パターン修正装置
【課題】 作業操作性の良いパターン修正装置を提供する。
【解決手段】 このパターン修正装置では、洗浄液45の入った洗浄タンク46を洗浄エリアに設け、塗布ノズル30が詰まったときは、たとえばステージ10,12を駆動させて塗布ノズル30を洗浄液45中に浸漬させ、超音波振動子47により超音波を印加して塗布ノズル30を洗浄する。したがって、塗布ノズル30を堆積装置5から取り外すことなく洗浄液45で洗浄して、修正作業を再開することができる。
【解決手段】 このパターン修正装置では、洗浄液45の入った洗浄タンク46を洗浄エリアに設け、塗布ノズル30が詰まったときは、たとえばステージ10,12を駆動させて塗布ノズル30を洗浄液45中に浸漬させ、超音波振動子47により超音波を印加して塗布ノズル30を洗浄する。したがって、塗布ノズル30を堆積装置5から取り外すことなく洗浄液45で洗浄して、修正作業を再開することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパターン修正装置に関し、特に、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正装置に関する。より特定的には、この発明は、フラットパネルディスプレイの製造工程において発生する電極のオープン欠陥、プラズマディスプレイのリブ(隔壁)欠損などを修正するパターン修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの大型化、高精細化に伴い、ガラス基板上の電極やリブなどに欠陥が存在する確率が高くなっており、歩留まりの向上を図るため欠陥を修正する方法が提案されている。
【0003】
たとえば、プラズマディスプレイの背面ガラス基板上には、高さが150μm程度で幅が60〜100μm程度のリブが数百μmピッチで形成されている。このリブの一部が欠けている場合、塗布針に修正用ペーストを付着させて欠損部に塗布し、修正用ペーストが垂れないように修正用ペーストを焼成しながら積層し、リブ幅方向にはみ出た部分はレーザカットとスクラッチ針によって削り取り、リブの正常な高さよりも高く盛り上がった部分はスキージ機能により平らにならしてリブを修正する(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
また、液晶ディスプレイのガラス基板の表面には電極が形成されている。この電極が断線している場合、塗布針先端に付着させた導電性ペーストを断線部に塗布し、電極の長さ方向に塗布位置をずらしながら複数回塗布して電極を修正する(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−299059号公報
【特許文献2】特開平8−292442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、リブを修正する方法では、塗布針がリブの欠損部とペーストタンクとの間を何度も往復してリブ欠損部を修正用ペーストで埋めるので、欠損部が大きいほど塗布時間が長くなるという問題がある。また、リブ幅からはみ出した修正用ペーストを除去するカット用レーザ部とスクラッチ機構、これにより生じる異物を吸引する機構、正常部より盛り上がった修正部をスキージ機構により再整形する機構などが必要となり装置構成が複雑になる。
【0006】
また、電極を修正する方法では、電極の断線部とペーストタンクとの間を何度も往復させて塗布針に導電性ペーストを補充しながら塗布するので、断線部が長いほど修正にかかる時間が長くなる。また、円形の塗布部を1列に配置した形状にペーストが塗布されるので、電極の幅からはみ出た部分は塗布後にレーザカット処理する必要があった。
【0007】
そこで、本願発明者は、少なくとも欠陥部を含む範囲で基板を加熱した状態で、塗布ノズルを介して霧状の修正液を欠陥部に噴射し、修正液を欠陥部に堆積させて修正するパターン修正装置を提案した(たとえば特願2005−50766号参照)。このパターン修正装置では、修正液を補充しながら噴出することができるので、塗布針が欠陥部とペーストタンクとの間を何度も往復していた従来に比べ、欠陥部を迅速に修正することができる。また、欠陥部を加熱して修正液を乾燥させながら堆積層を形成するので、一定の形状に堆積層を形成することができる。したがって、従来のように余分な修正ペーストを除去する機構を設ける必要がないので、装置構成の簡単化を図ることができる。
【0008】
しかし、このパターン修正装置では、塗布ノズルを介して霧状の修正液を欠陥部に噴射するので、修正液で塗布ノズルが詰まってしまうことも想定される。しかし、塗布ノズルが詰まるたびに塗布ノズルを取り外して洗浄していたのでは、作業操作性が悪くなる。
【0009】
それゆえに、この発明の主たる目的は、作業操作性の良いパターン修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るパターン修正装置は、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、少なくとも欠陥部を含む範囲で基板を加熱する加熱装置と、塗布ノズルを介して霧状の修正液を欠陥部に噴射し、修正液を欠陥部に堆積させて欠陥部を修正する堆積装置と、塗布ノズルを洗浄液で洗浄する洗浄手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルが浸漬された洗浄液に超音波振動を印加して塗布ノズルを洗浄する。
【0012】
また好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルの先端を洗浄液中に挿入し、塗布ノズル内に洗浄液を吸引および吐出して塗布ノズルを洗浄する。
【0013】
また好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルの先端を洗浄液の液面から予め定められられた深さまで挿入し、洗浄液の液面から予め定められた深さまでの洗浄液を塗布ノズル内に吸引および吐出する。
【0014】
また好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルを介して洗浄液を噴射して塗布ノズルを洗浄する。
【0015】
また好ましくは、洗浄手段は、霧状の修正液の代わりに所定量の洗浄液を塗布ノズルに供給する洗浄液供給装置と、塗布ノズルに圧縮ガスを供給し、塗布ノズルを介して洗浄液を噴射させる圧縮ガス供給装置とを含む。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係るパターン修正装置では、塗布ノズルを洗浄液で洗浄する洗浄手段を設けたので、塗布ノズルを取り外さずに洗浄して修正作業を再開することができ、作業操作性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について説明する前に、まず、この発明が適用されるパターン修正装置の基本構成およびその動作について説明する。
【0018】
図1は、この発明が適用されるパターン修正装置の全体構成を示す図である。図1において、パターン修正装置1は、基板の表面を観察する観察光学系2と、観察された画像を映し出すモニタ3と、観察光学系2を介してレーザ光を照射し不要部をカットするカット用レーザ部4と、欠陥修正用の修正材料を数μm以下の微粒子にして溶媒中に分散させた修正液を霧状にして欠陥部に噴出し、微粒子を欠陥部に堆積させる微粒子堆積装置5と、欠陥部を加熱して霧状の修正液中の溶媒を気化させる基板加熱部6と、欠陥部を認識する画像処理部7と、装置全体を制御するホストコンピュータ8と、装置機構部の動作を制御する制御用コンピュータ9とを備える。さらに、その他に欠陥部を持つ基板をXY方向(水平方向)に移動させるXYステージ10と、XYステージ10上で基板を保持するチャック部11と、観察光学系2や微粒子堆積装置5をZ方向(垂直方向)に移動させるZステージ12などが設けられている。
【0019】
図2は、図1に示したパターン修正装置の要部を示す断面図である。修正する欠陥としては、電極のオープン欠陥部、プラズマディスプレイのリブ欠損部、カラーフィルタの白抜け欠陥などが挙げられる。たとえば、オープン欠陥部13aがある電極13が表面に形成された基板14は、チャック部11に固定され、そのチャック部11はXYステージ10によりXY方向に移動される。なお、基板14全体を加熱するヒータをチャック部11に内蔵して、基板14の上側から欠陥部13aを含む範囲を部分加熱可能な基板加熱部6と併用することも可能である。基板14が大型になる場合には、チャック部11内にヒータを内蔵して基板14全体を加熱することは大掛かりになるため、このような場合には基板加熱部6のみの構成にする方が好ましい。基板加熱部6としては、LD光源やCO2レーザなどを用いることが可能である。
【0020】
微粒子堆積装置5は、修正に用いる修正材料を数μm以下の微粒子にし、それを溶媒中に均一に分散して液状化した修正液を霧状にする噴霧部15と、霧状にされた修正液の流れの圧力を減じる減圧部16と、減圧された霧状の修正液を加熱する加熱部17と、加熱された霧状の修正液を収束して欠陥部13aに噴出し、欠陥部13aに微粒子を堆積するヘッド部18とを含む。
