説明

半導体装置

【課題】半導体チップ内の銅配線が一部消失することを防ぐ。
【解決手段】上層プラグ一本当たりの下層の配線の面積が10000μm以上になるような大面積の多層配線を有する半導体装置において、前記多層配線が半導体基板1Sの主面においてn型拡散層NSを介してpウエルPWに接続される構造を形成せず、前記多層配線をp型拡散層PSを介してpウエルPWに接続する構造、前記多層配線をp型拡散層PSを介してn型拡散層NSに接続する構造、前記多層配線をn型拡散層NSを介してnウエルに接続する構造、または半導体基板1S上に形成されたMISFETのゲート電極に接続する構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、大面積の銅配線パターンを有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2007−273823号公報)には、ダミーコンタクトプラグを形成することにより、配線形成工程において銅(Cu)を含む下層配線の電気化学的な溶解を抑制することが記載されている。ここでは、特に半導体装置の製造工程中の洗浄時に下層配線の電気化学的な溶解が促進される旨の記載があり、配線を構成する銅が電気化学的な溶解によって消失する課題があることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−273823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、積層構造を有する半導体装置の配線パターンの微細化および配線回路の使用方法により、特定の上層プラグ(ビア)に対して大面積の銅(Cu)配線パターンを接続させるような回路を用いる研究がなされている。このように比較的長さが長く面積が大きい配線は、例えば半導体チップの外周に沿って、半導体チップ内の回路を囲むように形成されていることが考えられる。
【0005】
しかし、このような半導体装置では、前記上層プラグを形成する前の洗浄工程において前記上層プラグの下部に接する銅配線を構成する銅が洗浄液中に溶け出し、部分的に銅が消失することにより銅配線が途切れる可能性がある。
【0006】
すなわち、ある上層プラグの下層に比較的大きな面積を有する銅配線が接続された回路を含む半導体装置では、銅配線が部分的に消失してしまう問題があり、このような不具合が生じた場合、前記銅配線を有する回路が動作せず、半導体装置の信頼性が低下する。
【0007】
本発明の目的は、配線の部分的消失を防ぐことにある。
【0008】
本発明の前記の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
本発明の好ましい一実施の形態である半導体装置は、
半導体基板を含む半導体チップと、
前記半導体基板上に形成された第1接続部材の下層に形成され、前記第1接続部材と前記半導体基板とを電気的に接続する第1配線と、
前記半導体基板上に形成された第2接続部材の下層に形成され、前記第2接続部材と前記半導体基板とを電気的に接続する第2配線と、
を有し、
前記第1配線は前記半導体基板の主面にp型の第1半導体領域を介して形成されたn型の第2半導体領域には接続されておらず、
前記第2配線は前記半導体基板の主面にp型の第3半導体領域を介して形成されたn型の第4半導体領域に接続されており、
前記第1接続部材一本当たりの前記第1配線の面積は、前記第2接続部材一本当たりの前記第2配線の面積よりも大きいものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0012】
上記した本発明の好ましい一実施の形態によれば、配線の部分的消失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1である半導体装置の平面レイアウトである。
【図2】図1に示す半導体装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図28】図27に示す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図31】本発明の実施の形態2である半導体装置の断面図である。
【図32】比較例である半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
なお、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするために部分的にハッチングを付す場合がある。
【0016】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態の半導体チップ内の配線パターンの平面レイアウトを示す。図1は、積層構造を有する半導体チップCPの全体を示す平面レイアウトであり、半導体基板1Sの主面に形成された回路1、2、3および4と、回路1〜4の上層に形成された配線回路CCとが示されている。なお、実際には半導体チップCPの直上には、回路1〜3に電気的に接続された配線またはコンタクトプラグ(以下単にプラグという)などが多数形成されており、それらの間には層間絶縁膜などが埋め込まれているが、図1ではそれらの図示を省略し、半導体基板1Sの主面に形成された回路1〜4および配線回路CCのみを示している。なお、回路1〜4はそれぞれ、例えば論理回路、アナログ回路、メモリ、またはメモリの周辺回路などを構成するものとする。
【0017】
平面視において、矩形の平面形状を有する半導体チップCPの外周の内側に回路1〜4および配線回路CCは形成されており、配線回路CCは半導体チップCPの端部と回路1〜3との間に形成されている。また、平面視において回路1〜3と回路4との間には配線回路CCが形成されている。すなわち、回路1〜3は平面的に配線回路CCに囲まれるように配置されており、回路4は配線回路CCによって囲まれておらず、回路1〜3とは異なり配線回路CCの外側に配置されている。
【0018】
近年、回路が動作していない待機時に流れるリーク電流を抑制し、半導体装置の低消費電力化を達成することが課題となっている。この待機時におけるリーク電流を削減する効果的な手法としては、動作していない回路の電源をその他の回路などから遮断し、リークする経路を断つことが考えられる。例えば、図1に示す回路4を動作させ、回路1〜3を動作させていないときには、回路1〜3のみの電源をオフにする必要があり、その際回路1〜3の電源をオフにする働きをする回路を電源遮断回路と呼ぶ。電源遮断回路は、電源をオフにする各回路の中の個別の配線ではなく、各回路をひとまとめにして制御するため、ひとまとめとされる回路(例えば回路1〜3)の総面積が大きい程、電源遮断回路を構成する配線が長くなり、電源遮断回路の全体の大きさが大きくなる傾向がある。つまり、電源遮断回路である配線回路CCは、電源をオフにする回路1〜3の上位の回路であるため、回路1〜3を制御することができるような大きさが必要となる。また、他の回路を配置する際の障害とならないように、図1に示す配線回路CCのように半導体チップCPの外周の近傍に配置される傾向があることも、電源遮断回路が大きくなる理由の一つである。
【0019】
配線回路CCは、回路1〜3と、他の電流経路を有する回路4とが互いに影響を及ぼし合うことを防ぎ、互いに干渉し合わないようにするために形成された電源遮断回路の一例である。近年では半導体装置の省電力化に伴い、わずかな誘導電流であっても回路の正常な動作を阻害するおそれがあるため、配線回路CCによって電界を緩和することで、配線回路CCに囲まれた回路または配線回路CCの外の回路が正常に動作しなくなることを防ぐことができる。また、近年の半導体装置の微細化に伴い、半導体チップ上に形成される複数の回路は互いにより近接して配置される必要が生じてきているため、配線回路CCは、特定の回路に流れる電流による電磁誘導によって、その回路に近接する他の回路に誘導電流が流れることを防ぐこともできる。
【0020】
また配線回路CCは、例えば半導体チップCPをパッケージに搭載して封止し、前記パッケージをプリント基板などに実装した際に、前記パッケージの外に形成された電源回路などから生じる強い電界から半導体チップCP内の回路1〜3を保護し、回路1〜3が正常に動作しなくなることを防ぐ働きを有している。
【0021】
このような電源遮断回路の一例である配線回路CCは、例えば半導体チップCPの端部から反対側の端部にかけて形成された配線を有し、図1に示すように半導体チップCPの外周に沿うように形成されることが考えられる。この場合、例えば回路1〜4を構成する半導体素子に電位を供給する配線(図示しない)およびその配線に接続された配線の全体の長さと、配線回路CCの全体の長さとでは、配線回路CCの長さの方が遥かに長くなる。すなわち、配線回路CCの全体の長さに配線回路CCの幅を乗じた数値を配線回路CCの面積とすれば、例えば配線回路CCの面積は10000μm以上になる。なお、ここで言う配線回路CCの長さとは、配線回路CCの導電経路の長さを足した合計の距離を指し、配線回路CCの幅とは、配線回路CCの延在方向に直交する方向の配線回路CCの長さを指す。
【0022】
