半導体装置の製造方法
【課題】リーク電流の発生なくp型領域やn型領域を半導体基板上に結晶成長させてなるサイリスタ構成の素子を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1の表面側にp型領域、n型領域、p型領域、およびn型領域がこの順に接して設けられた素子を備え、少なくとも1つの領域が半導体基板1の表面に結晶成長させた結晶成長層からなる半導体装置の製造方法において、第1n領域25および第2p領域27を結晶成長層として形成する際には、半導体基板1上に第1絶縁膜17と第2絶縁膜19との積層膜を成膜する第1工程と、第2絶縁膜19のエッチングに続けて第1絶縁膜17をウェットエッチングすることによって半導体基板1に達する開口を形成する第2工程と、開口底部に露出する半導体基板1の表面に、第1n領域25および第2p領域27を選択的に結晶成長させる第3工程とを行う。
【解決手段】半導体基板1の表面側にp型領域、n型領域、p型領域、およびn型領域がこの順に接して設けられた素子を備え、少なくとも1つの領域が半導体基板1の表面に結晶成長させた結晶成長層からなる半導体装置の製造方法において、第1n領域25および第2p領域27を結晶成長層として形成する際には、半導体基板1上に第1絶縁膜17と第2絶縁膜19との積層膜を成膜する第1工程と、第2絶縁膜19のエッチングに続けて第1絶縁膜17をウェットエッチングすることによって半導体基板1に達する開口を形成する第2工程と、開口底部に露出する半導体基板1の表面に、第1n領域25および第2p領域27を選択的に結晶成長させる第3工程とを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にはサイリスタとトランジスタとを備えたサイリスタRAMの作製に好適な半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2004年後半から半導体デバイスは、技術ノードで90nm世代の生産が立ち上がりつつあり、その次の65nm世代におけるSRAM(Static Random Access Memory)の開発では、リーク電流の増加、動作マージンの減少と言った問題が顕著となり、回路設計が困難を極めるというSRAM危機が提言されている。
【0003】
これまで半導体デバイスの性能向上は、スケーリング則に従ったトランジスタの微細化により達成されてきた。近年、その微細化の物理的限界、加工ばらつき、不純物分布のゆらぎ、さらには電流駆動能力を一定とする性能スケーリングにより、トランジスタのオフリークが世代を覆うごとに増大してきた。
【0004】
SRAMは混載メモリー装置として広く使われてきたが、この問題に起因したスタンバイ時のリーク電流の増加、動作マージンの減少が顕在化してきた。90nm世代のSRAM開発では、トランジスタのしきい値の制御、回路システムによるパワーマネジメントによって使用レベルにまで改善できた。しかしながら、65nm世代以降では根本原因であるメモリーセル自体のリークを下げることが要求される。このような状況を鑑みれば、SRAMとほぼ同等の性能を有する代替メモリーを今後2年〜3年の短期間で開発することの必然性が理解できる。
【0005】
混載SRAM代替メモリー装置の開発課題としては、(a)SRAMと同等の高速性を有すること、(b)低スタンバイ電流であること、(c)スケーリングの容易性を有すること、(d)CMOSロジックプロセスとの親和性があることなどが挙げられる。このような課題を解決する手段として、トランジスタとサイリスタで素子を構成するTRAM(Thyristor Random Access Memory)(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0006】
TRAMにおいては、p型領域/n型領域/p型領域/n型領域が順に配列されたサイリスタ部分の素子面積を縮小することを目的として、図11に示すような構成が提案されている。すなわち、半導体基板100の表面側に第1p領域101を拡散層として形成し、この第1p領域101上にゲート絶縁膜102を介してゲート電極103を形成する。そしてゲート電極103の両脇における第1p領域101の表面側に、n型のエクステンション領域104を設ける。さらにゲート電極103の側壁にサイドウォール105を形成し、このサイドウォール105によって絶縁性を確保しつつ、ゲート電極103の一方側の第1p領域101上には、第1n領域106とその上部の第2p領域107とを順に結晶成長させる。またゲート電極103の他方側の第1p領域101上には、もう1つの第2n領域108を結晶成長させる。
【0007】
またこのような構成の他にも、ゲート電極103の両脇の第1p領域101の表面側に第1n領域と第2n領域とを拡散層として設け、第1n領域上に第2p領域を結晶成長させた構成も提案されている(例えば、下記非特許文献1参照)。
【0008】
【非特許文献1】T. Sugizaki et al.,“Ultra High-speed Novel Bulk Thyristor-SRAM (BT-RAM) Cell with Selective Epitaxy Anode (SEA)”、「IEDM Tech.Dig.」、2006年、p.157−1606
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、例えば図11を用いて説明したようなp型領域やn型領域を半導体基板100上に結晶成長してなるサイリスタの作製においては、ゲート絶縁膜103の側壁にサイドウォール105を形成する際の異方性エッチングにより、半導体基板100にダメージが加わって結晶欠陥が発生する。このため、この上部にp型領域やn型領域を結晶成長させた状態では、これらの領域と半導体基板100との界面に結晶欠陥が残存する。特にPN接合の画面方向に電流が流れるサイリスタにおいては、このような界面に生じる結晶欠陥が素子特性に及ぼす影響が大きく、リーク電流を発生させる要因となっている。
【0010】
またさらに、サイリスタとトランジスタとからなるTRAMの作製においては、サイリスタ領域とトランジスタ領域とに共通のプロセスで、ゲート電極とサイドウォールとを形成している。このためサイドウォールの形成においては異方性エッチングを行うことでトランジスタ特性を維持する必要があり、上述の手順では結晶欠陥の発生を免れなかった。
【0011】
そこで本発明は、リーク電流の発生なくp型領域やn型領域を半導体基板上に結晶成長させてなる素子を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明は、半導体基板の表面側にp型領域、n型領域、p型領域、およびn型領域がこの順に接して設けられた素子を備え、これらの領域のうちの少なくとも1つが半導体基板の表面に結晶成長させた結晶成長層からなる半導体装置の製造方法であり、結晶成長層を形成する際に次の工程を順に行うことを特徴としている。先ず、第1工程では、半導体基板上に第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜を成膜する。次の第2工程では、第2絶縁膜のエッチングに続けて第1絶縁膜をウェットエッチングすることにより、半導体基板に達する開口を形成する。その後第3工程では、開口底部に露出する半導体基板の表面に、結晶成長層を選択的に結晶成長させる。
【0013】
このような方法によれば、半導体基板に達する開口を積層膜に形成する際、最下部の第1絶縁膜をウェットエッチングとしているため、開口底部に露出する半導体基板の表面に対して大きなエッチングダメージが加わることがなく、結晶欠陥の発生が抑えられる。したがって、このような開口底部に結晶成長層を選択的に成長させた状態では、結晶成長層と半導体基板との間に結晶欠陥が残存することはない。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、半導体基板と結晶成長層との間に結晶欠陥のない素子を得ることが可能になり、この部分の結晶欠陥によるリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ構成の素子を有する半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をサイリスタとトランジスタとで構成されるTRAMの製造に適用した各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
<第1実施形態>
先ず、図1(1)に示すように、既知の技術により、例えば単結晶シリコンからなる半導体基板1の表面側に素子分離3としてShallow Trench Isolation(STI)を形成し、サイリスタ領域1sとトランジスタ領域1tとを分離する。次に、サイリスタ領域1sにnウェル5を形成し、さらにその表面側に不純物拡散層としての第1p領域7を形成する。一方、トランジスタ領域1tには、pウェル9を形成する。
【0017】
尚、サイリスタ領域1sの第1p領域7の形成においては、次のような2段階のイオン注入を行うこととする。
【0018】
(イオン注入その1)
イオン種 :ホウ素イオン(B+)
加速エネルギー :40keV
注入ドーズ量 :3.0E+13個/cm2
【0019】
(イオン注入その2)
イオン種 :ホウ素イオン(B+)
加速エネルギー :10keV
注入ドーズ量 :1.0E+12個/cm2
【0020】
次に、サイリスタ領域1sおよびトランジスタ領域1tの上部に、ゲート絶縁膜11を介してポリシリコンからなるゲート電極13を形成する。その後、ゲート電極13およびここでの図示を省略したレジストパターンをマスクにしたイオン注入によって、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の一方側(アノード側)にn型のエクステンション領域15aを形成する。また、ゲート電極13およびここでの図示を省略したレジストパターンをマスクにしたイオン注入によって、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の他方側(カソード側)にn型のエクステンション領域15bを形成する。
