説明

合流支援装置

【課題】合流結果の状況を高い精度で予測して的確な情報を自車両の運転者に提示し、合流の際の運転者による運転操作を適切に支援することができるようにする。
【解決手段】コントローラ1が、自車両の合流挙動特性を学習し、その学習値に基づいて自車両運転者が直ちに運転行動を実行した場合の結果状況を予測して、その危険度を算出する。そして、情報提示装置9が、コントローラ1により算出された合流結果の危険度を表す情報を自車両運転者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際の運転者による運転操作を支援する合流支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際に、例えば最適な合流タイミングなどの情報を自車両の運転者に提示して、合流時における運転操作を支援する合流支援装置が提案されている(例えば、特許文献1等を参照。)。
【特許文献1】特開平10−105884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自車両が合流車線から本線車線に合流する際の最適な合流タイミングを求めるには、自車両が合流を実行した結果、本線車線上で自車両と自車両前後を走行する周囲車両とがどのような状況となるかを的確に予測する必要がある。そして、このような合流結果の状況は、自車両の合流の際の挙動特性によっても大きな差が生じるため、合流結果の状況を的確に予測するには、自車両の合流挙動特性についても考慮しておく必要がある。なお、自車両の合流挙動特性は、自車両の運転者による合流時の運転操作の特性と、自車両の加減速特性、操舵特性などの車両固有の特性とから決まるものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の合流支援装置をはじめとして、従来のこの種の合流支援装置では、自車両の合流挙動特性については考慮されていないため、合流結果の状況の予測精度が十分でなく、必ずしも満足のいく情報の提示が行われていないといった問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点を解消すべく創案されたものであって、合流結果の状況を高い精度で予測して的確な情報を自車両の運転者に提示し、合流の際の運転者による運転操作を適切に支援することができる合流支援装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る合流支援装置は、合流車線を走行している自車両が本線車線への合流を直ちに実行した場合の合流終了時点における自車両の状況及び周囲車両の状況を予測して、その予測結果に応じて危険度を算出し、算出した危険度を表す情報を自車両の運転者に提示することを基本とする。そして、特に本発明に係る合流支援装置では、自車両が合流を実行するたびに自車両の合流挙動特性を学習して、合流の結果の状況を予測する際には、自車両や周囲車両の状況、道路状況などに応じた現在の合流環境と、自車両の合流挙動特性の学習値とに基づいて、合流結果の状況を予測するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る合流支援装置によれば、自車両の合流挙動特性を加味して合流結果の状況が高精度に予測され、その予測結果に応じた危険度を表す情報が自車両の運転者に提示されるので、自車両の運転者は、自分の運転特性や自車両の車両特性などに応じた合流結果を的確に把握しながら、最適なタイミングで合流を実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[本発明の概要]
本発明は、自車両の運転者がアクションを起こし、運転行動に対して変化を起こそうとする場合に、その結果生じる状況を高精度に予測して危険度を算出し、その危険度を表す情報を提示することで、自車両の運転者が今アクションを起こすべきか否か戦術的な判断を行うことができるようにすることを狙いとしたものである。そのためには、状況により様々に変化する運転者のアクションに応じた自車両の挙動特性を学習し、その情報を元に将来的状況を予測することが重要であり、本発明に係る合流支援装置は、この考え方を合流場面において適用したものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る合流支援装置は、合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する合流場面において、今、合流(合流車線から本線車線への車線変更)を実行した場合に、その結果として生じる状況、すなわち、合流終了時点における本線車線上の自車両の状況や自車両の前後を走行する周囲車両の状況を予測して危険度を判断し、危険度を表す情報を自車両の運転者に提示する。このとき、合流結果の状況の予測は、合流(合流車線から本線への車線変更)時の実行開始から終了までの時間や、操舵特性(車両軌跡)、速度変化などの自車両の合流挙動特性を学習し、その学習値を用いて予測を行う。これらの挙動特性は、周囲の状況により変わるため、周辺状況によりパターン分けを行い、パターン毎に学習を行っていく。
【0010】
本実施形態では、合流において自車両の運転者の運転行動を左右する最も大きな要因を、本線車線上を走行している周囲車両の自車両に対する衝突余裕時間(TTC:Time to Collision:相対距離を相対速度で除したもの)と捉えている。一般的にみられる特質として、本線車線上の周囲車両とのTTCが短いとき、自車両の運転者は急いで本線車線に入ろうとする。一方、本線車線上の周囲車両とのTTCが長いときには、自車両の運転者は余裕を持って自分のリズムでゆっくり本線車線に入ろうとする。このような運転者の特質に鑑み、本実施形態の合流支援装置では、本線車線上の周囲車両とのTTCに応じた運転者の運転特性変化に応じた自車両の合流挙動特性を学習することを基本とする。但し、合流場面において自車両の合流挙動特性を左右するものはこれだけではなく、様々な要因が関係してくる。そこで、本実施形態の合流支援装置では、本線車線上の周囲車両とのTTCの他に、合流車線内での自車両の合流実行位置、本線車線の混雑状況、自車両の速度、合流車線の形状などの様々な状況も考慮して、これらの状況で識別される合流環境に応じてパターン分けを行い、自車両の合流挙動特性を学習していく。そして、これら学習された自車両の合流挙動特性の学習値を用いて、自車両の運転者が直ちにアクション(合流行動:合流車線から本線車線への車線変更)を起こした場合にどのような状況になるのかを予測して危険度を算出し、算出した危険度を表す情報を自車両の運転者に提示するようにしている。
【0011】
[装置構成]
本実施形態の合流支援装置の概略構成を図1に示す。この合流支援装置は、図1に示すように、本装置の中核をなすコントローラ1と、このコントローラ1の入力側に接続されたGPS(Global Positioning System)受信機2、車速センサ3、舵角センサ4、車載カメラ5、レーザレーダ6、通信機7、地図データ格納装置8と、コントローラ1の出力側に接続された情報提示装置9とを備えて構成される。
【0012】
GPS受信機2は、GPS衛星からの信号を所定の受信周期毎に受信して、自車両の絶対位置を示す緯度経度情報を検出する。また、車速センサ3は自車両の走行速度を検出し、舵角センサ4は自車両のステアリング操舵角度を検出する。
【0013】
車載カメラ5は、自車両の周囲の画像、特に自車両の前後方向の車線(道路合流部の始点、終点など)や自車両周囲を走行する周囲車両などを撮影対象とした自車両周囲の画像を撮影する。また、レーザレーダ6は、自車両周囲の所定のスキャン範囲にレーザ光をスキャンして、自車両の周囲を走行する周囲車両の有無や、周囲車両までの車間距離及び方位を各周囲車両毎に検出する。
【0014】
