説明

傷検査装置、傷検査方法

【課題】容易に製作できる装置により、半導体ウェーハ(薄片試料)の端面の傷の有無を自動検査できること。
【解決手段】ウェーハ1の面に直交する一の平面内に配置され、被検査端部Pに対し異なる方向から光を照射する複数のLED12と、被検査端部Pの画像データを得るカメラ20とを備え、計算機30が、順次異なる一部のLED12のみが点灯した一部点灯状態になるよう制御を行い、さらに、その一部点灯状態の画像データに基づいて、点灯中のLED12の光の正反射光の像の領域(正反射光領域)を特定し、順次異なる一部のLED12のみが消灯した一部消灯状態になるよう制御を行い、その一部消灯状態の画像データついて、点灯中のLED12に対応する正反射領域以外の画像領域であって消灯中のLED12に対応する正反射領域と重複する興味領域の範囲内に、高輝度部が存在するか否かにより、被検査端部Pにおける傷の有無を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ、ハードディスク用のアルミサブトレート、ガラスサブストレートなどの薄片試料の端面の傷の有無を検査する傷検査装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、円盤状の薄片(板状)である半導体ウェーハの端面は、外側に膨らんだ(突出した)湾曲面(断面形状が概ね半円状又は半楕円状)であり、光沢がある状態(光が正反射するほぼ鏡面状態)に加工されている。
このような半導体ウェーハ(以下、ウェーハという)は、その製造時や、ウェーハを用いたデバイス製造時において、端面(縁部)が他の部品やウェーハ保持部材と接触することによって傷ついたり、欠けたりする場合がある。さらに、その傷や欠けが原因で、ウェーハが割れることもある。このため、ウェーハの端面に傷が存在するか否かを検査することは重要である。
一方、特許文献1には、楕円鏡の第1焦点位置に配置した被検査端部(端面)にコヒーレント光を照射し、その被検査端部の傷によって散乱反射した光を楕円鏡の第2焦点位置に配置した光検出器で検出することにより、被検査端部の傷の有無を検査する傷検査装置が示されている。なお、この特許文献1に示される楕円鏡の鏡面(内側面)のうち、被検査端部からの正反射光(傷のない部分からの反射光)が到達する領域には、光吸収部材(マスキングテープ)が貼付されている。このような傷検査装置では、被検査端部に傷が存在しない場合は、被検査端部で正反射した光が光吸収部材により吸収され、反射光は光検出器にほとんど到達しない。一方、被検査端部に傷が存在する場合には、その傷の部分で乱反射した光が楕円鏡によって光検出器に集光される。その結果、光検出器で検出される光強度により、被検査端部における傷の有無を判別できる。
【特許文献1】特開2003−287412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示される傷検査装置を構成する楕円鏡は、複雑な3次元形状を有するとともに、内面の適切な位置に光吸収部材が貼付されるものであり、高い寸法精度での設計及び製作(3次元加工)を必要とする。このため、装置の設計及び製作の手間及びコストが大きいという問題点があった。しかも、楕円鏡の焦点位置に被検査端部(試料)及び光検出器が正しく配置されるよう機器の位置関係を高精度で位置決めする必要があり、その手間及び位置決め機構に要するコストが大きくなるという問題点もあった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、既存部品の組合せ等によって容易に製作できる装置により、半導体ウェーハなどの薄片試料(板状の試料)の端面における傷の有無を自動検査することができる傷検査装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は、半導体ウェーハ等の薄片試料(板状の試料といってもよい)の光沢を有する端面(略鏡面状の端面といってもよい)である被検査端部における傷の有無を検査する傷検査装置として構成されるものであり、以下の(1)〜(6)に示す構成要素を備えるものである。
(1)前記薄片試料の表裏の面に略直交する一の平面内に配置され、前記被検査端部に対しそれぞれ異なる方向から光を照射する複数の光源。
(2)前記被検査端部を所定方向から撮像して画像データを取得する撮像手段。
(3)前記複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが点灯した状態(以下、一部点灯状態という)になるよう切り替え制御を行う第1の光源制御手段。
(4)前記一部点灯状態それぞれにおいて前記撮像手段により得られる画像データそれぞれに基づいて、点灯中の前記光源それぞれについて、その光の前記被検査端部での正反射光により形成される像の画像領域である正反射光領域を特定し、その正反射光領域とこれに対応する光源(点灯中の光源)の識別情報とを対応付けて所定の記憶手段に記録する正反射光領域特定・記録手段。
(5)前記複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが消灯した状態(以下、一部消灯状態という)になるよう切り替え制御を行う第2の光源制御手段。
(6)前記一部消灯状態それぞれにおいて前記撮像手段により得られる画像データそれぞれについて、点灯中の全ての前記光源に対応する前記正反射領域以外の画像領域であって消灯中の前記光源に対応する前記正反射領域と重複する領域の一部若しくは全部である興味領域の範囲内に所定輝度以上の像が存在するか否かを判別することにより、前記被検査端部における傷の有無を判別する傷判別手段。
ここで、前記薄片試料は、略円盤状の半導体ウェーハがその典型例である。
また、前記正反射光領域特定・記録手段は、例えば、画像データにおける輝度値が突出している画素により形成される領域を前記正反射光領域として特定する。
なお、前記一部点灯状態及び前記一部消灯状態は、いずれも一部の光源が点灯中であり、他の一部の光源が消灯中であるという観点から見れば同様の状態である。しかしながら、本出願において、前記一部点灯状態は、複数の光源のうちの大部分が消灯中(ごく少ない一部が点灯中)である状態を意味し、前記一部消灯状態は、複数の光源のうちの大部分が点灯中(ごく少ない一部が消灯中)である状態を意味するものとする。
【0005】
以上に示した構成を備えた傷検査装置は、前記正反射光領域特定・記録手段により、光源ごとに、その光の被検査端部での正反射光(傷のない部分で反射した光)が到達する領域(画像データ上の領域)が前記正反射光領域として特定される。
そして、前記一部消灯状態において、被検査端部に傷が存在しない場合は、点灯中の光源の光の反射光は、その全部がほぼ正反射する。このため、前記興味領域は、反射光の像が表れず、その領域内の全体が暗い状態となる。一方、前記一部消灯状態において、被検査端部に傷が存在する場合には、点灯中の光源の光(傷の部分に到達する全ての光)が傷の部分において様々な方向に乱反射する。このため、通常は、前記興味領域内にも傷の部分からの乱反射光の一部の像が表れ、その興味領域内の一部が明るい状態となる。従って、前記興味領域に所定輝度以上の像(画素或いは画素群)が存在するか否かにより、被検査端部における傷の有無を判別することができる。
しかも、前記興味領域内には、点灯中の他の全ての光源(傷の部分に出射光が到達するもの全て)の光に関する傷部での乱反射光が重畳して形成される比較的明るい像が表れるため、前記興味領域内における乱反射光の像を高感度で検出でき、ひいては被検査端部の傷の有無を確実に検査できる。
