説明

ローラハース炉

【課題】焼成用のローラハース炉において、被焼成物を搭載した搭載部材が炉内で蛇行など不規則な動きをすることなく、安定して搬送できるローラハース炉を提供する。
【解決手段】ローラハース炉は、複数のローラ20をそれぞれ回転させながら、搭載部材30に搭載したセラミック部材を所定の搬送方向に搬送して焼成するものであって、複数のローラそれぞれに駆動力を伝達して回転させる駆動装置40、40aと、当該駆動装置が複数のローラそれぞれを回転させる速度を制御する制御部50を備え、制御部は間欠的に、複数のローラに含まれる副駆動ローラ21の回転速度が、当該副駆動ローラよりも搬送方向上流側に配置されているローラの回転速度よりも相対的に低くなるように駆動装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被焼成物をローラで搬送しながら焼成するローラハース炉に関する。
【背景技術】
【0002】
被焼成物を焼成する焼成室を画成する炉とその被焼成物を搬送するローラとを備えるローラハース炉においては、被焼成物はサヤ又は台板といった搭載部材に搭載され、その搭載部材がローラ上に戴置されると共にそのローラの回転によって搬送されて、炉内で焼成される。回転するローラによって搬送される搭載部材は、炉内で蛇行などの不規則な動きをすることがある。このような炉内における搭載部材の不規則な動きを防止するために、ローラの中央部周囲にガイド用突起を設けて、搭載部材側にそのガイド用突起に対応する溝を形成し、ガイド用突起に溝を嵌合させることで搭載部材を安定させて搬送することが提案されている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−189774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載のローラハース炉では、搭載部材を安定して搬送することができるけれども、ガイド用突起がローラの中央部付近にのみ設けられているため破損しやすいという解決すべき課題がある。また、搭載部材はガイド用突起に合わせて溝を形成しなければならず、機種ごとに専用の搭載部材を準備する必要がある。また、ガイド用突起を搭載部材に設けた溝に嵌合させているため、搭載部材がガイド用突起に乗り上げてしまって安定した搬送ができない場合も生じ、その場合には搭載部材に載せた被焼成物が荷崩れを起こす場合も生じる。
【0004】
そこで本発明では、これらの多面的な課題を同時に解決し、安定して被焼成物及び搭載部材を搬送することができるローラハース炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のローラハース炉は、複数のローラをそれぞれ回転させながら、搭載部材に搭載した被焼成物を所定の搬送方向に搬送して焼成するローラハース炉であって、複数のローラそれぞれに駆動力を伝達して回転させる駆動手段と、当該駆動手段が複数のローラそれぞれを回転させる速度を制御する制御手段と、を備え、制御手段は間欠的に、複数のローラに含まれる1又は2以上の第1のローラの回転速度が、当該第1のローラよりも搬送方向上流側に配置されている第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように駆動手段を制御する。
【0006】
本発明のローラハース炉によれば、第2のローラよりも搬送方向下流側に配置されている第1のローラの回転速度を相対的に低くするので、搭載部材がこの第1のローラに差し掛かるとその部分の進行速度が低下する。例えば、搭載部材の姿勢が乱れている場合には、搭載部材の一部分が先に第1のローラに差し掛かるので、その一部分の進行速度が低下して搭載部分の姿勢の乱れが修正される。第1のローラの回転速度を低くするのは間欠的に行われるので、搭載部材の搬送と姿勢の修正とを切り替えて行うことができる。
【0007】
また本発明のローラハース炉では、搭載部材の搬送速度に応じた間隔で、制御手段が駆動手段を間欠的に制御することも好ましい。搭載部材の搬送速度に応じて第1のローラの回転速度を間欠的に低下させるので、搭載部材の姿勢の乱れを適切に修正できる。
【0008】
また本発明のローラハース炉では、搭載部材が搬送される間隔に応じた間隔で、制御手段が駆動手段を間欠的に制御することも好ましい。搭載部材の搬送間隔に応じて第1のローラの回転速度を間欠的に低下させるので、搭載部材の姿勢の乱れを適切に修正できる。
【0009】
