説明

半導体記憶装置及び半導体装置

【課題】バリッドビットにおける無効化処理において、電源投入時に無効化処理を行うことができる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有する第1のインバータ回路と、入力部が前記第1のインバータ回路の出力部に接続され、出力部が前記第1のインバータの入力部に接続され、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、を有する第2のインバータ回路と、を含む初期化用メモリセルを有し、第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より低い構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置、または半導体記憶装置を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)のアーキテクチャは、ほぼ全てがストアドプログラム方式と呼ばれるものである。このストアドプログラム方式において、CPUが処理する命令及び処理に必要なデータは、記憶装置に格納されており、CPUの処理は、記憶装置からデータを順次読み込むことで進行する。
【0003】
しかし、このアーキテクチャでは、記憶装置へのアクセス速度が問題となる。記憶装置は、CPUが処理する命令及び処理に必要なデータを格納するため、大容量の記憶装置が必要となるが、高速処理が可能な記憶装置は高価であるため、大容量で且つ、高速処理が可能にすることは難しい。そこで、大容量の記憶装置においても高速処理を行うことのできる構成の一例として、大容量で低速処理である記憶装置と小容量で高速処理が可能な記憶装置の一つであるキャッシュメモリを組み合わせて用いる構成が挙げられる。この場合、大容量で低速処理である記憶装置は、主となる記憶装置(メインメモリともいう)であり、小容量で高速処理が可能な記憶装置は、副となる記憶装置である。
【0004】
メインメモリにキャッシュメモリを組み合わせた構成における動作としては、メインメモリのデータの一部をキャッシュメモリにコピーしておき、通常時において、CPUは、キャッシュメモリのみにアクセスする。なお、キャッシュメモリにアクセスすることをキャッシュアクセスという。しかし、通常時ではなく、必要とするデータがキャッシュメモリにない場合は、CPUは、メインメモリのデータをキャッシュメモリにコピーし直し、再びキャッシュメモリにアクセスする。1度目のキャッシュアクセスは、メインメモリからのデータのコピーが発生するため、アクセスに多少時間がかかるが、2度目のキャッシュアクセス以降はキャッシュメモリにだけにアクセスするため、メインメモリへアクセスする場合より処理が高速となる。なお、CPUが必要とするデータがキャッシュメモリにある場合をキャッシュヒットと言い、また、CPUが必要とするデータがキャッシュメモリにない場合をキャッシュミスと言う。
【0005】
上記メインメモリと組み合わせて用いられるキャッシュメモリは、タグメモリとデータメモリの組の集合であるメモリラインからなり、各メモリラインは、タグメモリにバリッドビットを有する。バリッドビットとは、メモリラインに格納されているデータが有効なデータかまたは無効なデータかを表すものである。ここで、メモリラインに無効なデータが格納されている場合とは、例えば、電源をオンにした直後がそれに当たり、この場合、全てのメモリラインのバリッドビットに無効化処理を行う必要がある。これは、キャッシュメモリが一般にSRAM(Static Random Access Memory)で構成され、電源がオフの時にデータを保持することができず、電源をオンにした直後においてキャッシュメモリに格納されているデータが特定できないためである。
【0006】
しかし、このバリッドビットの無効化処理は、1メモリラインごとに行うため、時間がかかり、さらに無効化処理の間はCPUを待機させなくてはならない。
【0007】
ここで、従来のバリッドビットの無効化処理の例を示すタイミングチャートを図12に示す。
【0008】
図12において、クロック信号を信号700、無効化処理の要求信号を信号701、無効化処理時のアドレスとなるカウンタ信号を信号702、CPUからのキャッシュアクセス信号を信号703、とそれぞれ表す。イベントタイミング704で信号701のパルスが入力されると、信号702が信号700のクロックサイクル毎に順次カウントアップされ、無効化処理におけるキャッシュメモリへのアクセスのアドレスとして順次バリッドビットが無効化されていく。イベントタイミング705において、カウンタ値が無効化すべきメモリラインの合計数(n個)に達すると無効化処理を完了とし、信号703のパルスが入力されることにより、通常のキャッシュアクセスを開始する。
【0009】
上述の問題に対し、キャッシュメモリに制御回路やバッファ回路を追加することにより、バリッドビットの無効化処理を行っている間にCPUを待機状態とせず、CPUのキャッシュメモリへのアクセスをキャッシュミスと判定させ、メインメモリへアクセスを行い、無効化処理終了後必要となるデータを、すぐにキャッシュメモリに格納できるようにすることで、処理の高速化を図ったキャッシュメモリが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−44142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、バリッドビットの無効化処理は、1メモリラインずつ行わなくてはならないため、最長で(キャッシュメモリのメモリライン数×1周期)分の処理時間が必要となる。キャッシュメモリが大容量になればなるほど、処理時間も長くなる可能性があるため、処理時間を大幅に短くするためには、無効化処理をより高速化する必要がある。
【0011】
本発明は、無効化処理など、半導体記憶装置に保持されたデータを初期状態に戻す初期化処理において、高速に処理することができる半導体記憶装置及び半導体記憶装置を搭載した半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を鑑み本発明は、メモリセルにおける無効化処理を自動的に行う半導体記憶装置及び該半導体記憶装置を備えた半導体装置である。
【0013】
より具体的には、本発明の一は、データを保持する機能を有するデータ保持用メモリセルと、複数のメモリセルを初期化する機能を有する初期化用メモリセルと、第1のデータ線と、第2のデータ線と、第3のデータ線と第1のワード線と、第2のワード線と、電源線と、グランド線と、を有し、データ保持用メモリセル及び初期化用メモリセルは、Pチャネル型である第1のトランジスタ及びNチャネル型である第2のトランジスタを有する第1のインバータ回路と、Pチャネル型である第3のトランジスタ及びNチャネル型である第4のトランジスタを有する第2のインバータ回路と、ゲート端子が第1のワード線に接続され、第1端子が第1のデータ線に接続され、第2端子が第1のインバータ回路の出力端子に接続された第5のトランジスタと、ゲート端子が第1のワード線に接続され、第1端子が第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第2端子が第2のデータ線に接続された第6のトランジスタと、ゲート端子が第1のインバータ回路の入力端子及び第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第1端子がグランド線に接続された第7のトランジスタと、ゲート端子が第2のワード線に接続され、第1端子が第7のトランジスタの第2端子に接続され、第2端子が第3のデータ線に接続された第8のトランジスタと、を有し、第1のインバータ回路は、入力端子が第2のインバータ回路の出力端子に接続され、出力端子が第2のインバータ回路の入力端子に接続され、第1の電位供給端子が電源線に接続され、第2の電位供給端子がグランド線に接続され、第2のインバータ回路は、第1の電位供給端子が電源線に接続され、第2の電位供給端子がグランド線に接続され、初期化用メモリセルにおいて、第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さい半導体記憶装置である。
【0014】
なお、本発明の一において、抵抗素子と、容量素子とゲート端子が抵抗素子を介して電源線、且つ容量素子を介してグランド線に接続され、第1端子が第1のワード線に接続され、第2端子がグランド線に接続された第9のトランジスタと、を有する構成とすることもできる。
【0015】
本発明の一は、データを保持する機能を有するデータ保持用メモリセルと、複数のメモリセルを初期化する機能を有する初期化用メモリセルと、第1のデータ線と、第2のデータ線と、第3のデータ線と第1のワード線と、第2のワード線と、電源線と、グランド線と、を有し、データ保持用メモリセル及び初期化用メモリセルは、Pチャネル型である第1のトランジスタ及びNチャネル型である第2のトランジスタを有する第1のインバータ回路と、Pチャネル型である第3のトランジスタ及びNチャネル型である第4のトランジスタを有する第2のインバータ回路と、ゲート端子が第1のワード線に接続され、第1端子が第1のデータ線に接続され、第2端子が第1のインバータ回路の出力端子に接続された第5のトランジスタと、ゲート端子が第1のワード線に接続され、第1端子が第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第2端子が第2のデータ線に接続された第6のトランジスタと、ゲート端子が第1のインバータ回路の入力端子及び第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第1端子が電源線に接続された第7のトランジスタと、ゲート端子が第2のワード線に接続され、第1端子が第7のトランジスタの第2端子に接続され、第2端子が第3のデータ線に接続された第8のトランジスタと、を有し、第1のインバータ回路は、入力端子が第2のインバータ回路の出力端子に接続され、出力端子が第2のインバータ回路の入力端子に接続され、第1の電位供給端子が電源線に接続され、第2の電位供給端子がグランド線に接続され、第2のインバータ回路は、第1の電位供給端子が電源線に接続され、第2の電位供給端子がグランド線に接続され、初期化用メモリセルにおいて、第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さい半導体記憶装置である。
【0016】
また、本発明の一において、抵抗素子と、容量素子とゲート端子が抵抗素子を介して電源線、且つ容量素子を介してグランド線に接続され、第1端子が第1のワード線に接続され、第2端子が電源線に接続された第9のトランジスタと、を有する構成とすることもできる。
【0017】
本発明の一は、データを保持する機能を有するデータ保持用メモリセルと、複数のメモリセルを初期化する機能を有する初期化用メモリセルと、第1のデータ線と、第2のデータ線と、ワード線と、電源線と、グランド線と、を有し、データ保持用メモリセル及び初期化用メモリセルは、Pチャネル型である第1のトランジスタ及びNチャネル型である第2のトランジスタを有する第1のインバータ回路と、Pチャネル型である第3のトランジスタ及びNチャネル型である第4のトランジスタを有する第2のインバータ回路と、ゲート端子がワード線に接続され、第1端子が第1のデータ線に接続され、第2端子が第1のインバータ回路の出力端子に接続された第5のトランジスタと、ゲート端子がワード線に接続され、第1端子が第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第2端子が第2のデータ線に接続された第6のトランジスタと、を有し、第1のインバータ回路は、入力端子が第2のインバータ回路の出力端子に接続され、出力端子が第2のインバータ回路の入力端子に接続され、第1の電位供給端子が電源線に接続され、第2の電位供給端子がグランド線に接続され、第2のインバータ回路は、第1の電位供給端子が電源線に接続され、第2の電位供給端子がグランド線に接続され、初期化用メモリセルにおいて、第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さい半導体記憶装置である。
【0018】
なお本発明において、第1のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、第1のトランジスタのチャネル長の1/4以上1/2以下であり、第3のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、第3のトランジスタのチャネル長の1/2以上とすることもできる。
【0019】
また第2のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、第2のトランジスタのチャネル長の1/2以上であり、第4のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、第4のトランジスタのチャネル長の1/4以上1/2以下とすることもできる。
【0020】
また本発明において、第1のトランジスタ乃至第4のトランジスタのいずれかは、該トランジスタのしきい値電圧を制御するための電圧が入力される基板端子を有する構成とすることもできる。
