説明

半金属強磁性体を用いた磁気接合を提供するための方法及びシステム

【課題】方法及びシステムは磁気デバイスにおいて使用可能な磁気接合を提供する。
【解決手段】磁気接合は、ピンド層と、非磁性スペーサ層と、自由層とを含む。非磁性スペーサ層はピンド層と自由層との間に存在する。磁気接合は、書き込み電流がその磁気接合に流された際に自由層が複数の安定磁気状態の間でスイッチング可能であるように構成される。自由層及びピンド層のうち少なくとも一方は少なくとも一つの半金属を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DARPAによるGrant/Contract第HR0011‐09‐C‐0023号の米国政府の支援で為されたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
磁気メモリ、特に磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM,magnetic random access memory)は、速い読み出し/書き込み速度、優れた耐久性、不揮発性、及び動作中の低い電力消費の可能性によって注目を集めている。MRAMは、情報記録媒体として磁性体を用いて情報を記憶することができる。MRAMの一つのタイプは、スピントランスファトルクランダムアクセスメモリ(STT‐RAM,spin transfer torque random access memory)である。STT‐RAMは、磁気接合を介して流される電流によって少なくとも一部が書き込まれる磁気接合を利用する。磁気接合を介して流されるスピン偏極電流は、磁気接合中の磁気モーメントにスピントルクを与える。結果として、スピントルクに応答する磁気モーメントを有する層が所望の状態にスイッチングされ得る。
【0003】
例えば、図1は、従来のSTT‐RAMで使用されるような従来の磁気トンネル接合(MTJ,magnetic tunneling junction)を示す。従来のMTJ10は、典型的には底部コンタクト11上に存在し、従来のシード層12を用い、従来の反強磁性(AFM,antiferromagnetic)層14と、従来のピンド層16と、従来のトンネル障壁層18と、従来の自由層20と、従来のキャッピング層22とを含む。頂部コンタクト24も示されている。
【0004】
従来のコンタクト11及び24は、図1に示されるようにCPP(current−perpendicular−to−plane)方向に又はz軸に沿って電流を流すのに用いられる。従来のシード層12は、典型的には、所望の結晶構造を有する後続の層(AFM層14等)の成長を補助するために用いられる。従来のトンネル障壁層18は非磁性であり、例えばMgO等の薄い絶縁体である。
【0005】
従来のピンド層16及び従来の自由層20は磁性である。従来のピンド層16の磁化17は、典型的にはAFM層14との交換バイアス相互作用によって、特定の方向に固定又はピン留めされている。単純(単一)層として示されているが、従来のピンド層16は複数の層を含み得る。例えば、従来のピンド層16は、Ru等の薄い導電層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された複数の磁性層を含む合成反強磁性層(SAF,synthetic antiferromagnetic)層であり得る。このようなSAFにおいては、Ruの薄層と交互配置された複数の磁性層が使用され得る。更に、他のバージョンの従来のMTJ10は、追加の非磁性障壁又は導電層(図示せず)によって自由層20から分離された追加のピンド層(図示せず)を含み得る。
【0006】
従来の自由層20は変更可能な磁化21を有する。単一層として示されているが、従来の自由層20も複数の層を含み得る。例えば、従来の自由層20は、Ru等の薄い導電層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された複数の磁性層を含む合成層であり得る。面内に示されているが、従来の自由層20の磁化21は、垂直異方性を有し得る。
【0007】
従来の自由層20の磁化21をスイッチングするため、電流を面に垂直に(z方向に)流す。十分な電流が頂部コンタクト24から底部コンタクト11に流されると、従来の自由層20の磁化21が、従来のピンド層16の磁化17と平行にスイッチングし得る。十分な電流が底部コンタクト11から頂部コンタクト24に流されると、自由層の磁化21がピンド層16の磁化と反平行にスイッチングし得る。磁性配位の差は、従来のMTJ10の異なる磁気抵抗に対応し、従って、異なる論理状態(例えば、論理“0”及び論理“1”)に対応する。
【0008】
従来のMTJ10は、スピントランスファを用いて書き込み可能であり、STT‐RAMにおいて使用可能であるが、欠点がある。例えば、従来の自由層20の磁気モーメントをスイッチングするのに必要な電流は高くなり得る。高電流は、いくつかの理由により望ましくない。高電流はより多くの電力を消費し、従来のトンネル障壁18に損傷をあたえる可能性が高くなり、低いプログラミング速度をもたらす大きな立ち上がり時間を有し得る。従って、従来のMTJを用いたメモリの性能には、依然として改善が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な実施形態は、磁気デバイスにおいて使用可能な磁気接合を提供する。その磁気接合は、ピンド層と、非磁性スペーサ層と、自由層とを含む。非磁性スペーサはピンド層と自由層との間に存在する。その磁気接合は、書き込み電流が磁気接合に通された際に自由層が複数の安定磁気状態の間でスイッチング可能であるように構成される。自由層及びピンド層のうち少なくとも一方は少なくとも一つの半金属を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】スピントランスファトルクを用いてスイッチングされる従来の磁気トンネル接合を示す。
【図2】磁気接合の例示的な実施形態を示す。
【図3】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図4】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図5】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図6】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図7】磁気接合の他の例示的な実施形態の一部を示す。
【図8】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図9】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図10】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図11】磁気接合の他の例示的な実施形態を示す。
【図12】ストレージセルのメモリ素子に磁気接合を用いたメモリの例示的な実施形態を示す。
【図13】磁気接合を提供するための方法の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態は、磁気メモリ等の磁気デバイスにおいて使用可能な磁気接合と、このような磁気接合を用いたデバイスに関する。以下の説明は、当業者が本発明を作製及び使用できるようにするために提供され、また、特許出願の文脈及びその要求において提供される。本願で説明される例示的な実施形態及び一般原理及び特徴に対する多様な修正は容易に明らかになるものである。例示的な実施形態は、特定の実施において提供される特定の方法及びシステムに関して主に説明される。しかしながら、その方法及びシステムは、他の実施においても有効に動作する。“例示的な実施形態”、“一実施形態”、“他の実施形態”等の用語は、同一の又は異なる実施形態を指称するものであり得て、また複数の実施形態を指称するものであり得る。実施形態は、特定の構成要素を有するシステム及び/又はデバイスに関して説明される。しかしながら、そのシステム及び/又はデバイスは、図示されるものよりも多い又は少ない構成要素を含み得て、配置及び構成要素の種類の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、為され得る。また、例示的な実施形態は、特定のステップを有する特定の方法の文脈において説明される。しかしながら、その方法及びシステムは、例示的な実施形態に矛盾しない他のステップ及び/又は追加のステップ及び順番の異なるステップを有する他の方法に対して有効に動作する。従って、本発明は示される実施形態に限定されるものではなく、本願で説明される原理及び特徴に矛盾しない最も広範な範囲によるものである。