【0006】
ここで、前記一部点灯状態とする制御は、光源それぞれに対応する前記正反射光領域を特定するために行われる。このため、前記一部点灯状態は、基本的には、1つの光源のみが点灯した状態であることが考えられる。
一方、複数の光源が同時に点灯した状態を前記一部点灯状態とした場合、前記撮像手段により得られる画像には、各光源い対応する複数の反射光の像が表れ、複数の前記正反射光領域が特定されることになる。そして、それら複数の正反射光領域それぞれが、点灯中の複数の光源のいずれに対応するものかを識別できる場合であれば、前記一部点灯状態を、複数の光源が同時に点灯した状態としても何ら支障がなく、検査速度向上につながるというメリットがある。
一般に、前記被検査端部が半導体ウェーハの端面のように表面角度が単調増加(或いは、単調減少)する面であり、その被検査端部から見た方向の角度差が比較的小さい範囲内に複数の光源が存在する場合、それら複数の光源に対応する複数の前記正反射光領域が重複或いは近接し、それらがいずれの光源に対応するものであるかの識別が難しい。しかしながら、その被検査端部から見た方向の角度差が比較的大きい方向に存在する複数の光源については、それら複数の光源に対応する複数の前記正反射光領域は比較的大きく離れて分離し、それらがいずれの光源に対応するものであるかの識別は容易である。
従って、前記一部点灯状態は、前記被検査端部から見た方向の角度差が所定角度以上の方向(角度差が大きい方向)に存在する複数の光源が同時に点灯した状態であることも考えられる。
【0007】
一方、後述するように、前記被検査端部に対する光の照射角度が比較的近い複数の光源について、それらに対応する前記正反射光領域が重複する場合、前記一部消灯状態を、1つの光源のみを消灯させた状態とすると、前記興味領域として設定できる領域が存在しない、或いはごく微小な領域しか存在しない状態となり、傷検査の対象となる前記興味領域(ROI)を十分な大きさ(広さ)に設定できない事態が生じる。
このような場合、前記一部消灯状態が、前記被検査端部から見た方向の角度差が所定角度以内の範囲に存在する全ての複数の光源が同時に消灯した状態であれば好適である。
これにより、十分な大きさの前記興味領域を確保できる。
また、前記複数の光源は、例えば、前記被検査端部の配置位置を中心とする略円弧に沿って配置されることが考えられる。これにより、各光源から被検査端部までの距離がほぼ等距離となり、各光源に同じものを採用することによって被検査端部に対する各光源の光の照射強度を均一化できる。その結果、被検査端部からの反射光の像に基づく画像処理(前記正反射光領域の特定等)を行う際に、光源ごとにパラメータ(輝度のしきい値等)を切り替える必要がなく、処理が簡易となる。
なお、複数の光源が、前記被検査端部から見た方向の角度差が大きくなるように配置された場合(光源の数が少ない場合)、前記正反射光領域の重複は回避できるものの、前記被検査端部において光が照射されない部分が生じる。その結果、光が照射されない部分について傷の検査を行うことができず、検査漏れの問題が生じる。
【0008】
ところで、前記撮像手段としてCCDカメラ等を用いる場合、1つの前記撮像手段による撮像範囲(受光範囲)には制限がある。この制限は、傷検査が可能な被検査端部(薄片試料の端面)の表面角度の最大範囲の制限につながる。
これに対し、前記被検査端部をその正面方向から前記薄片試料が縦方向となるように見た場合に、前記被検査端部を左右の略対称な2方向それぞれから撮像して画像データを取得する2つの前記撮像手段を設けることが考えられる。例えば、その2つの撮像手段は、前記被検査端部を基点として略90°をなす方向それぞれから前記被検査端部を撮像するものである。また、この場合、前記正反射光領域特定・記録手段及び前記傷判別手段は、2つの前記撮像手段により得られる画像データそれぞれについて処理を実行する。
これにより、1つの前記撮像手段による撮像範囲の制限を超えて、傷検査が可能な表面角度の最大範囲を広げることができる。
また、2つの前記撮像手段を設けた場合、前記第1の光源制御手段が、前記一部点灯状態の切り替えを行う過程において、2つの前記撮像手段各々に対応する複数の光源を同時に点灯させることが考えられる。
同様に、前記第2の光源制御手段が、前記一部消灯状態の切り替えを行う過程において、2つの前記撮像手段各々に対応する複数の光源を同時に消灯させることも考えられる。
これにより、検査時間を短縮できる。
【0009】
また、複数の前記被検査端部について傷検査を行う場合、被検査端部それぞれの形状がほぼ等しく、かつ、光源及び撮像手段に対する被検査端部の位置がほぼ一定となるように位置決めできる場合には、光源それぞれに対応する前記正反射光領域は、被検査端部が異なってもほぼ等しい。
そこで、そのような場合には、本発明に係る傷検査装置は、1つの前記被検査端部について実行された前記第1の光源制御手段及び前記正反射光領域特定・記録手段の処理によって得られた前記正反射光領域の情報が、複数の前記被検査端部それぞれに対して実行される前記傷判別手段の処理に用いられるように構成されてもよい。
これにより、複数の被検査端部についての傷の検査を行う場合に、前記第1の光源制御手段及び前記正反射光領域特定・記録手段の処理を複数の被検査端部それぞれについて実行する場合に比べ、検査時間をより短縮できる。
この場合、前記一部消灯状態で得られる画像データにおける、点灯中の全ての前記光源に対応する前記正反射領域以外の画像領域全体のうち、その中央部を含む一部の領域(縁部を除く領域)を、前記興味領域とすれば特に好適である。
そのような興味領域は、被検査端部それぞれの形状や、光源及び撮像手段に対する被検査端部それぞれの位置に多少のばらつきが生じる場合でも、そのばらつきの影響を無視できる領域となるからである。
【0010】
一方、本発明は、以上に示した傷検査装置を用いた検査方法に相当する傷検査方法として捉えることもできる。
即ち、薄片試料の光沢を有する端面である被検査端部における傷の有無を検査する傷検査方法であって、以下の(1)〜(4)に示す各工程を有するものである。
(1)前記薄片試料の表裏の面に略直交する一の平面内に配置され、前記被検査端部に対しそれぞれ異なる方向から光を照射する複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが点灯した一部点灯状態になるよう所定の制御手段により切り替え制御を行う第1の光源制御工程。
(2)前記被検査端部を所定方向から撮像して画像データを取得する撮像手段により前記一部点灯状態それぞれにおいて得られる画像データそれぞれについて、点灯中の前記光源の光の前記被検査端部での正反射光により形成される像の画像領域である正反射光領域を特定し、その正反射光領域とこれに対応する光源の識別情報とを対応付けて所定の記憶手段に記録する正反射光領域特定・記録工程。
(3)前記複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが消灯した一部消灯状態になるよう所定の制御手段により切り替え制御を行う第2の光源制御工程。
(4)前記一部消灯状態それぞれにおいて前記撮像手段により得られる画像データそれぞれについて、点灯中の全ての前記光源に対応する前記正反射領域以外の画像領域であって消灯中の前記光源に対応する前記正反射領域と重複する領域の一部若しくは全部である興味領域の範囲内に所定輝度以上の像が存在するか否かを判別することにより、前記被検査端部における傷の有無を判別する傷判別工程。
