地図表示装置、記録媒体及び地図表示方法
【課題】 遠近地図上に建造物を立体的に見やすく表示でき、位置の確認が容易にできるようにする。
【解決手段】 建造物を立体的に表示する地図表示装置において、ユーザにより建造物の高さ情報を入力する入力手段1と、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを格納する情報記憶手段3と、該情報記憶手段に記憶された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画する描画制御手段14と、該描画制御手段により描画された建造物を表示する表示手段6とを備え、描画制御手段14は、入力手段1により入力された高さ情報に基づいて描画する建造物を選択し、建造物を立体的に表示しても地図が煩雑になることなく、ユーザにとって目立つ建造物を選択して表示する。
【解決手段】 建造物を立体的に表示する地図表示装置において、ユーザにより建造物の高さ情報を入力する入力手段1と、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを格納する情報記憶手段3と、該情報記憶手段に記憶された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画する描画制御手段14と、該描画制御手段により描画された建造物を表示する表示手段6とを備え、描画制御手段14は、入力手段1により入力された高さ情報に基づいて描画する建造物を選択し、建造物を立体的に表示しても地図が煩雑になることなく、ユーザにとって目立つ建造物を選択して表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物を立体的に表示する地図表示装置、記録媒体及び地図表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経路探索や経路案内の機能を有する車両用ナビゲーション装置では、進行方向の情報を判りやすく提供できるように走行イメージを立体的に表示する装置や車両の現在位置周辺の道路地図を遠方よりも拡大して表示する、いわゆる鳥瞰図表示方式により道路地図を表示する装置等が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
従来提案されている装置のあるものは、例えば鳥瞰図上の一部にウインドウ表示領域を設けて広域地図を表示し、さらには鳥瞰図の範囲を枠で表示することにより、鳥瞰図の欠点である距離感が把握しにくくなるのを解消し、道路地図範囲の広さがわかりにくくなるのを解消している。また、あるものは、表示領域の上辺側所定範囲内に平面地図又は平面地図に近い鳥瞰図を表示することにより、遠方の道路状況が判りにくくなるのを解消し、遠方の道路情報を正確に把握できるようにしている。
【特許文献1】特開平1−263688号公報
【特許文献2】特開平8−136270号公報
【特許文献3】特開平8−160853号公報
【特許文献4】特開平8−166249号公報
【特許文献5】特開平8−292720号公報
【特許文献6】特開平9−127861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような鳥瞰図でしかもその中に、例えば建屋属性情報表示システム(特開平4−268593号公報参照)により建造物を立体的に表示しようとする場合には、平面地図より建造物を立体的に表示する分だけ地図上での形状情報が多くなり、見た目に地図が煩雑になる、つまり、ユーザにとって地図自体が見にくくなり、視認性が悪くなるという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、遠近地図上に建造物を立体的に見やすく表示でき、位置の確認が容易にできるようにするものである。
【0006】
そのために本発明は、建造物を立体的に表示する地図表示装置において、ユーザにより建造物の高さ情報を入力する入力手段と、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを格納する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画する描画制御手段と、該描画制御手段により描画された建造物を表示する表示手段とを備え、前記描画制御手段は、前記入力手段により入力された高さ情報に基づいて描画する建造物を選択することを特徴とするものである。
【0007】
さらに、前記描画制御手段は、前記高さ情報が所定高さ以上の建造物データを選択することを特徴とし、前記入力手段は、前記表示手段に表示された建造物の高さ情報を選択する選択画面により建造物の高さ情報を入力することを特徴とし、前記入力手段は、地図の縮尺毎に建造物の高さ情報を入力可能であることを特徴とし、前記高さ情報は、建造物の階数であることを特徴とするものである。
【0008】
また、建造物を立体的に表示する地図表示装置用のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データと、ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づいて前記建造物データから描画する建造物を選択する機能、前記選択された建造物を前記建造物データの2次元座標及び高さ情報に基づいて遠近地図上に立体的に描画する描画制御機能、及び前記描画制御機能により描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示する表示機能を実現させるためのプログラムとを記録したことを特徴とするものである。
【0009】
建造物を立体的に表示する地図表示方法において、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを情報記憶手段に格納し、ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づき描画する建造物を選択し、前記情報記憶手段に格納された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画し、前記描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、建造物を立体的に表示しても地図が煩雑になることなく、ユーザにとって目立つ建造物を選択して表示することができる。したがって、ユーザが目立つ建造物を容易に見つけ出すことができ、車両の現在位置をカーソル等で表示した場合に、地図画面の建造物から現在位置の大まかな位置を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る地図表示装置の実施の形態を示す図であり、2次元座標及び高さ情報を有する地図データから地図を展開して表示する場合の表示条件や座標変換パラメータ、経路案内に関する情報を入力する入力装置1、自車両の現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置2、2次元座標及び高さ情報を有する地図データ、経路の算出に必要なナビゲーション用データ、経路案内に必要な表示/音声の案内データ、さらに地図を表示、経路算出、案内を行うためのプログラム(アプリケーション及び/又はOS)等が記録されている情報記憶装置3、ナビデータ処理手段として地図の表示処理、経路探索処理、経路案内に必要な表示/音声案内処理、さらにシステム全体の制御を行う中央処理装置4、車両の走行に関する情報である、例えば道路情報、交通情報を送受信したり、車両の現在位置に関する情報を検出したり、さらに現在位置に関する情報を送受信したりする情報送受信装置5、経路案内に関する情報を出力するディスプレイやスピーカその他の出力装置6から構成されている。つまり、本発明に係る地図表示装置をナビゲーション装置に適用した例を示している。
【0012】
入力装置1は、地図を選択して目的地を入力したり、運転者の意志によりナビゲーション処理を中央処理装置4に指示する機能を備えている。その機能を実現するための手段として、目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、経路案内をリクエストしたりするタッチスイッチやジョグダイアル等のリモートコントローラ等を用いることができる。また、本発明では音声入力による対話を行うための装置を備えており、音声入力装置として機能する。また、ICカードや磁気カードに記録されたデータを読み取るための記録カード読み取り装置を付加することもできる。また、ナビゲーションに必要なデータを蓄積し、運転者の要求により通信回線を介して情報提供する情報センターや、地図データや目的地データ、簡易地図、建造物形状地図などのデータを有する携帯型の電子装置等の情報源との間でデータのやりとりを行うためのデータ通信装置を付加することもできる。
【0013】
現在位置検出装置2は、衛星航法システム(GPS)を利用して車両の現在位置情報を入手するもの、車両の進行方位を、例えば地磁気を利用することにより絶対方位で検出する絶対方位センサ、車両の進行方位を、例えばステアリングセンサ、ジャイロセンサを利用することにより相対方位で検出する相対方位センサ、例えば車輪の回転数から車両の走行距離を検出する距離センサ等から構成される。
