4のs310〜s410において有料優先経路を補正してなる案内経路が、ユーザが指定可能な乗継経路として生成される(同図s390)。そのため、有料優先経路を、そのままユーザが指定可能な案内経路として残したまま、有料優先経路を補正してなる乗継経路についても、ユーザが指定可能な案内経路とすることができる。
【0075】
また、上記実施形態においては、図4におけるs360による第m番目の路線に対する割引経路の有無のチェックを第m+1番目の路線から順番に行い(同図s350〜s380)、その都度、割引区間について一般道路を経由するように補正してなる経路を生成し直すことで(同図s370)、最後に生成された経路を乗継経路の一部とすることができる。これにより、第m番目の路線とそれ以降の路線とからなる経路中に複数の割引区間が含まれている場合であっても、第m番目の路線と割引区間が含まれている最後の路線との間における割引区間のみについて一般道路を経由する乗継経路を生成することができる。
(4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0076】
例えば、上記実施形態においては、本発明のナビゲーション装置をカーナビゲーション装置に適用した構成を例示した。しかし、本発明のナビゲーション装置は、カーナビゲーション装置以外の装置に適用してもよい。例えば、携帯電話端末などの携帯情報端末に内蔵する装置として適用することが考えられる。
【0077】
また、上記実施形態においては、出入口情報が記憶部22に記憶され、ここから制御部34が出入口情報を取得するように構成されたものを例示した。しかし、この出入口情報の取得元については特に限定されない。例えば、外部情報入出力部20を介してナビゲーション装置1と通信可能な装置を、出入口情報の取得元とすることが考えられる。また、メディアドライブ32を介してデータを入出力可能なメディアを、出入口情報の取得元とすることが考えられる。また、ETC車載器46を出入口情報の取得元とすることが考えられる。
【0078】
また、上記実施形態において、経路案内処理では、有料優先経路に、路線の異なる有料道路間に存在する出口および入口の割引区間が存在しているか否かをチェックする(図4のs360)ように構成されたものを例示した。しかし、ここでのチェックは、出入口情報の内容が上記実施形態とは異なる場合であれば、それに応じた異なる方法で行うように構成してもよい。
【0079】
例えば、割引区間として、「路線が同一か否かに拘わらず、通行料金の割引の適用が受けられる出口および入口の区間」が存在しており、そのような割引区間が出入口情報に登録されている場合である。このような場合、には図4のs310〜s410において、路線数Nを、有料優先経路を構成する有料道路の全ての出口数Mと読み替え、s320を出口数Mが2より大きいか否かを判定し、また、s400,s410が行われない処理とすればよい。
【0080】
このような構成とすれば、有料優先経路における割引区間が、同じ路線の有料道路に存在する場合であっても、異なる路線の有料道路にわたって存在する場合であっても、その割引区間につき一般道路を経由するような経路案内を実現することができる。
【0081】
また、上記実施形態において、経路案内処理では、図4のs310〜s410において有料優先経路を補正してなる案内経路が、ユーザが選択可能な「乗継経路」として生成される構成となっているものを例示した。しかし、この有料優先経路は、ユーザに選択させる案内経路として残さないように構成してもよい。このためには、例えば、図4のs430で、同図s390にて記憶された乗継経路を優先有料経路として上書きするように構成するとよい。
【0082】
また、上記実施形態において、経路案内処理では、図2のs150で算出された案内経路のうち、有料優先経路のみに対して図3のs370による補正が行われるように構成されたものを例示した。これは、有料優先経路が有料道路を含む経路である確率が高いことから、処理負担を軽減する観点から好適な構成といえる。ただ、制御部34の処理能力に余裕があるような場合であれば、複数の案内経路それぞれに対して、同図s370による補正が行われるように構成してもよい。
【0083】
このためには、例えば、図3,図4の経路案内処理を以下に示すようにするとよい。
すなわち、図2のs170を終えた後、図6に示すように、s150で算出された案内経路の中に、以降の処理を終えていない案内経路(未処理の案内経路)が存在するか否かをチェックする(s510)。
【0084】
このs510で、未処理の案内経路が存在していれば(s510:YES)、その未処理の案内経路のうちいずれかを以降の処理対象として設定した後(s520)、s180へ移行し、その経路が有料道路を使用する経路か否かをチェックする。そして、このs180において、有料道路を使用すると判定された場合には、プロセスを図4のs310へ移行させ、有料道路を使用していないと判定された場合には、プロセスをs510へ移行させる。その一方、上述したs510で、未処理の案内経路が存在していない,つまり全ての案内経路に対する処理が終了したら(s510:NO)、プロセスをs200へ移行させる。