配線回路CCを構成し、半導体チップCPの外周に沿うように形成された配線は同一の層に形成された金属膜のみにより形成されることも考えられるが、本実施の形態では複数の層に形成された複数の配線をプラグを介して接続することで、前記複数の配線からなり、平面的に回路1〜3を囲むような長い金属配線を構成している。すなわち、回路1〜3を囲む配線回路CCは、図1に示すように第4層配線LV4および第5層配線LV5をプラグPLV5(図2参照)を介して接続して形成された導電経路を有している。第4層配線LV4および第5層配線LV5は回路1〜4よりも上層に形成された金属配線であり、第5層配線LV5は第4層配線LV4の上層に形成されている。第4層配線LV4および第5層配線LV5はプラグPLV5を介して電気的に接続されており、第4層配線LV4は下部に形成されたプラグPLV4(図2参照)を介して下層の半導体基板1Sに接続されている。また、配線回路CCは、図1に示していない領域に形成された配線であって、第5層配線LV5よりも上層の配線にプラグPLV6を介して接続されている。プラグPLV6と半導体基板1Sとの間の導電経路である配線およびプラグは、全てプラグPLV6の下層に形成されている。
【0023】
後述するように、プラグPLV4上には第4層配線LV4が形成され、第4層配線LV4上にはプラグPLV5が形成され、プラグPLV5上には第5層配線LV5が形成され、第5層配線LV5上にはプラグPLV6が形成されている。
【0024】
ここで、プラグPLV4、PLV5およびPLV6も配線回路CCを構成している。つまり、前述した配線回路CCの面積には、プラグPLV4、PLV5およびPLV6のそれぞれの長さにそれらの幅を乗じた面積も含まれている。なお、ここでいうプラグPLV4、PLV5およびPLV6のそれぞれの長さとは、半導体基板1Sの主面に対して垂直な方向の長さを指しており、また、プラグPLV4、PLV5およびPLV6のそれぞれの幅とは、半導体基板1Sの主面に沿う方向のプラグPLV4、PLV5およびPLV6のそれぞれの長さ(直径)を指している。
【0025】
図1には、第4層配線LV4より下層およびプラグPLV6より上層のそれぞれの領域に形成された配線およびプラグであって配線回路CCを構成する導電経路を示していないが、第4層配線LV4と半導体基板1Sの主面との間にも、図1に示すように半導体チップCPの周縁部に沿って延在し、回路1〜3を平面視において囲むような配線回路が形成されている。図1に示される配線回路CCが二本のプラグPLV6を介して上層の配線回路CCに接続されているように、図1に示される配線回路CCは一本のプラグPLV4(図示しない)により下層の配線に接続されている。ここで、プラグPLV4〜PLV6の半導体基板1Sの主面に沿う方向の直径はいずれも100nm未満である。
【0026】
次に、図2に本実施の形態の半導体装置の断面図を示す。図2は、図1に示す半導体チップCPの断面図であって、半導体基板1Sの主面に対して垂直な面における断面図である。図2に示す断面図の左側の領域は半導体基板1Sの主面に沿う方向の半導体チップCPの端部に近い領域であり、図2に示す断面図の右側の領域は半導体チップCPの中央に近い領域である。図2には、半導体基板1Sの主面に形成された複数のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)と、それぞれのMISFETに所定の電位を供給する配線およびプラグと、それらを埋め込む層間絶縁膜などが示されている。
【0027】
図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1S上には、複数のMISFETQnが形成されている。図2に示すMISFETQnはいずれも図1に示す回路1を構成する半導体素子である。複数のMISFETQnは、素子分離領域で分離された活性領域に形成されており、例えば、以下に示す構成をしている。具体的には、素子分離領域で分離された活性領域にはp型の導電型を有するpウエルPWが形成されており、このpウエルPW上にMISFETQnが形成されている。MISFETQnは、半導体基板1Sの主面上に、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜を有し、このゲート絶縁膜上にポリシリコン膜とこのポリシリコン膜上に設けられたシリサイド膜(ニッケルシリサイド膜など)の積層膜からなるゲート電極を有している。
【0028】
ゲート電極の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるサイドウォールが形成されており、このサイドウォール下の半導体基板内に浅いn型の導電型を有する不純物拡散領域がゲート電極に整合して形成されている。そして、浅い不純物拡散領域の外側には、n型の導電型を有し、浅い不純物拡散領域よりも深い不純物拡散領域がサイドウォールに整合して形成されている。なお、以下ではn型の深い不純物拡散層をn型拡散層NSと呼ぶ。一対の浅い不純物拡散領域と一対のn型拡散層NSによって、それぞれMISFETQnのソース領域とドレイン領域が形成されている。浅い不純物拡散領域とn型拡散層NSはいずれもn型の導電型を有し、n型拡散層NSは浅い不純物拡散層よりも高い濃度で不純物が導入されている。以上のようにして半導体基板1S上にMISFETQnが形成されている。
【0029】
また、回路1(図1参照)を構成するMISFETQnが形成されていない他の領域では、半導体基板1Sの主面にpウエルPWが形成され、pウエルPWの上面にはpウエルPWよりも不純物濃度が高いp型の不純物拡散領域であるp型拡散層PSが形成されている。
【0030】
図2に示すように、複数のMISFETQnおよびp型拡散層PSを形成した半導体基板1S上にはコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。このコンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)とを原料に使用した熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に設けられたTEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。そして、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通してMISFETQnのソース領域またはドレイン領域に達する複数のプラグPLG1が形成されている。また、コンタクト層間絶縁膜CILを貫通してp型拡散層PSに達するプラグPLV1が形成されている。このプラグPLG1、PLV1は、例えば、チタン/窒化チタン膜(以下、チタン/窒化チタン膜はチタンとこのチタン上に設けられた窒化チタンで形成される膜を示す)よりなるバリア導体膜と、このバリア導体膜上に形成されたタングステン膜とをコンタクトホールに埋め込むことにより形成されている。チタン/窒化チタン膜は、タングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜であり、このタングステン膜が構成される際のWF(フッ化タングステン)を還元処理するCVD法において、フッ素アタックがコンタクト層間絶縁膜CILや半導体基板1Sになされてダメージを与えることを防ぐためのものである。なお、コンタクト層間絶縁膜CILは、酸化シリコン膜(SiO膜)、SiOF膜、あるいは、窒化シリコン膜のいずれかの膜により形成されていてもよい。
【0031】
次に、コンタクト層間絶縁膜CIL上には複数の第1層配線L1および第1層配線LV1が形成されている。具体的に、第1層配線L1、LV1は、それぞれプラグPLG1、PLV1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に形成された層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように形成されており、第1層配線L1、LV1は層間絶縁膜IL1と接して形成されている。層間絶縁膜IL1は、例えば半導体基板1Sの上層に形成されたパッシベーション膜PASよりも比誘電率が低いLow−k膜により構成されており、例えば、SiOC膜から構成されている。つまり、層間絶縁膜IL1を貫通して底部でプラグPLG1が露出する配線溝およびプラグPLV1が露出する配線溝のそれぞれに銅を主体とする膜(以下、銅膜と記載する)を埋め込むことにより、第1層配線L1、LV1が形成されている。ここで、第1層配線L1、LV1および第1層配線L1と同層の層間絶縁膜IL1を含む層は、本明細書で第1ファイン層と呼ぶこともある。
【0032】
