周波数出力装置、流量計、及び流量計測装置
【課題】周波数出力端子の保護と、信号波形の帯域を十分に確保することができる周波数出力装置を提供する。
【解決手段】周波数信号を出力する周波数出力装置2の出力端子にバリスタ素子Zs1を設ける。これにより、例えばバリスタ電圧を超える電圧が出力端子に印加された場合に、そのバリスタ電圧を超える電圧分を接地側に流して、周波数出力装置2に高電圧のサージ電圧が入力されるのを防ぎ、周波数出力装置2を保護する。また、放電時における放電量を少なくして電圧の変化を滑らかにし、電圧の立ち下がり時におけるピーク電流を下げて、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズの影響を低減し、必要な周波数信号の帯域を確保する。
【解決手段】周波数信号を出力する周波数出力装置2の出力端子にバリスタ素子Zs1を設ける。これにより、例えばバリスタ電圧を超える電圧が出力端子に印加された場合に、そのバリスタ電圧を超える電圧分を接地側に流して、周波数出力装置2に高電圧のサージ電圧が入力されるのを防ぎ、周波数出力装置2を保護する。また、放電時における放電量を少なくして電圧の変化を滑らかにし、電圧の立ち下がり時におけるピーク電流を下げて、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズの影響を低減し、必要な周波数信号の帯域を確保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数信号を出力する周波数出力装置に関し、例えば流量計や流量計測装置に用いられる周波数出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の内燃機関の吸入空気量を測定する空気流量計として、熱式のものが質量空気量を直接検知できることから多数使われており、空気流量に応じて周波数が変化する周波数出力型が広く使われている。
【0003】
このような周波数出力型の空気流量計を自動車に用いる場合、信頼性や、近年増加している電子機器等による電波の干渉(ラジオノイズ、電磁障害など)による影響を低減する必要がある。
【0004】
特に、周波数出力型の空気流量計の場合、回路にオープンコレクタ出力端子を設けるものが利便性の点などからよく使われている。オープンコレクタ出力端子を用いた場合、周波数の伝達をON−OFF信号で行い、信号の電圧を外部電源から受け取り、出力電圧の波形が短形波となる。
【0005】
出力電圧が矩形波になるとき、流れる電流も原則として短形波となり、高周波電磁波が放出され、ラジオなどにノイズの影響を与える。このため、例えば特許文献1に示されるように、周波数出力回路の出力に流れる電流をトランジスタで制限して、ラジオノイズを低減する試みなどがなされている。
【0006】
一方、信号を外部に出力する出力端子は、外部に露出していることから、人間が直接手に触れたり、出力端子に繋がる配線等からのサージや静電気によって内部回路が破壊することがないように、抵抗やコンデンサ等の保護素子が一般的に設けられている。
【0007】
例えば、流量計において外部との接点の保護をより強化するためにバリスタ、ダイオード、コイルなどで高電流、高電圧の侵入に備えた回路を用いる例などが特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−311664号公報
【特許文献2】特開2002−267520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、オープンコレクタ出力端子の保護を優先して抵抗値の大きな抵抗や、静電容量の大きなコンデンサを出力端子に設ければ、出力端子の保護とラジオノイズの低減を図ることができる。
【0010】
しかしながら、周波数を出力する場合には、周波数出力信号の帯域(最大出力周波数)を大幅に低下させてしまうという課題があり、出力端子の保護とラジオノイズの低減を両立することは困難であった。上記課題は、オープンコレクタ接続方式の回路に限定されるものではなく、周波数を出力する周波数出力装置一般にもいえることである。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回路の保護と、周波数出力信号の帯域を十分に確保することができる周波数出力装置、流量計、流量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の周波数出力装置は、出力端子から周波数信号を出力する周波数出力装置であって、所定の静電容量を有し、出力端子に予め設定された基準電圧よりも高い電圧が印加された場合に基準電圧を超える電圧分をカットする保護手段を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、周波数出力端子をサージ電圧から保護し、かつ、ラジオノイズ等の電磁放射ノイズの発生を抑制することができ、必要な周波数信号の帯域を十分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施例]
図1は、第1実施例の全体構成図である。本実施例は、自動車の内燃機関の制御に用いられる吸入空気量測定システムであり、周波数出力装置2を有する流量計1と、流量計測装置52を有するECU(エンジンコントロールユニット)5を備えている。
【0015】
流量計1は、吸入空気の流速に応じて生じる熱のやり取りにより、内燃機関の吸気通路(図示せず)内を流れる吸入空気の流量を測定する熱式流量計である。流量計1には、電源10が接続されており、この電源10から供給される電流に基づいて、各回路の駆動や発熱抵抗体Rh1の発熱等が行われる。
【0016】
流量計1は、周波数出力装置であるセンサIC回路2と、センサIC回路2を保護する保護回路3を備えている。センサIC回路2には、吸気通路内に配置された発熱抵抗体Rh1と、吸気通路を通過する吸入空気の温度を補償するための感温抵抗体Rc1が接続されている。
【0017】
センサIC回路2は、電源10から発熱抵抗体Rh1に電流を供給して発熱させ、感温抵抗体Rc1との間に一定温度差を保つように電流の大きさを制御し、その発熱抵抗体Rh1に供給される電流値に基づき、吸入空気の流量を測定する。そして、測定した吸入空気の流量に応じた周波数信号を出力する構成を有する。
【0018】
センサIC回路2は、測定した吸入空気の流量を矩形波のパルス信号に変換して出力するパルス出力回路21と、パルス出力回路21から出力されるパルス信号に応じてON・OFFされるスイッチ手段として作用するオープンコレクタのトランジスタTを備えている。
【0019】
トランジスタTは、コレクタ端子Tcが高電位側の出力端子Foutに接続されており、ベース端子Tbがパルス出力回路21に接続され、エミッタ端子Teが接地側に接続されている。
【0020】
保護回路(保護手段)3は、出力端子Foutに予め設定されたバリスタ電圧(基準電圧)よりも高い電圧が印加された場合に、バリスタ電圧を超える電圧分をカットして保護する機能を有しており、トランジスタTのコレクタ端子Tcと高電位側の出力端子Foutとの間に介在されて接続されている。
【0021】
流量計1は、高電位側の出力端子Foutと低電位側の出力端子GNDを備えており、FoutラインL1とGNDラインL2を介してECU5にそれぞれ接続されている。高電位側の出力端子Foutは、ECU5の内部電源Vcc(例えば低電圧5V)と接続されている。
【0022】
一方、ECU5は、I/F回路(インターフェイス回路)51と、流量計測装置であるCPU(中央演算装置)52を備えている。ECU5には、高電位側の入力端子Finと低電位側の入力端子GNDが設けられており、入力端子FinにFoutラインL1が接続され、入力端子GNDにGNDラインL2が接続されている。
【0023】
CPU52は、I/F回路51を介して流量計1から入力されたパルス信号を周波数に変換し、予め設定されている周波数と空気流量との関係に基づいて、吸入空気の流量を計測する処理を行う(計測手段)。I/F回路51は、入力端子FinとCPU52との間に介在されて信号の伝達処理を行う(インターフェイス手段)。
