説明

半導体装置及び電子機器

【課題】アンテナが半導体チップの回路に及ぼす悪影響を最小限に抑えることができる半導体装置、電子機器の提供。
【解決手段】半導体装置は、集積回路12が形成される半導体チップ10と、少なくとも1つのスロット52を有し、半導体チップ10の主面13に直交する方向を第1の方向D1とした場合に半導体チップ10の第1の方向D1に少なくとも絶縁層30を介して設けられ、半導体チップ10の集積回路12に電気的に接続されるスロットアンテナ50と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICタグなどの無線ICチップが脚光を浴びている。このICタグは、無線通信を利用して非接触でデータの書き込みと読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)に用いられる。具体的には、ICタグにデータを記憶して、その内容をリーダ、ライタなどの機器からの電波で読み込んだり、書き込むことで、物品管理などを実現する。このようなICタグの従来技術としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示される技術がある。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、ICタグに使用されるアンテナは、カード上に形成され、ループアンテナ形式になっている。またコイルオンチップ型ICタグについては、インレット形状のものが開示されているだけである。また特許文献2では、絶縁基板上にアンテナコイルを形成しているが、ループアンテナ形式になっている。
【0004】
また特許文献3には、スロット形状がボーダイ型のスロットアンテナが開示されているが、これもインレット形状のものである。また特許文献4には、スロットアンテナを腕時計に適用した技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−222277
【特許文献2】特開2006−216083
【特許文献3】特開2005−236672
【特許文献4】特開平6−338819
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線装置の小型化のためには、オンチップアンテナを採用することが望ましい。しかしながら、オンチップアンテナには、大きな利得を得るのが難しいという課題がある。またオンチップアンテナからの磁界が、半導体チップの集積回路の性能等に悪影響を及ぼすおそれがあることも判明した。
【0006】
本発明は以上のような考察に鑑みてなされたものであり、本発明に係る幾つかの態様によれば、アンテナが半導体チップの回路に及ぼす悪影響を最小限に抑えることができる半導体装置及びこれを含む電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、集積回路が形成される半導体チップと、少なくとも1つのスロットを有し、前記半導体チップの主面に直交する方向を第1の方向とした場合に前記半導体チップの前記第1の方向に少なくとも絶縁層を介して設けられ、前記半導体チップの前記集積回路に電気的に接続されるスロットアンテナとを含む半導体装置に関係する。
【0008】
本発明によれば、集積回路が形成される半導体チップと、少なくとも1つのスロットを有するスロットアンテナとが、絶縁層を介して設けられるため、半導体チップとスロットアンテナがコンパクトに実装された半導体装置を実現できる。また半導体チップに形成される集積回路は、スロットアンテナに電気的に接続されるため、スロットアンテナを利用した各種回路動作を実現できる。更にスロットアンテナは、半導体チップの第1の方向に設けられるため、スロットアンテナにより形成される磁界等が回路に及ぼす悪影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0009】
また本発明では、前記スロットアンテナにより形成される磁界の方向が、前記半導体チップの前記主面に平行になるように前記スロットアンテナが設けられてもよい。
【0010】
このようにすれば、半導体チップの金属体上に発生する渦電流損失等を小さくできるため、アンテナ効率の悪化を最小限に抑えることができる。
【0011】
また本発明では、前記スロットの対向する長辺を第1、第3のスロット辺とし、前記スロットの対向する短辺を第2、第4のスロット辺とした場合に、その一端が、前記第1のスロット辺に沿った第1の内縁部に電気的に接続され、その他端が、前記第3のスロット辺に沿った第3の内縁部に電気的に接続されるキャパシタを含んでもよい。
【0012】
このようなキャパシタを設ければ、スロット長が波長に対して短い場合でも、強制的に目的の周波数に同調させることが可能になる。この状態は、例えばコイルとキャパシタ(コンデンサ)による共振回路の共振状態と同様の状態とみることができる。なおキャパシタはスロットの例えば中心部に設けることができる。
【0013】
また本発明では、前記キャパシタの第1の電極は、第1の導電層により形成され、前記キャパシタの第2の電極は、前記スロットアンテナを形成する導電層であって、前記第1の導電層の前記第1の方向に設けられる第2の導電層により形成されてもよい。
【0014】
このようにすれば、第1、第2の導電層を有効活用してキャパシタを形成することが可能になる。なおキャパシタの第2の電極を、必ずしもスロットアンテナと同じ層の導電層で形成しなくてもよい。
【0015】
また本発明では、前記スロットアンテナと前記キャパシタの前記第1の電極とを電気的に接続するためのコンタクトが、前記第1の内縁部に形成され、前記キャパシタの前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記スロット又は前記第3の内縁部において平面視においてオーバラップするように形成されてもよい。
【0016】
このようにすれば、省スペースで効率的にキャパシタを形成することが可能になる。
【0017】
また本発明では、前記スロットアンテナは、前記半導体チップの端子を半導体装置の外部端子に電気的に接続するための外部接続用配線を形成する導電層により形成されてもよい。
【0018】
このようにすれば、外部接続用配線のパターニング工程等を有効活用して、スロットアンテナやスロットを形成できるため、簡素な製造工程でスロットアンテナやスロットを形成することが可能になる。
【0019】
また本発明では、前記外部端子として、少なくともその一部がボール状の形状の外部端子が設けられ、前記スロットアンテナとして、前記スロットが穴部として形成され、その主面が前記半導体チップの主面と平行な板状のスロットアンテナが設けられ、前記半導体チップと板状の前記スロットアンテナとの間に、樹脂層で形成された前記絶縁層が設けられてもよい。
【0020】
このようにすれば、例えばW−CSP(Wafer level Chip Size Package)技術等を利用して、オンチップのスロットアンテナを実現することが可能になる。
【0021】
また本発明では、前記スロットアンテナには、半導体装置の外部端子の形成領域に対応する領域に、前記外部端子と前記スロットアンテナとの短絡を避けるための少なくとも1つの切り欠き部が形成されてもよい。
【0022】
このようにすれば、外部との接続のための外部端子を設けながら、外部端子とスロットアンテナの短絡を防止して、スロットアンテナを半導体チップに一体的に実装できる。
【0023】
また本発明では、前記スロットアンテナには、前記少なくとも1つの切り欠き部として複数の切り欠き部が形成され、前記スロットの対向する長辺を第1、第3のスロット辺とし、前記スロットの対向する短辺を第2、第4のスロット辺とし、前記スロットの中心点を通り前記第2、第4のスロット辺に平行なラインを中心ラインとした場合に、前記スロットアンテナには、前記中心ラインに近づくほど前記複数の切り欠き部の密度が高くなるように、前記複数の切り欠き部が形成されてもよい。
【0024】
このようにすれば、切り欠き部を設けたことに起因するアンテナ効率の低下を最小限に抑えることが可能になる。