【0021】
なお本発明において、第2のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、第4のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さくすることもできる。
【0022】
本発明の一は、本発明の半導体記憶装置からなる第1の記憶装置と、演算部を有するCPUと、第2の記憶装置と、を有し、第2の記憶装置は、主となる記憶装置であり、第1の記憶装置は、副となる記憶装置である半導体装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、初期化処理をより高速に行うことができる半導体記憶装置及び該半導体記憶装置を搭載した半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の半導体装置に搭載される半導体記憶装置の構成について説明する。なお、本実施の形態では、電源電圧が3Vであるとして説明するが、これに限定されず、他の値であってもよい。
【0026】
本発明の半導体記憶装置は、データ保持する機能を有するデータ保持用メモリセルと、データ保持用メモリセルに保持されたデータの初期化を行うための初期化処理用メモリセルと、を有する。
【0027】
初期化処理用のメモリセルの構成を図1に示す。初期化用メモリセル100は、第1のトランジスタ107と、第2のトランジスタ108を有する第1のインバータ回路105と、第3のトランジスタ109と、第4のトランジスタ110を有する第2のインバータ回路106と、第5のトランジスタ101と、第6のトランジスタ102と、第7のトランジスタ103と、第8のトランジスタ104と、電源線112と、グランド線113と、第1のワード線となるワード線111と、第2のワード線となるワード線114と、第1のデータ線(書き込み用)115と、第2のデータ線(書き込み用)116と、及び第3のデータ線(読み出し用)117と、を有する。
【0028】
第2のトランジスタ108、第4のトランジスタ110、第5のトランジスタ101、第6のトランジスタ102、第7のトランジスタ103、及び第8のトランジスタ104は、Nチャネル型トランジスタである。また、第1のトランジスタ107、及び第3のトランジスタ109は、Pチャネル型トランジスタである。
【0029】
第1のインバータ回路105において、第1のトランジスタ107は、第1端子が電源線112に接続される。また第2のトランジスタ108は、ゲート端子が第1のトランジスタ107のゲート端子に接続され、第1端子が第1のトランジスタ107の第2端子に接続され、第2端子がグランド線113に接続される。このとき第1のトランジスタ107のゲート端子及び第2のトランジスタ108のゲート端子と、他の素子との接続箇所を第1のインバータ回路105の入力端子とし、第1のトランジスタ107の第1端子を第1のインバータ回路105の第1の電位供給端子とし、第2のトランジスタ108の第2端子を第2の電位供給端子とし、第1のトランジスタ107の第2端子及び第2のトランジスタ108の第1端子と、他の素子との接続箇所を第1のインバータ回路105の出力端子とする。
【0030】
第2のインバータ回路106において、第3のトランジスタ109は、第1端子が電源線112に接続される。また第4のトランジスタ110は、ゲート端子が第3のトランジスタ109のゲート端子に接続され、第1端子が第3のトランジスタ109の第2端子に接続され、第2端子がグランド線113に接続される。このとき第3のトランジスタ109のゲート端子及び第4のトランジスタ110のゲート端子と、他の素子との接続箇所を第2のインバータ回路106の入力端子とし、第3のトランジスタ109の第1端子を第2のインバータ回路106の第1の電位供給端子とし、第4のトランジスタ110の第2端子を第2の電位供給端子とし、第3のトランジスタ109の第2端子及び第4のトランジスタ110の第1端子と他の素子との接続箇所を第2のインバータ回路106の出力端子とする。
【0031】
また、第1のインバータ回路105は、入力端子が第2のインバータ回路106の出力端子に接続され、出力端子が第2のインバータ回路106の入力端子に接続される。
【0032】
第5のトランジスタ101は、ゲート端子がワード線111に接続され、第1端子が第1のデータ線115に接続され、第2端子が第1のインバータ回路105の出力端子に接続される。
【0033】
第6のトランジスタ102は、ゲート端子がワード線111に接続され、第1端子が第2のインバータ回路106の出力端子に接続され、第2端子が第2のデータ線116に接続される。
【0034】
第7のトランジスタ103は、ゲート端子が第1のインバータ回路105の入力端子及び第2のインバータ回路106の出力端子に接続され、第1端子がグランド線113に接続される。なお、第7のトランジスタ103のゲート端子と、第1のインバータ回路105の入力端子及び第2のインバータ回路106の出力端子との接続箇所を第1のノード118という。また第1のインバータ回路105の出力端子と、第2のインバータ回路106の入力端子との接続箇所を第2のノード119という。
【0035】
第8のトランジスタ104は、ゲート端子がワード線114に接続され、第1端子が第7のトランジスタ103の第2端子に接続され、第2端子が第3のデータ線117に接続される。
【0036】
第1のデータ線115には書き込みデータが正転のデータが入力され、第2のデータ線116には書き込みデータの反転のデータが入力される。すなわち、書き込みデータが1のときには第1のデータ線115に1のデータが入力され、第2のデータ線116に0のデータが入力される。また、書き込みデータが0のときには第1のデータ線115に0のデータが入力され、第2のデータ線116に1のデータが入力される。第3のデータ線117は、データの読み出し時以外は書き込み及び読み出し回路によって3Vにプリチャージされている。ここで、書き込み及び読み出し回路とは、第1のデータ線115、第2のデータ線116を介して初期化用メモリセル100に書き込みデータを出力し、第3のデータ線117の電位よりメモリセルのデータを読み出す機能を有する。この書き込み及び読み出し回路は、複数の初期化用のメモリセルが1列に並んでいる場合、1列のメモリセルに対して少なくとも1つ設けられる。
【0037】
さらに本実施の形態における半導体記憶装置の構成について図16を用いて説明する。図16は、本実施の形態における半導体記憶装置の構成を示す図である。
【0038】
図16に示すように、本実施の形態における半導体記憶装置は、初期化用メモリセル100及びデータ保持する機能を有するデータ保持用メモリセル124からなる複数のメモリセル群125と、複数の第1のデータ線115と、複数の第2のデータ線116と、複数の第3のデータ線117と、複数のワード線111と、複数のワード線114と、複数の電源線112と、複数のグランド線113と、を有する。
【0039】
複数のメモリセル群125は、それぞれ第1のデータ線115、第2のデータ線116、第3のデータ線117、ワード線111と、ワード線114、電源線112、及びグランド線113に接続される。
【0040】
初期化用メモリセル100の構成としては、例えば図1に示した構成を適用することができる。
【0041】
またデータ保持用メモリの回路構成としては、例えば図1に示した構成を適用することができる。
【0042】
次に本実施の形態における半導体記憶装置の動作について説明する。
【0043】
まず、従来の半導体装置における初期化用メモリセルの動作について説明する。
【0044】
書き込み時、ワード線111は3Vであり、第5のトランジスタ101と第6のトランジスタ102がオンとなることにより、初期化用メモリセル100にデータが書き込まれる。
【0045】
読み出し時、ワード線114が3Vであり、第8のトランジスタ104がオンとなる。メモリセルのデータが”0”の場合、第1のノード118の電位が3V(第2のノード119の電位は0V)であり、第8のトランジスタ104がオンとなることでプリチャージされた第3のデータ線117は、第7のトランジスタ103と、第8のトランジスタ104により電位が0Vとなる。
【0046】
初期化用メモリセル100のデータが”1”の場合、第1のノード118の電位が0V(第2のノード119の電位は3V)であり、第7のトランジスタ103がオフなので、プリチャージされた第3のデータ線117は3Vのまま保持される。また、初期化用メモリセル100のデータは、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106により保持される。ここで、データ”0”と”1”の状態は、外部回路構成に応じて、任意に設定できるため、逆の場合(初期化用メモリセル100のデータが”0”の場合)もあり得る。電源がオフの時は、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106が動作しないため、メモリセルはデータを保持することができない。その後、電源がオンしても、第1のノード118の電位は、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の入出力特性の差や、第1のノード118及び第2のノード119の配線容量などの要因によって決まるため、通常、1回は任意のデータを初期化用メモリセル100に書き込まないと第1のノード118の電位を特定することができない。
【0047】
次に本実施の形態の半導体記憶装置における初期化用メモリセルの動作について説明する。
【0048】
本実施の形態の初期化用メモリセルでは、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106における入力信号に対する立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設ける。但し各ワード線に接続された初期化処理用のメモリセルは、メモリセルに記憶されているデータが有効であればデータ”1”を保持し、無効であればデータ”0”を保持しているとする。なお、各ワード線が有効または無効であるかについては、回路構成に応じて任意に設定できるため、逆の場合もあり得る。ここでは、初期化用メモリセルにデータ’0’を保持させればよいので、第1のノード118の電位を3V、第2のノード119の電位を0Vとなるようにすれば良い。
【0049】
第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の入力信号に対する立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設けた場合の動作について説明する。
【0050】
電源がオフの場合は、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106は動作しない。第1のノード118、第2のノード119の電位は0Vとなる。
【0051】
電源をオンにすると、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106が動作し始める。第1のインバータ回路105は、第1のノード118の電位が入力され、電源線112の電位(電源電位ともいう)、またはグランド線113の電位(グランド電位ともいう)を第2のノード119に出力する。第2のインバータ回路106は、第2のノード119の電位が入力され、電源電位またはグランド電位を第1のノード118に出力する。前述の通り、第1のノード118の電位は2つのインバータ回路の入出力特性の差によって決まる。
【0052】
従来の半導体記憶装置に用いられる初期化用メモリセル及びデータ保持用メモリセルは、メモリセルの書き込み動作、読み込み動作を安定して行うために、2つのインバータ回路は、バランス良く、入力電圧に対する出力電流特性が同じになるようにするため、トランジスタのサイズが同じであるインバータ回路を2つ用いて、構成される。なお、トランジスタのサイズとは、チャネル長またはチャネル幅により表されるものとする。
【0053】
しかし、トランジスタのサイズが同じである2個のインバータ回路間でも、トランジスタの作製工程において、多少特性に差が生じてしまう。これは、ランダムに生じるため、メモリセル間でも特性が異なる。そのため、電源をオンにした直後のメモリセルが保持しているデータは、メモリセルによって異なる。
【0054】
しかし、本発明の半導体記憶装置における初期化用メモリセルは、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の入力信号に対する立ち上がり特性及び立ち下がり特性に任意に差を設けることにより、それに応じて初期化用メモリセルが保持するデータを決定する。例えば第2のインバータ回路106の第3のトランジスタ109の立ち上がり特性を第1のインバータ回路105の第1のトランジスタ107の立ち上がり特性より良くするように設定する、すなわち第3のトランジスタ109のしきい値電圧の絶対値を第1のトランジスタ107のしきい値電圧の絶対値より小さくする。すると、電源をオンした直後、第3のトランジスタ109は第1のトランジスタ107よりも速く立ち上がり、より多くの電流を出力することができるため、第1のノード118の電位を3Vにすることができる。第1のノード118の電位が決まると、第1のインバータ回路105のNチャネル型トランジスタによって第2のノード119の電位が0Vに決まる。このようにして、初期化用メモリセルのデータは”0”となるため、電源をオンにすると同時に初期化処理を行うことができる。
