説明

半導体素子の作製方法

【課題】半導体からのV族原子の脱離を抑制しつつ同一面内でエッチング深さが異なる形状を簡易に加工することができる半導体素子の作製方法を提供する。
【解決手段】酸素プラズマの所定の濃度に対して、開口部幅の異なる領域毎に、半導体表面にて酸素プラズマによりポリマーの生成を抑制しつつ半導体表面のエッチングが進行する状態のみが発現するように前記開口部幅1905が設定された開口部1901を有するマスク1900を半導体表面に形成する第1の工程と、マスク1900が形成された前記半導体表面に前記炭化水素系プラズマおよび前記酸素プラズマを照射し、前記酸素プラズマを前記マスクの開口部幅方向にて前記開口部に拡散させることによりポリマーの生成を抑制するとともにエッチングに寄与する炭化水素系プラズマの濃度を制御する第2の工程を有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の作製方法に関し、より詳細には、同一面内でエッチング深さが異なる形状を加工する半導体素子の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能・高機能デバイスの研究開発において、複雑なデバイスの構造の集積化が重要となり、加工(エッチング)、結晶再成長技術などによるデバイス作製プロセス技術が必要となる。とくに、複数の構造を集積化する場合、通常、複数回数のエッチングプロセスが必要となる。
【0003】
従来法による異なる深さのエッチングを施す場合のエッチング過程の一例を図17(a)〜(f)に示す。試料(例えばInP結晶)110に異なる深さのエッチングを施す場合には、初めのエッチングの際にエッチングしない部分をマスク(誘電体など)120で覆った(図17(a))後にエッチングする(図17(b))。次に、1回目のエッチング用のマスクを除去した(図17(c))後に、2回目のエッチングのために再度エッチングしない部分をマスク130で覆い(図17(d))、さらにエッチングし(図17(e))、マスクを除去する(図17(f))というプロセスを繰り返さなくてはならない。
【0004】
半導体素子の作製において、深さの異なるエッチングを要する場合には複数回のマスク形成、エッチング、マスクの除去の工程が必須となるため、時間、コスト面での浪費につながるので問題となっていた。また、このような問題を考慮すると、深さが異なる微細かつ複雑な構造をエッチングにより形成することは実質的に困難であった。
【0005】
そこで、上述の課題を解決するために、異なる深さのエッチングを施す際に、エッチング深さに対応して面積の異なるマスクを用いることにより、1回のエッチングにより深さの異なるエッチングを可能にする方法が発明された(下記の特許文献1参照)。
【0006】
基本的なエッチング過程を図18(a)〜(c)に示す。図18(a)〜(c)に示すように、半導体のエッチングにプラズマ状態のガスを用いるドライエッチングの場合、半導体によるエッチング過程において半導体表面で半導体211とエッチング種(エッチングガス)212が反応することによりエッチングが進行する。
【0007】
エッチング種と反応しないマスクを用いた場合のエッチング過程を図19(a)〜(c)に示す。図19(a)〜(c)に示すように、エッチングをする際に半導体表面をエッチング種312と反応しない物質(例えば酸化シリコン、窒化シリコンなどの誘電体など)をマスク313に用いて覆った場合、マスク313上のエッチング種312は拡散してマスクで覆われていない半導体311の表面に到達する。この結果、マスク313近傍の半導体311の表面ではエッチング種312の密度が増加する。このエッチング種312の増加は半導体のエッチング速度を増加させる。
【0008】
このように、マスク上に飛来したエッチング種が半導体表面に拡散して半導体のエッチングを促進するので、マスク面積の増加にともない半導体のエッチングが増加する。したがって、この方法によれば、深さが変化する単純な溝構造を容易に作製することができる。
【0009】
とくに、半導体のエッチングにプラズマ状態のガスを用いるドライエッチングにおいて該ガスにメタンやエタンなどの炭化水素系のガスを用いる場合には、プラズマ状態においてガスが炭化水素基と水素に分解され、それぞれイオン化あるいは化学的に活性化(ラジカル化)される。なお、本願では、以降、イオン化あるいは化学的に活性化(ラジカル化)された炭化水素基を炭化水素系プラズマ、同様の水素原子を水素プラズマと呼ぶこととする。
【0010】
この炭化水素系プラズマと水素プラズマが半導体に接触すると、半導体をエッチングする過程と半導体をエッチングすることなく半導体上に重合体(ポリマー)を形成して堆積する過程が起こる。一般に水素プラズマが十分にある場合にはエッチング過程が主となり、水素プラズマが不足するとポリマーが堆積する過程が主となる。同時に誘電体(例えば酸化シリコンなど)からなるマスクの表面においては炭化水素系プラズマと水素プラズマが誘電体と反応しないことから重合物(ポリマー)となって堆積する。
【0011】
ここで、上述のドライエッチングをマスクのある試料に施した場合について説明する。図20(a)、(b)に、メタンプラズマを用いたエッチングを施した場合にマスクのない領域において起きる現象を示し、図21(a)、(b)、(c)に、メタンプラズマを用いたエッチングを施した場合にマスクに囲まれた領域において起きる現象を示す。
【0012】
マスクのない領域ではメタンプラズマ421に対して水素プラズマ422は試料(InP)410の表面に均一に分布する(図20(a))。この均一に分布した水素プラズマの濃度が低い場合、エッチングするには水素が不足するので、試料表面にはポリマー431が生成し、試料表面を覆うのでエッチングが進行しない(図20(b))。この水素プラズマの不足によるポリマーの堆積は、マスクの開口部幅が広く、マスクからの距離が十分にある領域においても起きる。
【0013】
一方、マスクがあって当該マスクで囲まれた領域、特にマスクの開口部幅が狭い領域では、まず、メタンプラズマ521に対して水素プラズマ522は試料(InP)510の表面に形成されたマスク511の上に、またマスク511のマスク開口部511aの試料510の表面にも均一に分布する(図21(a))。マスク511上ではマスク材料(例えば酸化シリコンなど)はエッチングされないのでメタンプラズマ521はエッチングに寄与することなくポリマー531を生成する。マスク511上の水素プラズマ522はメタンプラズマ521と反応することなくマスク511上を拡散してマスク開口部511aに凝集する。その結果、マスク開口部511aでの水素プラズマ522の濃度は増加する(図21(b))。したがって、マスク開口部511aでは水素プラズマ522の濃度がエッチングを生じさせるのに十分な濃度に達するのでエッチングが進行する(図21(c))。
【0014】
このようにマスクのない領域またはマスクの開口部幅が広い領域ではポリマーが生成してエッチングが進行せず、マスクの開口部幅の狭い領域ではエッチングが進行する。すなわち、選択的なエッチングが実現できる。したがって、この方法によれば、1回のエッチング過程で深さの異なる形状を加工することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−247710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
