説明

代謝調節型グルタミン酸受容体の複素環式インダノン増強因子

本発明は、mGluR2受容体を含む、代謝調節型グルタミン酸受容体の増強因子であり、グルタミン酸機能障害に関連する神経系疾患及び精神病、及び代謝調節型グルタミン酸受容体が関与する疾患の治療又は予防に有用である化合物に関する。本発明は、また、これらの化合物を含む医薬組成物、及び代謝調節型グルタミン酸受容体が関与する上記疾患の予防又は治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
興奮性アミノ酸L−グルタミン酸(本明細書で単純にグルタミン酸ということもある)は、その多くの受容体を介して、哺乳動物中枢神経系(CNS)内での興奮精神系伝達の大部分に介在する。グルタミン酸を含む興奮性アミノ酸は生理学的に非常に重要なものであり、長期増強(学習および記憶)、シナプス可塑性、運動制御、呼吸、心血管調節、および知覚等の様々な生理学的プロセスにおいて役割を果たしている。
【0002】
グルタミン酸は少なくとも2つの異なるクラスの受容体を介して作用する。クラスの1つは、リガンド依存性イオンチャンネルとして作用するイオンチャンネル型グルタミン酸(iGlu)受容体からなる。iGlu受容体の活性化により、グルタミン酸はCNSにおける2つの結合するニューロンのシナプス内での高速ニューロン伝達を調節するものと考えられる。第2の一般的なタイプの受容体は、Gタンパク質またはセカンドメッセンジャーが結合した、“代謝調節型”グルタミン酸(mGluR)受容体である。両タイプの受容体は興奮経路に沿う正常シナプス伝達に介在するだけではなく、発生の間および一生を通じてのシナプス接続の修飾に関与しているものと思われる。Schoepp,Bockaert,and Sladeczek,Trends in Pharmacol.Sci.,11,508 (1990);McDonald and Johnson,Brain Research Reviews,15,41(1990)。
【0003】
本発明はmGlu受容体、特に、mGluR2受容体の増強因子に関する。mGluR受容体はIII型Gタンパク質共役型受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する。カルシウム感知性受容体、GABAB受容体およびフェロモン受容体を含む、このGPCR’sfのスーパーファミリーは、それらが受容体タンパク質のアミノ末端部分へのエフェクタの結合によって活性化されるという点で独特である。mGlu受容体は、細胞内シグナル伝達経路を調節する、グルタミン酸が実証する能力を媒介すると思われる。Ozawa,Kamiya and Tsuzuski,Prog.Neurobio.,54,581(1998)。これらは前及び後シナプス性の両者で局在することが示されており、そこで、それぞれ、グルタミン酸若しくは他の神経伝達物質のいずれかの神経伝達物質放出を調節するか、又は神経伝達物質の後シナプス性応答を修飾することができる。
【0004】
現在、明確に特定され、クローニングされ、それらの配列が報告されている8つの異なるmGlu受容体が存在する。これらは、さらに、それらのアミノ酸配列相同性、特定のシグナル伝達メカニズムに影響を及ぼす能力、およびそれらの公知の薬理学的特性に基づいて更に細分される。Ozawa,Kamiya and Tsuzuski,Prog.Neurobio.,54,581(1998)。例えば、mGlu1RおよびmGlu5Rを含む、グループIのmGluR受容体は、Gaq−タンパク質によってホスホリパーゼC(PLC)が活性化され、その結果、ホスホイノシチドの加水分解、及び細胞内カルシウム動員の増加をもたらすことが知られている。DHPG、(R/S)−3,5−ジヒドロキシフェニルグリシンを含む、グループIのmGlu受容体を活性化することが報告されている、いくつかの化合物がある。Schoepp,Goldworthy,Johnson,Salhoff and Baker,J.Neurochem.,63,769(1994);Itoら,keurorep.,3,1013(1992)。グループIIのmGlu受容体は2つの異なる受容体、mGluR2およびmGluR3受容体からなる。両者は、Gai−タンパク質の活性化によってアデニレートサイクラーゼに陰電気を帯びて結合することが見出されている。これらの受容体は、1S,2S,SR,6S−2アミノビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボキシレート等の選択的な化合物によって活性化され得る。Monnら,J.Med.Chem.,40,528(1997);Schoeppら,Neuropharmacol.,36,1(1997)。mGluR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8を含むグループIIIのmGlu受容体はGaiを介してアデニレートサイクラーゼに陰電気を帯びて結合し、L−AP4(L−(+)−2−アミノ−4−ホスホノ酪酸)によって強力に活性化される。Schoepp,Neurochem.Int.,24,439(1994)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グルタミン酸放出の変化またはシナプス後受容体活性化の変化によるグルタミン酸作動性系を含む、興奮性アミノ酸受容体の調節と種々の神経系疾患及び精神病との間に関連があることが、ますます明らかとなってきた。例えば、Monaghan,Bridges and Cotman,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,29,365−402(1989);Schoepp and Sacann,Neurobio.Aging,15,261−263(1994);Meldrum and Garthwaite,Tr.Pharmacol.Sci.,11,379−387(1990)。そのようなグルタミン酸機能障害の医学的な因果関係は、これらの神経学的プロセスの寛解を重要な治療上の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、mGluR2受容体を含む、グルタミン酸機能障害に関連する神経系疾患及び精神病、及び代謝調節型グルタミン酸受容体が関与する疾患の治療又は予防に有用な代謝調節型グルタミン酸受容体の増強因子である化合物に関する。本発明は、また、これらの化合物を含む医薬組成物、代謝調節型グルタミン酸受容体が関与する、このような疾患の予防又は治療における、これらの化合物及び組成物の使用に関する。
【0007】
本発明は、式I:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Aは、未置換であるか、又はオキソで置換されている、フェニル、ナフチル、アゼチジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、クロメニル、ジヒドロインデニル、ジヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、インダニル、インダゾリル、インドリル、オキサジアゾリル、プリニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びテトラゾリルからなる群から選択され、
Xは、下記からなる群から選択され、
(1)単結合、
(2)−O−、
(3)−S−、
(4)−SO−、
(5)−NH−、
(6)−N(C1−3アルキル)−、
(7)−O−フェニル−、
(8)−S−フェニル−、
(9)−S−C1−3アルキルフェニル−、
(10)−フェニル−、及び
(11)−ピペラジニル−;
Yは、下記からなる群から選択され、
(1)−O−、
(2)−NH(CO)−、及び
(3)単結合;
1a及びR1bは、下記からなる群から独立して選択され、
(1)水素、
(2)未置換であるか、又は下記からなる群から選択される置換基で置換されているC1−6アルキル、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、及び
(c)未置換であるか、又はハロゲン、シアノ、CF、ヒドロキシル、C1−6アルキル、及びOC1−6アルキルから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されているフェニル、
(3)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル若しくはフェニルで置換されているC3−7シクロアルキル、及び
(4)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、CF、C1−6アルキル、及びOC1−6アルキル(該C1−6アルキル、及びOC1−6アルキルは、1〜5個のハロゲンで任意に置換されている、直鎖又は分岐鎖である)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されているフェニル;
は下記からなる群から選択され、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)−OC1−6アルキル、及び
(4)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル若しくはフェニルで置換されているC1−6アルキル;
は下記からなる群から選択され、
(1)ハロゲン、及び
(2)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル若しくはフェニルで置換されているC1−6アルキル;
は、複数の置換基を含んでいてもよく、それらは下記からなる群から独立して選択されるか;
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)未置換であるか、又はハロゲン、−CN、−COC1−6アルキル若しくは−CO1−6アルキルで置換されているC1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)フェニル、
(6)ピリジル、
(7)チアゾリル、
(8)−CN、及び
(9)ヒドロキシル、
又は、Rは、隣接する炭素でフェニル環と結合し、ジヒドロフラニル環を形成していてもよい;
mは、0、1、2及び3から選択される整数であり;
nは、0、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。)の化合物、及びその医薬として許容される塩、並びにそれらの個々のジアステレオマーに関する。
【0010】
本発明の実施態様は、Aがフェニルである化合物を含む。
【0011】
本発明の実施態様は、Aがピリジルである化合物を含む。
【0012】
本発明の実施態様は、Xが−O−である化合物を含む。
【0013】
本発明の実施態様は、Xが−S−である化合物を含む。
【0014】
本発明の実施態様は、Yが−O−である化合物を含む。
【0015】
本発明の実施態様は、Aがピリジルであり、Xが−S−である化合物を含む。
【0016】
本発明の実施態様は、Xが単結合であり、Yが−O−である化合物を含む。
【0017】
本発明の実施態様は、Xが単結合である化合物を含む。
【0018】
本発明の実施態様は、Xが−O−フェニル−である化合物を含む。
【0019】
本発明の実施態様は、Xが−O−1,3−フェニル−である化合物を含む。
【0020】
本発明の実施態様は、Xが−フェニル−である化合物を含む。
【0021】
本発明の実施態様は、Xが−1,3−フェニル−である化合物を含む。
【0022】
本発明の実施態様は、R1aがC1−6アルキルである化合物を含む。
【0023】
本発明の実施態様は、R1aがC5−6シクロアルキルである化合物を含む。