【0024】
次に、図2を用いて流量計1とECU5の内部構成および動作について詳細に説明する。
【0025】
流量計1の保護回路3は、保護抵抗(保護素子)Rs1とバリスタ素子(voltage variable resistor)Zs1を備えている。保護抵抗Rs1は、トランジスタTのコレクタ端子Tcと出力端子Foutとの間に介在されて接続されており、バリスタ素子Zs1は、一端がトランジスタTのコレクタ端子Tcと保護抵抗Rs1との間に接続され、他端が出力端子GNDに接続されている。
【0026】
バリスタ素子Zs1は、予め設定されたバリスタ電圧(基準電圧)よりも印加電圧が低いときは所定の抵抗値を維持し、バリスタ電圧を超える電圧が印加されると抵抗値が急激に減少する非直線性抵抗素子であり、例えばサージ、静電気(ESD)等の高電圧が印加された際に、ピーク電圧をカットして内部回路を保護する機能を有する。
【0027】
本実施例では、所定の静電容量を有するチップバリスタと呼ばれる、基板上に配置実装可能な小型で積層構造のコンデンサ機能を持ち合わせたものが使用されている。これにより、いわゆる受動素子としてコンデンサの代わりに平滑回路を構成し、出力信号のフィルタ処理を行っている。バリスタ素子Zs1は、コンデンサよりも静電容量が小さい、例えば数100pFから2000pF程度の静電容量のものが用いられる。
【0028】
チップバリスタはチップ部品であるため、従来はコンデンサで構成されていた保護回路を簡単に置き換えることも可能である。そして、より大きな容量を得るためには、バリスタ素子Zs1と並列にコンデンサを接続してもよい。同程度のサージを保護する場合、ダイオード等を組み合わせて使用するよりも、回路基板上の実装面積を小さくすることができる。
【0029】
一方、ECU5のI/F回路51は、プルアップ抵抗Re1と、バリスタ素子Zs2と、CPU用抵抗(計測手段用抵抗)Re2を備えている。プルアップ抵抗Re1は、ECU5の入力端子FinとECU5の内部電源Vccとの間に介在されて接続されている。
【0030】
バリスタ素子Zs2は、入力端子Finと入力端子GNDとの間に介在されて接続されており、CPU52に過大なサージや静電気が流れるのを防止している。CPU用抵抗Re2は、入力端子FinとCPU52との間に介在されて接続されており、より詳しくは、一端がプルアップ抵抗Re1とバリスタ素子Zs2との間に接続され、他端がCPU52のI/O端子に接続されている。
【0031】
CPU52は、ON−OFF波形であるパルス信号を一定の閾値を用いて、例えば一定電圧以上ならばHi、一定電圧未満ならばLowと判断してパルス幅を読み取り、周波数に変換する。そして、予め設定されている周波数と空気流量との関係に基づいて、周波数から吸入空気の流量を算出する処理を行う。
【0032】
詳細に説明すると、発熱抵抗体Rh1を用いた熱式流量計1のセンサ出力と吸入空気の流量との関係はキングの式と呼ばれる次式(1)によって表される。
【0033】
Ih×Ih×Rh=(C1+C2√Q)×(Th−Ta)・・・・・・(1)
ここで、Ihは熱線電流、Rhは熱線抵抗、Thは熱線の表面温度、Taは空気の温度、Qは吸入空気の流量、C1、C2は熱線で決まる定数である。
【0034】
センサ出力の、この流量に応じた熱線電流値Ihを物理量としてECU等で読み取るには、電圧に変換すれば容易となるため、抵抗値Rhの両端の電圧(もしくはこの電圧を増幅した信号)をAD変換変換器で電圧値として検出するのが一般的であり、ECU5では、式(1)の関係からセンサ出力の電圧値を流量値に変換して、内燃機関の空気と燃料の割合(空燃比)などを制御している。
【0035】
このように、熱式流量計1のセンサ出力の信号と実際の流量Qとの関係は、式(1)の非線形な関係(流量Qの4乗根が電圧値)であるため、流量Qとして信号を用いるには何らかの線形化手段が必要となる。
【0036】
本実施例においては、センサ出力の電圧をパルス出力回路21でパルス変換することで、従来の電圧と流量Qとの関係と同様の関係が、周波数と流量Qとの関係として得られる。
【0037】
ここで、例えば従来の電圧による接続の場合は、ECU5の電圧入力をデジタル変換するアナログ・デジタル変換器(A/D変器)の基準電圧(例えば5V)によって読み込みできる最大の値が制限される。従って、制限される電圧に対し、吸入空気の流量として使用する最大の値を読み込むことが出来るように、流量計1の出力信号を最適に(例えば最大流量で5V以下の出力となるように)調整している。
【0038】
これに対し、周波数による接続の場合は、ECU5のCPU52の動作クロックが十分に速く、時間軸の読み取り分解能も十分に確保できる場合で、かつ周波数の出力が完全な短形波で、CPU52のI/Oでの読み取り閾値に対し十分に振幅が確保できれば、原理的には電圧のように読み取り制限がほぼ発生しない。
【0039】
しかしながら、実際には、以下の2つの理由から、周波数として伝達される信号波形に鈍り(波形の遅れ)が生じ、周波数の読み込みに大きな制限が加えられていた。周波数の読み込みが制限される要因の1つは、流量計1やECU5の内部回路を保護する保護回路にコンデンサが用いられていたことが挙げられる。
【0040】
図3は、第1比較例として、図2におけるバリスタ素子Zs1、Zs2の代わりに、コンデンサCe11、Ce12が用いられた回路の構成を示す図である。なお、図2に示す構成要素と同様の構成要素には、図2の符号に100を加えた符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0041】
図3に示す第1比較例の回路において、コンデンサCe11、Ce12の静電容量Cや、抵抗Rs11、プルアップ抵抗Re11、CPU用抵抗Re12の抵抗値は、保護の程度に応じて設定される。保護回路103は、低帯域通過の平滑フィルタ(LPF)と考えることができる。時定数を大きくすれば保護能力が増加するが、信号波形が鈍り周波数伝達の際の帯域に制限が生じる。
【0042】
周波数の読み込みが制限されるもう一つの要因は、信号波形の急峻な立ち上がり等によって生じるラジオノイズなどの電磁誘導ノイズの影響である。この電磁誘導ノイズを低減するには、周波数信号をなるべく正弦波に近い波形にすることである。立ち上がりと、立下りの信号波形の急峻な変化を無くすことができれば、切り替わり時に発生する過渡的な電流波形による高周波の電磁誘導ノイズを低減することができる。
【0043】
上記した周波数の読み込みが制限される2つの要因は、いずれも波形を鈍らせる(遅らせる)方向だけであるので、必ずしも回路の保護レベルの要求と一致しない。この波形の鈍り(遅れ)があると、パルス波形の波高値が低下し一定の電圧の閾値で信号のON-OFFを読み取る場合を考えると周波数読み取りが阻害されることになる。これは高周波数であるほど鈍り(遅れ)による波高値の低下の影響が顕著であるため、読み取り可能な最大周波数の確保が満足できるとは限らず、要求性能を満足できない場合があった。
【0044】
図12は、出力周波数fout(Hz)と波形の波高値Vh(V)との関係を示し、図13は、出力周波数fout(Hz)とラジオノイズレベル(dBm)との関係を示すグラフである。
【0045】
コンデンサCe11の静電容量Cを小さくすると、図12に示すように、最大周波数fmaxを大きくすることができる一方で、図13に示すように、ラジオノイズレベルの許容値EMCmaxが高くなり、ラジオノイズが悪化する。
【0046】
また、ラジオノイズの悪化を防ぐべく、コンデンサCe11の静電容量Cを大きくしてラジオノイズレベルの許容値EMCmaxを下げると、図12に示すように、高い周波数領域において、波高値Vh(V)がECU5の信号読み取りレベルVHecuよりも低くなってしまい、最大周波数fmaxが制限される。
【0047】
最大周波数fmaxが制限されると、予め設定された時間内に所定長さの周波数信号を取得することができず、制御処理が遅くなり、吸入空気量測定システムとしての仕様を満足することができない。
【0048】
図14は、静電容量Cと波形の波高値Vh(V)との関係を示し、図15は、静電容量Cとサージに対する保護のレベルとの関係を示すグラフである。
