説明

半導体装置、電気光学装置、電子機器及び半導体装置の製造方法

【課題】ソース電極及びドレイン電極の角部における電界集中に起因するゲート絶縁層の絶縁破壊が起こりにくい半導体装置、当該半導体装置を用いた電気光学装置、電子機器及び当該半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】有機TFT1は、基板10上に離間して配置された櫛歯状のソース電極21及びドレイン電極22と、これらの上に順に積層された半導体層、ゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上であって、基板10の法線方向から見てソース電極21及びドレイン電極22のそれぞれの一部に重なる領域に配置されたゲート電極50とを備える。ソース電極21及びドレイン電極22は、櫛歯21p,22pの端部の角部20a、及び櫛歯21p,22pの根元部の角部20bの形状が略円弧状をなしており、電界集中を緩和することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、電気光学装置、電子機器及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体層に有機物質を用いた有機薄膜トランジスタ(以下「有機TFT」と呼ぶ)等の有機半導体装置が注目されている。有機TFTは、半導体層を、高温・高真空を必要としない液相プロセスにより形成することができ、また、薄型軽量化に適すること、可撓性を有すること、材料コストが安価であること等の長所を有しており、フレキシブルディスプレイ等のスイッチング素子として期待されている。
【0003】
こうした有機TFTにおいては、ゲート絶縁層に、無機TFTの場合と同じようにSiO2を用いれば良いわけではないことが明らかになっており(非特許文献1参照)、ゲート絶縁層としてはポリマー材料が適していることが知られている(非特許文献2参照)。
【0004】
【非特許文献1】A.Salleo et.al.,APL,81(2002),4383
【非特許文献2】T.Kawase et.al.,JJAP,44(2005),3649
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に有機材料あるいはポリマー材料はSiO2と比較して絶縁破壊電圧が低いという欠点を有する。このため、有機TFTのFET特性を向上させるためにゲート絶縁層の厚さを小さくすることが困難であるという問題点があった。さらに、ソース電極やドレイン電極が鋭い角部を持つようにパターニングされている場合には、その角部において電界集中が発生するため、その部分からポリマー材料自身の絶縁破壊電圧よりも低い電圧で絶縁破壊が起こり、有機TFTが破壊されてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明の奏する効果の一つにより、ソース電極及びドレイン電極の角部における電界集中に起因するゲート絶縁層等の絶縁破壊の生起を抑制することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、基板上に離間して配置されたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及びドレイン電極上に配置された半導体層と、前記半導体層上に配置されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層によって前記ソース電極及び前記ドレイン電極から絶縁され、前記基板の法線方向から見て前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域に配置されたゲート電極とを備え、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の、前記基板の法線方向から見て前記ゲート電極と重なった領域における角部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなしていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、ソース電極及びドレイン電極のうち電界がかかる部分においては、電界が集中しやすい直角又は鋭角等の鋭い角部がないため、ソース電極又はドレイン電極の一部に電界が集中する事象が起きにくい。これにより、ソース電極及びドレイン電極の角部における電界集中に起因するゲート絶縁層の絶縁破壊が起こりにくい半導体装置が得られる。
【0009】
上記半導体装置においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の角部の、前記基板に垂直な平面における断面形状が、略円弧状の部分を含むことが好ましい。このような構成によれば、ソース電極及びドレイン電極のうち電界がかかる部分において、角部の断面についても略円弧状の部分を含む滑らかな形状とすることにより、電界集中をより起こりにくくすることができる。
【0010】
上記半導体装置においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極は櫛歯状をなす部分を有しており、かつその歯が互いに噛み合うように配置されていることが好ましい。このような構成によれば、ソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極との間のアライメントが容易になる。
【0011】
上記半導体装置においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の櫛歯状をなす部分の端部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなしていることが好ましい。このような、ソース電極及びドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の端部全体の形状を略円弧状とする構成によれば、当該端部の角部のみを略円弧状とする場合に比べて、端部の形状がより半径の大きな円弧を含むこととなるので、電界集中をより起こりにくくすることができる。さらに、当該端部の、前記基板に垂直な平面における断面形状についても、略円弧状の部分を含むような構成とすることが好ましい。
【0012】
上記半導体装置においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の櫛歯状をなす部分の根元部の角部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなしていることが好ましい。このような構成によれば、ソース電極及びドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の根元部の角部についても、電界が集中しやすい直角又は鋭角等の鋭い角部がなくなることとなるため、ソース電極又はドレイン電極の一部に電界が集中する事象がより起きにくくなる。よって、ソース電極及びドレイン電極の角部における電界集中に起因するゲート絶縁層の絶縁破壊が起こりにくい半導体装置が得られる。さらに、当該根元部の角部の、前記基板に垂直な平面における断面形状についても、略円弧状の部分を含むような構成とすることが好ましい。
【0013】
上記半導体装置においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の櫛歯状をなす部分の、前記基板の法線方向から見た形状の略全体が曲線によって形作られていることが好ましい。このような構成によれば、ソース電極及びドレイン電極において、電界が集中しやすい角部が存在しないこととなるため、電界集中をより起こりにくくすることができる。
【0014】
本発明の電気光学装置は、上記半導体装置を備えることを特徴とする。このような構成の電気光学装置は、絶縁破壊による破損の起こりにくい半導体装置を備えているので、高い信頼性が得られる。
【0015】