【0085】
このように構成すれば、全ての案内経路に対して補正を行うことができる。
また、上記実施形態における経路案内処理では、図4のs310〜s410において有料優先経路を補正してなる乗継経路が、必ず経路選択画面において選択可能となる構成を例示した。しかし、このように乗継経路が選択できるようにするか否かを、ユーザが任意に設定できるように構成してもよい。
【0086】
このためには、例えば、図7(a)に示すように、ナビゲーション装置1に関する各種設定を行うためのメニューに、乗継経路による通行案内を実現するか否かを設定するための項目(乗継ルート案内を「する」または「しない」旨のボタン204,206)を設けておき、ここで乗継経路による通行案内を実現する旨の設定がなされている場合(するボタン204が選択されている場合)にのみ、乗継経路が経路選択画面において選択可能となるように構成することが考えられる。具体的な例としては、図3におけるs170の後、乗継経路による通行案内を実現する旨の設定がなされているか否かの判定を行い、その旨の設定がなされている場合にのみ、同図s180へ移行し、その旨の設定がなされていない場合には、直ちに同図s200へ移行するように構成するとよい。
【0087】
また、図7(b)に示すように、乗継経路による通行案内を実現するか否かの設定をユーザに促すためのメニュー画面を、経路案内処理の途中で表示し、その画面に従って実現すべき旨の設定がなされた場合(「はい」ボタン212が選択された場合)にのみ、乗継経路が経路選択画面において選択可能となるように構成することも考えられる。具体的な例としては、図4におけるs410で「YES」とされた後、図7(b)に示す画面を表示部26に表示させ、その表示内容に従って乗継経路による通行案内を実現すべき旨の設定がなされた場合にのみ、同図s420へ移行し、実現すべきでない旨の設定がなされた場合には、直ちに図3のs200へ移行するように構成するとよい。
【0088】
また、上記実施形態においては、図4におけるs360による第m番目の路線に対する割引経路の有無のチェックを第m+1番目の路線から順番に行い(同図s350〜s380)、その都度、割引区間について一般道路を経由するように補正してなる経路を生成し直すことで(同図s370)、最後に生成された経路が乗継経路の一部となるように構成されている(同図s390)。つまり、第m番目の路線とそれ以降の路線とからなる経路中に複数の割引区間が含まれている場合であっても、第m番目の路線と割引区間が含まれている最後の路線との間における割引区間のみについて一般道路を経由する乗継経路が生成される構成となっている。
【0089】
しかし、このように複数の割引区間が含まれうる場合において、いずれかの割引区間のみについて一般道路を経由するように補正するための構成は、この構成に限られない。例えば、図4のs360で割引区間が含まれていると判定された場合に、s370を行った後でs380を行わずにs390へ移行するように構成することが考えられる。この場合、第m番目の路線と割引区間が含まれている最初の路線との間における割引区間のみについて一般道路を経由する乗継経路が生成されることとなる。
【0090】
また、第m番目の路線とそれ以降の路線とからなる経路中に複数の割引区間が含まれている場合であっても、それぞれの区間が重ねっていなければ、それぞれの区間について一般道路を経由する乗継経路が生成されるように構成してもよい。具体的にいうと、同図s360で割引区間が含まれていると判定された場合に、先に行われたs370にて既に案内経路が生成されていれば、その割引区間がこの案内経路と重なるか否かをチェックするように構成するとよい。そして、重なると判定された場合に案内経路の生成を行うことなくs380へ移行し、重ならないと判定された場合には生成済みの案内経路において上記割引区間に対応する区間を補正するように構成するとよい。
(5)経路案内処理の実例
以下に、上記経路案内処理を、下記現在地から目的地へ向かう経路に適用する場合を例示する。
【0091】
現在地:甲子園球場
目的地:ラマダ関空(大阪府;ホテル)
計算条件:有料道優先
図2におけるs110〜s170までで算出される有料優先経路は、全て有料道路を使用する下記経路となる。この経路での走行距離は有料道路58km,一般道路4kmとなり、通行料金は1200円となる。
【0092】
[経路] 3号神戸線−16号大阪線(北行)−13号東大阪線−1号環状線−15号堺線−1号環状線−16号大阪線(南行)−4号湾岸線
その後、s180では、上記経路が有料道路を使用することから、プロセスが図4のs310へ移行する。
【0093】