【0024】
本発明の実施態様は、R1aがフェニルである化合物を含む。
【0025】
本発明の実施態様は、R1aがCHである化合物を含む。
【0026】
本発明の実施態様は、R1aがCHCHCHである化合物を含む。
【0027】
本発明の実施態様は、R1aがCHCHCHCHである化合物を含む。
【0028】
本発明の実施態様は、R1aがシクロペンチルである化合物を含む。
【0029】
本発明の実施態様は、R1aがCH−シクロペンチルである化合物を含む。
【0030】
本発明の実施態様は、R1aがフェニルである化合物を含む。
【0031】
本発明の実施態様は、R1bが水素である化合物を含む。
【0032】
本発明の実施態様は、R1bがC1−6アルキルである化合物を含む。
【0033】
本発明の実施態様は、R1bがCHである化合物を含む。
【0034】
本発明の実施態様は、R1bがCHCHCHCHである化合物を含む。
【0035】
本発明の実施態様は、R1aがC5−6シクロアルキルであり、R1bがC1−6アルキルである化合物を含む。
【0036】
本発明の実施態様は、R1aがC5−6シクロアルキルであり、R1bが水素である化合物を含む。
【0037】
本発明の実施態様は、R1aがシクロペンチルであり、R1bが水素である化合物を含む。
【0038】
本発明の実施態様は、R1aがシクロペンチルであり、R1bがCHである化合物を含む。
【0039】
本発明の実施態様は、R1aがCH−シクロペンチルであり、R1bがCHである化合物を含む。
【0040】
本発明の実施態様は、R1aがCH−シクロペンチルであり、R1bがCHCHCHCHである化合物を含む。
【0041】
本発明の実施態様は、Rがヒドロキシルである化合物を含む。
【0042】
本発明の実施態様は、Rがメチルである化合物を含む。
【0043】
本発明の実施態様は、Rがヒドロキシルであり、Rがメチルである化合物を含む。
【0044】
本発明の実施態様は、Rがクロロであり、Rがクロロである化合物を含む。
【0045】
本発明の実施態様は、Rが水素又はハロゲンである化合物を含む。
【0046】
本発明の実施態様は、Rが水素である化合物を含む。
【0047】
本発明の実施態様は、mが0である化合物を含む。
【0048】
本発明の実施態様は、mが1である化合物を含む。
【0049】
本発明の実施態様は、nが0である化合物を含む。
【0050】
本発明の実施態様は、nが1である化合物を含む。
【0051】
本発明の実施態様は、nが2である化合物を含む。
【0052】
本発明の実施態様は、nが3である化合物を含む。
【0053】
本発明の実施態様は、nが4である化合物を含む。
【0054】
本発明の特定の実施態様は、6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−(ピリジン−3−イルメトキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)ブトキシ]インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[3−(1H−ピロール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−4−イルチオ)ブトキシ]インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(2−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ブトキシ]インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
2−シクロペンチル−6,7−ジメチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−メチル−2−フェニル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
メチル3−(4−{4−[(6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)オキシ]ブトキシ}フェニル)プロパノエート;
6,7−ジクロロ−2−(シクロペンチルメチル)−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−イソプロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−プロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジメチル−2−プロピル−5−{[3−(ピリジン−4−イルチオ)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジメチル−2−プロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;からなる群から選択される化合物及びそれらの医薬として許容される塩を含む。
【0055】
本発明の化合物は、代謝調節型グルタミン酸(mGluR)受容体機能の増強因子であり、特に、それらはmGluR2受容体の増強因子である。すなわち、本発明の化合物は、mGluR受容体上のグルタミン酸認識部位に結合するとは考えられないが、グルタミン酸又はグルタミン酸アゴニストの存在下で、本発明の化合物はmGluR受容体応答を高める。本発明の増強因子は、グルタミン酸またはグルタミン酸アゴニストに対するそのような受容体の応答を高め、それらの受容体の機能を増強することによってmGluR受容体での効果を有するものと期待される。本発明の化合物は、mGluR2受容体のグルタミン酸及びグルタミン酸アゴニストの有効性を増大させることが予想されると認識されている。従って、本発明の増強因子は、当業者によって理解されるように、ここで治療されるものと説明されるグルタミン酸機能障害に関連する様々な神経学的および精神医学的障害並びにそのような増強因子によって治療できる他のものの治療において有用であることが期待される。
【0056】
本発明の化合物は1以上の不斉中心を含んでいてもよく、従って、ラセミ化合物又はラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。分子上の種々の置換基の性質に依存し、更なる不斉中心が存在してもよい。このような各不斉中心は、独立して2種の光学異性体を製造し、混合物中の可能な全ての光学異性体及びジアステレオマー、及び純粋な又は部分的に精製された化合物は、本発明の範囲に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物のそのような異性体を含むことを意味する。式Iは、好ましい立体化学なしで、このクラスの化合物の構造を示す。
【0057】
これらのジアステレオマーの独立的な合成、又はそれらのクロマトグラフ分離は、本明細書に開示された方法の適切な修飾によって当業界で公知なように達成することができる。必要であれば、それらの絶対立体化学は、公知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて、結晶生成物又は誘導体化された結晶中間体のX−線結晶学によって決定することができる。
【0058】
所望であれば、これらの化合物のラセミ混合物を分離して個々の鏡像異性体を単離することができる。分離は、当該技術分野において周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を生成し、分別結晶又はクロマトグラフィー等の標準的方法によって個々のジアステレオマーを分離する等の方法によって実施することができる。カップリング反応は、しばしば、鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の生成である。次いで、ジアステレオマー誘導体は、加えられたキラルな残基の切断によって、純粋な鏡像異性体に変換される。また、化合物のラセミ混合物は、当該技術分野において周知である、キラルな固定相を利用したクロマトグラフ法によって、直接分離することもできる。
【0059】
また、光学的に純粋な出発物質または公知の立体配置の試薬を用いる立体選択的合成により、当該技術分野において公知の方法によって化合物のいかなる鏡像異性体をも得ることができる。
【0060】
当業者に理解されるように、本明細書で用いられるハロ又はハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むことを意味する。同様に、C1−6アルキル等の場合のC1−6はC1−8アルキルが具体的にメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、およびヘキシルを含むように、その基を、1、2、3、4、5または6個の炭素を直線または分岐配置で有するものと特定するように定義される。置換基で独立に置換されるものと指定される基は複数のそのような置換基で独立に置換されていてもよい。
【0061】
「医薬として許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含む、医薬として許容される非毒性の塩基又は酸から製造される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。固体形態の塩は1以上の結晶構造で存在し得、また水和物の形態で存在し得る。医薬として許容される有機的非毒性塩基から由来する塩には、一級、二級及び三級アミン塩、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルフォリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピぺリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
【0062】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機及び有機酸を含む、医薬として許容される非毒性の酸から製造される。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、及び酒石酸である。本明細書で用いられるように、式Iの化合物への言及は、また、医薬として許容される塩を含むことを意味すると理解されるだろう。
【0063】
本発明の例示は、実施例及び明細書に開示された化合物の使用である。本発明の範囲内の特定の化合物には、後述する実施例に開示された化合物、及びそれらの医薬として許容される塩並びにそれらのジアステレオマーからなる群から選択される化合物が含まれる。
【0064】
主題の化合物は、前記化合物の有効量を投与することを含む、このような阻害を必要とする、哺乳類等の患者における、代謝調節型グルタミン酸受容体活性を増強する方法に有用である。本発明は、本明細書に開示された化合物の、代謝調節型グルタミン酸受容体活性の増強因子としての使用に関する。霊長類に加え、特に、ヒト、種々の他の哺乳類が、本発明の方法によって治療することができる。
【0065】
更に、本発明は、本発明の化合物を、薬学的担体又は希釈剤と混合することを含む、ヒト及び動物における代謝調節型グルタミン酸受容体活性を増強するための医薬を製造する方法に関する。
【0066】
