説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】貫通孔(接続孔)内に形成された絶縁膜上に設けられる配線層と半導体基板との間の電気的絶縁性の不良の発生が低減された半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板11の一方の面上に第1の絶縁層12を介して位置する第1の配線層13と、半導体基板の他方の面から第1の配線層に至る接続孔19を形成する。接続孔の側面から他方の面に亘って半導体基板上に位置し、接続孔内で第1の配線層に接する第2の絶縁層14を形成する。接続孔の側面上から他方の面上に亘って第2の絶縁層上に位置し、接続孔内で第1の配線層に接する第2の配線層16を形成する。この形成において、第2の絶縁層を、膜質の異なる2種の絶縁膜14a、14b又はそれ以上の絶縁膜の積層体から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線用接続孔を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサーなどの光学素子のパッケージとして、最近、素子との接続に、ワイヤーボンディングに代えて、図5に示すような貫通電極を用いたウエハレベルパッケージが提案されている(特許文献1)。
図5に示す半導体装置は、一方の面上にCMOSセンサーなどのデバイスが形成され、他方の面上に外部端子(ハンダボール)が形成され、両者を接続する貫通電極が設けられている。
【0003】
図5に示す半導体装置を作製するには、一方の面(図5においては上面)上にデバイス(絶縁層102及び配線層103のみを図示)が形成された半導体基板101に、先ず、貫通孔109を他方の面(図5においては下面)側から配線層103が露出するまで形成し;半導体基板と後に形成する配線層との間の絶縁を確立するために、半導体基板101の他方の面及び貫通孔109内面上に絶縁層104を形成し;配線層103上に形成された絶縁層を除去して配線層103を露出させ;絶縁層104上に配線層103と電気的に接続するように配線層106を形成し;最後に、半導体基板101の他方の面上に保護層107と配線層106に接続した外部端子(ハンダボール)108を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,229,647号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、貫通孔(接続孔)109は半導体基板の主表面に対して垂直でかつ平坦な壁面を有して形成されるわけではなく、実際には図6に示すように、オーバーハング形状202、ノッチ形状203や表面ラフネス204を有する。このような貫通孔の内壁面上に形成した絶縁膜104には、オーバーハング形状部やノッチ形状部で膜厚が薄くなって十分な高抵抗値(絶縁性)を確保できずにリークが生じ、また表面ラフネスによって貫通孔内壁(半導体基板表面)との密着性が不足して膜剥がれによるリークが生じるという課題があった。
【0006】
加えて、絶縁膜104は、貫通孔109の側壁面上にも十分な膜厚で形成されることが必要であるが、成膜条件の変更によるステップカバレッジの制御のみでは、貫通孔のサイズ(開口径や深さ)によっては十分な膜厚を確保できないという課題があった。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、貫通孔(接続孔)内に形成された絶縁膜上に設けられる配線層と半導体基板との間の電気的絶縁性の不良の発生が低減された半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
半導体基板の一方の面上に第1の絶縁層を介して位置する第1の配線層と、
前記半導体基板の他方の面から前記第1の配線層に至る接続孔と、
前記接続孔の側面から前記他方の面に亘って前記半導体基板上に位置し、前記接続孔内で前記第1の配線層に接する第2の絶縁層と、
前記接続孔の側面上から前記他方の面上に亘って前記第2の絶縁層上に位置し、前記接続孔内で前記第1の配線層に接する第2の配線層とを有し、
前記第2の絶縁層が、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜の積層体であることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
本発明はまた、
a)一方の面上に第1の絶縁層を介して位置する第1の配線層を有する半導体基板に、他方の面から該第1の配線層に至る接続孔を形成する工程と、
b)前記接続孔の内面及び前記半導体基板の他方の面上に、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜を積層して第2の絶縁層を形成する工程と、
c)前記接続孔内の前記第1の配線層上の前記第2の絶縁層を一部除去して該第1の配線層を露出させる工程と、
d)前記第2の絶縁層及び前記接続孔内に露出した前記第1の配線層上に第2の配線層を形成する工程と
を含んでなることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半導体装置によれば、第2の絶縁層は、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜が積層してなるので、層全体として所望の電気的特性及び/又は機械的特性(例えば、被覆性や密着性など)が確保された絶縁層として形成することができる。その結果、所望の電気的特性を有し、リークの発生しない電気的及び/又は機械的信頼性が良好な半導体装置を実現できる。
【0011】
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、上記の所望の電気的特性を有し、電気的及び/又は機械的信頼性が良好な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1−1】本発明による半導体装置及びその製造方法の一形態(実施形態1)を説明する製造工程断面図(a)〜(d)である。
【図1−2】本発明による半導体装置及びその製造方法の一形態(実施形態1)を説明する製造工程断面図(e)〜(g)である。
【図2】本発明による半導体装置の別の一形態(実施形態2)を説明する断面図である。
【図3−1】本発明による半導体装置及びその製造方法の更に別の一形態(実施形態3)を説明する製造工程断面図(a)〜(d)である。
【図3−2】本発明による半導体装置及びその製造方法の更に別の一形態(実施形態3)を説明する製造工程断面図(e)〜(g)である。
【図4】本発明による半導体装置の更に別の一形態(実施形態4)を説明する断面図である。
【図5】従来の半導体装置を示す断面図である。
