説明

モータ駆動装置

【課題】モータ駆動用の電源に異常が起きた場合であっても、モータを良好に駆動し続けることが可能なモータ駆動装置を実現する。
【解決手段】モータ駆動装置において、モータのコアに第1巻線と第2巻線とが巻回され、第1巻線及び第2巻線のうち、第1巻線のみに電流が流れるように第1巻線と接続している第1電源と、第1巻線及び第2巻線のうち、第2巻線のみに電流が流れるように第2巻線と接続している第2電源と、第1電源及び第2電源のうち、モータを駆動するために使用する電源を選択する選択部と、を有する。選択部は、第1電源が正常であるときには、第1電源からの電流が第1巻線に流れるように、第1電源が異常であるときには、第2電源からの電流が第2巻線に流れるように、モータを駆動するために使用する電源を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物に搭載されたモータを駆動するモータ駆動装置に係り、特に、パワーステアリング機構等、乗物が備える可動部材を動かすためのモータに対して、電源からの駆動電流を供給するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイパ、パワーウィンドウ、パワーステアリング等の周辺装置を備える乗物において、これらの周辺装置を動かすためにモータが搭載されている構成は、既によく知られている。かかるモータについては、その内部にコアを備え、当該コアには巻線が巻回されており、巻線には所定の電源からの駆動電流(励磁電流)が流れるようになっている。そして、当然ながら、乗物の走行中、上記の周辺装置が正常に動くように、モータを正常に駆動し続ける必要があり、モータを正常に駆動し続けるためには、上記巻線に電流が正常に流れなければならない。
【0003】
以上の目的から、モータ内において電流が正常に流れ続ける状態を維持するための方策が検討されてきている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された電動機は、モータコイルを4相のコイルから構成し、モータコイルの断線時には、断線したコイルと結線したコイルを強制的に断線させて、モータを4相駆動から2相駆動に切り替えることが可能な構成となっている。かかる構成により、特許文献1に開示された電動機は、モータコイル断線時であっても、モータのロータを良好に回転させ続けることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−276710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電動機では、コイル(巻線)に電流を流すための電源に異常が生じてしまうと、コイルに電流が流れなくなり、モータも停止してしまう結果、上記の周辺装置の機能が適切に発揮されなくなってしまう。特に、乗物の走行中に上記の周辺装置(例えば、パワーステアリング機構)が停止してしまうと、乗員が乗物を適切に操縦できなくなる結果、重大な事故に繋がる虞がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、モータ駆動用の電源に異常が起きた場合であっても、モータを良好に駆動し続けることが可能なモータ駆動装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明のモータ駆動装置によれば、乗物に搭載されたモータに設けられたコアに、巻回された第1巻線と、該第1巻線と共に前記コアに巻回された第2巻線と、前記第1巻線及び前記第2巻線のうち、前記第1巻線のみに電流が流れるように前記第1巻線と接続している第1電源と、前記第1巻線及び前記第2巻線のうち、前記第2巻線のみに電流が流れるように前記第2巻線と接続している第2電源と、前記第1電源が正常であるときには、前記モータを駆動するために、前記第1電源からの電流が前記第1巻線に流れるように、前記第1電源が異常であるときには、前記モータを駆動するために、前記第2電源からの電流が前記第2巻線に流れるように、前記第1電源及び前記第2電源のうち、使用する電源を選択する選択部と、を有することにより解決される。
【0008】
上記構成のモータ駆動装置では、モータに設けられたコアに、2種類の巻線が巻回されており、一方の巻線に接続された電源(第1電源)が異常状態となって、当該電源からの電流が流れなくなったとしても、他方の巻線に接続された電源(第2電源)がバックアップとして機能する。この結果、モータを駆動し続けるために、当該バックアップ電源からの電流が流れるようになる。つまり、本発明のモータ駆動装置によれば、巻線に電流を流すための第1電源が異常になった場合であっても、乗物の周辺装置を適切に作動させ続け、乗物の安全性を確保することが可能になる。
【0009】
また、上記のモータ駆動装置において、前記選択部は、前記第1電源及び前記第2電源のいずれもが正常な状態にある際には、前記モータを駆動するために、前記第1電源からの電流が前記第1巻線に流れるとともに、前記第2電源からの電流が前記第2巻線に流れるように、前記第1電源及び前記第2電源の双方を使用する電源として選択すると、好適である。かかる構成のモータ駆動装置であれば、第1電源及び第2電源のいずれもが正常な状態にある通常時に2種類の電源の各々から電流が流れるようにしておけば、一方の電源が停止した際には、モータの出力が低下したことを特定することにより、当該一方の電源の異常を容易に把握することが可能になる。
