半導体集積回路装置の製造方法
【課題】最上層配線はAl膜厚が厚いため、レジストの膜厚も下層に比べて厚く、エッチング時間も長いためAl側壁へのポリマ堆積が他製品に比べても非常に多い。Alエッチ後のポリマ剥離液として使用している標準的なフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液の処理時間を単に延長するだけでは、強固なポリマ膜等に対しては完全に除去することができていないことが明らかとなった。
【解決手段】本願発明はフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液(弗化物塩添加有機溶剤水溶液)が一定の水希釈領域(高Alエッチ・レート領域)において、アルミニウム系の金属又は合金に対して、著しく大きなエッチング速度を呈する性質を利用してアルミニウム系の配線をドライ・エッチングする際に形成される側壁ポリマをリフトオフさせるために、ウエハのデバイス面へのポリマ剥離液および純水等の洗浄液の供給を交互に繰り返すものである。
【解決手段】本願発明はフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液(弗化物塩添加有機溶剤水溶液)が一定の水希釈領域(高Alエッチ・レート領域)において、アルミニウム系の金属又は合金に対して、著しく大きなエッチング速度を呈する性質を利用してアルミニウム系の配線をドライ・エッチングする際に形成される側壁ポリマをリフトオフさせるために、ウエハのデバイス面へのポリマ剥離液および純水等の洗浄液の供給を交互に繰り返すものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるアルミニウム配線形成技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2006−66533号公報(特許文献1)または米国特許公開2006−0046944号公報(特許文献2)には、アルミニウムのドライ・エッチング後のポリマ除去用として弗素化合物を含むエッチング液が開示されている。
【0003】
日本特開2007−298930号公報(特許文献3)には、アルミニウムのドライ・エッチング後のポリマ除去用としてフッ化アンモニウムを含むエッチング液が開示されている。
【0004】
日本特開2006−324358号公報(特許文献4)には、ドライ・エッチング後のレジスト除去プロセスに関して、オゾン水による処理と有機溶剤による処理を交互に繰り返すことが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−66533号公報
【特許文献2】米国特許公開2006−0046944号公報
【特許文献3】特開2007−298930号公報
【特許文献4】特開2006−324358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
汎用マイコンやメモリなどに用いられるAl配線の最上層は、ボンディング・パッドや電源配線に使用されることが多いため、下層に比べて膜厚が厚くなっている(850nm以上)。更に、近年チップ所得数増加のため上層配線の狭ピッチ化も進んでおり、厚膜Al配線の加工技術も年々難しくなってきている。130nmプロセス・ノードの一部製品では、チップ面積縮小,最上層配線の低抵抗化のため最上層配線の狭ピッチ化(0.8マイクロ・メートル)とAl厚膜化(Al厚さ1.0マイクロ・メートル)を実施している。最上層配線はAl膜厚が厚いため、レジストの膜厚も下層に比べて厚く(1.1マイクロ・メートル以上)、エッチング時間も長いためAl側壁へのポリマ堆積が他製品に比べても非常に多い。また、Cu製品などのボンディング・パッド層に使用しているAl膜厚も厚いため同様の問題が生じている。
【0007】
Alエッチ後のポリマ剥離液として使用している標準的なフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液の処理時間を延長することも検討したが、より強固なポリマ膜等に対しては完全に除去することができていないことが明らかとなった。また、信頼性を問われないボンディング・パッド工程などは比較的大きな問題は生じないが、電源配線など信頼性を重視される工程に関してはポリマ残渣物が残っていると腐食や信頼性の低下が懸念される。そこで、本願発明者らは、既存の薬液を用いて除去性を上げるためフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液のアルミニウム・エッチング特性に着目し、新規な洗浄方法を開発した。
【0008】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、本願発明はフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液(弗化物塩添加有機溶剤水溶液)が一定の水希釈領域(高Alエッチ・レート領域)において、アルミニウム系の金属又は合金に対して、著しく大きなエッチング速度(ポリマ剥離液自体の1000倍程度)を呈する性質を利用してアルミニウム系の配線をドライ・エッチングする際に形成される側壁ポリマをリフトオフさせるために、ウエハのデバイス面へのポリマ剥離液および純水等の洗浄液の供給を交互に繰り返すものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、ウエハのデバイス面へのポリマ剥離液および純水等の洗浄液の供給を交互に繰り返すことによって、短時間、高Alエッチ・レート領域を通過させることができる。この通過の際に、ポリマ内側のアルミニウム系金属表面が速やかにエッチングされ、ポリマ部分を下地アルミニウム系金属表面から離脱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0015】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記ウエハの前記第1の主面に対して、アッシング処理を実行することによって、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記第1の金属膜パターンに対して、不導態化処理を実行する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、0.01重量%以上、5重量%未満の弗化物塩を含むポリマ除去液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、水を主要な成分とする洗浄液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記(e1)および(e2)を含むウエット処理サイクルを、繰り返し実行する工程。
【0016】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記下位工程(e1)の終了と、ほぼ同時に開始され、前記下位工程(e3)は、前記下位工程(e2)の終了と、ほぼ同時に開始される。
【0017】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ポリマ除去液を供給することなく実行される。
【0018】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の前記弗化物塩の含有量は、0.05重量%以上、2重量%未満である。
【0019】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、3回以上である。
【0020】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記弗化物塩は、弗化アンモニウムである。
【0021】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【0022】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【0023】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【0024】
10.前記1から4および6から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、4回以上である。
【0025】
11.前記1から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、枚葉処理で実行される。
【0026】
12.前記1から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、アルミニウム配線構造の最上層配線とパッド層を兼ねる。
【0027】
13.前記1から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、ダマシン配線構造の更に上方に設けられたパッド層である。
【0028】
14.前記1から13項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの上下には、前記第1の金属膜パターンよりも薄く、ほぼ同一の平面形状を有する上方および下方バリア・メタル膜が形成されておる。
【0029】
15.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、第1の水希釈領域でのアルミニウムに対するエッチング・レートが、前記第1の水希釈領域よりも高濃度の第2の水希釈領域および前記第1の水希釈領域よりも低濃度の第3の水希釈領域のアルミニウムに対するエッチング・レートと比較して、十分に高い薬液の前記第2の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記薬液の前記第3の水希釈領域又は水を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e4)前記下位工程(e3)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e5)前記下位工程(e4)の後、前記(e1)から(e4)を含むウエット処理サイクルを、再度、実行する工程;
(e6)前記下位工程(e5)の後、前記(e1)から(e3)を含む処理を、更に、実行する工程。
【0030】
16.前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、3回以上である。
【0031】
17.前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、4回以上である。
【0032】
18.前記15から17項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【0033】
19.前記15から18項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【0034】
20.前記15から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【0035】
21.前記15から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の弗化物塩の含有量は、0.05重量%以上、2重量%未満である。
【0036】
22.前記21項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記弗化物塩は、弗化アンモニウムである。
【0037】
23.前記15から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、枚葉処理で実行される。
【0038】
24.前記15から23項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、アルミニウム配線構造の最上層配線とパッド層を兼ねる。
【0039】
25.前記15から23項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、ダマシン配線構造の更に上方に設けられたパッド層である。
【0040】
26.前記15から25項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの上下には、前記第1の金属膜パターンよりも薄く、ほぼ同一の平面形状を有する上方および下方バリア・メタル膜が形成されておる。
【0041】
27.前記15から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間は、第2の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間と比較して十分に短い。
【0042】
28.前記15から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間は、第2の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間の5%未満である。
【0043】
29.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、第1の水希釈領域でのアルミニウムに対するエッチング・レートが、前記第1の水希釈領域よりも高濃度の第2の水希釈領域および前記第1の水希釈領域よりも低濃度の第3の水希釈領域のアルミニウムに対するエッチング・レートと比較して、十分に高い薬液を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、水希釈および前記薬液の再供給を繰り返すことによって、前記薬液の希釈濃度が前記第1の水希釈領域を複数回するように、前記ウエット処理を実行する工程。
【0044】
30.前記29項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e1)における前記繰り返し回数は、3回以上である。
【0045】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0046】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0047】
また、「アルミニウム配線」といっても、アルミニウム層またはアルミニウムを主要な成分とする層のみから構成されているわけではなく、一般に上下にバリア・メタル層その他を伴っている。更に、「アルミニウム層」といっても、純粋なアルミニウム層ではなく、アルミニウムを主要な成分とするアルミニウム合金であり、一般に少量の(たとえば0.5から4重量%程度)銅(エレクトロ・マイグレーション対策)やシリコン(シリコン基板へのコンタクト対策として、たとえば0.5から2重量%程度)のいずれか、又は、双方を含む。また、その他の添加物(たとえば、微量のチタン、パラジュウムその他)も加えられる場合がある。以下の実施形態で主に使用するものは、具体的には高純度アルミニウム99重量%、銅1重量%のものである(タングステン・プラグを使用しているためシリコンは添加していない)。ドライエッチング性を確保するためには、銅の添加量は0.5から1.5重量%の範囲が好適である。