【0021】
各エクステンション領域15a,15bの形成においては、次のようなイオン注入を行うこととする。
【0022】
(エクステンション領域15a:アノード側)
イオン種 :ヒ素イオン(As+)
加速エネルギー :10keV
注入ドーズ量 :1.0E+13個/cm2
【0023】
(エクステンション領域15b:カソード側)
イオン種 :ヒ素イオン(As+)
加速エネルギー :10keV
注入ドーズ量 :5.0E+13個/cm2
【0024】
また、トランジスタ領域1tにおけるゲート電極13の両側にも、イオン注入によってn型のエクステンション領域15を形成する。
【0025】
次に図1(2)に示すように、半導体基板1上の全面を覆う状態で、第1絶縁膜17を成膜する。また続けて、第1絶縁膜17に対して選択的な異方性エッチングが可能な材料からなる第2絶縁膜19を成膜する。ここでは、第1絶縁膜17として酸化シリコン(SiO2)を膜厚10nmで堆積成膜し、第2絶縁膜19として窒化シリコン(SiN)を膜厚120nmで堆積成膜する。尚、第1絶縁膜17は、次に行う第1絶縁膜19の異方性エッチングの際にエッチングストッパとして残存可能な範囲で薄膜あることが好ましい、一方、第2絶縁膜19は、ゲート電極13のサイドウォールを形成するために十分な膜厚であることとする。
【0026】
その後、図1(3)に示すように、第2絶縁膜19上にレジストパターン21を形成し、レジストパターン21をマスクに用いた異方性エッチングによって、第2絶縁膜19に開口部19aを形成する。この開口部は、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の一方側に形成する。ここでは、サイリスタ領域1sのアノード側(エクステンション領域15a上)に開口部19aを設けることとする。
【0027】
この際のエッチング条件の一例は次のようである。
ガス種 :CH2F2/O2/Ar
エッチング雰囲気内圧力 :75mTorr
ソースパワー :300W
バイアスパワー :100W
【0028】
以上のエッチングの後はレジストパターン21を除去する。
【0029】
次に図1(4)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって、第1絶縁膜17に第1開口17aを設けて半導体基板1におけるアノード側のエクステンション領域15aの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いることにより、酸化シリコンからなる第1絶縁膜17に第1開口17aを形成する。
【0030】
その後、図2(1)に示すように、第1絶縁膜17から露出する半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第1n領域25を、選択的にエピタキシャル成長させる。ここではn型不純物としてリン(P)を濃度1.0E+19〜1.0E+20個/cm3で含有する第1n領域25を、膜厚50〜150nm程度エピタキシャル成長させる。
【0031】
さらに、第1n領域25の露出表面に、結晶成長層としての第2p領域27を選択的にエピタキシャル成長させる。ここではp型不純物としてホウ素(B)を濃度1.0E+19〜3.0E+20個/cm3で含有する第2p領域27を、膜厚100〜250nm程度エピタキシャル成長させる。この第2p領域27は、アノードとして用いられる領域となる。
【0032】
その後、第2p領域27の露出表面に、熱酸化法により酸化シリコ膜29を膜厚10nm程度成長させる。
【0033】
次に図2(2)に示すように、第2絶縁膜19上にレジストパターン31を形成し、レジストパターン31をマスクに用いた異方性エッチングによって、第2絶縁膜19に開口部19bを形成する。この開口部は、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の他方側に形成する。ここでは、サイリスタ領域1sのカソード側(エクステンション領域15b上)に開口部19bを設けることとする。この開口部19bは、先に第2絶縁膜19に形成した開口部19aの形成と同様の異方性エッチングを行う。
【0034】
以上のエッチングの後はレジストパターン31を除去する。
【0035】
次に図2(3)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって、第1絶縁膜17に第2開口17bを設けて半導体基板1におけるエクステンション領域15bの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いることにより、酸化シリコンからなる第1絶縁膜17に第2開口17bを形成する。尚、このエッチングでは、熱酸化法によって形成された酸化シリコン膜29よりも、堆積成膜された酸化シリコンからなる第1絶縁膜17を速い速度でエッチング速度することで、第2p領域(アノード)27表面に酸化シリコン膜29を残す。
【0036】
その後、図2(4)に示すように、第2開口17b底部の半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第2n領域33を、選択的にエピタキシャル成長させる。ここではn型不純物としてリン(P)を濃度1.0E+19〜3.0E+20個/cm3で含有する第2n領域33を、膜厚100〜250nm程度エピタキシャル成長させる。この第2n領域33は、カソードとして用いられる領域となる。
【0037】
以上のようにして、半導体基板1の表面側に不純物拡散層として形成した第1p領域7上に、第1n領域25および第2p領域(アノード)27をこの順に結晶成長層として積層形成させ、これと分離した位置に第2n領域(カソード)33を結晶成長層として積層形成してなるサイリスタ35が得られる。
【0038】
尚、以上までのサイリスタ35の形成においては、アノード側の第1n領域25および第2p領域(アノード)27を形成した後に、第2n領域(カソード)33を形成する手順としたが、逆の手順であっても良い。また、第1n領域25の形成はイオン注入法によって行っても良く、第1n領域25を不純物拡散層として形成しても良い。
【0039】
次に、図3(1)に示すように、サイリスタ35を覆う状態で、第2絶縁膜19上にレジストパターン41を形成する。このレジストパターン41は、トランジスタ領域1tを露出させると共に、サイリスタ領域1tのゲート電極13上を開口する形状で形成される。次いで、このレジストパターン41をマスクにして第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を順に異方性エッチングする。これにより、トランジスタ領域1tのゲート電極13の側壁には、第1絶縁膜17と第2絶縁膜19とからなるサイドウォール43を形成する。また同時に、サイリスタ領域1sにおける第1絶縁膜17および第2絶縁膜19には、ゲート13に達する接続孔45を形成する。
【0040】
その後、図3(2)に示すように、レジストパターン41、ゲート電極13、およびサイドウォール43をマスクにしたイオン注入によって、トランジスタ領域1tにn型のソース/ドレイン47を形成する。これにより、トランジスタ領域1tにnチャンネル型のMOSトランジスタ49が形成される。尚、ソース/ドレイン47の形成後には、レジストパターン41を除去する。
【0041】
以降は、既知の技術を適用したプロセスを行う。先ず、第2p領域27表面の酸化シリコン膜29を除去し、第2p領域27、ゲート電極13、第2n領域33、およびソース/ドレイン47の表面層に、ここでの図示を省略したシリサイドをセルフアラインで形成する。この際、第1n領域25と第2p領域27との界面が、第1絶縁膜17および第2絶縁膜19の開口内にあれば、第2p領域27の表面層に成長させたシリサイド層が第1n領域25−第2p領域27間のリーク原因となることを防止できる。
【0042】
その後、図3(3)に示すように、半導体基板1上に層間絶縁膜51を堆積成膜し、次に層間絶縁膜51の必要部分にそれぞれ接続孔51aを形成する。次いで、層間絶縁膜51上に、接続孔51aを介してサイリスタ35およびトランジスタ49に接続された配線53を形成する。これにより、サイリスタ39の第2n領域(カソード)33と、トランジスタ49のソース/ドレイン47の一方とを配線53で接続する。また、サイリスタ35の第2p領域(アノード)27に接続された配線53、およびゲート電極13に接続された配線53を形成する。
【0043】
以上のようにしてサイリスタ35とトランジスタ49とで構成されたT−RAMを形成する。
【0044】
以上の第1実施形態の製造方法によれば、図1(4)を用いて説明したように、サイリスタ領域1sにおいて、半導体基板1に達する第1開口17aを形成する際、最下部の第1絶縁膜17をウェットエッチングとしているため、第1開口17a底部に露出する半導体基板1の表面に対して大きなエッチングダメージが加わることがなく、結晶欠陥の発生が抑えられる。したがって、次に図2(1)を用いて説明したように、このような第1開口17a底部に結晶成長層としての第1n領域25を選択的に成長させた状態では、第1n領域25と半導体基板1との間に結晶欠陥が残存することはない。
【0045】
これは、図2(3)および図2(4)を用いて説明した第2n領域33の形成においても同様である。
【0046】
この結果、本第1実施形態の手順によれば、半導体基板1と結晶成長層である第1n領域25および第2n領域33との間に結晶欠陥のない素子を得ることが可能になり、この部分の結晶欠陥によるリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ35有する半導体装置を得ることが可能になる。
【0047】
ここで図4には、上記第1実施形態の手順によって得られたサイリスタのアノード電圧[Vpa]−アノード電流[Ipa]特性を示す。また合わせて、第一開口17aおよび第2開口17bを、異方性エッチングのみで形成する従来の手順で得られたサイリスタのアノード電圧[Vpa]−アノード電流[Ipa]特性を示す。この図に示すように本第1実施形態を適用することによって、アノード電圧[Vpa]が低い値でのリーク電流が低く抑えられることが分かり、素子特性の向上が確認される。