【0010】
また、上記のモータ駆動装置において、前記モータは、ブラシレスモータであり、前記選択部は、前記ブラシレスモータを制御するコントローラであり、前記第1巻線を含み、前記第1電源からの電流が流れる第1回路と、前記第2巻線を含み、前記第2電源からの電流が流れる第2回路と、を有し、前記コントローラは、前記第1回路の導通状態を制御する第1制御部と、前記第2回路の導通状態を制御する第2制御部とを有すると、より好適である。かかる構成のモータ駆動装置であれば、第1制御部による制御と、第2制御部による制御とを各々単独で行うことができるので、一方の電源が異常となった場合であっても、ブラシレスモータの駆動を適切に制御し続けることが可能になる。
【0011】
また、上記のモータ駆動装置において、前記モータは、前記乗物が備える可動部材を動かすための可動部材モータであり、前記第1電源は、前記可動部材モータを駆動するために電力を供給する低電圧バッテリであり、前記第2電源は、前記乗物を走行させるために、前記乗物に搭載された乗物走行用モータに電力を供給する高電圧バッテリであると、より一層好適である。かかる構成のモータ駆動装置であれば、可動部材モータ用のバックアップ電源を別途設ける必要がなく、モータ駆動装置、及び、当該装置を搭載する乗物の大型化を回避することが可能になる。
【0012】
また、上記のモータ駆動装置において、前記コアは、円筒状の円筒部と、該円筒部の内周に沿って並ぶ複数のティースとを有し、該ティースの各々には、前記第1巻線及び前記第2巻線の双方が巻回されていると、さらに好適である。そして、前記第1巻線を構成する第1導電体に比して、前記第2巻線を構成する第2導電体は細く、前記第1巻線及び前記第2巻線の双方は、前記第2導電体が前記第1導電体よりも前記ティースの外側に位置するように、前記ティースに巻回されていると、さらに一層好適である。かかる構成であれば、各スロットに第1導電体及び第2導電体を良好に敷き詰めることが可能になり、スロットにおける両導電体の占積率が向上することになる。
【0013】
あるいは、前記コアは、円筒状の円筒部と、該円筒部の内周に沿って一定間隔毎に並ぶ複数のティースとを有し、前記第1巻線と前記第2巻線とは、それぞれ、前記円筒部の内周に沿って交互に前記ティースに巻回されていることとしてもよい。かかる構成であれば、第1導電体(具体的には、第1導電体からなるコイル)と第2導電体(具体的には、第2導電体からなるコイル)とが、円筒部の内周に沿って等間隔に配置される。この結果、一方の電源が異常となった場合であっても、モータ内で電流(他方の電源からの電流)がバランスよく流れることになる。
【0014】
また、上記のモータ駆動装置において、前記高電圧バッテリの印加電圧は、昇圧されて前記乗物走行用モータに印加され、前記低電圧バッテリの印加電圧をaとし、前記高電圧バッテリの昇圧前の印加電圧をbとし、前記高電圧バッテリの昇圧後の印加電圧をcとし、前記第1巻線を構成する第1導電体の線径をd1とし、前記第2巻線を構成する第2導電体の線径をd2としたときに、前記第1導電体の線径d1と前記第2導電体の線径d2とが、下記の2つの式(1)、(2)を満たす関係にあると、なお一層好適である。
√(a/c)≦d1≦√(a/b) (1)
√(b/a)≦d2≦√(c/a) (2)
かかる構成であれば、各印加電圧の値を考慮して、第1導電体及び第2導電体の各導電体の線径を最適な線径とすることができる結果、各導電体について単位体積あたりの出力が高いモータを実現することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のモータ駆動装置によれば、一方の巻線に接続された電源(第1電源)が異常状態となって、当該電源からの電流が流れなくなったとしても、他方の巻線に接続された電源(第2電源)がバックアップとして機能し、当該電源からの電流が流れることにより、モータを駆動し続けることが可能になる結果、乗物の安全性が確保されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVを搭載した車両Sを示す図である。
【図2】本実施形態に係るモータ駆動装置1の構成に関する第1例を示す図である。
【図3】図2に示されたモータ駆動装置1により駆動されるモータM1について、ステータ10の模式断面を示した図である。
【図4】各ティース12に巻回された巻線14の構造を示す図である。
【図5】本実施形態に係るモータ駆動装置1の構成に関する第2例を示す図である。
【図6】図5に示されたモータ駆動装置1により駆動されるモータM1について、ステータ10の模式断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<本実施形態に係るモータ駆動装置1について>>
本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係るモータ駆動装置1について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1は、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVを搭載した車両Sを示す図である。図2は、本実施形態に係るモータ駆動装置1の構成に関する第1例を示す図である。図3は、図2に示されたモータ駆動装置1により駆動されるモータM1について、ステータ10の模式断面を示した図である。図4は、各ティース12に巻回された巻線14の構造を示す図であり、具体的には、図3中、記号Aが付された範囲の拡大図である。図5は、本実施形態に係るモータ駆動装置1の構成に関する第2例を示す図である。図6は、図5に示されたモータ駆動装置1により駆動されるモータM1について、ステータ10の模式断面を示した図である。