通常は半導体のエッチングにプラズマ状態のガスを用いるドライエッチングにおいて該ガスにメタンやエタンなどの炭化水素系のガスを用いる場合には、プラズマ状態の炭化水素系のガスとともにプラズマ状態の水素ガスを供給することにより、水素とIII−V族化合物半導体におけるV族原子(例えばInPにおけるP、GaAsにおけるAsなど)との反応を促進してエッチングを促進する。
【0017】
ここで、水素が不足する場合には炭化水素基を基にポリマーが生成されエッチングが進行しない。また、上述の選択的なドライエッチングにおいては、水素プラズマの供給量によってエッチングされる領域とポリマーが生成する領域を制御できる。例えば、水素プラズマの供給量を増加させれば水素プラズマがマスク開口部に拡散する領域が拡大するのでエッチング領域が拡大する。しかしながら、過剰の水素プラズマに半導体が反応すると、半導体表面でのV族原子(例えばInPにおけるP、GaAsにおけるAsなど)の脱離が過剰に生じて、欠陥(V族原子空格子)の誘起または表面モフォロジーの劣化が生じる。
【0018】
このような欠陥が再結合中心として振る舞うと素子特性を劣化させるので問題となる。また、表面モフォロジーの劣化はこの表面上に積層する導波路層に光を導波させるときに凹凸部により光が散乱するので問題となる。
【0019】
また、選択エッチング工程を繰り返して深さの異なる形状を加工する場合には、選択エッチングの際にエッチングされないInP表面に生成されるポリマーを、次の選択エッチング工程の前に、酸素プラズマ照射により除去する必要があった。
【0020】
以上のことから、本発明は上述したような課題を解決するために為されたものであって、半導体からのV族原子の脱離を抑制しつつ同一面内でエッチング深さが異なる形状を簡易に加工することができる半導体素子の作製方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述した課題を解決する本発明に係る半導体素子の作製方法は、炭化水素系プラズマと酸素プラズマを開口部幅が変化する開口部を有するマスクが形成された半導体表面に照射して、半導体表面を異なる複数の深さにエッチングする半導体素子の作製方法であって、前記酸素プラズマの所定の濃度に対して、前記開口部幅の異なる領域毎に、前記半導体表面にて前記酸素プラズマによりポリマーの生成を抑制しつつ前記半導体表面のエッチングが進行する状態のみが発現するように前記開口部幅が設定された開口部を有するマスクを前記半導体表面に形成する第1の工程と、前記マスクが形成された前記半導体表面に前記炭化水素系プラズマおよび前記酸素プラズマを照射し、前記酸素プラズマを前記マスクの開口部幅方向にて前記開口部に拡散させることによりポリマーの生成を抑制するとともにエッチングに寄与する炭化水素系プラズマの濃度を制御する第2の工程を有することを特徴とする。
【0022】
また、前述した課題を解決する本発明に係る半導体素子の作製方法は、上述した半導体素子の作製方法において、前記マスクが、前記半導体表面に形成された第1のパターンを有する第1のマスク部と、前記第1のマスク部上に形成され、前記第1のマスク部のマスク厚よりも厚く、前記第1のパターンの開口部幅を画定する第2のパターンを有する第2のマスク部とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る半導体素子の作製方法によれば、半導体からのV族原子の脱離を抑制しつつ同一面内でエッチング深さが異なる形状を簡易に加工することができる。これにより、高速半導体光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体素子の作製方法を説明するための図であって、InP表面およびマスクの開口部のInP表面における、酸素濃度とエッチング速度の関係を示すグラフである。
【図2】(a)はマスクの開口部幅の説明図であり、(b)はマスクの開口部幅とエッチング速度およびマスク開口部中央領域の酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施例に係る半導体素子の作製方法により作製される同一面内で層厚が変化する導波路層の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る半導体素子の作製方法と比較するための比較例に係る半導体素子の作製方法で用いられるマスクの一例を示す図である。
【図5】比較例に係る半導体素子の作製方法により作製される同一面内で層厚が変化する半導体素子の作製工程を示す図である。
【図6】比較例に係る半導体素子の作製方法の説明図であって、図6(a)に図5(b)の上面を示し、図6(b)に図6(a)のb−b断面を示し、図6(c)に図6(a)のc−c断面を示し、図6(d)に図6(a)のd−d断面を示す。
【図7】本発明の第1の実施例に係る半導体素子の作製方法で用いられるマスクを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係る層厚が変化する導波路構造をスポットサイズ変化部に用いた半導体レーザ素子を示した図であって、図8(a)にその斜視を示し、図8(b)に図8(a)におけるb−b断面を示す。
【図9】本発明の第3の実施例に係る半導体素子の作製方法により作製される同一面内で層厚が変化する回折格子を作製するために使用するマスクを示す図である。
【図10】本発明の第3の実施例に係る半導体素子の作製方法により作製される回折格子を用いたDBR半導体レーザの断面図である。
【図11】(a)は本発明の第3の実施例に係る回折格子における回折格子の一端からの距離と結合係数κとの関係を示す図であり、(b)は本発明の第3の実施例に係る回折格子を用いた場合と結合係数が80nm-1一定の回折格子を用いた場合の反射スペクトルを示す図である。
【図12】図9のマスク上のエッチング種の挙動を示す図である。
【図13】(a)は膜厚の薄いマスクを用いる場合のエッチング種の挙動を示す図であり、(b)は膜厚の厚いマスクを用いる場合のエッチング種の挙動を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係る半導体素子の作製方法において試料表面に形成するSiNx/SiO2マスクを示す図である。
【図15】(a)〜(d)は、本発明の第4の実施例に係る半導体素子の作製方法において回折格子の形成に用いる面内で厚さの異なるマスクの作製工程を示す図である。
【図16】本発明に係る半導体素子の作製方法で用いるマスクの他例を示す図である。
【図17】(a)〜(f)は、従来法による異なる深さのエッチングを施す場合のエッチング過程を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は、基本的なエッチング過程を示す図である。
【図19】(a)〜(c)は、エッチング種と反応しないマスクを用いた場合のエッチング過程を示す図である。
【図20】(a)、(b)は、メタンプラズマを用いたエッチングを施した場合にマスクのない領域において起きる現象を示す図である。
【図21】(a)〜(c)は、メタンプラズマを用いたエッチングを施した場合にマスクに囲まれた領域において起きる現象を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る半導体素子の作製方法を実施するための形態について、図1および図2に基づいて以下に説明するが、本発明は、図面に基づいて説明する以下の形態のみに限定されるものではない。