【0012】
例示的な実施形態は、特定の構成要素を有する特定の磁気接合及び磁気メモリの文脈において説明される。本発明が、本発明と矛盾しない他の構成要素及び/又は追加の構成要素及び/又は他の特徴を有する磁気接合及び磁気メモリの使用と矛盾しないものであることは当業者には明らかである。また、本方法及びシステムは、スピントランスファ現象、磁気異方性、及び他の物理現象における現状の理解の文脈において説明される。従って、方法及びシステムの挙動の理論的説明が、スピントランスファ、磁気異方性、及び他の物理現象の現状の理解に基づいて為されるものであることは当業者には容易に認識されるものである。しかしながら、本願で説明される方法及びシステムは特定の物理的説明に依拠するものではない。本方法及びシステムは、基板に対して特定の関係を有する構造の文脈において説明されることも当業者には容易に認識されるものである。しかしながら、本方法及びシステムは他の構造と矛盾しないものであることは当業者には容易に認識されるものである。更に、本方法及びシステムは、合成及び/又は単一なものである特定の層の文脈において説明される。しかしながら、層が他の構造を有することができることは当業者には容易に認識されるものである。更に、本方法及びシステムは、特定の層を有する磁気接合及び/又はサブストラクチャの文脈において説明される。しかしながら、本方法及びシステムと矛盾しない追加の層及び/又は異なる層を有する磁気接合及び/又はサブストラクチャも使用可能であることは当業者には容易に認識されるものである。更に、特定の構成要素は、磁性、強磁性、フェリ磁性であると説明される。本願において、磁性との用語は、強磁性、フェリ磁性、又はそのような構造を含み得る。従って、本願において、“磁性(磁気)”や“強磁性”との用語は、強磁性体、フェリ磁性体を含みが、それらに限定されるものではない。また、本方法及びシステムは、単一の磁気接合及びサブストラクチャの文脈において説明される。しかしながら、本方法及びシステムは、複数の磁気接合を有し複数のサブストラクチャを用いる磁気メモリの使用と矛盾しないことは当業者には容易に認識されるものである。更に、本願において、“面内”とは、磁気接合の一以上の層の実質的に面内にあるか、平行なことである。逆に、“面に垂直”又は“面外”は、磁気接合の一以上の層に実質的に垂直な方向に対応する。
【0013】
図2は、磁気メモリ又は他のデバイスにおいて使用可能な磁気接合100の例示的な実施形態を示す。例えば、磁気接合100は、磁気トンネル接合(MTJ)、スピンバルブ、バリスティック磁気抵抗構造、又はこれらの組み合わせであり得る。磁気接合100は多様な応用において使用可能である。例えば、磁気接合は、STT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用可能である。明確性のため、図2は縮尺通りではない。磁気接合100は、ピンド層110と、非磁性スペーサ層120と、自由層130とを含む。任意のピニング層102も示されていて、これは、PtMn等の反強磁性(AFM)層であり得る。層102、110、120、130は特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態において変化し得る。例えば、ピンド層110が磁気接合100の頂部(図示されていない基板から最も遠い)に存在し得る。簡単のため、存在し得るシード層及び/又はキャッピング層等の他の層は示されていない。
【0014】
非磁性スペーサ層120はトンネル障壁層であり得る。一部実施形態では、スペーサ層120はMgOである。このような一部実施形態では、非磁性スペーサ層120は結晶性MgOであり、磁気接合100のトンネル磁気抵抗(TMR,tunneling magnetoresistance)を増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、非磁性スペーサ層120が、例えば、絶縁性マトリクス中に導電性チャネルを含む粒状層等の他の構造を有し得る。
【0015】
図示される実施形態では、層110及び130の磁化111及び131は面内にある。しかしながら、他の配向も可能である。更に、自由層130の磁化は変更可能であり、その磁化が磁化容易軸131によって示される。磁気接合100は、自由層の磁化131が磁気接合に流される電流を用いてスイッチング可能であるように構成される。従って、磁気接合100は、スイッチングのためにスピントランスファトルクを利用する。一部実施形態では、磁気接合をスイッチングするために、スピントランスファトルクに加えて、又はこれに代えて、他の現象を用い得る。
【0016】
一部実施形態では、ピンド層110及び自由層130は強磁性体を含み得る。従って、層110及び130は、Ni、Fe及びCoのうち一つ以上を、特に合金として含み得る。一部実施形態では、層110及び130はCoFeを含む。層110及び130は、室温において安定であるように構成される。例えば、層110及び130の磁気異方性エネルギーは、kTの少なくとも60倍であり得る。層110及び130は単一層として示されているが、他の実施形態では、層110及び130の一以上が多重層であり得る。例えば、ピンド層110及び/又は自由層130は、Ru等の薄層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された磁性層を含むSAFであり得る。このようなSAFでは、Ru又は他の物質の層と交互配置された複数の磁性層が使用され得る。層110及び/又は130は他の多重層ともなり得る。
【0017】
ピンド層110及び/又は自由層130は半金属を含む。一部実施形態では、ピンド層110及び/又は自由層130は半金属から成る。他の実施形態では、ピンド層110及び/又は自由層130の多重層が半金属層を含む。例えば、ピンド層110及び/又は自由層130は、半金属を含むスペーサ層120との界面の層を有し得る。他の実施形態では、ピンド層110及び/又は自由層130は、一つ以上の半金属を含む合金であり得る。半金属は非常に高いスピン偏極を有し得る。スピン偏極(P)は、フェルミ準位における強磁性体のアップ(ダウン)スピンのパーセンテージからダウン(アップ)スピンのパーセンテージを引いたものとして定義可能である。Fe、Co、Ni及びこれらの合金等の多くの一般的な磁性体は、50%以下の低いPを有する。半金属は非常に高いP(100%近く)を有する強磁性体であり、一方のスピン配向において金属であり、他方のスピン配向において絶縁性である。発見されている半金属として、CrO、SrFeMoO、(La0.7Sr0.3)MnO、Fe、NiMnSbが挙げられる。使用可能な他の半金属として、T=XYZ型の全ての化合物が挙げられ、Xは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Ir、Pt、又はAuであり、Yは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Gd、Tb、Dy、Ho,Er、Tm、Yb、又はLuであり、Zは、Al、Si、Ga、Ge、As、In、Sn、Sb、Pb、Biである。