【0025】
また本発明では、前記半導体チップでは、インダクタ素子形成領域にインダクタ素子が形成され、前記スロットアンテナには、少なくとも1つの切り欠き部が形成され、前記スロットアンテナでは、前記インダクタ素子形成領域と前記切り欠き部とが平面視においてオーバラップするように前記切り欠き部が形成されてもよい。
【0026】
このようにすれば、半導体チップにインダクタ素子を形成した場合に、インダクタ素子の第1の方向に切り欠き部が設けられるようになるため、インダクタ素子のインダクタンスのシフト量を最小限に抑えることが可能になる。
【0027】
また本発明では、前記半導体チップでは、インダクタ素子形成領域にインダクタ素子が形成され、前記スロットアンテナでは、前記インダクタ素子形成領域と前記スロットとが平面視においてオーバラップするように前記スロットが形成されてもよい。
【0028】
このようにすれば、半導体チップにインダクタ素子を形成した場合に、インダクタ素子の第1の方向にスロットが設けられるようになるため、インダクタ素子のインダクタンスのシフト量を最小限に抑えることが可能になる。
【0029】
また本発明では、前記スロットアンテナと前記半導体チップの間に、イメージ効果によって前記スロットアンテナの利得を高めるためのグランド板が設けられてもよい。
【0030】
このようにすれば、イメージ効果を利用してスロットアンテナの利得を向上できる。
【0031】
また本発明では、前記半導体チップには、前記集積回路として、前記スロットアンテナを用いて無線通信を行う無線回路が形成されてもよい。
【0032】
このようにすれば、スロットアンテナを用いた無線通信機能を有する半導体装置を、コンパクトな実装形態で実現できる。
【0033】
また本発明では、前記半導体チップでは、インダクタ素子形成領域にインダクタ素子が形成され、前記スロットの対向する長辺を第1、第3のスロット辺とし、前記スロットの対向する短辺を第2、第4のスロット辺とし、前記第2のスロット辺に沿ったラインを第1のラインとし、前記第4のスロット辺に沿ったラインを第2のラインとした場合に、前記半導体チップでは、平面視において前記第1、第2のラインの間の領域に、前記インダクタ素子形成領域が設けられてもよい。
【0034】
このようにすれば、半導体チップに形成されたインダクタ素子のインダクタンスのシフト等を最小限に抑えることが可能になり、回路の誤動作等を防止できる。なお、中心ラインと第1のラインの真ん中を通り、中心ラインに平行なラインを第3のラインとし、中心ラインと第2のラインの真ん中を通り、中心ラインに平行なラインを第4のラインとしたと場合に、平面視において第3、第4のラインの間の領域に、インダクタ素子形成領域を設けるようにしてもよい。
【0035】
また本発明では、前記スロットは、そのスロット辺が、前記半導体チップのいずれのチップ辺とも平行にならないように、前記半導体チップに対して斜めに形成されてもよい。
【0036】
このようにすれば、スロット長を最大限に確保して、アンテナ効率を向上できる。
【0037】
また本発明は、上記のいずれかに記載の半導体装置を含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.スロットアンテナ
図1(A)、図1(B)に本実施形態の半導体装置の例を示す。図1(A)は半導体装置を上方から見た平面図であり、図1(B)は半導体装置の断面図である。なお図1(A)では説明を分かりやすくするために集積回路12については概念的に示している。
【0040】
図1(A)、図1(B)に示すように本実施形態の半導体装置は、半導体チップ10とスロットアンテナ50(スロットアンテナ体)を含む。本実施形態の半導体装置では、スロットアンテナ50が、例えばオンチップアンテナとして半導体チップ10と一体的に実装(オンチップ実装)される。なお複数の半導体チップを実装(積層実装)するようにしてもよい。
【0041】
半導体チップ10には集積回路12が形成されている。集積回路12はトランジスタ等の能動素子を含む。具体的には集積回路12は、スロットアンテナ50の受信信号を増幅する増幅回路AMPなどのアナログ回路(受信回路)を含むことができる。
【0042】
スロットアンテナ50は、少なくとも1つのスロット52を有する。具体的には例えば板状(導体板)のスロットアンテナ50に形成された長方形(四辺形)の穴部(溝、細長い切り欠き部)がスロット52として機能する。このスロット52は第1、第2、第3、第4のスロット辺SS1、SS2、SS3、SS4を有する。なお複数のスロットを設ける変形実施も可能である。
【0043】
スロットアンテナ50は、半導体チップ10の主面13に直交する方向を第1の方向D1とした場合に、半導体チップ10のD1方向に設けられる(D1方向に実装される)。なお図1(B)では半導体チップ10の集積回路12が形成される能動面側にスロットアンテナ50が設けられているが、半導体チップ10の裏面側にスロットアンテナ50を設けてもよい。この場合には、図1(B)のD2方向が第1の方向になる。
【0044】
スロットアンテナ50は、半導体チップ10の第1の方向D1に少なくとも絶縁層30を介して設けられる。絶縁層30は例えば樹脂層やパシベーション膜である。樹脂層は、例えば、ポリイミド樹脂、シリコン変形ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン変形エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、又はポリベンゾオキサゾール樹脂等で形成できる。パシベーション膜は、例えばシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜などである。
【0045】
スロットアンテナ50は、半導体チップ10の集積回路に電気的に接続される(集積回路の電極に接続される)。例えば集積回路が受信信号の増幅回路AMPを含む場合に、増幅回路AMPの第1の入力端子(例えば非反転入力端子)が、スロット52の長辺である第1のスロット辺SS1に沿った第1の内縁部(第1のスロット辺に沿った所定幅の領域)に電気的に接続される。具体的には増幅回路AMPからの接続配線が、スロット52の第1の内縁部の第1の接続点(給電点)に接続される。そしてスロット52の長辺である第3のスロット辺SS3に沿った第3の内縁部(第3のスロット辺に沿った所定幅の領域)は、例えばGND(接地電位)に電気的に接続される。具体的にはGNDの接続配線が、スロット52の第3の内縁部の第2の接続点に接続される。これらの第1、第2の接続点は、スロット52の中央部に設けてもよいし、中央部からオフセットさせた位置に設けてもよい。なお第3の内縁部は必ずしもGNDに接続する必要はなく、例えば増幅回路AMPの第2の入力端子(例えば反転入力端子)と同じ電位に接続(設定)すればよい。
【0046】
図2(A)に示すようにスロットアンテナ50のスロット52での電界Eの方向は、スロットの短軸方向(SS1からSS3又はSS3からSS1に向かう方向。スロットの短辺に沿った方向)になる。一方、電界Eに直交する磁界Hの方向は、スロットの長軸方向(SS2からSS4又はSS4からSS2に向かう方向。スロットの長辺に沿った方向)になる。即ち本実施形態では図2(B)に示すように、スロットアンテナ50により形成される磁界Hの方向が、半導体チップ10の主面13(能動面)に平行になるようにスロットアンテナ50が設けられている。
【0047】
例えば本実施形態の比較例として、半導体チップ10の上方にループアンテナをオンチップ実装する手法も考えられる。
【0048】
しかしながらこの比較例では、ループアンテナの磁界の方向が、半導体チップに直交する方向なる。従って半導体チップのアルミ配線等の金属体によって、ループアンテナの磁界が遮断したり、或いは金属体上に発生する渦電流損失により、アンテナ効率が低下してしまう。また、ループアンテナのインダクタが、半導体チップに形成されたインダクタ素子等と磁界結合し、半導体チップに形成された増幅回路の発振や、PLL(Phase Locked Loop)の誤動作等を引き起こすおそれがある。
