説明

ハイブリッド自動車およびその制御方法

【課題】内燃機関の運転が停止されているときに燃料噴射弁から漏れた燃料をより適正に浄化すると共に蓄電装置の電力消費を抑制する。
【解決手段】エンジンの運転が停止されているときに、エンジンが運転もモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなるように燃料噴射弁から漏れた燃料の量として推定される漏れ燃料推定量Qdを設定し(S220,S230)、浄化触媒の触媒床温が低いほど小さくなるように浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量として推定される浄化可能燃料推定量Qpを設定し(S240)、設定した漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qpに至ったときに(S250)燃料噴射制御と点火制御を行なうことなくモータMG1によりエンジンをモータリングする(S280〜S430)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車およびその制御方法に関し、詳しくは、走行用の動力を出力可能で排気浄化用の浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられた内燃機関と、内燃機関をモータリング可能な第1電動機と、走行用の動力を出力可能な第2電動機と、第1電動機および第2電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド自動車およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車としては、走行用の動力を出力可能で排気系に触媒コンバータが取り付けられたエンジンと、エンジンをクランキング可能なジェネレータモータと、走行用の動力を出力可能な駆動用モータと、充放電されるバッテリとを備え、エンジンを始動する際には、燃料噴射制御と点火制御が停止された状態でジェネレータモータによりエンジンをクランキングした後に、燃料噴射制御と点火制御を開始するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、こうした制御により、エンジンが停止されているときにインジェクタから燃料漏れが生じていた場合でも、エンジン始動時に過度に濃い状態の混合気が燃焼されるのを回避し、エンジンの始動性を向上させると共に始動時のエミッションの悪化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−226214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のハイブリッド自動車では、エンジン停止時のいわゆる油密漏れによりインジェクタから漏れた燃料が掃気されるタイミングが、エンジンを始動するための燃料噴射制御や点火制御を開始する直前になるため、エンジン停止時に漏れた燃料の量が多いと、排気系の触媒コンバータで未燃焼燃料を十分に浄化することができず、エミッションが悪化する場合がある。また、漏れた燃料が触媒コンバータで確実に浄化されるように、エンジンが停止されている停車中などには比較的短い一定の時間間隔で燃料噴射や点火を伴わずにエンジンをクランキングすることも考えられるが、エンジンをクランキングするにはバッテリの電力を消費してジェネレータモータを駆動する必要があるため、触媒コンバータの浄化能力に対して掃気される未燃焼燃料の量が少ないと、バッテリの電力が無駄に消費されることになってしまう。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、内燃機関の運転が停止されているときに燃料噴射弁から漏れた燃料をより適正に浄化すると共に蓄電装置の電力消費を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
走行用の動力を出力可能で排気浄化用の浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられた内燃機関と、前記内燃機関をモータリング可能な第1電動機と、走行用の動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に前記内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定する漏れ燃料量推定手段と、
前記浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に前記浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定する浄化可能燃料量推定手段と、
前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったときに、前記内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する停止時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定し、浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定する。そして、内燃機関の運転が停止されているときであって推定した漏れ燃料量が推定した浄化可能燃料量に至ったときに、内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう内燃機関と第1電動機とを制御する。これにより、内燃機関の運転が停止されているときに燃料噴射弁から漏れた燃料をより適正に浄化すると共に蓄電手段の電力消費を抑制することができる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記漏れ燃料量推定手段は、前記内燃機関の燃料噴射弁から漏れる燃料について前記内燃機関の運転が停止されている時間が長いほど小さくなる傾向の単位時間あたりの量と前記内燃機関の運転が停止されている時間との積を用いて前記漏れ燃料量を推定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量をより適正に推定することができる。
【0010】
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記停止時制御手段は、前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったとき、前記浄化触媒の温度が未燃焼燃料の浄化能力が低いときの温度として予め設定された所定温度よりも高いときには前記内燃機関が第1の回転数でモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御し、前記浄化触媒の温度が前記所定温度以下のときには前記内燃機関が第1の回転数よりも低い第2の回転数でモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、浄化触媒の温度に拘わらず内燃機関を第1の回転数でモータリングするものに比して、浄化触媒の浄化能力が低いときでも未燃焼燃料の浄化を促すことができる。
【0011】