【0014】
情報記憶装置3は、ナビゲーション用のプログラム及びデータを記憶した外部記憶装置で、例えばCD−ROM等からなっている。プログラムは、経路探索などの処理を行うためのプログラム、本実施例記載のフローチャートに示される処理プログラムや経路案内に必要な表示出力制御、音声入力により対話的に案内を行うためのプログラム及びそれに必要なデータ、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータが格納されている。記憶されるデータとしては、地図データ、探索データ、案内データ、マップマッチングデータ、目的地データ、登録地点データ、道路データ、交差点等分岐点の画像データ、ジャンル別データ、ランドマークデータ等のファイルからなり、ナビゲーション装置に必要なすべてのデータが記憶されている。地図データは、所定単位毎のブロックに区分けされて矩形の形で記憶されている。なお、本発明は、CD−ROMにはデータのみ格納し、プログラムは中央処理装置に格納するタイプのものにも適用可能である。ここでは、情報記憶装置として、CD−ROMだけでなくDVD−ROM等の光ディスク、フロッピィディスク等の磁気ディスク、MO等の光磁気ディスクでもよい。
【0015】
中央処理装置4は、建造物を立体的に表示するための制御を行う遠近表示制御部11、建造物を含む地図を遠近地図で表示するときにそのための座標変換を行う座標変換部12、遠近地図に座標を変換するための変換パラメータ13からなる描画制御部14を備えるものであり、種々の演算処理を実行するCPU、情報記憶装置3のCD−ROMからプログラムを読み込んで格納するフラッシュメモリ、フラッシュメモリのプログラムチェック、更新処理を行うプログラム(プログラム読み込み手段)を格納したROM、設定された目的地の地点座標、道路名コードNo.等の探索された経路案内情報や演算処理中のデータを一時的に格納するRAMからなっている。また、この他にも図示は省略するが、ディスプレイ等の出力装置に表示するためのデータを格納するフレームメモリ、入力装置1からの音声入力による対話処理を行ったり、CPUからの音声出力制御信号に基づいて情報記憶装置3から読み出した音声、フレーズ、1つにまとまった文章、音等を合成してアナログ信号に変換してスピーカに出力する音声プロセッサ、通信による入出力データのやり取りを行う通信インタフェースおよび現在位置検出装置2のセンサ信号を取り込むためのセンサ入力インタフェース、内部ダイアグ情報に日付や時間を記入するための時計などを備えている。なお、前記した更新処理を行うプログラムを外部記憶装置に格納しておいてもよい。
【0016】
プログラム、その他ナビゲーションを実行するためのプログラムは全て外部記憶媒体であるCD−ROMに格納されてもよいし、それらプログラムの一部または全てが本体側のROM42に格納されていてもよい。この外部記憶媒体に記憶されたデータやプログラムが外部信号としてナビゲーション装置本体の中央処理装置に入力されて演算処理されることにより、種々のナビゲーション機能が実現される。
【0017】
ナビゲーション装置では、上記のように外部記憶装置のCD−ROMからプログラムを読み込むための比較的大容量のフラッシュメモリ、CDの立ち上げ処理を行うプログラム(プログラム読み込み手段)を格納した小容量のROMを内蔵する。フラッシュメモリは、電源が切断しても記憶情報が保持される、つまり不揮発性の記憶手段である。そして、CDの立ち上げ処理として、プログラム読み込み手段であるROMのプログラムを起動してフラッシュメモリに格納したプログラムチェックを行い、情報記憶装置3のCD−ROMのディスク管理情報等を読み込む。プログラムのローディング処理(更新処理)は、この情報とフラッシュメモリの状態から判断して行われる。
【0018】
情報送受信装置5は、衛星航法システム(GPS)を利用して情報を入手するGPS受信装置、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコン等を利用して情報を入手するためのVICS情報受信装置、携帯電話、パソコン等を利用することにより、情報センター(例えばATIS)や他車両と情報を双方向に通信するためのデータ送受信装置等から構成される。
【0019】
出力装置6は、運転者が必要な時に案内情報を音声および/または画面により出力したり、中央処理装置4でナビゲーション処理されたデータなどをプリント出力する機能を備えている。そのための手段として、中央処理装置4で処理したデータや情報記憶装置3に格納されたデータを画面表示するために展開、描画するメモリ、メモリに描画したイメージデータを表示するディスプレイ、中央処理装置4で処理したデータや情報記憶装置3に格納されたデータをプリント出力するプリンタ、経路案内を音声で出力するスピーカなどを備えている。
【0020】
ディスプレイは、簡易型の液晶表示器等により構成されており、中央処理装置4が処理する地図の表示データや案内データに基づき展開、描画された交差点拡大図画面、目的地名、時刻、距離、進行方向矢印等を表示する。ディスプレイに表示する画像データは、2値画像データ(ビットマップデータ)であり、中央処理装置4が処理する地図の表示データや案内データをシリアル通信等で使用する通信線を使用し、また、他の通信線を兼用して受信し、出力装置6内でメモリに展開、描画した後、指示された表示範囲をディスプレイの画面に表示する。
【0021】
このディスプレイは、運転席近傍のインストルメントパネル内に設けられており、運転者はこれを見ることにより自車両の現在地を確認したり、またこれからの経路についての情報を得ることができる。また、図示は省略するが、ディスプレイの表示画面にタッチパネル、タッチスクリーン等を含むタブレットを使用し、画面に触れる、或いは画面をなぞることにより、地点入力、道路入力等を行えるように構成してもよい。
【0022】
本発明は、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データに基づき遠近地図上に建造物を立体的に表示する場合、建造物の高さの情報に応じてその表示数を適正に制御することにより、地図が煩雑で見にくくなることがないようにするものである。図2は表示する建造物データの登録処理の例を示す図、図3は建造物の描画処理の例を示す図、図4は建造物の描画処理における表示建造物設定処理の例を示す図、図5は建造物の表示数を制御するパラメータの設定例を説明するための図である。
【0023】
建造物データに基づき建造物を立体的に表示する場合には、図2に示すようにまず、予め表示条件としてのユーザの指定階数が有るか否かを判定し(ステップS11)、ユーザの指定階数がない場合には、最低の階数N、例えば3階以上の建造物データを自動的に登録し(ステップS12)、ユーザの指定階数が有る場合には、ユーザの指定階数以上の建造物データを登録する(ステップS13)。ここでは、車両の現在地やユーザによって地図がスクロールされた場合のカーソルの現在地を基準に、描画範囲を設定し、描画範囲内に位置する2次元座標の建造物を登録する。この登録された建造物データを表示処理対象として、次に描画処理を行う。
【0024】
描画処理では、図3に示すようにまず、ユーザの指定階数が有るか否かを判定し(ステップS14)、ユーザの指定階数がない場合には、登録された建造物データについて表示建造物設定を行った後(ステップS15)、ユーザの指定階数が有る場合には、登録された建造物データについて現在地からの距離でソートし(ステップS16)、遠方の建造物から描画を行う(ステップS17)。なお、手前の建造物から描画を行ってもよい。
【0025】
表示建造物設定処理では、図4に示すようにまず、登録された建造物データの総数が最小閾値より小さいか否かを判定し(ステップS21)、総数が最小閾値より小さい場合にはそのまま処理を終了し、総数が最小閾値以上の場合には登録された建造物データを高さでソートして(ステップS22)、さらに総数が最大閾値より小さいか否かを判定し(ステップS23)、総数が最大閾値より小さい場合には総数に応じた割合で表示数を計算し(ステップS24)、総数が最大閾値以上の場合には総数の半分を表示数として(ステップS25)、表示数のデータをソートした高い方のデータから登録する(ステップS26)。
【0026】
上記のように、ユーザの指定階数がある場合には、それ以上の階数の建造物を全て表示し、特にユーザの指定階数がなければ最小閾値、最大閾値、表示率の上限値に基づき計算した建造物の表示数を地図上に表示する。したがって、図5に示すように総数が最小閾値になるまでは表示率を100%、総数が最大閾値以上になると表示率を上限値の50%とし、総数が最小閾値から最大閾値までの間は100%〜50%まで表示率を減らすようにするためであり、その表示率を直線的に減らすようにしている。最小閾値と最大閾値は、各縮尺毎に、例えば縮尺が1/1000では5と40、1/2500では10と100のように決めておいてもよいし、最小閾値のみを各縮尺毎に決めておき、最大閾値は最小閾値のn倍、上記の例では8倍とか10倍のように決めておいてもよい。そのようにすることにより、対象建造物総数mのときの表示率αは、最大閾値maxと最小閾値minから、
