説明

半導体装置

【課題】昇圧回路の出力側に抵抗を挿入しつつも、内部電源電圧として十分な電圧を確保するとともに、抵抗での消費電力を削減する。
【解決手段】
半導体装置1aは、外部電源電圧VDDに応じた昇圧幅で内部電源電圧VCCを昇圧する昇圧回路10aと、外部電源電圧VDDと所定のリファレンス電圧VREF1とを比較する外部電圧レベル比較回路21aと、昇圧回路10aの出力端子に接続された可変抵抗を有する可変抵抗回路20aとを備え、可変抵抗回路20aは、外部電圧レベル比較回路21aの比較結果に応じて可変抵抗の抵抗値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、内部電源電圧の許容値超えを防止する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)やFLASHメモリなどの半導体装置では、外部電源電圧を利用して内部電源電圧を生成する昇圧回路が用いられる(例えば特許文献1を参照。)。昇圧回路が生成した内部電源電圧は、半導体装置の内部回路に供給される。
【0003】
昇圧回路は、クロック周期で内部電源電圧を引き上げる(昇圧する)機能を有する回路である。内部回路での電荷消費によって内部電源電圧の電圧値は徐々に下降するが、下降しても昇圧回路によって引き上げられるので、平均的に見れば一定値を維持することが可能になる。
【0004】
昇圧回路による内部電源電圧の引き上げ幅(昇圧幅)は外部電源電圧に依存する。つまり、外部電源電圧が大きいほど昇圧幅は大きくなり、外部電源電圧が小さいほど昇圧幅は小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−79493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の半導体装置の大容量化及び高速化に伴い、昇圧回路の供給能力を増強する必要が生じている。昇圧回路の出力側には通常、リップル除去用の平滑容量が設けられるが、昇圧回路の供給能力を増強すると内部電源電圧のリップルが増加するため、平滑容量の大型化が必要となっている。
【0007】
しかしながら、大型化した容量は広い面積を必要とする。したがって、平滑容量を大型化せずにリップルを除去できる技術が求められており、そのひとつとして本発明の発明者は、昇圧回路の出力側に抵抗を挿入することを検討している。リップルを除去する目的のひとつは、不要な高電圧が内部回路に供給されることによる内部回路の破壊を防止することにあり、抵抗を挿入すれば抵抗で電圧低下が発生することから、不要な高電圧が内部回路に供給される可能性を低減することが可能になる。
【0008】
しかしながら、昇圧回路の出力側に抵抗を挿入すると、内部電源電圧が全体として低下してしまうことから、特に外部電源電圧が低下した場合などに、十分な電圧が得られなくおそれがある。また、抵抗は電力を消費するが、このような電力消費は消費電力削減の観点から好ましくない。したがって、昇圧回路の出力側に抵抗を挿入しつつも、内部電源電圧として十分な電圧を確保するとともに、抵抗での消費電力を削減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による半導体装置は、外部電源電圧に応じた昇圧幅で内部電源電圧を昇圧する昇圧回路と、前記外部電源電圧と所定のリファレンス電圧とを比較する比較回路と、前記昇圧回路の出力端子に接続された可変抵抗を有する可変抵抗回路とを備え、前記可変抵抗回路は、前記比較回路の比較結果に応じて、前記可変抵抗の抵抗値を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部電源電圧とリファレンス電圧との比較結果に応じて可変抵抗の抵抗値を制御できることから、外部電源電圧が低下した場合においても内部電源電圧として十分な電圧を確保することが可能になる。また、可変抵抗の抵抗値を外部電源電圧に応じて最適化できるので、抵抗での消費電力を削減することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態による半導体装置1の機能ブロックを示す概略ブロック図である。
【図2】(a)は、本発明の第1の実施の形態によるOSC回路の具体的な回路構成を示す図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態による相補のクロック信号の具体的な例を示す図である。(c)は、本発明の第1及び第2の実施の形態によるチャージポンプ回路の具体的な回路構成を示す図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施の形態によるチャージポンプ回路の出力電圧VPRの外部電源電圧VDDに対する変化の概略を示す図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態による可変抵抗回路から出力される内部電源電圧VCCの変化の概略を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による可変抵抗回路及び外部電圧レベル比較回路の具体的な回路構成を示す図である。
【図5】(a)は、本発明の第1及び第2の実施の形態による比較器の具体的な回路構成を示す図である。(b)は、本発明の第1及び第2の実施の形態によるスイッチ素子の具体的な回路構成を示す図である。
【図6】(a)は、外部電源電圧VDDと、本発明の第1の実施の形態による分圧回路の出力電圧VDIV(分圧V〜V)との関係を示すグラフである。(b)は、第1〜第4のモードM1〜M4と、本発明の第2の実施の形態による各スイッチ素子のオンオフ状態によって実現されるノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態による半導体装置の機能ブロックを示す概略ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態によるOSC回路及びOSC制御回路の具体的な回路構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による可変抵抗回路及び外部電圧レベル比較回路の具体的な回路構成を示す図である。
【図10】(a)は、外部電源電圧VDDと、本発明の第2の実施の形態による分圧回路の出力電圧VDIV(分圧V〜V)との関係を示すグラフである。(b)は、第1〜第6のモードM1〜M6と、本発明の第2の実施の形態による各スイッチ素子のオンオフ状態によって実現されるノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRとの関係を示すグラフである。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施の形態による可変抵抗回路から出力される内部電源電圧VPPの変化の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置1aの機能ブロックを示す概略ブロック図である。
