説明

モノリシック集積型エンハンスメントモードおよびデプリーションモードFETおよびその製造方法

【課題】 製造コストを低減し品質の均一性および安定性を高めたモノリシック集積型エンハンスメントモード/デプリーションモードFETデバイスを提供する。
【解決手段】 単一の半導体多層構造でデプリーションモード(Dモード)FETをエンハンスメントモード(Eモード)FETとモノリシックに集積回路化する。上記多層構造にはチャネル層を設け、その上に障壁層をオーバーレイし、さらにその上にオームコンタクト層をオーバーレイする。これらDモードFETおよびEモードFETのソースコンタクトおよびドレーンコンタクトをオームコンタクト層に接続する。またDモードFETおよびEモードFETのゲートコンタクトを障壁層に接続する。障壁層の中のEモードゲートコンタクトの下に非晶質化領域を設ける。この非晶質化領域が障壁層との間の埋込みEモードSchottkyコンタクトを構成する。代わりに実施例ではDモードFETのゲートコンタクトを障壁層にオーバーレイした第1の層に接続し、その第1の層の中にDモード非晶質化領域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は集積回路の分野の発明であり、より詳しくいうと電界効果トランジスタ(FET)を伴う発明である。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタ、すなわちFETとして知られる半導体トランジスタは三つの端子、すなわち(1)ソース、(2)ドレーンおよび(3)ゲートの三つの端子を有する。閾値電圧をゲートに印加すると、そのゲートの下の「ゲート領域」と呼ばれる領域で「電界効果」が生ずる。この効果は、上記ゲート領域における電荷の飽和または電荷の枯渇の形をとる。いずれの形になるかはゲート領域の拡散不純物の導電型およびゲート電圧の極性で定まる。電荷の飽和または枯渇により、ゲートの下に、ソースとドレーンとを電気的に接続するチャネルが形成される。ドレーン領域をある電圧にバイアスし、ソース領域をドレーン領域に対して接地電位点に接続するとチャネルが形成され、ドレーン領域とソース領域との間のチャネルを通じて電流が流れる。
【0003】
多様な種類のFETの中にエンハンスメントモード(Eモード)トランジスタとデプリーションモード(Dモード)トランジスタとがある。Eモードトランジスタはゲート電圧が零または負極性の場合に非導通となる。したがって、Eモードトランジスタは「常時オフ」型トランジスタの種類に入る。Eモードトランジスタは、ゲート電圧をソース電圧に対して正極性にすることによって、導通状態になる。これに対して、Dモードトランジスタでは、ドレーン領域をある電圧にバイアスし、ソース領域をそのドレーン領域に対して接地電位点に接続すると、ゲート電圧が零であっても導通が起こる。したがって、Dモードトランジスタは「常時オン」型トランジスタの種類に入る。Dモードトランジスタは、ソース電圧に対してゲート電圧を負極性にすることによって非導通となる。
【0004】
高周波用に有用な種類のFETとして、高電子移動度トランジスタ(HEMT)が挙げられる。HEMTデバイスはエンハンスメントモードデバイスとしてもデプリーションモードデバイスとしても形成でき、ガリウム砒素(GaAs)、インジウム燐(InP)などIII−V属材料で形成されることが多い。
【0005】
概括的にいうと、HEMTデバイスは、障壁層をオーバーレイしたスペーサ層で覆ったチャネル層を備える。そのスペーサ層および障壁層はバンドギャップの広い半導体材料で形成する。一方、チャネル層はバンドギャップの狭い材料で形成する。これら互いに異なる半導体材料の間の接合、すなわちヘテロ接合における伝導帯不連続のために、電子は障壁層からチャネル層にトランジスタの動作中に注入される。これらの電子の動きは、障壁層の比較的広いバンドギャップのために、ヘテロ接合の面と平行な面の中に制限される。これらの電子の動きはHEMTデバイスのチャネル層の中の方が通常のFETのチャネル層の中よりも容易に行われる。したがって、HEMTデバイスは高速度で低雑音レベルで動作できる。
【0006】
特定の用途では、直接接続FET論理デバイスなど単一の集積回路にDモードトランジスタとEモードトランジスタとをモノリシックに形成するのが望ましい。図1は、多層構造でEモードトランジスタ3とモノリシックに集積したDモードトランジスタ2を含む慣用のモノリシック集積回路型Dモード/Eモードトランジスタ1を示す。この特定の例では、Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ3はいずれも不正形高電子移動度トランジスタ(pHEMT)として周知のHEMTである。図示を容易にするためにDモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ3を互いに横に隣接配置した形で図示してあるが、これらDモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ3は集積回路中の互いに異なる領域に互いに離して配置することもできる。
【0007】
多層構造5は未拡散GaAsで構成した半導体基板12を備える。半導体基板12の上に、バッファ層14,チャネルおよびスペーサ層16,Eモード障壁層18,Eモードエッチストップ層20,Dモード障壁層22,Dモードエッチストップ層24,幅広窪み遷移層26,およびオームコンタクト層28などの多様なエピタキシャル層を形成する。なお、二つの障壁層と二つのエッチストップ層とが設けてあることに注意されたい。
【0008】
Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ3の各々は、オームコンタクト層28の上側表面に金属のソースコンタクト38と金属のドレーンコンタクト40とを備える。また、これらトランジスタの各々は、打込みイオンの中空カラムの中に電気的に分離されており、図ではトランジスタ2および3を取り囲む分離層6として示してある。トランジスタ2および3の各々の周りの分離領域6の側壁はオーム接触層28の上側表面からバッファ層14を貫通して下向きに延びている。
【0009】
トランジスタ2および3の両方のソース端子とドレーン端子との間には、それらトランジスタ2および3の金属ゲートコンタクトがある。これら金属ゲートコンタクト30および34は、オームコンタクト層90の上面から多層基板5の中の方に向かって延びるDモードゲート凹み32およびEモードゲート凹み36の中にそれぞれ設けてある。これらDモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト34は、オームコンタクト層90よりも垂直方向に低い位置で多層構造5の内側半導体層の互いに異なる一つにそれぞれ接続してある。
【0010】
より詳細に述べると、Dモードトランジスタ2のDモードゲートコンタクト30はDモードゲート凹み32の中でDモード障壁層22の上側表面に接続する。Dモードゲート凹み32の半導体側壁33は、オームコンタクト28の上側表面からDモード障壁層22に向かって内向きにテーパ状になっている。また、側壁33は、凹み遷移層26の上側表面で広い棚状部46を形成するように、階段状になっている。この棚状部46はDモードトランジスタ2の降伏電圧を高めるためのものである。
【0011】
同様に、Eモードトランジスタ3の金属ゲートコンタクト34はEモードゲート凹み36の中のEモード障壁層18の上側表面に接続してある。Eモードゲート凹み36の半導体側壁37もオームコンタクト28の上側表面からDモード障壁層22に受かって内向きにテーパを形成する。また、側壁37も、凹み遷移層26の上側表面で広い棚状部46を形成するように、階段状になっている。この棚状部46はEモードトランジスタ3の降伏電圧を高めるためのものである。
【0012】
図1に示すとおり、Eモードゲート凹み36およびEモードゲートコンタクト34は、Dモードゲート凹み32およびDモードゲートコンタクト30よりも垂直方向に深く延びている。すなわち、Eモードゲートコンタクト34の接続先のEモード障壁層28がDモード障壁層22およびEモードエッチストップ層20よりも下で接続されているからである。
【0013】
階段状のDモードゲート凹み32を形成するためには、複数のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程、すなわち(1)第1のフォトレジスタマスクを通じてオームコンタクト層28をエッチングし幅広凹み遷移層26でエッチングを止める第1の選択的エッチング工程、(2)第2のフォトレジストマスクを通じて凹み遷移層26をエッチングしDモードエッチストップ層24でエッチングを止める第2の選択的エッチング工程、および(3)Dモードエッチストップ層24を第2のフォトレジストマスクを通じてエッチングしDモード障壁層22でエッチングを止める第3の選択的エッチング工程を含む複数のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程が必要である。
【0014】