α=1−0.5×(m−min)/(max−min)
となり、ステップS24での表示数は、m×αとなる。結果的に、ステップS26で表示数のデータとして登録されるのは、
m ← m<minのとき
m×α ← min≦m<maxのとき
m×0.5 ← max≦mのとき
となる。
【0027】
図6は表示モードの選択画面の例を示す図、図7は各設定による3Dビル表示のイメージの例を示す図、図8は各設定による3Dビル表示の画面の例を示す図である。本発明に係る地図表示装置では、例えば図6に示すような最寄り表示ジャンルや2画面表示、軌跡の表示等を選択する表示モードの選択画面の中に、本発明の「3Dビル表示」の選択肢を設け、3Dビル表示を選択すると、例えば図7、図8に示すようなイメージで建造物が表示される。図7、図8に示す自動指定では、先に説明した図4の表示建造物設定処理を行い、3階以上、5階以上、10階以上では、それぞれの指定階数以上の階数の建造物を表示している。なお、図6の画面において、10m、25m、50m、100mは、地図の縮尺が1/1000、1/2500、1/5000、1/10000のものを示し、オートとは、階数指定なしを示し、システムが自動的にN階以上の建造物を選択する。また、3Dビル表示の項目の右側に、左右の選択キーを有し、この選択キーにて、なし、オート、2階、3階、……、M階のいずれかを選択する。
【0028】
次に、2次元座標系上において地図データの2次元座標を奥行きのある遠近地図に座標変換して行う地図表示について説明する。図9は台形座標変換アルゴリズムを説明するための図、図10は建造物の高さデータの座標変換アルゴリズムを説明するための図である。中央処理装置4の変換パラメータ13は、地図の矩形座標を台形座標に変換する台形変換パラメータや曲面の座標を投影平面の座標に座標変換する曲面変換パラメータなどの座標変換パラメータを保持するものである。座標変換部12は、2次元座標により構成される地図データを変換パラメータ13に保持された座標変換パラメータに基づき座標変換を行うものであり、この座標変換した地図データを描画して出力装置6の画面に遠近地図が表示される。
【0029】
まず、図9(A)に示すような地図データの2次元座標空間を対象として、図9(B)に示すような台形への座標変換を行う場合の台形変換パラメータについて説明する。まず、地図データの2次元座標空間の矩形に関しては、図9(A)に示すように幅(X方向の長さの2分の1)gが設定され、台形に関しては、図9(B)に示すように上辺の長さ(X方向の長さの2分の1)a、及び下辺の長さ(X方向の長さの2分の1)bが設定され、そして、矩形及び台形に共通の縦の長さ(Y方向の長さ)Lが設定される。
【0030】
これらのパラメータに基づき地図データのP(X,Y)から座標変換部12により変換される新たな座標がP1(sx,sy)であるとすると、まず、Y座標値syは、台形の上辺の長さaと縦の長さLの積及び台形の上下辺の長さの差(b−a)とY座標値との積の和{aL+(b−a)Y}に対する台形の下辺の長さbと縦の長さLとY座標値との積b・L・Yの比、つまり、
〔数1〕
sy={b・L・Y}/{a・L+(b−a)Y}
=(k1 Y)/(k2 +k3 Y)
ただし、k1 =b・L k2 =a・L k3 =(b−a)
により求められる。また、X座標値sxは、台形の下辺の長さbから台形の上下辺の長さの差(b−a)にY座標値を乗じて台形の縦の長さLで除した値(b−a)sy/Lを減じ、矩形のX方向の長さgに対するX座標値の比を乗じて、つまり、
〔数2〕
X sy
sx=───{b−────(b−a)}
g L
= X・(k5 −k6 sy)/k4
ただし、k4 =g k5 =b k6 =(b−a)/L
により求められる。
【0031】
以下に、まずY座標の変換について説明する。図9(A)において斜めの直線の式は、
〔数3〕
Y=L・X/2g+L/2
で表される。そこで、この斜めの直線が変換後も直線として保たれるように、且つX座標が等分割となるように変換後の地図を仮定し、この直線ともう1つの地図データの2次元座標におけるX座標値が一定の直線により図9(B)に示すメッシュの三角形を考える。これらは相似となるので、それぞれの三角形の辺の長さの比率を考える。まず、三角形の縦の長さの比が(L−sy):syとなる。これに対し、三角形の底辺の長さは、上辺がa−Xa/g、下辺がb+Xb/gとなる。したがって、相似三角形の辺の長さの比が等しいことから、
〔数4〕
(L−sy):sy=(a−Xa/g):(b+Xb/g)
となる。この〔数4〕と上記〔数3〕からXを消去すると、〔数1〕が求められる。また、上辺a、下辺bに変換される固定値gのX座標値を縦の長さsyに対応させると、(b−a)sy/Lとなるから、任意のX座標値では、gとXとの比を乗じることにより〔数2〕が求められる。
【0032】
次に、ビル等の立体的な建造物について同様に台形変換パラメータを用いた2次元的な座標変換により立体的に表示する場合について説明する。例えばビルは、階数nのデータを有するときには、平均的な階高hを階数nに乗じてn×h=Hとして高さを求め、また、階数nではなく、タワーのように全体としての高さHのデータを有するときにはその高さHに基づき座標変換を行う。Y座標値syにおける高さHのY座標値sy′への座標変換は、2次元平面上で変換されたX座標値sxとY座標値syの上に例えば〔数5〕を用いてY座標値の加算値ΔYを求めることにより行うことができる。
【0033】
〔数5〕
sy′=sy+ΔY
b−a sy
Y=(1−─────・────)H=(1−k7 sy)H
b L
ただし、k7 =(b−a)/b・L=k3 /k1
したがって、図10(A)に示すように(sx1,sy1)の地点で高さHの建造物の頂点座標値は、
〔数6〕
(sx1,sy1+ΔY) ={sx1,sy1+(1−k7 sy)H}
となり、このようにして変換した各座標を線で結び、枠内を所定の色で塗りつぶし、奥の方から順にこの処理を行って重ね書きすることにより、図10(B)に示すような表示を行うことができる。
【0034】
上記のように台形変換パラメータとして、a,b,g,Lから、或いはこれらからk1 〜k7 を算出して、これらと座標値(X、Y)、高さhから立体的な建造物についての座標変換を簡単な加減乗除の計算により実行することができる。したがって、ビルに限らず、家屋や橋等立体的な建造物についても全て同様にして立体的に描画でき、例えば図12で後述するように建造物のデータとして、建造物の形状を表す座標列(ポリゴンデータ)と、建造物の階数情報(又は建造物の高さ)からなる場合、2次元座標からなる各点及び建造物の階数情報から上記のように座標変換して、現在位置から所定距離以内の建造物だけ描画することにより更に描画レスポンスの向上を図ることができ、現在位置が移動するに伴って、その現在位置から所定距離以内の建造物のみを立体表示することも簡単に行うことができる。
【0035】
具体的には、現在位置検出装置により検出された現在位置と各建造物との距離を算出し、その距離が所定距離以内か否かを判断する。その判断結果が所定距離以内であれば上記座標変換を行って立体表示する。ここで、距離を算出する際、現在位置と建造物の中心点との距離でもよいし、現在位置と建造物の形状を表す座標列のうち1つの座標との距離でもよい。目的地までの案内において、ユーザが建造物の形状を参考にしながら運転できるようにするには、目的地までの経路沿いにのみ建造物を建てるようにしたり、現在位置から所定距離以内でかつ経路沿い、その他上記の表示態様を組み合わせてもよい。また、現在位置から所定距離以内でかつ現在位置からの距離に応じて建造物の高さHを増減させてもよい。つまり、現在位置近傍では建造物の高さHをそのまま用い、現在位置から遠ざかるに従い、高さHの値を小さくする。また、建造物の表示を行う場合、所定の高さ以上の建造物や車両の現在位置より進行方向前方に位置する建造物のみ立体表示し、所定の高さに達しない建造物や車両の現在位置より進行方向後方に位置する建造物は同一の高さで立体表示もしくは立体表示ではなく平面表示したり、立体交差等においては正確な表示を行えるようにするために、高さの低いものから描画するなど、描画する建造物の順序や選択は自由に組み合わせ可能であることはいうまでもない。
【0036】
また、上記〔数2〕では、P(X,Y)からP′(X,sy)とした後、そのsyを用いてP1(sx,sy)を求めたが、syを用いずX,Yの座標値からsxを求めてもよい。例えば、〔数2〕において、syにYを用いsx′を求めると、P(X,Y)は、図9(B)に示すP1′(sx′,sy)に変換されて台形から膨らむので、座標変換した結果はお椀形状になる。
【0037】
次に、本発明の地図表示装置を備えた車両用ナビゲーション装置で使用されるデータの構成例を説明する。図11は情報記憶装置に格納された主要なデータファイルの構成例を示す図、図12は建造物データの構造の例を示す図である。
【0038】