【0014】
半導体装置1aは、例えばDRAM、FLASHメモリ、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの半導体記憶装置であり、図1に示すように、昇圧回路10a、可変抵抗回路20a、外部電圧レベル比較回路21a、キャパシタ22、及び内部回路30を備えている。また、半導体装置1aは、外部端子として、外部電源電圧VDDが供給される電源端子2を備えている。半導体装置1aは他にも、コマンド端子、アドレス端子、データ入出力端子など各種の端子を備えているが、ここでは省略している。
【0015】
昇圧回路10a及び外部電圧レベル比較回路21aは入力ノードaを介して電源端子2に接続されており、それぞれ外部から外部電源電圧VDDの供給を受けている。また、外部電圧レベル比較回路21aは、図示しない定電圧源から、外部電源電圧VDDの規格値に等しい電圧値のリファレンス電圧VREF1の供給も受けている。
【0016】
昇圧回路10aは、外部電源電圧VDDを利用して電圧VPRを生成する回路である。具体的には、外部電源電圧VDDに応じた昇圧幅で、クロックごとに内部電源電圧を昇圧する。この昇圧動作は、図1に示すOSC(Oscillator)回路11a(クロック回路)及びチャージポンプ回路12によって実現される。これらの回路の具体的な回路構成及び動作については、後ほど説明する。
【0017】
可変抵抗回路20aは、図1では図示していないが、昇圧回路10aの出力端子と出力ノードbとの間に接続された可変抵抗と、その抵抗値を制御するための少なくとも1つのスイッチ素子とを有している。回路中に設けられた抵抗は電圧低下を引き起こすので、出力ノードbに現れる電圧(内部電源電圧VCC)は、可変抵抗による電圧低下分だけ昇圧回路10aの出力電圧VPRから電圧低下したものとなる。可変抵抗回路20aの具体的な回路構成及び動作についても、後ほど説明する。
【0018】
外部電圧レベル比較回路21aは、外部電源電圧VDDとリファレンス電圧VREF1を比較し、比較結果を可変抵抗回路20aに出力する回路である。可変抵抗回路20aは、こうして入力される比較結果に応じて、可変抵抗の抵抗値を制御する。外部電圧レベル比較回路21aの具体的な回路構成及び動作についても、後ほど説明する。
【0019】
キャパシタ22は、出力ノードbと、接地電位が供給されるグランド配線(以下、単に「接地電位」という。)との間に接続される。キャパシタ22はいわゆる平滑容量であり、内部電源電圧VCCからリップルを除去する役割を担っている。以下では、キャパシタ22の容量をCと表す。
【0020】
内部回路30は、半導体装置1aの主たる機能を実現するための回路であり、出力ノードbを通じて供給される内部電源電圧VCCを動作電源として動作する。一例として半導体装置1aがDRAMである場合、内部回路30は、メモリセルアレイやその周辺回路が該当する。
【0021】
ここで、本実施の形態では、内部回路30の消費電流Iが一定であると仮定する。可変抵抗回路20aは、そのような仮定の下で、昇圧回路10aが外部電源電圧VDDに応じた昇圧幅で内部電源電圧VCCを昇圧する際、不要な高電圧が内部回路30に入力されてしまうことを防止するために設けられる。詳しくは後述する。
【0022】
以下、OSC回路11a、チャージポンプ回路12、可変抵抗回路20a、及び外部電圧レベル比較回路21aの具体的な回路構成及び動作について、順に説明する。
【0023】
図2(a)は、OSC回路11aの具体的な回路構成を示す図である。同図に示すように、OSC回路11aは、奇数個(図2(a)では5個としている。)のインバータからなるディレイライン55aと、バッファ56と、インバータ57とを有している。ディレイライン55aの出力はディレイライン55aの入力に帰還接続されるとともに、バッファ56及びインバータ57それぞれに入力される。以上の構成により、バッファ56及びインバータ57それぞれから、相補のクロック信号Φ,/Φが出力される。
【0024】
図2(b)は、相補のクロック信号Φ,/Φの具体的な例を示す図である。同図に示すように、クロック信号Φ,/Φはいずれも所定の時間間隔でローとハイを繰り返す矩形信号であり、両信号間で位相が逆になっている。クロック信号Φ,/Φの具体的な電圧値はOSC回路11aの各インバータ及びバッファ56の動作電源の電圧に応じて決定される。ここでは、図示していないが、各インバータ及びバッファ56の動作電源の電圧を外部電源電圧VDD及び接地電圧(=0)としており、したがって、クロック信号Φ,/Φの電圧値は、ローのときに0、ハイのときにVDDとなる。
【0025】
図2(c)は、チャージポンプ回路12の具体的な回路構成を示す図である。同図に示すように、チャージポンプ回路12は、ブースター回路40、基板電位生成回路41、及びトランスファーゲート42を有している。なお、同図には、チャージポンプ回路12の構成要素ではないが、図1に示したキャパシタ22(平滑容量)も記載している。
【0026】
ブースター回路40は、外部電源電圧VDDが供給される電源配線(以下、この電源配線を単に「外部電源電圧VDD」という。)とクロック信号Φの入力端との間に接続されたキャパシタ43と、外部電源電圧VDDとクロック信号/Φの入力端との間に接続されたキャパシタ44とを有している。キャパシタ43,44の容量は同一の値Cである。キャパシタ43と外部電源電圧VDDとの間にはNチャンネル型MOSトランジスタ45,46が並列に接続され、キャパシタ44と外部電源電圧VDDとの間にはNチャンネル型MOSトランジスタ47,48が並列に接続される。以下、トランジスタ46とキャパシタ43の接続点をノードc、トランジスタ47とキャパシタ44の接続点をノードdと称する。トランジスタ45,48のゲートは外部電源電圧VDDに接続され、トランジスタ46のゲートはトランジスタ47のドレインに接続され、トランジスタ47のゲートはトランジスタ46のドレインに接続される。
【0027】
基板電位生成回路41は、ゲートがノードdに、ソースがノードcにそれぞれ接続されたPチャンネル型MOSトランジスタ49と、ゲートがノードcに、ソースがノードdにそれぞれ接続されたPチャンネル型MOSトランジスタ50とを有する。トランジスタ49のドレイン及びバックゲート並びにトランジスタ50のドレイン及びバックゲートは互いに接続され、さらにこれらの接続点であるノードeと接地電位の間にはキャパシタ51が接続される。以下では、ノードeの電位を基板電位VBGと称する。基板電位VBGは、初期状態ではフローティングである。