【0049】
この点、本実施形態では図2(A)、図2(B)に示すように、スロットアンテナ50の磁界Hの方向は、半導体チップ10と平行になり、磁束がスムーズに還流する。従って、半導体チップ10にアルミ配線などの金属体が形成されている場合等においても、金属体上に発生する渦電流損失を極めて小さくできるため、アンテナ効率の悪化を最小限に抑えることができる。また図2(B)に示すように、半導体チップ10にインダクタ素子14、16を形成した場合にも、スロットアンテナ50の磁界Hの方向は、インダクタ素子14、16の磁界H1、H2の方向と直交するため、磁気結合による相互の干渉を最小限に抑えることができる。従って、半導体チップ10に形成された増幅回路の発振や、PLL(VCO)の誤動作等を防止できる。またループアンテナに比べると、そのサイズに対する利得を大きくできるという利点もある。また、後述するようにスロットアンテナ50に平行にグランド板32を設けることで、イメージ効果によるアンテナ利得の向上の実現も可能になる。
【0050】
2.キャパシタの接続
スロットアンテナ50は、いわゆる磁流アンテナであり、スロット52をその中央部で2つの第1、第2のスロットに分離すると共に中央部に仮想的な磁流源を設けたものと等価になる。そして、これは、第1、第2のスロットと同じ形状の板状の第1、第2のダイポールアンテナを設けたものと補対の関係になる。
【0051】
スロットアンテナ50は、スロット長(スロット辺SS1、SS3の長さ)を半波長に設定することで共振が発生し、大きな磁流が流れ、大きな電磁界を放射することが可能になる。しかしながら、スロットアンテナ50をオンチップ実装した場合には、半導体チップ10のチップサイズにより、スロット長を長くするには限界がある。
【0052】
例えば、無線周波数(キャリア周波数)が2.4GHz(UHF)である場合には、波長は12.5cmになり、半波長はλ/2=6.25cmになる。従って、半導体チップ10のチップサイズが例えば4mm×4mmというように小さい場合には、後述するようにスロット52を斜め方向にしたとしても、スロット長を半波長に設定することが難しい。
【0053】
そこで図3(A)〜図3(C)では、スロット52の中央部に共振用のキャパシタCP(コンデンサ)を設けている。具体的には、その一端が、スロット辺SS1に沿った第1の内縁部(第1の側辺)に電気的に接続され、その他端が、スロット辺SS3に沿った第3の内縁部(第3の側辺)に電気的に接続されるキャパシタCPを設けている。
【0054】
更に具体的には図3(C)に示すように、キャパシタCPの第1の電極EL1は、第1の導電層(例えば第1の金属層)により形成される。一方、キャパシタCPの第2の電極EL2は、第1の導電層の第1の方向D1に形成された第2の導電層(例えば第2の金属層)により形成される。この第2の導電層は、例えばスロットアンテナ50を形成する導電層である。また第2の導電層は、例えば絶縁層(樹脂層)を介して第1の導電層の上方に形成される層である。またスロットアンテナ50(第2の導電層)とキャパシタCPの第1の電極EL1(第1の導電層)とを電気的に接続するためのコンタクトVC(ビアコンタクト)が、スロット辺SS1に沿った第1の内縁部に形成される。そしてキャパシタCPの第1の電極EL1と第2の電極EL2とが、例えばスロット52(中央部)においてオーバラップするように形成される(平面視においてオーバラップするように形成される。D2方向から見てオーバラップするように形成される)。
【0055】
なおキャパシタCPの第2の電極EL2を、スロットアンテナ50と同層の導電層で形成すれば、導電層の層数を削減でき、プロセス工程を減らすことができるという利点があるが、第2の電極EL2をスロットアンテナ50とは異なる層の導電層で形成する変形実施も可能である。また図3(C)では、第1、第2の電極EL1、EL2が、対称性を良好にするために例えばスロット52の中央部においてオーバラップするように形成しているが、例えばスロット辺SS3に沿った第3の内縁部においてオーバラップするように形成してもよい。
【0056】
図3(A)〜図3(C)のようなキャパシタCPを設けることで、スロット長が短い場合でも共振が可能になり、アンテナの共振ピーク周波数を無線周波数に設定することが可能になる。具体的には、半導体チップ10のチップサイズが4mm×4mmであり、スロット長が4mmであり、スロット幅が0.4mmである場合に、キャパシタCPの容量値を例えば1.5PFに設定することで、無線周波数である例えば2.4GHzにピークを持つ共振特性を得ることも可能になり、アンテナ利得を向上できる。また、このような共振特性を、ループアンテナを用いる手法に比べて小さな面積で実現できるという利点もある。
【0057】
例えばループアンテナを用いる構成では、ループ開口部(ループアンテナのループ形状の内側の面積部分)を覆うように金属体が配置されると、磁界が遮断されてしまう。即ち、半導体チップ上にループアンテナを配置する構造では、半導体チップのアルミ配線等の金属体上にループアンテナのループが形成されてしまい、半導体チップの金属体の面積が大きい場合にはループ開口部を覆ってしまうため、アンテナ性能が低下する。
【0058】
またループアンテナを用いる構成では、実際に共振するループ形状は回路を含めて考えなければならず、回路までの引き回し線が複雑な配線になるため、アンテナの実力を出すのが難しくなる。従って構造シミュレーション技術を駆使しないと、正確な数値を出すことができないおそれがある。即ちループアンテナを用いる構成では、実際のループ形状部分のみならず、ループ形状部分から回路(アンプの入出力端子や整合回路)までの配線部分等もループアンテナとして機能する。従って、配線の引き回しや寄生容量、寄生抵抗等も考慮して構造シミュレーションを行わなければ、正しいシミュレーション結果を得ることができない。具体的には、キャパシタ、インダクタ、抵抗、配線の寄生容量・寄生抵抗、樹脂層(ポリイミド層)の誘電体損、配線間の相互インダクタンスなどの値から、アンテナ間の結合損失、インダクタ値、共振周波数などを電磁界シミュレーションで求める必要があり、設計が複雑化するという不利点がある。
【0059】
この点、本実施形態によれば、整合の方法も簡素であり、図3(A)に示すように例えば1個のキャパシタを用いるだけで整合が可能になる。従って、整合回路部分も含めてキャパシタ(コンデンサ)が2個以上必要になるループアンテナを用いる手法に比べて、整合用のキャパシタの個数を削減できる。
【0060】
なお図3(A)では、集積回路12の接続点(feed、給電位置)は、キャパシタCPが設けられる中央部よりもオフセットした位置に設けられ、オフセット給電が行われている。具体的には、スロット長が4mmである場合に、中央部から1mmだけオフセットした位置に接続点(feed)が設けられ、オフセット給電が行われる。これにより、集積回路12へのインピーダンス整合が簡素になり、キャパシタ(コンデンサ)等の整合素子を設けなくても済むようになる。例えば、接続点である給電位置を、スロット52の中央部のキャパシタCPの位置に設定すると、インピーダンスは最も高くなる(例えば100〜10KΩ)。そして給電位置が、キャパシタCP(中央部)から、スロット52の長辺方向に沿って離れれば離れるほど、インピーダンスは小さくなり、スロット52の端部(SS2、SS4)では、インピーダンスは例えば0Ωになる。従って、給電位置である接続点に接続されるアンプ等の回路の入出力インピーダンスに応じて、給電位置を変更すればよい。この場合に、ループアンテナを用いる手法では、複数の容量値を様々に変化させて整合を行う必要があるが、スロットアンテナ50を用いる本実施形態の手法では、給電位置を変えるだけでインピーダンス整合が可能になるため、整合が簡素であるという利点がある。
【0061】
3.詳細な構造
