説明

ヘテロ構造を有する細長い単結晶ナノ構造に基づくトンネル効果トランジスタ

【課題】トンネル電界効果トランジスタ(TFET)は、金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)の後継者と考えられるが、シリコンベースのTFETは一般に低いオン電圧、トンネルバリアの大きな抵抗による欠点が問題となる。より高いオン電流を得るために、異なった半導体材料(例えばゲルマニウム(Ge))からなるヘテロ構造を備えた細長い単結晶ナノ構造ベースのTFETが用いられる。
【解決手段】TFETのソース(又は代わりにドレイン)領域として機能する、異なった半導体材料からなる細長い単結晶ナノ構造を導入する。ヘテロ部分の導入は、シリコンとゲルマニウムの間の格子不整合が高い欠陥界面とならないように行われる。従来のMOSFETに匹敵する、静的電力の低減と同様に動的電力の低減が行われる。細長い単結晶ナノ構造のSi/GeTFETによる超高密度オンチップトランジスタを用いた、多層の論理が期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびナノテクノロジの分野に関する。更に、本発明は、ナノ構造半導体装置に関し、特に、ナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造のヘテロ構造を有するトンネル電界効果トランジスタおよび集積された細長い単結晶ナノ構造を有するトンネル電界効果トランジスタ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニックデバイスは、一般に、半導体基板上に集積回路として作製される。相補型金属酸化物半導体(CMOS)電界効果トランジスタは、集積回路のコア要素の1つである。CMOSトランジスタの寸法および操作電圧は、連続して低減され又は縮小され、より高い性能と集積度を備えた集積回路が得られる。
【0003】
CMOSトランジスタの縮小による問題の1つは、電力消費が増加し続けることである。これは、一部は(例えば短チャネル効果により)リーク電流が増加するためで、一部は供給電圧の低減が困難になるからである。後者は主に、サブシュレッシュホールドの傾き(subthreshold slope)が、最小約60mV/decadeに制限され、オンからオフへのトランジスタのスイッチが、所定の電圧ばらつきと、それゆえに最小供給電圧を必要とするためである。
【0004】
トンネル電界効果トランジスタ(TFET)は、一般的に、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の後継者といわれている。これは、短チャネル効果が無いことや低いオフ電流のためである。TFETの他の長所は、サブシュレッシュホールドの傾きが、従来のMOSFETにおける物理的限界である60mV/degより小さくでき、潜在的に低い供給電圧が使用できることである。しかしながら、TFETは一般に、低いオン電流、トンネルバリアの大きな抵抗に関係する欠点に問題がある。
【0005】
米国特許出願2005/0274992では、ナノワイヤを用いた改良されたTFETの製造方法が開示されている。この方法は、トランジスタのアンドープチャネル領域で分離されたナノチューブ(即ち軸方向の開口部を有するナノワイヤ)のnドープ領域およびpドープ領域を形成する工程を含む。電気的コンタクトがドープ領域のために形成され、ゲート誘電体層の上に形成されたゲート電極が、トランジスタのチャネル領域の上に堆積される。提案された構造は、新しい材料(カーボンナノチューブ)の導入という欠点を有している。
【0006】
シリコンTFETのオン電流を増加させるために、トンネルバリアに、高ドープSi1−xGeの小さな部分(約3nm幅)を加えることが、Bhuwalkaらの文献において提案されている(IEEE transaction on electron device Vol 52, No 7, July 2005)。Si1−xGeはSiより狭いバンドギャップを有し、この部分の存在によりトンネルバリア幅が小さくなる。しかしながら、Si1−xGeの部分を有する構造は、その低いオン電流ゆえに、いまだに従来のMOSFETに匹敵しない。
【0007】
結論として、ナノワイヤトンネル電界効果トランジスタを製造するための改良された方法が必要となる。
【特許文献1】米国特許出願2005/0274992
【非特許文献1】IEEE transaction on electron device Vol 52, No 7, July 2005
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、ナノワイヤのような長い単結晶ナノ構造を用いた、改良された構造と、低い電力消費を有する半導体装置構造およびそのような半導体装置構造を作製するための方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、例えば、少なくとも1つのナノワイヤ(更にはNW−TFETとよばれる)のような、少なくとも1つの長い単結晶ナノ構造を有するトンネル電界効果トランジスタの形成を述べる。長い単結晶ナノ構造は、第1半導体材料からなるチャネル領域およびドレイン(代わりにソース)領域と、ソース(代わりにドレイン)領域として機能する第2半導体材料からなるヘテロ部分とを含む。
【0010】
本発明にかかるNW−TFETの更なる特徴は、Siベースの材料とプロセスの知識が、NW−TFETの作製にも使用することができ、現在のSiベースの技術装置で、NW−TFETが容易に処理し、具体化できることである。
【0011】
本発明の具体例は、マイクロおよびナノエレクトロニクスに関し、低電力半導体装置構造の開発に使用することができる。本発明のトンネル電界効果トランジスタを使用することにより、1つのチップ上のトランジスタの数を更に増やすことが可能となる。本発明の幾つかの具体例にかかる、例えば、ナノワイヤトンネル電界効果トランジスタのような、細長い単結晶ナノ構造トンネル電界効果トランジスタは、現在のSiベースの技術に基づき、それゆえに現在の先端技術を用いて現在のデバイスに容易に組み込むことができる。幾つかの具体例にかかる、例えばナノワイヤトンネル電界効果トランジスタのような、細長い単結晶ナノ構造トンネル電界効果トランジスタは、適当なヘテロ部分の集積により従来技術で知られている全てのアナログTFETから区別される。ヘテロ部分は、例えばナノワイヤのような、細長い単結晶ナノ構造の長手軸に沿った部分であり、細長い単結晶ナノ構造の主要部分の材料とは異なった材料から形成される。ヘテロ部分は、以下のうちの幾つかまたは全ての用語において、改良された性能を得るのを助ける。高いオン電流(非常に小さいバンドギャップを有する材料をヘテロ部分に使用することにより、および/または細長い単結晶ナノ構造の主要部分の材料の電子親和力とは異なった電子親和力を有する材料をヘテロ部分に使用することにより、トンネルバリアに関する抵抗が低減できる)、低いオフ電流(オフ電流は、細長い単結晶ナノ構造の主要部分の材料によって定義され、ヘテロ部分の材料から独立して選択することができる)、および速いオフからオンへの遷移(ヘテロ部分の存在下において、シミュレーションに示されたように、これにより、ヘテロ部分の材料は、細長い単結晶ナノ構造の主要部分の材料より小さなバンドギャップを有し、またはこれにより、ヘテロ部分の材料は、細長い単結晶ナノ構造の主要部分の材料の電子親和力とは異なった電子親和力を有し、オフからオンへの遷移が速くなる)。細長い単結晶ナノ構造の主要部分の材料と、ヘテロ部分との界面は、実質的に欠陥無しにできる。即ち、高い欠陥のある界面にはならない。なぜなら、これは、細長い単結晶ナノ構造と、非常に小さな断面部分が、効果的な横方向の歪緩和を行うためである。例はゲルマニウムヘテロ部分を有するシリコンナノワイヤであり、シリコンとゲルマニウムの間の格子不整合は、高い欠陥界面とならない。
【0012】
