説明

基板処理方法、その基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び基板処理装置

【課題】微細なレジストパターンが形成された基板からリンス液を除去する際にパターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる基板処理方法を提供する。
【解決手段】レジストパターンが形成された基板にリンス液を供給するリンス液供給工程S12と、レジストパターンを疎水化する第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、リンス液が供給された基板からリンス液を除去するリンス液除去工程S14〜S16とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板処理を行う基板処理方法、その基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及びその基板処理方法を行うための基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造のフォトリソグラフィー工程では、半導体基板(以下、「基板」又は「ウェハ」という。)の表面にフォトレジストを塗布し、レジスト上にマスクパターンを露光し、これを現像してウェハ表面にレジストパターンを形成している。
【0003】
このようなフォトリソグラフィー工程において、現像処理は、例えばパドル式やディップ式等の方法により行っている。例えば、パドル式はウェハに現像液を供給し、一方、ディップ式は現像液中にウェハを浸漬させて現像処理を進行させ、その後は、それぞれ、純水等を用いた洗浄液としてのリンス液をウェハに供給して現像液を洗い流している。そして最後に、ウェハからリンス液を除去するために、エアブローやウェハの回転等を行うことにより乾燥処理を行っている。
【0004】
一方、近年における半導体デバイスの微細化はより一層進行しており、微細かつ高アスペクト比のレジストパターンが出現している。このようなレジストパターンは、微細かつ高アスペクト比のため、例えば、上記乾燥処理においてリンス液が各パターン間から抜け出る際に、リンス液の表面張力によりパターン間に引力が生じることによる、いわゆる「パターン倒れ」の問題が発生している。かかるパターン倒れを防止するために、乾燥処理を行う前に、リンス液よりも表面張力の小さい有機溶媒を基板上に供給する現像処理方法がある。
【0005】
例えば、リンス液を除去する際のパターン倒れを防止するために、レジストパターンが現像された基板にリンス液を供給し、リンス液が供給された基板に、フッ素を含む有機溶剤を含む処理液を供給する、現像処理方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−178943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、リンス液を除去する際のパターン倒れを防止するために、リンス液が供給された基板に有機溶剤を含む処理液を供給するときに、次のような問題がある。
【0008】
次世代の露光技術としてEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)露光の開発が行われており、レジストパターンの更なる微細化が進行している。更に、微細化したレジストパターンをマスクにしてエッチングを行い、レジストパターンの下層にある被エッチング膜にレジストパターンを転写するために、エッチング条件に応じてレジストパターンの高さ寸法を現状よりも増大させることがある。レジストパターンの高さ寸法を増大させると、レジストパターンの幅寸法に対するアスペクト比が増大する。レジストパターンのアスペクト比が増大すると、現像、リンスを行った後の乾燥処理中に、純水の表面張力と、レジストパターンに対する純水の接触角との関係により、レジストパターン間を水が抜ける際にパターン倒れが発生することがある。
【0009】
このようなフッ素を含む有機溶剤を含む処理液に代え、レジストパターンの表面を疎水化する疎水化剤を用いてレジストパターンの表面を疎水化し、パターン倒れを防止する方法もある。しかし、疎水化剤は高価な薬液であるため、基板処理を行う際の処理コストが増大するという問題がある。
【0010】
また、上記したパターン倒れは、現像処理においてのみならず、レジストパターンが現像された後、レジストパターンが形成された基板を洗浄処理する洗浄処理工程等、各種の基板処理において発生することがある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、微細なレジストパターンが形成された基板からリンス液を除去する際にパターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の一実施例によれば、レジストパターンが形成された基板にリンス液を供給するリンス液供給工程と、前記レジストパターンを疎水化する第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、前記リンス液が供給された前記基板から前記リンス液を除去するリンス液除去工程とを有する、基板処理方法が提供される。
【0014】
また、本発明の一実施例によれば、レジストパターンが形成された基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部が保持した前記基板に、リンス液を供給するリンス液供給部と、前記リンス液供給部から前記リンス液が供給された前記基板に、前記レジストパターンを疎水化する第1の処理液の蒸気を供給する蒸気供給部と、前記蒸気供給部から供給された前記第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、前記リンス液が供給された前記基板から前記リンス液を除去するリンス液除去部とを有する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、微細なレジストパターンが形成された基板からリンス液を除去する際にパターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る現像処理装置を含む塗布現像処理システムの平面図である。
【図2】図1に示す塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】図1に示す塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る現像処理ユニットの平面図である。
【図5】図4に示す現像処理ユニットの断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。
【図7】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程を行う際の側面図(その1)である。
【図9】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程を行う際の側面図(その2)である。
【図10】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程を行う際の側面図(その3)である。
【図11】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程を行う際の側面図(その4)である。
【図12】パターンの間にリンス液が存在するときに、リンス液の接触角とパターンを倒そうとする力との関係を説明するための図である。
【図13】TMSDMAよりなる第1の処理液が、レジストパターンの表面を疎水化する疎水化処理における反応メカニズムを説明する図である。
【図14】第1の実施の形態の第1の変形例に係る現像処理ユニットを示す断面図である。
【図15】リンス液と雰囲気との界面の位置を検知する方法の原理を示す概略構成図である。
【図16】第1の実施の形態の第2の変形例に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。
【図17】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図18】第2の実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。
【図19】帯状の吐出口が形成された蒸気供給ノズルの例について説明するための斜視図である。
【図20】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図21】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程を行う際の側面図である。
【図22】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程を行う際の平面図である。
【図23】第3の実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。
【図24】ノズルユニットを拡大して示す図である。
【図25】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図26】第4の実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する側面図である。
【図27】蒸気供給ノズルを模式的に説明する平面図である。
【図28】現像処理ユニットを用いた現像処理方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、図1から図13を参照し、第1の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。本実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法は、それぞれ本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法を現像処理装置及び現像処理方法に適用した例である。
【0018】
図1〜図3は本実施の形態に係る現像処理装置を含む塗布現像処理システムの全体構成を示す図であり、図1はその平面図、図2は正面図及び図3は背面図である。
【0019】
塗布現像処理システム1は、カセットステーション10、処理ステーション11及びインターフェース部12を一体に接続した構成を有する。カセットステーション10は、被処理基板として半導体ウェハWを、ウェハカセットCRで複数枚例えば25枚単位で、システムに対して外部から搬入又は外部へ搬出する。また、カセットステーション10は、ウェハカセットCRに対してウェハWを搬入・搬出したりする。処理ステーション11は、塗布現像工程の中で1枚ずつウェハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ユニットを所定位置に多段配置してなる。インターフェース部12は、処理ステーション11と、この処理ステーション11と隣接して設けられる露光装置(図示せず)との間でウェハWを受け渡しする。
【0020】
カセットステーション10は、図1に示すように、カセット載置台20、ウェハ搬送体21を有する。カセット載置台20では、カセット載置台20上の突起20aの位置に、複数個例えば4個までのウェハカセットCRが、それぞれのウェハ出入口を処理ステーション11側に向けてX方向一列に載置されている。ウェハ搬送体21は、カセット配列方向(X方向)及びウェハカセットCR内に収納されたウェハのウェハ配列方向(Z方向)に移動可能に設けられている。また、ウェハ搬送体21は、各ウェハカセットCRに選択的にアクセスするようになっている。また、ウェハ搬送体21は、θ方向に回転可能に構成され、後述するように処理ステーション11側の第3の組G3の多段ユニット部に属するアライメントユニット(ALIM)及びイクステンションユニット(EXT)にもアクセスできるようになっている。
【0021】
処理ステーション11では、図1に示すように、中心部に垂直搬送型の主ウェハ搬送機構22が設けられ、その周りに全ての処理ユニットが1組または複数の組に亙って多段に配置されている。この例では、5組G1、G2、G3、G4、G5の多段配置構成となっている。第1及び第2の組G1、G2の多段ユニットは、システム正面(図1において手前)側に並置されている。第3の組G3の多段ユニットは、カセットステーション10に隣接して配置されている。第4の組G4の多段ユニットは、インターフェース部12に隣接して配置されている。第5の組G5の多段ユニットは背部側に配置されている。なお第5の組G5は、主ウェハ搬送機構22のメンテナンスのためにレール25に沿って移動可能に構成されている。