同様に、Eモードゲート凹み36を形成するには、(1)オームコンタクト層28を第1のフォトレジストマスクを通じてエッチングし幅広凹み遷移層26でエッチングを止める第1の選択的エッチング工程、(2)幅広凹み遷移層26を第2のフォトレジストマスクを通じてエッチングしDモードエッチストップ層24でエッチングを止める第2の選択的エッチング工程、(3)Dモードエッチストップ層24を上記第2のフォトレジストマスクを通じてエッチングしDモード障壁層22でエッチングを止める第3の選択的エッチング工程、(4)Dモード障壁層22を上記第2のフォトレジストマスクを通じてエッチングし、Eモードエッチストップ層20でエッチングを止める第4の選択的エッチング工程、および(5)Eモードエッチストップ層20を第2のフォトレジスト層を通じてエッチングし、Eモード障壁層18でエッチングを止める第5の選択的エッチング工程を含む複数のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程が必要である。
【0015】
Dモードトランジスタ2のゲートコンタクト30およびEモードトランジスタ3のゲートコンタクト34はそれぞれ同じ構成を備え、いくつかの金属層、すなわち、(1)障壁層22および18の表面とそれぞれ接触したチタン(Ti)の薄い第1の層、(2)そのTi層の上に設けた白金(Pt)の薄い第2層、および(3)そのPt層の上に設けた比較的厚い金(Au)の層を含むいくつかの金属層から成る。ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40もいくつかの金属層、すなわち(1)オームコンタクト層28の上側表面と接触させてある金(Au)の第1層、(2)その金の層の上に設けたニッケル(Ni)の第2層、(3)そのNi層の上に設けたゲルマニウム(Ge)の第3層およびGe層の上の金の第4層を含むいくつかの金属層で形成する。
【0016】
Dモードゲート凹み32およびEモードゲート凹み36は、通常は金属ゲートコンタクト30および34の周りの誘電体で充填する。その誘電体は二酸化シリコンまたは窒化シリコンで構成できる。金属インターコネクトをゲートコンタクト30および34,ソースコンタクト38,およびドレーンコンタクト40に接続して、Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ3を完全な形にする。
【0017】
図1に示した慣用のモノリシック集積型Eモード/Dモードトランジスタにはいくつかの問題がある。まず、多層構造5は、二つのエッチストップ層20および24,並びに二つの障壁層18および22など複数の半導体層を含む。これら層の数が多いほど、多層構造5の製造コストおよび複雑さは高まる。トランジスタ製造プロセスに余分のコストがかかりプロセスもそれだけ複雑になる。例えば、図1のEモードゲート凹み36の形成プロセスには少なくとも五つの選択的エッチング工程を伴う。
【0018】
また、Eモードトランジスタ3の製造に必要なEモードエッチストップ層20はDモードトランジスタ2のDモードゲートコンタクト30および障壁層22の下にある。多層構造5の種々のエピタキシャル層の厚さに関する製造時の許容誤差はエピタキシャル成長装置では5%に達するので、Dモードトランジスタ2の下の多層構造5の構成にばらつきが生ずる。しかし、Eモードエッチストップ層20の位置のばらつきは、Dモードトランジスタ2の性能がウェーハごとにばらつくという結果を招来する。さらに、Dモードゲートコンタクト30の下にEモードエッチストップ24が位置するために、界面欠陥、界面凹凸、不均一性、伝導帯および価電子帯のオフセット、材料抵抗率のばらつきなどの不都合な状態が生ずる。このような状態が生ずる結果、Dモードトランジスタ2の性能は低下する。
【0019】
慣用の構造ではEモードトランジスタ3の性能は損なわれる。例えば、Dモード障壁層22を通じたエッチング工程でエッチングがEモードエッチストップ層20まで確実に届くようにするためにある程度のオーバーエッチングが必要になる。そのオーバーエッチングの段階では、垂直方向のエッチングは、Eモードエッチストップ層20に対するエッチャントの選択性のために、緩やかに進行する。一方、Dモード障壁層22を通じた横方向のエッチングは弱められることなく進行する。その結果、Eモードエッチストップ層20の露出表面における部分的に完成したEモードゲート凹み36の周縁が所望の大きさよりも大きくなる。したがって、Eモードエッチストップ層50を通じた後続のエッチング工程が、Eモード障壁層18の上側表面を所望値よりも大きく露出させる。Eモードゲートコンタクト34はEモードゲート凹み36の中のEモード障壁層18の露出した上側表面を部分的に覆うだけであるから、Eモード障壁層18の表面にゲートなしの部分44が生ずる。ゲートなしの領域の範囲を制御することは困難である。すなわち、エピタキシャル層の厚みにばらつきがあり、エッチング進行が各部の大きさに左右されるからである。
【0020】
半導体側壁37およびEモードゲート凹み36のゲートなしの領域44の表面の面積が比較的大きいことも問題を伴う。これらの表面は空気に露出しているために酸化物に覆われているが、規則的な結晶格子の急峻な終端に起因する界面トラップおよび欠陥を伴い、そのためにダングリングボンド、欠陥および表面状態が生ずる。この表面状態はその下に位置する半導体材料の電荷キャリアを枯渇させ、Eモードトランジスタ3がEモードゲートコンタクト34への印加ゲート電圧の値と無関係に恒常的に実効的オフ状態に陥る原因となり得る。
【0021】
【特許文献1】USP 6 144 048
【特許文献2】USP 5 116 774
【特許文献3】USP 6 452 221
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、モノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスを提供する新たな手法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明はモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスおよびそれらデバイスの製造方法にある。
【0024】
一つの実施例では、このモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスは、一つの基板の中にDモードトランジスタとEモードトランジスタとを含む。この基板は複数の半導体層、すなわちチャネル層と、その層にオーバーレイした障壁層と、その障壁層の上にオーバーレイしたエッチストップ層と、そのエッチストップ層にオーバーレイしたオームコンタクト層とを含む複数の半導体層を含む。これらDモードトランジスタおよびEモードトランジスタのソースコンタクトおよびドレーンコンタクトを上記オームコンタクト層に接続する。またDモードトランジスタおよびEモードトランジスタのゲートコンタクトを障壁層の上側表面に接続する。Eモードゲートコンタクトの下であって障壁層の中には、非晶質化した領域、すなわち金属層を障壁層の半導体に拡散させることによって形成した少なくとも一つの導電性化合物の層を含む非晶質化領域がある。この非晶質化した領域が障壁層の下側半導体部との間でSchottkyコンタクトを形成する。
【0025】
したがって、この例のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスは、DモードゲートコンタクトおよびEモードゲートコンタクトの両方の接続を受ける一つの障壁層と、一つのエッチストップ層とを含む。したがって、この多層基板の構造は単純化され、トランジスタの製造がより容易で安価になる。また、DモードトランジスタおよびEモードトランジスタの性能が改善される。Dモードトランジスタの信頼性は慣用のものよりも高くなり再現性も高くなる。すなわち、慣用のデバイスのEモード特有のエッチストップ層並びにDモードゲートコンタクトおよびDモード障壁層の下にあった障壁層が除去されているからである。また、Eモードゲートコンタクトと障壁層の半導体材料との間のSchottkyコンタクトが障壁層の上側表面の下に埋め込まれているので、Eモードトランジスタの性能が改善される。そのために、表面状態に起因するリスクが大幅に軽減される。
【0026】
もう一つの実施例では、Dモードトランジスタのゲートコンタクトを、Eモードゲートコンタクトの接続先である同じ障壁層に接続せず、オーバーレイした半導体層に接続する。このDモードコンタクトは、Eモードゲートコンタクトと同様に、Dモードゲートコンタクトの金属第1層が半導体層に拡散できる形で形成し、それによってその半導体層の下側部分との間でSchottkyコンタクトを形成するDモード非晶質化領域を形成する。この実施例でも、上記ゲートなしの領域およびゲート凹部側壁におけるダングリングボンド、欠陥および表面状態に起因するリスクが軽減されるので、トランジスタの性能が改善される。
【0027】
この発明の上述の側面およびそれら以外の側面は、添付図面を参照した実施例の次の説明からよりよく理解されよう。なお、図面において、同一の構成部分は複数の図に跨って同一の参照数字で表し、それら構成部分の重複説明は省略する。
【発明の効果】
【0028】
