説明

交通状況予測システム、ナビゲーション装置及びサーバ

【課題】渋滞等の予測精度を高めることができる交通状況予測システム、ナビゲーション装置及びサーバを提供する。
【解決手段】複数の車両3の各々に搭載され、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置10と、ナビゲーション装置10の各々に設定された目的地までの経路情報に基づいて渋滞を予測する交通状況予測部120を備えたサーバ100とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞を予測する交通状況予測システム、ナビゲーション装置及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の渋滞情報を生成するには、道路上を走行する車両の動きを監視する必要がある。車両の動きを監視して渋滞情報を算出する方法として、GPS(Global Positioning System)受信機を搭載したプローブカーから取得した位置情報(プローブ情報)により算出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−29098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、プローブ情報からはプローブ情報を収集する車両が移動したエリアの情報しか取得できないため、渋滞の予測精度が不十分な場合があった。
そこで、本発明の目的は、渋滞等の予測精度を高めることができる交通状況予測システム、ナビゲーション装置及びサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述課題を解決するため、本発明は、交通状況予測システムにおいて、複数の車両の各々に搭載され、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報に基づいて、渋滞を予測する予測部を備えたサーバとを備えることを特徴とする。
この発明によれば、サーバがナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報に基づいて渋滞を予測するので、ナビゲーション装置を搭載する車両の目的地までの移動経路を精度良く予測でき、この予測結果に基づいて精度の高い渋滞予測情報を得ることができる。
【0005】
上記構成において、前記サーバの予測部は、前記ナビゲーション装置の各々からの経路情報に基づいて時間毎の車分布を求め、この時間毎の車分布に基づいて渋滞を予測するようにしてもよい。この構成によれば、渋滞時間及び渋滞エリアを精度良く特定することができる。
また、上記構成において、前記経路情報は、前記ナビゲーション装置に設定された目的地と、前記ナビゲーション装置を搭載する車両の現在地にしてもよい。この構成によれば、経路情報の情報量を少なくしつつこの経路情報から目的地の移動経路を予測可能である。
【0006】
また、上記構成において、前記ナビゲーション装置は、前記サーバが予測した渋滞の予測結果を取得して報知してもよく、この場合、当該ナビゲーション装置が案内する案内経路及びその周辺に存在する前記渋滞の予測結果を選択して報知してもよい。この構成によれば、必要度が高い渋滞の予測結果を優先的に報知することができる。
【0007】
また、本発明は、車両に搭載され、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、複数の車両の目的地までの経路情報に基づいて渋滞を予測する予測部を備えたサーバを有する交通状況予測システムに利用され、設定された目的地までの経路情報を送る経路情報送信部を備えたことを特徴とする。上記構成において、前記サーバが予測した渋滞の予測結果を取得して報知してもよい。
【0008】
また、本発明は、サーバにおいて、複数の車両の各々に搭載されたナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報を取得する経路情報取得部と、取得した経路情報に基づいて渋滞を予測する予測部とを備えたことを特徴とする。この発明によれば、ナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報に基づいて渋滞を予測するので、ナビゲーション装置を搭載する車両の目的地までの移動経路を精度良く予測でき、この予測結果に基づいて精度の高い渋滞予測情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報に基づいて渋滞を予測するので、ナビゲーション装置を搭載する車両の目的地までの移動経路を精度良く予測でき、この予測結果に基づいて精度の高い渋滞予測情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る交通状況予測システムを示す図である。この交通状況予測システム1は、複数の車両(移動体)3の各々に搭載されたナビゲーション装置(車両誘導装置とも称する)10と、インターネットの通信回線5に接続され、情報センタとして機能するサーバ100とを有している。
ナビゲーション装置10は、無線通信網を形成する携帯電話回線網を利用したインターネット接続サービスを利用して、サーバ100との間でデータ通信可能に構成されている。より具体的には、ナビゲーション装置10は、通信アンテナ(不図示)を介して所定周波数帯の無線電波を送受信することにより、各所に備えられた携帯電話基地局7に対してデータの送受信を行う。