さらに、本発明のハイブリッド自動車において、前記内燃機関は、未燃焼燃料を吸着可能な吸着装置が吸気系に取り付けられてなり、前記停止時制御手段は、前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったとき、前記浄化触媒の温度が未燃焼燃料の浄化能力が著しく低いときの温度として予め設定された第2の所定温度よりも高いときには前記内燃機関が正回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御し、前記浄化触媒の温度が前記第2の所定温度以下のときには前記内燃機関が逆回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、浄化触媒の浄化能力が著しく低いときでも吸着装置に未燃焼燃料を吸着させることができ、内燃機関のモータリングにより未燃焼燃料が排出されるのを抑制することができる。
【0012】
この吸着装置が内燃機関の吸気系に取り付けられてなる態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記内燃機関は、筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁を有し、前記吸着装置が前記吸気系におけるスロットル弁の上流側に取り付けられてなり、前記停止時制御手段は、前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったとき、前記浄化触媒の温度が前記第2の所定温度以下のときにおいて、前記吸着装置により吸着されたと推定される未燃焼燃料の量が前記吸着装置により吸着可能な未燃焼燃料の量に至るまでは前記スロットル弁を開成した状態で前記内燃機関が逆回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御し、前記吸着装置により吸着されたと推定される未燃焼燃料の量が前記吸着装置により吸着可能な未燃焼燃料の量に至ったときには前記スロットル弁を閉成した状態で前記内燃機関が逆回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、吸着装置により未燃焼燃料を吸着できないときには内燃機関の吸気系のスロットル弁の下流側に未燃焼燃料を留めやすくすることができ、内燃機関の逆回転方向のモータリングにより未燃焼燃料が排出されるのを抑制することができる。
【0013】
あるいは、本発明のハイブリッド自動車において、外部電源に接続されて前記蓄電手段を充電可能な充電手段を備える、ものとすることもできる。
【0014】
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記内燃機関の出力軸と前記第1電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構を備え、前記第2電動機は、前記駆動軸に接続されてなる、ものとすることもできる。
【0015】
本発明のハイブリッド自動車の制御方法は、
走行用の動力を出力可能で排気浄化用の浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられた内燃機関と、前記内燃機関をモータリング可能な第1電動機と、走行用の動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
前記内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に前記内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定し、前記浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に前記浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定し、
前記内燃機関が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったときに、前記内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する、
ことを要旨とする。
【0016】
この本発明のハイブリッド自動車の制御方法では、内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定し、浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定する。そして、内燃機関の運転が停止されているときであって推定した漏れ燃料量が推定した浄化可能燃料量に至ったときに、内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう内燃機関と第1電動機とを制御する。これにより、内燃機関の運転が停止されているときに燃料噴射弁から漏れた燃料をより適正に浄化すると共に蓄電手段の電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行モード設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される停止時モータリング処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】漏れ燃料累積推定量設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】エンジン運転停止時間Tstopと燃料噴射弁126から漏れる燃料の単位時間あたりの量との関係の一例を示す説明図である。
【図7】浄化可能燃料推定量設定用マップの一例を示す説明図である。
【図8】変形例の漏れ燃料累積推定量設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】変形例のエンジン22Bの構成の一部の概略を示す構成図である。
【図10】変形例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される停止時モータリング処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図11】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図12】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図13】変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【図14】変形例のハイブリッド自動車420の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)と、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50と、直流電力の電圧を変換してバッテリ50に供給するDC/DCコンバータ56と交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ58と電源コード59とからなりバッテリ50が接続された電力ライン54に接続された充電器55と、エンジンECU24やモータECU40と通信して車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。なお、モータECU40は、図示しない回転位置検出センサからの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2なども演算している。
【0020】