第1層配線L1を形成した層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2および層間絶縁膜IL2と接する複数の第2層配線L2および第2層配線LV2が形成されている。具体的には、第1層配線L1、LV1を形成した層間絶縁膜IL1上にバリア絶縁膜BI1が形成され、このバリア絶縁膜BI1上に層間絶縁膜IL2が形成されている。バリア絶縁膜BI1は、例えば、SiCN膜と前記SiCN膜上に設けられたSiOC膜との積層膜、SiC膜、アモルファスカーボン膜、フッ化ホウ素(BN)膜またはSiN膜からなる。バリア絶縁膜BI1および層間絶縁膜IL2には、ダマシン配線である複数の第2層配線L2および複数のプラグPLG2が埋め込まれるように形成されている。また、バリア絶縁膜BI1および層間絶縁膜IL2には、ダマシン配線である第2層配線LV2およびプラグPLV2が埋め込まれるように形成されている。第2層配線L2は、プラグPLG2を介して第1層配線L1と電気的に接続されている。第2層配線LV2は、プラグPLV2を介して第1層配線LV1と電気的に接続されている。第2層配線L2、LV2、プラグPLG2およびPLV2は、例えば、銅を主体とする金属膜から形成されている。バリア絶縁膜は銅を主体とする金属配線(例えば第1層配線L1)と層間絶縁膜(例えば層間絶縁膜IL2)との間に形成され、前記金属配線内の金属イオンが前記層間絶縁膜内に拡散することを防ぐ機能を有する膜である。
【0033】
そして、第2層配線L2と同様にして、第2層配線L2上に第3層配線L3〜第5層配線L5が形成されている。また、第2層配線LV2と同様にして、第2層配線LV2上に第3層配線LV3〜第5層配線LV5が形成されている。第3層配線L3〜第5層配線L5および第3層配線LV3〜第5層配線LV5のそれぞれは、層間絶縁膜IL3〜IL5のそれぞれと接して形成されている。具体的に、層間絶縁膜IL2上および第2層配線L2上には層間絶縁膜IL2および第2層配線と接してバリア絶縁膜BI2が形成され、このバリア絶縁膜BI2上に層間絶縁膜IL3が形成されており、第2層配線および層間絶縁膜IL2のそれぞれの上面はバリア絶縁膜BI2と接している。
【0034】
バリア絶縁膜BI2は、例えば、SiCN膜とこのSiCN膜上に設けられたSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL3は、例えば、SiOC膜から形成されている。このバリア絶縁膜BI2および層間絶縁膜IL3には、第2層配線L3、LV3、プラグPLG3およびPLV3が埋め込まれるように形成されている。第3層配線L3は、プラグPLG3を介して第2層配線L2と電気的に接続されている。第3層配線LV3は、プラグPLV3を介して第2層配線LV2と電気的に接続されている。第2層配線L3、LV3、プラグPLG3およびPLV3は、例えば、銅膜から形成されている。
【0035】
次に、層間絶縁膜IL3上および第3層配線L3上には層間絶縁膜IL3、第3層配線L3およびLV3と接してバリア絶縁膜BI3が形成され、このバリア絶縁膜BI3上に層間絶縁膜IL4が形成されている。バリア絶縁膜BI3は、例えば、SiCN膜とこのSiCN膜上に設けられたSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL4は例えばSiOC膜から形成されている。このバリア絶縁膜BI3および層間絶縁膜IL4には、第4層配線L4、LV4、プラグPLG4およびPLV4が埋め込むように形成されている。第4層配線L4は、プラグPLG4を介して第3層配線L3と電気的に接続されている。第4層配線LV4は、プラグPLV4を介して第3層配線LV3と電気的に接続されている。第4層配線L4、LV4、プラグPLG4およびPLV4は、例えば、銅膜から形成されている。
【0036】
さらに、層間絶縁膜IL4上、第4層配線L4上および第4層配線LV4上には層間絶縁膜IL4、第4層配線L4およびLV4と接してバリア絶縁膜BI4が形成され、このバリア絶縁膜BI4上に層間絶縁膜IL5が形成されている。バリア絶縁膜BI4は、例えば、SiCN膜とこのSiCN膜上に設けられたSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL5は例えばSiOC膜から形成されている。このバリア絶縁膜BI4および層間絶縁膜IL5には、第5層配線L5、LV5、プラグPLG5およびPLV5が埋め込まれるように形成されている。第5層配線L5は、プラグPLG5を介して第4層配線L4と電気的に接続されている。第5層配線LV5は、プラグPLV5を介して第4層配線LV4と電気的に接続されている。第5層配線L5、LV5、プラグPLG5およびPLV5は、例えば、銅膜から形成されている。ここで、第2層配線L2〜第5層配線L5、第2層配線LV2〜第5層配線LV5およびそれらの同層に形成された層間絶縁膜IL2〜IL5をまとめて、本明細書では第2ファイン層と呼ぶこともある。第2ファイン層である層間絶縁膜IL2〜IL5内には、それぞれ複数の配線が形成されている。
【0037】
層間絶縁膜IL5上および第5層配線L5上には層間絶縁膜IL5、第5層配線L5およびLV5と接してバリア絶縁膜BI5が形成され、このバリア絶縁膜BI5上に層間絶縁膜IL6が形成されている。バリア絶縁膜BI5は、例えば、SiCN膜とこのSiCN膜上に設けられたSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL6は、例えば、SiOC膜から形成されている。このバリア絶縁膜BI5、層間絶縁膜IL6には、第6層配線L6、LV6、プラグPLG6およびPLV6が埋め込まれるように形成されている。第6層配線L6は、プラグPLG6を介して第5層配線L5と電気的に接続されている。第6層配線LV6は、プラグPLV6を介して第5層配線LV5と電気的に接続されている。この第6層配線L6、LV6、プラグPLG6およびPLV6は、例えば、銅膜から形成されている。
【0038】
次に、層間絶縁膜IL6上にバリア絶縁膜BI6が形成され、このバリア絶縁膜BI6上に層間絶縁膜IL7が形成されている。バリア絶縁膜BI6は、例えば、SiCN膜とこのSiCN膜上に設けられたSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL7は、例えばSiOC膜から形成されている。このバリア絶縁膜BI6、層間絶縁膜IL7には、第7層配線L7、LV7、プラグPLG7およびPLV7が埋め込まれるように形成されている。第7層配線L7は、プラグPLG7を介して第6層配線L6と電気的に接続されている。第7層配線LV7は、プラグPLV7を介して第6層配線LV6と電気的に接続されている。第7層配線L7、LV7、プラグPLG7およびPLV7は、例えば、銅膜から形成されている。ここで、第6層配線L6、LV6と第7層配線L7、LV7をまとめて、本明細書ではセミグローバル層と呼ぶこともある。
【0039】
さらに、層間絶縁膜IL7上にバリア絶縁膜BI7aが形成され、このバリア絶縁膜BI7a上に層間絶縁膜IL8aが形成されている。そして、層間絶縁膜IL8a上にエッチングストップ絶縁膜BI7bが形成され、このエッチングストップ絶縁膜BI7b上に層間絶縁膜IL8bが形成されている。バリア絶縁膜BI7aは、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、エッチングストップ絶縁膜BI7bは、例えば、SiCN膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL8aおよび層間絶縁膜IL8bは、例えば、酸化シリコン膜(SiO膜)、SiOF膜、TEOS膜から形成されている。バリア絶縁膜BI7aおよび層間絶縁膜IL8aには、プラグPLG8およびプラグPLV8が埋め込まれるように形成されており、エッチングストップ絶縁膜BI7bおよび層間絶縁膜IL8bには、第8層配線L8および第8層配線LV8が埋め込まれるように形成されている。第8層配線L8は、プラグPLG8を介して第7層配線L7と電気的に接続されている。第8層配線LV8は、プラグPLV8を介して第7層配線LV7と電気的に接続されている。第8層配線L8、LV8、プラグPLG8およびPLV8は、例えば、銅膜から形成されている。ここで、第8層配線L8、LV8を本明細書ではグローバル層と呼ぶこともある。
【0040】
層間絶縁膜IL8b上にはバリア絶縁膜BI8が形成され、このバリア絶縁膜BI8上には層間絶縁膜IL9が形成されている。バリア絶縁膜BI8は、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜、SiC膜、または、SiN膜のうちのいずれか1つから形成されており、層間絶縁膜IL9は、例えば、酸化シリコン膜(SiO膜)、SiOF膜、TEOS膜から形成されている。バリア絶縁膜BI8および層間絶縁膜IL9には、プラグPLG9が埋め込まれるように形成されている。そして、層間絶縁膜IL9上には第9層配線LV9が形成されている。第9層配線LV9は、プラグPLV9を介して第8層配線LV8と電気的に接続されている。プラグPLV9と第9層配線LV9は、例えば、アルミニウム膜から形成されている。なお、図2には示していないが、第8層配線L8上にもプラグPLV9および第9層配線LV9と同様にプラグPLG9(図示しない)および第9層配線L9(図示しない)が形成されている。
【0041】
第9層配線LV9上には、表面保護膜となるパッシベーション膜PASが形成されており、このパッシベーション膜PASに形成された開口部から第9層配線LV9の一部が露出している。この第9層配線LV9のうち露出している領域がパッドPDとなる。第9層配線L9(図示しない)の上面にも、露出した領域であるパッドが形成されている。パッシベーション膜PASは、半導体装置を不純物の侵入から保護する機能を有し、例えば、酸化シリコン膜とこの酸化シリコン膜上に設けられた窒化シリコン膜から形成されている。そして、パッシベーション膜PAS上にはポリイミド膜PIが形成されている。このポリイミド膜PIもパッドPDの形成されている領域を開口している。パッドPDは、図1に示す半導体装置を含む半導体チップCPの電極となる領域であり、半導体チップCPがマウントされるパッケージ内において他の導電部材と金属ワイヤなどを介して電気的に接続される領域である。