【0018】
本実施形態に係るモータ駆動装置(以下、単にモータ駆動装置1という)を説明するにあたり、モータ駆動装置1を利用した車両Sについて説明する。
モータ駆動装置1は、乗物の一例としての車両Sに取り付けられており、特に、本実施形態に係る車両Sは、可動部材の一例のとしての電動パワーステアリング機構(不図示)を備えている。電動パワーステアリング機構は、可動部材モータとしての電動パワーステアリング用モータM1(以下、単にモータM1)により動かされ、具体的に説明すると、モータM1の駆動により操舵力が補助される。そして、車両Sは、モータM1の駆動源としての低電圧バッテリEV(図1参照)を有する。
【0019】
一方、本実施形態に係る車両Sは、ハイブリッドカーや電気自動車のように、電気を動力として走行する自動車である。すなわち、車両Sは、乗物走行用モータとしての車両走行用モータM2を有し、この車両走行用モータM2を駆動することにより走行する。そして、車両Sは、車両走行用モータM2の駆動源としての高電圧バッテリHEV(図1参照)を有する。
【0020】
以上のように、本実施形態に係る車両Sは、互いに異なる2つの電源を有し、一方の電源は、主にパワーステアリング機構用のモータM1を駆動するために駆動電流を供給する低電圧バッテリEVである。なお、本実施形態における低電圧バッテリEVの印加電圧の定格値は、12Vである。
もう一方の電源は、車両Sを走行させるために、車両Sに搭載された車両走行用モータM2に駆動電流を供給する高電圧バッテリHEVである。なお、本実施形態において、高電圧バッテリHEVの印加電圧は、昇圧されて車両走行用モータM2に印加され、昇圧前の印加電圧の定格値は、100V〜300Vの範囲内の値(例えば、100V若しくは288V)であり、昇圧後の印加電圧の定格値は、例えば、650Vである。
【0021】
次に、モータM1について、その構造を概説する。モータM1は、インナロータ型のブラシレスモータであり、不図示のロータと、ロータの径方向外側に配置されたステータ10(例えば、図3参照)とを有する。ステータ10には、所定の電源からの駆動電流(励磁電流)が流れる巻線14が巻装されている。
【0022】
具体的に説明すると、ステータ10は、表面に絶縁皮膜が形成されたケイ素鋼板等の薄肉の磁性材料からなるコアシート(不図示)を同軸上に積層されて形成されたコア11を有する。そして、コア11は、図3に示すように、円筒状の円筒部としての外筒部11aと、外筒部11aの内周に沿って一定間隔毎に並ぶ複数のティース12と、を有している。ティース12には、導電体としての銅線からなる巻線14が巻回されている。つまり、ティース間12には溝状のスロット15が形成されており、巻線14を構成する銅線(具体的には、後述の第1銅線13aや第2銅線13b)が各スロット15に挿通され、各スロット15内で良好に敷き詰められている(例えば、図4参照)。
【0023】
なお、本実施形態の場合、各巻線14が、対応するティース12に集中巻にて巻回されている。ただし、これに限定されるものではなく、分布巻にて巻回されている構成であってもよい。
【0024】
さらに、車両の走行中、モータM1の出力が常時監視され、具体的には、モータ出力を検出して当該検出結果を示す信号(以下、出力信号)を発信する出力検出器22によって定期的にモニタリングされる。
【0025】
次に、モータ駆動装置1の構成に関する第1例について説明する。本例では、説明を分かり易くするために、モータM1の構成を、スロット数が6である構成を例に挙げて説明する。ただし、本例で述べる構成は、説明上の便宜のために設定されたものであり、実際の構成とは異なり、例えば、3相の巻線14の各々が集中巻にてコア11に巻回されている場合には、磁極数が10又は14であってスロット数が12である構成、あるいは、3相の巻線14の各々が分布巻にて巻回されている場合には、スロット数が磁極数×3(3相分)×2(2倍)である構成が実際の構成として考えられる。なお、上述した磁極数及びスロット数は、あくまで一例に過ぎず、上記以外の数であってもよい。
【0026】
モータ駆動装置1は、ホール素子、整流素子、位置検出用磁石等から構成される周知の位置検出センサ(以下、単にセンサ16)と、制御回路(具体的には、後述の低電圧側回路17及び高電圧側回路18)とを備え、これらによってロータの回転中の位置検出を行う。この位置検出によって得られる位置信号と速度設定値を基に、モータ駆動装置1は、制御回路を通じて所定の電源からの電流を各相巻線14に流すことにより、ステータ10に回転磁界を発生させる。これにより、ロータは、安定して回転するようになる。
【0027】