本発明の方法で治療される被験者は、一般的に、代謝調節型グルタミン酸受容体活性の増強が望ましい、哺乳類、好ましくはヒトの男性又は女性である。「治療上有効な量」なる用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家に求められている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する主題化合物の量を意味する。現在障害を患う患者を治療することにより、または障害を患う患者を有効量の本発明の化合物で予防的に治療することにより、当業者が神経学的および精神医学的障害に影響を及ぼし得ることは認められる。本明細書で用いられるように、「治療」及び「治療すること」なる用語は、本明細書に開示された神経系疾患及び精神病の進行の遅延、妨害、阻止、制御、又は停止、全ての行為を意味し、特に、このような疾患又は障害を受けやすい患者における、言及される症状の予防的治療と同様、必ずしも全ての疾患の症状の全ての消失を意味することではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
本明細書で用いられるように、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量で含有する製品に加えて、特定の量の特定の成分の組合せから、直接または間接的に、生じるあらゆる製品を包含することが意図される。医薬組成物に関連する、このような用語は、直接又は間接的に2以上のいずれかの成分の組み合わせ、複合体生成又は凝集、1以上の成分の解離、又は1以上の成分の他のタイプの反応又は相互作用から生じる任意の生成物と同様、活性成分、及び担体を構成する不活性成分を含む生成物を含むことを意味する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬として許容される担体とを混合することによって製造される組成物を含む。「医薬として許容される」に関しては、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と適合しなければならず、それらの受容者に対して有害でないことを意味する。
【0068】
化合物「の投与」及び/又は「を投与すること」なる用語は、本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを、治療を必要とする特定の人に与えることを意味するものと理解すべきである。
【0069】
代謝調節型グルタミン酸受容体活性、特にmGluR2活性の阻害剤としての本発明の化合物の有用性は、当業界において公知の方法によって証明される。阻害定数は以下のように測定される。本発明の化合物を、[35S]−GTPγSアッセイで試験した。[35S]−GTPγS結合の刺激は、天然及び組換え型の受容体膜製剤中のGαi−結合受容体を観察するための一般の機能的アッセイである。hmGlu2 CHO−K1(50μg)を安定的に発現している細胞由来の細胞膜を、GTPγS35(0.05nM)、GDP(5μM)及び化合物の存在下、96穴プレート中で1時間インキュベートした。96穴セルハーベスター(Brandel Gaithersburg,MD)を用いて、Unifilter GF/Bプレート(Packard,Bioscience,Meriden CT)による急速ろ過によって反応を停止した。Topcountカウンター(Packard,Bioscience,Meriden CT,USA)を用いて、フィルタープレートをカウントした。化合物が増強因子として評価された場合、それらを、グルタミン酸(1μM)の存在下で試験した。グルタミン酸(増強因子)カーブの活性(アゴニスト)又は増強を、反復性非直線性カーブフィッティングソフトウェアGraphPad(San Diego CA,USA)を用いて、EC50及びHill係数を与える4つのパラメーターのロジスティックな式にあてはめた。
【0070】
特に、後述する実施例の化合物は、前述のアッセイにおいて、mGluR2受容体の増強において、一般に約10μM未満のEC50を有する活性を有する。本発明の範囲内の好ましい化合物は、前述したアッセイにおいて、mGluR2受容体の増強において、約1μM未満のEC50を有する活性を有する。このような結果は、mGluR2受容体活性の増強因子としての使用において、本発明の化合物の固有活性を示す。
【0071】
mGluR2受容体を含む、代謝調節型グルタミン酸受容体は、広い範囲の生物学的機能と関連する。これは、ヒト又は他の種における種々の疾患過程においてこれらの受容体についての潜在的な役割を示唆している。
【0072】
本発明の化合物は、以下の健康状態又は疾患の1以上を含む、グルタミン酸機能障害に関連する種々の神経系疾患及び精神病の治療、予防、改善、制御、又は危険性の減少に有用である:心臓のバイパス手術及び移植の後の脳の欠損、脳卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、出生時低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、痴呆(AIDS誘導性痴呆を含む)、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認識力障害、特発性及び薬物誘発性パーキンソン病、筋性けいれん、及び振戦を含む筋痙性に関連する障害、てんかん、けいれん、偏頭痛(migraine)(偏頭痛(migraine headache)を含む)、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱(アヘン剤、ニコチン、たばこ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮痛剤、睡眠薬等の物質を含む)、精神病、精神分裂病、不安(全般性不安障害、パニック障害、及び強迫性障害を含む)、気分障害(うつ病、躁病、双極性障害を含む)、三叉神経痛、聴力障害、耳鳴、目の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、痛み(急性及び慢性的な痛みの状態、重度の疼痛、難治性の疼痛、神経障害性の痛み、及び障害後の疼痛を含む)、遅発性運動障害、睡眠障害(ナルコレプシーを含む)、注意欠陥/機能亢進障害、及び行動傷害。
【0073】
上記疾患のうち、偏頭痛、不安、精神分裂病、及びてんかんの治療が特に重要である。好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、偏頭痛の治療方法を提供する。他の好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、不安の予防又は治療方法を提供する。特に好ましい不安障害は、全般性不安障害、パニック障害、及び強迫性障害である。他の好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、精神分裂病の治療方法を提供する。更なる好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、てんかんの治療方法を提供する。
【0074】
本発明によって治療される、グルタミン酸機能障害に関連する神経系疾患及び精神病のうち、偏頭痛、不安、精神分裂病、及びてんかんが特に好ましい。特に好ましい不安障害は、全般性不安障害、パニック障害、及び強迫性障害である。
【0075】
従って、好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物又はその医薬組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、偏頭痛の治療方法を提供する。診断手段の利用可能な源の1つ、ドーランドの医学辞書(第23版、1982, W.B.Saunders Company, Philidelphia, PA)においては、偏頭痛は、しばしば、過敏症、吐き気、嘔吐、便秘又は下痢、及び羞明を有する、通常、側頭部及び片側の周期的な頭痛の複雑な症状として定義される。本明細書で用いられるように、「偏頭痛」なる用語は、過敏症、吐き気、嘔吐、便秘又は下痢、羞明及び他の関連症状を伴う、これらの周期的な側頭部及び片側の両方の頭痛を含む。当業者は、偏頭痛を含む、神経系疾患及び精神病についての他の命名法、疾病分類学、及び分類体系が存在し、それらの体系が医療科学の進歩に伴って進化することを認識するだろう。
【0076】
他の好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物又はその医薬組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、不安の治療方法を提供する。現在、精神病の診断及び統計的マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第4版(DSM−IV)(1994,米国精神医学協会、ワシントンDC)は、不安及び関連障害を含む、診断用手段を提供する。それらには、広所恐怖症を有するか有しないパニック障害、パニック障害の病歴を有しない広所恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な病状による不安障害、薬物誘発性不安障害、及び不特定の不安障害が含まれる。本明細書で用いられるように、「不安」なる用語は、DSM−IVに記載されているような不安障害及び関連障害の治療を含む。当業者は、神経系疾患及び精神病、特に不安についての他の命名法、疾病分類学、及び分類体系があり、それらの体系が医科学の進歩に伴って進化することを認識するだろう。従って、「不安」なる用語は、他の診断源において記載されている障害等を含むことを意味する。
【0077】
他の好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物又はその医薬組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、うつ病の治療方法を提供する。現在、精神病の診断及び統計的マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第4版(DSM−IV)(1994年、米国精神医学協会、ワシントンDC)は、うつ病及び関連障害を含む、診断用手段を提供する。抑うつ性障害には、例えば、単一の偶発性又は反復性の大うつ病性障害、気分変調性障害、抑うつ神経症、及び神経症性うつ病;拒食症、体重減少、不眠症及び早朝起床、並びに精神運動遅延を含む、憂うつ性うつ病;食欲増強、過眠症、精神運動激越、若しくは過敏症、不安及び恐怖症を含む、非定型うつ病(又は反応性うつ病);季節性情動障害;双極性障害又は躁うつ病、例えば、双極性I障害、双極性II障害及び循環病が含まれる。本明細書で用いられるように、「うつ病」なる用語は、DSM−IVに記載されているような、抑うつ性障害及び関連障害の治療を含む。
【0078】
他の好ましい実施態様においては、本発明は、式Iの化合物又はその医薬組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、てんかんの治療方法を提供する。現在、特発性、症候性、原因不明のものを含むてんかんに関連する発作のいくつかのタイプ及びサブタイプが存在する。これらのてんかん発作は、限局的(部分的)又は全身性であり得る。それらは、また、単一又は複合性であり得る。てんかんは、当該技術分野において、例えば「てんかん−包括的な教科書(Epilepsy: A comprehensive textbook)」(Jerom Engel,Jr及びTimothy A.Pedley編(Lippincott−Raven,フィラデルフィア,1997))に記載される。現在、疾患の国際分類、第9改訂(ICD−9)は、てんかん及び関連障害を含む、診断用手段を提供する。これらには、全身性非痙攣性てんかん、全身性痙攣性てんかん、小発作状態てんかん、大発作状態てんかん、意識障害を伴う部分的てんかん、意識障害を伴わない部分的てんかん、乳児性攣縮、持続性部分てんかん、他の形態のてんかん、てんかん、非特定、NOSが含まれる。ここで用いられる場合、「てんかん」という用語はこれらの全てのタイプおよびサブタイプを含む。当業者は、代わりの命名法、疾病分類学、並びにてんかんを含む神経学的および精神医学的障害の分類体系が存在し、これらの体系が医療科学の進歩に伴って進化することを認識するだろう。