モノリシック集積型EモードFET/DモードFETデバイスの性能を改善し、この種デバイスの費用効率を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明は、DモードFETおよびEモードFETの両方を含む集積回路、並びにその集積回路を製造する方法を含む。この発明によって形成したモノリシック集積型DモードFETおよびEモードFETは、例えば、疑似モルフィック高電子移動度トランジスタ(pHEMT)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、不純物モジュレーション拡散FET(MODFET)、メタモルフィック高電子移動度トランジスタ(mHEMT)、ヘテロ接合絶縁ゲートFET(HFET)などであり得る。これらのデバイスは、例えば、GaAs(ガリウム砒素)ベースの材料(GaAs、AlGaAs、InGaAs、AlAs、InGaAlAs、InGaNP、AlGaSbなど)、InP(インジウム燐)ベースの材料(InP、InAlP、InGaP、InGaAs、InAlAs、InSb、InAsなど)およびSiおよびGe(シリコンおよびゲルマニウム)ベースの材料(Si、Ge、SiGe、SiGeC、SiO,SiC、サファイアなど)、またはGaN(窒化ガリウム)ベースの材料(GaN、AlGaN、InGaN、InAlGaN、SiC、Si、サファイアなど)を用いて形成できる。
【0030】
図2はこの発明の第1の実施例であるモノリシック集積型DモードFETおよびEモードFETデバイス101を示す。この例において、Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ103は多層構造105の中に形成したpHEMTである。Dモードトランジスタ2をEモードトランジスタ103の横に隣接して示してあるが、これら二つのトランジスタは横方向に隣接している必要はなく、単一の集積回路であるデバイス101の互いに異なる場所に配置することもできる。これらトランジスタ2および103をアイソレーション領域6で分離している。
【0031】
図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイス101は、図1に示したデバイス1と次の点、すなわち図1の慣用の構成が二つのエッチストップ層20および24並びに二つの障壁層18および22を備えているのに対して、多層構造105の中に単一のエッチストップ層109および単一の障壁層107だけを備えている点で異なっている。Dモードゲートコンタクト30およびDモード障壁層22(図1)の下にあったEモードエッチストップ層20を除いたことによって、層の厚さのばらつきに起因するDモードトランジスタ2の上述の問題を解消する。また、図1の慣用のデバイスに比べて、図2のデバイス101の多層構造105の複雑性および製造コスト、並びにEモードゲート凹み36形成に要するエッチング工程の数を減らしている。
【0032】
デバイス101の多層構造105の半導体層の数の削減のために、まず図2のEモードゲートコンタクト111の金属層を図1のEモードゲートコンタクト23の場合とは異なる金属の組合せを用いて形成する。以下により詳細に述べるとおり、Eモードゲートコンタクト111は、Eモードゲート凹み110の中の障壁層107の露出した上側表面に接触させて配置した金属第1層が制御状態で一様に障壁層107の半導体材料の中に拡散するように構成する。この金属層材料の障壁層107への拡散の際に、固体相互作用により、障壁層107の半導体材料との間でSchottkyコンタクトを構成する低粒度で一様な層状で導電性の化合物層が形成される。この拡散利用の非晶質化手法は、図1のEモードトランジスタ3のEモード凹み部のゲートなし領域44および半導体側壁34に伴う上述の問題を解消する。すなわち、非晶質化領域113と障壁層107との間の界面が多層構造105の中に埋め込まれているからである。したがって、Eモードトランジスタ103のゲートなし領域44およびEモードゲート凹み側壁37で生じ得る有害な表面効果は図1のEモードトランジスタ3の場合に比べて大幅に削減され、安定した特性で再現性の優れたEモードトランジスタ103の実現を可能にする。非晶質化領域113の非晶質化材料の深さの制御は、非晶質化を受ける堆積金属第1層の種類および厚さ、反応の開始、継続および完結のためのプロセスパラメータに左右される。
【0033】
図2のデバイス101の製造方法を例示すると、その方法は、多層構造105を含むパターニングを施す前のウェーハを準備することで開始する。多層構造105は複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体基板を含む。多層構造105は上述の多様な材料系の中の半導体材料で形成する。エピタキシャル層の数および種類は多様である。これらのエピタキシャル層は、慣用の分子ビームエピタキシィ(MBE)法、化学蒸着(MOCVD)法などを用いて成長させる。
【0034】
例示のために、GaAsベースの材料系の中の多層基板105について述べる。一つの実施例では、多層構造105の半導体基板12は拡散処理前のGaAsで構成する。この基板12の上側表面にバッファ層14を成長させる。バッファ層14は基板12の上のバルクGaAs層で形成し、その上にGaAs層とAlGa(1−x)As層とを交互に重ねたオプションの超格子を設ける。バッファ層14では、バルクGaAs層の厚さ(すなわち図2の中の上下方向の高さ)は100乃至10000Åである。この超格子の中のGaAs層の厚さは15乃至500Åである。超格子の中のAl(x)Ga(1−x)As層の厚さは15乃至500Åである。このAl(x)Ga(1−x)Asのxの値は0.0乃至0.5にできる。バッファ層14の中のGaAs層とAl(x)Ga(1−x)As層との交互重ね合わせの回数は5乃至50である。バッファ層14の中の層は、考慮外の不純物拡散、僅かにp型拡散または僅かにn型拡散を通常受ける。上記超格子は、通常はAl(x)Ga(1−x)As層で終端を形成するがこれは必要条件ではない。
【0035】
バッファ層14の形成のあと、チャネルおよびスペーサ層16を成長させる。チャネルはIn(y)Ga(1−y)Asで構成され、この化合物で(y)は通常0.10乃至0.50である。チャネルの厚さは50乃至200Åである。チャネル層は通常は不純物拡散を施さず、均一な組成を備える。他の実施例では、チャネル層の中を不均一組成にし、例えば、インジウム含有率に傾斜状または段階的変化を与え、意図的に不純物拡散を施すこともできる。チャネル層はバンドギャップの小さい半導体材料で構成する。
【0036】
スペーサ層は通常厚さ15乃至60Åとし、Al(x)Ga(1−x)As(ここで(x)は0.0乃至0.5とする)で構成する。スペーサ層には通常は不純物拡散を施さない。実施例によっては、スペーサ層にIn(z)Ga(1−z)P材料(ここで(z)は0.4乃至0.6とする)を用いる。スペーサ層はIn(y)Ga(1−y)Asチャネル層に対して大きいバンドオフセットを生ずる材料で構成する。このバンドオフセットはチャネル層に転送される電荷を閉じ込める作用をもたらす。GaAs利用のデバイスの中では、チャネル層に転送される電荷キャリアは正孔よりも電子であるほうが好ましい。チャネル層の中の電子移動度および電子速度は正孔の移動度および正孔速度よりもずっと大きい。移動度および速度の向上は、トランジスタの動作周波数および利得の最大値の改善に反映される。チャネル層やスペーサ層の中にドーパントが含まれる事態は一般に避ける。すなわち、それら不純物が散乱サイトを生じて電荷キャリアの移動度および速度を損なうからである。ドーパントの存在に起因する電荷キャリアの散乱は、エネルギーの転移および損失に伴って電荷キャリアの移動度および速度を低下させる。
【0037】
一つの実施例では、厚さ60Å以下の一つの単一層であるシリコンドーパント層を、チャネル層−スペーサ層界面の反対側のスペーサ層界面におけるチャネル層の片面または両面に成長させる。ドーパントシートキャリア濃度は通常は0.0乃至6.0E12cm−2とする。エピタキシャル層構造の成長の進行に伴って、これらのドーパント層からの電荷がチャネル層に移送される。
【0038】
チャネル層およびスペーサ層16を上側シリコンドーパント層を含めて形成したあと、障壁層107を成長させる。障壁層107はバンドギャップの大きい半導体材料、例えばAl(x)Ga(1−x)Asで構成する。この材料は不純物拡散を施さないままでもドーピングレベル0.0乃至1E18cm−3で不純物拡散したものでもよい。この化合物の(x)の値は0.0乃至0.80とする。また、厚さは15乃至1500Åとする。アルミニウム含有率の大きいAl(x)Ga(1−x)Asの表面酸化の防止のために、薄いGaAs層をAl(x)Ga(1−x)As層の上側表面に合体させることもできる。実施例によっては、障壁層107にIn(z)Ga(1−z)P材料(ここで(z)は0.4乃至0.6,厚さは15乃至1500Å)を用いることもできる。
【0039】
エッチストップ層109を障壁層107の上側表面に堆積させる。この層109はIn(z)Ga(1−z)P(ここで(z)は0.4乃至0.6)で構成できる。また、この層109は不純物拡散を施さないままでも、ドーピングレベル0.0乃至1E18cm−3で不純物拡散してもよい。In(z)Ga(1−z)P材料は秩序状態のものでも無秩序状態のものでも差し支えない。In(z)Ga(1−z)P層の厚さは10乃至100Åとすることができる。
【0040】
障壁層107をIn(z)Ga(1−z)P層で構成した実施例では、エッチストップ層109をAl(x)Ga(1−x)As層(ここで(x)は0.0乃至0.80,厚さは10乃至100Å)で構成できる。
【0041】
幅広凹み遷移層26をエッチストップ層109の上側表面に成長させる。この遷移層26はAl(x)Ga(1−x)As(ここで(x)は0.0乃至0.8)で構成する。この層の厚さは50乃至500Åとする。
【0042】