【0048】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0049】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0050】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコン・ウエハを指すが、エピタキシャル・ウエハ、SOIウエハ等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ、薄膜トランジスタ等に使用するガラス基板ウエハ等も含むことは言うまでもない。以下の実施形態では、主にP型単結晶シリコン・ウエハを使用するが、必要に応じて、その他の種類の基板でもよいし、N型の基板でもよい。
【0051】
6.「ポリマ除去液」は、アルミニウム配線のパターニング等の異方性ドライ・エッチングの際にアルミニウム膜の側壁等に形成される主に有機系の堆積物(一般に「ポリマ」という。広くドライ・エッチングに続くアッシング等の後に残存するレジスト残渣等を含む)をウエット処理で除去するための処理液である。ポリマ除去液の種類としては、有機系と無機系がある。代表的な「無機系ポリマ除去液」としては、硫酸と過酸化水素等を含有する水溶液がある。有機系ポリマ除去液としては、以前からバッチ処理で多用されたアミン、水および有機溶剤ベースの「アミン系ポリマ除去液」があるが、摂氏70度前後の加温が必要な上に、数十分程度の長時間処理のため、現在はあまり使用されなくなっている。
【0052】
他の有機系ポリマ除去液としては、本願(以下の実施形態)で主に説明するジメチル・ホルムアミド(Dimethylformamide)等の水溶性有機溶剤水溶液(有機溶剤・水混和液)に弗化アンモニウム等の弗化物塩を微量添加した「弗化アンモニウム系ポリマ除去液(または弗化物塩添加水溶性有機溶剤系ポリマ除去液)」がある。典型的な弗化アンモニウム系ポリマ除去液の組成(以下の実施形態で主に使用するもの)としては、ジメチル・ホルムアミド69重量%程度、水30重量%程度、弗化アンモニウム1重量%弱(他の弗化物塩も含めて好適な範囲としては、たとえば0.01重量%以上、5重量%未満を例示できるが、量産上、特に好適な範囲としては、0.05重量%以上、2重量%未満を例示することができる)、残りはその他の微量添加物等を例示することができる。
【0053】
また、水溶性有機溶剤としては、ジメチル・ホルムアミドの外、ジメチル・スルホキシド(Dimethylsulfoxide)、メチル・ピロリドン(Methylpyrrolidone)、更にはピリジン(Pyridine)等の環状アミン類、ジエチレン・グリコール・モノメチル・エーテル等のエーテル類、エチレングリコール等のアルコール類が例示できる。水溶性有機溶剤としては、ジメチル・ホルムアミドを含む前記各種のもの、およびその他の水溶性有機溶剤の内、一つ又は複数の溶剤を加えてもよい。
【0054】
更に、弗化物塩(更に広くは弗素化合物)としては、弗化水素酸とアンモニアまたは有機アミンが反応して生成するもの等であり、弗化アンモニウムの外、たとえば、メチル・アミン弗化水素塩、エチル・アミン弗化物塩、プロピル・アミン弗化物塩、弗化テトラ・メチル・アンモニウム、弗化テトラ・エチル・アンモニウム、エタノール・アミン弗化水素塩、メチル・エタノール・アミン弗化水素塩、ジメチル・エタノールアミン弗化水素塩、トリエチレン・ジアミン弗化水素塩等が例示できる。これらのうち、弗化アンモニウムはレジスト残渣およびポリマ残渣の除去能力が高く、金属不純物含有量が低いものが容易に入手可能であり、もっとも好適である。また、弗化アンモニウムを主に添加して、それ以外の前記した弗化物塩の内、一つ又は複数のものを更に添加してもよい。もちろん、弗化アンモニウムを含む前記した弗化物塩の内の一つ又は複数のものを添加してもよい。
【0055】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0056】
1.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセス等の説明(主に図1から図7)
図1は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスを説明する装置模式正断面図である(図1(a)は薬液処理時であり、図1(b)は純水リンス時である)。図2は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。図3は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(基本形式)である。図4は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(オーバラップ方式)である。図5は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(無供給期間挿入方式)である。図6は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用する剥離液のアルミニウム膜エッチング特性図である。図7は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスの初期不良モードの発生率と比較例の初期不良モードの発生率を対比した特性プロット図である。これらに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセス等を説明する。
【0057】
まず、ポリマ除去プロセス98(図2)の流れを説明する。図1((a)、(b))および図2に示すように、被処理ウエハ1の裏面1b(第2の主面)を回転ステージ41に真空吸着して(処理準備工程91)、600回/分程度の回転速度で自転させながら、ウエハ1の表面1a(第1の主面またはデバイス面)に対して、薬液ノズル42からポリマ剥離液44を30秒程度供給する(剥離液処理ステップ92)。続けて、600回/分程度の回転速度で自転させながら(前のステップから回転速度を維持するのが好適である)、薬液ノズル42からのポリマ剥離液44を停止して、水ノズル43から純水等の洗浄水45の供給を開始して、5秒程度継続する(純水処理ステップ93)。この剥離液処理92と純水処理93でウエット処理サイクル96を構成する。このサイクルを最初の剥離液処理92および純水処理93を含めて、5回程度繰り返し実行する。なお、最後の純水処理93は、後の純水リンスと兼ねることで省略してもよい。
【0058】
このサイクル完了後に、純水リンス・乾燥工程97に移行する。最後の純水処理93に続けて、600回/分程度の回転速度で自転させながら(前のステップから回転速度を維持するのが好適である)、水ノズル43から純水等の洗浄水45の供給を30秒程度継続する(純水リンス・ステップ94)。その後、継続して水ノズル43から純水等の洗浄水45の供給を停止して、回転ステージ41の回転数を1800回/分程度の回転速度に上げて、ウエハ1をスピン乾燥する(スピン乾燥ステップ95)。この場合も、前のステップから回転速度を維持して、そのまま1800回/分程度の回転速度まで回転速度を上げるのが好適である。
【0059】
なお、薬液44と洗浄液45の切り替えのタイミングは、通常は図3に示すように、Kを2,3,4等の自然数とするとき、(K−1)サイクルからKサイクルへの切り替え時(T1)であれば、薬液44の吐出を開始すると同時に、洗浄液(純水等)45の吐出を停止する。一方、Kサイクル途中の切り替え時(T2)であれば、薬液44の吐出を停止すると同時に、洗浄液(純水等)45の吐出を開始する。
【0060】
しかし、必要に応じて図4に示すように、両方の液体(薬液44および洗浄液45)の吐出期間を若干(洗浄液45の吐出時間に比較して、短い時間が好適である)、オーバラップさせるようにすることもできる。この場合は、アルミニウムのエッチング量が増加する。
【0061】
同様に、必要に応じて図5に示すように、両方の液体(薬液44および洗浄液45)の吐出期間の間に若干、間隔を持たせるようにすることもできる。この場合は、アルミニウムのエッチング量が減少する。
【0062】
すなわち、薬液44および洗浄液45間の切り替えは、実質的に同時であればよい。これは、図6を用いて、以下のように説明できる。弗化アンモニウム系ポリマ除去液は、水希釈度0または低希釈の状態(図中のL点すなわち除去液100%の状態または第2の水希釈領域R2)では、有機溶剤がアルミニウム表面を覆っているため、弗素イオンによるアルミニウムの溶解反応は、ほとんど進行しない状態にある。一方、純水の状態Wまたは低濃度領域R3(高希釈領域または第3の水希釈領域)では、有機溶剤も少ないが、弗素イオンも非常に少ないので、弗素イオンによるアルミニウムの溶解反応は、ほとんど進行しない状態にある。しかし、中間希釈領域R1(第1の水希釈領域またはアルミニウム高エッチング・レート領域)では、有機溶剤の被覆効果が急速に弱まる一方、弗素イオンの濃度が適度に高いので、弗素イオンによるアルミニウムの溶解反応が急速に進行する(除去液100%の時の数百倍から1000倍程度)。したがって、薬液44および洗浄液45間の切り替えの際に、中間希釈領域R1を通過する時間(すなわち、第1の水希釈領域を用いたウエット処理時間または遷移処理時間)が長いほど、アルミニウムの溶解反応が進行すると考えられる。したがって、遷移処理時間は第2の水希釈領域R2(高濃度領域)を使用して処理する時間、すなわち、高濃度処理時間と比較して、十分に短時間である必要がある。たとえば、遷移処理時間は高濃度処理時間の5%未満が好適である。
【0063】
なお、ここに説明したポリマ除去プロセスは以下のようにして進行すると考えられる。ポリマは、エッチング・ガスから生成する側壁保護膜(有機樹脂)を主体とし、それとアルミニウム等の金属または金属を含むメタル化合物(エッチングガスやレジスト成分との化合物を含む)とレジスト残渣等の樹脂成分からなる組成物と考えられる。まず、有機溶剤がポリマの樹脂成分を溶解して、ポリマ剥離液をポリマ内部へ浸透させる。ポリマ剥離液中の弗素含有成分とメタル化合物が反応して、水溶性のAlF(有機溶剤には溶けない)を生成する。これにより、ポリマが膨潤する。その後の水洗でAlFが溶解する。薬液44および洗浄液45間の切り替え時に通過する高アルミニウム・エッチング領域の作用により、ポリマの下地のアルミニウム層表面が若干エッチングされ、残留するポリマを下地からリフト・オフする結果となる。この繰り返しにより、完全にポリマが除去される。このメカニズムは、一定以上の厚みを持つポリマでは、従来の除去方法で単に時間を延長しても完全にとることは困難であり、特に有効である。
【0064】
また、このようにポリマの除去がスムースに進行する理由は、表面のアルミニウム含有ポリマの一部が水溶性のAlFとなり、その後の水洗で未反応ポリマ表面を露出させることができることに起因すると考えられる。
【0065】
また、各ステップの両方の液体の温度は、通常、室温(摂氏25度程度)であり、摂氏20度から40度程度が好適である。更に、単一の剥離液処理ステップ92の継続時間は、通常、20秒から60秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、300から1000回/分程度が好適である)。一方、単一の純水処理ステップ93の継続時間は、通常、3秒から15秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、300から1000回/分程度が好適である)。なお、純水リンス・ステップ94の継続時間は、通常、20秒から50秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、300から1000回/分程度が好適である)。これと同様に、スピン乾燥ステップ95の継続時間は、通常、20秒から50秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、1500から2500回/分程度が好適である)。
【0066】
また、ここに説明したポリマ除去プロセスは、薬液の特定濃度(アルミニウム高エッチング・レート領域)を通過する瞬間を利用しているので、枚葉処理に特に適合している。バッチ処理では、特定濃度を通過する時間を短時間に制御することが、枚葉に比較してより困難と考えられる。
【0067】
図7に、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスの「初期不良モードの発生率」、すなわち、ワイブル・プロット(Weibull Plot)の累積故障率に締める初期不良モード(いわゆるワイブル分布の初期故障とは異なり、ポリマ等の残存に起因し、比較的早期に発生する特定故障モードを指す)の割合と、比較例(図2の比較例)の初期不良モードの発生率を対比した特性プロットする。ここで、「N」は図2のウエット処理サイクル96の繰り返し回数である。Nの増加によって、初期不良モード発生率が急速に低下することがわかる。繰り返し回数Nは、理論的には多いほどポリマ除去効果はあるが、配線へのダメージを考慮すると、実用的には3回以上、30回程度まで有効である。更に、除去率および時間的な効率を考慮すると、4回以上、20回未満が特に量産工程に適合している。
【0068】
ここに説明したポリマ除去プロセスは、配線のアルミニウムを主要な成分とする層の厚さが850nm以上の場合に特に有効である。それ以下の場合にも、有効であることは言うまでもない。
【0069】
2.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスの概要ならびに、それに使用する装置の説明(主に図8から図11)
図8は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。図9は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用するウエット処理装置の模式上面図である。図10は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチング及びアッシング装置の模式上面図である。図11は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチングの模式正断面図である。これらに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスの概要ならびに、それに使用する装置を説明する。
【0070】
図8に示すように、アルミニウム配線パターニング・プロセス100は、通常のリソグラフィにより、ウエハ1のデバイス面1a上にレジスト膜パターンを形成したものを図10に示すような、エッチング装置55に受け入れるところから始まる。図10に示すように、ウエハ1はフープ48(密閉ウエハ収納容器)に通常、複数枚収容されて、エッチング装置55のロードポートにセットされる。その後、ウエハ1は大気圧前室56にある大気搬送ロボットにより、ロード・ロック室57を介して、真空搬送室58に搬入される。そこで、真空搬送ロボットによって、複数あるいずれかのエッチング処理室59a,59bに導入される。そこで、ドライ・エッチング処理101(図8)が実行される。その後、真空搬送ロボットによって、複数あるいずれかのアッシング処理室60a,60bに導入される。そこで、アッシング処理102(図8)が実行され、レジスト膜パターンがほぼ全部除去される。その後、真空搬送ロボットによって、ロード・ロック室57を介して、大気圧前室56に搬出される。その後、大気搬送ロボットにより、通常、元のフープ48に戻される。