案内道路データファイルは、図11(A)に示すように、道路数nのそれぞれに対して、道路番号、長さ、道路属性データ、形状データのアドレス、サイズおよび案内データのアドレス、サイズの各データからなり、経路探索部により経路を算出し経路案内を行うために必要なデータとして格納される。道路番号は、分岐点間の道路毎に方向(往路、復路)別に設定されている。道路属性データは、道路案内補助情報データであり、形状データは、図11(B)に示すように、各道路の複数のノード(節)で分割したとき、ノード数mのそれぞれに対して東経、北緯からなる座標データを有している。案内データは、図11(C)に示すように、交差点(または分岐点)名称、信号機データ、ランドマークデータ、注意点データ、道路名称データ、道路名称音声データ、行き先データのアドレス、サイズの各データからなる。
【0039】
情報記憶装置3に記憶する建造物データ構造は、例えば図12(A)に示すように建造物のデータ数Nの次にN個の各建造物のデータが記憶される。そして、各建造物のデータは、建造物の名称、番地(住所)、種別、建造物の形状、高さ、詳細の各情報からなる。名称は、ビルであればそのビル名、個人の家屋であればその居住者名、施設であればその施設名、道路であれば「中央通り」、「国道1号」のように道路種別や通り名であり、番地(住所)は、その建造物の番地である。建造物の形状は、形状を表す座標数nとその座標値(x0 ,y0 )、(x1 ,y1 )、………、(xn-1 ,yn-1 )であり、種別は、一般の家屋、マンション、オフィスビル、公共施設、道路、公園等の情報である。高さは、階数や高さ(m)の情報である。高さを階数で格納している場合には、テーブルを用いて高さ(m)の情報に変換する。そして詳細は、例えばテナントビルであれば各入居者に関する情報であり、名称数mと各テナントについて、名称、電話番号、部屋番号、分類(レストラン、コンビニ、……等の業種、事業内容)に関する情報である。したがって、図12(B)に示すように建造物の形状に関する情報として座標値を順に読み出して線で結び描画し表示することによって、例えばビルや家屋の平面形状や公園の地形を出力することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、2次元座標を台形変換による遠近地図の2次元座標上に座標変換したが、他の従来から行われている座標変換を行う遠近地図にも同様に適用してもよい。また、ユーザにより階数の指定があった場合にはその階数以上の高さの建造物を選択して表示し、その指定がない場合にはデフォルトとして3階以上の建造物を選択し、その総数が最小閾値から最大閾値までを表示率100%から上限値の50%まで徐々に表示率を下げ、最大閾値を越えると一律上限値の表示率50%として建造物を表示したが、ユーザにより階数の指定があった場合にも同様に表示率を調整してもよい。
【0041】
さらには、表示数の閾値を1つだけにして、描画範囲内の建造物データ数が閾値までは全数とし、閾値を越える場合には一定の割合の表示数となるようにしたり、描画範囲内の建造物データ数が閾値までは表示数の割合を減らし、閾値を越える場合には一定の割合の表示数となるようにしてもよいし、いずれの場合においても、表示数の上限値を設定してもよい。また、これらの表示数の制限を、画面全体に一律ではなく、画面を上下に2分割あるいは3分割など複数に表示領域を分割し、それぞれの領域毎に指定階数、最小閾値、最大閾値、表示率の上限値、表示数の上限値を設定してもよい。このようにすることにより、例えば遠方になるほど選択する建造物の階数を高くし、また、表示数を少なくするなど遠近に応じてその領域毎に表示する建造物を選択することができる。また、建造物の高さとして階数ではなく高さそのもの(m)で選択するように構成し、あるいは床面積や容積で選択するように構成してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、高さデータとして階数を記憶し、ユーザが入力した階数以上の建造物を選択したが、建造物の高さとして、階数ではなく高さそのもの(m)で選択するように構成してもよい。このような場合には、建造物の高さはデータ(階数)に予め決められている1階の階高を乗じて求め、求めた建造物の高さとユーザが入力した高さを比較し選択するようにしてもよい。また、建造物の高さデータとして高さそのもの(m)を記憶するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0043】
また、上記実施の形態では、ユーザが指定した高さ以上の建造物を選択したり、あるいはシステムが自動的に設定した高さ以上の建造物を選択して表示し、遠近表示においては、画面の上方になるほど建造物は低く表示される。そのため、座標変換された後の建造物を比較すると、図3と図10から分かるように、相対的に画面の上方の低い建造物が表示され、画面下方の高い建造物か消去されることが起こることにより、ユーザは地図に違和感を持つ。そこで、座標変換した後の建造物の高さに対して、ユーザが入力した高さ以上の建造物を抽出したり、あるいは自動的に建造物を選択する場合には、座標変換した後の建造物の高さから平均値を求め、その平均値以上の建造物(勿論、座標変換後の高さに対して)を選択し表示するようにしてもよい。なお、自動的に建造物を選択する場合の表示する高さの基準は、予め決められている高さ、例えば5mでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る地図表示装置の実施の形態を示す図である。
【図2】表示する建造物データの登録処理の例を示す図である。
【図3】建造物の描画処理の例を示す図である。
【図4】建造物の描画処理における表示建造物設定処理の例を示す図である。
【図5】建造物の表示数を制御するパラメータの設定例を説明するための図である。
【図6】表示モードの選択画面の例を示す図である。
【図7】各設定による3Dビル表示のイメージの例を示す図である。
【図8】各設定による3Dビル表示の画面の例を示す図である。
【図9】台形座標変換アルゴリズムを説明するための図である。
【図10】建造物の高さデータの座標変換アルゴリズムを説明するための図である。
【図11】情報記憶装置に格納された主要なデータファイルの構成例を示す図である。
【図12】建造物データの構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1…入力装置、2…現在位置検出装置、3…情報記憶装置、4…中央処理装置、5…情報送受信装置、6…出力装置、11…遠近表示制御部、12…座標変換部、13…変換パラメータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物を立体的に表示する地図表示装置、記録媒体及び地図表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経路探索や経路案内の機能を有する車両用ナビゲーション装置では、進行方向の情報を判りやすく提供できるように走行イメージを立体的に表示する装置や車両の現在位置周辺の道路地図を遠方よりも拡大して表示する、いわゆる鳥瞰図表示方式により道路地図を表示する装置等が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
従来提案されている装置のあるものは、例えば鳥瞰図上の一部にウインドウ表示領域を設けて広域地図を表示し、さらには鳥瞰図の範囲を枠で表示することにより、鳥瞰図の欠点である距離感が把握しにくくなるのを解消し、道路地図範囲の広さがわかりにくくなるのを解消している。また、あるものは、表示領域の上辺側所定範囲内に平面地図又は平面地図に近い鳥瞰図を表示することにより、遠方の道路状況が判りにくくなるのを解消し、遠方の道路情報を正確に把握できるようにしている。
【特許文献1】特開平1−263688号公報
【特許文献2】特開平8−136270号公報
【特許文献3】特開平8−160853号公報
【特許文献4】特開平8−166249号公報
【特許文献5】特開平8−292720号公報
【特許文献6】特開平9−127861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような鳥瞰図でしかもその中に、例えば建屋属性情報表示システム(特開平4−268593号公報参照)により建造物を立体的に表示しようとする場合には、平面地図より建造物を立体的に表示する分だけ地図上での形状情報が多くなり、見た目に地図が煩雑になる、つまり、ユーザにとって地図自体が見にくくなり、視認性が悪くなるという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、遠近地図上に建造物を立体的に見やすく表示でき、位置の確認が容易にできるようにするものである。
【0006】
そのために本発明は、建造物を立体的に表示する地図表示装置において、ユーザにより建造物の高さ情報を入力する入力手段と、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを格納する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画する描画制御手段と、該描画制御手段により描画された建造物を表示する表示手段とを備え、前記描画制御手段は、前記入力手段により入力された高さ情報に基づいて描画する建造物を選択することを特徴とするものである。
