説明

プラズマエッチングチャンバ

本発明は、ウエハーの縁部に堆積された膜質とパーティクルをプラズマエッチングで乾式洗浄する装置であって、外部と隔離された空間を提供し、その上面が蓋体によって開閉される筐体と、上記蓋体の開閉時にその位置を保持するように上記蓋体と離隔された状態で上記筐体の内部に設置される上部電極組立体と、上記筐体の内部において上記上部電極組立体の下方に昇降自在に設置され、その上にはウエハーが載置される下部電極組立体、及び上記下部電極組立体を昇降させる昇降手段と、を含む。また、筐体の外部の上面中心と上部電極組立体の中心には透明な観測窓が設けられてウエハーのアラインメント状態を外部から確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハーを乾式エッチングする装置に係り、より詳しくは、本導体ウエハーの端縁部に残留する膜質及び、その周辺に堆積されるパーティクルをプラズマによりエッチングするプラズマエッチングチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハーの表面に積層される膜質は、通常、プラズマエッチングによって除去しているが、この過程で積層された膜質が残存して生じるパーティクルは完全に除去されずウエハーの縁部に一部堆積される。
【0003】
従来、このようにウエハーの縁部に堆積されるパーティクルを完全に除去するために、ウエハーが載置されるウエハーチャックの上、下方にリング状の上、下部電極を配置し、反応ガスをウエハーの縁部に供給しながら両電極に電圧を印加して生成されるプラズマにより上記縁部のパーティクルを除去するプラズマエッチングチャンバが開発されたことがある。
【0004】
公知のプラズマエッチングチャンバは、外部と隔離される空間を備えた筐体と、その内部の上側に昇降自在に配置されるリング状の上部電極と、この上部電極の中心に位置して反応ガスの通路を形成するガス分配板と、ゲートを介して装入されるウエハーを受け入れるために昇降作動するウエハーチャック、及びその周りに配置されるリング状の下部電極とを含む。
【0005】
プラズマエッチングは、ガス分配板とウエハー表面との間の間隙を0.1〜0.6mm、通常は、0.35mmの範囲で保持させた状態で行われ、その間隙の誤差は、0.05mm単位の苛酷な条件で管理されるため、非常に精度よく微調整される必要がある。また、ウエハーの中心がウエハーチャックの中心から離れて偏心状態でローディングされることがあってはいけない。
【0006】
なお、プラズマエッチングチャンバは、稼動中に上部電極と下部電極、及びその組立体の周辺に反応副産物が堆積するため、定期的に分解し洗浄する必要がある。
【0007】
ところで、上述した構成を有する公知のプラズマエッチングチャンバでは、上、下部電極が独立してそれぞれ昇降する構造であり、上部電極を支持する絶縁体は、筐体の上側蓋体の中心にて支持されるため、これを分解しまた再組立する度に上部電極とその周辺の組立体のアラインメントが変動することがある。これにより、プラズマエッチングチャンバの分解及び組立の際に、上部電極とウエハー表面間での間隙の変化やウエハーのアラインメントのずれが招来され、分解及び組立を行なう度に、改めて精緻にセッティングしなければならないという煩わしい問題が発生する。
【0008】
さらには、筐体の内部に供給されウエハーチャックの上面に載置されるウエハーが正しく整列されたかどうかをプラズマエッチングの前に目視にて確認するのが必要である。しかしながら、従来のプラズマエッチングチャンバは、上部電極が昇降するように中央に昇降ロッドが装着されるため、上部からウエハーチャックを目視にて確認することができず、このため、ウエハーの整列状態を外部からモニタリングすることができないという不具合がある。
【0009】
また、従来のプラズマエッチングチャンバは、チャンバの内部でウエハーをチャッキングしてエッチングし、エッチングされたウエハーをチャッキング解除して取り出す過程でウエハーに損傷を与えるという問題点がある。
【0010】
そして、ウエハーチャックは、ウエハーのチャッキングとチャッキング解除のために別途のメカニズムを具備する。ウエハーのローディング時にウエハーの底面を真空吸着固定する真空チャックはその一例である。また、エッチング時にウエハーの表面にはプラズマの影響で電荷が蓄電され、この電荷は、ウエハーの表面に衝撃を与えてウエハーに損傷を与える。特に、ゲートフィルムは、ウエハー上に蓄電される電荷に損傷を受けやすい物性がある。
【0011】
また、ウエハーチャックとしてポリイミドを適用すれば、ウエハーのローディングとアンローディング時にスリップ現象が発生しなくなるものの、ポリイミドは、プラズマに損傷を受けやすいため、これをウエハーチャックに適用することは容易でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、チャンバの洗浄及びメンテナンスのために筐体の蓋体を開閉しても、上、下部電極のアラインメント状態が変動しない構造からなるプラズマエッチングチャンバを提供することである。
【0013】