携帯電話基地局7は、携帯電話回線網の通信エリアに分散配置され、ナビゲーション装置10からの電波信号を受信すると、これをデコードしてTCP/IPパケットを生成してサーバ100に転送し、サーバ100からパケットデータを受信すると、そのパケットデータの送信先のナビゲーション装置10へ無線送信する。なお、携帯電話回線網を利用する場合に限らず、他の無線通信網を利用してもよく、その無線通信網に合わせたWiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の種々の無線通信方式を適用してもよい。
【0011】
図2は、ナビゲーション装置10のブロック図である。
ナビゲーション装置10は、GPS(Global Positioning System)ユニット11と、ジャイロユニット12と、車速検出部13と、FM受信部14と、ビーコン受信部15と、表示部16と、指示入力部17と、ユーザインターフェース部18と、制御部20と、情報記憶部21と、記録媒体読書部22と、通信制御部23と、音声再生部37とを備えている。
GPSユニット11は、GPSアンテナ(レシーバでも良い)11Aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両3の現在地を示す位置座標と進行方向とを演算により取得すると共に、GPS信号に含まれる日時情報と車両3の現在地の時差とから車両3の現在地における日時情報(年、月、日、時、分等)を演算により取得し、これら情報を制御部20に出力する。
ジャイロユニット12は、ジャイロセンサにより車両3の相対的な方位を検出して制御部20に出力し、車速検出部13は、車両3の車速パルスPSに基づいて車両3の速度を演算により求め、制御部20に出力する。
【0012】
FM受信部14は、FMアンテナ14Aを介してFM多重放送波を受信し、FM多重放送波に重畳された交通情報(VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)情報)を取得して制御部20に出力する。また、ビーコン受信部15は、ビーコン用アンテナ15Aを介してビーコン情報を受信して制御部20に出力する。
ここで、FM多重放送波に重畳される交通情報は、例えば県単位の交通情報であり、ビーコン情報についても、前方数十km〜数百km先の交通情報である。この交通情報は、道路交通情報通信システムセンター(VICSセンタ)が収集、処理、編集した現在の道路交通情報であり、現在の渋滞情報を含んでいる。すなわち、FM受信部14及びビーコン受信部15は、現在の渋滞を含む交通情報(以下、現在交通情報という)を取得する現在交通情報取得手段として機能している。
【0013】
表示部16は、例えば、タッチパネル付きの液晶表示装置が適用され、制御部20の制御の下、検索された案内経路もしくは施設を示した地図等の各種情報を表示する。指示入力部17は、ナビゲーション装置10が備える各種操作子やタッチパネルの操作を検出する操作検出部と、リモートコントローラ(図示せず)からの送信信号を受信する受信部等から構成され、ユーザからの各種指示を制御部20に出力する。ユーザインターフェース部18は、I/O制御回路やドライバ等であり、表示部16及び指示入力部17と、制御部20とを接続するインターフェースである。
【0014】
制御部20は、このナビゲーション装置10全体を制御するものであり、CPU及びその周辺回路から構成され、CPUがメモリ部25のROM30に記憶された制御プログラム等の各種データを読み出してプログラムを実行することにより、指示入力部17を介して入力されたユーザ指示に応じて、ナビゲーション装置10の各部を制御する。DRAM31は、CPUのワークエリアに使用されるメモリである。また、SRAM32は、不揮発性メモリであり、車両3のアクセサリ電源等の本装置のメイン電源がオフの間も、電池等でバックアップされてメモリ内容を保持する。また、VRAM33は、表示部16の表示用データが格納されるメモリである。
【0015】
情報記憶部21は、地図データを記憶する記憶手段であり、具体的には、ハードディスク装置、CD−ROMやDVD−ROM等のディスク状記録媒体に記憶された上記各データを読み出し可能な読取装置等が適用される。この地図データは、ナビゲーション用の地図データであるため、いわゆる画像としての地図データに加え、現在地から目的地までの経路計算に利用可能な経路データを含んでいる。
例えば、経路データは、主に交差点・分岐点を示すノード(点)、ノードを結ぶリンク(線)によって構成されている。各々のリンクには、リンクを特定するユニークな番号(リンクID)、リンク長、種別(国道、都道府県道・・・)、リンクの道路幅、有料・無料、通行規制等の属性が付与されている。各々のノードには、ノードを特定するユニークな番号(ノードID)、接続するリンク同士の通行規制やレーン情報等の属性が付与されている。また、適切に案内を行うために、各ノードに対応して、その地点で目印となる交差点の名称や、付近に有る施設の記号データ、交差点の画像データ等が格納されている。検索データとしては、住所や電話番号、ジャンルで検索するためのデータが考えられ、これにより検索されたデータを目的地として設定することができる。
【0016】