このs310で算出される路線数Nは「8」となる。以降、説明を容易ならしめる目的で、それぞれの路線を以下のように示す。
・路線1:3号神戸線
・路線2:16号大阪線(北行)
・路線3:13号東大阪線
・路線4:1号環状線
・路線5:15号堺線
・路線6:1号環状線
・路線7:16号大阪線(南行)
・路線8:4号湾岸線
この後、プロセスは、s320〜s350を経て、s360へ移行する。このs360では、出入口情報(図2参照)に基づき、路線1から降りて一般道路を経由して路線2に乗った場合に、通行料金の割引の適用が受けられることとなる出口および入口が存在するか否かを判定する。
【0094】
この場合、路線1と路線2との関係では、通行料金の割引の適用が受けられることとなる出口および入口が存在せず、また、この時点で変数n=2であるため、プロセスが再度s350を経てs360に移行する。このs350では、変数nに「1」が加算されるため、次に路線1と路線3との関係でs360の判定がなされることとなる。
【0095】
路線1と路線3との関係では、該当する出口および入口が存在せず、また、変数n=3であるため、プロセスが再度s350を経てs360へ移行する。このs350では、変数nに「1」が加算されるため、次に路線1と路線4との関係でs360の判定がなされることとなる。
【0096】
路線1と路線4との関係では、該当する出入口(中之島西出口−堂島入口)が存在しているため、s360で「YES」とされ、その出入口の区間についての補正がs370にて行われる。また、この時点では、変数n=4であるため、プロセスは再度s350を経てs360へ移行する。このs350では、変数nに「1」が加算されるため、次に路線1と路線5との関係でs360の判定がなされることとなる。
【0097】
その後、路線1と路線5〜路線7それぞれとの関係では、該当する出入口が存在せず、この時点で変数n=5〜7であるため、プロセスは再度s350を経てs360へ戻る。このs350では、変数nに「1」が加算されるため、次に路線1と路線8との関係でs360の判定がなされることとなる。
【0098】
経路1と経路8との関係では、該当する出入口(中之島西出口−堂島入口)が存在しているため、s360で「YES」とされ、その出入口の区間についての補正がs370にて行われる。
【0099】
この時点で変数n=8であるため、s380で「YES」とされ、プロセスがs390へ移行する。ここでは、路線1に対する最終経路は中之島西出口で退出し、波除入口で進入する乗換経路が最後に算出されていることになる。そして、この経路が記憶される。
【0100】
以上により、路線1から路線7への乗り継ぎが設定されたため、次は路線7から続く経路に対して同様のフローを適用させるため、s400にて変数mに、この時点での変数nの値「7」をセットし、以降、s340〜s410がm=Nとなるまで繰り返される。
【0101】
このようにして有料優先経路全体にわたってs340〜s410が行われた後、s420,s430によって、最終的にs390で一時記憶された経路に基づいて通行料金の合計金額を算出し、この通行料金をs390で一時記憶された経路と共にメモリに記憶する。
【0102】
こうして生成された乗継経路は、下記経路となる。この経路での走行距離は有料道路48km,一般道路7kmとなり、通行料金は割引の適用を受けることで1200円となる。この料金は、割引の適用を受けない場合の1900円よりも割安となる。
【0103】
[経路] 3号神戸線(中之島西出口)−一般道路−16号大阪線(南行)−4号湾岸線
(6)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、図3のs150が本発明における経路算出手段であり、同図s160が本発明における有料判定手段であり、同図s240が本発明における通行案内手段であり、図4のs360が本発明における出入口情報取得手段および区間判定手段であり、同図s370が本発明における経路補正手段である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】出入口情報のデータ構造を示す図
【図3】経路案内処理を示すフローチャート(1/2)
【図4】経路案内処理を示すフローチャート(2/2)
【図5】経路選択画面を示す図
【図6】別の実施形態における経路案内処理を示すフローチャート
【図7】別の実施形態におけるメニューに関する画面を示す図
【符号の説明】
【0105】
1…ナビゲーション装置、12…現在地特定部、12a…GPS受信機、12b…ジャイロスコープ、12c…車速センサ、14…操作スイッチ群、20…外部情報入出力部、22…記憶部、24…データ入力部、26…表示部、28…音声出力部、30…音声入力部、32…メディアドライブ、34…制御部、42…リモコン、44…リモコンセンサ、46…ETC車載器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関する情報を示す地図データに基づいて出発地から目的地へと至る案内経路を算出する経路算出手段と、該経路案内手段により算出された案内経路に従って現在地から目的地までの通行案内を行う通行案内手段と、を備えたナビゲーション装置であって、