【0049】
サージに対する保護レベルを強くすべく、コンデンサCe11の静電容量Cを大きくすると、図14に示されるように、出力周波数が大きい場合に波高値Vh(V)がECU5の信号読み取りレベルVHecuよりも低くなってしまい、最大周波数が制限される。また、サージに対する保護レベルを強くするには、図15に示すように、コンデンサCe11の静電容量Cは、より大きな静電容量Cが必要とされる。
【0050】
本実施例においては、コンデンサCe11、Ce12の変わりに保護素子としてバリスタ素子Zs1、Zs2を用いることで、課題の一方の保護という点では容易に満足することができる。最大の利点は、バリスタ素子Zs1、Zs2の有する静電容量Cが小さくても回路の保護が可能となることである。従来のコンデンサ比で10分の1程度であっても十分に満足できる。
【0051】
同様に、回路動作から見た場合、流量計1、ECU5にそれぞれ設けられるバリスタ素子Zs1、Zs2は、いずれか一方の静電容量Cを10分の1程度に減少しても十分に保護でき、また、少なくとも一方をバリスタ素子にするだけでも信号の読み取り範囲を拡大することができる。例えば、流量計1のバリスタ素子Zs1はそのままで、ECU5のバリスタ素子Zs2がコンデンサであっても良い。
【0052】
少なくとも、流量計1の保護にバリスタ素子を用いることで、ECU5のI/F回路51の設計上の自由度を大幅に向上させることが可能である。これは、多少の定数、回路構成が異なるI/F回路であっても流量計1の性能、及び汎用性を高めることで、部品の共通化が図れ、コスト低減上の優位が生じるという効果がある。
【0053】
次に、本実施例の構成によってラジオノイズなどの電磁誘導ノイズの影響を低減できる作用について、図4、図5、図6によって説明する。図4は、本実施例と第1比較例の出力波形を示す図、図5、図6は本実施例における電流の流れを示す図である。図5は、パルス信号のONからOFFへの切り替え時である立ち上がり(Fout信号がLowからHi)時における電流の流れを示し、図6はパルス信号のOFFからONへの切り替え時における立ち下がり(Fout信号がHiからLow)時の電流の流れを破線で示している。
【0054】
図4(B)は、図3の第1比較例の回路構成において、出力端子Foutに流れる周波数信号の出力波形である。
【0055】
まず、立ち上がり(B1)の場合、トランジスタTがONからOFFに変わると、図3に示すECU105の内部電源Vccから抵抗Re11を介して、一つはコンデンサCe12を充電し、ECU105の接地側に電流が流れる。そして、もう一つは、抵抗Re11と抵抗Rs11を介してコンデンサCe11を充電し、流量計101の接地側に電流が流れる。
【0056】
立ち上がりは、それぞれのコンデンサCe11、Ce12の合成による静電容量Cによって、かつ各抵抗Re11、Rs11により電流が制限されることから、図4(B1)に示すように、比較的緩やかな立ち上がりとなる。
【0057】
そして、立ち下がり(B2)の場合、トランジスタTがOFFからONに変わると、ECU105の内部電源Vccから抵抗Re11、抵抗Rs11を介しトランジスタTに電流が流れ、トランジスタTのコレクタTcからエミッタTeを通して流量計101の接地側に流れる。
【0058】
そして、各コンデンサCe11、Ce12に充電されていた電流が、それぞれトランジスタTを介して放電される。ここで、特にI/F回路151のコンデンサCe12に充電されていた電流が、ECU105の入力端子FinからFoutラインL1を通過して流量計101に流れ込み、流量計101内で放電されるので、コンデンサCe12の静電容量Cが大きいと、図4(B3)に示すように瞬時に大きな電流(ピーク電流)Ihuが流れて、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズへの影響が大きくなる。
【0059】
この対策として、保護抵抗Rs11を抵抗値が大きいものに変更して、ECU105から流量計101に流れ込む電流に制限を加えることも可能であるが、抵抗Rs11の抵抗値が大きいと、出力端子Foutの電圧レベルも低下するというデメリットがあり、結果として、保護抵抗Rs11の抵抗値は、プルアップ抵抗Re11に対して十分に小さな値にする必要がある。
【0060】
図4(A)は、図2の本実施例の回路構成において、出力端子Foutに流れる周波数信号の出力波形である。
【0061】
本実施例では、図5、図6に示すように、保護回路3及びI/F回路51において、バリスタ素子Zs1、Zs2が用いられている。バリスタ素子Zs1、Zs2は、コンデンサCe11、Ce12と比較して、静電容量Cが小さく、また、プルアップ抵抗Re1、CPU用抵抗Re2、保護抵抗Rs1は、図3に示す第1比較例のプルアップ抵抗Re11、CPU用抵抗Re12、保護抵抗Rs11よりもそれぞれ抵抗値が大きい値に設定されている。
【0062】
まず、立ち上がり(A1)の場合、トランジスタTがONからOFFに変わると、図5に示すECU5の内部電源Vccから抵抗Re1を介して、一つはバリスタ素子Zs2を介してECU105の接地側に電流I1が流れる。そして、もう一つは、出力端子Foutから流量計1に電流I2が流れ込み、保護抵抗Rs1とバリスタ素子Zs1を介して接地側に流れる。
【0063】
立ち上がりは、小さな静電容量Cを有するバリスタ素子Zs1、Zs2と、大きな抵抗値を有する各抵抗Re1、Rs1により電流が制限されることから、図4(A1)に示すように、緩やかな立ち上がりとなる。従って、出力端子Foutから出力される信号波形を、矩形波ではなく、正弦波に近い波形にすることができる。従って、図4(A3)に示すように、GNDラインの過渡電流の波高値Ihuを第1比較例(図4(B3))よりも低くして、その波形をなますことができる。
【0064】
そして、立ち下がり(A2)の場合、トランジスタTがOFFからONに変わると、図6に示すように、電流I3が、ECU5の内部電源Vccからプルアップ抵抗Re1と保護抵抗Rs1を介してトランジスタTに流れ、そして、トランジスタTのコレクタTcからエミッタTeを通して接地側に流れる。
【0065】
また、各バリスタ素子Zs1、Zs2から放電された電流I4が接地側に流れる。各バリスタZs1、Zs2の静電容量Cは、コンデンサCe11、Ce12よりも小さい値に設定されているので、放電される電流の大きさを小さくすることができる。従って、図4(A3)に示すように、GNDラインの過渡電流の波高値Ihdを第1比較例(図4(B3))よりも低くして、その波形をなますことができる。
【0066】
このように、バリスタ素子Zs1、Zs2の静電容量Cを小さくすることによって、各抵抗Re1、Rs1の抵抗値を大きくすることができ、全体の駆動電流を下げることができる。従って、立ち上がり時及び立ち下がり時に流れる電流を小さくすることができ、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズへの影響を小さくすることができる。
【0067】
上記した構成によれば、保護回路3及びI/F回路51に、バリスタ素子Zs1、Zs2を用いることで、流量計1及びECU5の内部回路を保護することができる。例えば、出力端子Foutにバリスタ電圧以上のサージ電圧が加えられた場合に、そのサージ電圧を保護回路3によって接地側に流すことができ、流量計1のセンサIC回路2に高電圧のサージ電圧が入力されるのを防ぎ、センサIC回路2を保護することができる。
【0068】
また、各抵抗Re1、Rs1の抵抗値を大きくすることで、全体の駆動電流を下げて、立ち上がり時(A1)と立ち下がり時(A2)における電流Iの急峻な変化を抑制することが可能となり、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズの影響を低減できるといった効果がある。
【0069】
例えば、バリスタ素子Zs1は、コンデンサCe11と比較して静電容量が小さいので、放電時における放電量を少なくすることができ、電圧の変化を滑らかにすることができる。従って、電圧の立ち下がり時におけるピーク電流Ihdを下げることができ、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズの影響を低減することができる。
