説明

ナビゲーション装置

【課題】 ユーザ定義の特定地点または当該特定地点を含む所定範囲のエリアを経由する案内ルートの探索を、常時において簡単な操作により行うこと。
【解決手段】 外部メモリ10には、ユーザ定義の特定地点である思い出地点が、地図データベース4中の地図データと対応付けた状態で登録される。制御装置2には、外部メモリ10に登録された思い出地点または当該思い出地点を含む所定範囲のエリアを経由する案内ルートを算出する思い出地点経由ルート探索機能が設定されており、この探索機能により算出された思い出地点経由案内ルートは、そのルート長と、通常の経路探索動作により得られる基準案内ルートのルート長との差が、ユーザにより設定された遠回り距離の許容値以下である場合のみ表示装置5の地図画面上で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの案内ルートを算出する経路探索機能を備えたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置には、現在位置(或いはユーザが設定した出発地)からユーザが入力した目的地までの案内ルートを算出する経路探索機能が設けられており、この経路探索機能には、ユーザが設定した立寄り地点を通過する案内ルートを算出する補助機能も付加されているのが一般的である(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特願平8−17278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来のカーナビゲーション装置では、目的地までの案内ルートから大きく離れていない位置に、ユーザ定義の特定地点、例えばユーザが必ず通りたいと思う特定地点(思い出がある場所、景観が良い場所など)が存在する場合に、その特定地点を経由する案内ルートを算出させるためには、その都度、上記特定地点を立寄り地点として設定する操作が必要になり、その操作が煩雑になるという問題点があった。また、経路探索を行なうための入力操作時において、特定地点を立寄り地点として設定する操作を忘れた場合には、経路探索のための入力を最初からやり直す操作、或いは、一旦算出された案内ルートを編集するための操作が必要になり、このような場合にも操作が煩雑化するという問題点があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザ定義の特定地点または当該特定地点を含む所定範囲のエリアを経由する案内ルートの探索を、常時において簡単な操作により行い得るようになるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の手段によれば、記憶手段に対して、ユーザ定義の特定地点(例えばユーザが必ず通りたいと考える特定地点)を予め登録しておけば、経路探索手段は、出発地から目的地までの案内ルートを算出する際に、記憶手段に登録された前記特定地点または当該特定地点を含む所定範囲のエリアを経由する案内ルートを算出するようになり、表示手段が、このように算出された特定地点経由案内ルートを地図画面上で表示するようになる。このため、ユーザに対して、表示手段の表示内容に基づいて前記特定地点を経由するルートを確実に案内できるようになり、また、特定地点経由案内ルートを算出する際に、その都度、特定地点を立寄り地点として設定する操作が不要になると共に、立寄り地点の設定操作を忘れる恐れがなくなり、結果的に、特定地点経由ルートの探索を、常時において簡単な操作により行い得るようになる。
【0006】
請求項2記載の手段によれば、経路探索手段は、遠回り距離の許容値を設定可能に構成され、特定地点を考慮しない経路探索動作により算出した基準案内ルートのルート長と、前述のように算出した特定地点経由案内ルートのルート長との差が、上記遠回り距離の許容値以下であった場合のみ、当該特定地点経由案内ルートを有効化して前記表示手段での表示に供するようになる。このため、特定地点経由案内ルートを算出する際に、どの程度の遠回りを許容するかをユーザ側で設定できることになり、そのような特定地点経由ルート探索機能の有用性を高め得るようになる。
【0007】
請求項3記載の手段によれば、特定地点経由ルート探索機能が不要な場合には、これをユーザ側の操作により無効化できるから、実際の使用上において便利になる。