本発明の特別な具体例では、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置が記載されている。TFETは、例えば(NW−TFETを形成するための)ナノワイヤまたは半導体カーボンナノチューブのような少なくとも1つの細長い単結晶ナノ構造を含み、細長い単結晶ナノ構造は、更に、例えばpドープ(またはnドープ)の第1導電型に高ドープされた第1半導体材料からなる、少なくとも1つのドレイン(代わりにソース)領域と、例えばnドープ(又はpドープ)の第2導電型に高ドープされた第2半導体材料からなる、ソース(代わりにドレイン)領域として機能する少なくとも1つのヘテロ部分と、例えばnドープまたはpドープの第1導電型または第2導電型の低ドープされた第1半導体材料からなり、ソース領域とドレイン領域の間に配置される、少なくとも1つのチャネル領域を含む。ナノワイヤのような細長い単結晶もの構造は、自由な長さで、十分に欠陥のないヘテロ部分を有するため、後者の具体例が可能となる。後者の具体例は、トンネル電界効果トランジスタ(NW−TFET)の形成において、1つ少ない工程とできる長所を有する。これは、ソース領域(又はドレイン領域)が、1つの材料のみから形成されるためである。
【0013】
代わりの具体例では、ヘテロ部分は、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびそれらの合金のような金属、シリサイド、ゲルマナイド、TaNやTiNのような金属ナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのようなシリサイド金属、金属ゲルマナイド、および/またはそれらの合金また混合物でも良い。
【0014】
トンネル電界効果トランジスタ(NW−TFET)は、更にゲート構造を含む。かかるゲート構造は、例えばゲート酸化物のような、NW−TFETのチャネル領域上に配置されたゲート誘電体と、例えばゲート酸化物からなるゲート誘電体の上に配置されるゲートコンタクトとを含む。ゲート誘電体は、シリコンベース酸化物(例えば二酸化シリコン、シリコン酸窒化物)、アルミニウム酸化物、high−k酸化物(酸化物、窒化酸化物)、Hf、Ta、Ti、Nb、V、Y、Zrのような遷移金属のシリケイトおよびナイトライドシリケイト、の少なくとも1つから選択しても良い。特別な具体例では、ゲート酸化物は、ハフニウム酸化物のようなhigh−k酸化物である。ゲート酸化物の膜厚は、0.5nmから20nmの範囲である。ゲートコンタクトは導電性材料からなり、多結晶シリコン、多結晶ゲルマニウム、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびその合金のような金属、TnNやTiNのような金属ナイトライド、TaSiNのような金属シリコンナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのおよびTiSiのようなフリーシリサイド材料(FUSI)、フリーゲルマナイド材料(FUGE)の少なくとも1つから選択される。ゲートコンタクトは特定のゲート仕事関数を得るために、例えばナノワイヤ材料のような選択された細長い単結晶ナノ構造(第1および第2半導体材料)、ゲート誘電体、およびゲート誘電体膜厚のためにゲート仕事関数が設計されるように選択される。特別な具体例では、NW−TFETからなる(ゲートコンタクトとゲート誘電体を含む)ゲート構造は、例えばナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造のチャネル領域を完全に覆う。
【0015】
本発明の幾つかの具体例にかかるトンネル電界効果トランジスタ(NW−TFET)は、ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上に電気的コンタクトを含む。ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上の電気的コンタクトは、シリサイド含有構造(NiSi、CoSi、TiSi等)、ゲルマナイド含有構造、金属含有構造、多結晶シリコン、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される導電性材料であっても良い。特別な具体例では、ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上の電気コンタクトは、金属とシリサイドとの組み合わせである。
【0016】
本発明にかかるNW−TFET中の第1半導体材料は、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、第1半導体材料はシリコンである。
【0017】
本発明のNW−TFETの第2半導体材料は、NW−TFETの第1半導体材料とは異なった格子定数を有する材料から形成されることが好ましい。特別な具体例では、第2半導体材料は、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、本発明にかかるNW−TFETの第2半導体材料は、第1半導体材料より小さなバンドギャップ、および/または異なった電子親和力を有する特別な具体例では、第2半導体材料はSi1−xGe、ただしx>0.5である。
【0018】
本発明にかかる幾つかの具体例のNW−TFETに使用されるNWの直径は、長軸に垂直方向で、1nmから500nmまでの範囲内であり、例えば本発明の具体例のNW−TFETに使用されるNWの直径は、2nmと200nmの間である。
【0019】
本発明にかかる幾つかの具体例のNW−TFETに使用される、その長手方向に沿ったNWの長さは、5nmと2μmの範囲内であり、例えば本発明の具体例のNW−TFETに使用される、NWの長さは、10nmと1μmの範囲内である。
【0020】
本発明にかかる幾つかの具体例のNW−TFETのヘテロ部分の長さは、10nmから500nmまでの範囲であることが好ましい。
【0021】
本発明にかかる幾つかの具体例のNW−TFETに使用されるチャネル領域の長さは、1nmと1000nmの範囲内であり、例えば本発明の具体例のNW−TFETのチャネル領域の長さは、1nmと100nmの範囲内である。
【0022】
本発明にかかる幾つかの具体例のNW−TFETのソース領域とドレイン領域(又はソースまたはドレイン領域として機能するヘテロ部分)のドーピングレベルは、1018/ccから1021/ccの範囲であっても良く、例えば、NW−TFETのソース領域とドレイン領域のドーピングレベルは、例えば、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。
【0023】
本発明のNW−TFETのチャネル領域のドーピングレベルは、1016/ccまでのノンドープの範囲であっても良く、例えば、NW−TFETのチャネル領域のドーピングレベルは、5×1014/ccまでのノンドープの範囲である。
【0024】
更に、NW−TFET半導体相違の製造方法が開示され、かかる方法は、
平面に横たわる基板を準備する工程と、
基板の上に触媒を選択的に提供する工程と、
例えばナノワイヤ構造のような、細長い単結晶ナノ構造を成長させる工程であって、細長い単結晶ナノ構造は、第1半導体材料からなる集積されたドレイン(代わりにソース)領域およびチャネル領域と、第1半導体材料とは異なった格子定数を有する第2半導体材料からなるヘテロ部分とを有し、ヘテロ部分はソース(代わりにドレイン)領域として機能する細長い単結晶ナノ構造を成長させる工程と、
ドレイン(代わりにソース)領域、チャネル領域、およびヘテロ部分を、所望のドーピングレベルとドーパントタイプに、選択的にドーピングする工程と、を含む。
かかる方法の幾つかの具体例の更なる工程は、以下の工程の1又はそれ以上を含む。即ち、
細長い単結晶ナノ構造のドレイン領域に、(集積された)ドレインコンタクトを形成する工程と、
細長い単結晶ナノ構造のサイドウォール上に、例えばゲート酸化物のようなゲート誘電体を堆積する工程と、
ゲート誘電体の上に、ゲートコンタクトを堆積する工程と、
細長い単結晶ナノ構造のヘテロ部分の上に、ソース(代わりにドレイン)コンタクトを形成する工程と、である。
【0025】
特別な具体例では、NW−TFETの製造に使用される基板はSiウエハである。
【0026】
本発明の具体例では、第1半導体材料は、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、第1半導体材料はシリコンである。
【0027】