【0022】
図3に示すように、主ウェハ搬送機構22は、ウェハ搬送装置46を上下方向(Z方向)に昇降自在に装備している。筒状支持体49はモータ(図示せず)の回転軸に接続されており、このモータの回転駆動力によって、前記回転軸を中心としてウェハ搬送装置46と一体に回転する。従って、このウェハ搬送装置46は、θ方向に回転自在となっている。ウェハ搬送装置46は、搬送アーム48を有している。
【0023】
図2に示すように、第1の組G1では、カップCP内でウェハWをスピンチャックに載せて所定の処理を行う2台のスピンナ型処理ユニット、例えばレジスト塗布処理ユニット(COT)及び本発明に係る現像処理ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。第2の組G2でも、2台のスピンナ型処理ユニット、例えばレジスト塗布処理ユニット(COT)及び現像処理ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。レジスト塗布処理ユニット(COT)ではレジスト液の排液が機構的にもメンテナンスの上でも面倒であることから、このように下段に配置するのが好ましい。しかし、必要に応じて上段に配置することも可能である。
【0024】
なお、第1の組G1、第2の組G2には、Z方向の下側等の空いたスペースに、レジスト塗布処理ユニット(COT)及び現像処理ユニット(DEV)に各種処理液を供給するためのケミカル室13が設けられてもよい。
【0025】
図3に示すように、第3の組G3では、ウェハWを載置台に載せて所定の処理を行うオーブン型の処理ユニット、例えば下から順にクーリングユニット(COL)、アドヒージョンユニット(AD)、アライメントユニット(ALIM)、イクステンションユニット(EXT)、プリベーキングユニット(PAB)及びポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)が重ねられている。第4の組G4でも、オーブン型の処理ユニット、例えば下から順にクーリングユニット(COL)、イクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、イクステンションユニット(EXT)、プリベーキングユニット(PAB)及びポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)が重ねられている。なお、現像後に加熱処理を行うためのポストベーキングユニットが配置されてもよい。
【0026】
このように処理温度の低いクーリングユニット(COL)、イクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)を下段に配置し、処理温度の高いベーキングユニット(PAB)やポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)を上段に配置する。この上下配置により、ユニット間の熱的な相互干渉を少なくすることができる。しかし、ランダムな多段配置とすることも可能である。
【0027】
インターフェース部12は、奥行方向では処理ステーション11と同じ寸法を有するが、幅方向では小さなサイズにつくられている。インターフェース部12の正面部には可搬性のピックアップカセットCRと定置型のバッファカセットBRが2段に配置され、背面部には周辺露光装置23が配設され、中央部にはウェハ搬送体24が設けられている。このウェハ搬送体24は、X、Z方向に移動して両カセットCR、BR及び周辺露光装置23にアクセスするようになっている。さらに、ウェハ搬送体24は、θ方向に回転可能に構成され、処理ステーション11側の第4の組G4の多段ユニットに属するイクステンションユニット(EXT)にも、及び隣接する露光装置側のウェハ受渡し台(図示せず)にもアクセスできるようになっている。
【0028】
図4及び図5は、本実施の形態に係る現像処理ユニットの平面図及び断面図である。現像処理ユニット(DEV)の中央部には、環状のカップCΡが、外部と異なる雰囲気に調節可能に設けられた処理室25の内部に配設されている。後述する第1の処理液の蒸気が処理室25の外部に漏れないように、処理室25の内部は負圧に調節可能に設けられていてもよい。また、カップCΡは、ウェハ搬送装置46の搬送アーム48が進退自在に設けられている。カップCΡの内側には、ウェハWを水平に保持するスピンチャック52が配置されている。スピンチャック52は真空吸着によってウェハWを固定保持した状態で駆動モータ54によって回転駆動される。駆動モータ54は、ユニット底板50に設けられた開口50aに昇降移動可能に配置され、アルミニウムからなるキャップ状のフランジ部材58を介して、エアシリンダからなる昇降駆動手段60および昇降ガイド手段62と結合されている。このような昇降機構により、主ウェハ搬送機構22との間でウェハWの受け渡しが可能となる。
【0029】
なお、スピンチャック52は、本発明における基板保持部に相当する。また、駆動モータ54は、本発明における回転部及びリンス液除去部に相当する。
【0030】
図5に示すように、カップCP内に収容されたウェハW上において、このウェハWの表面に現像液を供給するための現像液ノズル36がノズルスキャンアーム37の先端部に取り付けられている。この現像液ノズル36には供給管31aが接続されており、この供給管31aを介して現像液供給機構31により現像液が供給されるようになっている。この現像液ノズル36は長尺形状を有し、例えば図示しない複数の孔、又はスリット状に形成された供給口より現像液が供給されるようになっている。ノズルスキャンアーム37は、ユニット底板50の上に一方向(Y方向)に敷設されたガイドレール39上で水平移動可能な垂直支持部材40の上端部に取り付けられており、図示しないY方向駆動機構によって垂直支持部材40と一体にY方向に移動するようになっている。また、ノズルスキャンアーム37は垂直支持部材40に沿ってZ方向にも移動可能に構成されており、現像液ノズル36と、スピンチャック52で保持されたウェハWとの距離が調節できるようになっている。
【0031】
また、ノズル保持体27に保持されウェハW表面にリンス液を供給するためのリンスノズル15が、上記現像液ノズル36と同様に、ノズルスキャンアーム17及び垂直支持部材26により、ガイドレール39に沿ってY方向に移動可能に設けられている。リンスノズル15には供給管32aが接続されており、この供給管32aを介してリンス液供給機構32からリンス液が供給されるようになっている。ここでリンス液としては、例えば純水を使用する。このノズルスキャンアーム17も垂直支持部材26に沿って移動可能に構成されており、リンスノズル15と、スピンチャック52で保持されたウェハWとの距離が調節できるようになっている。
【0032】
なお、リンスノズル15は、本発明におけるリンス液供給部に相当する。
【0033】
カップCPの隣には、ノズル保持体28に保持され、ウェハW上のレジストパターン29の表面を疎水化する疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気を供給するための蒸気供給ノズル16が、ノズルスキャンアーム18の先端に取り付けられている。このノズルスキャンアーム18はモータ19により、このモータ19を中心としてθ方向に回動可能に設けられている。蒸気供給ノズル16には供給管33aが接続されており、この供給管33aを介して蒸気供給機構33から第1の処理液の蒸気が供給されるようになっている。
【0034】
なお、蒸気供給ノズル16は、本発明における蒸気供給部に相当する。また、モータ19は、本発明における移動部に相当する。
【0035】
カップCP内の底部には、ウェハ上に供給された現像液、リンス液を排液するための排液管57が設けられており、図示しないシステム外へ排液されるようになっている。また、カップCPの底部には、現像液や処理液の供給により発生したミスト等、カップCP内の雰囲気を排気するための排気管59が設けられており、通常運転時においては真空ポンプ51により常時排気されている状態となっている。
【0036】
また、カップCPには、カップCPの温度を計測する温度センサ64が取り付けられており、更にこのカップCPの温度を調整するための温調ヒータ65が設けられている。この温調ヒータ65は、カップCP全体の温度を所定の温度、通常時には例えば23℃前後に調整するようになっている。
【0037】
更に、カップCPにおける排気管59及び排液管57にも同様に、排気管59及び排液管57の温度を計測する温度センサ66及び67と、それぞれ排気管59及び排液管57の温度を調整する温調ヒータ68及び69とが取り付けられている。
【0038】
現像液供給機構31、リンス液供給機構32及び蒸気供給機構33は、それぞれ制御部30の指令に基づき、現像液、リンス液及び第1の処理液の蒸気をそれぞれ現像液ノズル36、リンスノズル15及び蒸気供給ノズル16へ供給するようになっている。また、この制御部30は、上記現像液、リンス液及び第1の処理液の蒸気の供給のタイミングの制御とともに、駆動モータ54の回転数を制御するモータコントローラ34に指令を送出し、統括的な処理を行う。
【0039】
制御部30は、塗布現像処理システムに現像処理方法の各工程を実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(記録媒体)よりなる図示しない記憶部を有していてもよい。記憶媒体(記録媒体)は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介して制御プログラムを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0040】
また制御部30は、例えば上記温度センサ64、66、67により各部が計測され、この計測された温度が所定の正常範囲内になければ異常とみなし、警告装置45はこれを受けて何らかの警告を行うようになっている。この警告装置としては、例えば警告ブザーや警告灯、あるいは操作ディスプレイ上の警告表示等を用いている。
【0041】
次に、以上説明した塗布現像処理システム1の一連の処理工程について説明する。
【0042】
先ず、カセットステーション10において、ウェハ搬送体21がカセット載置台20上の処理前のウェハを収容しているカセットCRにアクセスして、そのカセットCRから1枚のウェハWを取り出す。取り出されたウェハWは、アライメントユニット(ALIM)に搬送され、位置合わせが行われる。その後、ウェハWは、主ウェハ搬送機構22によりアドヒージョンユニット(AD)へ搬送されて疎水化処理が行われ、次いでクーリングユニット(COL)に搬送されて所定の冷却処理が行われる。その後、レジスト塗布処理ユニット(COT)に搬送されてレジスト塗布処理が行われ、プリベーキングユニット(PAB)に搬送されて所定の加熱処理が行われ、クーリングユニット(COL)に搬送されて所定の冷却処理が行われる。その後、ウェハ搬送体24によりインターフェース部12を介して図示しない露光装置に搬送されて露光処理が行われる。露光処理が終了したウェハWは、ポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)に搬送されて所定の加熱処理が行われ、次に現像処理ユニット(DEV)に搬送されて現像処理が行われる。現像処理後に、所定の加熱処理(ポストベーキング)が行われることもある。その後、ウェハWは、クーリングユニット(COL)に搬送されて所定の冷却処理が行われ、エクステンションユニット(EXT)を介してカセットCRに戻される。
【0043】
図6は、本実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。また、図6のうち、図4及び図5を用いて既に説明した部分については、説明を省略する。
【0044】
なお、図6では、図7を用いて後述する現像液供給工程及びリンス液供給工程が行われた後、リンス液除去工程が行われる際の、各ノズルの位置を模式的に示している。すなわち、現像液ノズル36は、カップCP外へ移動されており、リンスノズル15は、ウェハWの略中心上から少し周縁側に移動されており、蒸気供給ノズル16は、ウェハWの略中心上に移動されている。
【0045】
蒸気供給機構33は、疎水化剤を含む第1の処理液43を蒸発させて蒸気44を発生させる蒸気発生タンク71を有する。蒸気発生タンク71は、その内部に第1の処理液43を貯留する。蒸気発生タンク71は、第1の処理液の蒸気44を供給する供給管33aの一端と接続されている。供給管33aは、制御部30により開閉制御可能に設けられたバルブ72を介して、前述したように、その他端が蒸気供給ノズル16に接続されている。