また本発明のローラハース炉では、制御手段が、第1のローラの回転速度が第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように駆動手段を制御していない場合には、駆動手段は第1のローラに駆動力を伝達しないことも好ましい。第1のローラに駆動力を伝達しないので、既に姿勢が修正された搭載部材の搬送を阻害することなく円滑に搬送できる。
【0010】
また本発明のローラハース炉では、制御手段が、第1のローラの回転速度が第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように駆動手段を制御していない場合には、制御手段は、第1のローラの回転速度が第2のローラの回転速度と実質的に等しくなるように駆動手段を制御することも好ましい。第1のローラの回転速度を第2のローラの回転速度と実質的に等しくしているので、既に姿勢が修正された搭載部材の搬送を阻害することなく円滑に搬送できる。
【0011】
また本発明のローラハース炉では、搭載部材が第1のローラに搬送されると、制御手段は、第1のローラの回転速度が第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように駆動手段を制御することも好ましい。搭載部材が第1のローラに搬送された時点で第1のローラの回転速度を低くするので、搭載部材を効率的に搬送しつつ姿勢の制御を行うことができる。
【0012】
また本発明のローラハース炉では、搭載部材の搬送姿勢を取得する姿勢検知手段を備え、当該姿勢検知手段が搭載部材の搬送姿勢が正常になったことを取得した場合に、駆動手段は第1のローラに駆動力を伝達しないことも好ましい。搭載部材の搬送姿勢が正常になったことを契機として、第1のローラに駆動力を伝達しないようにするので、既に姿勢が修正された搭載部材の搬送を阻害することなく円滑に搬送できる。
【0013】
また本発明のローラハース炉では、搭載部材の搬送姿勢を取得する姿勢検知手段を備え、当該姿勢検知手段が搭載部材の搬送姿勢が正常になったことを取得した場合に、制御手段は、第1のローラの回転速度が第2のローラの回転速度と実質的に等しくなるように駆動手段を制御することも好ましい。搭載部材の搬送姿勢が正常になったことを契機として、第1のローラの回転速度を第2のローラの回転速度と実質的に等しくしているので、既に姿勢が修正された搭載部材の搬送を阻害することなく円滑に搬送できる。
【0014】
また本発明のローラハース炉では、第1のローラよりも搬送方向下流側に隣接し、駆動手段によって駆動力を伝達されない第3のローラを備えることも好ましい。駆動力を伝達されない第3のローラは搭載部材の姿勢制御に影響を与えないので、搭載部材の姿勢制御におけるバッファゾーンとして機能する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1のローラの回転速度を間欠的に制御するので、ガイド用突起といった突出部分をローラに設けることなく被焼成物を安定して搬送し焼成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の知見は、例示のみのために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0017】
本発明の実施形態であるローラハース炉の概要について図1を参照しながら説明する。ローラハース炉1aは、図1中A方向に搭載部材30を搬送する炉である。それぞれの搭載部材30は複数のセラミック部材31(被焼成物)を搭載しており、ローラハース炉1a内を搬送されることでセラミック部材31を焼成している。
【0018】
ローラハース炉1aから搬出された搭載部材30は搬送路1bを経由して搬送路1cに送られる。搭載部材30が搭載していたセラミック部材31は、搬送路1cで取り出され、搭載部材30のみが搬送路1dに送られる。搭載部材30は搬送路1dを搬送されることで還流される。
【0019】
ローラハース炉1a内において焼成される際に、搭載部材30は、図1の右列に図示されているように姿勢を乱さないで搬送されることが理想的である。ところが、ローラハース炉1a内では特有の温度プロファイルがあって、搭載部材30は、図1の左列に図示されているように姿勢を乱して搬送される場合がある。
【0020】
ローラハース炉1aの、セラミック部材31の搬送方向における温度プロファイルを図2に示す。図2は、セラミック部材31が焼成される温度を縦軸に取り、セラミック部材31がその温度に晒される時間を横軸に取っている。従って、搬送速度が一定であると仮定すると、横軸は搬送方向における位置と等価である。
【0021】