【0048】
またさらに、トランジスタ領域1tに設けたゲート電極13のサイドウォール43は、サイリスタ35を共通で覆う第1絶縁膜17と第2絶縁膜19との異方性エッチングによって形成される。形状精度の良好なサイドウォール43を形成することができ、トランジスタ特性を維持することが可能である。しかも、このサイドウォール43の形成は、サイリスタ領域1sのゲート電極13に達する接続孔45を形成する工程と同時に行われる。このため、上述した一連の工程のいての全体的な工程数の増加はない。
【0049】
<第2実施形態>
先ず、図5(1)および図5(2)に示す工程を、第1実施形態の図1(1)および図1(2)と同様に行う。すなわち、図5(1)に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板1に素子分離3を形成し、サイリスタ領域1sにnウェル5および第1p領域7を形成し、トランジスタ領域1tにpウェル9を形成する。次に、サイリスタ領域1sおよびトランジスタ領域1tの上部にゲート絶縁膜11を介してゲート電極13を形成し、サイリスタ領域1sにn型のエクステンション領域15a,15bを形成し、トランジスタ領域1tにn型のエクステンション15を形成する。次に図5(2)に示すように、酸化シリコン(SiO2)からなる第1絶縁膜17と、窒化シリコン(SiN)からなる第2絶縁膜19とこの順に堆積成膜する。
【0050】
その後、図5(3)に示すように、第2絶縁膜19上に、サイリスタ領域1sのアノード側(エクステンション領域15a上)を露出させ、サイリスタ領域1sのカソード側(エクステンション領域15b上)およびトランジスタ領域1tを覆うレジストパターン21’を形成する。このレジストパターン21’の形状が、第1実施形態と異なるところである。次いで、このレジストパターン21’をマスクに用いて第2絶縁膜19を異方性エッチングし、サイリスタ領域1sのアノード側(エクステンション領域15a上)のゲート電極13側壁に、第2絶縁膜19からなるサイドウォールを形成する。この際の第2絶縁膜19のエッチング条件は、第1実施形態と同様である。
【0051】
以上のエッチングの後はレジストパターン21’を除去する。そして、以降は第1実施形態で図2(4)以降を用いて説明したと同様に行って良い。
【0052】
すなわち、先ず、図5(4)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって第1絶縁膜17を除去し、半導体基板1におけるアノード側のエクステンション領域15aの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いる。またこのエッチングにより、ゲート電極13の一部が露出しても良い。
【0053】
その後、図6(1)に示すように、第1絶縁膜17から露出する半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第1n領域25を選択的にエピタキシャル成長させ、続けて結晶成長層としての第2p領域27を選択的にエピタキシャル成長させる。この第2p領域27はアノードとして用いられる領域になる。尚、これらの各層は、第1実施形態と同様に形成する。またポリシリコンからなるゲート電極13の露出面ではエピタキシャル成長させなくて良い。
【0054】
その後、第2p領域(アノード)27の露出表面に、熱酸化法により酸化シリコ膜29を膜厚10nm程度成長させる。これによりゲート電極13の露出面にも酸化シリコン29が成長する。
【0055】
次に図6(2)に示すように、第2絶縁膜19上にレジストパターン31を形成し、レジストパターン31をマスクに用いた異方性エッチングによって、第2絶縁膜19に開口部19bを形成する。この開口部は、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の他方側に形成する。ここでは、サイリスタ領域1sのカソード側(エクステンション領域15b上)に開口部19bを設けることとする。この開口部19bは、先の第2絶縁膜19の異方性エッチングと同様に行う。
【0056】
以上のエッチングの後はレジストパターン31を除去する。
【0057】
尚ここでは、レジストパターン31によって、サイリスタ領域1sの第2p領域(アノード)27上およびトランジスタ領域1tを保護した状態で異方性エッチングが行われれば、サイリスタ領域1sのゲート電極13の側壁に第2絶縁膜19をサイドウォール状に残すようにしても良い。
【0058】
次に図6(3)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって、第1絶縁膜17に第2開口17bを設けて半導体基板1におけるエクステンション領域15bの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いることにより、酸化シリコンからなる第1絶縁膜17に第2開口17bを形成する。尚、このエッチングでは、第1実施形態と同様に第2p領域(アノード)27表面に酸化シリコン膜29を残す。
【0059】
その後、図6(4)に示すように、第2開口17b底部の半導体基板1の露出面に、第1導電型の拡散層としての第2n領域33を、選択的にエピタキシャル成長させる。この第2n領域33は、カソードとして用いられる領域となる。尚、この第2n領域33は、第1実施形態と同様に形成する。
【0060】
以上のようにして、半導体基板1の表面側に形成した第1p領域7上に、第1n領域25および第2p領域(アノード)27をこの順に積層させ、これと分離した位置に第2n領域(カソード)33を積層してなるサイリスタ35が得られる。
【0061】
尚、以上までのサイリスタ35の形成においては、第1実施形態と同様に、アノード側の第1n領域25および第2p領域(アノード)27を形成した後に、第2n領域(カソード)33を形成する手順としたが、逆の手順であっても良い。また、第1n領域25の形成はイオン注入法によって行っても良く、第1n領域25を不純物拡散層として形成しても良い。
【0062】
次に、図7(1)に示すように、サイリスタ35を覆う状態で、第2絶縁膜19上にレジストパターン41を形成し、このレジストパターン41をマスクにした第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を異方性エッチングする。これにより、トランジスタ領域1tのゲート電極13の側壁にサイドウォール43を形成し、また、サイリスタ領域1sにおける第1絶縁膜17および第2絶縁膜19にはゲート電極13に達する接続孔45を形成する。
【0063】
その後、図7(2)に示すように、レジストパターン41、ゲート電極13、およびサイドウォール43をマスクにしたイオン注入によって、トランジスタ領域1tにn型のソース/ドレイン47を形成する。これにより、トランジスタ領域1tにnチャンネル型のMOSトランジスタ49が形成される。尚、ソース/ドレイン47の形成後には、レジストパターン41を除去する。
【0064】
以降は、既知の技術を適用したプロセスを行う。先ず、第2p領域27表面の酸化シリコン膜29を除去し、第2p領域27、ゲート電極13、第2n領域33、およびソース/ドレイン47の表面層に、ここでの図示を省略したシリサイドをセルフアラインで形成する。
【0065】
その後、図7(3)に示すように、半導体基板1上に層間絶縁膜51を堆積成膜し、次に層間絶縁膜51の必要部分にそれぞれ接続孔51aを形成する。次いで、層間絶縁膜51上に、接続孔51aを介してサイリスタ35およびトランジスタ49に接続された配線53を形成する。これにより、サイリスタ39の第2n領域(カソード)33と、トランジスタ49のソース/ドレイン47の一方とを配線53で接続する。また、サイリスタ35の第2p領域(アノード)27に接続された配線53、およびゲート電極13に接続された配線53を形成する。
【0066】
以上のようにしてサイリスタ35とトランジスタ49とで構成されたT−RAMを形成する。
【0067】
以上の第2実施形態の製造方法であっても、図5(4)を用いて説明したように、サイリスタ領域1sにおいて、半導体基板1に達する第1開口17aを形成する際、最下部の第1絶縁膜17をウェットエッチングとしているため、結晶結果の発生のない第1開口17a底部に結晶成長層としての第1n領域25を選択的に成長させることができる。これは、図6(3)および図6(4)を用いて説明した第2n領域33の形成においても同様である。
【0068】
この結果、本第2実施形態の手順であっても、第1実施形態と同様にリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ35有する半導体装置を得ることが可能になる。
【0069】
またさらに、トランジスタ領域1tに設けたゲート電極13のサイドウォール43は、第1実施形態と同様に行われるため。上述した一連の工程のいての全体的な工程数の増加はない。
【0070】
<第3実施形態>
先ず、図8(1)に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板1に素子分離3を形成し、サイリスタ領域1sにnウェル5および第1p領域7を形成し、トランジスタ領域1tにpウェル9を形成する。次に、サイリスタ領域1sおよびトランジスタ領域1tの上部にゲート絶縁膜11を介してゲート電極13を形成する。ここまでは、第1実施形態と同様に行う。
【0071】
その後、サイリスタ領域1sにおける第1p領域7の表面側に、不純物拡散層としての第1n領域61と第2n領域63とを形成する。これらの第1n領域61と第2n領域63のうちの一方(例えばここでは第2n領域63)は、カソードとして用いられる領域となる。このような第1n領域61と第2n領域(カソード)63とは、ゲート電極13をマスクとしたイオン注入によって形成され、必要に応じて2枚のマスクを用いた別々のイオン注入によって、それぞれの深さおよび不純物濃度に形成しても良い。尚、トランジスタ領域1tには、第1実施形態と同様にn型のエクステンション15を形成する。
