説明

フィールドプレートを有する半導体デバイス

III−N材料層と、III−N材料層の表面上に設けられた絶縁体層と、III−N材料層から反対側の絶縁体層上記に設けられたエッチング停止層と、絶縁体層から反対側のエッチング停止層上に設けられた電極画定層とを備えるIII−Nデバイスを開示する。電極画定層内には、凹部が形成される。凹部内には、電極が形成される。絶縁体は、特に電極とIII−N材料層との間で、正確に制御された厚さを有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体電子デバイスに関し、詳しくは、フィールドプレートを有するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、例えば、電力MOSFET及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等のデバイスを含む現代のパワー半導体デバイスは、通常、シリコン(Si)半導体材料から製造されている。より近年になって、炭化シリコン(SiC)パワーデバイスも、その優れた特性のために研究されている。大電流を搬送し、高電圧をサポートし、極低レベルのオン抵抗、高電圧デバイス動作及び高速スイッチングを提供する魅力的な候補として、III族窒化物(III−N)半導体デバイスが注目されている。図1に示す典型的なIII−N高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)は、基板10、例えば、基板上のGaNの層であるチャネル層11、及び例えば、チャネル層上のAlGa1−xNの層であるバリア層12を含む。2次元電子ガス(two-dimensional electron gas2DEG)チャネル19は、チャネル層11とバリア層12との間の界面の近傍で、チャネル層11内に誘起されている。ソース電極14及びドレイン電極15は、2DEGチャネルとオーミック接合を形成する。ゲート16は、ゲート領域内、すなわち、ゲート16の直下の2DEGの一部を変調する。
【0003】
III−Nデバイスでは、一般的にフィールドプレートが使用され、これは、デバイスの高フィールド領域に電界を形成し、ピーク電界を減少させ、デバイス降伏電圧を高め、この結果、より高い電圧での動作を実現している。フィールドプレートが使用されたIII−N HEMTの具体例を図2に示す。図2のデバイスは、図1のデバイスに含まれている層に加えて、ゲート16に接続されたフィールドプレート18と、フィールドプレートとバリア層12との間に配設されたSiN等の層である絶縁層13とを含む。フィールドプレート18は、ゲート16と同じ材料を含んでもよく、同じ材料から形成してもよい。絶縁層13は、表面パッシベーション層として機能でき、絶縁層13に隣接するIII−N材料の表面における電圧変動を防止又は抑制する。
【0004】
傾斜フィールドプレート(slant field plate)は、III−Nデバイスにおけるピーク電界を低減し、降伏電圧を高める際に特に有効であることが知られている。図3は、図2と同様のIII−Nデバイスであって、傾斜フィールドプレート28を有するIII−Nデバイスを示している。このデバイスでは、ゲート16及び傾斜フィールドプレート28は、単一の電極29によって形成されている。絶縁層23は、SiNを材料としてもよく、電極29の形状を少なくとも部分的に画定する凹部を含む。そこで、絶縁層23を「電極画定層(electrode defining layer)23」と呼ぶ。また、電極画定層23は、電極画定層23に隣接するIII−N材料の表面における電圧変動を防止又は抑制する表面パッシベーション層として機能できる。このデバイスのゲート16及び傾斜フィールドプレート28は、まず、バリア層12の表面全体上に電極画定層23を堆積させ、ゲート16を含む領域内で電極画定層23を介して凹部をエッチングし、最後に少なくとも凹部内に電極29を堆積させることによって形成できる。
【0005】
III−Nデバイスが使用される多くの用途においては、例えば、高電力及び高電圧用途においては、ゲートリークを防止するために、ゲート16と、下位のIII−N層との間にゲート絶縁体を含ませることが有利である場合がある。傾斜フィールドプレート及びゲート絶縁体を有するデバイスを図4に示す。このデバイスは、図3のデバイスのためのプロセスを僅かに変更することによって製造できる。図4のデバイスでは、電極画定層23の凹部は、層を介して部分的にのみ(すなわち、層を貫通しないように)エッチングされ、この後、電極29が堆積される。このデバイスでは、ゲート16と下位のIII−N層との間にある電極画定層23の一部がゲート絶縁体として機能する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面においては、III−N材料層と、III−N材料層の表面上の絶縁体層と、III−N材料層から反対側の絶縁体層上に設けられたエッチング停止層と、絶縁体層から反対側のエッチング停止層上に設けられた電極画定層と、電極とを備えるIII−Nデバイスを開示する。電極画定層には、凹部が形成され、凹部には、電極が形成される。
【0007】
ここに説明する全てのデバイスについて、以下の1つ以上を適用してもよい。電極は、フィールドプレートを含むことができる。フィールドプレートは、傾斜フィールドプレートであってもよい。電極画定層の凹部の一部は、少なくとも一部がエッチング停止層の主面に対して非垂直な角度を形成する傾けられた壁を有することができ、傾けられた壁が傾斜フィールドプレートを画定する。非垂直な角度は、約5度から約85度までの間であってもよい。絶縁層は、パッシベーション層であってもよい。絶縁層は、酸化物又は窒化物によって形成してもよい。絶縁体層は、厚さが約2nmから50nmであってもよい。絶縁体層は、単位面積あたりのキャパシタンスが約0.8mF/mから40mF/mであってもよい。電極画定層は、酸化物又は窒化物によって形成してもよい。電極画定層は、厚さが少なくとも約100nmであってもよい。絶縁体層及び電極画定層の組み合わされた厚さが、実質的に分散を抑制するために十分であってもよい。エッチング停止層は、厚さが約1〜15nmであってもよい。エッチング停止層は、窒化アルミニウムによって形成してもよい。電極画定層及びエッチング停止層は、異なる材料によって形成してもよい。エッチング停止層及び絶縁体層は、異なる材料によって形成してもよい。凹部は、エッチング停止層内に形成してもよい。
【0008】
幾つかの具体例では、III−Nデバイスは、ダイオードである。ダイオードは、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。凹部は、絶縁体層内に形成してもよい。III−N材料層の第1の部分は、第1の組成を有し、III−N材料層の第2の部分は、第2の組成を有し、第1の組成と第2の組成との間の相違が、III−N材料層内に2DEGチャネルを形成してもよい。ダイオードは、カソードを更に備え、電極の一部は、アノードであり、アノードは、III−N材料層に実質的にショットキー接合し、カソードは、2DEGチャネルと電気的に接触してもよい。凹部は、III−N材料層内に延び、電極は、III−N材料層内の凹部の一部にあってもよい。凹部は、2DEGチャネルを介して延びていてもよい。デバイスの第1の領域の閾値は、−15Vより大きく、第1の領域は、アノード領域とカソードとの間にあり、アノード領域に隣接しているデバイスの一部を含んでいてもよい。絶縁層の厚さは、デバイス動作の間、約10μA/mmより大きい漏れ電流が絶縁層を流れることを防止するために十分な厚さであってもよい。電極は、アノード電極であってもよく、デバイスは、カソードを更に備えていてもよい。
【0009】
幾つかの具体例では、デバイスは、HEMTである。HEMTは、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。III−N材料層の第1の部分は、第1の組成を有し、III−N材料層の第2の部分は、第2の組成を有し、第1の組成と第2の組成との間の差分によって、III−N材料層内に2DEGチャネルが形成されてもよい。デバイスは、ソース及びドレインを更に備え、電極の一部は、ゲートであり、ソース及びドレインは、2DEGチャネルと電気的に接触していてもよい。デバイス閾値電圧が約−30Vより大きくてもよい。絶縁層の厚さは、デバイス閾値電圧が約−30Vより大きくなる厚さであってもよい。絶縁層の厚さは、デバイス動作の間、約100μA/mmより大きい漏れ電流が絶縁層を流れることを防止するために十分な厚さであってもよい。電極は、ゲート電極であってもよく、デバイスは、ソース及びドレインを更に備えていてもよい。デバイスは、FETであってもよく、デバイスが、約800V以下のソース−ドレインバイアスで、オフ状態からオン状態にスイッチされるときに測定される動的オン抵抗が、DCオン抵抗の1.4倍より小さい。
【0010】