【0055】
さらに、このとき第1のインバータ回路105の第2のトランジスタ108の立ち上がり特性を第2のインバータ回路106の第4のトランジスタ110の立ち上がり特性より良くする、すなわち第2のトランジスタ108のしきい値電圧の絶対値を第4のトランジスタ110のしきい値電圧の絶対値より小さくすると良い。第2のトランジスタ108には、電源をオンにした直後、第1のノードの0Vから3Vに変化している電位が入力される。トランジスタの立ち上がり特性が良いと、より速く立ち上がり、多くの電流を出力することができるため、第1のトランジスタ107が3Vに上げようとしている第2のノード119の電位を0Vに下げることができる。そのため、より確実に初期化用メモリセルのデータを”0”とすることができるため、電源をオンにしたのと同時に初期化処理を行うことができる。
【0056】
また、図15に示すように、第5のトランジスタ101、第6のトランジスタ102、第7のトランジスタ103、及び第8のトランジスタ104をPチャネル型トランジスタとした構成も適用できる。このとき本構成の初期化用メモリセルにおける各トランジスタの動作は、上記図1における各トランジスタとは逆の導電型であるため、それぞれの端子における電位も逆の値とすることにより、同様に電源をオンにしたのと同時に初期化処理を行うことができる。また、このとき、第3のデータ線117は、プリチャージする必要がなくなる。
【0057】
ここで第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設けることができるトランジスタを用いる場合について説明する。
【0058】
トランジスタの構成の一例を図2に示す。トランジスタは、基板1000と、基板1000上に設けられた半導体層1001と、半導体層1001上に設けられたゲート絶縁層1005と、ゲート絶縁層1005上に設けられたゲート電極1006と、ゲート電極1006上に設けられた絶縁層1002と、絶縁層1002に設けられたコンタクト部を介して半導体層1001上に設けられた第1の配線1010及び第2の配線1011と、を有する。半導体層1001は、不純物元素が添加された第1の不純物領域1003及び第2の不純物領域1004を有する。
【0059】
基板1000としては、例えばガラス基板、石英基板、金属基板(例えばステンレス基板)、またはセラミック基板などを用いることができる。他にもプラスチック基板を用いることもできる。プラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリルなどの基板を選択することもできる。
【0060】
また、ゲート絶縁層1005、及び絶縁層1002としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、及び窒化酸化シリコンのいずれか一つまたは複数を用いて形成することができる。また、前記材料から選ばれた材料を積層構造として形成することもできる。ゲート絶縁層1005及び絶縁層1002は、CVD法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0061】
また、半導体層1001としては、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル、セミアモルファスとも言う)シリコンなどを用いることができる。また半導体層1001は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により形成することができる。
【0062】
また半導体層1001は、レーザビームを照射することにより結晶化が行われる。なお、レーザビームの照射と、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により半導体層1001の結晶化を行ってもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングすることにより半導体層1001が形成される。
【0063】
なお、結晶化に用いるレーザビームとしては、連続発振型のレーザビーム(CWレーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、または多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、及びTaのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザ、及び金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVOレーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザのパワー密度は0.01MW/cm以上100MW/cm以下程度(好ましくは0.1MW/cm以上10MW/cm以下)が必要である。そして、走査速度を10cm/sec以上2000cm/sec以下程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、または多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、モード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体層中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0064】
また、結晶構造を有する半導体層を形成するには、非晶質半導体層に対して加熱処理を行う手法を用いることもできる。加熱処理として加熱炉を用いる場合には、非晶質シリコン層を400〜550℃で2〜20時間加熱する。
【0065】
加熱処理の工程において、半導体層の結晶化を促進させる金属、例えばニッケルを添加する。非晶質シリコン層上にニッケルを含む溶液を塗布し、加熱処理を行うことで、加熱温度を低減することができ、さらに、結晶粒界の連続した多結晶シリコン層を得ることができる。ここで結晶化を促進するための金属としてはニッケルの他に、鉄、ルチニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、または銅等を用いることもできる。
【0066】
結晶化を促進させる金属は汚染源となるため、非晶質シリコン層を結晶化した後に、金属を除去するゲッタリング工程を行うことが望ましい。ゲッタリング工程では、非晶質シリコン層を結晶化した後、シリコン層上にゲッタリングシンクとなる層を形成し、加熱することで金属をゲッタリングシンクへ移動させる。ゲッタリングシンクには、多結晶半導体層や不純物が添加された半導体層を用いることができる。例えば、シリコン層上にアルゴン等の不活性元素が添加された多結晶シリコン層を形成し、これをゲッタリングシンクとして用いることができる。ゲッタリングシンクに不活性元素を添加することによってひずみを生じさせ、より効率的に金属を捕獲することができる。また新たにゲッタリングシンクを形成することなく、トランジスタの半導体層の一部にリン等の元素を添加することによって、金属を捕獲することもできる。
【0067】
ゲート電極1006は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブ等から選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を用いて形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料を用いて形成することもできる。また上記材料の一つまたは複数を選択し、積層構造とすることも可能である。上記材料の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、ゲート電極の1層目と2層目を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層の積層のみではなく、3層以上の構造とすることも可能である。例えば3層の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
【0068】
第1の不純物領域1003及び第2の不純物領域1004は、半導体層1001の一部に不純物元素を添加することにより形成することができる。なお不純物元素は、また所定の領域に添加したい場合には、別途レジストを形成し、レジストをマスクとして不純物元素を添加することにより、所望の領域に所望の元素を含む第1の不純物領域1003及び第2の不純物領域1004を形成することができる。なお、不純物元素としては、リンやボロンを用いることができる。
【0069】
また絶縁層1002としては、シリコンの酸化物及びシリコンの窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、及びエポキシ等の有機材料、シロキサン材料のいずれか一種または複数種を用いることができる。また上記材料から選ばれた一種または複数種を用いて積層構造を形成することも可能である。
【0070】
また、第1の配線1010及び第2の配線1011は、ソース配線またはドレイン配線として機能し、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、白金、銅、金、銀、マンガン、ネオジム、炭素、及びシリコンから選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料または化合物材料を用いることができる。また、上記材料の一種または複数種を選択して用いることにより積層構造とすることも可能である。アルミニウムを主成分とする合金材料としては、例えば、アルミニウムを主成分としてさらにニッケルを含む材料や、アルミニウムを主成分としてさらにニッケル、及び炭素とシリコンの一方または両方とを含む合金材料などを用いることができる。また第1の配線1010及び第2の配線1011は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用することもできる。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、またはモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、第1の配線1010及び第2の配線1011を形成する材料として適している。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
【0071】
第1の不純物領域1003と第1の配線1010、及び第2の不純物領域1004と第2の配線1011は、ソース端子またはドレイン端子として機能する。第1の不純物領域1003及び第2の不純物領域1004の間にはチャネル形成領域が形成される。
【0072】
なお、本実施の形態において、順スタガ型トランジスタについて説明したがこれに限定されない。逆スタガ型トランジスタについても適用することができる。
【0073】
また、トランジスタとして単結晶半導体膜を用いたトランジスタも適用することができる。単結晶を用いたトランジスタについて、図3に示す。
【0074】
図3に示すように、単結晶を用いたトランジスタは、シリコンなどの基板2011と絶縁層2012と、半導体基板2000と、半導体基板2000上に設けられたゲート絶縁層2006と、ゲート絶縁層2006上に設けられたゲート電極2007と、を有する。半導体基板2000は、第1の絶縁層2004及び第2の絶縁層2005と、ウェル領域2001を有し、さらにウェル領域2001の一部には、第1の不純物領域2002及び第2の不純物領域2003を有する。ゲート絶縁層2006及びゲート電極2007は、半導体基板2000における第1の不純物領域2002及び第2の不純物領域2003の間の領域上に設けられている。さらにゲート電極2007及び半導体基板2000上には、絶縁層2008を有し、絶縁層2008の一部には、任意の数のコンタクト部を有し、コンタクト部を介して第1の不純物領域2002上に設けられた第1の配線2009、第2の不純物領域2003上に設けられた第2の配線2010をそれぞれ有する。
【0075】
半導体基板2000としては、例えば、n型またはp型の導電型を有する単結晶シリコン基板、または化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板、またはZnSe基板等)などを用いることができる。
【0076】
また第1の絶縁層2004及び第2の絶縁層2005の形成には、選択酸化法(LOCOS:Local Oxidation of Silicon法)またはトレンチ分離法等を用いることができる。
【0077】