このような傷検査方法を採用すれば、前記傷検査装置と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体ウェーハなどの薄片試料の端面における傷の有無を確実に検査できる。
しかも、本発明に係る傷検査装置は、複数の光源、撮像手段及び光源制御手段の組合せ(既存部品の組合せ)により構成され、前記楕円鏡のように複雑な加工を要することなる製作できる。その結果、本発明に係る傷検査装置は、設計及び製作の手間及びコストが抑えられ、比較的容易に製作できるものである。
さらに、本発明によれば、光源それぞれに対応する前記正反射光領域が、前記正反射光領域特定・記録手段により、実際の薄片試料を用いて、即ち、現物合わせによって特定されるので、複数の光源、前記撮像手段及び薄片試料(半導体ウェーハ等)のそれぞれを予め高精度に位置決めする必要がない。このため、装置を構成する機器の位置決めに関する手間及びコストも抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の実施形態に係る傷検査装置Zの概略構成図、図2は光照射角度及び表面角度の定義を表す図、図3は被検査端部の形状及び傷検査装置Zのカメラによる第1撮影画像の例(第1例)を表した図、図4は被検査端部の形状及び傷検査装置Zのカメラによる第1撮影画像の例(第2例)を表した図、図5は傷検査装置Zによる第1撮影画像の2値化画像の一例を表す図、図6は傷検査装置Zによる複数の第1撮影画像の2値化画像に基づく論理和画像の一例を表す図、図7は傷検査装置Zのカメラによる第2撮影画像の例を表した図、図8は傷検査装置Zによる検査処理の手順を表すフローチャート、図9は傷検査装置Zの応用例である傷検査装置Z’の概略構成を表す図である。
【0013】
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る傷検査装置Zの構成について説明する。傷検査装置Zは、薄片試料(板状の試料といってもよい)の一例である半導体ウェーハ1(以下、ウェーハという)の端面に傷が存在するか否かを検査する装置である。ここで、ウェーハ1は、ほぼ円形板状(円盤状)であり、その端面は外側に膨らんで湾曲した形状を有している。なお、図1(a)は、傷検査装置Zの平面図(一部ブロック図)、図1(b)は、傷検査装置Zの側面図(一部省略)である。
以下、傷の検査対象となるウェーハ1の端面を被検査端部Pという。
図1に示すように、傷検査装置Zは、光照射装置10と、カメラ20と、パーソナルコンピュータ等の計算機30と、ウェーハ1を支持する支持機構40とを備えている。
光照射装置10は、電子回路基板として構成され、その電子回路基板には、ウェーハ1に光を照射する点光源である複数のLED12と、そのLED12各々の点滅を切り替えるLED駆動回路11とが実装されている。なお、図1(b)には、一部のLED12について記載を省略している。
ここで、光照射装置10(電子回路基板)を平面視したときのほぼ中央部における所定位置を基準位置Qと称する。
【0014】
ここで、支持機構40は、ウェーハ1をその周方向に回転可能に支持するものである。この支持機構40は、ウェーハ1の端面を下方から支持する2つの支持部41と、ウェーハ1の表裏の面各々に接することにより、ウェーハ1の傾きを規制する(姿勢を保持する)ガイド部42とを備えている。ここで、、2つの支持部41は、不図示のモータを駆動減として回転駆動するローラにより構成されている。そして、これら2つの支持部41(ローラ)が回転することにより、ウェーハ1が周方向に回転する。なお、これら2つの支持部41の駆動源(モータ)は、その動作が計算機30によって制御される。
一方、ガイド部42は、ウェーハ1の回転に応じて従動回転するコロにより構成されている。
【0015】
光照射装置10を構成する電子回路基板には、ウェーハ1の被検査端部Pを基準位置Qに配置可能とするために、ウェーハ1が挿入される切り欠き部13が形成されている。即ち、基準位置Qが、被検査端部Pの配置位置となる。また、ウェーハ1をその周方向に回転させることにより、被検査端部Pを容易に変更できる。これにより、ウェーハ1の周囲全体、或いは周囲全体のうちの複数箇所の端面を被検査端部Pとして傷の有無を検査できる。
光照射装置10が備える複数のLED12は、その発光部が、ウェーハ1の表裏の面にほぼ直交する平面であって、基準位置Qを含む1つの平面内に位置するように、かつ、基準位置Qを中心とする円弧上に(円弧に沿って)位置するように、電子回路基板に実装されている。ここで、各LED12は、カメラ20と干渉する位置を除き、例えば基準位置Qから見た方向が約2°ずつ異なるように等間隔(等角度の間隔)で配置されている。また、各LED12の基準位置Q(被検査端部P)からの距離は、被検査端部Pの奥行き寸法に対して十分に長い距離(例えば150mm程度)とする。なお、薄片試料の端面が、半楕円状の湾曲面などである場合には、その厚み方向の断面の形状と略相似な形状を表す曲線に沿って各LED12を配置することも考えられる。
また、ウェーハ1は、その面(おもて面及びうら面)が、LED12の発光部が配置される1つの平面に対してほぼ直交し、ウェーハ1の表裏の面の中央部(円板の中心)が、LED12の発光部が配置される1つの平面内に位置する状態で切り欠き部13に挿入され、その状態で検査が行われる。
LED駆動回路11は、計算機30からの制御指令に従って、このように1つの平面内の複数の位置各々に配置された複数のLED12をそれぞれ個別に点滅させることが可能である。このように、光照射装置10の各LED12(光源)は、基準位置Qに配置されたウェーハ1の被検査端部Pに対し、それぞれ異なる照射角度で光を照射する。
ウェーハ1の被検査端部Pである端面(側面)は、滑らかに加工されており、鏡面或いはそれに近い光沢のある面となっている。このため、被検査端部Pに傷がない限り、LED12から出力された光は、その被検査端部Pにおいて概ね正反射し、ほとんど乱反射はしない。
【0016】
カメラ20(ディジタルカメラ)は、基準位置Qから所定間隔隔てた位置(例えば、50mm〜100mm程度)に固定され、ウェーハ1の被検査端部Pからの反射光を受光して光電変換することにより、反射光の二次元の輝度分布データ(即ち、画像データ)を取得するものである(撮像手段の一例)。
このカメラ20は、LED12の発光部が配置される1つの平面(基準位置Qを含む平面)内に配置され、その正面方向が、ウェーハ1の面の中央部に向かうように設置されている。即ち、カメラ20は、その正面方向が、ウェーハ1の厚み方向中央における平断面に沿う方向となるように(ウェーハ1を真横から見るように)設置されている。これにより、カメラ20は、ウェーハ1の被検査端部P(端面)を、ウェーハ1の厚み方向全体に渡って観測できる。
また、カメラ20の焦点は、基準位置Q(即ち、被検査端部P)に設定されている。
計算機30は、光照射装置10におけるLED駆動回路11及び支持機構40を制御(LED12の点滅制御)するとともに、カメラ20のシャッター制御とカメラ20による撮影画像の取り込みとを行う。その具体的な動作については後述する。ここで、図1には示していないが、計算機30は、LED駆動回路11、カメラ20及び支持機構40との間で、信号の授受や画像データの取得を行うためのインターフェースを備えている。