記録媒体読書部22は、制御部20の制御の下、このナビゲーション装置10に接続された外部記録媒体に対してデータの記録・読み出しを行うものであり、外部記録媒体には、例えば、メモリースティック(登録商標)、メモリカード、CFカード(登録商標)が適用される。
通信制御部23は、制御部20の制御の下、このナビゲーション装置10に接続された無線通信機器(例えば、携帯電話機)35を介して情報センタ(サーバ100)やインターネットにアクセスし、無線通信ネットワークを介して各種情報を受信する。なお、図2中、符号35Aは無線通信機器35の通信アンテナである。また、この無線通信機器35は、ナビゲーション装置10に内蔵される構成でもよい。
【0017】
上記制御部20は、制御プログラムを実行することによって図3に示す各部分としての機能を実現するように構成されている。すなわち、現在地検出部40は、GPSユニット11等から得た情報により現在地(自車位置とも言う)を逐次計算する手段であり、目的地設定部41は、地図データを記憶した情報記憶部21からの施設検索や表示地図上でのカーソル指定等により、目的地の設定を行う手段である。また、経路設定部42は、現在地検出部40により検出される現在位置から、目的地設定部41により設定された目的地に到達するまでの案内経路を計算し、結果として得られた案内経路を設定する手段である。
【0018】
経路計算は、例えば、経路データのノード、リンクの情報等を用いて、通りやすさを示す値(道路コスト)を算出し、道路コストの総計が最小となるようにリンクを結んで経路を選択する。このとき進入禁止や一方通行といった交通規制情報を利用して、その規制に矛盾しない経路を設定する。
また、本実施形態では、FM受信部14及びビーコン受信部15により得た現在交通情報や、サーバ100から得た後述する渋滞予測情報を利用して、道路コストの値を変更することで、より最適な経路を設定することが可能である。
【0019】
また、経路情報送信部43は、ナビゲーション装置10に設定された経路情報をサーバ100に送信する手段である。この経路情報は、ナビゲーション装置10が搭載された車両3の予測経路を特定可能な情報であり、本実施形態では、ナビゲーション装置10に設定された目的地と出発地の2つの位置情報が適用される。この出発地は、例えば、ナビゲーション装置10に目的地が設定されたときの車両3の現在地(自車位置)が適用される。
案内制御部44は、設定された経路に従った経路案内(車両誘導ともいう)を実行するための種々の情報を処理する手段であり、例えば、交差点手前で地図を拡大表示する表示制御、FM受信部14及びビーコン受信部15により得た現在交通情報の表示制御、サーバ100から得た渋滞予測情報の表示制御、ナビゲーションのための案内音声や現在交通情報や渋滞予測情報を報知するための音声制御を行う。
表示処理部45は、案内制御部44の表示制御に基づき表示部16の表示処理を行う手段であり、音声処理部46は、案内制御部44の音声制御に基づき案内音声等の音声出力処理を行う手段である。
【0020】
次にサーバ100について説明する。
図1に示すように、サーバ100は、インターネット規格に従って通信を行うための通信部(経路情報取得部)110と、交通状況予測部120と、経路情報データベース(以下、データベースをDBという)130と、地図DB140とを備えている。経路情報DB130には、ナビゲーション装置10の経路情報が格納され、地図DB140には、地図データが格納される。この地図データは、ナビゲーション装置10が経路案内に使用する地図データとほぼ同じ地図データであり、つまり、経路計算に利用可能な経路データを含む地図データである。
【0021】
交通状況予測部120は、CPU、ROM及びRAM等を備えたコンピュータ構成を有し、CPUがROM等に記憶された渋滞推定用プログラム等の各種データを読み出して該プログラムを実行することにより、経路情報DB130内の経路情報群、及び地図DB140内の地図データを参照して今後予測される渋滞情報(以下、渋滞予測情報という。)を作成する。この渋滞予測情報は、通信部110により各ナビゲーション装置10にデータ送信(配信)される。
すなわち、この交通状況予測システム1では、サーバ100がサービス利用側端末となるナビゲーション装置10の各々から経路情報を取得し、蓄積した経路情報の各々に基づいて各ナビゲーション装置10が搭載された車両3の目的地までの予測経路を算出し、現在時刻から所定時間毎(例えば、5分毎)の車分布を求め、この車分布に基づいて渋滞時間及び渋滞エリアを予測して渋滞予測情報を作成し、各ナビゲーション装置10への配信サービスを行う。
なお、このサービスが提供されるナビゲーション装置10の登録情報は、サーバ100側に予め登録されており、ナビゲーション装置10にはサーバ100の送信先等のサービスを利用するための利用情報が予め登録されている。
【0022】
次に交通状況予測システム1による渋滞予測情報の作成処理を説明する。
なお、このシステム1では、複数のナビゲーション装置10から送信される経路情報に基づいてサーバ100が渋滞予測情報を作成するが、説明の便宜上、一台のナビゲーション装置10とサーバ100とについて各々の動作を図4を参照して説明する。
まず、ナビゲーション装置10において、現在地が検出され(ステップS1A)、かつ、ナビゲーション装置10のユーザにより目的地が設定されると(ステップS2A)、ナビゲーション装置10の経路情報送信部43により経路情報がサーバ100に送信される(ステップS3A)。