特別な具体例では、ヘテロ部分が第2半導体材料からなり、第2半導体材料は、例えばナノワイヤのような、細長い単結晶ナノ構造の第1半導体材料とは異なった格子定数を有する。
【0028】
本発明の具体例では、第2半導体材料は、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。第2半導体材料は、第1半導体材料より、小さなバンドギャップおよび/または異なった電子親和力を有しても良い。特別な具体例では、第2半導体材料はSi1−xGe、ただしx>0.5である。
【0029】
代わりに、ヘテロ部分は、金属(Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびそれらの合金)、シリサイド、ゲルマナイド、TaNやTiNのような金属ナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのようなシリサイド金属、金属ゲルマナイド、およびそれらの合金また混合物でも良い。
【0030】
本発明にかかる具体例では、例えばナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造の直径は、1nmから500nmまでの範囲である。特別な具体例では、例えばナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造の直径は、2nmから200nmである。
【0031】
本発明の具体例では、例えばナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造の長さは、5nmと2μmの間である。特別な具体例では、例えばナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造の長さは、10nmから1μmである。
【0032】
本発明の具体例では、ゲート誘電体は、シリコンベース酸化物(例えば二酸化シリコン、シリコン酸窒化物)、アルミニウム酸化物、high−k酸化物(酸化物、窒化酸化物)、Hf、Ta、Ti、Nb、V、Y、Zrのような遷移金属のシリケイドおよびナイトライドシリケイド、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、ゲート酸化物は、ハフニウム酸化物のようなhigh−k酸化物である。
【0033】
本発明の具体例では、ゲートコンタクトは導電性材料からなり、多結晶シリコン、多結晶ゲルマニウム、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびその合金のような金属、TnNやTiNのような金属ナイトライド、TaSiNのような金属シリコンナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのおよびTiSiのようなフリーシリサイド材料(FUSI)、フリーゲルマナイド材料(FUGE)、仕事関数調整金属、特定のゲート仕事関数を得るための設計材料の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、ゲートコンタクトは、例えばナノワイヤ材料(第1および第2半導体材料)のような、選択された細長い単結晶ナノ構造材料のために仕事関数が設計された材料から形成される。
【0034】
本発明の具体例では、ソースおよびドレインコンタクトは、シリサイド含有構造(NiSi、CoSi、TiSi等)、ゲルマナイド含有構造、金属含有構造、多結晶シリコン、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される導電性材料である。特別な具体例では、ソースおよびドレインは、金属とシリサイドとの組み合わせである。
【0035】
本発明の具体例では、ソース(代わりにドレイ)領域として機能するヘテロ部分の長さは、10nmから500nmまでの範囲である。
【0036】
本発明の具体例では、チャネル領域の長さは、1nmから1000nmまでの範囲である。特別な具体例では、チャネル領域の長さは、1nmから100nmまでの範囲である。
【0037】
本発明の具体例では、ゲート誘電体の膜厚は、0.5nmから20nmまでの範囲である。
【0038】
本発明の具体例では、ドレイン(代わりにソース)領域およびソース(代わりにドレイン)領域として機能するヘテロ部分のドーピングレベルは、1018/ccから1021/ccの範囲である。特別な具体例では、ドレイン(代わりにソース)領域およびソース(代わりにドレイン)領域として機能するヘテロ部分のドーピングレベルは、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。
【0039】
本発明の具体例では、チャネル領域のドーピングレベルは、1016/ccまでのノンドープの範囲である。特別な具体例では、チャネル領域のドーピングレベルは、1014/ccまでのノンドープの範囲である。
【0040】
トンネル電界効果トランジスタ(TFET)装置の応用では、例えばナノワイヤのような細長い単結晶ナノ構造は、トンネル電界効果トランジスタの、チャネル領域およびソース/ドレイン領域を形成する。
【0041】
上述のそして他の、本発明の特徴、性質、および長所は、添付の図面を参照して、本発明の原理を例として表した、以下の詳細な記載より明らかになる。この記載は例としての意味を有し、発明の範囲を限定するものではない。引用される参照図は、添付された図面をいう。
【0042】
本発明は、特別な具体例について、所定の図面を参酌しながら記載されるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲により限定されるものである。記載された図面は概略であり、限定するものではない。図面において、図示目的で、いくつかの要素の大きさは拡張され、縮尺通りに記載されていない。寸法と相対寸法は、本発明の実施の実際の縮小には対応していない。
【0043】
更に、記載や請求の範囲中の、第1、第2、第3等の用語は、類似の要素の間で区別するために使用され、順位や時間的順序を表す必要はない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明の具体例は、ここに記載や図示されたものと異なる順序によっても操作できることを理解すべきである。
【0044】
また、記載や請求の範囲中の、上、下、上に、下に等の用語は、記載目的のために使用され、相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明は、ここに記載や図示されたものと異なる順序によっても操作できることを理解すべきである。
【0045】
特定のドーパントの型をこれ以降で引用するが、これは説明を容易にするために行われ、発明を限定することを意図するものではない。以下で示される例では、材料およびドーパントの型は、本発明を変更することなく、他の適当な材料やドーパントの型と置き換え可能である。
【0046】
また、請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されること排除するものであり、他の要素や工程を排除しない。存在を特定された特徴、整数、工程、または成分は、その通りに解釈されるべきであり、それ以外の他の特徴、整数、工程、または成分、またはそれらの組の存在や追加を排除するものではない。「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。本発明では、単にデバイスに関連した構成要素がAとBであることを意味する。
【0047】
本発明は、本発明の多くの詳細な具体例により述べられる。本発明の他の具体例は、本発明の精神や技術的教示から離れることなく当業者の知識に従って形成することが可能であり、本発明は添付した請求の範囲の文言により限定される。特に、本発明の幾つかの具体例はナノワイヤを参照に記載されるが、これは発明を限定するものではなく、ナノロッド、ナノチューブ、ナノウイスカーや、長軸を有する他の長い実質的に円筒または多角形の構造の例を含むことを意図する。
【0048】