また、半金属物質として、物質Mを加えてTM化合物を形成する上記Tの何らかの又は全ての化合物が挙げられて、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Ir、Pt、Au、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Ga、Ge、As、In、Sn、Sb、Pb、又はBiである。更に、酸化マンガン等の酸化半金属として、RE1−xMnOが挙げられて、xは1以下であり、Mは、Ca、Sr、Ba、又はPbであり、REは、希土類金属(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、又はLu等)、又はアルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、又はRa等)である。使用可能な他の酸化半金属として、二重ペロブスカイトAMM’Oが挙げられ、Aは、上述の希土類又はアルカリ土類金属(例えば、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、又はRa)であり、MとM’は二つの異なる元素であり、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Pt、Au、Hgから選択される。また、半金属としてCrO及びFeを挙げることができる。
【0018】
動作時には、書き込み電流が磁気接合100に流される。書き込み電流の方向に応じて、自由層130は、その磁化131が磁化111に平行又は反平行になるようにスイッチングされ得る。一部実施形態では、外部磁場等の磁場が、自由層をスイッチングさせたい方向に印加されて、自由層130のスイッチング特性を改善する。従って、自由層130はスピントランスファを用いてスイッチング可能である。磁気接合100によって記憶されたデータを読み出すため、読み出し電流を磁気接合100に流し得る。ピンド層110の磁化111及び自由層130の磁化131の相対的な配向に基づいて、磁気抵抗が提供される。
【0019】
磁気接合100は改善された性能を有し得る。高スピン偏極半金属物質が磁気接合の磁性層として使用されると、少数(完璧な半金属に対しては理論的にゼロ)のマイノリティスピンからの反対の角運動量の否定も小さくなり得る。反対の角運動量の減少は小さなスイッチング電流をもたらす。スイッチング電流は、スピントランスファを用いて自由層130の磁化をスイッチングするのに必要な電流である。スイッチング電流の減少は顕著なものとなり得る。一部実施形態では、35%のスピン偏極の物質から80%のスピン偏極の物質にした場合に、自由磁性層におけるコヒーレントな電子散乱を仮定すると、スイッチング電流は理論的には5分の1以下に減少し得る。
【0020】
図3は、磁気接合100’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図3は縮尺通りではない。磁気接合100’は、磁気接合100に類似している。そこで、類似する構成要素は同じようにラベル付されている。磁気接合100’は、第一のピンド層110’と、第一の非磁性スペーサ層120’と、自由層130’とを含み、これらは、第一のピンド層110、第一の非磁性スペーサ層120、自由層130に類似している。また、磁気接合100’は、第二の非磁性スペーサ層140及び第二のピンド層150も含む。第二の任意のピニング層160も提供され得る。
【0021】
層110’、120’、130’の構造及び機能はそれぞれ層110、120、130の構造及び機能に類似している。更に、追加の非磁性スペーサ層140及び追加のピンド層150が、任意のピニング層160と共に示されている。追加の非磁性スペーサ層140は、スペーサ層120’に類似している。非磁性スペーサ層140は、MgO等のトンネル障壁層であり得る。このような一部実施形態では、非磁性スペーサ層140は結晶性MgOである。他の実施形態では、非磁性スペーサ層140はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、非磁性スペーサ層140は他の構造を有し得て、例えば、絶縁性マトリクス中の導電性チャネルを含む粒状層を有し得る。
【0022】
追加のピンド層150はピンド層110’に類似している。ピンド層150の構造及び機能は、ピンド層110’のものに類似している。従って、ピンド層150の磁化151は固定されている。更に、ピンド層150は半金属を含み得る。従って、ピンド層110’、自由層130’、ピンド層150のうち一つ以上が半金属を含む。層110’、130’及び/又は150は、半金属から成り得て、半金属を含む一層以上の層を含み得て、又は半金属が含まれている他の構造を有し得る。
【0023】
磁気接合100’は、磁気接合100に類似する方法で動作する。磁気接合100’は、磁気接合100に類似する利点を享受する。例えば、層110、130’及び150のうち一つ以上における半金属の使用は、低いスイッチング電流をもたらし得る。従って、磁気接合100’の性能が改善し得る。更に、磁気接合100’は二重接合である。結果として、磁気接合100’のスピントランスファトルクが磁気接合100のものよりも大きくなり得る。従って、磁気接合100’の性能が増強され得る。
【0024】
図4は、磁気接合200の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図4は縮尺通りではない。磁気接合200は磁気接合100に類似している。そこで、同様の構成要素は同じ様にラベル付けされている。磁気接合200は、第一のピンド層210と、第一の非磁性スペーサ層220と、自由層230とを含み、これらはそれぞれ第一のピンド層110、第一の非磁性スペーサ層120、自由層130に類似している。
【0025】
層210、220及び230の構造及び機能はそれぞれ層110、120、130の構造及び機能に類似している。従って、非磁性スペーサ層220はトンネル障壁層であるか、導電層であるか、又は絶縁性マトリクス中に導電性チャネルを含む粒状層等の他の構造を有し得る。
【0026】
ピンド層210及び自由層230はそれぞれ層110、130に類似している。従って、層210及び230のうち一つ以上が半金属を含む。層210及び/又は230は半金属から成るか、半金属を含む一層以上の層を含むか、又は半金属が含まれる他の構造を有し得る。しかしながら、層210及び230の磁化は面に垂直である。
【0027】
磁気接合200は、磁気接合100に類似する方法で動作する。磁気接合200は磁気接合100に類似する利点を享受する。例えば、層210及び230のうち一つ以上における半金属の使用は、低いスイッチング電流をもたらし得る。従って、磁気接合200の性能が改善し得る。更に、磁化211及び231は面外に配向されている。従って、磁気接合200のスイッチングが低い電流で達成可能である。従って、磁気接合200の性能が更に改善され得る。
【0028】
図5は、磁気接合200’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図5は縮尺通りではない。磁気接合200’は磁気接合200に類似している。そこで、同様の構成要素は同じ様にラベル付けされている。磁気接合200’は、第一のピンド層210’と、第一の非磁性スペーサ層220’と、自由層230’とを含み、これらは第一のピンド層210、第一の非磁性スペーサ層220、自由層230に類似している。また、磁気接合200’は、第二の非磁性スペーサ層240及び第二のピンド層250も含む。
【0029】
層210’、220’及び230’の構造及び機能は、それぞれ層210、220、230の構造及び機能に類似している。更に、追加の非磁性スペーサ層240及び追加のピンド層250が示されている。追加の非磁性スペーサ層240はスペーサ層220’に類似している。非磁性スペーサ層240は、MgO(結晶性又はそれ以外)等のトンネル障壁層であるか、Cu等の導体であるか、又は例えば絶縁性マトリクス中に導電性チャネルを含む粒状層等の他の構造を有し得る。
【0030】