図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。エンジン22は、図示するように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)134aを有する浄化装置134を介して外気へ排出される。なお、エアクリーナ122には、炭化水素(HC)を吸着可能な活性炭フィルター122aが取り付けられている。
【0021】
エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,浄化触媒134aの温度を検出する温度センサ134bからの触媒床温Tc,空燃比センサ135aからの空燃比,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
【0022】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、DC/DCコンバータ56へのスイッチング制御信号やAC/DCコンバータ58へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、バッテリ50を管理するために図示しない電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)とバッテリ50の温度とに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutも演算している。
【0023】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸32に出力され
るように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであるから、以下、両者を合わせてエンジン運転モードとして考えることができる。
【0024】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定した充電ポイントに到達するときにエンジン22の始動については十分に行なうことができる程度にバッテリ50の残容量(SOC)が低くなるように走行中にバッテリ50の充放電の制御を行ない、自宅や予め設定した充電ポイントで車両をシステム停止した後に充電器55の電源コード59を商用電源に接続し、DC/DCコンバータ56とAC/DCコンバータ58とを制御することによって商用電源から電力によりバッテリ50を満充電や満充電より低い所定の充電状態とする。そして、バッテリ50の充電後にシステム起動したときには、図3に例示する走行モード設定ルーチンに示すように、バッテリ50の残容量(SOC)がエンジン22の始動を行なうことができる程度に設定された閾値Shvに至るまでモータ運転モードによる走行(電動走行)を優先して走行する電動走行優先モードを設定して走行し(ステップS100〜S120)、バッテリ50の残容量(SOC)が閾値Shvに至った以降はエンジン運転モードによる走行(ハイブリッド走行)を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを設定して走行する(ステップS130)。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン22の運転が停止されているときにエンジン22の燃料噴射弁126から油密漏れにより漏れた燃料を浄化する際の動作について説明する。図4はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される停止時モータリング処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、停車中やモータ運転モードによる走行中にエンジン22の運転が停止されているときであって、バッテリ50の残容量(SOC)が所定量Sref(例えば、前述の閾値Shvやこれより若干高い閾値など)以上のときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0026】
停止時モータリング処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の回転数Neや浄化触媒134aの触媒床温Tc,エンジン運転停止時間Tstopなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクポジションセンサ140からの信号に基づいて演算されたものを、浄化触媒134aの触媒床温Tcは温度センサ134bにより検出されたものを、それぞれエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、エンジン運転停止時間Tstopは、エンジン22の運転が停止されている状態を継続している時間として図示しないタイマにより計時されたものを入力するものとした。したがって、エンジン運転停止時間Tstopは、後述するように燃料噴射や点火を伴わずにエンジン22がモータリングされたときでもリセットされない。
【0027】
こうしてデータを入力すると、初期値としては値0が設定され、このルーチンによりエンジン22のモータリングが実行されている最中には値1が設定されるモータリング実行フラグFを調べ(ステップS210)、モータリング実行フラグFが値0のときには、エンジン22がモータリングもされずに停止されているときに燃料噴射弁126から漏れた燃料の量として推定される漏れ燃料推定量Qdを設定する(ステップS220,S230)。具体的には、入力したエンジン運転停止時間Tstopに基づいてエンジン22が運転停止された以降に燃料噴射弁126から漏れた燃料の累積量として推定される漏れ燃料累積推定量Qdcを設定し(ステップS220)、設定した漏れ燃料累積推定量Qdcからエンジン22の運転停止された以降のモータリングにより掃気された燃料の量としての漏れ燃料処理済み量Qdfinを減じることにより漏れ燃料推定量Qdを計算する(ステップS230)。ここで、漏れ燃料累積推定量Qdcは、実施例では、エンジン運転停止時間Tstopと漏れ燃料累積推定量Qdcとの関係を予め実験などにより求めて漏れ燃料累積推定量設定用マップとしてROM74に記憶しておき、エンジン運転停止時間Tstopが与えられると記憶したマップから対応する漏れ燃料累積推定量Qdcを導出し推定量として設定するものとした。図5に漏れ燃料累積推定量設定用マップの一例を示す。図示するように、エンジン運転停止時間Tstopが長いほど漏れ燃料累積推定量Qdcが大きくなっている。これは、エンジン22が運転停止されているときには燃料噴射弁126からの燃料漏れが継続して生じるためであると考えられる。また、エンジン運転停止時間Tstopが長いほど漏れ燃料累積推定量Qdcの増加の程度が徐々に小さくなっている。これは、図6に示すように、エンジン運転停止時間Tstopが長いほど燃料噴射弁126から漏れる燃料の単位時間あたりの量が燃料噴射弁126に作用する燃圧の低下に伴って徐々に小さくなるためであると考えられる。したがって、実施例では、こうした単位時間あたりの量を予め実験などにより求めると共に求めた単位時間あたりの量とエンジン停止時間Tstopとの積を用いて漏れ燃料累積推定量設定用マップを予め求めておくものとした。また、漏れ燃料処理済み量Qdfinは、初期値としては値0が設定されると共に本ルーチンにより計算され更新される。したがって、漏れ燃料累積推定量Qdcから漏れ燃料処理済み量Qdfinを減じて計算される漏れ燃料推定量Qdは、エンジン22が運転もモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる量として推定されたものとなる。
【0028】