【0026】
本発明においては、上述の水素プラズマの代わりに、イオン化あるいは化学的に活性化(ラジカル化)された酸素のガスを供給することを特徴とする。なお、本願では、以降、イオン化あるいは化学的に活性化(ラジカル化)された酸素を酸素プラズマと呼ぶこととする。
酸素プラズマは水素プラズマのように半導体を構成するV族原子(例えば、InPのP、GaAsのAsなど)の脱離を生じさせることはないので欠陥(V族原子空格子)の誘起または表面モフォロジーの劣化は生じない。したがって、素子特性の劣化、導波光の散乱などの問題は生じない。
【0027】
酸素プラズマを用いた場合の反応について詳細を以下に説明する。
【0028】
従来の水素プラズマを供給する場合は以下の反応式で表される。
CH4+H2+InP→In有機化合物+P水素化物 ・・・(1)
【0029】
上述した化学反応式(1)に基づきエッチングが生じる。このとき、水素が不足すると余剰の炭化水素基を基にポリマーが生成されエッチングが進行しない。選択エッチングにおいては、マスクのないInP表面では水素が不足してポリマーが生じてエッチングが進行せず、マスクの開口部におけるInP表面ではマスク上の水素プラズマが前記開口部に拡散することにより水素プラズマが増加してエッチングが生じる。
【0030】
水素プラズマの代わりに酸素プラズマを供給する場合には以下の反応式で表される。
CH4+O2+InP→In有機化合物+P水素化物+酸化炭素(CO、CO2等)・・(2)
【0031】
上述した化学反応式(2)に基づき、炭化水素系プラズマは酸素プラズマと反応して炭化酸素プラズマになるので炭化水素系プラズマは減少する。この炭化水素系プラズマの変化によりInP表面に生成されるポリマーが変化するので、エッチングの形態も変化する。
【0032】
以下に、酸素プラズマ濃度の変化に伴う炭化水素系/酸素プラズマの反応の変化を説明する。ここでは、炭化水素系プラズマは酸素プラズマ、水素プラズマに比べて十分に高い濃度であるとする。したがって、以下の説明において、少量(低濃度)の酸素プラズマ、水素プラズマはマスクのチャージアップの有無により濃度が増減するが、炭化水素系プラズマは十分に多量(高濃度)でありマスクのチャージアップの有無による濃度の増減が炭化水素系プラズマ全体に比べて微量なのでエッチングの形態に影響を与えない。
【0033】
(A)酸素濃度が極めて低い場合
通常のInP表面(マスクの無いInP表面)においては、酸素プラズマと反応しなかった余剰のCH4のプラズマ分解から少量の水素プラズマが生じるが、CH4プラズマが高濃度であるためポリマーが生成してエッチングが生じない。
【0034】
一方、マスクを有するInP表面におけるマスク開口部のInP表面においては、プラズマ照射によりチャージアップしたマスクに水素プラズマおよび酸素プラズマ(主にイオン)が引き寄せられるがそれぞれ低濃度である。そこで、水素プラズマの濃度はエッチングを起こすには不足する。また、炭化水素系プラズマと反応する酸素プラズマが低濃度なので炭化水素系プラズマの減少はほとんどない。したがって、CH4プラズマが高濃度であるためポリマーが生成してエッチングは生じない。
【0035】
(B)酸素濃度が低い場合
通常のInP表面(マスクの無いInP表面)においては、酸素プラズマと反応しなかった余剰のCH4のプラズマ分解から少量の水素プラズマが生じるが、CH4プラズマが高濃度であるためポリマーが生成してエッチングは生じない。
【0036】
一方、マスクを有するInP表面におけるマスク開口部のInP表面においては、プラズマ照射によりチャージアップしたマスクに水素プラズマおよび酸素プラズマ(主にイオン)が引き寄せられそれぞれ濃度が増加する。そこで、水素プラズマはエッチングを起こすのに十分な濃度に達するので、ポリマーが生成されずエッチングが生じる。また、酸素プラズマが炭化水素系プラズマと反応するので炭化水素系プラズマは減少するが、炭化水素系プラズマの濃度が十分あるのでエッチング速度はほとんど減少しない。
【0037】
(C)酸素濃度が高い場合
通常のInP表面(マスクの無いInP表面)においては、酸素プラズマと反応しなかった余剰のCH4のプラズマ分解から少量の水素プラズマが生じるが、高濃度の酸素プラズマと炭化水素系プラズマが反応して炭化水素系プラズマが減少するためポリマーが生成しない。このとき、InP表面(マスクの無いInP表面)における水素プラズマの濃度が不足するのでエッチングは生じない。
【0038】
一方、マスクを有するInP表面におけるマスク開口部のInP表面においては、プラズマ照射によりチャージアップしたマスクに水素プラズマおよび酸素プラズマ(主にイオン)が引き寄せられそれぞれ濃度が増加する。そこで、水素プラズマはエッチングを起こすのに十分な濃度に達するので、ポリマーが生成されずエッチングが生じる。また、酸素プラズマが炭化水素系プラズマと反応するので炭化水素系プラズマは減少する。そこで、酸素濃度の増加に伴いエッチング速度は減少する。
【0039】
以上をまとめて、図1に、通常のInP表面(点線、白丸、黒丸)とマスクを有するInP表面でのマスク開口部のInP表面(実線、白四角、黒四角)におけるエッチングの形態(エッチング速度)の酸素濃度依存性を示す。黒で示すプロット(黒丸、黒四角)は、InP表面にポリマーが生成されない場合を示し、白で示すプロット(白丸、白四角)は、InP表面にポリマーが生成される場合を示す。
【0040】
図1に示すように、通常のInP表面においては、酸素濃度を増加させてもエッチングは生じないが、酸素濃度の増加に伴い(A)の領域(酸素濃度が極めて低い場合)および(B)の領域(酸素濃度が低い場合)ではポリマーが生成し、(c)の領域(酸素濃度が高い場合)ではポリマーが生成しない。一方、マスクを有するInP表面におけるマスク開口部のInP表面においては、(A)の領域(酸素濃度が極めて低い場合)では表面にポリマーが生成され、エッチングが生じない。酸素濃度を増加させると、(B)の領域(酸素濃度が低い場合)ではポリマーが生成されずエッチングが生じる。さらに、酸素濃度を増加させると、(C)の領域(酸素濃度が高い場合)では酸素濃度の増加に伴いエッチング速度が低下する。
【0041】
以上より、(C)の領域(酸素濃度が高い場合)においては、ポリマーが生成することなく、通常のInP表面ではエッチングが生じず、マスクを有するInP表面におけるマスク開口部のInP表面ではエッチングが生じる。すなわち、ポリマーの生成を伴わない選択エッチングが実現できる。
【0042】
次に、上述の酸素濃度とエッチングの形態の関係を基に、(C)の領域(酸素濃度が高い場合)におけるマスク領域のマスク開口部幅の変化に伴うエッチングの形態について、図2を参照して説明する。図2(a)は試料表面上に形成されるマスクの形状の一例を示し、図2(b)はマスク開口部幅とエッチング速度およびマスク開口部中央領域における酸素濃度との関係を示す。図2(b)において、実線がマスク開口部中央領域における酸素濃度との関係を示し、点線がエッチング速度との関係を示す。
【0043】
マスク11においてマスク開口部12の開口部幅Wがマスク長さ方向(X方向)に対して変化しており(図2(a))、このマスク開口部においては上述のエッチング過程において開口部幅方向(Y方向)にマスク表面から酸素プラズマが供給される。酸素プラズマはマスクからマスク開口部へ拡散するので、マスク開口部端部(マスクとの境界)で高濃度になり、マスク開口部中央部では低濃度になる。
