半導体装置
【課題】電荷トラップを含むゲート電極と、電荷トラップを含まないゲート電極とを有する半導体装置において、両ゲート電極下のチャネル層にポテンシャルバリアが形成されないようにする。
【解決手段】基体8上に絶縁膜を介して第一のゲート電極1、第二のゲート電極2が形成され、両ゲート電極1、2を挟んで第一の拡散層5と第二の拡散層6が形成され、両拡散層5、6の間にチャネル層が形成されている。前記絶縁膜は、第一の拡散層5から第二の拡散層6の方向に第一の絶縁領域3、第二の絶縁領域4が配設された、両絶縁領域3、4のうち第二の絶縁領域4が電荷トラップを含み、第一の絶縁領域3を介して第一のゲート電極1が、第二の絶縁領域4を介して第二のゲート電極2が形成され、両ゲート電極1、2底部下に形成されるチャネル層の高さが相互に異なり、第二の拡散層6の先端部は、第二のゲート電極2直下の領域にまで到達している。
【解決手段】基体8上に絶縁膜を介して第一のゲート電極1、第二のゲート電極2が形成され、両ゲート電極1、2を挟んで第一の拡散層5と第二の拡散層6が形成され、両拡散層5、6の間にチャネル層が形成されている。前記絶縁膜は、第一の拡散層5から第二の拡散層6の方向に第一の絶縁領域3、第二の絶縁領域4が配設された、両絶縁領域3、4のうち第二の絶縁領域4が電荷トラップを含み、第一の絶縁領域3を介して第一のゲート電極1が、第二の絶縁領域4を介して第二のゲート電極2が形成され、両ゲート電極1、2底部下に形成されるチャネル層の高さが相互に異なり、第二の拡散層6の先端部は、第二のゲート電極2直下の領域にまで到達している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、トラップ型と呼ばれる書き換え可能な不揮発性半導体メモリセルを含む半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
0.13μm世代までのFLASHメモリの微細化では、Floating Gate(FG)型を用いたセル面積縮小や絶縁膜の薄膜化が主流であった。ところが、90nm世代以降では、保持特性確保の観点から絶縁膜の薄膜化が困難になったため、電荷蓄積層に絶縁膜中のトラップを利用するトラップ型メモリが注目されるようになった。
【0003】
トラップ型不揮発性メモリのひとつのタイプとして、TwinMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型の記憶装置がある(例えば、特開2005−142600号公報(特許文献1)参照)。
【0004】
図1にTwinMONOS型の記憶装置の平面図を示す。
【0005】
図1に示すように、TwinMONOS型の記憶装置は半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1が横切り、前記ワードゲート電極1の両脇にはトラップ絶縁膜4を挟んでコントロールゲート21、22(CG1、CG2)が形成されている。トラップ絶縁膜4は電荷トラップ層を含み、連続してコントロールゲート21、22/基板間にも形成されている。ゲート電極1と活性領域の間には電荷トラップ層を含まないワードゲート絶縁膜3が形成されている。
【0006】
図2A及び図2Bは、それぞれ、図1のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。
【0007】
図2A、図2Bに示すように、シリコン基板8上に隣り合う3つのゲート電極とソース・ドレイン領域を備え、コントロールゲート21、22/シリコン基板8間および、コントロールゲート21、22/ワードゲート電極1間にトラップ絶縁膜4が形成され、ワードゲート電極1下にはトラップを含まないワードゲート絶縁膜3が形成されている。
【0008】
TwinMONOS型の記憶装置はコントロールゲート21下もしくはコントロールゲート22下のトラップ絶縁膜4にチャネルホットエレクトロンを用いて電荷を注入し、蓄積させることで1セル当たり2ビットの不揮発性メモリとして動作する。コントロールゲート22下の電荷状態を読み出す場合、左側のソース・ドレイン領域6をドレインとして用い、正の電圧を印加すると共に、コントロールゲート21、22、およびワードゲート電極1それぞれにも正電圧を印加する。コントロールゲート22下のトラップ絶縁膜4に電子が蓄積されている場合、コントロールゲート22のフラットバンドが正方向に変動するためコントロールゲート22下を電子が流れにくくなる。逆にコントロールゲート22下のトラップ絶縁膜に電子が蓄積されていない場合、より多くの電流が流れる。メモリの動作速度を上げるためには電荷消去時の読み取り電流が高い必要があるが、TwinMONOS型構造を用いた場合、読み取り電流が低くなるという問題がある。
【0009】
図3に、コントロールゲート22の電荷蓄積状態読み取り時の電子電流Ieと電子の感じるポテンシャルφを示す。また、ワードゲート電極およびコントロールゲートからの電界を矢印にて示す。この場合、例えば、ワードゲート電極1およびコントロールゲート21、22に2Vを印加し、ソース・ドレイン領域6に1Vを、ソース・ドレイン領域5に接地電位を印加して読み出しを行なう。
【0010】
図3に示すように、ワードゲート電極/コントロールゲート間にはトラップ絶縁膜の厚さ分だけギャップGが存在し、ギャップに相当するチャネル領域にワードゲート電極およびコントロールゲートからの電界が届きにくくなる。つまり、ワードゲート電極/コントロールゲートギャップ付近にポテンシャルのバリアができてしまい、電子電流Ieが小さくなってしまう。
【0011】
一方、ワードゲート電極/コントロールゲート間の絶縁膜厚をコントロールゲート下の絶縁膜とは独立に設定したセル構造も提案されている(例えば、特開2001−230332号公報(特許文献2)、特開2004−282029号公報(特許文献3)参照)。
【0012】
そのセル構造では、図4に示すように、ワードゲート電極1/コントロールゲート21、22間に電荷トラップを有しない絶縁膜13を介在させる。この場合、この絶縁膜13を薄膜化することでポテンシャルバリアを低減しオン電流が上昇する。しかし、ワードゲート電極/コントロールゲート間絶縁膜を薄膜化することで、ワードゲート電極/コントロールゲート間容量Cが増大してしまい、コントロールゲートおよびワードゲートのスイッチング速度を下げてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−142600号公報
【特許文献2】特開2001−230332号公報
【特許文献3】特開2004−282029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、半導体基板上に、電荷トラップを含むゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、電荷トラップを含まないゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とを有する半導体装置において、両ゲート電極下に形成されるチャネル層に電子に対するポテンシャルバリアが形成されないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極、第二のゲート電極が形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層が形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して前記第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して前記第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、
少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極と第二のゲート電極とが互いに隣接して第一の方向に延在するように形成され、前記第一、第二のゲート電極が、前記第一の方向と直交する第二の方向に並べられて複数形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層がそれぞれ前記第一の方向に列をなして複数形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成され、前記第二の方向に延在する素子分離層が前記第一の方向に並べられて複数形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二つのゲート電極の隣接部のチャネル領域に段差が形成され、その段差部には両方のゲート電極からの電界が最短距離で印加されるようになるため、二つのゲート電極の隣接部にポテンシャルバリアが形成されなくなる。そのため、読み出し電流の低下を抑制することができる。
【0018】
また、実効的なチャネル長が延長されるため、ゲート電極長の微細化を行った際に生じるパンチスルー電流の増大を抑制することができる。そのため、読み出し電流のオン/オフ比を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】関連技術のTwinMONOS型半導体記憶装置を説明するための平面図である。
【図2A】図1のI−I’線に沿う断面図である。
【図2B】図1のII−II’線に沿う断面図である。
【図3】関連技術の動作説明図である。
【図4】他の関連技術の断面図である。
【図5A】本発明の実施の形態を説明するための断面図である。
【図5B】本発明の実施の形態を説明するための断面図である。
【図6A】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図6B】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図6C】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図6D】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施例1の平面図である。
【図8A】図7のI−I’線に沿う断面図である。
【図8B】図7のII−II’線に沿う断面図である。
【図9A】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9B】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9C】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9D】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9E】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9F】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9G】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図10】本発明の実施例2の平面図である。
【図11A】図10のI−I’線に沿う断面図である。
【図11B】図10のII−II’線に沿う断面図である。
【図12A】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12B】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12C】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12D】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12E】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12F】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12G】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12H】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図13】本発明の実施例3の平面図である。
【図14A】図13のI−I’線に沿う断面図である。
【図14B】図13のII−II’線に沿う断面図である。
【図15A】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15B】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15C】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15D】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15E】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15F】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15G】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15H】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図16】本発明の実施例4の平面図である。
【図17】図16のI−I’線に沿う断面図である。
【図18】本発明の実施例5の平面図である。
【図19A】図18のI−I’線に沿う断面図である。
【図19B】図18のII−II’線に沿う断面図である。
【図20】本発明の実施例6の平面図である。
【図21】図20のI−I’線に沿う断面図である。