そして、本実施形態では、モータM1のロータを回転させるための励磁電流を流す電源が2つ用意されており、当該電源毎に3相の巻線14がコア11に巻回されている。具体的に説明すると、励磁電流を巻線14に流す第1電源として、前述の低電圧バッテリEVが備えられている。つまり、低電圧バッテリEVから流れる電流を励磁電流として用いるべく、3相(U相、V相、W相)の巻線14(図2中、14Ua、14Va、14Waと表記)がコア11に巻回されており、各巻線14は、低電圧バッテリEVに電気的に接続している。ここで、低電圧バッテリEVに電気的に接続している巻線14は、第1巻線に相当し、第1巻線には、励磁電流として、低電圧バッテリEVからの電流が流れる。
【0028】
一方、励磁電流を巻線14に流す第2電源として、前述の高電圧バッテリHEVが備えられている。高電圧バッテリHEVは、前述したように、車両Sを走行させるために車両走行用モータM2に電力を供給する。そして、本実施形態では、低電圧バッテリEVが異常となった場合に、高電圧バッテリHEVが、低電圧バッテリEVの代わりに、モータM1を駆動する電源として機能する。このため、モータM1のロータを回転させるための励磁電流として高電圧バッテリHEVからの電流を用いるべく、第1巻線とは異なる3相の巻線14(図2中、14Ub、14Vb、14Wbと表記)が、第1巻線と共にコア11に巻回されており、各巻線14は、高電圧バッテリHEVに電気的に接続している。ここで、高電圧バッテリHEVに電気的に接続している巻線14は、第2巻線に相当し、第2巻線には、励磁電流として、高電圧バッテリHEVからの電流が流れる。
【0029】
以上のように、本実施形態では、モータM1を駆動するための駆動電流を供給する経路が2系統用意されており、各々の経路は、互いに独立している。すなわち、低電圧バッテリEVと電気的に接続した巻線14(第1巻線)には、低電圧バッテリEVからの電流が流れる一方で、高電圧バッテリHEVと電気的に接続した巻線14(第2巻線)には、高電圧バッテリHEVからの電流が流れる。換言すると、低電圧バッテリEVは、第1巻線及び第2巻線のうち、第1巻線のみに電流が流れるように第1巻線と接続しており、高電圧バッテリHEVは、第1巻線及び第2巻線のうち、第2巻線のみに電流が流れるように第2巻線と接続している。
【0030】
そして、低電圧バッテリEVが正常であるときには、モータM1を駆動するために、低電圧バッテリEVからの電流が第1巻線に流れるようになり、低電圧バッテリEVが異常であるときには、モータM1を駆動するために、高電圧バッテリHEVからの電流が第2巻線に流れるようになる。以下では、このような動作を実現するための構成について、より詳細に説明する。
【0031】
本実施形態において、モータ駆動装置1は、コントローラ19を更に備え、コントローラ19は、ブラシレスモータたるモータM1、及び、車両走行用モータM2を制御する。また、コントローラ19は、低電圧バッテリEVが正常であるときには、モータM1を駆動するために、低電圧バッテリEVからの電流が第1巻線に流れるように、低電圧バッテリEVが異常であるときには、モータM1を駆動するために、高電圧バッテリHEVからの電流が第2巻線に流れるように、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVのうち、モータM1を駆動するために使用する電源を選択する選択部として機能する。
【0032】
コントローラ19は、図2に示すように、低電圧側回路17と、高電圧側回路18と、第1制御部20と、第2制御部21と、を備えている。
低電圧側回路17は、第1制御回路に相当し、モータM1のコア11に巻回された巻線14のうち、第1巻線を含み、低電圧バッテリEVからの電流が流れる回路である。なお、低電圧側回路17のうち、第1巻線を除く部分(以下、低電圧側回路本体)は、不図示の電界効果トランジスタ及びダイオードを構成要素として有している。
【0033】
第1制御部20は、CPU、ROM及びRAMから構成され、センサ16からの位置検出信号に基づいて、低電圧側回路17の導通状態を制御するものである。具体的には、第1制御部20は、低電圧側回路本体が有する電界効果トランジスタにより、第1巻線への電流の供給と停止とをスイッチングする。これにより、低電圧バッテリEVからモータM1への駆動電流の供給、換言すると、モータM1への低電圧バッテリEVの印加電圧の供給を制御することが可能となる。
【0034】
高電圧側回路18は、高電圧バッテリHEVからの電流が流れる回路であり、図2に示すように、通常回路18aと異常回路18bとを有する。通常回路18aは、不図示の昇圧機構により、高電圧バッテリHEVから印加される電圧を昇圧して車両走行用モータM2に供給するための回路である。異常回路18bは、第2制御回路に相当し、モータM1のコア11に巻回された巻線14のうち、第2巻線を含み、また、不図示の電界効果トランジスタ、ダイオード、及び降圧機構を構成要素として有する。すなわち、異常回路18bは、第2巻線と接続されており、低電圧バッテリEVが異常であるときに、高電圧バッテリHEVから印加される電圧を降圧機構にて降圧してモータM1に供給するための回路である。
【0035】
第2制御部21は、CPU、ROM及びRAMから構成され、通常時(すなわち、低電圧バッテリEVが正常である時)には、車両走行用モータM2に電力を供給し、低電圧バッテリEVが異常であるときには、モータM1及び車両走行用モータM2の双方に電力を供給するように、高電圧側回路18(より具体的には、通常回路18a及び異常回路18b)の導通状態を制御するものである。特に、低電圧バッテリEVが異常であるとき、第2制御部21は、センサ16からの位置検出信号に基づいて、異常回路18bの導通状態を制御する。具体的には、第2制御部21は、異常回路18b内に設けられた電界効果トランジスタにより、第2巻線への電流の供給及び停止をスイッチングする。これにより、高電圧バッテリHEVからモータM1への駆動電流の供給、換言すると、モータM1への高電圧バッテリHEVの印加電圧の供給を制御することが可能となる。