【0044】
したがって、図2(b)に示すように、マスクの開口部幅が狭い場合にはマスク開口部中央領域での酸素プラズマ濃度は高く、マスクの開口部幅が広い場合にはマスク開口部中央領域での酸素プラズマ濃度は低くなる。ここで、炭化水素から分解する水素プラズマも酸素プラズマと同様の傾向の分布を示す。また、炭化水素系プラズマは、酸素プラズマおよび水素プラズマに比べて十分高濃度なのでマスクとマスク開口部においてほぼ一定の濃度で分布する。このような酸素プラズマ、水素プラズマ、および炭化水素系プラズマの濃度分布によって、マスクの開口部幅が狭い場合にはマスク開口部での酸素濃度が高いのでエッチング速度は遅く、マスクの開口部幅が広い場合にはマスク開口部での酸素濃度が低いのでエッチング速度は高くなる。このとき、マスク開口部のInP表面においてポリマーは生成されない。このようなマスク開口部幅の変化によりエッチング速度、換言すればエッチング深さを変化させることができる。
【0045】
以上のことから、酸素プラズマの所定の濃度に対して、開口部幅の異なる領域毎に、半導体表面にて前記酸素プラズマによりポリマーの生成を抑制しつつ前記半導体表面のエッチングが進行する状態のみが発現するように前記開口部幅が設定された開口部を有するマスクを前記半導体表面に形成し、前記マスクが形成された前記半導体表面に炭化水素系プラズマおよび酸素プラズマを照射し、前記酸素プラズマを前記マスクの開口部幅方向にて前記開口部に拡散させることによりポリマーの生成を抑制するとともにエッチングに寄与する炭化水素系プラズマの濃度を制御することにより、半導体からのV族原子の脱離を抑制しつつ同一面内でエッチング深さが異なる形状を簡易に加工することができる。
【実施例1】
【0046】
本発明の第1の実施例に係る半導体素子の作製方法について、図3〜図7を参照して具体的に説明する。
【0047】
図3は本実施例において作製される同一面内で層厚が変化する導波路層の断面図である。半導体素子は、図3に示すように、n型InP1800、n型InP1800上に設けられたInGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層1801、この導波路層1801上に設けられたInPクラッド層1802を備える。
【0048】
初めに、比較のために、炭化水素系ガスと水素を用いた選択エッチングを繰り返す工程の一例について説明する。
【0049】
まず、図4に示すように、n型InP上に積層したInGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層6801の表面にマスク開口部6901の開口部幅6905が変化するマスク6900を形成する。マスク開口部6901は、第一の開口部6902と、この開口部6902よりも幅広の第二の開口部6903と、この開口部6903よりも幅広の第三の開口部6904とで構成される。このマスク6900において、例えば、第一の開口部6902の開口部幅を1.5μmとし、第二の開口部6903の開口部幅を2.5μmとし、第三の開口部6904の開口部幅を5.0μmとする。マスク開口部外部のマスク幅6906を導波路長6907に対し一定であって、例えば40μmとする。導波路長6907を例えば500μmとする。
【0050】
ここで、本実施例に係る半導体素子の作製方法を比較するための一例をなす比較例である、半導体素子を構成する導波路層の作製方法について、図5(a)〜(e)および図6を参照して説明する。
【0051】
InGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層6801は、n型InP6800の上に設けられ、図5(a)の左右方向にて同一層厚で形成されている。
【0052】
図5(a)に示すように、導波路層6801表面に上述のSiO2マスク6900(図4参照)を形成する。この試料について、初めにメタンと水素の混合ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を例えばメタン流量が40sccm、水素流量が5sccm、放電電力が100W、圧力が10Paで施すと、図5(b)に示すように、マスク開口部の開口部幅が1.5μmの第一の開口部においてエッチングが進行し、第二の開口部(開口部幅:2.5μm)と第三の開口部(開口部幅:5.0μm)の表面はポリマー6811が生成され凹凸はほとんど生じない。ただし、メタンプラズマをマスクが形成された半導体表面に照射しつつ、水素プラズマをマスク開口部の幅方向にてマスクの端部からマスク開口部へ向けて拡散させている。図6(a)〜(d)に、図5(b)の上面図とマスク開口部の開口部幅の異なる開口部毎の断面を示す。第二の開口部6903と第三の開口部6904においてほとんどの領域にポリマー6811が堆積するがマスク6900との境界部分でのみエッチングが進行する。
【0053】
引き続き、酸素プラズマを例えば酸素流量10sccm、ガス圧力10Pa、放電電力400Wで1分間照射すると、図5(c)に示すように、堆積したポリマーが除去される。
【0054】
次に、メタン流量、放電電力、ガス圧力を一定にして、水素流量を例えば10sccmで施すと、図5(d)に示すように、第一の開口部および第二の開口部においてエッチングが進行し、第三の開口部(開口部幅:5.0μm)の表面はポリマー6812が生成されエッチングされない。
【0055】
引き続き、酸素プラズマを酸素流量10sccm、ガス圧力10Pa、放電電力400Wで1分間照射すると、堆積したポリマーが除去される。したがって、マスク開口部の開口部幅が1.5μmの第一の開口部においては初めのRIEによるエッチングの後にさらに2度目のRIEによるエッチングが進行するので、第二の開口部の深さよりも深くなる。
【0056】
次に、メタン流量、放電電力、ガス圧力を一定にして、水素流量を例えば20sccmで施すと、図5(e)に示すように、第一の開口部、第二の開口部、および第三の開口部においてエッチングが進行する。この結果、エッチング深さは第一の開口部(開口部幅:1.5μm)、第二の開口部(開口部幅:2.5μm)、第三の開口部(開口部幅:5.0μm)の順に深くなる。
【0057】
その後、マスクを除去し、表面上に有機金属気相成長法(MOVPE)によりInP層を積層することにより同一面内で層厚が変化する導波路構造が作製される。
【0058】
次に、本実施例に係る半導体素子の作製方法による、半導体素子を構成する導波路層の作製方法について説明する。
【0059】
まず、図7に示すように、n型InP1800上に積層したInGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層1801の表面にマスク開口部1901の開口部幅が変化するマスク1900を形成する。マスク開口部1901は、第一の開口部1902と、この開口部1902よりも幅狭の第二の開口部1903と、この開口部1903よりも幅狭の第三の開口部1904とで構成される。本実施例では、例えば、第一の開口部1902の開口部幅を5.0μmとし、第二の開口部1903の開口部幅を2.5μmとし、第三の開口部1904の開口部幅を1.5μmとする。マスク開口部外部のマスク幅1906を導波路長1907に対し一定であって、例えば40μmとする。導波路長1907を例えば500μmとする。従来法の炭化水素系ガスと水素による選択エッチングに用いるマスク(図4参照)との相違は、従来法においてはマスク開口部における開口部幅の狭い領域が深いエッチング深さに対応すると共に、マスク開口部における開口部幅の広い領域が浅いエッチング深さに対応するのに対して、本実施例においてはマスク開口部における開口部幅の狭い領域が浅いエッチング深さに対応すると共に、マスク開口部における開口部幅の広い領域が深いエッチング深さに対応することである。