本発明の電子機器は、上記電気光学装置を備えることを特徴とする。このような構成によれば、信頼性の高い電子機器が得られる。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極を備えた半導体装置の製造方法であって、基板上の、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成すべき領域に、液滴吐出装置を用いて、導電性材料を含む機能液の複数の液滴を吐出して前記機能液を配置する工程Aと、前記機能液を乾燥させて、前記導電性材料を含んだ前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上にゲート絶縁層を形成する工程と、前記ゲート絶縁層上の、前記基板の法線方向から見て前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域にゲート電極を形成する工程とを有し、前記工程Aは、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成すべき領域のうち、前記基板の法線方向から見て前記ゲート電極と重なる領域における角部となる位置に、吐出後の形状が略円形となるように前記液滴を吐出する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
このような製造方法によれば、ソース電極及びドレイン電極は、工程Aにおいて配置された機能液を乾燥して得られるので、その形状は、工程Aにおいて機能液が配置された領域の形状となる。そうすると、ソース電極及びドレイン電極の角部の形状は、工程Aにおいて当該角部に吐出された略円形の液滴の形状の一部がそのまま反映されるので、略円弧状となる。また、基板上に配置された機能液の表面は、その後乾燥過程においても表面張力によりその表面積を最小にするように曲面形状を維持するので、当該機能液を乾燥させて形成されたソース電極及びドレイン電極は、角部の断面についても略円弧状の部分を含むような滑らかな形状となる。このようなソース電極及びドレイン電極は、電界がかかる部分において、電界が集中しやすい直角又は鋭角等の鋭い角部がないため、ソース電極又はドレイン電極の一部に電界が集中する事象が起きにくい。よって、ソース電極及びドレイン電極の角部における電界集中に起因するゲート絶縁層の絶縁破壊が起こりにくい半導体装置が得られる。
【0018】
上記製造方法においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を、櫛歯状をなすような形状に、かつその歯が互いに噛み合うように形成してもよい。また、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の端部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなすように形成してもよい。また、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の根元部の角部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなすように形成してもよい。さらに、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の、前記基板の法線方向から見た形状の略全体が曲線によって形作られるような形状に形成してもよい。
【0019】
本発明の半導体装置の製造方法は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極を備えた半導体装置の製造方法であって、基板上の、前記ソース電極が形成されるべき領域と前記ドレイン電極が形成されるべき領域に挟まれた領域にバンクを形成する工程Bと、少なくとも前記バンクと接する領域に、導電性材料を含む機能液を配置する工程と、前記機能液を乾燥させて、前記導電性材料を含んだ前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上にゲート絶縁層を形成する工程と、前記ゲート絶縁層上の、前記基板の法線方向から見て前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域にゲート電極を形成する工程とを有し、前記工程Bにおける前記ソース電極及び前記ドレイン電極が形成されるべき領域は、前記基板の法線方向から見て前記ゲート電極と重なる領域における角部の形状が略円弧状となっていることを特徴とする。
【0020】
上記工程Bにおいて形成されたバンクにより、上記機能液は、バンクの形成されていない領域に配置されることとなる。従って、これを乾燥して得られるソース電極及びドレイン電極も同様にバンクの形成されていない領域に形成される。ここで、バンクは、ソース電極及びドレイン電極の角部の形状が略円弧状となるような領域に形成されるので、その結果、ソース電極及びドレイン電極は、略円弧状の角部を有する状態に形成される。また、上記機能液の表面は、配置後及び乾燥過程において表面張力によりその表面積を最小にするように曲面形状を維持するので、当該機能液を乾燥させて形成されたソース電極及びドレイン電極は、角部の断面についても略円弧状の部分を含むような滑らかな形状となる。このようなソース電極及びドレイン電極は、電界がかかる部分において、電界が集中しやすい直角又は鋭角等の鋭い角部がないため、ソース電極又はドレイン電極の一部に電界が集中する事象が起きにくい。よって、ソース電極及びドレイン電極の角部における電界集中に起因するゲート絶縁層の絶縁破壊が起こりにくい半導体装置が得られる。
【0021】
上記製造方法においては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を、櫛歯状をなすような形状に、かつその歯が互いに噛み合うように形成してもよい。また、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の端部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなすように形成してもよい。また、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の根元部の角部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなすように形成してもよい。さらに、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち櫛歯状をなす部分の、前記基板の法線方向から見た形状の略全体が曲線によって形作られるような形状に形成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0023】
<第1の実施形態>
(A.半導体装置)
図1は、本発明の半導体装置としての有機TFT1の平面図である。また、図1中のA−A線における断面図を図3(e)に示す。有機TFT1は、トップゲート型の薄膜トランジスタであり、ガラス基板10上に互いに離間して配置されたソース電極21及びドレイン電極22と、ソース電極21及びドレイン電極22に接触してこれらを覆うように配置された有機半導体層30と、有機半導体層30上に順に積層されたゲート絶縁層40及びゲート電極50とを有する。ここで、ガラス基板10は、本発明における「基板」に対応し、有機半導体層30は、本発明における「半導体層」に対応する。なお、図1においては、ソース電極21及びドレイン電極22の形状及びこれらとゲート電極50との位置関係を説明する便宜上、有機半導体層30及びゲート絶縁層40の表示は省略されており、またゲート電極50の紙面奥側に位置するソース電極21及びドレイン電極22についても実線で表示されている。
【0024】
以下、各部の構成について詳述する。ソース電極21及びドレイン電極22の構成材料としては、公知の電極材料であれば、種類は特に限定されるものではない。具体的には、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co又はこれらを含む合金のような金属材料、及びそれらの酸化物、あるいは導電性有機材料等を用いることができる。導電性有機材料の代表的な例としては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)の水分散液中にPSS(ポリスチレンスルフォン酸)をドープしたもの(以下「PEDOT−PSS」と呼ぶ)を塗布した後にこれを乾燥したものを用いることができる。本実施形態では、PEDOT−PSSを用いている。ソース電極21及びドレイン電極22の平均厚さは、特に限定されないが、それぞれ、10〜2000nm程度であるのが好ましく、50〜1000nm程度であるのがより好ましい。
【0025】