【図22A】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22B】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22C】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22D】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22E】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22F】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22G】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図5Aは、本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【0022】
図5Aに示すように、半導体基板108の表面領域内にはソース・ドレイン領域105、106が形成されており、ソース・ドレイン領域105、106間の半導体基板上には、電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜103を介してワードゲート電極101が、また電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜104を介してコントロールゲート102が形成されている。そして、ワードゲート電極101とコントロールゲート102との間はワードゲート絶縁膜103により絶縁されている。本発明において特徴的な点は、ワードゲート電極101下に形成されるチャネル層とコントロールゲート102下に形成されるチャネル層との間に高低差があることである。
【0023】
図5Aに示される第1の実施の形態では、ワードゲート電極101底部の高さがコントロールゲート102底部の高さより低くなされている。そして、その高低差は、トラップ絶縁膜104の膜厚より大きくなされる。換言すれば、ワードゲート電極101底部下に形成されるチャネル層の高さがコントロールゲート102底部下に形成されるチャネル層の高さより低くなされ、その高低差は、ワードゲート絶縁膜103の膜厚より大きくなされる。そのようにすることにより、半導体基板表面の段差の側面にワードゲート電極101の側面より電界が印加されるようになり、チャネル領域に電子に対するポテンシャルバリアが形成されないようにすることができる。
【0024】
図5Bは、本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【0025】
図5Bに示すように、半導体基板108の表面領域内にはソース・ドレイン領域105、106が形成されており、ソース・ドレイン領域105、106間の半導体基板上には、電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜103を介してワードゲート電極101が、また電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜104を介してコントロールゲート102が形成されている。そして、ワードゲート電極101とコントロールゲート102との間はトラップ絶縁膜104により絶縁されている。本実施の形態では、図5Aされる第1の実施の形態とは逆に、ワードゲート電極101底部の高さがコントロールゲート102底部の高さより高くなされている。そして、その高低差は、ワードゲート絶縁膜103の膜厚より大きくなされる。
【0026】
換言すれば、ワードゲート電極101底部下に形成されるチャネル層の高さがコントロールゲート102底部下に形成されるチャネル層の高さより高くなされ、その高低差は、トラップ絶縁膜104の膜厚より大きくなされる。そのようにすることにより、半導体基板表面の段差の側面にコントロールゲート102の側面より電界が印加されるようになり、チャネル領域に電子に対するポテンシャルバリアが形成されないようにすることができる。
【0027】
読み出し電流の大小は、電子の感じるポテンシャルに依存する。電子の感じるポテンシャルは、主に各絶縁膜の物理膜厚および誘電率により決まるため、隣接する絶縁膜の境界ではポテンシャルに不連続な領域が生じるおそれがある。ポテンシャルの不連続な領域はキャリアのスムーズな流れを妨げ、読み出し電流の低下を招くため、本願発明の効果を十分に享受するためには、隣接する絶縁膜の物理膜厚および誘電率は、ポテンシャルの不連続による読み出し電流の低下を招かないように決める必要がある。後述される実施例においても、この条件を満足しうる物理膜厚および誘電率を決定した。
【0028】
第1、第2の実施の形態のメモリセルにおける読み出し時のゲート電極からチャネル領域への電界の印加状態を図6A、図6Bに示す。
【0029】
図6Aに示されるように、第1の実施の形態のメモリセルにおいては、コントロールゲート102の底部よりチャネル領域に向けて垂直方向に電界が印加される。一方、ワードゲート電極101の底部からはチャネル領域に向けて垂直方向に電界が印加されると共に、ワードゲート電極101の側面より水平方向に電界が印加される。その結果、点線丸にて示す領域A付近においては、二つのゲート電極からの電界が印加されることになり、関連技術で二つのゲート電極の境界付近で生じていたポテンシャルバリアの形成は防止され、蓄積電荷消去状態のメモリセルについては大きな読み出し電流を得ることができる。
【0030】
同様に、第2の実施の形態のメモリセルについても、図6Bに示されるように、領域A付近においては、二つのゲート電極からの電界が印加されることになり、ポテンシャルバリアの形成は防止され、蓄積電荷消去状態のメモリセルについては大きな読み出し電流を得ることができる。
【0031】
しかし、本発明の第1の実施の形態のメモリセル構造においては、ワードゲート電極101とワードゲート絶縁膜103のコントロールゲート寄りの底部の角部が直角に形成されている場合には、角部においてゲート電極101からチャネル領域までの距離がワードゲート絶縁膜103の膜厚の√2倍となってしまい、ここでのゲート電極からの電界が弱くなってしまう。つまり、弱いながらも新たにポテンシャルバリアが生じてしまう。これを軽減するには角部を面取りするか角部を丸めて、ゲート電極−チャネル領域間の距離がワードゲート絶縁膜103の膜厚の√2倍以下となるようにすることが望ましい。ポテンシャルバリアを低減するもう一つの方法は、ソース・ドレイン領域105の先端部をコントロールゲート102寄りに引き延ばすことである。
【0032】
図6Cに示されるように、ワードゲート絶縁膜103が上方に向って曲がり始める位置以上にソース・ドレイン領域105を引き延ばせばポテンシャルバリアを低減することができる。つまり、ソース・ドレイン領域105の先端部の半導体基板表面とワードゲート電極101までの最短距離がワードゲート絶縁膜103の膜厚以上となる位置まで引き延ばすことである。ソース・ドレイン領域105の先端部を更にコントロールゲート102直下まで引き延ばせば、例えワードゲート絶縁膜103やワードゲート電極101のコーナ部が丸められていなくてもポテンシャルバリアをほぼ解消することができる。
【0033】
同様に、図5Bに示される第2の実施の形態のメモリセルにおいては、コントロールゲート102とトラップ絶縁膜104のチャネル領域に臨む角部を面取りしたり丸めたりすることにより、角部に接するチャネル領域でのポテンシャルバリアを低めることができる。あるいは、ソース・ドレイン領域106の先端部を、トラップ絶縁膜104が上方に向って曲がり始める位置以上にワードゲート電極101寄りに引き延ばすことにより、ポテンシャルバリアの影響を低減することができる。
【0034】
若しくは、図6Dに示されるように、ソース・ドレイン領域106の先端部をワードゲート電極101直下の位置にまで引き延ばすことにより、ポテンシャルバリアの影響を低減することができる。この場合、図6Dに示されるように、トラップ絶縁膜104やコントロールゲート102のコーナ部を丸めなくてもよい。しかし、このように、ソース・ドレイン領域5、6をコントロールゲート102またはワードゲート電極101直下まで引き延ばした場合には、ソース・ドレイン領域5、6間のリーク電流が増大してしまう恐れがあるため、少なくともソース・ドレイン領域5、6間の不純物濃度をコントロールゲート102直下若しくはワードゲート電極101直下のチャネル形成領域の不純物濃度よりも高くしておくことが望ましい。
【0035】
本発明のメモリセルにおいて、関連技術のメモリセルにおいて生じていたポテンシャルバリアを、チャネル層に高低差を設けることにより、解消しているが、一方で、このセル構造は、チャネル電流が水平方向のみならず垂直方向にも流れることになり、チャネルが立体的に形成されるため、実質的にチャネル長が長くなりゲート電極長微細化によって深刻化してきているパンチスルー発生の可能性を軽減することができる。したがって、パンチスルー電流によって低下する読み出し電流のオン/オフ比を大きく維持することができる。パンチスルー防止効果については、基板表面の段差を大きくするほどより大きくなる。
【0036】
本発明の実施の形態として示したセル構造は、二つのゲート電極を有するいわゆるスプリットゲート型と呼ばれるものであるが、ワードゲート電極の両脇にコントロールゲートが形成された3ゲート電極構造(TwinMONOS)のものでもよく、本発明のメモリセルにおいてはゲート電極の数は特に限定されない。本発明のメモリセルにおいて肝要な点は、隣接する電荷トラップを含まないゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極下の基板表面と電荷トラップを含むゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極下の基板表面との間に段差があることである。
【0037】
電荷トラップを含まないワードゲート絶縁膜103には、シリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜若しくはそれらの積層膜が用いられる。トラップ絶縁膜104は、代表的には、電荷トラップを含まない絶縁膜/電荷トラップを含む絶縁膜/電荷トラップを含まない絶縁膜、の3層膜であり、O/N/Oと表記される、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜が用いられるが、これに限定されない。例えば、O/N/Oのシリコン窒化膜に代えて、酸窒化シリコン、アルミナ、アルミニウムシリケート、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、の内のいずれかの膜を用いてもよい。また、トラップ絶縁膜104として単層のシリコン酸化膜の中間部に電荷トラップとなる金属やナノクリスタルシリコン等を局在させたものであってもよい。
【0038】
トラップ絶縁膜104に接して垂直方向のチャネルが、形成される第2の実施の形態においては、基板の垂直な面に(100)面もしくは(311)面またはそれらと結晶学的に等価な面が現れるようにするのがよい。このようにすることにより、トラップ絶縁膜からの電荷の漏洩を低減することができ、蓄積電荷の保持特性を良好に維持することができる。これはウェハの面方位によってウェハ表面に形成された酸化膜の界面準位密度が異なるためであり、界面準位密度の大小関係は(110)>(111)>>(100)>(311)である。つまり、トラップ絶縁膜104の下層膜/基板界面の改質によって蓄積電荷の漏洩を減少させることができる。
【0039】
本発明のメモリセルに対する読み出しは、ワードゲート電極101とコントロールゲート102に正の電圧を印加すると共に、ワードゲート電極101寄りのソース・ドレイン領域105に正の電圧を印加してドレインとして動作させ、コントロールゲート102寄りのソース・ドレイン領域106に接地電圧を印加してソースとして動作させて行う。このとき、トラップ絶縁膜104に電子が蓄積している場合、ソース−ドレイン間に電子電流が流れにくくなる。電子が蓄積していない場合、ソース−ドレイン間にチャネルが形成されて大きな電子電流が流れる。よって、ある所定の印加電圧における電子電流値を読み取ることでトラップ絶縁膜104に対する書き込み状態を検出することができる。
【0040】
書き込みは、ソース・ドレイン領域106、コントロールゲート102、ワードゲート電極101に正電圧を印加することでコントロールゲート102下部にチャネルホットエレクトロンを発生させ、トラップ絶縁膜104に電子を注入することで行う。
【0041】
消去は、ソース・ドレイン領域106に正電圧、コントロールゲート102に負電圧を印加し、発生したホットホールをトラップ絶縁膜104に注入することによって行なう。逆に、ソース・ドレイン領域106または基板に電子を引き抜くことによって消去を行なうこともできる。
【0042】
(実施例1)
図7は、本発明の実施例1の半導体記憶装置の平面図である。これはTwinMONOS型記憶装置に係るものである。
【0043】
図7に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート21、22が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在しており、コントロールゲート21、22と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0044】
図8A及び図8Bは、それぞれ、図7のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された本実施例の記憶装置の断面図である。
【0045】