【0021】
噴霧部15の容器19内には修正液20が注入されている。電極13のオープン欠陥部13aを修正する場合には、修正液20として、銀ペースト、金ペースト、あるいは透明電極材料の微粒子を溶媒中に分散したものが使用される。また、修正液20として、中心金属の周りにイオンや分子が結合した化合物を含む金属錯体溶液を用いてもよい。また、プラズマディスプレイのリブ欠け欠陥を修正する場合には、修正液20として、リブの材料であるガラスの粉末を溶媒中に均一に分散させたものが使用される。
【0022】
容器19の中央には噴霧ノズル21が設けられている。噴霧ノズル21の下部は修正液20に浸けられている。容器19の外部から噴霧ノズル21にアトマイズガス(たとえば窒素ガス)を供給すると、噴霧ノズル21上部の噴出口21aにおけるアトマイズガスの流速が速くなって周囲よりも気圧が下がるため、噴霧ノズル21下端の吸入口21bから修正液20が吸い上げられ、アトマイズガスが噴出口21aから噴出するときに修正液20も噴出口21aの周囲に飛び散り霧化される。この原理は普通の霧吹きの原理と同じでありベルヌーイの原理を応用したものである。大きな霧粒子は容器19内に落下、あるいは、容器19の内壁面に衝突して容器19内に留まり、微細な霧粒子だけが減圧部16に送られる。
【0023】
なお、アトマイズガスとしては、修正液20が酸化しないように窒素ガスのような不活性ガスを用いることが好ましいが、酸化しない修正液20であれば空気でも構わない。また、修正液20を霧状にするためにアトマイズガスを用いたが、修正液20中の修正材料がサブミクロンのような超微粒子であれば、超音波振動子による霧化装置を用いても構わない。超音波振動子による霧化装置を用いる場合、減圧部16は省略され、霧粒子をヘッド部18に流すための微量のガスが霧化装置に供給されて、霧化装置で発生した霧粒子がヘッド部18に直接供給される。
【0024】
また、修正液20中の修正材料の微粒子が時間の経過により沈殿し易い場合には、撹拌子を容器19内に入れ、容器19の底にマグネチックスターラを設置して修正液20を常時撹拌しても良い。
【0025】
減圧部16は、一般的に知られているバーチャルインパクタと同じものであり、修正液20の霧粒子を分級するものである。小さな霧粒子はここで除去され、霧粒子の流れの圧力が減じられる。減圧部16は、ノズル部22と集気部23と排気管24と外管25から構成される。ノズル部22と集気部23とは一定の隙間26を保って対峙している。ノズル部22から噴出された霧粒子のうちの流速が速い霧粒子や重い霧粒子は集気部23を介して次段に供給されるが、流速が遅い霧粒子や軽い霧粒子などは排気管24を介して排気ポンプ(図示せず)により排出される。
【0026】
加熱部17は、集気部23と次段を結ぶパイプ27を含む。パイプ27の外周部にはヒータ28と温度センサ29が取り付けられ、パイプ27が設定温度になるように制御され、霧粒子を加熱する機能を持つ。霧粒子を加熱することで、欠陥部13aに霧粒子が付着した時の流れや飛散を抑制する。なお、ヒータ28の周りは断熱部材(図示せず)で覆われている。また、修正液20によっては、図3に示すように、加熱部17を省略することも可能である。
【0027】
図2に戻って、ヘッド部18は、霧粒子の周りをシースガス(たとえば窒素ガス)で覆いこみ、霧粒子の流れを収束させてヘッド部18下端の塗布ノズル30から欠陥部13aに向けて霧粒子を噴出する。塗布ノズル30の噴出口の内径は100〜200μm程度であり、シースガスによって噴出口の内径の1/10程度まで霧粒子の流れを収束させることが可能である。
【0028】
シャッタ31は、欠陥修正を行う前に基板14上に霧粒子が噴出されないように塗布ノズル30から噴出される霧粒子を受けるものである。修正開始時にシャッタ31を開放して欠陥修正を行ない、修正完了と同時にシャッタ31を塗布ノズル30の先端と基板14の間に移動させ、シャッタ31で霧粒子を受ける。なお、シャッタ31に、塗布ノズル30から噴出された霧粒子を吸引する機能を持たせてもよい。
【0029】
次に、このパターン修正装置の使用方法について説明する。図4(a)は、基板14の表面に形成された電極13のオープン欠陥部13aを修正する途中経過を示す図である。XYステージ10を駆動させて塗布ノズル30と基板14を相対的に移動させ、欠陥部13aの一方端から他方端に向けて修正材料の微粒子を堆積させていく。このとき、塗布ノズル30の先端と基板14の表面の間隔を一定の距離(5mm前後)に保って非接触で修正することができる。
【0030】
微粒子の堆積層の線幅を一定に保つためには、欠陥部13aを含む範囲で基板14の一部分または基板14全体を最適な温度に保つとともに、噴霧部15に供給するアトマイズガスの流量、減圧部16の排気流量、ヘッド部18のシースガスの流量などを最適値に管理する必要がある。なお、塗布ノズル30の先端と基板14の表面の間隔が微粒子の堆積層の線幅に及ぼす影響は小さい。
【0031】
図4(b)は、欠陥部13aの修理が完了した状態を示す図である。微粒子の堆積層からなる修正部32は基板加熱部6によりさらに本焼成しても良いし、基板14全体を別工程の炉で再焼成しても構わない。なお、修正膜厚が不足する場合は、複数の微粒子層を積層すれば良い。また、修正部32の線幅が電極13の線幅よりも太くなったり、修正部32以外の部分に微粒子が付着した場合は、レーザ部4を用いて不要部をレーザカットしてもよい。
【0032】
また、図5(a)に示すように、プラズマディスプレイの背面ガラス基板34の表面に形成されているリブ35の一部が欠落したリブ欠け欠陥部35aを修正することも可能である。すなわち図5(b)に示すように、基板加熱部6を用いて欠陥部35aを加熱しながら塗布ノズル30から欠陥部35aに霧状の修正液20を噴出し、かつXYステージ10を移動させて欠陥部35aに微粒子の堆積層36_1を形成する。引き続き、XYステージ10を往復移動させて複数の堆積層36_2〜36_nを積層し、最終的には図5(c)に示すようにリブ35の正常高さまで積層する。積層の終了後、修正部を基板加熱部6を用いて本焼成しても良いし、基板14を炉で再焼成しても構わない。
【0033】
この例では、堆積層36_1〜36_nを基板加熱部6で加熱してある程度乾燥させながら積層することができるので、積層幅は均一で崩れることがない。したがって、積層後のリブ幅再整形工程を省略することも可能である。
【0034】
また、1回の堆積膜厚は、修正材料や各流量設定にもよるが1μm前後であり、修正部の高さを測定器で測定しながら堆積層36_2〜36_nを積層すれば、修正部のトップ面をリブ35の正常なトップ面とほぼ同じ高さにすることができるので、従来のスキージ機構を省略することも可能である。
【0035】
以上のように、このパターン修正装置では、加熱した欠陥部13a,35aに霧状の修正液20を噴出し、欠陥部13a,35aに修正材料の微粒子を堆積させ、堆積層を欠陥部13a,35aに描画するので、塗布針を用いていた従来に比べ、修正時間の短縮化を図ることができる。
【0036】
また、従来技術で必要であった修正用ペースト塗布後におけるパターン整形手順およびその機構が不要となって、装置の簡略化が可能となる。
【0037】
なお、このパターン修正装置では、XYステージ10により基板14を移動させて堆積層を描画したが、基板14を動かさずに微粒子堆積装置5を移動するようにして堆積層を描画してもよい。
【0038】
また、XYステージ10としては、一軸ステージをXY方向に重ねたものや、基板を固定してX軸とY軸とを分離して駆動するガントリー方式など多種ステージ形式が考えられ、ここに示したステージには限定されない。
【0039】
さて、このようなパターン修正装置では、微粒子堆積装置5の噴霧部15、減圧部16、加熱部17、ヘッド部18内を霧状の修正液20が通過するので、装置の使用時間が長くなると、その内部に修正液が付着して溜まる。特にヘッド部18の先端に固定される塗布ノズル30内部に修正液20の塊(滴)が付着して詰まった場合には霧粒子が収束せずに飛散し、描画線が太くなったり、最終的には描画不能になる。
【0040】
図6は、ヘッド部18の詳細を示す断面図であって、塗布ノズル30の先端が詰まった状態を示す図である。図6において、ヘッド部18の上端部の穴にパイプ27の下端が嵌め込まれ、パイプ27の外周部とヘッド部18の間にはシール部材40が設けられている。また、塗布ノズル30の基端部はテーパシール41および固定ナット42によりヘッド部18本体の下端部に固定されている。図6では、塗布ノズル30の先端が修正液20からなる付着物43により詰まった状態が示されている。このような状態になると、微粒子堆積装置5をパターン修正装置1から取り外して分解洗浄するか、あるいは、塗布ノズル30を外して洗浄する必要があるが、取り外して再度取り付けるには手間がかかり、作業操作性が悪いという問題がある。以下の実施の形態では、この問題の解決が図られる。
【0041】
[実施の形態1]