【0060】
この試料について、初めにメタンと酸素の混合ガスを用いたRIEを例えばメタン流量40sccm、酸素流量200sccm、放電電力が100W、ガス圧力が10Paで施すと、上述のようにマスク開口部の開口部幅の増加に伴い、開口部中央領域でエッチング速度が増加するので(例えば、図2(b)参照)、開口部幅が1.5μmの第三の開口部1904、第二の開口部(開口部幅:2.5μm)1903、第一の開口部(開口部幅:5.0μm)1902の順でエッチング深さが増加する。このとき、InP表面にはポリマーは生成されない。ここで、エッチング工程において、酸素流量を変化させてエッチング速度を変化させることにより、エッチング深さ形状を他の形状に変化させることができ、導波路層厚を変化させることができる。
【0061】
上述のエッチング工程が終了した後、マスクを除去し、表面上に有機金属気相成長法(MOVPE)により、InP層を積層することにより、同一面内で層厚が変化する導波路構造が作製される。
【0062】
このように、本実施例に係る半導体素子の作製方法を用いれば、マスク開口部のInP表面にエッチングが生じる一方、InP表面にポリマーが生成されないので、ポリマーを除去するための酸素プラズマ照射の工程が不要になり、全体のプロセス工程が簡略化できる。
【0063】
水素を用いないので過剰の水素プラズマに半導体と反応することがなく、半導体表面でのV族原子(例えばInPにおけるP、GaAsにおけるAsなど)の脱離が過剰に生じて欠陥(V族原子空格子)の誘起または表面モフォロジーの劣化が生じることがない。したがって、欠陥のない高品質の結晶が提供され良好な素子特性を得ることができる。また、良好な表面モフォロジーにより光散乱ない導波路層が提供される。
【0064】
本実施例において、3つのマスク開口部の開口部幅を有すマスクを用いて深さが3段階変化するエッチングについて説明したが、より多数のマスク開口部の開口部幅を有すマスクを用いて、その開口部幅に応じた圧力(拡散距離)の条件下でメタン/酸素RIEを施すことにより、より多段で深さが変化するエッチングを行うことができる。
【実施例2】
【0065】
本発明に係る第2の実施例に係る半導体素子の作製方法について、図8を参照して具体的に説明する。
図8(a)に、本実施例に係る層厚が変化する導波路構造をスポットサイズ変化部に用いた半導体レーザ素子の斜視を示し、図8(b)に図8(a)におけるb−b断面を示す。
【0066】
本実施例に係る半導体素子の作製方法により作製される半導体レーザ素子は出射光部分にスポットサイズ変換部を有することを特徴とする。スポットサイズ変換部とは素子からの出射光の光ファイバに入射する効率(結合効率)を向上させるために発光ビーム径を広げるものである。このスポットサイズ変換部では導波層の厚みを徐々に薄くすることにより光分布をクラッド層に染み出させてスポットサイズを大きくする。
【0067】
本実施例に係る半導体レーザ素子は、図8(a)および図8(b)に示すように、n型InP基板2800、n型InPバッファ層2801、活性層2802、スポットサイズ変換用InGaAsP(組成波長:1.2μm)ガイド層2803、InGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層2804、p型InP埋込み層2805、n型InP埋込み層2806、p型InPクラッド層2807、p型InGaAs(組成波長:1.65μm)コンタクト層2808、SiO2層2809、n型オーミック電極2810、p型オーミック電極2811を備える。活性層2802はInGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層、6層のInGaAsP歪量子井戸(歪量:0.8%)層と5層のInGaAsP(組成波長:1.1μm)障壁層の多重量子井戸層からなる活性層(発光波長:1.3μm)、InGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層からなる。
【0068】
このレーザ構造におけるスポットサイズ変換部の作製方法を説明する。
活性層2802に隣接するスポットサイズ変換用InGaAsP(組成波長:1.2μm)ガイド層2803の表面に、例えば第1の実施例と同様のSiO2マスクを形成する。このSiO2マスクにおいては、活性層との境界側のマスク開口部幅が狭く出射端側のマスク開口部幅が広い形状を有する。同時に活性層表面は全面マスクで覆われている。
【0069】
この試料について第1の実施例で示すドライエッチングを施すと、エッチング深さは活性層の境界側で浅く出射端側で深くなる。次に、マスクを除去し、InPクラッド層を積層した後に、メサ形成用ストライプマスクを形成してメサ構造に加工することによりスポットサイズ変換部が形成される。この構造について、pn構造埋め込み層の成長、クラッド層とコンタクト層の成長後に、電極形成することにより本実施例に係る半導体レーザ素子の構造が作製される。
【0070】
このように、本実施例に係る半導体素子の作製方法によれば、簡易に層厚が変化する導波路層(スポットサイズ変換部)を作製することができる。作製された素子は導波路層(スポットサイズ変換部)での光損失が低減され、室温におけるしきい値電流が6.7mA、効率が0.42W/Aである良好な特性を示す。
【実施例3】
【0071】
本発明の第3の実施例に係る半導体素子の作製方法について、図9〜図11を参照して説明する。
図9に、本実施例に係る半導体素子の作製方法により作製される同一面内で層厚が変化する回折格子を作製するために使用するマスクを示す。
【0072】
図9に示すように、マスク3900の開口部幅(回折格子部分)3905は、第1の実施例と同様に設定する。すなわち、本実施例では、マスク3900は、マスク開口部3901の開口部幅3905が変化しており、複数(図示例では5つ)の第一の開口部3902と、第一の開口部3902よりも幅狭である複数(図示例では8つ)の第二の開口部3903と、第二の開口部3903よりも幅狭である複数(図示例では9つ)の第三の開口部3904と備える。回折格子外部のマスク幅3906は一定である。本実施例では、例えば、第一の開口部3902の開口部幅を5.0μmとし、第二の開口部3903の開口部幅を2.5μmとし、第三の開口部3904の開口部幅を1.5μmとし、マスク幅3906を40μmとし、マスク長3907を500μmとする。
【0073】
まず、n型InP上に積層したInGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層3801の表面にマスク開口部3901の開口部幅が変化するマスク3900を形成する。この試料について、メタンと酸素の混合ガスを用いたRIEを例えばメタン流量40sccm、酸素流量200sccm、放電電力が100W、ガス圧力が10Paで施すと、上述のようにマスク開口部の開口部幅の増加に伴いエッチング速度が増加するので、開口部幅が1.5μmの第三の開口部3904、第二の開口部(開口部幅:2.5μm)3903、第一の開口部(開口部幅:5.0μm)3902の順でエッチング深さが増加する。このとき、InP表面にポリマーは生成されない。このように深さの異なる回折格子を形成することができる。ここで、エッチング工程において酸素流量を変化させてエッチング速度を変化させることにより、エッチング深さ形状を他の形状に変化させることができる。