ソース電極21及びドレイン電極22は、図1に示すようにそれぞれ櫛歯状をなす部分を有しており、かつその歯が互いに噛み合うように配置されている。より詳細には、ソース電極21は、ドレイン電極22に向けて突出する略矩形状の櫛歯21pを3本有しており、同様にドレイン電極22は、ソース電極21に向けて突出する略矩形状の櫛歯22pを3本有している。そして、櫛歯21p,22pは、互い違いに入り込むように、かつ互いに接触しないように配置されている。このように構成することによって、ソース電極21及びドレイン電極22と、ゲート電極50との間のアライメントが容易になる。
【0026】
また、上記櫛歯21p,22pの端部の2箇所の角部20aは、略円弧状をなしている。つまり、櫛歯21p,22pは直線のみからなる完全な矩形ではなく、その端部の角部20aが丸みを帯びている。また、櫛歯21p,22pの根元部の角部20bも略円弧状をなしている。すなわち、櫛歯21p,22pの根元部は、矩形波のように直角に立ち上がっているのではなく、その角部20bが曲線状をなすように滑らかに立ち上がっている。ここで、本稿において「角部」とは、ソース電極21及びドレイン電極22の外形を規定する境界線のうち直線からなるものの方向が変化する部分を指し、換言すれば、方向の異なる2つの直線状の境界線が接続される部分を指す。
【0027】
さらに、図3(e)に示すように、ソース電極21及びドレイン電極22の断面形状は、外周部20dが略円弧状の部分を含むような滑らかな曲線から構成されており、鋭い角部をもたない。従って、上記した櫛歯21p,22pの端部の角部20a、及び根元部の角部20bにおいても、その断面形状は略円弧状の部分を含む滑らかな曲線から構成されている。
【0028】
ソース電極21及びドレイン電極22に接触してこれらを覆うように配置された有機半導体層30は、有機半導体材料(半導体的な電気伝導を示す有機材料)を主材料として構成されている。このような有機半導体材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン又はこれらの誘導体のような低分子の有機半導体材料や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ビチオフェン共重合体(F8T2)又はこれらの誘導体のような高分子の有機半導体材料が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、高分子の有機半導体材料を主材料として用いるのが好ましい。高分子の有機半導体材料を主材料として構成される有機半導体層30は、薄型化・軽量化が可能であり、可撓性にも優れるため、フレキシブルディスプレイのスイッチング素子等として用いられる薄膜トランジスタへの適用に適している。
【0029】
また、有機半導体層30は、低温で成膜可能であるという点で好ましい。これにより、低コストで作製することが可能になり、さらに安価なフレキシブル基板であるプラスチック基板を用いることが可能になるという効果が得られる。
【0030】
有機半導体層30の平均厚さは、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、1〜500nm程度であるのがより好ましく、1〜100nm程度であるのがさらに好ましい。
【0031】
なお、有機半導体層30は、ソース電極21及びドレイン電極22を覆うように設けられるものでなくてもよく、少なくともソース電極21とドレイン電極22との間の領域(チャネル領域)に設けられていればよい。また、本発明における半導体層としては、有機半導体層30に代えて無機半導体層で構成することもできる。
【0032】
有機半導体層30上には、ゲート絶縁層40が設けられている。ゲート絶縁層40は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂等を含む絶縁性ポリマーで構成されている。絶縁性ポリマーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
ゲート絶縁層40の平均厚さは、特に限定されないが、10〜5000nm程度であるのが好ましく、50〜1000nm程度であるのがより好ましい。ゲート絶縁層40の厚さを前記範囲とすることにより、ソース電極21及びドレイン電極22とゲート電極50とを確実に絶縁しつつ、有機TFT1の動作電圧を低くすることができる。
【0034】
ゲート絶縁層40上の所定の位置、すなわち、ガラス基板10の法線方向から見てソース電極21及びドレイン電極22のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域であって、ソース電極21とドレイン電極22との間の領域を含む領域には、ゲート電極50が形成されている。このゲート電極50の構成材料としては、前記ソース電極21及びドレイン電極22で挙げた導電性材料と同様のものを用いることができる。ゲート電極50の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜2000nm程度であるのが好ましく、1〜1000nm程度であるのがより好ましい。
【0035】
以上のような構成の有機TFT1では、ソース電極21及びドレイン電極22の間に電圧を印加した状態で、ゲート電極50にゲート電圧を印加すると、有機半導体層30のゲート絶縁層40との界面付近にチャネルが形成され、チャネル領域をキャリア(正孔)が移動することで、ソース電極21及びドレイン電極22の間に電流が流れる。
【0036】
すなわち、ゲート電極50に電圧が印加されていないOFF状態では、ソース電極21とドレイン電極22との間に電圧を印加しても、有機半導体層30中にほとんどキャリアが存在しないため、微少な電流しか流れない。一方、ゲート電極50に電圧が印加されているON状態では、有機半導体層30のゲート絶縁層40に面した部分に電荷が誘起され、チャネル(キャリアの流路)が形成される。この状態でソース電極21及びドレイン電極22の間に電圧を印加すると、チャネル領域を通って電流が流れる。
【0037】
このとき、上記したように、ソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pの端部の角部20a、及び根元部の角部20bの形状が略円弧状をなしていることによって、次のような効果が得られる。すなわち、ソース電極21及びドレイン電極22のうち電界がかかる部分において、電界が集中しやすい直角又は鋭角等の鋭い角部がないため、ソース電極21又はドレイン電極22の一部に電界が集中する事象が起きにくい。よって、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20a,20bにおける電界集中に起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊が起こりにくい。また、上記角部20a,20bの断面形状も略円弧状の部分を含むような滑らかな曲線から構成されているため、同様に電界集中を緩和することができ、ゲート絶縁層40の絶縁破壊がより起こりにくくなっている。これにより、ゲート絶縁層40の厚さをより小さくすることが可能となり、トランジスタ特性を向上させることができる。以上のように、本実施形態の有機TFT1は、ゲート絶縁層40の絶縁破壊が起こりにくく、かつそのことに起因して高い信頼性及び高いトランジスタ特性を有する。
【0038】
(B.半導体装置の製造方法)
続いて、図2から図6を用いて、有機TFT1の製造方法について説明する。図2は、有機TFT1の製造方法を示した工程図、図3(a)から(e)は、当該製造工程における有機TFT1の断面図、図4は、図2中の工程P11について説明するための模式図である。より具体的には、工程P11において機能液24の液滴24Aを吐出すべき位置のパターンを示す模式図である。図5は、工程P11で用いる液滴吐出装置100の斜視図である。また、図6は、当該液滴吐出装置100のヘッド114を表し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0039】
以下、図2の工程図に沿って説明する。まず工程P11では、ガラス基板10上のうち、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域に、液滴吐出装置100(図5)のヘッド114から、ソース電極21及びドレイン電極22の構成材料となる導電性材料を含む機能液24の複数の液滴24Aをインクジェット法によって吐出する(図3(a))。この結果、上記領域に機能液24が配置される。この機能液24は、ガラス基板10の表面の撥液性に応じた接触角をもって配置される。この接触角は90°前後となるのが好ましい。本実施形態では、機能液24としてPEDOT−PSSを用いているが、その他、ソース電極21及びドレイン電極22の構成材料として既述した各種導電性材料の水分散液又はアルコール分散液等を用いることもできる。