【0007】
さらに、前記描画制御手段は、前記高さ情報が所定高さ以上の建造物データを選択することを特徴とし、前記入力手段は、前記表示手段に表示された建造物の高さ情報を選択する選択画面により建造物の高さ情報を入力することを特徴とし、前記入力手段は、地図の縮尺毎に建造物の高さ情報を入力可能であることを特徴とし、前記高さ情報は、建造物の階数であることを特徴とするものである。
【0008】
また、建造物を立体的に表示する地図表示装置用のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データと、ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づいて前記建造物データから描画する建造物を選択する機能、前記選択された建造物を前記建造物データの2次元座標及び高さ情報に基づいて遠近地図上に立体的に描画する描画制御機能、及び前記描画制御機能により描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示する表示機能を実現させるためのプログラムとを記録したことを特徴とするものである。
【0009】
建造物を立体的に表示する地図表示方法において、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを情報記憶手段に格納し、ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づき描画する建造物を選択し、前記情報記憶手段に格納された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画し、前記描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、建造物を立体的に表示しても地図が煩雑になることなく、ユーザにとって目立つ建造物を選択して表示することができる。したがって、ユーザが目立つ建造物を容易に見つけ出すことができ、車両の現在位置をカーソル等で表示した場合に、地図画面の建造物から現在位置の大まかな位置を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る地図表示装置の実施の形態を示す図であり、2次元座標及び高さ情報を有する地図データから地図を展開して表示する場合の表示条件や座標変換パラメータ、経路案内に関する情報を入力する入力装置1、自車両の現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置2、2次元座標及び高さ情報を有する地図データ、経路の算出に必要なナビゲーション用データ、経路案内に必要な表示/音声の案内データ、さらに地図を表示、経路算出、案内を行うためのプログラム(アプリケーション及び/又はOS)等が記録されている情報記憶装置3、ナビデータ処理手段として地図の表示処理、経路探索処理、経路案内に必要な表示/音声案内処理、さらにシステム全体の制御を行う中央処理装置4、車両の走行に関する情報である、例えば道路情報、交通情報を送受信したり、車両の現在位置に関する情報を検出したり、さらに現在位置に関する情報を送受信したりする情報送受信装置5、経路案内に関する情報を出力するディスプレイやスピーカその他の出力装置6から構成されている。つまり、本発明に係る地図表示装置をナビゲーション装置に適用した例を示している。
【0012】
入力装置1は、地図を選択して目的地を入力したり、運転者の意志によりナビゲーション処理を中央処理装置4に指示する機能を備えている。その機能を実現するための手段として、目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、経路案内をリクエストしたりするタッチスイッチやジョグダイアル等のリモートコントローラ等を用いることができる。また、本発明では音声入力による対話を行うための装置を備えており、音声入力装置として機能する。また、ICカードや磁気カードに記録されたデータを読み取るための記録カード読み取り装置を付加することもできる。また、ナビゲーションに必要なデータを蓄積し、運転者の要求により通信回線を介して情報提供する情報センターや、地図データや目的地データ、簡易地図、建造物形状地図などのデータを有する携帯型の電子装置等の情報源との間でデータのやりとりを行うためのデータ通信装置を付加することもできる。
【0013】
現在位置検出装置2は、衛星航法システム(GPS)を利用して車両の現在位置情報を入手するもの、車両の進行方位を、例えば地磁気を利用することにより絶対方位で検出する絶対方位センサ、車両の進行方位を、例えばステアリングセンサ、ジャイロセンサを利用することにより相対方位で検出する相対方位センサ、例えば車輪の回転数から車両の走行距離を検出する距離センサ等から構成される。
【0014】
情報記憶装置3は、ナビゲーション用のプログラム及びデータを記憶した外部記憶装置で、例えばCD−ROM等からなっている。プログラムは、経路探索などの処理を行うためのプログラム、本実施例記載のフローチャートに示される処理プログラムや経路案内に必要な表示出力制御、音声入力により対話的に案内を行うためのプログラム及びそれに必要なデータ、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータが格納されている。記憶されるデータとしては、地図データ、探索データ、案内データ、マップマッチングデータ、目的地データ、登録地点データ、道路データ、交差点等分岐点の画像データ、ジャンル別データ、ランドマークデータ等のファイルからなり、ナビゲーション装置に必要なすべてのデータが記憶されている。地図データは、所定単位毎のブロックに区分けされて矩形の形で記憶されている。なお、本発明は、CD−ROMにはデータのみ格納し、プログラムは中央処理装置に格納するタイプのものにも適用可能である。ここでは、情報記憶装置として、CD−ROMだけでなくDVD−ROM等の光ディスク、フロッピィディスク等の磁気ディスク、MO等の光磁気ディスクでもよい。
【0015】
中央処理装置4は、建造物を立体的に表示するための制御を行う遠近表示制御部11、建造物を含む地図を遠近地図で表示するときにそのための座標変換を行う座標変換部12、遠近地図に座標を変換するための変換パラメータ13からなる描画制御部14を備えるものであり、種々の演算処理を実行するCPU、情報記憶装置3のCD−ROMからプログラムを読み込んで格納するフラッシュメモリ、フラッシュメモリのプログラムチェック、更新処理を行うプログラム(プログラム読み込み手段)を格納したROM、設定された目的地の地点座標、道路名コードNo.等の探索された経路案内情報や演算処理中のデータを一時的に格納するRAMからなっている。また、この他にも図示は省略するが、ディスプレイ等の出力装置に表示するためのデータを格納するフレームメモリ、入力装置1からの音声入力による対話処理を行ったり、CPUからの音声出力制御信号に基づいて情報記憶装置3から読み出した音声、フレーズ、1つにまとまった文章、音等を合成してアナログ信号に変換してスピーカに出力する音声プロセッサ、通信による入出力データのやり取りを行う通信インタフェースおよび現在位置検出装置2のセンサ信号を取り込むためのセンサ入力インタフェース、内部ダイアグ情報に日付や時間を記入するための時計などを備えている。なお、前記した更新処理を行うプログラムを外部記憶装置に格納しておいてもよい。
【0016】
プログラム、その他ナビゲーションを実行するためのプログラムは全て外部記憶媒体であるCD−ROMに格納されてもよいし、それらプログラムの一部または全てが本体側のROM42に格納されていてもよい。この外部記憶媒体に記憶されたデータやプログラムが外部信号としてナビゲーション装置本体の中央処理装置に入力されて演算処理されることにより、種々のナビゲーション機能が実現される。
【0017】
ナビゲーション装置では、上記のように外部記憶装置のCD−ROMからプログラムを読み込むための比較的大容量のフラッシュメモリ、CDの立ち上げ処理を行うプログラム(プログラム読み込み手段)を格納した小容量のROMを内蔵する。フラッシュメモリは、電源が切断しても記憶情報が保持される、つまり不揮発性の記憶手段である。そして、CDの立ち上げ処理として、プログラム読み込み手段であるROMのプログラムを起動してフラッシュメモリに格納したプログラムチェックを行い、情報記憶装置3のCD−ROMのディスク管理情報等を読み込む。プログラムのローディング処理(更新処理)は、この情報とフラッシュメモリの状態から判断して行われる。
【0018】
情報送受信装置5は、衛星航法システム(GPS)を利用して情報を入手するGPS受信装置、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコン等を利用して情報を入手するためのVICS情報受信装置、携帯電話、パソコン等を利用することにより、情報センター(例えばATIS)や他車両と情報を双方向に通信するためのデータ送受信装置等から構成される。