【0036】
なお、本実施形態では、低電圧側回路17を流れる電流と、高電圧側回路18の異常回路18bを流れる電流とが同期するように、第1制御部20及び第2制御部21が、互いに、回路内を流れる電流の波形を示す信号を送受信している。そして、上記の2つの電流に位相差が生じた場合、第1制御部20及び第2制御部21は、一方の電流の波形を進め、かつ、他方の電流の波形を遅らせるように、対応する電流の位相を調整する。
【0037】
以上のような構成を有するコントローラ19は、第1制御部20及び第2制御部21を備えることにより、低電圧側回路17及び高電圧側回路18の導通状態を、それぞれ、独立して制御することが可能である。これにより、コントローラ19は、低電圧側回路17を通じた低電圧バッテリEVからモータM1への電流供給と、高電圧側回路18を通じた高電圧バッテリHEVからモータM1への電流供給と、を互いに独立して実行することができる。
【0038】
さらに、コントローラ19は、高電圧バッテリHEVからの駆動電流の供給先を、低電圧バッテリEVの状態に応じて切り替えることが可能である。すなわち、コントローラ19の構成要素のうち、第2制御部21が、低電圧バッテリEVの正常・異常を判断し、低電圧バッテリEVが正常である場合には、高電圧側回路18のうち、通常回路18aのみを通電状態(電流が流れる状態)とし、低電圧バッテリEVが異常である場合には、通常回路18a及び異常回路18bの双方を通電状態とする。
【0039】
なお、低電圧バッテリEVの正常・異常の判断については、前述した出力検出器22が発信する出力信号に基づいて行われる。具体的には、低電圧側回路17が通電状態にあるときに、上記の出力信号が示すモータM1のモータ出力値が正常範囲(管理範囲)内に有る場合は、低電圧バッテリEVが正常であると判断され、モータ出力値が正常範囲から外れる場合は、低電圧バッテリEVが異常であると判断される。
【0040】
次に、モータM1のコア11に巻回された巻線14のうち、低電圧バッテリEVに接続されたもの(すなわち、第1巻線)、及び、高電圧バッテリHEVに接続されたもの(すなわち、第2巻線)について、各々の巻回状態を、図3及び図4を参照しながら説明する。
本実施形態の第1例に係るモータM1では、図3に示すように、第1巻線(図3中、14Ua、14Va、14Waと表記)が、コア11中、対応するティース12に巻回されている。また、第2巻線(図3中、14Ub、14Vb、14Wb)が、同様に、対応するティース12に巻回されている。
【0041】
そして、3相の第1巻線14のうち、U相の巻線14Uaは、高電圧バッテリHEVからの電流が流れる3相の巻線14のうち、U相の巻線14Ubとともに、同一のティース12に巻回されている。また、V相、W相についても同様である。このように、本実施形態の第1例では、コア11の外筒部11aの内周に沿って複数並んだティース12の各々に、第1巻線及び第2巻線の双方が巻回されている。
【0042】
より具体的に説明すると、図4に示すように、第1巻線は、第1伝導体としての第1銅線13aにより構成され、第2巻線は、第2伝導体としての第2銅線13bにより構成されている。ここで、第1巻線を構成する第1銅線13aに比して、第2巻線を構成する第2銅線13bは細くなっている(断面積が小さくなっている)。
【0043】
そして、各ティース12において、第1巻線及び第2巻線の双方は、第2銅線13bが第1銅線13aよりもティース12の外側に位置するように、ティース12に巻回されている。換言すると、各スロット15には第1銅線13a及び第2銅線13bが挿通されており、スロット15内では、より太い第1銅線13aがティース12から見て内側に位置し、より細い第2銅線13bがティース12から見て外側に位置している。つまり、各スロット15において、第1銅線13aをティース12の外側に向けて積層させるように挿通させた際、スロット15の最外部には隙間が生じ、その隙間を埋めるように第2銅線13bを挿通させる。この結果、各スロット15において第1銅線13a及び第2銅線13bを良好に敷き詰めることが可能になり、スロット15における両銅線の占積率が向上することになる。
【0044】
また、本実施形態では、低電圧バッテリEVの印加電圧をaとし、高電圧バッテリHEVの昇圧前の印加電圧をbとし、高電圧バッテリHEVの昇圧後の印加電圧をcとし、第1銅線13aの線径をd1とし、第2銅線13bの線径をd2としたときに、第1銅線13aの線径d1と第2銅線13bの線径d2とが、下記の2つの式(1)、(2)を満たす関係にある。
√(a/c)≦d1≦√(a/b) (1)
√(b/a)≦d2≦√(c/a) (2)
かかる構成であれば、各印加電圧の値を考慮して、第1銅線13a及び第2銅線13bの各線径を最適化することができる結果、各銅線について単位体積あたりの出力が高いモータM1を実現することが可能になる。
【0045】