【0046】
蒸気発生タンク71には、例えばNガス等のキャリアガスを供給するキャリアガス供給管73の一端が接続されている。キャリアガス供給管73は、制御部30により開閉制御可能に設けられたバルブ74を介して、その他端がキャリアガス供給源75に接続されている。キャリアガス供給源75から蒸気発生タンク71に供給されたキャリアガスが、蒸気発生タンク71の内部を加圧することにより、発生した蒸気44を供給管33aを介して蒸気供給ノズル16に供給する。第1の処理液43が、後述するTMSDMAよりなるときは、大気中の水分と反応しやすい。そのため、例えばNガス等のキャリアガスを用いることにより、第1の処理液43及び第1の処理液の蒸気44が、大気中の水分と反応するのを防止する。
【0047】
また、供給管33aは、供給管33aの途中で、例えばNガス等の希釈ガスを供給する希釈ガス供給管76の一端と接続されている。希釈ガス供給管76は、制御部30により開閉制御可能に設けられたバルブ77を介して、その他端が希釈ガス供給源78に接続されている。
【0048】
このようにして構成された蒸気供給機構33では、制御部30からの制御に基づいて、バルブ74が開かれ、キャリアガス供給源75から、キャリアガス供給管73を通して所定の流量のキャリアガスが蒸気発生タンク71に供給される。そして、バルブ72が開かれ、蒸気発生タンク71内で蒸発した第1の処理液の蒸気44は、キャリアガスと共に、供給管33aを通して蒸気供給ノズル16に供給される。このとき、第1の処理液の蒸気44は、希釈ガス供給源78からバルブ77、希釈ガス供給管76を介して供給管33aに合流する希釈ガスにより、希釈されて蒸気供給ノズル16に供給されてもよい。一方、蒸気供給ノズル16への第1の処理液の蒸気44の供給を停止するときは、供給管33aのバルブ72及び希釈ガス供給管76のバルブ77を閉じるとともに、バルブ74を閉じ、キャリアガス供給源75からのキャリアガスの供給も停止する。
【0049】
なお、蒸気発生タンク71には、疎水化剤を含む第1の処理液43を連続的に供給する図示しない供給源が、図示しない供給管を介して接続されていてもよい。その際、貯蔵される第1の処理液43の液面の上限と下限とを検知し、制御部30へ検知した信号を送る図示しない液面計が設けられていてもよい。
【0050】
ここで、レジストパターンを疎水化する疎水化剤としては、特に限定されず、例えば、分子中に(CHSiで表されるシリル基を有する化合物を用いることができる。一例として、TMSDMA(トリメチルシリルジメチルアミン)を挙げることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、第1の処理液として、疎水化剤に代え、疎水化剤及び疎水化剤を希釈する有機溶剤とを混合したものを用いてもよい。疎水化剤を希釈するフッ素を含む有機溶剤としては、例えば純水より揮発性の高いハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤(メチルパーフルオロイソブチルエーテルとメチルパーフルオロブチルエーテルとを混合したもの、又はこれら単独)を使用することができる。また、キシレン、ヘキサメチルジシラザン等も用いることができる。なお、このハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤は、レジストを溶かさない程度の溶剤であり、レジスト上に供給しても問題はない。
【0052】
また、蒸気発生タンク71には、第1の処理液43に含まれる疎水化剤に応じて、最適な量の蒸気44を発生させるために、蒸気発生タンク71内を温度制御可能な例えばヒータ等の発熱素子又はペルチエ素子等の冷熱素子等よりなる温度制御部を有していてもよい。また、疎水化剤としてTMSDMA又はHFEで希釈されたTMSDMAを用いる場合には、略常温に等しい温度に調節するのでもよい。
【0053】
次に、図7から図11を参照して、現像処理ユニットを用いた現像処理方法について説明する。図7は各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図8から図11は各工程を行う際の側面図である。
【0054】
図7に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、現像液供給工程(ステップS11)、リンス液供給工程(ステップS12)、膜厚調整工程(ステップS13)、リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)及び乾燥工程(ステップS17)を有する。リンス液除去工程は、第1の除去工程(ステップS14)、第2の除去工程(ステップS15)及び第3の除去工程(ステップS16)を有する。
【0055】
また、図7に示す現像処理方法が実施する処理レシピの例を表1に示す。
【0056】
【表1】

表1における各列は、左から順に、各ステップのステップ番号、工程名、時間、回転数(rpm)、基板の中心上を基準としたときのノズル位置(mm)及びそのステップにおいて供給する薬液の種類を示すものである。なお、基板の中心上を基準としたときのノズル位置(mm)は、一例として、直径12インチサイズのウェハに対して基板処理を行うときの位置を示している。
【0057】
最初に、現像液供給工程(ステップS11)を行う。現像液供給工程(ステップS11)では、ウェハWに現像液41を供給し、レジストパターン29を現像する。
【0058】
先ず、スピンチャック52が上昇し、主ウェハ搬送機構22からウェハWを受け取ると、スピンチャック52が下降し、レジストパターン29が形成されたウェハWがカップCP内に収容される。そして、図8(a)に示すように、現像液ノズル36が現像液41を吐出しながらウェハW上を移動し、吐出が終了した後にウェハWを例えば60秒放置し現像処理を進行させる。ここで高スループット化を図るため、ウェハWを回転させながら現像液41を吐出しても構わない。そのときは、ウェハWを所定の回転数で回転させて現像液41を伸展させ、例えば60秒間放置することにより現像処理を進行させることになる。
【0059】
次に、リンス液供給工程(ステップS12)を行う。リンス液供給工程(ステップS12)では、レジストパターン29が現像されたウェハW上に、リンス液42を供給し、ウェハWから現像液41を除去する。
【0060】
図8(b)に示すように、現像液ノズル36をカップ外へ移動させ、リンスノズル15をウェハWの略中心上へ移動させる。そして、図8(c)に示すように、ウェハWを回転させながらリンス液42を供給し、現像液41を洗い流す。このとき、ウェハWを回転させながら行うため、現像液41を振り切りながらウェハWの表面をリンス液42でリンスすることになる。
【0061】
ウェハWの表面にリンス液(純水)42の液膜(純水パドル)を形成し、図12を用いて後述する現像されたレジストパターン29の上面29aがリンス液42から出ないようにするために、ウェハWの回転数を比較的低速の0rpm〜1200rpm、より好ましくは500rpmとする。レジストパターン29の上面29aがリンス液42から出てしまうと、リンス液42の表面張力によりパターン倒れが生じるおそれがあるためである。このようにウェハWの回転を0rpm〜1200rpmの比較的低速回転とすることにより、ウェハW上で流れるリンス液42の速度を極力小さくして、現像液41を洗い流すときにレジストパターン29が倒れないようにする。あるいは、例えば100rpmで2秒間、1200rpmで3秒間、500rpmで10秒間とするように、複数のステップに分けて行ってもよい。
【0062】
次に、膜厚調整工程(ステップS13)を行う。膜厚調整工程(ステップS13)では、リンス液42の供給を停止し、ウェハWを回転させてリンス液42の一部を振り切って液膜の膜厚を調整する。
【0063】
図8(d)に示すように、ウェハWの回転数を少し高くして、リンス液(純水)42の液膜(純水パドル)の膜厚が小さくなるように調整する。これは、次のリンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)で第1の処理液の蒸気44が供給されたときに、リンス液42の一部が弾かれてウェハWの表面の一部が露出し、ウェハWの表面にリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bを発生しやすくするためである。ウェハWの回転数を、例えば1000rpmとする。
【0064】
次に、リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)を行う。リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)では、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させ、リンス液42を振り切って除去する。また、リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)は、前述したように、第1の除去工程(ステップS14)、第2の除去工程(ステップS15)及び第3の除去工程(ステップS16)を有する。
【0065】
なお、以下では、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させ、リンス液42を振り切って除去する例について説明する。しかし、第1の処理液の蒸気44を供給した後で、ウェハWを回転させてもよい。この場合には、第1の処理液の蒸気44を供給しながらウェハWを回転させるものではないが、第1の処理液の蒸気44を含む雰囲気でウェハWを回転させ、リンス液42を振り切って除去することになる。
【0066】
まず、第1の除去工程(ステップS14)を行う。第1の除去工程(ステップS14)では、ウェハWの略中心上に第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。
【0067】
図9(a)に示すように、リンスノズル15をカップCP外へ移動させ、蒸気供給ノズル16をウェハWの略中心上へ移動させる。そして、図9(b)に示すように、ウェハWの略中心上で蒸気供給ノズル16から第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを駆動モータ54によって、第1の回転数R1で、第1の時間T1の間、回転させる。
【0068】
ウェハW(前述したように、以下、例えば直径12インチサイズのウェハとする)の中心上を基準としたときの蒸気供給ノズル16の「ウェハWの略中心上」の位置を第1の位置P1とすると、第1の位置P1は、例えば、0mm〜5mm、より好ましくは0mmとすることができる。
【0069】
第1の回転数R1は、膜厚調整工程(ステップS13)と同様に、リンス液(純水)42の液膜(純水パドル)の膜厚が小さくなるように調整される。従って、第1の回転数R1は、例えば、500rpm〜1500rpm、より好ましくは1000rpmとすることができる。
【0070】
第1の時間T1は、以下に述べるように、第1の処理液の蒸気44を供給し始めてからウェハWの表面にリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面を発生するまでの時間と略等しい時間であり、かつ、レジストパターン29が溶解しない時間である。疎水化剤として用いるTMSDMAが、レジストを溶解する性質を持っているからである。従って、第1の時間T1は、例えば、0.5秒間〜5秒間、より好ましくは3秒間とすることができる。
【0071】
図9(c)に示すように、第1の処理液の蒸気44が供給され、ウェハWの略中心上で第1の処理液の蒸気44の濃度、すなわち蒸気圧が高くなると、リンス液42は、第1の処理液の蒸気44の濃度、すなわち蒸気圧が低い周縁側に偏るように移動する。その結果、リンス液42の液膜は、ウェハWの略中心上で窪んで膜厚が減少し、周縁側では膜厚が増加する。そして、更に第1の処理液の蒸気44が供給され、ウェハWが回転されて更にリンス液42が振り切られると、図9(d)に示すように、ウェハWの略中心上でリンス液42の一部が弾かれ除去されてウェハWの表面の一部が露出し、ウェハWの表面にリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bを発生する。
【0072】