ゲート電極2007としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブ等を用いることができる。また、ゲート電極2007は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いて形成することもできる。または、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純物元素をドーピングした、多結晶シリコンなどの半導体を用いて形成することもできる。また、ゲート電極2007は、所定の形状に加工(パターニングなど)することによって形成することができる。
【0078】
ウェル領域2001、第1の不純物領域2002、及び第2の不純物領域2003は不純物元素を添加することで形成することができる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を用いる。n型を付与する不純物元素としては、リンやヒ素等を用いることができる。p型を付与する不純物元素としては、ボロンやアルミニウムやガリウム等を用いることができる。また所定の領域に添加したい場合には、別途レジストを形成し、レジストをマスクとして不純物元素を添加することにより所定の領域に所望の元素を含むウェル領域2001、第1の不純物領域2002、及び第2の不純物領域2003を形成することができる。
【0079】
ゲート絶縁層2006としては、無機材料、有機材料、または有機材料と無機材料の混合材料を用いて形成することができる。例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)に代表される炭素を含む膜、アクリル、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、またはベンゾシクロブテンなどを用いることができる。また、第1の絶縁層2004及び第2の絶縁層2005はその材料に応じて、CVD法、スパッタ法、液滴吐出法、または印刷法などで形成することができる。
【0080】
第1の不純物領域2002と第1の配線2009、及び第2の不純物領域2003と第2の配線2010は、ソース端子またはドレイン端子として機能する。また、第1の不純物領域2002及び第2の不純物領域2003の間にはチャネル形成領域が形成される。
【0081】
図2または図3のようなトランジスタを用いた場合、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106が有するいずれかのトランジスタにおける半導体層の膜厚を変えることにより第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設けることが可能である。
【0082】
半導体層の膜厚とトランジスタの立ち上がり特性の関係として、一般に次のことが言われている。トランジスタでは、チャネル長を短くした場合にしきい値電圧が低下する、短チャネル効果と呼ばれるものがあり、これを抑制するための方法の一つとして、半導体層の膜厚を薄くする方法が挙げられる。一般的には、短チャネル効果を抑制するためには,チャネル長に対して、1/4から1/2の膜厚までの半導体層が必要となると言われている。ただし、トランジスタの一が上記膜厚の範囲内にも関わらず短チャネル効果が起こる場合においても、他のトランジスタの膜厚を上記膜厚の範囲内より、さらに薄く、より確実に短チャネル効果が起こらない膜厚にすれば適用することができる。図4にNチャネル型トランジスタにおける膜厚としきい値電圧の関係について示す。横軸をゲート端子とソース端子との間の電圧Vgとし、縦軸をドレイン端子とソース端子との間を流れる電流Idとすると、半導体層の膜厚が、短チャネル効果が起こる範囲である場合の特性曲線800は、半導体層の膜厚が、短チャネル効果が起こらない範囲である場合の特性曲線801と比較して、しきい値電圧が低下する。なお、短チャネル効果がある場合、Vg=0Vでのリーク電流が増えてしまうので、チャネル部における不純物元素のドープ量を調整することにより、さらにしきい値電圧を下げることができ、消費電流を低減することも可能である。
【0083】
以上のことにより、半導体層の膜厚を変えることによりトランジスタの立ち上がり特性を変えられることがわかる。そのため、本実施の形態において、第1のインバータ回路105における一のトランジスタと、第2のインバータ回路106における該一の導電型のトランジスタと同じ導電型の他のトランジスタとの立ち上がり及び立ち下がり特性の差は、差を設ける各トランジスタ間の半導体層の膜厚を変えることで実現できる。
【0084】
また、本実施の形態において各トランジスタにおいて半導体層の膜厚に差を設ける場合について説明したが、これに限定されない。例えばゲート絶縁膜の膜厚に差を設ける場合においても各トランジスタを異なる立ち上がり特性にすることができる。具体的には、ゲート絶縁膜を薄くすることによって立ち上がり特性を向上することができる。例えば本実施の形態において、第1のインバータ回路105における一のトランジスタと、第2のインバータ回路106における該一のトランジスタと同じ導電型の他のトランジスタとの立ち上がり及び立ち下がり特性の差は、第1のインバータ回路105における該一のトランジスタのゲート絶縁膜を第2のインバータ回路106の該他のトランジスタのゲート絶縁膜より薄くすることによっ実現できる。
【0085】
以上のように第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106におけるトランジスタのしきい値の絶対値に差を設けることにより、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の立ち上がり及び立ち下がり特性に差を設け、第1のノード118及び第2のノード119の電位をより速く決定させることができる。
【0086】
さらに、電源の立ち上がり時における第1のノード118及び第2のノード119の電位を制御し、より確実に初期化処理を行うため、図1に示した初期化用メモリセル100及びデータ保持用メモリセル124からなるメモリセル群125(メモリラインともいう)ごとに別の回路素子を加えた構成について図5を用いて説明する。
【0087】
図5の初期化用メモリセルの構成は、図1に示した初期化用メモリセル100と、第9のトランジスタ120、抵抗素子121、及び容量素子122を有する。
【0088】
第9のトランジスタ120は、ゲート端子が抵抗素子121を介して電源線112に接続され、且つ容量素子122を介してグランド線113に接続され、第1端子がワード線111に接続され、第2端子がグランド線113に接続される。なお第9のトランジスタ120のゲート端子と、抵抗素子121及び容量素子122との接続配線を配線123とする。なお、第9のトランジスタ120は、Pチャネル型トランジスタである。
【0089】
この構成における動作について、図6のタイミングチャートを用いて説明する。図6において、クロック信号を信号300、電源電圧を電源電圧301、リセット信号を信号302、配線123の信号を信号303、CPUなど外部からのアクセス信号を信号304とそれぞれ表す。信号300におけるイベントタイミング400で電源がオンとなり電源電圧が立ち上がると、図5に示した初期化用メモリセルの構成により全てのメモリセルが無効化される。信号303は、電源の立ち上がりと同時に立ち上がり、一定期間その状態が保持され、その後立ち下がる。各回路は、信号302が立ち上がっている間、リセット動作を行う。電源の立ち上がりより少し遅れて信号303が立ち上がる。信号303が、電源の立ち上がりからどの程度遅れるかは、抵抗素子121と容量素子122の大きさによって決めることができる。信号303が立ち上がることにより、ワード線111がグランド電位から別の値に変化するため、リセット動作期間中に立ち上がるように設定すると良い。信号302が立ち下がった後、信号300におけるイベントタイミング401でリセット動作を完了し、信号304のパルスが入力されることにより、外部回路へのアクセスを開始する。
【0090】
この構成により、電源をオンにしたと同時により確実に全ての初期化用メモリセルにおける無効化処理が可能となるため、データの初期化をより高速に行うことができる。
【0091】
なお、図15の構成においても、図5における回路構成のうち、第9のトランジスタ120の第1端子を電源線112に接続させることにより、同様の動作を行うことが可能である。
【0092】
また、本実施の形態において、図7に示した初期化用メモリセルの構成も適用することができる。
【0093】
図7における構成は、図1の構成と比較して、第3のデータ線117、ワード線114、第7のトランジスタ103、第8のトランジスタ104がない構成である。
【0094】
図7に示したメモリセルの構成を本実施の形態の半導体装置に示した場合について図17に示す。図17に示すように、本実施の形態における半導体記憶装置は、初期化用メモリセル100及びデータ保持する機能を有するデータ保持用メモリセル124からなる複数のメモリセル群125と、複数の第1のデータ線115と、複数の第2のデータ線116と、複数の第3のデータ線117と、複数のワード線111と、複数の電源線112と、複数のグランド線113と、を有する。
【0095】
複数のメモリセル群125における各メモリセルは、第1のデータ線115、第2のデータ線116、第3のデータ線117、ワード線111、電源線112、及びグランド線113に接続される。
【0096】
初期化用メモリセル100としては、例えば図7に示した構成を適用することができる。
【0097】
また、データ保持用メモリセル124の回路構成としては、例えば図7に示した構成を適用することができる。
【0098】
また、図示しないが初期化用メモリセル及びデータ保持用メモリセルの回路構成は、それぞれ別の構成にすることもできる。例えば初期化用メモリセル及びデータ保持用メモリセルの一方の回路構成を図1に示した構成とし、初期化用メモリセル及びデータ保持用メモリセルの他方の回路構成を図7に示した構成とすることもできる。
【0099】
図7の構成を適用することにより、図1のメモリセルより面積を小さくすることができる。なお、図7における構成を図16におけるデータ保持用メモリセル124に適用することができる。また動作に関し、データの書き込み動作は同じであるが、データの読み出し動作は異なる。具体的に読み出し動作について説明すると、まず、ワード線111を3Vにし、第5のトランジスタ101、第6のトランジスタ102をオン状態にする。第1のデータ線115の電位は、第2のノード119の電位と同じ値になり、第2のデータ線116の電位は、第1のノード118の電位と同じ値になるので、それを書き込み及び読み出し回路で検出する。ここで、メモリセルのデータが”0”の場合、第1のノード118の電位が3V(第2のノード119の電位は0V)であるから、第2のデータ線116の電位は3V(第1のデータ線115の電位は0V)となる。
【0100】
一方、メモリセルのデータが”1”の場合、第1のノード118の電位が0V(第2のノード119の電位が3V)であるから、第2のデータ線116の電位は0V(第1のデータ線115の電位は3V)となる。
【0101】
また、本実施の形態において、メモリセルに記憶されているデータが有効であれば、データ”0”を保持し、無効であればデータ”1”を保持しているとした場合は、第1のインバータ回路105の第1のトランジスタ107の立ち上がり特性を良くする、すなわち立ち上がりを速くする。さらに、第2のインバータ回路106の第4のトランジスタ110の立ち上がり特性を良くすることにより電源をオンにしたと同時に自動的に初期化処理を行うことができる。
【0102】
以上のように第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106におけるトランジスタのしきい値を変化させることにより、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の立ち上がり及び立ち下がり特性に差を設け、第1のノード118及び第2のノード119の電位をより速く決定することができる。
【0103】
また、本実施の形態の初期化用のメモリセルを半導体記憶装置に適用することにより、各メモリセルの初期化処理におけるデータの初期化を高速に行うことができる。
【0104】
(実施の形態2)
本実施の形態では、第1のインバータ回路105及び第2のインバータ回路106の立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設ける方法の別の一例として、一部のトランジスタのしきい値電圧を変化させる構成について説明する。
【0105】
本実施の形態の半導体記憶装置における初期化用メモリセルの構成について図8に示す。
【0106】
初期化処理用のメモリセル200は、第1のトランジスタ207及び第2のトランジスタ208を有する第1のインバータ回路205と、第3のトランジスタ209及び第4のトランジスタ210を有する第2のインバータ回路206と、第5のトランジスタ201と、第6のトランジスタ202と、第7のトランジスタ203と、第8のトランジスタ204と、電源線212と、グランド線213と、第1のワード線となるワード線211と、第2のワード線となるワード線214と、第1のデータ線215と、第2のデータ線216と、及び第3のデータ線217と、バイアス回路220と、を有する。