ここに説明したデバイスの何れも、複数のフィールドプレートを含むことができる。複数のフィールドプレートを有するデバイスは、以下の特徴を含むことができる。電極画定層及びエッチング停止層は、第1の電極画定層及び第1のエッチング停止層であり、デバイスは、第1のエッチング停止層から反対側の第1の電極画定層上にスタックを更に有し、スタックは、第2のエッチング停止層及び第2の電極画定層を含んでいてもよい。スタック内に凹部を形成してもよく、電極の一部は、スタックの上に重なる。第1の電極画定層と第2のエッチング停止層との間に第2の絶縁層を設けてもよい。デバイスは、第2の電極を更に備え、第2の電極画定層及び第2のエッチング停止層内に第2の凹部が形成され、第2の電極は、第2の凹部内に形成されていてもよい。第2の電極は、第1の電極に電気的に接続してもよい。デバイスは、複数のスタックを更に備えていてもよく、各スタック内に凹部を形成し、各凹部内に電極を形成してもよい。デバイスは、エンハンスメントモードデバイス又は空乏モードデバイスであってもよい。
【0011】
他の側面として、III−Nデバイスを製造する方法を開示する。方法は、III−N材料層の表面に絶縁層を設ける工程を有する。絶縁層を設けた後に、絶縁層上にエッチング停止層を設ける。エッチング停止層を設けた後に、エッチング停止層に電極画定層を設ける。電極画定層をエッチングして、少なくとも一部が、エッチング停止層の表面に垂直でない壁によって画定される凹部を形成する。エッチングの工程では、エッチング停止層より速いレートで、電極画定層をエッチングする選択性を有するエッチング液を用いる。凹部内及び電極画定層の露出部分に導電材料を堆積させる。
【0012】
方法の1つ以上の具体例は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。方法は、エッチング停止層をエッチングして、電極画定層内の凹部を絶縁層まで延ばす工程を更に有していてもよい。エッチング停止層のエッチングは、ウェットエッチングを含んでいてもよい。電極画定層のエッチングは、ドライエッチング又はフッ素ベースのドライエッチングを含んでいてもよい。エッチング停止層をエッチングするために用いられるエッチングプロセスは、電極画定層又は絶縁層を実質的にエッチングしなくてもよい。エッチングプロセスは、絶縁層と比べて、約10:1以上の選択性でエッチング停止層をエッチングすることができる。電極画定層のエッチングによって、電極画定層は、少なくとも一部がエッチング停止層の主面に対して非垂直の角度を形成する傾けられた壁を有するようにしてもよい。非垂直な角度は、約5度から約85度までの間であってもよい。電極画定層をエッチングするために用いられるエッチングプロセスは、エッチング停止層を実質的にエッチングしなくてもよい。エッチングプロセスは、エッチング停止層と比べて、約10:1以上の選択性で電極画定層をエッチングしてもよい。
【0013】
ゲート絶縁体は、通常、ゲートと2DEGチャネルとの間の適切なカップリングを維持するために薄く形成する必要があり、ゲート絶縁体の厚さは、通常、デバイス閾値電圧及び他のデバイスパラメータの再現性を確実にするために、高精度に制御しなければならない。ここに説明する技術によって、特に、非常に薄いゲート絶縁体が必要である場合に、ゲート絶縁体の厚さを十分精密に制御でき、したがって、このプロセスを用いて、再現性のある製造が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のIII−N HEMTデバイスの概略的な断面図である。
【図2】従来のIII−N HEMTデバイスの概略的な断面図である。
【図3】従来のIII−N HEMTデバイスの概略的な断面図である。
【図4】従来のIII−N HEMTデバイスの概略的な断面図である。
【図5】ゲート絶縁体及び傾斜フィールドプレートを含むIII−N半導体トランジスタの概略的な断面図である。
【図6】図5のIII−N半導体トランジスタを製造する方法を説明する図である。
【図7】図5のIII−N半導体トランジスタを製造する方法を説明する図である。
【図8】図5のIII−N半導体トランジスタを製造する方法を説明する図である。
【図9】図5のIII−N半導体トランジスタを製造する方法を説明する図である。
【図10】図5のIII−N半導体トランジスタを製造する方法を説明する図である。
【図11】図5のIII−N半導体トランジスタを製造する方法を説明する図である。
【図12a】ゲート絶縁体及び傾斜フィールドプレートを含むIII−N半導体トランジスタの概略的な断面図である。
【図12b】III−N半導体トランジスタのオン抵抗対ドレイン電圧を示すグラフ図である。
【図12c】III−N半導体トランジスタのオン抵抗対ドレイン電圧を示すグラフ図である。
【図13】ゲート絶縁体及び傾斜フィールドプレートを含むIII−N半導体トランジスタの概略的な断面図である。
【図14】傾斜フィールドプレートを含むIII−N半導体ダイオードの概略的な横断面である。
【図15】傾斜フィールドプレートを含むIII−N半導体ダイオードの概略的な平面図である。
【図16】傾斜フィールドプレートを含むIII−N半導体ダイオードの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
各図面において、同様の符号は、同様の要素を示している。
【0016】
再現可能に製造できるHEMT及びダイオード等の半導体デバイスを開示する。デバイスは、全て、傾斜フィールドプレート(slant field plate)を含み、また幾つかは、ゲートと下位の半導体層との間にゲート絶縁体を含む。傾斜フィールドプレートを使用することによって、デバイスは、高電圧のスイッチング用途のために優れた特性を有することができ、例えば、高電圧動作において、破壊電圧を高くし、分散を最小化することができ、ゲート絶縁体がトランジスタ構造に含まれている場合、ゲートリークを低減することができる。更に、このデバイスの製造プロセスは、従来の半導体デバイス製造プロセスを用いて再現可能に製造できる。この半導体デバイスは、III族窒化物、すなわちIII−N半導体デバイスであってもよく、したがって、ここに説明するデバイスは、III−N半導体層を含む。また、デバイスを製造する方法についても説明する。
【0017】
図5は、III族窒化物デバイス、すなわち、III族窒化物HEMTの略図である。ここで使用するIII族窒化物又はIII−N材料、層、デバイス等の用語は、化学式AlInGaNで表される複合半導体材料を含む材料又はデバイスを意味し、x+y+zは、約1である。デバイスは、基板層10を含み、基板層10は、シリコン、サファイア、GaN、AlN、SiC、又はIII−Nデバイスにおける使用に適する他のあらゆる基板を含み又はこれらから形成されている。幾つかの具体例は、基板を含まない。例えば、幾つかの具体例では、デバイス製造の完了の前に基板を取り除く。基板10上に形成されているIII−N層11、12は、HEMTデバイスのベースとなるIII−N材料である。III−N層11、12は、異なる組成を有し、これらの組成は、層11内に2DEGチャネル19が誘起されるように選択され、この層をチャネル層11と呼ぶ。層12のIII−N材料の幾つか又は全てには、チャネル層11より大きいバンドギャップがあり、したがって、ここでは、層12をバリア層12と呼ぶ。幾つかの具体例では、チャネル層11は、GaNであり、バリア層12は、AlGa1−xNであり、ここで、xは、0〜1である。なお、結果的な構造がIII−N HEMT又は他のIII−Nデバイス、例えば、HFET、MISHFET、MOSFET、MESFET、JFET、CAVET、POLFET、HEMT、FET、ダイオードである限り、III−N材料構造を変更してもよく、又はこの他のデバイスを形成してもよい。例えば、更なるIII−N層を設けてもよく、例えば、基板10と上位のIII−N層との間にIII−Nバッファ層を設けてもよく、チャネル層11とバリア層12との間にAlN層を設けてもよい。III−N層は、[0 0 0 1](III面又はGa面Cプレーン)極性方向(polar direction)に配向してもよく、[0 0 0 1bar](N面)極性方向、又は他のあらゆる極性、半極性(semi-polar)、若しくは非極性(non-polar)の方向に配向してもよい。幾つかの具体例では、III−N材料が[0 0 0 1bar]方向、又は窒素終端された半極性方向又は非極性方向に配向されているとき、バリア層12は、基板10とチャネル層11との間にある。したがって、最上位のIII−N層、すなわち、基板から最も遠いIII−N層は、図5では、バリア層12であり、幾つかの具体例では、最上位のIII−N層は、チャネル層11であってもよく、他のIII−N層であってもよい。
【0018】