【0074】
上述のエッチング工程が終了した後、マスクを除去し、メサ構造加工を行い、次に、この回折格子上に有機金属気相成長法(MOVPE)により積層することにより、例えば、図10に示すような、回折格子を用いたDBR半導体レーザの素子構造が作製される。
【0075】
図10は、本実施例に係る半導体素子の作製方法により作製される回折格子を用いたDBR半導体レーザの断面図である。このDBR半導体レーザは、図10に示すように、n型InP基板3150、n型InPバッファ層3151、回折格子3152、InGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層3153、8層のInGaAsP歪量子井戸(歪量:1.0%)層と5層のInGaAsP(組成波長:1.3μm)障壁層の多重量子井戸層からなる活性層(発光波長:1.55μm、活性層長:400μm)3154、DBR回折格子領域InGaAsP(組成波長:1.4μm)ガイド層(回折格子長は活性層の前後それぞれ400μm)3155、InGaAsP(組成波長:1.3μm)ガイド層3156、p型InPクラッド層3157、p型InGaAs(組成波長:1.85μm)コンタクト層3158、n型オーミック電極3159、p型オーミック電極3160を備える。
【0076】
素子の発振波長は1.55μmである。素子の長さは1500μmである。回折格子3152のピッチ(周期)は240nm(凸部:120nm、凹部:120nm)であり、深さは素子両端面で浅くなっており5nm、素子中央部で深くなっており30nmである。
【0077】
図11(a)、(b)に、図10に示すDBR半導体レーザにおける回折格子により得られる反射特性を示す。図11(a)は、この回折格子の一端からの距離と結合係数κとの関係を示す。回折格子の深さが素子両端部で5nm、中央部で30nmとなるように変化させることにより、結合係数κは素子両端部で5cm-1、中央部で80cm-1と変化する(図11(a)の実線L1参照)。
【0078】
図11(b)のL2にこの回折格子(図11(a)のL1に示す特性を有す回折格子)を用いた場合の反射スペクトルを示す。比較のため、図11(b)のL3に結合係数が80nm-1一定の場合の反射スペクトルを示す。図11(b)に示すように、回折格子の深さ、すなわち、結合係数を変化させることにより反射スペクトルのサイドモードが抑制されることがわかる。このことは、この回折格子(図11(a)のL1に示す特性を有す回折格子)を用いたDBR半導体レーザを動作させたときの発振スペクトルにおけるサイドモードが抑制されることを示唆する。
【0079】
このように、本実施例に係る半導体素子の作製方法によれば、深さ(結合係数)が変化する回折格子を簡易に作製することができる。作製された素子は回折格子における表面の凹凸が抑制されるため、光損失が低減され、設計通りにサイドモードが抑制された特性を示す。
【0080】
さらに、水素を用いないので過剰の水素プラズマが半導体と反応することはなく、半導体表面でのV族原子(例えばInPにおけるP、GaAsにおけるAsなど)の脱離が過剰に生じて欠陥(V族原子空格子)の誘起または表面モフォロジーの劣化が生じることがない。したがって、欠陥のない高品質の結晶が提供され良好な素子特性を得ることができる。また、良好な表面モフォロジーにより光散乱ない導波路層が提供される。
【0081】
本実施例において、3つのマスク開口部の開口部幅を有すマスクを用いて深さが3段階変化するエッチングについて説明したが、より多数のマスク開口部の開口部幅を有すマスクを用いて、その開口部幅に応じた圧力(拡散距離)の条件下でメタン/酸素RIEを施すことにより、より多段で深さが変化するエッチングを行うことができる。
【実施例4】
【0082】
本発明の第4の実施例に係る半導体素子の作製方法について、図12〜図15を参照して説明する。
本実施例では、面内で深さが変化する回折格子の作製方法について説明する。本実施例では回折格子部分のマスク(格子状マスク)の厚さと回折格子外部のマスク(開口部幅調整マスク)の厚さとが異なることを特徴とする。
【0083】
まず、回折格子部分のマスクの厚さと回折格子外部のマスクの厚さとが異なる点(作用)について説明する。
【0084】
図12に、図9に示す形状のマスク上におけるエッチング種の動きを示す。第3の実施例で使用したマスクを用いて回折格子を作製する場合には、図12に示すように回折格子外部のマスク(開口部幅調整マスク)4012上に飛来したエッチング種(酸素プラズマ)4022だけでなく回折格子部分のマスク(格子状マスク)4011上に飛来したエッチング種(酸素プラズマ)4021もエッチングに影響を与える。そのため、回折格子のエッチング形状の制御が困難になる。
【0085】
次に、上述の表面にマスクを形成した半導体のドライエッチングにおいてマスクの厚さの異なる場合について説明する。図13(a)に膜厚の薄いマスクを用いる場合におけるエッチング種の挙動を示し、図13(b)に膜厚の厚いマスクを用いる場合におけるエッチング種の挙動を示す。
【0086】
図13(a)に示すように、膜厚の薄いマスク4111を用いて半導体4110の表面を覆った場合には、プラズマ照射時のマスク4111のチャージアップ量が小さいのでマスク4111に誘引される酸素プラズマ4112は少ない。したがって、酸素プラズマと炭化水素基の反応により生成される酸化炭素は少なく炭化水素基は減少しないのでポリマーの生成は抑制されない。
【0087】
一方、図13(b)に示すように、膜厚の厚いマスク4121を用いて半導体4120の表面を覆った場合には、プラズマ照射時のマスク4121のチャージアップ量が膜厚の厚い分増加するので、マスク4121に誘引される酸素プラズマ4122も増加する。その結果、酸素プラズマと炭化水素基が反応して酸化炭素が生成され炭化水素基が減少するのでポリマーの生成は、抑制される。したがって、炭化水素基から分解された少量の水素プラズマによってエッチングが生じる。
【0088】
そこで、回折格子外部のマスク(開口部幅調整マスク)4012(図12参照)の厚さを回折格子部分のマスク(格子状マスク)4011(図12参照)の厚さに比べて厚くすれば、マスク厚の厚い回折格子外部のマスク4012上からのエッチング種(酸素プラズマ)の寄与が大きく、マスク厚の薄い回折格子部分のマスク4011からのエッチング種(酸素プラズマ)の寄与を小さくできる。したがって、マスク開口部幅の狭い領域では、膜厚の薄い回折格子部分のマスク4011からマスク開口部への酸素プラズマの供給はほとんどないが、膜厚の厚い回折格子外部のマスク4012上から拡散してマスク開口部へ供給される酸素プラズマは開口部中央まで到達して炭化水素系プラズマと反応してポリマーの生成を抑制させると共に、エッチングに寄与する炭化水素系プラズマの濃度を減少させるので、開口部中央付近でエッチング速度が遅くなる。一方、マスク開口部幅の広い領域では、膜厚の薄い回折格子部分のマスク4011からマスク開口部への酸素プラズマの供給はほとんどなく、膜厚の厚い回折格子外部のマスク4012上から拡散してマスク開口部へ供給される酸素プラズマは、マスク開口部中央では低濃度になるためエッチングに寄与する炭化水素系プラズマの濃度の減少は抑制されるので、開口部中央付近ではエッチング速度は速くなる。