なお、本実施形態において、例えば、a=12V、b=100V(若しくは288V)、c=650Vとすると、これらの値を上記の2つの式(1)、(2)に代入した場合、以下のようになる。
0.135≦d1≦0.346(若しくは0.204) (3)
4.898(若しくは2.88)≦d2≦7.359 (4)
【0046】
以上までに説明してきた通り、モータ駆動装置1には、低電圧バッテリEV、すなわち、本来モータM1を駆動するための電源が異常となった場合に備えて、低電圧バッテリEVのバックアップ電源が設けられている。また、電源毎に巻線14を分けており、具体的に説明すると、低電圧バッテリEVが正常である場合に低電圧バッテリEVからの電流が流れる第1巻線と、上記のバックアップ電源からの電流が流れる第2巻線に分かれる。
【0047】
そして、低電圧バッテリEVが異常であるときには、モータM1を駆動するために、上記のバックアップ電源からの電流が第2巻線に流れるようになる。これにより、低電圧バッテリEVが異常状態となって、低電圧バッテリEVからの電流が流れなくなったとしても、バックアップ電源がモータM1に電力を供給するので、モータM1の駆動を維持することが可能になる。すなわち、モータ駆動装置1により、車両Sの走行中に低電圧バッテリEVが異常になった場合であっても、車両Sの電動パワーステアリング機構を適切に駆動し続けることが可能になるので、速やかに車両Sを路肩に寄せることが可能になる。以上の結果、本実施形態に係るモータ駆動装置1を搭載することにより、車両Sの安全性が確保され、低電圧バッテリEVの故障によって生じる重大事故を回避することが可能になる。
【0048】
また、本実施形態では、車両走行用モータM2に電力を供給する高電圧バッテリHEVを、低電圧バッテリEVのバックアップ電源として転用するので、当該バックアップ電源を別途設ける必要がなく、モータ駆動装置1、及び、モータ駆動装置1を搭載する車両Sの大型化を回避することが可能になる。
【0049】
さらに、本実施形態では、コントローラ19が第1制御部20及び第2制御部21を備えることにより、低電圧側回路17及び高電圧側回路18の導通状態を、それぞれ、独立して制御することが可能である。つまり、本実施形態では、第1制御部20による制御と、第2制御部21による制御とを各々単独で行うことができるので、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVのうち、いずれかが異常となった場合であっても、ブラシレスモータたるモータM1の駆動を適切に制御し続けることが可能になる。
【0050】
次に、モータ駆動装置1の構成に関する第2例について説明する。以下では、モータM1の構成を、スロット数(換言すると、ティース12の数)が12である構成を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、第1例と共通する構成(例えば、第1巻線や第2巻線の材質等)については、説明を省略するものとする。
【0051】
第2例においても、低電圧バッテリEVのバックアップ電源として、高電圧バッテリHEVを、転用するので、当該バックアップ電源を別途設ける必要が用いられている。そして、第1例と同様、低電圧バッテリEVに接続された巻線14(すなわち、第1巻線)、及び、高電圧バッテリHEVに接続された巻線14(すなわち、第2巻線)が、ともにモータM1のコア11に巻回されており、低電圧バッテリEVが異常であるときには、高電圧バッテリHEVからの電流を第2巻線に流すことにより、モータM1の駆動を維持することが可能である。また、コントローラ19が第1制御部20及び第2制御部21を備えおり、低電圧側回路17及び高電圧側回路18の導通状態を、それぞれ、独立して制御することが可能である。つまり、第2例においても、第1制御部20による制御と、第2制御部21による制御とを各々単独で行うことができる。以上の点において、第2例は、第1例と共通する。
【0052】
一方、第2例では、通常時、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVの双方からモータM1に駆動電流を供給して、モータM1を駆動する。すなわち、第2例において、コントローラ19は、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVのいずれもが正常な状態にある際には、モータM1を駆動するために、低電圧バッテリEVからの電流が第1巻線に流れ、かつ、高電圧バッテリHEVからの電流が第2巻線に流れるように、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVの双方を、モータM1駆動用の電源として選択する。かかる点において、第2例は、第1例と相違する。
【0053】
上記の相違点について、より詳しく説明すると、第2例に係る高電圧側回路18は、図5に示すように、走行用モータ駆動回路18cとモータ駆動回路18dとを有する。走行用モータ駆動回路18cは、不図示の昇圧機構により、高電圧バッテリHEVから印加される電圧を昇圧して車両走行用モータM2に供給するための回路である。モータ駆動回路18dは、第2制御回路に相当し、モータM1のコア11に巻回された巻線14のうち、第2巻線を含み、また、不図示の電界効果トランジスタ、ダイオード、及び降圧機構を構成要素として有する。すなわち、モータ駆動回路18dは、高電圧バッテリHEVから印加される電圧を降圧機構にて降圧してモータM1に供給するための回路である。