通信機7は、各種通信インフラから情報を取得するためのものであり、具体的には、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)による交通情報を受信し、また、いわゆる路車間通信によって、道路合流部などに設置された車両検知装置からの検知情報をDSRC(Dedicated Short Range Communications)等で受信し、また、いわゆる車車間通信によって、周囲車両の位置情報やウィンカ操作情報、ブレーキ操作情報などの各種情報を周囲車両から受信する。
【0015】
地図データ格納装置8は、例えばCD−ROMやDVD−ROM、ハードディスクなどの地図データが記録された記録媒体と、この記録媒体に格納された地図データの読み出しを行う再生装置とを有する。以上のGPS受信機2、車速センサ3、舵角センサ4、車載カメラ5、レーザレーダ6、通信機7、地図データ格納装置8からの情報は、コントローラ1の指令に応じて随時コントローラ1の内部に取り込まれる。
【0016】
情報提示装置9は、コントローラ1により作成された合流支援のための情報を自車両の運転者に提示するためのものであり、例えば、音による情報提示の場合にはスピーカが用いられ、画像による情報提示の場合には表示装置が用いられる。
【0017】
コントローラ1は、制御プログラムを内蔵するマイクロコンピュータを中心に構成され、マイクロコンピュータで制御プログラムが実行されることにより、本実施形態の合流支援装置に特徴的な機能構成として、自車両把握部11、周囲車両把握部12、道路状況把握部13、合流支援演算部14の各機能構成を実現する。
【0018】
自車両把握部11は、GPS受信機2で検出された緯度経度情報に基づいて、自車両のGPS受信周期毎の位置を特定するとともに、GPS受信周期の間の自車両の位置を車速センサ3や舵角センサ4の検出値に基づいて補完して、自車両の現在位置を常時把握する。なお、自車両把握部11は、自車両の現在位置をより正確に把握するために、車載カメラ5で撮影された自車両周囲の画像や、通信機7を用いた路車間通信や車車間通信で得られる情報も利用して、自車両の道路上における詳細位置などを特定するようにしてもよい。また、自車両把握部11は、車速センサ3や舵角センサ4の検出値から現在の自車両の状態を把握するとともに、時々刻々と変化する自車両の現在位置を時間的に追跡することにより、自車両の挙動を把握する。
【0019】
周囲車両把握部12は、車載カメラ5で撮影された自車両周囲の画像に対してエッジ検出等の処理を行って、本線車線上を走行する周囲車両と車線との位置関係を検出し、また、レーザレーダ6で検出された自車両を基準とした本線車線上の周囲車両までの車間距離や方位、さらには通信機7を用いた路車間通信や車車間通信で得られる情報も利用して、周囲車両の現在位置を常時把握する。また、周囲車両把握部12は、時々刻々と変化する本線車線上の周囲車両の現在位置を時間的に追跡することにより、周囲車両の挙動を把握する。
【0020】
道路状況把握部13は、自車両把握部11によって把握される自車両の現在位置と地図データ格納装置8に格納されている地図データとに基づいて、自車両周囲の道路形状を把握する。なお、道路状況把握部13は、自車両周囲の道路形状をより正確に把握するために、車載カメラ5で撮影された画像や、通信機7を用いた路車間通信で得られる情報も利用するようにしてもよい。また、道路状況把握部13は、通信機7で受信されるVICS交通情報に基づいて、自車両周囲の本線車線の混雑状況を把握する。なお、本線車線上の交通密度は、VICS交通情報の区間到達時間により算出することができる。
【0021】
合流支援演算部14は、自車両把握部11や周囲車両把握部12、道路状況把握部13からの情報を用いて各種演算処理を行い、自車両が直ちに合流を実行した場合の結果として生じる状況を予測して危険度を判断し、その危険度を表す情報を情報提示装置5から出力させるものである。この合流支援演算部14における主要な機能は、大きく分けて、現在の合流環境を識別する機能(合流環境識別手段)と、自車両の合流挙動特性を学習する機能(合流挙動特性学習手段)と、自車両の運転者の運転能力を判断する機能(運転能力判断手段)と、自車両が直ちに合流を実行した場合の合流終了時点における自車両の状況及び周囲車両の状況を予測する機能(合流結果予測手段)と、その予測結果に応じて合流の危険度を算出する機能(危険度算出手段)であり、これらの各機能は、例えば図2に例示する機能構成により実現される。以下、図2を用いて、合流支援演算部14の詳細について説明する。
【0022】
図2に示す合流支援演算部14の機能構成において、自車両状態一時記憶部21は、自車両が合流車線を走行しているときに、自車両把握手段11からの情報、具体的には、自車両の位置や走行速度、操舵角度などの情報を、タイムスタンプ付きで時系列情報として一時的に保存する。また、自車両状態一時記憶部21は、自車両把握手段11からの情報を一時保存すると同時に、後述の合流行動終了時の自車両状況演算部29及び合流環境の場合分け判断部24に対して、現在の自車両の位置や走行速度、操舵角度などの情報を伝達する。
【0023】
合流挙動特性抽出部22は、自車両状態一時記憶部21にて一時保存された合流実行時の自車両の時系列データをもとに、自車両の合流挙動特性を抽出する。具体的には、合流挙動特性抽出部22は、例えば、操舵角度の時系列データから、合流(合流車線から本線車線への車線変更)実行時の操舵開始時刻と操舵終了時刻とを判断して、自車両が合流にかかった時間(Δt)や、操舵開始時刻から操舵終了時刻までの操舵特性などを抽出し、また、走行速度の時系列データから、操舵開始時刻から操舵終了時刻までの間の加減速特性などを、自車両の合流挙動特性として抽出する。この合流挙動特性抽出部22により抽出された自車両の合流挙動特性の情報は、後述する場合分けされた学習演算部25へと送られる。
【0024】
周囲状況一時記憶部23は、自車両が合流車線を走行しているときに、周囲車両把握部12からの情報や道路状況把握部13からの情報、具体的には、本線車線上を走行している周囲車両の位置や走行速度、自車両周囲の道路形状や本線車線の混雑状況などの情報を、タイムスタンプ付きで時系列情報として一時的に保存する。また、周囲状況一時記憶部23は、周囲車両把握部12からの情報や道路状況把握部13からの情報を一時保存すると同時に、後述の合流行動終了時の周囲車両状況演算部30に対して、周囲車両把握部12からの情報を伝達する。
【0025】
合流環境の場合分け判断部24は、周囲状況一時記憶部23にて一時保存された合流実行時の周囲車両や道路の状況の時系列データをもとに、自車両が直ちに合流を開始しようとしたときに、現在の合流環境が、所定の場合分けのどの分類に属するかを判断する。また、合流環境の場合分け判断部24は、学習演算を行う上での場合分けを行うために、実際に合流が終了した後、合流挙動特性抽出部22にて抽出された合流実行時の操舵開始時刻と同時刻の周囲車両や道路の状況、及び自車両の状態から合流環境の場合分けを行い、場合分けの分類情報を、後述の場合分けされた学習演算部25に送る。
【0026】
場合分けされた学習演算部25は、合流挙動特性抽出部22で抽出された自車両の合流挙動特性を、合流環境の場合分け判断部24で分けられた条件下で、学習を行う。また、場合分けされた学習値の記憶部26は、場合分けされた学習演算部25で演算された結果(学習値)を、場合分け条件と対応させて記憶保存する。また、この場合分けされた学習値の記憶部26には、場合分けされた学習演算部25の演算結果とともに、学習を行うために用いられた個別データも保存される。
【0027】
運転能力判断部27は、場合分けされた学習値の記憶部26に保存されている場合分け条件と対応した個別のデータをもとに、自車両の運転者の運転能力を判断する。この運転能力判断部27により判断された自車両運転者の運転能力の情報は、後述する合流運転終了時の周囲車両状況演算部30へと送られて、この合流運転終了時の周囲車両状況演算部30において、運転能力の違いに応じて算出方法を変更するために用いられる。