図2に示すように、ローラハース炉1a内の温度プロファイルは、1200℃まで約200℃/hで上昇する昇温区間B(変温区間)と、1200℃で温度を維持する定温区間C(変温区間)と、1200℃から室温まで約200℃/hで下降する降温区間D(変温区間)と、に区分される。搭載部材30及びセラミック部材31は、昇温区間Bにおいては膨張し、降温区間Dにおいては収縮する。従って、降温区間Dでは搭載部材30が収縮することにより、隣接する搭載部材30間に隙間が生じ、搭載部材30の姿勢が乱れる場合がある。ローラハース炉1aでは、このように姿勢が乱れた搭載部材30の姿勢を矯正することとしている。搭載部材30の姿勢の矯正は、ローラハース炉1a内のローラの動きによって行っているので、引き続いてローラハース炉1aの基本的な構造について図3を参照しながら説明する。
【0022】
図3はローラハース炉1aの炉入口側からみた縦断面図である。ローラハース炉1aは、炉10と、複数のローラ20(第2のローラ)と、駆動装置40(駆動手段)とを備えている。
【0023】
炉10は、4枚の炉壁11でセラミック部材31(被焼成物)を焼成する焼成室12を画成している。各炉壁11は耐火性煉瓦で形成されていて、ヒータ13やローラ20を貫通させるための穴を形成する部分にはメガネ煉瓦が使用されている。ヒータ13は、ローラ20を挟んで上下に設けられている。ヒータ13は炉10の入口から出口に向かって、セラミック部材31の搬送方向に連続的に設けられている。
【0024】
ローラ20は、左右の炉壁11に設けられた貫通孔111を貫通して配置されている。ローラ20の両端は、炉壁11に設けられた貫通孔111から炉10の外部にそれぞれ突出している。炉壁11の外側には、炉壁11から突出したローラ20を支えることができる位置にそれぞれ軸受装置14が設けられている。
【0025】
軸受装置14は、ベアリグ141と、筒部材142と、ハウジング143とを備えている。筒部材142は、二つのベアリング141によってその両端が支持されていて、内部にローラ20が貫通可能なように構成されている。二つのベアリング141はハウジング143内に納められている。ハウジング143は炉壁11の貫通孔111に対応する位置に取り付けられていて、ローラ20を支持している。従って、ローラ20は、その主軸周りに回転可能なように支持されている。
【0026】
一方の軸受装置14からは、ローラ20が炉10とは反対側に延出している。この延出しているローラ20は、駆動装置40の下部ハウジング46に導入されていて、その下部ハウジング46内において二つのベアリング461で支持されている。また、下部ハウジング46に導入されたローラ20にはスプロケット204が固定されていて、駆動装置40の上部ハウジング41から延びるチェーン47によって回転駆動力が与えられる。
【0027】
駆動装置40は、上部ハウジング41及び下部ハウジング46から構成されている。上部ハウジング41にはモータ44が取り付けられている。モータ44の出力軸にはスプロケット42が取り付けられている。スプロケット42に掛けられたチェーン47は、テンション調整レバー45に取り付けられたスプロケット43を介して下部ハウジング46内に入り、ローラ20に取り付けられたスプロケット204に掛けられている。従って、モータ44の回転を制御することで、ローラ20を自在に回転させることができる。
【0028】
炉10内においては、ローラ20がセラミック部材31の搬送方向に連続して並べられている。連続して設けられているローラ20上にはセラミック部材31を搭載する搭載部材30が戴置されている。
【0029】
引き続いて、ローラハース炉1aの出口付近において、搭載部材30の姿勢を修正する動作を説明する。図4は、ローラハース炉1aの出口付近の平面図である。搭載部材30は矢印A方向に搬送されていくものとする。ローラハース炉1aの出口付近においては、連続的に設けられているローラ20の間に、副駆動ローラ21(第1のローラ)とフリーローラ22(第3のローラ)とが設けられている。ローラ20は、上述のように駆動装置40によって駆動されている。副駆動ローラ21は、駆動装置40と同様の駆動装置40aによって駆動されている。フリーローラ22には駆動装置は接続されておらず、自由に回転が可能なように配置されている。
【0030】
副駆動ローラ21が設けられている近傍の炉壁11にはセンサ60が設けられている。このセンサ60は、搭載部材30が搬送されてきか否か、及び搭載部材30の姿勢が乱れているか否かを検出するための光ファイバセンサである。本実施形態のローラハース炉1aの場合には、出口付近の温度が200℃以下であるので光ファイバセンサを使用している。センサ60の取り付け位置の詳細について図5に示す。図5の(a)は搬送方向から見た正面図、(b)は側面図である。図5に示すように、センサ60は副駆動ローラ21上にある搭載部材30を検出可能な位置に配置されている。