本発明の少なくとも幾つかの具体例では、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)に存在する、あまりに低いオン電流の問題に関する。この問題を解決するために、TFETの本体部分とは異なった材料からなるヘテロ部分が導入される。このヘテロ部分はTFETのソース(又は代わりにドレイン)領域を置き換える。TFETの幾つかの具体例は、更にソースとドレイン領域の少なくとも1つを置き換えるようにヘテロ部分が導入され、TFETの主要部分の半導体材料に匹敵する他の半導体材料により形成されたTFETであることを特徴とする。TFETの主要部分やヘテロ部分に他の材料を使用することは、格子定数が異なることを意味する。例えば、もし非常に小さい量のGeを含むSiGeをヘテロ部分に使用した場合、格子定数はTFETに使用されるSiの格子定数とは異なるが、その違いは非常に小さく、過剰の量の転位を形成することなく、Siの上に成長さえることが可能である。チャネル領域とソース/ドレイン領域とヘテロ部分がナノワイヤで作製されたTFET装置は、この出願ではNW−TFETと呼ばれる。
【0049】
本発明の少なくとも幾つかの具体例は、半導体装置の製造に関し、更には半導体基板の上へのナノワイヤトンネル電界効果トランジスタ(NW−TFET)の形成に関する。NW−TFET構造は、第1半導体材料からなり、第1ドーピングレベルと第1ドーピング組成を有する第1ソース/ドレイン領域を含むナノワイヤとして記載される。NW−TFETは更に、ヘテロ部分と呼ばれる第2ソース/ドレイン領域を含み、ヘテロ部分は第2半導体材料からなり、第2ドーピングレベルと第2ドーピング組成を有する。本発明の具体例では、pドープ領域がナノワイヤの一端に配置され、nドープ領域がナノワイヤの他端に配置される。ヘテロ部分は第2半導体材料から形成され、ナノワイヤの第1半導体材料とは異なった格子定数を有し、これにより、NW−TFETは、ヘテロ部分を有しない半導体ナノワイヤからなるTFETと比較して改良された性能を有する。これは、サブスレッシュホールドの傾きがより急であり、これにより電力供給、さらには電力消費を減らすためである。
【0050】
本発明の第1の具体例では、半導体ナノワイヤを用いたNW−TFETが記載される。ナノワイヤを用いたTFETは従来から知られており(例えば、米国出願2005/0274992)、ここでは、ナノワイヤは、半導体材料により形成されたアンドープのチャネル領域により分離されたnドープ領域とpドープ領域を含む。しかしながら、従来技術には、ヘテロ部分がソース(またはドレイン)領域として働き、ヘテロ部分が、ナノワイヤの主要な半導体材料とは異なる格子定数を有するような装置を含まない。これは、少なくとも1eVのバンドギャップを有する半導体(例えばシリコン)中のトンネルバリアの大きな抵抗に関する典型的な欠点である、低いオン電流(International Technology Roadmap for Semiconductors ITRS roadmapの予想より小さな電流、低電力操作技術のために1mA/μmのオーダーのオン電流を現在予想する)の低減または除去が可能となる、特性改良を可能とする。
【0051】
図1に示され従来技術として記載される典型的なTFET(ナノ構造なし)は、実際はp−i−nダイオードであり、逆バイアスされて閉じられる。逆バイアスは、ダイオードをオフにする。しかしながら、十分に大きな逆バイアスが与えられた場合、量子力学トンネリングが、(pドープ部分の)価電子帯から(nドープ部分の)伝導体に、電子で発生し、この効果は通常ツェナーブレイクダウンと呼ばれる。これは図5Aに示され、図5Aには、バイアスのかからない、および逆バイアスのかかったp−i−nダイオードが記載されている。図5A中の矢印は、横切る必要のあるトンネルバリアを示す。TFETでは、トンネル効果が所望され、トランジスタのオン状態を表す。オン状態の電流量は、トンネルバリアの幅により限定される。バリアの幅は、トンネルバリアの両側に高ドープ領域がある場合に、最も小さくなる。これは、高ドープソース(又はドレイン)部分と、ソース(又はドレイン)に隣接したイントリンシック領域において大きなキャリア濃度を形成するゲート電圧を必要とする(トンネルバリア幅に基づくゲートバイアスの効果を示す図5B参照)。MOSFETを有するこの装置に比較した場合、少しの違いがあるが、多くは同じである。トンネルバリア幅は、更にバンドギャップの減少に伴って小さくなる。MOSFETは、pドープのソースおよびドレイン(p−MOSFET)、またはnドープのソースおよびドレイン(n−MOSFET)の双方を有し、一方、TFETは、pドープソースおよびnドープドレイン、またはその逆を有する。しかしながら、チャネルは双方の装置において低ドープであり、高移動度のチャネルを形成するためにゲート電圧が与えられる。それゆえに、もしチャネルバリアにかかわる抵抗が十分に小さくできれば、TFETのオン電流は原理的にMOSFETのオン電流に匹敵するようになる(通常、TFETのオン電流は、しかしながら、対応するMOSFETのオン電流より十分に小さい)。TFETのオフ電流は、一般には非常に小さく、これはトンネルバリアの存在による。従来のMOSFETでは、一方で、特にデバイスサイズの小型化において、ソースドレインリーク電流の原因となる短チャネル効果に悩まされる。
【0052】
本発明の幾つかの具体例のNW−TFETは、チャネルのトンネルバリアにヘテロ部分を導入することにより、低いオン電流の問題を解決し、緩和している。このヘテロ部分は、高ドープ材料から形成され、ナノワイヤに使用される材料、および/またはソース、ドレインおよびチャネル領域に使用される材料とは異なった親和力を有する材料、より小さなバンドギャップを有しても良い。
【0053】
本発明の幾つかの具体例のNW−TFETは、更に、少なくとも1つのナノワイヤを有するTFETとして特徴づけられる。このナノワイヤは、TFETのソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を含み、これにより、ソースおよびドレイン領域の一つがヘテロ領域であり、これにより、ヘテロ領域は、ナノワイヤの他の領域に使用された材料と異なった材料から形成される。特に、ヘテロ部分は、ナノワイヤのソース領域であり、またはソース領域として機能する。代わりに、ヘテロ部分は間もワイヤのドレイン領域であっても良い。
【0054】
本発明の幾つかの具体例のNW−TFET中のナノワイヤは、ナノワイヤの直径が1nmと500nmの間、ナノワイヤの長さが5nmと2μmの間の、半導体ナノワイヤとして特徴づけられる。特別な具体例では、ナノワイヤの直径は、2nmと200nmの間、ナノワイヤの長さは10nmと1μmの間である。
【0055】
本発明の具体例によれば、NW−TFETのソース領域は、n型NW−TFETの場合には高pドープの第1半導体材料からなり、又は代わりのp型NW−TFETの場合には、ソース領域は高nドープとなる。NW−TFETのドレイン領域は、n型NW−TFETの場合には高nドープの第2半導体材料からなり、又は代わりのp型NW−TFETの場合には、ソース領域は高nドープとなる。NW−TFETのドレイン領域はヘテロ部分から形成され、これは第2半導体材料からなり、これは、n型のNW−TFETの場合は高nドープである。代わりにp型のNW−TFETの場合には、ソース領域は高pドープである。本発明の具体例では、ソース領域と、ドレイン領域として機能するヘテロ接合のドーピングレベルは、1018/ccから1021/ccの範囲である。ソース領域と、ドレイン領域として機能するヘテロ接合のドーピングレベルは、例えば1019/ccから1020/ccの範囲であっても良い。このドーピングは、ナノワイヤの成長中に行われ(例えば、成長中に適当なドーピングガスを加えることで行われ)、またはナノワイヤの成長後に行われる。
【0056】
本発明の具体例では、NW−TFETのドレイン領域は、n型NW−TFETの場合には高nドープの第1半導体材料からなり、又は代わりにp型NW−TFETの場合には、ソース領域は高pドープとなる。NW−TFETのソース領域は、ヘテロ部分から形成され、これは第2半導体材料からなり、これは、n型のNW−TFETの場合は、高pドープである。代わりにp型のNW−TFETの場合、ソース領域は高nドープである。本発明の具体例では、ドレイン領域と、ソース領域として機能するヘテロ接合のドーピングレベルは、例えば1018/ccから1021/ccの範囲である。ドレイン領域と、ソース領域として機能するヘテロ接合のドーピングレベルは、例えば1019/ccから1020/ccの範囲であっても良い。このドーピングは、ナノワイヤの成長中に行われ(例えば、成長中に適当なドーピングガスを加えることで行われ)、またはナノワイヤの成長後に行われる。