【0072】
次に図8(2)に示すように、半導体基板1上に、酸化シリコン(SiO2)からなる第1絶縁膜17と、窒化シリコン(SiN)からなる第2絶縁膜19とをこの順に堆積成膜する。
【0073】
その後、図8(3)に示すように、第2絶縁膜19上に、サイリスタ領域1sのアノード側(第1n領域61上)を露出させ、サイリスタ領域1sのカソード側(第2n領域63上)およびトランジスタ領域1tを覆うレジストパターン21’を形成する。このレジストパターン21’の形状は、第2実施形態と同様であって良い。次いで、このレジストパターン21’をマスクに用いて第2絶縁膜19を異方性エッチングし、サイリスタ領域1sのアノード側(第1n領域61上)のゲート電極13側壁に、第2絶縁膜19からなるサイドウォールを形成する。この際の第2絶縁膜19のエッチング条件は、第1実施形態と同様である。
【0074】
以上のエッチングの後はレジストパターン21’を除去する。
【0075】
次に、図8(4)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって第1絶縁膜17を除去し、半導体基板1におけるアノード側の第1n領域61の表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いる。またこのエッチングにより、ゲート電極13の一部が露出しても良い。
【0076】
その後、図9(1)に示すように、第1絶縁膜17から露出する半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第2p領域65を選択的にエピタキシャル成長させる。この第2p領域65はアノードとして用いられる領域になる。尚、この第2p領域(アノード)65は、第1実施形態と同様に形成する。
【0077】
その後、第2p領域(アノード)65の露出表面に、熱酸化法により酸化シリコ膜29を膜厚10nm程度成長させる。これによりゲート電極13の露出面にも酸化シリコン29が成長する。
【0078】
以上のようにして、半導体基板1の表面側に第1p領域7が設けられ、このp領域7の表面側に第1n領域61および第2n領域(カソード)63が分離して設けられ、第1n領域61条に第2p領域(アノード)65を積層してなるサイリスタ35’が得られる。
【0079】
次に、図9(2)に示すように、サイリスタ35’を覆う状態で、第2絶縁膜19上にレジストパターン41を形成し、このレジストパターン41をマスクにした第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を異方性エッチングする。これにより、トランジスタ領域1tのゲート電極13の側壁にサイドウォール43を形成し、また、サイリスタ領域1sにおける第1絶縁膜17および第2絶縁膜19にはゲート電極13に達する接続孔45を形成する。
【0080】
その後、図9(3)に示すように、レジストパターン41、ゲート電極13、およびサイドウォール43をマスクにしたイオン注入によって、トランジスタ領域1tにn型のソース/ドレイン47を形成する。これにより、トランジスタ領域1tにnチャンネル型のMOSトランジスタ49が形成される。尚、ソース/ドレイン47の形成後には、レジストパターン41を除去する。
【0081】
次に、図10(1)に示すように、ここでの図示を省略したレジストパターンをマスクにしたエッチングによって、第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を除去して第2n領域(カソード)63の表面を露出させる。また、第2p領域(アノード)65表面の酸化シリコン膜29を除去する。そして、第2p領域(アノード)65、ゲート電極13、第2n領域(カソード)63、およびソース/ドレイン47の表面層に、ここでの図示を省略したシリサイドをセルフアラインで形成する。
【0082】
その後、図10(2)に示すように、半導体基板1上に層間絶縁膜51を堆積成膜し、次に層間絶縁膜51の必要部分にそれぞれ接続孔51aを形成する。次いで、層間絶縁膜51上に、接続孔51aを介してサイリスタ35’およびトランジスタ49に接続された配線53を形成する。これにより、サイリスタ39の第2n領域(カソード)63と、トランジスタ49のソース/ドレイン47の一方とを配線53で接続する。また、サイリスタ35’の第2p領域(アノード)65に接続された配線53、およびゲート電極13に接続された配線53を形成する。
【0083】
以上のようにしてサイリスタ35’とトランジスタ49とで構成されたT−RAMを形成する。
【0084】
以上の第3実施形態の製造方法であっても、図8(4)を用いて説明したように、サイリスタ領域1sにおいて、半導体基板1に達する開口を形成する際、最下部の第1絶縁膜17をウェットエッチングとしているため、結晶結果の発生のない開口底部に結晶成長層としての第2p領域(アノード)65を選択的に成長させることができる。
【0085】
この結果、本第3実施形態の手順であっても、第1実施形態と同様にリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ35’を有する半導体装置を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図2】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図3】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
【図4】第1実施形態の手順で作製したサイリスタのVpa−Ipa特性を示す図である。
【図5】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図6】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図7】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
【図8】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図9】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図10】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
【図11】従来の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…半導体基板、1s…サイリスタ領域、1t…トランジスタ領域、3…素子分離、7…第1p領域、13…ゲート電極、17…第1絶縁膜、17a…第1開口、17b…第2開口、19…第2絶縁膜、25,61…第1n領域、27,65…第2p領域、33,63…第2n型領域、35,35’…サイリスタ、41…レジストパターン、43…サイドウォール、45…接続孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にはサイリスタとトランジスタとを備えたサイリスタRAMの作製に好適な半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2004年後半から半導体デバイスは、技術ノードで90nm世代の生産が立ち上がりつつあり、その次の65nm世代におけるSRAM(Static Random Access Memory)の開発では、リーク電流の増加、動作マージンの減少と言った問題が顕著となり、回路設計が困難を極めるというSRAM危機が提言されている。
【0003】
これまで半導体デバイスの性能向上は、スケーリング則に従ったトランジスタの微細化により達成されてきた。近年、その微細化の物理的限界、加工ばらつき、不純物分布のゆらぎ、さらには電流駆動能力を一定とする性能スケーリングにより、トランジスタのオフリークが世代を覆うごとに増大してきた。
【0004】
SRAMは混載メモリー装置として広く使われてきたが、この問題に起因したスタンバイ時のリーク電流の増加、動作マージンの減少が顕在化してきた。90nm世代のSRAM開発では、トランジスタのしきい値の制御、回路システムによるパワーマネジメントによって使用レベルにまで改善できた。しかしながら、65nm世代以降では根本原因であるメモリーセル自体のリークを下げることが要求される。このような状況を鑑みれば、SRAMとほぼ同等の性能を有する代替メモリーを今後2年〜3年の短期間で開発することの必然性が理解できる。
【0005】
混載SRAM代替メモリー装置の開発課題としては、(a)SRAMと同等の高速性を有すること、(b)低スタンバイ電流であること、(c)スケーリングの容易性を有すること、(d)CMOSロジックプロセスとの親和性があることなどが挙げられる。このような課題を解決する手段として、トランジスタとサイリスタで素子を構成するTRAM(Thyristor Random Access Memory)(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0006】
TRAMにおいては、p型領域/n型領域/p型領域/n型領域が順に配列されたサイリスタ部分の素子面積を縮小することを目的として、図11に示すような構成が提案されている。すなわち、半導体基板100の表面側に第1p領域101を拡散層として形成し、この第1p領域101上にゲート絶縁膜102を介してゲート電極103を形成する。そしてゲート電極103の両脇における第1p領域101の表面側に、n型のエクステンション領域104を設ける。さらにゲート電極103の側壁にサイドウォール105を形成し、このサイドウォール105によって絶縁性を確保しつつ、ゲート電極103の一方側の第1p領域101上には、第1n領域106とその上部の第2p領域107とを順に結晶成長させる。またゲート電極103の他方側の第1p領域101上には、もう1つの第2n領域108を結晶成長させる。