本発明の他の主な目的は、筐体の上面中心を介してウエハーの整列状態を外部より目視または観測道具により観測することができる構造からなるプラズマエッチングチャンバを提供することである。
【0014】
本発明のまた他の主な目的は、ウエハーチャックに静電チャックを導入して、エッチング時にプラズマの影響によりウエハーに蓄電される電荷をアンローディングの前に消滅させることでウエハーの損傷を防止するプラズマエッチングチャンバを提供することである。
【0015】
本発明の更なる主な目的は、ウエハーチャックでウエハーをローディングする時にスリップ現象を防止することができるプラズマエッチングチャンバを提供することである。
【0016】
本発明のまた更なる目的は、ウエハーのエッチングタイムを自動で制御することができるようにすることで過度なエッチングを抑制し、インサイチュモニタリングが可能な構造を有するプラズマエッチングチャンバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明のプラズマエッチングチャンバは、外部と隔離された空間を提供し、その上面が蓋体によって開閉される筐体と、上記蓋体の開閉時にその位置を保持するように上記蓋体と離隔された状態で上記筐体の内部に設置される上部電極組立体と、上記筐体の内部において上記上部電極組立体の下方に昇降自在に設置され、その上にはウエハーが載置される下部電極組立体、及び上記下部電極組立体を昇降させる昇降手段と、を含む。
【0018】
また、上記下部電極組立体は、上記ウエハーが載置されるウエハーチャックと、上記ウエハーチャックの外周面に配置されるリング状の下部電極を含むことができる。
【0019】
また、上記ウエハーチャックはセラミックスで形成され、その内側に空間が備えられてポリイミドで形成された中心ファンが収容される構造からなってよい。
【0020】
また、上記ウエハーチャックの縁部にはスイッチング手段を介して接地されるリング状の放電電極が設置されてよい。ここで、上記中心ファンの内部にはDCジェネレーターを介して電力が印加される静電電極が配置され、その上面に載置されるウエハーを静電荷でチャッキングまたはチャッキング解除することができる。
【0021】
また、本発明によるプラズマエッチングチャンバは、上記筐体の排気通路に配置されてプラズマエッチングにより生成されるガスに残存するパーティクルを検出するインサイチュモニタリングツールを備えることができる。このとき、上記インサイチュモニタリングツールは、対向配置される発光部と受光部を含んでなる。
【0022】
また、上記上部電極組立体は、上記筐体の側壁に形成された段部に受け止められて締結手段で固定されてよい。
【0023】
また、上記昇降手段は、上記下部電極組立体に対し下向きに延びて上記筐体の外部に突出するシャフトと、サーボモーターによって駆動されるスクリューと、上記スクリューの回転によって上記スクリューに沿って昇降するキャリア、及び上記シャフトと上記キャリアとを連結する支持ロッドを含むことができる。
【0024】
また、上記筐体と上記蓋体との間に密閉用シーリングが介在されてよい。
【0025】
また、上記シャフトの周りに気密保持のための密閉用ベローズがさらに設置されてよい。
【0026】
また、上記目的を達成するための本発明のプラズマエッチングチャンバは、外部と隔離された空間を提供し、その上面が蓋体によって開閉される筐体と、上記筐体の内部に設置される上部電極組立体と、上記筐体の内部において上記上部電極組立体の下方に昇降自在に設置され、その上にはウエハーが載置される下部電極組立体と、上記下部電極組立体を昇降させる昇降手段、及び上記上部電極組立体の中心に透明材質の観測窓と、を含む。
【0027】
また、上記筐体の上面の中心にも透明材質の観測窓がさらに設けられてよい。
【0028】
また、上記上部電極組立体の中心または上記筐体の上面の中心に設けられた観測窓の上にCCDカメラがさらに設置されてよい。
【0029】
また、上記観測窓の中心及び上記下部電極組立体の中心にそれぞれアラインメントマークが形成され、上記アラインメントマークの一致から上部電極組立体と下部電極組立体との整列状態を確認することができる。
【0030】
また、上記アラインメントマークが十字形をなしてよい。
【0031】
また、上記透明材料は石英またはサファイアを含んでよい。
【発明の効果】
【0032】
以上で説明したような本発明によるプラズマエッチングチャンバは、次のような効果を奏する。
【0033】
第一に、筐体の内部において、上部電極組立体が蓋体の開閉に影響されない位置に固定され、下部電極組立体が相対移動することでプラズマエッチングに必要な間隙をなすように微調整されるため、蓋体を頻繁に開閉しても上、下部電極組立体同士の配置関係が変化しない。また、下部電極組立体の昇降移動によりサブミリメートル単位の超精密制御が可能となる。
【0034】
第二に、従来装置とは異なって上部電極組立体を昇降移動させるための駆動手段を省くことができるためその構造が簡単になる。
【0035】
第三に、蓋体から上部電極組立体を簡単に取り外すことができるため、使用後に上部電極ボディー、ガス分配板、ウエハーチャックなどの洗浄を簡便に行なうことができる。
