説明

レチノイン酸のアミノ、アミノ酸またはペプチド結合体

本発明は、しわ、皮膚の老化の美容的処置または予防のため、および/または表皮の肥厚化のためのレチノイル誘導体の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、レチノイン酸を有するアミノ、アミノ酸またはペプチド結合体と、それを含有する組成物とに関する。該組成物は、好ましくは局所用調製物、より好ましくは医薬品または化粧品配合物、特に化粧品配合物である。レチノイン酸のペプチド、アミノまたはアミノ酸結合体は、年齢またはストレスに関連する皮膚の老化の兆候を防止または処置できることが分かった。
【0002】
人間の皮膚は、皮膚にその特徴的な外観を与える特定の通常の角化プロセスを受ける。しかしながら、自然のままの気候、風、光損傷、ならびに太陽、雨および雪により誘発される刺激などの偶然の要因または外部要因は、この通常の皮膚の状態を妨げ、粗さ、薄片(scale)の形成(例えば、頭皮の上)、過剰の角質化、および同様の現象が現れる。さらに、皮膚の老化の過程で、特に皮膚の構造および機能の変化に反映される様々な兆候が現れる。これらの兆候の1つは、細い線および深いしわの出現であり、そのサイズおよび数は年齢とともに増大する。皮膚の微細なレリーフは均一でなくなり、異方性を有する。年齢と平行して、皮膚は内因性または外因性の妨害作用に対してより敏感になり、その結果、かゆみ、赤み、あるいは特に手および顔の領域では色素異常症による暗いしみももたらし得る。これらの望まれない兆候は、人の望ましくない年齢判断をもたらし得る。
【0003】
化粧品調製物は、皮膚のケアに特に有用である。美容的な意味での皮膚のケアの1つの目的は、環境の影響(例えば、UV光、ほこり、化学物質、微生物)と、内因性物質(例えば、水分、天然脂質、電解質)の損失とに対するバリアとしての皮膚の自然の機能を強化または再構築することである。この機能が損なわれると、毒性またはアレルゲン性物質の再吸収の増大または微生物による攻撃が生じ、毒性またはアレルギー性の皮膚の反応を導き得る。
【0004】
皮膚ケアのもう1つの目的は、毎日の洗浄で生じる皮膚による脂質および水分の損失を補償することである。これは、自然の再生能力が不十分な場合に特に重要である。
【0005】
さらに、皮膚ケア製品は、環境の影響、特に太陽および風を防御し、皮膚の老化を遅延しなければならない。
【0006】
最適化された皮膚バリア脂質合成と共に表皮を強化または肥厚化することは、皮膚のバリア能力を再構築することができ、従って、顕著な美容的価値を有する。低下した経表皮水分損失(TEWL)は無傷の脂質バリアの兆候であり、これは、皮膚のしわの出現から防御するための最初の防衛線の役割も果たす。
【0007】
しわと戦うもう1つの戦略は、真皮のコラーゲン合成を刺激することである。多数の退行性プロセスはコラーゲンマトリックスに作用し、そしてUV放射、一般的な汚染および特定のタバコの煙のような外因性の要因または内因性の要因によって誘発されて、慢性または亜慢性の炎症をもたらす。破壊および/または修復効力の損傷は、より高密度で弾性の少ない真皮の微細構造をもたらし、これは次に、深いしわの形成に至る。コラーゲンまたは他の真皮の構造タンパク質の新規の合成を強化することは、存在するしわを少なくし、新しいしわの出現から防御するために価値のある治療であると考えられる。
【0008】
老化防止用化粧品のために特に重要なのは、その規則的な代謝レベルを一定の有益なレベルに維持するために、皮膚細胞の老化を阻害することである。
【0009】
DE2102586号明細書は、癌、前癌性病変、ざ瘡、乾癬、ならびに皮膚の角質化の増大および湿疹を含むその他の変化を治療するために、薬学的な局所使用のためのレチンアミドを開示する。美容的用途、特に年齢に関連する影響を防止および処置することは開示されていない。また、この文献は、レチノイン酸のペプチドまたはアミノ酸誘導体についても開示していない。
【0010】
米国特許第4108880号明細書および米国特許第4190594号明細書は、サンフィルターとして使用するためのレチノイン酸のアミノ誘導体を開示する。この誘導体は動物実験が行われており、レチノイン酸と比較して代謝不活性であることが証明されている。アミノ酸またはペプチド結合体は言及されていない。
【0011】
国際公開第99/50240号パンフレットは、癌およびざ瘡のような皮膚の障害によるしわおよびそばかすを処置するために、化粧品調製物のためのポリエトキシ化レチンアミドを開示する。この化合物は、良好な皮膚浸透を有することが試験されている。非酸素含有アミン、特に非エトキシアミン、ならびにアミノ酸およびペプチド結合体は言及されていない。
【0012】
DE4032187号明細書は、粘膜の疾病の処置のために、レチノイン酸のシステイン結合体を開示する。美容的用途は開示されていない。
【0013】
シェアリー(Shealy)らは、マウス白血病細胞およびヒト類表皮癌細胞におけるレチノイン酸のいくつかのアミノ酸結合体のインビトロの化学防御活性を発表した[Journal of Medicinal Chemistry(1988年)、31(1)、190−6]。健康な皮膚細胞は処置されていない。
【0014】
国際公開第2004010966号パンフレットおよび特開2001−039997号明細書は、レチノイン酸の安定で水溶性のグルコースアミン誘導体を用いてしわを改善し、細胞を活性化するために化粧品配合物を提供する。この文献は、アミノ酸結合体またはアルキルアミノ誘導体を開示していない。
【0015】
EP1297830号明細書は、オゾンによる組織の損傷を防止および処置するために様々なα−またはβ−アミノ酸誘導体を開示するが、この文献は、レチノイン酸とのアミドに関しては何も言っていない。
【0016】
国際公開第00/15188号パンフレットは、皮膚の外観の治癒、水和および改善のため、ならびに皮膚の老化の処置のために、特定のペプチドについて報告している。親油性を高めるために、N末端アミンは、炭素が2〜22個の脂肪酸鎖を有すると仮定される。
【0017】
EP0864563号明細書は、セラミドの生体模倣化合物を設計することによって皮膚および毛髪の保護のためのN−アシル−ヒドロキシアミノ酸エステルの使用を開示する。セラミドは皮膚の脂質バリアに著しく寄与し、2つの長鎖脂肪酸を必要とし、そのうちの1つは、優先的に16個よりも多い炭素原子を有する。この文献は、レチノイン酸のアミドを開示または請求していない。
【0018】
EP1159952号明細書は、ヒドロキシプロリンまたはアシル化ヒドロキシプロリンを含有する化粧品を提案している。この文献は、レチノイン酸との結合体を開示していない。
【0019】
米国特許第5492894号明細書は、皮膚のしわを処置するためにトリペプチドからヘキサペプチドまでを有する組成物を開示する。ペプチドは、任意で、N末端およびC末端において様々な置換パターンにより修飾することができる。レチノイン酸による修飾は開示されていない。
【0020】
特定の皮膚美白用の酸と組み合わせたレチノールおよびその誘導体は、光で損傷された皮膚の修復、あるいはUV光へさらされた後の皮膚への光損傷の防止において有用であることが知られており、例えば、国際公開第94/09756号パンフレットが参照される。
【0021】
皮膚の老化の兆候を防止し、それと戦うため、そして皮膚の外観の改善するために様々な科学技術が存在するが、依然として、より有効な成分が要求されている。
【0022】
本発明が解決すべき問題は、しわを処置および/または防止し、表皮を肥厚化し、そして皮脂の産生を調節するために特に有用な化合物、これらの化合物を含有する組成物、特に化粧品調製物の提供であるが、環境または他の外部の影響によるか、または年齢による皮膚の老化と共に観察される他の状態に対して有用な調製物の提供でもある。該化合物は、優れた活性を持たなければならない。
【0023】
この問題は、しわを処置および/または防止し、そして表皮を肥厚化するためであるが、外部または環境の危険によって、あるいは皮膚の自然の老化によって生じ得る皮膚の老化の影響を改善するためにも、レチノイン酸のアルキルアミドおよびアミノ酸またはペプチド結合体が優れた活性を有するという思いがけない発見に基づいて解決される。これらの化合物のいくつかは、美容目的のために以前に使用されたことはなく、従って、美容効果を達成するためのこれらの化合物の使用は新規である。本発明の最も好ましい化合物は、それ自体が新規である。
【0024】
従って、本発明は、しわ、皮膚の老化の美容的処置または予防のため、および/または表皮の肥厚化のための、一般式(I)
【化17】