【0057】
NW−TFETのチャネル領域は、ナノワイヤ中に形成され第1半導体材料から形成されても良い。NW−TFETのチャネル領域は、ソースとドレイン領域に間に設けられる。本発明の具体例では、チャネル領域のドーピングレベルは、1016/ccまでのアンドープの範囲である。チャネル領域のドーピングレベルは、例えば1014/ccまでのアンドープの範囲である。このドーピングは、ナノワイヤの成長中に行われ(例えば、成長中に適当なドーピングガスを加えることで行われ)、またはナノワイヤの成長後に行われる。
【0058】
ナノワイヤのソース/ドレイン領域およびチャネル領域の少なくとも1つを作製するのに使用される第1半導体材料は、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、第1半導体材料はシリコンである。
【0059】
チャネル領域の長さは、1nmから1000nmの範囲であり、例えば1nmから100nmの範囲である。
【0060】
ヘテロ部分は、第2半導体材料から形成されてもよく、第2半導体材料は、ナノワイヤの第1半導体材料とは異なった格子定数を有しても良い。第2半導体材料は、高ドープであり、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、第2半導体材料はSi1−xGe、ただしx>0.5である。
【0061】
代わりに、ヘテロ部分は、金属(Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびそれらの合金)、シリサイド、ゲルマナイド、TaNやTiNのような金属ナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのようなシリサイド金属、金属ゲルマナイド、およびそれらの合金また混合物でも良い。
【0062】
ヘテロ部分の長さは、10nmから500nmまでの範囲である。
【0063】
ナノワイヤのサイドウォール上に、特に、ナノワイヤのチャネル領域のサイドウォール上に、ゲート構造が配置される。ゲート構造は、ゲート酸化物(ゲート誘電体とも呼ばれる)およびゲート電極(ゲートコンタクトとも呼ばれる)を含む。ゲート酸化物はナノワイヤのチャネル領域に直接コンタクトを形成する。特に、ゲート酸化物は、チャネル領域の外部サイドウォールを健全におおう。そのような完全な被覆を確実にするために、ゲート酸化物は、高ドープのドレインおよびソース領域と小さなオーバーラップを形成することが望まれる。ゲート酸化物の上にはゲートコンタクトが堆積され、これによりゲートコンタクトはゲート酸化物の上部に配置されてゲート酸化物全体を覆うことが好ましい。ゲート酸化物とゲートコンタクトとを含むゲート構造は、上述のように、ゲート構造の周囲全体としても良い。
【0064】
ゲート酸化物は、シリコンベース酸化物(例えば二酸化シリコン、シリコン酸窒化物)、アルミニウム酸化物、high−k酸化物(酸化物、窒化酸化物)、Hf、Ta、Ti、Nb、V、Y、Zrのような遷移金属のシリケイトおよびナイトライドシリケイト、の少なくとも1つから選択しても良い。特別な具体例では、ゲート酸化物は、ハフニウム酸化物のようなhigh−k酸化物である。ゲート酸化物の膜厚は、0.5nmから20nmの範囲である。
【0065】
ゲートコンタクトは導電性材料からなり、多結晶シリコン、多結晶ゲルマニウム、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびその合金のような金属、TnNやTiNのような金属ナイトライド、TaSiNのような金属シリコンナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのおよびTiSiのようなフリーシリサイド材料(FUSI)、フリーゲルマナイド材料(FUGE)、仕事関数調整金属、特定のゲート仕事関数を得るための設計材料の少なくとも1つから選択されることが好ましい。特別な具体例では、T−FETの所望の閾値電圧を得るために、ゲートコンタクトは、選択されたナノワイヤ材料、ゲート酸化物材料、およびゲート酸化物膜厚(第1および第2半導体材料)のために仕事関数が設計された材料から形成される。
【0066】
NW−TFETは、更に、ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上に電気コンタクトを含む(ここでは、ソースまたはドレイン領域の1つがヘテロ部分)。ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上の電気コンタクトはコンタクト材料であり、シリサイド含有構造(NiSi、CoSi、TiSi等)、ゲルマナイド含有構造、金属含有構造、多結晶シリコン、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される導電性材料である。特別な具体例では、ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上の電気コンタクトは、金属とシリサイドとの組み合わせである。
【0067】
集積回路では、本発明のナノワイヤトンネル電界効果トランジスタは、n型トランジスタ装置またはp型トランジスタ装置の双方に使用できる。
【0068】
図2は、本発明の具体例にかかるNW−TFET構造の断面図であり、図3は、本発明の具体例にかかるNW−TFET構造の正面図である。
【0069】
示した具体例では、ヘテロ部分9が、ゲート構造7、8により部分的に覆われ、ヘテロ部分の長さに応じてゲート構造7、8の外部も部分的に覆われても良い。
【0070】
本発明の第2の形態では、ナノワイヤトンネル電界効果トランジスタの製造方法が提供される。これ以降、本発明の具体例にかかる方法は、具体例にかかる装置、即ち、図2(断面図)および図3(正面図)に示すような、少なくとも1つの垂直ナノワイヤを含むn型のNW−TFETとして示される。これは本発明を限定するものではなく、この方法は少なくとも1つの垂直ナノワイヤを含むp型のNW−TFETの作製にも適用できることを理解すべきである。
【0071】
処理方法の具体例は、図4のフローチャート100に模式的に示され、以下で述べられる。しかしながら、これは、本発明にかかる好適な装置の製造方法の単なる例示であり、これ以降で示す処理工程の順序は、本発明をこれに限定するものではないことを理解すべきである。
【0072】
第1工程110では、基板1が提供される。基板1はシリコン基板やシリコンオンインシュレータ(SOI)基板のような半導体基板であることが好ましいが、例えばガラス、セラミック等の多の好適な基板を使用しても構わない。必要であれば、触媒を基板(111)の上に堆積させてもよく、触媒粒子の必要性は、ナノワイヤを作製するのに使用する技術に依存する。
【0073】
次の工程112では、例えばVLS(気相液相成長)の手段によりナノワイヤを成長させるが、当業者に知られた他の適当な技術を、本発明にかかるナノワイヤの形成に使用しても構わない。例えば、ナノワイヤは、CVD(化学気相成長)、MOCVD(金属有機化学気相成長)、又はPECVD(プラズマ有機化学気相成長)等の技術を用いて成長させてもよい。代わりに、PLD(パルスレーザデポジション)、ECD(電気化学デポジション)、電子ビーム、またはMBE(分子線エピタキシ)等がナノワイヤの成長に使用されても良い。
【0074】
ナノワイヤの成長中に、異なった領域に、ナノワイヤのドレイン領域、チャネル領域、およびソース領域を作製する必要がある。ナノワイヤの異なった領域は、成長工程中にドープされ、n型領域またはp型領域が得られる。代わりに、ナノワイヤのドーピングは、追加のドーピング工程の手段により、ナノワイヤの成長後に行われても良い。例えばソース領域/ドレイン領域のような1つの特定の領域のドーピングは、特別な具体例では均一であるが、ドーピングプロファイルは不均一であっても良い。
【0075】