図7は、この発明の実施の形態1によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。図7において、このパターン修正装置では、その一角に設けた洗浄エリアに、洗浄液45の入った洗浄タンク46を配置し、塗布ノズル30の洗浄が必要になった際には、たとえばステージ10,12を駆動させて塗布ノズル30を洗浄タンク46の洗浄液45中に浸漬させる。洗浄液45としては、揮発性の高いアルコール系の溶液、たとえば、メチルアルコールを用いる。塗布ノズル30を洗浄液45に漬ける前から一定量のシースガスを噴霧しておけば、塗布ノズル30の先端から気泡が出て塗布ノズル30の外面に付いた付着物43を除去できる。
【0042】
また、洗浄タンク46に超音波振動子47(たとえば、ランジバン型振動子)が設けられ、超音波洗浄器が構成されている。塗布ノズル30が浸漬された洗浄液45に超音波を印加することにより、塗布ノズル30の内外の付着物43をきれいに除去することができる。洗浄が完了した時点で塗布ノズル30を洗浄タンク46から引き上げ、エアパージによって、塗布ノズル30の表面に付いた洗浄液45を吹き飛ばして、塗布ノズル30の表面を乾燥させる。なお、塗布ノズル30を洗浄液45から引き上げた後、シースガスなどのガスを流すと、塗布ノズル30の内側に浸入した洗浄液45の吐出が可能となり、その後も連続してシースガスなどのガスを流せば、塗布ノズル30の内側も乾燥され、再使用可能となる。
【0043】
この実施の形態1では、塗布ノズル30を堆積装置5から取り外すことなく洗浄液45で洗浄して、再度微細線の描画が可能となるので作業操作性が向上する。また、微粒子堆積装置5の分解洗浄までのメンテナンス期間を延長することができる。
【0044】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。図8において、このパターン修正装置では、アトマイズガスのガス供給源と噴霧ノズル21の間のガス配管に電磁バルブ(V)50、マスフローコントローラ(MFC)51および圧力センサ(S)52が順に介挿されている。ガス供給源は、ガスを所定の圧力に調整して電磁バルブ50に与える。電磁バルブ50は、噴霧部15で修正液20の霧粒子を生成する噴霧期間に開けられてガスを通過させ、それ以外の期間は閉じられてガスを遮断する。マスフローコントローラ51は、ガス流量を制御する装置であり、噴霧期間に所定流量のアトマイズガスを流す。圧力センサ52は、噴霧期間にガス配管内のアトマイズガスの圧力を検出する。噴霧ノズル21が詰まってくるとガス配管内のアトマイズガスの圧力が上昇するので、圧力センサ52の検出結果に基づいて噴霧ノズル21の詰まり具合を検出することができる。
【0045】
また、噴霧部15の容器19の上部に圧力検出孔が開口され、その孔にはフィルタ53、圧力センサ54および電磁バルブ55がガス配管を介して順に接続されている。フィルタ53は、修正液20の霧粒子を遮断し、容器19内のガスを通過させる。圧力センサ54は、噴霧期間に容器19内の圧力を検出する。電磁バルブ55は、通常は閉じられ、容器19内のガスを排気する場合に開けられる。塗布ノズル30が詰まってくると容器19内のガスの圧力が上昇するので、圧力センサ54の検出結果に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0046】
また、減圧部16の排気管24の下流には、フィルタ56、圧力センサ57、マスフローコントローラ58および吸引ポンプ(P)59がガス配管を介して順に接続されている。フィルタ56は、修正液20の霧粒子を遮断し、ガスを通過させる。圧力センサ57は、噴霧期間に排気管24内の圧力すなわち減圧部16の外管25内の圧力を検出する。マスフローコントローラ58は、ガス流量を制御する装置であり、噴霧期間に所定流量のガスを流す。吸引ポンプ59は、減圧部16からガスを排気する。吸引ポンプ59としては、一般的なポンプ以外に真空発生源を用いても良い。塗布ノズル30が詰まってくると外管25内のアトマイズガスの圧力が上昇するので、圧力センサ57の検出結果に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0047】
また、シースガスのガス供給源とヘッド部18の間のガス配管に電磁バルブ60、マスフローコントローラ61および圧力センサ62が順に介挿されている。ガス供給源は、ガスを所定の圧力に調整して電磁バルブ60に与える。電磁バルブ60は、噴霧期間に開けられてガスを通過させ、それ以外の期間は閉じられてガスを遮断する。マスフローコントローラ61は、ガス流量を制御する装置であり、噴霧期間に所定流量のシースガスを流す。圧力センサ62は、噴霧期間にガス配管内のシースガスの圧力を検出する。塗布ノズル30が詰まってくるとガス配管内のシースガスの圧力が上昇するので、圧力センサ62の検出結果に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0048】
また、圧力センサ54で検出する噴霧部15の容器19内の圧力や、圧力センサ57で検出する減圧部16の内圧もシースガスと同様の時刻変化を示し、圧力値もほぼ同じであるので、容器19内の圧力や減圧部16の内圧に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0049】
また、このパターン修正装置では、実施の形態1と同様に、その一角に設けた洗浄エリアに、洗浄液45の入った洗浄タンク46が配置されている。圧力センサ52,54,57,62の検出結果に基づいて塗布ノズル30の洗浄が必要と判断した場合は、以下の洗浄工程に入る。
【0050】
図9は、塗布ノズル30の洗浄工程を示すタイムチャートである。図9において、塗布ノズル30の洗浄工程は、5つの期間T1〜T5に分けられる。堆積装置5内が正圧になった状態で塗布ノズル30を洗浄液45に浸漬すると、正圧が無くなるまで塗布ノズル30の先端から気泡が出る。逆に、堆積装置5内が負圧になった状態で塗布ノズル30を洗浄液45に浸漬すると、洗浄液45が塗布ノズル30から吸い込まれ、堆積装置5の減圧部16まで洗浄液45が逆流し、場合によっては噴霧部15まで逆流して修正液20を使用できない状態になる恐れがある。そのため期間T1では、アトマイズガス流量、シースガス流量、排気流量をゼロにし、堆積装置5の内圧を除去する目的で一度電磁バルブ55を開いて堆積装置5の内圧をゼロにした後、再度電磁バルブ55を閉じる。
【0051】
次に期間T2では、図8に示すように塗布ノズル30を洗浄液45に浸漬し、微量のシースガス(たとえば、20cc/分)を流すようにマスフローコントローラ61に指令を出す。この時点で塗布ノズル30の先端からは気泡が出る。その後、シースガス流量よりわずかに多い排気流量のガスを流すようにマスフローコントローラ58に指令を出す。マスフローコントローラ58,61の流量は、それらの中にある流量センサ出力をサンプリングすることで把握される。図9中のA点でシースガス流量と排気流量が同じになる。
【0052】
次いで期間T3では、シースガス流量よりも排気流量の方が大きくなる。排気流量がある閾値を超えると(図9中のB点)、堆積装置5の内部がわずかに負圧になり、塗布ノズル30の先端から洗浄液45が内部にゆっくり吸い込まれ、一定時間経過したC点まで吸引動作を行う。なお、B点とC点の間に吸引される洗浄液45の量は微量であり、かつ、洗浄液45が減圧部16まで到達しないような範囲でC点は設定される。
【0053】
次に期間T4では、排気流量をゼロにすると同時にシースガス流量が最大流量になるようマスフローコントローラ58,61を設定する。また、場合によっては、アトマイズガス流量が、噴霧部15で霧化が行なわれない程度の流量、つまり噴霧ノズル21の噴霧可能最低限流量よりも小さい流量になるようにマスフローコントローラ51を設定する。このようにして塗布ノズル30よりも上方からガスを流すことで、堆積装置5内の内圧が高まり、塗布ノズル30からガス排出と共に吸い込んだ洗浄液45が吐出され、塗布ノズル30内に詰まっていた修正液45も洗浄タンク46の洗浄液45内に吐き出される。
【0054】
以上の期間T1〜S4を1サイクルとして、このサイクルを数回行なった後に、シースガス流量またはアトマイズガス流量がゼロになるようにマスフローコントローラ61または51を設定し、その後、塗布ノズル30を洗浄液45から上方に抜き出す。その際、塗布ノズル30の外面にエアパージを施して塗布ノズル30の表面を乾燥させる(区間D)。
【0055】
最後に期間T5では、所定流量のシースガス、あるいは噴霧可能最低限流量よりも少ない流量のアトマイズガス、あるいはシースガスとアトマイズガスの両方を流して、塗布ノズル30の内側を乾燥させる。これにより、塗布ノズル30は再使用可能となる。期間T5が終了した時点でアトマイズガス流量をゼロに設定する。シースガスはそのまま流し続けてもよいし、シースガス流量を減らしてもよいし、シースガス流量をゼロに設定してもよい。
【0056】
この実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。また、洗浄タンク46に超音波振動子47を取付けて超音波洗浄器を構成すれば、洗浄能力が一層高くなる。
【0057】