【0028】
合流環境に合致した学習値の呼び出し部28は、場合分けされた学習値の記憶部26に記憶されている学習値の中から、合流環境の場合分け判断部24により場合分けされた現在の合流環境に相当する領域に記憶されている学習値を呼び出す。この合流環境に合致した学習値の呼び出し部28により読み出された学習値の情報は、後述する合流終了時の自車両状況演算部29及び合流終了時の周囲車両状況演算部30へと送られる。
【0029】
合流行動終了時の自車両状況演算部29は、自車両状態一時記憶部21から伝達された現在の自車両の状態と、合流環境に合致した学習値28の呼び出し部28で呼び出された自車両の合流挙動特性の学習値とをもとに、現時点で自車両が直ちに合流行動を開始した場合に、その結果として、合流行動が終了した時点では自車両がどのような状況となるかを予測演算する。
【0030】
合流行動終了時の周囲車両状況演算部30は、周囲状況一時記憶部23から伝達された現在の周囲車両の状況及び道路状況と、合流環境に合致した学習値28の呼び出し部28で呼び出された自車両の合流挙動特性の学習値と、運転能力判断部27から伝達された自車両運転者の運転能力の情報とをもとに、現時点で自車両が直ちに合流行動を開始した場合に、その結果として、合流行動が終了した時点では本線車線上の周囲車両がどのような状況となるかを予測演算する。
【0031】
合流行動終了時の危険度算出部31は、合流行動終了時の自車両状況演算部29により演算された合流終了時点における自車両の状況の予測値と、合流行動終了時の周囲車両状況演算部30により演算された合流終了時点における周囲車両の状況の予測値とに基づいて、現時点で自車両が合流行動を開始した場合の危険度を算出する。なお、この合流行動による危険度は、本線車線上で自車両の後方を走行する周囲車両に起因するものと、自車両の前方を走行する周囲車両に起因するものとがあるが、合流終了時点において自車両から所定範囲内で自車両の前方と後方との双方に周囲車両が存在することが合流行動終了時の自車両状況演算部29及び合流終了時の周囲車両状況演算部30により予測演算された場合には、合流行動終了時の危険度算出部31は、自車両前方の周囲車両による危険度と、自車両後方の周囲車両による危険度とをそれぞれ算出するとともに、これら個別の危険度をあわせた総合的な危険度を算出する。
【0032】
提示情報変換部32は、合流行動終了時の危険度算出部31にて算出された危険度の情報を、自車両の運転者が認識しやすい情報形態に変換して、情報提示装置9へと伝達する。具体的には、提示情報変換部32は、例えば、合流行動終了時の危険度算出部31にて算出された危険度の情報を、危険度を段階的に表す音に変換して情報提示装置9としてのスピーカから出力させる。また、提示情報変換部32は、合流行動終了時の危険度算出部31にて算出された危険度の情報を画像に変換して、情報提示装置9としての表示装置に表示させるようにしてもよい。なお、このような情報提示の具体例については、詳細を後述する。
【0033】
[コントローラによる処理の具体例]
次に、以上のように構成される本実施形態の合流支援装置において、コントローラ1により実行される処理の具体例について説明する。コントローラ1での処理は、主に、(1)自車両の合流挙動特性の演算に関連する処理、(2)自車両運転者の運転能力を判断する処理、(3)合流結果予測と危険度算出に関連する処理、とに大別される。以下、これらの各処理の具体例を個別に説明する。
【0034】
(1)自車両の合流挙動特性の演算に関連する処理
まず、自車両の合流挙動特性の演算に関連する処理について説明する。本処理は、図2に示した合流支援演算部14の機能構成のうち、自車両状態一時記憶部21、合流挙動特性抽出部22、周囲状況一時記憶部23、合流環境の場合分け判断部24、場合分けされた学習演算部25、場合分けされた学習値の記憶部26での処理に相当する。
【0035】
本処理のフローを図3に示す。この図3の処理フローは、例えば自車両のアクセサリスイッチオンなどにより本実施形態の合流支援装置が起動されると開始され、合流支援装置の動作が停止されるまでの間、所定の処理周期で繰り返し実行されるものである。
【0036】
図3の処理フローが開始されると、コントローラ1は、まず、ステップS101において、本実施形態の合流支援装置の最初の利用であるか否かを判断する。最初の利用である場合には、自車両の合流挙動特性を学習するためのデータが得られていない状態であるため、所定の初期値を用いた合流挙動特性の学習が行われるように、ステップS102に進んで、合流挙動特性を学習するためのデータが格納される全てのデータ格納領域に所定の初期値を格納した後、ステップS103に進む。一方、本実施形態の合流支援装置が既に過去に利用されている場合には、そのままステップS103に進む。
【0037】
次に、コントローラ1は、ステップS103において、自車両把握部11で把握される自車両状態に関する情報、例えば、自車両の位置や走行速度、操舵角度などの情報を、所定の時間幅で一時的にタイムスタンプ付きで保存して、自車両の状態をモニタリングするとともに、周囲車両把握部12や道路状況把握部13で把握される情報、例えば、本線車線上を走行している周囲車両の位置や走行速度、自車両周囲の道路形状や本線車線の混雑状況などの情報を、所定の時間幅で一時的にタイムスタンプ付きで保存して、周囲車両の状態や自車両周囲の道路の状態をモニタリングする。
【0038】
次に、コントローラ1は、ステップS104において、自車両把握部11からの情報に基づき、自車両が合流地点を通過したか否かを判断する。そして、自車両が合流地点を通過した場合にはステップS105に進み、合流地点を通過していない場合にはステップS110に進む。
【0039】
自車両が合流地点を通過したと判断してステップS105に進んだ場合、コントローラ1は、ステップS105において、合流地点通過時における自車両の挙動特性を抽出する。この合流挙動特性の抽出にあたっては、ステップS103で一時的に保存した自車両状態に関する情報を用いる。具体的には、コントローラ1は、一時保存した合流実行時の自車両の操舵角度の時系列データから、合流(合流車線から本線車線への車線変更)実行時の操舵開始時刻と操舵終了時刻とを判断し、自車両が合流にかかった時間(Δt)や、操舵開始時刻から操舵終了時刻までの操舵特性を抽出し、また、その間の自車両の走行速度の時系列データから、加減速特性などを抽出する。
【0040】
次に、コントローラ1は、ステップS106において、ステップS103で一時的に保存した自車両状態に関する情報や、周囲車両状態に関する情報、道路状況に関する情報などに基づいて、通過した合流地点の合流環境の場合分け(合流環境パターンの分類)を行う。この合流環境の場合分けは、例えば、以下の(a)〜(f)で示す各パラメータごとの区分に従って行われる。
【0041】
(a)本線車線上の自車両後方の周囲車両とのTTC:(長・中・短)
(b)本線車線上の自車両前方の周囲車両とのTTC:(長・中・短)
(c)合流車線上における自車両の合流実行位置:(前・中・後)
(d)本線車線の混雑状況:(高・中・低)
(e)自車両の走行速度:(高・中・低)
(f)合流車線の道路形状:(平行式、直接式)
以上の各パラメータにおいて、区分される各領域の具体的な値は予め適当な値を設定しておけばよく、本実施形態では、例えば(a)の本線車線上の自車両後方の周囲車両とのTTCについては、短=TTC8秒未満、中=TTC8秒以上16秒未満、長=TTC16秒以上、と設定されている。
【0042】
次に、コントローラ1は、ステップS107において、上述した各パラメータによって自車両の合流挙動特性を示すデータごとに配列変数を定義して、各配列変数内に、ステップS105で抽出した合流挙動特性の各データ(自車両が合流にかかった時間(Δt)、操舵開始時刻から操舵終了時刻までの操舵特性、その間の加減速特性)を格納する。例えば、自車両が合流にかかった時間(Δt)を格納する配列変数DTは、以下のように定義される。