あるいは、ウェハWの略中心上で第1の処理液の蒸気44の濃度が高くなると、第1の処理液の蒸気44がリンス液42に混合してリンス液42の表面張力が小さくなる場合もある。また、ウェハWの略中心上で第1の処理液の蒸気44の濃度が高くなると、第1の処理液の蒸気44がリンス液42に混合してウェハW上のレジストパターン29の表面に到達し、レジストパターン29の表面を疎水化する場合もある。
【0073】
なお、図9(b)から図10(d)では、図示を容易にするために、蒸気供給ノズル16から供給された第1の処理液の蒸気44が領域を有するものとして模式的に明示している。しかし、実際には、第1の処理液の蒸気44が気体として周囲に拡散するため、明確な領域の境界はない。
【0074】
次に、第2の除去工程(ステップS15)を行う。第2の除去工程(ステップS15)では、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置をウェハWの略中心上から少し周縁側に移動させながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。
【0075】
図10(a)に示すように、ウェハWの中心上を基準としたときの蒸気供給ノズル16の位置を、モータ19によりウェハWの略中心上から少し周縁側まで第2の時間T2で移動させながら、ウェハWを駆動モータ54によって第2の回転数R2で回転させる。
【0076】
ウェハWの中心上を基準としたときの蒸気供給ノズル16の「ウェハの略中心上から少し周縁側」の位置を第2の位置P2とすると、第2の位置P2は、例えば、5mm〜50mm、より好ましくは25mmとすることができる。
【0077】
第2の回転数R2は、以下に述べるように、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが周縁側へ移動する速さを遅くするように調整される。従って、第2の回転数R2は、第1の回転数R1よりも低い回転数であることが好ましく、例えば、0rpm〜500rpm、より好ましくは100rpmとすることができる。
【0078】
第2の時間T2は、以下に述べるように、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが発生してから一気に周縁側に移動し始めるまでの時間に略等しい時間であり、かつ、レジストパターン29が溶解しない時間である。従って、第2の時間T2は、例えば、0.5秒間〜10秒間、より好ましくは3秒間とすることができる。
【0079】
第1の除去工程(ステップS14)で、ウェハWの略中心上でリンス液42の一部が弾かれてウェハWの表面の一部が露出し、ウェハWの表面にリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bを発生する。このままウェハWを同じ速度で回転し続けると、リンス液42が振り切られるため、発生したリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bは、一気にウェハWの周縁側へ移動する。しかし、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bがあまり速く周縁側へ移動すると、第1の処理液の蒸気44によるリンス液42の表面張力の低下又はレジストパターン29の表面の疎水化が追い付かず、レジストパターン29が倒れてしまう。従って、第2の除去工程(ステップS15)では、第1の処理液の蒸気44を供給する位置をウェハWの略中心上から少し周縁側に移動させることによって、周縁側でリンス液42の表面張力の低下又はレジストパターン29の表面の疎水化を行うようにする。また、いったんウェハWの回転を遅くすることにより、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが周縁側へ移動する速さを遅くする。そして、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが一気に周縁側に移動するのを待つ。
【0080】
なお、本実施の形態では、第1の除去工程(ステップS14)において、図9(d)に示すように、ウェハWの略中心上でリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bを発生した後、図10(a)に示すように、蒸気供給ノズル16を周縁側に移動させる。しかし、蒸気供給ノズル16の移動を開始するのは、ウェハWの略中心上でリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが発生するのと略同時、又は界面Bが発生する少し前でもよい。このときは、第1の除去工程(ステップS14)において、ウェハWの略中心上で表面が完全な乾燥に至っていない状態で、ウェハWの略中心上に第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。また、このときは、第2の除去工程(ステップS15)において、ウェハWの略中心上で表面が完全な乾燥に至っていない状態で、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置をウェハWの略中心上から少し周縁側に移動させながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。また、このときは、図9(d)に示す状態はない。
【0081】
次に、第3の除去工程(ステップS16)を行う。第3の除去工程(ステップS16)では、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置を一気に略外周上まで移動させながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切って除去する。
【0082】
図10(b)から図10(d)に示すように、ウェハWの中心上を基準としたときの蒸気供給ノズル16の位置を、モータ19により一気にウェハWの略外周上まで第3の時間T3で移動させながら、ウェハWを駆動モータ54によって第3の回転数R3で回転させる。
【0083】
ウェハWの中心上を基準としたときの蒸気供給ノズル16の「略外周上」の位置を第3の位置P3とすると、第3の位置P3は、例えば、100mm〜200mm、より好ましくは150mmとすることができる。
【0084】
第3の回転数R3は、以下に述べるように、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが一気に略外周上まで移動するように調整される。従って、第3の回転数R3は、第2の回転数R2よりも高い回転数であることが好ましく、例えば、500rpm〜1500rpm、より好ましくは1000rpmとすることができる。
【0085】
第3の時間T3は、以下に述べるように、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面BがウェハWの略中心上から略外周上まで一気に移動する時間に略等しい時間であり、かつ、レジストパターン29が溶解しない時間である。従って、第3の時間T3は、例えば、1秒間〜10秒間、より好ましくは1秒間とすることができる。
【0086】
ウェハWの回転を速くすることにより、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが一気に周縁側に移動する。また、蒸気供給ノズル16の位置を一気に略外周上まで移動させることによって、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置をリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bに追随させることができる。すなわち、第1の処理液の蒸気44を供給する位置をモータ19によりリンス液42が振り切られて移動する速度に対応する速度で移動させながら、駆動モータ54によってスピンチャック52を回転させることにより、リンス液42を振り切って除去する。
【0087】
なお、本実施の形態では、リンス液除去工程がステップS14からステップS16を含む例について説明した。しかし、ステップS15及びステップS16を行わず、ステップS14のみを行って、リンス液42を除去してもよい。すなわち、蒸気供給ノズル16をウェハWの略中心上から移動させずに、ウェハWの略中心上に第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切って除去してもよい。
【0088】
そして、最後に乾燥工程(ステップS17)を行う。乾燥工程(ステップS17)では、ウェハWを所定の回転数で回転させ乾燥処理を行う。
【0089】
図11(a)に示すように、ウェハWを駆動モータ54によって1500rpm〜2500rpm、より好ましくは2000rpmの高回転で回転させ、ウェハWの表面を十分に乾燥させる。
【0090】
なお、本実施の形態では、リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)の後、再度リンス液42を供給して洗浄しなくてもよい。しかし、レジストやリンス液42の種類、又はウェハWのレジストパターン29の形状等の条件によっては、リンス液除去工程と乾燥工程(ステップS17)との間に、再度リンス液供給工程を追加することもできる。既に、リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)を行ってレジストパターン29の表面が疎水化されているため、再度リンス液供給工程を行って洗浄を行っても、レジストパターン29が倒れるおそれがない。
【0091】
次に、本実施の形態により、第1の処理液が蒸気としてレジストパターンのパターン倒れを防止できること、及び第1の処理液の使用量を削減できることについて説明する。なお、以下では、レジストパターンのことを「パターン」ということがある。
【0092】
図12は、パターンの間にリンス液が存在するときに、リンス液の接触角とパターンを倒そうとする力との関係を説明するための図である。2本のレジストパターン29の間をリンス液42でリンスした後、リンス液42を乾燥していく途中の段階では、図12に示すように、あるレジストパターン29の一方の側がリンス液42と接触し、一方の側が乾燥して空気と接触した状態となる。このような状態が形成されると、レジストパターン29の一方の側からはリンス液42に押され、他方の側から空気に押されるため、その圧力差があると、レジストパターン29を倒そうとする力が働くことになる。このパターンを倒そうとする力Fは、次式(1)で表される。
【0093】
【数1】

ここで、γはリンス液の表面張力、θはパターンでのリンス液の接触角、Dはパターンの間隔、Hはパターンの高さ、Lはパターンの長さである。このパターンを倒そうとする力Fは、パターンを曲げるモーメントを生じさせる。パターンの幅をW1とすると、パターンにかかる最大応力σMAXは、次式(2)で表される。
【0094】
【数2】

したがって、σMAXがパターンの倒壊ストレスσCRTを超えたときにパターンは倒れることになる(σMAX>σCRT)。この式から、パターン倒れを防止するには、(1)パターンの間隔Dを広げる、(2)高さHを低くするか、幅W1を広げることによってパターンのアスペクト比(H/W1)を小さくする、(3)見かけのリンス液42の表面張力γを小さくする、(4)パターンでのリンス液42の接触角θを大きくしてcosθを小さくする、等の方法が考えられる。
【0095】
本実施の形態に係る現像処理方法は、上記したうちの(3)見かけのリンス液の表面張力を大きくする又は(4)接触角θを大きくすることによって、パターンにかかる最大応力σMAXを低減し、パターン倒れを防止するものである。
【0096】
図13は、TMSDMAよりなる第1の処理液が、レジストパターンの表面を疎水化する疎水化処理における反応メカニズムを説明する図である。処理液に含まれるTMSDMAは、その分子中に(CHSiで表されるシリル基を有する。一方、レジストは、その高分子構造中にOH基を有する。TMSDMA中のシリル基がレジストパターンの表面において、レジスト中のOH基のHと置換反応を起こす。OH基が親水基であるのに対し、OH基のHがシリル基と置換した基は疎水基である。従って、レジストパターンの表面に形成された疎水基によって、レジストパターンの表面が疎水化される。
【0097】
本実施の形態で説明した第1の処理液の蒸気44を供給しながら、リンス液42を除去するリンス液除去工程を行った後で、図12に示すリンス液42のレジストパターン29に対する接触角θを測定したところ、接触角θは、85°〜95°となっていた。従って、リンス液42がパターン間から抜け出るときにパターン倒れを起こすおそれはない。また、いったんリンス液42のレジストパターン29に対する接触角θが大きくなった後、すなわちレジストパターン29の表面の疎水化が行われた後は、純水よりなるリンス液42に対しても、このような高い接触角が達成できる。