【0070】
従って、周波数信号の帯域を低下させることなく、予め設定された時間内に所定長さの周波数信号を取得することができ、必要な周波数信号の帯域を十分に確保することができる。
【0071】
[第2実施例]
次に、第2実施例について図7から図11を用いて説明する。
【0072】
図7は、第2実施例における流量計1とECU5の詳細な構成を示す図、図8は、第2比較例の回路構成を説明する図、図9は、本実施例と第2比較例の出力波形を示す図、図10は、パルス信号のONからOFFへの切り替え時(立ち上がり時)における電流の流れを示す図、図11は、パルス信号のOFFからONへの切り替え時(立ち下がり時)における電流の流れを示す図である。なお、第1実施例と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施例において特徴的なことは、上記した第1実施例におけるCPU用抵抗Re2を抵抗Re2a、Re2bの2つに分割して直列に配置し、その中点にコンデンサCe1の一端を接続し、コンデンサCe1の他端をECU5の接地側に接続する構成とした点である。
【0074】
より具体的には、図7に示すように、一対の抵抗Re2aと抵抗Re2bが直列に接続され、抵抗Re2aの端部がプルアップ抵抗Re1と入力端子Finとの間に接続され、抵抗Re2bの端部がCPU52のI/O端子(図示せず)に接続されている。そして、コンデンサCe1の一端が抵抗Re2aと抵抗Re2bとの間に接続され、他端が接地側に接続された構成を有している。
【0075】
そして、図8に示す第2比較例は、図7に示す保護回路3のバリスタ素子Zs1をコンデンサCe11に入れ替えて、そして、単一のCPU用抵抗Re22とした回路構成を有している。
【0076】
プルアップ抵抗Re21は、一端が内部電源Vccに接続され、他端が入力端子Finに接続されており、CPU用抵抗Re22は、その一端がプルアップ抵抗Re21と入力端子Finとの間に接続され、他端がCPU152のI/O端子に接続されている。そして、コンデンサCe1は、その一端がプルアップ抵抗Re21と入力端子Finとの間に接続され、他端がI/F回路151の接地側に接続された構成を有している。
【0077】
本実施例によれば、図11に示すように、立ち下がり時にコンデンサCe1から放電される電流I4を抵抗Re2aで制限して、入力端子FinからFoutラインL1を介して流量計1に流れ込むのを防ぐことができる。
【0078】
従って、図9(A2)のX部分に示すように、立ち下がり時の電圧波形を緩やかにすることができ、図9(A3)に示すように、GNDラインの過渡電流の波高値Ihdを第2比較例(図9(B3)を参照)よりも低くして、その波形をなますことができる。
【0079】
従って、周波数信号を正弦波に近い波形にすることができ、立ち上がりと立ち下がりの信号波形の急峻な変化を無くすことができる。従って、パルス信号のON−OFFの切り替わり時に発生する過渡的な電流波形によるラジオノイズ等の電磁誘導ノイズを低減することができる。
【0080】
なお、本発明は、上述の各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の各実施例では、オープンコレクタ接続の構成を有する場合を例に説明したが、本発明の構成は、オープンコレクタ接続に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施例の全体構成図。
【図2】第1実施例における流量計とECUの内部構成を示す図。
【図3】第1比較例の回路構成を示す図。
【図4】第1実施例と第1比較例の出力波形を示す図。
【図5】立ち上がり時における電流の流れを示す図。
【図6】立ち下がり時における電流の流れを示す図。
【図7】第2実施例における流量計とECUの内部構成を示す図。
【図8】第2比較例の回路構成を示す図。
【図9】第2実施例と第2比較例の出力波形を示す図。
【図10】立ち上がり時における電流の流れを示す図。
【図11】立ち下がり時における電流の流れを示す図。
【図12】出力周波数と波形の波高値との関係を示すグラフ。
【図13】出力周波数とラジオノイズレベルとの関係を示すグラフ。
【図14】静電容量と波形の波高値との関係を示すグラフ。
【図15】静電容量とサージに対する保護のレベルとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0082】
1、101 流量計
2、102 センサIC回路(周波数出力装置)
3、103 保護回路
5、105 ECU
21、121 パルス出力回路
51、151 I/F回路
52、152 CPU(流量計測装置)
Zs1、Zs2 バリスタ素子
Ce1、Ce2、Ce11、Ce12、 コンデンサ
T トランジスタ
Rh1 抵抗発熱体
Rc1 温度補償抵抗
Re1、Re11、Re21 プルアップ抵抗
Re2、Re12、Re22 CPU用抵抗(計測手段用抵抗)
Rs1、Rs11、Rs21 保護抵抗(保護素子)
Vcc 内部電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数信号を出力する周波数出力装置に関し、例えば流量計や流量計測装置に用いられる周波数出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の内燃機関の吸入空気量を測定する空気流量計として、熱式のものが質量空気量を直接検知できることから多数使われており、空気流量に応じて周波数が変化する周波数出力型が広く使われている。
【0003】
このような周波数出力型の空気流量計を自動車に用いる場合、信頼性や、近年増加している電子機器等による電波の干渉(ラジオノイズ、電磁障害など)による影響を低減する必要がある。
【0004】
特に、周波数出力型の空気流量計の場合、回路にオープンコレクタ出力端子を設けるものが利便性の点などからよく使われている。オープンコレクタ出力端子を用いた場合、周波数の伝達をON−OFF信号で行い、信号の電圧を外部電源から受け取り、出力電圧の波形が短形波となる。
【0005】
出力電圧が矩形波になるとき、流れる電流も原則として短形波となり、高周波電磁波が放出され、ラジオなどにノイズの影響を与える。このため、例えば特許文献1に示されるように、周波数出力回路の出力に流れる電流をトランジスタで制限して、ラジオノイズを低減する試みなどがなされている。
【0006】
一方、信号を外部に出力する出力端子は、外部に露出していることから、人間が直接手に触れたり、出力端子に繋がる配線等からのサージや静電気によって内部回路が破壊することがないように、抵抗やコンデンサ等の保護素子が一般的に設けられている。
【0007】
例えば、流量計において外部との接点の保護をより強化するためにバリスタ、ダイオード、コイルなどで高電流、高電圧の侵入に備えた回路を用いる例などが特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−311664号公報
【特許文献2】特開2002−267520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、オープンコレクタ出力端子の保護を優先して抵抗値の大きな抵抗や、静電容量の大きなコンデンサを出力端子に設ければ、出力端子の保護とラジオノイズの低減を図ることができる。
【0010】