多層構造105のエピタキシャル層スタックの最後の層はオームコンタクト層28である。このオームコンタクト層105はIn(y)Ga(1−y)As層で構成する(ここで(y)は0.0乃至1.0)。この層の厚さは50乃至1000Åである。この層のドーピングレベルはできるだけ高くするが、この層の中におけるドーパントの固体溶解度によって制限される。ドーパント濃度は1E17乃至1E20cm−3である。
【0043】
多層構造105の形成のあと、この多層構造105の上にモノリシック集積型Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ103を形成する。これらDモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ103の製造方法の工程は、(1)オームコンタクト層28の上にソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40を形成する工程、(2)Dモードゲート凹み32を形成し、次にDモードトランジスタ2のDモードゲートコンタクト30を形成する工程、(3)Eモードゲート凹み110を形成し、次にEモードトランジスタ103のEモードゲートコンタクト111を形成する工程、(4)Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ103をそれぞれ形成する工程、(5)Dモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト11の周囲のDモードゲート凹み32およびEモードゲート凹み110を誘電体材料で充填する工程、および(6)ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40へのインターコネクト、並びにDモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト111へのインターコネクトを形成する工程を含む。これら工程の順序は変えることができ、組合せ可能な工程もある。エッチング工程にはドライエッチングもウェットエッチングも用いることができる。
【0044】
例示のための一つのプロセスでは、図3Aに示すとおり、多層構造105のオームコンタクト層90の表面を第1の誘電体層301で全面的にオーバーレイする。この誘電体層301は、プラズマCVD装置を用いて堆積した二酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(Si)の層で構成できる。
【0045】
次に、この第1の誘電体層301を覆って、慣用のリソグラフィ装置およびフォトレジスト/現像剤の利用により、第1のフォトレジストマスク303を形成する。図3Bに示すとおり、第1のフォトレジスト層303は、Dモードゲート凹み32およびEモードゲート凹み110の両方の上側の大きい周縁部を形成するための比較的大きい周縁の開孔305を備える。第1のフォトレジストマスク303の開孔305を通じて第1の誘電体層301に第1の選択的エッチング工程でエッチングを施し、オームコンタクト層28で止める。次に、上記フォトレジストマスク303を通じてオームコンタクト層28に第2の選択的エッチング工程でエッチングを施し、それによってDモードゲート凹み32およびEモードゲート凹み110の上側の大周縁部分を形成する。次に、第1のフォトレジストマスク303および第1の誘電体層301を除去して図3Cの構造を得る。
【0046】
次に、PECVDプロセスにより堆積させた二酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(Si)で構成できる上記第2の誘電体層307をオームコンタクト層26の上に堆積させる。図3Dに示すとおり、この第2の誘電体層307は多層構造105の上側表面を全面的に覆い、それによって、部分的に形成ずみのDモード凹み32およびEモードゲート凹み110を充填し、広い凹み遷移層26の露出した上側表面を覆う。次に、第2のフォトレジストマスク309を第2の誘電体層307の上に形成する。第2のフォトレジストマスク309は慣用のイオン打込み装置によりイオン打込みを行うための開孔311を含む。このイオン打込み工程により、Dモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ103をそれぞれ形成する予定の領域を取り囲むアイソレーション領域6を形成する。トランジスタ2および103のアイソレーションは慣用のトレンチによるアイソレーション手法で構成することもできる。
【0047】
次に第2のフォトレジストマスク309を除去して、図3Eに示すとおり、第3のフォトレジスタマスク313を第2の誘電体層307を覆って形成する。第3のフォトレジストマスク313は、ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40を形成するように金属層を堆積するための開孔315を備える。ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40は、いくつかの互いに相続く金属層、すなわち(1)オームコンタクト層28の上側表面と接触している金(Au)の第1層、(2)その金の層の上のニッケル(Ni)から成る第2層、(3)Ni層の上のゲルマニウムの第3層、および(4)Ge層の上の金(Au)の第4層を含む金属層を備える。そのあと高温アニール工程にかけ、ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40の金属層を、図3Fに示すとおり、オームコンタクト層28の半導体材料と混合させる。
【0048】
次に、上記第3のフォトレジストマスク313を除去し、Dモードゲート凹み2をさらに形成するプロセスを開始する。図3Gに示すとおり、第2の誘電体層307を覆って第4のフォトレジストマスク317を形成する。第4のフォトレジストマスク317はDモードゲート凹み32の小周縁下部形成のための開孔319を備える。Dモードゲート凹み32の上部の中に第2の誘電体層307が既に堆積されていることを考慮して、その誘電体層307を第4のフォトレジストマスク317の開孔319を通じて第1の選択的エッチング工程でエッチングし、幅広凹み遷移層26の上側表面を再び露出させる。次に、第2の選択的エッチング工程で第4のフォトレジストマスク317を通じて幅広凹み遷移層をエッチングし、そのエッチング工程はエッチストップ層106で止まる。この第2の選択的エッチング工程で幅広凹み棚状部46を形成する。この棚状部46は第2の誘電体層307の一部によって覆われた状態に留まる。次に、第3の選択的エッチング工程で第4のフォトレジストマスク317を通じてエッチストップ層109をエッチングし、そのエッチングは障壁層107で止まる。したがって、障壁層107の上側表面はDモードゲート凹み32のテーパ状の階段状部底部で露出する。
【0049】
Dモードゲートコンタクト30をDモードゲート凹み32の底部の障壁層107の上記露出した上側表面に形成する。このDモードゲートコンタクト30は、障壁層107の露出表面に第4のフォトレジストマスク317の開孔319を通じて堆積させたチタンの第1の薄層を含む。上記以外の多様な導電性材料、例えばタングステン(W)、ケイ化タングステン(WSi)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、アルミニウム(Al)およびこれら材料の混合物などを上記チタン層の上に堆積させることもできる。追加のチタン層をDモードゲートコンタクト30形成用金属層スタックに含めることもできる。
【0050】
例えば、図3Hに示すとおり、Dモードゲートコンタクト30に、障壁層197の上記露出表面に厚さ50乃至1000Åで堆積させたチタン層320を含めることもできる。次に、このチタン層320の上に白金層321を厚さ50乃至1000Åまで堆積させる。最後に、白金層321の上に厚さ500乃至10,000Åの金の層を堆積させる。
【0051】
Dモードトランジスタ2のゲートなしの領域44の大きさは、降伏電圧特性の改善のために、Eモードトランジスタ103のゲートなしの領域とは異なる大きさにすることができる。
【0052】
Dモードゲート凹み32およびDモードゲートコンタクト30の形成のあと、第4のフォトレジスト層317を除去し、Eモードゲート凹み110をさらに形成するプロセスを開始する。図3Iを参照すると、第2の誘電体層307を覆って第5のフォトレジスト膜325を形成する。第5のフォトレジスト膜325はEモードゲート凹み110の小周縁下部形成のための開孔327を備える。Eモードゲート凹み110の上部の中には第2の誘電体層307が既に堆積ずみであることを考慮して、第1の選択的エッチング工程で第5のフォトレジストマスク325の開孔327を通じて第2の誘電体層307をエッチングし、幅広凹み遷移層26の上側表面を再び露出させる。第2の選択的エッチング工程は第5のフォトレジストマスク325を通じて幅広凹み遷移層26をエッチングし、エッチストップ層109で止まる。この第2の選択的エッチング工程によって、幅広凹み棚状部46を形成する。棚状部46は第2の誘電体層307の一部で覆われたままになっている。次に、第3の選択的エッチング工程が第5のフォトレジストマスク325を通じてエッチストップ層109をエッチングし、障壁層107で止まる。したがって、図3Jに示すとおり、障壁層107の上側表面はDモードゲート凹み110の底部で露出する。なお、Eモードゲート凹み110の形成のプロセスの所要エッチング工程数は、図1のEモードゲート凹み36の形成のための上記プロセスよりも少ない。すなわち、図2の多層構造105の層数が図1の多層構造5の場合よりも少ないからである。