【0071】
先のエッチング処理室59a,59bの構造を簡単に説明する。ここでは、一例として、ECR(Electron Cyclotoron Resonance)型のドライ・エッチング室を説明する。図11に示すように、ウエハ1はウエハ・ステージ62(下部電極)上にデバイス面1aを上にして、セットされる。下部電極62には、高周波電力64がバイアス・コンデンサ63を介して供給される。上方の磁場発生ソレノイド65とマイクロ波ソース66によってECRプラズマ励起機構が構成されている。なお、エッチング装置は、ECR型に限らず、平行平板型でも、ICP(Inductively Coupled Plasma)型装置であってもよい。
【0072】
アッシング処理102(図8)が完了したウエハ1を収納したフープ48は、ポリマ除去処理98(図8)のために、図9に示すポリマ除去・洗浄装置46に移送される。そこで、先ず、ロード・ポート47にウエハ1を収納したフープ48がセットされる。その後、前室49内に設置された前室搬送ロボット51によって、ウエハ1は前室49内に導入される。その後、ウエハ1はセンタ搬送ロボット52に受け渡され、複数あるいずれかの洗浄カップ53a,53b,53c,53dに導入される。そこで、図1に示すように、ウエット処理によるポリマ除去98(図8)が実行される。その後、センタ搬送ロボット52および前室搬送ロボット51によって、ウエハ1は前室49を経由して、通常、元のフープ48に戻される。
【0073】
続いて、図8に示すように、ウエハ1は他の気相処理室に導入されて、残留塩素等を除去、およびアルミニウム表面の安定化のための不動態化処理103、すなわち、気相プラズマ酸化処理(アッシング)が施される。
【0074】
3.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイス構造の一例の説明(主に図12)
図12は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスのデバイス構造の一例を示すデバイス断面図である。これに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイス構造の一例を説明する。
【0075】
ここでは、CMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)またはCMIS(Complemetary Metal insulator Semiconductor)半導体集積回路によるSOC(System−On−Chip)デバイスを例にとり説明する。
【0076】
図12に示すように、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスは、たとえば、P型の単結晶シリコン・ウエハ1(半導体基板)上に形成される。半導体基板1のデバイス面側には、NウエルNWおよびPウエルPWが形成されている。デバイス面はSTI(Shallow Trench Isolation)フィールド酸化膜STによってP型およびN型素子領域に分離されている。NウエルNWの表面領域にはP型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)すなわちP型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF1が形成されている。一方、PウエルPWの表面領域にはN型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)すなわちN型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF2が形成されている。P型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF1の両側のNウエルNWの表面領域には高濃度のP型ソール・ドレイン領域PSDが形成されている。一方、N型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF2の両側のPウエルPWの表面領域には高濃度のN型ソール・ドレイン領域NSDが形成されている。
【0077】
半導体基板1のデバイス面上には、ライナーSiN膜を介してHDP(High Density Plasma)CVDシリコン酸化膜(下層)およびTEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)を用いたプラズマCVDシリコン酸化膜(上層)等からなるプリメタル層間絶縁膜21が形成されている。このプリメタル層間絶縁膜21中にはタングステン・プラグCPが形成されている。
【0078】
プリメタル層間絶縁膜21上には、HDP−CVDシリコン酸化膜20(下層)すなわちHDP−USG(Undoped Silicate Glass)膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜17(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜22等からなる第1層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜13、銅を1重量%程度添加したアルミニウム膜14(以下組成は同じ)、上層バリア・メタル膜15、および最上層のプラズマSiON反射防止膜16等からなる第1層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜19およびタングステン・プラグ18等からなる第1層ビア配線が形成されている。なお、上記及び以下のHDP−CVDシリコン酸化膜は、オゾンTEOS−CVDによるシリコン酸化膜に置き換えられるが、微細プロセスでは、埋め込み性を考慮するとHDP−CVDシリコン酸化膜の方が有利である。
【0079】
同様に、キャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜22上には、HDP−CVDシリコン酸化膜30(下層)すなわちHDP−USG膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜27(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜等からなる第2層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜23、アルミニウム膜24、上層バリア・メタル膜25、および最上層のプラズマSiON反射防止膜26等からなる第2層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜29およびタングステン・プラグ28等からなる第2層ビア配線が形成されている。ここで途中の層は、これまでの層とほぼ同一であり、説明を省略して、第4層アルミニウム配線層を説明する。
【0080】
第3層アルミニウム配線層のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜上には、HDP−CVDシリコン酸化膜(下層)すなわちHDP−USG膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜等32からなる第4層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜23、アルミニウム膜24、上層バリア・メタル膜25、および最上層のプラズマSiON反射防止膜26等からなる第4層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜31およびタングステン・プラグ21等からなる第4層ビア配線が形成されている。
【0081】
同様に、キャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜32上には、HDP−CVDシリコン酸化膜40(下層)すなわちHDP−USG膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜37(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜2等からなる第2層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜33、アルミニウム膜34、上層バリア・メタル膜35、および最上層のプラズマSiON反射防止膜66等からなる第5層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜39およびタングステン・プラグ38等からなる第5層ビア配線が形成されている。
【0082】
更に、キャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜2上には、HDP−CVDシリコン酸化膜10、すなわちHDP−USG膜等からなる最上層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜3、アルミニウム膜4、上層バリア・メタル膜5、および最上層のプラズマSiON反射防止膜6等からなる最上層アルミニウム配線層(ボンディング・パッド層を兼ねる。配線幅たとえば0.4マイクロ・メータ)が形成されている。
【0083】
最上層アルミニウム配線層間絶縁膜10上には、無機ファイナル・パッシベーション膜11としてのプラズマCVD−SIN膜が形成されている。その上には、有機ファイナル・パッシベーション膜12としての塗布ポリイミド膜が形成されている。
【0084】
4.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フローの説明(主に図13から図29)
図13は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のプロセス・ブロック・フロー図である。図14は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜形成)である。図15は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜形成)である。図16は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜形成)である。図17は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜形成)である。図18は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜形成)である。図19は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜パターニング)である。図20は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図21は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図22は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図23は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図24は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜除去)である。図25は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(側壁ポリマ除去)である。図26は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(不導態化処理)である。図27は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(シリコン酸化膜HDPCVD工程)である。図28は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(プラズマ・シリコン・ナイトライド膜CVD工程)である。図29は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(ポリイミド・ファイナル・パッシベーション膜塗布工程)である。これらに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フローを説明する。
【0085】
図13に示すように、まず、第5層最上層層間絶縁膜2(キャップ層)を形成(図13の5層目層間絶縁膜完成工程111)して、同層までの配線構造を完成した後から説明する。次に、図14に示すように、第5層キャップ絶縁膜2上に下層バリア・メタル膜3をスパッタリング成膜によってウエハ1(図1又は図12)のデバイス面1aのほぼ全面に形成する(図13の下層バリア・メタル形成112)。この下層バリア・メタル膜3は、たとえば下層のチタン膜(たとえば膜厚15nm程度)と上層のTiN膜(たとえば膜厚20nm程度)等からなる。次に図15に示すように、下層バリア・メタル膜3上に銅を1重量%程度含むアルミニウム膜4(たとえば膜厚1000nm程度)をスパッタリング成膜によってウエハ1のデバイス面1aのほぼ全面に形成する(図13のアルミニウム膜形成113)。続いて、次に図16に示すように、アルミニウム膜4上に、上層バリア・メタル膜5をスパッタリング成膜によってウエハ1のデバイス面1aのほぼ全面に形成する(図13の上層バリア・メタル形成114)。この上層バリア・メタル膜5は、たとえばTiN膜(たとえば膜厚50nm程度)等からなる。次に、次に図17に示すように、上層バリア・メタル膜5上に、プラズマCVD法によりプラズマSiON膜6(たとえば膜厚30nm程度)を反射防止膜として形成する(図13の反射防止膜形成115)。続いて、次に図18に示すように、反射防止膜6上に、レジスト膜7を塗布する(図13のレジスト膜形成116)。このレジスト膜7を通常のリソグラフィにより、次に図19に示すように、パターニングする(図13のレジスト膜パターニング工程116)。
【0086】