本実施例の記憶装置では、素子分離領域7を備えたp導電型のシリコン基板8上にチャネル形成領域を挟んでn導電型のソース・ドレイン領域5、6が形成されており、ソース・ドレイン領域5、6間のチャネル形成領域上にワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成されている。そして、ワードゲート電極1の一方の側部にトラップ絶縁膜4を介して、かつ、シリコン基板8上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート21が形成され、またワードゲート電極1の他方の側部にトラップ絶縁膜4を介して、かつ、シリコン基板8上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート22が形成されている。ここで、ワードゲート電極1とコントロールゲート21およびコントロールゲート22との底部の高さが異なるようすることが本発明の記憶装置の特徴である。ここでは、ワードゲート電極1の底部がコントロールゲート21およびコントロールゲート22の底部の高さよりも高くなされており、そして電極底部の高低差はワードゲート絶縁膜3の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0046】
さらに付け加えれば、ソース・ドレイン領域5、6の高さは製造上等しい方が望ましい。ソース・ドレイン領域に配線層からのコンタクトホールを形成するためのエッチングを行う際、ソース・ドレイン領域の高さが異なると、高さの高い方が先にエッチングが終了し、高さの低い方に比べてオーバーエッチングダメージが大きくなってしまうからである。
【0047】
トラップ絶縁膜4は、本実施例では、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3は、酸化シリコンにより形成した。
【0048】
以下、本発明の実施例1の製造方法を簡単に説明する。図9A〜9Gは、図7のI―I’線に沿って切断された断面での実施例1の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0049】
まず、図9Aに示すように、(100)面を主面とするシリコン基板8上に、熱酸化によりシリコン酸化膜からなるワードゲート絶縁膜3を形成し、リンドープポリシリコンを堆積してワードゲート電極材料層1aを形成した。
【0050】
次に、図9Bに示すようにパターニングされたレジストマスク9を形成し、ドライエッチングを行うことでワードゲート電極材料層1aをワードゲート電極1に加工した。さらに、露出したワードゲート絶縁膜3を除去することでシリコン基板8の表面を露出させた。
【0051】
次に、図9Cに示すようにレジストマスク9をマスクにして追加ドライエッチングを行い、シリコン基板8を掘り下げ、(010)面を露出させた。シリコン基板8の掘り下げ量はワードゲート絶縁膜3の膜厚および後で形成するトラップ絶縁膜の膜厚以上にした。追加ドライエッチング後、レジストマスク9はウェット除去した。
【0052】
次に、図9Dに示すように、基板全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないラジカル酸化等を用いることが望ましく、ここではISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。
【0053】
次に、図9Eに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積し、ドライプロセスでエッチバックを行うことでコントロールゲート21、22を形成した。
【0054】
続いて、図9Fに示すように、トラップ絶縁膜4の露出部分をドライエッチングで除去した。
【0055】
最後に、図9Gに示すように、イオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0056】
(実施例2)
図10は、本発明の実施例2の半導体記憶装置の平面図である。本実施例は、TwinMONOS型記憶装置に係る他の実施例である。
【0057】
図10に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート21、22が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート21、22と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0058】
図11A及び図11Bは、それぞれ図10のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。
【0059】
本実施例の半導体記憶装置では、図11A及び図11Bに示されるように、素子分離領域7を備えたp導電型のシリコン基板8上にチャネル形成領域を挟んでn導電型の不純物散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、チャネル形成領域上に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成され、ワードゲート電極1の一方の側部側にはワードゲート絶縁膜3を介し、かつ、チャネル形成領域上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート21が形成され、ワードゲート電極1の他方の側部側にはワードゲート絶縁膜3を介し、かつ、チャネル形成領域上に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート22が形成されている。本実施例では、コントロールゲート21およびコントロールゲート22の底部の高さがワードゲート電極の底部の高さよりも高くなされており、ワードゲート1/コントロールゲート21、22の境界付近で電極からチャネルにかかる電界が最大となるようにするため、高低差はトラップ絶縁膜4の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0060】
さらに付け加えれば、ソース・ドレイン領域の高さは製造上等しい方が望ましい。層間絶縁膜にソース・ドレイン領域へのコンタクトホールを形成するためのエッチングを行う際、ソース・ドレイン領域の高さが異なると、高さの高い方が先にエッチングが終了し、高さの低い方に比べてオーバーエッチングダメージが大きくなってしまうからである。
【0061】
トラップ絶縁膜4は、本実施例では、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3にはシリコン酸化膜を用いた。
【0062】
以下、本発明の実施例2の製造方法を簡単に説明する。図12A〜12Hは、図10のI―I’線に沿って切断された断面での実施例2の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0063】
まず、図12Aに示すようにシリコン基板8全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化にはISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。その後、リンドープポリシリコンを成膜してコントロールゲート材料層2aを形成した。
【0064】
次に、図12Bに示すように、対を成すパターニングされたハードマスク10を形成し、これをマスクにコントロールゲート材料層2aにドライエッチングを行うことによりコントロールゲート21、22を形成した。さらに、トラップ絶縁膜をドライエッチング除去し、シリコン基板8の表面を露出させた。
【0065】
次に、図12Cに示すようにコントロールゲート21、22の外側を少なくとも覆い、かつ、コントロールゲート21、22に乗り上げるようにパターニングされたレジストマスク9を形成した。
【0066】
次に、図12Dに示すように、レジストマスク9およびハードマスク10をエッチング阻止層として用いてドライエッチングを行い、シリコン基板8を掘り下げた。シリコン基板8の主面からの掘り下げ量はトラップ絶縁膜4の膜厚および後で形成するワードゲート絶縁膜の膜厚以上にした。ドライエッチング後、レジストマスク9およびハードマスク10はウェット除去した。
【0067】
次に、図12Eに示すように、表面を酸化してワードゲート絶縁膜3を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないラジカル酸化等を用いることが望ましく、ここではISSG酸化を用いた。
【0068】
次に、図12Fに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積して、ワードゲート材料層1aを形成した。
【0069】
続いて、図12Gに示すように、パターニングされたレジストマスク11をエッチング阻止層としてドライエッチングを行い、対をなすコントロールゲート21、22に乗り上げ、かつシリコン基板8の溝部全体を覆うようにワードゲート電極1を形成し、次いで露出したワードゲート絶縁膜3をドライエッチングで除去した。
【0070】
最後に、図12Hに示すように、イオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0071】
(実施例3)
図13は、本発明の実施例3の半導体記憶装置の平面図である。図13に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在して、いわゆるスプリットゲート型の半導体記憶装置が構成されている。
【0072】
図14A及び図14Bは、それぞれ、図13のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。
【0073】
実施例3では、シリコン基板8上に素子分離領域7により活性領域が画定されおり、その活性領域にn導電型の不純物拡散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域がp導電型のチャネル形成領域になされている。このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2が形成されており、コントロールゲート2の片側にはコントロールゲート2にセルフアラインされてシリコン基板8に段差部が形成されている。そして、シリコン基板段差部の側面および底面上にワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が、ワードゲート絶縁膜3を介してコントロールゲート2に乗り上げるように形成されている。ここで、コントロールゲート2の底部の高さがワードゲート電極1の底部の高さよりも高いことが本発明の半導体記憶装置の特徴である。この高低差はトラップ絶縁膜4の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0074】
トラップ絶縁膜4は、本実施例では、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3にはシリコン酸化膜を用いた。
【0075】
以下、本発明の実施例3の製造方法を簡単に説明する。図15A〜15Hは、図13のI―I’線に沿って切断された断面での実施例3の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0076】
まず、図15Aに示すようにシリコン基板8全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化にはISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。さらに、トラップ絶縁膜4上にコントロールゲート材料であるリンドープポリシリコンを堆積してコントロールゲート材料層2aを形成した。
【0077】
次に、図15Bに示すように、コントロールゲート形状にパターニングされたハードマスク10を形成し、コントロールゲート材料層2aをドライエッチングすることによりコントロールゲート2を形成した。さらに、トラップ絶縁膜4をドライエッチングすることでシリコン基板8の表面を露出させた。
【0078】
次に、図15Cに示すように、コントロールゲート2の一方を覆いかつコントロールゲート2に乗り上げるようにパターニングされたレジストマスク9を形成し、パターニングされたレジストマスク9およびハードマスク10をエッチング阻止層として用いてドライエッチングすることでコントロールゲート2の片側のみシリコン基板8をエッチングして溝部を形成した。溝部形成後、レジストマスク9およびハードマスク10はウエット法により除去した。
【0079】
次に、図15Dに示すように、表面を酸化してワードゲート絶縁膜3を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないラジカル酸化等を用いることが望ましく、ここではISSG酸化を用いた。
【0080】
次に、図15Eに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積してワードゲート電極材料層1aを形成した。
【0081】
続いて、図15Fに示すように、半導体基板の溝部とコントロールゲート2の一部に重なるようにパターニングされたレジストマスク11を形成した。
【0082】
次に、図15Gに示すように、レジストマスク11を用いてドライエッチングを行うことでワードゲート電極1を形成すると共に、露出したワードゲート絶縁膜3を除去し、その後レジストマスク11をウエット除去した。
【0083】
最後に、図15Hに示すように、イオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0084】
(実施例4)
図16は、本発明の実施例4の半導体記憶装置の平面図である。図16に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0085】
図17は、図12のI−I’線に沿って切断された断面図である。実施例4では、シリコン基板8上の素子分離領域7により画定された活性領域にソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域はチャネル形成領域になされている。このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2が形成されており、二つのコントロールゲート2間にはシリコン基板8に溝部が形成されている。そして、シリコン基板溝部の側面および底面の一部上にワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1がコントロールゲート2に乗り上げるように形成されている。ワードゲート電極1とコントロールゲート2との間は、ワードゲート絶縁膜3により絶縁されている。