図4(A)、図4(B)に本実施形態の半導体装置の詳細な構造例を示す。ここではW−CSP(Wafer level Chip Size Package)技術を適用して、オンチップのスロットアンテナを実現している。W−CSPは、半導体素子を形成するウェハを切り出す前に端子の形成や配線などを行い、その後にウェハを切り出すという方法によって形成されたCSPである。即ちこれまでの半導体装置では、ウェハを半導体チップのサイズに切り出してから端子形成(ボンディング)を行っていたが、W−CSPでは、この手順を前後逆にしている。
【0062】
図4(A)は、導電層(金属層、再配置配線層)が1層の場合の例である。半導体チップ10のシリコン上には、第1の絶縁層であるパシベーション膜20が形成される。このパシベーション膜20は例えばシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜などで実現できる。そしてパシベーション膜20の開口部には、半導体チップ10の電極22、24(パッド)が形成される。この電極22、24は、半導体チップ10の集積回路の各回路(増幅回路、I/Oセル等)に、接続配線により電気的に接続される。
【0063】
パシベーション膜20の上層(D1方向)には、第2の絶縁層30(第1の樹脂層)が形成される。この絶縁層30は樹脂層により形成することができ、樹脂層としては、前述したように例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0064】
絶縁層30の上層には導電層48が形成される。この導電層48は例えば金属層であり、例えば銅(Cu)などの導電材料により形成できる。なお複数の導電材料(例えば銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(TiW)、金(Au)、アルミニウム(Al)、タングステン(W))を組み合わせて導電層48を形成してもよい。
【0065】
導電層48の上層には第3の絶縁層60(第2の樹脂層)が形成される。絶縁層60としては例えばソルダーレジストなどを用いることができる。この絶縁層60は遮光性を有していてもよいし、光透過性を有していてもよい。この絶縁層60を設けることで、配線の酸化、腐食又は断線などを防止できる。
【0066】
半導体装置には複数の外部端子80、82が設けられている。これらの外部端子80、82(バンプ)は、半導体装置を外部(例えば回路基板)と接続するための端子である。外部端子80、82は、例えば少なくともその一部がボール状の形状になっている。外部端子80、82は、導電層48で形成される配線により、半導体チップ10の電極22、24に電気的に接続される。具体的にはコンタクト70、72を介して電極22、24に接続される。また外部端子80、82は、導電層48で形成される配線のランド部上に形成される。なお、外部端子80、82は、例えばハンダボールであってもよいし、ロウ材等で形成されていてもよい。また、球の一部を切り欠いた形状を有していてもよい。また外部端子80、82は、例えば半導体装置の外部の回路基板の端子等に接続されて実装される。
【0067】
なお外部端子80、82は、例えば外部の導電性の基板(回路基板等)と電気的に接続するためのボール(ハンダボール)であってもよいし、このような接続が不要で、単に固定のために使用するダミーのボールであってもよい。また例えば半導体装置をRFIDのタグとして使用する場合には、外部に引き出すための信号や電源も不要になるため、外部端子(ボール)を設けない変形実施も可能である。即ち、外部端子を設けずに半導体チップを樹脂に埋め込んで、物品管理等に利用してもよい。
【0068】
図4(A)では、スロットアンテナ50は導電層48(再配置配線層)により形成される。具体的には、半導体チップ10の電極24を半導体装置の外部端子82に電気的に接続するための外部接続用配線を形成する導電層48(同じ導電材料)により形成される。このようにすれば、この接続用配線の形成のための導電層48を有効活用して、スロットアンテナ50を形成できる。また、接続用配線のパターニング工程を有効活用して、スロットアンテナ50やスロット52を形成できるため、パターニングのための工程を付加することなく、簡素な製造工程でスロットアンテナ50やスロット52を形成できるという利点がある。
【0069】
以上のように図4(A)では、外部端子として、ボール状の外部端子80、82が設けられる。またスロットアンテナとして、スロット52が穴部(細長い溝)として形成され、その主面が半導体チップ10の主面と平行な板状のスロットアンテナ50が設けられる。そして半導体チップ10と板状のスロットアンテナ50との間に、樹脂層で形成された絶縁層30等が設けられる構造になっている。このようなW−CSP構造を利用すれば、無線ICを、スロットアンテナ50が一体形成されたコンパクトな半導体装置で実現できるようになる。
【0070】
図4(B)は、導電層(金属層、再配置配線層)が2層の場合の例である。半導体チップ10のシリコン上には、第1の絶縁層であるパシベーション膜20が形成され、パシベーション膜20の開口部には、半導体チップ10の電極22(パッド)が形成される。
【0071】
パシベーション膜20の上層(D1方向)には、第1の導電層40(第1の金属層)が形成される。この第1の導電層40は、例えば銅(Cu)などの導電材料により形成したり、上述したような複数の導電材料の組み合わせ(合金)により形成できる。
【0072】
導電層40の上層には第2の絶縁層30(第1の樹脂層)が形成される。この絶縁層30は上述の樹脂層により形成することができる。
【0073】
絶縁層30の上層には第2の導電層48が形成される。この導電層48は、例えば銅(Cu)などの導電材料により形成したり、上述したような複数の導電材料の組み合わせ(合金)により形成できる。
【0074】
導電層48の上層には第3の絶縁層60(第2の樹脂層)が形成される。絶縁層60としては例えばソルダーレジストなどを用いることができる。また半導体装置を外部と接続するための端子である外部端子80、82は、例えば少なくともその一部がボール状の形状になっている。
【0075】
図4(B)では、図3(C)に示すキャパシタCPの電極が第1、第2の導電層40、48により形成される。具体的には図3(C)のキャパシタCPの第1の電極EL1は、図4(B)の第1の導電層40により形成され、第2の電極EL2は第2の導電層48により形成される。また第1、第2の導電層40、48の間の絶縁層30が、キャパシタCPの第1、第2の電極EL1、EL2間の絶縁層になる。そして第1、第2の電極EL1、EL2である第1、第2の導電層40、48の平面視におけるオーバラップ領域が、キャパシタCPの形成領域になる。なお図3(C)のコンタクトVCは図4(B)のコンタクト56により実現される。
【0076】
図4(B)のような2層の導電層40、48を用いれば、図3(C)のキャパシタCPを、導電層40、48のパターニングやコンタクト形成等だけで実現できる。従って、簡素な製造工程で、スロット52の中央部にキャパシタCPを形成できるという利点がある。
【0077】
4.切り欠き部、グランド板
図5(A)では、スロットアンテナ50に少なくとも1つの切り欠き部85(穴部、隙間領域)が設けられている。この切り欠き部(cutting portion)85は、半導体装置の外部端子84の形成領域に対応する領域に、外部端子84とスロットアンテナ50との短絡(電気的な接続)を避けるように形成される。
【0078】
即ち図1(A)に示すように、スロットアンテナ50は、増幅回路AMPやGNDの電位に接続される。一方、図4(A)、(B)に示すように、外部端子は、半導体チップ10の電極(パッド)に接続される。従って、図5(A)においてスロットアンテナ50と外部端子84が短絡されないようにする必要があり、このような短絡を防止するために図5(A)では切り欠き部85が設けられている。このようにすれば、図4(A)、図4(B)に示すようなW−CSP構造等において、外部の回路基板と接続するための外部端子84を設けながら、スロットアンテナ50についても半導体チップ10に一体的に実装できるようになる。
【0079】