【0040】
ここで、工程P11で用いる液滴吐出装置100について、図5及び図6を用いて説明する。図5に示す液滴吐出装置100は、上記機能液24を保持するタンク101と、チューブ110と、グランドステージGSと、吐出ヘッド部103と、ステージ106と、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、制御部112と、支持部104aとを備えている。吐出ヘッド部103は、ヘッド114(図6)を保持している。このヘッド114は、制御部112からの信号に応じて、機能液24の液滴24A(図6)を吐出する。なお、吐出ヘッド部103におけるヘッド114は、チューブ110によってタンク101に連結されており、このため、タンク101からヘッド114に機能液24が供給される。ステージ106はガラス基板10を固定するための平面を提供している。
【0041】
図6(a)及び(b)に示すように、ヘッド114は、複数のノズル118を有するインクジェットヘッドである。具体的には、ヘッド114は、振動板126と、ノズル118の開口を規定するノズルプレート128とを備えている。そして、振動板126と、ノズルプレート128との間には、液たまり129が位置しており、この液たまり129には、図示しない外部タンクから孔131を介して供給される機能液24が常に充填される。
【0042】
また、振動板126とノズルプレート128との間には、複数の隔壁部122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、一対の隔壁部122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120には、一対の隔壁部122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から機能液24が供給される。
【0043】
さて、振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124のそれぞれは、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む一対の電極124A,124Bとを含む。制御部112が、この一対の電極124A,124Bの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から機能液24の液滴24Aが吐出される。ここで、ノズル118から吐出される材料の体積は、0pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。なお、ノズル118からZ軸方向に機能液24の液滴24Aが吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0044】
図5に戻り、第1位置制御装置104は、支持部104aによって、グランドステージGSから所定の高さの位置に固定されている。この第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、上記ヘッド114を含む吐出ヘッド部103をX軸方向と、X軸方向に直交するZ軸方向と、に沿って移動させる機能を有する。第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、ステージ106をグランドステージGS上でY軸方向に移動させる。これらの結果、ガラス基板10に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、吐出ヘッド部103、ヘッド114、またはノズル118は、ステージ106に固定されたガラス基板10に対して、Z軸方向に所定の距離を保ちながら、X軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。
【0045】
制御部112は、機能液24の液滴を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112は、受け取った吐出データを内部の記憶装置に格納するとともに、格納された吐出データに応じて、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、ヘッド114と、を制御する。なお、吐出データとは、ガラス基板10上に、機能液24を所定パターンで付与するためのデータである。本実施形態では、吐出データはビットマップデータの形態を有している。
【0046】
上記構成を有する液滴吐出装置100は、吐出データに応じて、ヘッド114のノズル118をガラス基板10に対して相対移動させるとともに、被吐出部に向けてノズル118から機能液24の液滴24Aを吐出する。
【0047】
工程P11では、このような液滴吐出装置100を用いて、ガラス基板10上に、図4に示すパターンに従って機能液24の液滴24Aを吐出する。図4中の小円60は、1つの液滴24Aを吐出した後に当該液滴24Aが塗れ広がる範囲を示しており、小円60の中心が液滴24Aを吐出すべき位置に相当する。小円60は、基本的にはその中心がマトリクスをなすように配列され、かつ隣接する小円60同士は一部が重なるように配列される。この小円60は、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域の全体にわたって位置が設定され、そのうち櫛歯21p,22pについては、3列の小円60によって形作られる。こうした小円60の配列についての情報が、上記した吐出データに対応する。
【0048】
こうすると、櫛歯21p,22pの端部の角部20a(図1)に相当する部位には、必ず1つの小円60aが配置される。このため、液滴24Aを吐出した後、角部20aには、機能液24が、小円60aの一部によって規定される略円弧状の外周形状を有した状態(図4中の破線)に配置されることとなる。
【0049】
また、櫛歯21p,22pの根元部の角部20b(図1)に相当する部位にも1つの小円60bが配置される。換言すれば、櫛歯21p,22pの形成領域のうち、その根元部のみ、上記した3列に一対の小円60bを加えた5列の小円60が配置される。こうすることによって、液滴24Aを吐出した後、角部20bには、機能液24が、小円60bの位置に吐出された液滴24Aの効果によって滑らかな略円弧状の外周形状を有した状態(図4中の破線)に配置されることとなる。
【0050】
以上のようにして、ガラス基板10上のうち、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域に導電性材料を含む機能液24が配置される。なお、この工程P11が、本発明における「工程A」に対応する。
【0051】
次に、工程P12では、ガラス基板10上に配置された機能液24を乾燥させて、ソース電極21及びドレイン電極22を形成する(図3(b))。具体的には、機能液24の分散媒又は溶媒を蒸発させて、機能液24に含まれていた導電性材料を固形化させ、これによりガラス基板10上にソース電極21及びドレイン電極22を形成する。このとき、機能液24は櫛歯21p,22pの端部の角部20a及び根元部の角部20bに相当する部位において滑らかな略円弧状の外周形状を有して配置されているので、これを乾燥して得られるソース電極21及びドレイン電極22も、角部20a,20bが滑らかな略円弧状の形状を有した状態に形成される。また、機能液24の表面は、乾燥過程においても表面張力によりその表面積を最小にするように曲面形状を維持するので、乾燥後に得られるソース電極21及びドレイン電極22の断面形状は、角部20a,20bを含む外周部20dが略円弧状の部分を含むような滑らかな形状となる。
【0052】
次に、工程P13では、ソース電極21及びドレイン電極22を覆うように、有機半導体層30を形成する(図3(c))。より詳細には、ガラス基板10に酸素プラズマ処理及びクリーニング処理を行った後、半導体溶液をインクジェット法等の液滴吐出法によって吐出し、アニール処理を施して行われる。このとき、ソース電極21とドレイン電極22との間には、チャネル領域が形成される。この工程は、上記の方法の他に、スピンコート法やディップ法等を用いた塗布法、インクジェット法やスクリーン印刷法等を用いた印刷法によって行うこともできる。
【0053】