【0042】
図2に示すバリア絶縁膜BI1〜BI8は、それぞれのバリア絶縁膜の下面に接する銅膜内のCu(銅)がそれぞれのバリア絶縁膜上の層間絶縁膜などに拡散することを防ぐ働きを有するライナー膜であり、それぞれのバリア絶縁膜上の層間絶縁膜にビアホールを形成する際のエッチングストッパ膜としても機能する。
【0043】
以上に図2を用いて説明したように、図1に示す第4層配線LV4および第5層配線LV5を含む配線回路CCは、図2に示すように半導体基板1Sの主面に電気的に接続されており、半導体基板1Sの主面から半導体チップCP(図1参照)の上面のパッドにまで達する回路を構成している。すなわち、図1に示す配線回路CCは、図2に示す半導体基板1Sの主面上に順に形成されたプラグPLV1、第1層配線LV1、プラグPLV2、第2層配線LV2、プラグPLV3、第3層配線LV3、プラグPLV4、第4層配線LV4、プラグPLV5、第5層配線LV5、プラグPLV6、第6層配線LV6、プラグPLV7、第7層配線LV7、プラグPLV8、第8層配線LV8、プラグPLV9、第9層配線LV9を含む。つまり、半導体基板1Sの主面のp型拡散層PSと第9層配線LV9とは、プラグPLV1〜PLV9、第1層配線LV1、第2層配線LV2、第3層配線LV3、第4層配線LV4、第5層配線LV5、第6層配線LV6、第7層配線LV7および第8層配線LV8を介して電気的に接続されている。上述した配線回路CCは、プラグPLV1〜PLV9、第1層配線LV1、第2層配線LV2、第3層配線LV3、第4層配線LV4、第5層配線LV5、第6層配線LV6、第7層配線LV7、第8層配線LV8および第9層配線LV9を含んでいる。
【0044】
図1を用いて説明したように、第4層配線LV4および第5層配線LV5は平面的に回路1〜3を囲むような形状の配線を構成しているが、例えば図2に示す第2層配線LV2および第3層配線LV3が同様に平面的に回路1〜3を囲むような形状の配線を構成していても良い。すなわち、図1に示すような半導体チップCPの周縁部に沿って形成された電源遮断回路である配線回路CCは、平面的に回路1〜3を囲む配線を複数重ねて有していても構わない。また、例えば第2層配線LV2、第3層配線LV3、第4層配線LV4および第5層配線LV5の4層の配線を接続することにより形成された、平面的に回路1〜3を囲む回路を有していても構わない。
【0045】
本実施の形態では、図2に示すように、配線回路CC(図1参照)の最下層のプラグPLV1は、半導体基板1Sの主面のpウエルPWの上面のp型拡散層PSに接続されているが、例えば、半導体基板1Sの主面上のn型の導電型を有するnウエルの上面に形成された、nウエルよりも高濃度で不純物が導入されたn型の拡散層に接続されていても良い。また、プラグPLV1は半導体基板1Sの主面上のn型の導電型を有するnウエルの上面に形成されたp型の拡散層に接続されていても良い。ただし、プラグPLV1は半導体基板1Sの主面上のpウエルPWの上面に形成されたn型拡散層NSには接続されていない。
【0046】
回路1(図1参照)を構成するMISFETQnに接続されたプラグPLG1は半導体基板1Sの主面のpウエルPWの上面のn型拡散層NSに接続されている。図2に示すMISFETQnはnチャネル型のMISFETであるが、図示していない領域にはpチャネル型のMISFETも形成されており、pチャネル型のMISFETに接続されるプラグPLG1は、半導体基板1Sの主面のnウエルの上面のp型拡散層に接続されている。なお、図1に示す回路2〜4も回路1と同様にMISFETを含んでいる。
【0047】
ここで、比較例として図32に多層構造を有する半導体装置の断面図を示す。図32に示す半導体装置は、図1および図2に示す本実施の形態の半導体装置とほぼ同様の構造を有しているが、図1の配線回路CCに対応する多層配線の最下層に位置するプラグPLV1(図32参照)が、半導体基板1Sの主面に形成されたn型拡散層NSを介してpウエルPWに接続されている点で、本実施の形態の半導体装置と異なる。
【0048】
本発明者らは、図32に示すような半導体装置を用いて実験したところ、大面積を有する配線回路を構成する特定の上層プラグの底部の配線が一部消失し、回路が動作しない不具合が生じることを知り、配線の消失が発生しないような半導体装置について検討した。
【0049】
配線の消失は、半導体装置の製造工程における上層プラグの形成する前の工程において、大面積を有する配線を形成した半導体基板の表面を洗浄した際、洗浄に用いる洗浄水に配線を構成する銅が溶け出すことにより起こるものである。図32に示すように、プラグPLV6の直下においては第5層配線LV5が形成されておらず、その領域は空隙10となっている。なお、ここで言う大面積を有する配線とは、図32に示すプラグPLV1〜PLV9、第1層配線LV1、第2層配線LV2、第3層配線LV3、第4層配線LV4、第5層配線LV5、第6層配線LV6、第7層配線LV7、第8層配線LV8および第9層配線LV9を含む多層配線である。
【0050】
大面積を有する配線は、図32に示すMISFETQnに電位を供給するための多層配線に比べて非常に面積が大きく、製造工程においては前記多層配線よりも帯電しやすい。このような帯電は特に、絶縁物である洗浄水(例えば純水)と大面積を有する配線との摩擦によって起こりやすい。その結果、洗浄水と大面積を有する配線との間に大量の電荷が流れることにより、前記上層プラグを形成するためのビアホールから露出した配線を構成する銅(Cu)が電子(負の電荷)を奪われて銅イオン(Cu2+)となって洗浄水中に溶け出すことで、上述した配線の一部消失が起こる。
【0051】
このような配線の消失が発生した場合、前記洗浄を行った後の工程により前記上層プラグおよびその上層の配線を形成しても、配線が消失した領域に銅を埋め込むことは困難であるため、大面積を有する配線により構成される回路が正常に動作しなくなる可能性が高い。大面積を有する配線が上述した電源遮断回路である場合には、電源遮断回路が途中で途切れることになるため、電界を緩和する機能が低下する。この場合、電源遮断回路により保護されるべき回路が、強い電界によって誘導起電力が生じるなどして正常に動作しなくなるおそれがある。したがって、大面積を有する配線を含む半導体装置では、配線が消失した場合に大面積を有する配線により構成される回路が正常に動作しなくなることで、半導体装置の信頼性が低下する問題がある。
【0052】
なお、図32に示すMISFETQnに接続された多層配線は大面積を有する配線よりも配線面積が小さいため、製造工程中における帯電量が大面積を有する配線よりも少ない。したがって、面積が小さい前記多層配線では上記のような配線の消失は生じない。
【0053】
上記の配線消失の問題に対し、本発明者らは、電源遮断回路のような大面積の配線回路を有する半導体装置において、前記配線回路が半導体基板の主面に形成されたn型拡散層を介してpウエルに接続されることにより、前記配線回路を構成する配線の一部が消失することを見出した。また、前記配線回路がn型拡散層を介してpウエルに接続された場合に比べ、前記配線回路がn型拡散層を介してnウエルに接続された場合、前記配線回路がp型拡散層を介してnウエルに接続された場合、および前記配線回路がp型拡散層を介してpウエルに接続された場合には上述した配線の消失の発生を抑制することができることを見出した。
【0054】
次に、本実施の形態の半導体装置の効果について説明する。本実施の形態の半導体装置は、2層以上の積層構造を有する2種類の多層配線、すなわち互いに絶縁された第1多層配線および第2多層配線を有するものである。第1多層配線は図1に示す配線回路CCであり、第2多層配線は、図2に示すMISFETQnのソース領域またはドレイン領域に特定の電位を供給する配線である。つまり第2多層配線は、図2に示すプラグPLG1〜PLG9、第1層配線L1、第2層配線L2、第3層配線L3、第4層配線L4、第5層配線L5、第6層配線L6、第7層配線L7、第8層配線L8および第9層配線L9を含んでいる。また、第2多層配線の最下層のプラグPLG1は、半導体基板1Sの上面に形成されたn型拡散層NSに接続され、n型拡散層NSを介してpウエルPWに電気的に接続されている。
【0055】
電源遮断回路である配線回路CC(図1参照)は、電界を緩和して配線回路CCに囲まれた回路を保護し、または配線回路CCに囲まれた回路により生じる強い電界から配線回路CCの外の回路を保護する目的で形成されているため、半導体チップ内の回路を囲むような長い導電経路を有する配線となっている。
【0056】