なお、以下に示す計算機30の処理は、計算機30が備えるMPUが、同じく計算機30が備えるハードディスクドライブなどの記憶手段に予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
ここで、図2を参照しつつ、光の照射方向などを表す符号について説明する。なお、図2(a)は、傷検査装置Zを平面視した状態を模式的に表した図であり、図2(b)は、その基準位置Pの部分を拡大して表した図である。
図2に示すように、被検査端部Pとカメラ20とを結ぶ直線の方向(以下、カメラ正面方向という)を基準としたときの光の照射角度をφとする。また、被検査端部Pにおいて光が正反射する部分の中心位置Pxにおける、カメラ正面方向に直交する面(以下、撮影画像におけるX−Y平面に相当する面という意味で、X−Y面という)を基準とした表面角度をθとする。
以下、いずれか1つのLED12のみによって被検査端部Pに光を照射した状態を1個点灯状態(一部点灯状態の一例)という。また、その1個点灯状態においてカメラ20により得られる画像を第1撮像画像、その画像データを第1画像データという。
【0018】
次に、傷検査装置Zによる被検査端部Pの傷検査の原理について説明する。
暗室に設置された傷検査装置Zにおいて、傷のない被検査端部Pに光が照射されると、その光は、光沢のある被検査端部Pにおいて正反射する。そして、カメラ20による撮影画像は、その反射光の像を表す。
図3は、被検査端部Pの形状の一例(a)及びその被検査端部Pのカメラ20による前記第1撮影画像の一例(b)を表した図である。なお、図3(b)において、低輝度(暗い)領域を黒色で表し、光輝度(明るい)領域を白色で表している。
図3(a)には、表面角度θが単調増加(或いは、単調減少)するような被検査端部Pの形状を示している。なお、図3(a)における上下方向が、ウェーハ1の厚み方向である。
このような被検査端部Pを、ある1つのLED12のみによって光を照射しながらカメラ20により撮像すると、図3(b)に示すような像の第1画像データが得られる。
【0019】
前記第1画像データにおいて、輝度値が他よりも比較的高い(輝度値が突出している)画素により形成される領域Sxは、点灯中のLED12から発せられた光が被検査端部Pにおいてほぼ正反射した光(正反射光)により形成される像の領域(画像領域)である。以下、LED12それぞれに対応する正反射光の像の領域を総称して正反射光領域Sxと表記する。
計算機30は、例えば、前記第1画像データにおける予め定められた輝度以上の画素により構成される画像領域、或いは、輝度の空間微分値(隣接する画素の輝度の差)が予め定められた値以上である画素によって囲まれる画像領域を、正反射光領域Sx(輝度値が突出している領域)として特定する。
この正反射光領域Sxは、LED12による光の照射方向(何番目のLED12を点灯させるか)によって異なる。即ち、点灯するLED12それぞれと正反射光領域Sxとは1対1に対応する。以下、LED12それぞれの識別番号(配列順の番号)を「i」とし、i番目のLED12の光の正反射光により形成される像の領域を正反射光領域Sx(i)と表記する。なお、全LED12の数はn個とする。
【0020】
一方、図4は、被検査端部Pの形状の他の一例(a)及びその被検査端部Pのカメラ20による前記第1撮影画像の一例(b)を表した図である。
図4(a)には、被検査端部Pが、内側に窪んでいる形状(以下、窪み形状という)を有する測定部位Pを示している。なお、図4(a)における上下方向が、ウェーハ1の厚み方向である。
このような被検査端部Pを、ある1つのLED12のみによって光を照射しながらカメラ20により撮像すると、図4(b)に示すように、複数の正反射光の像(高輝度の領域)が得られる。この現象は、同じ表面角度φを有する正反射位置Pxが複数存在する場合に生じる。
被検査端部Pがこの図4(a)に示すような形状である場合、1つのLED12に対応する前記正反射領域Sxが、分離した複数の領域により構成されるということ以外は、図3に示した被検査端部Pの場合と何ら変わりはない。
従って、傷検査装置Zを用いれば、このように被検査端部Pが窪み形状を有する場合であっても、傷の有無を検査できる。
【0021】
次に、複数のLED12に関し、その一部のLED12のみが消灯した状態(その他のLED12は点灯状態)である前記一部消灯状態について考える。以下、その一部消灯状態においてカメラ20により得られる画像を第2撮像画像、その画像データを第2画像データという。
図7は、被検査端部Pに傷が存在しない場合について、カメラ20による第2撮影画像の例を表した図である。ここで、図7(a)は、被検査端部Pに傷が存在しない場合の例、図7(b)は、被検査端部Pに傷が存在する場合の例を表す。
被検査端部Pに傷が存在しない場合、図7(a)に示すように、前記第2撮像画像において、点灯中の全てのLED12に対応する正反射領域Sx以外の画像領域(反射光の像が表れない暗い領域)であり、かつ、消灯中のLED12に対応する正反射領域Sxと重複する領域の一部又は全部を、興味領域Sy(ROI)とした場合、その興味領域Sy内には反射光の像が表れない。
一方、被検査端部Pに傷が存在する場合には、傷の部分に到達するLED12の光が、傷の部分において様々な方向に乱反射する。このため、通常は、図7(b)に示すように、前記第2撮像画像において、前記興味領域Syにも、傷の部分からの乱反射光の一部の像(輝度が高い画素)が表れる。
従って、前記興味領域Syに所定輝度以上の像(画素或いは画素群)が存在するか否かにより、被検査端部Pにおける傷の有無を判別することができる。
しかも、前記興味領域Sy内には、点灯中の他の全てのLED12(傷の部分に出射光が到達するもの全て)の光に関する傷部での乱反射光が重畳して形成される比較的明るい像が表れる。このため、前記興味領域Sy内における乱反射光の像を高感度で検出でき、ひいては被検査端部Pの傷の有無を確実に検査できる。
【0022】
次に、前記一部消灯状態をどのような状態とすればよいかについて説明する。
図5は、(i−2)番〜(i+2)番の5つのLED12それぞれを点灯した前記1個点灯状態における前記第1撮像画像を、前記正反射光領域Sx(i)とその他の領域とに区分して2値化した2値化画像V(iー2)〜V(i+2)の一例を表す。ここで、図1に示す傷検査装置ZにおけるLED12は、基準位置Q(被検査端部P)を中心に2°ずつ異なる方向に配列されているため、(i−2)番〜(i+2)番の5つのLED12は、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が8°(2°×4)以内の方向に存在するものである。
図1に示す傷検査装置Zのように、多数のLED12(光源)を密(ここでは、2°きざみ)に配置した場合、点灯させるLED12が近接している前記1個点灯状態の相互間で、前記正反射光領域Sxが一部重複する。図5に示す例では、少なくとも、あるLED12を点灯時の正反射領域Sxとその隣のLED12を点灯時の正反射領域Sxとは、一部が重複している。
【0023】
一方、図6は、図5に示したような正反射光領域Sxが重複する2値化画像に基づく論理和画像(OR画像)の一例を現す。
ここで、図6(a)は、2値化画像V(i)以外の全ての2値化画像(の各画素)について論理和処理を行って得られるOR画像の一例である。これは、i番のLED12のみ(1つのみ)を消灯させた状態で得られる画像の2値化画像に相当する。