ナノワイヤの成長中に、最初にドレイン領域3(又は、代わりにソース領域)が形成される必要がある。ドレイン領域3は第1半導体材料からなり、これは第1導電型のドーパントで高ドープされている。例えば、n型のNW−TFETの場合はnドープであり、代わりにp型のNW−TFETの場合は、ドレイン領域は高pドープである。ソース領域のドーピングレベルは、1018/ccから1021/ccの範囲であっても良い。ソース領域のドーピングレベルは、例えば、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。
【0076】
続いて、NW−TFETのチャネル領域が、ナノワイヤ中に形成される。チャネル領域は、好適には第1半導体材料から形成されるが、他の好適な/交換可能な材料を用いても構わない。チャネル領域のドーピングレベルは、1016/ccまでのノンドープの範囲であっても良い。チャネル領域のドーピングレベルは、例えば、1014/ccまでのノンドープの範囲である。
【0077】
次に、ヘテロ部分9がチャネル領域4の上に形成され、ヘテロ部分はNW−TFETのソース領域(又は、代わりにドレイン領域として)として機能する。ヘテロ部分9は第2半導体材料から形成され、ナノワイヤの主体部分を形成するのに使用される第1半導体材料と異なった格子定数を有する。第2半導体材料は第2導電型により高ドープされている。第2導電型材料は、Si、Ge、Cおよびその2元系化合物のようなIV族材料、In、Ga、As、Sb、Al、P、B、N、およびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなIII/V族材料、またはCd、Zn、S、Se、Te、Oおよびその2元系、3元系、および4元系化合物のようなII/VI族材料、の少なくとも1つから選択される。特別な具体例では、第2半導体材料はSi1−xGe、ただしx>0.5である。ヘテロ部分のドーピングレベルは、ヘテロ部分がソース領域(又は代わりにドレイン領域)として機能するように形成され、好適には1018/ccから1021/ccの範囲である。ソース領域のドーピングレベルは、より好適には、例えば、1019/ccから5×1020/ccの範囲である。
【0078】
代わりに、ヘテロ部分は、金属(Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびそれらの合金)、シリサイド、ゲルマナイド、TaNやTiNのような金属ナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのようなシリサイド金属、金属ゲルマナイド、およびそれらの合金また混合物でも良い。
【0079】
次の工程113では、ゲート酸化物がナノワイヤのサイドウォールの上に形成される必要がある。更には、ナノワイヤのチャネル領域のサイドウォール上に形成される必要がある。ゲート構造は、ゲート酸化物8(ゲート誘電体とも呼ばれる)を含む。第1にゲート酸化物8が形成され、ナノワイヤ113のチャネル領域4の上に直接堆積される。ゲート酸化膜8はチャネル領域4の外部サイドウォールを完全に覆う。チャネル領域を完全に覆うために、高ドープのドレインおよびソース領域にゲート酸化物を少し重ねることが望まれる。ゲート酸化物は、犠牲層の手段でナノワイヤの一部(例えばチャネル領域)に限定しても良い。犠牲層は、酸化物の堆積前にエッチング除去される(これは、例えば、ナノワイヤ成長後にウエハ上に他の材料が堆積され、ナノワイヤが他の材料中に埋め込まれることを含む)。これは、犠牲層がナノワイヤのチャネル領域に合うように行われるべきである。犠牲層の除去後に、酸化膜のような誘電体が、ナノワイヤのチャネル領域上に堆積されても良い。
【0080】
次の工程で、集積されたドレインコンタクトがナノワイヤの底面に形成され、ドレイン領域3とコンタクトされる。
【0081】
ゲートコンタクト(電極)がゲート誘電体114の上に形成され、ゲートコンタクトがゲート誘電体、例えばゲート酸化膜の上に堆積され、ゲート酸化膜の全体を覆う。
【0082】
ゲート誘電体は、シリコンベース酸化物(例えば二酸化シリコン、シリコン酸窒化物)、アルミニウム酸化物、high−k酸化物(酸化物、窒化酸化物)、Hf、Ta、Ti、Nb、V、Y、Zrのような遷移金属のシリケイドおよびナイトライドシリケイド、の少なくとも1つから選択しても良い。特別な具体例では、ゲート酸化物は、ハフニウム酸化物のようなhigh−k酸化物である。ゲート酸化物の膜厚は、0.5nmから20nmの範囲である。
【0083】
ゲートコンタクトは導電性材料からなり、多結晶シリコン、多結晶ゲルマニウム、Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびその合金のような金属、TnNやTiNのような金属ナイトライド、TaSiNのような金属シリコンナイトライド、RuOやReOのような導電性酸化物、CoSi、NiSiのおよびTiSiのようなフリーシリサイド材料(FUSI)、フリーゲルマナイド材料(FUGE)、仕事関数調整金属、特定のゲート仕事関数を得るための設計材料の少なくとも1つから選択されることが好ましい。特別な具体例では、ゲートコンタクトは、選択されたナノワイヤ材料、ゲート酸化物材料、およびゲート酸化物膜厚のために仕事関数が設計された材料から形成される。
【0084】
最後115に、電気コンタクトが、ナノワイヤの上に配置された(ソース領域として機能する)ヘテロ部分の上に形成される。電気コンタクトは、シリサイド含有構造(NiSi、CoSi、TiSi等)、ゲルマナイド含有構造、金属含有構造、多結晶シリコン、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される導電性材料である。特別な具体例では、ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上の電気コンタクトは、金属とシリサイドとの組み合わせである。
【0085】
成長中にナノワイヤのドープしない場合、追加のドーピング工程が特徴となる。例えば、ドーパント要素の注入に続いて、例えばアニールによりドーパント要素が活性化され、ナノワイヤのn型およびp型領域が得られる。代わりに、ナノワイヤ領域(図示せず)の上にドーパント層とも呼ばれるドーパント要素を含む層が堆積され、またはドーパント金属が例えば電気化学デポジションで選択的に堆積されても良い。アニール工程は、ドーパントをナノワイヤ領域に取り込むために適用され、これによりn型またはp型領域となる。
【0086】
NW−TFETを得るための全ての処理手順は、例えばn型NW−TFETのために図2に例示され、既に先の工程で述べたように、存在するNW−TFET構造の上に第2のNW−TFET構造を作製するために、ドレインコンタクトの上から繰り返しても良い。第1のNW−TFET構造がn型のNW−TFET構造の場合、例えば第2の構造は、p型のNW−TFET構造であっても良い。
【実施例】
【0087】
例1:高pドープGeヘテロ部分を有する(シリコン)n型NW−TFETに対する電子親和力の影響を示す、デバイスシミュレータMEDICIによりシミュレーション
【0088】
デバイスシミュレータ「MEDICI」を用いてシミュレーションが行われ、高pドープGeヘテロ部分を有する(シリコン)n型NW−TFETに対する電子親和力の影響が示される。シミュレーションに使用されたNW−TFETが図7Aに示される。NW−TFET構造は2次元であり、ダブルゲート24を有する、中央部分の高さ(酸化物の間)は100nmであり、酸化ハフニウム23の高さは4nmである。ソース領域を形成する高pドープヘテロ部分25の幅は30nmであり、チャネル領域21の幅は60nmであり、高nドープドレイン22部分の幅は30nmである。ヘテロ部分25は、SiGe又はGeからなる。MEDICIにおけるSiGeの定義は、Geのバンドギャップを有するが、Siの電子親和力を有する人工材料である。シミュレーションに使用されるNW−TFET中のドーピング濃度とドーパントタイプを、表1に示す
【0089】
【表1】

シミュレーションに使用されるNW−TFET中のドーピング濃度とドーパントタイプ
【0090】