【0019】
出力装置6は、運転者が必要な時に案内情報を音声および/または画面により出力したり、中央処理装置4でナビゲーション処理されたデータなどをプリント出力する機能を備えている。そのための手段として、中央処理装置4で処理したデータや情報記憶装置3に格納されたデータを画面表示するために展開、描画するメモリ、メモリに描画したイメージデータを表示するディスプレイ、中央処理装置4で処理したデータや情報記憶装置3に格納されたデータをプリント出力するプリンタ、経路案内を音声で出力するスピーカなどを備えている。
【0020】
ディスプレイは、簡易型の液晶表示器等により構成されており、中央処理装置4が処理する地図の表示データや案内データに基づき展開、描画された交差点拡大図画面、目的地名、時刻、距離、進行方向矢印等を表示する。ディスプレイに表示する画像データは、2値画像データ(ビットマップデータ)であり、中央処理装置4が処理する地図の表示データや案内データをシリアル通信等で使用する通信線を使用し、また、他の通信線を兼用して受信し、出力装置6内でメモリに展開、描画した後、指示された表示範囲をディスプレイの画面に表示する。
【0021】
このディスプレイは、運転席近傍のインストルメントパネル内に設けられており、運転者はこれを見ることにより自車両の現在地を確認したり、またこれからの経路についての情報を得ることができる。また、図示は省略するが、ディスプレイの表示画面にタッチパネル、タッチスクリーン等を含むタブレットを使用し、画面に触れる、或いは画面をなぞることにより、地点入力、道路入力等を行えるように構成してもよい。
【0022】
本発明は、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データに基づき遠近地図上に建造物を立体的に表示する場合、建造物の高さの情報に応じてその表示数を適正に制御することにより、地図が煩雑で見にくくなることがないようにするものである。図2は表示する建造物データの登録処理の例を示す図、図3は建造物の描画処理の例を示す図、図4は建造物の描画処理における表示建造物設定処理の例を示す図、図5は建造物の表示数を制御するパラメータの設定例を説明するための図である。
【0023】
建造物データに基づき建造物を立体的に表示する場合には、図2に示すようにまず、予め表示条件としてのユーザの指定階数が有るか否かを判定し(ステップS11)、ユーザの指定階数がない場合には、最低の階数N、例えば3階以上の建造物データを自動的に登録し(ステップS12)、ユーザの指定階数が有る場合には、ユーザの指定階数以上の建造物データを登録する(ステップS13)。ここでは、車両の現在地やユーザによって地図がスクロールされた場合のカーソルの現在地を基準に、描画範囲を設定し、描画範囲内に位置する2次元座標の建造物を登録する。この登録された建造物データを表示処理対象として、次に描画処理を行う。
【0024】
描画処理では、図3に示すようにまず、ユーザの指定階数が有るか否かを判定し(ステップS14)、ユーザの指定階数がない場合には、登録された建造物データについて表示建造物設定を行った後(ステップS15)、ユーザの指定階数が有る場合には、登録された建造物データについて現在地からの距離でソートし(ステップS16)、遠方の建造物から描画を行う(ステップS17)。なお、手前の建造物から描画を行ってもよい。
【0025】
表示建造物設定処理では、図4に示すようにまず、登録された建造物データの総数が最小閾値より小さいか否かを判定し(ステップS21)、総数が最小閾値より小さい場合にはそのまま処理を終了し、総数が最小閾値以上の場合には登録された建造物データを高さでソートして(ステップS22)、さらに総数が最大閾値より小さいか否かを判定し(ステップS23)、総数が最大閾値より小さい場合には総数に応じた割合で表示数を計算し(ステップS24)、総数が最大閾値以上の場合には総数の半分を表示数として(ステップS25)、表示数のデータをソートした高い方のデータから登録する(ステップS26)。
【0026】
上記のように、ユーザの指定階数がある場合には、それ以上の階数の建造物を全て表示し、特にユーザの指定階数がなければ最小閾値、最大閾値、表示率の上限値に基づき計算した建造物の表示数を地図上に表示する。したがって、図5に示すように総数が最小閾値になるまでは表示率を100%、総数が最大閾値以上になると表示率を上限値の50%とし、総数が最小閾値から最大閾値までの間は100%〜50%まで表示率を減らすようにするためであり、その表示率を直線的に減らすようにしている。最小閾値と最大閾値は、各縮尺毎に、例えば縮尺が1/1000では5と40、1/2500では10と100のように決めておいてもよいし、最小閾値のみを各縮尺毎に決めておき、最大閾値は最小閾値のn倍、上記の例では8倍とか10倍のように決めておいてもよい。そのようにすることにより、対象建造物総数mのときの表示率αは、最大閾値maxと最小閾値minから、
α=1−0.5×(m−min)/(max−min)
となり、ステップS24での表示数は、m×αとなる。結果的に、ステップS26で表示数のデータとして登録されるのは、
m ← m<minのとき
m×α ← min≦m<maxのとき
m×0.5 ← max≦mのとき
となる。
【0027】
図6は表示モードの選択画面の例を示す図、図7は各設定による3Dビル表示のイメージの例を示す図、図8は各設定による3Dビル表示の画面の例を示す図である。本発明に係る地図表示装置では、例えば図6に示すような最寄り表示ジャンルや2画面表示、軌跡の表示等を選択する表示モードの選択画面の中に、本発明の「3Dビル表示」の選択肢を設け、3Dビル表示を選択すると、例えば図7、図8に示すようなイメージで建造物が表示される。図7、図8に示す自動指定では、先に説明した図4の表示建造物設定処理を行い、3階以上、5階以上、10階以上では、それぞれの指定階数以上の階数の建造物を表示している。なお、図6の画面において、10m、25m、50m、100mは、地図の縮尺が1/1000、1/2500、1/5000、1/10000のものを示し、オートとは、階数指定なしを示し、システムが自動的にN階以上の建造物を選択する。また、3Dビル表示の項目の右側に、左右の選択キーを有し、この選択キーにて、なし、オート、2階、3階、……、M階のいずれかを選択する。
【0028】
次に、2次元座標系上において地図データの2次元座標を奥行きのある遠近地図に座標変換して行う地図表示について説明する。図9は台形座標変換アルゴリズムを説明するための図、図10は建造物の高さデータの座標変換アルゴリズムを説明するための図である。中央処理装置4の変換パラメータ13は、地図の矩形座標を台形座標に変換する台形変換パラメータや曲面の座標を投影平面の座標に座標変換する曲面変換パラメータなどの座標変換パラメータを保持するものである。座標変換部12は、2次元座標により構成される地図データを変換パラメータ13に保持された座標変換パラメータに基づき座標変換を行うものであり、この座標変換した地図データを描画して出力装置6の画面に遠近地図が表示される。
【0029】
まず、図9(A)に示すような地図データの2次元座標空間を対象として、図9(B)に示すような台形への座標変換を行う場合の台形変換パラメータについて説明する。まず、地図データの2次元座標空間の矩形に関しては、図9(A)に示すように幅(X方向の長さの2分の1)gが設定され、台形に関しては、図9(B)に示すように上辺の長さ(X方向の長さの2分の1)a、及び下辺の長さ(X方向の長さの2分の1)bが設定され、そして、矩形及び台形に共通の縦の長さ(Y方向の長さ)Lが設定される。
【0030】
これらのパラメータに基づき地図データのP(X,Y)から座標変換部12により変換される新たな座標がP1(sx,sy)であるとすると、まず、Y座標値syは、台形の上辺の長さaと縦の長さLの積及び台形の上下辺の長さの差(b−a)とY座標値との積の和{aL+(b−a)Y}に対する台形の下辺の長さbと縦の長さLとY座標値との積b・L・Yの比、つまり、
〔数1〕
sy={b・L・Y}/{a・L+(b−a)Y}
=(k1 Y)/(k2 +k3 Y)
ただし、k1 =b・L k2 =a・L k3 =(b−a)
により求められる。また、X座標値sxは、台形の下辺の長さbから台形の上下辺の長さの差(b−a)にY座標値を乗じて台形の縦の長さLで除した値(b−a)sy/Lを減じ、矩形のX方向の長さgに対するX座標値の比を乗じて、つまり、
〔数2〕
X sy
sx=───{b−────(b−a)}
g L
= X・(k5 −k6 sy)/k4
ただし、k4 =g k5 =b k6 =(b−a)/L
により求められる。
【0031】
以下に、まずY座標の変換について説明する。図9(A)において斜めの直線の式は、
〔数3〕
Y=L・X/2g+L/2
で表される。そこで、この斜めの直線が変換後も直線として保たれるように、且つX座標が等分割となるように変換後の地図を仮定し、この直線ともう1つの地図データの2次元座標におけるX座標値が一定の直線により図9(B)に示すメッシュの三角形を考える。これらは相似となるので、それぞれの三角形の辺の長さの比率を考える。まず、三角形の縦の長さの比が(L−sy):syとなる。これに対し、三角形の底辺の長さは、上辺がa−Xa/g、下辺がb+Xb/gとなる。したがって、相似三角形の辺の長さの比が等しいことから、