しかしながら、周波数を出力する場合には、周波数出力信号の帯域(最大出力周波数)を大幅に低下させてしまうという課題があり、出力端子の保護とラジオノイズの低減を両立することは困難であった。上記課題は、オープンコレクタ接続方式の回路に限定されるものではなく、周波数を出力する周波数出力装置一般にもいえることである。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回路の保護と、周波数出力信号の帯域を十分に確保することができる周波数出力装置、流量計、流量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の周波数出力装置は、出力端子から周波数信号を出力する周波数出力装置であって、所定の静電容量を有し、出力端子に予め設定された基準電圧よりも高い電圧が印加された場合に基準電圧を超える電圧分をカットする保護手段を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、周波数出力端子をサージ電圧から保護し、かつ、ラジオノイズ等の電磁放射ノイズの発生を抑制することができ、必要な周波数信号の帯域を十分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施例]
図1は、第1実施例の全体構成図である。本実施例は、自動車の内燃機関の制御に用いられる吸入空気量測定システムであり、周波数出力装置2を有する流量計1と、流量計測装置52を有するECU(エンジンコントロールユニット)5を備えている。
【0015】
流量計1は、吸入空気の流速に応じて生じる熱のやり取りにより、内燃機関の吸気通路(図示せず)内を流れる吸入空気の流量を測定する熱式流量計である。流量計1には、電源10が接続されており、この電源10から供給される電流に基づいて、各回路の駆動や発熱抵抗体Rh1の発熱等が行われる。
【0016】
流量計1は、周波数出力装置であるセンサIC回路2と、センサIC回路2を保護する保護回路3を備えている。センサIC回路2には、吸気通路内に配置された発熱抵抗体Rh1と、吸気通路を通過する吸入空気の温度を補償するための感温抵抗体Rc1が接続されている。
【0017】
センサIC回路2は、電源10から発熱抵抗体Rh1に電流を供給して発熱させ、感温抵抗体Rc1との間に一定温度差を保つように電流の大きさを制御し、その発熱抵抗体Rh1に供給される電流値に基づき、吸入空気の流量を測定する。そして、測定した吸入空気の流量に応じた周波数信号を出力する構成を有する。
【0018】
センサIC回路2は、測定した吸入空気の流量を矩形波のパルス信号に変換して出力するパルス出力回路21と、パルス出力回路21から出力されるパルス信号に応じてON・OFFされるスイッチ手段として作用するオープンコレクタのトランジスタTを備えている。
【0019】
トランジスタTは、コレクタ端子Tcが高電位側の出力端子Foutに接続されており、ベース端子Tbがパルス出力回路21に接続され、エミッタ端子Teが接地側に接続されている。
【0020】
保護回路(保護手段)3は、出力端子Foutに予め設定されたバリスタ電圧(基準電圧)よりも高い電圧が印加された場合に、バリスタ電圧を超える電圧分をカットして保護する機能を有しており、トランジスタTのコレクタ端子Tcと高電位側の出力端子Foutとの間に介在されて接続されている。
【0021】
流量計1は、高電位側の出力端子Foutと低電位側の出力端子GNDを備えており、FoutラインL1とGNDラインL2を介してECU5にそれぞれ接続されている。高電位側の出力端子Foutは、ECU5の内部電源Vcc(例えば低電圧5V)と接続されている。
【0022】
一方、ECU5は、I/F回路(インターフェイス回路)51と、流量計測装置であるCPU(中央演算装置)52を備えている。ECU5には、高電位側の入力端子Finと低電位側の入力端子GNDが設けられており、入力端子FinにFoutラインL1が接続され、入力端子GNDにGNDラインL2が接続されている。
【0023】
CPU52は、I/F回路51を介して流量計1から入力されたパルス信号を周波数に変換し、予め設定されている周波数と空気流量との関係に基づいて、吸入空気の流量を計測する処理を行う(計測手段)。I/F回路51は、入力端子FinとCPU52との間に介在されて信号の伝達処理を行う(インターフェイス手段)。
【0024】
次に、図2を用いて流量計1とECU5の内部構成および動作について詳細に説明する。
【0025】
流量計1の保護回路3は、保護抵抗(保護素子)Rs1とバリスタ素子(voltage variable resistor)Zs1を備えている。保護抵抗Rs1は、トランジスタTのコレクタ端子Tcと出力端子Foutとの間に介在されて接続されており、バリスタ素子Zs1は、一端がトランジスタTのコレクタ端子Tcと保護抵抗Rs1との間に接続され、他端が出力端子GNDに接続されている。
【0026】
バリスタ素子Zs1は、予め設定されたバリスタ電圧(基準電圧)よりも印加電圧が低いときは所定の抵抗値を維持し、バリスタ電圧を超える電圧が印加されると抵抗値が急激に減少する非直線性抵抗素子であり、例えばサージ、静電気(ESD)等の高電圧が印加された際に、ピーク電圧をカットして内部回路を保護する機能を有する。
【0027】
本実施例では、所定の静電容量を有するチップバリスタと呼ばれる、基板上に配置実装可能な小型で積層構造のコンデンサ機能を持ち合わせたものが使用されている。これにより、いわゆる受動素子としてコンデンサの代わりに平滑回路を構成し、出力信号のフィルタ処理を行っている。バリスタ素子Zs1は、コンデンサよりも静電容量が小さい、例えば数100pFから2000pF程度の静電容量のものが用いられる。
【0028】
チップバリスタはチップ部品であるため、従来はコンデンサで構成されていた保護回路を簡単に置き換えることも可能である。そして、より大きな容量を得るためには、バリスタ素子Zs1と並列にコンデンサを接続してもよい。同程度のサージを保護する場合、ダイオード等を組み合わせて使用するよりも、回路基板上の実装面積を小さくすることができる。
【0029】
一方、ECU5のI/F回路51は、プルアップ抵抗Re1と、バリスタ素子Zs2と、CPU用抵抗(計測手段用抵抗)Re2を備えている。プルアップ抵抗Re1は、ECU5の入力端子FinとECU5の内部電源Vccとの間に介在されて接続されている。
【0030】
バリスタ素子Zs2は、入力端子Finと入力端子GNDとの間に介在されて接続されており、CPU52に過大なサージや静電気が流れるのを防止している。CPU用抵抗Re2は、入力端子FinとCPU52との間に介在されて接続されており、より詳しくは、一端がプルアップ抵抗Re1とバリスタ素子Zs2との間に接続され、他端がCPU52のI/O端子に接続されている。
【0031】
CPU52は、ON−OFF波形であるパルス信号を一定の閾値を用いて、例えば一定電圧以上ならばHi、一定電圧未満ならばLowと判断してパルス幅を読み取り、周波数に変換する。そして、予め設定されている周波数と空気流量との関係に基づいて、周波数から吸入空気の流量を算出する処理を行う。
【0032】
詳細に説明すると、発熱抵抗体Rh1を用いた熱式流量計1のセンサ出力と吸入空気の流量との関係はキングの式と呼ばれる次式(1)によって表される。
【0033】
Ih×Ih×Rh=(C1+C2√Q)×(Th−Ta)・・・・・・(1)
ここで、Ihは熱線電流、Rhは熱線抵抗、Thは熱線の表面温度、Taは空気の温度、Qは吸入空気の流量、C1、C2は熱線で決まる定数である。
【0034】
センサ出力の、この流量に応じた熱線電流値Ihを物理量としてECU等で読み取るには、電圧に変換すれば容易となるため、抵抗値Rhの両端の電圧(もしくはこの電圧を増幅した信号)をAD変換変換器で電圧値として検出するのが一般的であり、ECU5では、式(1)の関係からセンサ出力の電圧値を流量値に変換して、内燃機関の空気と燃料の割合(空燃比)などを制御している。
【0035】
このように、熱式流量計1のセンサ出力の信号と実際の流量Qとの関係は、式(1)の非線形な関係(流量Qの4乗根が電圧値)であるため、流量Qとして信号を用いるには何らかの線形化手段が必要となる。
【0036】
本実施例においては、センサ出力の電圧をパルス出力回路21でパルス変換することで、従来の電圧と流量Qとの関係と同様の関係が、周波数と流量Qとの関係として得られる。
【0037】
ここで、例えば従来の電圧による接続の場合は、ECU5の電圧入力をデジタル変換するアナログ・デジタル変換器(A/D変器)の基準電圧(例えば5V)によって読み込みできる最大の値が制限される。従って、制限される電圧に対し、吸入空気の流量として使用する最大の値を読み込むことが出来るように、流量計1の出力信号を最適に(例えば最大流量で5V以下の出力となるように)調整している。