で表される化合物の使用を提供し、式中、
およびRはそれぞれ互いに独立して、水素またはC〜C30−炭化水素基または残基
【化18】

を表すか、
あるいはRおよびRは、これらが結合する窒素原子と一緒に5〜8員飽和または不飽和環を形成し、該環は、窒素原子に加えて炭素原子と、任意で、窒素、酸素および硫黄原子から選択される1つまたは2つのさらなるへテロ原子とを含有し、そしてC〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択される1〜3個の置換基によって非置換または置換され、上記アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1〜3個の基ORで任意で置換されるか、あるいは、
NRは、残基
【化19】

を表し、式中、
【化20】

は、アミノ酸またはペプチドのN末端で部分
【化21】

(レチノイル部分)に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、ペプチドは、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、
−X−は、−O−または−NR−であり、
は、水素、C〜C16炭化水素残基または残基PAG−Rであり、
PAGは、ポリアルキレングリコールの残基であり、
nは、0〜3の整数であり、
Hetは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1〜3個のへテロ原子を含有する5〜8員飽和または不飽和複素環であり、C〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択される1〜4個の置換基で任意で置換され、上記アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1〜3個の基ORで任意で置換され、
、R、R、RおよびRは、独立して、水素またはC〜Cアルキルであり、
そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置である。
【0025】
NRが、残基
【化22】

を表すか、あるいはRおよびRのうちの少なくとも1つが、残基
【化23】

であるか、あるいはR1およびR2が環構造を形成し、そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置である式(I)の化合物は美容分野では使用されておらず、本発明は、美容効果を提供するためのこれらの化合物の使用も提供する。
【0026】
NRが、残基
【化24】

を表すか、あるいはRおよびRのうちの少なくとも1つが、残基
【化25】

であるか、あるいはRおよびRが環構造を形成し、そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置であるが、ただし残基NRは単一の硫黄を含有するアミノ酸の残基ではない式(I)の化合物は新規の化合物であり、本発明は、これらの化合物およびそれを含有する化粧品組成物も提供する。
【0027】
本明細書において使用される場合、C〜C30炭化水素基は、好ましくはC〜C20−(より好ましくは、C〜C−)アルキル、C〜C20−(より好ましくは、C〜C−)アルケニルまたはC〜C20−(より好ましくは、C〜C−)アルキニル基であり、これらの基はそれぞれ直鎖状でも分枝状でもよく、そして置換されていても置換されていなくてもよい。置換は、存在する場合には、好ましくは、C〜C10−シクロアルキル基および/またはC〜C10−アリール基により行われ、好ましくは、1、2または3個の置換基が存在する。また上記アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖は、1つまたは複数のC〜C10−シクロアルキル基および/またはC〜C10−アリール基によって中断されるのが好ましい。アルケニル基は、好ましくは5個以下の二重結合、最も好ましくは1、2または3個の二重結合を含む。アルキニル基は、好ましくは5個以下の三重結合、より好ましくは、1、2または3個の三重結合を含む。三重結合に加えて、アルキニル基は二重結合も含有することができ、このような二重結合が存在する場合、好ましくは1、2または3個の二重結合が存在する。
【0028】
本明細書において使用される場合、C〜C16−炭化水素基は、好ましくはC〜C16−アルキル、より好ましくはC〜C−アルキル、C〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニル基であり、これらの基はそれぞれ直鎖状でも分枝状でもよく、そして置換されていても置換されていなくてもよい。置換は、存在する場合には、好ましくは、C〜C10−シクロアルキル基および/またはC〜C10−アリール基により行われ、好ましくは、1、2または3個の置換基が存在する。また上記アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖は、1つまたは複数のC〜C10−シクロアルキル基および/またはC〜C10−アリール基によって中断されるのが好ましい。アルケニル基は、好ましくは3個以下の二重結合、最も好ましくは1または2個の二重結合を含む。アルキニル基は、好ましくは3個以下の三重結合、より好ましくは、1または2個の三重結合を含む。三重結合に加えて、アルキニル基は二重結合も含有することができ、このような二重結合が存在する場合、好ましくは1または2個の二重結合が存在する。
【0029】
残基RおよびRが、これらが結合する窒素原子と一緒に5〜8員環を形成する実施形態において、この環は、好ましくは5または6員環である。環は、窒素原子に加えて任意で、1または2個のさらなるへテロ原子、好ましくは1個のさらなるへテロ原子を含有する。さらなるへテロ原子は窒素、酸素または硫黄であり、好ましくは窒素または酸素であり、最も好ましくは酸素である。環は飽和または不飽和であり、環が不飽和であれば、好ましくは1または2個の二重結合、より好ましくは1個の二重結合を含有するか、あるいは芳香族不飽和を含有する。最も好ましくは、環はモルホリノ環である。環は置換されていなくても置換されていてもよく、好ましくは、環は置換されていない。環が置換される場合、置換基は、好ましくは環構造の炭素原子に結合され、1〜3個の置換基、より好ましくは1〜2個の置換基、さらにより好ましくは1個の置換基が存在する。置換基は、C〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択され、上記アルキルおよびアルコキシ基のそれぞれは、1〜3個の基ORによって任意で置換される。
【0030】
残基RおよびRのうちの一方が残基
【化26】

である場合、他方の残基は、好ましくは水素またはC〜Cアルキル基、特に水素である。指数nは0〜3、特に1〜3であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくはnは1である。残基RおよびRは、それぞれ互いに独立して水素またはC〜Cアルキルである。最も好ましくは、残基RおよびRのうちの2個以下がC〜Cアルキルであり、特に好ましくは残基RおよびRのうちのただ1つがC〜Cアルキルである。最も好ましくは、全ての残基RおよびRが水素である。
【0031】
残基Hetは、5〜8個、特に5または6個の環原子を有する環構造であり、飽和でも不飽和でもよい。環構造が不飽和であれば、1〜3個、特に1または2個、好ましくは1個の二重結合を含有するか、あるいは芳香族環構造を構成することができる。Hetの環構造は、窒素、酸素および硫黄から、特に窒素および酸素から独立して選択される1〜3個のへテロ原子、最も好ましくは少なくとも1つのへテロ原子を含有し、好ましくはすべてのへテロ原子は窒素である。特に好ましいのは、1または2個のへテロ原子を有する環構造であり、より好ましいのは、1個のへテロ原子を有する環構造である。特に好ましい環構造は、ピリジンまたはピリミジン構造である。環構造Hetは、置換されていても置換されていなくてもよく、構造が置換される場合、置換基は、好ましくは環構造の炭素原子に結合される。環構造Hetは、置換される場合、1〜4個、好ましくは2〜4個、最も好ましくは2または3個の置換基を含有する。置換基は、C〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択され、上記アルキルおよびアルコキシ基のそれぞれは、1〜3個の基ORによって任意で置換される。最も好ましい置換基は、ヒドロキシル基と、残基ORによって非置換または置換されたC〜Cアルキル基とである。アルキルおよびアルコキシ基は、最も好ましくは、非置換であるか、あるいは1個の置換基で置換される。
【0032】
特に好ましいのは、残基NRが残基NA−C(O)−X−Rを表し、XがOであり、Rが水素またはC〜C16−炭化水素、特にC〜C16−またはC〜C−アルキル基である実施形態である。これらは、NRが、アミノ酸またはペプチドのN末端でレチノイル部分に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、ペプチドが2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、アミノ酸またはペプチドのC末端が、C〜C16−炭化水素基、特にC〜C−アルキル基によって任意でエステル化され、そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置である化合物である。
【0033】
残基PAGは、式
【化27】

のポリアルキレングリコールを表し、式中、nおよびmは0〜100の数であるが、ただしn+mは1〜150、好ましくは2〜100の数である。残基RおよびRは、独立して、直鎖でも分子鎖でもよいC〜C−アルキル残基、特にC〜C−アルキル残基である。特に好ましくは、指数mが0であり、指数nが2〜100の数である。最も好ましい残基PAGは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールである。残基PAGは、特に好ましくはポリエチレングリコールであり、これは、残基RがCH−CHであり、指数nが2〜100の数であり、指数mが0であることを意味する。
【0034】
PAGの上記定義が、nおよびmの特定の個々の数によって十分に定義されるPAGの個々の残基だけでなく、指数nおよびmの値が単に統計的な平均値であるPAGの残基も両方とも含み、残基PAGが、指数nおよびmに対して異なる値を有するいくつかの分子の混合物からなることは理解されるべきである。PAG残基の調製法のために、これらの残基は統計的混合物を構成することが多く、上記指数nおよびmが統計的平均値を構成するだけであることは当業者にはよく知られている。
【0035】
が水素またはC〜C16−炭化水素残基であれば、残基Xは好ましくは酸素である。
【0036】
特に好ましいのは、NRが、アミノ酸グリシン、α−またはβ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、セレノメチオニン、セリン、スレオニン、システイン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、タウリン、サルコシンおよびスタチン(Statine)、ノルロイシン、ノルバリン、または2−N−メチルノルロイシン、もしくはこれらのエステルの残基を表す実施形態である。特に適切なのは、言及したアミノ酸の天然異性体である。
【0037】
好ましいのは、さらに、NRが、残基
【化28】