【図6】従来の半導体装置における貫通孔及びその内面を覆う絶縁層の断面図である。
【図7】接続孔のアスペクト比と、有機シリコン化合物を材料として用いた酸化膜及び無機シリコン化合物を材料ガスとして用いた酸化膜のカバレッジとの相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、
半導体基板の一方の面上に第1の絶縁層を介して位置する第1の配線層と、
前記半導体基板の他方の面から前記第1の配線層に至る接続孔と、
前記接続孔の側面から前記他方の面に亘って前記半導体基板上に位置し、前記接続孔内で前記第1の配線層に接する第2の絶縁層と、
前記接続孔の側面上から前記他方の面上に亘って前記第2の絶縁層上に位置し、前記接続孔内で前記第1の配線層に接する第2の配線層とを有し、
前記第2の絶縁層が、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜を積層体であることを特徴とする。
【0014】
(半導体基板)
本発明の半導体装置において、半導体基板は、半導体装置の基板として用いることができる任意の半導体基板であり得る。そのような半導体基板の具体例としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの元素半導体、ガリウムヒ素(GaAs)、セレン化亜鉛(ZnSe)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭化シリコン(SiC)などの化合物半導体から構成される基板が挙げられる。なかでも、Si基板が好ましい。半導体基板はSOI、SOS等の構造を有する基板であってもよい。
【0015】
(第1の絶縁層)
半導体基板の一方の面上には、第1の絶縁層が、少なくとも該半導体基板と第1の配線層との間に配置される。第1の絶縁層は、半導体基板の該一方の面の全面に形成されていても、特定の領域のみに形成されていてもよい。
第1の絶縁層は、半導体装置に用いることができる任意の電気的絶縁膜から構成され得る。第1の絶縁層を構成し得る絶縁膜の具体例としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、高誘電体膜などが挙げられる。
第1の絶縁層は、単層膜として構成されていてもよいし、2種又はそれ以上の絶縁膜の積層膜として構成されていてもよい。
第1の絶縁層の層厚は、第1の配線層と半導体基板との間の電気的絶縁性を確保し得る厚さであれば特に限定されないが、例えば、200〜2000nmであり得る。
【0016】
(第1の配線層)
半導体基板の前記一方の面上には、第1の配線層が第1の絶縁層を介して配置されている。第1の配線層は、第1の絶縁層上に積層されていてもよいし、第1の絶縁層中に埋設されていてもよく、第1の絶縁層に形成された溝内に設けられていてもよい。第1の配線層は、第1の絶縁層上又は第1の絶縁層に形成された溝内に設けられている場合、該第1の絶縁層とは別の絶縁膜層に覆われていてもよい。
第1の配線層は、該一方の面上に形成されたデバイス(例えば、光学素子や画像素子など)の一部を構成する配線層であり得る。
【0017】
第1の配線層は、半導体装置の配線層に使用される任意の導電性材料から形成された膜であり得る。導電性材料としては、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの金属;ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、Ru、チタン(Ti)などの高融点金属;前記金属及び高融点金属の合金、窒化物;前記金属(特に、高融点金属)とのシリサイド、ポリサイド;ポリシリコンなどの半導体(特に高濃度の不純物をドープした低抵抗半導体);導電性有機高分子材料などが挙げられる。
【0018】
第1の配線層は、単層膜として構成されていてもよいし、2種又はそれ以上の導電膜の積層膜として構成されていてもよい。積層膜として構成され、上層が金属膜である場合、下層はバリアメタルであることが好ましい。
第1の配線層の層厚及び層幅は、特に限定されず、該配線層を形成している材料及び/又は該配線層に要求される電気的特性に依存して適宜に決定される。例えば、層厚は10〜1000nmであり得、層幅は20〜200μmであり得る。
【0019】
(接続孔)
接続孔は、半導体基板の他方の面(第1の絶縁層及び第1の配線層が形成されている面と反対側の面)から半導体基板を貫通し第1の絶縁層中を経て第1の配線層にまで至る。
接続孔の形状(該他方の面上での形状)は特に限定されず任意の形状であり得るが、内側面に第2の絶縁層を形成する際の被覆性を考慮すれば、円形が好ましい。接続孔の大きさは、製造しようとする半導体装置に要求される機能や電気的特性などに応じて適宜決定できる。例えば、接続孔の大きさは、(該他方の面上での)断面積で0.5〜100μm2であり得る。
【0020】
(第2の絶縁層)
第2の絶縁層は、接続孔の内側面から半導体基板の前記他方の面に亘って該半導体基板上に位置する。
第2の絶縁層はまた、接続孔内で第1の配線層に接している。第2の絶縁層は下記のように積層体であるので、少なくも1層の絶縁膜(特に、半導体基板側から1層目の絶縁膜)が第1の配線層に接していればよい。
【0021】
第2の絶縁層は、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜の積層体である。該積層体は、少なくとも2層を有し、例えば2層構造又は3層構造であり得る。
本発明において、積層体を構成する絶縁膜について、「1層目」、「2層目」、「3層目」とは、半導体基板側から第2の配線層側に向かって1層目(すなわち、半導体基板上に直接接して位置する)、2層目、3層目の絶縁膜をいう。1層目の絶縁膜は「最下層」の絶縁膜と表現することもあり、これに対応して、「最上層」の絶縁膜とは、最も第2の配線層側に位置する(すなわち、該第2の配線層に直接接する)絶縁膜と表現する場合もある。
【0022】
異なる膜質は、好ましくは、ステップカバレッジ(段差被覆性)、絶縁耐圧性、半導体基板との密着性及び第2の配線層との密着性のうちの1つ又は複数である。
ステップカバレッジは、本発明に関しては、(接続孔の側壁面上に形成される膜厚)/(半導体基板の他方の面上に形成される膜厚)×100(%)として表される。1層目の絶縁膜は、好ましくは少なくとも40%(例えば40〜60%)のステップカバレッジで形成される。
【0023】
絶縁耐圧は、本発明に関しては、例えば水銀プローブを用いて、第2の絶縁層を挟んで位置する貫通電極(第2の配線層)と半導体基板の間のIV特性を測定することにより求まるリーク電流で表される。より具体的には、或る電圧(電界強度(V/cm);例えば5MV/cm)の印加時のリーク電流(電流密度(A/cm2))として表される。絶縁耐圧が良好な膜とはリーク電流の少ない膜をいう。