【0107】
第2のトランジスタ208、第4のトランジスタ210、第5のトランジスタ201、第6のトランジスタ202、第7のトランジスタ203、及び第8のトランジスタ204は、Nチャネル型トランジスタである。また、第1のトランジスタ207、及び第3のトランジスタ209は、Pチャネル型トランジスタである。
【0108】
第1のインバータ回路205において、第1のトランジスタ207は、第1端子が電源線212に接続される。また第2のトランジスタ208は、ゲート端子が第1のトランジスタ207のゲート端子に接続され、第1端子が第1のトランジスタ207の第2端子に接続され、第2端子がグランド線213に接続される。このとき第1のトランジスタ207のゲート端子及び第2のトランジスタ208のゲート端子と、他の素子との接続箇所を第1のインバータ回路205の入力端子とし、第1のトランジスタ207の第1端子を第1のインバータ回路205の第1の電位供給端子とし、第2のトランジスタ208の第2端子を第1のインバータ回路205の第2の電位供給端子とし、第1のトランジスタ207の第2端子及び第2のトランジスタ208の第1端子と、他の素子との接続箇所を第1のインバータ回路205の出力端子とする。
【0109】
第2のインバータ回路206において、第3のトランジスタ209は、第1端子が電源線212に接続される。また第4のトランジスタ210は、ゲート端子が第3のトランジスタ209のゲート端子に接続され、第1端子が第3のトランジスタ209の第2端子に接続され、第2端子がグランド線213に接続される。このとき第3のトランジスタ209のゲート端子及び第4のトランジスタ210のゲート端子と、他の素子との接続箇所を第2のインバータ回路206の入力端子とし、第3のトランジスタ209の第1端子を第2のインバータ回路206の第1の電位供給端子とし、第4のトランジスタ210の第2端子を第2のインバータ回路206の第2の電位供給端子とし、第3のトランジスタ209の第2端子及び第4のトランジスタ210の第1端子との接続箇所を第2のインバータ回路206の出力端子とする。
【0110】
また、第1のインバータ回路205は、入力端子が第2のインバータ回路206の出力端子に接続され、出力端子が第2のインバータ回路206の入力端子に接続される。
【0111】
第5のトランジスタ201は、ゲート端子がワード線211に接続され、第1端子が第1のデータ線215に接続され、第2端子が第1のインバータ回路205の出力端子に接続される。
【0112】
第6のトランジスタ202は、ゲート端子がワード線211に接続され、第1端子が第2のインバータ回路206の出力端子に接続され、第2端子が第2のデータ線216に接続される。
【0113】
第7のトランジスタ203は、ゲート端子が第1のインバータ回路205の入力端子及び第2のインバータ回路206の出力端子に接続され、第1端子がグランド線213に接続される。なお、第7のトランジスタ203のゲート端子と、第1のインバータ回路205の入力端子及び第2のインバータ回路206との接続箇所を第1のノード218という。また、第1のインバータ回路205の出力端子と、第2のインバータ回路206の入力端子との接続箇所を第2のノード219という。
【0114】
第8のトランジスタ204は、ゲート端子がワード線214に接続され、第1端子が第7のトランジスタ203の第2端子に接続され、第2端子が第3のデータ線217に接続される。
【0115】
第1のデータ線215には書き込みデータの正転のデータが入力され、第2のデータ線216には反転のデータが入力される。第3のデータ線217は、データの読み出し時以外は書き込み及び読み出し回路によって3Vにプリチャージされている。ここで、書き込み及び読み出し回路とは、第1のデータ線215、第2のデータ線216を介してメモリセルに書き込みデータを出力し、第3のデータ線217の電位よりメモリセルのデータを読み出す機能を有する。この書き込み及び読み出し回路は、複数の初期化用のメモリセルが1列に並んでいる場合、それに対応したものが少なくとも1つ設けられる。
【0116】
なお、図8の初期化用のメモリセルは、バイアス回路220を有する。バイアス回路220は、第1のトランジスタ207の基板端子に接続される。
【0117】
本実施の形態において、第1のトランジスタ207としては、例えば活性層を間に挟んで、第1のゲート端子と第2のゲート端子が設けられているトランジスタを用いることができる。このトランジスタは、第1のゲート端子から活性層に第1の電圧が印加され、第2のゲート端子から活性層に第2の電圧が印加される。活性層に印加される第1の電圧と第2の電圧の電圧値を制御することにより、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。なお、第1のゲート端子と第2のゲート端子の一方を基板端子とよび、基板端子に印加される電圧を基板電圧とよぶことがある。
【0118】
次に本実施の形態に適用可能なトランジスタの例として、活性層を間に挟んで、第1のゲート端子と第2のゲート端子が設けられているトランジスタの構成について説明する。
【0119】
図9のトランジスタは、基板3000と、基板3000上に設けられた第1のゲート電極3001と、第1のゲート電極3001上に設けられた第1のゲート絶縁層3002と、第1のゲート絶縁層3002上に設けられた半導体層3003と、半導体層3003上に設けられた第2のゲート絶縁層3006を有し、第2のゲート絶縁層3006上に設けられた第2のゲート電極3007、を有する。さらに半導体層3003は、第1の不純物領域3004と、第2の不純物領域3005を有する。第1の不純物領域3004及び第2の不純物領域3005の間には、チャネル形成領域を有する。第2のゲート電極3007上には、絶縁層3009を有し、絶縁層3009の一部には、任意の数のコンタクト部を有し、コンタクト部を介して第1の不純物領域3004上に設けられた第1の配線3010、及び第2の不純物領域3005上に設けられた第2の配線3011をそれぞれ有する。
【0120】
基板3000としては、例えばガラス基板、石英基板、金属基板(例えばステンレス基板)、またはセラミック基板などを用いることができる。他にもプラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリルなどの基板を選択することもできる。
【0121】
また、第1のゲート絶縁層3002、第2のゲート絶縁層3006、及び絶縁層3009は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、及び窒化酸化シリコンのいずれか一つまたは複数を用いて形成することができる。また前記材料から選ばれた材料を積層構造として形成することもできる。第1のゲート絶縁層3002、第2のゲート絶縁層3006、及び絶縁層3009は、CVD法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0122】
また、半導体層3003としては、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル、セミアモルファスとも言う)シリコンなどを用いることができる。また半導体層3003は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により形成することができる。
【0123】
また半導体層3003は、レーザビームを照射することにより結晶化が行われる。なお、レーザビームの照射と、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により半導体層3003の結晶化を行ってもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングすることにより半導体層3003が形成される。なお、レーザビームについては、上記実施の形態1の半導体層に用いることのできるものと同様のものを用いることができる。
【0124】
第1のゲート電極3001及び第2のゲート電極3007は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブ等から選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を用いて形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料を用いて形成することもできる。また上記材料の一つまたは複数を選択し、積層構造することも可能である。上記材料の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、ゲート電極の1層目と2層目を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層の積層のみではなく、3層以上の構造とすることも可能である。例えば3層の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
【0125】
第1の不純物領域3004及び第2の不純物領域3005は、半導体層3003の一部に不純物元素を添加することにより形成することができる。なお不純物元素は、また所定の領域に添加したい場合には、別途レジストを形成し、レジストをマスクとして不純物元素を添加することにより、所望の領域に所望の元素を含む第1の不純物領域3004及び第2の不純物領域3005を形成することができる。なお、不純物元素にはリンやボロンを用いることができる。
【0126】
また絶縁層3009としては、シリコンの酸化物及びシリコンの窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、及びエポキシ等の有機材料、並びにシロキサン材料のいずれか一種または複数種を用いて形成することができる。また上記材料から選ばれた一種または複数種を用いて積層構造として形成することも可能である。
【0127】
また、第1の配線3010及び第2の配線3011は、ソース配線またはドレイン配線として機能し、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、白金、銅、金、銀、マンガン、ネオジム、炭素、及びシリコンから選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料または化合物材料を用いることができる。また、上記材料の一種または複数種を選択して用いることにより積層構造とすることも可能である。アルミニウムを主成分とする合金材料としては、例えば、アルミニウムを主成分としてさらにニッケルを含む材料や、アルミニウムを主成分としてさらにニッケル、及び炭素とシリコンの一方または両方とを含む合金材料などを用いることができる。また第1の配線3010及び第2の配線3011は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用することもできる。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、またはモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、第1の配線3010及び第2の配線3011を形成する材料として適している。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
【0128】
第1の不純物領域3004と第1の配線3010、及び第2の不純物領域3005と第2の配線3011は、ソース端子またはドレイン端子として機能する。第1の不純物領域3004及び第2の不純物領域3005の間にはチャネル形成領域が形成される。
【0129】
第1のゲート電極3001または第2のゲート電極3007は、トランジスタにおける基板端子(制御端子ともよぶ)として機能する。第1のゲート電極3001または第2のゲート電極3007を介して実施の形態2におけるバイアス回路220から電圧がチャネル形成領域に印加され、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。
【0130】
次に本発明の記憶装置に適用可能なトランジスタの例として単結晶半導体層を有するトランジスタの断面における構成について図10に示す。
【0131】
図10のトランジスタは、基板4000と、基板4000上に設けられたゲート絶縁層4007と、第1の絶縁層4005及び第2の絶縁層4006と、ゲート絶縁層4007上に設けられたゲート電極4008と、を有する。さらに基板4000は、一部にウェル領域4001を有し、ウェル領域4001の一部には、第1の不純物領域4002、第2の不純物領域4003、及び第3の不純物領域4004を有する。ゲート絶縁層4007及びゲート電極4008は、基板4000のおける第1の不純物領域4002及び第2の不純物領域4003の間の領域に設けられている。さらにゲート電極4008及び基板4000上には、絶縁層4009を有し、絶縁層4009の一部には、任意の数のコンタクト部を有し、コンタクト部を介して第1の不純物領域4002上に設けられた第1の配線4010、第2の不純物領域4003上に設けられた第2の配線4011、第3の不純物領域4004上に設けられた第3の配線4012をそれぞれ有する。