であり、
【化29】

が、上記で定義したアミノ酸の残基を表す実施形態である。
【0038】
より好ましいのは、硫黄原子を含有しないアミノ酸であり、最も好ましいのはフェニルアラニン、グルタミンおよびヒドロキシプロリンである。最も好ましいのは、ヒドロキシプロリンである。
【0039】
また好ましいのは、NRが、カルノシン(β−Ala−His)、ホモカルノシン、バレニン、アンセリン、アスパルテーム(Phe−β−Ala)、Arg−ProまたはPro−Arg、Gln−β−Ala−His、グルタチオン(γ−Glu−Cys−Gly)、Lys−Gly−His、Lys−Thr−Ser、Leu−Arg−Trp、Ile−Lys−TrpおよびLeu−Lys−Trp、Gly−Pro−Tyr、Lys−Pro−Val、Arg−Lys−Arg、Arg−Gly−AspまたはArg−Gly−Asp−Ser、Gly−Gln−Pro−Arg、Phe−Gly−Ala−Leu、PheGly−Gln−Pro−Arg、Arg−Pro−Phe−Phe、タフトシン(Tyr−Lys−Pro−Arg)、レギン(Regine)(Gly−Gln−Pro−Arg)、Phe−Tyr−Arg−Pro−Arg、Ala−Arg−Asp−Pro−Arg、Asn−Ser−Leu−Asp−Phe、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Leu−Arg−Gly−Ile−Leu、Lys−Gly−Ile−Leu、Lys−Leu−Asp−Ala−Pro−Thrまたはこれらのエステルから選択されるペプチドの残基を表す実施形態である。特に好ましいのはジペプチドである。
【0040】
特に好ましいのは、1〜9、特に2〜8.5、好ましくは3〜7の範囲であるオクタノール/水分配係数のlog POWを有する本発明の化合物である。log POW値は、当該技術分野においてよく知られた方法によって実験的に測定することができ、あるいは、市販の十分に立証されたコンピュータプログラムによって計算することもできる(clog POW値)。本明細書において報告されるlog POW値は、シュレディンガー・ソフトウェア社(Schrodinger Software)(米国ニューヨークおよびポートランド)のコンピュータプログラムQikProp v2.1(rel 8)によって計算したclog POW値である。
【0041】
好ましいのは、さらに、NRが残基
【化30】

であり、
【化31】

が、上記で定義したペプチド、特にジペプチドの残基を表す実施形態である。残基
【化32】

の例は、例えば、
【化33】

である。
【0042】
本発明の化合物、すなわちアミノ酸またはペプチドのレチノイン酸との結合体は、単独で使用することもできるし、混合物で使用することもできる。本発明の化合物を調製するために有用なペプチドは、直接合成法を用いて製造することができるが、タンパク質の分解によって製造することもできる。タンパク質の加水分解プロセスを用いる場合、得られる混合物は、結合体を製造するために使用することができ、そして得られる生成物も本発明に従って適切であろう。しかしながら、好ましい実施形態は、3つ以下の化合物の混合物の使用であり、より好ましいのは、ただ1つの化合物の使用である。
【0043】
式(I)の化合物のいくつかのは既知の化合物であり、その調製は、文献、例えばDE−A4032187号明細書、米国特許第4,190,594号明細書およびDE−A2102586号明細書に記載されており、これらの文献の開示は参照によって本明細書中に含まれる。新規の化合物である式(I)の化合物は、同様のまたは他の既知の方法によって、もしくは本明細書の実験部分に例示される方法に対応する方法によって調製することができる。
【0044】
残基Rが残基PAG−Rである化合物は、国際公開第99/50240号パンフレットに開示されるポリエトキシ化レチンアミド誘導体と同様に調製することができ、特に、製造プロセスに関してこの文献が参照される。
【0045】
国際公開第99/50240号パンフレットのようにトレチノインまたはトレチノインハロゲン化物を用いる代わりに、本発明によると、トレチノインおよびアミノ酸またはペプチドの縮合生成物を使用することができ、この縮合生成物は、本明細書中で例示されるように調製することができる。
【0046】
本発明における使用のために特に好ましい化合物(そのいくつかは新規の化合物である)、およびこれらの化合物の計算されたclog POW値(できる限り)は、以下の表に要約される。
【0047】
【表1】