また、配線回路CCを構成する上層プラグ(例えば図1および図2に示すプラグPLV6)は、その下層で平面的に回路1〜3を囲むように形成された第4層配線LV4および第5層配線LV5を含む多層配線を上層に引き出す接続部材であるが、このような上層プラグは前記多層配線に対して多数形成することは困難であり、一本または二本程度の少ない本数となることが考えられる。これは、半導体装置の高集積化により半導体チップの内部には多数の配線が密に配置されており、電源遮断回路である配線回路CCに多数の上層プラグを形成することが半導体チップのサイズの増加に繋がるためである。したがって、上層プラグ一本当たりの下層配線の面積は、10000μm以上になるような大面積の配線となる。
【0057】
このように、電源遮断回路に用いられるような配線回路は上層プラグの本数が少なく、また、半導体装置の微細化に伴い、上層プラグ(例えば図1に示すPLV6)の半導体基板1Sの主面に沿う方向の直径は100nm未満となっている。したがって、配線回路CCを形成する際に洗浄水と配線との間に流れる電流は、上層プラグを形成するためのビアホールの底部の銅配線の上面の極小さい領域に集中して流れることになる。よって、上層プラグの本数が少なく、プラグの直径が小さい大面積の配線回路では、特に配線が消失する問題が起こりやすい。
【0058】
これに対し、上述した第2多層配線は半導体基板1Sの主面に形成された素子に電位を供給することを目的として形成されているため、第2多層配線を構成する各層の配線は第1多層配線を構成する各層の配線に比べて短く、第2多層配線を構成するプラグの数も第1多層配線よりも少ない。よって、第2多層配線の全体の配線の面積は第1多層配線の全体の配線の面積よりも遥かに小さい。つまり、第2多層配線の全体の配線の面積は10000μmよりも小さい値となる。
【0059】
なお、配線の消失は、上層プラグの形成前に、上層プラグが形成されるビアホールを形成した段階で前記ビアホールの底に露出する配線が大面積を有することにより起こりやすくなるものである。したがって、上層プラグの下部に接続された配線は前記ビアホールが形成された時点で半導体基板1Sの主面にまで導通する導電経路を構成していることが前提となる。つまり、本実施の形態では、上層プラグの底部に接続された下層配線は全て前記上層プラグよりも下層の領域に形成され、半導体基板1Sの主面にまで達しており、前記上層プラグよりも上層に前記下層配線は形成されていないものとする。このことは、上述した第1多層配線も第2多層配線も同様である。
【0060】
本実施の形態の半導体装置の特徴は、10000μm以上になるような大面積の第1多層配線を、半導体基板の主面に形成されたpウエルの上面のn型拡散層には接続せず、第1多層配線よりも面積が小さい第2多層配線を、半導体基板の主面に形成されたpウエルの上面のn型拡散層に接続することにある。なお、第1多層配線および第2多層配線は主に銅(Cu)を含む銅配線であり、第1多層配線は、電源遮断回路として機能する配線回路である。
【0061】
すなわち、半導体基板の主面に形成されたn型拡散層を介してpウエルに接続された第2多層配線では配線の面積が少ないため配線消失の問題は起こりにくいのに対し、第1多層配線は第2多層配線よりも面積が大きく電荷が蓄積しやすいため、本実施の形態では第1多層配線をn型拡散層を介してpウエルに接続する構造を設けていない。
【0062】
これにより、本実施の形態では、半導体チップの外周に沿って延在し、平面視において前記半導体チップ内の回路の周りを囲むように形成された大きい配線面積を有する多層配線を含む半導体装置において、前記多層配線を構成する上層プラグの底部の銅配線が消失することを防ぐことができる。したがって、大面積を有する配線回路が正常に動作しなくなることを防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させることを可能としている。
【0063】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、図3〜図30を用いて説明する。図3〜図30は本実施の形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、本発明は半導体基板上に形成される大面積配線に関する発明であるため、ここではMISFETを形成する詳しい工程の説明は省略する。
【0064】
まず、通常の半導体製造技術を使用することにより、図3に示すように、半導体基板1S上に複数のMISFETQn、pウエルPWおよびp型拡散層PSを形成する。なお、p型拡散層PSとn型拡散層NSとを形成する際は、フォトリソグラフィ技術を用いてそれぞれの拡散層を形成するためのイオンの打ち分けを行い、別工程によりp型拡散層PSとn型拡散層NSとを形成する。
【0065】
続いて、図4に示すように、複数のMISFETQnを形成した半導体基板1S上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。このコンタクト層間絶縁膜CILは、複数のMISFETQnを覆うように形成される。具体的に、コンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOSとを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に配置され、TEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。なお、オゾンTEOS膜の下層に、例えば、窒化シリコン膜よりなるエッチングストッパ膜を形成してもよい。
【0066】
次に、図5に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、コンタクト層間絶縁膜CILにコンタクトホールCHを形成する。このコンタクトホールCHは、コンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、半導体基板1Sに形成されているMISFETQnのソース領域あるいはドレイン領域であるn型拡散層NSに達するように加工される。また、一部のコンタクトホールCHは、コンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、半導体基板1Sに形成されているp型拡散層PSに達するように加工される。
【0067】
続いて、図6に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILに形成したコンタクトホールCHに金属膜を埋め込むことによりプラグPLG1、PLV1を形成する。具体的には、コンタクトホールCHを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に、例えば、スパッタリング法を使用してバリア導体膜となるチタン/窒化チタン膜を形成する。そして、チタン/窒化チタン膜上にタングステン膜を形成する。これにより、コンタクトホールCHの内壁(側壁および底面)にチタン/窒化チタン膜が形成され、このチタン/窒化チタン膜上でコンタクトホールCHを埋め込むようにタングステン膜が形成される。その後、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去する。これにより、コンタクトホールCH内にだけ、チタン/窒化チタン膜とタングステン膜を埋め込んだプラグPLG1、PLV1を形成することができる。MISFETQnを構成するn型拡散層NSの直上にはプラグPLG1が形成され、p型拡散層PSの直上にはプラグPLV1が形成される。
【0068】
次に、図7に示すように、プラグPLG1、PLV1を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1を形成する。この層間絶縁膜IL1は、例えばSiOC膜により形成され、例えばプラズマCVD法を使用することにより形成される。
【0069】
そして、図8に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1に配線溝WD1を形成する。この配線溝WD1は、SiOC膜からなる層間絶縁膜IL1を貫通して底面がコンタクト層間絶縁膜CILに達するように形成される。これにより、配線溝WD1の底部でプラグPLG1、PLV1の表面が露出することになる。
【0070】
その後、図9に示すように、配線溝WD1を形成した層間絶縁膜IL1上にバリア導体膜(銅拡散防止膜)(図示しない)を形成する。具体的に、バリア導体膜は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成され、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成する。
【0071】
続いて、配線溝WD1の内部および層間絶縁膜IL1上に形成されたバリア導体膜上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解メッキ法により銅膜Cu1を形成する。この銅膜Cu1は、配線溝WD1を埋め込むように形成される。この銅膜Cu1は、例えば、銅を主体とする膜から形成される。なお、ここでは銅膜Cu1を電解メッキ法を用いて形成しているが、CVD法を用いて銅膜Cu1を形成しても構わない。
【0072】