続いて、図13のアルミニウム配線パターニング工程100に入る。先ず、アルミニウム配線エッチング工程101(図13)を説明する。まず、図20に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=8/180/120/20,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、オーバ・エッチングを含めて処理時間80秒程度である)により、反射防止膜6をパターニングする(図13の反射防止膜エッチング工程118)。続けて、図21に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=8/200/100/600,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、処理時間30秒程度である)により、上層バリア・メタル膜5をパターニングする(図13の上層バリア・メタル膜エッチング工程119)。続けて、図22に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=10/300/150/30,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、処理時間150秒程度である)により、アルミニウム膜4をパターニングする(図13のアルミニウム膜エッチング工程120)。このアルミニウム膜エッチング工程120の完了までに、ほぼ側壁保護膜、すなわち、ポリマ8が形成される。続けて、図23に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=10/250/180/30,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、オーバ・エッチングを含めて処理時間80秒程度である)により、下層バリア・メタル膜3をパターニングする(図13の下層バリア・メタル膜エッチング工程121)。
【0087】
ここから、アルミニウム配線エッチング工程101(図13)後の後処理工程に入る。まず、図24に示すように、アッシング処理(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、O2/H2O=900/100,処理室気圧130Pa、ステージ温度摂氏250度、処理時間300秒程度である)によりレジスト7(図23)をほぼ全面除去する(図13のアッシング工程102)。次に、図25に示すように、ポリマ除去処理によりポリマ8(図24)を除去する(図13のポリマ除去98)。次に、図26に示すように、アルミニウム膜9の露出部分を酸化するとともに、不所望な残留塩素成分を除去するための不動態化処理を実行する(図13の不動態化処理103)。これで、アルミニウム配線パターニング工程100を完了したことになる。
【0088】
次に、図27に示すように、HDP−CVDシリコン酸化膜10(下層の無機ファイナル・パッシベーション膜)、すなわちHDP−USG膜(たとえば膜厚1200nm)が形成される(図13の最上層配線層主要絶縁膜形成122)。続いて、図28に示すように、上層の無機ファイナル・パッシベーション膜11として、プラズマCVDによりSiN膜(たとえば膜厚600nm)が形成される(図13の窒化絶縁膜形成123)。更に、図29に示すように、有機ファイナル・パッシベーション膜12として、塗布によりポリイミド膜(たとえば膜厚4000nm)が形成される(図13の有機絶縁膜形成124)。最後に、無機ファイナル・パッシベーション膜11と有機ファイナル・パッシベーション膜12等から成るファイナル・パッシベーション膜に複数のボンディング・パッド開口が形成される(図13のパッド開口形成124)。
【0089】
5.その他のプロセスへの本ポリマ除去プロセスの適用についての説明
セクション1を中心に説明したポリマ除去プロセスは、配線層の膜厚が特に厚く、且つ、比較的微細な配線加工を必要とするパッド層兼用最上層アルミニウム配線等に特に有効である。しかし、最上層でなくとも、多層アルミニウム配線の各層で、特に厚い層(アルミニウムを主要な成分とする部分の膜厚が、850nmから1000nmまたはそれ以上の場合が多い。パッド用最上層アルミニウム配線を含む)にも有効である。なお、中層又は下層の比較的薄いアルミニウム配線(膜厚850nm未満)の各層に適用しても、前記ポリマ除去によれば、比較的短時間で効率よく除去できるメリットがある。
【0090】
また、同じように厚い、銅や銀のダマシン配線の最上層アルミニウム配線、パッド層兼用最上層アルミニウム配線、その他の上層アルミニウム配線等に適用しても有効である。
【0091】
6.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0092】
例えば、前記実施の形態では、CMIS−LSIデバイスを例にとり具体的に説明したが、厚いアルミニウム膜をドライ・エッチング処理してパターン(配線パターンに限らず、電極パターン等でもよい)を形成する集積回路デバイスや単体デバイス(たとえばパワーMOSFET、HBT)等に広く適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスを説明する装置模式正断面図である(図1(a)は薬液処理時であり、図1(b)は純水リンス時である)。
【図2】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。
【図3】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(基本形式)である。
【図4】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(オーバラップ方式)である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(無供給期間挿入方式)である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用する剥離液のアルミニウム膜エッチング特性図である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスの初期不良モードの発生率と比較例の初期不良モードの発生率を対比した特性プロット図である。
【図8】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。
【図9】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用するウエット処理装置の模式上面図である。
【図10】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチング及びアッシング装置の模式上面図である。
【図11】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチングの模式正断面図である。
【図12】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスのデバイス構造の一例を示すデバイス断面図である。
【図13】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のプロセス・ブロック・フロー図である。
【図14】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜形成)である。
【図15】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜形成)である。
【図16】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜形成)である。
【図17】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜形成)である。
【図18】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜形成)である。
【図19】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜パターニング)である。
【図20】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図21】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図22】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図23】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図24】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜除去)である。
【図25】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(側壁ポリマ除去)である。
【図26】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(不導態化処理)である。
【図27】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(シリコン酸化膜HDPCVD工程)である。
【図28】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(プラズマ・シリコン・ナイトライド膜CVD工程)である。
【図29】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(ポリイミド・ファイナル・パッシベーション膜塗布工程)である。
【符号の説明】
【0094】
1 ウエハ
1a (ウエハの)第1の主面(デバイス面)
2 第1の絶縁膜(下地層間絶縁膜)
4 第1の金属膜(アルミニウム膜)
7 レジスト膜パターン
8 (ドライ・エッチング時に形成された)ポリマ部材(側壁ポリマ等)
44 ポリマ除去液
45 洗浄液(純水)
96 ウエット処理サイクル
98 ウエット処理(ポリマ除去)
101 ドライ・エッチング処理
102 アッシング処理(レジスト除去)
103 不導態化処理
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるアルミニウム配線形成技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2006−66533号公報(特許文献1)または米国特許公開2006−0046944号公報(特許文献2)には、アルミニウムのドライ・エッチング後のポリマ除去用として弗素化合物を含むエッチング液が開示されている。
【0003】
日本特開2007−298930号公報(特許文献3)には、アルミニウムのドライ・エッチング後のポリマ除去用としてフッ化アンモニウムを含むエッチング液が開示されている。
【0004】
日本特開2006−324358号公報(特許文献4)には、ドライ・エッチング後のレジスト除去プロセスに関して、オゾン水による処理と有機溶剤による処理を交互に繰り返すことが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−66533号公報
【特許文献2】米国特許公開2006−0046944号公報
【特許文献3】特開2007−298930号公報
【特許文献4】特開2006−324358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
汎用マイコンやメモリなどに用いられるAl配線の最上層は、ボンディング・パッドや電源配線に使用されることが多いため、下層に比べて膜厚が厚くなっている(850nm以上)。更に、近年チップ所得数増加のため上層配線の狭ピッチ化も進んでおり、厚膜Al配線の加工技術も年々難しくなってきている。130nmプロセス・ノードの一部製品では、チップ面積縮小,最上層配線の低抵抗化のため最上層配線の狭ピッチ化(0.8マイクロ・メートル)とAl厚膜化(Al厚さ1.0マイクロ・メートル)を実施している。最上層配線はAl膜厚が厚いため、レジストの膜厚も下層に比べて厚く(1.1マイクロ・メートル以上)、エッチング時間も長いためAl側壁へのポリマ堆積が他製品に比べても非常に多い。また、Cu製品などのボンディング・パッド層に使用しているAl膜厚も厚いため同様の問題が生じている。
【0007】
Alエッチ後のポリマ剥離液として使用している標準的なフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液の処理時間を延長することも検討したが、より強固なポリマ膜等に対しては完全に除去することができていないことが明らかとなった。また、信頼性を問われないボンディング・パッド工程などは比較的大きな問題は生じないが、電源配線など信頼性を重視される工程に関してはポリマ残渣物が残っていると腐食や信頼性の低下が懸念される。そこで、本願発明者らは、既存の薬液を用いて除去性を上げるためフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液のアルミニウム・エッチング特性に着目し、新規な洗浄方法を開発した。
【0008】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、本願発明はフッ化アンモニウム系のポリマ剥離液(弗化物塩添加有機溶剤水溶液)が一定の水希釈領域(高Alエッチ・レート領域)において、アルミニウム系の金属又は合金に対して、著しく大きなエッチング速度(ポリマ剥離液自体の1000倍程度)を呈する性質を利用してアルミニウム系の配線をドライ・エッチングする際に形成される側壁ポリマをリフトオフさせるために、ウエハのデバイス面へのポリマ剥離液および純水等の洗浄液の供給を交互に繰り返すものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、ウエハのデバイス面へのポリマ剥離液および純水等の洗浄液の供給を交互に繰り返すことによって、短時間、高Alエッチ・レート領域を通過させることができる。この通過の際に、ポリマ内側のアルミニウム系金属表面が速やかにエッチングされ、ポリマ部分を下地アルミニウム系金属表面から離脱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0015】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記ウエハの前記第1の主面に対して、アッシング処理を実行することによって、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記第1の金属膜パターンに対して、不導態化処理を実行する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、0.01重量%以上、5重量%未満の弗化物塩を含むポリマ除去液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、水を主要な成分とする洗浄液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記(e1)および(e2)を含むウエット処理サイクルを、繰り返し実行する工程。
【0016】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記下位工程(e1)の終了と、ほぼ同時に開始され、前記下位工程(e3)は、前記下位工程(e2)の終了と、ほぼ同時に開始される。