【0007】
またこのような構成の他にも、ゲート電極103の両脇の第1p領域101の表面側に第1n領域と第2n領域とを拡散層として設け、第1n領域上に第2p領域を結晶成長させた構成も提案されている(例えば、下記非特許文献1参照)。
【0008】
【非特許文献1】T. Sugizaki et al.,“Ultra High-speed Novel Bulk Thyristor-SRAM (BT-RAM) Cell with Selective Epitaxy Anode (SEA)”、「IEDM Tech.Dig.」、2006年、p.157−1606
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、例えば図11を用いて説明したようなp型領域やn型領域を半導体基板100上に結晶成長してなるサイリスタの作製においては、ゲート絶縁膜103の側壁にサイドウォール105を形成する際の異方性エッチングにより、半導体基板100にダメージが加わって結晶欠陥が発生する。このため、この上部にp型領域やn型領域を結晶成長させた状態では、これらの領域と半導体基板100との界面に結晶欠陥が残存する。特にPN接合の画面方向に電流が流れるサイリスタにおいては、このような界面に生じる結晶欠陥が素子特性に及ぼす影響が大きく、リーク電流を発生させる要因となっている。
【0010】
またさらに、サイリスタとトランジスタとからなるTRAMの作製においては、サイリスタ領域とトランジスタ領域とに共通のプロセスで、ゲート電極とサイドウォールとを形成している。このためサイドウォールの形成においては異方性エッチングを行うことでトランジスタ特性を維持する必要があり、上述の手順では結晶欠陥の発生を免れなかった。
【0011】
そこで本発明は、リーク電流の発生なくp型領域やn型領域を半導体基板上に結晶成長させてなる素子を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明は、半導体基板の表面側にp型領域、n型領域、p型領域、およびn型領域がこの順に接して設けられた素子を備え、これらの領域のうちの少なくとも1つが半導体基板の表面に結晶成長させた結晶成長層からなる半導体装置の製造方法であり、結晶成長層を形成する際に次の工程を順に行うことを特徴としている。先ず、第1工程では、半導体基板上に第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜を成膜する。次の第2工程では、第2絶縁膜のエッチングに続けて第1絶縁膜をウェットエッチングすることにより、半導体基板に達する開口を形成する。その後第3工程では、開口底部に露出する半導体基板の表面に、結晶成長層を選択的に結晶成長させる。
【0013】
このような方法によれば、半導体基板に達する開口を積層膜に形成する際、最下部の第1絶縁膜をウェットエッチングとしているため、開口底部に露出する半導体基板の表面に対して大きなエッチングダメージが加わることがなく、結晶欠陥の発生が抑えられる。したがって、このような開口底部に結晶成長層を選択的に成長させた状態では、結晶成長層と半導体基板との間に結晶欠陥が残存することはない。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、半導体基板と結晶成長層との間に結晶欠陥のない素子を得ることが可能になり、この部分の結晶欠陥によるリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ構成の素子を有する半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をサイリスタとトランジスタとで構成されるTRAMの製造に適用した各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
<第1実施形態>
先ず、図1(1)に示すように、既知の技術により、例えば単結晶シリコンからなる半導体基板1の表面側に素子分離3としてShallow Trench Isolation(STI)を形成し、サイリスタ領域1sとトランジスタ領域1tとを分離する。次に、サイリスタ領域1sにnウェル5を形成し、さらにその表面側に不純物拡散層としての第1p領域7を形成する。一方、トランジスタ領域1tには、pウェル9を形成する。
【0017】
尚、サイリスタ領域1sの第1p領域7の形成においては、次のような2段階のイオン注入を行うこととする。
【0018】
(イオン注入その1)
イオン種 :ホウ素イオン(B+)
加速エネルギー :40keV
注入ドーズ量 :3.0E+13個/cm2
【0019】
(イオン注入その2)
イオン種 :ホウ素イオン(B+)
加速エネルギー :10keV
注入ドーズ量 :1.0E+12個/cm2
【0020】
次に、サイリスタ領域1sおよびトランジスタ領域1tの上部に、ゲート絶縁膜11を介してポリシリコンからなるゲート電極13を形成する。その後、ゲート電極13およびここでの図示を省略したレジストパターンをマスクにしたイオン注入によって、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の一方側(アノード側)にn型のエクステンション領域15aを形成する。また、ゲート電極13およびここでの図示を省略したレジストパターンをマスクにしたイオン注入によって、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の他方側(カソード側)にn型のエクステンション領域15bを形成する。
【0021】
各エクステンション領域15a,15bの形成においては、次のようなイオン注入を行うこととする。
【0022】
(エクステンション領域15a:アノード側)
イオン種 :ヒ素イオン(As+)
加速エネルギー :10keV
注入ドーズ量 :1.0E+13個/cm2
【0023】
(エクステンション領域15b:カソード側)
イオン種 :ヒ素イオン(As+)
加速エネルギー :10keV
注入ドーズ量 :5.0E+13個/cm2
【0024】
また、トランジスタ領域1tにおけるゲート電極13の両側にも、イオン注入によってn型のエクステンション領域15を形成する。
【0025】
次に図1(2)に示すように、半導体基板1上の全面を覆う状態で、第1絶縁膜17を成膜する。また続けて、第1絶縁膜17に対して選択的な異方性エッチングが可能な材料からなる第2絶縁膜19を成膜する。ここでは、第1絶縁膜17として酸化シリコン(SiO2)を膜厚10nmで堆積成膜し、第2絶縁膜19として窒化シリコン(SiN)を膜厚120nmで堆積成膜する。尚、第1絶縁膜17は、次に行う第1絶縁膜19の異方性エッチングの際にエッチングストッパとして残存可能な範囲で薄膜あることが好ましい、一方、第2絶縁膜19は、ゲート電極13のサイドウォールを形成するために十分な膜厚であることとする。
【0026】
その後、図1(3)に示すように、第2絶縁膜19上にレジストパターン21を形成し、レジストパターン21をマスクに用いた異方性エッチングによって、第2絶縁膜19に開口部19aを形成する。この開口部は、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の一方側に形成する。ここでは、サイリスタ領域1sのアノード側(エクステンション領域15a上)に開口部19aを設けることとする。
【0027】
この際のエッチング条件の一例は次のようである。
ガス種 :CH2F2/O2/Ar
エッチング雰囲気内圧力 :75mTorr
ソースパワー :300W
バイアスパワー :100W
【0028】
以上のエッチングの後はレジストパターン21を除去する。
【0029】
次に図1(4)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって、第1絶縁膜17に第1開口17aを設けて半導体基板1におけるアノード側のエクステンション領域15aの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いることにより、酸化シリコンからなる第1絶縁膜17に第1開口17aを形成する。
【0030】
その後、図2(1)に示すように、第1絶縁膜17から露出する半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第1n領域25を、選択的にエピタキシャル成長させる。ここではn型不純物としてリン(P)を濃度1.0E+19〜1.0E+20個/cm3で含有する第1n領域25を、膜厚50〜150nm程度エピタキシャル成長させる。
【0031】
さらに、第1n領域25の露出表面に、結晶成長層としての第2p領域27を選択的にエピタキシャル成長させる。ここではp型不純物としてホウ素(B)を濃度1.0E+19〜3.0E+20個/cm3で含有する第2p領域27を、膜厚100〜250nm程度エピタキシャル成長させる。この第2p領域27は、アノードとして用いられる領域となる。
【0032】
その後、第2p領域27の露出表面に、熱酸化法により酸化シリコ膜29を膜厚10nm程度成長させる。
【0033】
次に図2(2)に示すように、第2絶縁膜19上にレジストパターン31を形成し、レジストパターン31をマスクに用いた異方性エッチングによって、第2絶縁膜19に開口部19bを形成する。この開口部は、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の他方側に形成する。ここでは、サイリスタ領域1sのカソード側(エクステンション領域15b上)に開口部19bを設けることとする。この開口部19bは、先に第2絶縁膜19に形成した開口部19aの形成と同様の異方性エッチングを行う。
【0034】
以上のエッチングの後はレジストパターン31を除去する。
【0035】