デバイス構造は、結果として得られるIII−Nデバイスが空乏モードデバイスとなるように設計することができ、この場合、ソースに対してゲートに零電圧が印加されると、ゲート領域及びチャネル層11のアクセス領域内に2DEGチャネル19が誘起される。或いは、III−Nデバイスは、エンハンスメントモードデバイスであってもよく、この場合、2DEGチャネル19は、ソースに対してゲートに零電圧が印加されると、アクセス領域内で誘起されるが、チャネル層11のゲート領域では誘起されず、チャネル層11のゲート領域に2DEGを誘起するには、ゲートに正電圧を印加する必要がある。ここで使用する「ゲート領域」という用語は、ゲート16の直下のIII−N材料内の領域、すなわち、図5の2本の縦の破線の間の領域を指す。また、「アクセス領域」という用語は、ゲート領域の両側と、それぞれ、ソース電極14及びドレイン電極14、15との間とのデバイスの領域を指す。したがって、アクセス領域は、少なくとも部分的に、傾斜フィールドプレート28の下にある。
【0019】
幾つかの具体例では、ゲート領域のIII−N層構造は、アクセス領域(図示せず)とは異なる。例えば、アクセス領域は、ゲート領域には、含まれていないIII−N層を含んでいてもよく、又はこの逆であってもよい。幾つかの具体例では、最上位のIII−N層は、ゲート領域内で凹んいる(図示せず)。最上位のIII−N層の凹部は、最上位のIII−N層の一部がゲート領域内で取り除かれるように、層を介して、部分的に延びていてもよい。或いは、凹部は、最上位のIII−N層を貫通して、最上位のIII−N層の直下のIII−N層まで延びていてもよく、この場合、ゲート領域では、最上位のIII−N層の全てと、最上位のIII−N層の下の層の一部が取り除かれる。III−NデバイスのためのIII−N層構造の更なる具体例は、2007年9月17日に出願された米国特許出願番号11/856,687、2008年4月14日に出願された米国特許出願番号12/102,340、2008年11月26日に出願された米国特許出願番号12/324,574、2008年4月23日に出願された米国特許出願番号12/108,449、2008年12月10日に出願された米国特許出願番号12/332,284、2009年2月9日に出願された米国特許出願番号12/368,248、2007年9月17日に出願された米国特許出願番号11/856,695に開示されており、これらは全て、引用によって本願に援用される。
【0020】
互いにゲート領域の反対側で形成されるソース電極14及びドレイン電極15は、チャネル層11内で2DEGチャネル19に接触する。ゲート絶縁層22は、最上位のIII−N表面に隣接して、少なくともソース電極14からドレイン電極15まで広がっている。図5に示すデバイスのように、最上位のIII−N層がゲート及びアクセス領域の両方において同じ層である場合、最上位のIII−N表面とは、基板10の反対側にある最上位のIII−N層の面を指す。幾つかの具体例では、ゲート領域の最上位のIII−N層は、アクセス領域のIII−N層とは異なり、これらの具体例では、最上位のIII−N表面は、基板の反対側になるデバイスの面上にある最上位のIII−N層の全ての表面を含み、これは、最上位のIII−N層の段、凹部又は不連続性から生じることがある垂直又は傾斜した表面も含む。
【0021】
ゲート絶縁層22は、如何なる絶縁膜から形成してもよく、約50nm未満の薄さ、例えば、約22nm、約18nm又は約15nm又はこれら未満の薄さで、十分高いゲート容量を保障しながら、ゲート16から2DEGチャネル19を介してドレイン電極15に電流が流れることを実質的に防止するように形成してもよい。例えば、ゲート絶縁層22は、厚さが約2〜50nmであってもよく、SiO又はSiNから形成してもよく、化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)、有機金属気相成長(metalorganic chemical vapor deposition:MOCVD)、高温化学気相成長(high-temperature chemical vapor deposition:HTCVD)、スパッタリング、蒸着又は他の適切な堆積技術を用いて堆積させることができる。幾つかの具体例では、ゲート絶縁層22は、HfO、Ti又はZrO等の高誘電率(high-K)の誘電体から形成される。同じ厚さの誘電率が低い誘電体を使用した場合に比べて、高誘電体を用いると、ゲート容量が大きくなる。したがって、高誘電体を使用した場合、誘電率がより低い誘電体を使用した場合程、ゲート絶縁層22を薄くする必要がなくなる。例えば、高誘電体が使用されている場合、ゲート絶縁層の厚さが約2000nm以下、約1000nm以下、又は約500nm以下で、十分大きいゲート容量を達成できることがある。
【0022】
ゲート絶縁層22は、実質的な漏れ電流、すなわち、デバイス動作の間、ゲート絶縁層22を流れる約100μAより大きい漏れ電流を防ぐために十分な厚さで形成できる。例えば、漏れ電流を実質的に抑制するためには、ゲート絶縁層22を約2nmより厚くする必要があることがある。幾つかの具体例では、デバイスは、空乏モードデバイスであり(すなわち、デバイス閾値電圧が0V以下である。)、ゲート絶縁層22の厚さは、デバイスの閾値電圧が−30Vより(正の方向に)大きく、例えば、−30Vと0Vの間になるように選択される。デバイスの閾値電圧とは、ゲート領域内の2DEGで電荷が空乏し、すなわち、荷電密度がデバイス内の最大2DEG荷電密度の約1%未満となる最大電圧である。他の具体例では、ゲート絶縁層22の厚さは、層の単位面積あたりのキャパシタンスが約0.8−40mF/mとなるように選択される。
【0023】
ゲート絶縁層22は、デバイスアクセス領域内で最上位のIII−N表面に直接的に接触するので、以下に説明するように、ゲート絶縁層22自体で又はアクセス領域内の上位の層及び組み合わされて、有効な表面パッシベーション層として機能できる。ここで使用する「パッシベーション層」という用語は、III−Nデバイス内の最上位のIII−N層上に成長又は堆積されて、デバイス動作の間、アクセス領域の最上位のIII−N表面における電圧変動を防止又は抑制できるあらゆる層又は層の組合せを指す。例えば、パッシベーション層は、最上位のIII−N表面における表面/界面準位の形成を防止又は抑制することができ、又はデバイス動作の間、表面/界面準位が電荷をトラップしてしまうことを防止又は抑制できる。
【0024】
III−Nデバイスでは、デバイス動作の間、多くの場合、表面準位のチャージによって生じる最上位のIII−N表面における電圧変動が、分散(dispersion)等の望ましくない作用を引き起こすことが知られている。分散とは、デバイスがRF又はスイッチング状態の下で動作しているときに観測される電流−電圧(I−V)特性と、デバイスがDC条件の下で動作している場合との差分を意味する。以下で説明するように、MOCVDによって堆積された、薄い、例えば22nmのSiN層は、III−Nデバイスにとって特に有効なゲート絶縁体を形成し、同時に、適切な上位の層21、23と組み合わされると、アクセス領域内における適切なパッシベーション層として機能する。
【0025】
幾つかの具体例では、エッチング停止層21は、デバイスアクセス領域内で、ゲート絶縁層22に隣接して形成され、この上位には、電極画定層23が形成される。電極画定層23は、ソース電極14とドレイン電極15との間に、すなわち、デバイスアクセス領域の間の領域に位置する凹部を有する。また、幾つかの具体例では、この領域において、エッチング停止層21も凹みを有するように形成される。電極29は、凹部に等方的に堆積される。電極29は、ゲート領域の上に重なり、ドレイン電極15に向かって延び、電極29の一部が電極画定層23の一部の上に重なっている。ゲート領域の上に重なっている電極29の部分、すなわち、2本の縦の破線の間の部分がゲート16であり、ゲート16に隣接する、ドレイン電極15に最も近い側の電極29の部分が傾斜フィールドプレート28である。幾つかの具体例では、ドレイン電極15に向かって延びる電極29の部分は、電極画定層23の側壁24の少なくとも一部の上に重なるが、電極画定層23の傾斜していない部分とは重ならない(図示せず)。すなわち、ドレイン電極15に向かって延びる電極29の部分の全体が電極画定層23の凹部内に含まれてもよい。他の具体例では、電極29は、電極画定層23の凹部内に完全に含まれ、側壁24の少なくとも一部の上に重なる。
【0026】
図5から明らかなように、傾斜フィールドプレートの形状は、凹部の形状、すなわち、電極画定層23の側壁24のプロファイルによって部分的に画定される。ここで使用する「傾斜フィールドプレート」という用語は、フィールドプレートの形状を画定する下位の表面の少なくとも一部が、ゲート領域の最上位のIII−N表面に対して、約5度から85度、例えば、約10から70度の間の角度を有するフィールドプレートを指す。例えば、図5の傾斜フィールドプレート28は、角度25が約5度から85度までの間であれば、傾斜フィールドプレートであると定義される。更に、側壁24は、直線状なプロファイルを有する必要はなく、少なくとも側壁24の実質的な一部が、ゲート領域の最上位のIII−N表面に対して、約5度から85度までの角度を形成していれば、直線状、放物線状又は他の形状のプロファイルを有していてもよい。幾つかの具体例では、ゲート領域内でフィールドプレートの形状を画定する、最上位のIII−N表面に対する下位の表面の実質的な一部の角度は、約30度から45度までの間であってもよい。