請求項4記載の手段によれば、前記表示手段に表示された特定地点経由案内ルートに沿った移動時において、前記特定地点から所定距離内のエリアに入ったときに、ユーザ定義の音声情報が音声出力手段から出力されるようになるから、ユーザに対して、特定地点への接近を音声情報に基づいて確実に報知できるようになる。この場合、当該音声情報に対して、ユーザ自身が種々の工夫を施すことが可能になるから、上記報知機能の付加価値を向上させ得るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をカーナビゲーション装置に適用した一実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、全体の電気的構成が機能ブロックの組み合わせにより概略的に示されている。この図1において、カーナビゲーション装置1は、そのナビゲーション動作を制御する機能を有した制御装置2(経路探索手段に相当)に対して、位置検出器3、地図データベース4、表示装置5(表示手段に相当)、操作スイッチ群6、リモコンセンサ7、音声コントローラ8、音声認識装置9、外部メモリ10(記憶手段に相当)、VICS受信機11、オーディオ装置12(音声出力手段に相当)などを接続して構成されている。
【0009】
制御装置2は、CPU、ROM、RAM、I/Oインタフェース及びこれらを接続するバスラインなど(何れも図示せず)を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。これらのうち、ROMには、カーナビゲーション用のプログラムなどが格納され、RAMにはプログラム実行時の処理データの他に地図データベース4から取得した道路地図データやVICS受信機11が受信した道路交通情報などが一時的に格納される。
【0010】
位置検出器3は、例えば、GPS用人工衛星からの信号を受信するGPS受信機13、ヨーレートを検出するためのジャイロセンサ14、車両の走行距離を検出するための距離センサ15、車両のピッチング方向の傾斜角を検出するための傾斜角センサ16などを含んで構成されており、車両の現在位置情報を算出する部分である。
【0011】
地図データベース4は、CD−ROMやDVD−ROM或いはHDD、不揮発性の半導体メモリなどのような大容量の情報記録媒体を利用して構成されたものであり、地図表示のための地図描画用データ、マップマッチングや経路探索、経路誘導などの種々の処理に必要な道路データ、交差点の詳細データから成る交差点データ、背景レイヤのための背景データ、地名などを表示するための地名データの他に、施設名称を例えば50音順に並べた施設名称データベース、電話番号と施設の対応を示す電話番号データベースなど、多様な地図データが記憶されている。
【0012】
表示装置5は、地図画面などを表示するための例えばカラー液晶ディスプレイを含んで構成されており、車両の運転席近傍に設置される。この表示装置5の画面には、通常時において縮尺を複数段階に変更可能な道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、周知のダイクストラ法を用いて行われる目的地までの経路計算結果に基づいた経路案内機能の実行時には、道路地図に重ね合わせた状態で進むべき案内ルート(誘導経路)が表示されるようになっている。さらに、ユーザ(一般的には車両の運転者)による目的地などの検索及び入力のための各種のメニュー画面及び入力画面、並びに各種のメッセージ・インフォメーションやヘルプ画面なども表示されるようになっている。
【0013】
操作スイッチ群6は、表示装置5の周辺に配置されたメカニカルスイッチや当該表示装置5のディスプレイ上に形成されたタッチパネルスイッチなどから成り、その操作に応じて、カーナビゲーション装置1に係る各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整など)の実行を指示する種々の操作コマンドを発生して制御装置2に与える構成となっている。
【0014】
リモコンセンサ7は、リモコン7aからのリモコン信号、つまり、上述したカーナビゲーション装置1に係る各種機能の実行を指示するための種々の操作コマンドを含む信号を制御装置2に与えるために設けられている。
【0015】
音声コントローラ8は、音声合成回路及びアンプなどを含んで構成されたもので、音声認識装置9を制御すると共に、音声入力があった運転者などに対し、スピーカ8a(音声出力手段に相当)を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、制御装置2からの音声情報(経路案内のためのメッセージや画面操作に係るガイダンスなど)をスピーカ8aから出力すると共に、音声認識装置9による音声認識結果を制御装置2に与える処理を実行する。
【0016】
音声認識装置9は、マイクロホン9aからの音声入力をデジタルデータに変換する音声抽出部、音声認識用の比較パターン候補辞書を含んで成る音声認識部などを備えたもので、ユーザが発した音声を認識した結果を音声コントローラ8経由で制御装置2に与える構成となっている。尚、音声認識装置9は、前記操作スイッチ群6による種々の操作コマンドに対応した音声コマンドを識別できる構成となっており、この音声コマンドによりカーナビゲーション装置1に係る前述の各種機能の実行を指示できるようになっている。
【0017】