【0017】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ポリマ除去液を供給することなく実行される。
【0018】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の前記弗化物塩の含有量は、0.05重量%以上、2重量%未満である。
【0019】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、3回以上である。
【0020】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記弗化物塩は、弗化アンモニウムである。
【0021】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【0022】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【0023】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【0024】
10.前記1から4および6から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、4回以上である。
【0025】
11.前記1から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、枚葉処理で実行される。
【0026】
12.前記1から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、アルミニウム配線構造の最上層配線とパッド層を兼ねる。
【0027】
13.前記1から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、ダマシン配線構造の更に上方に設けられたパッド層である。
【0028】
14.前記1から13項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの上下には、前記第1の金属膜パターンよりも薄く、ほぼ同一の平面形状を有する上方および下方バリア・メタル膜が形成されておる。
【0029】
15.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、第1の水希釈領域でのアルミニウムに対するエッチング・レートが、前記第1の水希釈領域よりも高濃度の第2の水希釈領域および前記第1の水希釈領域よりも低濃度の第3の水希釈領域のアルミニウムに対するエッチング・レートと比較して、十分に高い薬液の前記第2の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記薬液の前記第3の水希釈領域又は水を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e4)前記下位工程(e3)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e5)前記下位工程(e4)の後、前記(e1)から(e4)を含むウエット処理サイクルを、再度、実行する工程;
(e6)前記下位工程(e5)の後、前記(e1)から(e3)を含む処理を、更に、実行する工程。
【0030】
16.前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、3回以上である。
【0031】
17.前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、4回以上である。
【0032】
18.前記15から17項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【0033】
19.前記15から18項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【0034】
20.前記15から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【0035】
21.前記15から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の弗化物塩の含有量は、0.05重量%以上、2重量%未満である。
【0036】
22.前記21項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記弗化物塩は、弗化アンモニウムである。
【0037】
23.前記15から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、枚葉処理で実行される。
【0038】
24.前記15から23項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、アルミニウム配線構造の最上層配線とパッド層を兼ねる。
【0039】
25.前記15から23項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、ダマシン配線構造の更に上方に設けられたパッド層である。
【0040】
26.前記15から25項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの上下には、前記第1の金属膜パターンよりも薄く、ほぼ同一の平面形状を有する上方および下方バリア・メタル膜が形成されておる。
【0041】
27.前記15から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間は、第2の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間と比較して十分に短い。
【0042】
28.前記15から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間は、第2の水希釈領域を用いた前記ウエット処理の時間の5%未満である。
【0043】
29.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、第1の水希釈領域でのアルミニウムに対するエッチング・レートが、前記第1の水希釈領域よりも高濃度の第2の水希釈領域および前記第1の水希釈領域よりも低濃度の第3の水希釈領域のアルミニウムに対するエッチング・レートと比較して、十分に高い薬液を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、水希釈および前記薬液の再供給を繰り返すことによって、前記薬液の希釈濃度が前記第1の水希釈領域を複数回するように、前記ウエット処理を実行する工程。
【0044】
30.前記29項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e1)における前記繰り返し回数は、3回以上である。
【0045】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0046】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0047】
また、「アルミニウム配線」といっても、アルミニウム層またはアルミニウムを主要な成分とする層のみから構成されているわけではなく、一般に上下にバリア・メタル層その他を伴っている。更に、「アルミニウム層」といっても、純粋なアルミニウム層ではなく、アルミニウムを主要な成分とするアルミニウム合金であり、一般に少量の(たとえば0.5から4重量%程度)銅(エレクトロ・マイグレーション対策)やシリコン(シリコン基板へのコンタクト対策として、たとえば0.5から2重量%程度)のいずれか、又は、双方を含む。また、その他の添加物(たとえば、微量のチタン、パラジュウムその他)も加えられる場合がある。以下の実施形態で主に使用するものは、具体的には高純度アルミニウム99重量%、銅1重量%のものである(タングステン・プラグを使用しているためシリコンは添加していない)。ドライエッチング性を確保するためには、銅の添加量は0.5から1.5重量%の範囲が好適である。
【0048】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0049】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0050】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコン・ウエハを指すが、エピタキシャル・ウエハ、SOIウエハ等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ、薄膜トランジスタ等に使用するガラス基板ウエハ等も含むことは言うまでもない。以下の実施形態では、主にP型単結晶シリコン・ウエハを使用するが、必要に応じて、その他の種類の基板でもよいし、N型の基板でもよい。
【0051】
6.「ポリマ除去液」は、アルミニウム配線のパターニング等の異方性ドライ・エッチングの際にアルミニウム膜の側壁等に形成される主に有機系の堆積物(一般に「ポリマ」という。広くドライ・エッチングに続くアッシング等の後に残存するレジスト残渣等を含む)をウエット処理で除去するための処理液である。ポリマ除去液の種類としては、有機系と無機系がある。代表的な「無機系ポリマ除去液」としては、硫酸と過酸化水素等を含有する水溶液がある。有機系ポリマ除去液としては、以前からバッチ処理で多用されたアミン、水および有機溶剤ベースの「アミン系ポリマ除去液」があるが、摂氏70度前後の加温が必要な上に、数十分程度の長時間処理のため、現在はあまり使用されなくなっている。
【0052】
他の有機系ポリマ除去液としては、本願(以下の実施形態)で主に説明するジメチル・ホルムアミド(Dimethylformamide)等の水溶性有機溶剤水溶液(有機溶剤・水混和液)に弗化アンモニウム等の弗化物塩を微量添加した「弗化アンモニウム系ポリマ除去液(または弗化物塩添加水溶性有機溶剤系ポリマ除去液)」がある。典型的な弗化アンモニウム系ポリマ除去液の組成(以下の実施形態で主に使用するもの)としては、ジメチル・ホルムアミド69重量%程度、水30重量%程度、弗化アンモニウム1重量%弱(他の弗化物塩も含めて好適な範囲としては、たとえば0.01重量%以上、5重量%未満を例示できるが、量産上、特に好適な範囲としては、0.05重量%以上、2重量%未満を例示することができる)、残りはその他の微量添加物等を例示することができる。
【0053】
また、水溶性有機溶剤としては、ジメチル・ホルムアミドの外、ジメチル・スルホキシド(Dimethylsulfoxide)、メチル・ピロリドン(Methylpyrrolidone)、更にはピリジン(Pyridine)等の環状アミン類、ジエチレン・グリコール・モノメチル・エーテル等のエーテル類、エチレングリコール等のアルコール類が例示できる。水溶性有機溶剤としては、ジメチル・ホルムアミドを含む前記各種のもの、およびその他の水溶性有機溶剤の内、一つ又は複数の溶剤を加えてもよい。
【0054】
更に、弗化物塩(更に広くは弗素化合物)としては、弗化水素酸とアンモニアまたは有機アミンが反応して生成するもの等であり、弗化アンモニウムの外、たとえば、メチル・アミン弗化水素塩、エチル・アミン弗化物塩、プロピル・アミン弗化物塩、弗化テトラ・メチル・アンモニウム、弗化テトラ・エチル・アンモニウム、エタノール・アミン弗化水素塩、メチル・エタノール・アミン弗化水素塩、ジメチル・エタノールアミン弗化水素塩、トリエチレン・ジアミン弗化水素塩等が例示できる。これらのうち、弗化アンモニウムはレジスト残渣およびポリマ残渣の除去能力が高く、金属不純物含有量が低いものが容易に入手可能であり、もっとも好適である。また、弗化アンモニウムを主に添加して、それ以外の前記した弗化物塩の内、一つ又は複数のものを更に添加してもよい。もちろん、弗化アンモニウムを含む前記した弗化物塩の内の一つ又は複数のものを添加してもよい。
【0055】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0056】
1.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセス等の説明(主に図1から図7)
図1は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスを説明する装置模式正断面図である(図1(a)は薬液処理時であり、図1(b)は純水リンス時である)。図2は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。図3は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(基本形式)である。図4は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(オーバラップ方式)である。図5は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(無供給期間挿入方式)である。図6は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用する剥離液のアルミニウム膜エッチング特性図である。図7は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスの初期不良モードの発生率と比較例の初期不良モードの発生率を対比した特性プロット図である。これらに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセス等を説明する。
【0057】
まず、ポリマ除去プロセス98(図2)の流れを説明する。図1((a)、(b))および図2に示すように、被処理ウエハ1の裏面1b(第2の主面)を回転ステージ41に真空吸着して(処理準備工程91)、600回/分程度の回転速度で自転させながら、ウエハ1の表面1a(第1の主面またはデバイス面)に対して、薬液ノズル42からポリマ剥離液44を30秒程度供給する(剥離液処理ステップ92)。続けて、600回/分程度の回転速度で自転させながら(前のステップから回転速度を維持するのが好適である)、薬液ノズル42からのポリマ剥離液44を停止して、水ノズル43から純水等の洗浄水45の供給を開始して、5秒程度継続する(純水処理ステップ93)。この剥離液処理92と純水処理93でウエット処理サイクル96を構成する。このサイクルを最初の剥離液処理92および純水処理93を含めて、5回程度繰り返し実行する。なお、最後の純水処理93は、後の純水リンスと兼ねることで省略してもよい。
【0058】
このサイクル完了後に、純水リンス・乾燥工程97に移行する。最後の純水処理93に続けて、600回/分程度の回転速度で自転させながら(前のステップから回転速度を維持するのが好適である)、水ノズル43から純水等の洗浄水45の供給を30秒程度継続する(純水リンス・ステップ94)。その後、継続して水ノズル43から純水等の洗浄水45の供給を停止して、回転ステージ41の回転数を1800回/分程度の回転速度に上げて、ウエハ1をスピン乾燥する(スピン乾燥ステップ95)。この場合も、前のステップから回転速度を維持して、そのまま1800回/分程度の回転速度まで回転速度を上げるのが好適である。