【0028】
トランスファーゲート42は、ゲートがノードdに、ソースがノードcにそれぞれ接続されたPチャンネル型MOSトランジスタ52と、ゲートがノードcに、ソースがノードdにそれぞれ接続されたPチャンネル型MOSトランジスタ53とを有する。トランジスタ52のドレインとトランジスタ53のドレインとは互いに接続される。昇圧回路10aの出力電圧VPRは、トランジスタ52,53の接続点であるノードfから取り出される。また、トランジスタ52,53のバックゲートには基板電位VBGが供給される。
【0029】
チャージポンプ回路12は、以上説明したブースター回路40、基板電位生成回路41、及びトランスファーゲート42の動作により、外部電源電圧VDDを利用して出力電圧VPRを昇圧する。以下、これらの回路の動作について、詳しく説明する。
【0030】
電源投入直後、クロック信号Φの電位が0、クロック信号/Φの電位がVDDであったとすると、ノードcの電位は、トランジスタ45がオンすることにより、少なくともVDD−Vtのレベルにチャージされる。ここでVtは、トランジスタ45〜48のしきい電圧である。次に、クロック信号Φの電位がVDD、クロック信号/Φの電位が0に切り替わると、ノードcの電位は、最大で2VDD−Vtに昇圧される。通常、2VDD−Vt≧VDD+Vtなので、トランジスタ47は完全にオンし、キャパシタ44のノードdがVDDがチャージされる。
【0031】
次に、クロック信号Φの電位が0、クロック信号/Φの電位がVDDに切り替わると、ノードcの電位は最大で2VDDとなる。これに伴い、トランジスタ45,46がオンとなり、トランジスタ47,48がオフになる。ノードcの電位はトランジスタ46がオンするのでVDDとなる。以下、この動作を繰り返すとノードcとノードdの電位は、高電位側で最大2VDD、低電位側でVDDのレベルを交互に取るようになる。ここで、もし、ノードcが高電位、ノードdが低電位ならば、トランジスタ49がオン、トランジスタ50がオフとなり、基板電位VBGがノードcの電位に等しくなる。同時に、トランジスタ52がオンとなり、トランジスタ53がオフとなり、ノードfとノードc接続されて、それらの電位は、出力電位VPRに等しくなる。
【0032】
電位VPRの具体的な値について説明する。チャージポンプ回路12の出力側(出力ノードb)には、図2(c)にも示すように、容量Cのキャパシタ22(平滑容量)が接続されている。なお、ノードfと出力ノードbの間には、実際には図1に示したように可変抵抗回路20aが挿入されるが、その機能は後に説明することとし、ここでは可変抵抗回路20aの存在を無視する。また、実際には内部回路30内のキャパシタによる影響も考慮する必要があるが、これも無視することにすると、クロック信号Φの電位がVDD、クロック信号/Φの電位が0であるとき、キャパシタ43とキャパシタ22とは、外部電源電位VDDと接地電位の間を直列に接続されることになる。
【0033】
したがって、キャパシタ22,43には、キャパシタ43に蓄積されたVDD分の電荷と、外部電源電位VDDから供給される電荷とが配分され、これと消費電流Iにより電位VPRが決まる。具体的には、電位VPRの平均値VPR(av.)は次の式(1)で表される。
【0034】
【数1】

【0035】
式(1)から理解されるように、電位VPRは、外部電源電圧VDDが高くなると上がり、消費電流Iが増加すると下がることになる。本実施の形態による可変抵抗回路20aは、外部電源電圧VDDが大きすぎることにより電位VPRが不必要に高くなり、その結果不要な高電圧が内部回路30に入力されてしまうことを防止するために設けられる。
【0036】
図3(a)は、本実施の形態での電圧VPRの変化の概略を示している。同図では、クロックの周期をtとしている。同図に示すように、外部電源電圧VDDがリファレンス電圧VREF1に等しいときにはノードfの平均レベルはVRP1となり、VREF1<V<VDD<Vのときには、VRP1より高いVRP2となる。電圧V,Vについては後述する。
【0037】
図3(a)並びに式(1)からも理解されるように、外部電源電圧VDDが変動によって上昇すると、それに伴い電圧VPRの平均値も上昇する。したがって、外部電源電圧VDDの大きさによっては、不要な高電圧が内部回路30に入力されてしまうケースが発生し得る。
【0038】
次に、可変抵抗回路20a及び外部電圧レベル比較回路21aの具体的な回路構成及び動作について説明する。
【0039】
図4は、可変抵抗回路20a及び外部電圧レベル比較回路21aの具体的な回路構成を示す図である。同図に示すように、可変抵抗回路20aは、図2(c)に示したノードfと出力ノードbとの間を直列に接続された3つの抵抗素子R〜Rと、それぞれ抵抗素子R〜Rと並列に接続されたスイッチ素子SW〜SWとを有している。また、外部電圧レベル比較回路21aは、外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続された4つの抵抗素子R〜Rを含む分圧回路60aと、3つの比較器P〜Pを含む比較回路61aとを有している。
【0040】
まず、分圧回路60aでは、抵抗素子R〜Rによって外部電源電圧VDDが分圧される。具体的には、抵抗素子R,Rの接続点から分圧Vが取り出され、抵抗素子R,Rの接続点から分圧Vが取り出され、抵抗素子R,Rの接続点から分圧Vが取り出される。分圧V〜Vの大小関係はV>V>Vとなる。以下では、分圧回路60aから出力される電圧(分圧V〜V)を出力電圧VDIVと総称する場合がある。
【0041】
比較回路61aは、比較器P〜Pにより分圧V〜Vとリファレンス電圧VREF1とを比較する。具体的には、比較器Pは分圧Vとリファレンス電圧VREF1とを比較し、分圧Vがリファレンス電圧VREF1より小さい場合に比較結果信号ONを活性化し、そうでない場合に非活性化する。また、比較器Pは分圧Vとリファレンス電圧VREF1とを比較し、分圧Vがリファレンス電圧VREF1より小さい場合に比較結果信号ONを活性化し、そうでない場合に非活性化する。さらに、比較器Pは分圧Vとリファレンス電圧VREF1とを比較し、分圧Vがリファレンス電圧VREF1より小さい場合に比較結果信号ONを活性化し、そうでない場合に非活性化する。
【0042】
図5(a)は、比較器Pの具体的な回路構成を示す図である。なお、ここでは比較器Pのみを取り上げて説明するが、比較器P,Pも比較器Pと同様の回路構成を有している。
【0043】
図5(a)に示すように、比較器Pは、バイアス回路、差動入力増幅回路、出力回路の3段構成を有している。
【0044】