【0027】
ソース電極14に最も近いゲートの側にある電極画定層23の一部も電極29に隣接する領域内で傾斜していてもよく、この領域の傾斜は、角度26によって定義される。この領域の傾斜は、一定であってもよく、変化していてもよい。幾つかの具体例では、角度25及び角度26は、同じであってもよく、他の具体例では、これらは異なっていてもよい。傾斜が角度26によって与えられる側壁を側壁24より急峻になるようにすると、ゲート−ソースキャパシタンスが減少して有利になる場合がある。幾つかの具体例では、角度26は、約45度から90度までの間、例えば、約80から90度までの間である。
【0028】
傾斜フィールドプレートの形成に必要な仕様を満たす側壁24によって、電極画定層23を形成しながら、同時に、ゲート16の下の領域の厚さを十分な精度で制御できるゲート絶縁層22を実現するために、以下の製造手順を用いることができる。一連のIII−N層上でのゲート絶縁層22の堆積又は成長の後に、全体の構造の上にエッチング停止層21が堆積され、この後、エッチング停止層21の全てを覆うように、電極画定層23が堆積される。次に、以下の特性を有するエッチングプロセスを用いて、ゲート領域の上にある電極画定層23の材料の一部を取り除く。エッチングプロセスでは、電極画定層23の材料をエッチングして、例えば、側壁24について説明したような側壁を形成するが、エッチング停止層21の材料を実質的にエッチングしない。幾つかの具体例では、エッチングプロセスは、エッチング停止層21の材料のエッチングより実質的に高いレートで、例えば、少なくとも約10倍のレートで、又は約10倍〜1万倍のレートで電極画定層23の材料をエッチングする。換言すれば、エッチングプロセスは、約10:1以上の選択性で電極画定層23をエッチングする。一具体例では、エッチングプロセスは、ドライエッチングエッチング、例えば、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)又は誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma:ICP)エッチングであり、ここでは、エッチングマスクは、2層のホトレジストを含み、すなわち、二重層レジストプロセスであり、マスキングされていない領域では、下位のホトレジスト層が上位のホトレジスト層をアンダーカットする。このプロセスの完全な説明は、Dora他によって発行されている「IEEE Electron Device Letters, Vol 27, No 9, pp 713-715」の論文「HIGH BREAKDOWN VOLTAGE ACHIEVED ON ALGAN/GAN HEMTS WITH INTEGRATED SLANT FIELD PLATES」に開示されており、この全体は、引用によって本願に援用される。他の具体例では、エッチングプロセスは、ドライエッチング、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)又は誘導結合プラズマ(ICP)エッチングであり、エッチン
グマスクとして使用されるホトレジストが傾斜している側壁を有し、使用されるドライエッチング技術によってこれもエッチングされる。
【0029】
次に、以下の特性を有する第2のエッチングプロセスを用いて、ゲート領域の上にあるエッチング停止層21の材料の一部を取り除く。第2のエッチングプロセスは、エッチング停止層21の材料をエッチングするが、ゲート絶縁層22の材料を実質的にエッチングしない。第2のエッチングプロセスは、ゲート絶縁層22の材料のエッチングより実質的に高いレートで、例えば、少なくとも10倍のレートで、又は約10倍〜1万倍のレートでエッチング停止層21の材料をエッチングしてもよい。幾つかの具体例では、第2のエッチングプロセスでも、電極画定層23の材料は、実質的にエッチングされない。
【0030】
エッチング停止層21は、ゲート絶縁層22の材料とは異なる組成を有し又は異なる材料である絶縁材料から形成でき、例えば、AlN、SiN、SiO又は他の絶縁材料から形成できる。異なる材料又は組成によって、エッチングプロセスの選択性が実現する。具体的には、エッチング停止層21は、エッチング停止層21の材料をエッチングできるが、ゲート絶縁層22の材料の何れも実質的にエッチングしないエッチングプロセスが存在する材料から形成できる。例えば、ゲート絶縁層22がSiNから形成されている場合、エッチング停止層21をAlNから形成でき、これは、実質的にSiNをエッチングしないKOHベースのウェットエッチングを用いて、AlNをエッチングできるためである。更に、エッチング停止層21が薄い場合、すなわち、約15nm未満、例えば、約5nm等の薄さの場合、エッチング停止層21の実質的な横方向エッチングを防ぐことができる。横方向のエッチングは、電極画定層23の下のゲート16に隣接した領域にアンダーカットを生じさせることがある。この領域にアンダーカットが存在すると、アンダーカットの直下の領域において最上位のIII−N表面が十分にパッシベートされず、分散等の望ましくない作用が生じることがある。幾つかの具体例では、エッチング停止層21は、スパッタ蒸着によって堆積されたAlNから形成され、厚さが約5nmである。
【0031】
電極画定層23は、エッチング停止層21とは異なる組成を有し又は異なる材料である絶縁材料から形成され、例えば、AlN、SiN又はSiOから形成される。異なる材料又は組成によって、エッチングプロセスの選択性が実現する。具体的には、エッチング停止層21の材料を実質的にエッチングしないで、電極画定層23及びの材料をエッチングし、及び例えば、側壁24について説明したような側壁を形成できるエッチングプロセスが存在する材料から電極画定層23を形成できる。例えば、エッチング停止層21がAlNから形成される場合、電極画定層23は、SiNから形成でき、これは、上述したような適切なホトレジストエッチングマスクを用いた場合、SiNをエッチングし、AlNを実質的にエッチングせず、例えば、側壁24について説明したような側壁が形成されるフッ素ベースのドライエッチングが存在するからである。更に、傾斜フィールドプレートから生じるピーク電界の低減を最適化するために、電極画定層23は、約100nm以上の厚さにすることができ、例えば、約100nm〜200nm、例えば、厚さ約120nmの厚さにすることができる。電極画定層23の最適の厚さは、これが使用される回路又はモジュール内のデバイスの動作電圧に部分的に依存する。例えば、より大きい動作電圧が使用される予定である場合、約200nm及び2000nm等のより厚い電極画定層23を設けることが有利であることがある。幾つかの具体例では、電極画定層23は、プラズマ励起化学気相成長(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)によって堆積されたSiNから形成され、厚さが約120nmである。
【0032】
ゲート絶縁層22、エッチング停止層21及び電極画定層23は、組み合わされて、デバイスアクセス領域内に適切なパッシベーション層を形成できる。最上位のIII−N表面に隣接するゲート絶縁層22は、最上位のIII−N表面における表面/界面準位の形成を防止又は抑制することができ、又はデバイス動作の間、表面/界面準位が電荷をトラップしてしまうことを防止又は抑制できる。最上位のIII−N表面における表面/界面準位によって引き起こされる分散を適切に防止又は抑制するために、ゲート絶縁層22は、約2nm以上の厚さを有する必要がある場合がある。なお、ゲート絶縁層22をより厚くすると、デバイスのトランスコンダクタンスが減少し、デバイスの性能が低下することがある。
【0033】
エッチング停止層21の反対側の電極画定層23の表面における電圧変動によって、実質的な分散が生じることを防ぐために、電極画定層23及びゲート絶縁体22の組み合わされた厚さを十分大きくでき、例えば、約100nm以上の厚さにすることができる。分散を実質的に抑制するために必要な、これらの2つの層の最小の組み合わされた厚さは、デバイスの動作電圧(すなわち、動作時のソースとドレインの間の最大電圧差)に依存する。例えば、約50Vまでの動作では、組み合わされた厚さは約120nm以上とし、約300Vまでの動作では、組み合わされた厚さは約800nmとし、約600Vまでの動作では、組み合わされた厚さは約1800nmとすることができる。ゲート絶縁層22の厚さは、約20nm等、薄いことが望ましいことがあるので、電極画定層23の厚さは、2つの層の最小の組み合わされた厚さと略々同じ大きさ又は概ね同じであってもよい。厚い個々の層を形成することが困難な場合もあるので、更なる層を形成して、高い動作電圧における分散を実質的に抑制するために必要な最小の組み合わされた層の厚さを達成してもよい。このようなデバイスは、図12a及び図13に示しており、後に説明する。
【0034】