追加のピンド層250はピンド層210’に類似している。ピンド層250の構造及び機能は、ピンド層210’のものに類似し得る。従って、ピンド層250の磁化251は固定されている。更に、ピンド層250は半金属を含み得る。従って、ピンド層210’、自由層230’、及びピンド層250のうち一つ以上が半金属を含む。層210’、230’及び/又は250は、半金属から成るか、半金属を含む一層以上の層を含むか、半金属が含まれる他の構造を有し得る。
【0031】
磁気接合200’は磁気接合200に類似する方法で動作する。磁気接合200’は磁気接合200に類似する利点を享受する。例えば、層210’、230’及び250のうち一つ以上における半金属の使用は、面に垂直な配向のみの低いスイッチング電流をもたらし得る。従って、磁気接合200’の性能が改善し得る。更に、磁気接合200’は二重接合である。結果として、磁気接合200’のスピントランスファトルクが磁気接合100のものよりも大きくなり得る。従って、磁気接合200’の性能が増強され得る。
【0032】
図6は、磁気デバイス(例えばSTT‐RAM等の磁気メモリ)において使用される磁気接合300の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図6は縮尺通りではない。磁気接合300は、ピンド層310と、非磁性スペーサ層320と、自由層330とを含む。任意のピニング層304も示されていて、ピンド層310の磁化(図示せず)を固定するために使用され得る。一部実施形態では、任意のピニング層304は、交換バイアス相互作用によってピンド層310の磁化(図示せず)をピン留めするAFM層又は多重層であり得る。しかしながら、他の実施形態では、任意のピニング層304は省略可能であり、又は他の構造が使用され得る。更に、磁気接合300は、任意のシード層302及び/又は任意のキャッピング層340等の他の及び/又は追加の層を含み得る。また、磁気接合300は、書き込み電流が磁気接合に通された際に自由層330を安定磁気状態の間でスイッチングされることを可能にするように構成される。従って、自由層330はスピントランスファトルクを用いてスイッチング可能である。
【0033】
ピンド層310は磁性であり、Ni、Fe及びCoのうち一つ以上を特に合金として含み得る。単一層として示されているが、ピンド層310は複数の層を含み得る。例えば、ピンド層310は、Ru等の薄層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された複数の磁性層を含むSAFであり得る。このようなSAFでは、Ru又は他の物質の薄層と交互配置された複数の磁性層が使用され得る。また、ピンド層310は他の多重層ともなり得る。図6に磁化は示されていないが、自由層は、面外消磁エネルギーを超える垂直異方性エネルギーを有し得る。図示される実施形態では、磁化容易円錐の対称軸は実質的に自由層の面に直交している。他の実施形態では、自由層の垂直異方性は、面外消磁エネルギーよりも小さくなり得る。このような場合、磁化容易円錐の対称軸は実質的に自由層の面内にある。
【0034】
スペーサ層320は非磁性である。一部実施形態では、スペーサ層320は絶縁体であり、例えばトンネル障壁である。このような実施形態では、スペーサ層320は結晶性MgOを含み得て、磁気接合のトンネル磁気抵抗を増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、スペーサ層320は、例えば絶縁性マトリクス内に導電性チャネルを含む粒状層等の他の構造を有し得る。
【0035】
自由層330は磁性であり、Fe、Ni及び/又はCoのうち少なくとも一つを含み得る。自由層330は、スピントランスファによってスイッチング可能な変更可能磁化(図示せず)を有する。自由層330は単一層として示されている。他の実施形態では、後述のように、自由層330は他の層を含み得る。
【0036】
自由層330は磁化容易円錐磁気異方性を有する。磁化容易円錐異方性は図6の磁化Mによって示されている。磁化容易円錐異方性によって、自由層330の総磁化は、磁気接合100の層の面に垂直な方向(つまり、図6のz軸)から或る角度において同じエネルギーの安定状態を有する。その角度は、z軸から90度未満である。従って、面に垂直な磁化成分が存在する。図示される実施形態では、磁化容易円錐の対称軸はz方向に沿っている。しかしながら、他の実施形態では、磁化容易円錐の対称軸は、他の方向であり、例えば、面内のx又はy方向に沿っている。
【0037】
磁化容易円錐異方性は以下のように理解され得る。磁化容易円錐異方性について、磁気異方性エネルギーは、磁気接合300の面の垂線において又はその近くにおいて極大値(局所的な最大値)を有する。図示される実施形態では、極大値はz軸からゼロ度又はその近くにある。一部実施形態では、極大値は、kTの少なくとも10倍であり、kはボルツマン定数であり、Tは磁気接合の動作温度である。他の実施形態では、極大値はkTの少なくとも20倍である。更に、磁気異方性エネルギー345は、極大値から或る角度に極小値を有する。自由層330の磁化は、極小値に沿って安定である。従って、図6の磁化及びエネルギーに見て取れるように、自由層の磁化は、z軸周りの或る角度において安定である。これらの安定状態は、磁気接合300の層の面の垂線周りの円錐を形成する。従って、自由層330の磁気異方性が、“磁化容易円錐異方性”と称される。
【0038】
ピンド層310及び/又は自由層330は半金属を含む。一部実施形態では、ピンド層310及び/又は自由層330は半金属から成る。他の実施形態では、ピンド層310及び/又は自由層330の多重層が半金属層を含む。この限りにおいて、層310及び330はそれぞれ層110、130に類似している。例えば、ピンド層310及び/又は自由層330は、半金属を含む自由層320との界面の層を有し得る。他の実施形態では、ピンド層310及び/又は自由層330は、一つ以上の半金属を含む合金であり得る。使用可能な半金属物質として、上述の半金属物質の一つ以上を挙げることができる。
【0039】
自由層330の磁化容易円錐異方性の導入は、自由層330のスイッチング特性を改善し得る。磁化容易円錐異方性によって、自由層330の磁化は、磁気接合300の層の垂線との整列から傾いた(例えばz軸から傾いた)安定状態を有し得る。この初期のゼロではない角度は、自由層330の磁化をスピントランスファトルクによってより簡単にスイッチングすることを可能にする。この特性は、低い書き込みエラー率(WER,write error rate)に相当する。低いWERは、小さなパルス幅(高いデータ転送速度)においても達成可能である。特に、書き込みエラー率対書き込み電流の傾きは、10ns以下のパルス幅に対しても十分大きなままであり得る。一部実施形態では、10−9以下の許容可能な書き込みエラー率が、10〜30ns又はそれ以下のパルス幅に対して達成可能である。従って、外場等の機構を用いてスイッチングを促進する代わりに、磁化容易円錐異方性が、高エラー率の物理的原因に対処する。従って、自由層330は、低パルス幅に対しても改善された書き込みエラー率を有し得る。
【0040】
磁気接合300の他の特性も増強され得る。磁気接合300の熱安定性及び対称性が悪影響を受けなくなり得る。z軸からゼロ度における磁気異方性エネルギーが、kTの20倍以上となり得る。z軸から90度の全体における最大値が、kTの少なくとも60倍となる。一部実施形態では、この全体における最大値がkTの少なくとも80倍以上となる。この大きさの全体における最大値は、磁気接合300の熱安定性を保証するのに十分である。更に、外部磁場が磁気接合300をスイッチングするのに必要ではないので、磁気接合300がより高いメモリ密度に対してより良くスケーリング可能となる。従って、磁気接合300及びその磁気接合300を用いたメモリの性能及び柔軟性が改善され得る。
【0041】
性能は、半金属の使用によって更に増強可能である。特に、スイッチング電流が、ピンド層310及び/又は自由層330における半金属の存在によって、更に低減可能である。従って、接合300の性能が更に増強可能となる。