【0079】
主題の化合物は、更に、本明細書に記載された、疾患、障害及び健康状態の予防、治療、制御、改善、又はそれらの危険性を減少させるための方法において有用である。
【0080】
主題の化合物は、更に、mGluRアゴニストを含む、他の薬剤と組み合わせて、本明細書に記載された、疾患、障害及び健康状態の予防、治療、制御、改善、又は危険性を減少させるための方法において有用である。
【0081】
「増強された量」なる用語は、mGluRアゴニストの量、すなわち、本発明の化合物の有効量と組み合わせて投与した時に、本明細書に記載された神経系疾患及び精神病を治療するのに有効であるアゴニストの量を意味する。増強量は、mGluRアゴニストを、有効量の本発明の化合物なしで投与したときに、同じ効果を与えるのに必要な量よりも少ないと期待される。
【0082】
増強された量は、通常の技術を用いることにより、及び類似の環境下で得られる結果を観察することによって、当業者としての診断医が容易に決定することができる。増強された量、式Iの化合物と組み合わせて投与されるmGluRアゴニストの投与量の決定において、投与されるのに選択されるmGluRアゴニスト;力価及び選択性;共に投与される式Iの化合物;哺乳類の種;そのサイズ、年齢及び全体的な健康;関与する特定の障害;関与の度合い又は障害の重症度;個々の患者の反応;投与形態;投与される製剤のバイオアベイラビリティ特性、選択された投与方式;他の併用薬の使用及び他の可憐した環境;を含むが、これらに限定されない多くの因子は、主治医によって考慮される。
【0083】
有効量の式Iの化合物と組み合わせて投与されるmGluRアゴニストの増強された量は、体重1kg当たり1日あたり約0.1ミリグラム(mg/kg/日)から約100mg/kg/日まで変化すると予想され、かつ、有効量の式Iの化合物なしで投与した「ときに、同じ効果を与えるのに必要とされる量よりも少ないと期待される。共に投与されるmGluアゴニストの好ましい量は、当業者によって決定することができる。
【0084】
本発明の化合物は、疾患または状態の治療、予防、制御、改善または危険性の減少において、一つまたはそれ以上の他の薬物と組み合わせて使用することができ、ここで、式Iの化合物または他の薬剤は疾患または状態の治療、予防、制御、改善または危険性の減少に対して有用であり、薬物の組み合わせの方がいずれかの薬物の単独よりもより安全であるかより有効であるものである。このような他の薬物は、通常に用いられる経路及び量で、式Iの化合物と同時に、又は順次に投与することができる。式Iの化合物を、他の1以上の薬物と同時に用いる場合、このような他の薬物及び式Iの化合物を含む、単位投与形態中の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法は、また、式Iの化合物及び1以上の他の薬物が、異なる重複するスケジュールで投与される療法を含む。また、1以上の他の活性成分と組み合わせて用いる場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれ単独で用いる場合よりも少ない投与量で用いることが意図される。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加え、1以上の他の活性成分を含有するものを含む。
【0085】
上記組み合わせには、本発明の化合物と1種の他の活性化合物との組み合わせのみならず、2以上の活性化合物との組み合わせも含まれる。
【0086】
同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患又は健康状態の予防、治療、制御、改善又は危険性の減少において用いられる、他の薬物と組み合わせて用いることができる。このような他の薬物は、通常用いられる経路及び量で、本発明の化合物と同時に、又は順次に投与することができる。本発明の化合物を、他の1以上の薬物と同時に用いる場合、本発明の化合物に加え、このような他の薬物を含む、医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加え、1以上の他の活性成分を含有するものを含む。
【0087】
第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変動し得るものであり、各成分の有効量に依存する。一般的に、各成分の有効量が用いられる。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬物と組み合わせる場合、他の薬物に対する本発明の化合物の重量比は、一般的に約1000:1〜約1:1000の範囲であり、好ましくは約200:1〜約1:200である。本発明の化合物及び他の活性成分の組み合わせは、一般に上記範囲内であるが、各々の場合において、各活性成分の有効量が用いられるべきである。
【0088】
このような組み合わせにおいて、本発明の化合物及び他の活性薬物は、別々、又は一緒に投与することができる。加えて、一方の成分の投与は、他の薬物の投与の前、同時又は後であってもよい。
【0089】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射又は注入、皮下注射又は移植)、吸入スプレー、経鼻、膣、直腸、舌下、又は局所投与経路で投与され、それぞれの投与経路に適した通常の非毒性の医薬として許容される担体、アジュバント及び賦形剤を含む適当な単位投与形態中に、単独又は一緒に製剤化される。マウス、ラット、馬、牛、ヒツジ、犬、猫、サル等の温血動物の治療に加え、本発明の化合物はヒトにおける使用に有効である。
【0090】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は、単位投与形態中に存在し得、薬学の分野におけるいずれかの周知の方法によって製造される。全ての方法は、1つ以上の補助的な成分を構成する担体中に活性成分を導入する工程を含む。一般に、医薬組成物は、液状担体若しくは微粉固体担体、又は両方に活性成分を均一に、かつ緊密に組み合わせ、次いで、必要であれば、所望の製剤中に生成物を成形することによって製造される。医薬組成物中に、活性化合物は、疾患の過程又は健康状態における所望の効果を発揮するのに十分な量含有される。
本明細書で用いられるように、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量含有する生成物、及び直接又は間接的に、特定量の特定の成分の組み合わせを成す生成物を含むことを意図する。
【0091】
経口投与を意図する医薬組成物は、医薬組成物の製造についての当業界において公知の任意の方法によって製造することができ、このような組成物は、薬学的に洗練され、かつ、味の良さを与えるために、甘味剤、香料、着色剤及び保存料からなる群から選択される1以上の薬物を含んでよい。錠剤は、非毒性の医薬として許容される、錠剤の製造に適した賦形剤との混合物中に、活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤はコーティングされていないか、又は消化管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それによってより長い時間持続する作用を提供するために、公知の技術によってコーティングされてもよい。経口投与のための組成物は、また、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合された硬カプセルとして、又は、活性成分が、水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン又はオリーブ油と混合された軟カプセルとして存在してもよい。
【0092】
水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と共に混合物中に活性成分を含む。油性懸濁剤は、活性成分を適当な油中で懸濁することによって製造することができる。水中油系エマルジョンも用いることができる。水を添加することによって水性懸濁液を製造することに適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1以上の保存剤と共に、混合物中に活性成分を供給する。
【0093】
本発明の化合物の医薬組成物は、無菌の注射用水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。また、本発明の化合物は、直腸投与用の座薬の形態であってもよい。局所使用のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液を使用してもよい。本発明の化合物は、また、吸入によって投与するために製剤化されてもよい。本発明の化合物は、また、当業界で公知の方法による経皮パッチにより投与されてもよい。
【0094】
本発明の医薬組成物及び方法は、上記病理学的状態の治療に通常に適用される、本明細書に記載された、他の治療的活性化合物を更に含んでいてもよい。
【0095】
代謝調節型グルタミン酸受容体活性の増強を必要とする健康状態の治療、予防、制御、改善又は危険性の減少において、適当な投与量レベルは、一般に、患者の体重kgあたり、1日あたり、約0.01〜500mgであり、単回で、又は複数回の投与で投与される。好ましくは、投与量レベルは、約0.1〜約250mg/kg/日であり、更に好ましくは約0.5〜約100mg/kg/日である。適当な投与量レベルは、約0.01〜250mg/kg/日、約0.05〜100mg/kg/日、又は約0.1〜50mg/kg/日である。この範囲内で、投与量は、0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kg/日であってもよい。経口投与のために、組成物は、好ましくは、1.0〜1000mgの活性成分を含む錠剤の形態で、特に、治療すべき患者への投与量の対症調節のための1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日1〜4回の方式、好ましくは1日1又は2回の方式で投与される。
【0096】
本発明の化合物を必要とする、グルタミン酸機能障害又は他の疾患に関連する神経及び精神障害を治療、予防、制御、改善又は危険性を減少させる場合、一般に、本発明の化合物を、1日の投与量で、体重1kgあたり約0.1mg〜約100mg、好ましくは、1日1回投与、または1日2〜6回にわけて、又は徐放性形態で投与した時に満足のいく結果が得られる。ほとんどの大型哺乳類について、1日の合計投与量は、約1.0mg〜約1000mgであり、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人の場合、1日の合計投与量は、一般的に約7mg〜約350mgである。この投与量方式は、最適の治療反応を得るため調節される。
【0097】
しかし、任意の患者についての特定の投与量レベル及び投与頻度は、用いられる特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性、食事、投与の方式及び時間、排泄頻度、薬物の組み合わせ、特定の健康状態の重症度、及び治療を受けている宿主を含む種々の因子に依存して変化し得ることが理解されるだろう。
【0098】
本発明の化合物のいくつかの製造方法は、以下のスキーム及び実施例において説明される。出発原料は、当業界で公知の方法、又は本明細書に説明したようにして製造される。本発明の化合物は、様々な方法で製造することができる。
【0099】
【化2】