次に図2(3)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって、第1絶縁膜17に第2開口17bを設けて半導体基板1におけるエクステンション領域15bの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いることにより、酸化シリコンからなる第1絶縁膜17に第2開口17bを形成する。尚、このエッチングでは、熱酸化法によって形成された酸化シリコン膜29よりも、堆積成膜された酸化シリコンからなる第1絶縁膜17を速い速度でエッチング速度することで、第2p領域(アノード)27表面に酸化シリコン膜29を残す。
【0036】
その後、図2(4)に示すように、第2開口17b底部の半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第2n領域33を、選択的にエピタキシャル成長させる。ここではn型不純物としてリン(P)を濃度1.0E+19〜3.0E+20個/cm3で含有する第2n領域33を、膜厚100〜250nm程度エピタキシャル成長させる。この第2n領域33は、カソードとして用いられる領域となる。
【0037】
以上のようにして、半導体基板1の表面側に不純物拡散層として形成した第1p領域7上に、第1n領域25および第2p領域(アノード)27をこの順に結晶成長層として積層形成させ、これと分離した位置に第2n領域(カソード)33を結晶成長層として積層形成してなるサイリスタ35が得られる。
【0038】
尚、以上までのサイリスタ35の形成においては、アノード側の第1n領域25および第2p領域(アノード)27を形成した後に、第2n領域(カソード)33を形成する手順としたが、逆の手順であっても良い。また、第1n領域25の形成はイオン注入法によって行っても良く、第1n領域25を不純物拡散層として形成しても良い。
【0039】
次に、図3(1)に示すように、サイリスタ35を覆う状態で、第2絶縁膜19上にレジストパターン41を形成する。このレジストパターン41は、トランジスタ領域1tを露出させると共に、サイリスタ領域1tのゲート電極13上を開口する形状で形成される。次いで、このレジストパターン41をマスクにして第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を順に異方性エッチングする。これにより、トランジスタ領域1tのゲート電極13の側壁には、第1絶縁膜17と第2絶縁膜19とからなるサイドウォール43を形成する。また同時に、サイリスタ領域1sにおける第1絶縁膜17および第2絶縁膜19には、ゲート13に達する接続孔45を形成する。
【0040】
その後、図3(2)に示すように、レジストパターン41、ゲート電極13、およびサイドウォール43をマスクにしたイオン注入によって、トランジスタ領域1tにn型のソース/ドレイン47を形成する。これにより、トランジスタ領域1tにnチャンネル型のMOSトランジスタ49が形成される。尚、ソース/ドレイン47の形成後には、レジストパターン41を除去する。
【0041】
以降は、既知の技術を適用したプロセスを行う。先ず、第2p領域27表面の酸化シリコン膜29を除去し、第2p領域27、ゲート電極13、第2n領域33、およびソース/ドレイン47の表面層に、ここでの図示を省略したシリサイドをセルフアラインで形成する。この際、第1n領域25と第2p領域27との界面が、第1絶縁膜17および第2絶縁膜19の開口内にあれば、第2p領域27の表面層に成長させたシリサイド層が第1n領域25−第2p領域27間のリーク原因となることを防止できる。
【0042】
その後、図3(3)に示すように、半導体基板1上に層間絶縁膜51を堆積成膜し、次に層間絶縁膜51の必要部分にそれぞれ接続孔51aを形成する。次いで、層間絶縁膜51上に、接続孔51aを介してサイリスタ35およびトランジスタ49に接続された配線53を形成する。これにより、サイリスタ39の第2n領域(カソード)33と、トランジスタ49のソース/ドレイン47の一方とを配線53で接続する。また、サイリスタ35の第2p領域(アノード)27に接続された配線53、およびゲート電極13に接続された配線53を形成する。
【0043】
以上のようにしてサイリスタ35とトランジスタ49とで構成されたT−RAMを形成する。
【0044】
以上の第1実施形態の製造方法によれば、図1(4)を用いて説明したように、サイリスタ領域1sにおいて、半導体基板1に達する第1開口17aを形成する際、最下部の第1絶縁膜17をウェットエッチングとしているため、第1開口17a底部に露出する半導体基板1の表面に対して大きなエッチングダメージが加わることがなく、結晶欠陥の発生が抑えられる。したがって、次に図2(1)を用いて説明したように、このような第1開口17a底部に結晶成長層としての第1n領域25を選択的に成長させた状態では、第1n領域25と半導体基板1との間に結晶欠陥が残存することはない。
【0045】
これは、図2(3)および図2(4)を用いて説明した第2n領域33の形成においても同様である。
【0046】
この結果、本第1実施形態の手順によれば、半導体基板1と結晶成長層である第1n領域25および第2n領域33との間に結晶欠陥のない素子を得ることが可能になり、この部分の結晶欠陥によるリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ35有する半導体装置を得ることが可能になる。
【0047】
ここで図4には、上記第1実施形態の手順によって得られたサイリスタのアノード電圧[Vpa]−アノード電流[Ipa]特性を示す。また合わせて、第一開口17aおよび第2開口17bを、異方性エッチングのみで形成する従来の手順で得られたサイリスタのアノード電圧[Vpa]−アノード電流[Ipa]特性を示す。この図に示すように本第1実施形態を適用することによって、アノード電圧[Vpa]が低い値でのリーク電流が低く抑えられることが分かり、素子特性の向上が確認される。
【0048】
またさらに、トランジスタ領域1tに設けたゲート電極13のサイドウォール43は、サイリスタ35を共通で覆う第1絶縁膜17と第2絶縁膜19との異方性エッチングによって形成される。形状精度の良好なサイドウォール43を形成することができ、トランジスタ特性を維持することが可能である。しかも、このサイドウォール43の形成は、サイリスタ領域1sのゲート電極13に達する接続孔45を形成する工程と同時に行われる。このため、上述した一連の工程のいての全体的な工程数の増加はない。
【0049】
<第2実施形態>
先ず、図5(1)および図5(2)に示す工程を、第1実施形態の図1(1)および図1(2)と同様に行う。すなわち、図5(1)に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板1に素子分離3を形成し、サイリスタ領域1sにnウェル5および第1p領域7を形成し、トランジスタ領域1tにpウェル9を形成する。次に、サイリスタ領域1sおよびトランジスタ領域1tの上部にゲート絶縁膜11を介してゲート電極13を形成し、サイリスタ領域1sにn型のエクステンション領域15a,15bを形成し、トランジスタ領域1tにn型のエクステンション15を形成する。次に図5(2)に示すように、酸化シリコン(SiO2)からなる第1絶縁膜17と、窒化シリコン(SiN)からなる第2絶縁膜19とこの順に堆積成膜する。
【0050】
その後、図5(3)に示すように、第2絶縁膜19上に、サイリスタ領域1sのアノード側(エクステンション領域15a上)を露出させ、サイリスタ領域1sのカソード側(エクステンション領域15b上)およびトランジスタ領域1tを覆うレジストパターン21’を形成する。このレジストパターン21’の形状が、第1実施形態と異なるところである。次いで、このレジストパターン21’をマスクに用いて第2絶縁膜19を異方性エッチングし、サイリスタ領域1sのアノード側(エクステンション領域15a上)のゲート電極13側壁に、第2絶縁膜19からなるサイドウォールを形成する。この際の第2絶縁膜19のエッチング条件は、第1実施形態と同様である。
【0051】
以上のエッチングの後はレジストパターン21’を除去する。そして、以降は第1実施形態で図2(4)以降を用いて説明したと同様に行って良い。
【0052】
すなわち、先ず、図5(4)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって第1絶縁膜17を除去し、半導体基板1におけるアノード側のエクステンション領域15aの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いる。またこのエッチングにより、ゲート電極13の一部が露出しても良い。
【0053】
その後、図6(1)に示すように、第1絶縁膜17から露出する半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第1n領域25を選択的にエピタキシャル成長させ、続けて結晶成長層としての第2p領域27を選択的にエピタキシャル成長させる。この第2p領域27はアノードとして用いられる領域になる。尚、これらの各層は、第1実施形態と同様に形成する。またポリシリコンからなるゲート電極13の露出面ではエピタキシャル成長させなくて良い。
【0054】
その後、第2p領域(アノード)27の露出表面に、熱酸化法により酸化シリコ膜29を膜厚10nm程度成長させる。これによりゲート電極13の露出面にも酸化シリコン29が成長する。
【0055】
次に図6(2)に示すように、第2絶縁膜19上にレジストパターン31を形成し、レジストパターン31をマスクに用いた異方性エッチングによって、第2絶縁膜19に開口部19bを形成する。この開口部は、サイリスタ領域1sにおけるゲート電極13の他方側に形成する。ここでは、サイリスタ領域1sのカソード側(エクステンション領域15b上)に開口部19bを設けることとする。この開口部19bは、先の第2絶縁膜19の異方性エッチングと同様に行う。
【0056】
以上のエッチングの後はレジストパターン31を除去する。
【0057】
尚ここでは、レジストパターン31によって、サイリスタ領域1sの第2p領域(アノード)27上およびトランジスタ領域1tを保護した状態で異方性エッチングが行われれば、サイリスタ領域1sのゲート電極13の側壁に第2絶縁膜19をサイドウォール状に残すようにしても良い。