【0048】
また本発明は、一般式(I)によって表される少なくとも1つの化合物と、美容的に許容可能な賦形剤または希釈剤とを含む組成物も提供する。
【0049】
式(I)の化合物は、美容効果を提供するため、特に、しわまたは乾燥肌または敏感肌、あるいは健康な皮膚の生理的恒常性のマイナスの発達、皮膚の老化、表皮の肥厚化、抗ざ瘡によって生じる症候の処置または予防、皮膚細胞の老化の阻害、光損傷の防止または処置、酸化ストレス現象の防止または処置、セルライトの防止または処置、色素異常症および/またはさらに皮膚の調子の防止または処置、セラミドおよび脂質合成の障害の防止および処置、過剰な皮脂産生の防止、マトリックスメタロプロテアーゼまたは皮膚中の他のプロテアーゼの活性の低減、アトピー性湿疹、多形性日光疹(polymorphic light eruption)、乾癬、白斑(vertiligo)を含む炎症性の皮膚の状態の処置および防止、かゆみまたは炎症のある皮膚の防止および処置のため、より好ましくは、しわ、皮膚の老化の美容的処置または予防のためおよび/または表皮の肥厚化のために有用である。
【0050】
式Iの化合物が1つまたは複数のキラル中心を有する場合、一般式(I)で表される化合物は、ラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物または過剰のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在し得る。1つまたは複数のキラル中心が存在する場合、混合物の光学純度は、好ましくは、≧80%ee、より好ましくは、≧90%ee、最も好ましくは≧95%deである。2つ以上のキラル中心が存在する場合、混合物の純度は、好ましくは≧80%de、より好ましくは≧90%de、最も好ましくは≧95%deである。
【0051】
本発明の組成物は、化粧品組成物または化粧品調製物である。
【0052】
「化粧品調製物」または「化粧品組成物」という用語は、本出願における使用では、Rompp Lexikon Chemie、第10版、1997年、ゲオルグ・ティーメ・フェアラク・シュトゥットガルト(Georg Thieme Verlag Stuttgart)、ニューヨークにおいて「化粧品(Kosmetika)」という表題で定義されるような化粧品組成物を指す。
【0053】
本発明の組成物は、美容的に許容可能な賦形剤または希釈剤と共に、一般式(I)で表される化合物を含有する。他に何も記載されていなければ、以下で言及される賦形剤、添加剤、希釈剤などは化粧品組成物のために適切である。
【0054】
他に何も記載されていなければ、本出願では、部および割合は重量によるものであり、そして組成物の重量を基準とする。
【0055】
好ましくは、本発明の組成物は、液体または固体の水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、多重エマルジョン、ミクロエマルジョン、PET−エマルジョン、ビッカーリング・エマルジョン(bickering emulsion)、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル、一相または多相溶液、泡沫、軟膏、膏薬、懸濁液、粉末、クリーム、クレンザー、セッケンおよび他の通常の組成物などの局所用組成物であり、これらは、ペンによって、マスクとして、あるいはスプレーとして適用することもできる。
【0056】
また本発明の組成物は、保存料/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水分、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、遮光剤、化粧品活性物質、消泡剤、保湿剤、香料、界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性ポリマーもしくはこれらの混合物、推進剤、酸性化または塩基性化剤、染料、着色剤、顔料またはナノ顔料、例えば、紫外放射を物理的に遮断することによって光防御効果を提供するのに適するもの、あるいは化粧品に通常配合される他の成分などの通常の化粧品補助剤および添加剤を含有することもできる。
【0057】
また本発明の組成物は、薬学的または美容的に活性なさらなる成分、特に、ざ瘡、しわ、線、萎縮炎症を防止または低減するための成分、そして局所麻酔薬、人工日焼け剤(tanning agent)および促進剤、抗菌剤および抗真菌剤、ならびに遮光活性物質を含有することもできる。
【0058】
例としては、ペプチド(例えば、マトリキシル(MatrixylTM)[ペンタペプチド誘導体])、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、グリセロール、尿素、グアニジン(例えば、アミノグアニジン)と、アスコルビン酸、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチニルまたはプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB(例えば、ナイアシンアミド)およびビタミンB(例えば、パルミチン酸オクチルおよびトリベへニンおよびイソステアリン酸ソルビタンおよびパルミトイル−オリゴペプチド)などのビタミンおよびその誘導体と、抗ざ瘡薬(レゾルシノール、サリチル酸など)と、酸化防止剤(例えば、フィトステロール、リポ酸)と、フラボノイド(例えば、イソフラボン、フィトエストロゲン)と、アロエベラ抽出物、アラントインなどの皮膚の鎮静および治癒剤と、キレート剤および金属イオン封鎖剤と、精油、香料、皮膚感作物質(skin sensate)、乳白剤などの美的な目的に適切な薬剤、芳香族化合物(例えば、クローブ油、メントール、カンファー、ユーカリ油、およびオイゲノール)、落屑活性物質(desquamatory active)、抗ざ瘡活性物質、ビタミンB化合物、酸化防止剤、ペプチド、ヒドロキシ酸、ラジカル捕捉剤、キレート剤、ファルネソール、抗炎症剤、局所麻酔薬、日焼け活性物質、皮膚美白剤、抗セルライト剤、フラボノイド、抗菌活性物質、および抗真菌活性物質、特にビサボロール、1,2−ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,2−オクタンジオールなどのアルキルジオール、ビタミン、パンテノール、フィトール、フィタントリオール、セラミドおよび擬似セラミド、アミノ酸および生理活性ペプチド、タンパク質加水分解物、AHA酸、多価不飽和脂肪酸、植物抽出物、DNAまたはRNAおよびその断片化生成物、炭水化物がある。
【0059】
また、好ましい追加の活性成分は、ビオチン、リポ酸、共役脂肪酸、カルニチン、アシル−カルニチン、Vit.E、Vit.A、Vit.C、B3、B6、B12、パンテノール、K1、フィタントリオール、オリゴペプチド、カルノシン、ビオチノネン(Biochinonen)、フィトフルエン、フィトエン、葉酸およびその対応する誘導体である。
【0060】
本発明の経口組成物中の活性成分の含量は、通常、約1%〜90%、好ましくは約10%〜80%、例えば約50%以上である。適用は所望の効果が生じるように行なわれ、患者および所望の効果に依存する。通常の毎日の投薬量は、約0.1μg/日〜50mg/日、例えば約20μg/日〜2mg/日の範囲であり得る。
【0061】
更に、本発明の組成物は、UV−AおよびUV−Bフィルターを含有してもよい。本発明の化合物と組み合わせるのに好ましいUV−Bまたは広帯域スクリーニング剤、すなわち約290nmと340nmの間で吸収極大を有する物質の例は、以下の有機および無機化合物である。
2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレン、パーソル(PARSOL)(登録商標)340)、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのアクリレート。
− 4−メチルベンジリデンカンファー(パーソル(PARSOL)(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンファー、カンファーベンザルコニウムメトスルファート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、スルホベンジリデンカンファー、スルホメチルベンジリデンカンファー、テレフタリデンジカンファースルホン酸などのカンファー誘導体。
− オクチルメトキシシンナマート(パーソル(PARSOL)(登録商標)MCX)、エトキシエチルメトキシシンナマート、ジエタノールアミンメトキシシンナマート(パーソル(PARSOL)(登録商標)Hydro)、イソアミルメトキシシンナマートなどのシンナマート誘導体およびシロキサンに結合したケイ皮酸誘導体。
− p−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾアート、N−オキシプロピレン化エチルp−アミノベンゾアート、グリセリルp−アミノベンゾアートなどのp−アミノ安息香酸誘導体。
− ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4、4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
などのベンゾフェノン。
− ジ−(2−エチルヘキシル)4−メトキシベンザルマロナートなどのベンザルマロン酸エステル。
− 欧州特許公開EP0895776号明細書に記載されるような2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステルなどの2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸エステル。
− 欧州特許公開EP0358584B1号明細書、EP0538431B1号明細書およびEP0709080A1号明細書に記載されるような、ベンゾマロナート基を含有するオルガノシロキサン化合物、特にパーソル(Parsol)SLX。
− ドロメトリゾールトリシロキサン(メキゾリル(Mexoryl)XL)。
− 微粒子化TiOなどの顔料。「微粒子化」という用語は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。TiO粒子は、例えば酸化アルミニウムまたはジルコニウムなどの金属酸化物によって、あるいは例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによってコーティングされてもよい。このようなコーティングは当該技術分野においてよく知られている。
− 例えば2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸およびその塩(パーソル(PARSOL)(登録商標)HS)などのイミダゾール誘導体。2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸の塩は、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのような第1級、第2級および第3級アミンの塩である。
− イソプロピルベンジルサリチラート、ベンジルサリチラート、ブチルサリチラート、オクチルサリチラート(ネオ・ヘリオパン(NEO HELIOPAN)OS)、イソオクチルサリチラートまたはホモメチルサリチラート(ホモサラート、ヘリオパン(HELIOPAN))などのサリチラート誘導体。
− オクチルトリアゾン(ウビヌル(UVINUL)T−150)、ジオクチルブタミドトリアゾン(ウバソーブ(UVASORB)HEB)、ビスエトキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブ(Tinosorb)S)などのトリアジン誘導体。
− カプセル化オクチルメトキシンナマート(ユーソレックス(Eusolex)UV−pearls)などのカプセル化UVフィルター。
【0062】
本発明の化合物と組み合わせるのに好ましい広帯域またはUV Aスクリーニング剤、すなわち約320nmと400nmの間に吸収極大を有する物質の例は、以下の有機および無機化合物である。
− 4−tert.ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(パーソル(PARSOL)(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体。
− 2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(チノソーブ(TINOSORB)M)などのベンゾトリアゾール誘導体。
− 2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(ネオヘリオパン(Neoheliopan)AP)などのフェニレン−1,4−ビス−ベンゾイミダゾールスルホン酸または塩。
− 欧州特許公開EP1046391号明細書に記載されるような2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステルなどのアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン。
− 微粒子化ZnOまたはTiOなどの顔料。「微粒子化」という用語は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。粒子は、例えば酸化アルミニウムまたはジルコニウムなどの他の金属酸化物によって、あるいは例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによってコーティングされてもよい。このようなコーティングは当該技術分野においてよく知られている。
【0063】
ジベンゾイルメタン誘導体は限られた光安定性を有するので、これらのUV−Aスクリーニング剤を光安定化することが望ましいであろう。従って、「従来のUV−Aスクリーニング剤」という用語は、例えば、
− 欧州特許公開EP−A0514491号明細書およびEP−A0780119号明細書に記載されるような3,3−ジフェニルアクリレート誘導体と、
− 米国特許第5,605,680号明細書に記載されるようなベンジリデンカンファー誘導体と、
− 欧州特許公開EP−A0358584号明細書、EP−A0538431号明細書およびEP−A0709080号明細書に記載されるようなベンゾマロナート基を含有するオルガノシロキサン、特にパーソル(Parsol)SLXと、
によって安定化された例えばパーソル(PARSOL)(登録商標)1789などのジベンゾイルメタン誘導体も指す。
【0064】
本発明の組成物に添加することができるUV−A−およびUV−B−フィルターの良好な概説は、DE−A10327432号明細書にも見出すことができる。この文献で開示される全てのUVフィルター化合物は、本発明の組成物の構成要素としても有用であり、参照によって本明細書中に含まれる。
【0065】
本発明の組成物は、好ましくは、1つまたは複数の酸化防止剤/保存料を含有する。本発明に基づいて、化粧品に通常配合される全ての既知の酸化防止剤を使用することができる。特に好ましいのは、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)および誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチドおよび誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)および誘導体、クロロゲン酸および誘導体、リポ酸および誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル−、N−アセチル−、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−およびラウリル−、パルミトイル−、オレイル−、y−リノレイル−、コレステリル−およびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに非常に低い適合性用量(例えば、pmol〜μmol/kg)のスルホキシミン化合物(ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミンなど)、さらに(金属)−キレート剤(α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミン酸(palmic acid)、フィチン酸(phytinic acid)、ラクトフェリンなど)、α−ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸、リンゴ酸など)、フミン酸(huminic acid)、没食子酸、没食子抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(γ−リノール酸、リノール酸(linolic acid)、オレイン酸など)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(アスコルビルパルミテートおよびアスコルビルテトライソパルミテート、Mg−アスコルビルホスファート、Na−アスコルビルホスファート、アスコルビルアセテートなど)、トコフェロールおよび誘導体(ビタミン−E−アセテートなど)、天然ビタミンEの混合物、ビタミンAおよび誘導体(ビタミン−A−パルミテートおよび−アセテート)ならびにコニフェリルベンゾアート、ルチン酸(rutinic acid)および誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリヒドロキシブチロフェノン、尿素およびその誘導体、マンノースおよび誘導体、亜鉛および誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよび誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよび誘導体(スチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシドなど)、そして指定された活性成分の適切な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)からなる群から選択される酸化防止剤である。1つまたは複数の保存料/酸化防止剤は、本発明の組成物の全量の約0.01重量%〜約10重量%の量で存在し得る。好ましくは、1つまたは複数の保存料/酸化防止剤は、約0.1重量%〜約1重量%の量で存在する。
【0066】
通常の局所用配合物は、乳化剤、可溶化剤などのような界面活性成分も含有する。乳化剤は、2つ以上の非混和性成分が均一に混ぜ合わせられるようにする。さらに、乳化剤は、組成物を安定化する働きをする。O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/Wエマルジョン/ミクロエマルジョンを形成するために本発明において使用され得る乳化剤には、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ジイソステリン酸ポリグリセリル−3、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポリグリセリル−4/PEG−8プロピレングリコールココエート、オレアミドDEA、ミリスチン酸TEA、ステアリン酸TEA、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ナトリウムココエート、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、およびこれらの混合物が含まれる。更に適切な乳化剤は、リン酸セチル(アンフィソール(Amphisol)(登録商標)A)、リン酸セチルジエタノールアミン(アンフィソール(Amphisol)(登録商標))、リン酸セチルカリウム(アンフィソール(Amphisol)(登録商標)K)、ナトリウムグリセリルオレアートホスファート、水素化リン酸べジタブルグリセリドおよびこれらの混合物などのリン酸エステルおよびその塩である。さらに、1つまたは複数の合成ポリマーが乳化剤として使用されてもよい。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、ならびにこれらの混合物である。好ましい乳化剤は、リン酸セチル(アンフィソール(Amphisol)(登録商標)A)、リン酸セチルジエタノールアミン(アンフィソール(Amphisol)(登録商標))、リン酸セチルカリウム(アンフィソール(Amphisol)(登録商標)K)、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30−アルキルアクリレートクロスポリマー、イソステアリン酸PEG−20ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、およびこれらの混合物である。1つまたは複数の乳化剤は、本発明の組成物の全量の約0.01重量%〜約20重量%の全量で存在する。好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤が使用される。
【0067】
局所用組成物の脂質相は、
− 鉱油およびミネラルワックス、
− カプリン酸(caprinic acid)またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、好ましくはヒマシ油、
− 油またはワックスおよび他の天然または合成油、好ましい実施形態では、脂肪酸とアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンとのエステル、もしくは脂肪アルコールとカルボン酸または脂肪酸とのエステル、
− アルキルベンゾアート、および/または
− ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シクロメチコンなどのシリコーン油、
およびこれらの混合物から有利に選択することができる。
【0068】
本発明のエマルジョン、ミクロエマルジョン、オレオゲル、ヒドロディスパージョン(hydrodispersion)またはリポディスパージョン(lipodispersion)の油相中に取り込むことができる典型的な脂肪性物質は、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の線状または分枝状アルキルカルボン酸と、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の線状および/または分枝状アルコールとのエステル、ならびに芳香族カルボン酸と、3〜30個の炭素原子の飽和および/または不飽和の線状または分枝状アルコールとのエステルから有利に選択される。このようなエステルは、パルミチン酸オクチル、オクチルココエート、イソステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸セテアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル(n−hexyllaureate)、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、ヘプタン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ステアリン酸トリデシル、トリメリト酸トリデシル、ならびにこのようなエステルの合成、半合成または天然混合物、例えばホホバ油から有利に選択することができる。
【0069】
本発明の局所用組成物において使用するのに適切なその他の脂肪性成分には、レシチンなどの極性油および脂肪酸トリグリセリド、すなわち8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の線状または分枝状カルボン酸のトリグリセロールエステルが含まれるが、脂肪酸トリグセリドは、好ましくは、合成、半合成または天然油(例えば、ココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、スィートアーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、コムギ油、グレープシード油、マカダミアナッツ油など)と、線状および/または分枝状の炭化水素およびワックス、例えば鉱油、ワセリン(ペトロラタム)などの無極性油と、パラフィン、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、水素化ポリイソブテンおよびイソヘキサデカン(好ましいポリオレフィンはポリデセンである)と、ジカプリリルエーテルなどのジアルキルエーテルと、好ましくはシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、セチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)などの線状または環状シリコーン油と、これらの混合物とから選択される。
【0070】
本発明の局所用組成物中に有利に取り込むことができる他の脂肪性成分は、イソエイコサン、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸ジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸ブチレングリコール、C12〜13−アルキルアセテート、ジ−C12〜13−アルキルタートレート、トリイソステアリン、ジペンタエリトリチルヘキサカプリラト−/ヘキサカプラート、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、トリカプリリン、ジメチルイソソルビドである。特に有益なのは、C12〜15−アルキルベンゾアートおよびイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、C12〜15−アルキルベンゾアートおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物、ならびにC12〜15−アルキルベンゾアート、イソステアリン酸2−エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物の使用である。
【0071】
本発明の組成物の油相は、ビーワックス(bee wax)、チャイナワックス(china wax)、バンブルビーワックス(bumblebee wax)および他の昆虫ワックス、ならびにシアバターおよびココアバターなどの天然植物性または動物性のワックスを含有することもできる。
【0072】
水和を保持するため、または皮膚を再水和するために本発明の局所用組成物中に保湿剤が取り込まれてもよい。保護コーティングを提供することによって皮膚から水分が蒸発するのを防止する保湿剤は、エモリエントと呼ばれる。さらに、エモリエントは、皮膚表面に軟化または鎮静効果を提供し、通常、局所使用にとって安全であると考えられる。好ましいエモリエントには、鉱油、ラノリン、ペトロラタム、カプリン酸/カプリル酸トリグリセルアルデヒド、コレステロール、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン、アーモンド油、ホホバ油、アボカド油、ヒマシ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ココナッツ油およびグレープシード油、ココアバター、オリーブ油アロエ抽出物、オレイン酸およびステアリン酸などの脂肪酸、セチルおよびヘキサデシル(ENJAY)などの脂肪アルコール、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル、C9〜15−アルコールの安息香酸エステル、イソノナン酸イソノニル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルおよびポリオキシプロピレンセチルエーテルなどのエーテル、ならびにC12〜15−アルキルベンゾアート、そしてこれらの混合物が含まれる。最も好ましいエモリエントは、ヒドロキシ安息香酸エステル、アロエベラ、C12〜15−アルキルベンゾアート、そしてこれらの混合物である。エモリエントは、組成物の全量の約1重量%〜約20重量%の量で存在する。エモリエントの好ましい量は、約2重量%〜約15重量%、最も好ましくは約4重量%〜約10重量%である。
【0073】
水分と結合し、それにより水分を皮膚表面に保持する保湿剤は、湿潤剤と呼ばれる。グリセリン、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、乳酸、ピロリドンカルボン酸、尿素、リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチン、ソルビトール、PEG−4、およびこれらの混合物などの適切な湿潤剤を本発明の局所用組成物中に取り込むことができる。さらに適切な保湿剤は、ヒアルロン酸、キトサンおよび/または例えばソラビア(SOLABIA)Sによってフコゲル(Fucogel)(登録商標)1000(CAS番号178463−23−5)として得られるフコースが豊富な多糖類などの、水溶性および/または膨潤性/および/または水でゲル化する多糖類群の高分子保湿剤である。1つまたは複数の湿潤剤は、本発明の組成物中に、約0.5重量%〜約8重量%、好ましくは約1重量%〜約5重量%で任意で存在する。
【0074】
本発明の好ましい局所用組成物の水相は、アルコール、特に低級アルコール、好ましくはエタノールおよび/またはイソプロパノール、低ジオールまたはポリオールおよびそのエーテル、好ましくはプロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールのモノエチル−またはモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチル−または−モノエチル−または−モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル−または−モノエチルエーテルおよび類似生成物、ポリマー、泡沫安定剤、電解質および特に1つまたは複数の増粘剤などの通常の化粧品または医薬品の添加剤を含有することができる。本発明の配合物において生成物の粘稠度を適切にする助けをするために使用され得る増粘剤には、カルボマー、二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムおよび/またはアルミニウム、ビーズワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール多糖類、およびキサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、アクリレートクロスポリマーなどのこれらの誘導体、好ましくは980、981、1382、2984、5984のタイプのカルボポール(carbopole)(登録商標)などのカルボマーが単独で含まれるか、あるいはこれらの混合物が含まれる。本発明の組成物において、例えば、乳化剤または泡沫増進剤(builder)/安定剤などの成分を中和するために含有され得る適切な中和剤には、水酸化ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ水酸化物、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アミノメチルプロパノール、およびこれらの混合物などの有機塩基、アルギニンおよびリシンなどのアミノ酸、ならびに上記の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。中和剤は、本発明の組成物中に約0.01重量%〜約8重量%、好ましくは1重量%〜約5重量%の量で存在することができる。
【0075】
本発明の組成物中への電解質の添加は、疎水性乳化剤の挙動を変化させるために必要かもしれない。従って、本発明のエマルジョン/ミクロエマルジョンは、好ましくは、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩およびアルミン酸塩などのアニオンを含む1つまたはいくつかの塩の電解質を含有し得るが、これらに限定されない。他の適切な電解質は、乳酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩およびクエン酸塩などの有機アニオンに基づくことができるが、これらに限定されない。カチオンとしては、好ましくはアンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリまたはアルカリ土類金属、マグネシウム−、鉄−または亜鉛−イオンが選択される。特に好ましい塩は、塩化カリウムおよびナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛ならびにこれらの混合物である。電解質は、本発明の組成物中に約0.01重量%〜約8重量%の量で存在することができる。
【0076】
本発明の局所用組成物は、好ましくは、ローション、粘稠性のローション、ゲル、クリーム、乳液、軟膏、粉末または固体チューブスティックの形態で提供され、任意で、エアロゾルとしてパッケージ化され、ムース、泡沫またはスプレーの形態で提供され得る。また本発明に従う組成物は、溶媒または脂肪性物質中の懸濁液または分散液の形態、あるいはクリームまたは乳液などのエマルジョンまたはミクロエマルジョン(特に、O/WまたはW/O型、O/W/OまたはW/O/W型)、小胞性(vesicular)分散液の形態、軟膏、ゲル、固体チューブスティックまたはエアロゾルムースの形態でもよい。エマルジョンは、アニオン性、非イオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を含有することもできる。
【0077】
局所適用は、好ましくは、1日あたり少なくとも1回、例えば1日あたり2回または3回である。通常、所望の効果が達成されるまで少なくとも2日間かかる。しかしながら、所望の効果が達成されるまで、数週間、あるいはさらに数ヶ月かかることもある。
【0078】
皮膚に適用すべき局所用組成物の量は、組成物中の活性成分の濃度および所望の美容的または薬学的効果に依存する。例えば、適用は、クリームが皮膚に塗布されるようなものであり得る。クリームは、通常、皮膚1cmあたりクリーム2mgの量で塗布される。しがしながら、皮膚に塗布される組成物の量は重要ではなく、特定の量の組成物の塗布で所望の効果が達成されなければ、例えば、より多くの組成物を塗布する、あるいはより多くの活性成分を含有する組成物を塗布することによってより高い濃度の活性成分を使用することができる。
【0079】
本発明によると、組成物を調製するために、活性成分は、そのまま、あるいはカプセル化された形態、例えばリポソーム形態で使用することができる。リポソームは、好ましくは、ステロールまたはフィトステロールを添加して、あるいは添加せずにレシチンと共に形成される。活性成分のカプセル化は単独でもよいし、あるいは他の活性成分と一緒でもよい。
【0080】
本発明の組成物、特に本発明の局所用組成物において、式(I)の化合物は、組成物の全量を基準として、好ましくは0.001重量%〜約10重量%の量で含有される。より好ましくは、化合物は、組成物の全量を基準として、約0.001重量%〜約5重量%の量、より好ましくは約00.1重量%〜約0.5重量%または0.3重量%の量、特に約0.1重量%の量で組成物中に含有される。
【0081】
本発明の(好ましくは局所用)組成物がさらなる活性成分を含有する場合、このさらなる活性成分は、組成物の全量を基準として、好ましくは0.0001重量%〜約50重量%の量で含有される。より好ましくは、さらなる活性成分は、組成物の全量を基準として、約0.01重量%〜約20重量の量、より好ましくは約0.01重量%〜約1重量%の量、特に約0.1重量%の量で組成物中に含有される。
【0082】
局所用調製物の種類および局所用調製物の調製ならびにさらなる適切な添加剤については、例えば、Novak G.A.Die kosmetischen Praparate − Band 2,Die kosmetischen Praparate − Rezeptur,Rohstoffe,wissenschaftliche Grundlagen(Verlag fur Chem. Industrie H. Ziolkowski KG、Augsburg)などの関連文献を参照することができる。
【0083】
本発明の組成物は、注入可能な組成物の形態でもよい。注入可能な組成物の調製は当業者に知られており、関連文献、特に、上記で既に引用したレミントン(Remington)を参照することができる。
【0084】
式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物として存在することもでき、活性成分の水和物および溶媒和物も本発明によって包含される。アミノ酸結合体は、金属塩、アンモニウムまたはグアニジニウム(guanidinum)塩として投与することもできる。好ましい金属化カチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたは亜鉛である。
【0085】
以下の実施例は本発明を実証するが、本発明を限定すると解釈されてはならない。
【実施例】
【0086】
実施例1
1−[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエノイル]−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸エチルエステルの調製:
【化34】