バイアス回路は、抵抗素子62、Nチャンネル型MOSトランジスタ63,64、及びPチャンネル型MOSトランジスタ65を有しており、一定電圧を有するバイアス電圧VGN及びVGPを生成して出力する。具体的な構成を説明すると、まず、抵抗素子62とトランジスタ63とが、外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続されている。トランジスタ65とトランジスタ64も、外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続されている。また、トランジスタ63,65はそれぞれダイオード接続され、トランジスタ63のゲートとトランジスタ64のゲートとは互いに接続されている。バイアス電圧VGP及びVGNはそれぞれ、トランジスタ65のドレイン及びトランジスタ63のドレインから取り出される。以上の構成により、トランジスタ63,65それぞれのドレインから、一定電圧を有するバイアス電圧VGN及びVGPが出力される。
【0045】
差動入力増幅回路は、Pチャンネル型MOSトランジスタ66〜70及びNチャンネル型MOSトランジスタ71〜76を有しており、分圧Vとリファレンス電圧VREF1の差動増幅を行う。具体的な構成を説明すると、まず、トランジスタ66とトランジスタ71とが、外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続されている。トランジスタ68とトランジスタ76も、外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続されている。トランジスタ67のソースは外部電源電圧VDDに接続されている。トランジスタ69とトランジスタ72とは、トランジスタ67のドレインと接地電位の間を直列に接続されている。同様に、トランジスタ70とトランジスタ75も、トランジスタ67のドレインと接地電位の間を直列に接続されている。さらに、トランジスタ73はトランジスタ72のドレインと接地電位の間に接続され、トランジスタ74はトランジスタ75のドレインと接地電位の間に接続されている。
【0046】
トランジスタ72,75はそれぞれダイオード接続されている。また、トランジスタ66のゲートとトランジスタ68のゲートとは互いに接続され、トランジスタ71のゲートとトランジスタ72のゲートも互いに接続され、トランジスタ75のゲートとトランジスタ76のゲートも互いに接続されている。トランジスタ73のゲートはトランジスタ74のドレインに接続され、トランジスタ74のゲートはトランジスタ73のドレインに接続されている。
【0047】
分圧Vとリファレンス電圧VREF1はそれぞれ、トランジスタ69,70のゲートに入力される。また、トランジスタ67のゲートには、バイアス回路からバイアス電圧VGPが入力される。差動入力増幅回路の出力電圧(差動増幅の結果として得られる電圧)は、トランジスタ68,76の接続点から取り出される。
【0048】
分圧Vがリファレンス電圧VREF1より小さい場合、トランジスタ69,72,71,66,68がオンとなり、トランジスタ70,75,76がオフとなるため、差動入力増幅回路の出力電圧は外部電源電圧VDDとなる。一方、分圧Vがリファレンス電圧VREF1より大きい場合、トランジスタ70,75,76がオンとなり、トランジスタ69,72,71,66,68がオフとなるため、差動入力増幅回路の出力電圧は接地電位に等しくなる。このように、差動入力増幅回路の出力電圧は、分圧Vがリファレンス電圧VREF1より少しでも小さいと外部電源電圧VDD、少しでも大きいと接地電位となり、分圧Vとリファレンス電圧VREF1の差を増幅したものとなっている。なお、トランジスタ73,74は、差動増幅の結果にヒステリシスを持たせるために設けられているものである。
【0049】
出力回路は、Pチャンネル型MOSトランジスタ77,79及びNチャンネル型MOSトランジスタ78,80を有しており、差動増幅の結果を反映した比較結果信号ONを生成し、出力する。具体的には、トランジスタ77とトランジスタ78とが外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続され、トランジスタ79とトランジスタ80も外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続されている。差動入力増幅回路の出力電圧は、トランジスタ77のゲートに入力される。トランジスタ78,79のゲートにはそれぞれ、バイアス回路からバイアス電圧VGN及びVGPが入力される。トランジスタ80のゲートはトランジスタ77,78の接続点に接続され、比較結果信号ONはトランジスタ79,80の接続点から取り出される。以上の構成により、比較結果信号ONは、分圧Vがリファレンス電圧VREF1より小さい場合に外部電源電圧VDD(活性状態)、そうでない場合に接地電位(非活性状態)の電圧を有する信号となる。
【0050】
図4に戻る。可変抵抗回路20a内の各スイッチ素子SW〜SWには、それぞれ比較結果信号ON〜ONが入力される。各スイッチ素子SW〜SWは、入力される比較結果信号が活性化されている場合にオン、されていない場合にオフとなる。
【0051】
図5(b)は、スイッチ素子SWの具体的な回路構成を示す図である。なお、ここではスイッチ素子SWのみを取り上げて説明するが、スイッチ素子SW,SWもスイッチ素子SWと同様の回路構成を有している。
【0052】
図5(b)に示すように、スイッチ素子SWは、動作電源として外部電源電圧VDDと接地電位が入力されるインバータ81と、Nチャンネル型MOSトランジスタ82,83と、Pチャンネル型MOSトランジスタ83〜86と、対応する抵抗素子Rと並列に設けられた配線87とを有している。
【0053】
比較結果信号ONは、インバータ81とトランジスタ83のゲートにそれぞれ入力される。インバータ81の出力は、トランジスタ82のゲートに入力される。トランジスタ84,82は、配線87と接地電位の間を直列に接続される。また、トランジスタ85,83も、配線87と接地電位の間を直列に接続される。トランジスタ84のゲートはトランジスタ85のドレイン(トランジスタ85,83の接続点)に接続され、トランジスタ85のゲートはトランジスタ84のドレイン(トランジスタ84,82の接続点)に接続される。また、トランジスタ84,85の各バックゲートは配線87に接続される。トランジスタ86は配線87の途中に挿入され、そのゲートはトランジスタ85のドレインに接続される。
【0054】