【0100】
本発明の化合物は、スキーム1に示したように、適当な置換インダノン前駆体から製造することができる。置換インダノン(商業的に購入するか、又は当業界で周知の技術を用いて製造するかいずれか、Woltersdorfら,J.Med.Chem.,1977,20,1400及びその中の引用文献を参照)を、いろいろに置換されたアリール化合物を用いてアルキル化する。これらのアリール化合物は、適当な脱離基(ハロゲン化物、トリフレート、トシル基、メシレート等)を有するアルキル又はベンジルリンカーを含み、塩基(炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等)の存在下で、適当な溶媒(アセトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等)中で反応する。反応は、一般的に室温〜45℃で、4〜24時間実施される。反応からの生成物は、溶剤抽出、クロマトグラフィー、結晶化、蒸留等の標準技術を用いて単離及び精製することができる。
【0101】
【化3】

【0102】
本発明の化合物は、スキーム2で示したようにしても製造することができる。置換インダノン(商業的に購入するか、又は当業界で周知の技術を用いて製造するかいずれか、Woltersdorfら,J.Med.Chem.,1977,20,1400及びその中の引用文献を参照)を、2個の適当な脱離基(ハロゲン化物、トリフレート、トシル基、メシレート等)を含むリンカーを用いてアルキル化する。この反応は、塩基(炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等)の存在下で、適当な溶媒(アセトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等)中で行われる。反応は、一般的に室温〜45℃で、4〜24時間実施される。反応生成物は、溶剤抽出、クロマトグラフィー、結晶化、蒸留等の標準技術を用いて単離及び精製することができる。次いで、この反応の生成物を、塩基(炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等)の存在下、適当な溶媒(アセトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等)中で、適当な置換フェノールと反応させる。この反応は、一般的に、室温〜45℃で、4〜24時間実施される。反応生成物は、溶剤抽出、クロマトグラフィー、結晶化、蒸留等の標準技術を用いて単離及び精製することができる。
【0103】
【化4】