【0043】
DT(R−TTC,F−TTC,POSITION,T−JAM,V,JUNCTION,N)
R−TTC(本線車線上の自車両後方の周囲車両とのTTC):(長:1、中:2、短:3)
F−TTC(本線車線上の自車両前方の周囲車両とのTTC):(長:1、中:2、短:3)
POSITION(合流車線上における自車両の合流実行位置):(前:1、中:2、後:3)
T−JAM(本線車線の混雑状況):(高:1、中:2、低:3)
V(自車両の走行速度):(高:1、中:2、低:3)
JUNCTION(合流車線の道路形状):(平行式:1、直接式:2)
N(データ通しナンバ)
次に、コントローラ1は、ステップS108において、ステップS107で新規にデータが格納されたデータ格納領域におけるデータ数(N)が所定の数を超えているか否かを判断し、データ数が所定数を超えていればステップS109に進んで、当該データ格納領域に格納されているデータから自車両の運転挙動特性を学習してその学習値を更新し、ステップS103へとリターンする。なお、本実施形態では、所定のデータ数の平均値を学習値としている。一方、データ数が所定数を超えていない場合には、当該データ格納領域での単独での学習はできないため、代用する領域での学習を行うべくステップS114に進む。
【0044】
ステップS110からステップS113までの処理は、どのデータ格納領域においても学習するデータ数が所定数を超えない場合に、車線変更時のデータを代用して学習が行えるようにするための処理である。すなわち、ステップS104において自車両が合流地点を通過していないと判断した場合、コントローラ1は、ステップS110において、自車両が車線変更を行ったか否かを判断する。ここで、自車両が車線変更も行っていない場合にはステップS103に戻って、自車両状態や周囲車両状態、道路状態のモニタリングを継続する。一方、自車両が車線変更を行ったと判断した場合には、コントローラ1は、次のステップS111において、ステップS105での合流挙動特性の抽出処理と同様に、ステップS103で一時的に保存した自車両状態に関する情報を用いて、車線変更時における自車両の挙動特性を抽出する。この抽出された車線変更時の挙動特性を示すデータは、自車両後方の周囲車両とのTTC(長:1、中:2、短:3)をパラメータとして、上述した合流時と同様に配列変数が定義され、車線変更のデータ格納領域に格納される。
【0045】
次に、コントローラ1は、ステップS112において、車線変更のデータ格納領域におけるデータ数が、学習のために必要な所定数を超えているか否かを判断し、データ数が所定数を超えていればステップS113に進んで、ステップS109での合流挙動特性の学習と同様、車線変更のデータ格納領域に格納されているデータから自車両の車線変更時の運転挙動特性を学習してその学習値を更新し、ステップS103へとリターンする。この車線変更時の運転挙動特性の学習値は、合流での学習のためのデータ数が満たない場合に利用される。一方、車線変更のデータ格納領域におけるデータ数が所定数を超えていない場合には、自車両の車線変更時の運転挙動特性を学習できないため、ステップS103に戻って、自車両状態や周囲車両状態、道路状態のモニタリングを継続する。
【0046】
ステップS114からステップS126までの処理は、個別のデータ領域に格納されたデータ数が所定数に満たない場合に、他のデータの領域に格納されているデータを代用して学習を行う処理である。これは、合流地点を通過することが少ない運転者にとっても、より運転者の特性に則した支援を行うためのものである。また、合流地点を多く通過する運転者にとっては、徐々に、詳細に場合分けされた学習値に移行して、より精度の高い運転支援を可能にする。
【0047】
具体的に説明すると、コントローラ1は、まず、ステップS114において、上述したパラメータ(a)により区分されるデータ格納領域の中で、ステップS106で場合分けした合流環境の条件(後方車両条件)に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えているか否かを判断する。そして、この合流環境の後方車両条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えていなければ、ステップS115において、自車両の車線変更時の挙動特性を示すデータで代用して合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。
【0048】
また、後方車両条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えている場合には、コントローラ1は、次のステップS116において、上述したパラメータ(a)とパラメータ(b)とにより区分されるデータ格納領域の中で、ステップS106で場合分けした合流環境の条件(後方車両条件及び前方車両条件)に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えているか否かを判断する。そして、この前方車両条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えていなければ、ステップS117において、後方車両条件が合致している全データから合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。
【0049】
また、前方車両条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えている場合には、コントローラ1は、次のステップS118において、上述したパラメータ(a)とパラメータ(b)とパラメータ(c)とにより区分されるデータ格納領域の中で、ステップS106で場合分けした合流環境の条件(後方車両条件及び前方車両条件及び合流実行位置条件)に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えているか否かを判断する。そして、この合流実行位置条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えていなければ、ステップS119において、後方車両条件及び前方車両条件が合致している全データから合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。
【0050】
また、合流実行位置条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えている場合には、コントローラ1は、次のステップS120において、上述したパラメータ(a)とパラメータ(b)とパラメータ(c)とパラメータ(d)とにより区分されるデータ格納領域の中で、ステップS106で場合分けした合流環境の条件(後方車両条件及び前方車両条件及び合流実行位置条件及び混雑度条件)に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えているか否かを判断する。そして、この混雑度条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えていなければ、ステップS121において、後方車両条件と前方車両条件と合流実行位置条件とが合致している全データから合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。
【0051】