半導体基板及び/又は第2の配線層との密着性は、例えばテープテストにより測定するか、又は断面走査電子顕微鏡観察により剥がれの有無を確認することにより判断する。
【0024】
1層目の絶縁膜として、半導体基板との密着性及び/又はステップカバレッジが良好な絶縁膜を採用することにより、接続孔側面上に、該接続孔の形状(特に開口径)に依存することなく確実かつ容易に所望の膜厚で絶縁膜を形成することができる。すなわち、該絶縁膜は、表面ラフネスが存在し得る接続孔側面に対しても良好な密着性を有し、及び/又は接続孔内のオーバーハング部やノッチ部でも十分な膜厚を有する。
【0025】
加えて、2層目の絶縁膜として、1層目の絶縁膜より絶縁耐圧性が高い絶縁膜を配置することで、所望の絶縁性を容易に確保することができる。
よって、第2の絶縁層は、層全体として、接続孔の内外で、確実に所望の電気的及び/又は機械的特性を有することになる。
【0026】
第2の絶縁層を構成する複数の絶縁膜の組合せは、接続孔の径、深さ、所望の絶縁耐圧性に基づいて適宜決定できる。
第2の絶縁層の1層目の絶縁膜としては、半導体基板との密着性及びステップカバレッジが良好であるため、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜が好ましい。この場合、有機シリコン化合物は、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS;Si(C25O)4)、テトラメトキシシラン(TMOS;Si(CH3O)4)、テトラメチルシラン(TMS;Si(CH3)4)のような有機シランであり得、好ましくはTEOSである。
【0027】
第2の絶縁層の2層目の絶縁膜としては、絶縁耐圧性が高いため、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、及び無機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜からなる群より選択される絶縁膜であることが好ましい。これらの膜は、密着性及びステップカバレッジについては十分ではないが、1層目に半導体基板との密着性及びステップカバレッジが良好な絶縁膜が十分な膜厚で形成されているので、第2の絶縁層全体として所望の電気的特性(例えば絶縁性)が確保される。
第2の配線層が金属膜である場合、シリコン酸窒化膜及びシリコン窒化膜は、金属膜から半導体基板への金属の汚染を防ぐこともできるので好ましい。
【0028】
第2の絶縁層は、任意に、最上層として3層目の絶縁層を有していてもよい。3層目の絶縁膜は、2層目の絶縁層より第2の配線層(第2の配線層が積層膜である場合にはその最下層の導電膜)との密着性が高い絶縁膜であることが好ましい。このような3層目の絶縁膜を有する実施形態によれば、高い絶縁耐圧性を確保しつつ、更に良好な機械的特性を達成できる。
【0029】
3層目の絶縁層としては、例えば、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜(例えば、TEOS膜)が挙げられる。有機シリコン化合物としては、上記で1層目の絶縁層について記載したものが挙げられる。
1つの実施形態において、第2の絶縁層の1層目の絶縁膜は、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜であり、2層目の絶縁膜はシリコン窒化膜であり、3層目の絶縁層は、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜である。ここで、1層目の絶縁層及び3層目の絶縁層を形成する際に材料ガスとして用いる有機シリコン化合物は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0030】
第2の絶縁層は、接続孔内では、少なくとも該半導体基板と第2の配線層との間に位置していればよいが、側面全面を覆って配置されていることが好ましい。第2の絶縁層はまた、半導体基板の前記他方の面上では、少なくとも該半導体基板と第2の配線層との間に位置していればよいが、該他方の面の全面を覆って配置されていてもよい。第2の絶縁層は、接続孔内から半導体基板の該他方の面上に亘って一体的に形成され得る。
第2の絶縁層の層厚は、第2の配線層と半導体基板との間の電気的絶縁性を確保し得る厚さであれば特に限定されない。例えば、第2の絶縁層を構成する各絶縁膜の膜厚は、接続孔の側面上で、1層目の絶縁膜については100〜10,000nmであり得、2層目の絶縁膜については100〜10,000nmであり得、(存在する場合)3層目については100〜10,000nmであり得る。
【0031】
(第2の配線層)
第2の配線層は、接続孔の側面上から半導体基板の前記他方の面上に亘って第2の絶縁層上に形成されている。第2の配線層はまた、接続孔内で第1の配線層に接しており、両者は電気的に接続されている。
第2の配線層は、半導体装置の配線層に使用される任意の導電性材料から形成された膜から構成され得る。導電性材料としては、例えば、第1の配線層について上記したものが挙げられるが、より具体的な例としては、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaNなど)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Cu、Au、Ag、半田材など)や導電性樹脂である。
【0032】
第2の配線層は、単層膜として構成されていてもよいし、2種又はそれ以上の導電膜の積層膜として構成されていてもよい。積層膜として構成され、上層が金属膜である場合、下層の導電膜はバリアメタルであることが好ましい。
第2の配線層の層厚は、特に限定されず、該配線層を形成している材料及び/又は該配線層に要求される電気的特性に依存して適宜に決定される。例えば、層厚は接続孔の側面上で0.5〜100μmであり得る。
【0033】
(その他)
本発明の半導体装置は、更に、第2の配線層に接続し半導体基板の前記他方の面上で露出する外部端子と、該外部端子を除き該他方の面上を覆う保護層を有していてもよい。
外部端子は、半導体装置において外部端子として使用される任意の材料で形成され得る。例としては、上記で配線層について記載した導電性材料(特に半田材)が挙げられる。
保護層は、半導体装置において保護層として形成され得る任意の層であり得る。例としては、絶縁性樹脂、より具体的にはポリイミドやエポキシ樹脂やソルダーレジスト材が挙げられる。
【0034】
<半導体装置の製造方法>
本発明の半導体装置の製造方法は、
a)一方の面上に第1の絶縁層を介して位置する第1の配線層を有する半導体基板に、他方の面から該第1の配線層に至る接続孔を形成する工程と、