従来のIII−Nデバイスでは、約30nmより厚い単一のSiN層、すなわちエッチング停止層又は電極画定層と組み合わせて用いられない層が、多くの場合、適切なパッシベーション層として使用されてきた。より厚い単一のSiN層は、より薄い単一のSiN層と比べて、パッシベーションを向上させ、すなわち、より高いデバイス動作電圧において、パッシベーションが有効である。図5のデバイスでは、MOCVDによって成長された2〜50nmのSiN層をゲート絶縁層22として用い、スパッタ蒸着によって堆積された1〜15nmのAlN層をエッチング停止層21として用い、PECVDによって堆積された100〜200nmのSiN層を電極画定層23として用いた場合、約50Vまでのデバイス動作について、適切なパッシベーションが達成できた。また、エッチング停止層21の厚さを増加させると、デバイスに分散が生じ、この結果、デバイスの性能が低下することがわかった。例えば、AlNエッチング停止層21の厚さのみのパラメータを変更してデバイスを作成した。これらのデバイスによって、AlNエッチング停止層21の厚さが増加すると、分散が大きくなることが示された。
【0035】
また、電極画定層23のための材料として、ゲート絶縁層22の材料を実質的にエッチングしないで電極画定層23の材料を選択的にエッチングするエッチングプロセスによってエッチングできる材料を選択することによって、図5のエッチング停止層21を省略しても、傾斜フィールドプレート及びゲート絶縁体を有するIII−Nデバイスを達成できる。なお、この構造に比べて、図5の構造は、有利でありことがあり、これは、III−Nデバイスのための適切なゲート絶縁体として機能すると共にエッチング停止層として機能し、同時に、電極画定層23の材料と連携して適切なパッシベーション層として機能するゲート絶縁層22の材料を発見することが困難な場合があるためである。
【0036】
図5のデバイスを製造する方法を図6〜図11に示す。図6に示すように、基板10上に少なくともチャネル層11及びバリア層12を含む一連のIII−N層を形成し、この結果、チャネル層11内に2DEG19が形成される。III−N層は、MOCVD、MBE、HVPE又は他の手法によってエピタキシャル成長させてもよい。次に、図7に示すように、一連のIII−N層上に、ゲート絶縁層22を形成する。ゲート絶縁層22は、MOCVD、PECVD、高温化学気相成長(high temperature CVD:HTCVD)、スパッタリング、蒸着及び他の手法によって、成長又は堆積させることができる。幾つかの具体例では、ゲート絶縁層22は、III−N層と同様の又は同じ手法で形成され、同じステップで形成できる。例えば、III−N層及びゲート絶縁層22は、全て、MOCVDによって堆積又は成長させることができる。
【0037】
次に、図8に示すように、ソース電極14及びドレイン電極15を含む領域内のゲート絶縁層22を取り除き、蒸着、スパッタリング、PECVD、HTCVD又は他の手法によって、2DEG19に接触するソース電極14及びドレイン電極15を形成する。幾つかの具体例では、ソース電極14及びドレイン電極15は、ゲート絶縁層22の形成の前に形成される。
【0038】
そして、図9に示すように、ゲート絶縁層22上にエッチング停止層21を形成し、この上に電極画定層23を形成する。次に、図10に示すように、電極画定層23上の示されている領域にホトレジスト等のエッチングマスク17を堆積し、電極画定層23の材料をエッチングするが、エッチング停止層21の材料を実質的にエッチングしない技術を用いて、マスキングされていない領域で電極画定層23をエッチングする。このエッチングによって、エッチングされた領域に傾斜している側壁24が形成される。このように、エッチングは、電極画定層23とエッチング停止層21との界面で正確に停止する。図11に示すように、エッチングマスク17を取り除き、エッチング停止層21の材料をエッチングするが、電極画定層23又はゲート絶縁層22の材料を実質的にエッチングしない技術を用いて、ゲート領域において、エッチング停止層21をエッチングする。エッチング停止層は、電極画定層との界面となり、電極画定層がエッチングされると露出する表面である主面を有する。したがって、エッチングは、エッチング停止層21とゲート絶縁層22の界面で正確に停止することができる。最後に、ゲート16及び傾斜フィールドプレート28を含む電極29を形成して、図5に示すデバイスが完成する。
【0039】
図5に示すデバイスの一具体例では、III−N層及びゲート絶縁層22は、全てMOCVDによって成長され、単一の成長ステップで形成される。ゲート絶縁層22は、SiNを含み又はSiNから形成され、厚さが約22nmである。エッチング停止層21は、AlNを含み又はAlNから形成され、蒸着又はスパッタリングによって堆積され、厚さが約5nmである。電極画定層23は、SiNを含み又はSiNから形成され、PECVDによって堆積され、厚さが約120nmである。図10に示すエッチングマスク17は、ホトレジストであり、側壁が実質的に傾斜するようにパターン化される。これに代えて、エッチングマスクは、下位のホトレジスト層が上位のホトレジスト層に対してアンダーカットされる二重層ホトレジストであってもよい。電極画定層23は、ゲート領域において、フッ素ベースのドライエッチング、例えば、RIE又はICPを用いて取り除かれ、このエッチングは、SiNをエッチングするがAlNを実質的にエッチングせず、実質的に傾斜した側壁を有するホトレジスト又は二重層ホトレジストをエッチングマスクとして使用した場合、例えば、図5の側壁24について説明した側壁が形成される。エッチング停止層21は、ゲート領域において、AlNをエッチングするが、SiNを実質的にエッチングしないKOHベースのウェットエッチングを用いて取り除かれる。
【0040】
単一のフィールドプレートを有する、例えば、図5に示すようなデバイスは、動的オン抵抗(40Vまでのソース−ドレインバイアスで、デバイスをオフ状態からオン状態にスイッチして測定)がDCオン抵抗(RON)の1.2倍を超えないように製造された。50mA/mmの飽和電流での平均DC RONは、約11.5Ω−mmであることがわかり、40Vのソース−ドレインバイアスを印加して、デバイスをスイッチして測定される平均動的RONは、約11.9Ω−mmであることがわかった。スイッチング用途で用いられる半導体トランジスタでは、分散によって、デバイスの動的オン抵抗が高まることがある。図5のデバイスに示すような傾斜フィールドプレートを有さないデバイスでは、分散によって、デバイスが使用される用途で許容できない程に動的オン抵抗高まることがある。図5のデバイスの分散は、十分小さく保つことができ、すなわち、分散は、実質的に抑制され、これにより、デバイス用途において動的オン抵抗は、許容できる程度となる。
【0041】
ゲート絶縁体及び2個の傾斜フィールドプレートを含むデバイスの概略図を図12aに示す。図12aのデバイスは、図5に示すものと同様であるが、更に、絶縁層32、第2のエッチング停止層31、第2の電極画定層33及び第2の傾斜フィールドプレート38を含む電極39を含む。図5のデバイスと比較して、第2の傾斜フィールドプレート38を追加することによって、デバイス動作の間のデバイスにおけるピーク電界が更に減少し、この結果、デバイス降伏電圧が更に高まり、分散が減少し、又は図5のデバイスで可能な電圧より高い電圧で分散が十分に小さくなる。
【0042】
第2の電極画定層33及び第2エッチング停止層31は、それぞれ電極画定層23及びエッチング停止層21と同様であってもよい。すなわち第2の電極画定層33は、AlN、SiN又はSiO等の絶縁材料から形成でき、これは、第2のエッチング停止層31とは異なる組成を有し、又は異なる材料であってもよい。更に、第2の電極画定層33は、電極画定層33の材料をエッチングでき、例えば、図5の側壁24について説明したような傾斜している側壁を形成でき、第2のエッチング停止層31の材料を実質的にエッチングしないエッチングプロセスが存在する材料から形成できる。例えば、第2のエッチング停止層31がAlNの場合、第2の電極画定層33は、SiNから形成することができ、これは、SiNをエッチングするが、AlNを実質的にエッチングせず、適切なホトレジストエッチングマスクを使用した場合、例えば、図5の側壁24について説明したような側壁が形成されるフッ素ベースのドライエッチングが存在するためである。幾つかの具体例では、第2の電極画定層33は、厚さが約10nmから1000nmまでの間、例えば、約500nmである。幾つかの具体例では、第2の電極画定層33は、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)によって堆積されたSiNから形成され、厚さが約500nmである。
【0043】