【0086】
なお、実施例4は、図13および図14に示した実施例3のメモリ素子を、チャネル長方向と垂直な面S(図16参照)に対して対称になるように配置したものである。このように配置することで、図13に示すように溝部と半導体基板主面に形成されたソース・ドレイン領域5、6を隣接するメモリセル間で共通にすることができるため、メモリ面積の縮小化が可能となる。また、実施例4の製造方法は、図15に示される実施例3の製造方法と同様であるのでその説明は省略する。
【0087】
(実施例5)
図18は、本発明の実施例5の半導体記憶装置の平面図である。図18に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そしてワードゲート1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在して、いわゆるスプリットゲート型の半導体記憶装置が構成されている。
【0088】
図19A及び図19Bは、それぞれ図18のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。実施例5では、シリコン基板8上に素子分離領域7により活性領域が画定されおり、その活性領域にn導電型の不純物拡散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域がp導電型のチャネル形成領域になされている。
【0089】
このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成されており、ワードゲート電極1の片側にはワードゲート電極1にセルフアラインされてシリコン基板8に段差部が形成されている。そして、シリコン基板段差部の側面および底面上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2がワードゲート電極1に乗り上げるように形成されている。ワードゲート電極1とコントロールゲート2との間は、トラップ絶縁膜4により絶縁されている。本実施例では、コントロールゲート2の底部の高さがワードゲート電極の底部の高さよりも低くなされている。そして、ワードゲート1/コントロールゲート2の境界付近で電極からチャネルにかかる電界が最大となるようにするため、電極底部間の高低差は、ワードゲート絶縁膜3の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0090】
本実施例では、トラップ絶縁膜4は、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3にはシリコン酸化膜を用いた。なお、実施例5の製造方法は、後述の図22に示される実施例6の製造方法と同様であるのでその説明は省略する。
【0091】
(実施例6)
図20は、本発明の実施例6の半導体記憶装置の平面図である。図20に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そして、ワードゲート1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0092】
図21は、図20のI−I’線に沿って切断された断面図である。実施例6では、シリコン基板8上に素子分離領域により活性領域が画定されおり、その活性領域にn導電型の不純物拡散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域がp導電型のチャネル形成領域になされている。このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成されており、二つのワードゲート電極1間にはシリコン基板8に溝部が形成されている。そして、シリコン基板溝部の側面および底面の一部上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2がワードゲート電極1に乗り上げるように形成されている。ワードゲート電極1とコントロールゲート2との間はトラップ絶縁膜4により絶縁されている。
【0093】
なお、実施例6は、図18および図19に示した実施例5のメモリ素子を、チャネル長方向と垂直な面S(図20参照)に対して対称になるように配置したものである。このように配置することで、図20、図21に示すように溝部と半導体基板主面に形成されたソース・ドレイン領域5、6を隣接するメモリセル間で共通にすることができるため、メモリ面積の縮小化が可能となる。
【0094】
以下、本発明の実施例6の製造方法を簡単に説明する。図22A〜22Gは、図20のI―I’線に沿って切断された断面での実施例6の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0095】
まず、図22Aに示すように、シリコン基板8上に、熱酸化法によりシリコン酸化膜からなるワードゲート絶縁膜3を形成し、その上にリンドープポリシリコンを堆積してワードゲート電極材料層1aを形成した。
【0096】
さらに、図22Bに示すようにパターニングされたレジストマスク9を形成し、ドライエッチングを行うことでワードゲート電極材料層1aをパターニングし、露出したワードゲート絶縁膜3を除去することでシリコン基板8を露出させ、レジストマスク9をマスクにして追加ドライエッチングを行い、シリコン基板8を掘り下げ、基板に溝部を形成した。シリコン基板8の掘り下げ量はワードゲート絶縁膜3の膜厚および後で形成するトラップ絶縁膜の膜厚以上にした。
【0097】
追加ドライエッチング後、レジストマスク9はウェット除去し、続いて、図22Cに示すように、パターニングされたレジストマスク11を形成し、ドライエッチングを行うことでワードゲート電極材料層1aをワードゲート電極1に加工した。さらに、露出したワードゲート絶縁膜3を除去することでシリコン基板8の表面を露出させた。そして、レジストマスク11をウエット除去した。
【0098】
次に、図22Dに示すように、基板全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。
【0099】
次に、図22Eに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積し、コントロールゲート材料層2aを形成した。続いて、図22Fに示すように、パターニングされたレジストマスク12を形成し、ドライエッチングを行うことでコントロールゲート材料層2aをコントロールゲート2に加工した。さらに、露出したトラップ絶縁膜4を除去することでシリコン基板8を露出させた。
【0100】
最後に、図22Gに示すようにイオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0101】
以上、実施形態に基づき本発明を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができ、これらの変更例も本願に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、トラップ型と呼ばれる書き換え可能な不揮発性半導体メモリセルを含む半導体装置に適用可能である。例えば、二つのゲート電極を有するいわゆるスプリットゲート型あるいはワードゲート電極の両脇にコントロールゲートが形成された3ゲート電極構造(TwinMONOS)に適用可能である。
【0103】
この出願は、2006年11月14日に出願された日本出願特願第2006−307373号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、トラップ型と呼ばれる書き換え可能な不揮発性半導体メモリセルを含む半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
0.13μm世代までのFLASHメモリの微細化では、Floating Gate(FG)型を用いたセル面積縮小や絶縁膜の薄膜化が主流であった。ところが、90nm世代以降では、保持特性確保の観点から絶縁膜の薄膜化が困難になったため、電荷蓄積層に絶縁膜中のトラップを利用するトラップ型メモリが注目されるようになった。
【0003】
トラップ型不揮発性メモリのひとつのタイプとして、TwinMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型の記憶装置がある(例えば、特開2005−142600号公報(特許文献1)参照)。
【0004】
図1にTwinMONOS型の記憶装置の平面図を示す。
【0005】
図1に示すように、TwinMONOS型の記憶装置は半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1が横切り、前記ワードゲート電極1の両脇にはトラップ絶縁膜4を挟んでコントロールゲート21、22(CG1、CG2)が形成されている。トラップ絶縁膜4は電荷トラップ層を含み、連続してコントロールゲート21、22/基板間にも形成されている。ゲート電極1と活性領域の間には電荷トラップ層を含まないワードゲート絶縁膜3が形成されている。
【0006】
図2A及び図2Bは、それぞれ、図1のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。
【0007】
図2A、図2Bに示すように、シリコン基板8上に隣り合う3つのゲート電極とソース・ドレイン領域を備え、コントロールゲート21、22/シリコン基板8間および、コントロールゲート21、22/ワードゲート電極1間にトラップ絶縁膜4が形成され、ワードゲート電極1下にはトラップを含まないワードゲート絶縁膜3が形成されている。
【0008】
TwinMONOS型の記憶装置はコントロールゲート21下もしくはコントロールゲート22下のトラップ絶縁膜4にチャネルホットエレクトロンを用いて電荷を注入し、蓄積させることで1セル当たり2ビットの不揮発性メモリとして動作する。コントロールゲート22下の電荷状態を読み出す場合、左側のソース・ドレイン領域6をドレインとして用い、正の電圧を印加すると共に、コントロールゲート21、22、およびワードゲート電極1それぞれにも正電圧を印加する。コントロールゲート22下のトラップ絶縁膜4に電子が蓄積されている場合、コントロールゲート22のフラットバンドが正方向に変動するためコントロールゲート22下を電子が流れにくくなる。逆にコントロールゲート22下のトラップ絶縁膜に電子が蓄積されていない場合、より多くの電流が流れる。メモリの動作速度を上げるためには電荷消去時の読み取り電流が高い必要があるが、TwinMONOS型構造を用いた場合、読み取り電流が低くなるという問題がある。
【0009】
図3に、コントロールゲート22の電荷蓄積状態読み取り時の電子電流Ieと電子の感じるポテンシャルφを示す。また、ワードゲート電極およびコントロールゲートからの電界を矢印にて示す。この場合、例えば、ワードゲート電極1およびコントロールゲート21、22に2Vを印加し、ソース・ドレイン領域6に1Vを、ソース・ドレイン領域5に接地電位を印加して読み出しを行なう。
【0010】
図3に示すように、ワードゲート電極/コントロールゲート間にはトラップ絶縁膜の厚さ分だけギャップGが存在し、ギャップに相当するチャネル領域にワードゲート電極およびコントロールゲートからの電界が届きにくくなる。つまり、ワードゲート電極/コントロールゲートギャップ付近にポテンシャルのバリアができてしまい、電子電流Ieが小さくなってしまう。
【0011】
一方、ワードゲート電極/コントロールゲート間の絶縁膜厚をコントロールゲート下の絶縁膜とは独立に設定したセル構造も提案されている(例えば、特開2001−230332号公報(特許文献2)、特開2004−282029号公報(特許文献3)参照)。
【0012】
そのセル構造では、図4に示すように、ワードゲート電極1/コントロールゲート21、22間に電荷トラップを有しない絶縁膜13を介在させる。この場合、この絶縁膜13を薄膜化することでポテンシャルバリアを低減しオン電流が上昇する。しかし、ワードゲート電極/コントロールゲート間絶縁膜を薄膜化することで、ワードゲート電極/コントロールゲート間容量Cが増大してしまい、コントロールゲートおよびワードゲートのスイッチング速度を下げてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−142600号公報
【特許文献2】特開2001−230332号公報
【特許文献3】特開2004−282029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、半導体基板上に、電荷トラップを含むゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、電荷トラップを含まないゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とを有する半導体装置において、両ゲート電極下に形成されるチャネル層に電子に対するポテンシャルバリアが形成されないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極、第二のゲート電極が形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層が形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して前記第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して前記第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、