【0104】
本発明の化合物は、スキーム3で示したようにしても製造することもできる。置換インダノン(商業的に購入するか、又は当業界で周知の技術を用いて製造するかいずれか、Woltersdorfら,J.Med.Chem.,1977,20,1400及びその中の引用文献を参照)を、ベンジルアルコールを含む化合物とアルキル化する。この反応は、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)又はジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(DTAD)及びトリアリールホスフィン等の化合物の存在下、適当な溶媒(テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エーテル等)中で実施される。反応は、一般的に、室温で、4〜24時間実施される。反応生成物は、溶剤抽出、クロマトグラフィー、結晶化、蒸留等の標準技術を用いて単離及び精製することができる。
【0105】
いくつかのケースにおいては、最終生成物を、例えば置換基の操作によって、更に修飾することもできる。これらの操作には、当業者にとって一般に知られている、還元、酸化、アルキル化、アシル化、及び加水分解反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
いくつかのケースにおいては、反応を促進するか、要求されない反応生成物を回避するため、前述の反応スキームの順序を変更してもよい。以下の実施例は、本発明をより完全に理解するために提供される。これらの実施例は、説明のみであり、本発明を限定するとして解釈すべきでない。
【実施例1】
【0107】
【化5】

【0108】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−(ピリジン−3−イルメトキシ)インダン−1−オン
炭酸カリウム(253mg、2ミリモル)を、45℃で、アセトン(10mL)中の6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(150mg、0.5ミリモル)及び3−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸(253mg、2ミリモル)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を16時間撹拌し、次いで、減圧下、アセトンを除去した。次いで、残渣をジクロロメタン(20mL)及び水(20mL)と混合した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、次いで、減圧下に濃縮して残渣を得、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0〜95%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)によって精製し、6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−(ピリジン−3−イルメトキシ)インダン−1−オンを無色のオイルとして得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.30−8.27(m,1H),8.64−8.62(m,1H),7.86(d,1H),7.40−7.37(m,1H),6.95(s,1H),5.25(s,2H),2.99(d,1H),2.68(d,1H),2.22−2.20(m,1H),1.83−1.81(m,1H),1.60−1.47(m,5H),1.25−1.20(m,4H),0.88−0.86(m,1H).MS(ESI):390(M+H)
【実施例2】
【0109】
【化6】

【0110】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)ブトキシ]インダン−1−オン
炭酸カリウム(0.58g、4.18ミリモル)を、45℃で、アセトン(20mL)中の6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(500mg、1ミリモル)及び1,4−ジブロモブタン(1.44g、6.68ミリモル)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を16時間撹拌し、次いで、減圧下、アセトンを除去した。次いで、残渣をジクロロメタン(50mL)及び水(50mL)と混合した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、次いで減圧下に濃縮し残渣を得、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0〜60%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)によって精製し、616mg(85%)の5−(4−ブロモブトキシ)−6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチルインダン−1−オンを無色のオイルとして得た。次いで、炭酸カリウム(95mg、0.69ミリモル)を、45℃で、アセトン(10mL)中の5−(4−ブロモブトキシ)−6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチルインダン−1−オン(100mg、0.23ミリモル)及び3−ヒドロキシピリジン(55mg、0.58ミリモル)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を16時間撹拌し、次いで、減圧下、アセトンを除去した。次いで、残渣を、ジクロロメタン(20mL)及び水(20mL)と混合した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、次いで減圧下に濃縮し残渣を得、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0〜60%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)によって精製し、6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)ブトキシ]インダン−1−オンを無色のオイルとして得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.34−8.33(m,1H),8.24−8.23(m,1H),7.25−7.19(m,2H),6.86(s,1H),4.22(t,2H),4.15(t,2H),2.99(d,1H),2.69(d,1H),2.25−2.22(m,1H),2.14−2.07(m,4H),1.87−1.83(m,1H),1.57−1.50(m,5H),1.26−1.23(m,4H),0.90−0.88(m,1H).
MS(ESI):448(M+H)
【実施例3】
【0111】
【化7】

【0112】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(75mg、0.25ミリモル)、1−[4−(ブロモ−メチル)フェニル]−1H−1,2,4−トリアゾール(71mg、0.30ミリモル)及び炭酸セシウム(98mg、0.30ミリモル)を、アセトン(3ml)中で、40〜45℃で8時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた。混合物をろ過し、減圧下に濃縮し、オイルを得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(20〜95%酢酸エチル/ヘキサン)は、白色固体として所望の生成物を与えた。H NMR(CDCl,300MHz)δ8.61(s,1H),8.12(s,1H),7.77−7.76(d,2H),7.65−7.64(d,2H),6.92(s,1H),5.31(s,2H),3.01−2.98(d,1H),2.70−2.68(d,1H),2.28−2.21(m,1H),1.86−1.84(m,1H),1.61−1.50(m,5H),1.27−1.21(m,1H),1.23(s,3H),0.89−0.87(m,1H).
MS(ESI)457,456(M+).
【実施例4】
【0113】
【化8】

【0114】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(75mg、0.25ミリモル)、1−[4−(ブロモ−メチル)フェニル]−1H−ピラゾール(80mg、0.33ミリモル)及び炭酸セシウム(108mg、0.33ミリモル)を、アセトン(2.5ml)中で、40〜45℃で8時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた。混合物をろ過し、減圧下に濃縮し、オイルを得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)は、白色固体として所望の生成物を与えた。H NMR(CDCl,300MHz)δ7.97(d,1H),7.79−7.77(d,2H),7.76(s,1H),7.58−7.56(d,2H),6.91(s,1H),6.51(m,1H),5.29(s,2H),3.01−2.94(d,1H),2.71−2.67(d,1H),2.28−2.23(m,1H),1.86−1.84(m,1H),1.56(s,3H),1.61−1.51(m,2H),1.29−1.22(m,4H),0.89(m,1H).MS(ESI)457,455(M+).
【実施例5】
【0115】
【化9】