【0053】
次に、凹み110底部の障壁層107の上記露出表面にEモードゲートコンタクト111を形成する。Eモードゲートコンタクト111を形成する金属層スタックを、第5のフォトレジストマスク325の開孔327を通じて凹み110に堆積させる。
【0054】
Eモードゲートコンタクト111形成用に堆積した金属層は、図1および図2のDモードゲートコンタクト30形成用および図1のEモードゲートコンタクトの形成のために堆積した層とは異なる。より詳しく述べると、凹み110の底部の障壁層107の露出表面に堆積した金属第1層は、一群の金属、すなわち図2のモノリシック集積型DモードおよびEモードFETデバイス101の非晶質化領域113を形成するように、選ばれたプロセス条件の下で層107の半導体材料で非晶質化する一群の金属から選んだものである。Eモードゲートコンタクト111の形成の際に障壁107の露出した表面に堆積される金属第1層として使える金属としては、例えば、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(OS)、ロジウム(Ro)、およびレニウム(Re)などを含む。Eモードゲートコンタクト111の残余の部分を構成するように用いられる材料の後段堆積層は導電性材料、例えば、タングステン(W)、ケイ化タングステン(WSi)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、アルミニウム(Al)、およびこれらの材料の混成物などの導電性材料から選ぶことができる。
【0055】
Eモードゲートコンタクト111の最初の金属層の障壁層107(図2)の半導体への非晶質化には温度範囲250乃至400℃での熱処理が必要である。温度制御および所定温度でのデバイス保持時間長の制御が、十分に非晶質化した領域113の形成のために当初金属が障壁層107に均一に変動なくしかも十分に拡散するようにするために必要である。この熱処理は、専用の加熱工程を通じて、またはDモードトランジスタ2およびEモードトランジスタ103の形成のための通常の後続工程、例えば、Dモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト111の形成のあとゲート凹み32および110に充填するプラズマ利用の誘電体堆積工程を通じて実施できる。白金の第1層107への非晶質化によって、再現性を備え製造可能なトランジスタの製造のための低粒度で層間相互混合のごく少ない導電性層状体が得られるので理想的である。
【0056】
障壁層107を厚さ15乃至1500ÅのAl(x)Ga(1−x)As層で形成した構成を示す図3Kを参照すると、図2のEモードゲートコンタクト111の形成のための方法は、障壁層107の露出表面に白金の第1層を堆積させる工程を含む。白金層328の厚さは5乃至500Åである。次に、白金層328の上に厚さ50乃至1000Åのチタン層329を堆積させる。さらに、チタン層329の上に厚さ50乃至1000Åの第2のチタン層331を堆積させる。最後に、第2のチタン層331の上に厚さ500乃至10,000Åの金の層333を堆積させる。すなわち、第1層から始めて最後の層に至るPt−Ti−Pt−Au堆積順を用いる。熱処理のあとでは、非晶質化領域113が障壁層107の上側表面から10乃至1000Åの深さまで延びる。したがって、非晶質化領域113の下には障壁層107の厚さ5乃至500Åの部分が未反応のAl(x)Ga(1−x)Asとして残る。非晶質化領域113を形成する層構成化合物はPtAs(x)(ここでxは0.5乃至2.0)およびPtGa(y)(ここでyは0.5乃至3.0)を含み得る。
【0057】
図3KのEモードゲートコンタクト110のPt−Ti−Pt−Au構造の中では、金の層333がゲート抵抗を低下させ、その結果このトランジスタの高周波域における性能が改善される。第2の白金層331は、チタン層329と金層333との間の拡散/相互混合障壁として作用する。チタン層329は第2の白金層331が障壁層107の半導体材料との間で固体非晶質化を生じないようにする。
【0058】
代わりの実施例、すなわちEモードゲートコンタクト111の形成の際に堆積させる第1の金属層が例えばイリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、レニウムなど上記以外の金属の一つである代わりの実施例では、非晶質化領域113に形成される導電性化合物の層は障壁層107の上に初めに堆積させられた特定の金属を含む。障壁層107の形成のために選ばれた材料が非晶質化領域113の中に形成されることは明らかである。
【0059】
代わりの実施例では、上に列挙した金属から選んだ複数の非晶質化可能な金属の層をEモードゲートコンタクト111の初めのいくつかの層として順次堆積させる。例えば、図3Kについて述べると、障壁層107の露出した上側表面に接する白金層327を堆積させた後であってチタン層329を堆積させる前に、白金層327の上側表面にパラジウム層を堆積させることもできる。そのパラジウム層の上にチタン層329を堆積させるのである。上述のとおり、これら白金層とパラジウム層とは熱処理により非晶質半導体となって非晶質化領域113を形成するが、チタン層329は障壁層107の中に拡散することはない。複数の非晶質化可能な金属層の選択およびそれらの層の厚さの選択によって、Eモードトランジスタの性能を特定の用途に適合させることができる。
【0060】
Eモードゲートコンタクト110の形成のあと、第5のフォトレジストマスクを除去する。次に、誘電体層335を、図3Lに示すとおり、多層構造103の全面を覆うように堆積させる。この誘電体層335はDモードゲートコンタクト30の周りのDモードゲート凹み32を充填し、Eモードゲートコンタクト111の周りのEモードゲート凹み110を充填するとともに、ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40を覆う。例えば、この全面を覆う誘電体層335は、250乃至400℃の温度範囲でPECVDプロセスを用いて堆積させた窒化シリコンの層で形成できる。上述のとおり、Eモードゲートコンタクト111の第1の金属層障壁層107への拡散は上記堆積膜形成工程の進行中に生じ、それによって非晶質領域113が形成される。誘電体層335の堆積の進行中にDモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト111の周囲のゲートなし領域44のDモード凹み32およびEモード凹み110の底部に微小な空隙が生ずる場合もある。
【0061】
モノリシック集積型DモードFET2/EモードFET103デバイスの製造のこれ以降の工程としては、誘電体層335を通じたソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40へのインターコネクト、Dモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト111へのインターコネクトの形成工程がある。その工程には慣用のフォトリソグラフィ工程、エッチング工程、金属層堆積工程などを用いることができる。
【0062】
図4はこの発明のもう一つの実施例であるモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス401を示す。このDモード/EモードFETデバイス401は図2のデバイス101とほぼ同じであり、同一構成要素は同一参照符号で示してある。
【0063】
図4のモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイスにおいて、Dモードトランジスタ402のDモードゲートコンタクト430は、図2のデバイス101のEモードゲートコンタクト111と同様の方法、すなわちDモードゲートコンタクト320の形成のために堆積させた材料を多層構造105の幅広凹み遷移層26の上側表面に拡散させ、それによってDモードゲートコンタクト430の下にDモード非晶質化領域413を形成する方法で形成する。Dモード非晶質化領域413は、幅広凹み遷移層26の中に完全に入っている最下部(実線で図示)を備えることもでき、その下にあるエッチストップ層109まで延びた最下部(点線で図示)を備えることもできる。Dモード非晶質化領域413の深さはDモードゲートコンタクト430形成用に堆積させた金属第1層の厚さでほぼ制御できるが、所望の性能を達成するように選択する。代わりの実施例では、非晶質化領域413は障壁層107まで延ばすこともできる。
【0064】
図4のモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス401は、図2のデバイス101の製造のための上述のプロセスを僅かに変形することによって形成することができる。図3Fおよび図3Gを参照すると、第2の誘電体層307を覆って第4のフォトレジストマスク317を堆積させる。第1の選択的エッチング工程でこの第4のフォトレジストマスク317の開孔319を通じて第2の誘電体層307をエッチングし、それによってDモードゲート凹み432を形成し幅広凹み遷移層26の上側表面を露出させる。しかし、図3Gの構造を作るための上述の工程以降の工程の説明は省略する。次に、Dモードゲートコンタクト430を、Dモードゲート凹み432の中であって幅広凹み遷移層26の露出した上側表面に、第4のフォトレジストマスク317の開孔319を通じた一連の金属層の堆積によって形成する。