なお、有機半導体層30は、ソース電極21とドレイン電極22との間の領域(チャネル領域)にのみ形成してもよい。これにより、同一基板上に、複数の有機TFT1を並設する場合に、各有機TFT1の有機半導体層30を独立して形成することにより、リーク電流、各素子間のクロストークを抑えることができる。また、有機半導体材料の使用量を削減することができ、製造コストの削減を図ることもできる。
【0054】
次に、工程P14では、有機半導体層30上に、ゲート絶縁層40を形成する(図3(d))。この工程は、上記した絶縁性ポリマーをスピンコート法、ディップ法等を用いた塗布法、インクジェット法やスクリーン印刷法等を用いた印刷法を用いて全面に形成して行われる。
【0055】
次に、工程P15では、ゲート絶縁層40上のうち、ガラス基板10の法線方向から見てソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pと少なくとも重なる領域にゲート電極50を形成する(図3(e))。この工程は、PEDOT−PSSをインクジェット法やスクリーン印刷法等を用いた印刷法を用いて塗布した後にこれを乾燥して行われる。
【0056】
以上のような工程を経て、有機TFT1が得られる。このような製造方法によれば、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20a,20bの形状を略円弧状とすることができる。また、当該角部20a,20bの断面についても略円弧状の部分を含むような滑らかな形状とすることができる。なお、本実施形態の有機TFT1では、ソース電極21及びドレイン電極22と有機半導体層30との間、有機半導体層30とゲート絶縁層40との間、ゲート絶縁層40とゲート電極50との間には、それぞれ、任意の目的で、1層又は2層以上を追加することもできる。
【0057】
(C.変形例)
有機TFT1において、ソース電極21及びドレイン電極22の形状は、上記したものに限られない。以下では、図7から図9を用いて有機TFT1のソース電極21及びドレイン電極22の形状についての変形例について説明する。
【0058】
図7は、本実施形態の変形例の一つである有機TFT1Aの平面図である。有機TFT1Aは、ソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pの端部20c全体が略円弧状(略半円状)となっている点において有機TFT1と異なる。このような構成によれば、端部20cの形状の曲率半径を大きくすることができるので、電界集中及びこれに起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊をより起こりにくくすることができる。
【0059】
有機TFT1Aは、基本的には有機TFT1と同様の製造方法によって製造することができる。ただし、ソース電極21及びドレイン電極22の形成にあたり、液滴24Aを吐出する際には、吐出後の液滴24Aの直径が櫛歯21p,22pの太さと等しくなるように設定する。このようにすれば、櫛歯21p,22pの端部20cは、当該部位に吐出された液滴24Aの外形の半分(半円)を利用して、略半円状の形状に形成される。
【0060】
図8は、本実施形態の変形例の一つである有機TFT1Bの平面図である。有機TFT1Bは、ソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pの全体の形状が曲線によって形作られている点において有機TFT1と異なる。このような構成によれば、ソース電極21及びドレイン電極22に、電界が集中しやすい角部が存在しないこととなるため、電界集中及びこれに起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊をより起こりにくくすることができる。
【0061】
図9は、本実施形態の変形例の一つである有機TFT1Cの平面図である。有機TFT1Cは、ソース電極21及びドレイン電極22が櫛歯21p,22pをもたない点において有機TFT1と異なる。ただし、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20aの形状は略円弧状となっており、また角部20aの断面についても略円弧状の部分を含むような滑らかな形状となっているため、有機TFT1と同様に電界集中及びこれに起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊が起こりにくい。
【0062】
<第2の実施形態>
(A.半導体装置)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る有機TFT1Dについて説明する。図10は、本発明の半導体装置としての有機TFT1Dの平面図である。また、図10中のB−B線における断面図を図12(f)に示す。以下、図10及び図12(f)の有機TFT1Dについて、図1及び図3(e)に示した第1の実施形態に係る有機TFT1と異なる点を中心に説明する。なお、図1及び図3(e)と同じ要素は同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略する。
【0063】
有機TFT1Dは、ガラス基板10上に互いに離間して配置されたソース電極21及びドレイン電極22と、ガラス基板10上のうちソース電極21及びドレイン電極22に挟まれた領域及びこれらの周囲に配置された本発明におけるバンクとしてのポリイミド薄膜26と、ソース電極21、ドレイン電極22、ポリイミド薄膜26に接触してこれらを覆うように配置された有機半導体層30と、有機半導体層30上に順に積層されたゲート絶縁層40及びゲート電極50とを有する。ここで、第1の実施形態における有機TFT1との違いは、ソース電極21及びドレイン電極22に挟まれた領域及びこれらの周囲にポリイミド薄膜26が配置されている点である。換言すれば、ポリイミド薄膜26は、ソース電極21及びドレイン電極22の形成領域に対して排他的な領域に形成されている。ポリイミド薄膜26は、有機TFT1Dの製造工程において、ソース電極21及びドレイン電極22の形成領域を規定するバンクとして機能する。
【0064】
有機TFT1Dは、上記した点を除けば第1の実施形態の有機TFT1と同様の構成である。したがって、ソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pの端部の角部20a、及び根元部の角部20bの形状は略円弧状をなしており、このため電界集中に起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊が起こりにくい。また、上記角部20a,20bの断面形状も略円弧状の部分を含むような滑らかな曲線から構成されているため、同様に電界集中を緩和することができ、ゲート絶縁層40の絶縁破壊がより起こりにくくなっている。このような効果によって、ゲート絶縁層40の厚さをより小さくすることが可能であり、トランジスタ特性を向上させることができる。すなわち、本実施形態の有機TFT1Dも、ゲート絶縁層40の絶縁破壊が起こりにくく、かつそのことに起因して高い信頼性及び高いトランジスタ特性を有する。
【0065】
(B.半導体装置の製造方法)
続いて、図11から図13を用いて、有機TFT1Dの製造方法について説明する。図11は、有機TFT1Dの製造方法を示した工程図、図12(a)から(f)は、当該製造工程における有機TFT1Dの断面図、図13は、図11中の工程P21及び工程P23について説明するための平面図である。
【0066】
以下、図11の工程図に沿って説明する。まず工程P21では、ガラス基板10上の一部にポリイミド薄膜26を形成する(図12(a))。ここで、ポリイミド薄膜26を形成する領域は、図13(a)に示すように、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域(図7参照)に挟まれた領域を含む、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域の周囲の領域である。このとき、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域の形状は、後にゲート電極50と重なる領域における角部20a,20b(図10)の形状が略円弧状となるように設定される。つまり、ポリイミド薄膜26は、角部20a,20bに相当する部位において略円弧状となるように形成される。
【0067】
この工程は、ガラス基板10上に、スピンコート法等によって感光性ポリイミドを塗布した後に、フォトリソグラフィー法によって感光性ポリイミドをパターニングすることにより行われる。なお、この工程P21が、本発明における「工程B」に対応する。