【0054】
そして、第2例において、第2制御部21は、通常時、走行用モータ駆動回路18cを通じて高電圧バッテリHEVの電力を車両走行用モータM2に供給するとともに、モータ駆動回路18dを通じて高電圧バッテリHEVの電力をモータM1に供給する。すなわち、通常時には、低電圧バッテリEVと高電圧バッテリHEVとが協働して、モータM1を駆動するための駆動力をモータM1に供給する。換言すると、第2例では、通常時、低電圧バッテリEVからの電流が第1巻線に流れ、かつ、高電圧バッテリHEVからの電流が第2巻線に流れるように、第1制御部20が低電圧側回路17の導通状態を、第2制御部21が高電圧側回路18のモータ駆動回路18dの導通状態を、それぞれ制御する。
【0055】
一方、低電圧バッテリEVが異常になると、高電圧バッテリHEVは、単独でモータM1に駆動電流を供給するようになる。すなわち、第2制御部21は、低電圧バッテリEVが異常となった以降も、高電圧側回路18のモータ駆動回路18dを通電状態に維持する。
【0056】
以上のように、第2例では、第2制御部21が、低電圧バッテリEVの状態の如何を問わず、例えば車両Sの走行中、終始、高電圧側回路18の走行用モータ駆動回路18c及びモータ駆動回路18dの双方を通電状態とする。これにより、車両Sの走行中、低電圧バッテリEVが異常になったとしても、高電圧バッテリHEVからの駆動電流がモータM1へ引き続き供給されるので、モータM1の駆動を維持することが可能になる。
【0057】
さらに、第2例では、高電圧バッテリHEVが異常となって、高電圧バッテリHEVからモータM1への電流供給が停止した場合であっても、低電圧バッテリEVからモータM1への電流供給が維持されるので、モータM1の駆動を維持することが可能になる。すなわち、第2例では、通常時、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVの双方からモータM1へ駆動電流が供給されるので、当該双方の一方が異常になったとしても、他方からの電流がモータM1へ引き続き供給されるので、車両Sの電動パワーステアリング機構を適切に駆動し続け、速やかに車両Sを路肩に寄せることが可能になる。以上の結果、第2例に係るモータ駆動装置1についても、これを車両Sに搭載することにより、車両Sの安全性を確保することが可能になる。
【0058】
なお、第2例では、通常時、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVの双方からモータM1へ駆動電流が供給され、その際のモータ出力は、前述した出力検出器22によって常時監視される。そして、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVのうち、いずれか一方が異常となった場合には、出力検出器22が発信した出力信号が示すモータ出力値が低下する。そして、このモータ出力値の低下を特定することにより、いずれか一方のバッテリが異常であることを把握することができる。この結果、第2例では、いずれかのバッテリが異常となったことを容易に把握することが可能になる。
【0059】
次に、第2例に係るモータM1に関して、コア11に巻回された巻線14のうち、低電圧バッテリEVに接続された第1巻線、及び、高電圧バッテリHEVに接続された第2巻線について、各々の巻回状態を、図6を参照しながら説明する。
【0060】
第2例に係るモータM1では、図6に示すように、3相の第1巻線(図6中、14U、14V、14Wと表記)がコア11中の、対応するティース12に巻回されている。一方、3相の第2巻線(図6中、14X、14Y、14Z)が、第1巻線が巻回されたティース12とは異なるティース12に巻回されている。なお、第1巻線と、第2巻線とは、互いに反対巻き方向にてティース12に巻回されている。
【0061】
さらに、第1巻線と第2巻線とは、それぞれ、コア11の外筒部11aの内周に沿って交互にティース12に巻回されている。ここで、コア11の外筒部11aの内周に沿って並ぶ複数(12個)のティース12は、外筒部11aの内周に沿って一定間隔(約30度)毎に均等に配置されている。換言すると、第1巻線と第2巻線についても、外筒部11aの内周に沿って一定のピッチで交互にティース12に巻回されていることになる。これにより、低電圧バッテリEV及び高電圧バッテリHEVのいずれか一方のバッテリが異常となった場合であっても、モータ内で電流(他方のバッテリからの電流)がバランスよく流れるようになる。この結果、上記いずれか一方のバッテリが異常となった以降も、モータM1のロータを良好に回転させることが可能になる。
【0062】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態では、主として本発明のモータ駆動装置について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0063】
特に、上記の実施形態では、電動パワーステアリング機構用のモータM1を駆動するモータ駆動装置1について説明したが、本発明のモータ駆動装置は、他の可動部材に利用されるモータ、例えば、車両S用の窓自動開閉機構(パワーウィンドウ)やワイパ機構に用いられるモータに対しても適用可能である。
【0064】