【0036】
第四に、必要に応じてその度に筐体の内部を目視またはCCDカメラなどの好適な観測道具により観察することができるため、エッチングの進行前にアラインメントの不整合による不良要因に対し措置をとることができる。
【0037】
第五に、内部がポリイミドからなり外部がセラミックスからなるウエハーチャックは、ウエハーのローディング時にスリップ現象を防止することで精緻なアラインメントを実現し、プラズマによるウエハーの損傷を防止する。また、低廉なポリイミドの使用により製造コストの節減効果を図ることができる。
【0038】
第六に、排気されるガスに含有されたパーティクルの残存有無及び排気ガスの成分分析をインサイチュモニタリングツールによりチェックすることができ、プラズマエッチングタイムを自動制御することができるため、過度エッチングという問題を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバを、添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバの側断面図であり、図2は、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバの平面図であり、図3は、図2に示された蓋体の観測窓にCCDカメラを設置した状態を示す図であり、図4は、ウエハーチャックが上昇した後の状態を示すプラズマエッチングチャンバの側断面図である。
【0041】
図1を参照すれば、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバは、外部と隔離された空間を提供し、その上面が蓋体4によって開閉される筐体2を含む。
【0042】
蓋体4は、通常の手段により筐体2に結合される。該手段としては、例えば、ボルトやナットにより直接締結する方式や、クランプ手段を利用して結合する方式などが適用されてよい。筐体2と蓋体4との間には、Oリングなどの密閉用シーリング6を介在させることが好ましい。
【0043】
筐体2の上側には上部電極組立体8が配置されており、上部電極組立体8は、上記蓋体4を開放すれば外部に露出する。上部電極組立体8は、筐体2の内部に着脱自在に設置される伝導体からなる上部電極ボディー80と、この上部電極ボディー80の底面に固着されるリング状の上部電極81、及び、その内側に位置する絶縁体からなるガス分配板(Gas Distribution Plate;GDP)82とを含む。
【0044】
上部電極81とガス分配板82との間には、反応ガス管83を介して供給される反応ガスをウエハーWの縁部に注入させる反応ガス通路84が形成される。また、上記ガス分配板82の中心近傍の底面には、不活性ガス管85を介して供給される窒素、ヘリウムなどの不活性ガスを注入する不活性ガス通路86がバッフル板87によって一定の範囲にかけて形成されている。両ガス通路84、86は、平面形状が円形をなすように形成されてもよい。
【0045】
一方、上記反応ガス管83と不活性ガス管85は、それぞれアダプダ88、89を介して当該通路84、86の入口に着脱自在に設けられてもよい。上記アダプタ88、89の着脱構造によって上部電極組立体8を筐体2から簡便に取り外すことができる。
【0046】
なお、不活性ガスは、上記不活性ガス管85及びアダプタ89を介さずに不活性ガス通路86に流れ込まれることがより好ましい。このために、筐体2の側壁と上部電極ボディー80には、上記不活性ガス通路86と連通する別個の水平通路を備える。これにより、不活性ガスが、上記筐体2及び上部電極ボディー80を直接通り抜けて不活性ガス通路86に流入されるようになる。
【0047】
また、上記反応ガスも上記反応ガス管83及びアダプタ88を介さずに反応ガス通路84に流入されてよい。このために、筐体2の上部側壁に反応ガスが流入される流入孔を形成し、この流入孔から上部電極ボディー80上の筐体2内部の空間に直接反応ガスを注入する。注入された反応ガスは、垂直通路を通り抜けて直接反応ガス通路84に流入される。
【0048】
筐体2のブラケット12には、上部電極組立体8を着脱自在に固定する締結手段10が設置される。
【0049】
締結手段10は、上記上部電極ボディー80を精度よく位置決めして固定することができる構造であれば、特に制限がない。例えば、筐体2の側壁の所定位置に上記上部電極ボディー80を支持する段部12を形成し、段部12に受け止められた上部電極ボディー80を通常のボルトやピンにて垂直に固設することができる。なお、上記ボルトやピンが挿通する挿通孔が上記上部電極ボディー80の対応部位に形成される。ボルトである場合はナットで締結し、ピンである場合はクランプを使って上記上部電極ボディー80を固定する。
【0050】
また、上記ボルトやピンが挿通する挿通孔の径は、ボルトやピンの径より大きく形成されてよい。これは、上部電極ボディー80の固定時にアラインメントを調整可能にする間隔を確保するためである。
【0051】
筐体2の一方側には、昇降手段14が配置される。昇降手段14は、一対の軸受部140の間に貫通配置されるスクリュー141と、このスクリュー141を精度よく回転駆動させるサーボモーター142、及び上記スクリュー141の螺旋運動により昇降推進されるキャリア143を含む。