以上の構成により、比較結果信号ONが活性化されているとき、すなわち外部電源電圧VDDに等しいとき、トランジスタ82,85がオフ、トランジスタ83,84がオンとなってトランジスタ86のゲートに接地電位が供給されるため、トランジスタ86がオンとなり、配線87が導通する。つまり、抵抗素子Rが短絡される。一方、比較結果信号ONが活性化されていないとき、すなわち接地電位に等しいとき、トランジスタ82,85がオン、トランジスタ83,84がオフとなってトランジスタ86のゲートに電圧VPRが供給されるため、トランジスタ86がオフとなり、配線87が断線する。
【0055】
図6(a)は、外部電源電圧VDDと、分圧回路60aの出力電圧VDIV(分圧V〜V)との関係を示すグラフである。同図では、横軸を外部電源電圧VDD、縦軸を出力電圧VDIVとしている。同図に示すように、分圧V〜Vがそれぞれリファレンス電圧VREF1に等しくなるとき、外部電源電圧VDDは電圧V〜V(V<V<V)となる。この電圧V〜Vを用いれば、比較結果信号ON〜ONの活性化状態を外部電源電圧VDDの大小関係と対応付けることが可能になる。
【0056】
つまり、比較結果信号ON〜ONがすべて活性化されている場合(以下、第1のモードM1と称する。)には、分圧V〜Vがいずれもリファレンス電圧VREF1より小さく、したがって外部電源電圧VDDは電圧Vより小さいこととなる。また、比較結果信号ONが非活性とされ、比較結果信号ON,ONが活性化されている場合(以下、第2のモードM2と称する。)には、外部電源電圧VDDは電圧Vと電圧Vの間の値を取ることとなる。以下同様に、比較結果信号ON,ONが非活性とされ、比較結果信号ONが活性化されている場合(以下、第3のモードM3と称する。)には、外部電源電圧VDDは電圧Vと電圧Vの間の値を取り、比較結果信号ON〜ONがすべて非活性とされている場合(以下、第4のモードM4と称する。)には、外部電源電圧VDDは電圧Vより大きくなる。
【0057】
図6(b)は、第1〜第4のモードM1〜M4と、スイッチ素子SW〜SWのオンオフ状態によって実現されるノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRとの関係を示すグラフである。同図では、横軸を外部電源電圧VDDとし、縦軸は抵抗値SRの対数軸としている。
【0058】
図6(b)に示すように、第1のモードM1における抵抗値SRは4つのモードの中で最も小さく、具体的にはほぼゼロである。これは、スイッチ素子SW〜SWがすべてオンとなることによって抵抗素子R〜Rがすべて短絡されていることに対応している。なお、配線抵抗などが存在するため、抵抗値SRが厳密にゼロになることは通常ない。第2のモードM2における抵抗値SRは4つのモードの中で2番目に小さく、抵抗素子Rの抵抗値R(以下同様に、抵抗素子Xの抵抗値をXと表す。)にほぼ等しくなる。これは、スイッチ素子SWがオフとなって抵抗素子Rが短絡されず、一方でスイッチ素子SW,SWがオンとなって抵抗素子R,Rが短絡されていることに対応している。第3のモードM3における抵抗値SRは4つのモードの中で3番目に小さく、抵抗素子R,Rを直列につないだ場合の抵抗値R+Rにほぼ等しくなる。これは、スイッチ素子SW,SWがオフとなって抵抗素子R,Rが短絡されず、一方でスイッチ素子SWがオンとなって抵抗素子Rが短絡されていることに対応している。第4のモードM4における抵抗値SRは4つのモードの中で最も大きく、抵抗素子R〜Rを直列につないだ場合の抵抗値R+R+Rにほぼ等しくなる。これは、スイッチ素子SW〜SWがすべてオフとなることによって抵抗素子R〜Rがいずれも短絡されないことに対応している。
【0059】
このように、ノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRは、可変抵抗回路20aのモードによって可変となっている。しかも、外部電源電圧VDDが大きいほど抵抗値SRが大きくなることから、外部電源電圧VDDが大きいほど内部電源電圧VCCの電圧を低下させることができ、不要な高電圧が内部回路30に供給される可能性を低減することが可能になっている。逆に言えば、外部電源電圧VDDが低下したときには抵抗値SRが小さくなることから、外部電源電圧VDDが低下した場合においても、内部電源電圧VCCとして十分な電圧を確保することが可能になる。
【0060】
図3(b)は、可変抵抗回路20aから出力される内部電源電圧VCCの変化の概略を示す図である。同図には、図3(a)と同じ条件で外部電源電圧VDDが変化した場合の内部電源電圧VCCの変化を描いている。
【0061】
図3(a)と図3(b)を比較すると理解されるように、外部電源電圧VDDがリファレンス電圧VREF1に等しい場合、内部電源電圧VCCは電圧VPR(=VRP1=VCC1)に等しくなる。これは、可変抵抗回路20aのモードが第1のモードM1であり、ノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRがほぼゼロとなっていることに対応している。一方、外部電源電圧VDDが電圧Vと電圧Vの間の値まで上昇すると、ノードfの電位はVRP2まで上昇するが、ノードbの電位VCCはVPR2に比べて低下する。これは、可変抵抗回路20aのモードが第2のモードM2となり、ノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRが抵抗値Rにほぼ等しくなったことに対応している。つまり、抵抗値Rによって電圧低下が発生したのである。具体的には、ノードbの電位はノードfの電位よりR×Iだけ低下する。抵抗値Rの値を適当に選べば、VCC1と等しくすることもできる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態による半導体装置1aによれば、外部電源電圧VDDが上昇したときには抵抗値SRが大きくなり、不要な高電圧が内部回路30に供給される可能性が低減される一方、外部電源電圧VDDが低下したときには抵抗値SRが小さくなり、内部電源電圧VCCとして十分な電圧を確保することが可能になる。また、外部電源電圧VDDに対する内部電源電圧VCCの上昇が抑えられるので、内部回路30の消費電流を低減することも可能になる。
【0063】
図7は、本発明の第2の実施の形態による半導体装置1bの機能ブロックを示す概略ブロック図である。
【0064】
図7に示すように、半導体装置1bは、昇圧回路10a、可変抵抗回路20a,及び外部電圧レベル比較回路21aがそれぞれ昇圧回路10b、可変抵抗回路20b,及び外部電圧レベル比較回路21bに置き換わっている点で、第1の実施の形態による半導体装置1aと相違する。また、本実施の形態においては、出力ノードbに現れる電圧を内部電源電圧VPPと称する。以下、相違点を中心に説明する。
【0065】
昇圧回路10bは、OSC回路11aに代えてOSC回路11bを有し、さらにOSC制御回路13も有する点で昇圧回路10aと相違する。昇圧回路10bは、これらOSC制御回路13及びOSC回路11bの動作により、内部電源電圧VPPが所定の規格値VPPMを超えた場合に昇圧動作を停止する。これにより、内部回路30の消費電力が少ない場合であっても、出力電圧VPRが上昇し続けることが防止される。