【0132】
単結晶半導体層を有するトランジスタを適用した場合、活性層として機能する単結晶半導体層に、少なくとも第1乃至第3の不純物領域が設けられている。第1の不純物領域はソース領域であり、第2の不純物領域はドレイン領域であり、第3の不純物領域には電圧が印加される領域である。このトランジスタは、ゲート電極から活性層に第1の電圧が印加され、第3の不純物領域から活性層に第2の電圧が印加される。活性層に印加する第1の電圧と第2の電圧の電圧値を制御することにより、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。なお、第3の不純物領域を基板端子とよび、第3の不純物領域に印加される電圧を基板電圧とよぶことがある。
【0133】
基板4000としては、例えば、n型またはp型の導電型を有する単結晶シリコン基板、化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板、またはZnSe基板等)などを用いることができる。
【0134】
第1の絶縁層4005及び第2の絶縁層4006の形成には、選択酸化法(LOCOS:Local Oxidation of Silicon法)またはトレンチ分離法等を用いることができる。
【0135】
ゲート電極4008としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブ等を用いることができる。また、ゲート電極4008は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いて形成することもできる。または、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純物元素をドーピングした、多結晶シリコンなどの半導体を用いて形成することもできる。また、ゲート電極4008は、所定の形状に加工(パターニングなど)することによって形成することができる。
【0136】
ウェル領域4001及び第1の不純物領域4002、第2の不純物領域4003、及び第3の不純物領域4004は不純物元素を添加することで形成することができる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を用いる。n型を付与する不純物元素としては、リンやヒ素等を用いることができる。p型を付与する不純物元素としては、ボロンやアルミニウムやガリウム等を用いることができる。また所定の領域に添加したい場合には、別途レジストを形成し、レジストをマスクとして不純物元素を添加することにより所定の領域に所望の元素を含むウェル領域4001及び第1の不純物領域4002、第2の不純物領域4003、及び第3の不純物領域4004を形成することができる。
【0137】
ゲート絶縁層4007としては、無機材料、有機材料、または有機材料と無機材料の混合材料を用いて形成することができる。例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)に代表される炭素を含む膜、アクリル、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、またはベンゾシクロブテンなどを用いることができる。また、第1の絶縁層4005及び第2の絶縁層4006はその材料に応じて、CVD法、スパッタ法、液滴吐出法、または印刷法などで形成することができる。
【0138】
第1の不純物領域4002と第1の配線4010、及び第2の不純物領域4003と第2の配線4011は、ソース端子またはドレイン端子として機能する。また、第1の不純物領域4002及び第2の不純物領域4003の間にはチャネル形成領域が形成される。
【0139】
第3の不純物領域4004及び第3の配線4012は、トランジスタの他の端子に印加される電圧とは独立した電圧(基板電圧)が印加される基板端子(制御端子ともよぶ)として機能する。よって第3の配線4012を図8におけるバイアス回路220から基板端子を介して入力された電圧がチャネル形成領域に印加され、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。
【0140】
基板端子が設けられた第1のトランジスタ207は、基板端子から電位が入力されることにより、チャネル部に電圧が印加され、しきい値電圧を変化させることができるため、第1のインバータ回路205において、立ち上がり特性及び立ち下がり特性を変化させることができる。
【0141】
第1のインバータ回路205及び第2のインバータ回路206の入力信号に対する立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設けることにより、それに応じて初期化用メモリセルが保持するデータを決定される。例えば第2のインバータ回路206の第3のトランジスタ209の立ち上がり特性を第1のインバータ回路205の第1のトランジスタ207の立ち上がり特性より良くするように設定する。すると、電源をオンにした直後、第3のトランジスタ209は、第1のトランジスタ207よりも速く、より多くの電流を出力することができるため、第1のノード218の電位を3Vにすることができる。第1のノード218の電位が決まると、第1のインバータ回路205のNチャネル型トランジスタによって第2のノード219の電位が0Vに決まる。このようにして、メモリセルのデータは”0”となるため、電源をオンにしたのと同時に初期化処理を行うことができる。
【0142】
以上のように第1のインバータ回路205及び第2のインバータ回路206の立ち上がり及び立ち下がり特性に差を設けることにより、第1のノード218及び第2のノード219の電位をより速く決定することができる。
【0143】
また、基板電圧を制御することによりある一定の電圧を与えることができるため、第1のインバータ回路205における一のトランジスタと、第2のインバータ回路206のける該一のトランジスタと同じ導電型の他のトランジスタとの立ち上がり及び立ち下がり特性の差をより明確に設定することも可能である。そのため、より確実に初期化処理を行うことができる。
【0144】
なお、本実施の形態において、ワード線が有効であれば、データ”0”を保持し、無効であればデータ”1”を保持しているとした場合は、第1のインバータ回路205の第1のトランジスタ207の立ち上がり特性を良くすることにより電源をオンにしたのと同時に初期化処理を行うことができる。
【0145】
また、本実施の形態において、バイアス回路220を第1のトランジスタ207の基板端子に接続させる構成について説明したが、これに限定されない。例えば、第1のインバータ回路205における第2のトランジスタ208、第2のインバータ回路206における第3のトランジスタ209、または第4のトランジスタ210に基板端子を有するトランジスタを適用し、トランジスタの基板端子にバイアス回路220を接続させる構成とすることも可能である。また、バイアス回路を複数用いて、第1のインバータ回路205における第2のトランジスタ208、第2のインバータ回路206における第3のトランジスタ209、及び第4のトランジスタ210のいずれかに基板端子を有するトランジスタを適用し、トランジスタ1つに対し1つのバイアス回路を接続させたトランジスタを複数設ける構成とするも可能である。複数のバイアス回路を用いることにより、バイアス回路に接続された各トランジスタにおいてしきい値電圧を制御し、第1のインバータ回路205及び第2のインバータ回路206の立ち上がり特性及び立ち下がり特性により明確な差を設けることができ、電源をオンにしたのと同時に、かつ、より確実に初期化処理を行うことができる。
【0146】
また、本実施の形態の初期化用のメモリセルを半導体記憶装置に適用することにより、各メモリセルの初期化処理におけるデータの初期化を高速に行うことができる。
【0147】
さらに従来のバイアス回路を設けた構成においても実施の形態1と同じ工程で形成することができる。
【0148】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0149】
(実施の形態3)
本実施の形態では、初期化用メモリセルを備えたキャッシュメモリを有する半導体装置の構成及び動作について説明する。
【0150】
本実施の形態の半導体装置の構成を図11に示す。図11における半導体装置は、CPU906と、主となる記憶装置として機能するメインメモリ(第2の記憶装置ともいう)901を有する。さらにCPU906は、演算部900と、副となる記憶装置として機能するキャッシュメモリ(第1の記憶装置ともいう)902を有する。さらにキャッシュメモリ902は、演算部900の部分情報が格納されるデータメモリ905と、タグメモリ904とバリッドビット907とで構成されるメモリライン903を複数有する。
【0151】
次に本実施の形態における半導体装置の動作について説明する。
【0152】
メインメモリ901の内容の一部をコピーしておき、CPUからの要求に対してキャッシュメモリ902が応答する。したがってキャッシュメモリ902には、コピー元のメインメモリ901のアドレスを示すデータと、アドレス内に保持されたデータとが一対のデータとして保持されていることが必要となる。キャッシュメモリ902の中でコピー元のメインメモリ901のアドレスを示すデータを格納しているのがタグメモリ904である。また、バリッドビット907は、キャッシュメモリ902に格納されているデータが有効か無効かを示し、電源投入時にはバリッドビット907を初期化処理して格納されている全てのデータを無効にする機能を有する。
【0153】
キャッシュメモリ902では、CPUが不定なデータを使わないように、初めにバリッドビット907の無効化処理を行う必要がある。この処理によって、CPU906のアクセスは、キャッシュミスとなるため、不定なデータは使われることはない。
【0154】
このバリッドビット907において上記実施の形態1乃至2のメモリセルの構成を適用した場合について、説明する。なお、説明において、実施の形態1における図1を用いて説明する。本実施の形態において、各メモリライン903は、1ビットのバリッドビットを有し、当該メモリラインが有効であれば、データ”0”を、無効であればデータ”1”を保持しているとする。これは、関係する回路構成に応じて、任意に設定できるため、有効か無効かを表すデータが逆の場合もある。
【0155】
本発明の初期化用メモリセル100では、2個のインバータ回路の入力信号に対する立ち上がり特性及び立ち下がり特性に差を設けるため、それに応じて初期化用メモリセル100が保持しているデータを決めることができる。第2のインバータ回路106のPチャネル型トランジスタの立ち上がり特性を良くする。すると、電源をオンにした直後、第1のインバータ回路105のPチャネル型トランジスタよりも速く立ち上がり、より多くの電流を出力することができるため、第1のノード118の電位を3Vにすることができる。第1のノード118の電位が決まると、第1のインバータ回路105のNチャネル型トランジスタによって第2のノード119の電位が0Vに決まる。このようにして、初期化用メモリセル100のデータは”0”となるため、電源をオンにしたのと同時にバリッドビットの無効化処理を行うことができる。
【0156】
また、実施の形態1乃至2のいずれかのように第1のインバータ回路105のNチャネル型トランジスタの立ち上がり特性を良くすると良い。第1のインバータ回路105のNチャネル型トランジスタには、電源をオンにした直後、第1のノード118の0Vから3Vに変化している電位が入力される。立ち上がり特性が良いと、より速く立ち上がり、多くの電流が出力することができるため、第1のインバータ回路105の第1のトランジスタ107により3Vまで上昇している第2のノード119の電位を0Vに下げることができる。そのため、より確実に、初期化用メモリセル100のデータを”0”とすることができるため、電源をオンにしたのと同時にバリッドビットの無効化処理を行うことができる。
【0157】
各メモリラインのバリッドビットが、当該メモリラインが有効であれば、データ”0”を、無効であればデータ”1”を保持しているとした場合は、第1のインバータ回路105のPチャネル型トランジスタの立ち上がり特性を良くする。さらに、第2のインバータ回路106のNチャネル型トランジスタの立ち上がり特性を良くすると良い。
【0158】
また、このとき、ワード線111の電位が3Vとならないようにする。理由として、確実に第2のノード119の電位を0Vにするためである。
【0159】
さらに上記メモリセルに上記実施の形態1の図5において説明した別の回路素子を設けることができる。バリットビットの構成は、図1に示した初期化用メモリセル100と、図5に示す第9のトランジスタ120、抵抗素子121、及び容量素子122を有する。
【0160】
第9のトランジスタ120は、ゲート端子が抵抗素子121を介して電源線112に接続され、且つ容量素子122を介してグランド線113に接続され、第1端子がワード線111に接続され、第2端子がグランド線113に接続される。なお第9のトランジスタ120のゲート端子と、抵抗素子121及び容量素子122との接続配線を配線123とする。また、第9のトランジスタ120は、Pチャネル型トランジスタである。