続いて、入力した浄化触媒134aの触媒床温Tcに基づいて浄化触媒134aにより浄化可能な未燃焼燃料の量として推定される浄化可能燃料推定量Qpを設定し(ステップS240)、設定した漏れ燃料推定量Qdと浄化可能燃料推定量Qpとを比較する(ステップS250)。ここで、浄化可能燃料推定量Qpは、実施例では、浄化触媒134aの触媒床温Tcと浄化可能燃料推定量Qpとの関係を予め実験などにより求めて浄化可能燃料推定量設定用マップとしてROM74に記憶しておき、触媒床温Tcが与えられると記憶したマップから対応する浄化可能燃料推定量Qpを導出して推定量として設定するものとした。図7に浄化可能燃料推定量設定用マップの一例を示す。図示するように、浄化可能燃料推定量Qpは、触媒床温Tcが低いほど小さくなる。これは、触媒床温Tcが低いほど浄化触媒134aの浄化能力が低下するためであると考えられる。図中、第1温度Tcref1は、浄化触媒134aによる未燃焼燃料の浄化能力が低い状態を示す温度(例えば、330℃や350℃など)であり、第2温度Tcref2は、浄化触媒134aによる未燃焼燃料の浄化能力が著しく低い状態を示す温度として第1温度Tcref1よりも低い温度(例えば、280℃や300℃など)であり、いずれも浄化装置134の特性に基づいて予め実験などにより定められたものである。したがって、エンジン22の運転により浄化装置134がある程度暖機された後にエンジン22の運転が停止されたときを考えると、エンジン22が停止された状態で時間が経過するほど漏れ燃料推定量Qdは増加するが、触媒床温Tcの低下に伴って浄化可能燃料推定量Qpは減少することになる。その後、エンジン22がモータリングされると、エンジン22が停止された状態で時間が経過するほど漏れ燃料推定量Qdは値0から増加し、触媒床温Tcの更なる低下に伴って浄化可能燃料推定量Qpは更に減少することになる。
【0029】
設定した漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qpよりも小さいときには、エンジン22をモータリングする必要はないと判断し、エンジン22をモータリングする際のエンジン22の目標回転数Ne*に値0を設定すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS260)、設定した目標回転数Ne*とトルク指令Tm1*とをそれぞれエンジンECU24とモータECU40とに送信して(ステップS270)、停止時モータリング処理ルーチンを終了する。値0の目標回転数Ne*を受信したエンジンECU24は、エンジン22を運転停止した状態を保持する。また、値0のトルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、モータMG1からトルクが出力されないようインバータ41のスイッチング素子の状態を保持する。
【0030】
設定した漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qp以上のときには、エンジン22をモータリングする必要があると判断し、モータリング実行中フラグFに値1を設定し(ステップS280)、前回このルーチンを実行したときまでに設定された漏れ燃料処理済み量Qdfin(前回Qdfin)に漏れ燃料推定量Qdを加えることにより漏れ燃料処理済み量Qdfinを計算し(ステップS290)、浄化触媒134aの触媒床温Tcを前述の第1温度Tcref1および第2温度Tcref2と比較する(ステップS300)。触媒床温Tcが前述の第1温度Tcref1よりも高いときには、浄化触媒134aにある程度の浄化能力があると判断し、エンジン22の目標回転数Ne*に第1の正回転用回転数Nset1を設定すると共に(ステップS310)、エンジン22のモータリングを継続するモータリング時間Tmtrに第1時間Tmtr1を設定する(ステップS320)。ここで、第1の正回転用回転数Nset1および第1時間Tmtr1は、いずれも第1温度Tcref1よりも高い温度の浄化触媒134aによって未燃焼燃料を浄化可能な回転数および時間のうち、バッテリ50の電力消費が少なく済むよう比較的低いエンジン22の回転数および比較的短いモータリング継続時間としてエンジン22の特性に基づいて予め実験などにより定められたものであり、第1の正回転用回転数Nset1としては、例えば50rpmや60rpmなどを用いることができ、第1時間Tmtr1としては、例えばエンジン22の2回転や3回転に相当する時間などを用いることができる。
【0031】
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*に基づいてエンジン22をモータリングするためにモータMG1から出力すべきトルクをトルク指令Tm1*として設定する(ステップS400)。モータMG1のトルク指令Tm1*は、実施例では、エンジン22をモータリングする際のエンジン22の目標回転数Ne*とモータMG1のトルク指令Tm1*との関係を予め実験などにより求めてトルク指令設定用マップとしてROM74に記憶しておき、目標回転数Ne*が与えられると記憶したマップから対応するトルク指令Tm1*を導出して設定するものとした。
【0032】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*とモータMG1のトルク指令Tm1*とを設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と燃料噴射制御および点火制御を行なわないようにするための制御信号とをエンジンECU24に送信すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*をモータECU40に送信し(ステップS410)、停止時モータリング処理ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と制御信号とを受信したエンジンECU24は、燃料噴射制御や点火制御が行なわれないようにする。また、トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。なお、ハイブリッド自動車20がモータ運転モードにより走行している最中は、モータMG1からトルクが出力されると、その反力としてのトルクが駆動軸32に作用することから、駆動軸32に要求されるトルクとこうした反力を打ち消すためのトルクとの和のトルクがモータMG2から出力されるようにインバータ42のスイッチング制御が行なわれる。
【0033】
こうしてエンジン22のモータリングが開始されると、ステップS210でモータリング実行中フラグFが値1であると判定され、設定したモータリング時間Tmtrがエンジン22のモータリング開始から経過したか否かを判定する(ステップS370)。いま、エンジン22のモータリングが開始された直後を考えれば、モータリング開始からモータリング時間Tmtrは経過していないと判定され、エンジン22の目標回転数Ne*に前回このルーチンで設定された目標回転数Ne*(前回Ne*)を設定し(ステップS380)、エンジン22の目標回転数Ne*に基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し(ステップS400)、エンジン22の目標回転数Ne*と制御信号とをエンジンECU24に送信すると共にトルク指令Tm1*をモータECU40に送信して(ステップS410)、停止時モータリング制御ルーチンを終了する。
【0034】