なお、吸引洗浄1サイクルが終了するごとに洗浄タンク46内の洗浄液45を洗浄液交換手段(図示せず)により新しい洗浄液45と取り替えてもよい。
【0058】
また、図10に示すように、期間T2,S3においてシースガス流量をゼロにした状態で排気流量を設定し、塗布ノズル30の先端から洗浄液45を吸込んでもよい。
【0059】
図11は、実施の形態2の変更例を示す断面図である。このパターン修正装置は、図9の期間T3で洗浄液45を吸引する際、余分に洗浄液45を吸引しないようにしたものである。図8では、塗布ノズル30を洗浄液45内に深く浸漬させたのに対し、この変更例では、塗布ノズル30の先端を洗浄液45にわずかに浸漬させる。
【0060】
すなわち図11において、補充タンク65の洗浄液45は、バルブ66の開閉によって洗浄タンク46に供給されるが、洗浄タンク46の液面が一定の高さHになるように、余分な洗浄液45は洗浄タンク46の上側面にあるフロー管46aから廃液タンク(図示せず)へ導かれる。塗布ノズル30の先端位置はZステージ12により位置決めされるが、前もって洗浄タンク46に挿入する際のZ軸位置を設定して記憶しておき、洗浄時には前もって記憶しておいた座標に移動すれば良い。
【0061】
このように塗布ノズル30の先端がわずかに洗浄液45に浸漬された状態であるため、塗布ノズル30から吸引される量は、洗浄タンク46の断面積Sと洗浄液45に漬かった高さhの積S×hに制限されるため、余分な洗浄液45を吸引しないで済む。洗浄により洗浄タンク46内の洗浄液45が汚れた場合には、洗浄タンク46の底のバルブ67を開放して、洗浄タンク46内を空にし、その後バルブ67を閉じてからバルブ66を開放して補充タンク65から洗浄タンク40に新しい洗浄液45を供給する。
【0062】
図12は、実施の形態2の他の変更例を示す断面図である。このパターン修正装置が図11のパターン修正装置と異なる点は、洗浄タンク46の外側に2重タンク68が設けられている点である。洗浄タンク46の上側面にはフロー孔46bが開口され、フロー孔46bから漏れた洗浄液45は2重タンク68に集められた後、廃液ドレン68aから廃液タンク(図示せず)に導かれる。また洗浄タンク46の下側面にはバルブ付孔46cが設けられている。洗浄タンク46内の洗浄液45を交換する際は、バルブ付孔46cを開放して2重タンク68内に廃液を流し、廃液ドレン68aから一括して廃液を流す。
【0063】
[実施の形態3]
図13は、この発明の実施の形態3によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。図13において、このパターン修正装置は、図8のパターン修正装置に洗浄液注入装置70を追加したものである。洗浄液注入装置70は、ヘッド部18のテーパ面18aにシースガスと平行して洗浄液45を注入する装置であり、洗浄液45を一定量注入するための注入部71と、圧縮ガス(たとえば窒素ガス)を供給する電磁バルブ72とを含む。注入部71は、洗浄液45を入れるタンク部71aと、洗浄液45を一定量注入するための電動シリンダ部71bからなる。洗浄液45としては、実施の形態1と同様、たとえばメチルアルコールを用いる。
【0064】
シースガスを一定流量流した状態で、塗布ノズル30は洗浄タンク46に浸漬される。この時、アトマイズガスを噴霧可能最低限流量よりも低い流量に設定してもよい。塗布ノズル30の先端からは気泡が出た状態であり、この状態で注入部71から洗浄液45を少量注入する。洗浄液45の注入量は塗布ノズル30とヘッド部18のテーパ面18aを満たす程度で十分であり、たとえば0.5cc程度の洗浄液45が注入される。注入された洗浄液45はヘッド部18のテーパ面18aを通って塗布ノズル30の先端から吐き出される。塗布ノズル30の上部内径は1mm以下、その先端内径は200μmと細いため、注入した洗浄液45が塗布ノズル30の先端からうまく吐き出されない場合があり、この時は電磁バルブ72を短時間(数秒)だけ開いてヘッド部18のテーパ面18aに圧縮ガスを注入する。この圧縮ガスの圧力により、洗浄液45は塗布ノズル30を介して洗浄タンク46内に吐き出される。圧縮ガスの注入を数回繰り返すことで、注入された洗浄液45をすべて排出する。
【0065】
上記洗浄工程を数回繰り返せば、塗布ノズル30の内部に溜まった修正液20は外部に排出される。また、塗布ノズル30の先端表面に付着した修正液20も上記工程で除去されるが、少し残るようであれば、超音波振動子47を駆動して超音波洗浄を併用しても良い。
【0066】
洗浄液45を注入する方法で塗布ノズル30を洗浄した後、エアパージしながら塗布ノズル30を洗浄タンク46から上方に引き上げる。その後、塗布ノズル30の内部、および、シースガスが流れる部分の乾燥を行うため、シースガスをしばらくの間流し続けて乾燥を促進させる。
【0067】
この実施の形態3でも、実施の形態2と同じ効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明が適用されるパターン修正装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【図3】図1に示したパターン修正装置の変更例を示す断面図である。
【図4】図1に示したパターン修正装置の使用方法を示す図である。
【図5】図1に示したパターン修正装置の使用方法を示す他の図である。
【図6】図1に示したパターン修正装置の問題点を説明するための断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【図9】図8に示したパターン修正装置の動作を示すタイムチャートである。
【図10】実施の形態2の変更例を示すタイムチャートである。
【図11】実施の形態2の他の変更例を示す断面図である。
【図12】実施の形態2のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態3によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 パターン修正装置、2 観察光学系、3 モニタ、4 カット用レーザ部、5 微粒子堆積装置、6 基板加熱部、7 画像処理部、8 ホストコンピュータ、9 制御用コンピュータ、10 XYステージ、11 チャック部、12 Zステージ、13 電極、13a オープン欠陥部、14 基板、15 噴霧部、16 減圧部、17 加熱部、18 ヘッド部、18a テーパ面、19 容器、20 修正液、21 噴霧ノズル、21a 噴出口、21b 吸入口、22 ノズル部、23 集気部、24 排気管、25 外管、26 隙間、27 パイプ、28 ヒータ、29 温度センサ、30 塗布ノズル、31 シャッタ、32 修正部、34 背面ガラス基板、35 リブ、35a リブ欠け欠陥部、36_1〜36_n 堆積層、40 シール部材、41 テーパ状シール、42 ナット、43 付着物、45 洗浄液、46 洗浄タンク、46a フロー管、46b フロー孔、46c バルブ付孔、47 超音波発振子、50,55,60,66,72 電磁バルブ、51,58,61 マスフローコントローラ、52,54,57,62 圧力センサ、53,56 フィルタ、65 補充タンク、66,67 バルブ、70 洗浄液注入装置、71 注入部、71a タンク部、71b 電動シリンダ部。
【技術分野】
【0001】
この発明はパターン修正装置に関し、特に、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正装置に関する。より特定的には、この発明は、フラットパネルディスプレイの製造工程において発生する電極のオープン欠陥、プラズマディスプレイのリブ(隔壁)欠損などを修正するパターン修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの大型化、高精細化に伴い、ガラス基板上の電極やリブなどに欠陥が存在する確率が高くなっており、歩留まりの向上を図るため欠陥を修正する方法が提案されている。
【0003】
たとえば、プラズマディスプレイの背面ガラス基板上には、高さが150μm程度で幅が60〜100μm程度のリブが数百μmピッチで形成されている。このリブの一部が欠けている場合、塗布針に修正用ペーストを付着させて欠損部に塗布し、修正用ペーストが垂れないように修正用ペーストを焼成しながら積層し、リブ幅方向にはみ出た部分はレーザカットとスクラッチ針によって削り取り、リブの正常な高さよりも高く盛り上がった部分はスキージ機能により平らにならしてリブを修正する(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
また、液晶ディスプレイのガラス基板の表面には電極が形成されている。この電極が断線している場合、塗布針先端に付着させた導電性ペーストを断線部に塗布し、電極の長さ方向に塗布位置をずらしながら複数回塗布して電極を修正する(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−299059号公報