図6Aに示すNW−TFET構造の電気的特性は、図6Bに示される。Geカーブは右にシフトし、SiGeカーブと同じゲート電圧(Vgs=0V)でトンネリングの兆候が始まる。双方のカーブの良好な比較が可能である。Geヘテロ部分を有するNW−TFETでは、SiGeを有するNW−TFETより高いオン電流と急峻なサブシュレッシュホールドの傾きが得られる。これは、ヘテロ部分のソース領域のGeの電子親和力が、チャネル領域中のSiの電子親和力より小さいために、トンネルバリアの幅が減少するが、一方でSiGeに対しては、電子親和力はSiと同じであるという事実による。図6Bのシミュレーションは、それゆえに、材料のバンドギャップのみが重要ではなく、電子親和力も重要であることを示す。シミュレーションは、更に、n型のNW−TFETのソース領域の一部を形成するpドープヘテロ部分の場合、例えば、ヘテロ部分の電子親和力は、ナノワイヤの主要部分の電子親和力より小さいことを示す。
【0091】
例2:高nドープヘテロ部分を有する(シリコン)p型NW−TFETに対する電子親和力の影響を示す、デバイスシミュレータMEDICIによりシミュレーション
【0092】
デバイスシミュレータ「MEDICI」を用いてシミュレーションが行われ、高nドープヘテロ部分を有する(シリコン)p型NW−TFETに対する電子親和力の影響が示される。シミュレーションに使用されたNW−TFETが図7Aに示される。NW−TFET構造は、2次元であり、ダブルゲート24を有する、中央部分の高さ(酸化物の間)は100nmであり、ハフニウムゲート23の酸化物の高さは4nmである。高pドープソース領域20の幅は30nmであり、チャネル領域21の幅は100nmであり、ドレイン領域を形成する高nドープヘテロ部分25の幅は30nmである。ヘテロ部分25は、Si又は人工材料Xのいずれかからなる。人工材料Xは、大きな電子親和力(Eaff,X=4.69eV、正しい値Eaff,Si=4.17eVに代えて)を除いてSiの全ての特性を有する。シミュレーションに使用されるNW−TFETのドーピング濃度とドーピングタイプを、表2に示す。
【0093】
【表2】

シミュレーションに使用されるNW−TFET中のドーピング濃度とドーパントタイプ
【0094】
図7Aに示すNW−TFET構造の電気的特性は、図7Bに示される。人工Xヘテロ部分を有するNW−TFETでは、全てSiのNW−TFETに比べて、より高いオン電流と急峻なサブシュレッシュホールドの傾きが得られる。これは、ヘテロ部分のドレイン領域の人工材料Xの電子親和力が、チャネル領域中のSiの電子親和力より大きいために、トンネルバリアの幅が減少するという事実による。図7Bのシミュレーションは、それゆえに、ヘテロ部分の材料のバンドギャップがナノワイヤの主要部分のバンドギャップと同じである場合でも、NW−TFETのオン電流は、適当な電子親和力を有するヘテロ部分を有することにより改良されることを示す。シミュレーションは、更に、p型のNW−TFETのドレイン領域の一部を形成するnドープヘテロ部分の場合、例えばヘテロ部分の電子親和力は、ナノワイヤの主要部分の電子親和力より大きいことを示す。
【0095】
上述のように、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)は、金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)の後継者と考えられるが、シリコンベースのTFETは一般に低いオン電圧、トンネルバリアの大きな抵抗による欠点が問題となる。より高いオン電流を得るために、ソース(ドレイン)領域として機能するゲルマニウム(Ge)ヘテロ部分を有するTFETが使用される。ヘテロ部分(9)を有するナノワイヤベース構造が導入され、シリコンとゲルマニウムの間の格子不整合が、高い不完全な界面とならないようになった。静的な電力の低減と同様に動的な電力の低減が、従来のMOSFET形状に匹敵する結果となる。ナノワイヤSi/GeTFETによる超高密度オンチップトランジスタを用いた、多層の論理が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
例示的な具体例が、図面を参照図に記載されている。ここで示される具体例と図面は、限定ではなく、例示であることを意図する。
【0097】
【図1】TFETの概略図(従来技術)を示す。
【図2】本発明の具体例にかかるNW−TFETの断面図を示す。
【図3】本発明の具体例にかかるNW−TFETの正面図を示す。
【図4】本発明にかかるNW−TFETの製造方法のフローのダイアグラムを示す。
【図5A】ソースドレインバイアスを加えない場合および加えた場合(ゲートバイアス無し)の、図1(従来技術)に示すTFETの典型的なバンドダイアグラムを示す。矢印は、横切る必要のあるトンネルバリアを示す。
【図5B】ゲートバイアスを加えない場合および加えた場合(ソースドレインバイアス無し)の、図1(従来技術)に示すTFETの典型的なバンドダイアグラムを示す。矢印は、横切る必要のあるトンネルバリアを示す。
【図6A】図6Bのシミュレーションに使用するTFET構造を示す。この構造は、2次元であり、ダブルゲートを有する。中央部分のゲート高さ(酸化物の間)は100nmであり、酸化ハフニウムの高さは4nmである。高いpドープヘテロ部分の幅は30nmであり、チャネル部分の幅は100nmであり、高いnドープ部分の幅は30nmである。ヘテロ部分、SiGe又はGeのいずれかから形成される。
【図6B】SiGeヘテロ部分およびはGeヘテロ部分を有する図6Aに示すTFET構造のための、ゲート電圧Vgateの関数としてのソースドレイン電流Idsを示す。全てのカーブに対して電圧Vds=1である。
【図7A】図7Bのシミュレーションに使用するTFET構造を示す。この構造は、2次元であり、ダブルゲートを有する。中央部分のゲート高さ(酸化物の間)は60nmであり、酸化ハフニウムの高さは4nmである。高いpドープヘテロ部分の幅は30nmであり、チャネル部分の幅は100nmであり、高いnドープ部分の幅は30nmである。ヘテロ部分、Si、又はSiの全ての特徴とナノワイヤ材料の残余に非アックして高い電子親和力を有する人工材料Xから形成される。
【図7B】Siヘテロ部分と、ナノワイヤ材料の残りより大きな電子親和力を有する人工材料Xからなるヘテロ部分を有する図7Aに示すTFET構造のための、ゲート電圧Vgateの関数としてのソースドレイン電流Idsを示す。全てのカーブに対して電圧Vds=1である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの細長い単結晶ナノ構造(NW−TFET)を含み、細長い単結晶ナノ構造は、第1半導体材料からなる第1部分と、第1半導体材料とは異なった格子定数を有する第2半導体材料からなる第2部分とを有するトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置であって、
NW−TFETのソース及びドレイン領域(3)の少なくとも1つが第1部分に配置され、第1導電型に高ドープされ、
NW−TFETのソース及びドレイン領域の少なくとも1つが第2部分(ヘテロ部分(9)とよばれる)に配置され、第2導電型に高ドープされ、
第1半導体材料のチャネル領域(4)が、第1導電型または第2導電型に低ドープされて、ソースとドレイン領域の間に配置され、
細長い単結晶ナノ構造のチャネル領域上にゲート構造が配置され、ゲート構造は、ゲート誘電体(8)と、そのゲート誘電体の上に配置されたゲートコンタクト(7)を含む、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項2】
ゲート構造が、細長い単結晶ナノ構造のチャネル領域を完全に覆う請求項1に記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項3】
更に、ソース領域とドレイン領域のそれぞれの上に電気的コンタクト(2、6)を含む請求項1または2に記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項4】
第1半導体材料は、IV族材料およびその2元系化合物、III/V族材料およびその2元系、3元系、および4元系化合物、またはII/VI族材料およびその2元系、3元系、および4元系化合物、の少なくとも1つから選択される請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項5】