【0031】
センサ60の出力信号は制御部50に出力されている。制御部50はセンサ60からの出力信号や、格納されているプログラムに基づいて駆動装置40及び駆動装置40aに制御信号を出力する。駆動装置40及び駆動装置40aは、制御部50から出力される制御信号に応じてそれぞれのモータの回転速度を変化させる。
【0032】
図4に示す搭載部材30の状態にあっては、副駆動ローラ21はローラ20に比較してその回転速度が10%低下するように制御されている。この場合において、姿勢を乱して搬送されてくる搭載部材30が、その姿勢を修正される状況について図6を参照しながら説明する。図6は、図4のラインa〜cにおける搭載部材30とローラ20、副駆動ローラ21、及びフリーローラ22との関係を(a)〜(c)として示した図である。
【0033】
矩形の搭載部材30が姿勢を乱して搬送されてくると、いずれかの角部が最初に副駆動ローラ21に差し掛かり、図6の(c)で示した状態となる。搭載部材30がローラ20上を搬送されてくる際の速度はローラ20の回転速度に応じた速度となる。
【0034】
一方、副駆動ローラ21の回転速度はローラ20の回転速度よりも10%遅いため、搭載部材30は副駆動ローラ21と接する部分において滑ることになる。この滑りに応じて副駆動ローラ21と搭載部材30との間には搬送方向とは逆方向を向いた摩擦力が発生する。この摩擦力とローラ20から付与される搬送方向へ向かう力との差分の力が、搭載部材30はラインc上において搬送方向へ向かう推進力となる。
【0035】
この推進力は、搭載部材30に接するローラ20の数によって変動する。従って、図6の(b)の状態と(c)の状態とを比較すると、搭載部材30に接するローラ20の数量が少ない(c)の状態の方が搬送方向へ向かう力が小さくなる。また、図6の(a)の状態では、搭載部材30が搬送方向へ向かうのを阻止する力が働かないので、搭載部材30が搬送方向へ向かう力は最も強くなる。
【0036】
よって、図4においては、搭載部材30は時計周りに回転し、30aの状態へと遷移する。ここで、搭載部材30の先端部分はフリーローラ22に差し掛かるけれども、フリーローラ22は駆動力が与えられていない自由回転のローラであるから搭載部材30の姿勢へ影響を与えない。このフリーローラ22は、搬送方向の下流側にあるローラ20との間でバッファゾーンを形成する。
【0037】
続いて、搭載部材30は姿勢を修正されながら押し出されて行く。制御部50が、センサ60からの出力信号によってその姿勢修正が完了したと判断すると、制御部50から駆動装置40aに対して、副駆動ローラ21の回転速度を通常速度に戻すように指示信号が出力される。搭載部材30は30bの状態へと遷移してローラハース炉1aの外へ搬送される。
【0038】
引き続いて、制御部50の動作について図7を参照しながら説明する。図7は、制御部50の動作を説明するためのフローチャートである。制御部50はセンサ60からの出力信号によって、搭載部材30が副駆動ローラ21が存在する所定の位置まで搬送されてきたかどうかを判断する(ステップS01)。
【0039】
搭載部材30が所定の位置まで搬送されてきたと判断すると、制御部50は駆動装置40aに対して副駆動ローラ21の回転速度を低減させるように指示する指示信号を出力する(ステップS02)。尚、副駆動ローラ21の回転速度を100%低下させて、その回転を停止させてもよい。
【0040】
制御部50はセンサ60からの出力信号によって、搭載部材30の姿勢が修正されたかどうかを判断する(ステップS03)。このステップS03においては、ステップS02における指示信号の出力から所定時間の経過をタイマを用いて計測し、所定時間経過をもって搭載部材30の姿勢が修正されたものと判断するようにしてもよい。
【0041】
搭載部材30の姿勢が修正されたと判断すると、制御部50は駆動装置40aに対して副駆動ローラ21の回転速度を通常速度に戻すように指示する指示信号を出力する(ステップS04)。
【0042】
引き続いて、本実施形態における、ローラ20、副駆動ローラ21、及びフリーローラ22を配置する変形例を説明する。第1の変形例は、図8に示すように、副駆動ローラ21及びフリーローラ22をそれぞれ2本づつ設けるものである。上述したように、搭載部材30の姿勢を修正する力は副駆動ローラ21との間の摩擦力に起因するので、副駆動ローラ21の本数を増やすことで、より迅速に搭載部材30の姿勢を修正できる。また、フリーローラ22の本数を増やすことで、搬送方向下流側のローラ20までのバッファゾーンを拡張できる。