図6(b)は、2値化画像V(i−1)〜V(i+1)以外の全ての2値化画像(の各画素)について論理和処理を行って得られるOR画像の一例である。これは、(i−1)番〜(i+1)番の連続する3つのLED12のみを消灯させた状態、即ち、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が4°(2°×2)以内の範囲内に存在する全てのLED12を同時に消灯させた状態で得られる画像の2値化画像に相当する。
図6(c)は、2値化画像V(i−2)〜V(i+2)以外の全ての2値化画像(の各画素)について論理和処理を行って得られるOR画像の一例である。これは、(i−2)番〜(i+2)番の連続する5つのLED12のみを消灯させた状態、即ち、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が8°(2°×4)以内の範囲内に存在する全てのLED12を同時に消灯させた状態で得られる画像の2値化画像に相当する。
【0024】
LED12が密に配列されている場合(正反射光領域Sxが重複する場合)、図6(a)に示すように、1つのLED12のみを消灯させた状態とすると、消灯中のLED12(i番)に対応する正反射領域Sx(i)内に、光の照射角度が比較的近い他のLED12の正反射光の像が表れる。このため、点灯中の他の全てのLED12に対応する正反射領域(Sx(1)〜Sx(i−1)、Sx(i+1)〜Sx(n))以外の画像領域であって消灯中のLED12に対応する正反射領域Sx(i)と重複する領域(反射光の像が表れない暗い領域)が、存在しない(或いは、ごく微小な領域しか存在しない)状態となり、傷検査の対象となる前記興味領域Sy(ROI)を十分な大きさ(広さ)に設定できない。
これに対し、図6(b)、(c)に示すように、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が4°或いは8°以内の範囲内に存在する全てのLED12を同時に消灯させた状態とした場合、点灯中の他の全てのLED12に対応する正反射領域Sx以外の画像領域(反射光の像が表れない暗い領域)と、消灯中のLED12に対応する正反射領域(例えば、Sx(i))とが重複する領域(前記興味領域Syとすることができる領域)を十分に確保できる。
本実施形態では、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が予め定められた設定角度αs(例えば、4°或いは8°)以内の範囲内に存在する全てのLED12を同時に消灯させた状態(前記一部消灯状態の一例)で得られる前記第2画像データについて、点灯中の他の全てのLED12に対応する正反射領域Sx以外の画像領域(反射光の像が表れない暗い領域)と、消灯中のLED12のうち被検査端部Pから見て中央に位置するLED12に対応する正反射領域とが重複する領域を、前記興味領域Syとする。
例えば、前記設定角度αs=8°である場合、図6(c)に示すように、(i−2)番〜(i+2)番の連続する5つのLED12のみを消灯させた状態で得られる画像データについて、点灯中の他の全てのLED12に対応する正反射領域Sx以外の画像領域(反射光の像が表れない暗い領域)と、消灯中のi番目のLED12に対応する正反射領域(Sx(i))とが重複する領域を、興味領域Sy(i)とする。この場合、図6(c)に示されるように、前記一部消灯状態で得られる前記第2画像データにおいて、点灯中の(i−2)番〜(i+2)の全LED12に対応する正反射領域Sx(i−2)〜Sx(i+2)以外の画像領域全体のうち、その中央部を含む一部の領域(縁部を除く領域)が、前記興味領域Sy(i)となる。
【0025】
次に、図8に示すフローチャートを参照しつつ、傷検査装置Zによるウェーハ1の被検査端部Pの検査手順について説明する。以下、S1、S2、…は、処理手順(ステップ)の識別符号を表す。なお、ウェーハ1の被検査端部Pが、基準位置Qに位置するように配置された状態で、図8に示す処理が開始されるものとする。
[ステップS1〜S6]
まず、計算機30は、LED12各々を識別する番号iを初期化(i=1)する(S1)。
そして、計算機30は、LED駆動回路11を制御することによるi番目のLED12の点灯(S2)、その点灯状態(前記1個点灯状態)におけるカメラ20による被検査端部Pの撮像(シャッターON)及び撮影画像データ(前記第1画像データ)の記録(S3)を行う。カメラ20による撮影画像は、計算機30が備えるハードディスクなどの記憶手段に記録(記憶)される。
さらに、計算機30は、記憶(取得)した前記第1画像データに基づいて、点灯したi番目LED12に対応する前記正反射領域Sx(i)を特定する画像処理演算を行い、特定した正反射領域Sx(i)を表す情報と、これに対応するLED12の番号(光源の識別情報)とを対応付けてハードディスク等の記憶手段に記録する(S4)。
そして、計算機30は、番号iを順次カウントアップ(S6)しながら、全てのLED12について点灯、撮像及び正反射領域Sxの特定と記録が終了したと判別(S5)するまで、ステップS2〜S6の処理を繰り返す。
このように、計算機30は、複数のLED12(点光源)の点灯状態を、順次異なる一部(ここでは1個)のLED12のみが点灯した前記1個点灯状態(一部点灯状態の一例)になるよう切り替え制御を行う(S1、S2、S6:第1の光源制御手段及びその工程の一例)。
さらに、計算機30は、前記1個点灯状態それぞれにおいてカメラ20により得られる画像データ(第1画像データ)それぞれに基づいて、点灯中のLED12それぞれについて、前記正反射領域Sx(被検査端部Pでの正反射光により形成される像の画像領域)を特定し、その正反射光領域Sxとこれに対応するLED12の番号(識別情報)とを対応付けて記憶手段に記録する(S4:正反射光領域特定・記録手段及びその工程の一例)。
【0026】
次に、計算機30は、どうような組合せでLED12を消灯させて前記一部消灯状態とするかのパターン(以下、LED消灯パターンという)と、そのLED消灯パターンそれぞれに対応する前記興味領域(ROI)とを設定する処理を行う(S7)。
ここでは、計算機30は、前述したように、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が予め定められた設定角度αs(例えば8°)以内の範囲内に存在する全てのLED12を同時に消灯させた状態が前記一部消灯状態となるように、n通りの前記LED消灯パターンを設定する。n個のLED12それぞれについて、そのLED12が存在する方向(被検査端部Pから見た方向)を中心として±(αs/2)°の範囲内に存在するLED12全てを同時に消灯するという1番〜n番までのn通りの前記LED消灯パターンを設定する。
さらに、計算機30は、i番目の前記LED消灯パターンに対応する前記興味領域Sy(i)として、i番目のLED12に対応する前記正反射領域Sx(i)を設定する。これにより、各興味領域Syは、前記一部消灯状態それぞれで得られる前記第2画像データにおいて、点灯中の他の全てのLED12に対応する正反射領域Sx以外の画像領域(反射光の像が表れない暗い領域)と、消灯中のLED12のうち被検査端部Pから見て中央に位置するLED12に対応する正反射領域とが重複する領域の一部又は全部となる(図6(b)、図6(c)及び図7参照)。
なお、ここでは、計算機30が、設定角度αsに基づいて前記LED消灯パターンを自動設定する例を示したが、前記LED消灯パターンは、利用者による情報入力等により予め設定されていることも考えられる。