少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極と第二のゲート電極とが互いに隣接して第一の方向に延在するように形成され、前記第一、第二のゲート電極が、前記第一の方向と直交する第二の方向に並べられて複数形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層がそれぞれ前記第一の方向に列をなして複数形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成され、前記第二の方向に延在する素子分離層が前記第一の方向に並べられて複数形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二つのゲート電極の隣接部のチャネル領域に段差が形成され、その段差部には両方のゲート電極からの電界が最短距離で印加されるようになるため、二つのゲート電極の隣接部にポテンシャルバリアが形成されなくなる。そのため、読み出し電流の低下を抑制することができる。
【0018】
また、実効的なチャネル長が延長されるため、ゲート電極長の微細化を行った際に生じるパンチスルー電流の増大を抑制することができる。そのため、読み出し電流のオン/オフ比を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】関連技術のTwinMONOS型半導体記憶装置を説明するための平面図である。
【図2A】図1のI−I’線に沿う断面図である。
【図2B】図1のII−II’線に沿う断面図である。
【図3】関連技術の動作説明図である。
【図4】他の関連技術の断面図である。
【図5A】本発明の実施の形態を説明するための断面図である。
【図5B】本発明の実施の形態を説明するための断面図である。
【図6A】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図6B】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図6C】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図6D】本発明の実施の形態の動作と変更例を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施例1の平面図である。
【図8A】図7のI−I’線に沿う断面図である。
【図8B】図7のII−II’線に沿う断面図である。
【図9A】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9B】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9C】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9D】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9E】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9F】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9G】本発明の実施例1の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図10】本発明の実施例2の平面図である。
【図11A】図10のI−I’線に沿う断面図である。
【図11B】図10のII−II’線に沿う断面図である。
【図12A】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12B】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12C】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12D】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12E】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12F】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12G】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図12H】本発明の実施例2の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図13】本発明の実施例3の平面図である。
【図14A】図13のI−I’線に沿う断面図である。
【図14B】図13のII−II’線に沿う断面図である。
【図15A】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15B】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15C】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15D】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15E】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15F】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15G】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図15H】本発明の実施例3の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図16】本発明の実施例4の平面図である。
【図17】図16のI−I’線に沿う断面図である。
【図18】本発明の実施例5の平面図である。
【図19A】図18のI−I’線に沿う断面図である。
【図19B】図18のII−II’線に沿う断面図である。
【図20】本発明の実施例6の平面図である。
【図21】図20のI−I’線に沿う断面図である。
【図22A】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22B】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22C】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22D】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22E】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22F】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図22G】本発明の実施例6の製造方法を示す工程順の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図5Aは、本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【0022】
図5Aに示すように、半導体基板108の表面領域内にはソース・ドレイン領域105、106が形成されており、ソース・ドレイン領域105、106間の半導体基板上には、電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜103を介してワードゲート電極101が、また電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜104を介してコントロールゲート102が形成されている。そして、ワードゲート電極101とコントロールゲート102との間はワードゲート絶縁膜103により絶縁されている。本発明において特徴的な点は、ワードゲート電極101下に形成されるチャネル層とコントロールゲート102下に形成されるチャネル層との間に高低差があることである。
【0023】
図5Aに示される第1の実施の形態では、ワードゲート電極101底部の高さがコントロールゲート102底部の高さより低くなされている。そして、その高低差は、トラップ絶縁膜104の膜厚より大きくなされる。換言すれば、ワードゲート電極101底部下に形成されるチャネル層の高さがコントロールゲート102底部下に形成されるチャネル層の高さより低くなされ、その高低差は、ワードゲート絶縁膜103の膜厚より大きくなされる。そのようにすることにより、半導体基板表面の段差の側面にワードゲート電極101の側面より電界が印加されるようになり、チャネル領域に電子に対するポテンシャルバリアが形成されないようにすることができる。
【0024】
図5Bは、本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【0025】
図5Bに示すように、半導体基板108の表面領域内にはソース・ドレイン領域105、106が形成されており、ソース・ドレイン領域105、106間の半導体基板上には、電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜103を介してワードゲート電極101が、また電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜104を介してコントロールゲート102が形成されている。そして、ワードゲート電極101とコントロールゲート102との間はトラップ絶縁膜104により絶縁されている。本実施の形態では、図5Aされる第1の実施の形態とは逆に、ワードゲート電極101底部の高さがコントロールゲート102底部の高さより高くなされている。そして、その高低差は、ワードゲート絶縁膜103の膜厚より大きくなされる。
【0026】
換言すれば、ワードゲート電極101底部下に形成されるチャネル層の高さがコントロールゲート102底部下に形成されるチャネル層の高さより高くなされ、その高低差は、トラップ絶縁膜104の膜厚より大きくなされる。そのようにすることにより、半導体基板表面の段差の側面にコントロールゲート102の側面より電界が印加されるようになり、チャネル領域に電子に対するポテンシャルバリアが形成されないようにすることができる。
【0027】
読み出し電流の大小は、電子の感じるポテンシャルに依存する。電子の感じるポテンシャルは、主に各絶縁膜の物理膜厚および誘電率により決まるため、隣接する絶縁膜の境界ではポテンシャルに不連続な領域が生じるおそれがある。ポテンシャルの不連続な領域はキャリアのスムーズな流れを妨げ、読み出し電流の低下を招くため、本願発明の効果を十分に享受するためには、隣接する絶縁膜の物理膜厚および誘電率は、ポテンシャルの不連続による読み出し電流の低下を招かないように決める必要がある。後述される実施例においても、この条件を満足しうる物理膜厚および誘電率を決定した。
【0028】
第1、第2の実施の形態のメモリセルにおける読み出し時のゲート電極からチャネル領域への電界の印加状態を図6A、図6Bに示す。
【0029】
図6Aに示されるように、第1の実施の形態のメモリセルにおいては、コントロールゲート102の底部よりチャネル領域に向けて垂直方向に電界が印加される。一方、ワードゲート電極101の底部からはチャネル領域に向けて垂直方向に電界が印加されると共に、ワードゲート電極101の側面より水平方向に電界が印加される。その結果、点線丸にて示す領域A付近においては、二つのゲート電極からの電界が印加されることになり、関連技術で二つのゲート電極の境界付近で生じていたポテンシャルバリアの形成は防止され、蓄積電荷消去状態のメモリセルについては大きな読み出し電流を得ることができる。
【0030】
同様に、第2の実施の形態のメモリセルについても、図6Bに示されるように、領域A付近においては、二つのゲート電極からの電界が印加されることになり、ポテンシャルバリアの形成は防止され、蓄積電荷消去状態のメモリセルについては大きな読み出し電流を得ることができる。
【0031】
しかし、本発明の第1の実施の形態のメモリセル構造においては、ワードゲート電極101とワードゲート絶縁膜103のコントロールゲート寄りの底部の角部が直角に形成されている場合には、角部においてゲート電極101からチャネル領域までの距離がワードゲート絶縁膜103の膜厚の√2倍となってしまい、ここでのゲート電極からの電界が弱くなってしまう。つまり、弱いながらも新たにポテンシャルバリアが生じてしまう。これを軽減するには角部を面取りするか角部を丸めて、ゲート電極−チャネル領域間の距離がワードゲート絶縁膜103の膜厚の√2倍以下となるようにすることが望ましい。ポテンシャルバリアを低減するもう一つの方法は、ソース・ドレイン領域105の先端部をコントロールゲート102寄りに引き延ばすことである。
【0032】
図6Cに示されるように、ワードゲート絶縁膜103が上方に向って曲がり始める位置以上にソース・ドレイン領域105を引き延ばせばポテンシャルバリアを低減することができる。つまり、ソース・ドレイン領域105の先端部の半導体基板表面とワードゲート電極101までの最短距離がワードゲート絶縁膜103の膜厚以上となる位置まで引き延ばすことである。ソース・ドレイン領域105の先端部を更にコントロールゲート102直下まで引き延ばせば、例えワードゲート絶縁膜103やワードゲート電極101のコーナ部が丸められていなくてもポテンシャルバリアをほぼ解消することができる。
【0033】
同様に、図5Bに示される第2の実施の形態のメモリセルにおいては、コントロールゲート102とトラップ絶縁膜104のチャネル領域に臨む角部を面取りしたり丸めたりすることにより、角部に接するチャネル領域でのポテンシャルバリアを低めることができる。あるいは、ソース・ドレイン領域106の先端部を、トラップ絶縁膜104が上方に向って曲がり始める位置以上にワードゲート電極101寄りに引き延ばすことにより、ポテンシャルバリアの影響を低減することができる。
【0034】