4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸エチルエステル塩酸塩(651mg、3.33mmol、1.0当量)をトルエン(10mL)中に溶解した。溶液を0℃に冷却し、NEt(741mg、167.5mmol、2.2当量)を添加した後、トルエン(15mL)中のレチノイン酸塩化物(1.06g、3.33mmol、1.0当量)を10分間にわたって添加した。溶液を0℃で30分間、そして室温で30分間攪拌した。次に、水(50mL)を添加し、層を分離させ、水層を酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。合わせた有機層をNaCl飽和水溶液で1回洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、TBMEを用いてフラッシュクロマトグラフィーで残渣を精製し、純粋なアミド(500mg、34%)を白色固体で得た。
(TBME)=0.45、
H NMR(CDCl)δ=1.04(s,6H)、1.22(t,J=7.1Hz,3H)、1.46−1.50(m,2H)、1.59−1.67(m,2H)、1.73(s,3H)、2.00(s,3H)、2.02−2.08(m,3H)、2.23−2.34(m,4H)、3.55−3.60(m,1H)、3.81−3.86(m,1H)、4.07−4.25(q,J=7.1Hz,2H)、4.47−4.67(m,2H)、5.78−6.34(m,5H)、6.97(dd,J=14.9,11.3Hz,1H)、
IR(neat)cm−1:ν=3379、2933、1739、1618、1442、1373、1185、1080、968、
MS(EI)m/z=441(55)[M]、29(100)[C]。
【0087】
実施例2
1−[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエノイル]−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸の調製:
【化35】