【0098】
本実施の形態では、TMSDMAに代え、TMSDMAをTFEで希釈してなる第1の処理液を用いてもよい。TMSDMAをTFEで希釈しても、TMSDMA中のシリル基がレジストパターンの表面を疎水化する効果はあまり変わらない。一方、HFEは、フッ素を有しているため、レジストパターン29の表面をフッ素でコーティングする。従って、TMSDMAをTFEで希釈してなる第1の処理液を用いる場合にも、これらによって、上記接触角が実現できる。
【0099】
また、TMSDMAのシリル基によってレジストパターン29の表面に疎水基が形成され、レジストパターン29の表面が疎水化される。この疎水基が形成された後に、例えばポストベーキングのような加熱処理を行って、更に反応させる。すると、いわゆるシリル化と同様に、レジストパターン29の表面が化学的に安定になる。従って、その後レジストパターン29をマスクに用いてウェハWをエッチングする工程において、レジストパターン29の表面がエッチャントに対して耐性を有するため、ウェハWのエッチングレートに対するレジストパターン29のエッチングレートの比率である選択比を向上させることができ、より微細なパターンの加工又はより縦横比(アスペクト比)の大きなパターンの加工を精度良く行うことができる。
【0100】
次に、表2を参照し、本実施の形態に係る現像処理方法によるパターン倒れ防止効果についての評価結果について説明する。
(実施例1)
実施例1として、レジストを塗布し、露光時のドーズ量を27mJから32mJの範囲で変更した各条件のパターン露光を行った後のウェハについて、図7に示すステップS11からステップS17の各工程を行ってレジストパターンの現像処理を行った。ステップS13からステップS17の各工程の条件は、表1に示す処理レシピの例に従って実施した。ただし、ステップS14からステップS16で供給する蒸気として、100%のTMSDMAよりなる第1の処理液の蒸気を用いた。パターンとしては、ライン幅120nm及びスペース幅120nm(ピッチ240nm)、並びに高さ380nmを有するレジストパターンを形成した。各ドーズ量の条件に対応して得られたパターンにパターン倒れが発生したか否かを、走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて観察した。これらの結果を表2に示す。
(比較例1)
比較例1として、実施例1と同様のパターン露光を行った後のウェハについて、図7に示すステップS11からステップS17のうち、ステップS14からステップS16を省略した各工程を行って、実施例1と同様の形状のレジストパターンの現像処理を行った。ただし、ステップS13において、純水に代え、HFEよりなるリンス液を用いた。また、各ドーズ量の条件に対応して得られたパターンにパターン倒れが発生したか否かを、実施例1と同様に観察した。これらの結果も表2に示す。
(比較例2)
比較例2として、実施例1と同様のパターン露光を行った後のウェハについて、図7に示すステップS11からステップS17のうち、ステップS14からステップS16を省略した各工程を行って、実施例1と同様の形状のレジストパターンの現像処理を行った。比較例2は、純水を用いてリンスを行った従来の現像処理に相当するものである。また、各ドーズ量の条件に対応して得られたパターンにパターン倒れが発生したか否かを、実施例1と同様に観察した。これらの結果も表2に示す。
【0101】
【表2】

表2において、○のマスは、その条件においてパターン倒れが発生しなかったことを示しており、×のマスは、その条件においてパターン倒れが発生したことを示している。
【0102】
表2の結果を比較すると、実施例1においては、全ての条件においてパターン倒れが発生していない。一方、比較例1、比較例2においては、一部の条件においてパターン倒れが発生している。従って、実施例1においては、比較例1、比較例2よりもパターン倒れを防止できることが明らかである。これは、前述したように、TMSDMAがレジストパターンの表面のOH基のHをシリル基で置換して疎水性を増大させ、パターンでのリンス液に対する接触角θを増大させ、パターンにかかる最大応力σMAXを減少させるためである。
【0103】
更に、本実施の形態では、第1の処理液の蒸気を供給するため、第1の処理液を直接供給する場合よりも、第1の処理液の使用量を低減することができる。本実施の形態では、例えば、ウェハ1枚を処理するための使用量を2.5μlとすることができる。一方、例えば第1の処理液を蒸気でなく、液体で供給する場合には、同様の効果を得るために必要な、ウェハ1枚を処理するための使用量が100μl程度である。従って、本実施の形態によれば、疎水化剤の使用量を40分の1に低減することができ、基板処理を行う際の処理コストを低減することができる。
【0104】
なお、本実施の形態では、本発明に係る基板処理装置を現像処理装置に適用した例、及び本発明に係る基板処理方法を現像処理方法に適用した例について説明した。しかしながら、本発明に係る基板処理装置は、基板に現像処理を行う現像処理装置に限定されて適用されるものではない。従って、例えば、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理装置にも適用することができる。本発明に係る基板処理装置を洗浄処理装置に適用するときは、図4及び図5を用いて説明した現像処理装置における現像液供給機構を省略した構成の装置を用いることができる。また、本発明に係る基板処理方法を洗浄方法に適用するときは、図7を用いて説明した現像処理方法における現像液供給工程を省略した方法を用いることができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図14及び図15を参照し、第1の実施の形態の第1の変形例に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
【0105】
本変形例に係る現像処理装置は、第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、リンス液が振り切られるときに移動するリンス液と雰囲気との界面の位置を検知しながら、リンス液を除去する点で、第1の実施の形態に係る現像処理装置と相違する。
【0106】
図14は、本変形例に係る現像処理ユニットを示す断面図である。図15は、リンス液と雰囲気との界面の位置を検知する方法の原理を示す概略構成図である。なお、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例及び実施の形態についても同様)。また、図14において、処理室の図示を省略している。
【0107】
本変形例でも、現像処理装置を含む塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)以外の各ユニットは、第1の実施の形態において図1から図3を用いて説明したのと同様にすることができる。
【0108】
一方、本変形例では、ウェハWの略中心上でリンス液42の一部が弾かれ除去されてウェハWの表面の一部が露出し、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが発生したかを検出するために、検出部80が設けられている。
【0109】
あるいは、検出部80は、第1の処理液の蒸気44をウェハWに供給する位置を、リンス液42が振り切られて移動する速度に対応する速度で移動させるために、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bの位置を検出するためのものであってもよい。
【0110】
図14に示すように、検出部80は、スピンチャック52によって保持され、リンス液42が供給されたウェハWにレーザー光Lを照射し、照射されたレーザー光LがウェハWの表面で反射された反射光の光量である反射光量を検出する。検出部80は、回帰反射型レーザーセンサ(レーザー投光部)81、反射板82及びレーザー受光部83を有する。レーザー投光部81は、ウェハWの表面にレーザー光Lよりなる照射光を照射する。反射板82は、ウェハWの表面に照射されて反射されたレーザー光Lを反射する。レーザー受光部83は、反射板82によって反射され、再びウェハWの表面で反射されたレーザー光Lよりなる反射光を受光する。なお、ウェハWの種類によってレーザーの減衰が多少変化するが、反射角度を極力低くすることで、減衰を低くできる。
【0111】
なお、本変形例では、ウェハWに照射する照射光としてレーザー光を用いる。しかし、ウェハWに照射する照射光は、ある程度の直進性を有するものであればよく、レーザー光以外の光でもよい。その際、回帰反射型レーザーセンサ81、レーザー受光部83に代え、その照射光に対応する発光部と受光部とを用いることができる。
【0112】
検出部80は、検出したアナログ信号を検出用のデジタル信号に変換すべく、アンプ84を介して検知用ボード85に接続されている。
【0113】
検知用ボード85には、CPU86が組み込まれている。CPU86は、検出部80から出力されるアナログ信号を計測し、界面Bが発生する直前のウェハWの表面がリンス液に覆われているときの値と、界面Bが発生してウェハWの表面が露出したときの値とを比較する演算処理を行う。あるいは、CPU86は、それらのアナログ信号のいずれかを設定された閾値との比較する演算処理を行う。また、検知用ボード85には、CPU86からの信号に基づいて表示部87に検出部80の値と判定を出力するコンピュータ88等が接続されている。
【0114】
また、CPU86は、蒸気供給ノズル16を回転移動させるモータ19を制御することにより蒸気供給ノズル16を回転移動させるとともに、モータ19の回転位置を検知することにより、蒸気供給ノズル16の位置を検出する。
【0115】
なお、検知用ボード85、CPU86、表示部87、コンピュータ88等は、前述した制御部30に含まれるものであってもよい。
【0116】
次に、本変形例に係る現像処理方法を説明する。本変形例に係る現像処理方法は、第1の実施の形態において図7を用いて説明した現像処理方法と略同様であるが、検出部80によりリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが発生したかを検出しながら行う。従って、以下では、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bの位置を検出する方法の原理について、図15を参照して説明する。
【0117】
予め、現像液供給工程(ステップS11)を行う前に、ウェハWの種類によって異なるノイズマージンの閾値を設定するために、スピンチャック52によってウェハWを保持した状態で、検出部80がOFFの状態の受光量(ゼロレベル)を認識する(図15(a)参照)。その後、現像液供給工程(ステップS11)を行う際に、現像液ノズル36からの供給信号がONと同時に、検出部80が作動して、現像液ノズル36から現像液41が供給される直前のウェハWの表面に照射されるレーザー光Lの反射光量を測定(検知)する(図15(b)参照)。この計測されたアナログ信号がCPU86に伝達されて、反射光量とゼロレベルの受光量とが比較され、その差に基づいてノイズマージンの閾値が設定される。なお、ここでは、現像液ノズル36から現像液41が供給される直前にウェハWの表面に照射されるレーザー光Lの反射光量を測定(検知)してノイズマージンの閾値を設定している。しかし、必ずしも現像液ノズル36から現像液41が供給される直前である必要はなく、現像液ノズル36から現像液41が供給される前の状態であれば、任意の時点でウェハWの表面に照射されるレーザー光Lの反射光量を測定(検知)してノイズマージンの閾値を設定することができる。
【0118】
次に、リンス液供給工程(ステップS12)及び膜厚調整工程(ステップS13)を行う。そして、膜厚調整工程(ステップS13)を行ってウェハWの表面のリンス液42よりなる液膜の膜厚を調整したときのレーザー反射光量が測定(検知)される。この状態ではレーザー光Lはリンス液42によって遮断されると共に、ウェハW上のリンス液42の淀みにより反射率も低下するため、反射光量は、ほぼゼロレベルとなる(図15(c)参照)。
【0119】
次に、リンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)を行う。蒸気供給ノズル16から第1の処理液の蒸気44を供給しながら、駆動モータ54によりウェハWを回転してリンス液42を振り切って除去する。第1の除去工程(ステップS14)では、ウェハWの略中心上に第1の処理液の蒸気44を供給しながらウェハWを回転させる。その結果、ウェハWの略中心上においてリンス液42が振り切られて除去され、ウェハWの表面が露出することにより反射率が向上するため、反射光量は高レベルとなる(図15(d)参照)。