b)前記接続孔の内面及び前記半導体基板の他方の面上に、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜を積層して第2の絶縁層を形成する工程と、
c)前記接続孔内の前記第1の配線層上の前記第2の絶縁層を一部除去して該第1の配線層を露出させる工程と、
d)前記第2の絶縁層及び前記接続孔内に露出した前記第1の配線層上に第2の配線層を形成する工程と
を含んでなることを特徴とする。
【0035】
本発明の製造方法に使用し得る半導体基板は、本発明の半導体装置について記載したような、一方の面上に第1の絶縁層を介して第1の配線層が形成された半導体基板である。
【0036】
第1の絶縁層は、例えば、上記のような絶縁膜を半導体基板上全面(一方の面)に、CVD(化学蒸着;Chemical Vapor Deposition)法(例えば、プラズマCVD法)、ゾル−ゲル法、スパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、スピンコート法、スプレーコート法、ドクターブレード法、熱酸化法などの公知の種々の方法により形成することができる。絶縁層は単層膜として形成されてもよいし、2種又はそれ以上の積層膜として構成されてもよい。半導体基板上に形成された絶縁層は、例えばフォトリソグラフィー及びエッチング技術により、所望の形状にパターニングしてもよい。
【0037】
第1の配線層は、上記のような導電性材料からなる膜を第1の絶縁層上に公知の種々の方法により形成することができる。
例えば、第1の配線層は、半導体基板上全面に形成された第1の絶縁層上に、スパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、CVD法、めっき法などの当該分野において公知の種々の方法により導電性材料を堆積し、フォトリソグラフィー及びエッチング技術によって所望の形状にパターニングして形成することができる。
第1の配線層を覆って、第1の絶縁層を構成する絶縁膜と同じか又は異なる絶縁膜を、上記のような公知の堆積法により形成してもよい。
【0038】
上記のような半導体基板に他方の面から第1の配線層に至る接続孔を形成する(工程a)。
接続孔は、通常、半導体基板の他方の面上に形成したレジストパターンをエッチングマスクとして用い、先ず半導体基板を第1の絶縁層が露出するまで、次いで該第1の絶縁層を第1の配線層が露出するまで、エッチングすることにより形成する。半導体基板のエッチングの際には第1の絶縁層をストッパとして利用し、第1の絶縁層のエッチングの際には第1の配線層をストッパとして利用することができる。
【0039】
レジストパターンは、通常、半導体装置の製造に使用され得るレジストにより、例えばフォトリソグラフィー技術により作製される。
接続孔の横断面(半導体基板の他方の面上)形状は、任意の形状(正方形、長方形、円形など)であり得るが、後に内側面に形成する第2の絶縁層の被覆性を考慮すれば、円形が好ましい。
【0040】
接続孔を形成するためのエッチングとしては、種々のエッチング法を挙げることができるが、ドライエッチングであることが好ましい。
ドライエッチングとしては、気相エッチング、プラズマエッチング、スパッタエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、イオンビームエッチング、光エッチングが挙げられる。なかでも、接続孔の側壁が半導体基板の主表面に対してできる限り垂直に形成されるために、異方性を有するプラズマエッチング、RIEが好ましい。
【0041】
エッチングガスとしては、エッチングされる材料(適切な場合には、及びストッパとして使用する膜材)により適宜選択され、例えば、シリコンの場合にはSF6、Cl2、HBr、BCl3など、酸化シリコンの場合にはCHF3、CF4、C26、C48、C58など、窒化シリコンの場合にはCHF3、CF4などが挙げられる。また、エッチングガスにはCO、O2、Arなどの他のガスを添加してもよい。
より具体的には、例えば、シリコン基板をエッチングするときはCl2+O2混合ガスやSF6+O2系ガス(例えば、SF6+O2+Ar混合ガス)を用い、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜をエッチングするときは、CF4+O2系ガスやCF4+CHF3+O2系混合ガス(例えば、CF4+CHF3+Ar+O2混合ガス)を用いて行うことができる。
【0042】
次に、接続孔の内面(底面(すなわち、接続孔内で露出した第1の配線層の表面)及び側壁面)及び半導体基板の他方の面上に、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜を積層して第2の絶縁層を形成する(工程b)。
第2の絶縁層を膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜を積層して形成することにより、層厚を接続孔の径、深さに合わせて調整することが可能となる。例えば、図7に示すように、有機シリコン化合物を材料として用いた酸化膜と、無機シリコン化合物を材料ガスとして用いた酸化膜の接続孔壁面の成膜量は異なる。一例として、直径50μm、深さ100μm(アスペクト比2)の接続孔において、半導体基板の他方の面上に4μm、接続孔側壁面に1.5μmで成膜したい場合、半導体基板の他方の面上に有機シリコン化合物を材料として用いた酸化膜を約2.3μm、無機シリコン化合物を材料ガスとして用いた酸化膜を約1.7μmで成膜すればよい。
異なる膜質は、好ましくは、ステップカバレッジ(段差被覆性)、絶縁耐圧性、半導体基板との密着性及び第2の配線層との密着性のうちの1つ又は複数である。
【0043】
好ましくは、工程b)において、少なくとも40%のステップカバレッジを有する絶縁膜を第2の絶縁層の1層目として形成し、1層目の絶縁膜よりステップカバレッジは低いが絶縁耐圧性は高い絶縁膜を2層目として形成する。
【0044】
この好ましい実施形態によれば、1層目として、ステップカバレッジが高い絶縁膜を形成するので、接続孔の内面を直接覆う絶縁膜は、表面ラフネスが存在し得る接続孔側面に対しても良好な被覆性/密着性を有し、及び/又は接続孔内のオーバーハング部やノッチ部でも十分な膜厚を有することになる。2層目としては絶縁耐圧性の高い絶縁膜を形成するので所望の絶縁性を容易に確保できる。その結果、接続孔の形状に依存せず、リークの発生しない電気的及び/又は機械的信頼性が良好な半導体装置を容易に製造することができる。
【0045】
より好ましくは、特に第2の絶縁層が3層構造を有する場合、工程b)において、2層目の絶縁膜より第2の配線層との密着性が高い3層目の絶縁膜を形成する。