【0116】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[3−(1H−ピロール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(76mg、0.25ミリモル)、1−[4−(ブロモ−メチル)フェニル]−1H−ピロール(70mg、0.30ミリモル)及び炭酸セシウム(98mg、0.30ミリモル)を、アセトン(2.5ml)中で、40〜45℃で8時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を食塩水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた。混合物をろ過し、減圧下に濃縮し、オイルを得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)は、白色固体として所望の生成物を与えた。H NMR(CDCl,300MHz)δ7.54(m,1H),7.52−7.48(m,1H),7.42(d,1H),7.35(d,1H),7.15(dd,2H),6.92(s,1H),6.38(dd,2H),5.30(s,2H),2.98(d,1H),2.68(d,1H),2.27−2.23(m,1H),1.86−1.84(m,1H),1.57(s,3H),1.61−1.50(m,2H),1.26−1.22(m,4H),0.90−0.89(m,1H).MS(ESI)456,454(M+).
【実施例6】
【0117】
【化10】

【0118】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−4−イルチオ)ブトキシ]インダン−1−オン
4−チオフェノールを用いて、実施例2で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.13(d,2H),6.83(s,1H),4.17(t,2H),3.12(t,2H),2.90(d,1H),2.68(d,1H),2.25−2.22(m,1H),2.10−1.98(m,4H),1.86−1.82(m,1H),1.58−1.50(m,5H),1.31−1.20(m,4H),0.90−0.87(m,1H).MS(ESI):465(M+H)
【実施例7】
【0119】
【化11】

【0120】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(2−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ブトキシ]インダン−1−オン
2−フェニルベンズイミダゾール(1.0g、5.1ミリモル)、1,4−ジブロモブタン(4.7g、21.7ミリモル)、及び炭酸セシウム(4.1g、12.6ミリモル)を、アセトン(52ml)中で、40〜45℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却した後、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、黄色のオイルを得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(0〜30%酢酸エチル/ヘキサン)によって、1−(4−ブロモブチル)−2−フェニル−1H−ベンズイミダゾールが白色固体として得られた(1.28g、75%)。1−(4−ブロモブチル)−2−フェニル−1H−ベンズイミダゾール(110mg、0.33ミリモル)、6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(100mg、0.33ミリモル)及び炭酸カリウム(137mg、0.99ミリモル)を、アセトン(3.3ml)中で40〜45℃で撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮した粗製のオイルを得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)は、透明なオイルとして所望の生成物を与えた。H NMR(CDCl,300MHz)δ7.86−7.83(m,1H),7.75−7.71(m,2H),7.51−7.45(m,4H),7.35−7.28(m,2H),6.68(s,1H),4.43−4.40(t,2H),3.98−3.95(t,2H),3.01(d,1H),2.64(d,1H),2.28−2.24(m,1H),2.12−2.09(m,2H),1.86−1.79(m,3H),1.61−1.51(M,6H),1.24(s,3H),0.93−0.90(m,1H).MS(ESI)548,547(M+).
【実施例8】
【0121】
【化12】

【0122】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
ジtertブチルアゾジカルボキシレート(129mg、0.56ミリモル)を、室温で、テトラヒドロフラン(5mL)中の6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(500mg、1ミリモル)、{3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]フェニル}メタノール(65mg、0.28ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(147mg、0.56ミリモル)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を16時間撹拌し、次いで、減圧下、溶媒を除去した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0〜80%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)によって精製し、6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オンを無色のオイルとして得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.56−7.40(m,4H),7.13(d,2H),6.91(s,1H),5.23(s,2H),4.26(s,2H),2.97(d,1H),2.67(d,1H),2.26−2.22(m,1H),1.88−1.83(m,1H),1.56−1.48(m,5H),1.28−1.20(m,4H),0.94−0.92(m,1H).MS(ESI):513(M+H)
【実施例9】
【0123】
【化13】

【0124】
2−シクロペンチル−6,7−ジメチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−6,7−ジメチルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.56(s,1H),7.48−7.42(m,3H),7.13(d,2H),6.77(s,1H),5.14(s,2H),4.26(s,2H),3.09−3.04(m,1H),2.75−2.71(m,2H),2.64(s,3H),2.37−2.33(m,1H),2.06(s,3H),1.98−1.92(m,1H),1.65−1.48(m,6H),1.09−1.06(m,1H).MS(ESI):457(M+H)
【実施例10】
【0125】
【化14】

【0126】
6,7−ジクロロ−2−メチル−2−フェニル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−2−フェニルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.58−7.42(m,4H),7.31−7.13(m,5H),7.14(d,2H),6.95(s,1H),5.26(s,2H),4.27(s,2H),3.49(d,1H),3.19(d,1H),1.67(s,3H).MS(ESI):520(M+H)
【実施例11】
【0127】
【化15】

【0128】
メチル3−(4−{4−[(6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)オキシ]ブトキシ}フェニル)プロパノエート
メチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(500mg、2.77ミリモル)、1,4−ジブロモブタン(2.3g、10.9ミリモル)及び炭酸セシウム(2.26g、6.94ミリモル)を、アセトン(25ml)中で、40〜45℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、透明の液体を得た。粗製の液体のシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(0〜40%酢酸エチル/ヘキサン)は、メチル3−[4−(4−ブロモブトキシ)−フェニル]プロパノエートを透明なオイルとして与えた(740mg、85%)。6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オン(100mg、0.33ミリモル)、メチル3−[4−(4−ブロモブトキシ)フェニル]プロパノエート(105mg、0.33ミリモル)、及び炭酸カリウム(136mg、0.99ミリモル)の混合物を、アセトン(3.3ml)中で40〜45℃で一晩撹拌した。1.0N HCl水溶液を用いて、反応混合物をpH1に酸性化した。混合物を食塩水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を一緒にして、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過し、減圧下に溶媒を除去して、粗製物質をオイルとして得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(0〜20%酢酸エチル/ヘキサン)は、所望の生成物をオイルとして与えた。H NMR(CDCl,300MHz)δ7.13(d,1H),6.85−6.82(d,1H),6.84(s,1H),4.22−4.20(t,2H),4.07−4.05(t,2H),3.68(s,3H),2.99(d,1H),2.91(t,2H),2.68(d,1H),2.61(t,2H),2.26−2.23(m,1H),2.12−2.06(m,2H),2.05−2.04(m,2H),1.86−1.83(m,1H),1.61−1.50(m,5H),1.26−1.22(m,1H),1.24(s,3H),0.90−0.89(m,1H).MS(ESI)557,555(M+Na)
【実施例12】
【0129】
【化16】

【0130】
6,7−ジクロロ−2−(シクロペンチルメチル)−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}−オキシ)インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−2−(シクロペンチルメチル)−5−ヒドロキシ−2−メチルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.53(s,1H),7.42−7.40(m,3H),7.13(d,2H),6.91(s,1H),5.23(s,2H),4.27(s,2H),3.11(d,1H),2.78(d,1H),1.76−1.68(m,4H),1.59−1.42(m,5H),1.21(s,3H),1.18−1.04(m,2H).MS(ESI):526(M+H)
【実施例13】
【0131】
【化17】

【0132】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−ヒドロキシインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.53(s,1H),7.42−7.40(m,3H),7.13(d,2H),6.91(s,1H),5.23(s,2H),4.25(s,2H),3.13−3.09(m,1H),2.79−2.73(m,2H),2.32−2.28(m,1H),2.01−1.94(m,1H),1.67−1.35(m,6H),1.18−1.15(m,1H).MS(ESI):498(M+H)
【実施例14】
【0133】
【化18】