なお、切り欠き部85の形状は図5(A)の形状に限定されない。例えば切り欠き部85の形状は、四辺形等の多辺形の形状であってもよい。またスロット52の短辺SS2、SS4の真横には切り欠き部85を設けないことが望ましい。短辺SS2、SS4の真横に切り欠き部85を設けると、この部分の形状が細くなってしまい、電流に対する抵抗となってしまうからである。
【0080】
また、切り欠き部85を設けた場合には、外部端子84と半導体チップ10の端子との接続は、例えば図4(B)に示すような導電層が2層の配線構造により実現できる。即ち外部端子84が接続される第2の導電層48の配線を、コンタクトを介して第1の導電層40の配線に接続する。そして、この第1の導電層40の配線を半導体チップ10の電極(パッド)に接続すればよい。このようにすれば、スロットアンテナ50の面に多数の外部端子を設けることが可能になる。従って、半導体チップ10が多数の電極を有する場合にも、スロットアンテナ50をオンチップ実装しながら、これらの多数の電極を外部端子に接続できるようになる。また、外部端子の形成のためにスロットアンテナ50の面積を小さくしなくても済むようになり、半導体チップ10とほぼ同じ大きさの面積でスロットアンテナ50を形成できるようになる。従って、スロット長を長くして、利得等を向上することが可能になる。
【0081】
なお図4(A)に示すような導電層が1層の配線構造を採用することも可能である。この場合には、切り欠き部85の形状を例えば図5(B)のような形状にすればよい。
【0082】
また複数の外部端子に対応して複数の切り欠き部を設ける場合には図6に示すような配置にすることが望ましい。具体的には、スロット52の中心点PCを通り、短辺であるスロット辺SS2、SS4に平行なラインを中心ラインMLとした場合に、中心ラインMLに近づくほど複数の切り欠き部の密度が高くなるように、スロットアンテナ50に切り欠き部を形成する。例えば中心ラインMLの付近では切り欠き部の密度を高くし、スロット辺SS2、SS4の付近では切り欠き部の密度を低くする。
【0083】
例えばスロットアンテナ50では、スロット52の中央部に図3(A)のようなキャパシタCPを設けた場合、中央部付近では電流密度が低くなり、スロット辺SS2、SS4付近では電流密度が高くなる。そして電流密度が高い場所に、切り欠き部を設けると、磁界の発生が妨げられ、アンテナ効率が低下する。
【0084】
この点、図6では、スロットアンテナ50の中央部付近では切り欠き部の密度が高いものの、端部では切り欠き部の密度が低くなっている。従って、切り欠き部を設けたことに起因するアンテナ効率の低下を最小限に抑えることができる。そして、中央部付近における切り欠き部の密度を高くすることで、半導体チップ10が多数の電極を有する場合にも、これらの多数の電極を外部端子に接続することが可能になる。
【0085】
また図7(A)では、図2(B)と同様に、半導体チップ10において、そのインダクタ素子形成領域にインダクタ素子14、16が形成されている。このインダクタ素子14、16は、後述するように、例えばLNA(低ノイズアンプ)やVCO(電圧制御発振器)などに使用されるインダクタ素子である。
【0086】
一方、スロットアンテナ50には、切り欠き部58、59(少なくとも1つの切り欠き部)が形成されている。具体的には、スロットアンテナ50では、インダクタ素子14、16の形成領域と切り欠き部58、59とが平面視において(図2(B)のD2方向から見て)、オーバラップするように、切り欠き部58、59が形成されている。例えばインダクタ素子14、16の形成領域のD1方向の領域に、切り欠き部58、59が形成されている。
【0087】
インダクタ素子14、16のD1方向(例えば上方)に導体(導体板)が存在すると、インダクタ素子14、16のインダクタンスがシフトしてずれてしまうという問題がある。例えばインダクタ素子14、16のインダクタンスが、LNAやVCOの設計時におけるインダクタンスからずれてしまう。即ち、インダクタ素子14、16のD1方向(磁界の方向)に導体が存在すると、導体に渦電流が生じ、この渦電流により発生する磁界により、インダクタ素子14、16のインダクタンスがシフトしてしまう。
【0088】
この点、図7(A)に示すような切り欠き部58、59を設ければ、インダクタ素子14、16のD1方向(上方)には、導体が存在しないようになる。従って、半導体チップ10にインダクタ素子14、16を形成した場合に、これらのインダクタ素子14、16のインダクタンスのシフト量を最小限に抑えることが可能になる。従って、設計値からのずれが小さくなり、設計の容易化等を図れる。
【0089】
なお図7(B)に示すように、スロットアンテナ50において、インダクタ素子14、16の形成領域とスロット52とが平面視においてオーバラップするように、スロット52を形成(配置)してもよい。例えばインダクタ素子14、16の形成領域のD1方向の領域に、スロット52を形成する。
【0090】
このようにしても、インダクタ素子14、16のD1方向(上方)に導体が存在しないようになるため、インダクタ素子14、16のインダクタンスのシフト量を最小限に抑えることが可能になる。なおスロット52では中央部付近では電流密度が低くなるため、図7(A)、図7(B)において切り欠き部58、59やインダクタ素子14、16は、スロット52の中央部付近に設けることが望ましい。
【0091】
また図8に示すように、スロットアンテナ50と半導体チップ10の間にグランド板32を設けてもよい。即ちスロットアンテナ50のD2方向に例えば板状のグランド板32を設ける。このグランド板32は、集積回路12のグランド(接地電位)とも接続されて、例えばイメージ効果によって、集積回路12から見たスロットアンテナ50の利得を2倍にするものである。このグランド板32は、例えば図4(B)の2層の導電層のうちの第1の導電層40により形成できる。
【0092】
例えばスロットアンテナ50では、スロット52の中央部からD1方向とD2方向に放射パターンが形成される。即ちスロット52の中央部を放射中心として、D1方向とD2方向に広がった放射パターンが形成される。
【0093】
この点、図8に示すように、スロットアンテナ50のD2方向に、導電層(金属)で形成されるグランド板32を設ければ、このグランド板32による反射により、スロット52の中央部からD1方向に向かって広がる放射パターンの特性が向上する。そして表面側への反射器としての効果であるイメージ効果によって、アンテナ利得を例えば約2倍程度に高めることが可能になる。
【0094】
なお図7(A)のように半導体チップ10にインダクタ素子14、16が形成される場合には、スロットアンテナ50の切り欠き部58、59と同様の配置の切り欠き部を、グランド板32に形成してもよい。このようにすれば、イメージ効果によるアンテナ利得の向上を図りながら、インダクタ素子14、16のインダクタンスのシフトも最小限に抑えることが可能になる。
【0095】
5.無線回路
次に半導体チップ10に形成される集積回路12の回路例について説明する。本実施形態では、半導体チップ10に、集積回路12として、スロットアンテナ50を用いて無線通信を行う無線回路が形成される。
【0096】
図9に、このような無線回路(通信回路)の第1の構成例を示す。図9の無線回路は、近接通信用の回路であり、ICタグ(RFタグ)等に用いることができる。無線回路は、受信回路200、送信回路210、制御回路230を含む。また整流/昇圧回路220、メモリ240を含むことができる。なおこれらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0097】
受信回路200は、復調回路202、クロック抽出回路204、データ再生回路206を含む。復調回路202はスロットアンテナ50からの受信信号の復調処理を行う。クロック抽出回路204は、復調信号からクロックを抽出する。データ再生回路206は、復調信号と、クロック抽出回路204で抽出されたクロックに基づいて、受信データを再生する。
【0098】