そして、ステップS370でモータリング開始からモータリング時間Tmtrが経過したと判定されると、モータリング実行中フラグFに値0が設定され(ステップS390)、エンジン22の目標回転数Ne*に値0を設定すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS420)、エンジン22の目標回転数Ne*をエンジンECU24に送信すると共にトルク指令Tm1*をモータECU40に送信して(ステップS430)、停止時モータリング処理ルーチンを終了する。こうした制御により、浄化触媒134aにある程度の浄化能力があるときには、エンジン22の運転が停止されているときに燃料噴射弁126から漏れた燃料を浄化触媒134aによって浄化することができる。
【0035】
ステップS300で触媒床温Tcが第1温度Tcref1以下で第2温度Tcref2よりも高いときには、浄化触媒134aの浄化能力はあるが低いと判断し、エンジン22の目標回転数Ne*に第1の正回転用回転数Nset1よりも低い第2の正回転用回転数Nset2を設定すると共に(ステップS330)、エンジン22のモータリング時間Tmtrに第1時間Tmtr1よりも長い第2時間Tmtr2を設定し(ステップS340)、エンジン22の目標回転数Ne*に基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS400)。ここで、第2の正回転用回転数Nset2および第2時間Tmtr2は、いずれも第1温度Tcref1以下で第2温度Tcref2よりも高い温度の浄化触媒134aによって未燃焼燃料を浄化できるようにするためのエンジン22の回転数およびモータリング継続時間としてエンジン22の特性に基づいて予め実験などにより定められたものであり、第2の正回転用回転数Nset2としては、例えば5rpmや6rpmなどの極めて低い回転数が用いられ、第2時間Tmtr2としては、例えばエンジン22の1回転や1.5回転に相当する時間などを用いることができる。浄化触媒134aの浄化能力が低いときに、エンジン22を低い回転数で長い時間に亘ってモータリングするのは、未燃焼燃料が浄化触媒134aにより浄化されないうちに排出されるのを抑制し、未燃焼燃料の浄化を促すためである。
【0036】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*とモータMG1のトルク指令Tm1*とを設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と燃料噴射制御および点火制御を行なわないようにするための制御信号とをエンジンECU24に送信すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*をモータECU40に送信し(ステップS410)、停止時モータリング処理ルーチンを終了する。そして、ステップS370でエンジン22のモータリング開始からモータリング時間Tmtrが経過するまでエンジン22のモータリングが行なわれることになる。こうした制御により、浄化触媒134aの浄化能力が低いときでも、エンジン22の運転が停止されているときに燃料噴射弁126から漏れた燃料を浄化触媒134aによって浄化することができる。
【0037】
ステップS300で触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときには、浄化触媒134aの浄化能力は全くないか著しく低いと判断し、エンジン22の目標回転数Ne*に逆回転用回転数Nset3を設定すると共に(ステップS350)、エンジン22のモータリング時間Tmtrに第3時間Tmtr3を設定し(ステップS360)、エンジン22の目標回転数Ne*に基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS400)。ここで、逆回転用回転数Nset3および第3時間Tmtr3は、いずれもエンジン22の吸気系におけるエアクリーナ122に取り付けられた活性炭フィルター122aによって未燃焼燃料を吸着させるのに適したエンジン22の回転数およびモータリング継続時間としてエンジン22の特性に基づいて予め実験などにより定められたものであり、逆回転用回転数Nset3は負の回転数となり、第3時間Tmtr3は例えばエンジン22の数回転に相当する時間などを用いることができる。
【0038】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*とモータMG1のトルク指令Tm1*とを設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と燃料噴射制御および点火制御を行なわないようにし且つスロットルバルブ124を開成するための制御信号とをエンジンECU24に送信すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*をモータECU40に送信し(ステップS410)、停止時モータリング処理ルーチンを終了する。スロットルバルブ124を開成するための制御信号を受信したエンジンECU24は、スロットルバルブ124が開成されるようスロットルモータ136を駆動する。なお、エンジン22を正回転方向にモータリングするときには、エンジン22の吸気系から排気系へは若干の空気の流れは生じることから、スロットルバルブ124については閉成した状態で構わない。そして、ステップS370でエンジン22のモータリング開始からモータリング時間Tmtrが経過するまでエンジン22のモータリングが行なわれることになる。こうした制御により、浄化触媒134aの浄化能力が全くないか著しく低いときには、エンジン22の運転が停止されているときに燃料噴射弁126から漏れた燃料を吸気系の活性炭フィルター122aに吸着させることができる。
【0039】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の運転が停止されているときに、エンジン22が運転もモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなるように燃料噴射弁126から漏れた燃料の量として推定される漏れ燃料推定量Qdを設定し、浄化触媒134aの触媒床温Tcが低いほど小さくなるように浄化触媒134aにより浄化可能な未燃焼燃料の量として推定される浄化可能燃料推定量Qpを設定し、設定した漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qpに至ったときに燃料噴射制御と点火制御を行なうことなくモータMG1によりエンジン22をモータリングするから、エンジン22の油密漏れにより漏れた燃料が掃気されるようエンジン22を始動する直前にエンジン22をモータリングするものに比して浄化触媒134aの浄化能力を超えた未燃焼燃料が掃気されるのを抑制することができ、エンジン22の油密漏れにより漏れた燃料が掃気されるようエンジン22が停止されているときに比較的短い一定の時間間隔でエンジン22をモータリングするものに比してバッテリ50の電力消費を抑制することができる。これにより、エンジン22が運転停止されているときに燃料噴射弁126から漏れた燃料をより適正に浄化すると共にバッテリ50の電力消費を抑制することができる。また、エンジン運転停止時間Tstopが長いほど小さくなる燃料噴射弁126から漏れる燃料の単位時間あたりの量とエンジン運転停止時間Tstopとの積とを用いて漏れ燃料累積推定量設定用マップの漏れ燃料累積推定量Qdcを求めるから、漏れ燃料推定量Qdをより適正なものとすることができ、エンジン22のモータリングを実行するタイミングをより適正なものとすることができる。さらに、触媒床温Tcが第1温度Tcref1以下のときには、触媒床温Tcが第1温度Tcref1よりも高いときに比してエンジン22を低い回転数でモータリングするから、浄化能力の低い浄化触媒134aによる未燃焼燃料の浄化を促すことができる。