【0052】
上部電極組立体8の下方には、上記昇降手段14によって上下移動する下部電極組立体16が位置する。
【0053】
下部電極組立体16は、上記ガス分配板82に対向配置されて上下移動するウエハーチャック160、及びこのウエハーチャック160の外周に絶縁状態で取り付けられ上記リング状の上部電極81に対向配置されるリング状の下部電極161を含む。上記ウエハーチャック160は、絶縁板162を介在してマウンティングプレート163の上面に装着される。
【0054】
そして、マウンティングプレート163の底面の中心にはシャフト164が取り付けられて外部に延びており、その縦端部は、上記キャリア143から延びてきた支持ロッド144に直交方向に一体で連結される。上記シャフト164の周りにはベローズ165が被覆され、昇降中にも気密を保持することができるようにする。
【0055】
上記筐体2の一方側は、ゲートバルブ18により開閉される排気通路20が延びており、その縦端にはドライポンプ22が設置され、上記筐体2に供給される反応ガス、不活性ガス及びエッチングによって生成されるパーティクルなどを回収する。
【0056】
また、筐体2の一方側には、上記ウエハーチャック160の上面にウエハーWを供給してローディングしたり、またはアンローディングして回収したりする時に、通路として利用されるスロットバルブ24が開閉自在に設置されている。上記上部電極81の下端には互いに対向配置される受光用ギャップセンサー26と発光用ギャップセンサー28が取り付けられている。
【0057】
上記受光用ギャップセンサー26としてはCCDカメラが適用可能であり、発光用ギャップセンサー28としては発光の直進性が良い短波長ランプやレーザー出力機が適用可能である。
【0058】
上記蓋体4の中心には、石英やサファイアなどの透明な材質からなる観測窓30が設けられており、上部電極組立体8の中心にも同様に観測窓90が設けられている。これら観測窓30、90は、互いに中心が一致した状態で配置されている。
【0059】
これら観測窓30、90の中心には図2に示されたように、十字形(+)標識などのアラインメントマーク32、92が表示されており、ウエハーWの中心整列状態を目視などで正確に確認することができる。なお、アラインメントマークの形状は上記十字形に限られず、多様に変形可能である。
【0060】
観測のための構造の他の例として、上記筐体2に位置する観測窓30には図3に示されたように、CCDカメラ34が一体で設置されてよい。これにより、ウエハーチャック160に載置されたウエハーWの整列状態を別途に用意されるモニターを介して拡大して観測することができるため、より精度よくアラインメント状態を確認・点検することができ、且つ、CCDカメラ34で撮像される映像をイメージ合成し誤差を割り出す方式でアラインメント状態を点検することも可能となる。
【0061】
また、中心に十字形のアラインメントマークが表示されたアラインメントチェック用ウエハーを予め実際の稼動と同じ条件でウエハーチャック160にローディングさせつつ、上記観測窓32からアラインメント状態を点検することができる。このとき、誤差が生じた時は、ウエハーWを搬送するハンドラー(図示せず)などの位置や作動範囲などを調整する方式にてウエハーのアラインメントを調整することも可能である。
【0062】
上述した構成を備えた本発明のプラズマエッチングチャンバは、次の手順によって作動する。
【0063】
先ず、ウエハーチャック160に載置されるウエハーWの中心整列状態は、蓋体4の上面中心に設けられた観測窓30と、上部電極組立体8の中心に設けられた観測窓90から目視またはCCDカメラ34にて観測することができるため、異常ローディングされるウエハーに対してエッチング前に予め措置を取ることができ、不良率を下げることができる。なお、筐体2の上側蓋体4を開けると、上部電極組立体8を筐体2から簡単に取り外し及び組み立てることができる。
【0064】
ウエハーWの中心の一致状態が確認されると、昇降手段14が下部電極組立体16を所定の地点まで上昇移動させ、図4に示されたように、上部電極81とウエハーの縁部の表面とが所定の間隔をあけて向き合う状態になる。
【0065】
この過程において、筐体2の側辺に設置された発光用ギャップセンサー28の光が、上昇する下部電極組立体16のウエハーWによって遮られ、その光量に変化が生じるようになる。これにより、受光用ギャップセンサー26は、光量低下検出信号を送り出し、この信号が制御信号としてサーボモーター142にフィードバックされてその回転駆動を制御するようになる。すなわち、受光用ギャップセンサー26からの検出信号により上記サーボモーター142が止められ、これにより、上部電極81がウエハーWの縁部の上面と所定の間隔をあけて向き合うようになる。
【0066】
本発明における以降の工程は、ウエハーWの縁部へ反応ガスが注入されるとともにプラズマ放電が開始され、その内側は不活性ガスによって保護されるとともに非放電領域として保全され、ウエハーWの縁部だけにエッチング処理が施される。このようなウエハーWの縁部に対するエッチング処理は、本発明の以前から広く知られた技術であるため、これに関する詳細説明は省くことにする。