【0120】
逆に言えば、反射光量が高レベルになることにより、ウェハWの略中心上においてリンス液42が振り切られて除去されたのかを検出することができる。従って、高レベルの反射光量が検出されたときに、第2の除去工程(ステップS15)を開始する。すなわち、検出した反射光量に基づいて、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置を、ウェハW上で中心側に周縁側に移動させながら、リンス液42を除去することになる。
【0121】
その後、乾燥工程(ステップS17)までが行われ、ウェハWの表面からリンス液42が除去された後、レーザーセンサ40はOFFとなる(図15(e)参照)。
【0122】
このように、検出部80によれば、ウェハWの略中心上においてウェハWの表面にリンス液42があるか否かが検知できる。これにより、ウェハWの略中心上でリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが発生する時点により精度良く合わせて、第1の除去工程(ステップS14)を終了し、第2の除去工程(ステップS15)を開始することができる。よって、第1の処理液の蒸気44を供給する位置を、リンス液42が振り切られて移動する位置により精度良く対応させて移動させることができ、リンス液42を除去する際に、パターン倒れをより確実に防止できる。
【0123】
あるいは、本変形例では、例えば、上記した検出部をウェハWの略中心上から周縁側にかけて複数組設けることにより、ウェハW上の各位置におけるリンス液42の有無を検出するようにしてもよい。あるいはレーザー投光部81と反射板82を同期してウェハWの表面とのなす角が同期して変化するように回転移動させる等の方法により、ウェハW上の各位置におけるリンス液42の有無を検出するようにしてもよい。そして、各時点でのウェハW上の各位置におけるリンス液42の有無を検出することにより、ウェハW上をリンス液42が振り切られて移動する速度を求めることができる。従って、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが移動する速度に追随する速度で、蒸気供給ノズル16を移動させることができる。これにより、例えば、第3の除去工程(ステップS16)において、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが移動する速度と等しい速度で、蒸気供給ノズル16を移動させることができる。すなわち、検出した反射光量に基づいて、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置を、リンス液42が振り切られて移動する速度に対応する速度で移動させながら、リンス液42を除去することになる。
【0124】
本変形例でも、疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気によりレジストパターンの表面が疎水化される。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れを防止でき、かつ、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0125】
一方、本変形例によれば、検出部により、移動するリンス液と雰囲気との界面の位置を精度良く検出することができる。そして、リンス液と雰囲気との界面の移動に追随するように、蒸気供給ノズルを移動させることができる。従って、リンス液が振り切られる際に、移動するリンス液と雰囲気との界面の近傍に確実に第1の処理液の蒸気を供給することができる。よって、パターン倒れをより確実に防止でき、また、疎水化剤の使用量をより低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0126】
なお、本変形例では、本発明を現像処理装置に適用した例を説明したが、現像処理装置に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理装置にも適用することができる。また、本変形例では、本発明を現像処理方法に適用した例を説明したが、現像処理方法に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理方法にも適用することができる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図16及び図17を参照し、第1の実施の形態の第2の変形例に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
【0127】
本変形例に係る現像処理装置は、蒸気供給ノズルに加え、処理液供給ノズルを有する点で、第1の実施の形態に係る現像処理装置と相違する。
【0128】
図16は、本変形例に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。
【0129】
本変形例でも、現像処理装置を含む塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)以外の各ユニットは、第1の実施の形態において図1から図3を用いて説明したのと同様にすることができる。また、本変形例に係る現像処理ユニット(DEV)は、処理液供給ノズル以外の部分については、第1の実施の形態に係る塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)と同様にすることができる。従って、図16のうち、図4及び図5を用いて第1の実施の形態で既に説明した部分については、説明を省略する。
【0130】
図16では、図17を用いて後述する現像液供給工程から膜厚調整工程が行われた後、リンス液除去工程が行われる際の、各ノズルの位置を模式的に示している。すなわち、現像液ノズル36は、カップCP外へ移動されており、リンスノズル15は、ウェハWの略中心上から少し周縁側に移動されており、蒸気供給ノズル16は、ウェハWの略中心上に移動されている。
【0131】
本変形例では、蒸気供給ノズル16の隣には、処理液ノズル16aが設けられている。処理液ノズル16aは、図示しないノズル保持体に保持された状態で、図示しないノズルスキャンアームの先端に取り付けられている。処理液ノズル16aは、ウェハWの表面に、リンス液42よりも表面張力が小さい第2の処理液42aを供給する。蒸気供給ノズル16と同様に、このノズルスキャンアームも図示しないモータにより、そのモータを中心としてθ方向に回動可能に設けられていてもよい。処理液ノズル16aには、図示しない第2の処理液供給機構から図示しない供給管を介して第2の処理液42aが供給されるようになっている。あるいは、処理液ノズル16aは、蒸気供給ノズル16と共に、ノズルスキャンアーム18の先端に取り付けられていてもよい。
【0132】
第2の処理液42aとしては、例えば純水よりなるリンス液42より表面張力の低い例えば前述したHFE系溶剤を使用することができる。また、キシレン、ヘキサメチルジシラザン等も用いることができる。
【0133】
なお、処理液ノズル16aは、本発明における第2の処理液供給部に相当する。
【0134】
次に、図17を参照し、本変形例に係る現像処理方法について説明する。図17は各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0135】
図17に示すように、本変形例に係る現像処理方法は、現像液供給工程(ステップS21)、リンス液供給工程(ステップS22)、第2の処理液供給工程(ステップS23)、膜厚調整工程(ステップS24)、リンス液除去工程(ステップS25〜ステップS27)及び乾燥工程(ステップS28)を有する。リンス液除去工程は、第1の除去工程(ステップS25)、第2の除去工程(ステップS26)及び第3の除去工程(ステップS27)を有する。
【0136】
最初に、現像液供給工程(ステップS21)及びリンス液供給工程(ステップS22)を行う。現像液供給工程(ステップS21)及びリンス液供給工程(ステップS22)は、それぞれ第1の実施の形態におけるステップS11及びステップS12と同様に行うことができる。
【0137】
次に、第2の処理液供給工程(ステップS23)を行う。第2の処理液供給工程(ステップS23)では、リンス液42が供給されたウェハW上に、第2の処理液42aを供給する。
【0138】
現像液ノズル36をカップCP外へ移動させ、処理液ノズル16aをウェハWの略中心上へ移動させる。そして、ウェハWを回転させながら第2の処理液42aを供給する。このとき、ウェハWを回転させながら行うため、ウェハWの表面を第2の処理液42aを含むリンス液42でリンスすることになる。
【0139】
ウェハWの表面に第2の処理液42aを含むリンス液42の液膜を形成し、現像されたレジストパターンの上面が第2の処理液42aを含むリンス液42から出ないようにするために、ウェハWの回転数を比較的低速の0rpm〜1200rpm、より好ましくは500rpmとする。ウェハWの回転を0rpm〜1200rpmの比較的低速回転とすることにより、ウェハW上で流れる第2の処理液42aを含むリンス液42の速度を極力小さくして、第2の処理液42aを含むリンス液42を洗い流すときにレジストパターン29が倒れないようにする。
【0140】
なお、第2の処理液供給工程(ステップS23)では、第2の処理液42aを大量に供給し、リンス液42が第2の処理液42aに略置換されるようにしてもよい。あるいは、逆に、第2の処理液供給工程(ステップS23)では、リンス液42が供給されたウェハW上に第2の処理液42aを滴下する程度でもよい。ウェハW上に第2の処理液42aを滴下する場合には、第2の処理液供給工程(ステップS23)をリンス液除去工程の前に行わなくてもよく、リンス液除去工程と同時に行ってもよい。すなわち、ステップS23をあらためて行わず、処理液ノズル16aから第2の処理液42aを滴下しながらリンス液除去工程(ステップS25〜ステップS27)を行ってもよい。
【0141】
次に、膜厚調整工程(ステップS24)を行う。膜厚調整工程(ステップS24)では、第1の実施の形態における膜厚調整工程(ステップS13)と略同様の工程であり、第2の処理液42aの供給を停止し、ウェハWを回転させて第2の処理液42aを含むリンス液42の一部を振り切って液膜の膜厚を調整する。
【0142】
次に、リンス液除去工程(ステップS25〜ステップS27)を行う。リンス液除去工程(ステップS25〜ステップS27)では、第1の実施の形態におけるリンス液除去工程(ステップS14〜ステップS16)と同様に、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させ、第2の処理液42aを含むリンス液42を振り切って除去する。
【0143】
そして、最後に乾燥工程(ステップS28)を行う。乾燥工程(ステップS28)では、第1の実施の形態における乾燥工程(ステップS17)と同様に、ウェハWを所定の回転数で回転させ乾燥処理を行う。
【0144】
本変形例でも、疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気によりレジストパターンの表面が疎水化される。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0145】
一方、本変形例では、リンス液よりも表面張力が小さい第2の処理液を供給し、リンス液除去工程において、疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気を供給しながら、ウェハWを回転させて、第2の処理液を含むリンス液を振り切って除去する。第2の処理液を含むリンス液は、リンス液よりも表面張力が小さい。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れをより確実に防止できる。
【0146】
また、HFEは純水より比重が大きい。従って、第2の処理液としてHFEを用いる場合には、第2の処理液供給工程(ステップS23)以降において、第2の処理液がリンス液の下側に配置されるようになり、リンス液がレジストパターン間から抜け出易くなる。従って、パターン倒れの防止は、よりいっそう効果的となる。
【0147】