【0058】
次に図6(3)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって、第1絶縁膜17に第2開口17bを設けて半導体基板1におけるエクステンション領域15bの表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いることにより、酸化シリコンからなる第1絶縁膜17に第2開口17bを形成する。尚、このエッチングでは、第1実施形態と同様に第2p領域(アノード)27表面に酸化シリコン膜29を残す。
【0059】
その後、図6(4)に示すように、第2開口17b底部の半導体基板1の露出面に、第1導電型の拡散層としての第2n領域33を、選択的にエピタキシャル成長させる。この第2n領域33は、カソードとして用いられる領域となる。尚、この第2n領域33は、第1実施形態と同様に形成する。
【0060】
以上のようにして、半導体基板1の表面側に形成した第1p領域7上に、第1n領域25および第2p領域(アノード)27をこの順に積層させ、これと分離した位置に第2n領域(カソード)33を積層してなるサイリスタ35が得られる。
【0061】
尚、以上までのサイリスタ35の形成においては、第1実施形態と同様に、アノード側の第1n領域25および第2p領域(アノード)27を形成した後に、第2n領域(カソード)33を形成する手順としたが、逆の手順であっても良い。また、第1n領域25の形成はイオン注入法によって行っても良く、第1n領域25を不純物拡散層として形成しても良い。
【0062】
次に、図7(1)に示すように、サイリスタ35を覆う状態で、第2絶縁膜19上にレジストパターン41を形成し、このレジストパターン41をマスクにした第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を異方性エッチングする。これにより、トランジスタ領域1tのゲート電極13の側壁にサイドウォール43を形成し、また、サイリスタ領域1sにおける第1絶縁膜17および第2絶縁膜19にはゲート電極13に達する接続孔45を形成する。
【0063】
その後、図7(2)に示すように、レジストパターン41、ゲート電極13、およびサイドウォール43をマスクにしたイオン注入によって、トランジスタ領域1tにn型のソース/ドレイン47を形成する。これにより、トランジスタ領域1tにnチャンネル型のMOSトランジスタ49が形成される。尚、ソース/ドレイン47の形成後には、レジストパターン41を除去する。
【0064】
以降は、既知の技術を適用したプロセスを行う。先ず、第2p領域27表面の酸化シリコン膜29を除去し、第2p領域27、ゲート電極13、第2n領域33、およびソース/ドレイン47の表面層に、ここでの図示を省略したシリサイドをセルフアラインで形成する。
【0065】
その後、図7(3)に示すように、半導体基板1上に層間絶縁膜51を堆積成膜し、次に層間絶縁膜51の必要部分にそれぞれ接続孔51aを形成する。次いで、層間絶縁膜51上に、接続孔51aを介してサイリスタ35およびトランジスタ49に接続された配線53を形成する。これにより、サイリスタ39の第2n領域(カソード)33と、トランジスタ49のソース/ドレイン47の一方とを配線53で接続する。また、サイリスタ35の第2p領域(アノード)27に接続された配線53、およびゲート電極13に接続された配線53を形成する。
【0066】
以上のようにしてサイリスタ35とトランジスタ49とで構成されたT−RAMを形成する。
【0067】
以上の第2実施形態の製造方法であっても、図5(4)を用いて説明したように、サイリスタ領域1sにおいて、半導体基板1に達する第1開口17aを形成する際、最下部の第1絶縁膜17をウェットエッチングとしているため、結晶結果の発生のない第1開口17a底部に結晶成長層としての第1n領域25を選択的に成長させることができる。これは、図6(3)および図6(4)を用いて説明した第2n領域33の形成においても同様である。
【0068】
この結果、本第2実施形態の手順であっても、第1実施形態と同様にリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ35有する半導体装置を得ることが可能になる。
【0069】
またさらに、トランジスタ領域1tに設けたゲート電極13のサイドウォール43は、第1実施形態と同様に行われるため。上述した一連の工程のいての全体的な工程数の増加はない。
【0070】
<第3実施形態>
先ず、図8(1)に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板1に素子分離3を形成し、サイリスタ領域1sにnウェル5および第1p領域7を形成し、トランジスタ領域1tにpウェル9を形成する。次に、サイリスタ領域1sおよびトランジスタ領域1tの上部にゲート絶縁膜11を介してゲート電極13を形成する。ここまでは、第1実施形態と同様に行う。
【0071】
その後、サイリスタ領域1sにおける第1p領域7の表面側に、不純物拡散層としての第1n領域61と第2n領域63とを形成する。これらの第1n領域61と第2n領域63のうちの一方(例えばここでは第2n領域63)は、カソードとして用いられる領域となる。このような第1n領域61と第2n領域(カソード)63とは、ゲート電極13をマスクとしたイオン注入によって形成され、必要に応じて2枚のマスクを用いた別々のイオン注入によって、それぞれの深さおよび不純物濃度に形成しても良い。尚、トランジスタ領域1tには、第1実施形態と同様にn型のエクステンション15を形成する。
【0072】
次に図8(2)に示すように、半導体基板1上に、酸化シリコン(SiO2)からなる第1絶縁膜17と、窒化シリコン(SiN)からなる第2絶縁膜19とをこの順に堆積成膜する。
【0073】
その後、図8(3)に示すように、第2絶縁膜19上に、サイリスタ領域1sのアノード側(第1n領域61上)を露出させ、サイリスタ領域1sのカソード側(第2n領域63上)およびトランジスタ領域1tを覆うレジストパターン21’を形成する。このレジストパターン21’の形状は、第2実施形態と同様であって良い。次いで、このレジストパターン21’をマスクに用いて第2絶縁膜19を異方性エッチングし、サイリスタ領域1sのアノード側(第1n領域61上)のゲート電極13側壁に、第2絶縁膜19からなるサイドウォールを形成する。この際の第2絶縁膜19のエッチング条件は、第1実施形態と同様である。
【0074】
以上のエッチングの後はレジストパターン21’を除去する。
【0075】
次に、図8(4)に示すように、第2絶縁膜19をマスクにしたウェットエッチングによって第1絶縁膜17を除去し、半導体基板1におけるアノード側の第1n領域61の表面を露出させる。この際、エッチング液にはフッ酸水溶液を用いる。またこのエッチングにより、ゲート電極13の一部が露出しても良い。
【0076】
その後、図9(1)に示すように、第1絶縁膜17から露出する半導体基板1の露出面に、結晶成長層としての第2p領域65を選択的にエピタキシャル成長させる。この第2p領域65はアノードとして用いられる領域になる。尚、この第2p領域(アノード)65は、第1実施形態と同様に形成する。
【0077】
その後、第2p領域(アノード)65の露出表面に、熱酸化法により酸化シリコ膜29を膜厚10nm程度成長させる。これによりゲート電極13の露出面にも酸化シリコン29が成長する。
【0078】
以上のようにして、半導体基板1の表面側に第1p領域7が設けられ、このp領域7の表面側に第1n領域61および第2n領域(カソード)63が分離して設けられ、第1n領域61条に第2p領域(アノード)65を積層してなるサイリスタ35’が得られる。
【0079】
次に、図9(2)に示すように、サイリスタ35’を覆う状態で、第2絶縁膜19上にレジストパターン41を形成し、このレジストパターン41をマスクにした第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を異方性エッチングする。これにより、トランジスタ領域1tのゲート電極13の側壁にサイドウォール43を形成し、また、サイリスタ領域1sにおける第1絶縁膜17および第2絶縁膜19にはゲート電極13に達する接続孔45を形成する。
【0080】
その後、図9(3)に示すように、レジストパターン41、ゲート電極13、およびサイドウォール43をマスクにしたイオン注入によって、トランジスタ領域1tにn型のソース/ドレイン47を形成する。これにより、トランジスタ領域1tにnチャンネル型のMOSトランジスタ49が形成される。尚、ソース/ドレイン47の形成後には、レジストパターン41を除去する。
【0081】
次に、図10(1)に示すように、ここでの図示を省略したレジストパターンをマスクにしたエッチングによって、第2絶縁膜19および第1絶縁膜17を除去して第2n領域(カソード)63の表面を露出させる。また、第2p領域(アノード)65表面の酸化シリコン膜29を除去する。そして、第2p領域(アノード)65、ゲート電極13、第2n領域(カソード)63、およびソース/ドレイン47の表面層に、ここでの図示を省略したシリサイドをセルフアラインで形成する。
【0082】
その後、図10(2)に示すように、半導体基板1上に層間絶縁膜51を堆積成膜し、次に層間絶縁膜51の必要部分にそれぞれ接続孔51aを形成する。次いで、層間絶縁膜51上に、接続孔51aを介してサイリスタ35’およびトランジスタ49に接続された配線53を形成する。これにより、サイリスタ39の第2n領域(カソード)63と、トランジスタ49のソース/ドレイン47の一方とを配線53で接続する。また、サイリスタ35’の第2p領域(アノード)65に接続された配線53、およびゲート電極13に接続された配線53を形成する。
【0083】
以上のようにしてサイリスタ35’とトランジスタ49とで構成されたT−RAMを形成する。
【0084】
以上の第3実施形態の製造方法であっても、図8(4)を用いて説明したように、サイリスタ領域1sにおいて、半導体基板1に達する開口を形成する際、最下部の第1絶縁膜17をウェットエッチングとしているため、結晶結果の発生のない開口底部に結晶成長層としての第2p領域(アノード)65を選択的に成長させることができる。