図10(A)に復調回路202の構成例を示す。この復調回路202は、増幅回路AMP1、RCフィルタ203、コンパレータCOMP1を含む。増幅回路AMP1は受信信号SGRの増幅処理を行う。RCフィルタ203は増幅後の受信信号のフィルタ処理を行って、包絡線検波を行う。コンパレータCOMP1は、フィルタ処理後の受信信号と、基準電圧VREFを比較して、復調信号SGDを出力する。図10(B)に、受信信号SGRと復調信号SGDの波形例を示す。図10(B)では受信信号SGRは振幅変調されており、この受信信号SGRの包絡線を検波して、基準電圧VREFと比較することで、復調信号SGDが得られる。
【0099】
送信回路210は変調回路212を含み、変調回路212は送信信号の変調処理を行う。制御回路230は、無線回路全体の制御や、受信回路200や送信回路210の制御や、メモリ240へのデータの書き込み、読み出し制御などを行う。
【0100】
整流/昇圧回路220は受信信号の整流及び昇圧を行って、昇圧電圧を出力する。整流/昇圧回路220としては、例えばコッククロウトウォルトン回路などを用いることができ、ダイオード、キャパシタ、抵抗等により構成される。このような整流/昇圧回路220を設けることで、スロットアンテナ50を用いた非接触電力伝送が可能になり、メモリ240の書き込みや読み出しに必要な高電圧を得ることができる。
【0101】
メモリ240は、例えばEEPROM、FRAM等であり、ID情報等を記憶する。例えば図9の通信回路は、スロットアンテナ50により信号を受信すると、受信信号からデータを再生し、再生されたデータとメモリ240に記憶されるID情報に基づいて、ID認証を行う。そして認証の承諾信号を、送信回路210、スロットアンテナ50を介して相手側に送信する。これによりRFID等が実現される。
【0102】
図11に無線回路の第2の構成例を示す。この無線回路は、近接通信/遠方界用の回路であり、超再生検波回路300、クエンチング発振制御回路308、IDパルス発生回路320、ローパスフィルタ330、データ処理回路340を含む。
【0103】
超再生検波回路300及びクエンチング発振制御回路308により、超再生復調回路310が構成される。スロットアンテナ50からの受信信号は、キャパシタCA1、バッファ回路BUFを介して超再生検波回路300に入力される。超再生検波回路300は、npn型のトランジスタTRAを含み、このトランジスタTRAのコレクタ、エミッタ間をキャパシタCA3によって結合することで、正帰還発振回路の発振ループが形成される。そしてトランジスタTRA1は、クエンチング発振制御回路308の制御により、オン・オフの発振動作を繰り返す。キャパシタCA4とインダクタ素子LA1(コイル)により構成される同調回路では一種の混合が行われる。またキャパシタCA5と抵抗RA1により積分回路が形成される。
【0104】
クエンチング発振制御回路308は図示しない加算器を含んでおり、この加算器は、超再生検波回路300からのクエンチング発振出力と、IDパルス発生回路320からのIDパルス(逆拡散データ)との加算処理を行う。加算処理が行われたクエンチング発振出力は、ローパスフィルタ330に入力される。データ処理回路340は、ローパスフィルタ330を通過したクエンチング発振出力に対してデータ処理を行って、逆拡散後の2値の受信データを出力する。
【0105】
図11では、超再生検波回路300がインダクタ素子LA1を含んでいる。このインダクタ素子LA1は、ループコイルとして半導体チップ10上に形成される。そして例えば図7(A)、図7(B)に示すような切り欠き部14、16を設ければ、インダクタ素子LA1のインダクタンスのシフト等を防止でき、適正な同調動作を実現できる。
【0106】
図12に無線回路の第3の構成例を示す。この無線回路は、遠方界用の回路であり、BPF(バンドパスフィルタ)400、インピーダンス整合回路410、通信回路420、ベースバンドエンジン430を含む。
【0107】
スロットアンテナ50からの受信信号は、BPF(バンドパスフィルタ)400、インピーダンス整合回路410を介して通信回路420に入力される。BPF400は、無線信号のキャリア周波数(例えば2.402GHz)を中心周波数とする所定の帯域幅の信号を通過させるフィルタである。インピーダンス整合回路410は、信号の反射を防止するためのインピーダンス整合を行う回路である。
【0108】
通信回路420のスイッチ回路500は受信と送信を切り替えるための回路である。LNA(低ノイズアンプ)510は受信信号を増幅する。混合器520は、分波器550からの局部発振信号(例えば2.400GHz)に基づいて、受信信号の周波数を中間周波数(例えば2MHz)に変換する。BPF524は中間周波数の信号を通過させるフィルタである。リミッタアンプ526は、残留AM成分を取り除くために、その入力信号を所定レベルで振幅制限されるまで増幅された信号を出力する。リミッタアンプ526は、カスケード接続された複数のアンプにより構成され、複数のアンプの出力は、A/D変換部528が含む複数のA/D変換器に入力される。これらの複数のA/D変換器から出力されるデジタル値を、A/D変換部528が含む加算器により加算することで、受信電力に比例するRSSI(Received Signal Indicator)が生成され、制御回路540を介してベースバンドエンジン430に供給される。
【0109】
FM検波回路530は、リミッタアンプ526からの出力信号の周波数の変化を検出することで、受信信号から所望信号を抽出し、復調信号として出力する。FM検波回路530から出力される復調信号は、LPF(ローパスフィルタ)532により高周波成分が除去された後、データスライサ534により2値化されて、ベースバンドエンジン430に入力される。
【0110】
PLL544は、制御回路540からの周波数設定値と、図示しない発振器からのクロックCLKを受け、CLKを逓倍したクロックをVCO(電圧制御発振器)546に出力する。VCO546の出力信号は、分波器550により分波される。分波器550からの第1の分波信号は、局部発振信号として混合器520に入力される。また第2の分波信号は送信信号としてPA(パワーアンプ)552に入力される。更に第3の分波信号は分周器548を介してPLL544に帰還される。
【0111】
ベースバンドエンジン430からの送信データはLPF542により高周波成分が除去された後、VCO546においてFM変調されて、分波器550を介してPA552に供給される。そしてPA552で増幅された送信信号は、スイッチ回路500等を介してスロットアンテナ50に出力される。
【0112】
図13に図12のLNA510の構成例を示す。図13では、トランジスタTB3、抵抗RREF、RBにより、ゲートバイアス電圧を生成するバイアス回路が構成される。CBはデカップリング用のキャパシタであり、整合用のキャパシタとしても機能する。LG、LSは整合用のインダクタ素子(コイル)であり、トランジスタTB1のドレイン・ソース電流を最大限にするための整合を行う。トランジスタTB1、TB2はカスコード型の増幅回路を構成する。インダクタ素子LD及びキャパシタCLにより同調回路が構成され、キャリア周波数(2.402GHz)の信号を選択する同調処理を行う。
【0113】
図14にVCO546の構成例を示す。VCO546は、電流源ISBと、トランジスタTC1、TC2と、キャパシタCVと、インダクタ素子LCを含む。そしてVCO546からの差動出力信号は分波器550に入力され、分波器550により混合器520、PA552、分周器548に分波される。
【0114】
電流源ISBはバイアス電流を生成する。トランジスタTC1、TC2は、一方のゲートが他方のドレインに接続されるクロスカップリング構成になっており、正帰還回路を構成する。その容量値を可変に設定されるキャパシタCVと、インダクタ素子LCとにより差動型のLC共振回路が構成される。そしてVCO546の発振周波数は、キャパシタCVの容量値とインダクタ素子LCのインダクタンスにより設定される。
【0115】