2層目の絶縁膜上に、該2層目の絶縁膜より第2の配線層との密着性が高い絶縁膜を(第2の絶縁層の最上層として)形成することにより、第2の絶縁層上に第2の配線層を良好な密着性で形成することができるので、製造される半導体装置の機械的特性を更に向上させることができる。
【0046】
3層目の絶縁膜は、有機シリコン化合物を材料ガス(有機ソースガス)として用いてシリコン酸化膜(例えばTEOS膜)として形成することが好ましい。この場合の有機シリコン化合物は、1層目の絶縁膜を形成する際に用いたものと異なってもよいし、同じであってもよい。
【0047】
第2の絶縁層を構成する各絶縁膜は、好ましくはCVD法(プラズマCVD法、常圧CVD法、減圧CVD法、加圧CVD法、光励起CVD法など)、より好ましくはプラズマCVD法により形成される。
【0048】
第2の絶縁層の1層目(最下層)の絶縁膜として、有機シリコン化合物を材料ガス(有機ソースガス)として用いてシリコン酸化膜を形成することが好ましい。
シリコン酸化膜を形成するための材料ガスとして用い得る有機シリコン化合物は、例えば、上記で本発明の半導体装置について記載したものであり得、好ましくはTEOSである。
【0049】
有機シリコン化合物のガスは、例えば、酸素(O2)又はオゾン(O3)のような酸素を供給し得る化合物のガスと共に用いられる。特に、TEOSとO2又はO3とを用いるCVD法(特にプラズマCVD法)は、シリコン基板との密着性及びステップカバレッジが良好なシリコン酸化膜を形成することができるのでより好ましい。
【0050】
プラズマCVD法による成膜条件としては、例えば、有機ソースガスの流量が5〜500sccm、O2ガスの流量が100〜10,000sccm、RFパワーが100〜5000W、圧力0.01〜10torr、温度20〜300℃の条件が挙げられる。
接続孔の側面上での膜厚は特に限定されないが、例えば10〜5,000nmであり得る。
【0051】
2層目の絶縁膜として、例えば、シリコン窒化(SiN)膜、シリコン酸窒化(SiON)膜及び無機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されるシリコン酸化(SiO2)膜からなる群より選択される絶縁膜を形成する。
【0052】
シリコン酸化膜を形成するために材料ガスとして用いる無機シリコン化合物としては、例えば、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)のような無機シラン化合物などが挙げられる。酸素を供給し得る化合物としては、一酸化二窒素(N2O)、酸素(O2)、オゾン(O3)、過酸化水素(H22)などが挙げられる。材料ガス(混合ガス)の具体例としては、SiH4とN2OとN2の混合ガス、SiH4とO2とHeの混合ガス、SiH4とO2とH2の混合ガスなどが挙げられる。
【0053】
シリコン窒化膜は、例えば、シリコン化合物(例えば上記のもの)とNH3、N2などの窒素を供給し得る化合物とを材料ガスとして使用するCVD法により形成することができる。材料ガスの具体例としては、SiH4とNH3とN2の混合ガスなどが挙げられる。
【0054】
シリコン酸窒化膜は、例えば、シリコン化合物(例えば上記のもの)とN2Oなどの酸素と窒素を供給し得る化合物とを材料ガスとして使用するCVD法により形成することができる。材料ガスの具体例としては、SiH4とN2OとN2の混合ガスなどが挙げられる。
【0055】
これらの膜は任意の順序で積層されてもよい。
各絶縁膜の(接続孔の側面上での)膜厚は特に限定されないが、例えば100nm〜10μmであり得る。
【0056】
続いて、接続孔内の第1の配線層上(すなわち、接続孔の底面上)の第2の絶縁層を一部(接続孔の深さ方向には全部)除去して第1の配線層を露出させる(工程c)。
露出させる第1の配線層の大きさは、後の工程でその上に形成される第2の配線層との良好な電気的接続の確立に十分であれば得に限定されない。
【0057】
この第2の絶縁層の除去は、例えば、半導体基板の他方の面上に形成した所望の開口を有するレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、ドライエッチングによるエッチバックで行うことができる。このとき、第1の配線層をストッパとして利用してもよい。
レジストパターンは、通常、半導体装置の製造に使用され得るレジストにより、例えばフォトリソグラフィー技術により作製される。開口の形状は、任意の形状(正方形、長方形、円形など)であり得る。
【0058】
この工程のためのドライエッチングとしては、気相エッチング、プラズマエッチング、スパッタエッチング、RIE、イオンビームエッチング、光エッチングが挙げられるが、接続孔の側壁面にのみに形成された第2の絶縁層の部分を傷つけないために、異方性を有するプラズマエッチング、RIEが好ましく、プラズマエッチングがより好ましい。
【0059】
エッチングガスとしては、エッチングする材料に応じて適宜選択される。例えば、シリコン酸化膜の場合にはCHF3、CF4、C26、C58など、シリコン窒化膜の場合にはCHF3、CF4などを用いることができる。エッチングガスにはH2、N2、O2、Arなどの他のガスを添加してもよい。
【0060】
次いで、接続孔内に露出した第1の配線層及び第2の絶縁層上に、第2の配線層を形成する(工程d)。
好ましくは、第2の配線層は接続孔内を埋め込むように形成される。第2の配線層は積層膜として形成されてもよい。
【0061】
第2の配線層の形成は、例えば、半導体基板の前記他方の面上に形成した所望の開口パターンを有するレジストマスクを用い、上記のような導電性材料を、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法や印刷法などの当該分野において公知の堆積法により堆積させることによって行うことができる。
【0062】
或いは、第2の配線層の形成は、例えば、上記のような導電性材料を、上記のような公知の堆積法により、接続孔内及び半導体基板の他方の面の全面に堆積させ、次いで任意に、所望の開口パターンを有するレジストマスクを用いてエッチングすることによって行うことができる。
【0063】
本発明の方法は、更に、第2の配線層に接続する外部端子を形成する工程と、該外部端子上を除き(すなわち該外部端子を露出させたまま)、第2の配線層の表面に保護層を形成する工程とを更に含んでなってもよい。
【0064】
<具体的な実施形態>
以下に、本発明の半導体装置及びその製造方法を、図を参照しながらより具体的に説明する。下記の具体的な実施形態は、本発明の半導体装置及びその製造方法を説明するための単なる例示に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0065】