ここで、行デコーダ回路とは、ワード線111を用いてデータの書き込みを行うメモリセルを選択する機能、ワード線114を用いてデータの読み出しを行うメモリセルを選択する機能を有する。この行デコーダ回路は、メモリラインに対応したものが少なくとも1つ設けられる。
【0161】
図1に示したメモリセルを本実施の形態におけるキャッシュメモリのバリッドビットに適応し、図5に示した回路を行デコーダに追加した場合の動作についても実施の形態1と同様に、図6のタイミングチャートを適用することができる。信号300におけるイベントタイミング400で電源がオンとなり電源電圧が立ち上がると、図5に示した初期化用メモリセルの構成により全てのメモリセルが無効化される。信号303は、電源の立ち上がりと同時に立ち上がり、一定期間その状態が保持され、その後立ち下がる。各回路は、信号302が立ち上がっている間、リセット動作を行う。電源の立ち上がりより少し遅れて信号303が立ち上がる。信号303が、電源の立ち上がりからどの程度遅れるかは、抵抗素子121と容量素子122の大きさによって決めることができる。信号303が立ち上がることにより、ワード線111がグランド電位から別の値に変化するため、リセット動作期間中に立ち上がるように設定すると良い。信号302が立ち下がった後、信号300におけるイベントタイミング401でリセット動作を完了し、信号304のパルスが入力されることにより、キャッシュメモリへのアクセスを開始する。
【0162】
以上のように上記実施の形態1乃至2のいずれかにおけるメモリセルの構成をキャッシュメモリなどに適用し、半導体装置に搭載することにより、電源をオンにしたのと同時に全てのバリッドビットの無効化処理を可能となるため、CPUは、長い時間待機することなくキャッシュメモリにアクセスをすることができる。
【0163】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の半導体装置に搭載される半導体記憶装置のメモリセルにおけるトランジスタの作製方法について説明する。
【0164】
まず図13(A)に示すように基板600上に第1の絶縁層601を形成する。第1の絶縁層601は、単層構造または積層構造で形成することができる。本実施の形態では、第1の絶縁層601として2層構造を用いる。第1の絶縁層601の第一層として、膜厚10nm以上200nm以下(好ましくは50nm以上100nm以下)の酸化窒化シリコン層を形成する。当該酸化窒化シリコン層は、プラズマCVD法により、SiH、NH、NO及びHを反応ガスとして用いることができる。次に第1の絶縁層601の第二層として、膜厚50nm以上200nm以下(好ましくは100nm以上150nm以下)の酸化窒化シリコン層を形成する。当該酸化窒化シリコン層は、プラズマCVDにより、SiH及びNO等を反応ガスとして用いることができる。なお、基板600及び第1の絶縁層601としては上記実施の形態1の半導体記憶装置におけるトランジスタの基板及び絶縁層において適用可能な材料を用いることができる。
【0165】
第1の絶縁層601上に半導体層を形成する。半導体層としては、上記実施の形態1の半導体記憶装置におけるトランジスタの半導体層に適用可能な材料を用いることができる。半導体層は、非晶質でもよいし、結晶でもよいし、微結晶でもよい。単結晶又は多結晶のように結晶性を有する半導体層を用いれば、トランジスタの移動度を高めることができるため、好ましい。
【0166】
このように形成された半導体層を所定の形状に加工し、島状である半導体層を形成する。このとき、本発明の半導体記憶装置におけるトランジスタのように、しきい値に差を設けるために半導体層の膜厚に差を設けたトランジスタを複数形成する場合には、図13(A)のように例えば膜厚がd1である第1の半導体層602と、膜厚がd1より厚い膜厚のd2である第2の半導体層603をそれぞれ形成する。また、加工には、フォトリソグラフィ法によって形成されたマスクを用いたエッチングを用いる。エッチングには、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を適用することができる。以上の方法を用いて、第1の半導体層602及び第2の半導体層603は、それぞれ異なる所定の膜厚になるように加工する。なお半導体層は、結晶化を行ってもよい。結晶化する方法としては上記実施の形態1の半導体記憶装置におけるトランジスタの半導体層において適用可能な方法を用いることができる。
【0167】
第1の半導体層602及び第2の半導体層603を覆うようにゲート絶縁膜604を形成する。なおゲート絶縁膜604としては上記実施の形態1の半導体記憶装置のトランジスタにおけるゲート絶縁層において適用可能な材料を用いることができる。
【0168】
次に図13(B)に示すように、ゲート絶縁膜604上に第1のゲート電極、第2のゲート電極、及びゲート配線として機能する第1の導電層605乃至第3の導電層607を形成する。導電層の加工は、フォトリソグラフィ法によって形成されたマスクを用いて、エッチングにより行う。また、エッチングには、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を適用することができる。第1の導電層605乃至第3の導電層607としては、実施の形態1の半導体記憶装置におけるトランジスタの配線において適用可能な材料を用いることができる。
【0169】
ここで、第1の半導体層602及び第2の半導体層603に不純物元素を添加する。Nチャネル型トランジスタとする場合、不純物元素にはリン(P)を用い、Pチャネル型トランジスタとする場合、不純物元素にはボロン(B)を用いるとよい。これにより、第1の半導体層602及び第2の半導体層603に不純物領域608乃至不純物領域611が形成される。このとき不純物領域608乃至不純物領域611には、高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域が形成することも可能である。この低濃度不純物領域により、ゲート長が狭くなるにつれて生じる短チャネル効果を防止することができる。
【0170】
不純物元素を添加した後、必要に応じて加熱処理を行い、不純物元素の活性化及び半導体層の表面改善を図ることができる。加熱処理には、結晶化と同様の方法を用いることができる。
【0171】
次に図13(C)に示すように、半導体層やゲート電極を覆い、層間膜として機能する第2の絶縁層612を形成する。層間膜としては、有機材料または無機材料から選ばれた材料を適用することができ、単層構造又は積層構造とすることができる。本実施の形態では積層構造とする。
【0172】
次に図13(D)に示すように、第2の絶縁層612、ゲート絶縁膜604を貫通するコンタクトホールを形成し、コンタクトホールを充填するように第1の配線613及び第2の配線614を形成する。第1の配線613及び第2の配線614は、第1の半導体層602及び第2の半導体層603における不純物領域608乃至不純物領域611に接続している。この配線がソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0173】
以上のように第1のトランジスタ617、第2のトランジスタ618を形成することができる。なお、第1のトランジスタ617は、第1のインバータ回路105を構成する一のトランジスタに相当し、第2のトランジスタ618は、第2のインバータ回路106を構成する他のトランジスタに相当する。
【0174】
また、本発明の半導体装置における半導体記憶装置は、ガラス基板やプラスチック基板上にトランジスタを形成することで作製することができる。また、2つのインバータ回路のNチャネル型トランジスタの半導体層の膜厚を変えてそれぞれ形成することにより、しきい値電圧に差を設けることができる。
【0175】
なお、本実施の形態は上記実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0176】
(実施の形態5)
本発明の半導体記憶装置を実装しうる半導体装置として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら半導体装置の具体例を図14に示す。
【0177】
図14(A)は携帯情報端末(所謂、PDA:Personal Digital Assistant)であり、本体6001、表示部6002、操作キー6003、モデム6004等を有し、本体6001が有するメモリとして本発明の半導体装置が設けられている。本発明の半導体装置により、携帯情報端末の処理速度の高速化を図ることができる。
【0178】
図14(B)は携帯電話機であり、本体6101、表示部6102、音声入力部6103、音声出力部6104、操作キー6105、外部接続ポート6106、アンテナ6107等を有し、本体6101が有するメモリとして本発明の半導体装置が設けられている。本発明の半導体装置により、携帯電話機の処理速度の高速化を図ることができる。
【0179】
図14(C)は電子カードであり、本体6201、表示部6202、接続端子6203等を有し、本体6201が有するメモリ素子として本発明の半導体装置が設けられている。本発明の半導体装置により、電子カードの処理速度の高速化を図ることができる。なお、図14(C)では接触型の電子カードを示しているが、非接触型の電子カードや、接触型と非接触型の機能を併せ持った電子カードにも、本発明の半導体装置を用いることができる。
【0180】
図14(D)は電子ブックであり、本体6301、表示部6302、操作キー6303等を有し、本体6301が有するメモリとして本発明の半導体装置が設けられている。また電子ブックには、モデムが本体6301に内蔵されていてもよい。本発明の半導体装置により、電子ブックの処理速度の高速化を図ることができる。
【0181】
図14(E)はコンピュータであり、本体6401、表示部6402、キーボード6403、タッチパッド6404、外部接続ポート6405、電源プラグ6406等を有し、本体6401が有するメモリ素子として本発明の半導体装置が設けられている。本発明の半導体装置により、コンピュータの処理速度の高速化を図ることができる。
【0182】
本実施の形態で説明したように、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の半導体装置に用いることが可能である。なお、本実施の形態の半導体装置は、実施の形態に示したいずれの構成及びその作製方法とも組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置に適用可能なトランジスタの一例を示す断面図である。
【図3】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置に適用可能なトランジスタの一例を示す断面図である。
【図4】本発明の半導体記憶装置に適用可能なトランジスタにおける半導体層の膜厚の違いによるのしきい値電圧を示す図である。
【図5】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の別の構成を示す回路図である。
【図6】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の動作を示すタイミングチャート図である。
【図7】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の別の構成を示す回路図である。
【図8】実施の形態2における本発明の半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態2における本発明の半導体記憶装置に適用可能なトランジスタの一例を示す断面図である。
【図10】実施の形態2における本発明の半導体記憶装置に適用可能なトランジスタの一例を示す断面図である。
【図11】実施の形態3における本発明の半導体記憶装置を備えた半導体装置の構成を示すブロック図である。
【図12】従来の半導体装置における動作を示すタイミングチャート図である。
【図13】実施の形態4における本発明の半導体記憶装置の作製工程を示す断面図である。
【図14】実施の形態5における本発明の半導体記憶装置を備えた半導体装置の使用例を示す図である。
【図15】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図16】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の構成を示す図である。
【図17】実施の形態1における本発明の半導体記憶装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0184】
100 初期化用メモリセル
101 第5のトランジスタ
102 第6のトランジスタ
103 第7のトランジスタ
104 第8のトランジスタ
105 第1のインバータ回路
106 第2のインバータ回路
107 第1のトランジスタ
108 第2のトランジスタ
109 第3のトランジスタ
110 第4のトランジスタ
111 ワード線
112 電源線
113 グランド線
114 ワード線
115 第1のデータ線
116 第2のデータ線
117 第3のデータ線
118 第1のノード
119 第2のノード
120 第9のトランジスタ
121 抵抗素子
122 容量素子