【0038】
これに対し、周波数による接続の場合は、ECU5のCPU52の動作クロックが十分に速く、時間軸の読み取り分解能も十分に確保できる場合で、かつ周波数の出力が完全な短形波で、CPU52のI/Oでの読み取り閾値に対し十分に振幅が確保できれば、原理的には電圧のように読み取り制限がほぼ発生しない。
【0039】
しかしながら、実際には、以下の2つの理由から、周波数として伝達される信号波形に鈍り(波形の遅れ)が生じ、周波数の読み込みに大きな制限が加えられていた。周波数の読み込みが制限される要因の1つは、流量計1やECU5の内部回路を保護する保護回路にコンデンサが用いられていたことが挙げられる。
【0040】
図3は、第1比較例として、図2におけるバリスタ素子Zs1、Zs2の代わりに、コンデンサCe11、Ce12が用いられた回路の構成を示す図である。なお、図2に示す構成要素と同様の構成要素には、図2の符号に100を加えた符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0041】
図3に示す第1比較例の回路において、コンデンサCe11、Ce12の静電容量Cや、抵抗Rs11、プルアップ抵抗Re11、CPU用抵抗Re12の抵抗値は、保護の程度に応じて設定される。保護回路103は、低帯域通過の平滑フィルタ(LPF)と考えることができる。時定数を大きくすれば保護能力が増加するが、信号波形が鈍り周波数伝達の際の帯域に制限が生じる。
【0042】
周波数の読み込みが制限されるもう一つの要因は、信号波形の急峻な立ち上がり等によって生じるラジオノイズなどの電磁誘導ノイズの影響である。この電磁誘導ノイズを低減するには、周波数信号をなるべく正弦波に近い波形にすることである。立ち上がりと、立下りの信号波形の急峻な変化を無くすことができれば、切り替わり時に発生する過渡的な電流波形による高周波の電磁誘導ノイズを低減することができる。
【0043】
上記した周波数の読み込みが制限される2つの要因は、いずれも波形を鈍らせる(遅らせる)方向だけであるので、必ずしも回路の保護レベルの要求と一致しない。この波形の鈍り(遅れ)があると、パルス波形の波高値が低下し一定の電圧の閾値で信号のON-OFFを読み取る場合を考えると周波数読み取りが阻害されることになる。これは高周波数であるほど鈍り(遅れ)による波高値の低下の影響が顕著であるため、読み取り可能な最大周波数の確保が満足できるとは限らず、要求性能を満足できない場合があった。
【0044】
図12は、出力周波数fout(Hz)と波形の波高値Vh(V)との関係を示し、図13は、出力周波数fout(Hz)とラジオノイズレベル(dBm)との関係を示すグラフである。
【0045】
コンデンサCe11の静電容量Cを小さくすると、図12に示すように、最大周波数fmaxを大きくすることができる一方で、図13に示すように、ラジオノイズレベルの許容値EMCmaxが高くなり、ラジオノイズが悪化する。
【0046】
また、ラジオノイズの悪化を防ぐべく、コンデンサCe11の静電容量Cを大きくしてラジオノイズレベルの許容値EMCmaxを下げると、図12に示すように、高い周波数領域において、波高値Vh(V)がECU5の信号読み取りレベルVHecuよりも低くなってしまい、最大周波数fmaxが制限される。
【0047】
最大周波数fmaxが制限されると、予め設定された時間内に所定長さの周波数信号を取得することができず、制御処理が遅くなり、吸入空気量測定システムとしての仕様を満足することができない。
【0048】
図14は、静電容量Cと波形の波高値Vh(V)との関係を示し、図15は、静電容量Cとサージに対する保護のレベルとの関係を示すグラフである。
【0049】
サージに対する保護レベルを強くすべく、コンデンサCe11の静電容量Cを大きくすると、図14に示されるように、出力周波数が大きい場合に波高値Vh(V)がECU5の信号読み取りレベルVHecuよりも低くなってしまい、最大周波数が制限される。また、サージに対する保護レベルを強くするには、図15に示すように、コンデンサCe11の静電容量Cは、より大きな静電容量Cが必要とされる。
【0050】
本実施例においては、コンデンサCe11、Ce12の変わりに保護素子としてバリスタ素子Zs1、Zs2を用いることで、課題の一方の保護という点では容易に満足することができる。最大の利点は、バリスタ素子Zs1、Zs2の有する静電容量Cが小さくても回路の保護が可能となることである。従来のコンデンサ比で10分の1程度であっても十分に満足できる。
【0051】
同様に、回路動作から見た場合、流量計1、ECU5にそれぞれ設けられるバリスタ素子Zs1、Zs2は、いずれか一方の静電容量Cを10分の1程度に減少しても十分に保護でき、また、少なくとも一方をバリスタ素子にするだけでも信号の読み取り範囲を拡大することができる。例えば、流量計1のバリスタ素子Zs1はそのままで、ECU5のバリスタ素子Zs2がコンデンサであっても良い。
【0052】
少なくとも、流量計1の保護にバリスタ素子を用いることで、ECU5のI/F回路51の設計上の自由度を大幅に向上させることが可能である。これは、多少の定数、回路構成が異なるI/F回路であっても流量計1の性能、及び汎用性を高めることで、部品の共通化が図れ、コスト低減上の優位が生じるという効果がある。
【0053】
次に、本実施例の構成によってラジオノイズなどの電磁誘導ノイズの影響を低減できる作用について、図4、図5、図6によって説明する。図4は、本実施例と第1比較例の出力波形を示す図、図5、図6は本実施例における電流の流れを示す図である。図5は、パルス信号のONからOFFへの切り替え時である立ち上がり(Fout信号がLowからHi)時における電流の流れを示し、図6はパルス信号のOFFからONへの切り替え時における立ち下がり(Fout信号がHiからLow)時の電流の流れを破線で示している。
【0054】
図4(B)は、図3の第1比較例の回路構成において、出力端子Foutに流れる周波数信号の出力波形である。
【0055】
まず、立ち上がり(B1)の場合、トランジスタTがONからOFFに変わると、図3に示すECU105の内部電源Vccから抵抗Re11を介して、一つはコンデンサCe12を充電し、ECU105の接地側に電流が流れる。そして、もう一つは、抵抗Re11と抵抗Rs11を介してコンデンサCe11を充電し、流量計101の接地側に電流が流れる。
【0056】
立ち上がりは、それぞれのコンデンサCe11、Ce12の合成による静電容量Cによって、かつ各抵抗Re11、Rs11により電流が制限されることから、図4(B1)に示すように、比較的緩やかな立ち上がりとなる。
【0057】
そして、立ち下がり(B2)の場合、トランジスタTがOFFからONに変わると、ECU105の内部電源Vccから抵抗Re11、抵抗Rs11を介しトランジスタTに電流が流れ、トランジスタTのコレクタTcからエミッタTeを通して流量計101の接地側に流れる。
【0058】
そして、各コンデンサCe11、Ce12に充電されていた電流が、それぞれトランジスタTを介して放電される。ここで、特にI/F回路151のコンデンサCe12に充電されていた電流が、ECU105の入力端子FinからFoutラインL1を通過して流量計101に流れ込み、流量計101内で放電されるので、コンデンサCe12の静電容量Cが大きいと、図4(B3)に示すように瞬時に大きな電流(ピーク電流)Ihuが流れて、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズへの影響が大きくなる。
【0059】
この対策として、保護抵抗Rs11を抵抗値が大きいものに変更して、ECU105から流量計101に流れ込む電流に制限を加えることも可能であるが、抵抗Rs11の抵抗値が大きいと、出力端子Foutの電圧レベルも低下するというデメリットがあり、結果として、保護抵抗Rs11の抵抗値は、プルアップ抵抗Re11に対して十分に小さな値にする必要がある。
【0060】