外部メモリ10は、フラッシュメモリなどのデータ書き換え可能な不揮発性メモリやHDDなどにより構成されたもので、電源オフ時にも消去してはいけない特定データを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データベースからコピーして利用したりするなどの用途のために設けられている。尚、外部メモリ10は、リムーバブルメディアにより構成しても良い。
【0018】
VICS受信機11は、VICSセンサユニットやFM多重放送受信機(何れも図示せず)などを備えたもので、例えばVICSセンサユニットがVICS局から受信した光/電波ビーコンなどによる道路交通情報やFM多重放送受信機が受信したFM多重放送からの道路交通情報を制御装置2に与える構成となっている。
【0019】
オーディオ装置12は、音源ユニット、チューナ、アンプ、多チャンネルスピーカなどを含んで構成されたもので、音源ユニット或いはチューナからの音声信号を多チャンネルスピーカから再生出力する動作を制御装置2からの指令に応じて実行する。上記音源ユニットとしては、多連装CDチェンジャ、HDD、MDなどが設けられるものであるが、特に、前記地図データベース4がHDDにより構成されている場合、或いは前記外部メモリ10がHDDにより構成されている場合には、当該HDDを音源ユニットとして兼用可能である。また、前記スピーカ8aは、オーディオ装置の多チャンネルスピーカの1チャンネルを利用して構成することも可能である。
【0020】
制御装置2は、操作スイッチ群6やリモコンセンサ7を通じて入力された操作コマンドや音声認識装置9から入力された音声コマンドに基づいて、周知の地図表示機能、経路計算機能、経路案内機能、電話番号検索機能、郵便番号検索機能、マップコード(登録商標)のような固有コードを利用した検索機能、50音検索機能、ジャンル別検索機能、最寄り施設検索機能、目的地登録機能、地点登録機能など、多種多様な支援機能に係る処理を実行するように構成されているが、本発明の要旨に直接的に関係した機能として、「思い出地点」経由ルート探索機能(特定地点経由ルート探索機能に相当)が設定されている。
【0021】
そこで、以下においては、この「思い出地点」経由ルート探索機能について図2〜図7を参照しながら説明する。
即ち、「思い出地点」経由ルート探索機能を働かせるためには、ユーザ定義の想い出地点を外部メモリ10に予め登録(記憶)しておく。この登録は、例えば、表示装置5に表示されたメインメニュー画面から行う構成となっている。図4には、上記メインメニュー画面から移行可能な「詳細設定」画面の一例が示されている。
【0022】
この「詳細設定」画面中には、「思い出地点詳細設定」のタイトルが表示されると共に、「新規登録」、「遠回り距離設定」、「ミュージック設定」、「ボイスメモ設定」、「音声ガイド設定」、「思い出地点に立寄る」、「思い出地点を無視」、前記メインメニュー画面へ戻るための「戻る」の各ボタンa〜hが表示されるものであり、思い出地点を登録する場合には、「新規登録」ボタンaを操作する。
【0023】
このように「新規登録」ボタンaが操作されたときには、思い出地点登録モードへ移行するものであり、この登録モードへ移行した状態では、一般的なカーナビゲーション装置において周知の目的地設定操作と同様の操作により、表示装置5に表示された地図画面上の任意の地点を思い出地点として登録すると共に、同じくカーナビゲーション装置において周知のメモリ地点名入力操作と同様の操作により、登録した思い出地点のタイトル(ユーザ定義の任意の名称)を登録することになる。
【0024】
また、「思い出地点」経由ルート探索機能は、「思い出地点への立寄り設定」が有効化されたときのみ働くものであり、当該「思い出地点への立寄り設定」は、図4の「詳細設定」画面において「思い出地点に立寄る」ボタンfが操作されたときに有効化され、同画面において「思い出地点を無視」ボタンgが操作されたときに無効化される構成となっている。
【0025】
一方、「詳細設定」画面において、「遠回り距離設定」ボタンbが操作されたときには、表示装置5での表示画面が、図5に一例を示す「遠回り距離設定」画面に切り替えられる。
この「遠回り距離設定」画面中には、「思い出地点遠回り距離設定」のタイトルが表示されると共に、テンキースイッチを構成する数字ボタン群a、「クリア」ボタンb、「決定」ボタンc、前記「詳細設定」画面へ戻るための「戻る」ボタンdが表示されると共に、入力された数値(遠回り距離(km))を表示するための入力ウインドウeが表示される。
【0026】
この「遠回り距離設定」画面においては、数字ボタン群aにより入力された数値が入力ウインドウeに表示され、その表示状態で「決定」ボタンcが操作されたときに、当該入力数値が遠回り距離として設定されることになる。但し、この遠回り距離にはデフォルト値(例えば20km)が設定されており、上記のような遠回り距離の設定操作が行われていない状態では、このデフォルト値が有効になる。尚、入力ウインドウeの入力数値は、「クリア」ボタンbの操作によってクリアできる構成となっている。また、設定された遠回り距離は、例えば外部メモリ10に記憶保持されることになる。