【0027】
[ステップS8〜S13]
次に、計算機30は、以下に示すステップS8〜S17の処理を実行することにより、ウェーハ1の被検査端部Pについての傷検査処理を実行する。
まず、計算機30は、前記LED消灯パターン各々を識別する番号jを初期化(j=1)する(S8)。
次に、計算機30は、LED駆動回路11を制御することにより、LED12の点灯状態を、j番目の前記LED消灯パターンに従った状態に設定する(S9)。さらに、計算機30は、LED消灯パターン(前記一部消灯状態)におけるカメラ20による被検査端部Pの撮像(シャッターON)及び撮影画像データ(前記第2画像データ)の記録(S10)を行う。カメラ20による撮影画像は、計算機30が備えるハードディスクなどの記憶手段に記録(記憶)される。
次に、計算機30は、j番目の前記LED消灯パターンで得られた前記第2画像データについて、そのときの前記LED消灯パターンに対応する前記興味領域Sy(j)内に、予め定められた設定輝度以上の像(画素)が存在するか否かを判別することにより、被検査端部Pにおける傷の有無を判別する(S11:傷判別手段及びその工程の一例)。
さらに、計算機30は、ステップS11において、前記興味領域Sy(j)内に前記設定輝度以上の像(画素)が存在する(傷が存在する)と判別しない限り、番号jを順次カウントアップ(S13)しながら、全ての前記LED消灯パターンについての処理が終了したと判別(S12)するまで、ステップS9〜S13の処理を繰り返す。
このように、計算機30は、複数のLED12の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが消灯した前記一部消灯状態になるよう切り替え制御を行う(S8〜10、S13:第2の光源制御手段及びその工程の一例)。
さらに、計算機30は、前記一部消灯状態それぞれにおいてカメラ20により得られる前記第2画像データそれぞれについて、対応する前記興味領域Sy内に前記設定輝度以上の像が存在するか否かを判別することによって被検査端部Pにおける傷の有無を判別する(S11:傷判別手段及びその工程の一例)。
【0028】
[ステップS14〜S17]
そして、計算機30は、ステップS9〜S13の処理中に、ステップS11において、前記興味領域Sy(j)内に前記設定輝度以上の像(画素)が存在すると判別した場合には、被検査端部Pに傷が存在する旨の出力、例えば、表示部へのメッセージ出力や音声出力、或いは所定のエラー信号の出力を行い(S14)、当該ウェーハ1についての傷検査処理を終了させる。
一方、全ての前記LED消灯パターンについて前記興味領域Sy内に高輝度画素が認められなかった(傷が存在しなかった)場合、計算機30は、予め定められた検査終了条件を満たした状態であるか否かを判別する(S15)。
ここで、計算機30は、前記検査終了条件を満たしていないと判別した場合、前記支持機構40を制御してウェーハ1を回転させることにより、被検査端部Pの位置を変更し(S16)、その上で、以上に示したステップS8〜S16の処理を繰り返す。
そして、計算機30は、ステップS8〜S16の処理中に、ステップS11において、前記興味領域Sy(j)内に前記設定輝度以上の像(画素)が存在すると判別することがなかった場合であって、ステップS15において、前記検査終了条件を満たしたと判別した場合には、被検査端部Pに傷が存在しない旨の出力(表示部へのメッセージ出力等)を行い(S17)、当該ウェーハ1についての傷検査処理を終了させる。
【0029】
以上に示した処理を実行する傷検査装置Zによれば、ウェーハ1の端面について、その周方向の複数の被検査端部Pにおける傷の有無を確実にかつ迅速に検査できる。
しかも、傷検査装置Zは、複数のLED12、カメラ20及び計算機30(制御手段)の組合せ(既存部品の組合せ)により構成され、前記楕円鏡のように複雑な加工を要することなる製作できる。その結果、傷検査装置Zは、設計及び製作の手間及びコストが抑えられ、比較的容易に製作できるものである。
さらに、傷検査装置Zによれば、LED12それぞれに対応する正反射光領域Sxが、ステップS1〜S6の処理により、実際のウェーハ1を用いて、即ち、現物合わせによって特定される。このため、複数のLED12、カメラ20及びウェーハ1のそれぞれを予め高精度に位置決めする必要がない。このため、装置を構成する機器の位置決めに関する手間及びコストも抑えることができる。
【0030】
ここで、検査対象となるあるウェーハ1について、その端面のある1箇所である被検査端部Pが前記基準位置Qに位置するように、支持機構40、LED12及びカメラ20の相対位置を位置決めした場合(ステップS1〜S17の処理を開始する準備が完了した状態)を考える。
この場合、その後、前記支持機構40によってウェーハ1を回転させて被検査端部Pを変更(S16)しても、ウェーハ1の端面のそれぞれの形状がほぼ等しければ(同種のウェーハ1であれば)、LED12それぞれに対応する正反射光領域Sxは、被検査端部Pが異なってもほぼ等しい。
そこで、傷検査装置Zによる傷検査処理(図8)では、1つの被検査端部Pについて実行されたステップS1〜S6の処理(前記第1の光源制御手段及び前記正反射光領域特定・記録手段の処理に相当)によって得られた正反射光領域Sxの情報(ステップS4で記録された情報)が、複数の被検査端部Pそれぞれに対して実行される傷判別処理(S11:傷判別手段の処理の一例)に用いられるように構成されている。
これにより、複数の被検査端部Pについての傷の検査を行う場合に、ステップS1〜S6の処理を、複数の被検査端部Pそれぞれについて実行する場合に比べ、検査時間をより短縮できる。
もちろん、あるウェーハ1の被検査端部Pについて実行したステップS1〜S6の処理の結果(正反射光領域Sxの情報)を、他のウェーハ1における複数の被検査端部Pについて実行される傷判別処理(S11:傷判別手段の処理の一例)に用いられるようにしてもよい。
【0031】
[傷検査装置Z’(応用例)]
次に、図9を参照しつつ、傷検査装置Zの応用例である傷検査装置Z’について説明する。以下、傷検査装置Z’について、前述した傷検査装置Zと異なる点についてのみ説明する。なお、図9において、図1に示した構成要素と同じものについては、同じ符号を記している。
図9に示すように、傷検査装置Z’は、被検査端部Pからの反射光の像を撮像するカメラ20として2台のカメラ20R、20Lを備え、それらが、被検査端部Pに対して各々異なる方向に配置されている。以下、それぞれ第1カメラ20R、第2カメラ20Lと称する。
さらに、傷検査装置Z’は、前述の計算機30の代わりに、実行するプログラムの一部が異なる計算機30’を備えている。
【0032】
図9に示す例では、2台のカメラ20R、20Lは、被検査端部Pをその正面方向から、ウェーハ1(薄片試料)が縦方向となるように見た場合に、被検査端部Pを左右の対称な2方向それぞれから撮像して画像データを取得する。
また、2台のカメラ20R、20Lは、基準位置Q(即ち、被検査端部P)を基点として90°をなす方向(ウェーハ1の面方向に対して±45°の方向)に配置されている。これにより、両カメラ20R、20L各々は、被検査端部Pの全領域(全面)のうちの一部の領域(各々の配置位置から見える領域)で反射した反射光の輝度を検出する。
そして、計算機30’は、図8に示したステップS4及びS11において、2つのカメラにより得られる画像データ(前記第1画像データ及び前記第2画像データ)それぞれについて処理(正反射光領域の特定と記録の処理、及び傷判別処理)を実行する。