【0059】
なお、薬液44と洗浄液45の切り替えのタイミングは、通常は図3に示すように、Kを2,3,4等の自然数とするとき、(K−1)サイクルからKサイクルへの切り替え時(T1)であれば、薬液44の吐出を開始すると同時に、洗浄液(純水等)45の吐出を停止する。一方、Kサイクル途中の切り替え時(T2)であれば、薬液44の吐出を停止すると同時に、洗浄液(純水等)45の吐出を開始する。
【0060】
しかし、必要に応じて図4に示すように、両方の液体(薬液44および洗浄液45)の吐出期間を若干(洗浄液45の吐出時間に比較して、短い時間が好適である)、オーバラップさせるようにすることもできる。この場合は、アルミニウムのエッチング量が増加する。
【0061】
同様に、必要に応じて図5に示すように、両方の液体(薬液44および洗浄液45)の吐出期間の間に若干、間隔を持たせるようにすることもできる。この場合は、アルミニウムのエッチング量が減少する。
【0062】
すなわち、薬液44および洗浄液45間の切り替えは、実質的に同時であればよい。これは、図6を用いて、以下のように説明できる。弗化アンモニウム系ポリマ除去液は、水希釈度0または低希釈の状態(図中のL点すなわち除去液100%の状態または第2の水希釈領域R2)では、有機溶剤がアルミニウム表面を覆っているため、弗素イオンによるアルミニウムの溶解反応は、ほとんど進行しない状態にある。一方、純水の状態Wまたは低濃度領域R3(高希釈領域または第3の水希釈領域)では、有機溶剤も少ないが、弗素イオンも非常に少ないので、弗素イオンによるアルミニウムの溶解反応は、ほとんど進行しない状態にある。しかし、中間希釈領域R1(第1の水希釈領域またはアルミニウム高エッチング・レート領域)では、有機溶剤の被覆効果が急速に弱まる一方、弗素イオンの濃度が適度に高いので、弗素イオンによるアルミニウムの溶解反応が急速に進行する(除去液100%の時の数百倍から1000倍程度)。したがって、薬液44および洗浄液45間の切り替えの際に、中間希釈領域R1を通過する時間(すなわち、第1の水希釈領域を用いたウエット処理時間または遷移処理時間)が長いほど、アルミニウムの溶解反応が進行すると考えられる。したがって、遷移処理時間は第2の水希釈領域R2(高濃度領域)を使用して処理する時間、すなわち、高濃度処理時間と比較して、十分に短時間である必要がある。たとえば、遷移処理時間は高濃度処理時間の5%未満が好適である。
【0063】
なお、ここに説明したポリマ除去プロセスは以下のようにして進行すると考えられる。ポリマは、エッチング・ガスから生成する側壁保護膜(有機樹脂)を主体とし、それとアルミニウム等の金属または金属を含むメタル化合物(エッチングガスやレジスト成分との化合物を含む)とレジスト残渣等の樹脂成分からなる組成物と考えられる。まず、有機溶剤がポリマの樹脂成分を溶解して、ポリマ剥離液をポリマ内部へ浸透させる。ポリマ剥離液中の弗素含有成分とメタル化合物が反応して、水溶性のAlF(有機溶剤には溶けない)を生成する。これにより、ポリマが膨潤する。その後の水洗でAlFが溶解する。薬液44および洗浄液45間の切り替え時に通過する高アルミニウム・エッチング領域の作用により、ポリマの下地のアルミニウム層表面が若干エッチングされ、残留するポリマを下地からリフト・オフする結果となる。この繰り返しにより、完全にポリマが除去される。このメカニズムは、一定以上の厚みを持つポリマでは、従来の除去方法で単に時間を延長しても完全にとることは困難であり、特に有効である。
【0064】
また、このようにポリマの除去がスムースに進行する理由は、表面のアルミニウム含有ポリマの一部が水溶性のAlFとなり、その後の水洗で未反応ポリマ表面を露出させることができることに起因すると考えられる。
【0065】
また、各ステップの両方の液体の温度は、通常、室温(摂氏25度程度)であり、摂氏20度から40度程度が好適である。更に、単一の剥離液処理ステップ92の継続時間は、通常、20秒から60秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、300から1000回/分程度が好適である)。一方、単一の純水処理ステップ93の継続時間は、通常、3秒から15秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、300から1000回/分程度が好適である)。なお、純水リンス・ステップ94の継続時間は、通常、20秒から50秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、300から1000回/分程度が好適である)。これと同様に、スピン乾燥ステップ95の継続時間は、通常、20秒から50秒程度が好適である(この際のウエハ・ステージ41の回転速度は、1500から2500回/分程度が好適である)。
【0066】
また、ここに説明したポリマ除去プロセスは、薬液の特定濃度(アルミニウム高エッチング・レート領域)を通過する瞬間を利用しているので、枚葉処理に特に適合している。バッチ処理では、特定濃度を通過する時間を短時間に制御することが、枚葉に比較してより困難と考えられる。
【0067】
図7に、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスの「初期不良モードの発生率」、すなわち、ワイブル・プロット(Weibull Plot)の累積故障率に締める初期不良モード(いわゆるワイブル分布の初期故障とは異なり、ポリマ等の残存に起因し、比較的早期に発生する特定故障モードを指す)の割合と、比較例(図2の比較例)の初期不良モードの発生率を対比した特性プロットする。ここで、「N」は図2のウエット処理サイクル96の繰り返し回数である。Nの増加によって、初期不良モード発生率が急速に低下することがわかる。繰り返し回数Nは、理論的には多いほどポリマ除去効果はあるが、配線へのダメージを考慮すると、実用的には3回以上、30回程度まで有効である。更に、除去率および時間的な効率を考慮すると、4回以上、20回未満が特に量産工程に適合している。
【0068】
ここに説明したポリマ除去プロセスは、配線のアルミニウムを主要な成分とする層の厚さが850nm以上の場合に特に有効である。それ以下の場合にも、有効であることは言うまでもない。
【0069】
2.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスの概要ならびに、それに使用する装置の説明(主に図8から図11)
図8は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。図9は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用するウエット処理装置の模式上面図である。図10は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチング及びアッシング装置の模式上面図である。図11は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチングの模式正断面図である。これらに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスの概要ならびに、それに使用する装置を説明する。
【0070】
図8に示すように、アルミニウム配線パターニング・プロセス100は、通常のリソグラフィにより、ウエハ1のデバイス面1a上にレジスト膜パターンを形成したものを図10に示すような、エッチング装置55に受け入れるところから始まる。図10に示すように、ウエハ1はフープ48(密閉ウエハ収納容器)に通常、複数枚収容されて、エッチング装置55のロードポートにセットされる。その後、ウエハ1は大気圧前室56にある大気搬送ロボットにより、ロード・ロック室57を介して、真空搬送室58に搬入される。そこで、真空搬送ロボットによって、複数あるいずれかのエッチング処理室59a,59bに導入される。そこで、ドライ・エッチング処理101(図8)が実行される。その後、真空搬送ロボットによって、複数あるいずれかのアッシング処理室60a,60bに導入される。そこで、アッシング処理102(図8)が実行され、レジスト膜パターンがほぼ全部除去される。その後、真空搬送ロボットによって、ロード・ロック室57を介して、大気圧前室56に搬出される。その後、大気搬送ロボットにより、通常、元のフープ48に戻される。
【0071】
先のエッチング処理室59a,59bの構造を簡単に説明する。ここでは、一例として、ECR(Electron Cyclotoron Resonance)型のドライ・エッチング室を説明する。図11に示すように、ウエハ1はウエハ・ステージ62(下部電極)上にデバイス面1aを上にして、セットされる。下部電極62には、高周波電力64がバイアス・コンデンサ63を介して供給される。上方の磁場発生ソレノイド65とマイクロ波ソース66によってECRプラズマ励起機構が構成されている。なお、エッチング装置は、ECR型に限らず、平行平板型でも、ICP(Inductively Coupled Plasma)型装置であってもよい。
【0072】
アッシング処理102(図8)が完了したウエハ1を収納したフープ48は、ポリマ除去処理98(図8)のために、図9に示すポリマ除去・洗浄装置46に移送される。そこで、先ず、ロード・ポート47にウエハ1を収納したフープ48がセットされる。その後、前室49内に設置された前室搬送ロボット51によって、ウエハ1は前室49内に導入される。その後、ウエハ1はセンタ搬送ロボット52に受け渡され、複数あるいずれかの洗浄カップ53a,53b,53c,53dに導入される。そこで、図1に示すように、ウエット処理によるポリマ除去98(図8)が実行される。その後、センタ搬送ロボット52および前室搬送ロボット51によって、ウエハ1は前室49を経由して、通常、元のフープ48に戻される。
【0073】
続いて、図8に示すように、ウエハ1は他の気相処理室に導入されて、残留塩素等を除去、およびアルミニウム表面の安定化のための不動態化処理103、すなわち、気相プラズマ酸化処理(アッシング)が施される。
【0074】
3.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイス構造の一例の説明(主に図12)
図12は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスのデバイス構造の一例を示すデバイス断面図である。これに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイス構造の一例を説明する。
【0075】
ここでは、CMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)またはCMIS(Complemetary Metal insulator Semiconductor)半導体集積回路によるSOC(System−On−Chip)デバイスを例にとり説明する。
【0076】
図12に示すように、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスは、たとえば、P型の単結晶シリコン・ウエハ1(半導体基板)上に形成される。半導体基板1のデバイス面側には、NウエルNWおよびPウエルPWが形成されている。デバイス面はSTI(Shallow Trench Isolation)フィールド酸化膜STによってP型およびN型素子領域に分離されている。NウエルNWの表面領域にはP型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)すなわちP型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF1が形成されている。一方、PウエルPWの表面領域にはN型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)すなわちN型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF2が形成されている。P型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF1の両側のNウエルNWの表面領域には高濃度のP型ソール・ドレイン領域PSDが形成されている。一方、N型絶縁ゲート型電界効果トランジスタF2の両側のPウエルPWの表面領域には高濃度のN型ソール・ドレイン領域NSDが形成されている。
【0077】
半導体基板1のデバイス面上には、ライナーSiN膜を介してHDP(High Density Plasma)CVDシリコン酸化膜(下層)およびTEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)を用いたプラズマCVDシリコン酸化膜(上層)等からなるプリメタル層間絶縁膜21が形成されている。このプリメタル層間絶縁膜21中にはタングステン・プラグCPが形成されている。
【0078】
プリメタル層間絶縁膜21上には、HDP−CVDシリコン酸化膜20(下層)すなわちHDP−USG(Undoped Silicate Glass)膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜17(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜22等からなる第1層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜13、銅を1重量%程度添加したアルミニウム膜14(以下組成は同じ)、上層バリア・メタル膜15、および最上層のプラズマSiON反射防止膜16等からなる第1層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜19およびタングステン・プラグ18等からなる第1層ビア配線が形成されている。なお、上記及び以下のHDP−CVDシリコン酸化膜は、オゾンTEOS−CVDによるシリコン酸化膜に置き換えられるが、微細プロセスでは、埋め込み性を考慮するとHDP−CVDシリコン酸化膜の方が有利である。
【0079】
同様に、キャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜22上には、HDP−CVDシリコン酸化膜30(下層)すなわちHDP−USG膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜27(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜等からなる第2層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜23、アルミニウム膜24、上層バリア・メタル膜25、および最上層のプラズマSiON反射防止膜26等からなる第2層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜29およびタングステン・プラグ28等からなる第2層ビア配線が形成されている。ここで途中の層は、これまでの層とほぼ同一であり、説明を省略して、第4層アルミニウム配線層を説明する。