【0042】
磁化容易円錐異方性を、多種多様な方法で自由層330内に得ることができる。図7は、磁気接合300において使用可能となり得る他の自由層330’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図7は縮尺通りではない。自由層330’は、自由層330に類似していて、同様の構造を含む。自由層330’は、負垂直異方性層331と、任意の垂直異方性層335と、高垂直異方性層333と、相互作用制御層332と、任意の相互作用制御層334とを含む。他の実施形態では、自由層330’は他の数の層を有し得る。強磁性層が非磁性の相互作用制御層と交互にされる。更に、負異方性層が、高異方性層と交互にされる。例えば、層330’が、三つの層のみを含む場合、層331、332及び333が含まれる。層330’が二つの追加層を含む場合、相互作用制御層が、負垂直異方性層335と高垂直異方性層(図示せず)とを分離する。
【0043】
図示される実施形態では、二つの磁性層331及び335が負垂直異方性Hを有する。従って、それ自体によって、これらの層の磁化は、フィルムの面内に留まる。一部実施形態では、層331及び335は、部分的垂直異方性の影響を含み得る。言い換えると、層331及び335の垂直異方性は高いが、面外消磁エネルギーを超えるには十分でない。部分的垂直異方性は、z方向に沿ってこの層の磁化を飽和させるのに必要な磁場を低減する。一部実施形態では、部分垂直異方性磁場は、少なくとも4πMの20パーセントであり、4πMの90パーセント以下である。他の磁性層333は高垂直異方性Hを有する。一部実施形態では、高垂直異方性の大きさは、磁気接合のサイズに依存する。例えば、直径100ナノメートルのオーダの直径を有する大きな磁気接合に対して、その大きなHは、1000エルステッド(1kOe)以上となり得る。対照的に、10ナノメートルのオーダの直径を有する小さな磁気接合300に対しては、自由層の厚さ及び飽和磁化に依存して、Hは、略5000エルステッド(5kOe)又はそれ以上となる。層331、333及び335は強磁性であり、Fe、Co及びNiのうち一つ以上を含む。他の物質として、B、Ta、Cs、Zr、Pt、Pd、Tb及び/又はRu(これらに限られない)が挙げられ、これらの他の物質も層331、333及び335に含まれ得る。更に、層331、333、335のうち一つ以上が上述の半金属を含み得る。同じ又は異なる物質が、層331、333及び335に対して使用可能である点は留意されたい。層331、333及び335並びに交換相互作用制御層332及び334に使用される物質及び/又は厚さの組み合わせは、所望の異方性が層331、333及び335に生じるように調整可能である。自由層330’において、高垂直異方性層333は、二つの負異方性層331及び335の間に挟まれる。結果として、自由層330’が磁化容易円錐異方性を有し得る。従って、磁気接合において使用される場合、自由層330’が、熱安定性、スケーラビリティ、低い臨界スイッチング電流を犠牲にせずに、改善された書き込みエラー率を有し得る。更に、臨界スイッチング電流は、層331、333及び335のうち一つ以上における半金属の使用によって更に低減可能である。
【0044】
図8は、磁化容易円錐異方性を有する自由層を含む他の磁気接合300’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図8は縮尺通りではない。磁気接合300’はSTT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用され得る。磁気接合300’は磁気接合300に類似していて、同様の構造を含む。磁気接合300’は、任意のシード層302’と、任意のピニング層304’と、ピンド層310’と、非磁性スペーサ層320’と、自由層330”と、任意のキャッピング層340’とを含み、これらはそれぞれ任意のシード層302、任意のピニング層304、ピンド層310、非磁性スペーサ層320、自由層330、任意のキャッピング層340に類似している。更に、磁気接合300’は、追加の非磁性スペーサ層350と、追加のピンド層360と、追加で任意のピニング層370とを含む。従って、磁気接合300’は二重接合である。追加の非磁性スペーサ層350、追加のピンド層360、追加で任意のピニング層370は、非磁性スペーサ層320/320’、ピンド層310/310’、任意のピニング層304/304’に類似している。ピンド層360も、一つ以上の半金属を含み得る。従って、磁気接合300’は接合300の利点を共有し得る。更に、磁気接合300’が、二重トンネル接合等の二重接合となり得るので、磁気接合300’のスイッチング電流が低減され得て、スイッチング特性が改善される。
【0045】
図9は、磁気メモリ又は他のデバイスに使用可能な磁気接合400の例示的な実施形態を示す。例えば、磁気接合400は、磁気トンネル接合(MTJ)、スピンバルブ、バリスティック磁気抵抗構造、又はこれらの組み合わせであり得る。磁気接合400は多様な応用において使用され得る。例えば、磁気接合は、STT‐RAM等の磁気メモリにおいて使用され得る。明確性のため、図9は縮尺通りではない。磁気接合400は、第一のピンド層410と、第一の非磁性スペーサ層420と、自由層430と、第二の非磁性スペーサ層440と、第二のピンド層450と、バイアス構造460とを含む。バイアス構造460は、磁気バイアス層480と、非磁性スペーサ層470と、バイアス層480の磁化を所望の方向に固定するのに使用可能な任意のAFM層490とを含む。非磁性スペーサ層470は、ピンド層450と磁気バイアス層480との間の磁気交換結合を低減又は破るように構成される。一部実施形態では、非磁性層は、Ta、Ru及び/又はMgOを含み得る。他の実施形態では、他の物質が使用可能である。代替実施形態では、層450と480との間の交換結合が異なる方法で破られ得る。層410、420、430、440、450、470及び480は特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態においては変更可能である。例えば、ピンド層410が磁気接合400の頂部(図示されていない基板から最も遠い)に存在し得る。
【0046】
ピンド層410及び450並びに自由層430は強磁性である。従って、層410、430及び450は、Ni、Fe及びCoのうち一つ以上を特に合金として含み得る。一部実施形態では、層410、430及び/又は450はCoFeを含む。このような一部実施形態では、層410、430及び450はCoFeBから成る。層410、430及び450のうち一つ以上は上述のような半金属を含む。一部実施形態では、層410、430及び/又は450は半金属から成る。他の実施形態では、層410、430及び/又は450の多重層が半金属層を含む。この限りにおいて、層410、430及び/又は450は層110及び130に類似している。例えば、層410、430及び/又は450は、半金属を含むスペーサ層420及び/又は440との界面の層を有し得る。他の実施形態では、層410、430及び/又は450は、一つ以上の半金属を含む合金であり得る。使用可能な半金属物質として、上述の半金属物質の一つ以上を挙げることができる。
【0047】
層410、430及び450は、室温において安定であるように構成される。例えば、層410、430及び/又は450の磁気異方性エネルギーは、kTの少なくとも60倍であり得る。一部実施形態では、層410、430及び/又は450の磁気異方性エネルギーは、室温(略30℃)においてkTの少なくとも80倍である。層410、430及び/又は450は単一層として示されているが、他の実施形態では、層410、430及び/又は450のうち一つ以上が多重層となり得る。例えば、ピンド層410及び/又は自由層430が、Ru等の薄層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された磁性層を含むSAFであり得る。このようなSAFでは、Ru又は他の物質の薄層と交互配置された複数の磁性層が使用され得る。層410、430及び/又は450は他の多重層にもなり得る。