123 配線
124 データ保持用メモリセル
125 メモリセル群
200 メモリセル
201 第5のトランジスタ
202 第6のトランジスタ
203 第7のトランジスタ
204 第8のトランジスタ
205 第1のインバータ回路
206 第2のインバータ回路
207 第1のトランジスタ
208 第2のトランジスタ
209 第3のトランジスタ
210 第4のトランジスタ
211 ワード線
212 電源線
213 グランド線
214 ワード線
215 第1のデータ線
216 第2のデータ線
217 第3のデータ線
218 第1のノード
219 第2のノード
220 バイアス回路
300 信号
301 電源電圧
302 信号
303 信号
304 信号
400 イベントタイミング
401 イベントタイミング
600 基板
601 第1の絶縁層
602 第1の半導体層
603 第2の半導体層
604 ゲート絶縁膜
605 第1の導電層
606 第2の導電層
607 第3の導電層
608 不純物領域
609 不純物領域
610 不純物領域
611 不純物領域
612 第2の絶縁層
613 第1の配線
614 第2の配線
615 第3の配線
616 第4の配線
617 第1のトランジスタ
618 第2のトランジスタ
700 信号
701 信号
702 信号
703 信号
704 イベントタイミング
705 イベントタイミング
800 特性曲線
801 特性曲線
900 演算部
901 メインメモリ
902 キャッシュメモリ
903 メモリライン
904 タグメモリ
905 データメモリ
906 CPU
907 バリッドビット
1000 基板
1001 半導体層
1002 絶縁層
1003 第1の不純物領域
1004 第2の不純物領域
1005 ゲート絶縁層
1006 ゲート電極
1010 第1の配線
1011 第2の配線
2000 基板
2001 ウェル領域
2002 第1の不純物領域
2003 第2の不純物領域
2004 第1の絶縁層
2005 第2の絶縁層
2006 ゲート絶縁層
2007 ゲート電極
2008 絶縁層
2009 第1の配線
2010 第2の配線
2011 基板
2012 絶縁層
3000 基板
3001 ゲート電極
3002 第1のゲート絶縁層
3003 半導体層
3004 第1の不純物領域
3005 第2の不純物領域
3006 第2のゲート絶縁層
3007 ゲート電極
3009 絶縁層
3010 第1の配線
3011 第2の配線
4000 基板
4001 ウェル領域
4002 第1の不純物領域
4003 第2の不純物領域
4004 第3の不純物領域
4005 第1の絶縁層
4006 第2の絶縁層
4007 ゲート絶縁層
4008 ゲート電極
4009 絶縁層
4010 第1の配線
4011 第2の配線
4012 第3の配線
5000 基板
5001 第1の不純物領域
5002 絶縁層
5003 半導体層
5004 ウェル領域
5005 第2の不純物領域
5006 第3の不純物領域
5007 第3の絶縁層
5008 第4の絶縁層
5009 ゲート絶縁層
5010 ゲート電極
5011 絶縁層
5012 第1の配線
5013 第2の配線
5014 第3の絶縁層
5015 第4の絶縁層
6001 本体
6002 表示部
6003 操作キー
6004 モデム
6101 本体
6102 表示部
6103 音声入力部
6104 音声出力部
6105 操作キー
6106 外部接続ポート
6107 アンテナ
6201 本体
6202 表示部
6203 接続端子
6301 本体
6302 表示部
6303 操作キー
6401 本体
6402 表示部
6403 キーボード
6404 タッチパッド
6405 外部接続ポート
6406 電源プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保持する機能を有する複数のデータ保持用メモリセルと、
前記複数のデータ保持用メモリセルを初期化する機能を有する初期化用メモリセルと、
第1のデータ線と、
第2のデータ線と、
第3のデータ線と
第1のワード線と、
第2のワード線と、
電源線と、
グランド線と、を有し、
前記データ保持用メモリセル及び前記初期化用メモリセルは、Pチャネル型である第1のトランジスタ及びNチャネル型である第2のトランジスタを有する第1のインバータ回路と、
Pチャネル型である第3のトランジスタ及びNチャネル型である第4のトランジスタを有する第2のインバータ回路と、
ゲート端子が前記第1のワード線に接続され、第1端子が前記第1のデータ線に接続され、第2端子が前記第1のインバータ回路の出力端子に接続された第5のトランジスタと、
ゲート端子が前記第1のワード線に接続され、第1端子が前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第2端子が前記第2のデータ線に接続された第6のトランジスタと、
ゲート端子が前記第1のインバータ回路の入力端子及び前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第1端子が前記グランド線に接続された第7のトランジスタと、
ゲート端子が前記第2のワード線に接続され、第1端子が前記第7のトランジスタの第2端子に接続され、第2端子が前記第3のデータ線に接続された第8のトランジスタと、を有し、
前記第1のインバータ回路は、入力端子が前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、出力端子が前記第2のインバータ回路の入力端子に接続され、第1の電位供給端子が前記電源線に接続され、第2の電位供給端子が前記グランド線に接続され、
前記第2のインバータ回路は、第1の電位供給端子が前記電源線に接続され、第2の電位供給端子が前記グランド線に接続され、
前記初期化用メモリセルにおいて、前記第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、前記第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さいことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
抵抗素子と、
容量素子と
ゲート端子が前記抵抗素子を介して前記電源線、且つ前記容量素子を介して前記グランド線に接続され、第1端子が前記第1のワード線に接続され、第2端子が前記グランド線に接続された第9のトランジスタと、を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
データを保持する機能を有する複数のデータ保持用メモリセルと、
前記複数のデータ保持用メモリセルを初期化する機能を有する初期化用メモリセルと、
第1のデータ線と、
第2のデータ線と、
第3のデータ線と
第1のワード線と、
第2のワード線と、
電源線と、
グランド線と、を有し、
前記データ保持用メモリセル及び前記初期化用メモリセルは、Pチャネル型である第1のトランジスタ及びNチャネル型である第2のトランジスタを有する第1のインバータ回路と、
Pチャネル型である第3のトランジスタ及びNチャネル型である第4のトランジスタを有する第2のインバータ回路と、
ゲート端子が前記第1のワード線に接続され、第1端子が前記第1のデータ線に接続され、第2端子が前記第1のインバータ回路の出力端子に接続された第5のトランジスタと、
ゲート端子が前記第1のワード線に接続され、第1端子が前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第2端子が前記第2のデータ線に接続された第6のトランジスタと、
ゲート端子が前記第1のインバータ回路の入力端子及び前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第1端子が前記電源線に接続された第7のトランジスタと、
ゲート端子が前記第2のワード線に接続され、第1端子が前記第7のトランジスタの第2端子に接続され、第2端子が前記第3のデータ線に接続された第8のトランジスタと、を有し、
前記第1のインバータ回路は、入力端子が前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、出力端子が前記第2のインバータ回路の入力端子に接続され、第1の電位供給端子が前記電源線に接続され、第2の電位供給端子が前記グランド線に接続され、
前記第2のインバータ回路は、第1の電位供給端子が前記電源線に接続され、第2の電位供給端子が前記グランド線に接続され、
前記初期化用メモリセルにおいて、前記第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、前記第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さいことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
請求項3において、
抵抗素子と、
容量素子と
ゲート端子が前記抵抗素子を介して前記電源線、且つ前記容量素子を介して前記グランド線に接続され、第1端子が前記第1のワード線に接続され、第2端子が前記電源線に接続された第9のトランジスタと、を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項5】
データを保持する機能を有する複数のデータ保持用メモリセルと、
前記複数のデータ保持用メモリセルを初期化する機能を有する初期化用メモリセルと、
第1のデータ線と、
第2のデータ線と、
ワード線と、
電源線と、
グランド線と、を有し、
前記データ保持用メモリセル及び前記初期化用メモリセルは、Pチャネル型である第1のトランジスタ及びNチャネル型である第2のトランジスタを有する第1のインバータ回路と、
Pチャネル型である第3のトランジスタ及びNチャネル型である第4のトランジスタを有する第2のインバータ回路と、
ゲート端子が前記ワード線に接続され、第1端子が前記第1のデータ線に接続され、第2端子が前記第1のインバータ回路の出力端子に接続された第5のトランジスタと、
ゲート端子が前記ワード線に接続され、第1端子が前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、第2端子が前記第2のデータ線に接続された第6のトランジスタと、を有し、
前記第1のインバータ回路は、入力端子が前記第2のインバータ回路の出力端子に接続され、出力端子が前記第2のインバータ回路の入力端子に接続され、第1の電位供給端子が前記電源線に接続され、第2の電位供給端子が前記グランド線に接続され、
前記第2のインバータ回路は、第1の電位供給端子が前記電源線に接続され、第2の電位供給端子が前記グランド線に接続され、
前記初期化用メモリセルにおいて、前記第3のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、前記第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さいことを特徴とする半導体記憶装置
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記第1のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、前記第1のトランジスタのチャネル長の1/4以上1/2以下であり、
前記第3のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、前記第3のトランジスタのチャネル長の1/2以上であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、前記第2のトランジスタのチャネル長の1/2以上であり、
前記第4のトランジスタにおける半導体層の膜厚は、前記第4のトランジスタのチャネル長の1/4以上1/2以下であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記第1のトランジスタ乃至前記第4のトランジスタのいずれかは、該トランジスタのしきい値電圧を制御するための電圧が入力される基板端子を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
前記第2のトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、前記第4のトランジスタのしきい値電圧の絶対値より小さいことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の半導体記憶装置からなる第1の記憶装置と、
演算部を有するCPUと、
第2の記憶装置と、を有し、
前記第2の記憶装置は、主となる記憶装置であり、
前記第1の記憶装置は、副となる記憶装置であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−32387(P2009−32387A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166733(P2008−166733)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】