(実施形態1)
図1は、本発明の半導体装置及びその製造方法の一形態(実施形態1)を模式的に示す概製造工程断面図である。
実施形態1の半導体装置10は、図1(g)に示すように、半導体基板11の一方の面上に第1の絶縁層12を介して位置する第1の配線層13と、半導体基板11の他方の面から第1の配線層13に至る接続孔19と、接続孔19の側面上から半導体基板11の他方の面に亘って位置する第2の絶縁層14と、接続孔19の側面上から半導体基板11の他方の面に亘って第2の絶縁層14上に位置する第2の配線層16とを有する。第2の絶縁層14及び第2の配線層16は、接続孔19内で第1の配線層13に接している。第2の絶縁層14は膜質の異なる2種の絶縁膜14a及び14bが積層されてなる積層体である。半導体装置10は、更に、第2の配線層16に接続し半導体基板11の他方の面上で露出している外部端子18と、外部端子18を除き半導体基板11の他方の表面上を覆う保護層17とを有する。
【0066】
次に、図1を参照して本発明の半導体装置(実施形態1)の製造方法について詳細に説明する。
図1(a)は、一方の面上に第1の絶縁層12を介して第1の配線層13が位置する半導体基板(例えばシリコン基板)11を示す。第1の配線層13は、該一方の面上に形成されている半導体デバイス(例えばCMOSセンサーのような画像素子;図示せず)の一部又は該デバイスから伸びる配線の一部を構成している。
【0067】
この半導体基板11の他方の面(該一方の面とは反対側の面)上に形成した所定パターンのレジスト(図示せず)をマスクとし、例えばSF6+O2+Ar混合ガスを用いるプラズマエッチング法により、図1(b)に示すように、接続孔19を形成して第1の絶縁層12を露出させる。
【0068】
更に、例えばC58+O2+Ar混合ガスを用いるプラズマエッチング法により、図1(c)に示すように、露出した第1の絶縁層12を除去して第1の配線層13を露出させることによって、半導体基板11の他方の面から第1の配線層13に至る接続孔19(口径50μm×深さ100μm)を形成する。
【0069】
次いで、図1(d)に示すように、接続孔19の内面(側壁面及び底面(すなわち、該接続孔内で露出した第1の配線層13の表面))から半導体基板11の他方の面を覆って、膜質が異なる2種類の絶縁膜14a及び14bを例えばCVD法により順次積層して第2の絶縁層14を形成する。
半導体基板の直接上に形成される1層目(最下層)の絶縁膜14aとしては、TEOSソースとO2の混合ガスを材料ガスとして用いるプラズマCVD法により、接続孔の側面上での膜厚1,000nmのシリコン酸化膜を形成する。
【0070】
2層目の絶縁膜14bとしては、SiH4+N2O+N2混合ガスを材料ガスとして用いるプラズマCVD法により、接続孔の側面上での膜厚500nmのシリコン酸化膜を形成する。
本実施形態の変形例では、絶縁膜14bとして、SiH4+N2O +N2混合ガスを材料ガスに用いてプラズマCVD法により(接続孔の側面上での)膜厚500nmのシリコン酸窒化膜を形成するか、又はSiH4+NH3+N2混合ガスを用いてプラズマCVD法により(接続孔の側面上での)膜厚500nmのシリコン窒化膜を形成する。
【0071】
続いて、図1(e)に示すように、例えばC58+O2+Ar混合ガスを用いるプラズマエッチング法により、接続孔19内で第1の配線層13(すなわち、該接続孔の底面)を覆っている第2の絶縁層14(絶縁膜14a及び14b)の一部(深さ方向には全部)を除去して、第1の配線層13を一部露出させる。
【0072】
次いで、図1(f)に示すように、半導体基板11の他方の面上に形成した所定パターンのマスク(図示せず)を用いて、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法や印刷法により、接続孔19内に露出した第1の配線層13と内接すると共に接続孔19の側面上から半導体基板11の他方の面上に亘って第2の絶縁層14上に、接続孔の側面上での膜厚10μmの第2の配線層16を形成する。
第2の配線層16は、例えば高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)や導電性樹脂で形成される。
【0073】
最後に、図1(g)に示すように、第2の配線層16に接続する外部端子18を設け、更に、外部端子18を除き第2絶縁層14及び第2の配線層16上に保護層17を被覆することによって、本発明の実施形態1の半導体装置が製造される。
外部端子18は、例えば半田材で形成され、保護層17は、例えばポリイミドやエポキシ樹脂やソルダーレジスト材で形成される。
【0074】
本実施形態によれば、第2の絶縁層14中の最下層の絶縁膜14aは、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成された、半導体基板との密着性及びステップカバレッジが良好なシリコン酸化膜(ステップカバレッジ:40〜60%;絶縁耐圧(5MV/cm印加時のリーク電流):1×10-5〜1×10-7A/cm2)であるので、接続孔がノッチ形状やオーバーハング形状を有する場合でも側壁面上で十分な膜厚を有することができ、加えて膜剥がれの虞がないなど機械的特性にも優れる。
【0075】
また、上層の絶縁膜14bは、絶縁耐圧性が良好な、無機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜(絶縁耐圧性(5MV/cm印加時のリーク電流):1×10-8〜1×10-10A/cm2;ステップカバレッジ:10〜30%)、又はシリコン酸窒化膜(絶縁耐圧(5MV/cm印加時のリーク電流):1×10-8〜1×10-10A/cm2;ステップカバレッジ:10〜30%)、又はシリコン窒化膜(絶縁耐圧(5MV/cm印加時のリーク電流):1×10-8〜1×10-10A/cm2;ステップカバレッジ:10〜30%)であるので、十分な絶縁性を提供できる。
【0076】
したがって、絶縁膜14a及び14bの積層体として形成される第2の絶縁層は、接続孔の形状に依存せず、電気的及び機械的特性が良好な絶縁層として機能することができる。その結果、本実施形態の半導体装置は、リークの発生しない、良好な電気的及び機械的信頼性を示す。
加えて、第2の配線層が金属膜である場合、絶縁膜14bとしてシリコン酸窒化膜又はシリコン窒化膜を形成すると、金属膜から半導体基板への金属の拡散に起因する電気的特性の劣化を防止できる。
【0077】
このように、第2の絶縁層を膜質の異なる絶縁膜の積層体として形成することにより、接続孔を覆う絶縁膜の膜厚を貫通孔の径、深さに合わせて調整でき、その結果、所望の電気的及び/機械的特性を有する半導体装置を製造することができる。
【0078】
(実施形態2)