〔数4〕
(L−sy):sy=(a−Xa/g):(b+Xb/g)
となる。この〔数4〕と上記〔数3〕からXを消去すると、〔数1〕が求められる。また、上辺a、下辺bに変換される固定値gのX座標値を縦の長さsyに対応させると、(b−a)sy/Lとなるから、任意のX座標値では、gとXとの比を乗じることにより〔数2〕が求められる。
【0032】
次に、ビル等の立体的な建造物について同様に台形変換パラメータを用いた2次元的な座標変換により立体的に表示する場合について説明する。例えばビルは、階数nのデータを有するときには、平均的な階高hを階数nに乗じてn×h=Hとして高さを求め、また、階数nではなく、タワーのように全体としての高さHのデータを有するときにはその高さHに基づき座標変換を行う。Y座標値syにおける高さHのY座標値sy′への座標変換は、2次元平面上で変換されたX座標値sxとY座標値syの上に例えば〔数5〕を用いてY座標値の加算値ΔYを求めることにより行うことができる。
【0033】
〔数5〕
sy′=sy+ΔY
b−a sy
Y=(1−─────・────)H=(1−k7 sy)H
b L
ただし、k7 =(b−a)/b・L=k3 /k1
したがって、図10(A)に示すように(sx1,sy1)の地点で高さHの建造物の頂点座標値は、
〔数6〕
(sx1,sy1+ΔY) ={sx1,sy1+(1−k7 sy)H}
となり、このようにして変換した各座標を線で結び、枠内を所定の色で塗りつぶし、奥の方から順にこの処理を行って重ね書きすることにより、図10(B)に示すような表示を行うことができる。
【0034】
上記のように台形変換パラメータとして、a,b,g,Lから、或いはこれらからk1 〜k7 を算出して、これらと座標値(X、Y)、高さhから立体的な建造物についての座標変換を簡単な加減乗除の計算により実行することができる。したがって、ビルに限らず、家屋や橋等立体的な建造物についても全て同様にして立体的に描画でき、例えば図12で後述するように建造物のデータとして、建造物の形状を表す座標列(ポリゴンデータ)と、建造物の階数情報(又は建造物の高さ)からなる場合、2次元座標からなる各点及び建造物の階数情報から上記のように座標変換して、現在位置から所定距離以内の建造物だけ描画することにより更に描画レスポンスの向上を図ることができ、現在位置が移動するに伴って、その現在位置から所定距離以内の建造物のみを立体表示することも簡単に行うことができる。
【0035】
具体的には、現在位置検出装置により検出された現在位置と各建造物との距離を算出し、その距離が所定距離以内か否かを判断する。その判断結果が所定距離以内であれば上記座標変換を行って立体表示する。ここで、距離を算出する際、現在位置と建造物の中心点との距離でもよいし、現在位置と建造物の形状を表す座標列のうち1つの座標との距離でもよい。目的地までの案内において、ユーザが建造物の形状を参考にしながら運転できるようにするには、目的地までの経路沿いにのみ建造物を建てるようにしたり、現在位置から所定距離以内でかつ経路沿い、その他上記の表示態様を組み合わせてもよい。また、現在位置から所定距離以内でかつ現在位置からの距離に応じて建造物の高さHを増減させてもよい。つまり、現在位置近傍では建造物の高さHをそのまま用い、現在位置から遠ざかるに従い、高さHの値を小さくする。また、建造物の表示を行う場合、所定の高さ以上の建造物や車両の現在位置より進行方向前方に位置する建造物のみ立体表示し、所定の高さに達しない建造物や車両の現在位置より進行方向後方に位置する建造物は同一の高さで立体表示もしくは立体表示ではなく平面表示したり、立体交差等においては正確な表示を行えるようにするために、高さの低いものから描画するなど、描画する建造物の順序や選択は自由に組み合わせ可能であることはいうまでもない。
【0036】
また、上記〔数2〕では、P(X,Y)からP′(X,sy)とした後、そのsyを用いてP1(sx,sy)を求めたが、syを用いずX,Yの座標値からsxを求めてもよい。例えば、〔数2〕において、syにYを用いsx′を求めると、P(X,Y)は、図9(B)に示すP1′(sx′,sy)に変換されて台形から膨らむので、座標変換した結果はお椀形状になる。
【0037】
次に、本発明の地図表示装置を備えた車両用ナビゲーション装置で使用されるデータの構成例を説明する。図11は情報記憶装置に格納された主要なデータファイルの構成例を示す図、図12は建造物データの構造の例を示す図である。
【0038】
案内道路データファイルは、図11(A)に示すように、道路数nのそれぞれに対して、道路番号、長さ、道路属性データ、形状データのアドレス、サイズおよび案内データのアドレス、サイズの各データからなり、経路探索部により経路を算出し経路案内を行うために必要なデータとして格納される。道路番号は、分岐点間の道路毎に方向(往路、復路)別に設定されている。道路属性データは、道路案内補助情報データであり、形状データは、図11(B)に示すように、各道路の複数のノード(節)で分割したとき、ノード数mのそれぞれに対して東経、北緯からなる座標データを有している。案内データは、図11(C)に示すように、交差点(または分岐点)名称、信号機データ、ランドマークデータ、注意点データ、道路名称データ、道路名称音声データ、行き先データのアドレス、サイズの各データからなる。
【0039】
情報記憶装置3に記憶する建造物データ構造は、例えば図12(A)に示すように建造物のデータ数Nの次にN個の各建造物のデータが記憶される。そして、各建造物のデータは、建造物の名称、番地(住所)、種別、建造物の形状、高さ、詳細の各情報からなる。名称は、ビルであればそのビル名、個人の家屋であればその居住者名、施設であればその施設名、道路であれば「中央通り」、「国道1号」のように道路種別や通り名であり、番地(住所)は、その建造物の番地である。建造物の形状は、形状を表す座標数nとその座標値(x0 ,y0 )、(x1 ,y1 )、………、(xn-1 ,yn-1 )であり、種別は、一般の家屋、マンション、オフィスビル、公共施設、道路、公園等の情報である。高さは、階数や高さ(m)の情報である。高さを階数で格納している場合には、テーブルを用いて高さ(m)の情報に変換する。そして詳細は、例えばテナントビルであれば各入居者に関する情報であり、名称数mと各テナントについて、名称、電話番号、部屋番号、分類(レストラン、コンビニ、……等の業種、事業内容)に関する情報である。したがって、図12(B)に示すように建造物の形状に関する情報として座標値を順に読み出して線で結び描画し表示することによって、例えばビルや家屋の平面形状や公園の地形を出力することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、2次元座標を台形変換による遠近地図の2次元座標上に座標変換したが、他の従来から行われている座標変換を行う遠近地図にも同様に適用してもよい。また、ユーザにより階数の指定があった場合にはその階数以上の高さの建造物を選択して表示し、その指定がない場合にはデフォルトとして3階以上の建造物を選択し、その総数が最小閾値から最大閾値までを表示率100%から上限値の50%まで徐々に表示率を下げ、最大閾値を越えると一律上限値の表示率50%として建造物を表示したが、ユーザにより階数の指定があった場合にも同様に表示率を調整してもよい。
【0041】
さらには、表示数の閾値を1つだけにして、描画範囲内の建造物データ数が閾値までは全数とし、閾値を越える場合には一定の割合の表示数となるようにしたり、描画範囲内の建造物データ数が閾値までは表示数の割合を減らし、閾値を越える場合には一定の割合の表示数となるようにしてもよいし、いずれの場合においても、表示数の上限値を設定してもよい。また、これらの表示数の制限を、画面全体に一律ではなく、画面を上下に2分割あるいは3分割など複数に表示領域を分割し、それぞれの領域毎に指定階数、最小閾値、最大閾値、表示率の上限値、表示数の上限値を設定してもよい。このようにすることにより、例えば遠方になるほど選択する建造物の階数を高くし、また、表示数を少なくするなど遠近に応じてその領域毎に表示する建造物を選択することができる。また、建造物の高さとして階数ではなく高さそのもの(m)で選択するように構成し、あるいは床面積や容積で選択するように構成してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、高さデータとして階数を記憶し、ユーザが入力した階数以上の建造物を選択したが、建造物の高さとして、階数ではなく高さそのもの(m)で選択するように構成してもよい。このような場合には、建造物の高さはデータ(階数)に予め決められている1階の階高を乗じて求め、求めた建造物の高さとユーザが入力した高さを比較し選択するようにしてもよい。また、建造物の高さデータとして高さそのもの(m)を記憶するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0043】