第1半導体材料が、シリコンを含む請求項1〜4のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項6】
ヘテロ部分が、細長い単結晶ナノ構造の第1半導体材料とは格子定数が異なる第2半導体材料からなる請求項1〜5のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項7】
第2半導体材料は、IV族材料およびその2元系化合物、III/V族材料およびその2元系、3元系、および4元系化合物、またはII/VI族材料およびその2元系、3元系、および4元系化合物、の少なくとも1つから選択される請求項1〜6いずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項8】
第2半導体材料は、ゲルマニウムまたはSi1−xGe(x>0.5)を含む請求項1〜7のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項9】
第2半導体材料は、第1半導体材料より小さなバンドギャップを有する請求項1〜8のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項10】
第2半導体材料は、第1半導体材料とは異なった電子親和力を有する請求項1〜9のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項11】
第2半導体材料は、その導電型がp型の場合に、第1半導体材料より小さな電子親和力を有し、第2半導体材料は、その導電型がn型の場合に、第1半導体材料より大きな電子親和力を有する請求項1〜10のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項12】
ヘテロ部分は、金属(Al、W、Ta、Ti、Ru、Pd、Rh、Re、Pt、およびそれらの合金)、シリサイド、ゲルマナイド、金属ナイトライド、導電性酸化物、シリサイド金属、金属ゲルマナイド、およびそれらの合金また混合物の少なくとも1つから選択される請求項1〜5のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項13】
少なくとも1つの細長いナノ構造の直径は、10nmと500nmの間である請求項1〜12のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項14】
少なくとも1つの細長いナノ構造の長さは、5nmと2μmの間、好適には10nmと1μmの間である請求項1〜13のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項15】
ゲート誘電体は、シリコンベース酸化物、アルミニウム酸化物、high−k酸化物、遷移金属のシリケイトおよびナイトライドシリケイトの少なくとも1つから選択される請求項1〜14のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項16】
ゲート誘電体は、ハフニウム酸化物である請求項15に記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項17】
ゲートコンタクトは導電性材料からなり、多結晶シリコン、多結晶ゲルマニウム、金属または金属合金、金属ナイトライド、金属シリコンナイトライド、導電性酸化物、フリーシリサイド材料、フリーゲルマナイド、仕事関数調整金属、特定のゲート仕事関数を得るための設計材料の少なくとも1つから選択される請求項1〜16のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項18】
ゲートコンタクトは、特に第1および第2半導体材料、ゲート誘電体、およびゲート誘電体膜厚のために仕事関数が設計された金属からなる請求項1〜17のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項19】
ヘテロ部分およびソース領域(ドレイン領域)のそれぞれの上の電気的コンタクトは、シリケイト含有構造、ゲルマナイド含有構造、金属含有構造、多結晶シリコン、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される導電性材料である請求項1〜18のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項20】
ヘテロ部分およびソース領域(ドレイン領域)のそれぞれの上の電気的コンタクトは、金属とシリサイドの組み合わせである請求項1〜19のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項21】
チャネル領域の長さは、1nmから1000nmの範囲、好適には1nmから100nmの範囲である請求項1〜20のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項22】
ゲート誘電体の膜厚は、0.5nmから20nmの範囲である請求項1〜21のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項23】
ヘテロ部分およびソース領域(ドレイン領域)のドーピングレベルは、1018/ccから1021/ccの範囲、好適には1019/ccから5×1020/ccの範囲である請求項1〜22のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項24】
ヘテロ部分およびソース領域(ドレイン領域)のドーピングレベルは、1018/ccから1021/ccの範囲、好適には1019/ccから5×1020/ccの範囲である請求項1〜23のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項25】
チャネル領域のドーピングレベルは、1016/ccドーピングまでのノンドープの範囲、好適には1014/ccドーピングまでのノンドープの範囲である請求項1〜24のいずれかに記載のトンネル電界効果トランジスタ(TFET)半導体装置。
【請求項26】
細長い単結晶ナノ構造トンネル電界効果トランジスタ(NW−TFET)の製造方法であって、
平面に横たわる基板を準備する工程と、
基板の上に触媒を選択的に提供する工程と、
例えばナノワイヤ構造のような、細長い単結晶ナノ構造を成長させる工程であって、細長い単結晶ナノ構造は、第1半導体材料からなる集積されたドレイン(代わりにソース)領域およびチャネル領域と、第1半導体材料とは異なった格子定数を有する第2半導体材料からなるヘテロ部分とを有し、ヘテロ部分はソース(代わりにドレイン)領域として機能する細長い単結晶ナノ構造を成長させる工程と、
ドレイン(代わりにソース)領域、チャネル領域、およびヘテロ部分を、所望のドーピングレベルとドーパントタイプに、選択的にドーピングする工程と、
細長い単結晶ナノ構造のドレイン領域に、(集積された)ドレインコンタクトを形成する工程と、
細長い単結晶ナノ構造のサイドウォール上に、例えばゲート酸化物のようなゲート誘電体を堆積する工程と、
ゲート誘電体の上に、ゲートコンタクトを堆積する工程と、
細長い単結晶ナノ構造のヘテロ部分の上に、ソース(代わりにドレイン)コンタクトを形成する工程と、を含む製造方法。
【請求項27】
基板は、Siウエハである請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
基板(1)の上にソースコンタクト(2)を形成した後に、触媒を堆積する請求項26または27に記載の製造方法。
【請求項29】
請求項1〜23のいずれかに記載の細長い単結晶ナノ構造のトンネル電界効果トランジスタ(NW−TFET)半導体装置を作製するための、請求項26〜28に記載の製造方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2008−103702(P2008−103702A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−241505(P2007−241505)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U. Leuven Research & Development
【Fターム(参考)】