【0089】
このようなことから、上述のマスク(開口部幅調整マスクの厚さが格子状マスクの厚さに比べて厚いマスク)を用いれば、膜厚の薄い回折格子部分のマスク4011からマスク開口部への酸素プラズマの供給の影響を抑制して、マスク開口部幅の狭い領域では開口部中央付近でのエッチング深さを浅く、マスク開口部幅の広い領域では深くすることができる。
【0090】
図14に、本実施例において試料表面に形成するSiNX/SiO2マスクを示す。図14に示すように、マスク4900は、格子状マスク4910と開口部幅調整マスク4920を備える。格子状マスク4910には、SiO2部と窓部(開口部)が所定の周期(ピッチ)で形成されている。格子状マスク4910は、回折格子長4907に対しマスク開口部4901の開口部幅4905が変化している。マスク開口部4901は、複数(図示例では4つ)の第一の開口部4902と、第一の開口部4902より幅狭である複数(図示例では10個)の第二の開口部4903と、第二の開口部4903より幅狭である複数(図示例では8つ)の第三の開口部4904とを備える。開口部幅調整マスク4920のマスク幅4906は、回折格子長4907に対し一定である。格子状マスク4910の厚さは、開口部幅調整マスク4920の厚さよりも薄く形成される。
【0091】
本実施例では、例えば、SiO2で形成される回折格子部分のマスク(格子状マスク)4910の厚さを30nmとし、回折格子の長さ4907を500μmとし、格子幅4905が変化しており素子中央部から素子両端に向かって、第一の開口部4902を7.5μmとし、第二の開口部4903を3.7μmとし、第三の開口部4904を1.8μmとする。また、ピッチ(周期)4911を例えば240nm(SiO2部:120nm、窓部:120nm)とする。一方、SiNXで形成される回折格子外部のマスク(開口部幅調整マスク)4920の厚さを例えば1μmとし、マスク幅4906を例えば20μmとする。なお、上記では、格子状マスク4910が第1のマスク部をなし、開口部幅調整マスク4920が第2のマスク部をなしている。
【0092】
図15(a)〜(d)に、本実施例における回折格子形成に用いる面内で厚さの異なるマスクの作製工程を示す。
初めに、InP基板上のInPクラッド層4310の表面に30nm厚の酸化シリコン(SiO2)膜を形成する。SiO2膜上にレジストを塗布した後に電子ビーム露光法により回折格子作製マスク用のレジストパターンを作製する。レジストパターンをマスクとしてフッ化炭素系(CF4,C28など)を用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching,RIE)によってSiO2膜を加工することにより、レジストパターンをSiO2膜に転写する。レジストパターンを除去することにより、InP上に回折格子部分作製用のSiO2マスク4311が形成される(図15(a))。
【0093】
次に、上述の回折格子部分SiO2マスクを有するInP表面上に1μm厚の窒化シリコン(SiNX)膜4321を形成する(図15(b))。SiNX膜4321上にレジストを塗布した後に回折格子外部のマスク用のレジストパターン4331を作製する(図15(c))。このレジストパターン4331は電子ビーム露光だけでなく通常のフォトリソグラフィによるレジスト露光により形成できる。レジストパターン4331をマスクとしてフッ化硫黄系ガス(SF8など)を用いたRIEによってSiNX膜を加工することにより、レジストパターンをSiNX膜4341に転写する。このとき、回折格子部分のSiO2マスクはフッ化硫黄系ガス(SF8など)に耐性を有するのでエッチングされずに残る。この結果、レジストパターン4331を除去することにより、InP上に回折格子部分(格子状部分)と回折格子外部(開口部幅調整部分)で厚さの異なるマスクが形成される(図15(d))。なお、上記では、SiO2マスク4311が第1のマスク部をなし、SiNX膜4341が第2のマスク部をなしている。
【0094】
まず、n型InP上に積層したInGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層4801の表面に、上述した、格子状マスク4910の膜厚(層厚)が開口部幅調整マスク4920の膜厚(層厚)よりも薄く、マスク開口部4901の開口部幅4905が変化するマスク4900を形成する。この試料について、メタンと酸素の混合ガスを用いたRIEを例えばメタン流量40sccm、酸素流量200sccm、放電電力が100W、ガス圧力が10Paで施すと、上述のように開口部幅の増加に伴いエッチング速度が増加するので、マスク開口部のマスク開口部幅が1.8μmの第三の開口部4904、第二の開口部(開口部幅:3.7μm)4903、第一の開口部(開口部幅:7.5μm)4902の順でエッチング速度が増加する。このとき、InP表面にポリマーは生成されない。このように深さの異なる回折格子を形成することができる。ここで、エッチング工程において酸素流量を変化させてエッチング速度を変化させることにより、エッチング深さ形状を他の形状に変化させることができる。
【0095】
上述のエッチング工程が終了した後、マスクを除去し、メサ構造加工を行い、次に、この回折格子上に有機金属気相成長法(MOVPE)により積層することにより、例えば、図10に示すような素子構造が作製される。
【0096】
このように、本実施例に係る半導体素子の作製方法を用いれば、マスク開口部のInP表面にエッチングが生じる一方、InP表面にポリマーが生成されないので、ポリマーを除去するための酸素プラズマ照射の工程が不要になり、全体のプロセス工程が簡略化できる。
【0097】
水素を用いないので過剰の水素プラズマが半導体と反応することはなく、半導体表面でのV族原子(例えばInPにおけるP、GaAsにおけるAsなど)の脱離が過剰に生じて欠陥(V族原子空格子)の誘起または表面モフォロジーの劣化が生じることがない。したがって、欠陥のない高品質の結晶が提供され良好な素子特性を得ることができる。また、良好な表面モフォロジーにより光散乱ない回折格子が提供される。
【0098】
本実施例において、3つのマスク開口部の開口部幅を有すマスクを用いて深さが3段階変化するエッチングについて説明したが、より多数のマスク開口部の開口部幅を有すマスクを用いて、その開口部幅に応じた圧力(拡散距離)の条件下でメタン/酸素RIEを施すことにより、より多段で深さが変化するエッチングを行うことができる。このようなマスクを用いて作製された回折格子は第4の実施例と同様の特性を有する。
【0099】
本実施例において、開口部中央領域でのエッチング形状(深さ)について着目した。これは、実際のデバイスにおいてはメサ構造が採用されるため、マスク開口部の両端部はメサ形成時に切り落とされるので問題とならないからである。
【0100】