【0027】
前記「詳細設定」画面において、「ミュージック設定」ボタンcが操作されたときには、表示装置5での表示画面が図6に一例を示す「ミュージック設定」画面に切り替えられる。
この「ミュージック設定」画面中には、「思い出地点ミュージック設定」のタイトルが表示されると共に、前述した思い出地点登録モードにより登録した例えば3箇所の思い出地点のタイトル(この例では、「初デートの場所」、「プロポーズした場所」、「海がきれいな場所」)が表示され、各タイトルと1対1で対応付けた状態で「曲」ボタンaが表示され、さらに、前記「詳細設定」画面へ戻るための「戻る」ボタンbが表示される。
【0028】
この「ミュージック設定」画面において、「曲」ボタンaが操作されたときには、表示装置5での表示画面が、図7に一例を示す「ミュージック選択」画面に切り替えられる。尚、この「ミュージック選択」画面は、前記「ミュージック設定」画面において「初デートの場所」に対応した「曲」ボタンaが操作されたときの表示例を示すものである。
【0029】
この「ミュージック選択」画面は、オーディオ装置12の音源ユニット(多連装CDチェンジャ、HDD、MD)から再生対象の楽曲(以下、これを思い出地点ミュージックと呼ぶ)を選択するための画面であり、初期画面では、多連装CDチェンジャに係る画面が表示される。具体的には、この場合の「ミュージック選択」画面には、「思い出地点ミュージック選択(初デートの場所)」のタイトルが表示されると共に、テンキースイッチを構成する数字ボタン群a、「クリア」ボタンb、「決定」ボタンc、「モード切替」ボタンd、前記「ミュージック設定」画面へ戻るための「戻る」ボタンeが表示されると共に、入力された数値(CDチャンネル及び曲番)を表示するための入力ウインドウf及びgが表示される。
【0030】
この「ミュージック設定」画面においては、ボタン群aにより入力された数値が入力ウインドウfに表示され、その表示状態で「決定」ボタンcが操作されたときに当該入力数値がCDチャンネルとして設定されると共に、この後に数字ボタン群aにより入力された数値が入力ウインドウgに表示され、その表示状態で「決定」ボタンcが操作されたときに当該入力数値が曲番として設定されることになる。また、「モード切替」ボタンdが操作されたときには、思い出地点ミュージックを、オーディオ装置12の音源ユニットを構成するHDDから選択するための画面に切り替り、この後に「モード切替」ボタンdが操作されたときには、思い出地点ミュージックを、オーディオ装置12の音源ユニットを構成するMDから選択するための画面に切り替り、さらに、この後に「モード切替」ボタンdが操作されたときには図7のようなミュージック選択画面に切り替ることになる。尚、入力ウインドウf及びgの入力数値は、「クリア」ボタンbの操作によってクリアできる構成となっている。尚、この「ミュージック設定」画面での設定内容は、外部メモリ10に記憶される。
【0031】
前記「詳細設定」画面において、「ボイスメモ設定」ボタンdが操作されたときには、表示装置5での表示例を具体的には図示しないが、ユーザが発声した音声をボイスメモとして登録するための「ボイスメモ設定」画面が表示され、この画面を通じて、ユーザ発声に係る任意の音声情報を、外部メモリ10に対しボイスメモとして登録できる構成となっている。
【0032】
また、「詳細設定」画面において、「音声ガイド設定」ボタンeが操作されたときには、表示装置5での表示例を具体的には図示しないが、ユーザが入力したひらがな列に対応した音声ガイドを登録するためのひらがなキーボードなどを含む「音声ガイド設定」画面が表示され、この画面を通じて、ユーザ定義の任意の文字列に対応した音声情報を、外部メモリ10に対し音声ガイドとして登録できる構成となっている。
【0033】
図2のフローチャートには、制御装置2に設定された「思い出地点」経由ルート探索機能に関係した制御例が示されており、以下これについて説明する。
即ち、この「思い出地点」経由ルート探索機能は、カーナビゲーション装置において周知の目的地セット操作が行われたとき(ステップA1で「YES」)に開始されるものであり、まず、ダイクストラ法による目的地までの経路計算を、ルート探索機能について予め設定された探索モード(推奨モード、距離優先モードなど)により実行することにより、基準案内ルートを算出する(ステップA2)。
【0034】
次いで、思い出地点の登録があるか否かを判断し(ステップA3)、登録があった場合には、「思い出地点への立寄り設定」が有効化されているか否かを判断する(ステップA4)。このステップA4で「YES」と判断した場合、つまり、思い出地点の登録があり、且つ「思い出地点への立寄り指定」が有効化されていた場合には、ダイクストラ法による目的地までの経路計算時に、当該思い出地点を経由するルートを探索することにより、思い出地点経由案内ルートを算出する(ステップA5)。