【0048】
ピンド層410及び自由層430は磁性であり面内のものである。ピンド層410は磁化411を有する。自由層430の変更可能磁化が磁化容易軸431で示されている。従って、参照番号431は、自由層430の磁化容易軸及び磁化の両方を示すものとして用いられている。層410の磁化411及び層430の磁化411は実質的に面内にある。従って、層410及び430の面外消磁エネルギーが面外異方性を超える。面外消磁場は大きなセルに対して4πMに近づくが、縁部において減少した消磁場によって小さなセルに対しては一般的に4πM未満である。
【0049】
自由層430の磁化431は面内にあるが、一部実施形態では、自由層430が高垂直異方性を有する。言い換えると、自由層430は弱面内のものとなり得る。例えば、このような一部実施形態では、自由層430の垂直異方性エネルギーが、面外消磁エネルギーに近づくがそれ未満となり得る。例えば、垂直異方性エネルギーは面外消磁エネルギーの少なくとも40パーセントとなり得る。このような一部実施形態では、垂直異方性エネルギーが、面外消磁エネルギーの少なくとも80パーセントとなり得る。また、一部実施形態では、垂直異方性エネルギーが消磁エネルギーの90パーセント以下となり得る。高垂直異方性は多様な方法で得ることができて、非磁性層スペーサ層420及び/又は440として又はこれに加えてMgO等の所望のキャッピング層を使用することが挙げられるがこれに限られるものではない。自由層430は、例えばドーピングや多重層の使用によって高減衰も有し得る。自由層430も、半金属強磁性体を用い得て、又はスピントランスファ、磁気抵抗及び/又は他の所望の特性を改善する他の物質を用い得る。最後に、磁気接合400は、自由層の磁化431が磁気接合に流される電流を用いてスイッチング可能であるように構成される。従って、磁気接合400は、スピントランスファトルクを利用する。一部実施形態では、磁気接合をスイッチングするため、スピントランスファトルクに加えて又はこれに代えて、他の現象が使用され得る。
【0050】
非磁性スペーサ層420及び440は、導電性であるか、トンネル障壁層であるか、導電性チャネルを有する絶縁層であるか、又は磁気接合400が磁気抵抗を有する他の非磁性層であり得る。一部実施形態では、スペーサ層420及び/又は440はMgOである。このような一部実施形態では、非磁性スペーサ層420及び/又は440が結晶性MgOであり、磁気接合400のトンネル磁気抵抗(TMR)を増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層420及び/又は440はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、非磁性スペーサ層420及び/又は440は他の構造を有し得て、例えば絶縁性マトリクス内に導電性チャネルを含む粒状層を有し得る。
【0051】
バイアス構造460は、磁化容易軸431に実質的に垂直であり自由層430において面内にある自由層430における磁気バイアスを提供する。図示される実施形態では、磁気バイアスはバイアス層480によって提供される。従って、バイアス層480は、自由層430の磁化容易軸431に垂直であって面内にある磁化481を有する。言い換えると、バイアス層の磁化481は、自由層430の磁化困難軸に沿っている。一部実施形態では、磁気バイアスは、自由層430の異方性エネルギーの少なくとも20パーセント且つ60パーセント以下の磁気エネルギーを有する。
【0052】
動作時には、書き込み電流が磁気接合400に流される。発生するスピントランスファトルクは、自由層430の磁化を、磁化容易軸431から更に離れて傾斜させ得る。従って、自由層の消磁場はゼロではない。そして、自由層430の磁化が消磁場周りで歳差運動する。そして、書き込み電流が取り除かれ得る。バイアス構造460(より具体的にはバイアス層480)が発生させる静バイアス磁場が自由層430に依然として作用する。磁化困難軸に沿って向いたこのバイアス磁場は、自由層430の磁化を面内に戻すのを補助する。バイアス層480からの磁場(図示せず)の存在によって、自由層430の歳差磁化が面内に戻る。より具体的には、書き込み電流が磁気接合400から取り除かれると、自由層430の磁化は面内位置に戻る傾向にある。これは、バイアス層480が発生させるバイアス磁場に因るものである。バイアス構造460によるバイアス磁場が十分に強いと、自由層430は所望の状態に再現可能にスイッチングする。このような実施形態では、バイアス磁場は自由層430の少なくとも20パーセントである。他の実施形態では、書き込み電流が特定の時間で取り除かれない限り、磁気接合400が再現可能にスイッチングしなくなり得る。しかしながら、静バイアス磁場の印加が、電流を取り除くことに対する時間のマージンを依然として増加させる。従って、確実なスイッチングが、書き込み電流のタイミングに対する緩和された許容誤差で達成可能である。
【0053】
磁気接合400によって記憶されたデータを読み出すため、読み出し電流が磁気接合400に流され得る。ピンド層410の磁化411及び自由層430の磁化431の相対的な配向に基づいて、磁気抵抗が提供される。
【0054】
磁気接合400は改善された特性を有し得る。磁気接合400は歳差運動スイッチングを利用している。従って、磁気接合400は改善された(高速)スイッチング時間を有し得る。一部実施形態では、スイッチング時間は、50から100ピコ秒のオーダである。上述のように、バイアス構造460によるバイアス磁場の存在は、スピントランスファトルクを用いた自由層4630の歳差運動スイッチングをより確実なものにし得る。より具体的には、自由層430の磁化がより確実に面内に戻され得て、及び/又は、書き込み電流の取り除きのタイミングに対するマージンが増大し得る。更に、バイアス磁場は、磁気バイアス層480からの静磁場である。従って、磁気バイアスが、デバイスの断面のサイズにスケーリングする。従って、小さなサイズに対する磁気接合400のスケーラビリティが改善され得る。例えば、自由層430の減衰の増加は、臨界スイッチング電流を変化させず、自由層430の磁化をその最終状態にトラップすることを簡単にする。従って、スイッチングがより確実なものになり得る。自由層430の垂直異方性も増大し得る(面外消磁エネルギー以下に留まることによって)。このような実施形態では、例えば書き込み電流の取り除きのタイミングに対するマージンが増大することによって、スイッチングの信頼性も増強され得る。層410、430及び/又は450における半金属の使用も、臨界スイッチング電流を低減させ得る。従って、磁気接合400の性能が改善され得る。
【0055】
図10A〜10Bは、歳差運動スイッチングを用いた磁気接合500の例示的な実施形態の斜視図及び平面図を示す。明確性のため、図10A〜10Bは縮尺通りではない。磁気接合500は、自由層510と、非磁性スペーサ層520と、ピンド層530とを含む。層510、520及び530は特定の配向で示されているが、この配向は他の実施形態において変更可能である。例えば、自由層510が磁気接合500の頂部(図示されていない基板から最も遠い)に近づき得る。単一層として示されているが、自由層510は複数の層を含み得る。例えば、ピンド層は、Ru等の薄層を介して反強磁性的又は強磁性的に結合された磁性層を含むSAFであり得る。このようなSAFでは、Ru又は他の物質の薄層と交互配置された複数の磁性層が使用され得る。自由層510は他の多重層ともなり得る。
【0056】
自由層510は、磁化容易軸511によって示される磁化を有する。自由層510は自由層430に類似している。例えば、自由層510は、SAFであり、高垂直異方性を有し、及び/又は、高減衰を有し得る。スペーサ層520は非磁性である。一部実施形態では、スペーサ層520は絶縁体であり、例えばトンネル障壁である。このような実施形態では、スペーサ層520が結晶性MgOを含み得て、磁気接合のTMRを増強し得る。他の実施形態では、スペーサ層はCu等の導体であり得る。代替実施形態では、スペーサ層520は他の構造を有し得て、例えば絶縁性マトリクス内に導電性チャネルを含む粒状層を有し得る。