図13のLNA510のインダクタ素子LG、LS、LDや、図14のVCOのインダクタ素子LCは、例えばループコイルとして半導体チップ10上に形成される。そして図7(A)、図7(B)に示すような切り欠き部14、16を設ければ、インダクタ素子LG、LS、LD、LCのインダクタンスのシフト等を防止でき、適正な回路動作を実現できる。
【0116】
6.レイアウト配置
図15に本実施形態の集積回路12(無線回路)の半導体チップ10上でのレイアウト配置例を示す。受信回路は、例えば図12のLNA510等である。送信回路は、例えば図12のPA552等である。インダクタ素子14、16は、LNA510やVCO546に内蔵されるインダクタ素子である。アナログ回路は、受信回路や送信回路以外のアナログ回路である。ロジック回路は図12のベースバンドエンジン430や制御回路540である。
【0117】
図15では、インダクタ素子14、16は集積回路の中央部付近に配置される。具体的には、受信回路及び送信回路と、ロジック回路との間にインダクタ素子14、16の形成領域が設けられる。例えば半導体チップ10の第1、第2、第3、第4のチップ辺をSD1、SD2、SD3、SD4とした場合に、チップ辺SD4からSD2へと向かう方向に沿って、受信回路及び送信回路と、インダクタ素子形成領域と、ロジック回路が配置される。
【0118】
図16に、集積回路12のレイアウト配置と、スロットアンテナ50のスロット52との配置関係の例を示す。図16では、スロット52の中央部付近に対応する領域に、インダクタ素子14、16の形成領域が設けられている。
【0119】
例えば図16において、スロット52の対向する長辺を第1、第3のスロット辺SS1、SS3とし、スロット52の対向する短辺を第2、第4のスロット辺SS2、SS4とし、スロット辺SS2に沿ったラインを第1のラインLL1とし、スロット辺SS4に沿ったラインを第2のラインLL2としたとする。この場合に、図16の半導体チップ10では、第1、第2のラインLL1、LL2の間の領域(平面視においてLL1とLL2の間の領域)に、インダクタ素子形成領域が設けられている。
【0120】
また、例えばスロット52の中心点を通る中心ラインMLと第1のラインLL1の真ん中を通り、中心ラインMLに平行なラインを第3のラインLL3とし、中心ラインMLと第2のラインLL2の真ん中を通り、中心ラインMLに平行なラインを第4のラインLL4としたとする。この場合に図16では、第3のラインLL3と第4のラインLL4の間の領域(平面視においてLL3とLL4の間の領域)に、インダクタ素子形成領域が設けられている。
【0121】
即ち、スロットアンテナ50では、スロット52の中央部(キャパシタCP)の付近において電流密度が低く、スロット辺SS2、SS4に沿ったラインLL1、LL2の付近では電流密度が高い。従って、ラインLL1、LL2の付近にインダクタ素子14、16を配置すると、インダクタ素子14、16のインダクタンスが設計値からシフトしてしまうなどの事態が生じるおそれがある。
【0122】
この点、図16では、電流密度が低いスロット52の中央部付近に、インダクタ素子14、16が配置される。従って、インダクタ素子14、16のインダクタンスのシフトを最小限に抑えることができ、増幅回路(LNA)の発振や、PLL(VCO)の誤動作等を防止できる。
【0123】
また図16では、スロット52は、半導体チップ10に対して斜めに(平面視において斜めに)、スロットアンテナ50に形成される。具体的にはスロット52は、そのスロット辺SS1、SS2、SS3、SS4が、半導体チップ10のいずれのチップ辺SD1、SD2、SD3、SD4とも平行にならないように、スロットアンテナ50に形成(配置)される。このようにすれば、四角形(四辺形)の半導体チップ10の対角線の方向に沿ってスロット52が配置されるようになるため、スロット長を長くすることが可能になる。このようにスロット長を長くすることで、アンテナ利得を向上できる。なおスロット52の傾き角度は、図16に限定されず、半導体チップ10の形状、スロット52の形状、外部端子の配置位置等を考慮して、適宜、設定すればよい。
【0124】
7.電子機器
次に本実施形態の電子機器について図17(A)〜図17(C)を用いて説明する。なお本実施形態の電子機器は図17(A)〜図17(C)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0125】
図17(A)は本実施形態の電子機器の第1の構成例である。この第1の構成例の電子機器は、本実施形態の半導体装置900とセンサデバイス910を含む。図17(A)の電子機器では、センサデバイス910(物理量トランスデューサ)が、各種の物理量(力、加速度、質量等)を検出する。そして物理量を電流(電荷)や電圧等に変換して、検出信号として出力する。
【0126】
半導体装置900(無線回路)は、センサデバイス910からの検出信号を受け、検出信号の増幅や、増幅後の信号に対する各種の信号処理を行う。そして信号処理により得られたデータを、図1(A)等で説明したスロットアンテナ50を用いて外部機器(相手側の電子機器)に送信する。また半導体装置900は、スロットアンテナ50を用いて外部機器からのデータを受信し、ID認証を行ったり、センサデバイス910の制御等を行う。
【0127】
図17(B)は本実施形態の電子機器の第2の構成例である。この第2の構成では、図17(A)の第1の構成例に対して、更に電源装置920が設けられている。この電源装置920は、例えばバッテリ(電池)や電源回路により構成できる。そして半導体装置900は、この電源装置920から供給される電源に基づいて動作する。なお、スロットアンテナ50を用いて、非接触(無接点)で外部機器から電力を供給する場合には、電源装置920の構成は省略できる。
【0128】
図17(C)は本実施形態の第3の構成例である。図17(C)の電子機器は、CPU930(広義にはプロセッサ)とメモリ940と半導体装置900を含む。
【0129】
CPU930は、電子機器全体の制御や、メモリ940の読み出し、書き込み制御や、半導体装置900の制御を行う。CPU930の機能は、CPU930のハードウェアと、CPU930上で動作するソフトウェア(ファームウェア)により実現できる。
【0130】
メモリ940は、CPU930や半導体装置900(無線回路、通信装置)のワーク領域となるメモリであり、各種データを記憶する。このメモリ940はRAM等により実現できる。
【0131】
半導体装置900は、CPU930からの指示に基づいて、メモリ940に記憶されるデータ等の各種データを、スロットアンテナ50を用いて外部機器に送信する。また外部機器からのデータをスロットアンテナ50を用いて受信して、CPU930に転送したり、CPU930を介してメモリ940に転送して書き込む。
【0132】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また半導体装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。また半導体装置の構造も図4(A)、図4(B)の詳細な構造例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1(A)、図1(B)は本実施形態の半導体装置の例。
【図2】図2(A)、図2(B)は電界や磁界の方向についての説明図。
【図3】図3(A)〜図3(C)はキャパシタを設ける手法の説明図。
【図4】図4(A)、図4(B)は半導体装置の詳細な構造例。
【図5】図5(A)、図5(B)は外部端子に対応した切り欠き部を設ける手法の説明図。
【図6】切り欠き部の配置手法の説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)はインダクタ素子に対応した切り欠き部を設ける手法の説明図。
【図8】グランド板を設ける手法の説明図。
【図9】無線回路の第1の構成例。
【図10】図10(A)、図10(B)は復調回路の説明図。
【図11】無線回路の第2の構成例。
【図12】無線回路の第3の構成例。
【図13】LNAの構成例。
【図14】VCOの構成例。