次に、図10に示すように、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なバリア導体膜および銅膜Cu1をCMP法で除去する。これにより、配線溝WD1内にバリア導体膜および銅膜Cu1を埋め込んだ第1層配線L1、LV1を含む層(第1ファイン層)を形成することができる。すなわち、プラグPLG1の直上には銅膜Cu1を含む第1層配線L1が形成され、プラグPLV1の直上には銅膜Cu1を含む第1層配線LV1が形成される。
【0073】
その後、第1層配線L1を形成した層間絶縁膜IL1の表面に対してアンモニアプラズマ処理を実施して、第1層配線L1の表面および層間絶縁膜IL1の表面を清浄化する。続いて、図11に示すように、第1層配線L1、LV1を形成した層間絶縁膜IL1上にバリア絶縁膜BI1を形成する。このバリア絶縁膜BI1は、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜から構成され、例えば、この積層膜はCVD法により形成することができる。そして、バリア絶縁膜BI1上に層間絶縁膜IL2を形成する。さらに、層間絶縁膜IL2上にCMP保護膜CMP1を形成する。
【0074】
続いて、図12に示すように、CMP保護膜CMP1上にフォトレジスト膜FR1を形成する。そして、このフォトレジスト膜FR1に対して、露光・現像処理を施すことにより、フォトレジスト膜FR1をパターニングする。パターニングは、ビアホールを形成する領域を開口するように行なわれる。その後、パターニングしたフォトレジスト膜FR1をマスクにして、CMP保護膜CMP1および層間絶縁膜IL2をエッチングする。これにより、CMP保護膜CMP1および層間絶縁膜IL2を貫通して、バリア絶縁膜BI1を露出するビアホールV1を形成することができる。このようにバリア絶縁膜BI1は、エッチングの際にエッチングストッパとして機能する。
【0075】
次に、図13に示すように、パターニングしたフォトレジスト膜FR1をプラズマアッシング処理により除去した後、半導体基板1Sの主面を洗浄する。この洗浄工程は、ビアホールV1を形成する際の加工により生じた残渣などを取り除くために、薬液および洗浄水を用いて行う。前記洗浄工程では半導体ウエハを薬液に晒した後、半導体ウエハに残る薬液を除去するために洗浄水(純水など)で半導体ウエハを洗浄する。半導体基板1Sは円盤状の半導体ウエハにノッチまたはオリエンテーションフラットなどを設けたものであり、洗浄水を用いた洗浄では、円形の半導体ウエハの中心から、半導体基板1Sに対して垂直な方向に延在する線を軸として半導体ウエハを回転させ、回転中の半導体ウエハの軸方向から半導体ウエハの中心に洗浄水を供給することにより半導体ウエハ全体を洗浄する。つまり、回転する半導体ウエハの中央に水を落とすことにより洗浄を行う。この後の工程においても、例えばエッチングを行った後などには半導体ウエハの洗浄を行い、その際には上記の洗浄工程と同様の方法を用いる。
【0076】
その後、CMP保護膜CMP1上にフォトレジスト膜FR2を形成し、このフォトレジスト膜FR2に対して露光・現像処理を施すことにより、フォトレジスト膜FR2をパターニングする。フォトレジスト膜FR2のパターニングは、配線溝を形成する領域を開口するように行なわれる。
【0077】
その後、図14に示すように、パターニングしたフォトレジスト膜FR2をマスクとした異方性エッチングにより、CMP保護膜CMP1をエッチングする。そして、パターニングしたフォトレジスト膜FR2をプラズマアッシング処理により除去した後、半導体基板1Sの主面を洗浄する。
【0078】
続いて、図15に示すように、エッチバック法により、ビアホールV1の底部に露出するバリア絶縁膜BI1を除去する。これにより、ビアホールV1の底部に第1層配線L1または第1層配線LV1の表面が露出することになる。このときのエッチバック工程により、パターニングされたCMP保護膜CMP1から露出している層間絶縁膜IL2の一部もエッチングされて配線溝WD2が形成される。
【0079】
次に、図16に示すように、配線溝WD2およびビアホールV1を形成した層間絶縁膜IL2上およびCMP保護膜CMP1上に、バリア導体膜BM1(図2参照)と同様の構造を有するバリア導体膜BM2(図示しない)を形成する。
【0080】
続いて、配線溝WD2の内部およびCMP保護膜CMP1上に形成されたバリア導体膜上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解メッキ法により銅膜Cu2を形成する。この銅膜Cu2は、配線溝WD2を埋め込むように形成される。この銅膜Cu2は、例えば、銅を主体とする膜から形成される。
【0081】
続いて、図17に示すように、CMP保護膜CMP1上に形成されている不要なバリア導体膜および銅膜Cu2をCMP法で除去する。これにより、層間絶縁膜IL2が露出し、かつ、配線溝WD2内にバリア導体膜および銅膜Cu2を埋め込んだ第2層配線L2、LV2と、ビアホールV1内にバリア導体膜および銅膜Cu2を埋め込んだプラグPLG2、PLV2とを形成することができる。プラグPLG2は第1層配線L1の上面に接して形成され、第2層配線L2はプラグPLG2上にプラグPLG2と一体となって形成される。また、プラグPLV2は第1層配線LV1の上面に接して形成され、第2層配線LV2はプラグPLV2上にプラグPLV2と一体となって形成される。CMP保護膜CMP1は、このときのCMP法による研磨圧力やスクラッチダメージから、製造工程中の半導体装置を保護するために設けられている。
【0082】
なお、本実施の形態では図12〜図17を用いて説明したように、第2層配線L2、LV2、プラグPLG2およびPLV2を形成する工程では層間絶縁膜IL2にビアホールV1を形成してから配線溝WD2を形成するビアファーストの製法を用いているが、層間絶縁膜IL2に配線溝WD2を形成してからビアホールV1を形成するトレンチファーストの製法を用いても構わない。
【0083】
その後、図18に示すように、第2層配線L2、LV2を形成した層間絶縁膜IL2の表面に対してアンモニアプラズマ処理を実施して、第2層配線L2の表面および層間絶縁膜IL2の表面を洗浄化する。続いて、第2層配線L2を形成した層間絶縁膜IL2上にバリア絶縁膜BI2を形成する。このバリア絶縁膜BI2は、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜から構成され、例えば、この積層膜はCVD法により形成することができる。このような製造工程を繰り返すことにより、プラグPLG2〜PLG5、PLV2〜PLV5、第3層配線L3〜第5層配線L5および第3層配線LV3〜第5層配線LV5を形成する。これにより、第2層配線L2〜第5層配線L5および第2層配線LV2〜第5層配線LV5を含む第2ファイン層を形成することができる。
【0084】
続いて、第2ファイン層上にセミグローバル層を形成する工程について説明する。図19に示すように、第5層配線L5、LV5を形成した層間絶縁膜IL5上の表面に対してアンモニアプラズマ処理を実施して、第5層配線L5、LV5の表面および層間絶縁膜IL5の表面を洗浄化する。続いて、第5層配線L5、LV5を形成した層間絶縁膜IL5上にバリア絶縁膜BI5を形成する。このバリア絶縁膜BI5は、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜から構成され、例えば、この積層膜はCVD法により形成することができる。その後、バリア絶縁膜BI5上に層間絶縁膜IL6を形成する。この層間絶縁膜IL6は、例えば、SiOC膜から形成され、例えば、プラズマCVD法を使用することにより形成される。
【0085】
そして、図20に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL6に配線溝WD4およびビアホールV3を形成する。このビアホールV3は、SiOC膜からなる層間絶縁膜IL6を貫通して底面が第5層配線L5に達するように形成される。これにより、ビアホールV3の底部で第5層配線L5の表面が露出することになる。
【0086】
その後、図21に示すように、配線溝WD4およびビアホールV3を形成した層間絶縁膜IL6上にバリア導体膜(銅拡散防止膜)(図示しない)を形成する。具体的に、バリア導体膜は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成され、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成する。
【0087】
続いて、配線溝WD4とビアホールV3の内部および層間絶縁膜IL6上に形成されたバリア導体膜上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解メッキ法により銅膜Cu3を形成する。この銅膜Cu3は、配線溝WD4およびビアホールV3を埋め込むように形成される。この銅膜Cu3は、例えば、銅を主体とする膜から形成される。
【0088】
次に、図22に示すように、層間絶縁膜IL6上に形成された不要なバリア導体膜および銅膜Cu3をCMP法で除去する。これにより、配線溝WD4内にバリア導体膜および銅膜Cu3を埋め込んだ第6層配線L6、LV6と、ビアホールV3内にバリア導体膜および銅膜Cu3を埋め込んだプラグPLG6、PLG6とを形成することができる。プラグPLG6は第5層配線L5の上面に接して形成され、第6層配線L6はプラグPLG6上にプラグPLG6と一体となって形成される。また、プラグPLV6は第5層配線LV5の上面に接して形成され、第6層配線LV6はプラグPLV6上にプラグPLV6と一体となって形成される。