【0065】
図2および図3KのEモードゲートコンタクト111の場合と同様に、図4のDモードゲートコンタクト430は、幅広凹み遷移層26の露出表面に第1の金属層、すなわち層26の半導体材料中に(オプションとしてはエッチストップ層65中に)、Dモードトランジスタ402のDモード非晶質化領域413を形成するように、非晶質化する金属から選んだ金属から成る第1の金属層を堆積させることによって形成できる。Dモードゲートコンタクト430の形成において遷移層26の露出表面に堆積させる第1の金属層に用い得る金属は、例えば、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム(Ro)およびレニウム(Re)などがある。チタンなどから成る拡散/相互混合障壁層は非晶質化対象の第1の金属層の上に堆積させる。Eモードゲートコンタクト111の残余部分の形成に用いる上記以降の堆積材料は、タングステン(W)、ケイ化タングステン(WSi)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、アルミニウム(Al)、これら材料の複合組合せなどの導電性材料から選ぶことができる。
【0066】
Eモードゲートコンタクト111の形成方法の場合と同様に、Dモードゲートコンタクト430の第1の金属層の遷移層26への固体非晶質化には温度範囲250乃至400℃における熱処理を要する。その熱処理は、単独の加熱工程を通じて、またはトランジスタ製造過程における後続のプロセスを通じて施すことができる。例えば、Dモードゲート凹み432およびEモードゲート凹み110を充填する窒化シリコンの堆積のためのPECVDプロセスの期間中にこの熱処理は施される。上述のとおり、Dモードゲートコンタクト430の形成の際に堆積された第1の金属層が半導体中に非晶質化するように注意する必要がある。Dモード非晶質化領域413およびEモード非晶質化領域113は単一の熱処理工程で同時に形成することもでき、他のゲートコンタクトの堆積の前に形成することもできる。
【0067】
上述のとおりエッチストップ層109および幅広凹み遷移層が組成の互いに僅かに異なるAl(x)Ga(1−x)As層である場合は、図4のDモードゲートコンタクト430は、Dモードゲート凹み432の底部にある幅広凹み遷移層26の露出表面に白金の層を初めに堆積させることによって形成できる。この白金の第1層の厚さは5乃至500Åである。この白金層の上に厚さ50乃至1000Åのチタン層を堆積させる。次に、チタン層の上に厚さ50乃至1000Åの第2の白金層を堆積させる。最後に、この第2の白金層の上に厚さ500乃至10,000Åの金の層を堆積させる。すなわち、Dモードゲートコンタクト430の第1層から始めて最終層に至るまでPt−Ti−Pt−Auの順で堆積を行う。Dモードゲートコンタクト430の白金の第1層が遷移層26(オプションとしてエッチストップ層)に拡散することによって、PtAs(x)(ここでxは0.5乃至2.0)およびPtGa(y)(ここでyは0.5乃至3.0)などの導電性化合物の層が得られる。
【0068】
図4のモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス401の特徴は、Dモードトランジスタ402およびEモードトランジスタ103の両方について、非晶質化領域413および113とその下にある多層構造105の半導体材料との間の界面が埋め込まれていることである。そのために、ゲートなし領域44並びにDモードゲート凹み側壁33およびEモードゲート凹み側壁37から生ずる不都合な表面効果を著しく減らすことができ、安定度の高い反復製造可能なDモードトランジスタ402およびEモードトランジスタ103を提供できる。
【0069】
図5A乃至図5Cはこの発明による上記以外のモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス501A乃至501Cをそれぞれ示す。これらデバイス501A乃至501Cは図2のデバイス101とよく似ており、同一の構成部分は同一の参照数字をつけて示してある。したがって、以下の説明はデバイス501A乃至501Cと図2のデバイス101との相違点に絞って行う。
【0070】
図5Aを参照すると、Dモードゲートコンタクト30を、図1の場合のように障壁層107そのものでなく、エッチストップ層109,すなわち障壁層107を覆うエッチストップ層109の露出した上側表面に接続してある。図5Bを参照すると、Eモードゲートコンタクト111を、図1の場合のように障壁層107そのものでなく、障壁層107を覆って形成したエッチストップ層109の露出した上側表面に接続してある。非晶質化領域113はエッチストップ層109を貫通して障壁層107の中まで延びている。図3を参照すると、Dモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト111の両方を、図1の場合のように障壁層107そのものでなく、障壁層107を覆って形成したエッチストップ層109の露出表面に接続してある。したがって、Dモード/EモードFETデバイス501A乃至501Cの製造では、Dモードゲート凹みやEモードゲート凹み110などの形成の過程でエッチストップ層109を通じたエッチングの工程を省略することになる。上記ゲートコンタクト30および111を障壁層107でなくエッチストップ層109の上に形成することによって、トランジスタの電気的特性が特定の用途に望ましい方向に変化する。
【0071】
図6はこの発明のもう一つの実施例であるモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス601を示す。このデバイス601は図2のデバイス101とよく似ており、図2と同じ参照数字で示した同じ構成部分を多く備える。デバイス601では、Eモードゲート凹み110の形成のあとであってEモードゲートコンタクト111の第1の金属層の堆積の前に障壁層107の中にイオン打込み領域603を形成する。例えば、障壁層107にN型になるように不純物拡散を施した場合は、イオン打込み領域603はP型である。Eモードゲートコンタクト111の金属層の堆積のあとであって上述の熱処理のあと、涙滴型イオン打込み領域603の中(全体として同領域の中、または少なくとも部分的に同領域の中)に非晶質化領域113を形成する。この構成は、例えば、漏洩電流についての性能を高める。
【0072】
図7はこの発明のさらにもう一つの実施例であるモノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス701を示す。このデバイス701は図2のデバイス101とよく似ており、図2と同じ参照数字で示した同じ構成部分を多く備える。これら実施例の間の相違点はデバイス701の多層基板705ではデバイス101の多層基板105よりもエピタキシャル層が少ないことである。より詳しく述べると、多層基板705は半導体基板12,それを覆うチャネルおよびスペーサ層16,およびそれを覆う障壁層107を含む。スペーサ層および障壁層107はバンドギャップの広い半導体材料で形成する。チャネル層はバンドギャップの狭い半導体材料で形成する。
【0073】
デバイス701のDモードトランジスタ702およびEモードトランジスタ703のソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40は障壁層107の上側表面に形成する。そのあとアニール工程にかけ、ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40の金属層がその下の半導体材料と相互混合し、それによってチャネルおよびスペーサ層16を通じて延びる相互混合領域707を形成するようにする。代わりに、ソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40の金属層の堆積の前にイオン打込み工程を行ってソースコンタクト38およびドレーンコンタクト40の下にイオン打込み領域を設けるようにすることもできる。
【0074】
また、Dモードゲートコンタクト30およびEモードゲートコンタクト111も障壁層107の上側表面の上に形成する。Eモードゲートコンタクト111は、熱処理により障壁層107に拡散する第1の金属層(複数の層でもあり得る)を備える形で形成し、障壁層107の中に非晶質化領域113を形成するようにし、それによって埋込みSchottkyコンタクトを形成する。例えば、Eモードゲートコンタクト111は第1の白金層328とともに形成し、その層328にチタン層329をオーバーレイすることもできる。
【0075】
この発明の実施例を上に述べてきたが、この発明の範囲はこれらの例に限られない。この明細書で明示したか黙示に留めたかに関わらず、構成、寸法、材料の種類、製造プロセスなどに多様な変形をこの明細書における開示に基づいて導入することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