また、混雑度条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えている場合には、コントローラ1は、次のステップS122において、上述したパラメータ(a)とパラメータ(b)とパラメータ(c)とパラメータ(d)とパラメータ(e)とにより区分されるデータ格納領域の中で、ステップS106で場合分けした合流環境の条件(後方車両条件及び前方車両条件及び合流実行位置条件及び混雑度条件及び自車速条件)に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えているか否かを判断する。そして、この自車速条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えていなければ、ステップS123において、後方車両条件と前方車両条件と合流実行位置条件と混雑度条件とが合致している全データから合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。
【0052】
また、自車速条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えている場合には、コントローラ1は、次のステップS124において、上述したパラメータ(a)とパラメータ(b)とパラメータ(c)とパラメータ(d)とパラメータ(e)とパラメータ(f)とにより区分されるデータ格納領域の中で、ステップS106で場合分けした合流環境の条件(後方車両条件及び前方車両条件及び合流実行位置条件及び混雑度条件及び自車速条件及び道路形状条件)に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えているか否かを判断する。そして、この道路形状条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えていなければ、ステップS123において、後方車両条件と前方車両条件と合流実行位置条件と混雑度条件と自車速条件とが合致している全データから合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。一方、道路形状条件まで含めた合流環境の条件に合致するデータ格納領域のデータ数が所定数を超えている場合には、ステップS126において、後方車両条件と前方車両条件と合流実行位置条件と混雑度条件と自車速条件と道路形状条件とが合致している全データから合流挙動特性の学習値を算出し、該当するデータ格納領域に算出した学習値を格納する。
【0053】
以上のように、本実施形態では、合流環境を識別する条件を細分化しておき、データの格納状態に応じて細分化された条件を段階的に絞り込んで学習値を算出することで、自車両の合流挙動特性の学習を効率的に行えるようにしている。すなわち、現在の合流環境の条件全てに合致した個別のデータ格納領域での学習が行えない場合には、初期値を含めて、以下の(イ)〜(チ)の順で領域別学習値が利用可能か否かを順次確認し、利用可能な最も細分化された条件での領域別学習値を用いて、自車両の合流挙動特性を学習するようにしている。
【0054】
(イ)所定の初期値
(ロ)車線変更時の自車両後方の周囲車両とのTTCの条件で区分される領域別学習値
(ハ)本線車線上の自車両前方の周囲車両とのTTCの条件(後方車両条件)で区分される領域別学習値
(ニ)(ハ)に本線車線上の自車両前方の周囲車両とのTTCの条件(前方車両条件)を付加して区分される領域別学習値
(ホ)(ニ)に合流車線上における自車両の合流実行位置の条件(合流実行位置条件)を付加して区分される領域別学習値
(ヘ)(ホ)に本線車線の混雑状況の条件(混雑度条件)を付加して区分される領域別学習値
(ト)(ヘ)に自車両の走行速度の条件(自車速条件)を付加して区分される領域別学習値
(チ)(ト)に合流車線の道路形状の条件(道路形状条件)を付加して区分される領域別学習値
(2)自車両運転者の運転能力を判断する処理
次に、自車両運転者の運転能力を判断する処理について説明する。本処理は、図2に示した合流支援演算部14の機能構成のうちの運転能力判断部27での処理に相当する。
【0055】
本処理のフローを図4に示す。この図4の処理フローは、予め定めた所定の時間間隔ごとに実行されるものであり、自車両運転者の運転能力に関する情報は、図4の処理フローが実行されるたびに更新される。
【0056】
図4の処理フローが開始されると、コントローラ1は、まず、ステップS201において、合流環境のパターンごとに格納された合流時における自車両の挙動特性を示すデータ(図3の処理フローにおけるステップS107で格納されるデータ)を呼び出す。このとき、コントローラ1は、運転能力判断用に予めデータ格納領域を設定してこの領域に運転能力判断用のデータを格納するようにして、この運転能力判断用のデータのみを呼び出すようにしてもよい。本実施形態においては、本線車線上の自車両後方を走行する周囲車両とのTTCごとの合流実行時間(自車両が合流にかかった時間(Δt))のデータを、運転能力判断用のデータとして用いている。
【0057】
次に、コントローラ1は、ステップS202において、本線車線上の自車両後方を走行する周囲車両とのTTCの区分(長・中・短)ごとに、合流実行時間(Δt)の偏差量を算出し、ステップS203において、その平均値を算出する。同一区分における合流実行時間の偏差量(分散度)は、技能的運転能力が安定しているほど小さくなり、その能力が優れていると判断できる。そこで、コントローラ1は、ステップS204において、例えば、予め作成しておいた技能的運転能力と合流実行時間偏差量との関係を表すマップを用い、このマップ上にてステップS203で算出した同一区分における合流実行時間の偏差量平均値を照合するといった手法により、自車両運転者の技能的運転能力の判断を行う。
【0058】
次に、コントローラ1は、ステップS205において、本線車線上の自車両後方を走行する周囲車両とのTTCの区分(長・中・短)ごとの合流実行時間(Δt)の学習値を呼び出し、ステップS206において、ステップS205で呼び出された合流実行時間(Δt)の学習値の、TTC区分間における変化量(分散度)を算出する。この変化量から、周囲環境の最も影響の大きい自車両後方の周囲車両とのTTCの差異に応じて自車両の運転者が運転行動を変えているか否かを判断できる。これは、戦術的運転能力が反映されたものである。すなわち、戦術的運転能力の高いドライバは、周囲の環境の変化に応じて柔軟に運転方法を変える能力を有しているが、戦術的運転能力の低いドライバは、周囲の環境によって運転方法を変える能力がない。したがって、TTC区分間における合流実行時間(Δt)の学習値の変化量から、自車両運転者の戦術的運転能力の判断が可能である。そこで、コントローラ1は、ステップS207において、例えば、予め作成しておいた戦術的運転能力とTTC区分間における合流実行時間学習値変化量との関係を表すマップを用い、このマップ上にてステップS206で算出したTTC区分間における合流実行時間学習値の変化量を照合するといった手法により、自車両運転者の戦術的運転能力の判断を行う。
【0059】
次に、コントローラ1は、ステップS208において、ステップS204で判断した自車両運転者の技能的運転能力と、ステップS207で判断した自車両運転者の戦術的運転能力とから、自車両運転者の総合的な運転能力を判断する。この自車両運転者の総合的な運転能力は、多段階できめ細かく判断するようにしてもよいが、本実施形態では、例えば図5に示すような基準に従って、運転スキル高、中、低の3段階で判断している。
【0060】
(3)合流結果予測と危険度算出に関連する処理
次に、合流結果予測と危険度算出に関連する処理について説明する。本処理は、図2に示した合流支援演算部14の機能構成のうち、合流環境に合致した学習値の呼び出し部28、合流行動終了時の自車両状況の演算部29、合流行動終了時の周囲車両状況の演算部30、合流行動終了時の危険度算出部31、提示情報変換部32での処理に相当する。
【0061】