有料道路に関する情報であって、有料道路を降りてから有料道路に乗り直した場合に通行料金の割引が適用されることとなる出口および入口である割引出入口に関する出入口情報を、外部から取得する出入口情報取得手段と、
前記経路算出手段により算出された案内経路のうちの有料道路で構成される有料経路に、前記割引出入口の区間が含まれているか否かを、前記出入口情報取得手段により取得された出入口情報に基づいて判定する区間判定手段と、
該区間判定手段により前記割引出入口の区間が含まれていると判定された場合に、その割引出入口における出口から前記有料経路を降りて一般道路を経由し、その割引出入口における入口から前記有料経路に乗り直す経路となるように、前記経路算出手段により算出された案内経路を補正する経路補正手段を備えている
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路算出手段により算出された案内経路に基づいて、該案内経路に前記有料経路が含まれているか否かを判定する有料判定手段を備えており、
前記区間判定手段は、前記有料判定手段により前記有料道路が含まれていると判定された場合に、前記有料経路に前記割引出入口の区間が含まれているか否かの判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記出入口情報取得手段は、所定の有料道路を降りてから該有料道路と路線が異なる別の有料道路に乗り直した場合に通行料金の割引が適用されることとなる出口および入口である割引出入口に関する出入口情報を外部から取得して、
前記有料判定手段は、前記経路算出手段により算出された案内経路に、それぞれ異なるN路線(2≦N)の有料道路が前記有料経路として含まれているか否かを判定して、
前記区間判定手段は、前記有料経路における第i(i=1〜N−1)番目に通過することとなる有料道路,および,第j(j=i+1〜N)番目に通過することとなる有料道路からなる経路に、前記割引出入口の区間が含まれているか否かを、前記出入口情報取得手段により取得された出入口情報に基づいて判定して、
前記経路補正手段は、前記経路算出手段により算出された案内経路のうち、前記区間判定手段により前記割引出入口の区間が含まれていると判定された第i番目および第j番目の有料道路にわたる前記割引出入口の区間を、その割引出入口で示される出口から前記第i番目の有料道路を降りて一般道路を経由し、その割引出入口で示される入口から前記第j番目の有料道路に乗る経路となるように補正する
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記区間判定手段は、前記第i番目の有料道路との間で、前記割引出入口区間が含まれているか否かの判定を、前記第i+1番目の有料道路から第N番目の有料道路まで順番に行い、
前記経路補正手段は、前記第i+1番目の有料道路から第N番目の有料道路のうち、前記第i番目の有料道路との間で、前記区間判定手段により最後に含まれていると判定された前記割引出入口の区間を、その割引出入口で示される出口から前記第i番目の有料道路を降りて一般道路を経由し、その割引出入口で示される入口から前記第j番目の有料道路に乗る経路となるように補正する
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路算出手段は、前記案内経路を算出するための条件として、有料道路を優先的に使用する条件を含む複数の条件に基づく案内経路それぞれを算出して、
前記通行案内手段は、前記経路案内手段により算出された複数種類の案内経路のうち、ユーザにより選択された案内経路に従った通行案内を行うように構成されており、
さらに、前記区間判定手段は、前記経路算出手段により算出された案内経路のうち、有料道路を優先的に使用する条件にて算出された案内経路である有料優先経路に対して、前記割引出入口の区間が含まれているか否かの判定を行う、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経路補正手段は、前記有料優先経路を補正してなる案内経路を、ユーザに選択させるべき追加的な案内経路として生成する、ように構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−127432(P2007−127432A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318220(P2005−318220)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】