また、上記の実施形態では、乗物の一例として車両Sを挙げ、当該車両Sに搭載されたモータM1を駆動するためのモータ駆動装置1について説明したが、車両S以外の乗物、例えば、船舶や航空機に搭載されたモータに対しても、本発明のモータ駆動装置は適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 モータ駆動装置、10 ステータ、
11 コア、11a 外筒部、12 ティース、
13a 第1銅線、13b 第2銅線、
14 巻線、15 スロット、16 センサ、
17 低電圧側回路、18 高電圧側回路、
18a 通常回路、18b 異常回路、
18c 走行用モータ駆動回路、18d モータ駆動回路、
19 コントローラ、20 第1制御部、21 第2制御部、
22 出力検出器、
EV 低電圧バッテリ、HEV 高電圧バッテリ
M1 モータ、M2 車両走行用モータ、
S 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に搭載されたモータに設けられたコアに、巻回された第1巻線と、
該第1巻線と共に前記コアに巻回された第2巻線と、
前記第1巻線及び前記第2巻線のうち、前記第1巻線のみに電流が流れるように前記第1巻線と接続している第1電源と、
前記第1巻線及び前記第2巻線のうち、前記第2巻線のみに電流が流れるように前記第2巻線と接続している第2電源と、
前記第1電源が正常であるときには、前記モータを駆動するために、前記第1電源からの電流が前記第1巻線に流れるように、前記第1電源が異常であるときには、前記モータを駆動するために、前記第2電源からの電流が前記第2巻線に流れるように、前記第1電源及び前記第2電源のうち、使用する電源を選択する選択部と、を有することを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記第1電源及び前記第2電源のいずれもが正常な状態にある際には、前記モータを駆動するために、前記第1電源からの電流が前記第1巻線に流れるとともに、前記第2電源からの電流が前記第2巻線に流れるように、前記第1電源及び前記第2電源の双方を使用する電源として選択することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記モータは、ブラシレスモータであり、
前記選択部は、前記ブラシレスモータを制御するコントローラであり、
前記第1巻線を含み、前記第1電源からの電流が流れる第1回路と、
前記第2巻線を含み、前記第2電源からの電流が流れる第2回路と、を有し、
前記コントローラは、前記第1回路の導通状態を制御する第1制御部と、前記第2回路の導通状態を制御する第2制御部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記モータは、前記乗物が備える可動部材を動かすための可動部材モータであり、
前記第1電源は、前記可動部材モータを駆動するために電力を供給する低電圧バッテリであり、
前記第2電源は、前記乗物を走行させるために、前記乗物に搭載された乗物走行用モータに電力を供給する高電圧バッテリであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記コアは、円筒状の円筒部と、該円筒部の内周に沿って並ぶ複数のティースとを有し、
該ティースの各々には、前記第1巻線及び前記第2巻線の双方が巻回されていることを特徴とする請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記第1巻線を構成する第1導電体に比して、前記第2巻線を構成する第2導電体は細く、
前記第1巻線及び前記第2巻線の双方は、前記第2導電体が前記第1導電体よりも前記ティースの外側に位置するように、前記ティースに巻回されていることを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記コアは、円筒状の円筒部と、該円筒部の内周に沿って一定間隔毎に並ぶ複数のティースとを有し、
前記第1巻線と前記第2巻線とは、それぞれ、前記円筒部の内周に沿って交互に前記ティースに巻回されていることを特徴とする請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記高電圧バッテリの印加電圧は、昇圧されて前記乗物走行用モータに印加され、
前記低電圧バッテリの印加電圧をaとし、前記高電圧バッテリの昇圧前の印加電圧をbとし、前記高電圧バッテリの昇圧後の印加電圧をcとし、前記第1巻線を構成する第1導電体の線径をd1とし、前記第2巻線を構成する第2導電体の線径をd2としたときに、前記第1導電体の線径d1と前記第2導電体の線径d2とが、下記の2つの式(1)、(2)を満たす関係にあることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
√(a/c)≦d1≦√(a/b) (1)
√(b/a)≦d2≦√(c/a) (2)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−228065(P2012−228065A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93259(P2011−93259)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】