本処理のフローを図6に示す。この図6の処理フローは、例えば、自車両把握部11や道路状況把握部13からの情報に基づいて自車両が合流車線上を走行していて合流開始地点まで所定距離(例えば50m)の地点に到達したと判定された場合に開始され、自車両が合流終了地点を通過したと判定されるまでの間、所定の処理周期(例えば100msec)で繰り返し実行されるものである。
【0062】
図6の処理フローが開始されると、コントローラ1は、まず、ステップS301において、自車両把握部11で把握される自車両状態に関する情報、例えば、自車両の位置や走行速度、操舵角度などの情報を、所定の時間幅で一時的にタイムスタンプ付きで保存して、自車両の状態をモニタリングするとともに、周囲車両把握部12や道路状況把握部13で把握される情報、例えば、本線車線上を走行している周囲車両の位置や走行速度、自車両周囲の道路形状や本線車線の混雑状況などの情報を、所定の時間幅で一時的にタイムスタンプ付きで保存して、周囲車両の状態や自車両周囲の道路の状態をモニタリングする。
【0063】
次に、コントローラ1は、ステップS302において、ステップS301で一時的に保存した自車両状態に関する情報や、周囲車両状態に関する情報、道路状況に関する情報などに基づいて、現在の合流環境が、図3の処理フローにおけるステップS107で場合分けした合流環境のどの分類に当てはまるかを判断する。この合流環境の場合分けの条件は、上述した(a)〜(f)で示す各パラメータであり、各パラメータごとに区分に従って現在の合流環境がどの条件に当てはまるかを判断する。
【0064】
次に、コントローラ1は、ステップS303において、ステップS302で判断された現在の合流環境に当てはまる条件での自車両の合流挙動特性の学習値を呼び出す。そして、コントローラ1は、ステップS301でモニタリングされている自車両の状態と、ステップS303で呼び出した現在の合流環境に適合した自車両の合流挙動特性の学習値とをもとに、ステップS304において、自車両が直ちに合流行動(合流車線から本線車線への車線変更)を実行した場合における合流終了時点での自車両の位置を算出し、また、ステップS305において、自車両が直ちに合流行動を実行した場合における合流終了時点での自車両の走行速度を算出する。なお、合流終了時点での自車両位置は、例えば、現在の自車両位置、走行速度の情報と、学習された操舵特性や加減速特性とから予測できる。また、合流終了時点での自車両の走行速度は、例えば、現在の自車両の走行速度の情報と、学習された加減速特性とから予測できる。
【0065】
次に、コントローラ1は、ステップS306において、上述した自車両運転者の運転能力を判断する処理によって判断されて記憶された自車両運転者の運転スキル(高、中、低)を呼び出し、ステップS307において、自車両運転者の運転スキルが高レベル、すなわち自車両運転者が上級ドライバであるか否かを判断する。そして、自車両運転者が上級ドライバであれば、本線車線上の混雑度に応じた許容減速度を考慮して周囲車両の状況を算出するために、コントローラ1は、ステップS308において、ステップS301で一時記憶している現在の本線車線の混雑状況を示す情報を呼び出す。この本線車線の混雑状況を示す情報は、道路状況把握部13により、VICS交通情報などをもとに判断されている。一方、自車両運転者が初級ドライバ、あるいは中級ドライバであれば、本線車線の混雑状況に応じた周囲車両の減速度を考慮しないで情報をシンプルにするために、コントローラ1は、ステップS309において、本線車線の混雑度を表す変数を0にセットする。
【0066】
次に、コントローラ1は、ステップS310において、本線車線の混雑度に対応した周囲車両の許容減速度に関する情報を呼び出す。本線車線の混雑度が高い場合には、一般的に周囲車両は加減速の頻度が高く、周囲に対しても注意を払って運転を行っており、合流地点において減速を行う心理的抵抗が少ない。このため、混雑度の高い道路では合流地点において周囲車両が減速を行う可能性が高く、このような傾向を考慮すれば、より詳細な挙動予測を行うことができる。特に関係するのは、本線車線上の自車両よりも後方を走行している周囲車両(以下、後方車両という。)である。本実施形態では、混雑度と許容減速度との対応関係を示すマップを用いて、本線車線の混雑度に対応した後方車両の許容減速度を求めるようにしている。なお、初級ドライバおよび中級ドライバに対しては、ステップS309において混雑度を表す変数が0にセットされているため、後方車両の許容減速度が考慮されないこととなる。以上の処理は、運転能力に応じて運転中に負荷なく利用できる情報レベルが異なるという点を考慮して、初級ドライバや中級ドライバに対しては直感的に把握できるシンプルな情報を提示し、上級ドライバに対してはより総合的な情報を提示できるようにするための処理である。
【0067】
次に、コントローラ1は、ステップS301でモニタリングされている周囲車両の状態、特に、後方車両の状態と、ステップS303で呼び出した学習値(合流終了までにかかる時間(Δt))と、ステップS310で求めた後方車両の許容減速度とをもとに、ステップS311において、自車両が合流行動を終了した時点における後方車両の走行速度を算出し、また、ステップS312において、自車両が合流行動を終了した時点における後方車両の位置を算出する。
【0068】
また、コントローラ1は、ステップS301でモニタリングされている周囲車両の状態、特に、本線車線上の自車両よりも前方を走行している周囲車両(以下、前方車両という。)の状態と、ステップS303で呼び出した学習値(合流終了までにかかる時間(Δt))とをもとに、ステップS313において、自車両が合流行動を終了した時点における前方車両の走行速度を算出し、また、ステップS314において、自車両が合流行動を終了した時点における前方車両の位置を算出する。
【0069】
次に、コントローラ1は、ステップS315において、ステップS304で算出した合流終了時点における自車両位置と、ステップS305で算出した合流終了時点における自車両の走行速度と、ステップS311で算出した合流終了時点における後方車両の走行速度と、ステップS312で算出した合流終了時点における後方車両の位置とに基づいて、合流終了時点における自車両と後方車両とのTTCを算出する。なお、合流終了時点における自車両と後方車両とのTTC(衝突余裕時間)は、合流終了時点での自車両と後方車両との相対距離を相対速度で除算することで求められる。
【0070】
次に、コントローラ1は、ステップS316において、ステップS306で呼び出した自車両運転者の運転スキルが低レベル、すなわち自車両運転者が初級ドライバであるか否かを判断する。そして、自車両運転者が初級ドライバであれば、前方車両を考慮しないよりシンプルな情報を提示するために、コントローラ1は、ステップS317において、合流終了時点における自車両と前方車両とのTTCを無限大にセットする。一方、自車両運転者が中級ドライバ、あるいは上級ドライバであれば、前方車両も考慮したより総合的な情報を提示できるようにするために、コントローラ1は、ステップS318において、ステップS304で算出した合流終了時点における自車両位置と、ステップS305で算出した合流終了時点における自車両の走行速度と、ステップS313で算出した合流終了時点における前方車両の走行速度と、ステップS314で算出した合流終了時点における前方車両の位置とに基づいて、合流終了時点における自車両と前方車両とのTTCを算出する。なお、合流終了時点における自車両と前方車両とのTTC(衝突余裕時間)は、合流終了時点での自車両と前方車両との相対距離を相対速度で除算することで求められる。
【0071】
次に、コントローラ1は、ステップS319において、ステップS308で呼び出した本線車線の混雑状況を示す情報をもとに、現在の本線車線の混雑度に対応した危険度算出用のマップ、具体的には、周囲車両TTCと危険度との対応関係を示したマップであって、混雑度に応じて分類されたマップの中から、現在の本線車線の混雑度に対応したマップを読み出す。これは、本線車線の混雑度によって、周囲車両とのTTCによる危険度の基準も変化するためである。