【特許文献2】特開平8−292442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、リブを修正する方法では、塗布針がリブの欠損部とペーストタンクとの間を何度も往復してリブ欠損部を修正用ペーストで埋めるので、欠損部が大きいほど塗布時間が長くなるという問題がある。また、リブ幅からはみ出した修正用ペーストを除去するカット用レーザ部とスクラッチ機構、これにより生じる異物を吸引する機構、正常部より盛り上がった修正部をスキージ機構により再整形する機構などが必要となり装置構成が複雑になる。
【0006】
また、電極を修正する方法では、電極の断線部とペーストタンクとの間を何度も往復させて塗布針に導電性ペーストを補充しながら塗布するので、断線部が長いほど修正にかかる時間が長くなる。また、円形の塗布部を1列に配置した形状にペーストが塗布されるので、電極の幅からはみ出た部分は塗布後にレーザカット処理する必要があった。
【0007】
そこで、本願発明者は、少なくとも欠陥部を含む範囲で基板を加熱した状態で、塗布ノズルを介して霧状の修正液を欠陥部に噴射し、修正液を欠陥部に堆積させて修正するパターン修正装置を提案した(たとえば特願2005−50766号参照)。このパターン修正装置では、修正液を補充しながら噴出することができるので、塗布針が欠陥部とペーストタンクとの間を何度も往復していた従来に比べ、欠陥部を迅速に修正することができる。また、欠陥部を加熱して修正液を乾燥させながら堆積層を形成するので、一定の形状に堆積層を形成することができる。したがって、従来のように余分な修正ペーストを除去する機構を設ける必要がないので、装置構成の簡単化を図ることができる。
【0008】
しかし、このパターン修正装置では、塗布ノズルを介して霧状の修正液を欠陥部に噴射するので、修正液で塗布ノズルが詰まってしまうことも想定される。しかし、塗布ノズルが詰まるたびに塗布ノズルを取り外して洗浄していたのでは、作業操作性が悪くなる。
【0009】
それゆえに、この発明の主たる目的は、作業操作性の良いパターン修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るパターン修正装置は、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、少なくとも欠陥部を含む範囲で基板を加熱する加熱装置と、塗布ノズルを介して霧状の修正液を欠陥部に噴射し、修正液を欠陥部に堆積させて欠陥部を修正する堆積装置と、塗布ノズルを洗浄液で洗浄する洗浄手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルが浸漬された洗浄液に超音波振動を印加して塗布ノズルを洗浄する。
【0012】
また好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルの先端を洗浄液中に挿入し、塗布ノズル内に洗浄液を吸引および吐出して塗布ノズルを洗浄する。
【0013】
また好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルの先端を洗浄液の液面から予め定められられた深さまで挿入し、洗浄液の液面から予め定められた深さまでの洗浄液を塗布ノズル内に吸引および吐出する。
【0014】
また好ましくは、洗浄手段は、塗布ノズルを介して洗浄液を噴射して塗布ノズルを洗浄する。
【0015】
また好ましくは、洗浄手段は、霧状の修正液の代わりに所定量の洗浄液を塗布ノズルに供給する洗浄液供給装置と、塗布ノズルに圧縮ガスを供給し、塗布ノズルを介して洗浄液を噴射させる圧縮ガス供給装置とを含む。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係るパターン修正装置では、塗布ノズルを洗浄液で洗浄する洗浄手段を設けたので、塗布ノズルを取り外さずに洗浄して修正作業を再開することができ、作業操作性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について説明する前に、まず、この発明が適用されるパターン修正装置の基本構成およびその動作について説明する。
【0018】
図1は、この発明が適用されるパターン修正装置の全体構成を示す図である。図1において、パターン修正装置1は、基板の表面を観察する観察光学系2と、観察された画像を映し出すモニタ3と、観察光学系2を介してレーザ光を照射し不要部をカットするカット用レーザ部4と、欠陥修正用の修正材料を数μm以下の微粒子にして溶媒中に分散させた修正液を霧状にして欠陥部に噴出し、微粒子を欠陥部に堆積させる微粒子堆積装置5と、欠陥部を加熱して霧状の修正液中の溶媒を気化させる基板加熱部6と、欠陥部を認識する画像処理部7と、装置全体を制御するホストコンピュータ8と、装置機構部の動作を制御する制御用コンピュータ9とを備える。さらに、その他に欠陥部を持つ基板をXY方向(水平方向)に移動させるXYステージ10と、XYステージ10上で基板を保持するチャック部11と、観察光学系2や微粒子堆積装置5をZ方向(垂直方向)に移動させるZステージ12などが設けられている。
【0019】
図2は、図1に示したパターン修正装置の要部を示す断面図である。修正する欠陥としては、電極のオープン欠陥部、プラズマディスプレイのリブ欠損部、カラーフィルタの白抜け欠陥などが挙げられる。たとえば、オープン欠陥部13aがある電極13が表面に形成された基板14は、チャック部11に固定され、そのチャック部11はXYステージ10によりXY方向に移動される。なお、基板14全体を加熱するヒータをチャック部11に内蔵して、基板14の上側から欠陥部13aを含む範囲を部分加熱可能な基板加熱部6と併用することも可能である。基板14が大型になる場合には、チャック部11内にヒータを内蔵して基板14全体を加熱することは大掛かりになるため、このような場合には基板加熱部6のみの構成にする方が好ましい。基板加熱部6としては、LD光源やCO2レーザなどを用いることが可能である。
【0020】
微粒子堆積装置5は、修正に用いる修正材料を数μm以下の微粒子にし、それを溶媒中に均一に分散して液状化した修正液を霧状にする噴霧部15と、霧状にされた修正液の流れの圧力を減じる減圧部16と、減圧された霧状の修正液を加熱する加熱部17と、加熱された霧状の修正液を収束して欠陥部13aに噴出し、欠陥部13aに微粒子を堆積するヘッド部18とを含む。
【0021】
噴霧部15の容器19内には修正液20が注入されている。電極13のオープン欠陥部13aを修正する場合には、修正液20として、銀ペースト、金ペースト、あるいは透明電極材料の微粒子を溶媒中に分散したものが使用される。また、修正液20として、中心金属の周りにイオンや分子が結合した化合物を含む金属錯体溶液を用いてもよい。また、プラズマディスプレイのリブ欠け欠陥を修正する場合には、修正液20として、リブの材料であるガラスの粉末を溶媒中に均一に分散させたものが使用される。
【0022】
容器19の中央には噴霧ノズル21が設けられている。噴霧ノズル21の下部は修正液20に浸けられている。容器19の外部から噴霧ノズル21にアトマイズガス(たとえば窒素ガス)を供給すると、噴霧ノズル21上部の噴出口21aにおけるアトマイズガスの流速が速くなって周囲よりも気圧が下がるため、噴霧ノズル21下端の吸入口21bから修正液20が吸い上げられ、アトマイズガスが噴出口21aから噴出するときに修正液20も噴出口21aの周囲に飛び散り霧化される。この原理は普通の霧吹きの原理と同じでありベルヌーイの原理を応用したものである。大きな霧粒子は容器19内に落下、あるいは、容器19の内壁面に衝突して容器19内に留まり、微細な霧粒子だけが減圧部16に送られる。
【0023】
なお、アトマイズガスとしては、修正液20が酸化しないように窒素ガスのような不活性ガスを用いることが好ましいが、酸化しない修正液20であれば空気でも構わない。また、修正液20を霧状にするためにアトマイズガスを用いたが、修正液20中の修正材料がサブミクロンのような超微粒子であれば、超音波振動子による霧化装置を用いても構わない。超音波振動子による霧化装置を用いる場合、減圧部16は省略され、霧粒子をヘッド部18に流すための微量のガスが霧化装置に供給されて、霧化装置で発生した霧粒子がヘッド部18に直接供給される。
【0024】
また、修正液20中の修正材料の微粒子が時間の経過により沈殿し易い場合には、撹拌子を容器19内に入れ、容器19の底にマグネチックスターラを設置して修正液20を常時撹拌しても良い。
【0025】
減圧部16は、一般的に知られているバーチャルインパクタと同じものであり、修正液20の霧粒子を分級するものである。小さな霧粒子はここで除去され、霧粒子の流れの圧力が減じられる。減圧部16は、ノズル部22と集気部23と排気管24と外管25から構成される。ノズル部22と集気部23とは一定の隙間26を保って対峙している。ノズル部22から噴出された霧粒子のうちの流速が速い霧粒子や重い霧粒子は集気部23を介して次段に供給されるが、流速が遅い霧粒子や軽い霧粒子などは排気管24を介して排気ポンプ(図示せず)により排出される。
【0026】