【0067】
図5は、本発明の他の実施の形態によるウエハーチャックの断面図であり、図6は、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバのインサイチュモニタリングツールの配置例を示す図である。
【0068】
一方、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバにおける、ウエハーチャック160は、通常、セラミックス材質からなる。図5を参照すれば、ウエハーチャック160は、内側に空間を備えた形態で形成され、その空間にポリイミドにて別途成形された中心ファン166を埋め立て状態で収容させてなる構造であってもよい。上記中心ファン166に適用されるポリイミドは、表面摩擦係数が大きくて、その上面にウエハーWが載置される時にスリップ現象が発生することがなく、これにより、ウエハーWのローディング時に発生するアラインメント不良を極力抑制することができるとともに、ウエハーチャック160の製造コストを抑えることができる。
【0069】
また、ポリイミドはプラズマに損傷されやすい物性を有するため、ウエハーチャック160の全体がポリイミド材質で形成されることは好ましくない。すなわち、図5に示したように、プラズマに接触するようになるウエハーチャック160の外表面の縁部と底面の近傍はセラミックス材質で形成され、プラズマと接触しない内側部分はポリイミドで形成される。
【0070】
また、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバにおけるウエハーチャック160は、静電チャックで構成されてもよい。この場合、ウエハーチャック160の上面の縁部にはリング状の放電電極167がさらに設置され、中心ファン166の中には静電電極168が螺旋状に配列される。
【0071】
ウエハーチャック160の縁部は、放電電極167の収容に伴い、静電電極168と十分な間隔をなすように上記縁部の幅Lを10mm以上に設定してある。このようにして設置される放電電極167は、スイッチング手段169を介して接地され、また上記静電電極168にはDCジェネレーター170が接続される。
【0072】
ウエハーチャック160は、上述した構成によって静電電極168に帯電される電荷が静電場を形成しながらウエハーWをチャッキングまたはチャッキング解除する静電チャックとして働くようになる。
【0073】
より詳しく説明すれば、DCジェネレーター170は、チャッキング時に上記ウエハーWの電荷と逆の極性である陽電荷で静電電極168を帯電させて陽極性の静電場が形成されるようにすることで生じた逆極性の強い吸引力でウエハーWをチャッキングさせる。逆に、チャッキング解除時には、DCジェネレーター170が上記ウエハーWの電荷と同一極性である陰電荷で静電電極168を帯電させることで生じた同一極性の強い反発力により上記ウエハーWをチャッキング解除させる。
【0074】
なお、静電電極168の配置形態は、螺旋状に制限されるものではない。
【0075】
上述したようなチャッキング/チャッキング解除の過程において、静電電極168に印加される電荷の一部は中心ファン166を透過して上面に積もり、このようにして積もった電荷によって対向するウエハーWの底面には逆極性の電荷が帯電される。このような現象は、上記ウエハーのチャッキング力を増大させるものの、チャッキング解除時には、むしろチャッキング解除を邪魔する力として働くようになる。
【0076】
そのため、プラズマエッチングが終了すれば、スイッチング手段169をスイッチ−オンしてウエハーWの底面に帯電された電荷を放電電極167に流すことで消滅させる。上記スイッチング手段169は、プラズマエッチングが開始される直前にスイッチ−オフに切り換えられなければならない。これと同時に、上記DCジェネレーター170は、今まで印加した電源とは逆極性に変換された電圧を上記静電電極168に印加することで今まで帯電された陽電荷とは逆極性の陰電荷を帯電させることにより、上記中心ファン166の上面を中和させ、電荷の残留による問題が次の工程で発生しないようにする。
【0077】
そして、本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバでは、エッチングタイム自動制御のための手段が具備されてもよい。
【0078】
図6は、エッチングタイム自動制御のために排気通路20上に発光部36と受光部38を対向配置した構成のインサイチュモニタリングツール40が適用された例を示している。
【0079】
インサイチュモニタリングツール40は、発光部36から照射される光を受光部38が受けて電気的信号に変換する装置である。すなわち、排気通路20から排気されるガスにパーティクルが多量含有されているときは、発光部36から照射される光がパーティクルによって分光屈折しながら散乱する現象が現れ、これにより、受光部38の検知する光量が増減変化するようになる。このときの光量の変化による電気的信号の変化をバロメーターとしてエッチングタイムを制御する。上記インサイチュモニタリングツール40は、必ずしも排気通路20に設置されなければならないものではなく、例として、受光用ギャップセンサー26と発光用ギャップセンサー28の横に並んで配置しておいても、上部電極81とウエハーWの上面との間でのガス流れを通じてパーティクルの残存有無をチェックし、エッチングタイムを制御することができる。