【0043】
第2の変形例は、図9に示すように、副駆動ローラ21及びフリーローラ22をそれぞれ2本づつ設け、副駆動ローラ21及びフリーローラ22を設けたゾーンが複数箇所あるようにするものである。この場合には、上述した搭載部材30の姿勢修正力の増強に加えて、姿勢修正後に更に搭載部材30の姿勢が乱れた場合であっても再度の姿勢修正が可能になる。
【0044】
第3の変形例は、図10に示すように、副駆動ローラ21を2本設けて、フリーローラ22は除去するようにするものである。副駆動ローラ21が複数本設けられていて、搭載部材30の姿勢修正力は増強されているので、フリーローラ22によってバッファゾーンを設けなくても、搭載部材30の姿勢を修正することができる。
【0045】
第4の変形例は、図11に示すように、副駆動ローラ21を複数組設けて、それぞれの組に対して駆動装置40a〜40cを設けているものである。駆動装置40a〜40cは、下流側から順に設けられていて、最も上流側に設けられている駆動装置40cによって駆動される副駆動ローラ21cの回転速度が最も早く、次に設けられている駆動装置40bによって駆動される副駆動ローラ21bの回転速度が次に速く、最も下流に設けられている駆動装置40aによって駆動される副駆動ローラ21aの回転速度が最も遅くなるように制御されている。例えば、副駆動ローラ21cの回転速度を100とすると、副駆動ローラ21bの回転速度が80、副駆動ローラ21aの回転速度が60となるように制御されている。これらの副駆動ローラ21a〜21cが設けられている区間で搭載部材30の姿勢が修正される。尚、副駆動ローラ21a〜21cの間にはフリーローラ22がそれぞれ設けられている。
【0046】
第5の変形例は、図12に示すように、副駆動ローラ21よりも上流側にフリーローラ22を設けているものである。
【0047】
引き続いて、本実施形態における、副駆動ローラ21への駆動力の伝達タイミングの変形例を説明する。上述の実施形態では、副駆動ローラ21の回転速度を、搭載部材30の搬送姿勢修正後にローラ20と実質的に同じ回転速度に戻す例を説明したが、副駆動ローラへ駆動力を伝達しないようにしてもよい。搭載部材30の搬送姿勢が正常になったことを契機として、副駆動ローラ21に駆動力を伝達しないようにするので、既に姿勢が修正された搭載部材30の搬送を阻害することなく円滑に搬送できる。
【0048】
また、制御部50による副駆動ローラ21の回転速度の制御は、搭載部材30の搬送速度に応じた間隔で行うようにしてもよい。搭載部材30の搬送速度に応じて副駆動ローラ21の回転速度を間欠的に低下させることになるので、搭載部材30の姿勢の乱れを適切に修正できる。
【0049】
また、制御部50による副駆動ローラ21の回転速度の制御は、搭載部材30が搬送される間隔に応じた間隔で行うようにしてもよい。搭載部材30の搬送間隔に応じて副駆動ローラ21の回転速度を間欠的に低下させることになるので、搭載部材30の姿勢の乱れを適切に修正できる。
【0050】
本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態においては、ローラ20よりも搬送方向下流側に配置されている副駆動ローラ21の回転速度を相対的に低くするので、搭載部材30がこの副駆動ローラ21に差し掛かるとその部分の進行速度が低下する。搭載部材30の姿勢が乱れている場合には、搭載部材30の一部分が先に副駆動ローラ21に差し掛かるので、その一部分の進行速度が低下して搭載部分30の姿勢の乱れが修正される。副駆動ローラ21の回転速度を低くするのは間欠的に行われるので、搭載部材30の搬送と姿勢の修正とを切り替えて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態の全体構成を示す概念図である。
【図2】本実施形態のローラハース炉の温度プロファイルを示す図である。
【図3】本実施形態のローラハース炉の構成を説明するための断面図である。
【図4】本実施形態のローラハース炉出口近傍の平面図である。
【図5】図4のセンサの配置位置を説明するための図である。
【図6】搭載部材の姿勢を修正する動作を説明するための図である。
【図7】制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態のローラ配置の変形例を示す図である。
【図9】本実施形態のローラ配置の変形例を示す図である。
【図10】本実施形態のローラ配置の変形例を示す図である。
【図11】本実施形態のローラ配置の変形例を示す図である。