加熱部17は、集気部23と次段を結ぶパイプ27を含む。パイプ27の外周部にはヒータ28と温度センサ29が取り付けられ、パイプ27が設定温度になるように制御され、霧粒子を加熱する機能を持つ。霧粒子を加熱することで、欠陥部13aに霧粒子が付着した時の流れや飛散を抑制する。なお、ヒータ28の周りは断熱部材(図示せず)で覆われている。また、修正液20によっては、図3に示すように、加熱部17を省略することも可能である。
【0027】
図2に戻って、ヘッド部18は、霧粒子の周りをシースガス(たとえば窒素ガス)で覆いこみ、霧粒子の流れを収束させてヘッド部18下端の塗布ノズル30から欠陥部13aに向けて霧粒子を噴出する。塗布ノズル30の噴出口の内径は100〜200μm程度であり、シースガスによって噴出口の内径の1/10程度まで霧粒子の流れを収束させることが可能である。
【0028】
シャッタ31は、欠陥修正を行う前に基板14上に霧粒子が噴出されないように塗布ノズル30から噴出される霧粒子を受けるものである。修正開始時にシャッタ31を開放して欠陥修正を行ない、修正完了と同時にシャッタ31を塗布ノズル30の先端と基板14の間に移動させ、シャッタ31で霧粒子を受ける。なお、シャッタ31に、塗布ノズル30から噴出された霧粒子を吸引する機能を持たせてもよい。
【0029】
次に、このパターン修正装置の使用方法について説明する。図4(a)は、基板14の表面に形成された電極13のオープン欠陥部13aを修正する途中経過を示す図である。XYステージ10を駆動させて塗布ノズル30と基板14を相対的に移動させ、欠陥部13aの一方端から他方端に向けて修正材料の微粒子を堆積させていく。このとき、塗布ノズル30の先端と基板14の表面の間隔を一定の距離(5mm前後)に保って非接触で修正することができる。
【0030】
微粒子の堆積層の線幅を一定に保つためには、欠陥部13aを含む範囲で基板14の一部分または基板14全体を最適な温度に保つとともに、噴霧部15に供給するアトマイズガスの流量、減圧部16の排気流量、ヘッド部18のシースガスの流量などを最適値に管理する必要がある。なお、塗布ノズル30の先端と基板14の表面の間隔が微粒子の堆積層の線幅に及ぼす影響は小さい。
【0031】
図4(b)は、欠陥部13aの修理が完了した状態を示す図である。微粒子の堆積層からなる修正部32は基板加熱部6によりさらに本焼成しても良いし、基板14全体を別工程の炉で再焼成しても構わない。なお、修正膜厚が不足する場合は、複数の微粒子層を積層すれば良い。また、修正部32の線幅が電極13の線幅よりも太くなったり、修正部32以外の部分に微粒子が付着した場合は、レーザ部4を用いて不要部をレーザカットしてもよい。
【0032】
また、図5(a)に示すように、プラズマディスプレイの背面ガラス基板34の表面に形成されているリブ35の一部が欠落したリブ欠け欠陥部35aを修正することも可能である。すなわち図5(b)に示すように、基板加熱部6を用いて欠陥部35aを加熱しながら塗布ノズル30から欠陥部35aに霧状の修正液20を噴出し、かつXYステージ10を移動させて欠陥部35aに微粒子の堆積層36_1を形成する。引き続き、XYステージ10を往復移動させて複数の堆積層36_2〜36_nを積層し、最終的には図5(c)に示すようにリブ35の正常高さまで積層する。積層の終了後、修正部を基板加熱部6を用いて本焼成しても良いし、基板14を炉で再焼成しても構わない。
【0033】
この例では、堆積層36_1〜36_nを基板加熱部6で加熱してある程度乾燥させながら積層することができるので、積層幅は均一で崩れることがない。したがって、積層後のリブ幅再整形工程を省略することも可能である。
【0034】
また、1回の堆積膜厚は、修正材料や各流量設定にもよるが1μm前後であり、修正部の高さを測定器で測定しながら堆積層36_2〜36_nを積層すれば、修正部のトップ面をリブ35の正常なトップ面とほぼ同じ高さにすることができるので、従来のスキージ機構を省略することも可能である。
【0035】
以上のように、このパターン修正装置では、加熱した欠陥部13a,35aに霧状の修正液20を噴出し、欠陥部13a,35aに修正材料の微粒子を堆積させ、堆積層を欠陥部13a,35aに描画するので、塗布針を用いていた従来に比べ、修正時間の短縮化を図ることができる。
【0036】
また、従来技術で必要であった修正用ペースト塗布後におけるパターン整形手順およびその機構が不要となって、装置の簡略化が可能となる。
【0037】
なお、このパターン修正装置では、XYステージ10により基板14を移動させて堆積層を描画したが、基板14を動かさずに微粒子堆積装置5を移動するようにして堆積層を描画してもよい。
【0038】
また、XYステージ10としては、一軸ステージをXY方向に重ねたものや、基板を固定してX軸とY軸とを分離して駆動するガントリー方式など多種ステージ形式が考えられ、ここに示したステージには限定されない。
【0039】
さて、このようなパターン修正装置では、微粒子堆積装置5の噴霧部15、減圧部16、加熱部17、ヘッド部18内を霧状の修正液20が通過するので、装置の使用時間が長くなると、その内部に修正液が付着して溜まる。特にヘッド部18の先端に固定される塗布ノズル30内部に修正液20の塊(滴)が付着して詰まった場合には霧粒子が収束せずに飛散し、描画線が太くなったり、最終的には描画不能になる。
【0040】
図6は、ヘッド部18の詳細を示す断面図であって、塗布ノズル30の先端が詰まった状態を示す図である。図6において、ヘッド部18の上端部の穴にパイプ27の下端が嵌め込まれ、パイプ27の外周部とヘッド部18の間にはシール部材40が設けられている。また、塗布ノズル30の基端部はテーパシール41および固定ナット42によりヘッド部18本体の下端部に固定されている。図6では、塗布ノズル30の先端が修正液20からなる付着物43により詰まった状態が示されている。このような状態になると、微粒子堆積装置5をパターン修正装置1から取り外して分解洗浄するか、あるいは、塗布ノズル30を外して洗浄する必要があるが、取り外して再度取り付けるには手間がかかり、作業操作性が悪いという問題がある。以下の実施の形態では、この問題の解決が図られる。
【0041】
[実施の形態1]
図7は、この発明の実施の形態1によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。図7において、このパターン修正装置では、その一角に設けた洗浄エリアに、洗浄液45の入った洗浄タンク46を配置し、塗布ノズル30の洗浄が必要になった際には、たとえばステージ10,12を駆動させて塗布ノズル30を洗浄タンク46の洗浄液45中に浸漬させる。洗浄液45としては、揮発性の高いアルコール系の溶液、たとえば、メチルアルコールを用いる。塗布ノズル30を洗浄液45に漬ける前から一定量のシースガスを噴霧しておけば、塗布ノズル30の先端から気泡が出て塗布ノズル30の外面に付いた付着物43を除去できる。
【0042】
また、洗浄タンク46に超音波振動子47(たとえば、ランジバン型振動子)が設けられ、超音波洗浄器が構成されている。塗布ノズル30が浸漬された洗浄液45に超音波を印加することにより、塗布ノズル30の内外の付着物43をきれいに除去することができる。洗浄が完了した時点で塗布ノズル30を洗浄タンク46から引き上げ、エアパージによって、塗布ノズル30の表面に付いた洗浄液45を吹き飛ばして、塗布ノズル30の表面を乾燥させる。なお、塗布ノズル30を洗浄液45から引き上げた後、シースガスなどのガスを流すと、塗布ノズル30の内側に浸入した洗浄液45の吐出が可能となり、その後も連続してシースガスなどのガスを流せば、塗布ノズル30の内側も乾燥され、再使用可能となる。
【0043】
この実施の形態1では、塗布ノズル30を堆積装置5から取り外すことなく洗浄液45で洗浄して、再度微細線の描画が可能となるので作業操作性が向上する。また、微粒子堆積装置5の分解洗浄までのメンテナンス期間を延長することができる。
【0044】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。図8において、このパターン修正装置では、アトマイズガスのガス供給源と噴霧ノズル21の間のガス配管に電磁バルブ(V)50、マスフローコントローラ(MFC)51および圧力センサ(S)52が順に介挿されている。ガス供給源は、ガスを所定の圧力に調整して電磁バルブ50に与える。電磁バルブ50は、噴霧部15で修正液20の霧粒子を生成する噴霧期間に開けられてガスを通過させ、それ以外の期間は閉じられてガスを遮断する。マスフローコントローラ51は、ガス流量を制御する装置であり、噴霧期間に所定流量のアトマイズガスを流す。圧力センサ52は、噴霧期間にガス配管内のアトマイズガスの圧力を検出する。噴霧ノズル21が詰まってくるとガス配管内のアトマイズガスの圧力が上昇するので、圧力センサ52の検出結果に基づいて噴霧ノズル21の詰まり具合を検出することができる。
【0045】
また、噴霧部15の容器19の上部に圧力検出孔が開口され、その孔にはフィルタ53、圧力センサ54および電磁バルブ55がガス配管を介して順に接続されている。フィルタ53は、修正液20の霧粒子を遮断し、容器19内のガスを通過させる。圧力センサ54は、噴霧期間に容器19内の圧力を検出する。電磁バルブ55は、通常は閉じられ、容器19内のガスを排気する場合に開けられる。塗布ノズル30が詰まってくると容器19内のガスの圧力が上昇するので、圧力センサ54の検出結果に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0046】