【0080】
エッチングタイムの制御によりプラズマによるウエハー表面の過度エッチングを防止することができる。
【0081】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で様々に変形し実施することが可能であり、かかる変形実施も本発明の範囲に属することはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係るプラズマエッチングチャンバによれば、チャンバの洗浄及びメンテナンスのために筐体の蓋体を開閉しても、上、下部電極のアラインメント状態が変動しないようにすることができるため有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
本発明の目的と特徴及び特長は、添付の図面並びに詳細な説明により更に明確になると思われる。
【図1】本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバの側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバの平面図である。
【図3】図2に示された蓋体の観測窓にCCDカメラを設置した状態を示す図である。
【図4】ウエハーチャックが上昇した後の状態を示すプラズマエッチングチャンバの側断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態によるウエハーチャックの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態によるプラズマエッチングチャンバのインサイチュモニタリングツールの配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
2 筐体
4 上側蓋体
6 密閉用シーリング
8 上部電極組立体
10 締結手段
12 段部
14 昇降手段
16 電極組立体
18 ゲートバルブ
20 排気通路
22 ドライポンプ
24 スロットバルブ
26 受光用ギャップセンサー
28 発光用ギャップセンサー
30 観測窓
32 アラインメントマーク
34 カメラ
36 発光部
38 受光部
40 インサイチュモニタリングツール
80 電極ボディー
81 上部電極
82 ガス分配板
83 反応ガス管
84 ガス通路
85 不活性ガス管
86 ガス通路
87 バッフル板
88 アダプタ
89 アダプタ
90 観測窓
92 アラインメントマーク
140 軸受部
141 スクリュー
142 サーボモーター
143 キャリア
144 支持ロッド
160 ウエハーチャック
161 下部電極
162 絶縁板
163 マウンティングプレート
164 シャフト
165 ベローズ
166 中心ファン
167 放電電極
168 静電電極
169 スイッチング手段
170 ジェネレーター
W ウエハー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と隔離された空間を提供し、その上面が蓋体によって開閉される筐体と、
前記蓋体の開閉時にその位置を保持するように前記蓋体と離隔された状態で前記筐体の内部に設置される上部電極組立体と、
前記筐体の内部において前記上部電極組立体の下方に昇降自在に設置され、その上にはウエハーが載置される下部電極組立体、及び前記下部電極組立体を昇降させる昇降手段と、を含むことを特徴とするプラズマエッチングチャンバ。
【請求項2】
前記下部電極組立体は、前記ウエハーが載置されるウエハーチャックと、
前記ウエハーチャックの外周面に配置されるリング状の下部電極と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項3】
前記下部電極組立体は、ウエハーが載置されるウエハーチャックを含み、
前記ウエハーチャックはセラミックスで形成され、その内側に空間が備えられてポリイミドで形成された中心ファンが収容される構造からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項4】
前記ウエハーチャックの縁部にはスイッチング手段を介して接地されるリング状の放電電極が設置され、
前記中心ファンの内部にはDCジェネレーターを介して電力が印加される静電電極が配置され、その上面に載置されるウエハーを静電荷でチャッキングまたはチャッキング解除することを特徴とする請求項2または3に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項5】
前記筐体の排気通路に配置されてプラズマエッチングにより生成されるガスに残存するパーティクルを検出するインサイチュモニタリングツールを備え、