第2のエッチング停止層31は、AlN、SiN又はSiO等の絶縁材料から形成でき、これは、下位の絶縁層32とは異なる組成を有し、又は異なる材料であり、及び第2の電極画定層33からも異なる材料あってもよい。第2のエッチング停止層31は、エッチング停止層31の材料をエッチングできるが、下位の絶縁層32又は第2の電極画定層33の材料の何れも実質的にエッチングしないエッチングプロセスが存在する材料から形成できる。例えば、下位の絶縁層32及び第2の電極画定層33がSiNである場合、第2のエッチング停止層31は、AlNであってもよく、これは、SiNを実質的にエッチングしないKOHベースのウェットエッチングを用いて、AlNをエッチングできるためである。更に、第2の電極画定層33の下にアンダーカットを生じさせるおそれがある第2のエッチング停止層31の実質的な横方向エッチングを防止するために、第2のエッチング停止層31は、約15nm未満等、例えば、約5nmの厚さで薄く形成できる。幾つかの具体例では、第2のエッチング停止層31は、スパッタリング蒸着によって堆積された厚さ約5nmのAlNから形成される。
【0044】
図12aのデバイス内の電極39及び隣接する層を形成する方法は、図5のデバイス内の電極29及び隣接する層の形成について説明したものと同様又は同一である。更に、電極39及び電極29(便宜上、図5では符号を付しているが、図12aでは符号を付していない)は、外部的に又はデバイス周辺部で電気的に接続することができ、これにより、第2の傾斜フィールドプレート38は、ゲート接続されたフィールドプレートとなる(図示せず)。ここで使用する、2つ以上の端子又は他のアイテムが「電気的に接続される」という表現は、各端子又はアイテムにおける電位が同じ、すなわち、常に略々同じなることが確実な導電性を有する材料によって、これらが接続されていることを意味する。更に、電極39及び隣接層について説明したものと同様又は同一のプロセス及び構造を用いて、例えば、ゲート接続されたフィールドプレートである更なる傾斜フィールドプレートをこのデバイスに追加することもできる。
【0045】
例えば、SiNである絶縁層32は、電極39を電極29から分離し、第2のエッチング停止層31がエッチングされたときに、電極29を破損から保護できる。幾つかの具体例では、絶縁層32は、含まれず、この場合、電極39は、能動素子領域内で電極29に直接的に接続できる。
【0046】
図12aに示すデバイスの一具体例では、III−N層及びゲート絶縁層22は、全て、MOCVDによって成長され、単一の成長ステップで形成される。ゲート絶縁層22は、SiNであり、厚さが約22nmである。エッチング停止層21は、AlNを含み又はAlNから形成され、蒸着又はスパッタリングによって堆積され、厚さが約5nmである。電極画定層23は、SiNであり、PECVDによって堆積され、厚さが約120nmである。図10に示すエッチングマスク17は、ホトレジストから形成され、側壁が実質的に傾斜し又はアンダーカットを有するようにパターン化され、これにより、下位の電極画定層23内に傾斜した側壁を有するトレンチが画定される。電極画定層23は、ゲート領域において、フッ素ベースのドライエッチング、例えば、RIE又はICPを用いて、取り除かれ、このエッチングは、SiNをエッチングするがAlNを実質的にエッチングせず、適切なホトレジストマスクを使用した場合、例えば、図5の側壁24について説明した側壁が形成される。エッチング停止層21は、ゲート領域において、AlNをエッチングするが、SiNを実質的にエッチングしないKOHベースのウェットエッチングを用いて取り除かれる。絶縁層32は、PECVDによって堆積されたSiNであり、厚さが約200nmである。第2のエッチング停止層31は、蒸着又はスパッタリングによって堆積されたAlNであり、厚さが約5nmである。第2の電極画定層33は、PECVDによって堆積されたSiNであり、厚さが約500nmである。第2の電極画定層33は、フッ素ベースのドライエッチング、例えば、RIE又はICPを用いてエッチングされ、このエッチングは、SiNをエッチングするがAlNを実質的にエッチングせず、適切なホトレジストエッチングマスクを使用した場合、図5の側壁24について説明したような側壁が形成される。第2のエッチング停止層31は、AlNをエッチングするが、SiNを実質的にエッチングしないKOHベースのウェットエッチングを用いてエッチングされる。
【0047】
図12aに示すような2つの傾斜フィールドプレートを有するデバイスは、動的オン抵抗(200Vまでのソース−ドレインバイアスで、デバイスをオフ状態からオン状態にスイッチして測定)がDCオン抵抗(RON)の1.2倍を超えないように製造された。50mA/mmの飽和電流での平均DC RONは、約11.5Ω−mmであることがわかり、200Vのソース−ドレインバイアスを印加して、デバイスをスイッチして測定される平均動的RONは、約11.5Ω−mmであることがわかった。スイッチング用途で用いられる半導体トランジスタでは、分散によって、デバイスの動的オン抵抗が高まることがある。図12aのデバイスに示すような傾斜フィールドプレートを有さないデバイスでは、分散によって、デバイスが使用される用途で許容できない程に動的オン抵抗が高まることがある。図12aのデバイスの分散は、十分小さく保つことができ、すなわち、分散は、実質的に抑制され、これにより、デバイス用途において動的オン抵抗は、許容できる程度となる。
【0048】
図12aに示すものと同様であるが、3つの傾斜フィールドプレートを有するデバイスを製造したところ、動的オン抵抗(600Vまでのソース−ドレインバイアスで、デバイスをオフ状態からオン状態にスイッチして測定)がDCオン抵抗(RON)の1.2倍を超えなかった。これらのデバイスの平均RON対ドレイン電圧Vdを示すグラフを図12bに示す。これらのデバイスの平均DC RONは、約170mΩであり、デバイスが、600Vのソース−ドレインバイアスで、オフ状態からオン状態にスイッチされたときの平均動的RONは、約200mΩであることがわかった。
【0049】
図12aに示すものと同様であるが、3つの傾斜フィールドプレートを有するデバイスを製造したところ、動的オン抵抗(800Vまでのソース−ドレインバイアスで、デバイスをオフ状態からオン状態にスイッチして測定)がDCオン抵抗(RON)の1.4倍を超えなかった。これらのデバイスの平均RON対ドレイン電圧Vdを示すグラフを図12cに示す。これらのデバイスの平均DC RONは、約1000mΩであり、デバイスが、800Vのソース−ドレインバイアスで、オフ状態からオン状態にスイッチされたときの平均動的RONは、約1400mΩであることがわかった。
【0050】
図13は、ゲート絶縁体22と、2個の傾斜フィールドプレート28、38を備える他のデバイスを示している。このデバイスは、図12に示すものと同様であるが、2個の傾斜フィールドプレート28、38が能動素子領域内で互いに接続され、単一の金属堆積によって形成できる点が異なっている。例えば、デバイスゲート16及び傾斜フィールドプレート28、38を含む電極49は、単一のステップで堆積させることができる。これは、図12aのデバイスに比べて、製造プロセスを簡略化でき、ゲート抵抗を低減できるので、有利である場合がある。
【0051】
図13のデバイス内の電極49及び電極49に隣接する層は、以下のようにして形成できる。ゲート絶縁層22、第1のエッチング停止層21、第1の電極画定層23、第2のエッチング停止層31及び第2の電極画定層33は、全て、能動半導体デバイス層上に堆積される。そして、層33上にエッチングマスク(例えば、ホトレジスト)をパターン化し、層31の材料をエッチングしないエッチングプロセスを用いて、層33内のアパーチャをエッチングし、この結果、上述のように、層33の傾斜している側壁が形成される。そして、層31の材料をエッチングするが、層33又は層23の材料をエッチングしないプロセスを用いて、アパーチャに隣接した層31の部分をエッチングする。層33上に堆積され、パターン化されたエッチングマスクは、層33のエッチングの前又は後に取り除かれる。次に、層33、31の露出した表面及び領域59の外側の層23の露出部分がエッチングマスク材料で覆われるが、領域59を含む層23の露出部分がエッチングマスク材料で覆われないように、デバイス上に第2のエッチングマスク(例えば、ホトレジスト)が堆積される。次に、層21の材料をエッチングしないエッチングプロセスを用いて、層23内でアパーチャがエッチングされ、これによって、上述のように、層23内に傾斜している側壁が形成される。最後に、第2のエッチングマスクが取り除かれ、層21の材料をエッチングするが層22又は層23の材料をエッチングしないプロセスを用いて、層23内のアパーチャに隣接する層21の部分がエッチングされる。
【0052】