また、減圧部16の排気管24の下流には、フィルタ56、圧力センサ57、マスフローコントローラ58および吸引ポンプ(P)59がガス配管を介して順に接続されている。フィルタ56は、修正液20の霧粒子を遮断し、ガスを通過させる。圧力センサ57は、噴霧期間に排気管24内の圧力すなわち減圧部16の外管25内の圧力を検出する。マスフローコントローラ58は、ガス流量を制御する装置であり、噴霧期間に所定流量のガスを流す。吸引ポンプ59は、減圧部16からガスを排気する。吸引ポンプ59としては、一般的なポンプ以外に真空発生源を用いても良い。塗布ノズル30が詰まってくると外管25内のアトマイズガスの圧力が上昇するので、圧力センサ57の検出結果に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0047】
また、シースガスのガス供給源とヘッド部18の間のガス配管に電磁バルブ60、マスフローコントローラ61および圧力センサ62が順に介挿されている。ガス供給源は、ガスを所定の圧力に調整して電磁バルブ60に与える。電磁バルブ60は、噴霧期間に開けられてガスを通過させ、それ以外の期間は閉じられてガスを遮断する。マスフローコントローラ61は、ガス流量を制御する装置であり、噴霧期間に所定流量のシースガスを流す。圧力センサ62は、噴霧期間にガス配管内のシースガスの圧力を検出する。塗布ノズル30が詰まってくるとガス配管内のシースガスの圧力が上昇するので、圧力センサ62の検出結果に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0048】
また、圧力センサ54で検出する噴霧部15の容器19内の圧力や、圧力センサ57で検出する減圧部16の内圧もシースガスと同様の時刻変化を示し、圧力値もほぼ同じであるので、容器19内の圧力や減圧部16の内圧に基づいて塗布ノズル30の詰まり具合を検出することができる。
【0049】
また、このパターン修正装置では、実施の形態1と同様に、その一角に設けた洗浄エリアに、洗浄液45の入った洗浄タンク46が配置されている。圧力センサ52,54,57,62の検出結果に基づいて塗布ノズル30の洗浄が必要と判断した場合は、以下の洗浄工程に入る。
【0050】
図9は、塗布ノズル30の洗浄工程を示すタイムチャートである。図9において、塗布ノズル30の洗浄工程は、5つの期間T1〜T5に分けられる。堆積装置5内が正圧になった状態で塗布ノズル30を洗浄液45に浸漬すると、正圧が無くなるまで塗布ノズル30の先端から気泡が出る。逆に、堆積装置5内が負圧になった状態で塗布ノズル30を洗浄液45に浸漬すると、洗浄液45が塗布ノズル30から吸い込まれ、堆積装置5の減圧部16まで洗浄液45が逆流し、場合によっては噴霧部15まで逆流して修正液20を使用できない状態になる恐れがある。そのため期間T1では、アトマイズガス流量、シースガス流量、排気流量をゼロにし、堆積装置5の内圧を除去する目的で一度電磁バルブ55を開いて堆積装置5の内圧をゼロにした後、再度電磁バルブ55を閉じる。
【0051】
次に期間T2では、図8に示すように塗布ノズル30を洗浄液45に浸漬し、微量のシースガス(たとえば、20cc/分)を流すようにマスフローコントローラ61に指令を出す。この時点で塗布ノズル30の先端からは気泡が出る。その後、シースガス流量よりわずかに多い排気流量のガスを流すようにマスフローコントローラ58に指令を出す。マスフローコントローラ58,61の流量は、それらの中にある流量センサ出力をサンプリングすることで把握される。図9中のA点でシースガス流量と排気流量が同じになる。
【0052】
次いで期間T3では、シースガス流量よりも排気流量の方が大きくなる。排気流量がある閾値を超えると(図9中のB点)、堆積装置5の内部がわずかに負圧になり、塗布ノズル30の先端から洗浄液45が内部にゆっくり吸い込まれ、一定時間経過したC点まで吸引動作を行う。なお、B点とC点の間に吸引される洗浄液45の量は微量であり、かつ、洗浄液45が減圧部16まで到達しないような範囲でC点は設定される。
【0053】
次に期間T4では、排気流量をゼロにすると同時にシースガス流量が最大流量になるようマスフローコントローラ58,61を設定する。また、場合によっては、アトマイズガス流量が、噴霧部15で霧化が行なわれない程度の流量、つまり噴霧ノズル21の噴霧可能最低限流量よりも小さい流量になるようにマスフローコントローラ51を設定する。このようにして塗布ノズル30よりも上方からガスを流すことで、堆積装置5内の内圧が高まり、塗布ノズル30からガス排出と共に吸い込んだ洗浄液45が吐出され、塗布ノズル30内に詰まっていた修正液45も洗浄タンク46の洗浄液45内に吐き出される。
【0054】
以上の期間T1〜S4を1サイクルとして、このサイクルを数回行なった後に、シースガス流量またはアトマイズガス流量がゼロになるようにマスフローコントローラ61または51を設定し、その後、塗布ノズル30を洗浄液45から上方に抜き出す。その際、塗布ノズル30の外面にエアパージを施して塗布ノズル30の表面を乾燥させる(区間D)。
【0055】
最後に期間T5では、所定流量のシースガス、あるいは噴霧可能最低限流量よりも少ない流量のアトマイズガス、あるいはシースガスとアトマイズガスの両方を流して、塗布ノズル30の内側を乾燥させる。これにより、塗布ノズル30は再使用可能となる。期間T5が終了した時点でアトマイズガス流量をゼロに設定する。シースガスはそのまま流し続けてもよいし、シースガス流量を減らしてもよいし、シースガス流量をゼロに設定してもよい。
【0056】
この実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。また、洗浄タンク46に超音波振動子47を取付けて超音波洗浄器を構成すれば、洗浄能力が一層高くなる。
【0057】
なお、吸引洗浄1サイクルが終了するごとに洗浄タンク46内の洗浄液45を洗浄液交換手段(図示せず)により新しい洗浄液45と取り替えてもよい。
【0058】
また、図10に示すように、期間T2,S3においてシースガス流量をゼロにした状態で排気流量を設定し、塗布ノズル30の先端から洗浄液45を吸込んでもよい。
【0059】
図11は、実施の形態2の変更例を示す断面図である。このパターン修正装置は、図9の期間T3で洗浄液45を吸引する際、余分に洗浄液45を吸引しないようにしたものである。図8では、塗布ノズル30を洗浄液45内に深く浸漬させたのに対し、この変更例では、塗布ノズル30の先端を洗浄液45にわずかに浸漬させる。
【0060】
すなわち図11において、補充タンク65の洗浄液45は、バルブ66の開閉によって洗浄タンク46に供給されるが、洗浄タンク46の液面が一定の高さHになるように、余分な洗浄液45は洗浄タンク46の上側面にあるフロー管46aから廃液タンク(図示せず)へ導かれる。塗布ノズル30の先端位置はZステージ12により位置決めされるが、前もって洗浄タンク46に挿入する際のZ軸位置を設定して記憶しておき、洗浄時には前もって記憶しておいた座標に移動すれば良い。
【0061】
このように塗布ノズル30の先端がわずかに洗浄液45に浸漬された状態であるため、塗布ノズル30から吸引される量は、洗浄タンク46の断面積Sと洗浄液45に漬かった高さhの積S×hに制限されるため、余分な洗浄液45を吸引しないで済む。洗浄により洗浄タンク46内の洗浄液45が汚れた場合には、洗浄タンク46の底のバルブ67を開放して、洗浄タンク46内を空にし、その後バルブ67を閉じてからバルブ66を開放して補充タンク65から洗浄タンク40に新しい洗浄液45を供給する。
【0062】
図12は、実施の形態2の他の変更例を示す断面図である。このパターン修正装置が図11のパターン修正装置と異なる点は、洗浄タンク46の外側に2重タンク68が設けられている点である。洗浄タンク46の上側面にはフロー孔46bが開口され、フロー孔46bから漏れた洗浄液45は2重タンク68に集められた後、廃液ドレン68aから廃液タンク(図示せず)に導かれる。また洗浄タンク46の下側面にはバルブ付孔46cが設けられている。洗浄タンク46内の洗浄液45を交換する際は、バルブ付孔46cを開放して2重タンク68内に廃液を流し、廃液ドレン68aから一括して廃液を流す。
【0063】
[実施の形態3]
図13は、この発明の実施の形態3によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。図13において、このパターン修正装置は、図8のパターン修正装置に洗浄液注入装置70を追加したものである。洗浄液注入装置70は、ヘッド部18のテーパ面18aにシースガスと平行して洗浄液45を注入する装置であり、洗浄液45を一定量注入するための注入部71と、圧縮ガス(たとえば窒素ガス)を供給する電磁バルブ72とを含む。注入部71は、洗浄液45を入れるタンク部71aと、洗浄液45を一定量注入するための電動シリンダ部71bからなる。洗浄液45としては、実施の形態1と同様、たとえばメチルアルコールを用いる。