しかも、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときには、エンジン22を逆回転方向にモータリングするから、浄化触媒134aの浄化能力が全くないか著しく低いときでも、吸気系の活性炭フィルター122aに未燃焼燃料を吸着させることができ、正回転方向のモータリングにより未燃焼燃料が排出されてエミッションが悪化するのを抑制することができる。また、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50を商用電源により充電して走行が開始されると、エンジン22の運転を停止して電動走行する時間が比較的長くなりやすいが、漏れ燃料累積推定量Qdcから漏れ燃料処理済み量Qdfinを減じて得られる漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qpに至ったときにエンジン22をモータリングするから、エンジン22の運転が停止されてからの最初のモータリングや2回目以降のモータリングを適正なタイミングで実行することができる。
【0040】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン運転停止時間Tstopが長いほど小さくなる燃料噴射弁126から漏れる燃料の単位時間あたりの量とエンジン運転停止時間Tstopとの積を用いて漏れ燃料累積推定量設定用マップの漏れ燃料累積推定量Qdcを求めて、この漏れ燃料累積推定量設定用マップにエンジン運転停止時間Tstopを適用して漏れ燃料累積推定量Qdcを設定するものとしたが、図8の変形例の漏れ燃料累積推定量設定用マップに例示するように、エンジン運転停止時間Tstopが長いほど漏れ燃料累積推定量Qdcが直線的に大きくなる関係として求められた漏れ燃料累積推定量設定用マップにエンジン運転停止時間Tstopを適用して漏れ燃料累積推定量Qdcを設定するものとしてもよい。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、触媒床温Tcが第1温度Tcref1よりも高いときには第1回転数Nset1でエンジン22をモータリングすると共に触媒床温Tcが第1温度Tcref1以下で第2温度Tcref2よりも高いときには第1回転数Nset1より低い第2回転数Nset2でエンジン22をモータリングするものとしたが、触媒床温Tcが第2温度Tcref2より高い範囲内では第1温度Tcref1以下であるか否かに拘わらず、例えば第2回転数Nset2など、同じ回転数でエンジン22をモータリングするものとしてもよい。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときにはエンジン22を逆回転方向にモータリングするものとしたが、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときにはエンジン22のモータリングを行なわないものとしてもよい。
【0043】
実施例では、燃料噴射弁126が燃焼室より吸気側に取り付けられているエンジン22を備えるハイブリッド自動車20に適用して説明したが、図9の変形例のエンジン22Bに例示するように、こうした燃料噴射弁126に代えて又は加えて、筒内に燃料を直接噴射する筒内用燃料噴射弁126Bが取り付けられている内燃機関を備えるハイブリッド自動車に適用するものとしてもよい。この燃料噴射弁126に代えて筒内に燃料を直接噴射する筒内用燃料噴射弁126Bが取り付けられている内燃機関を備えるハイブリッド自動車に適用する場合、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときに、吸気系におけるスロットルバルブ124の上流側に取り付けられたエアクリーナ122の活性炭フィルター122aに吸着されたと推定される未燃焼燃料の量が活性炭フィルター122aにより吸着可能な量に至ったときには、スロットルバルブ124を閉成してエンジン22を逆回転方向にモータリングするものとしてもよい。この場合の処理については、図4のルーチンに代えて、図10の停止時モータリング処理ルーチンを実行すればよい。図10のルーチンでは、ステップS500〜S530の処理が追加された点を除いて図4のルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。図10の停止時モータリング処理ルーチンでは、ステップS300で触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときにステップS350,S360で逆回転用回転数Nset3としての目標回転数Ne*とモータリング時間Tmtrとが設定されると、活性炭フィルター122aに吸着された未燃焼燃料の量として推定される吸着推定量Qadとして前回このルーチンが実行されたときまでに設定された値(前回Qad)と、活性炭フィルター122aにより吸着可能な未燃焼燃料の量として予め実験などにより求められた所定量Qrefとを比較し(ステップS500)、前回Qadが所定量Qref未満のときには、前回Qadに漏れ燃料推定量Qdを加えることにより吸着推定量Qadを計算して更新すると共に(ステップS510)、エンジン22を逆回転方向にモータリングする際にスロットルバルブ124を開成するための制御信号を生成する(ステップS520)。一方、前回Qadが所定量Qref以上のときには、エンジン22を逆回転方向にモータリングする際にスロットルバルブ124を閉成するための制御信号を生成する(ステップS530)。そして、エンジン22の目標回転数Ne*に基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し(ステップS400)、燃料噴射制御および点火制御を行なわないようにする制御信号およびスロットルバルブ124について生成した制御信号とトルク指令Tm1*とをそれぞれエンジンECU24とモータECU40とに送信して(ステップS410)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、活性炭フィルター122aにより未燃焼燃料を吸着できないときには、エンジン22の吸気系におけるスロットルバルブ124と吸気バルブ128との間に未燃焼燃料を留めやすくすることができ、エンジン22の逆回転方向のモータリングにより未燃焼燃料が排出されるのを抑制することができる。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を駆動軸32に出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を駆動軸32が接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図11における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸32に出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフトに接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸32に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0046】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸32に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動軸32に出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、駆動輪39a,39bに接続された駆動軸に変速機330を介してモータMG2を取り付け、モータMG2の回転軸にクラッチ329を介してエンジン22を接続すると共にエンジン22のクランクシャフトにモータMG1を取り付ける構成とし、エンジン22やモータMG1からの動力をモータMG2の回転軸と変速機330とを介して駆動軸に出力すると共にモータMG2からの動力を変速機330を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。