尚、思い出地点が、車両の通行が不可能な場所にある場合には、上記ステップA5において、当該思い出地点を含む所定範囲のエリアを経由する思い出地点経由案内ルートを算出することになる。
【0035】
上記ステップA5の実行後には、当該ステップA5で算出した思い出地点経由案内ルートを通る場合の遠回り距離、つまり、「ステップA5で算出した思い出地点経由案内ルートの延長距離」?「ステップA2で算出した基準案内ルートの延長距離」で算出される距離が、設定されている遠回り距離以下であるか否かを判断する(ステップA6)。
【0036】
このステップA6で「YES」と判断したときには、思い出地点経由案内ルートを有効化し(ステップA7)、「NO」と判断した場合には、基準案内ルートを有効化する(ステップA8)。この場合、基準案内ルートを有効化するステップA8は、前記ステップA3で「NO」と判断した場合(思い出地点の登録がなかった場合)、並びに前記ステップA4で「NO」と判断した場合(「思い出地点への立寄り設定」が無効化されていた場合)にも実行されるものである。
【0037】
上記ステップA7或はステップA8の実行後には、案内開始操作及び取消操作の何れかがあるまで待機する(ステップA9、A10)。そして、案内開始操作があったときには、表示装置5に表示中の地図画面上での案内ルート(思い出地点経由案内ルートまたは基準案内ルート)の強調表示を実施するステップA11を実行した後にリターンし、また、取消操作があったときには、算出した案内ルートを初期化するステップA12を実行した後にリターンする。
【0038】
一方、図3のフローチャートには、車両が思い出地点経由案内ルートを走行する際の制御例が示されており、以下これについて説明する。
即ち、制御装置2は、自車両の現在位置が更新されたか否か(予め設定された単位距離以上走行したか否か)を判断する(ステップB1)。ここで、「NO」と判断した場合(車両が停止している場合)には、そのままリターンするが、「YES」と判断した場合には、自車両が思い出地点まで所定距離内に接近したか否かを判断する(ステップB2)。自車両が思い出地点に接近していない状態では、ステップB1へ戻るが、接近した状態となった場合には、音声ガイド(ユーザが入力したひらがな列に対応した音声ガイド)の登録があるか否かを判断する(ステップB3)。
【0039】
音声ガイドの登録があった場合には、その登録音声ガイドに対応したユーザ定義の文字列を、音声コントローラ8内の音声合成回路により音声情報に変換し、その音声情報を合成音声ガイドとしてスピーカ8aを通じて出力し(ステップB4)、この後にステップB5へ移行する。また、音声ガイドの登録がなかった場合には、ステップB4をジャンプしてステップB5へ移行する。
【0040】
ステップB5では、ボイスメモ(ユーザ発生に係る音声情報)の登録があるか否かを判断するものであり、登録があった場合には、そのボイスメモに対応した音声情報を音声コントローラ8からスピーカ8aを通じて出力し(ステップB6)、この後にステップB7へ移行する。また、ボイスメモがなかった場合には、ステップB6をジャンプしてステップB7へ移行する。
【0041】
上記ステップB7では、思い出地点ミュージックの設定があるか否かを判断するものであり、設定があった場合には、その思い出地点ミュージックに対応した楽曲をオーディオ装置12のスピーカから出力し(ステップB8)、この後にリターンする。また、思い出地点ミュージック設定の設定がなかった場合にはステップB8をジャンプしてリターンする。
【0042】
以上要するに、本実施例によるカーナビゲーション装置1によれば、ユーザ定義の特定地点、例えば、ユーザが必ず通りたいと考える思い出地点を予め登録しておけば、現在位置(出発地)から目的地までの案内ルートを算出する経路探索時において、登録された思い出地点(または、思い出地点を含む所定範囲のエリア)を経由する思い出地点経由案内ルートが算出されるようになり、このように算出された特定地点経由案内ルートが、表示装置5の地図画面上で表示されるようになる。このため、ユーザに対して、表示装置5の表示内容に基づいて思い出地点を経由するルートを確実に案内できるようになり、また、上記のような経路探索を行う毎に、思い出地点を立寄り地点として設定する操作が不要になると共に、立寄り地点の設定操作を忘れる恐れがなくなり、結果的に、特定地点経由ルートの探索を、常時において簡単な操作により行い得るようになる。
【0043】
この場合、カーナビゲーション装置1にあっては、ユーザ側の操作により遠回り距離を設定できるように構成されており、思い出地点を考慮しない経路探索動作により算出した通常の案内ルート(基準案内ルート)のルート長と、前述のように算出した特定地点経由案内ルートのルート長との差が、上記遠回り距離の許容値以下であった場合のみ、当該特定地点経由案内ルートを有効化して表示装置5での表示に供するようになる。このため、特定地点経由案内ルートを算出する際に、どの程度の遠回りを許容するかをユーザ側で設定できることになり、そのような特定地点経由ルート探索機能の有用性を高め得るようになる。