【0089】
以上のようにして、第6層配線L6、LV6を形成することができる。このような製造工程を繰り返すことにより、図23に示すような第7層配線L7、LV7も形成する。これにより、プラグPLG6、PLG7、PLV6、PLV7、第6層配線L6、LV6、第7層配線L7およびLV7を含むセミグローバル層を形成することができる。
【0090】
続いて、セミグローバル層上にグローバル層を形成する工程について説明する。図24に示すように、第7層配線L7、LV7を形成した層間絶縁膜IL7の表面に対してアンモニアプラズマ処理を実施して、第7層配線L7、LV7の表面および層間絶縁膜IL7の表面を清浄化する。続いて、第7層配線L7、LV7を形成した層間絶縁膜IL7上にバリア絶縁膜BI7aを形成する。このバリア絶縁膜BI7aは、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜から構成され、例えば、この積層膜はCVD法により形成することができる。
【0091】
次に、バリア絶縁膜BI7a上に層間絶縁膜IL8aを形成する。この層間絶縁膜IL8aは、例えば、TEOS膜または酸化シリコン膜などから形成され、例えば、プラズマCVD法を使用することにより形成される。さらに、層間絶縁膜IL8a上に、エッチングストップ絶縁膜BI7bを形成し、このエッチングストップ絶縁膜BI7b上に層間絶縁膜IL8bを形成する。このエッチングストップ絶縁膜BI7bは、例えば、SiCN膜から形成され、例えば、この積層膜はCVD法により形成することができる。また、この層間絶縁膜IL8bは、例えば、TEOS膜または酸化シリコン膜などから形成され、例えば、プラズマCVD法を使用することにより形成される。
【0092】
そして、図25に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL8bおよびエッチングストップ絶縁膜BI7bに配線溝WD5を形成し、かつ、層間絶縁膜IL8aおよびバリア絶縁膜BI7aにビアホールV4を形成する。このビアホールV4は、TEOS膜または酸化シリコン膜などからなる層間絶縁膜IL8aを貫通して底面が第7層配線L7に達するように形成される。また、一部のビアホールV4は、TEOS膜または酸化シリコン膜などからなる層間絶縁膜IL8aを貫通して底面が第7層配線LV7に達するように形成される。これにより、ビアホールV4の底部で第7層配線L7またはLV7の表面が露出することになる。
【0093】
その後、図26に示すように、配線溝WD5を形成した層間絶縁膜IL8b上およびビアホールV4を形成した層間絶縁膜IL8a上にバリア導体膜(銅拡散防止膜)(図示しない)を形成する。具体的に、バリア導体膜は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成され、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成する。
【0094】
続いて、配線溝WD5とビアホールV4の内部および層間絶縁膜IL8b上に形成されたバリア導体膜上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解メッキ法により銅膜Cu4を形成する。この銅膜Cu4は、配線溝WD5およびビアホールV4を埋め込むように形成される。この銅膜Cu4は、例えば、銅を主体とする膜から形成される。
【0095】
次に、図27に示すように、層間絶縁膜IL8b上に形成された不要なバリア導体膜および銅膜Cu4をCMP法で除去する。これにより、配線溝WD5内にバリア導体膜および銅膜Cu4を埋め込んだ第8層配線L8、LV8と、ビアホールV4内にバリア導体膜および銅膜Cu4を埋め込んだプラグPLG8、PLV8とを形成することができる。プラグPLG8は第7層配線L7の上面に接して形成され、第8層配線L8はプラグPLG8上にプラグPLG8と一体となって形成される。また、プラグPLV8は第7層配線LV7の上面に接して形成され、第8層配線LV8はプラグPLV8上にプラグPLV8と一体となって形成される。以上のようにして、第8層配線L8、LV8を形成することができる。これにより、第8層配線L8、LV8を含むグローバル層を形成することができる。
【0096】
続いて、図28に示すように、第8層配線L8を形成した層間絶縁膜IL8b上にバリア絶縁膜BI8を形成し、このバリア絶縁膜BI8上に層間絶縁膜IL9を形成する。このバリア絶縁膜BI8は、例えば、SiCN膜とSiOC膜の積層膜から構成され、例えば、この積層膜はCVD法により形成することができる。また、層間絶縁膜IL9は、例えば、TEOS膜または酸化シリコン膜などから形成され、例えば、プラズマCVD法を使用することにより形成される。そして、この層間絶縁膜IL9およびバリア絶縁膜BI8を貫通するビアホールを形成する。
【0097】
次に、ビアホールの側壁と底面、および層間絶縁膜IL9上にチタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜、チタン/窒化チタン膜を順次積層した積層膜を形成し、この積層膜をパターニングすることにより、プラグPLG9、PLV9と最上層配線である第9層配線L9、LV9とを形成する。なお、図にはプラグPLG9および第9層配線L9は示しておらず、プラグPLG9および第9層配線L9は図示されていない他の領域に形成されている。プラグPLG9は第8層配線L8の上面に接して形成され、第9層配線L9はプラグPLG9の上面に接して形成される。また、プラグPLV9は第8層配線LV8の上面に接して形成され、第9層配線LV9はプラグPLV9の上面に接して形成される。これにより、プラグPLV1〜PLV9、第1層配線LV1、第2層配線LV2、第3層配線LV3、第4層配線LV4、第5層配線LV5、第6層配線LV6、第7層配線LV7、第8層配線LV8および第9層配線LV9を含む配線回路CC(図1参照)が形成される。
【0098】
その後、図29に示すように、第9層配線LV9を形成した層間絶縁膜IL9上に表面保護膜となるパッシベーション膜PASを形成する。このパッシベーション膜PASは、例えば、酸化シリコン膜とこの酸化シリコン膜上に配置された窒化シリコン膜から形成され、例えば、CVD法により形成することができる。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、パッシベーション膜PASに開口部を形成して、第9層配線LV9の一部を露出してパッドPDを形成する。なお、図示していない領域では、第9層配線L9の上面も露出され、パッドが形成されている。
【0099】
次に、図30に示すように、パッドPDが露出したパッシベーション膜PAS上にポリイミド膜PIを形成する。そして、このポリイミド膜PIをパターニングすることにより、パッドPDを露出させる。以上のようにして、半導体基板1S上に形成された拡散層に接続された多層配線を形成することで、図1および図2に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0100】
本実施の形態では、配線回路CC(図1参照)の下層のプラグPLV1(図2参照)を、図2に示すように、半導体基板1Sに形成されたp型拡散層PSを介してpウエルPWに接続しており、n型拡散層を介してpウエルに接続する構造を形成していない。これにより、例えば図20を用いて説明した工程においてビアホールV3を形成した際に、エッチングにより発生した残渣を除去するための薬液および洗浄水による洗浄工程において、ビアホールV3の底部に形成された第5層配線LV5を構成する銅が電気分解により溶け出し、ビアホールV3から露出する領域の第5層配線LV5が一部消失することを防ぐことができる。したがって、配線の消失により図1に示す電源遮断回路である配線回路CCが正常に動作しなくなることを防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0101】
なお、図13を用いて説明したように、洗浄工程においては回転中の半導体ウエハの中心に洗浄水を供給することにより半導体ウエハ全体を洗浄するため、半導体ウエハの周縁部に比べて半導体ウエハの中央部は洗浄水との摩擦が大きくなり、より大量の電荷が蓄積される。つまり、半導体ウエハの中央部の方が半導体ウエハの周縁部よりも配線の消失の発生が顕著になる傾向があるが、本実施の形態では図2に示すプラグPLV1を半導体基板1Sに形成されたp型拡散層PSを介してpウエルPWし、n型拡散層を介してpウエルに接続する構造を形成していないため、半導体ウエハの中央部であっても効果的に配線の消失を防ぐことができる。
【0102】
なお、本実施の形態では図1に示す配線回路CCを電源遮断回路として説明したが、特定の上層プラグ一本当たりの配線の面積が10000μm以上になるような大面積の配線であれば、他の用途に用いられる配線であっても構わない。
【0103】