【0064】
シースガスを一定流量流した状態で、塗布ノズル30は洗浄タンク46に浸漬される。この時、アトマイズガスを噴霧可能最低限流量よりも低い流量に設定してもよい。塗布ノズル30の先端からは気泡が出た状態であり、この状態で注入部71から洗浄液45を少量注入する。洗浄液45の注入量は塗布ノズル30とヘッド部18のテーパ面18aを満たす程度で十分であり、たとえば0.5cc程度の洗浄液45が注入される。注入された洗浄液45はヘッド部18のテーパ面18aを通って塗布ノズル30の先端から吐き出される。塗布ノズル30の上部内径は1mm以下、その先端内径は200μmと細いため、注入した洗浄液45が塗布ノズル30の先端からうまく吐き出されない場合があり、この時は電磁バルブ72を短時間(数秒)だけ開いてヘッド部18のテーパ面18aに圧縮ガスを注入する。この圧縮ガスの圧力により、洗浄液45は塗布ノズル30を介して洗浄タンク46内に吐き出される。圧縮ガスの注入を数回繰り返すことで、注入された洗浄液45をすべて排出する。
【0065】
上記洗浄工程を数回繰り返せば、塗布ノズル30の内部に溜まった修正液20は外部に排出される。また、塗布ノズル30の先端表面に付着した修正液20も上記工程で除去されるが、少し残るようであれば、超音波振動子47を駆動して超音波洗浄を併用しても良い。
【0066】
洗浄液45を注入する方法で塗布ノズル30を洗浄した後、エアパージしながら塗布ノズル30を洗浄タンク46から上方に引き上げる。その後、塗布ノズル30の内部、および、シースガスが流れる部分の乾燥を行うため、シースガスをしばらくの間流し続けて乾燥を促進させる。
【0067】
この実施の形態3でも、実施の形態2と同じ効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明が適用されるパターン修正装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【図3】図1に示したパターン修正装置の変更例を示す断面図である。
【図4】図1に示したパターン修正装置の使用方法を示す図である。
【図5】図1に示したパターン修正装置の使用方法を示す他の図である。
【図6】図1に示したパターン修正装置の問題点を説明するための断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【図9】図8に示したパターン修正装置の動作を示すタイムチャートである。
【図10】実施の形態2の変更例を示すタイムチャートである。
【図11】実施の形態2の他の変更例を示す断面図である。
【図12】実施の形態2のさらに他の変更例を示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態3によるパターン修正装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 パターン修正装置、2 観察光学系、3 モニタ、4 カット用レーザ部、5 微粒子堆積装置、6 基板加熱部、7 画像処理部、8 ホストコンピュータ、9 制御用コンピュータ、10 XYステージ、11 チャック部、12 Zステージ、13 電極、13a オープン欠陥部、14 基板、15 噴霧部、16 減圧部、17 加熱部、18 ヘッド部、18a テーパ面、19 容器、20 修正液、21 噴霧ノズル、21a 噴出口、21b 吸入口、22 ノズル部、23 集気部、24 排気管、25 外管、26 隙間、27 パイプ、28 ヒータ、29 温度センサ、30 塗布ノズル、31 シャッタ、32 修正部、34 背面ガラス基板、35 リブ、35a リブ欠け欠陥部、36_1〜36_n 堆積層、40 シール部材、41 テーパ状シール、42 ナット、43 付着物、45 洗浄液、46 洗浄タンク、46a フロー管、46b フロー孔、46c バルブ付孔、47 超音波発振子、50,55,60,66,72 電磁バルブ、51,58,61 マスフローコントローラ、52,54,57,62 圧力センサ、53,56 フィルタ、65 補充タンク、66,67 バルブ、70 洗浄液注入装置、71 注入部、71a タンク部、71b 電動シリンダ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、
少なくとも前記欠陥部を含む範囲で前記基板を加熱する加熱装置と、
塗布ノズルを介して霧状の修正液を前記欠陥部に噴射し、前記修正液を前記欠陥部に堆積させて前記欠陥部を修正する堆積装置と、
前記塗布ノズルを洗浄液で洗浄する洗浄手段とを備えることを特徴とする、パターン修正装置。
【請求項2】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルが浸漬された前記洗浄液に超音波振動を印加して前記塗布ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項1に記載のパターン修正装置。
【請求項3】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルの先端を前記洗浄液中に挿入し、前記塗布ノズル内に前記洗浄液を吸引および吐出して前記塗布ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパターン修正装置。
【請求項4】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルの先端を前記洗浄液の液面から予め定められられた深さまで挿入し、前記洗浄液の液面から前記予め定められた深さまでの前記洗浄液を前記塗布ノズル内に吸引および吐出することを特徴とする、請求項3に記載のパターン修正装置。
【請求項5】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルを介して前記洗浄液を噴射して前記塗布ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパターン修正装置。
【請求項6】
前記洗浄手段は、
前記霧状の修正液の代わりに所定量の前記洗浄液を前記塗布ノズルに供給する洗浄液供給装置と、
前記塗布ノズルに圧縮ガスを供給し、前記塗布ノズルを介して前記洗浄液を噴射させる圧縮ガス供給装置とを含むことを特徴とする、請求項5に記載のパターン修正装置。
【請求項1】
基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正装置であって、
少なくとも前記欠陥部を含む範囲で前記基板を加熱する加熱装置と、
塗布ノズルを介して霧状の修正液を前記欠陥部に噴射し、前記修正液を前記欠陥部に堆積させて前記欠陥部を修正する堆積装置と、
前記塗布ノズルを洗浄液で洗浄する洗浄手段とを備えることを特徴とする、パターン修正装置。
【請求項2】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルが浸漬された前記洗浄液に超音波振動を印加して前記塗布ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項1に記載のパターン修正装置。
【請求項3】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルの先端を前記洗浄液中に挿入し、前記塗布ノズル内に前記洗浄液を吸引および吐出して前記塗布ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパターン修正装置。
【請求項4】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルの先端を前記洗浄液の液面から予め定められられた深さまで挿入し、前記洗浄液の液面から前記予め定められた深さまでの前記洗浄液を前記塗布ノズル内に吸引および吐出することを特徴とする、請求項3に記載のパターン修正装置。
【請求項5】
前記洗浄手段は、前記塗布ノズルを介して前記洗浄液を噴射して前記塗布ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパターン修正装置。
【請求項6】
前記洗浄手段は、
前記霧状の修正液の代わりに所定量の前記洗浄液を前記塗布ノズルに供給する洗浄液供給装置と、
前記塗布ノズルに圧縮ガスを供給し、前記塗布ノズルを介して前記洗浄液を噴射させる圧縮ガス供給装置とを含むことを特徴とする、請求項5に記載のパターン修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−66799(P2007−66799A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253614(P2005−253614)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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