【0044】
また、特定地点経由ルート探索機能が不要な場合には、思い出地点に係る「詳細設定」画面(図4参照)において、「思い出地点を無視」ボタンgを操作しておけば、当該探索機能を無効化できるから、実際の使用上において便利になる。
【0045】
さらに、表示装置5に表示された思い出地点経由案内ルートに沿って走行する場合において、思い出地点から所定距離内のエリアに入ったときに、ユーザ定義の音声情報(音声ガイド、ボイスメモ、思い出地点ミュージック)がスピーカ8a或いはオーディオ装置12から出力されるようになるから、ユーザに対して、思い出地点への接近を当該音声情報に基づいて確実に報知できるようになる。この場合、上記音声情報のソースとしては、ユーザがひらがな入力する音声ガイド、ユーザが発生した音声を記録したボイスメモ、オーディオ装置12の音源ユニットから得られる楽曲の全部または一部を選択できるから、その音声情報に対して、ユーザ自身が種々の工夫を施すことが可能になり、結果的に、上述のような報知機能の付加価値を向上させ得るようになる。
【0046】
その他、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような変形または拡張が可能である。
カーナビゲーション装置に限らず、歩行者などが使用するポータブル型のナビゲーション装置、或いはナビゲーション機能付きの携帯電話やPDAなどにも適用可能である。地図データを記憶するための地図データベース4を設ける構成としたが、外部の地図データベースから通信手段を通じて地図データを取得する構成としても良い。
外部メモリ10を本発明でいう記憶手段として利用する構成としたが、地図データベース4がHDDなどのようにデータの書き換え及び保存が可能な手段により構成されている場合には、当該地図データベース4を上記記憶手段として機能させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例を示す装置全体の電気的構成を示す機能ブロック図
【図2】制御装置による制御内容を示すフローチャート(その1)
【図3】制御装置による制御内容を示すフローチャート(その2)
【図4】表示装置での表示画面例を示す図(その1)
【図5】表示装置での表示画面例を示す図(その2)
【図6】表示装置での表示画面例を示す図(その3)
【図7】表示装置での表示画面例を示す図(その4)
【符号の説明】
【0048】
1はカーナビゲーション装置、2は制御装置(経路探索手段)、3は位置検出器、4は地図データベース、5は表示装置(表示手段)、8aはスピーカ(音声出力手段)、10は外部メモリ(記憶手段)、12はオーディオ装置(音声出力手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを用いて出発地から目的地までの案内ルートを算出する経路探索手段と、
この経路探索手段により算出された案内ルートを地図画面上で表示する表示手段と、
を備えたナビゲーション装置において、
ユーザ定義の特定地点を前記地図データと対応付けた状態で登録可能に構成された記憶手段を設け、
前記経路探索手段には、前記記憶手段に登録された前記特定地点または当該特定地点を含む所定範囲のエリアを経由する案内ルートを算出する特定地点経由ルート探索機能が設定されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索手段は、遠回り距離の許容値を設定可能に構成され、前記特定地点を考慮しない経路探索動作により算出した基準案内ルートのルート長と、前記特定地点経由ルート探索機能により算出した特定地点経由案内ルートのルート長との差が設定された遠回り距離の許容値以下であった場合のみ、当該特定地点経由案内ルートを有効化して前記表示手段での表示に供することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索手段に設定された前記特定地点経由ルート探索機能は、ユーザ側の操作により無効化可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
音声情報を出力可能な音声出力手段を備え、
前記特定地点経由案内ルートに沿った移動時において前記特定地点から所定距離内のエリアに入ったときに、ユーザ定義の音声情報を前記音声出力手段から出力させることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−78530(P2007−78530A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267082(P2005−267082)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】