あるいは、図14の変形例のハイブリッド自動車420に例示するように、モータMG1やエンジン22からの動力を変速機430を介して駆動輪39a,39bに接続された車軸に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動輪39a,39bが接続された車軸とは異なる車軸(図14における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20や上述の変形例のハイブリッド自動車120,220,320,420では、商用電源からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50を充電するためのDC/DCコンバータ56やAC/DCコンバータ58を有する充電器55を備える、いわゆるプラグインハイブリッド車として構成したが、商用電源からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50を充電するためのDC/DCコンバータ56やAC/DCコンバータ58を有する充電器55を備えないハイブリッド自動車に適用するものとしてもよい。
【0048】
即ち、走行用の動力を出力するエンジンとエンジンをモータリングする第1の電動機と走行用の動力を出力する第2の電動機とを備えるものであれば如何なるタイプのハイブリッド自動車としてもよいのである。また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、ハイブリッド自動車の制御方法の形態としてもよい。
【0049】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「第1電動機」に相当し、モータMG2が「第2電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、エンジン運転停止時間Tstopに基づいて漏れ燃料累積推定量Qdcを設定して漏れ燃料推定量Qdを計算する図4の停止時モータリング処理ルーチンのステップS220,S230の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「漏れ燃料量推定手段」に相当し、浄化触媒134aの触媒床温Tcに基づいて浄化可能燃料推定量Qpを設定する図4の停止時モータリング処理ルーチンのステップS240の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「浄化可能燃料量推定手段」に相当し、エンジン22の運転が停止されているときであって漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qpに至ったときに、触媒床温Tcが第1温度Tcref1より高いときにはエンジン22を第1回転数Nset1で正回転方向にモータリングし、触媒床温Tcが第1温度Tcref1以下で第2温度Tcref2より高いときにはエンジン22を第1回転数Nset1より低い第2回転数Nset2で正回転方向にモータリングし、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときにはエンジン22を第3回転数Nset3で逆回転方向にモータリングするよう、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG1のトルク指令Tm1*とを設定して制御信号と共に送信する図4の停止時モータリング処理ルーチンのステップS280〜S430の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と制御信号を受信してエンジン22を制御するエンジンECU24とトルク指令Tm1*を受信してモータMG1を駆動制御するモータECU40とが「停止時制御手段」に相当する。
【0050】
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、走行用の動力を出力可能で排気浄化用の浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられたものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「第1電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関をモータリング可能なものであれば如何なるタイプの電動機としても構わない。「第2電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機としても構わない。「蓄電手段」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池などの他のタイプの二次電池やキャパシタなど、第1電動機および第2電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「漏れ燃料量推定手段」としては、エンジン運転停止時間Tstopに基づいて漏れ燃料累積推定量Qdcを設定して漏れ燃料推定量Qdを計算するものに限定されるものではなく、内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定するものであれば如何なるものとしても構わない。「浄化可能燃料量推定手段」としては、浄化触媒134aの触媒床温Tcに基づいて浄化可能燃料推定量Qpを設定するものに限定されるものではなく、浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定するものであれば如何なるものとしても構わない。「停止時制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とを組み合わせたものに限定されるものでなく、単一の電子制御ユニットとしてもよい。また、「停止時制御手段」としては、エンジン22の運転が停止されているときであって漏れ燃料推定量Qdが浄化可能燃料推定量Qpに至ったときに、触媒床温Tcが第1温度Tcref1より高いときにはエンジン22を第1回転数Nset1で正回転方向にモータリングし、触媒床温Tcが第1温度Tcref1以下で第2温度Tcref2より高いときにはエンジン22を第1回転数Nset1より低い第2回転数Nset2で正回転方向にモータリングし、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときにはエンジン22を第3回転数Nset3で逆回転方向にモータリングするようエンジン22やモータMG1を制御するものに限定されるものではなく、触媒床温Tcが第2温度Tcref2より高い範囲内で第1温度Tcref1以下であるか否かに拘わらず同じ回転数でエンジン22を正回転方向にモータリングしたり、触媒床温Tcが第2温度Tcref2以下のときにはエンジン22のモータリングを行なわないものとするなど、内燃機関の運転が停止されているときであって推定された漏れ燃料量が推定された浄化可能燃料量に至ったときに、内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう内燃機関と第1電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0051】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