【0066】
しかしながら、内部電源電圧VPPが規格値VPPMより大きくなってから、チャージポンプ回路12による昇圧動作が停止されるまでには、一定の遅延(ディレイ)が生ずる。この遅延が生ずること自体は昇圧回路10bの構造上やむを得ないことであるが、遅延している間に内部電源電圧VPPが高くなりすぎるおそれがある。本実施の形態による可変抵抗回路20bは、このような遅延による内部電源電圧VPPの過上昇を防止する目的で設けられている。以下、回路ごとに詳しく説明する。
【0067】
図8は、OSC回路11b及びOSC制御回路13の具体的な回路構成を示す図である。
【0068】
まず、OSC制御回路13は、抵抗素子R,R及び比較器90を有している。抵抗素子R,Rは、出力ノードb(内部電源電圧VPP)と接地電位との間を直列に接続され、その接続点には比較器90の非反転入力端子が接続される。これにより、比較器90の非反転入力端子には内部電源電圧VPPの分圧VPP×R/(R+R)が入力されることになる。比較器90の反転入力端子には、図示しない定電圧源から所定の電圧値を有するリファレンス電圧VREF2が入力される。
【0069】
比較器90は、内部電源電圧VPPの分圧VPP×R/(R+R)と、リファレンス電圧VREF2とを比較する回路である。比較器90の出力は、前者が後者より大きい場合にハイレベル、そうでない場合にローレベルとなる。比較器90の具体的な回路構成としては、図5(a)に示した比較器Pと同様のものを用いればよい。
【0070】
リファレンス電圧VREF2の具体的な電圧値はVPPM×R/(R+R)とする。これにより、比較器90の出力は、内部電源電圧VPPと規格値VPPMとを比較した結果を反映したものとなる。
【0071】
次に、OSC回路11bは、図2(a)に示したOSC回路11aの構成において、ディレイライン55aをディレイライン55bで置き換えた構成を有している。ディレイライン55bは、奇数個(図8では5個としている。)のインバータを有する点ではディレイライン55aと同様であるが、1段目のインバータと2段目のインバータの間にNAND回路91を有している点でディレイライン55aと相違する。
【0072】
NAND回路91には、1段目のインバータの出力とディレイライン55bの出力とが入力される。したがって、1段目のインバータの出力がハイレベルである場合、ディレイライン55bは、ディレイライン55aと同様にハイレベルとローレベルを繰り返し出力する。その結果、OSC回路11bの出力は、図2(b)に示したものと同様の相補のクロック信号Φ,/Φとなる。一方、1段目のインバータの出力がローレベルである場合、NAND回路91の出力が常にローレベルとなるため、ディレイライン55bの出力も常にローレベルとなり、バッファ56及びインバータ57の出力はそれぞれ常にローレベル及び常にハイレベルとなる。つまり、OSC回路11bは相補のクロック信号Φ,/Φの出力を停止する。
【0073】
1段目のインバータには、比較器90の出力が入力される。したがって、内部電源電圧VPPが規格値VPPMより大きい場合、1段目のインバータにはハイレベルが入力され、OSC回路11bは相補のクロック信号Φ,/Φの出力を停止する。この場合、チャージポンプ回路12は昇圧動作を停止し、内部電源電圧VPPは内部回路30等での電力消費とともに低下する一方となる。一方、内部電源電圧VPPが規格値VPPMより小さい場合、1段目のインバータにはローレベルが入力され、OSC回路11bの出力は、図2(b)に示したものと同様の相補のクロック信号Φ,/Φとなる。この場合には、チャージポンプ回路12は第1の実施の形態で説明したものと同様の昇圧動作を行う。
【0074】
図9は、可変抵抗回路20b及び外部電圧レベル比較回路21bの具体的な回路構成を示す図である。
【0075】
同図に示すように、可変抵抗回路20bは、抵抗素子R〜R,Rと、スイッチ素子SW〜SWとを有している。抵抗素子R〜Rはノードfと出力ノードbとの間に並列接続されており、抵抗素子Rは抵抗素子R〜Rとノードfとの間に挿入されている。また、スイッチ素子SW〜SWはそれぞれ抵抗素子R〜Rと直列に接続され、スイッチ素子SWは抵抗素子Rと並列に接続されている。外部電圧レベル比較回路21bは、外部電源電圧VDDと接地電位の間を直列に接続された6つの抵抗素子R〜Rを含む分圧回路60bと、5つの比較器P〜Pを含む比較回路61bとを有している。
【0076】
外部電圧レベル比較回路21bは、6つの抵抗素子R〜Rによって外部電源電圧VDDを5つ(分圧V〜V)に分圧し、各分圧に対応して比較結果信号も5つ(比較結果信号ON〜ON)出力する点で、外部電圧レベル比較回路21aと相違する。それ以外の点は外部電圧レベル比較回路21aと同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0077】
可変抵抗回路20b内の各スイッチ素子SW〜SWには、それぞれ比較結果信号ON〜ONが入力される。各スイッチ素子SW〜SWは、入力される比較結果信号が活性化されている場合にオン、されていない場合にオフとなるように構成されている。これに対し、スイッチ素子SWは、出力ノードbに流れる負荷電流が所定値より小さい場合にオフとなり、そうでない場合にオンとなるよう構成されている。負荷電流が所定値より小さい場合とは、内部回路30がスタンバイ状態である場合を指している。つまり、スイッチ素子SWは、内部回路30がスタンバイ状態であるときにオフとなり、そうでないとき、すなわち通常動作中であるときにオンとなるよう構成されている。各スイッチ素子SW〜SWの具体的な構成は、第1の実施の形態において図5(b)を参照して説明したものと同様である。
【0078】
図10(a)は、外部電源電圧VDDと、分圧回路60aの出力電圧VDIV(分圧V〜V)との関係を示すグラフである。縦軸及び横軸は、図6(a)と同様である。同図に示すように、分圧V〜Vがそれぞれリファレンス電圧VREF1に等しくなるとき、外部電源電圧VDDは電圧V〜V(V<V<V<V<V)となる。本実施の形態でも第1の実施の形態と同様、この電圧V〜Vをしきい値として可変抵抗回路20bの比較結果信号ON〜ONの活性化状態が変化する。以下では、外部電源電圧VDDの小さい方から順に、対応する比較結果信号ON〜ONの活性化状態の組み合わせを第1のモードM1〜第6のモードM6と称することとする。
【0079】
図10(b)は、第1〜第6のモードM1〜M6と、スイッチ素子SW〜SWのオンオフ状態によって実現されるノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRとの関係を示すグラフである。縦軸及び横軸は、図6(b)と同様である。