【0033】
また、計算機30’は、LED駆動回路11を通じて複数のLED12を順次切り替えて点灯させる過程(前記一部点灯状態の切り替えを行う過程)において、2つのカメラ20R、20L各々に対応する複数のLED12を同時に点灯させるよう制御する(第1の光源制御手段の一例)。
図9に示すように、円弧上に複数配列されたLED12のうち、第1カメラ20Rに対し、第2カメラ20Lとは反対側に配置されているLED12Rの一部(例えば、LED12Ra)については、その出力光は、ウェーハ1により遮断されて第2カメラ20Lには到達しない(像が検出されない)。
同様に、第2カメラ20Lに対し、第1カメラ20Rとは反対側に配置されているLED12Lの一部(例えば、LED12La)については、その出力光は、ウェーハ1により遮断されて第2カメラ20Lには到達しない。
そこで、計算機30’は、前述したステップS2(図8参照)において、第1カメラ20Rに対応する一部のLED(LED12Raなど)と、第2カメラ20Lに対応する一部のLED(LED12Laなど)とが同時に点灯するようLED駆動回路11を制御する。
同様に、計算機30’は、LED駆動回路11を通じて前記一部消灯状態の切り替えを行う過程(ステップS8)において、2つのカメラ20R、20L各々に対応する複数のLED12を同時に消灯させるよう制御する(第2の光源制御手段の一例)。
これにより、検査時間を短縮できる。
なお、図9に示した傷検査装置Z’は、2台のカメラ20を備えるものであるが、3台以上のカメラ20を備えた構成としても、同様の作用効果が得られる。
【0034】
以上に示した実施形態では、拡散光源であるLED12をそのまま光源(点光源)として採用している。このような構成を採用できる理由は、各LED12が、被検査端部Pの大きさ(奥行きの長さ)に比べて十分に遠い距離に配置されており、各LED12の光が被検査端部Pにおいて平行光とみなせるためである。
一方、LED12等の光源を被検査端部Pに近づけて配置する場合、その光源の光を、レンズを用いて平行光とした上で被検査端部Pに照射することが望ましい。
また、前述した実施形態では、光源としてLED12を採用しているが、レーザダイオードや白熱電球、蛍光灯など、他の種類の光源を採用してもかまわない。
また、前述した実施形態では、ウェーハ1の端面の形状を、ウェーハ1の厚み方向全体に渡って検査するため、カメラ20は、ウェーハ1を真横から(被検査端部Pの正面から)見るように設定されていた。しかしながら、カメラ20は、目的に応じて前述の実施形態とは異なる位置及び向きで設置されることも考えられる。
なお、傷検査装置Z、Z’によれば、アルミサブストレート、ガラスサブストレートなどの薄片試料についても、同様に端面の傷検査が可能である。
【0035】
また、前述した実施形態では、被検査端部Pからの反射光を直接的にカメラ20に入射させる構成を示した。しかしながら、被検査端部Pからの反射光を変向させる光学機器(ミラーなど)を設け、その光学機器により変向された反射光をカメラ20に入射させる構成も考えられる。これにより、光源(LED12)が配置される平面に沿う方向への反射光を検出したい場合に、設置スペースが比較的大きいカメラ20と光源との干渉を回避できる。これにより、光照射角度の範囲を拡大でき、被検査端部Pにおける傷の検査範囲をより広げることができる。
また、前述した実施形態に係る傷検査装置Zは、ほぼ円形板状(円盤状)のウェーハ1を検査対象とするものであるが、支持機構を置き換えれば、矩形の板状など、他の形状の薄片試料を検査対象とすることもできる。
【0036】
また、前述した実施形態では、LED12(光源)が、基準位置Q(被検査端部P)から見てほぼ360°に近い範囲に渡って配列された例を示したが、これに限るものではない。
例えば、LED12(光源)が、基準位置Q(被検査端部P)から見て、被検査端部Pの正面方向を中心として左右の所定角度範囲(例えば±90°の範囲)に渡って配列されたような構成も考えられる。
これにより、ウェーハ1の端面(外側に出っ張った端面)において、少なくとも最も傷が生じやすい頂点部分及びその周辺については、傷の検査が可能となる。
また、前記支持機構40は、前述した構成に限らず、ウェーハ1の中心位置を吸引することによって支持及び回転させる機構等、他の構成により実現することも考えられる。
また、前述した実施形態では、ステップS2(図8参照)において、1つのLED12のみが点灯した前記1個点灯状態として前記第1画像データを取得する例を示したが、これに限るものではない。
例えば、図1に示す傷検査装置Zが、ステップS2の処理を実行する過程において、LED12の点灯状態(一部点灯状態)を、被検査端部P(基準位置Q)から見た方向の角度差が所定角度(例えば200°程度)以上の方向に存在する2つのLED12を同時に点灯した状態とすることも考えられる。即ち、複数のLED12のうち、前記正反射光領域Sxが比較的大きく離れて分離し、それらがいずれのLED12に対応するものであるかの識別が容易な(識別方法が既知である)ものを複数同時に点灯させるのである。例えば、1番目からn番目のLED12が、被検査端部Pを中心とする角度が2°ごと異なる位置に配置されており、前記所定角度を200°とした場合、i番目のLEDと(i+100)番目のLEDとを同時に点灯した状態とする。この場合、ステップS4において、計算機30は、同時点灯した2つのLED12それぞれに対応する2つの前記正反射光領域Sxを検出することになる。また、計算機30は、検出した2つの正反射光領域Sxそれぞれについて、右側に存在するか左側に存在するかによって、点灯した2つのLED12のいずれに対応するものであるかを識別する。
【0037】
ところで、複数の光源(前述の実施形態ではLED12)を切り替えて被検査端部Pに光を照射する光照射装置10を用いる場合、光源それぞれの個体差により、各光源から基準位置Qの被検査端部Pに照射される光の光量(強度)にばらつきが生じ得る。そこで、そのばらつきが極力小さくなるよう予め調整することが重要である。
具体的には、被検査端部Pが配置される基準位置Qに光センサを配置し、各光源を順次切り替えて点灯させたときに、その光センサで検出される光強度がほぼ一定のレベルとなるように各光源に供給する電力(電圧や電流)、即ち、各光源の発光量(発光強度)を予め調整しておく。
例えば、光源がLEDである場合、各LEDに対する電力供給ラインに可変抵抗を設け、この可変抵抗の抵抗値を調整することによって各LEDへの供給電流を予め調整する。或いは、各LEDに対する電力供給をパルス幅変調(PWM)によって制御可能とするパルス幅変調装置を設け、これによって各LEDへの供給電力を予め調整する。
その他、被検査端部Pが配置される基準位置Qに反射方向や反射率が既知の反射部材(鏡など)を配置し、各光源を順次切り替えて点灯させたときにカメラ20で検出される光強度のばらつきに基づいて、光源ごとの光強度の補正係数を予め算出して記憶しておくことも考えられる。そして、実際の検査時には、その補正係数に基づく補正後の測定値(光強度分布)を用いて検査する。
以上に示すような調整を行うことにより、光源の特性のばらつきに起因する検査誤差が発生することを回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、半導体ウェーハ、ハードディスク用のアルミサブストレートやガラスサブストレート等の薄片試料の端面についての傷検査装置への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る傷検査装置Zの概略構成図。