20,120,220,320,420 ハイブリッド自動車、22,22B エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、55 充電器、56 DC/DCコンバータ、58 AC/DCコンバータ、59 電源コード、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、122a 活性炭フィルタ、124 スロットルバルブ、126,126B 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、134a 浄化触媒、134b 温度センサ、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、329 クラッチ、330,430 変速機、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力を出力可能で排気浄化用の浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられた内燃機関と、前記内燃機関をモータリング可能な第1電動機と、走行用の動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に前記内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定する漏れ燃料量推定手段と、
前記浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に前記浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定する浄化可能燃料量推定手段と、
前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったときに、前記内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する停止時制御手段と、
を備えるハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
前記漏れ燃料量推定手段は、前記内燃機関の運転が停止されている時間が長いほど小さくなる傾向の前記内燃機関の燃料噴射弁から漏れる燃料の単位時間あたりの量と前記内燃機関の運転が停止されている時間との積を用いて前記漏れ燃料量を推定する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載のハイブリッド自動車であって、
前記停止時制御手段は、前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったとき、前記浄化触媒の温度が未燃焼燃料の浄化能力が低いときの温度として予め設定された所定温度よりも高いときには前記内燃機関が第1の回転数でモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御し、前記浄化触媒の温度が前記所定温度以下のときには前記内燃機関が第1の回転数よりも低い第2の回転数でモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記内燃機関は、未燃焼燃料を吸着可能な吸着装置が吸気系に取り付けられてなり、
前記停止時制御手段は、前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったとき、前記浄化触媒の温度が未燃焼燃料の浄化能力が著しく低いときの温度として予め設定された第2の所定温度よりも高いときには前記内燃機関が正回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御し、前記浄化触媒の温度が前記第2の所定温度以下のときには前記内燃機関が逆回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項5】
請求項4記載のハイブリッド自動車であって、
前記内燃機関は、筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁を有し、前記吸着装置が前記吸気系におけるスロットル弁の上流側に取り付けられてなり、
前記停止時制御手段は、前記内燃機関の運転が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったとき、前記浄化触媒の温度が前記第2の所定温度以下のときにおいて、前記吸着装置により吸着されたと推定される未燃焼燃料の量が前記吸着装置により吸着可能な未燃焼燃料の量に至るまでは前記スロットル弁を開成した状態で前記内燃機関が逆回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御し、前記吸着装置により吸着されたと推定される未燃焼燃料の量が前記吸着装置により吸着可能な未燃焼燃料の量に至ったときには前記スロットル弁を閉成した状態で前記内燃機関が逆回転方向にモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
外部電源に接続されて前記蓄電手段を充電可能な充電手段を備える、
ハイブリッド自動車。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
前記内燃機関の出力軸と前記第1電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構を備え、
前記第2電動機は、前記駆動軸に接続されてなる、
ハイブリッド自動車。
【請求項8】
走行用の動力を出力可能で排気浄化用の浄化触媒を有する浄化装置が排気系に取り付けられた内燃機関と、前記内燃機関をモータリング可能な第1電動機と、走行用の動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えるハイブリッド自動車の制御方法であって、
前記内燃機関がモータリングもされずに停止されている時間が長いほど大きくなる傾向に前記内燃機関の燃料噴射弁から漏れた燃料の量である漏れ燃料量を推定し、前記浄化触媒の温度が低いほど小さくなる傾向に前記浄化触媒により浄化可能な未燃焼燃料の量である浄化可能燃料量を推定し、
前記内燃機関が停止されているときであって前記推定された漏れ燃料量が前記推定された浄化可能燃料量に至ったときに、前記内燃機関が燃料噴射と点火を伴わずにモータリングされるよう前記内燃機関と前記第1電動機とを制御する、
ハイブリッド自動車の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−162041(P2011−162041A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26482(P2010−26482)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】