なお、本変形例では、本発明を現像処理装置に適用した例を説明したが、現像処理装置に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理装置にも適用することができる。また、本変形例では、本発明を現像処理方法に適用した例を説明したが、現像処理方法に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理方法にも適用することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図18から図22を参照し、第2の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
【0148】
本実施の形態に係る現像処理装置は、蒸気供給ノズルが第1の処理液の蒸気を供給する位置を、ウェハ上で周縁側から中心側に移動させながら、リンス液を振り切る点で、第1の実施の形態に係る現像処理装置と相違する。
【0149】
図18は、本実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。図19は、帯状の吐出口が形成された蒸気供給ノズルの例について説明するための斜視図である。
【0150】
本実施の形態でも、塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)以外の各ユニットは、第1の実施の形態において図1から図3を用いて説明したのと同様にすることができる。また、本実施の形態に係る現像処理ユニット(DEV)も、第1の実施の形態に係る塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)と同様にすることができる。従って、図18のうち、図4及び図5を用いて第1の実施の形態で既に説明した部分については、説明を省略する。
【0151】
図18では、図20を用いて後述する現像液供給工程及びリンス液供給工程が行われた後、リンス液除去工程が行われる際の、各ノズルの位置を模式的に示している。すなわち、現像液ノズル36はカップCP外へ移動されており、リンスノズル15は、ウェハWの略中心上に移動されており、蒸気供給ノズル16bは、ウェハW上で略外周上に移動されている。
【0152】
蒸気供給ノズル16bは、ウェハW上を周縁側から中心側に向けて螺旋を描くように移動する。従って、蒸気供給ノズル16bは、ウェハWの径方向に沿って帯状の吐出口を有していてもよい。以下、図19を用いて、帯状の吐出口が形成された蒸気供給ノズルの例について説明する。
【0153】
図19に示すように、蒸気供給ノズル16bは例えば下方に向かって幅が狭くなるようにくさび形に形成されており、その下端面には第1の処理液の蒸気44を吐出するための帯状(スリット状)の吐出口16cが設けられている。この吐出口16cは、その長手方向がウェハWの周縁側から中心側に向くように配置されている。
【0154】
なお、ウェハW、レジストパターン又はリンス液の種類に基づいて第1の処理液の蒸気44の温度が所定の設定値になるように、内管16d及び外管16eを備えた二重管16fを用いて温度調節を行ってもよい。このとき、図示しない温水供給源から供給される温度調節した温水が、外管16eを通流する。また、蒸気供給機構33から供給される第1の処理液の蒸気44は、内管16dを通流する。また、温度調節した温水は、戻り管16gにより図示しない温水供給源に戻る。また、このような構成の蒸気供給ノズル16bは、他の実施の形態又は変形例においても、用いることができる。
【0155】
次に、図20から図22を参照し、本実施の形態に係る現像処理方法について説明する。図20は各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図21及び図22は、各工程を行う際の側面図及び平面図である。
【0156】
図20に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、現像液供給工程(ステップS31)、リンス液供給工程(ステップS32)、リンス液除去工程(ステップS33〜ステップS35)及び乾燥工程(ステップS36)を有する。リンス液除去工程は、第1の除去工程(ステップS33)、第2の除去工程(ステップS34)及び第3の除去工程(ステップS35)を有する。
【0157】
最初に、現像液供給工程(ステップS31)及びリンス液供給工程(ステップS32)を行う。現像液供給工程(ステップS31)及びリンス液供給工程(ステップS32)は、それぞれ第1の実施の形態におけるステップS11及びステップS12と同様に行うことができる。
【0158】
次に、リンス液除去工程(ステップS33〜ステップS35)を行う。リンス液除去工程(ステップS33〜ステップS35)では、ウェハWの略中心上にリンス液42が供給されている状態で、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置を、ウェハW上で周縁側から中心側に移動させながら、リンス液42を振り切る。また、リンス液除去工程(ステップS33〜ステップS35)は、第1の除去工程(ステップS33)、第2の除去工程(ステップS34)及び第3の除去工程(ステップS35)を有する。
【0159】
まず、第1の除去工程(ステップS33)を行う。第1の除去工程(ステップS33)では、ウェハWの略中心上にリンス液42が供給されている状態で、ウェハWの略外周上に第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。
【0160】
図21(a)に示すように、リンスノズル15がウェハWの略中心上でウェハWにリンス液42を供給している状態で、蒸気供給ノズル16bをウェハW上の略外周上へ移動させ、ウェハW上の外周上で第1の処理液の蒸気44を供給しながら、ウェハWを駆動モータ54によって0rpm〜200rpm、より好ましくは100rpmで回転させる。
【0161】
図21(a)に示すように、第1の処理液の蒸気44が供給され、ウェハWの略外周上で第1の処理液の蒸気44の濃度、すなわち蒸気圧が高くなると、リンス液42は、第1の処理液の蒸気44の濃度、すなわち蒸気圧が低い中心側に偏るように移動する。その結果、リンス液42の液膜は、ウェハWの略外周上で窪んで膜厚が減少し、中心側では膜厚が増加する。そして、更に第1の処理液の蒸気44が供給されると、図21(b)に示すように、ウェハWの略外周上でリンス液42の一部が弾かれてウェハWの表面の一部が露出し、ウェハWの表面にリンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bが発生する。また、リンス液42は、ウェハWの略外周上で露出したウェハWの表面の上を転がるようにしてウェハWから振り切られる。
【0162】
なお、本実施の形態でも、ウェハW上で第1の処理液の蒸気44の濃度が高くなると、第1の処理液の蒸気44がリンス42液に混合してリンス液42の表面張力が小さくなる場合がある。また、ウェハW上で第1の処理液の蒸気44の濃度が高くなると、第1の処理液の蒸気44がリンス液42に混合してウェハW上のレジストパターン29の表面に到達し、レジストパターン29の表面を疎水化する場合がある。
【0163】
また、図21(a)から図21(d)では、図示を容易にするために、蒸気供給ノズル16bから供給された第1の処理液の蒸気44が領域を有するものとして模式的に明示している。しかし、実際には、第1の処理液の蒸気44が気体として周囲に拡散するため、明確な領域の境界はない。
【0164】
次に、第2の除去工程(ステップS34)を行う。第2の除去工程(ステップS34)では、ウェハWの略中心上にリンス液42が供給されている状態で、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置を、ウェハW上で周縁側から中心側に移動させながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。
【0165】
図21(c)に示すように、リンスノズル15がウェハWの略中心上でウェハWにリンス液42を供給し、蒸気供給ノズル16bがウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給している状態で、蒸気供給ノズル16bをウェハW上の略外周上へ移動させながら、ウェハWを駆動モータ54によって0rpm〜200rpm、より好ましくは100rpmで回転させる。
【0166】
また、第2の除去工程(ステップS34)でも、第1の除去工程(ステップS33)と同様に、リンス液42は、図22(a)に示すように、ウェハWの略外周上で露出したウェハWの表面の上を転がるようにしてウェハWから振り切られる。そして、リンス液42と雰囲気(第1の処理液の蒸気44)との界面Bは、蒸気供給ノズル16bの移動に追随するように、自動的にウェハW上を周縁側から中心側へ移動する。
【0167】
次に、第3の除去工程(ステップS35)を行う。第3の除去工程(ステップS35)では、ウェハWに第1の処理液の蒸気44を供給する位置がウェハWの略中心上に到達する際に、リンスノズル15をウェハWの略中心上から少し周縁側に移動させながら、ウェハWを回転させてリンス液42を振り切る。
【0168】
蒸気供給ノズル16bが第1の処理液の蒸気44を供給している状態で、図21(d)に示すように、蒸気供給ノズル16bがウェハWの略中心上に到達する際に、リンスノズル15をウェハWの略中心から少し周縁側に移動させる。その結果、ウェハWの全面においてレジストパターン29の表面の疎水化が完了し、ウェハWが回転されて振り切られるリンス液42は、図22(b)に示すように、ウェハWには貯留されず、ウェハWの表面の上を転がるようにしてウェハWから振り切られる。
【0169】
そして、最後に乾燥工程(ステップS36)を行う。乾燥工程(ステップS36)では、第1の実施の形態における乾燥工程(ステップS17)と同様に、ウェハWを所定の回転数で回転させ乾燥処理を行う。
【0170】
なお、第3の除去工程(ステップS35)を行った後では、ウェハWの全面においてレジストパターン29の表面が疎水化されている。従って、第3の除去工程(ステップS35)と、乾燥工程(ステップS36)との間に、再度リンス液供給工程を追加してもよく、その後リンス液を除去する際にも、パターン倒れを防止することができる。
【0171】
本実施の形態では、蒸気供給ノズル16bをウェハW上で外周側から中心側に移動させる移動速度は、例えば12インチサイズのウェハWの場合に1〜5秒でウェハWの略中心上に吐出口16cが到達するように設定する。従って、ウェハWの回転速度及びノズルの移動速度の設定値は、例えばウェハWの半径方向に隙間なく第1の処理液の蒸気44が吹き付けられるように、帯状の吐出口16cの長さの設定値に基づいて、例えば計算により又は予め試験を行って決定することができる。このとき、吐出口16cから帯状に吹き付けられた第1の処理液の蒸気44は、ウェハWの外側から内側に向かって互いに隙間のないように並べられていく。その結果、第1の処理液の蒸気44によりレジストパターン29の表面が疎水化された部分も、ウェハWの表面全体に外周側から中心側に螺旋状に進展する。
【0172】
本実施の形態でも、疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気によりレジストパターンの表面が疎水化される。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0173】
一方、本実施の形態では、ウェハWの略中心上にリンス液が供給された状態で、ウェハWに第1の処理液の蒸気を供給する位置を、ウェハW上で周縁側から中心側に移動させながら、リンス液を振り切って除去する。リンス液と雰囲気との界面は、蒸気供給ノズルの移動に追随するように、自動的にウェハW上を周縁側から中心側へ移動するため、リンス液と雰囲気との界面が蒸気供給ノズルよりも先に中心側に移動することがない。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れをより確実に防止できる。
【0174】
なお、本実施の形態では、本発明を現像処理装置に適用した例を説明したが、現像処理装置に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理装置にも適用することができる。また、本実施の形態では、本発明を現像処理方法に適用した例を説明したが、現像処理方法に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理方法にも適用することができる。
(第3の実施の形態)