また、上記実施の形態では、ユーザが指定した高さ以上の建造物を選択したり、あるいはシステムが自動的に設定した高さ以上の建造物を選択して表示し、遠近表示においては、画面の上方になるほど建造物は低く表示される。そのため、座標変換された後の建造物を比較すると、図3と図10から分かるように、相対的に画面の上方の低い建造物が表示され、画面下方の高い建造物か消去されることが起こることにより、ユーザは地図に違和感を持つ。そこで、座標変換した後の建造物の高さに対して、ユーザが入力した高さ以上の建造物を抽出したり、あるいは自動的に建造物を選択する場合には、座標変換した後の建造物の高さから平均値を求め、その平均値以上の建造物(勿論、座標変換後の高さに対して)を選択し表示するようにしてもよい。なお、自動的に建造物を選択する場合の表示する高さの基準は、予め決められている高さ、例えば5mでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る地図表示装置の実施の形態を示す図である。
【図2】表示する建造物データの登録処理の例を示す図である。
【図3】建造物の描画処理の例を示す図である。
【図4】建造物の描画処理における表示建造物設定処理の例を示す図である。
【図5】建造物の表示数を制御するパラメータの設定例を説明するための図である。
【図6】表示モードの選択画面の例を示す図である。
【図7】各設定による3Dビル表示のイメージの例を示す図である。
【図8】各設定による3Dビル表示の画面の例を示す図である。
【図9】台形座標変換アルゴリズムを説明するための図である。
【図10】建造物の高さデータの座標変換アルゴリズムを説明するための図である。
【図11】情報記憶装置に格納された主要なデータファイルの構成例を示す図である。
【図12】建造物データの構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1…入力装置、2…現在位置検出装置、3…情報記憶装置、4…中央処理装置、5…情報送受信装置、6…出力装置、11…遠近表示制御部、12…座標変換部、13…変換パラメータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物を立体的に表示する地図表示装置において、
ユーザにより建造物の高さ情報を入力する入力手段と、
2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを格納する情報記憶手段と、
該情報記憶手段に記憶された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画する描画制御手段と、
該描画制御手段により描画された建造物を表示する表示手段と
を備え、前記描画制御手段は、前記入力手段により入力された高さ情報に基づいて描画する建造物を選択することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記描画制御手段は、前記高さ情報が所定高さ以上の建造物データを選択することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記表示手段に表示された建造物の高さ情報を選択する選択画面により建造物の高さ情報を入力することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記入力手段は、地図の縮尺毎に建造物の高さ情報を入力可能であることを特徴とする請求項1乃至3記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記高さ情報は、建造物の階数であることを特徴とする請求項1乃至4記載の地図表示装置。
【請求項6】
建造物を立体的に表示する地図表示装置用のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
2次元座標及び高さ情報を有する建造物データと、
ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づいて前記建造物データから描画する建造物を選択する機能、前記選択された建造物を前記建造物データの2次元座標及び高さ情報に基づいて遠近地図上に立体的に描画する描画制御機能、及び前記描画制御機能により描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示する表示機能を実現させるためのプログラムと
を記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
建造物を立体的に表示する地図表示方法において、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを情報記憶手段に格納し、ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づき描画する建造物を選択し、前記情報記憶手段に格納された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画し、前記描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示することを特徴とする地図表示方法。
【請求項1】
建造物を立体的に表示する地図表示装置において、
ユーザにより建造物の高さ情報を入力する入力手段と、
2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを格納する情報記憶手段と、
該情報記憶手段に記憶された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画する描画制御手段と、
該描画制御手段により描画された建造物を表示する表示手段と
を備え、前記描画制御手段は、前記入力手段により入力された高さ情報に基づいて描画する建造物を選択することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記描画制御手段は、前記高さ情報が所定高さ以上の建造物データを選択することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記表示手段に表示された建造物の高さ情報を選択する選択画面により建造物の高さ情報を入力することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記入力手段は、地図の縮尺毎に建造物の高さ情報を入力可能であることを特徴とする請求項1乃至3記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記高さ情報は、建造物の階数であることを特徴とする請求項1乃至4記載の地図表示装置。
【請求項6】
建造物を立体的に表示する地図表示装置用のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
2次元座標及び高さ情報を有する建造物データと、
ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づいて前記建造物データから描画する建造物を選択する機能、前記選択された建造物を前記建造物データの2次元座標及び高さ情報に基づいて遠近地図上に立体的に描画する描画制御機能、及び前記描画制御機能により描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示する表示機能を実現させるためのプログラムと
を記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
建造物を立体的に表示する地図表示方法において、2次元座標及び高さ情報を有する建造物データを情報記憶手段に格納し、ユーザにより入力される建造物の高さ情報に基づき描画する建造物を選択し、前記情報記憶手段に格納された2次元座標及び高さ情報に基づいて建造物を遠近地図上に立体的に描画し、前記描画された建造物を遠近地図上に立体的に表示することを特徴とする地図表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−99768(P2006−99768A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279495(P2005−279495)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【分割の表示】特願2000−265584(P2000−265584)の分割
【原出願日】平成12年9月1日(2000.9.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【分割の表示】特願2000−265584(P2000−265584)の分割
【原出願日】平成12年9月1日(2000.9.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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