前記インサイチュモニタリングツールは、対向配置される発光部と受光部を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項6】
前記上部電極組立体は、前記筐体の側壁に形成された段部に受け止められて締結手段で固定されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項7】
前記昇降手段は、前記下部電極組立体に対し下向きに延びて前記筐体の外部に突出するシャフトと、
サーボモーターによって駆動されるスクリューと、
前記スクリューの回転によって前記スクリューに沿って昇降するキャリア、及び前記シャフトと前記キャリアとを連結する支持ロッドと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項8】
前記筐体と前記蓋体との間に密閉用シーリングが介在されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項9】
前記シャフトの周りに気密保持のための密閉用ベローズがさらに設置されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項10】
前記上部電極組立体は、前記筐体の内部に着脱自在に設置される上部電極ボディーと、
前記上部電極ボディーの底面に固着されるリング状の上部電極と、
前記上部電極の内側に反応ガス通路を形成するガス分配板、及び前記ガス分配板の底面に不活性ガス通路を形成するバッフル板と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項11】
前記筐体の側壁と前記上部電極ボディーには、外部及び前記不活性ガス通路と連通する水平通路が形成されることを特徴とする請求項10に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項12】
前記筐体の上部側壁に反応ガスが流入される流入孔が形成され、前記流入された反応ガスは、前記上部電極ボディーに形成された垂直通路を介して前記反応ガス通路に直接流入されることを特徴とする請求項10に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項13】
前記締結手段はボルトまたはピンを含み、
前記上部電極組立体には、前記ボルトまたはピンが挿通する挿通孔が形成され、
前記挿通孔の大きさは、前記ボルトまたはピンの大きさより大きく形成されることを特徴とする請求項6に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項14】
外部と隔離された空間を提供し、その上面が蓋体によって開閉される筐体と、
前記筐体の内部に設置される上部電極組立体と、
前記筐体の内部において前記上部電極組立体の下方に昇降自在に設置され、その上にはウエハーが載置される下部電極組立体と、
前記下部電極組立体を昇降させる昇降手段、及び前記上部電極組立体の中心に透明材質の観測窓と、を含むことを特徴とするプラズマエッチングチャンバ。
【請求項15】
前記筐体の上面の中心にも透明材質の観測窓が設けられることを特徴とする請求項14に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項16】
前記上部電極組立体の中心に設けられた観測窓の上にCCDカメラがさらに設置されることを特徴とする請求項14に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項17】
前記筐体の上面の中心に設けられた観測窓の上にCCDカメラがさらに設置されることを特徴とする請求項15に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項18】
前記観測窓の中心及び前記下部電極組立体の中心にそれぞれアラインメントマークが形成され、前記アラインメントマークの一致から上部電極組立体と下部電極組立体との整列状態を確認することができることを特徴とする請求項14に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項19】
前記アラインメントマークが十字形をなすことを特徴とする請求項18に記載のプラズマエッチングチャンバ。
【請求項20】
前記透明材料は石英またはサファイアを含むことを特徴とする請求項14に記載のプラズマエッチングチャンバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−540561(P2009−540561A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514213(P2009−514213)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/002935
【国際公開番号】WO2007/148897
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508360084)ソスル カンパニー, リミテッド (3)
【Fターム(参考)】