【0068】
続く工程P22では、上記ポリイミド薄膜26の撥液化処理を行う。より詳しくは、ガラス基板10を酸素プラズマ処理して表面の炭素成分を除去し親水処理を行った後に、フッ素プラズマ処理を行うことによりポリイミド薄膜26を撥水処理する。
【0069】
次に、工程P23では、ガラス基板10上の、前記ポリイミド薄膜26と接する領域を含む、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域に、導電性材料を含む機能液24を配置する(図12(b))。この工程は、インクジェット法によって行われる。すなわち、液滴吐出装置100(図5)のヘッド114から、ソース電極21及びドレイン電極22の構成材料となる導電性材料を含む機能液24の複数の液滴24Aを吐出することによって行われる。本実施形態では、機能液24としてPEDOT−PSSを用いているが、その他、ソース電極21及びドレイン電極22の構成材料として既述した各種導電性材料の水分散液又はアルコール分散液等を用いることもできる。
【0070】
このとき、上記ポリイミド薄膜26が機能液24に対して撥液性を有し、機能液24をはじくため、機能液24はポリイミド薄膜26上には配置されず、図13(b)に示すようにポリイミド薄膜26の形成領域に対して排他的に配置される。すなわち、機能液24は、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域に限って配置されることとなる。換言すれば、ポリイミド薄膜26は、ソース電極21及びドレイン電極22の形成領域を規定するバンクとして機能する。また、機能液24は、ポリイミド薄膜26の撥液性に応じた接触角をもって配置される。この接触角は90°前後となるのが好ましい。
【0071】
この工程により、櫛歯21p,22pの端部の角部20a(図10)に相当する部位には、機能液24が略円弧状の外周形状を有した状態に配置されることとなる。また、櫛歯21p,22pの根元部の角部20b(図10)に相当する部位においても、機能液24が滑らかな略円弧状の外周形状を有した状態に配置される。
【0072】
なお、この工程は、ポリイミド薄膜26が十分な撥液性を有していれば、上記したインクジェット法に代えて、ディップ法やスピンコート法などによって行うこともできる。こうした方法によって機能液24をガラス基板10上の全面に塗布しても、ポリイミド薄膜26が機能液24をはじくため、ソース電極21及びドレイン電極22を形成すべき領域に限って機能液24を配置することができる。
【0073】
次に、工程P24では、ガラス基板10上に配置された機能液24を乾燥させて、ソース電極21及びドレイン電極22を形成する(図12(c))。具体的には、機能液24の分散媒又は溶媒を蒸発させて、機能液24に含まれていた導電性材料を固形化させ、これによりガラス基板10上にソース電極21及びドレイン電極22を形成する。このとき、機能液24は櫛歯21p,22pの端部の角部20a及び根元部の角部20bに相当する部位において滑らかな略円弧状の外周形状を有して配置されているので、これを乾燥して得られるソース電極21及びドレイン電極22も、角部20a,20bが滑らかな略円弧状の形状を有した状態に形成される。また、機能液24の表面は、乾燥過程においても表面張力によりその表面積を最小にするように曲面形状を維持するので、乾燥後に得られるソース電極21及びドレイン電極22の断面形状は、角部20a,20bを含む外周部20dが略円弧状の部分を含むような滑らかな形状となる。
【0074】
次に、工程P25では、ソース電極21、ドレイン電極22、ポリイミド薄膜26を覆うように、有機半導体層30を形成する(図12(d))。この工程は、第1の実施形態の工程P13と同様にして行われる。
【0075】
次に、工程P26では、有機半導体層30上に、ゲート絶縁層40を形成する(図12(e))。この工程は、第1の実施形態の工程P14と同様にして行われる。
【0076】
次に、工程P27では、ゲート絶縁層40上のうち、ガラス基板10の法線方向から見てソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pと少なくとも重なる領域にゲート電極50を形成する(図12(f))。この工程は、第1の実施形態の工程P15と同様にして行われる。
【0077】
以上のような工程を経て、有機TFT1Dが得られる。このような製造方法によれば、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20a,20bの形状を略円弧状とすることができる。また、当該角部20a,20bの断面についても略円弧状の部分を含むような滑らかな形状とすることができる。なお、本実施形態の有機TFT1Dでは、ソース電極21及びドレイン電極22と有機半導体層30との間、有機半導体層30とゲート絶縁層40との間、ゲート絶縁層40とゲート電極50との間には、それぞれ、任意の目的で、1層又は2層以上を追加することもできる。
【0078】
(C.変形例)
有機TFT1Dにおいて、ソース電極21及びドレイン電極22の形状は、上記したものに限られない。以下では、図14から図16を用いて有機TFT1Dのソース電極21及びドレイン電極22の形状についての変形例について説明する。
【0079】
図14は、本実施形態の変形例の一つである有機TFT1Eの平面図である。有機TFT1Eは、ソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pの端部20c全体が略円弧状(略半円状)となっている点において有機TFT1Dと異なる。このような構成によれば、端部20cの形状の曲率半径を大きくすることができるので、電界集中及びこれに起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊をより起こりにくくすることができる。
【0080】
図15は、本実施形態の変形例の一つである有機TFT1Fの平面図である。有機TFT1Fは、ソース電極21及びドレイン電極22の櫛歯21p,22pの全体の形状が曲線によって形作られている点において有機TFT1Dと異なる。このような構成によれば、ソース電極21及びドレイン電極22に、電界が集中しやすい角部が存在しないこととなるため、電界集中及びこれに起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊をより起こりにくくすることができる。
【0081】
図16は、本実施形態の変形例の一つである有機TFT1Gの平面図である。有機TFT1Gは、ソース電極21及びドレイン電極22が櫛歯21p,22pをもたない点において有機TFT1Dと異なる。ただし、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20aの形状は略円弧状となっており、また角部20aの断面についても略円弧状の部分を含むような滑らかな形状となっているため、有機TFT1Dと同様に電界集中及びこれに起因するゲート絶縁層40の絶縁破壊が起こりにくい。
【0082】
以上の変形例に係る有機TFT1E,1F,1Gを製造するには、いずれもポリイミド薄膜26の形成領域をソース電極21及びドレイン電極22の形状に合わせて変更すればよい。
【0083】
<電気光学装置>
次に、上述したような有機TFT1(有機TFT1Aから1Gを含む)を備えるアクティブマトリクス装置が組み込まれた電気光学装置について、電気泳動表示装置を一例に説明する。
【0084】
図17は、本発明の電気光学装置としての電気泳動表示装置200の実施形態を示す断面図、図18は、図17に示す電気泳動表示装置200が備えるアクティブマトリクス装置300の構成を示すブロック図、図19は、アクティブマトリクス装置300の拡大平面図である。なお、図19においては、説明の便宜上、有機TFT1に含まれる有機半導体層30及びゲート絶縁層40の表示は省略されている。
【0085】
図17に示す電気泳動表示装置200は、基板500上に設けられたアクティブマトリクス装置300と、このアクティブマトリクス装置300に電気的に接続された電気泳動表示部400とで構成されている。
【0086】
図18及び図19に示すように、アクティブマトリクス装置300は、互いに直交する複数のデータ線301と、複数の走査線302と、これらのデータ線301と走査線302との各交点付近に設けられた複数の有機TFT1とを有している。走査線302は、行方向に並んだ複数の有機TFT1のゲート電極50が繋がれてなる配線である。また、有機TFT1のソース電極21はデータ線301に、ドレイン電極22は画素電極(個別電極)401に、それぞれ接続されている。