【0080】
図10(b)に示すグラフG1,G2はそれぞれ、スイッチ素子SWがオン(内部回路30が通常動作中),オフ(内部回路30がスタンバイ中)である場合を示している。図10(b)にも示すように、各モードにおける抵抗値SRは、次の表1のように表される。ただし、//は並列に接続した抵抗の合成抵抗を求める演算子である。例えば抵抗Xと抵抗Yを並列に接続した場合の合成抵抗は、X//Y=1/(1/X+1/Y)となる。
【0081】
【表1】

【0082】
このように、本実施の形態でも、ノードfと出力ノードbとの間の抵抗値SRは、可変抵抗回路20bのモードによって可変となっている。しかも、外部電源電圧VDDが大きいほど抵抗値SRが大きくなることから、外部電源電圧VDDが大きいほど内部電源電圧VPPの電圧を低下させることができ、不要な高電圧が内部回路30に供給される可能性を低減することが可能になっている。逆に言えば、外部電源電圧VDDが低下したときには抵抗値SRが小さくなることから、外部電源電圧VDDが低下した場合においても、内部電源電圧VPPとして十分な電圧を確保することが可能になる。
【0083】
また、抵抗値SRは、内部回路30の動作状態によっても可変とされている。これは、スタンバイ中は内部回路30の消費電力が少なく、内部電源電圧VPPが上昇しやすくなることを反映したもので、スタンバイ中に抵抗値SRが大きくなることで、不要な高電圧が内部回路30に供給される可能性を低減することが可能になっている。逆に言えば、通常動作中には抵抗値SRが小さくなることから、通常動作中において内部電源電圧VPPとして十分な電圧を確保することが可能になる。
【0084】
図11(a)〜(c)は、可変抵抗回路20bから出力される内部電源電圧VPPの変化の概略を示す図である。図11(a)〜(c)では、内部電源電圧VPPが規格値VPPMより大きくなってから、チャージポンプ回路12による昇圧動作が停止されるまでの遅延時間を3クロック分としている。また、各図に示すVPPMAXn(nは1〜7までの整数)は、この遅延時間内における内部電源電圧VPPの最大値を示している。
【0085】
図11(a)に示す電圧VPPは、外部電源電圧VDDがV<VDD<Vの関係を満たし、かつ内部回路30が通常動作中である場合の内部電源電圧VPPである。この場合、可変抵抗回路20bのモードは第3のモードM3となる。
【0086】
図11(a)には、比較のために、可変抵抗回路20bのモードを第1のモードM1とし、その他の条件は電圧VPPと同一とした場合の内部電源電圧VPPである電圧VPPも示している。電圧VPPと電圧VPPとを比較すると明らかなように、電圧VPPと電圧VPPとでは上昇時の傾きが異なっている。具体的には、クロックごとの電圧VPPの上昇幅が、電圧VPPの上昇幅に比べて小さくなっている。その結果、電圧VPPの最大値VPPMAX1は、電圧VPPの最大値VPPMAX2と比べて小さな値となっている。つまり、本実施の形態による可変抵抗回路20bを利用したことで、遅延による内部電源電圧VPPの過上昇が抑えられている。
【0087】
図11(b)に示す電圧VPPは、外部電源電圧VDDがV<VDDの関係を満たし、かつ内部回路30が通常動作中である場合の内部電源電圧VPPである。この場合、可変抵抗回路20bは第6のモードM6となる。
【0088】
図11(b)には、比較のために、可変抵抗回路20bのモードを第1のモードM1とし、その他の条件は電圧VPPと同一とした場合の内部電源電圧VPPである電圧VPPも示している。電圧VPPを図11(a)に示した電圧VPPと比較すると明らかなように、電圧VPPの最大値VPPMAX4は、電圧VPPの最大値VPPMAX2よりもさらに大きくなっている。これは、外部電源電圧VDDがより大きくなっているためである。しかし、そうであるにもかかわらず、電圧VPPの最大値VPPMAX3は、電圧VPPの最大値VPPMAX1と同程度に抑えられている。このように、本実施の形態による可変抵抗回路20bを利用すれば、外部電源電圧VDDがより大きく変動したとしても、遅延による内部電源電圧VPPの過上昇を適切に抑えることが可能になる。
【0089】
図11(c)に示す電圧VPPは、外部電源電圧VDDがV<VDD<Vの関係を満たし、かつ内部回路30がスタンバイ中である場合の内部電源電圧VPPである。この場合、可変抵抗回路20bは第3のモードM3となり、さらにスイッチ素子SWがオフとなる。電圧VPPの下降時の傾きは、図11(a)の電圧VPPなどに比べて緩やかになっている。これは、内部回路30がスタンバイ中であり、消費電力が少ないことを反映している。
【0090】
図11(c)には、比較のために、スイッチ素子SWをオンとし、その他の条件は電圧VPPと同一とした場合の内部電源電圧VPPである電圧VPPも示している。さらに、可変抵抗回路20bのモードを第1のモードM1とし、その他の条件は電圧VPPと同一とした場合の内部電源電圧VPPである電圧VPPも示している。
【0091】
電圧VPP及び電圧VPPは、図11(a)に示した電圧VPP及び電圧VPPにおいて内部回路30をスタンバイとした場合に相当する。図11(a)と図11(c)を比較すると理解されるように、電圧VPPの最大値VPPMAX6及び電圧VPPの最大値VPPMAX7はそれぞれ、電圧VPPの最大値VPPMAX1及び電圧VPPの最大値VPPMAX2より大きくなっている。これは、内部回路30の消費電力が電圧VPPの例に比べて少ないためである。したがって、可変抵抗回路20bのモードを第3のモードM3としただけでは、内部電源電圧VPPの過上昇の抑制がまだ不十分であるが、電圧VPPの例で示すように、スイッチ素子SWをオフとすることで内部電源電圧VPPの過上昇が十分に抑制されるようになっている。このように、内部回路30がスタンバイ中である場合には、外部電源電圧VDDに応じて可変抵抗回路20bのモードを切り替えるとともに、スイッチ素子SWをオフとすることで、遅延による内部電源電圧VPPの過上昇を抑えることが可能になる。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態による半導体装置1bによれば、内部電源電圧VPPが規格値VPPMより大きくなってから、チャージポンプ回路12による昇圧動作が停止されるまでの間に、不要な高電圧が内部回路30に供給される可能性が低減される。また、抵抗値SRが外部電源電圧VDDに応じて最適化されるので、内部電源電圧VCCとして十分な電圧を確保することが可能になるとともに、可変抵抗回路20a内の可変抵抗での消費電力を削減することも実現される。さらに、内部回路30がスタンバイ中である場合にも、不要な高電圧が内部回路30に供給される可能性を適切に低減できる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0094】