【0072】
次に、コントローラ1は、ステップS320において、ステップS319で呼び出したマップを用いて、ステップS315で算出した合流終了時点における後方車両とのTTCをマップで照合して合流終了時点における後方車両による危険度を判断するとともに、自車両運転者が中級ドライバ、あるいは上級ドライバであれば、ステップS318で算出した合流終了時点における前方車両とのTTCをマップで照合して合流終了時点における前方車両による危険度を判断する。なお、自車両運転者が初級ドライバの場合には、ステップS317で前方車両とのTTCが無限大にセットされているので、合流終了時点における前方車両による危険度は考慮されないこととなる。
【0073】
次に、コントローラ1は、ステップS321において、ステップS320で前方車両と後方車両とで個別に判断されていた危険度を統合し、総合的な危険度を算出する。このとき、前方車両による危険度と後方車両による危険度とに個別に重み付けを行って総合的な危険度を算出することが望ましい。なお、総合的な危険度を算出する手法は様々な手法が考えられるが、本実施形態では、例えば図7に示すように、後方車両とのTTCに応じた危険度と前方車両とのTTCに応じた危険度とを、これらを統合するマップでそれぞれ照合することにより、総合的な危険度を算出するようにしている。
【0074】
最後に、コントローラ1は、ステップS322において、ステップS321で算出された危険度の情報を、自車両の運転者が認識しやすい情報形態に変換して情報提示装置9へと伝達し、1処理周期分の処理を終了する。その後、ステップS301へとリターンして、次の処理周期でステップS301からステップS322までの処理を繰り返す。
【0075】
[情報提示の具体例]
次に、本実施形態の合流支援装置における情報提示の具体例について、音による情報提示と、画像による情報提示とを例に挙げて説明する。
【0076】
(i)音による情報提示
音による情報提示の場合には、情報提示装置9としてスピーカを用い、このスピーカから出力される発信音の形態を合流結果の危険度に応じて変化させる。具体的には、例えば図8に示すように、スピーカから出力される発信音を断続音とし、その発信音の間隔を、危険度が高まるに従って短くなるように制御する。すなわち、本実施形態の合流支援装置のコントローラ1は、図8(b)に示すように、上述した処理により算出した危険度が高い場合には、情報提示装置9としてのスピーカから間隔の短い断続的な発信音を出力させ、算出した危険度が低い場合には、情報提示装置9としてのスピーカから間隔をあけた断続的な発信音を出力させる。また、コントローラ1は、上述した処理周期(例えば100msec)ごとに算出される危険度の変化に合わせて、図8(a)に示すように、スピーカから出力させる発信音の間隔も連続的に変化させる。これにより、自車両の運転者は、自車両の走行に伴う合流環境の変化が、安全側に変化しているのか、危険側に変化しているのか、その変化の方向についても、スピーカから出力される発信音から把握できるようになる。
【0077】
なお、本実施形態では断続音の間隔により危険度の情報を伝達しているが、音の周波数や音量など、スピーカから出力される発信音の他の形態を変化させることで合流結果の危険度を提示するようにしてもよいし、以上の手法を組み合わせて合流結果の危険度を提示するようにしてもよい。
【0078】
(ii)画像による情報提示
画像による情報提示の場合には、情報提示装置9として表示装置を用い、この表示装置に表示する画像の表示形態を合流結果の危険度に応じて変化させる。この場合、自車両の運転者の視線負荷を減らすためには、自車両の運転者が画像を直視することなく周辺視野にて画像を認識できるようにし、特に、合流結果の危険度が高いときほど運転者の注意をひくような形態で画像を表示させることが望ましい。具体的には、例えば、運転者が慣れ親しんでいる信号機の色に合わせて、合流結果の危険度が高い場合には画像の表示色を赤色、合流結果の危険度が中程度の場合には画像の表示色を黄色、合流結果の危険度が低い場合には画像の表示色を青色にするといったように、合流結果の危険度に応じて表示装置に表示する画像の表示色を変化させる。また、表示装置に画像を点滅表示させることとし、その点滅の間隔(点滅周波数)を、断続的な発信音による情報提示の場合と同様に、危険度が高まるに従って短く(点滅周波数が高く)なるように制御するようにしてもよい。さらに、表示装置の画面内で画像を移動させることとし、その移動方向を、合流結果の危険度が高い場合にはオプティカルフロー(自車両の移動に伴う運転者の視野内での周辺物体の流れ)と逆方向とし、合流結果の危険度が中程度の場合にはオプティカルフローに対して鉛直方向とし、合流結果の危険度が低い場合にはオプティカルフローと同一方向となるように制御するようにしてもよい。
【0079】
その他、表示装置に表示される画像の輝度を、危険度が高まるに従って高めるように制御する、或いは、表示装置に表示される画像の大きさを、危険度が高まるに従って大きくするように制御するといった手法で合流結果の危険度を提示するようにしてもよいし、以上の手法を組み合わせて合流結果の危険度を提示するようにしてもよい。
【0080】
[実施形態の効果]
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の合流支援装置によれば、自車両の合流挙動特性を学習し、その学習値に基づいて自車両運転者が直ちに運転行動を実行した場合の結果状況を予測して危険度を算出し、その合流結果の危険度を表す情報を自車両運転者に提示するようにしているので、自車両の運転者は、自分の運転特性や自車両の車両特性などに応じた合流結果を的確に把握しながら合流戦略を決定し、最適なタイミングで合流を実行することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態の合流支援装置では、合流運転が行われる合流環境を複数のパターンに分類して、各パターンごとに自車両の合流挙動特性を学習するようにしているので、合流環境により左右される要素も含めて自車両の合流挙動特性をきめ細かく正確に学習することができ、合流結果の予測精度をさらに高めて、合流環境に応じて正確な危険度を自車両運転者に提示することができる。
【0082】
また、本実施形態の合流支援装置では、本線車線の混雑状況を把握し、この混雑状況に応じた本線車線上の自車両後方を走行する周囲車両の制動動作も考慮して合流結果の予測を行っているので、合流結果の予測精度をさらに高めて、合流環境に応じて正確な危険度を自車両運転者に提示することができる。
【0083】
また、本実施形態の合流支援装置では、本線車線上の自車両後方を走行する周囲車両による危険度と、本線車線上の自車両前方を走行する周囲車両による危険度との双方を考慮して、総合的な危険度を算出するようにしているので、前方車両もしくは後方車両のどちらかに意識が向けられがちな自車両運転者に対して、適切な危険度の情報を提示することができる。
【0084】
また、本実施形態の合流支援装置では、本線車線の混雑状況に応じて危険度の算出基準を変更するようにしているので、本線車線の混雑状況に応じて自車両運転者が危険に感じる感度が変わってくる状態に対応し、混雑度の高い道路においても実用性の高い情報を自車両運転者に提示することができる。
【0085】
また、本実施形態の合流支援装置では、自車両運転者の運転能力に応じて危険度の算出方法を変更するようにしているので、直感的で単純な情報処理しかできない初級ドライバに対しても、情報による混乱を生じさせない最適な情報提示を行うことができる。
【0086】
また、本実施形態の合流支援装置では、運転戦術面と運転技能面の両側面から自車両運転者の運転能力を判断するようにしているので、自車両運転者の運転能力を適切に判断することができる。
【0087】