この場合、ナビゲーション装置10においては、目的地が設定されると、一般的には、ユーザ指示により出発地(現在地)から目的地への案内経路を算出して経路案内を開始し、このナビゲーション装置10が搭載された車両3が経路案内に従って目的地へ向かって走行することになる。
【0023】
一方、サーバ100においては、ナビゲーション装置10から送信された経路情報を受信すると(ステップS1B)、経路情報DB130に格納し、交通状況予測部120により、経路情報DB130に蓄積した多数の経路情報の各々に基づいて、出発地から目的地に到達する予測経路を各々算出する(ステップS2B)。この予測経路は、各ナビゲーション装置10の経路計算と同じアルゴリズムで計算することにより、通常、各ナビゲーション装置10で計算される案内経路と同じ経路を算出可能である。
次に、サーバ100においては、交通状況予測部120により各予測経路を各々通る車両3の位置を現在時刻から所定時間毎(例えば、5分毎)に予測する計算処理を行い(ステップS3B)、この計算結果に基づき現在時刻から所定時間毎(例えば、5分毎)の車分布を予測し、この所定時間毎の車分布に基づいて渋滞時間及び渋滞エリアを予測して渋滞予測情報を作成する(ステップS4B)。
【0024】
この予測計算には、車両3の出発地での時刻(以下、出発時刻という)の情報が必要となるが、この計算に用いる出発時刻は予想時刻を適用すればよく、例えば、サーバ100が該車両3に搭載されたナビゲーション装置10からの経路情報を受信した時刻と同時刻若しくは所定時間経過後の時刻に設定してもよいし、或いは、ナビゲーション装置10が経路情報を送信した時刻と同一時刻若しくは所定時間経過後の時刻に設定してもよい。
また、上記ステップS4Bの処理で車分布を予測した際に、その車分布の混雑度がステップS3Bの処理で予測した車両3の各位置への移動が困難となると判定可能な閾値を上回る場合には、各予測経路を各々通る車両3の位置精度を高めるべく、この車両3の予測速度が下がるように所定のパラメータの値を変更し、各予測経路を各々通る車両3の位置を再計算することが好ましい。この再計算後の結果に基づいて所定時間毎の車分布を予測することにより、渋滞時間及び渋滞エリアの予測精度を高めることができる。
【0025】
続いて、サーバ100は、作成した渋滞予測情報を各ナビゲーション装置10へ配信する(ステップS5B)。なお、上記ステップS2B〜S4Bに示す渋滞予測情報の作成処理は、渋滞の予測精度を高めるために、ある程度の経路情報を収集可能な所定時間が経過する毎に行っても良いし、略同じ時間帯で略同エリアを通過すると予想される経路情報を予め定めた数以上蓄積した後に行うようにしてもよい。
このようにして渋滞予測情報が配信されると、ナビゲーション装置10は、その渋滞予測情報を受信し(ステップS4A)、案内制御部44により渋滞予測情報を報知する表示制御及び音声制御を行う(ステップS5A)。この場合、渋滞予測情報には、今後予測される渋滞時間及び渋滞エリア(予測結果)が含まれており、ナビゲーション装置10が案内する案内経路及びその周辺に存在する渋滞エリア及び渋滞時間を選択して報知する。例えば、案内制御部44は、現在表示中の地図に存在する渋滞エリア及び渋滞時間を表示地図上に反映した画像を表示させたり、音声で報知させることが好ましい。
【0026】
また、ナビゲーション装置10は、FM受信部14及びビーコン受信部15で取得した現在交通情報(現在の渋滞情報を含む)を表示地図上に反映した画像を表示する機能を有しているが、この現在交通情報と、今後予測される渋滞予測情報とを同態様で表示すると、ユーザが表示中の渋滞が現在のものか予測のものか判別できない事態が生じる。このため、現在の渋滞情報と予測の渋滞情報とは、ユーザが判別可能に色を変える等の方法を用いて異なる態様で表示し、或いは、異なる音声内容で報知することが好ましい。また、今後予測される渋滞エリアが、予測された渋滞時間及び現在地からの距離に基づき、そのエリア通過時には渋滞が解消されるものである場合には、その渋滞予測情報は報知しないように報知規制することが好ましい。これらによって、ナビゲーション装置10のユーザは、精度の高い渋滞情報を得ることができる。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置3の各々に設定された目的地までの経路情報を収集し、この収集した経路情報に基づいて渋滞を予測する交通状況予測部120を備えたサーバ100を構築することにより、サーバ100が、複数の車両3の目的地までの移動経路を精度良く予測でき、この予測結果に基づいて精度の高い渋滞予測情報を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、ナビゲーション装置3の基本的機能である現在地検出機能及び経路案内機能により取得される現在地及び目的地の情報を利用して渋滞予測を行うことにより、目的地を利用しない従来の渋滞予測よりも予測精度を向上することが可能になる。
【0028】
また、本構成では、ナビゲーション装置10の各々からの経路情報に基づいて時間毎の車分布を求め、この時間毎の車分布に基づいて渋滞を予測するので、渋滞時間及び渋滞エリアを精度良く特定することができる。しかも、この渋滞予測処理は計算量が多い処理となるが、この計算処理を処理能力が高いサーバ100で行うので、短時間で渋滞予測情報を得ることができる。
また、ナビゲーション装置3が送信する経路情報が、現在地と目的地の情報であるため、通信データ量が少なくて済み、通信時間を短時間にすることができる。