本実施例ではマスクにおける開口部外部のマスク幅を一定としたが、マスク開口部に拡散する酸素プラズマがマスク上にて拡散する距離を無視できる程度の長さ(幅)であればマスク幅は一定である必要はない。例えば、図16に示すような形状のマスク5900でもよい。マスク5900は、マスク開口部5901の開口部幅5905が導波路長5907に対し変化し、第一の開口部5902と、この開口部5902よりも幅狭の第二の開口部5903と、この開口部5903よりも幅狭の第三の開口部5904とを備える。マスク5900におけるマスク開口部外部のマスク幅5906は導波路長5907に対し変化している。
【0101】
本実施例では、回折格子の深さを5nm−30nmに設定したが、この深さに限られることはなく素子内で回折格子の深さが一定でなく変化していれば同様の効果が得られる。この際、回折格子の深さが素子長方向に対称である必要もない。この深さに対応して変化する結合係数も5cm-1−80cm-1に設定したが、この値に限られることはない。
【0102】
また、本実施例では素子用半導体結晶として化合物半導体InP結晶を用いたが、GaAs、SiGeなどの化合物半導体結晶やInGaAsP、AlGaInAs、InGaN、GaInNAs、AlGaSbなどの混晶結晶を用いても可能である。また、本発明による装置が対応するレーザ光の波長として1.55μmを用いたが、InGaAsP結晶の組成などの構造、回折格子のピッチ(周期)を変えることにより波長が1.0μmから1.7μmまでの長波長帯にも対応でき、活性層に他の材料(InGaAlN、AlGaInP、AlGaSbなど)を用いることにより波長が1.0μm未満の短波長帯や1.7μm以上の長波長帯にも対応できる。また、活性層における多重量子井戸構造には、8層、5nm厚のInGaAsP歪量子井戸層(歪量:1.0%)、5層、10nm厚のInGaAsP障壁層(組成波長:1.1μm)を用いたが、歪量、層数、層厚、結晶組成などの構造因子は変化させても構わない。
【0103】
また、本実施例では、回折格子等の半導体の加工のためのドライエッチングにおいて、エッチングガスとしてメタンを用いたが、エタン等の他の炭化水素系ガスを用いても構わない。また、エッチングガスとして混合ガスを用いる際の希釈ガスには酸素ガスだけではなく酸素ガスと共に水素、窒素やアルゴンを用いても構わない。
【0104】
また、ドライエッチング法にRIBE、RIE法を用いたが、イオンビームアシストエッチングなどを用いても加工できる。レジストパターン作製には電子ビーム露光法以外にも干渉露光法を用いることができる。エッチングの際に半導体表面に形成するマスクには酸化シリコン(SiO2)を用いたが、窒化シリコン、酸化チタンなどの誘電体や、金やチタンなどの金属を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る半導体素子の作製方法は、半導体からのV族原子の脱離を抑制しつつ同一面内でエッチング深さが異なる形状を簡易に加工することができ、これにより、高速半導体光素子を提供することができるため、通信産業等を始めとする各種産業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
11 マスク
12 マスク開口部
1800 n型InP基板
1801 InGaAsP(組成波長:1.2μm)導波路層
1802 InPクラッド層
1900 マスク
1901 マスク開口部
1902 第一の開口部
1903 第二の開口部
1904 第三の開口部
1905 開口部幅
1906 マスク幅
1907 導波路長
2801 n型InPバッファ層
2802 活性層
2803 スポットサイズ変換用InGaAsP(組成波長:1.2μm)ガイド層
2804 InGaAsP(組成波長:1.2μm)ガイド層
2805 p型InP埋め込み層
2806 n型InP埋め込み層
2807 p型InPクラッド層
2808 p型InGaAs(組成波長:1.65μm)コンタクト層
2809 SiO2
2810 n型オーミック電極
2811 p型オーミック電極
3150 n型InP基板
3151 n型InPバッファ層
3152 回折格子
3153 InGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層
3154 活性層(発光波長:1.55μm、活性層長:400μm)
3155 DBR回折格子領域InGaAsP(組成波長:1.4μm)ガイド層
3156 InGaAsP(組成波長:1.3μm)ガイド層
3157 p型InPクラッド層
3158 p型InGaAs(組成波長:1.85μm)コンタクト層
3159 n型オーミック電極
3160 p型オーミック電極
3801 導波路層
3900 マスク
3901 マスク開口部
3902 第一の開口部
3903 第二の開口部
3904 第三の開口部
3905 開口部幅
3906 マスク幅
3907 マスク長
4011,4012 マスク
4021,4022 エッチング種(酸素プラズマ)
4110,4120 半導体
4111,4121 マスク
4112,4122 エッチング種
4310 InPクラッド層
4311 回折格子部分作製用のSiO2マスク
4321,4341 窒化シリコン(SiNx)膜
4331 レジストパターン
4900 マスク
4901 マスク開口部
4902 第一の開口部
4903 第二の開口部
4904 第三の開口部
4905 格子幅
4906 マスク幅
4907 回折格子の長さ
4910 回折格子部分のマスク(格子状マスク)
4911 ピッチ
4920 回折格子外部のマスク(開口部幅調整マスク)
5900 マスク
5901 マスク開口部
5902 第一の開口部
5903 第二の開口部
5904 第三の開口部
5905 開口部幅
5906 マスク幅
5907 導波路長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系プラズマと酸素プラズマを開口部幅が変化する開口部を有するマスクが形成された半導体表面に照射して、半導体表面を異なる複数の深さにエッチングする半導体素子の作製方法であって、
前記酸素プラズマの所定の濃度に対して、前記開口部幅の異なる領域毎に、前記半導体表面にて前記酸素プラズマによりポリマーの生成を抑制しつつ前記半導体表面のエッチングが進行する状態のみが発現するように前記開口部幅が設定された開口部を有するマスクを前記半導体表面に形成する第1の工程と、
前記マスクが形成された前記半導体表面に前記炭化水素系プラズマおよび前記酸素プラズマを照射し、前記酸素プラズマを前記マスクの開口部幅方向にて前記開口部に拡散させることによりポリマーの生成を抑制するとともにエッチングに寄与する炭化水素系プラズマの濃度を制御する第2の工程を有する
ことを特徴とする半導体素子の作製方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体素子の作製方法において
前記マスクが、
前記半導体表面に形成された第1のパターンを有する第1のマスク部と、
前記第1のマスク部上に形成され、前記第1のマスク部のマスク厚よりも厚く、前記第1のパターンの開口部幅を画定する第2のパターンを有する第2のマスク部と
からなることを特徴とする半導体素子の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−230985(P2012−230985A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97768(P2011−97768)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】