【0057】
ピンド層530は、そのピンド層530にわたって変化する磁化531を有する。一部領域では磁化が面内にある一方、他の領域では磁化が面に垂直である。図示される実施形態では、ピンド層530の中心部が面内磁化を有する一方、ピンド層530の縁部が面に垂直なものである。これは、例えば高垂直異方性を有することによって、達成可能である。一部実施形態では、垂直異方性は、消磁エネルギーの少なくとも85%であって且つ100%未満である。
【0058】
層510及び/又は530は半金属を含む。一部実施形態では、層510及び/又は530が半金属から成る。他の実施形態では、層510及び/又は530の多重層が半金属層を含む。この限りにおいて、層510及び/又は530は層110及び130に類似している。例えば、層510及び/又は530は、半金属を含むスペーサ層520との界面の層を有し得る。他の実施形態では、層510及び/又は530は一つ以上の半金属を含む合金であり得る。使用可能な合金として、上述の半金属物質のうち一つ以上が挙げられる。
【0059】
ピンド層530の磁化がそのピンド層530にわたって変化するので、ピンド層530は、図9のピンド層410及び450の組み合わせとして機能し得る。特に、面外磁化を有する縁部が、磁気接合400のピンド層450に類似した方法で歳差運動スイッチングを増強し得る。ピンド層530の中心部は、読み出しに用いられるピンド層530の部分であるとみなされる。言い換えると、ピンド層530の中心部の磁化に対する自由層510の磁化の配向が、磁気接合500の磁気抵抗を生じさせる。
【0060】
磁気接合500が歳差運動スイッチングを用いることができるので、高速スイッチングが達成可能である。更に、少ない数の層が使用されるので、処理が単純化され得る。また、半金属の使用がスイッチング電流を低減し得る。
【0061】
図11は、磁気接合500’の例示的な実施形態を示す。明確性のため、図11は縮尺通りではない。磁気接合500’は磁気接合500に類似している。そのため、類似の構成要素は同じ様にラベル付けされている。磁気サブストラクチャ500’は、自由層510’と、第一の非磁性スペーサ層520’と、ピンド層530’とを含み、これらはそれぞれ自由層510、非磁性スペーサ層520、ピンド層530に類似している。ピンド層550も上述のような半金属を含み得る。更に、磁気接合500’は、追加の非磁性スペーサ層540及び追加のピンド層550も含む。従って、磁気接合500’は二重接合である。磁気接合500’は磁気接合500の利点を共有する。例えば、歳差運動スイッチングが達成可能である。
【0062】
磁気接合100、100’、200、200’、300、300’、400、500及び/又は500’は磁気メモリにおいて使用可能である。図12は、このようなメモリ600の例示的な実施形態を示す。磁気メモリ600は、読み出し/書き込みコラム選択ドライバ602及び606と、ワードライン選択ドライバ604とを含む。他の及び/又は異なる構成要素も提供され得る点に留意されたい。メモリ600のストレージ領域は、磁気ストレージセル610を含む。各磁気ストレージセルは、少なくとも一つの磁気接合612と、少なくとも一つの選択デバイス614とを含む。一部実施形態では、選択デバイス614はトランジスタである。磁気接合612は、磁気接合100、100’、200、200’、300、300’、400、500及び/又は500’のうち一つであり得る。一つの磁気接合612及び一つの選択デバイス614がセル610毎に示されているが、他の実施形態では、違う数の磁気接合612及び/又は614がセル毎に提供され得る。このようにして、磁気メモリ600は、高速で確実なスイッチングや、低い臨界スイッチング電流等の上述の利点を享受し得る。
【0063】
図13は、磁気サブストラクチャを製造するための方法700の例示的な実施形態を示す。簡単のため、一部のステップが省略又は組み合わせられ得る。方法700は、磁気接合100に関して説明される。しかしながら、方法500は、接合100、100’、200、300、300’、400、500及び/又は500’等の他の磁気接合、及び/又は自由層330’に対しても使用可能である。更に、方法700は、磁気メモリ600等の磁気メモリの製造に組み込まれ得る。従って、方法700は、STT‐RAM又は他の磁気メモリの製造に使用可能である。方法700は、シード層(図示せず)及び任意のピニング層102が提供された後に、開始し得る。
【0064】
ステップ702で、ピンド層110が提供される。ステップ702は、ピンド層100の所望の厚さの所望の物質を堆積させることを含み得る。更に、ステップ702は、SAFを提供することを含み得る。一部実施形態では、ピンド層110を提供するステップは、半金属を堆積させることを含む。ステップ704で、非磁性層120が提供される。ステップ704は、所望の非磁性物質を堆積させることを含み得て、その非磁性物質として結晶性MgOが挙げられるが、これに限られるものではない。更に、ステップ702において、所望の厚さの物質が堆積され得る。
【0065】
ステップ706で、自由層130が提供される。一部実施形態では、ステップ706は、多重層、SAF、及び/又は他の構造を堆積させることによって、完了し得る。一部実施形態では、自由層130を提供するステップは、半金属を堆積させることを含む。そして、ステップ708で製造が完了する。例えば、追加のスペーサ層140、追加のピンド層150、及び/又は任意で追加のピニング層460が提供され得る。磁気接合の層が積層体として堆積されて形成される一部実施形態では、ステップ708は、磁気接合100を形成して、アニーリングを実施して、磁気接合100の製造を完了することを含み得る。更に、磁気接合100がSTT‐RAM400等のメモリ内に組み込まれる場合、ステップ708は、コンタクト、バイアス構造、メモリ400の他の部品を提供することを含み得る。
【0066】
従って、磁気接合100、100’、200、200’、300及び/又は300’が形成される。結果として、磁気接合の利点を得ることができる。
【0067】
磁気接合とその磁気接合を用いて製造されたメモリについて説明してきた。方法及びシステムは、図示された例示的な実施形態に従って説明されてきたが、当業者は、それら実施形態のバリエーションが存在し、あらゆるバリエーションが本方法及びシステムの精神及び範囲内に存在することを容易に理解するものである。従って、多くの変更が、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱せずに、当業者によって為され得る。
【符号の説明】
【0068】
100 磁気接合
102 ピニング層
110 ピンド層
120 非磁性スペーサ層
130 自由層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気デバイスに使用される磁気接合であって、
ピンド層磁化を有するピンド層と、
非磁性スペーサ層と、
磁化容易軸を有する自由層とを備え、
前記非磁性スペーサ層が前記ピンド層と前記自由層との間の存在し、前記自由層及び前記ピンド層のうち少なくとも一方が少なくとも一つの半金属を含み、
前記磁気接合が、書き込み電流が前記磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間でスイッチング可能であるように構成されている、磁気接合。
【請求項2】
前記自由層の磁化容易軸が面に垂直である、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項3】
前記自由層の磁化容易軸が面内にある、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項4】