モノリシック集積型エンハンスメントモード/デプリーションモードFETデバイスの製造コストの低減および安定度の改善を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】慣用のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの単純化した側面断面図。
【図2】この発明の一つの実施例であるモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの簡略化した側面断面図。
【図3A】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3B】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3C】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3D】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3E】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3F】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3G】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3H】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3I】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3J】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3K】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図3L】図2のモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの製造プロセスの一つの段階を示す側面断面図。
【図4】この発明のもう一つの実施例であるモノリシック集積型DモードFET/EモードFETデバイスの側面断面図。
【図5A】この発明のさらに他の実施例であるDモードFET/EモードFETデバイスの単純化した側面断面図。
【図5B】この発明のさらに他の実施例であるDモードFET/EモードFETデバイスの単純化した側面断面図。
【図5C】この発明のさらに他の実施例であるDモードFET/EモードFETデバイスの単純化した側面断面図。
【図6】この発明のさらに他の実施例であるDモードFET/EモードFETデバイスの単純化した側面断面図。
【図7】この発明のさらに他の実施例であるDモードFET/EモードFETデバイスの単純化した側面断面図。
【符号の説明】
【0078】
1,101,401,501A−501C,601,701 モノリシック集積型Dモード/EモードFETデバイス
2 D(デプリーション)モードFET
3,103 E(エンハンスメント)モードFET
5,105,705 多層構造
6 アイソレーション領域
12 半導体基板
14 バッファ層
16 チャネルおよびスペーサ層
18 Eモード障壁層
20 Eモードエッチストップ層
22 Dモード障壁層
24 Dモードエッチストップ層
26 幅広凹み遷移層
28 オームコンタクト層
30,34 金属ゲートコンタクト
38 金属ソースコンタクト
40 金属ドレーンコンタクト
107 障壁層
109 エッチストップ層
111 Eモードゲートコンタクト
113 非晶質化領域
301,307 誘電体層
303,309,313,317 フォトレジストマスク
305,315,319 開孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
多層構造の中にデプリーションモード(Dモード)電界効果トランジスタ(FET)およびエンハンスメントモード(Eモード)FETを含み、
前記多層構造が、半導体基板、すなわちチャネル層とその層を覆って形成した障壁層とその障壁層を覆って形成した第1の層とを含む複数のエピタキシャル層であって前記DモードFETおよび前記EモードFETに共通な複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体基板を含み、
前記DモードFETおよびEモードFETの各々がソースコンタクト、ドレーンコンタクトおよびゲートコンタクトを含み、
前記DモードFETおよびEモードFETのそれぞれの前記ソースコンタクトおよびドレーンコンタクトが前記第1の層に接続され、前記DモードFETおよびEモードFETの各々の前記ゲートコンタクトが前記障壁層に接続されている
集積回路。
【請求項2】
前記EモードFETのゲートコンタクトの下で少なくとも前記障壁層の中に固体非晶質化領域をさらに含む請求項1記載の集積回路。
【請求項3】
前記固体非晶質化領域が、白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムの少なくとも一つを含む少なくとも一つの配合物を含む請求項2記載の集積回路。
【請求項4】
前記固体非晶質化領域が複数の配合物、すなわち白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムのうちの一つを含む少なくとも一つの配合物を含む複数の配合物を含む請求項2記載の集積回路。
【請求項5】
前記多層構造が前記障壁層と前記第1の層との間に少なくとも第2のエピタキシャル層をさらに含む請求項2記載の集積回路。
【請求項6】
前記障壁層が第1の導電型の層であり、
少なくとも前記Eモードゲートコンタクトの下の前記障壁層に形成した第2の導電型のイオン打込み領域をさらに含み、
前記固体非晶質化領域が前記イオン打込み領域の中にある請求項2記載の集積回路。
【請求項7】
集積回路であって、
多層構造の中にデプリーションモード(Dモード)電界効果トランジスタ(FET)およびエンハンスメントモード(Eモード)FETを含み、
前記多層構造が、半導体基板、すなわちチャネル層とその層を覆って形成した障壁層とその障壁層を覆って形成した第1の層とその第1の層を覆って形成した第2の層とを含む複数のエピタキシャル層であって前記DモードFETおよび前記EモードFETに共通な複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体基板を含み、
前記DモードFETおよびEモードFETの各々がソースコンタクト、ドレーンコンタクトおよびゲートコンタクトを含み、
前記DモードFETおよびEモードFETの前記ソースコンタクトおよびドレーンコンタクトが前記第2の層に接続され、
前記DモードFETの前記ゲートコンタクトが前記第1の層に接続され、前記固体非晶質化領域が前記第1の層の中で前記Dモードゲートコンタクトの下にあり、前記EモードFETの前記ゲートコンタクトが前記障壁層に接続され、前記固体非晶質化領域が前記障壁層の中で前記Eモードゲートコンタクトの下にある
集積回路。
【請求項8】
前記多層構造が前記第1の層と前記障壁層との間に第3の層、すなわち前記第1の層および前記障壁層とは異なる組成を有する第3の層を含み、
前記Dモード固体非晶質化領域が前記第3の層の中にある
請求項7記載の集積回路。
【請求項9】
前記障壁層が第1の導電型を備え、
少なくとも前記障壁層の中で前記Eモードゲートコンタクトの下に第2の導電型のイオン打込み領域をさらに含み、
前記Eモード固体非晶質化領域が前記イオン打込み領域の中にある
請求項7記載の集積回路。
【請求項10】
前記Dモード固体非晶質化領域および前記Eモード固体非晶質化領域が、白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムの少なくとも一つを含む少なくとも一つの配合物を含む請求項7記載の集積回路。
【請求項11】
前記Dモード固体非晶質化領域および前記Eモード固体非晶質化領域の少なくとも一方が複数の配合物、すなわち白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムのうちの一つを含む少なくとも一つの配合物を含む複数の配合物を含む請求項7記載の集積回路。
【請求項12】
集積回路であって、
多層構造の中にデプリーションモード(Dモード)電界効果トランジスタ(FET)およびエンハンスメントモード(Eモード)FETを含み、
前記多層構造が、半導体基板、すなわちチャネル層とその層を覆って形成した障壁層とその障壁層を覆って形成した少なくとも第1の層とを含む複数のエピタキシャル層であって前記DモードFETおよび前記EモードFETに共通な複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体基板を含み、
前記DモードFETおよびEモードFETの各々がソースコンタクト、ドレーンコンタクトおよびゲートコンタクトを含み、
前記DモードFETおよび前記EモードFETの前記ソースコンタクトおよびドレーンコンタクトが前記チャネル層を覆う前記エピタキシャル層の一つに接続され、
前記DモードFETのゲートコンタクトが前記第1の層および前記障壁層の一方に接続され、
前記EモードFETのゲートコンタクトが前記第1の層および前記障壁層の一方に接続され、
前記固体非晶質化領域が少なくとも前記障壁層の中の前記Eモードゲートコンタクトの下にある
集積回路。
【請求項13】