また、本実施形態の合流支援装置では、自車両の合流挙動特性の学習値を算出するためのデータサンプル数が所定値に満たない合流環境パターンでの自車両挙動特性を学習する場合に、他の学習値を代用して学習を行うようにしているため、合流地点を頻繁に走行しない運転者に対しても合流支援が行え、また、合流地点を頻繁に通過する運転者に対してはより精度の高い学習値を用いて合流結果予測を行うことができる。
【0088】
なお、以上説明した合流支援装置は、本発明の一実施形態を例示したものであり、本発明の技術的範囲は、以上の各実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明を適用した合流支援装置の概略構成図である。
【図2】コントローラの合流支援演算部における詳細な機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】コントローラにより実行される処理であって、自車両の合流挙動特性の演算に関連する処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】コントローラにより実行される処理であって、自車両運転者の運転能力を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】自車両運転者の総合的な運転能力を判断する手法を説明する図である。
【図6】コントローラにより実行される処理であって、合流結果予測と危険度算出に関連する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本線車線上の後方車両による危険度と前方車両による危険度とを合わせた総合的な危険度を算出する手法を説明する図である。
【図8】合流結果の危険度を断続的な発信音により提示する例を説明する図であり、(a)は危険度に応じて発信音間隔を連続的に変化させることを示す図、(b)は危険度が高まるに従って発信音間隔が短くなるように制御することを説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
1 コントローラ
9 情報提示装置
11 自車両把握部
12 周囲車両把握部
13 道路状況把握部
14 合流支援演算部
21 自車両状態一時記憶部
22 合流挙動特性抽出部
23 周囲状況一時記憶部
24 合流環境の場合分け判断部
25 場合分けされた学習演算部
26 場合分けされた学習値の記憶部
27 運転能力判断部
28 合流環境に合致した学習値の呼び出し部
29 合流行動終了時の自車両状況の演算部
30 合流行動終了時の周囲車両状況の演算部
31 合流行動終了時の危険度算出部
32 提示情報変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合流車線を走行する自車両が本線車線に合流する際の運転者による運転操作を支援する合流支援装置において、
自車両の位置及び挙動を把握する自車両把握手段と、
本線車線上を走行している周囲車両の位置及び挙動を把握する周囲車両把握手段と、
自車両周囲の道路状況を把握する道路状況把握手段と、
前記自車両把握手段からの情報と、前記周囲車両把握手段からの情報と、前記道路状況把握手段からの情報とに基づいて、現在の合流環境を識別する合流環境識別手段と、
自車両の合流挙動特性を学習する合流挙動特性学習手段と、
前記合流環境識別手段で識別された現在の合流環境と、前記合流挙動特性学習手段による学習値とに基づいて、自車両が直ちに合流を実行した場合の合流終了時点における自車両の状況及び周囲車両の状況を予測する合流結果予測手段と、
前記合流結果予測手段による予測結果に応じて危険度を算出する危険度算出手段と、
前記危険度算出手段により算出された危険度を表す情報を自車両の運転者に提示する情報提示手段とを備えることを特徴とする合流支援装置。
【請求項2】
前記合流挙動特性学習手段は、前記合流環境識別手段で識別される合流環境を複数のパターンに分類して、各パターン毎に自車両の合流挙動特性を学習し、
前記合流結果状況算出手段は、前記合流環境識別手段で識別された現在の合流環境が分類されるパターンでの合流挙動特性の学習値に基づいて、自車両が直ちに合流を実行した場合の合流終了時点における自車両の状況及び周囲車両の状況を予測することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項3】
前記合流挙動特性学習手段は、自車両が合流車線から本線車線への移行運転を開始してから終了するまでの所要時間と、移行運転時の自車両の操舵挙動と、移行運転時の自車両の加減速挙動とを前記合流挙動特性として学習することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項4】
前記道路状況把握手段は、本線車線の混雑状況を把握し、
前記合流結果状況算出手段は、前記道路状況把握手段により把握される本線車線の混雑状況に応じて周囲車両の許容減速度を算出し、当該許容減速度に応じて前記合流終了時点における周囲車両の状況を予測することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項5】
前記危険度算出手段は、前記合流結果予測手段により前記合流終了時点において自車両から所定範囲内で自車両の前方及び後方の双方に周囲車両が存在すると予測された場合に、自車両前方の周囲車両による前方危険度と、自車両後方の周囲車両による後方危険度とをそれぞれ算出するとともに、これら前方危険度と後方危険度とを合わせた総合的な危険度を算出することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項6】
前記道路状況把握手段は、本線車線の混雑状況を把握し、
前記危険度算出手段は、前記道路状況把握手段により把握される本線車線の混雑状況に応じて危険度の算出基準を変更することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項7】
前記合流挙動特性学習手段による学習値に基づいて自車両運転者の運転能力を判断する運転能力判断手段を更に備え、
前記危険度算出手段は、前記運転能力判断手段の判断結果に応じて危険度の算出方法を変更することを特徴とする請求項2に記載の合流支援装置。
【請求項8】
前記運転能力判断手段は、同じパターンに分類される合流環境における合流挙動特性の分散度を算出し、当該分散度に応じて、自車両運転者の技能的運転能力を判断することを特徴とする請求項7に記載の合流支援装置。
【請求項9】
前記運転能力判断手段は、異なるパターンに分類される合流環境間における合流挙動特性の分散度を算出し、当該分散度に応じて、自車両運転者の戦略的運転能力を判断することを特徴とする請求項7又は8に記載の合流支援装置。
【請求項10】
前記合流挙動特性学習手段は、前記合流環境識別手段で識別された現在の合流環境が分類されるパターンでの過去の合流挙動特性のデータサンプル数が所定の値に満たない場合には、所定の初期値、もしくは、車線変更時における挙動特性の学習値、もしくは、過去の合流挙動特性のデータサンプル数が所定値以上の合流環境のパターンでの学習値を代用して、合流挙動特性を学習することを特徴とする請求項2に記載の合流支援装置。
【請求項11】
前記情報提示手段は、前記危険度算出手段により算出された危険度を、音、もしくは、画像により自車両の運転者に提示することを特徴とする請求項1に記載の合流支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−334545(P2007−334545A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164400(P2006−164400)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】