また、図2示すプラグPLV1は、半導体基板1S上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極に接続されていても良い。このゲート電極は、その一部がMISFETの一部を構成するものである。
【0104】
また、本実施の形態では、配線回路CCは半導体基板1Sの主面に形成されたp型拡散層を介してpウエルに接続される構造について説明したが、配線回路CCは、半導体基板1Sの主面に形成されたp型拡散層を介してn型ウエルに接続されていても良く、また、n型拡散層を介してnウエルに接続されていても良い。すなわち、配線回路CCが半導体基板1Sの主面においてn型拡散層を介してpウエルに接続されていなければ良いのであって、例えば一つの配線回路CCを構成する複数のプラグが半導体基板1Sにそれぞれ接続され、前記複数のプラグのうちの特定のプラグがp型拡散層を介してn型ウエルに接続され、他のプラグがp型拡散層を介してpウエルに接続されているような構造であっても構わない。つまり、配線回路CCは、p型拡散層を介してn型ウエルに接続された構成、p型拡散層を介してn型ウエルに接続された構成、n型拡散層を介してn型ウエルに接続された構成、またはゲート電極に接続された構成のうち、少なくとも一つを有しており、それらの構成のうち複数の構成を有していても良い。
【0105】
また、本実施の形態では例えば図1に示すプラグPLV6を上層プラグとして説明したが、特定のプラグの下層に、当該プラグと接続され、面積が10000μm以上になるような大面積の配線が形成されていれば、いずれの層のプラグであっても本願に記載の上層プラグに該当する。
【0106】
(実施の形態2)
前記本実施の形態では、図1に示す配線回路CCを半導体基板の主面に形成された拡散層に接続する構造について説明したが、本実施の形態では、半導体基板上に絶縁膜を介して形成されたゲート配線に配線回路CCを接続する構造について説明する。
【0107】
前記実施の形態1で説明したように、半導体チップ内に電源遮断回路のような大面積の配線が形成され、その大面積の配線が半導体基板の主面に形成されたn型拡散層を介してp型ウエルに接続されている場合、大面積の配線を構成する一部の配線が消失し、半導体装置の信頼性が低下する問題がある。この問題は大面積の配線が大量の電荷を蓄積する性質を有していることに起因するため、大面積の配線が電荷を蓄積する性質を有していれば、その一部が銅以外の部材により構成されていても上記の問題が起こりうる。
【0108】
半導体基板の主面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極は、大面積になると帯電しやすい性質が顕著になるため、上記の大面積を有する配線が非常に大きな面積を有するゲート電極(ゲート配線)に接続されている場合、そのようなゲート電極に接続されてない場合に比べて配線の消失が発生しやすくなる。本発明者らは、活性領域上にゲート絶縁膜を介して形成された50000μm以上の面積を有するゲート電極に接続され、またはSTI(Shallow Trench Isolation)などの素子分離領域上にゲート絶縁膜を介して形成された10000μm以上の面積を有するゲート電極に接続された大面積を有する配線回路であって、n型拡散層を介してp型ウエルに接続された配線回路では配線の消失の発生が顕著になることを見出した。つまり、ゲート電極は素子分離領域上に形成されている方が、活性領域上に形成されているよりも電荷を蓄積しやすい。なお、ここでいうゲート電極(ゲート配線)の面積とは、ゲート電極の全体の長さの値にゲート長、すなわちゲート電極の延在方向に直交し、半導体基板の主面に沿う方向のゲート電極の長さの値を乗じた数値である。また、本実施の形態では、図31に示すように、前記ゲート電極はその一部がMISFETQnの一部を構成しているものとする。
【0109】
図31に、本実施の形態の半導体装置の断面図を示す。図31に示す半導体装置は図2に示す半導体装置とほぼ同様の構造を有しているが、電源遮断回路として機能する配線回路が、50000μm以上の面積を有するゲート電極G1に接続されている点で前記実施の形態1と異なる。ただし、当該配線回路がp型拡散層PSを介してpウエルPWに接続されている点は前記実施の形態1と同様である。図1に示すように、大面積を有する配線回路を構成する第1層配線LV1は、プラグPLV1を介してゲート電極G1に接続されている。また、第1層配線LV1に接続されたプラグPLV1は、p型拡散層PSを介してpウエルPWに接続されている。
【0110】
このように大面積のゲート電極に接続された大面積の導電経路を有する配線回路であっても、前記配線回路を半導体基板の主面に形成されたn型拡散層を介してp型ウエルに接続せず、例えば半導体基板の主面に形成されたp型拡散層を介してp型ウエルに接続することで、前期実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0111】
なお、本実施の形態の大面積を有する配線回路も、前記実施の形態1と同様に、p型拡散層を介してn型ウエルに接続された構成、p型拡散層を介してn型ウエルに接続された構成、n型拡散層を介してn型ウエルに接続された構成、またはゲート電極に接続された構成のうち、少なくとも一つを有していれば良く、それらの構成のうち複数の構成を有していても良い。
【0112】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、大面積を有する配線を含む半導体装置に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0114】
1〜4 回路
1S 半導体基板
10 空隙
BI1〜BI8 バリア絶縁膜
BI7a バリア絶縁膜
BI7b エッチングストップ絶縁膜
BM1、BM2 バリア導体膜
CC 配線回路
CH コンタクトホール
CIL コンタクト層間絶縁膜
CMP1 CMP保護膜
CP 半導体チップ
Cu1〜Cu4 銅膜
FR1 フォトレジスト膜
FR2 フォトレジスト膜
G1 ゲート電極
IL1〜IL7 層間絶縁膜
IL8a 層間絶縁膜
IL8b 層間絶縁膜
IL9 層間絶縁膜
L1、LV1 第1層配線
L2、LV2 第2層配線
L3、LV3 第3層配線
L4、LV4 第4層配線
L5、LV5 第5層配線
L6、LV6 第6層配線
L7、LV7 第7層配線
L8、LV8 第8層配線
LV9 第9層配線
NS n型拡散層
PAS パッシベーション膜
PD パッド
PI ポリイミド膜
PLG1〜PLG8 プラグ
PLV1〜PLV9 プラグ
PS p型拡散層
PW pウエル
Qn MISFET
V1、V3、V4 ビアホール
WD1、WD2、WD4、WD5 配線溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を含む半導体チップと、
前記半導体基板上に形成された第1接続部材の下層に形成され、前記第1接続部材と前記半導体基板とを電気的に接続する第1配線と、
前記半導体基板上に形成された第2接続部材の下層に形成され、前記第2接続部材と前記半導体基板とを電気的に接続する第2配線と、
を有し、
前記第1配線は前記半導体基板の主面にp型の第1半導体領域を介して形成されたn型の第2半導体領域には接続されておらず、
前記第2配線は前記半導体基板の主面にp型の第3半導体領域を介して形成されたn型の第4半導体領域に接続されており、
前記第1接続部材一本当たりの前記第1配線の面積は、前記第2接続部材一本当たりの前記第2配線の面積よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1配線は電源遮断用途に用いる回路を構成していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1配線は、前記半導体基板の主面にn型の第5半導体層を介して形成されたn型の第6半導体層、前記半導体基板の主面に形成されたp型の半導体層、または前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極のうちの少なくとも一つと接続されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1配線および前記第2配線は主に銅を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1配線および前記第2配線は複数層の積層構造を有する多層配線であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板上には回路が形成され、平面視において、前記第1配線は前記回路を周囲を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1配線は前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−138419(P2012−138419A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288455(P2010−288455)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】