また、ナビゲーション装置10が、このナビゲーション装置10が案内する案内経路及びその周辺に存在する渋滞エリア及び渋滞時間を選択して報知するので、このナビゲーション装置10のユーザにとって不要な渋滞情報の報知を回避でき、ユーザにとって必要度が高い渋滞情報を優先的に報知することができる。
【0029】
上述した実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、ナビゲーション装置3が送信する経路情報が、現在地と目的地だけの情報の場合を説明したが、これに限らず、ナビゲーション装置3が算出した現在地から目的地までの案内経路を含めても良く、要は目的地の経路を特定可能な情報を広く適用可能である。また、この経路情報に加えて、例えば、速度情報、天候情報等の交通状況の予測に利用可能な他の情報を含めてもよい。
また、上述の実施形態では、サーバ100が渋滞予測情報をナビゲーション装置10に配信する場合を説明したが、これに限らず、インターネットに接続された端末装置等の通信可能な他の装置に送信してもよく、また、他の装置から送信要求があった場合に送信するようにしてもよい。
また、本発明は、車両3に固定されるナビゲーション装置や車両3に着脱自在なナビゲーション装置に適用できることは勿論であるが、ナビゲーション機能を備えた携帯情報端末(PDAとも言う)や携帯電話機等の電子機器に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る交通状況予測システムを示す図である。
【図2】ナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置の制御部の機能構成を示す図である。
【図4】交通状況予測システムによる渋滞予測情報の作成処理を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 交通状況予測システム
3 車両
10 ナビゲーション装置
40 現在地検出部
41 目的地設定部
42 経路設定部
43 経路情報送信部
44 案内制御部
45 表示処理部
46 音声処理部
100 サーバ
110 通信部(経路情報取得部)
120 交通状況予測部(予測部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の各々に搭載され、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置と、
前記ナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報に基づいて、渋滞を予測する予測部を備えたサーバと
を備えることを特徴とする交通状況予測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通状況予測システムにおいて、
前記サーバの予測部は、前記ナビゲーション装置の各々からの経路情報に基づいて時間毎の車分布を求め、この時間毎の車分布に基づいて渋滞を予測することを特徴とする交通状況予測システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の交通状況予測システムにおいて、
前記経路情報は、前記ナビゲーション装置に設定された目的地と、前記ナビゲーション装置を搭載する車両の現在地であることを特徴とする交通状況予測システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の交通状況予測システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、前記サーバが予測した渋滞の予測結果を取得して報知することを特徴とする交通状況予測システム。
【請求項5】
請求項4に記載の交通状況予測システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置が案内する案内経路及びその周辺に存在する前記渋滞の予測結果を選択して報知することを特徴とする交通状況予測システム。
【請求項6】
車両に搭載され、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
複数の車両の目的地までの経路情報に基づいて渋滞を予測する予測部を備えたサーバを有する交通状況予測システムに利用され、設定された目的地までの経路情報を送る経路情報送信部を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
前記サーバが予測した渋滞の予測結果を取得して報知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
複数の車両の各々に搭載されたナビゲーション装置の各々に設定された目的地までの経路情報を取得する経路情報取得部と、
取得した経路情報に基づいて渋滞を予測する予測部と
を備えたことを特徴とするサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−289223(P2009−289223A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144087(P2008−144087)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】