前記少なくとも一つの半金属が、CrO、SrFeMoO、(La0.7Sr0.3)MnO、Fe、NiMnSbのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項5】
前記少なくとも一つの半金属がT=XYZを含み、Xが、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Ir、Pt及びAuから選択され、Yが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択され、ZがAl、Si、Ga、Ge、As、In、Sn、Sb、Pb及びBiから選択されている、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項6】
前記少なくとも一つの半金属がTMを含み、T=XYZであり、XがMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Ir、Pt及びAuから選択され、YがTi、V、Cr、Mn、Fe、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択され、ZがAl、Si、Ga、Ge、As、In、Sn、Sb、Pb及びBiから選択され、MがMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Ir、Pt、Au、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Y、Zr、Nb、Hf、Ta、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Ga、Ge、As、In、Sn、Sb、Pr及びBiから選択されている、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項7】
前記少なくとも一つの半金属がRE1−xMnOを含み、xが1以下であり、MがCa、Sr、Ba又はPbであり、REが希土類金属及びアルカリ土類金属から選択されている、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項8】
前記希土類金属がLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択されている、請求項7に記載の磁気接合。
【請求項9】
前記アルカリ土類金属がBe、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択されている、請求項7に記載の磁気接合。
【請求項10】
前記少なくとも一つの半金属が少なくとも一つの二重ペロブスカイトAMM’Oを含み、Aが希土類金属及びアルカリ土類金属から選択され、M及びM’がSc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Pt、Au及びHgから選択された二つの異なる元素である、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項11】
前記希土類金属がLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択されている、請求項10に記載の磁気接合。
【請求項12】
前記アルカリ土類金属がBe、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択されている、請求項10に記載の磁気接合。
【請求項13】
前記少なくとも一つの半金属がCrO及びFeのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項14】
前記自由層が磁化容易円錐磁気異方性を更に有する、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項15】
前記自由層が、高垂直異方性層と、負垂直異方性層と、前記高垂直異方性層と前記負垂直異方性層との間の相互作用制御層とを更に含み、前記高垂直異方性層及び前記負垂直異方性層が前記磁化容易円錐磁気異方性を提供する、請求項14に記載の磁気接合。
【請求項16】
前記ピンド層が、ピンド層磁化を有し、且つ中心部と、第一の縁部と、第二の縁部とを有し、前記非磁性スペーサ層が前記自由層と前記ピンド層との間に存在し、前記ピンド層磁化が少なくとも前記第一の縁部及び前記第二の縁部において実質的に面に垂直であり、前記中心部において実質的に面内にあるように、前記ピンド層磁化が前記ピンド層にわたって変化している、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項17】
前記ピンド層が、面外消磁エネルギーと、前記面外消磁エネルギーの少なくとも85パーセントの垂直異方性とを有する、請求項16に記載の磁気接合。
【請求項18】
追加の非磁性スペーサ層と、
追加のピンド層とを更に備え、
前記自由層が前記追加の非磁性スペーサ層と前記非磁性スペーサ層との間に存在し、
前記追加の非磁性スペーサ層が前記自由層と前記追加のピンド層との間に存在している、請求項1に記載の磁気接合。
【請求項19】
前記自由層において磁気バイアスを提供するバイアス構造を更に備え、
前記バイアス構造が、前記追加のピンド層から実質的に交換分離された磁気部分を有し、前記磁気バイアスが前記自由層の磁化容易軸に実質的に垂直であり、
前記磁気接合が、書き込み電流が前記磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間でスイッチング可能であるように構成されている、請求項18に記載の磁気接合。
【請求項20】
前記バイアス構造が、前記追加のピンド層に接する非磁性層と、バイアス層磁化を有するバイアス層とを含み、前記バイアス層磁化が、前記自由層の磁化容易軸に実質的に垂直であり且つ面内にある、請求項19に記載の磁気接合。
【請求項21】
前記ピンド層が、ピンド層磁化を有し、且つ中心部と、第一の縁部と、第二の縁部とを有し、前記非磁性スペーサ層が前記自由層と前記ピンド層との間に存在し、前記ピンド層磁化が少なくとも前記第一の縁部及び前記第二の縁部において実質的に面に垂直であり、前記中心部において実質的に面内にあるように、前記ピンド層磁化が前記ピンド層にわたって変化している、請求項18に記載の磁気接合。
【請求項22】
複数の磁気ストレージセルと、
複数のビットラインとを備えた磁気メモリであって、
前記複数の磁気ストレージセルの各々が少なくとも一つの磁気接合を有し、前記少なくとも一つの磁気接合が、ピンド層磁化を有するピンド層と、非磁性スペーサ層と、磁化容易軸を有する自由層とを含み、前記磁性スペーサ層が前記ピンド層と前記自由層との間に存在し、前記自由層及び前記ピンド層のうち少なくとも一方が少なくとも一つの半金属を含み、前記磁気接合が、書き込み電流が前記磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間でスイッチング可能であるように構成されている、磁気メモリ。
【請求項23】
磁気デバイスに使用される磁気接合を提供するための方法であって、
ピンド層磁化を有するピンド層を提供するステップと、
非磁性スペーサ層を提供するステップと、
磁化容易軸を有する自由層を提供するステップとを備え、
前記非磁性スペーサ層が前記ピンド層と前記自由層との間に存在し、前記自由層及び前記ピンド層のうち少なくとも一方が少なくとも一つの半金属を含み、
前記磁気接合が、書き込み電流が前記磁気接合に流された際に前記自由層が複数の安定磁気状態の間でスイッチング可能であるように構成される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−21328(P2013−21328A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−152375(P2012−152375)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】