実施例1で得られたエチルエステル(500mg、1.13mmol、1.0当量)をEtOH(5mL)中に溶解し、HO(1mL)中のNaOH(50mg、1.25mmol、1.1当量)を添加し、溶液を室温で4時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をHO(10mL)中に溶かし、CHCl(20mL)を添加した。0.5NのHSOでpH=2に酸性化した後、層を分離させ、水層をCHCl(10mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、塩水(10mL)で1回洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、純粋な酸(250mg、54%)を黄色の固体で得た。
H NMR(CDCl)δ=0.96(s,6H)、1.38−1.42(m,2H)、1.48−1.58(m,2H)、1.64(s,3H)、1.86−2.06(m,5H)、2.08−2.19(m,1H)、2.22(s,3H)、2.40−2.49(m,1H)、3.47−3.52(m,1H)、3.62−3.68(m,1H)、4.47−4.51(m,1H)、4.66−4.71(m,1H)、5.82(s,1H)、6.04−6.25(m,4H)、6.97(dd,J=14.9,11.4Hz,1H)、
13C NMR(CDCl)δ=12.9、14.4、19.2、21.7、28.9(2C)、33.1、34.3、36.1、39.6、55.3、58.7、69.6、117.9、128.9、129.4、130.1、131.2、134.9、137.2、137.7、139.9、151.7、169.4、172.6、
IR(neat)cm−1:ν=3376、2927、2865、1728、1612、1568、1440、1379、1159、1075、964、
MS(EI)m/z=412(100)[M−H]。
【0088】
実施例3
3−[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエノイルアミノ]−プロピオン酸エチルエステルの調製:
【化36】

3−アミノ−プロピオン酸エチルエステル塩酸塩(9.3g、60.5mmol、1.1当量)をトルエン(100mL)中に溶解し、トルエン(50mL)中のNEt(12.2g、121.0mmol、2.2当量)を氷冷しながら添加した。溶液を15℃で15分間攪拌し、温度を15℃よりにも低く保持しながらトルエン(220mmol)中のレチノイン酸塩化物(17.5g、55.0mmol、1.0当量)をゆっくり添加した。溶液を10℃で1時間攪拌し、次にHO(300mL)を添加し、溶液を減圧下で濃縮した。溶液を酢酸エチル(400mL)で2回抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。ヘキサン/酢酸エチル(7:3)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、純粋なアミド(15.7g、71%)を茶色のオイルで得た。
H NMR(CDCl)δ=1.04(s,6H)、1.24−1.30(m,3H)、1.44−1.50(m,2H)、1.59−1.67(m,2H)、1.72(s,3H)、2.00−2.06(m,5H)、2.36(s,3H)、2.58(t,J=5.9Hz,2H)、3.58−3.61(m,2H)、4.09−4.21(m,2H)、5.66(s,1H)、6.08−6.29(m,4H)、6.93(dd,J=15.0,11.3Hz,1H)、
MS(EI)m/z=339(100)[M]。
【0089】
実施例4
3−[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエノイルアミノ]−プロピオン酸の調製:
【化37】