実施形態1の1つの変形例として、第2の配線層26が、バリアメタルと金属膜のような導電膜26a及び26bの積層層として形成される半導体装置(実施形態2)を図2に示す。なお、図2において、上記以外の参照番号は、図1において対応する参照番号が示すものと同様の(半導体装置の)構成要素を示している。すなわち、たとえば、21は半導体基板を、24は第2の絶縁層を示す。
【0079】
(実施形態3)
図3は、本発明の半導体装置及びその製造方法の一形態(実施形態3)を模式的に示す概製造工程断面図である。
実施形態3の半導体装置30は、図3(g)に示すように、半導体基板31の一方の面上に第1の絶縁層32を介して位置する第1の配線層33と、半導体基板31の他方の面から第1の配線層33に至る接続孔39と、接続孔39の側面上から半導体基板31の他方の面に亘って位置する第2の絶縁層34と、接続孔39の側面上から半導体基板31の他方の面に亘って第2の絶縁層34上に位置する第2の配線層36とを有する。第2の絶縁層34及び第2の配線層36は、接続孔39内で第1の配線層33に接している。第2の絶縁層34は膜質の異なる3種の絶縁膜34a、34b及び34cが積層されてなる積層体である。半導体装置30は、更に、第2の配線層36に接続し半導体基板31の他方の面上で露出している外部端子38と、外部端子38を除き半導体基板31の他方の表面上を覆う保護層37とを有する。
【0080】
次に、図3を参照して本発明の半導体装置(実施形態3)の製造方法について詳細に説明する。
図3(a)は、一方の面上に第1の絶縁層32を介して第1の配線層33が位置する半導体基板(例えばシリコン基板)31を示す。第1の配線層33は、該一方の面上に形成されている半導体デバイス(例えばCMOSセンサーのような画像素子;図示せず)の一部又は該デバイスから伸びる配線の一部を構成している。
【0081】
この半導体基板31の他方の面(該一方の面とは反対側の面)上に形成した所定パターンのレジスト(図示せず)をマスクとし、例えばSF6+O2+Ar混合ガスを用いるプラズマエッチング法により、図3(b)に示すように、接続孔39を形成して第1の絶縁層32を露出させる。
【0082】
更に、例えばC58+O2+Ar混合ガスを用いるプラズマエッチング法により、図3(c)に示すように、露出した第1の絶縁層32を除去して第1の配線層33を露出させることによって、半導体基板31の他方の面から第1の配線層33に至る接続孔39(口径50μm×深さ100μm)を形成する。
【0083】
次いで、図3(d)に示すように、接続孔39の内面(側壁面及び底面(すなわち、第1の配線層33の露出表面))から半導体基板31の他方の面を覆って、膜質が異なる3種類の絶縁膜34a、34b及び34cを例えばCVD法により順次積層して第2の絶縁層34を形成する。
半導体基板の直接上に形成される1層目(最下層)の絶縁膜34aとしては、TEOSソースとO2の混合ガスを材料ガスとして用いるプラズマCVD法により、接続孔の側面上での膜厚1,000nmのシリコン酸化膜を形成する。
【0084】
2層目の絶縁膜34bとしては、SiH4+N2O+N2混合ガスを材料ガスとして用いるプラズマCVD法により、接続孔の側面上での膜厚250nmのシリコン酸化膜を形成する。
本実施形態の変形例では、絶縁膜34bとして、プラズマCVD法により、SiH4+N2O+N2混合ガスを材料ガスに用いて(接続孔の側面上での)膜厚250nmのシリコン酸窒化膜か、又はSiH4+NH3+N2混合ガスを用いて(接続孔の側面上での)膜厚250nmのシリコン窒化膜を形成する。
【0085】
3層目の絶縁膜34cとして、TEOSソースとO2の混合ガスを材料ガスとして用いるプラズマCVD法により、接続孔の側面上での膜厚250nmのシリコン酸化膜を形成する。
【0086】
次いで、図3(e)に示すように、例えばC58+O2+Ar混合ガスを用いるプラズマエッチング法により、接続孔39内で第1の配線層33(接続孔底面)を覆っている第2の絶縁層34(絶縁膜34a、34b及び34c)の一部(深さ方向には全部)を除去して、第1の配線層33を一部露出させる。
【0087】
次に、図3(f)に示すように、半導体基板31の他方の面上に形成した所定パターンのマスク(図示せず)を用いて、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法や印刷法により、接続孔39内に露出した第1の配線層33と内接すると共に接続孔39の側面上から半導体基板31の他方の面上に亘って第2の絶縁層34上に、接続孔の側面上での膜厚10μmの第2の配線層36を形成する。
第2の配線層36は、例えば高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)や導電性樹脂で形成される。
【0088】
最後に、図3(g)に示すように、第2の配線層36に接続する外部端子38を設け、更に、外部端子38を除き第2絶縁層34及び第2の配線層36上に保護層37を被覆することによって、本発明の実施形態3の半導体装置が製造される。
外部端子38は、例えば半田材で形成され、保護層37は、例えばポリイミドやエポキシ樹脂やソルダーレジスト材で形成される。
【0089】
本実施形態3は、実施形態1について記載したものと同様な利点を有している。加えて、第2の絶縁層の最上層として、第2の配線層との密着性のよい絶縁膜(TEOSソースとO2の混合ガスを用いたシリコン酸化膜(ステップカバレッジ:40〜60%;絶縁耐圧(5MV/cm印加時のリーク電流):1×10-5〜1×10-7A/cm2))が形成されていることから、本実施形態3は、第2の配線層の機械的特性にも優れる。
【0090】
(実施形態4)
実施形態3の1つの変形例として、第2の配線層46が導電膜46a及び46bの積層層として形成される半導体装置(実施形態4)を図4に示す。なお、図4において、上記以外の参照番号は、図3において対応する参照番号が示すものと同様の(半導体装置の)構成要素を示している。すなわち、例えば、41は半導体基板を、44は第2の絶縁層を示している。
【0091】
上記で説明した実施形態における具体的な構成(形状、大きさ、組成、材質を含む)及び配置関係は、本発明を理解し、実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。上記の実施形態には当業者に自明の様々な変更を加えることが可能であり、そのような形態も、本明細書に開示された技術的思想の範囲を逸脱しない限り、当然に本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10、20、30、40、100 半導体装置
11、21、31、41、101 半導体基板
12、22、32、42、102 第1の絶縁層
13、23、33、43、103 第1の配線層