【0085】
この結果、本第3実施形態の手順であっても、第1実施形態と同様にリーク電流の発生が抑えられた特性の良好なサイリスタ35’を有する半導体装置を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図2】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図3】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
【図4】第1実施形態の手順で作製したサイリスタのVpa−Ipa特性を示す図である。
【図5】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図6】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図7】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
【図8】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図9】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図10】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
【図11】従来の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…半導体基板、1s…サイリスタ領域、1t…トランジスタ領域、3…素子分離、7…第1p領域、13…ゲート電極、17…第1絶縁膜、17a…第1開口、17b…第2開口、19…第2絶縁膜、25,61…第1n領域、27,65…第2p領域、33,63…第2n型領域、35,35’…サイリスタ、41…レジストパターン、43…サイドウォール、45…接続孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面側にp型領域、n型領域、p型領域、およびn型領域がこの順に接して設けられた素子を備え、前記領域のうちの少なくとも1つの領域が前記半導体基板の表面に結晶成長させた結晶成長層からなる半導体装置の製造方法において、
前記結晶成長層を形成する際には、
前記半導体基板上に第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜を成膜する第1工程と、
前記第2絶縁膜のエッチングに続けて前記第1絶縁膜をウェットエッチングすることによって前記半導体基板に達する開口を形成する第2工程と、
前記開口底部に露出する前記半導体基板の表面に、前記結晶成長層を選択的に結晶成長させる第3工程とを行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記第1絶縁膜をエッチングストッパとして前記第2絶縁膜のエッチングを行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、
前記領域のうちの中央に配置される領域のうちの一方を、前記半導体基板の表面層に不純物拡散層として形成する工程と、
前記不純物拡散層上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程とを行い、
前記第2工程では、前記ゲート電極に対して絶縁性を保った位置に前記開口を設ける
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前には、前記不純物拡散層としてp型領域を形成し、
前記第3工程では、前記結晶成長層としてn型領域を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3工程では、前記n型領域上に、さらに前記結晶成長層としてp型領域を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、前記ゲート電極をマスクにした不純物導入により、前記不純物拡散層の表面層にn型不純物を導入する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記ゲート電極のサイドウォールとなるように前記第2絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、
前記半導体基板の表面層に素子分離を形成してサイリスタ領域とトランジスタ領域とを分離する工程と、
前記サイリスタ領域とトランジスタ領域とにゲート電極を形成する工程とを行い、
前記第1工程では、前記サイリスタ領域と共にトランジスタ領域を前記第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜で覆い、
前記第2工程と第3工程は、トランジスタ領域を前記積層膜で覆った状態で前記サイリスタ領域のみに対して行われる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3工程の後に、
前記トランジスタ領域を露出させると共に前記サイリスタ領域における前記ゲート電極上に開口を有するレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにした前記積層膜のエッチングにより、前記トランジスタ領域のゲート電極側壁にサイドウォールを形成すると同時に、前記サイリスタ領域におけるゲート電極に接続孔を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は酸化シリコンからなり、
前記第2絶縁膜は窒化シリコンからなる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板の表面側にp型領域、n型領域、p型領域、およびn型領域がこの順に接して設けられた素子を備え、前記領域のうちの少なくとも1つの領域が前記半導体基板の表面に結晶成長させた結晶成長層からなる半導体装置の製造方法において、
前記結晶成長層を形成する際には、
前記半導体基板上に第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜を成膜する第1工程と、
前記第2絶縁膜のエッチングに続けて前記第1絶縁膜をウェットエッチングすることによって前記半導体基板に達する開口を形成する第2工程と、
前記開口底部に露出する前記半導体基板の表面に、前記結晶成長層を選択的に結晶成長させる第3工程とを行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記第1絶縁膜をエッチングストッパとして前記第2絶縁膜のエッチングを行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、
前記領域のうちの中央に配置される領域のうちの一方を、前記半導体基板の表面層に不純物拡散層として形成する工程と、
前記不純物拡散層上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程とを行い、
前記第2工程では、前記ゲート電極に対して絶縁性を保った位置に前記開口を設ける
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前には、前記不純物拡散層としてp型領域を形成し、
前記第3工程では、前記結晶成長層としてn型領域を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3工程では、前記n型領域上に、さらに前記結晶成長層としてp型領域を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、前記ゲート電極をマスクにした不純物導入により、前記不純物拡散層の表面層にn型不純物を導入する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2工程では、前記ゲート電極のサイドウォールとなるように前記第2絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1工程の前に、
前記半導体基板の表面層に素子分離を形成してサイリスタ領域とトランジスタ領域とを分離する工程と、
前記サイリスタ領域とトランジスタ領域とにゲート電極を形成する工程とを行い、
前記第1工程では、前記サイリスタ領域と共にトランジスタ領域を前記第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜で覆い、
前記第2工程と第3工程は、トランジスタ領域を前記積層膜で覆った状態で前記サイリスタ領域のみに対して行われる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3工程の後に、
前記トランジスタ領域を露出させると共に前記サイリスタ領域における前記ゲート電極上に開口を有するレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにした前記積層膜のエッチングにより、前記トランジスタ領域のゲート電極側壁にサイドウォールを形成すると同時に、前記サイリスタ領域におけるゲート電極に接続孔を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は酸化シリコンからなり、
前記第2絶縁膜は窒化シリコンからなる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−181979(P2009−181979A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17121(P2008−17121)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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