【0087】
図17に示すように、電気泳動表示部400は、基板500上に順次積層された、画素電極401と、マイクロカプセル402と、透明電極(共通電極)403及び透明基板404とを有している。そして、マイクロカプセル402がバインダ材405により、画素電極401と透明電極403との間に固定されている。画素電極401は、マトリクス状に、すなわち、縦横に規則正しく配列するように分割されている。各マイクロカプセル402内には、それぞれ、特性の異なる複数種の電気泳動粒子、本実施形態では、電荷及び色(色相)の異なる2種の電気泳動粒子421、422を含む電気泳動分散液420が封入されている。
【0088】
このような電気泳動表示装置200では、1本あるいは複数本の走査線302に選択信号(選択電圧)を供給すると、この選択信号(選択電圧)が供給された走査線302に接続されている有機TFT1がONとなる。これにより、かかる有機TFT1に接続されているデータ線301と画素電極401とは、実質的に導通する。このとき、データ線301に所望のデータ(電圧)を供給した状態であれば、このデータ(電圧)は画素電極401に供給される。これにより、画素電極401と透明電極403との間に電界が生じ、この電界の方向、強さ、電気泳動粒子421、422の特性等に応じて、電気泳動粒子421、422は、いずれかの電極の方向に向かって電気泳動する。
【0089】
一方、この状態から、走査線302への選択信号(選択電圧)の供給を停止すると、有機TFT1はOFFとなり、かかる有機TFT1に接続されているデータ線301と画素電極401とは非導通状態となる。
【0090】
したがって、走査線302への選択信号の供給及び停止、あるいは、データ線301へのデータの供給及び停止を適宜組み合わせて行うことにより、電気泳動表示装置200の表示面側(透明基板404側)に、所望の画像(情報)を表示させることができる。
【0091】
特に、本実施形態の電気泳動表示装置200では、電気泳動粒子421、422の色を異ならせていることにより、多階調の画像を表示することが可能となっている。また、本実施形態の電気泳動表示装置200は、アクティブマトリクス装置300を有することにより、特定の走査線302に接続された有機TFT1を選択的にON/OFFすることができるので、クロストークの問題が生じにくく、また、回路動作の高速化が可能であることから、高い品質の画像(情報)を得ることができる。また、本実施形態の電気泳動表示装置200は、低い駆動電圧で作動するため、省電力化が可能である。
【0092】
なお、本発明の電気光学装置は、このような電気泳動表示装置200への適用に限定されるものではなく、液晶表示装置、有機又は無機EL表示装置等に適用することもできる。
【0093】
<電子機器>
このような電気泳動表示装置200は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置200を備える本発明の電子機器について説明する。
【0094】
(A.電子ペーパー)
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。図20は、本発明の電子機器の実施形態に係る電子ペーパー600の斜視図である。この図に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置200で構成されている。
【0095】
(B.ディスプレイ)
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。図21は、本発明の電子機器の実施形態に係るディスプレイ800を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。この図に示すディスプレイ800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図20に示す構成と同様のものである。
【0096】
本体部801は、その側部(図中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
【0097】
また、本体部801の表示面側(下図(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
【0098】
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
【0099】
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置200で構成されている。
【0100】
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、電気泳動表示装置200を適用することが可能である。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0102】
(変形例1)
ソース電極21及びドレイン電極22の形成に際し、上記第1の実施形態では液滴吐出法によって形成し、第2の実施形態ではポリイミド薄膜26のバンク形成と液滴吐出法との組み合わせによって形成するが、これらに限定する趣旨ではない。バンク材料としては、ポリイミドに代表されるイミド系樹脂だけでなく、アクリル系、エポキシ系、エステル系樹脂を使用しても良い。また、ソース電極21及びドレイン電極22の形成には、これらに代えて以下のような方法を用いてもよい。
【0103】
すなわち、まず、ガラス基板10上に、金属膜(金属層)を形成する。これは、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
【0104】
この金属膜上に、レジスト材料を塗布した後に硬化させ、ソース電極21及びドレイン電極22の形状に対応する形状のレジスト層を形成する。この際、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20a,20bに相当する部分が略円弧状となるようにレジスト層を形成する。このレジスト層をマスクに用いて、金属膜の不要部分を除去する。この金属膜の除去には、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その後、レジスト層を除去することにより、ソース電極21及びドレイン電極22が得られる。
【0105】
こうした方法によっても、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20a,20bの形状が略円弧状の有機TFT1を製造することができ、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
(変形例2)
上記各実施形態において、ソース電極21及びドレイン電極22の角部20a,20bや櫛歯21p,22pの端部20cの形状は必ずしも正確な円弧状をなしている必要はなく、略円弧状であれば電界集中を緩和することができる。具体的には、曲率半径の異なる複数の円弧の組み合わせ、楕円の一部、その他の滑らかな曲線状の形状であってもよい。
【0107】
(変形例3)
上記各実施形態において、ゲート絶縁層40には絶縁性ポリマーを用いてるが、これに代えて無機酸化物等の無機物質を用いてもよい。ゲート絶縁層40に好適な無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸鉛、酸化チタン、酸化タンタル等のうちの1種又は2種を組み合わせたものを挙げることができるが、特に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸鉛、酸化チタン、酸化タンタルのうちの少なくとも1種が好ましい。これらの酸化物は、特に、誘電率が高く、これらの絶縁性無機粒子を用いることにより、有機TFT1の駆動電圧を抑えることが可能となり、有機TFT1の消費電力の低減及び信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0108】
(変形例4)