【図15】集積回路のレイアウト配置例。
【図16】集積回路のレイアウト配置とスロットとの配置関係の説明図。
【図17】図17(A)〜図17(C)は本実施形態の電子機器の構成例。
【符号の説明】
【0134】
10 半導体チップ、12 集積回路、13 主面、14、16 インダクタ素子、
20 パシベーション膜、22、24 電極、30 絶縁層、32 グランド板、
40 導電層、48 導電層、50 スロットアンテナ、52 スロット、
56 コンタクト、58、59 切り欠き部、60 絶縁層、70、72 コンタクト、
80、82、84 外部端子、85 切り欠き部、
200 受信回路、202 復調回路、203 RCフィルタ、
204 クロック抽出回路、206 データ再生回路、210 送信回路、
212 変調回路、220 整流/昇圧回路、230 制御回路、240 メモリ、
300 超再生検出回路、308 クエンチング発振制御回路、
310 超再生復調回路、320 IDパルス発生回路、330 ローパスフィルタ、
340 データ処理回路、400 BPF 410 インピーダンス整合回路、
420 通信回路、430 ベースバンドエンジン、500 スイッチ回路、
510 LNA、520 混合器、524 BPF、526 リミッタアンプ、
530 FM検波回路、532 LPF、534 データスライサ、
540 制御回路、542 LPF、544 PLL、546 VCO、
548 分周器、550 分波器、552 PA、900 半導体装置、
910 センサデバイス、920 電源装置、930 CPU、940 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路が形成される半導体チップと、
少なくとも1つのスロットを有し、前記半導体チップの主面に直交する方向を第1の方向とした場合に前記半導体チップの前記第1の方向に少なくとも絶縁層を介して設けられ、前記半導体チップの前記集積回路に電気的に接続されるスロットアンテナと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記スロットアンテナにより形成される磁界の方向が、前記半導体チップの前記主面に平行になるように前記スロットアンテナが設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2おいて、
前記スロットの対向する長辺を第1、第3のスロット辺とし、前記スロットの対向する短辺を第2、第4のスロット辺とした場合に、その一端が、前記第1のスロット辺に沿った第1の内縁部に電気的に接続され、その他端が、前記第3のスロット辺に沿った第3の内縁部に電気的に接続されるキャパシタを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記キャパシタの第1の電極は、第1の導電層により形成され、
前記キャパシタの第2の電極は、前記スロットアンテナを形成する導電層であって、前記第1の導電層の前記第1の方向に設けられる第2の導電層により形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記スロットアンテナと前記キャパシタの前記第1の電極とを電気的に接続するためのコンタクトが、前記第1の内縁部に形成され、
前記キャパシタの前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記スロット又は前記第3の内縁部において平面視においてオーバラップするように形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記スロットアンテナは、
前記半導体チップの端子を半導体装置の外部端子に電気的に接続するための外部接続用配線を形成する導電層により形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記外部端子として、少なくともその一部がボール状の形状の外部端子が設けられ、
前記スロットアンテナとして、前記スロットが穴部として形成され、その主面が前記半導体チップの主面と平行な板状のスロットアンテナが設けられ、
前記半導体チップと板状の前記スロットアンテナとの間に、樹脂層で形成された前記絶縁層が設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記スロットアンテナには、半導体装置の外部端子の形成領域に対応する領域に、前記外部端子と前記スロットアンテナとの短絡を避けるための少なくとも1つの切り欠き部が形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記スロットアンテナには、前記少なくとも1つの切り欠き部として複数の切り欠き部が形成され、
前記スロットの対向する長辺を第1、第3のスロット辺とし、前記スロットの対向する短辺を第2、第4のスロット辺とし、前記スロットの中心点を通り前記第2、第4のスロット辺に平行なラインを中心ラインとした場合に、前記スロットアンテナには、前記中心ラインに近づくほど前記複数の切り欠き部の密度が高くなるように前記複数の切り欠き部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれにおいて、
前記半導体チップでは、インダクタ素子形成領域にインダクタ素子が形成され、
前記スロットアンテナには、少なくとも1つの切り欠き部が形成され、
前記スロットアンテナでは、前記インダクタ素子形成領域と前記切り欠き部とが平面視においてオーバラップするように前記切り欠き部が形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれにおいて、
前記半導体チップでは、インダクタ素子形成領域にインダクタ素子が形成され、
前記スロットアンテナでは、前記インダクタ素子形成領域と前記スロットとが平面視においてオーバラップするように前記スロットが形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれにおいて、
前記スロットアンテナと前記半導体チップの間に、イメージ効果によって前記スロットアンテナの利得を高めるためのグランド板が設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれにおいて、
前記半導体チップには、前記集積回路として、前記スロットアンテナを用いて無線通信を行う無線回路が形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれにおいて、
前記半導体チップでは、インダクタ素子形成領域にインダクタ素子が形成され、
前記スロットの対向する長辺を第1、第3のスロット辺とし、前記スロットの対向する短辺を第2、第4のスロット辺とし、前記第2のスロット辺に沿ったラインを第1のラインとし、前記第4のスロット辺に沿ったラインを第2のラインとした場合に、前記半導体チップでは、平面視において前記第1、第2のラインの間の領域に、前記インダクタ素子形成領域が設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれにおいて、
前記スロットは、そのスロット辺が、前記半導体チップのいずれのチップ辺とも平行にならないように、前記半導体チップに対して斜めに形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の半導体装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−111210(P2009−111210A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282853(P2007−282853)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コイル オン チップ
2.FRAM
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】