図14及び図15は、傾斜フィールドプレート28を含むダイオードを示しており、ここで、図14は、デバイスの断面図であり、図15は、平面図である。図15に示す平面図は、アノード端子61及びカソード端子60のレイアウトを示している。図15では、アノード端子及びカソード端子を円形に示しているが、包括的には、これらは、使用される回路のレイアウトに適切な如何なる形状を有していてもよい。ダイオードは、III−Nチャネルと、2DEGチャネル19を含むバリア層11、12とを備え、これらは、図5のデバイスのIII−N層と同様である。アノード端子61は、単一の電極又は複数の電極から形成され、下位の半導体材料と直接的に接触する。カソード端子60は、2DEGチャネル19と接触し、アノード端子61の少なくとも一部に近接している。カソード端子60は、オーミック端子であり、又は実質的にオーミック挙動を示し、アノード端子61は、ショットキー端子であり、下位のIII−N層との実質的なショットキー接合を形成する。カソード端子60は、単一のカソード端子であってもよい。ここで使用する「単一のカソード端子」という用語は、カソードとして機能する単一の金属端子又はカソードとして機能する、各端子の電位が略々同じになるように電気的に接続された複数の端子の両方を意味する。アノード端子61及びカソード端子60は、任意の如何なる形状であってもよいが、これらの形状は、所定の順電流に必要なデバイス面積を最小化するように最適化することが理想的である。
【0053】
誘電体層62は、絶縁体又は誘電体から形成され、デバイスアクセス領域内で最上位のIII−N表面に隣接している。誘電体層62は、それ自体で又はアクセス領域内の上位の層と組み合わせて、有効な表面パッシベーション層として機能できる。層21は、エッチング停止層であり、層23は、電極画定層であり、図5のデバイスのエッチング停止層及び電極画定層と同様又は同一の要件を有する。
【0054】
図14及び図15のダイオードは、以下のように動作する。アノード端子61の電圧がカソード端子60の電圧より低いとき、アノード端子61とIII−N層12との間のショットキー接合は、逆バイアスされ、ダイオードは、オフ状態になり、アノードとカソードとの間に実質的な電流は流れない。アノードコンタクト61の電圧がカソードコンタクト60の電圧より大きくなると、アノードコンタクト61とIII−Nレイヤ12の間のショットキー接合が順バイアスになり、ダイオードがオン状態になる。電子は、主に、カソード端子60から2DEGチャネル19を介して、及び順バイアスのショットキー接合を介して、アノード端子61に流れる。すなわち、全ての順方向バイアス電流の少なくとも99%がアノードから、ショットキーバリア及び2DEGチャネルを介して、カソードに流れる。僅かな漏れ電流がデバイスの表面等の他の経路を流れることもある。
【0055】
図16のデバイスは、図14のデバイスと略々同様であるが、アノード領域64において、III−N材料がIII−Nバリア層12を貫通して、III−Nチャネル層11に部分的に侵入するように凹み、凹部が2DEGを含む領域を介して延びている点が異なっている。この場合、アノード端子61は、アノード端子61が直接的に接触するIII−N層の幾つか又は全てに実質的にショットキー接合を形成する。幾つかの具体例では、凹部は、III−N層12に部分的に侵入するのみであり、2DEGチャネルを含む領域まで延びない(図示せず)。逆バイアス動作の間は、アノード端子66の一部、すなわち、誘電体層62の直接上にあってこれと隣り合うアノード端子の一部の直下の2DEGチャネル19の一部で電子が空乏し、この結果、デバイス内の逆漏れ電流が減少する。アノード端子の一部66の直下の2DEGチャネル19の一部は、デバイスアクセス領域内の2DEGチャネルの一部であり、すなわち、アノード領域64とカソード端子60との間の領域であり、アノード領域64に隣接する領域に限定される。逆バイアス動作の間、アノード端子の一部66の直下の2DEGチャネル19の一部において、電子を空乏させるために、誘電体層62は、過剰に厚くすることはできない。幾つかの具体例では、誘電体層62は、窒化シリコンであり、約50nm未満、例えば、約2nmから50nmまでの厚さを有する。誘電体層62は、アノード端子の一部66の直下の領域内の誘電体層62を介して、アノードからカソードへの実質的な漏れ電流、すなわち、約10μA/mmより大きい漏れ電流を防ぐために十分な厚さに形成することができる。例えば、漏れ電流を実質的に抑制するために、誘電体層62の厚さを約2nm以上にする必要があることがある。幾つかの具体例では、誘電体層62の厚さは、アノード端子の一部66の直下の領域で、デバイスの閾値電圧が−15Vより(負の逆方向又は正の方向に)大きくなり、例えば、−15Vから−1Vまでの間になるように選択される。アノード端子の一部66の直下の領域の閾値電圧は、この領域における2DEGで実質的に電荷が空乏し、すなわち、荷電密度がデバイス内の最大2DEG荷電密度の約1%未満となる最大電圧である。他の具体例では、ゲート絶縁層22の厚さは、この層の単位面積あたりのキャパシタンスが約0.8〜40mF/mとなるように選択される。幾つかの具体例では、誘電体層62は、SiNであり、有機金属気相成長(MOCVD)によって堆積される。
【0056】
誘電体層62が窒化シリコンより高い誘電率を有している場合、誘電体層は、より厚くできる。例えば、アノード端子の一部66の直下の領域において、この領域について閾値電圧が同じになるように設計された、SiN層より厚い高誘電体を誘電体層62として用いることによって、所望の閾値電圧を達成できる場合がある。
【0057】
図5、図12a及び図13〜図16の構造に、デバイス性能にとって有益であることが知られている他の特徴を含ませてもよい。これらは、以下に限定されるものではないが、ゲート及び/又はアクセス領域内のIII−N層に対する表面処理、又はチャネル層11及び基板10との間に、III−Nバッファ層、例えば、チャネル層11よりバンドギャップが大きいIII−N層を設けることを含む。半導体層は、III−N層でなくてもよく、これに代えて、他の半導体材料から形成してもよい。フィールドプレートは、傾斜フィールドプレートなくてもよく、これに代えて、他のタイプのフィールドプレートであってもよい。これらの特徴は、個別に又は互いに組み合わせて用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III−N材料層と、
前記III−N材料層の表面上に設けられた絶縁体層と、
前記III−N材料層と反対側の前記絶縁体層上に設けられたエッチング停止層と、
前記絶縁体層とは反対側の前記エッチング停止層上に設けられた電極画定層と、
電極と、を備え、
前記電極画定層内に凹部が形成され、前記電極は、前記凹部内に形成されているIII−Nデバイス。
【請求項2】
前記電極は、フィールドプレートを含む請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記フィールドプレートは、傾斜フィールドプレートである請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記電極画定層の凹部の一部は、少なくとも一部が前記エッチング停止層の主面に対して非垂直な角度を形成する傾けられた壁を有し、前記傾けられた壁が前記傾斜フィールドプレートを画定する請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
前記非垂直な角度は、約5度から約85度までの間である請求項4記載のデバイス。
【請求項6】
前記絶縁層は、パッシベーション層である請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項7】
前記絶縁層は、酸化物又は窒化物によって形成されている請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項8】
前記絶縁体層は、厚さが約2nmから50nmである請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記絶縁体層は、単位面積あたりのキャパシタンスが約0.8mF/mから40mF/mである請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項10】
前記電極画定層は、酸化物又は窒化物によって形成されている請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項11】
前記電極画定層は、厚さが少なくとも約100nmである請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
前記絶縁体層及び前記電極画定層の組み合わされた厚さが、実質的に分散を抑制するために十分である請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項13】
前記エッチング停止層は、厚さが約1nmから15nmである請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項14】
前記エッチング停止層は、窒化アルミニウムによって形成されている請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記電極画定層及び前記エッチング停止層は、異なる材料によって形成されている請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項16】
前記エッチング停止層及び前記絶縁体層は、異なる材料によって形成されている請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項17】