上記各実施形態では、本発明における「基板」としてガラス基板10を用いているが、これ以外にも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)ポリイミド(PI)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)、石英基板、シリコン基板、金属基板、ガリウム砒素基板等を用いることができる。有機TFT1に可撓性を付与する場合には、本発明の基板には、プラスチック基板、あるいは、薄い(比較的膜厚の小さい)金属基板が選択される。ガラス基板10においては、ポリイミド薄膜26によるバンクを形成する手法を用いたが、他の基板、特にプラスチック基板を用いる際には、基板の表面に絶縁層を兼ねた金属酸化物を形成し、ガラス基板10と同様の処理を行っても良い。あるいは、プラスチック基板を基板として用いる場合には、フッ化ポリイミドに代表されるフッ素樹脂をバンクに用いても良い。フッ素樹脂を用いた場合には、フッ素樹脂をパターニングしてバンクを形成した後、酸素プラズマ処理を行うことで、バンク内のみ親水性とすることができ、ソース電極21及びドレイン電極22のパターニングが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第1の実施形態に係る有機TFTの平面図。
【図2】第1の実施形態に係る有機TFTの製造方法を示す工程図。
【図3】(a)から(e)は、第1の実施形態に係る有機TFTの製造工程における断面図。
【図4】機能液の液滴を吐出すべき位置のパターンを示す模式図。
【図5】液滴吐出装置の斜視図。
【図6】液滴吐出装置のヘッドを表し、(a)は斜視図、(b)は断面図。
【図7】第1の実施形態の変形例に係る有機TFTの平面図。
【図8】第1の実施形態の変形例に係る有機TFTの平面図。
【図9】第1の実施形態の変形例に係る有機TFTの平面図。
【図10】第2の実施形態に係る有機TFTの平面図。
【図11】第2の実施形態に係る有機TFTの製造方法を示す工程図。
【図12】(a)から(f)は、第2の実施形態に係る有機TFTの製造工程における断面図。
【図13】(a)及び(b)は、ポリイミド薄膜の形成位置を説明するための平面図。
【図14】第2の実施形態の変形例に係る有機TFTの平面図。
【図15】第2の実施形態の変形例に係る有機TFTの平面図。
【図16】第2の実施形態の変形例に係る有機TFTの平面図。
【図17】本発明の電気光学装置としての電気泳動表示装置の断面図。
【図18】図17に示す電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス装置の構成を示すブロック図。
【図19】図17に示す電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス装置の拡大平面図。
【図20】本発明の電子機器としての電子ペーパーの斜視図。
【図21】本発明の電子機器としてのディスプレイを示し、(a)は断面図、(b)は平面図。
【符号の説明】
【0110】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…「半導体装置」としての有機TFT、10…ガラス基板、20a,20b…角部、20c…櫛歯の端部、20d…ソース電極又はドレイン電極の外周部、21…ソース電極、21p…ソース電極の櫛歯、22…ドレイン電極、22p…ドレイン電極の櫛歯、24…機能液、24A…機能液の液滴、26…ポリイミド薄膜、30…有機半導体層、40…ゲート絶縁層、50…ゲート電極、60,60a,60b…液滴の吐出位置を示す小円、100…液滴吐出装置、114…ヘッド、200…「電気光学装置」としての電気泳動表示装置、300…アクティブマトリクス装置、600…「電子機器」としての電子ペーパー、800…「電子機器」としてのディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に離間して配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース電極及びドレイン電極上に配置された半導体層と、
前記半導体層上に配置されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層によって前記ソース電極及び前記ドレイン電極から絶縁され、前記基板の法線方向から見て前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域に配置されたゲート電極とを備え、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の、前記基板の法線方向から見て前記ゲート電極と重なった領域における角部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなしていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の角部の、前記基板に垂直な平面における断面形状が、略円弧状の部分を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は櫛歯状をなす部分を有しており、かつその歯が互いに噛み合うように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置であって、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の櫛歯状をなす部分の端部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなしていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の櫛歯状をなす部分の根元部の角部の形状が、前記基板の法線方向から見て略円弧状をなしていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の櫛歯状をなす部分の、前記基板の法線方向から見た形状の略全体が曲線によって形作られていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極を備えた半導体装置の製造方法であって、
基板上の、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成すべき領域に、液滴吐出装置を用いて、導電性材料を含む機能液の複数の液滴を吐出して前記機能液を配置する工程Aと、
前記機能液を乾燥させて、前記導電性材料を含んだ前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上にゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層上の、前記基板の法線方向から見て前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域にゲート電極を形成する工程とを有し、
前記工程Aは、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成すべき領域のうち、前記基板の法線方向から見て前記ゲート電極と重なる領域における角部となる位置に、吐出後の形状が略円形となるように前記液滴を吐出する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極を備えた半導体装置の製造方法であって、
基板上の、前記ソース電極が形成されるべき領域と前記ドレイン電極が形成されるべき領域に挟まれた領域にバンクを形成する工程Bと、
少なくとも前記バンクと接する領域に、導電性材料を含む機能液を配置する工程と、
前記機能液を乾燥させて、前記導電性材料を含んだ前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上にゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層上の、前記基板の法線方向から見て前記ソース電極及び前記ドレイン電極のそれぞれの少なくとも一部に重なる領域にゲート電極を形成する工程とを有し、
前記工程Bにおける前記ソース電極及び前記ドレイン電極が形成されるべき領域は、前記基板の法線方向から見て前記ゲート電極と重なる領域における角部の形状が略円弧状となっていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−305802(P2007−305802A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133013(P2006−133013)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】