【0134】
6,7−ジクロロ−2−イソプロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−5−ヒドロキシ−2−イソプロピルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.38(d,2H),7.53(s,1H),7.42−7.40(m,3H),7.12(d,2H),6.92(s,1H),5.23(s,2H),4.25(s,2H),3.00(dd,1H),2.79(dd,1H),2.71−2.67(m,1H),2.41−2.38(m,1H),1.04(d,3H),0.78(d,3H).MS(ESI):472(M+H)
【実施例15】
【0135】
【化19】

【0136】
6,7−ジクロロ−2−プロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
6,7−ジクロロ−5−ヒドロキシ−2−プロピルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.39(d,2H),7.53(s,1H),7.42−7.40(m,3H),7.13(d,2H),6.90(s,1H),5.22(s,2H),4.26(s,2H),3.22−3.16(m,1H),2.72−2.67(m,2H),1.95−1.90(m,1H),1.48−1.41(m,3H),0.96(t,3H).MS(ESI):526(M+H)
【実施例16】
【0137】
【化20】

【0138】
6,7−ジメチル−2−プロピル−5−{[3−(ピリジン−4−イルチオ)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン
[3−(ピリジン−4−イルチオ)フェニル]メタノール、及び5−ヒドロキシ−6,7−ジメチル−2−プロピルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.38(d,2H),7.66−7.47(m,4H),7.00(d,2H),6.77(s,1H),5.18(s,2H),3.20−3.16(m,1H),2.71−2.62(m,5H),2.21(s,3H),1.97−1.92(m,1H),1.52−1.40(m,3H),0.95(t,3H).MS(ESI):417(M+H)
【実施例17】
【0139】
【化21】

【0140】
6,7−ジメチル−2−プロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン
5−ヒドロキシ−6,7−ジメチル−2−プロピルインダン−1−オンを用いて、実施例8で述べたのと同様の手段を実施し、標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz),δ8.37(d,2H),7.49(s,1H),7.38−7.34(m,3H),7.12(d,2H),6.74(s,1H),5.12(s,2H),4.24(s,2H),3.17−3.12(m,1H),2.67−2.58(m,5H),2.18(s,3H),1.92−1.89(m,1H),1.45−1.38(m,3H),0.95(t,3H).MS(ESI):432(M+H)
【0141】
本発明を、それらの特定の実施態様を参照して記載及び説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、手順及びプロトコールの種々の適用、変更、修飾、削除又は追加を成しうることを理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Aは、未置換であるか、又はオキソで置換されている、フェニル、ナフチル、アゼチジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、クロメニル、ジヒドロインデニル、ジヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、インダニル、インダゾリル、インドリル、オキサジアゾリル、プリニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びテトラゾリルからなる群から選択され、
Xは、下記からなる群から選択され、
(1)単結合、
(2)−O−、
(3)−S−、
(4)−SO−、
(5)−NH−、
(6)−N(C1−3アルキル)−、
(7)−O−フェニル−、
(8)−S−フェニル−、
(9)−S−C1−3アルキルフェニル−、
(10)−フェニル−、及び
(11)−ピペラジニル−;
Yは、下記からなる群から選択され、
(1)−O−、
(2)−NH(CO)−、及び
(3)単結合;
1a及びR1bは、下記からなる群から独立して選択され、
(1)水素、
(2)未置換であるか、又は下記からなる群から選択される置換基で置換されているC1−6アルキル、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、及び
(c)未置換であるか、又はハロゲン、シアノ、CF、ヒドロキシル、C1−6アルキル、及びOC1−6アルキルから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されているフェニル、
(3)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル若しくはフェニルで置換されているC3−7シクロアルキル、及び
(4)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、CF、C1−6アルキル、及びOC1−6アルキル(該C1−6アルキル、及びOC1−6アルキルは、1〜5個のハロゲンで任意に置換されている、直鎖又は分岐鎖である)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されているフェニル;
は下記からなる群から選択され、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)−OC1−6アルキル、及び
(4)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル若しくはフェニルで置換されているC1−6アルキル;
は下記からなる群から選択され、
(1)ハロゲン、及び
(2)未置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシル若しくはフェニルで置換されているC1−6アルキル;
は、複数の置換基を含んでいてもよく、それらは下記からなる群から独立して選択されるか;
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)未置換であるか、又はハロゲン、−CN、−COC1-6アルキル若しくは−CO1−6アルキルで置換されているC1−6アルキル、
(4)−O−C1-6アルキル、
(5)フェニル、
(6)ピリジル、
(7)チアゾリル、
(8)−CN、及び
(9)ヒドロキシル、
又は、Rは、隣接する炭素でフェニル環と結合し、ジヒドロフラニル環を形成していてもよい;
mは、0、1、2及び3から選択される整数であり;
nは、0、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。)の化合物、及びその医薬として許容される塩、並びにそれらの個々のジアステレオマー。
【請求項2】
Aがフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aがピリジルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Xが−O−である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Xが−S−である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Aがピリジルであり、Xが−S−である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Xが単結合であり、Yが−O−である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Xが−O−フェニル−である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Xが−フェニル−である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
1aがC1−6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
1aがC5−6シクロアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1aがフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
1bが水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
1bがC1−6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
がクロロであり、Rがクロロである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
mが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
nが2である、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−(ピリジン−3−イルメトキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)ブトキシ]インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−{[3−(1H−ピロール−1−イル)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(ピリジン−4−イルチオ)ブトキシ]インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−[4−(2−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ブトキシ]インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
2−シクロペンチル−6,7−ジメチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−メチル−2−フェニル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
メチル3−(4−{4−[(6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−2−メチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)オキシ]ブトキシ}フェニル)プロパノエート;
6,7−ジクロロ−2−(シクロペンチルメチル)−2−メチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−シクロペンチル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−イソプロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジクロロ−2−プロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;
6,7−ジメチル−2−プロピル−5−{[3−(ピリジン−4−イルチオ)ベンジル]オキシ}インダン−1−オン;
6,7−ジメチル−2−プロピル−5−({3−[(ピリジン−4−イルチオ)メチル]ベンジル}オキシ)インダン−1−オン;又はそれらの医薬として許容される塩からなる群から選択される化合物。
【請求項21】
不活性担体、及び請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩を含有する、医薬組成物。
【請求項22】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の有効量を投与することを含む、哺乳類における代謝調節型グルタミン酸受容体活性を増強する方法。
【請求項23】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩を、薬学的担体又は希釈剤と混合することを含む、哺乳類における代謝調節型グルタミン酸受容体活性を増強するための医薬を製造する方法。
【請求項24】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の治療的に有効な量を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類患者において、グルタミン酸機能障害に関連する神経系疾患及び精神病を治療、制御、改善、又は危険性を減少させる方法。
【請求項25】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の治療的に有効な量を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類患者において、不安を治療、制御、改善、又は危険性を減少させる方法。
【請求項26】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の治療的に有効な量を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類患者において、うつ病を治療、制御、改善、又は危険性を減少させる方法。
【請求項27】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の治療的に有効な量を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類患者において、偏頭痛を治療、制御、改善、又は危険性を減少させる方法。
【請求項28】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の治療的に有効な量を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類患者において、精神分裂病を治療、制御、改善、又は危険性を減少させる方法。
【請求項29】
請求項1記載の化合物又はそれらの医薬として許容される塩の治療的に有効な量を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類患者において、てんかんを治療、制御、改善、又は危険性を減少させる方法。

【公表番号】特表2008−517920(P2008−517920A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538044(P2007−538044)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037797
【国際公開番号】WO2006/047237
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】