実施例3のエチルエステル(39.9g、100.0mmol、1.0当量)をEtOH(500mL)中に溶解し、HO(100mL)中のNaOH(4.0g、100.0mmol、1.0当量)を添加し、溶液を室温で一晩攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、HO(100mL)およびTBME(150mL)を添加した。層を分離させ、酢酸エチル(400mL)を水層に添加した。0.5NのHSOでpH=1に酸性化した後、層を分離させ、水層を酢酸エチル(350mL)で4回抽出した。有機層を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をペンタン(50mL)中に懸濁させ、高真空で乾燥させた。粗生成物を酢酸エチル/アセトニトリル/クロロホルム(400:150:100)から再結晶させ、純粋な酸(18.3g、49%)を黄色の粉末で得た。
H NMR(CDCl)δ=0.95(s,6H)、1.38−1.42(m,2H)、1.51−1.59(m,2H)、1.64(s,3H)、1.92−1.98(m,5H)、2.28(s,3H)、2.58(t,J=5.7Hz,2H)、3.49−3.55(m,2H)、5.58+5.72(s,1H)、6.00−6.27(m,5H)、6.81−7.01(m,1H)、
IR(neat)cm−1:ν=3309、2931、1708、1549、1183、951、
MS(EI)m/z=370(100)[M−H]。
【0090】
実施例5
2−{3−[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエノイルアミノ]−プロピオニルアミノ}−3−(1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸メチルエステルの調製:
【化38】

実施例4の酸(12.3g、33.0mmol、1.0当量)をCHCl(600mL)中に溶解し、EDC塩酸塩(7.6g、39.6mmol、1.2当量)、HOBt(6.2g、39.6mmol、1.2当量)およびNEt3(20.0g、19.8mmol、3.0当量)を添加し、溶液を室温で1時間攪拌した。2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸メチルエステル塩酸塩(9.6g、39.6mmol、1.2当量)を添加し、溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(2.0L)中に溶解した。有機層をNaHCO飽和水溶液で2回洗浄し、MgSOで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、CHCl/Me0H(9:1)を用いてフラッシュクロマトグラフィーで残渣を精製し、純粋な生成物(6.5g、38%)を淡黄色の粉末で得た。
(CHCl/MeOH(9:1))=0.50、
H NMR(DMSO−d)δ=1.01(s,6H)、1.42−1.46(m,2H)、1.53−1.60(m,2H)、1.69(s,3H)、1.96−2.04(m,5H)、2.24−2.32(m,3H)、2.79−2.95(m,2H)、3.21−3.38(m,4H)、3.60(s,3H)、4.43−4.53(m,1H)、5.80+5.87(s,1H)、6.12−6.33(m,4H)、6.80(s,1H)、6.86−6.96(m,1H)、7.54(s,1H)、7.95−7.98(m,1H)、8.28−8.31(m,1H)、11.85(brs,1H)、
MS(ISP−MS)m/z=523(100)[M+H]。
【0091】
実施例6
2−{3−[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエノイルアミノ]−プロピオニルアミノ}−3−(1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸の調製:
【化39】

実施例5のメチルエステル(523mg、1.0mmol、1.0当量)をMeOH(7mL)およびHO(2mL)中に溶解した。0.5MのNaOH水溶液(2mL、1.0mmol、1.0当量)を添加し、溶液を室温で一晩攪拌した。さらに1.0MのNaOH溶液(0.2mL、0.2mmol、0.2当量)を添加し、再度溶液を室温で3日間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空で乾燥させ、ナトリウム塩(530mg量)を黄色の粉末で得た。
H NMR(CDOD)δ=0.93(s,6H)、1.37−1.41(m,2H)、1.51−1.58(m,2H)、1.61(s,3H)、1.88(s,3H)、1.91−1.96(m,2H)、2.18(s,3H)、2.25−2.33(m,2H)、2.85−2.93(m,1H)、3.03−3.09(m,1H)、3.28−3.45(m,2H)、4.38−4.43(m,1H)、5.72(s,1H)、5.99−6.25(m,4H)、6.72(s,1H)、6.87(dd,J=15.0,11.4Hz,1H)、7.41(s,1H)、
MS(EI)m/z=507(100)[M−H]。
【0092】
実施例7
3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエン酸(3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチル−ピリジン−4−イルメチル)−アミドの調製:
【化40】

ピリドキサミン二塩酸塩(750mg、3.11mmol、1.0当量)をCHCl(50mL)中に溶解し、NEt(1.9g、18.8mmol、6.0当量)を添加し、溶液を室温で15分間攪拌した。2番目のフラスコ内で、レチノイン酸をCHCl(200mL)中に溶解し、EDC塩酸塩(715mg、3.73mmol、1.2当量)およびHOBt(586mg、3.73mmol、1.2当量)で活性化した。溶液を室温で10分間攪拌してから、ピリドキサミン溶液を10分間にわたって添加し、得られた溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を低圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(400mL)中に溶かし、有機層を100mLの10%NaHCO水溶液2回洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を低圧下で蒸発させ、酢酸エチルを用いてフラッシュクロマトグラフィーで残渣を精製し、純粋なアミド(630mg、45%)を淡黄色の固体で得た。
(酢酸エチル)=0.23、
H NMR(DMSO−d)δ=1.01(s,6H)、1.41−1.45(m,2H)、1.52−1.59(m,2H)、1.68(s,3H)、1.97(s,3H)、1.99−2.02(m,2H)、2.31(s,3H)、2.34(s,3H)、4.32−4.37(m,2H)、4.57(d,J=5.4Hz,2H)、5.21(t,J=5.4Hz,1H)、5.88(s,1H)、6.12−6.33(m,4H)、6.97(dd,J=15.0,11.4Hz,1H)、7.90(s,1H)、8.90−8.94(m,1H)、10.32(s,1H)、
MS(EI)m/z=450(100)[M]。
【0093】
実施例8 老化防止クリーム
【表6】

【0094】
実施例9 目のまわりの輪郭再形成ゲル(around the eye reshaping contour gel)
【表7】

【0095】
実施例10 老化防止顔面保湿剤
【表8】

【0096】
実施例11 夜用修復クリーム
【表9】

【0097】
しわの低減の試験法
本発明の化合物および組成物の皮膚のしわを低減する能力は、「干渉縞投影による皮膚のトポグラフィー測定:技術的検証(Skin topography measurement by interference fringe projection:a technical validation)」(ラガード(Lagarde)J M、ルーブレイス(Rouvrais)C、ブラック(Black)D、ディリドロウ(Diridollou)S、ガル(Gall)Y、Skin research and technology:インターナショナル・ソサイエティ・フォア・バイオエンジニアリング・アンド・ザ・スキン(International Society for Bioengineering and the Skin)(ISBS)[および]インターナショナル・ソサイエティ・フォア・デジタル・イメージング・オブ・スキン(International Society for Digital Imaging of Skin)(ISDIS)[および]インターナショナル・ソサイエティ・フォア・スキン・イメージング(International Society for Skin Imaging)(ISSI)のオフィシャルジャーナル(2001年5月)、7(2)、112−21、または「皮膚の表面トポグラフィーの分析のための直接および間接測定技法(Direct and non−direct measurement techniques for analysis of skin surface topography)」、フィッシャー(Fischer)T W、ウィガー−アルバーチ(Wigger−Alberti)W、エルスナー(Elsner)P.、Skin pharmacology and applied skin physiology(1999年1月−4月)、12(1−2)、1−11に記載されるプロファイロメトリー法(profilometric method)によって評価することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
しわ、皮膚の老化の美容的処置または予防のため、および/または表皮の肥厚化のための、一般式(I)
【化1】

(式中、RおよびRはそれぞれ互いに独立して、水素またはC〜C30−炭化水素基または残基
【化2】

を表すか、
あるいはRおよびRは、これらが結合する窒素原子と一緒に5〜8員飽和または不飽和環を形成し、該環は、窒素原子に加えて炭素原子と、任意で、窒素、酸素および硫黄原子から選択される1つまたは2つのさらなるへテロ原子とを含有し、そしてC〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択される1〜3個の置換基によって非置換または置換され、前記アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1〜3個の基ORで任意で置換されるか、あるいは
NRは、残基
【化3】