【図12】本実施形態のローラ配置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1a…ローラハース炉、10…炉、11…炉壁、111…貫通孔、12…焼成室、13…ヒータ、14…軸受装置、141…ベアリング、142…筒部材、143…ハウジング、20…ローラ、21…副駆動ローラ、22…フリーローラ、30…搭載部材、31…セラミック部材、40、40a…駆動装置、41…上部ハウジング、42…スプロケット、43…スプロケット、44…モータ、45…テンション調整レバー、46…下部ハウジング、461…ベアリング、50…制御部、60…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラをそれぞれ回転させながら、搭載部材に搭載した被焼成物を所定の搬送方向に搬送して焼成するローラハース炉であって、
前記複数のローラそれぞれに駆動力を伝達して回転させる駆動手段と、
当該駆動手段が前記複数のローラそれぞれを回転させる速度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は間欠的に、前記複数のローラに含まれる1又は2以上の第1のローラの回転速度が、当該第1のローラよりも前記搬送方向上流側に配置されている第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように前記駆動手段を制御することを特徴とするローラハース炉。
【請求項2】
前記搭載部材の搬送速度に応じた間隔で、前記制御手段が前記駆動手段を間欠的に制御することを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項3】
前記搭載部材が搬送される間隔に応じた間隔で、前記制御手段が前記駆動手段を間欠的に制御することを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項4】
前記制御手段が、前記第1のローラの回転速度が前記第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように前記駆動手段を制御していない場合には、
前記駆動手段は前記第1のローラに駆動力を伝達しないことを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項5】
前記制御手段が、前記第1のローラの回転速度が前記第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように前記駆動手段を制御していない場合には、
前記制御手段は、前記第1のローラの回転速度が前記第2のローラの回転速度と実質的に等しくなるように前記駆動手段を制御することを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項6】
前記搭載部材が前記第1のローラに搬送されると、前記制御手段は、前記第1のローラの回転速度が前記第2のローラの回転速度よりも相対的に低くなるように前記駆動手段を制御することを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項7】
前記搭載部材の搬送姿勢を取得する姿勢検知手段を備え、
当該姿勢検知手段が前記搭載部材の搬送姿勢が正常になったことを取得した場合に、前記駆動手段は前記第1のローラに駆動力を伝達しないことを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項8】
前記搭載部材の搬送姿勢を取得する姿勢検知手段を備え、
当該姿勢検知手段が前記搭載部材の搬送姿勢が正常になったことを取得した場合に、前記制御手段は、前記第1のローラの回転速度が前記第2のローラの回転速度と実質的に等しくなるように前記駆動手段を制御することを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。
【請求項9】
前記第1のローラよりも前記搬送方向下流側に隣接し、前記駆動手段によって駆動力を伝達されない第3のローラを備えることを特徴とする、請求項1に記載のローラハース炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−90579(P2006−90579A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273841(P2004−273841)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】