若しくは、図6Dに示されるように、ソース・ドレイン領域106の先端部をワードゲート電極101直下の位置にまで引き延ばすことにより、ポテンシャルバリアの影響を低減することができる。この場合、図6Dに示されるように、トラップ絶縁膜104やコントロールゲート102のコーナ部を丸めなくてもよい。しかし、このように、ソース・ドレイン領域5、6をコントロールゲート102またはワードゲート電極101直下まで引き延ばした場合には、ソース・ドレイン領域5、6間のリーク電流が増大してしまう恐れがあるため、少なくともソース・ドレイン領域5、6間の不純物濃度をコントロールゲート102直下若しくはワードゲート電極101直下のチャネル形成領域の不純物濃度よりも高くしておくことが望ましい。
【0035】
本発明のメモリセルにおいて、関連技術のメモリセルにおいて生じていたポテンシャルバリアを、チャネル層に高低差を設けることにより、解消しているが、一方で、このセル構造は、チャネル電流が水平方向のみならず垂直方向にも流れることになり、チャネルが立体的に形成されるため、実質的にチャネル長が長くなりゲート電極長微細化によって深刻化してきているパンチスルー発生の可能性を軽減することができる。したがって、パンチスルー電流によって低下する読み出し電流のオン/オフ比を大きく維持することができる。パンチスルー防止効果については、基板表面の段差を大きくするほどより大きくなる。
【0036】
本発明の実施の形態として示したセル構造は、二つのゲート電極を有するいわゆるスプリットゲート型と呼ばれるものであるが、ワードゲート電極の両脇にコントロールゲートが形成された3ゲート電極構造(TwinMONOS)のものでもよく、本発明のメモリセルにおいてはゲート電極の数は特に限定されない。本発明のメモリセルにおいて肝要な点は、隣接する電荷トラップを含まないゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極下の基板表面と電荷トラップを含むゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極下の基板表面との間に段差があることである。
【0037】
電荷トラップを含まないワードゲート絶縁膜103には、シリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜若しくはそれらの積層膜が用いられる。トラップ絶縁膜104は、代表的には、電荷トラップを含まない絶縁膜/電荷トラップを含む絶縁膜/電荷トラップを含まない絶縁膜、の3層膜であり、O/N/Oと表記される、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜が用いられるが、これに限定されない。例えば、O/N/Oのシリコン窒化膜に代えて、酸窒化シリコン、アルミナ、アルミニウムシリケート、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、の内のいずれかの膜を用いてもよい。また、トラップ絶縁膜104として単層のシリコン酸化膜の中間部に電荷トラップとなる金属やナノクリスタルシリコン等を局在させたものであってもよい。
【0038】
トラップ絶縁膜104に接して垂直方向のチャネルが、形成される第2の実施の形態においては、基板の垂直な面に(100)面もしくは(311)面またはそれらと結晶学的に等価な面が現れるようにするのがよい。このようにすることにより、トラップ絶縁膜からの電荷の漏洩を低減することができ、蓄積電荷の保持特性を良好に維持することができる。これはウェハの面方位によってウェハ表面に形成された酸化膜の界面準位密度が異なるためであり、界面準位密度の大小関係は(110)>(111)>>(100)>(311)である。つまり、トラップ絶縁膜104の下層膜/基板界面の改質によって蓄積電荷の漏洩を減少させることができる。
【0039】
本発明のメモリセルに対する読み出しは、ワードゲート電極101とコントロールゲート102に正の電圧を印加すると共に、ワードゲート電極101寄りのソース・ドレイン領域105に正の電圧を印加してドレインとして動作させ、コントロールゲート102寄りのソース・ドレイン領域106に接地電圧を印加してソースとして動作させて行う。このとき、トラップ絶縁膜104に電子が蓄積している場合、ソース−ドレイン間に電子電流が流れにくくなる。電子が蓄積していない場合、ソース−ドレイン間にチャネルが形成されて大きな電子電流が流れる。よって、ある所定の印加電圧における電子電流値を読み取ることでトラップ絶縁膜104に対する書き込み状態を検出することができる。
【0040】
書き込みは、ソース・ドレイン領域106、コントロールゲート102、ワードゲート電極101に正電圧を印加することでコントロールゲート102下部にチャネルホットエレクトロンを発生させ、トラップ絶縁膜104に電子を注入することで行う。
【0041】
消去は、ソース・ドレイン領域106に正電圧、コントロールゲート102に負電圧を印加し、発生したホットホールをトラップ絶縁膜104に注入することによって行なう。逆に、ソース・ドレイン領域106または基板に電子を引き抜くことによって消去を行なうこともできる。
【0042】
(実施例1)
図7は、本発明の実施例1の半導体記憶装置の平面図である。これはTwinMONOS型記憶装置に係るものである。
【0043】
図7に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート21、22が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在しており、コントロールゲート21、22と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0044】
図8A及び図8Bは、それぞれ、図7のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された本実施例の記憶装置の断面図である。
【0045】
本実施例の記憶装置では、素子分離領域7を備えたp導電型のシリコン基板8上にチャネル形成領域を挟んでn導電型のソース・ドレイン領域5、6が形成されており、ソース・ドレイン領域5、6間のチャネル形成領域上にワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成されている。そして、ワードゲート電極1の一方の側部にトラップ絶縁膜4を介して、かつ、シリコン基板8上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート21が形成され、またワードゲート電極1の他方の側部にトラップ絶縁膜4を介して、かつ、シリコン基板8上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート22が形成されている。ここで、ワードゲート電極1とコントロールゲート21およびコントロールゲート22との底部の高さが異なるようすることが本発明の記憶装置の特徴である。ここでは、ワードゲート電極1の底部がコントロールゲート21およびコントロールゲート22の底部の高さよりも高くなされており、そして電極底部の高低差はワードゲート絶縁膜3の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0046】
さらに付け加えれば、ソース・ドレイン領域5、6の高さは製造上等しい方が望ましい。ソース・ドレイン領域に配線層からのコンタクトホールを形成するためのエッチングを行う際、ソース・ドレイン領域の高さが異なると、高さの高い方が先にエッチングが終了し、高さの低い方に比べてオーバーエッチングダメージが大きくなってしまうからである。
【0047】
トラップ絶縁膜4は、本実施例では、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3は、酸化シリコンにより形成した。
【0048】
以下、本発明の実施例1の製造方法を簡単に説明する。図9A〜9Gは、図7のI―I’線に沿って切断された断面での実施例1の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0049】
まず、図9Aに示すように、(100)面を主面とするシリコン基板8上に、熱酸化によりシリコン酸化膜からなるワードゲート絶縁膜3を形成し、リンドープポリシリコンを堆積してワードゲート電極材料層1aを形成した。
【0050】
次に、図9Bに示すようにパターニングされたレジストマスク9を形成し、ドライエッチングを行うことでワードゲート電極材料層1aをワードゲート電極1に加工した。さらに、露出したワードゲート絶縁膜3を除去することでシリコン基板8の表面を露出させた。
【0051】
次に、図9Cに示すようにレジストマスク9をマスクにして追加ドライエッチングを行い、シリコン基板8を掘り下げ、(010)面を露出させた。シリコン基板8の掘り下げ量はワードゲート絶縁膜3の膜厚および後で形成するトラップ絶縁膜の膜厚以上にした。追加ドライエッチング後、レジストマスク9はウェット除去した。
【0052】
次に、図9Dに示すように、基板全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないラジカル酸化等を用いることが望ましく、ここではISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。
【0053】
次に、図9Eに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積し、ドライプロセスでエッチバックを行うことでコントロールゲート21、22を形成した。
【0054】
続いて、図9Fに示すように、トラップ絶縁膜4の露出部分をドライエッチングで除去した。
【0055】
最後に、図9Gに示すように、イオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0056】
(実施例2)
図10は、本発明の実施例2の半導体記憶装置の平面図である。本実施例は、TwinMONOS型記憶装置に係る他の実施例である。
【0057】
図10に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート21、22が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート21、22と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0058】
図11A及び図11Bは、それぞれ図10のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。
【0059】
本実施例の半導体記憶装置では、図11A及び図11Bに示されるように、素子分離領域7を備えたp導電型のシリコン基板8上にチャネル形成領域を挟んでn導電型の不純物散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、チャネル形成領域上に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成され、ワードゲート電極1の一方の側部側にはワードゲート絶縁膜3を介し、かつ、チャネル形成領域上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート21が形成され、ワードゲート電極1の他方の側部側にはワードゲート絶縁膜3を介し、かつ、チャネル形成領域上に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート22が形成されている。本実施例では、コントロールゲート21およびコントロールゲート22の底部の高さがワードゲート電極の底部の高さよりも高くなされており、ワードゲート1/コントロールゲート21、22の境界付近で電極からチャネルにかかる電界が最大となるようにするため、高低差はトラップ絶縁膜4の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0060】
さらに付け加えれば、ソース・ドレイン領域の高さは製造上等しい方が望ましい。層間絶縁膜にソース・ドレイン領域へのコンタクトホールを形成するためのエッチングを行う際、ソース・ドレイン領域の高さが異なると、高さの高い方が先にエッチングが終了し、高さの低い方に比べてオーバーエッチングダメージが大きくなってしまうからである。
【0061】
トラップ絶縁膜4は、本実施例では、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3にはシリコン酸化膜を用いた。
【0062】
以下、本発明の実施例2の製造方法を簡単に説明する。図12A〜12Hは、図10のI―I’線に沿って切断された断面での実施例2の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0063】
まず、図12Aに示すようにシリコン基板8全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化にはISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。その後、リンドープポリシリコンを成膜してコントロールゲート材料層2aを形成した。
【0064】
次に、図12Bに示すように、対を成すパターニングされたハードマスク10を形成し、これをマスクにコントロールゲート材料層2aにドライエッチングを行うことによりコントロールゲート21、22を形成した。さらに、トラップ絶縁膜をドライエッチング除去し、シリコン基板8の表面を露出させた。
【0065】
次に、図12Cに示すようにコントロールゲート21、22の外側を少なくとも覆い、かつ、コントロールゲート21、22に乗り上げるようにパターニングされたレジストマスク9を形成した。
【0066】
次に、図12Dに示すように、レジストマスク9およびハードマスク10をエッチング阻止層として用いてドライエッチングを行い、シリコン基板8を掘り下げた。シリコン基板8の主面からの掘り下げ量はトラップ絶縁膜4の膜厚および後で形成するワードゲート絶縁膜の膜厚以上にした。ドライエッチング後、レジストマスク9およびハードマスク10はウェット除去した。
【0067】