前記凹部は、前記エッチング停止層内に形成されている請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項18】
前記凹部は、前記絶縁体層内に形成されている請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
前記III−N材料層の第1の部分は、第1の組成を有し、前記III−N材料層の第2の部分は、第2の組成を有し、前記第1の組成と前記第2の組成との間の相違が、前記III−N材料層内に2DEGチャネルを形成する請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
カソードを更に備え、前記電極の一部は、アノードであり、前記アノードは、前記III−N材料層に実質的にショットキー接合し、前記カソードは、2DEGチャネルと電気的に接触する請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記凹部は、III−N材料層内に延び、前記電極は、前記III−N材料層内の前記凹部の一部にある請求項20記載のデバイス。
【請求項22】
前記凹部は、2DEGチャネルを介して延びている請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
前記デバイスの第1の領域の閾値は、−15Vより大きく、前記第1の領域は、アノード領域と前記カソードとの間にあり、前記アノード領域に隣接している前記デバイスの一部を含む請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
前記絶縁層の厚さは、デバイス動作の間、約10μA/mmより大きい漏れ電流が前記絶縁層を流れることを防止するために十分な厚さである請求項22記載のデバイス。
【請求項25】
前記III−N材料層の第1の部分は、第1の組成を有し、前記III−N材料層の第2の部分は、第2の組成を有し、前記第1の組成と前記第2の組成との間の差分によって、前記III−N材料層内に2DEGチャネルが形成される請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項26】
ソース及びドレインを更に備え、前記電極の一部は、ゲートであり、前記ソース及び前記ドレインは、前記2DEGチャネルと電気的に接触している請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
デバイス閾値電圧が約−30Vより大きい請求項26記載のデバイス。
【請求項28】
前記絶縁層の厚さは、前記デバイス閾値電圧が約−30Vより大きくなる厚さである請求項27記載のデバイス。
【請求項29】
前記絶縁層の厚さは、デバイス動作の間、約100μA/mmより大きい漏れ電流が前記絶縁層を流れることを防止するために十分な厚さである請求項27記載のデバイス。
【請求項30】
前記電極画定層及び前記エッチング停止層は、第1の電極画定層及び第1のエッチング停止層であり、前記デバイスは、前記第1のエッチング停止層から反対側の前記第1の電極画定層上にスタックを更に有し、前記スタックは、第2のエッチング停止層及び第2の電極画定層を含む請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項31】
前記スタック内に凹部が形成され、前記電極の一部は、前記第1の電極画定層から反対側の前記スタック上にある請求項30記載のデバイス。
【請求項32】
前記第1の電極画定層と前記第2のエッチング停止層との間に第2の絶縁層を更に備える請求項30記載のデバイス。
【請求項33】
第2の電極を更に備え、前記第2の電極画定層及び前記第2のエッチング停止層内に第2の凹部が形成され、前記第2の電極は、前記第2の凹部内に形成されている請求項32記載のデバイス。
【請求項34】
前記第2の電極は、前記第1の電極に電気的に接続されている請求項33記載のデバイス。
【請求項35】
複数のスタックを更に備え、各スタック内に凹部が形成され、各凹部内に電極が形成されている請求項33記載のデバイス。
【請求項36】
前記デバイスは、FETであり、デバイスが、約800V以下のソース−ドレインバイアスで、オフ状態からオン状態にスイッチされるときに測定される動的オン抵抗が、DCオン抵抗の1.4倍より小さい請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項37】
前記電極は、ゲート電極であり、前記デバイスは、ソース及びドレインを更に備える請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項38】
前記電極は、アノード電極であり、前記デバイスは、カソードを更に備える請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項39】
請求項1記載のデバイスを製造する方法において、
請求項1記載のデバイスのIII−N材料層の表面に絶縁層を設ける工程と、
前記絶縁層を設けた後に、前記絶縁層上にエッチング停止層を設ける工程と、
前記エッチング停止層を設けた後に、前記エッチング停止層に電極画定層を設ける工程と、
前記エッチング停止層より速いレートで、前記電極画定層をエッチングする選択性を有するエッチング液を用いて、前記電極画定層をエッチングして、少なくとも一部が、前記エッチング停止層の表面に垂直でない壁によって画定される凹部を形成する工程と、
前記凹部内及び前記電極画定層の露出部分に導電材料を堆積させる工程とを有する方法。
【請求項40】
前記エッチング停止層をエッチングして、前記電極画定層内の前記凹部を前記絶縁層まで延ばす工程を更に有する請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記エッチング停止層のエッチングは、ウェットエッチングを含む請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記エッチング停止層をエッチングするために用いられるエッチングプロセスは、前記電極画定層又は前記絶縁層を実質的にエッチングしない請求項40又は41記載の方法。
【請求項43】
前記エッチングプロセスは、前記絶縁層と比べて、約10:1以上の選択性で前記エッチング停止層をエッチングする請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記電極画定層のエッチングは、ドライエッチングを含む請求項39乃至41何れか1項記載の方法。
【請求項45】
前記電極画定層のエッチングは、フッ素ベースのドライエッチングを適用することを含む請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記電極画定層のエッチングによって、前記電極画定層は、少なくとも一部が前記エッチング停止層の主面に対して非垂直の角度を形成する傾けられた壁を有するようになる請求項39乃至41何れか1項記載の方法。
【請求項47】
前記非垂直な角度は、約5度から約85度までの間である請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記電極画定層をエッチングするために用いられるエッチングプロセスは、エッチング停止層を実質的にエッチングしない請求項39乃至41何れか1項記載の方法。
【請求項49】
前記エッチングプロセスは、前記エッチング停止層と比べて、約10:1以上の選択性で前記電極画定層をエッチングする請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記デバイスは、エンハンスメントモードデバイスである請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項51】
前記デバイスは、空乏モードデバイスである請求項1乃至5何れか1項記載のデバイス。
【請求項52】
前記デバイスは、FETであり、ドレインを更に備え、前記電極は、前記傾けられた壁の少なくとも一部の上に重なり、前記電極は、前記傾けられた壁の一部と前記ドレインとの間にある前記電極画定層の一部の上に重ならない請求項4又は5記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−503483(P2013−503483A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526862(P2012−526862)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/046193
【国際公開番号】WO2011/031431
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(511193374)トランスフォーム インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】