14(14a、14b)、24(24a、24b)、34(34a、34b、34c)、44(44a、44b、44c)、104 第2の絶縁層
16、26(26a、26b)、36、46(46a、46b)、106 第2の配線層
17、27、37、47、107 保護層
18、28、38、48、108 外部端子
19、29、39、49、109 接続孔
202 オーバーハング形状
203 ノッチ形状
204 表面ラフネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の面上に第1の絶縁層を介して位置する第1の配線層と、
前記半導体基板の他方の面から前記第1の配線層に至る接続孔と、
前記接続孔の側面から前記他方の面に亘って前記半導体基板上に位置し、前記接続孔内で前記第1の配線層に接する第2の絶縁層と、
前記接続孔の側面上から前記他方の面上に亘って前記第2の絶縁層上に位置し、前記接続孔内で前記第1の配線層に接する第2の配線層とを有し、
前記第2の絶縁層が、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜の積層体であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記異なる膜質がステップカバレッジ、絶縁耐圧性、前記半導体基板との密着性及び前記第2の配線層との密着性からなる群より選択される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記積層体が、少なくとも40%のステップカバレッジを有する、前記半導体基板側から1層目の絶縁膜と、該1層目の絶縁膜よりステップカバレッジは低いが絶縁耐圧性は高い2層目の絶縁膜とを有する、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記積層体が3層構造であり、前記2層目の絶縁膜より前記第2の配線層との密着性が高い3層目の絶縁膜を更に有する、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記積層体が、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜を、前記半導体基板側から1層目の絶縁膜として有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記積層体が、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜及び無機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜からなる群より選択される膜を、前記半導体基板側から2層目の絶縁膜として有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記積層体が3層構造であり、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されたシリコン酸化膜を、前記半導体基板側から3層目の絶縁膜として有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の配線層に接続し前記半導体基板の他方の面上で露出している外部端子と、該外部端子を除き該半導体基板の他方の表面上を覆う保護層を更に有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
a)一方の面上に第1の絶縁層を介して位置する第1の配線層を有する半導体基板に、他方の面から該第1の配線層に至る接続孔を形成する工程と、
b)前記接続孔の内面及び前記半導体基板の他方の面上に、膜質の異なる2種又はそれ以上の絶縁膜を積層して第2の絶縁層を形成する工程と、
c)前記接続孔内の前記第1の配線層上の前記第2の絶縁層を一部除去して該第1の配線層を露出させる工程と、
d)前記第2の絶縁層及び前記接続孔内に露出した前記第1の配線層上に第2の配線層を形成する工程と
を含んでなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
工程b)において、少なくとも40%のステップカバレッジを有する絶縁膜を前記第2の絶縁層の1層目として形成し、該1層目の絶縁膜よりステップカバレッジは低いが絶縁耐圧性は高い2層目の絶縁膜を2層目として形成する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
工程b)において、前記2層目の絶縁膜より前記第2の配線層との密着性が高い3層目の絶縁膜を形成する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
工程b)において、前記第2の絶縁層の絶縁膜をプラズマCVD法により形成する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
工程b)において、前記第2の絶縁層の1層目として、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いてシリコン酸化膜を形成する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
工程b)において、前記第2の絶縁層の2層目として、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜及び無機シリコン化合物を材料ガスとして用いて形成されるシリコン酸化膜からなる群より選択される1種又はそれ以上の膜を形成する、請求項9〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
工程b)において、前記第2の絶縁層の3層目として、有機シリコン化合物を材料ガスとして用いてシリコン酸化膜を形成する、請求項9〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記有機シリコン化合物がTEOSである、請求項13〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記第2の配線層に接続する外部端子を形成する工程と、該外部端子を除き前記半導体基板の他方の面上を覆う保護層を形成する工程とを更に含んでなる、請求項9〜16のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−161215(P2010−161215A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2630(P2009−2630)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】