次に、図12Eに示すように、表面を酸化してワードゲート絶縁膜3を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないラジカル酸化等を用いることが望ましく、ここではISSG酸化を用いた。
【0068】
次に、図12Fに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積して、ワードゲート材料層1aを形成した。
【0069】
続いて、図12Gに示すように、パターニングされたレジストマスク11をエッチング阻止層としてドライエッチングを行い、対をなすコントロールゲート21、22に乗り上げ、かつシリコン基板8の溝部全体を覆うようにワードゲート電極1を形成し、次いで露出したワードゲート絶縁膜3をドライエッチングで除去した。
【0070】
最後に、図12Hに示すように、イオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0071】
(実施例3)
図13は、本発明の実施例3の半導体記憶装置の平面図である。図13に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在して、いわゆるスプリットゲート型の半導体記憶装置が構成されている。
【0072】
図14A及び図14Bは、それぞれ、図13のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。
【0073】
実施例3では、シリコン基板8上に素子分離領域7により活性領域が画定されおり、その活性領域にn導電型の不純物拡散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域がp導電型のチャネル形成領域になされている。このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2が形成されており、コントロールゲート2の片側にはコントロールゲート2にセルフアラインされてシリコン基板8に段差部が形成されている。そして、シリコン基板段差部の側面および底面上にワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が、ワードゲート絶縁膜3を介してコントロールゲート2に乗り上げるように形成されている。ここで、コントロールゲート2の底部の高さがワードゲート電極1の底部の高さよりも高いことが本発明の半導体記憶装置の特徴である。この高低差はトラップ絶縁膜4の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0074】
トラップ絶縁膜4は、本実施例では、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3にはシリコン酸化膜を用いた。
【0075】
以下、本発明の実施例3の製造方法を簡単に説明する。図15A〜15Hは、図13のI―I’線に沿って切断された断面での実施例3の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0076】
まず、図15Aに示すようにシリコン基板8全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化にはISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。さらに、トラップ絶縁膜4上にコントロールゲート材料であるリンドープポリシリコンを堆積してコントロールゲート材料層2aを形成した。
【0077】
次に、図15Bに示すように、コントロールゲート形状にパターニングされたハードマスク10を形成し、コントロールゲート材料層2aをドライエッチングすることによりコントロールゲート2を形成した。さらに、トラップ絶縁膜4をドライエッチングすることでシリコン基板8の表面を露出させた。
【0078】
次に、図15Cに示すように、コントロールゲート2の一方を覆いかつコントロールゲート2に乗り上げるようにパターニングされたレジストマスク9を形成し、パターニングされたレジストマスク9およびハードマスク10をエッチング阻止層として用いてドライエッチングすることでコントロールゲート2の片側のみシリコン基板8をエッチングして溝部を形成した。溝部形成後、レジストマスク9およびハードマスク10はウエット法により除去した。
【0079】
次に、図15Dに示すように、表面を酸化してワードゲート絶縁膜3を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないラジカル酸化等を用いることが望ましく、ここではISSG酸化を用いた。
【0080】
次に、図15Eに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積してワードゲート電極材料層1aを形成した。
【0081】
続いて、図15Fに示すように、半導体基板の溝部とコントロールゲート2の一部に重なるようにパターニングされたレジストマスク11を形成した。
【0082】
次に、図15Gに示すように、レジストマスク11を用いてドライエッチングを行うことでワードゲート電極1を形成すると共に、露出したワードゲート絶縁膜3を除去し、その後レジストマスク11をウエット除去した。
【0083】
最後に、図15Hに示すように、イオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0084】
(実施例4)
図16は、本発明の実施例4の半導体記憶装置の平面図である。図16に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そして、ワードゲート電極1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0085】
図17は、図12のI−I’線に沿って切断された断面図である。実施例4では、シリコン基板8上の素子分離領域7により画定された活性領域にソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域はチャネル形成領域になされている。このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2が形成されており、二つのコントロールゲート2間にはシリコン基板8に溝部が形成されている。そして、シリコン基板溝部の側面および底面の一部上にワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1がコントロールゲート2に乗り上げるように形成されている。ワードゲート電極1とコントロールゲート2との間は、ワードゲート絶縁膜3により絶縁されている。
【0086】
なお、実施例4は、図13および図14に示した実施例3のメモリ素子を、チャネル長方向と垂直な面S(図16参照)に対して対称になるように配置したものである。このように配置することで、図13に示すように溝部と半導体基板主面に形成されたソース・ドレイン領域5、6を隣接するメモリセル間で共通にすることができるため、メモリ面積の縮小化が可能となる。また、実施例4の製造方法は、図15に示される実施例3の製造方法と同様であるのでその説明は省略する。
【0087】
(実施例5)
図18は、本発明の実施例5の半導体記憶装置の平面図である。図18に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そしてワードゲート1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在して、いわゆるスプリットゲート型の半導体記憶装置が構成されている。
【0088】
図19A及び図19Bは、それぞれ図18のI−I’線およびII−II’線に沿って切断された断面図である。実施例5では、シリコン基板8上に素子分離領域7により活性領域が画定されおり、その活性領域にn導電型の不純物拡散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域がp導電型のチャネル形成領域になされている。
【0089】
このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成されており、ワードゲート電極1の片側にはワードゲート電極1にセルフアラインされてシリコン基板8に段差部が形成されている。そして、シリコン基板段差部の側面および底面上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2がワードゲート電極1に乗り上げるように形成されている。ワードゲート電極1とコントロールゲート2との間は、トラップ絶縁膜4により絶縁されている。本実施例では、コントロールゲート2の底部の高さがワードゲート電極の底部の高さよりも低くなされている。そして、ワードゲート1/コントロールゲート2の境界付近で電極からチャネルにかかる電界が最大となるようにするため、電極底部間の高低差は、ワードゲート絶縁膜3の物理膜厚よりも大きくなされている。
【0090】
本実施例では、トラップ絶縁膜4は、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層積層構造とした。また、ワードゲート絶縁膜3にはシリコン酸化膜を用いた。なお、実施例5の製造方法は、後述の図22に示される実施例6の製造方法と同様であるのでその説明は省略する。
【0091】
(実施例6)
図20は、本発明の実施例6の半導体記憶装置の平面図である。図20に示すように、本実施例の記憶装置では、半導体基板の所定の領域に素子分離領域7が配置されてソース・ドレイン領域5、6およびチャネル領域を含む活性領域を限定する。この活性領域を複数のワードゲート電極1およびコントロールゲート2が横切っている。そして、ワードゲート1と活性領域の間に電荷蓄積層を含まないワードゲート絶縁膜3が介在し、コントロールゲート2と活性領域の間に電荷蓄積層を含むトラップ絶縁膜4が介在している。
【0092】
図21は、図20のI−I’線に沿って切断された断面図である。実施例6では、シリコン基板8上に素子分離領域により活性領域が画定されおり、その活性領域にn導電型の不純物拡散層であるソース・ドレイン領域5、6が形成され、ソース・ドレイン領域5、6間に挟まれた領域がp導電型のチャネル形成領域になされている。このチャネル形成領域上のソース・ドレイン領域6寄りにワードゲート絶縁膜3を介してワードゲート電極1が形成されており、二つのワードゲート電極1間にはシリコン基板8に溝部が形成されている。そして、シリコン基板溝部の側面および底面の一部上にトラップ絶縁膜4を介してコントロールゲート2がワードゲート電極1に乗り上げるように形成されている。ワードゲート電極1とコントロールゲート2との間はトラップ絶縁膜4により絶縁されている。
【0093】
なお、実施例6は、図18および図19に示した実施例5のメモリ素子を、チャネル長方向と垂直な面S(図20参照)に対して対称になるように配置したものである。このように配置することで、図20、図21に示すように溝部と半導体基板主面に形成されたソース・ドレイン領域5、6を隣接するメモリセル間で共通にすることができるため、メモリ面積の縮小化が可能となる。
【0094】
以下、本発明の実施例6の製造方法を簡単に説明する。図22A〜22Gは、図20のI―I’線に沿って切断された断面での実施例6の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0095】
まず、図22Aに示すように、シリコン基板8上に、熱酸化法によりシリコン酸化膜からなるワードゲート絶縁膜3を形成し、その上にリンドープポリシリコンを堆積してワードゲート電極材料層1aを形成した。
【0096】
さらに、図22Bに示すようにパターニングされたレジストマスク9を形成し、ドライエッチングを行うことでワードゲート電極材料層1aをパターニングし、露出したワードゲート絶縁膜3を除去することでシリコン基板8を露出させ、レジストマスク9をマスクにして追加ドライエッチングを行い、シリコン基板8を掘り下げ、基板に溝部を形成した。シリコン基板8の掘り下げ量はワードゲート絶縁膜3の膜厚および後で形成するトラップ絶縁膜の膜厚以上にした。
【0097】
追加ドライエッチング後、レジストマスク9はウェット除去し、続いて、図22Cに示すように、パターニングされたレジストマスク11を形成し、ドライエッチングを行うことでワードゲート電極材料層1aをワードゲート電極1に加工した。さらに、露出したワードゲート絶縁膜3を除去することでシリコン基板8の表面を露出させた。そして、レジストマスク11をウエット除去した。
【0098】
次に、図22Dに示すように、基板全面を酸化することでトラップ絶縁膜の下地酸化膜を形成しその上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて電荷蓄積層となるシリコン窒化膜を堆積し、さらにシリコン窒化膜の表面を酸化することでシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の3層構造からなるトラップ絶縁膜4を形成した。なお、酸化には酸化レートの面方位依存性が少ないISSG(In Situ Steam Generation)酸化を用いた。
【0099】
次に、図22Eに示すように、リンドープポリシリコンを全面に堆積し、コントロールゲート材料層2aを形成した。続いて、図22Fに示すように、パターニングされたレジストマスク12を形成し、ドライエッチングを行うことでコントロールゲート材料層2aをコントロールゲート2に加工した。さらに、露出したトラップ絶縁膜4を除去することでシリコン基板8を露出させた。
【0100】
最後に、図22Gに示すようにイオン注入を行うことでソース・ドレイン領域5、6を形成した。その後、層間絶縁膜の堆積、コンタクトホールの開設を含む配線工程を行う。
【0101】