【図2】光照射角度及び表面角度の定義を表す図。
【図3】被検査端部の形状及び傷検査装置Zのカメラによる第1撮影画像の例(第1例)を表した図。
【図4】被検査端部の形状及び傷検査装置Zのカメラによる第1撮影画像の例(第2例)を表した図。
【図5】傷検査装置Zによる第1撮影画像の2値化画像の一例を表す図。
【図6】傷検査装置Zによる複数の第1撮影画像の2値化画像に基づく論理和画像の一例を表す図。
【図7】傷検査装置Zのカメラによる第2撮影画像の例を表した図。
【図8】傷検査装置Zによる検査処理の手順を表すフローチャート。
【図9】傷検査装置Zの応用例である傷検査装置Z’の概略構成を表す図。
【符号の説明】
【0040】
Z、Z’…傷検査装置
1…ウェーハ
10…光照射装置
11…LED駆動回路
12…LED
13…切り欠き部
20…カメラ
30、30’…計算機
40…支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片試料の光沢を有する端面である被検査端部における傷の有無を検査する傷検査装置であって、
前記薄片試料の表裏の面に略直交する一の平面内に配置され、前記被検査端部に対しそれぞれ異なる方向から光を照射する複数の光源と、
前記被検査端部を所定方向から撮像して画像データを取得する撮像手段と、
前記複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが点灯した一部点灯状態になるよう切り替え制御を行う第1の光源制御手段と、
前記一部点灯状態それぞれにおいて前記撮像手段により得られる画像データそれぞれに基づいて、点灯中の前記光源それぞれについて、その光の前記被検査端部での正反射光により形成される像の画像領域である正反射光領域を特定し、該正反射光領域とこれに対応する光源の識別情報とを対応付けて所定の記憶手段に記録する正反射光領域特定・記録手段と、
前記複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが消灯した一部消灯状態になるよう切り替え制御を行う第2の光源制御手段と、
前記一部消灯状態それぞれにおいて前記撮像手段により得られる画像データそれぞれについて、点灯中の全ての前記光源に対応する前記正反射領域以外の画像領域であって消灯中の前記光源に対応する前記正反射領域と重複する領域の一部若しくは全部である興味領域内に所定輝度以上の像が存在するか否かを判別することにより、前記被検査端部における傷の有無を判別する傷判別手段と、
を具備してなることを特徴とする傷検査装置。
【請求項2】
前記一部点灯状態が、1つの光源のみが点灯した状態、又は前記被検査端部から見た方向の角度差が所定角度以上の方向に存在する複数の光源が同時に点灯した状態である請求項1に記載の傷検査装置。
【請求項3】
前記一部消灯状態が、前記被検査端部から見た方向の角度差が所定角度以内の範囲に存在する全ての複数の光源が同時に消灯した状態である請求項1又は2のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項4】
前記複数の光源が、前記被検査端部の配置位置を中心とする略円弧に沿って配置されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項5】
前記正反射光領域特定・記録手段が、画像データにおける輝度値が突出している画素により形成される領域を前記正反射光領域として特定してなる請求項1〜4のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項6】
前記被検査端部をその正面方向から前記薄片試料が縦方向となるように見た場合に、前記被検査端部を左右の略対称な2方向それぞれから撮像して画像データを取得する2つの前記撮像手段を具備し、
前記正反射光領域特定・記録手段及び前記傷判別手段が、2つの前記撮像手段により得られる画像データそれぞれについて処理を実行してなる請求項1〜5のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項7】
2つの前記撮像手段が、前記被検査端部を基点として略90°をなす方向それぞれから前記被検査端部を撮像するものである請求項6に記載の傷検査装置。
【請求項8】
前記第1の光源制御手段が、前記一部点灯状態の切り替えを行う過程において、2つの前記撮像手段各々に対応する複数の光源を同時に点灯させてなる請求項6又は7のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項9】
前記第2の光源制御手段が、前記一部消灯状態の切り替えを行う過程において、2つの前記撮像手段各々に対応する複数の光源を同時に消灯させてなる請求項6〜8のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項10】
前記薄片試料が略円盤状の半導体ウェーハである請求項1〜9のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項11】
1つの前記被検査端部について実行された前記第1の光源制御手段及び前記正反射光領域特定・記録手段の処理によって得られた前記正反射光領域の情報が、複数の前記被検査端部それぞれに対して実行される前記傷判別手段の処理に用いられてなる請求項1〜10のいずれかに記載の傷検査装置。
【請求項12】
薄片試料の光沢を有する端面である被検査端部における傷の有無を検査する傷検査方法であって、
前記薄片試料の表裏の面に略直交する一の平面内に配置され、前記被検査端部に対しそれぞれ異なる方向から光を照射する複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが点灯した一部点灯状態になるよう所定の制御手段により切り替え制御を行う第1の光源制御工程と、
前記被検査端部を所定方向から撮像して画像データを取得する撮像手段により前記一部点灯状態それぞれにおいて得られる画像データそれぞれについて、点灯中の前記光源の光の前記被検査端部での正反射光により形成される像の領域である正反射光領域を特定し、該正反射光領域とこれに対応する光源の識別情報とを対応付けて所定の記憶手段に記録する正反射光領域特定・記録工程と、
前記複数の光源の点灯状態を、順次異なる一部の光源のみが消灯した一部消灯状態になるよう所定の制御手段により切り替え制御を行う第2の光源制御工程と、
前記一部消灯状態それぞれにおいて前記撮像手段により得られる画像データそれぞれについて、点灯中の全ての前記光源に対応する前記正反射領域以外の画像領域であって消灯中の前記光源に対応する前記正反射領域と重複する領域の一部若しくは全部である興味領域内に所定輝度以上の像が存在するか否かを判別することにより、前記被検査端部における傷の有無を判別する傷判別工程と、
を有してなることを特徴とする傷検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−26255(P2008−26255A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201897(P2006−201897)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】