図4(A)は、図2の本実施例の回路構成において、出力端子Foutに流れる周波数信号の出力波形である。
【0061】
本実施例では、図5、図6に示すように、保護回路3及びI/F回路51において、バリスタ素子Zs1、Zs2が用いられている。バリスタ素子Zs1、Zs2は、コンデンサCe11、Ce12と比較して、静電容量Cが小さく、また、プルアップ抵抗Re1、CPU用抵抗Re2、保護抵抗Rs1は、図3に示す第1比較例のプルアップ抵抗Re11、CPU用抵抗Re12、保護抵抗Rs11よりもそれぞれ抵抗値が大きい値に設定されている。
【0062】
まず、立ち上がり(A1)の場合、トランジスタTがONからOFFに変わると、図5に示すECU5の内部電源Vccから抵抗Re1を介して、一つはバリスタ素子Zs2を介してECU105の接地側に電流I1が流れる。そして、もう一つは、出力端子Foutから流量計1に電流I2が流れ込み、保護抵抗Rs1とバリスタ素子Zs1を介して接地側に流れる。
【0063】
立ち上がりは、小さな静電容量Cを有するバリスタ素子Zs1、Zs2と、大きな抵抗値を有する各抵抗Re1、Rs1により電流が制限されることから、図4(A1)に示すように、緩やかな立ち上がりとなる。従って、出力端子Foutから出力される信号波形を、矩形波ではなく、正弦波に近い波形にすることができる。従って、図4(A3)に示すように、GNDラインの過渡電流の波高値Ihuを第1比較例(図4(B3))よりも低くして、その波形をなますことができる。
【0064】
そして、立ち下がり(A2)の場合、トランジスタTがOFFからONに変わると、図6に示すように、電流I3が、ECU5の内部電源Vccからプルアップ抵抗Re1と保護抵抗Rs1を介してトランジスタTに流れ、そして、トランジスタTのコレクタTcからエミッタTeを通して接地側に流れる。
【0065】
また、各バリスタ素子Zs1、Zs2から放電された電流I4が接地側に流れる。各バリスタZs1、Zs2の静電容量Cは、コンデンサCe11、Ce12よりも小さい値に設定されているので、放電される電流の大きさを小さくすることができる。従って、図4(A3)に示すように、GNDラインの過渡電流の波高値Ihdを第1比較例(図4(B3))よりも低くして、その波形をなますことができる。
【0066】
このように、バリスタ素子Zs1、Zs2の静電容量Cを小さくすることによって、各抵抗Re1、Rs1の抵抗値を大きくすることができ、全体の駆動電流を下げることができる。従って、立ち上がり時及び立ち下がり時に流れる電流を小さくすることができ、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズへの影響を小さくすることができる。
【0067】
上記した構成によれば、保護回路3及びI/F回路51に、バリスタ素子Zs1、Zs2を用いることで、流量計1及びECU5の内部回路を保護することができる。例えば、出力端子Foutにバリスタ電圧以上のサージ電圧が加えられた場合に、そのサージ電圧を保護回路3によって接地側に流すことができ、流量計1のセンサIC回路2に高電圧のサージ電圧が入力されるのを防ぎ、センサIC回路2を保護することができる。
【0068】
また、各抵抗Re1、Rs1の抵抗値を大きくすることで、全体の駆動電流を下げて、立ち上がり時(A1)と立ち下がり時(A2)における電流Iの急峻な変化を抑制することが可能となり、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズの影響を低減できるといった効果がある。
【0069】
例えば、バリスタ素子Zs1は、コンデンサCe11と比較して静電容量が小さいので、放電時における放電量を少なくすることができ、電圧の変化を滑らかにすることができる。従って、電圧の立ち下がり時におけるピーク電流Ihdを下げることができ、ラジオノイズ等の電磁誘導ノイズの影響を低減することができる。
【0070】
従って、周波数信号の帯域を低下させることなく、予め設定された時間内に所定長さの周波数信号を取得することができ、必要な周波数信号の帯域を十分に確保することができる。
【0071】
[第2実施例]
次に、第2実施例について図7から図11を用いて説明する。
【0072】
図7は、第2実施例における流量計1とECU5の詳細な構成を示す図、図8は、第2比較例の回路構成を説明する図、図9は、本実施例と第2比較例の出力波形を示す図、図10は、パルス信号のONからOFFへの切り替え時(立ち上がり時)における電流の流れを示す図、図11は、パルス信号のOFFからONへの切り替え時(立ち下がり時)における電流の流れを示す図である。なお、第1実施例と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施例において特徴的なことは、上記した第1実施例におけるCPU用抵抗Re2を抵抗Re2a、Re2bの2つに分割して直列に配置し、その中点にコンデンサCe1の一端を接続し、コンデンサCe1の他端をECU5の接地側に接続する構成とした点である。
【0074】
より具体的には、図7に示すように、一対の抵抗Re2aと抵抗Re2bが直列に接続され、抵抗Re2aの端部がプルアップ抵抗Re1と入力端子Finとの間に接続され、抵抗Re2bの端部がCPU52のI/O端子(図示せず)に接続されている。そして、コンデンサCe1の一端が抵抗Re2aと抵抗Re2bとの間に接続され、他端が接地側に接続された構成を有している。
【0075】
そして、図8に示す第2比較例は、図7に示す保護回路3のバリスタ素子Zs1をコンデンサCe11に入れ替えて、そして、単一のCPU用抵抗Re22とした回路構成を有している。
【0076】
プルアップ抵抗Re21は、一端が内部電源Vccに接続され、他端が入力端子Finに接続されており、CPU用抵抗Re22は、その一端がプルアップ抵抗Re21と入力端子Finとの間に接続され、他端がCPU152のI/O端子に接続されている。そして、コンデンサCe1は、その一端がプルアップ抵抗Re21と入力端子Finとの間に接続され、他端がI/F回路151の接地側に接続された構成を有している。
【0077】
本実施例によれば、図11に示すように、立ち下がり時にコンデンサCe1から放電される電流I4を抵抗Re2aで制限して、入力端子FinからFoutラインL1を介して流量計1に流れ込むのを防ぐことができる。
【0078】
従って、図9(A2)のX部分に示すように、立ち下がり時の電圧波形を緩やかにすることができ、図9(A3)に示すように、GNDラインの過渡電流の波高値Ihdを第2比較例(図9(B3)を参照)よりも低くして、その波形をなますことができる。
【0079】
従って、周波数信号を正弦波に近い波形にすることができ、立ち上がりと立ち下がりの信号波形の急峻な変化を無くすことができる。従って、パルス信号のON−OFFの切り替わり時に発生する過渡的な電流波形によるラジオノイズ等の電磁誘導ノイズを低減することができる。
【0080】
なお、本発明は、上述の各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の各実施例では、オープンコレクタ接続の構成を有する場合を例に説明したが、本発明の構成は、オープンコレクタ接続に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施例の全体構成図。
【図2】第1実施例における流量計とECUの内部構成を示す図。
【図3】第1比較例の回路構成を示す図。
【図4】第1実施例と第1比較例の出力波形を示す図。
【図5】立ち上がり時における電流の流れを示す図。
【図6】立ち下がり時における電流の流れを示す図。
【図7】第2実施例における流量計とECUの内部構成を示す図。
【図8】第2比較例の回路構成を示す図。
【図9】第2実施例と第2比較例の出力波形を示す図。
【図10】立ち上がり時における電流の流れを示す図。
【図11】立ち下がり時における電流の流れを示す図。
【図12】出力周波数と波形の波高値との関係を示すグラフ。
【図13】出力周波数とラジオノイズレベルとの関係を示すグラフ。
【図14】静電容量と波形の波高値との関係を示すグラフ。