前記Dモードゲートコンタクトが前記第1の層に接続され、前記Eモードゲートコンタクトが前記障壁層に接続されている請求項12記載の集積回路。
【請求項14】
少なくとも前記第1の層の中で前記Dモードゲートコンタクトの下に位置する第2の固体非晶質化領域をさらに含む請求項13記載の集積回路。
【請求項15】
前記DモードおよびEモードソースコンタクトおよびドレーンコンタクトが前記第1の層に接続され、前記DモードおよびEモードゲートコンタクトが前記障壁層に接続されている請求項12記載の集積回路。
【請求項16】
前記DモードおよびEモードソースコンタクトおよびドレーンコンタクトが前記第1の層に接続され、Eモードゲートコンタクトが前記障壁層に接続されている請求項12記載の集積回路。
【請求項17】
前記障壁層が第1の導電型の層であり、
少なくとも前記Eモードゲートコンタクトの下の前記障壁層に形成した第2の導電型のイオン打込み領域をさらに含み、
前記Eモード固体非晶質化領域が前記イオン打込み領域の中にある請求項12記載の集積回路。
【請求項18】
DモードFETおよびEモードFETを含む集積回路を製造する方法であって、
前記DモードFETおよび前記EモードFETに共通なチャネル層およびそのチャネル層を覆って形成した障壁層を含む複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体多層基板を準備する過程と、
前記DモードFETおよびEモードFETのそれぞれのソースコンタクトおよびドレーンコンタクトを前記多層基板の前記エピタキシャル層の一つに形成する過程と、
前記DモードFETのためのゲート凹みおよび前記EモードFETのためのゲート凹みを、前記多層構造の中に、前記障壁層の表面が前記Dモードゲート凹みおよび前記Eモードゲート凹みの両方の底部で露出する形で形成する過程と、
前記Dモードゲート凹みおよび前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層の露出した表面に、DモードゲートコンタクトおよびEモードゲートを形成するように、複数の金属層を堆積させる過程と
を含み、
前記Dモードゲート凹みの中の前記障壁層に接触する形で堆積した第1の金属層が、前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層に接触する形で堆積した第1の金属層とは異なる
方法。
【請求項19】
前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層に接触する形で堆積した前記第1の金属層を前記障壁層の中に全面的に非晶質化させる過程をさらに含み、前記Dモードゲート凹みの中の前記障壁層の前記露出した表面に接触する形で堆積した前記第1の金属層は前記障壁層の中に有意な程度に非晶質化しない請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層の前記露出した表面に接触する形で堆積した前記第1の層が、白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムの一つを含み、前記Dモードゲート凹みの中の前記障壁層と接触する形で堆積した前記第1の層がイリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムの一つではない請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記障壁層が第1の導電型の層であり、
少なくとも前記Eモードゲートコンタクトの下の前記障壁層の中に第2の導電型のイオン打込み領域を形成する過程をさらに含み、
前記Eモードゲートコンタクトの前記第1の金属層が前記イオン打込み領域の中に非晶質化する請求項21記載の集積回路。
【請求項22】
前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層の前記露出した表面に接触する形で堆積した前記第1の金属層が白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムの一つを含み、
前記Eモードゲート凹みの中の前記第1の金属層の上に、白金、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、クロム、ルテニウム、オスミウム、ロジウムおよびレニウムのうちの前記第1の金属層とは異なる一つから成る第2の金属層を堆積させる過程と、
前記Eモードゲートコンタクトの前記第2の金属層を前記障壁層の中に非晶質化させる過程と
をさらに含む請求項18記載の方法。
【請求項23】
DモードFETおよびEモードFETを含む集積回路を製造する方法であって、
前記DモードFETおよび前記EモードFETに共通なチャネル層、その層を覆って形成した障壁層、その障壁層を覆って形成した第1の層およびその第1の層を覆って形成した第2の層を含む複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体基板を含む多層構造を準備する過程と、
前記DモードFETおよびEモードFETのそれぞれのソースコンタクトおよびドレーンコンタクトを形成する過程と、
前記DモードFETの前記多層構造の中にゲート凹み、すなわち底部において前記第1の層の表面を露出させたゲート凹みをエッチングにより形成する過程と、
前記EモードFETの前記多層構造の中にゲート凹み、すなわち底部において前記障壁層の表面を露出させたゲート凹みをエッチングにより形成する過程と、
前記Dモードゲート凹みの中の前記第1の層の露出した表面に、前記第1の層の前記露出した表面に接触した第1の金属層を含む複数の金属層を、Dモードゲートコンタクトを形成するように堆積させる過程と、
前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層の露出した表面に、前記障壁層の前記露出した表面に接触した第1の金属層を含む複数の金属層を、Eモードゲートコンタクトを形成するように堆積させる過程と、
前記Dモードゲートコンタクトの前記第1の金属層を、少なくとも前記Dモードゲートコンタクトの下の前記第1の層の中に非晶質化領域を形成するように、前記多層構造の中に全面的に非晶質化させる過程と、
前記Eモードゲートコンタクトの前記第1の金属層を、少なくとも前記Eモードゲートコンタクトの下の前記障壁層の中に非晶質化領域を形成するように、前記多層構造の中に全面的に非晶質化させる過程と
を含む方法。
【請求項24】
前記多層基板が、前記第1の層および前記障壁層とは異なる材料で構成された第3の層、すなわち前記Dモードゲートコンタクトおよび前記Eモードゲートコンタクトの下の前記第1の層と前記障壁層との間に位置する第3の層を含み、前記Dモードゲートコンタクトの下の前記非晶質化領域が前記第2の層まで延びている請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記障壁層が第1の導電型の層であり、
少なくとも前記Eモードゲートコンタクトの下の前記障壁層の中に第2の導電型のイオン打込み領域を形成する過程をさらに含み、
前記Eモードゲートコンタクトの前記第1の金属層が前記障壁層の前記イオン打込み領域の中に非晶質化する請求項21記載の集積回路。
【請求項26】
DモードFETおよびEモードFETを含む集積回路を製造する方法であって、
前記DモードFETおよび前記EモードFETに共通な少なくともチャネル層およびその層を覆って形成した障壁層を含む複数のエピタキシャル層をオーバーレイした半導体基板を含む多層構造を準備する過程と、
前記DモードFETおよびEモードFETのそれぞれのソースコンタクトおよびドレーンコンタクトを形成する過程と、
前記EモードFETの前記多層構造の中にゲート凹み、すなわち底部において前記障壁層の表面を露出させたゲート凹みを形成する過程と、
前記多層基板の上に、複数の金属層を、Dモードゲートコンタクトを形成するように堆積させる過程と、
前記Eモードゲート凹みの中の前記障壁層の露出した表面に、前記障壁層の前記露出した表面に接触した第1の金属層を含む複数の金属層を、Eモードゲートコンタクトを形成するように堆積させる過程と、
前記Eモードゲートコンタクトの前記第1の金属層を、前記多層基板と接触した形で堆積された前記Dモードゲートコンタクトの第1の金属層が前記多層基板の中に有意な程度に非晶質化しない状態で、前記障壁層の中に全面的に非晶質化させる過程と
を含む方法。
【請求項27】
前記DモードFETの前記多層構造の中に、底部で前記障壁層の表面を露出させたゲート凹みを形成する過程
をさらに含み、
前記Dモードゲートコンタクトの前記第1の金属が前記障壁層と接触している
請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−512705(P2007−512705A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541197(P2006−541197)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/035609
【国際公開番号】WO2005/055322
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(599158708)トライクウィント セミコンダクター,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】