を表し、式中、
【化4】

は、アミノ酸またはペプチドのN末端で部分
【化5】

に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、ペプチドは、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、
−X−は、−O−または−NR−であり、
は、水素、C〜C16炭化水素残基または残基PAG−Rであり、
PAGは、ポリアルキレングリコールの残基であり、
nは、0〜3の整数であり、
Hetは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1〜3個のへテロ原子を含有する5〜8員飽和または不飽和複素環であり、C〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択される1〜4個の置換基で任意で置換され、前記アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1〜3個の基ORで任意で置換され、
、R、R、RおよびRは、独立して、水素またはC〜Cアルキルであり、
そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置である)
で表される化合物の使用。
【請求項2】
前記RおよびRがそれぞれ互いに独立して、水素、分枝鎖または直鎖C〜C20アルキル基、分枝鎖または直鎖C〜C20−アルケニル基、もしくは分枝鎖または直鎖C〜C20−アルキニル基を表し、前記アルケニル基が1〜5個の二重結合を有し、前記アルキニル基が1〜5個の三重結合を有し、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基のそれぞれが、C〜C10−シクロアルキル基またはC〜C10−アリール基によって任意で置換され、そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記残基RがHであり、前記残基RがHとは異なる請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記NRが、アミノ酸またはペプチドのN末端で結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、前記ペプチドが、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、前記アミノ酸またはペプチドのC末端がC〜C16炭化水素基によって任意でエステル化される請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記アミノ酸またはペプチドのC末端が、C〜C16アルキル残基でエステル化される請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記アミノ酸が、グリシン、α−またはβ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、セレノメチオニン、セリン、スレオニン、システイン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、タウリン、サルコシンおよびスタチン、ノルロイシン、ノルバリン、もしくは2−N−メチルノルロイシンから選択されることを特徴とする請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
前記NRが、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのエステルを表す請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記−NRが、C〜C16−炭化水素基によって任意でエステル化されるジペプチドの残基を表すことを特徴とする請求項4または5に記載の使用。
【請求項9】
前記残基NRが、残基−NA−C(O)−X−Rを表し、式中、−NA−C(O)−が、アミノ酸またはペプチドのN末端でレチノイル部分に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、前記ペプチドが、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、XがOまたはNRであり、Rが残基PAG−Rであり、PAGがポリアルキレングリコールの残基であり、Rが水素またはC〜C−アルキルである請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記PAGが、式
【化6】

(式中、残基RおよびRは、独立して、分枝鎖または直鎖C〜C−アルキル残基であり、nおよびmは0〜100の数であり、n+mは1〜150である)
の残基である請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記PAGが、2〜100個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール残基である請求項10に記載の使用。
【請求項12】
しわ、皮膚の老化の美容的処置または予防のため、および/または表皮の肥厚化のため、美容効果を提供するための、一般式(I)
【化7】

(式中、Rは水素またはC〜C30−炭化水素基または残基
【化8】

を表し、Rは、残基
【化9】

を表すか、
あるいはRおよびRは、これらが結合する窒素原子と一緒に5〜8員飽和または不飽和環を形成し、該環は、窒素原子に加えて炭素原子と、任意で、窒素、酸素および硫黄原子から選択される1つまたは2つのさらなるへテロ原子とを含有し、そしてC〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択される1〜3個の置換基によって非置換または置換され、前記アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1〜3個の基ORで任意で置換されるか、あるいは
NRは、残基
【化10】

を表し、式中、
【化11】

は、アミノ酸またはペプチドのN末端で部分
【化12】

に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、ペプチドは、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、
−X−は、−O−または−NR−であり、
は、水素、C〜C16炭化水素残基または残基PAG−Rであり、
PAGは、ポリアルキレングリコールの残基であり、
nは、0〜3の整数であり、
Hetは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1〜3個のへテロ原子を含有する5〜8員飽和または不飽和複素環であり、C〜Cアルキル基、OR基、またはC〜Cアルコキシ基から独立して選択される1〜4個の置換基で任意で置換され、前記アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1〜3個の基ORで任意で置換され、
、R、R、RおよびRは、独立して、水素またはC〜Cアルキルであり、
そして任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置である)
で表される化合物の使用。
【請求項13】
前記美容効果が、しわまたは乾燥肌または敏感肌、あるいは健康な皮膚の生理的恒常性のマイナスの発達、皮膚の老化、表皮の肥厚化、抗ざ瘡によって生じる症候の処置または予防、皮膚細胞の老化の阻害、光損傷の防止または処置、酸化ストレス現象の防止または処置、セルライトの防止または処置、色素異常症および/またはさらに皮膚の調子の防止または処置、セラミドおよび脂質合成の障害の防止および処置、過剰な皮脂産生の防止、マトリックスメタロプロテアーゼまたは皮膚中の他のプロテアーゼの活性の低減、アトピー性湿疹、多形日光疹、乾癬、白斑を含む炎症性の皮膚の状態の処置および防止、かゆみまたは炎症のある皮膚の防止および処置である請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記アミノ酸またはペプチドのC末端が、C〜C16アルキル残基でエステル化される請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
前記−NRが、グリシン、α−またはβ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、セレノメチオニン、セリン、スレオニン、システイン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、タウリン、サルコシンおよびスタチン、ノルロイシン、ノルバリン、もしくは2−N−メチルノルロイシンから選択されるアミノ酸の残基を表し、C〜C16−炭化水素基によって任意でエステル化されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記NRが、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのエステルを表す請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記−NRが、C〜C16−炭化水素基によって任意でエステル化されるジペプチドの残基を表すことを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記残基NRが残基−NA−C(O)−X−Rを表し、式中、−NA−C(O)−が、アミノ酸またはペプチドのN末端でレチノイル部分に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、前記ペプチドが、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、XがOまたはNRであり、Rが残基PAG−Rであり、PAGがポリアルキレングリコールの残基であり、Rが水素またはC〜C−アルキルである請求項12または13に記載の使用。
【請求項19】
前記PAGが、式
【化13】

(式中、残基RおよびRは、独立して、分枝鎖または直鎖C〜C−アルキル残基であり、nおよびmは0〜100の数であり、n+mは1〜150である)
の残基である請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記PAGが、2〜100個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール残基である請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記残基Rが残基
【化14】

であり、前記残基Rが水素またはC〜Cアルキル基である請求項12または13に記載の使用。
【請求項22】
前記指数nが1または2である請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記残基RおよびRのうちの1つ以下が、水素と異なる請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
前記残基Hetが、5または6個の環原子を有する請求項21〜23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記残基Hetが、任意で置換された芳香族複素環である請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記残基Hetが、2または3個の置換基によって置換された複素環である請求項21〜25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
一般式(I)
【化15】

(式中、NRは請求項12と同様に定義され、任意で、C7、C9、C11およびC13二重結合のうちの1つまたは複数がシス配置であるが、ただし、残基NRは、単一の硫黄を含有するアミノ酸の残基ではない)
によって表される化合物。
【請求項28】
前記アミノ酸またはペプチドのC末端が、C〜C16炭化水素基によってエステル化される請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
前記−NRが、グリシン、α−またはβ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、スレオニン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、タウリン、サルコシンおよびスタチン、ノルロイシン、ノルバリン、もしくは2−N−メチルノルロイシンから選択されるアミノ酸の残基を表し、C〜C16−炭化水素基によって任意でエステル化されることを特徴とする請求項27または28に記載の化合物。
【請求項30】
前記−NRが、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのエステルを表す請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
前記−NRが、C〜C16−炭化水素基によって任意でエステル化されるジペプチドの残基を表すことを特徴とする請求項27または28に記載の化合物。
【請求項32】
前記残基NRが残基−NA−C(O)−X−Rを表し、式中、−NA−C(O)−が、アミノ酸またはペプチドのN末端でレチノイル部分に結合されたアミノ酸またはペプチドの残基を表し、前記ペプチドが、2、3、4、5または6個を意味する2〜6個のアミノ酸で構成され、XがOまたはNRであり、Rが残基PAG−Rであり、PAGがポリアルキレングリコールの残基であり、Rが水素またはC〜C−アルキルである請求項27に記載の化合物。
【請求項33】
前記PAGが、式
【化16】

(式中、残基RおよびRは、独立して、分枝鎖または直鎖C〜C−アルキル残基であり、nおよびmは0〜100の数であり、n+mは1〜150である)
の残基である請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
前記PAGが、2〜100個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール残基である請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記残基RおよびRが、請求項21〜26のいずれか一項と同様に定義される請求項27に記載の化合物。
【請求項36】
請求項27〜35のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と、美容的に許容可能な賦形剤または希釈剤とを含む化粧品組成物。
【請求項37】
前記組成物が局所用組成物であることを特徴とする請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物が、組成物の重量を基準として0.001〜10重量%の濃度の式(I)の化合物を含有することを特徴とする請求項36または37に記載の化粧品組成物。
【請求項39】
式(I)の化合物が、組成物の重量を基準として0.01〜0.5重量%の濃度で存在することを特徴とする請求項38に記載の化粧品組成物。

【公表番号】特表2008−515770(P2008−515770A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519691(P2007−519691)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007134
【国際公開番号】WO2006/005455
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】