【0080】
第3層アルミニウム配線層のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜上には、HDP−CVDシリコン酸化膜(下層)すなわちHDP−USG膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜等32からなる第4層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜23、アルミニウム膜24、上層バリア・メタル膜25、および最上層のプラズマSiON反射防止膜26等からなる第4層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜31およびタングステン・プラグ21等からなる第4層ビア配線が形成されている。
【0081】
同様に、キャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜32上には、HDP−CVDシリコン酸化膜40(下層)すなわちHDP−USG膜、プラズマTEOS−CVDシリコン酸化膜37(中層)、およびCMP後のキャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜2等からなる第2層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜33、アルミニウム膜34、上層バリア・メタル膜35、および最上層のプラズマSiON反射防止膜66等からなる第5層アルミニウム配線層および周辺バリアメタル膜39およびタングステン・プラグ38等からなる第5層ビア配線が形成されている。
【0082】
更に、キャップ・プラズマCVDシリコン酸化膜2上には、HDP−CVDシリコン酸化膜10、すなわちHDP−USG膜等からなる最上層アルミニウム配線層間絶縁膜が形成されている。また、その中に、下層バリア・メタル膜3、アルミニウム膜4、上層バリア・メタル膜5、および最上層のプラズマSiON反射防止膜6等からなる最上層アルミニウム配線層(ボンディング・パッド層を兼ねる。配線幅たとえば0.4マイクロ・メータ)が形成されている。
【0083】
最上層アルミニウム配線層間絶縁膜10上には、無機ファイナル・パッシベーション膜11としてのプラズマCVD−SIN膜が形成されている。その上には、有機ファイナル・パッシベーション膜12としての塗布ポリイミド膜が形成されている。
【0084】
4.本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フローの説明(主に図13から図29)
図13は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のプロセス・ブロック・フロー図である。図14は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜形成)である。図15は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜形成)である。図16は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜形成)である。図17は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜形成)である。図18は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜形成)である。図19は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜パターニング)である。図20は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図21は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図22は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図23は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。図24は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜除去)である。図25は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(側壁ポリマ除去)である。図26は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(不導態化処理)である。図27は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(シリコン酸化膜HDPCVD工程)である。図28は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(プラズマ・シリコン・ナイトライド膜CVD工程)である。図29は本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(ポリイミド・ファイナル・パッシベーション膜塗布工程)である。これらに基づいて、本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フローを説明する。
【0085】
図13に示すように、まず、第5層最上層層間絶縁膜2(キャップ層)を形成(図13の5層目層間絶縁膜完成工程111)して、同層までの配線構造を完成した後から説明する。次に、図14に示すように、第5層キャップ絶縁膜2上に下層バリア・メタル膜3をスパッタリング成膜によってウエハ1(図1又は図12)のデバイス面1aのほぼ全面に形成する(図13の下層バリア・メタル形成112)。この下層バリア・メタル膜3は、たとえば下層のチタン膜(たとえば膜厚15nm程度)と上層のTiN膜(たとえば膜厚20nm程度)等からなる。次に図15に示すように、下層バリア・メタル膜3上に銅を1重量%程度含むアルミニウム膜4(たとえば膜厚1000nm程度)をスパッタリング成膜によってウエハ1のデバイス面1aのほぼ全面に形成する(図13のアルミニウム膜形成113)。続いて、次に図16に示すように、アルミニウム膜4上に、上層バリア・メタル膜5をスパッタリング成膜によってウエハ1のデバイス面1aのほぼ全面に形成する(図13の上層バリア・メタル形成114)。この上層バリア・メタル膜5は、たとえばTiN膜(たとえば膜厚50nm程度)等からなる。次に、次に図17に示すように、上層バリア・メタル膜5上に、プラズマCVD法によりプラズマSiON膜6(たとえば膜厚30nm程度)を反射防止膜として形成する(図13の反射防止膜形成115)。続いて、次に図18に示すように、反射防止膜6上に、レジスト膜7を塗布する(図13のレジスト膜形成116)。このレジスト膜7を通常のリソグラフィにより、次に図19に示すように、パターニングする(図13のレジスト膜パターニング工程116)。
【0086】
続いて、図13のアルミニウム配線パターニング工程100に入る。先ず、アルミニウム配線エッチング工程101(図13)を説明する。まず、図20に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=8/180/120/20,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、オーバ・エッチングを含めて処理時間80秒程度である)により、反射防止膜6をパターニングする(図13の反射防止膜エッチング工程118)。続けて、図21に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=8/200/100/600,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、処理時間30秒程度である)により、上層バリア・メタル膜5をパターニングする(図13の上層バリア・メタル膜エッチング工程119)。続けて、図22に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=10/300/150/30,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、処理時間150秒程度である)により、アルミニウム膜4をパターニングする(図13のアルミニウム膜エッチング工程120)。このアルミニウム膜エッチング工程120の完了までに、ほぼ側壁保護膜、すなわち、ポリマ8が形成される。続けて、図23に示すように、パターニングされたレジスト膜7をエッチング・マスクとして、ドライ・エッチング(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、CH4/Ar/Cl2/BCl3=10/250/180/30,処理室気圧1Pa、ステージ温度摂氏50度、オーバ・エッチングを含めて処理時間80秒程度である)により、下層バリア・メタル膜3をパターニングする(図13の下層バリア・メタル膜エッチング工程121)。
【0087】
ここから、アルミニウム配線エッチング工程101(図13)後の後処理工程に入る。まず、図24に示すように、アッシング処理(処理条件は、たとえばエッチング・ガス流量はSCCM単位で、O2/H2O=900/100,処理室気圧130Pa、ステージ温度摂氏250度、処理時間300秒程度である)によりレジスト7(図23)をほぼ全面除去する(図13のアッシング工程102)。次に、図25に示すように、ポリマ除去処理によりポリマ8(図24)を除去する(図13のポリマ除去98)。次に、図26に示すように、アルミニウム膜9の露出部分を酸化するとともに、不所望な残留塩素成分を除去するための不動態化処理を実行する(図13の不動態化処理103)。これで、アルミニウム配線パターニング工程100を完了したことになる。
【0088】
次に、図27に示すように、HDP−CVDシリコン酸化膜10(下層の無機ファイナル・パッシベーション膜)、すなわちHDP−USG膜(たとえば膜厚1200nm)が形成される(図13の最上層配線層主要絶縁膜形成122)。続いて、図28に示すように、上層の無機ファイナル・パッシベーション膜11として、プラズマCVDによりSiN膜(たとえば膜厚600nm)が形成される(図13の窒化絶縁膜形成123)。更に、図29に示すように、有機ファイナル・パッシベーション膜12として、塗布によりポリイミド膜(たとえば膜厚4000nm)が形成される(図13の有機絶縁膜形成124)。最後に、無機ファイナル・パッシベーション膜11と有機ファイナル・パッシベーション膜12等から成るファイナル・パッシベーション膜に複数のボンディング・パッド開口が形成される(図13のパッド開口形成124)。
【0089】
5.その他のプロセスへの本ポリマ除去プロセスの適用についての説明
セクション1を中心に説明したポリマ除去プロセスは、配線層の膜厚が特に厚く、且つ、比較的微細な配線加工を必要とするパッド層兼用最上層アルミニウム配線等に特に有効である。しかし、最上層でなくとも、多層アルミニウム配線の各層で、特に厚い層(アルミニウムを主要な成分とする部分の膜厚が、850nmから1000nmまたはそれ以上の場合が多い。パッド用最上層アルミニウム配線を含む)にも有効である。なお、中層又は下層の比較的薄いアルミニウム配線(膜厚850nm未満)の各層に適用しても、前記ポリマ除去によれば、比較的短時間で効率よく除去できるメリットがある。
【0090】
また、同じように厚い、銅や銀のダマシン配線の最上層アルミニウム配線、パッド層兼用最上層アルミニウム配線、その他の上層アルミニウム配線等に適用しても有効である。
【0091】
6.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0092】
例えば、前記実施の形態では、CMIS−LSIデバイスを例にとり具体的に説明したが、厚いアルミニウム膜をドライ・エッチング処理してパターン(配線パターンに限らず、電極パターン等でもよい)を形成する集積回路デバイスや単体デバイス(たとえばパワーMOSFET、HBT)等に広く適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスを説明する装置模式正断面図である(図1(a)は薬液処理時であり、図1(b)は純水リンス時である)。
【図2】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。
【図3】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(基本形式)である。
【図4】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(オーバラップ方式)である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに対応する薬液・洗浄液供給および停止のタイミング・チャート(無供給期間挿入方式)である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用する剥離液のアルミニウム膜エッチング特性図である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスの初期不良モードの発生率と比較例の初期不良モードの発生率を対比した特性プロット図である。
【図8】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線パターニング・プロセスに対応する処理プロセス・ブロック・フロー図である。
【図9】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるポリマ除去プロセスに使用するウエット処理装置の模式上面図である。
【図10】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチング及びアッシング装置の模式上面図である。
【図11】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるアルミニウム配線のパターニングに使用するドライ・エッチングの模式正断面図である。
【図12】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法によるデバイスのデバイス構造の一例を示すデバイス断面図である。
【図13】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のプロセス・ブロック・フロー図である。
【図14】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜形成)である。
【図15】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜形成)である。