例えば、上記第1及び第2の実施の形態ではそれぞれ可変抵抗回路のモードの数を4及び6としたが、モードの数はこれに限られるものではない。例えば、第1の実施の形態において、可変抵抗回路20a内で直列に接続される抵抗素子の数をn−1個(n≧2)、分圧回路60aの抵抗素子をn個、比較回路61a内の比較器をn−1個とすれば、モードの数をnとすることができる。同様に、第2の実施の形態において、可変抵抗回路20b内で並列に接続される抵抗素子の数をn個、分圧回路60bの抵抗素子をn個、比較回路61a内の比較器をn−1個とすれば、モードの数をnとすることができる。
【0095】
また、上記第1の実施の形態において、上記第2の実施の形態で説明した抵抗素子R及びスイッチ素子SWを用い、内部回路の消費電力に応じて可変抵抗の抵抗値を変更可能に構成してもよい。
【0096】
また、上記第1の実施の形態では可変抵抗回路20a内の抵抗素子R〜Rを直列に接続し、上記第2の実施の形態では可変抵抗回路20b内の抵抗素子R〜Rを並列に接続したが、これらはそれぞれ一例を示したものであり、上記第1の実施の形態において可変抵抗回路20a内の抵抗素子R〜Rを並列に接続し、上記第2の実施の形態において可変抵抗回路20b内の抵抗素子R〜Rを直列に接続してもよい。
【0097】
また、上記各実施の形態で説明した各回路の具体的な回路構成は上記実施の形態で説明したものに限定されるものではなく、同様の機能を有する回路であれば様々な回路構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0098】
1a,1b 半導体装置
2 電源端子
10a,10b 昇圧回路
11a,11b OSC回路
12 チャージポンプ回路
13 OSC制御回路
20a,20b 可変抵抗回路
21a,21b 外部電圧レベル比較回路
22,43,44,51 キャパシタ
30 内部回路
40 ブースター回路
41 基板電位生成回路
42 トランスファーゲート
45〜48,63,64,71〜76,78,80,82,83 Nチャンネル型トランジスタ
49〜53,65〜70,77,79.84〜86 Pチャンネル型トランジスタ
55a,55b ディレイライン
56 バッファ
57,81 インバータ
60a,60b 分圧回路
61a,61b 比較回路
62,R〜R,R〜R,R,R,R 抵抗素子
87 配線
90,P〜P 比較器
91 NAND回路
SW〜SW スイッチ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源電圧に応じた昇圧幅で内部電源電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記外部電源電圧と所定のリファレンス電圧とを比較する比較回路と、
前記昇圧回路の出力端子に接続された可変抵抗を有する可変抵抗回路とを備え、
前記可変抵抗回路は、前記比較回路の比較結果に応じて、前記可変抵抗の抵抗値を制御する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記外部電源電圧を分圧する分圧回路をさらに備え、
前記比較回路は、前記分圧回路から出力される前記外部電源電圧の分圧と前記リファレンス電圧とを比較する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記可変抵抗回路は、
前記分圧が前記リファレンス電圧より小さい場合に、前記可変抵抗を第1の抵抗値とし、
前記分圧が前記リファレンス電圧より大きい場合に、前記可変抵抗を前記第1の抵抗値より大きい第2の抵抗値とする
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記可変抵抗は、直列に接続された第1及び第2の抵抗素子を含み、
前記可変抵抗回路は、前記第2の抵抗素子と並列に接続されたスイッチ素子を有し、前記スイッチ素子をオンとすることにより前記可変抵抗を前記第1の抵抗値とするとともに、前記スイッチ素子をオフとすることにより前記可変抵抗を前記第2の抵抗値とする
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記可変抵抗は、並列に接続された第1及び第2の抵抗素子を含み、
前記可変抵抗回路は、前記第2の抵抗素子と直列に接続されたスイッチ素子を有し、前記スイッチ素子をオンとすることにより前記可変抵抗を前記第1の抵抗値とするとともに、前記スイッチ素子をオフとすることにより前記可変抵抗を前記第2の抵抗値とする
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記可変抵抗回路は、前記可変抵抗に流れる電流の値にも応じて、前記可変抵抗の抵抗値を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記可変抵抗回路は、
前記可変抵抗に流れる電流が相対的に小さい場合に、前記可変抵抗を相対的に大きい抵抗値とし、
前記可変抵抗に流れる電流が相対的に大きい場合に、前記可変抵抗を相対的に小さい抵抗値とする
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記昇圧回路は、
クロック信号を生成するクロック回路と、
前記クロック信号に応じて前記内部電源電圧を昇圧するチャージポンプ回路とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記昇圧回路は、
前記可変抵抗回路から出力される前記内部電源電圧に応じて前記チャージポンプ回路の動作を制限する制御回路をさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記可変抵抗回路の出力端子とグランド配線の間に接続された平滑容量をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記リファレンス電圧は、前記外部電源電圧の規格値である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−193579(P2011−193579A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55606(P2010−55606)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【出願人】(000233169)株式会社日立超エル・エス・アイ・システムズ (327)
【Fターム(参考)】