【図15】静電容量とサージに対する保護のレベルとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0082】
1、101 流量計
2、102 センサIC回路(周波数出力装置)
3、103 保護回路
5、105 ECU
21、121 パルス出力回路
51、151 I/F回路
52、152 CPU(流量計測装置)
Zs1、Zs2 バリスタ素子
Ce1、Ce2、Ce11、Ce12、 コンデンサ
T トランジスタ
Rh1 抵抗発熱体
Rc1 温度補償抵抗
Re1、Re11、Re21 プルアップ抵抗
Re2、Re12、Re22 CPU用抵抗(計測手段用抵抗)
Rs1、Rs11、Rs21 保護抵抗(保護素子)
Vcc 内部電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子から周波数信号を出力する周波数出力装置であって、
所定の静電容量を有し、前記出力端子に予め設定された基準電圧よりも高い電圧が印加された場合に、前記基準電圧を超える電圧分をカットする保護手段を備えることを特徴とする周波数出力装置。
【請求項2】
空気の流量に応じた周波数信号を出力端子から出力する流量計であって、
所定の静電容量を有し、前記出力端子に予め設定された基準電圧よりも高い電圧が印加された場合に、前記基準電圧を超える電圧分をカットする保護手段を備えることを特徴とする流量計。
【請求項3】
パルス信号を出力するパルス出力手段と、該パルス出力手段から出力されるパルス信号に応じてON・OFFされるスイッチ手段を備え、
前記保護手段は、前記出力端子と前記スイッチ手段との間に介在されていることを特徴とする請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
前記スイッチ手段は、オープンコレクタのトランジスタを備え、
前記保護手段は、前記トランジスタのコレクタ端子と前記出力端子との間に介在されて接続されていることを特徴とする請求項3に記載の流量計。
【請求項5】
高電位側の出力端子と低電位側の出力端子を備え、
前記保護手段は、
前記トランジスタのコレクタ端子と前記高電位側の出力端子との間に介在されて接続された抵抗素子と、
該抵抗素子と前記トランジスタのコレクタ端子との間に一端が接続され、他端が前記低電位側の出力端子に接続されたバリスタ素子を有することを特徴とする請求項4に記載の流量計。
【請求項6】
前記バリスタ素子は、基板状に配置実装可能な積層構造からなるチップ部品であることを特徴とする請求項5に記載の流量計。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の流量計が接続される流量計測装置であって、
前記出力端子から出力される出力信号に基づいて空気の流量を計測する計測手段と、
該計測手段と前記出力端子との間に介在されて前記出力信号の伝達を行うインターフェイス手段と、
を有することを特徴とする流量計測装置。
【請求項8】
前記インターフェイス手段は、
前記高電位側の入力端子と、内部に設けた電源との間に介在されて接続されるプルアップ抵抗と、
前記高電位側の入力端子と前記計測手段との間に介在されて接続される計測手段用抵抗と、
前記高電位側の入力端子と、前記低電位側の入力端子との間に介在されて接続される他のバリスタ素子と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の流量計測装置。
【請求項9】
前記インターフェイス手段は、
前記高電位側の入力端子と、内部に設けた電源との間に介在されて接続されるプルアップ抵抗と、
前記高電位側の入力端子と前記計測手段との間に直列に接続される一対の計測手段用抵抗と、
該一対の計測手段用抵抗の間に一端が接続され、他端が前記低電位側の入力端子に接続された他のバリスタ素子と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の流量計測装置。
【請求項10】
前記他のバリスタ素子は、基板状に配置実装可能な積層構造からなるチップ部品であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の流量計測装置。
【請求項1】
出力端子から周波数信号を出力する周波数出力装置であって、
所定の静電容量を有し、前記出力端子に予め設定された基準電圧よりも高い電圧が印加された場合に、前記基準電圧を超える電圧分をカットする保護手段を備えることを特徴とする周波数出力装置。
【請求項2】
空気の流量に応じた周波数信号を出力端子から出力する流量計であって、
所定の静電容量を有し、前記出力端子に予め設定された基準電圧よりも高い電圧が印加された場合に、前記基準電圧を超える電圧分をカットする保護手段を備えることを特徴とする流量計。
【請求項3】
パルス信号を出力するパルス出力手段と、該パルス出力手段から出力されるパルス信号に応じてON・OFFされるスイッチ手段を備え、
前記保護手段は、前記出力端子と前記スイッチ手段との間に介在されていることを特徴とする請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
前記スイッチ手段は、オープンコレクタのトランジスタを備え、
前記保護手段は、前記トランジスタのコレクタ端子と前記出力端子との間に介在されて接続されていることを特徴とする請求項3に記載の流量計。
【請求項5】
高電位側の出力端子と低電位側の出力端子を備え、
前記保護手段は、
前記トランジスタのコレクタ端子と前記高電位側の出力端子との間に介在されて接続された抵抗素子と、
該抵抗素子と前記トランジスタのコレクタ端子との間に一端が接続され、他端が前記低電位側の出力端子に接続されたバリスタ素子を有することを特徴とする請求項4に記載の流量計。
【請求項6】
前記バリスタ素子は、基板状に配置実装可能な積層構造からなるチップ部品であることを特徴とする請求項5に記載の流量計。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の流量計が接続される流量計測装置であって、
前記出力端子から出力される出力信号に基づいて空気の流量を計測する計測手段と、
該計測手段と前記出力端子との間に介在されて前記出力信号の伝達を行うインターフェイス手段と、
を有することを特徴とする流量計測装置。
【請求項8】
前記インターフェイス手段は、
前記高電位側の入力端子と、内部に設けた電源との間に介在されて接続されるプルアップ抵抗と、
前記高電位側の入力端子と前記計測手段との間に介在されて接続される計測手段用抵抗と、
前記高電位側の入力端子と、前記低電位側の入力端子との間に介在されて接続される他のバリスタ素子と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の流量計測装置。
【請求項9】
前記インターフェイス手段は、
前記高電位側の入力端子と、内部に設けた電源との間に介在されて接続されるプルアップ抵抗と、
前記高電位側の入力端子と前記計測手段との間に直列に接続される一対の計測手段用抵抗と、
該一対の計測手段用抵抗の間に一端が接続され、他端が前記低電位側の入力端子に接続された他のバリスタ素子と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の流量計測装置。
【請求項10】
前記他のバリスタ素子は、基板状に配置実装可能な積層構造からなるチップ部品であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の流量計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−10767(P2010−10767A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164545(P2008−164545)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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