【図16】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜形成)である。
【図17】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜形成)である。
【図18】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜形成)である。
【図19】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜パターニング)である。
【図20】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図21】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(上部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図22】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図23】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(下部バリア・メタル膜ドライ・エッチング・ステップ)である。
【図24】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜除去)である。
【図25】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(側壁ポリマ除去)である。
【図26】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(不導態化処理)である。
【図27】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(シリコン酸化膜HDPCVD工程)である。
【図28】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(プラズマ・シリコン・ナイトライド膜CVD工程)である。
【図29】本願の一実施形態の半導体集積回路装置の製造方法における最上層アルミニウム配線プロセス以降のデバイス断面プロセス・フロー図(ポリイミド・ファイナル・パッシベーション膜塗布工程)である。
【符号の説明】
【0094】
1 ウエハ
1a (ウエハの)第1の主面(デバイス面)
2 第1の絶縁膜(下地層間絶縁膜)
4 第1の金属膜(アルミニウム膜)
7 レジスト膜パターン
8 (ドライ・エッチング時に形成された)ポリマ部材(側壁ポリマ等)
44 ポリマ除去液
45 洗浄液(純水)
96 ウエット処理サイクル
98 ウエット処理(ポリマ除去)
101 ドライ・エッチング処理
102 アッシング処理(レジスト除去)
103 不導態化処理
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記ウエハの前記第1の主面に対して、アッシング処理を実行することによって、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記第1の金属膜パターンに対して、不導態化処理を実行する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、0.01重量%以上、5重量%未満の弗化物塩を含むポリマ除去液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、水を主要な成分とする洗浄液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記(e1)および(e2)を含むウエット処理サイクルを、繰り返し実行する工程。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記下位工程(e1)の終了と、ほぼ同時に開始され、前記下位工程(e3)は、前記下位工程(e2)の終了と、ほぼ同時に開始される。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ポリマ除去液を供給することなく実行される。
【請求項4】
前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の前記弗化物塩の含有量は、0.05重量%以上、2重量%未満である。
【請求項5】
前記4項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、3回以上である。
【請求項6】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記弗化物塩は、弗化アンモニウムである。
【請求項7】
前記6項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【請求項8】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【請求項9】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【請求項10】
前記4項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、4回以上である。
【請求項11】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、枚葉処理で実行される。
【請求項12】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、アルミニウム配線構造の最上層配線とパッド層を兼ねる。
【請求項13】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、ダマシン配線構造の更に上方に設けられたパッド層である。
【請求項14】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの上下には、前記第1の金属膜パターンよりも薄く、ほぼ同一の平面形状を有する上方および下方バリア・メタル膜が形成されておる。
【請求項15】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、第1の水希釈領域でのアルミニウムに対するエッチング・レートが、前記第1の水希釈領域よりも高濃度の第2の水希釈領域および前記第1の水希釈領域よりも低濃度の第3の水希釈領域のアルミニウムに対するエッチング・レートと比較して、十分に高い薬液の前記第2の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記薬液の前記第3の水希釈領域又は水を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e4)前記下位工程(e3)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e5)前記下位工程(e4)の後、前記(e1)から(e4)を含むウエット処理サイクルを、再度、実行する工程;
(e6)前記下位工程(e5)の後、前記(e1)から(e3)を含む処理を、更に、実行する工程。
【請求項16】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、3回以上である。
【請求項17】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、4回以上である。
【請求項18】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【請求項19】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【請求項20】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記ウエハの前記第1の主面に対して、アッシング処理を実行することによって、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記第1の金属膜パターンに対して、不導態化処理を実行する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、0.01重量%以上、5重量%未満の弗化物塩を含むポリマ除去液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、水を主要な成分とする洗浄液を、前記ウエハの前記第1の主面に対して、供給する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記(e1)および(e2)を含むウエット処理サイクルを、繰り返し実行する工程。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記下位工程(e1)の終了と、ほぼ同時に開始され、前記下位工程(e3)は、前記下位工程(e2)の終了と、ほぼ同時に開始される。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(e2)は、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ポリマ除去液を供給することなく実行される。
【請求項4】
前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の前記弗化物塩の含有量は、0.05重量%以上、2重量%未満である。
【請求項5】
前記4項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、3回以上である。
【請求項6】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記弗化物塩は、弗化アンモニウムである。
【請求項7】
前記6項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【請求項8】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【請求項9】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【請求項10】
前記4項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ウエット処理サイクルの繰り返し回数は、前記下位工程(e1)および(e2)を含めて、4回以上である。
【請求項11】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、枚葉処理で実行される。
【請求項12】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、アルミニウム配線構造の最上層配線とパッド層を兼ねる。
【請求項13】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンは、ダマシン配線構造の更に上方に設けられたパッド層である。
【請求項14】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの上下には、前記第1の金属膜パターンよりも薄く、ほぼ同一の平面形状を有する上方および下方バリア・メタル膜が形成されておる。
【請求項15】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウムを主要な成分とする第1の金属膜を形成する工程;
(b)前記第1の金属膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程;
(c)前記レジスト膜パターンが形成された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ドライ・エッチング処理を実行することによって、前記第1の金属膜を第1の金属膜パターンとする工程;
(d)前記工程(c)の後、前記レジスト膜パターンを除去する工程;
(e)前記レジスト膜パターンが除去された前記ウエハの前記第1の主面に対して、ウエット処理を実行することによって、前記ドライ・エッチング処理によって形成されたポリマ部材を除去する工程、
ここで、前記工程(e)は、以下の下位工程を含む:
(e1)水溶性の有機溶剤および水を主要な成分とし、第1の水希釈領域でのアルミニウムに対するエッチング・レートが、前記第1の水希釈領域よりも高濃度の第2の水希釈領域および前記第1の水希釈領域よりも低濃度の第3の水希釈領域のアルミニウムに対するエッチング・レートと比較して、十分に高い薬液の前記第2の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e2)前記下位工程(e1)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e3)前記下位工程(e2)の後、前記薬液の前記第3の水希釈領域又は水を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e4)前記下位工程(e3)の後、前記薬液の前記第1の水希釈領域を用いて、前記ウエハの前記第1の主面に対して、前記ウエット処理を実行する工程;
(e5)前記下位工程(e4)の後、前記(e1)から(e4)を含むウエット処理サイクルを、再度、実行する工程;
(e6)前記下位工程(e5)の後、前記(e1)から(e3)を含む処理を、更に、実行する工程。
【請求項16】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、3回以上である。
【請求項17】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)における下位工程(e2)の実行回数は、4回以上である。
【請求項18】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記有機溶剤は、ジメチル・ホルムアミドである。
【請求項19】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ポリマ除去液の温度は、摂氏20度以上、摂氏40度以下である。
【請求項20】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の金属膜パターンの厚さは、850nm以上である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−290040(P2009−290040A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141868(P2008−141868)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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