以上、実施形態に基づき本発明を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができ、これらの変更例も本願に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、トラップ型と呼ばれる書き換え可能な不揮発性半導体メモリセルを含む半導体装置に適用可能である。例えば、二つのゲート電極を有するいわゆるスプリットゲート型あるいはワードゲート電極の両脇にコントロールゲートが形成された3ゲート電極構造(TwinMONOS)に適用可能である。
【0103】
この出願は、2006年11月14日に出願された日本出願特願第2006−307373号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極、第二のゲート電極が形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層が形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して前記第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して前記第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極と第二のゲート電極とが互いに隣接して第一の方向に延在するように形成され、前記第一、第二のゲート電極が、前記第一の方向と直交する第二の方向に並べられて複数形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層がそれぞれ前記第一の方向に列をなして複数形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成され、前記第二の方向に延在する素子分離層が前記第一の方向に並べられて複数形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さよりも低いことを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域に接する前記チャネル層の任意の点と、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極との最短距離が、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域の物理膜厚の√2倍未満である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電荷トラップを含まない絶縁領域に近い側の前記拡散層のチャネル側の先端部は、その位置での半導体層表面から前記電荷トラップを含まない絶縁領域上に形成された前記ゲート電極までの最短距離が、前記電荷トラップを含まない絶縁領域の物理膜厚より大きくなる領域にまで到達していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第一および第二のゲート電極は、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域と一体的に形成された絶縁膜により絶縁されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電荷トラップを含む前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さよりも低いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電荷トラップを含む前記絶縁領域に接する前記チャネル層の任意の点と、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極との最短距離が、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域の物理膜厚の√2倍未満である、ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電荷トラップを含む絶縁領域に近い側の前記拡散層のチャネル側の先端部は、その位置での半導体層表面から前記電荷トラップを含む絶縁領域上に形成された前記ゲート電極までの最短距離が、前記電荷トラップを含む絶縁領域の物理膜厚より大きくなる領域にまで到達していることを特徴とする、請求項7又は8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第一および第二のゲート電極は、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域と一体的に形成された絶縁膜により絶縁されていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さの差が、前記チャネル層の高さが低い方の前記ゲート電極と前記チャネル層との間の前記絶縁領域の物理膜厚よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の前記半導体装置において規定されるセル構造を1つのメモリ素子とし、二つの前記メモリ素子が隣接して左右対称に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁膜が、前記第一の拡散層の一部と前記第二の拡散層の一部にも形成されていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記電荷トラップを含む絶縁領域は、チャネル領域側から第一、第二、第三の層、または第一、第二の層からなり、
前記第一の層および前記第三の層は酸化シリコンまたは酸窒化シリコンであり、
前記第二の層は窒化シリコン、酸窒化シリコン、アルミナ、ハフニウムシリケート、酸化ハフニウム、アルミニウムシリケート、のいずれかである、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体層がシリコンであることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記電荷トラップを含む絶縁領域に接する前記チャネル層の少なくとも一部は、半導体層主面と垂直方向の面に形成され、その面の結晶方位は実質的に(100)面または(311)面(結晶学的に等価な面を含む)であることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項1】
少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極、第二のゲート電極が形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層が形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して前記第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して前記第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
少なくとも表面が半導体層で構成された基体上に絶縁膜を介して第一のゲート電極と第二のゲート電極とが互いに隣接して第一の方向に延在するように形成され、前記第一、第二のゲート電極が、前記第一の方向と直交する第二の方向に並べられて複数形成され、前記第一および第二のゲート電極を挟んで前記半導体層内に第一の拡散層と第二の拡散層がそれぞれ前記第一の方向に列をなして複数形成され、前記半導体層内の前記第一の拡散層と前記第二の拡散層との間にチャネル層が形成され、前記第二の方向に延在する素子分離層が前記第一の方向に並べられて複数形成されている半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記第一の拡散層から前記半導体層の前記チャネル層に沿って前記第二の拡散層の方向に向かって第一の絶縁領域、第二の絶縁領域がこの順に配設された構造を含み、
前記第一および第二の絶縁領域のうち一方の絶縁領域が電荷トラップを含み、
前記基体上に前記第一の絶縁領域を介して第一のゲート電極が形成され、前記第二の絶縁領域を介して第二のゲート電極が形成され、
前記第一および第二のゲート電極は相互に絶縁され、
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが相互に異なり、
前記第二の拡散層の先端部は、前記第二のゲート電極直下の領域にまで到達していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さよりも低いことを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域に接する前記チャネル層の任意の点と、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極との最短距離が、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域の物理膜厚の√2倍未満である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電荷トラップを含まない絶縁領域に近い側の前記拡散層のチャネル側の先端部は、その位置での半導体層表面から前記電荷トラップを含まない絶縁領域上に形成された前記ゲート電極までの最短距離が、前記電荷トラップを含まない絶縁領域の物理膜厚より大きくなる領域にまで到達していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第一および第二のゲート電極は、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域と一体的に形成された絶縁膜により絶縁されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電荷トラップを含む前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さが、前記電荷トラップを含まない前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さよりも低いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電荷トラップを含む前記絶縁領域に接する前記チャネル層の任意の点と、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域を前記基体上に介した前記ゲート電極との最短距離が、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域の物理膜厚の√2倍未満である、ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電荷トラップを含む絶縁領域に近い側の前記拡散層のチャネル側の先端部は、その位置での半導体層表面から前記電荷トラップを含む絶縁領域上に形成された前記ゲート電極までの最短距離が、前記電荷トラップを含む絶縁領域の物理膜厚より大きくなる領域にまで到達していることを特徴とする、請求項7又は8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第一および第二のゲート電極は、前記電荷トラップを含む前記絶縁領域と一体的に形成された絶縁膜により絶縁されていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第一および第二のゲート電極底部下に形成される前記チャネル層の高さの差が、前記チャネル層の高さが低い方の前記ゲート電極と前記チャネル層との間の前記絶縁領域の物理膜厚よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の前記半導体装置において規定されるセル構造を1つのメモリ素子とし、二つの前記メモリ素子が隣接して左右対称に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁膜が、前記第一の拡散層の一部と前記第二の拡散層の一部にも形成されていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記電荷トラップを含む絶縁領域は、チャネル領域側から第一、第二、第三の層、または第一、第二の層からなり、
前記第一の層および前記第三の層は酸化シリコンまたは酸窒化シリコンであり、
前記第二の層は窒化シリコン、酸窒化シリコン、アルミナ、ハフニウムシリケート、酸化ハフニウム、アルミニウムシリケート、のいずれかである、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体層がシリコンであることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記電荷トラップを含む絶縁領域に接する前記チャネル層の少なくとも一部は、半導体層主面と垂直方向の面に形成され、その面の結晶方位は実質的に(100)面または(311)面(結晶学的に等価な面を含む)であることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図22F】
【図22G】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図22F】
【図22G】
【公開番号】特開2013−58795(P2013−58795A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257367(P2012−257367)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−544123(P2008−544123)の分割
【原出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−544123(P2008−544123)の分割
【原出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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