次に、図23から図25を参照し、第3の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
【0175】
本実施の形態に係る現像処理装置は、蒸気供給ノズルを含めたノズルユニットを有し、蒸気供給ノズルが長尺状のノズルであり、移動方向の前方に吸引ノズルが設けられている点で、第1の実施の形態に係る現像処理装置と相違する。
【0176】
図23は、本実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する図である。図24は、ノズルユニットを拡大して示す図である。
【0177】
本実施の形態でも、現像処理装置を含む塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)以外の各ユニットは、第1の実施の形態において図1から図3を用いて説明したのと同様にすることができる。また、本実施の形態に係る現像処理ユニット(DEV)は、蒸気供給ノズル周辺以外の部分については、第1の実施の形態に係る塗布現像処理システムの現像処理ユニット(DEV)と同様にすることができる。従って、図23のうち、図4及び図5を用いて第1の実施の形態で既に説明した部分については、説明を省略する。
【0178】
図23では、図25を用いて後述する現像液供給工程及びリンス液供給工程が行われた後、リンス液除去工程が行われる際の、各ノズルの位置を模式的に示している。すなわち、現像液ノズル36はカップCP外へ移動されており、リンスノズル15は、ウェハWの略中心上に移動されており、蒸気供給ノズルを含めたノズルユニット160は、ウェハWの略外周上に移動されている。
【0179】
図23及び図24(a)に示すように、ノズルユニット160は、第1の吐出ノズル161、第1の吸引ノズル162、第2の吐出ノズル163、第2の吸引ノズル164、第3の吐出ノズル165を有する。各ノズルを含め、ノズルユニット160は、ウェハW上を方向(以下「移動方向」という)Cに沿って移動可能に設けられている。また、それぞれのノズルは、ウェハWの直径と略同一の長さを有する長尺状のノズルであり、それぞれの長尺状のノズルの長尺方向を横切る方向に沿って配列するように設けられている。また、それぞれのノズルは、全てが共に、ノズルの長尺方向を横切る方向(それぞれのノズルの配列方向であってウェハWの径方向と略平行である)に移動可能に設けられていてもよい。あるいは、後述する前後関係を保持するのであれば、一部のノズルが共に移動可能で他のノズルが別々に移動可能に設けられていてもよく、全てのノズルが別々に移動可能に設けられていてもよい。
【0180】
第1の吐出ノズル161は、第1の処理液の蒸気44をウェハWに供給する。第1の吐出ノズル161は、本発明における蒸気供給部に相当する。
【0181】
第1の吸引ノズル162は、ノズルユニット160の移動方向Cに沿って第1の吐出ノズル161の前方を移動可能に設けられており、リンス液42を吸引する。第1の吸引ノズル162は、本発明における吸引部及びリンス液除去部に相当する。
【0182】
第2の吐出ノズル163は、ノズルユニット160の移動方向Cに沿って第1の吐出ノズル161の後方を移動可能に設けられており、リンス液42が除去されたウェハWに第2のリンス液42bを供給する。第2の吸引ノズル164は、ノズルユニット160の移動方向Cに沿って第1の吐出ノズル161の後方を移動可能に設けられており、ウェハWに供給された第2のリンス液42bを吸引して除去する。本実施の形態では、第2の吸引ノズル164が164a、164bの2つに分割され、分割された2つの第2の吸引ノズル164a、164bは、ノズルユニット160の移動方向Cに沿って第2の吐出ノズル163の前方及び後方に設けられている例を示している。
【0183】
第3の吐出ノズル165は、ノズルユニット160の移動方向Cに沿って第2の吐出ノズル163及び第2の吸引ノズル164の後方に移動可能に設けられており、第2のリンス液42bが除去されたウェハWに気体Gを供給して基板を乾燥させる。
【0184】
なお、パターン倒れを防止し、第1の処理液43の使用量を削減するためには、ノズルユニットは、第1の吐出ノズル161及び第1の吸引ノズル162のみを有するものであってもよい。すなわち、ノズルユニットは、第2の吐出ノズル、第2の吸引ノズル及び第3の吐出ノズルを有していなくてもよい。第1の吐出ノズル161及び第1の吸引ノズル162のみを有し、第2の吐出ノズル、第2の吸引ノズル及び第3の吐出ノズルを有していない例であるノズルユニット160aを、図24(b)に示す。
【0185】
また、本実施の形態では、リンスノズル15がノズルユニット160と別に設けられている例を説明する。しかし、リンスノズルは、後述するノズルユニットがウェハW上をある方向に沿って移動するその移動方向に沿って、ノズルユニットに含まれる全てのノズルよりも前方に設けられていればよい。従って、リンスノズルは、ノズルユニットに含まれていてもよい。また、その場合、リンスノズルも、第1の吐出ノズル等と同様に、ウェハの直径と略同一の長さを有する長尺状のノズルとすることができる。そのとき、図23に示すように、スピンチャック52を回転駆動する駆動モータを省略することができる。
【0186】
次に、図24(a)及び図25を参照し、本実施の形態に係る現像処理方法について説明する。図25は各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0187】
図25に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、現像液供給工程(ステップS41)、リンス液供給工程(ステップS42)、リンス液除去工程(ステップS43)、第2のリンス液除去工程(ステップS44)及び乾燥工程(ステップS45)を有する。
【0188】
なお、上記した各工程のうち、リンス液除去工程(ステップS43)から乾燥工程(ステップS45)は、ウェハWのある位置における各工程を順に記載したものである。しかし、本実施の形態では、ウェハW上でノズルユニット160を一方から他方へ移動しながら行うものであり、ウェハWの異なる位置において、リンス液除去工程(ステップS43)から乾燥工程(ステップS45)のいずれか異なる工程が同時に行われるものである。従って、以下では、ウェハWのある位置に着目して説明する。
【0189】
最初に、現像液供給工程(ステップS41)及びリンス液供給工程(ステップS42)を行う。現像液供給工程(ステップS41)及びリンス液供給工程(ステップS42)は、第1の実施の形態における現像液供給工程(ステップS11)及びリンス液供給工程(ステップS12)と同様に行うことができる。
【0190】
次に、リンス液除去工程(ステップS43)を行う。リンス液除去工程(ステップS43)では、移動する長尺状の第1の吐出ノズル161から第1の処理液の蒸気44を供給しながら、第1の吐出ノズル161の前方を移動する長尺状の第1の吸引ノズル162により、リンス液42を吸引して除去する。リンス液除去工程(ステップS43)から乾燥工程(ステップS45)では、ウェハWを回転させずに行う。
【0191】
なお、本実施の形態では、ウェハWに第1の処理液の蒸気を供給しながら、リンス液を吸引して除去する例について説明する。しかし、第1の処理液の蒸気を供給した後で、リンス液を吸引してもよい。この場合には、第1の処理液の蒸気を供給しながらリンス液を吸引するものではないが、第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、リンス液を吸引して除去することになる。
【0192】
次に、第2のリンス液除去工程(ステップS44)を行う。第2のリンス液除去工程(ステップS44)では、第1の吐出ノズル161の後方を移動する長尺状の第2の吐出ノズル163により、例えば純水等の第2のリンス液42bを供給しながら、第1の吐出ノズル161の後方を移動する長尺状の第2の吸引ノズル164a、164bにより、第2のリンス液42bを吸引して除去する。
【0193】
次に、乾燥工程(ステップS45)を行う。乾燥工程(ステップS45)では、第2の吐出ノズル163及び第2の吸引ノズル164の後を移動する長尺状の第3の吐出ノズル165により例えばN等の気体を供給して乾燥させる。
【0194】
本実施の形態でも、疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気によりレジストパターンの表面が疎水化される。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0195】
一方、本実施の形態では、吸引ノズルによりリンス液を吸引して除去する。従って、被処理基板が円形でない場合あるいは重心が中心にない場合等、被処理基板を回転させずに処理を行うことが好ましい場合にも、パターン倒れを防止でき、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0196】
なお、本実施の形態では、本発明を現像処理装置に適用した例を説明したが、現像処理装置に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理装置にも適用することができる。また、本実施の形態では、本発明を現像処理方法に適用した例を説明したが、現像処理方法に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理方法にも適用することができる。
(第4の実施の形態)
次に、図26から図28を参照し、第4の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
【0197】
本実施の形態に係る現像処理装置は、長尺状のノズルである吐出ノズル及び吸引ノズルを含めたノズルユニットを基板の略中心上を通るように配置した状態で、基板を略半回転させてリンス液を除去する点で、第1の実施の形態に係る現像処理装置と相違する。
【0198】
図26は、本実施の形態に係る現像処理ユニットの主要な部分について模式的に説明する側面図である。図27は、蒸気供給ノズルを模式的に説明する平面図である。
【0199】
図26では、図28を用いて後述する現像液供給工程及びリンス液供給工程が行われた後、リンス液除去工程が行われる際の、各ノズルの位置を模式的に示している。すなわち、現像液ノズル36はカップCP外へ移動されており、リンスノズル15は、ウェハWの略外周上に移動されており、吐出ノズル171を含めたノズルユニット170は、ウェハWの略中心上に移動されている。
【0200】
図26及び図27に示すように、ノズルユニット170は、吐出ノズル171及び吸引ノズル172を有する。吐出ノズル171は、ウェハWの略中心上を通るように設けられた、ウェハWの直径と略等しい長さを有する長尺状の吐出口173が形成された長尺状のノズルである。吐出ノズル171は、本発明における蒸気供給部に相当する。
【0201】
図26及び図27に示すように、吸引ノズル172は、吐出ノズル171の長尺方向を横切る方向に沿って吐出ノズル171の前後に設けられている。吸引ノズル172は、吐出ノズル171と略等しい長さを有し、ウェハWに供給されたリンス液42を吸引して除去する、長尺状の吸引口174が形成された2つの長尺状のノズルである。吸引ノズル172は、本発明における吸引部及びリンス液除去部に相当する。
【0202】
吐出ノズル171の吐出口173の上方には、吐出ノズル171に第1の処理液の蒸気44を供給する供給口175が形成されている。蒸気供給機構33から供給口175を介して吐出口173内に供給された第1の処理液の蒸気44は、供給口175を中心として吐出口173の長尺方向に沿って両側に拡散する。図27に示すように、供給口175は、ウェハWの略中心上にではなく、吐出口173の長尺方向に沿って少しウェハWの略中心上から周縁側の場所に設けられていてもよい。これにより、ウェハWを略半周させてリンス液42を除去する際に、ウェハWの全面に亘り均一にレジストパターン29の表面を疎水化することができる。
【0203】
吸引ノズル172の吸引口174の上方には、吸引ノズル172からリンス液42を排出する排出口176が形成されている。吸引口174内に吸引されたリンス液42は、吸引口174の長尺方向に沿って一箇所に集まり、排出口176を介して排気部177により排出される。図27に示すように、排出口176は、吸引口174の長尺方向に沿って一端に設けられていてもよい。具体的には、図27に示すように、ウェハWを略半周させる際に、リンス液42を最後まで吸引する側に設けられる。これにより、ウェハWを略半周させる際に、ウェハWの全面に亘り完全にリンス液42を除去することができる。
【0204】
次に、図27及び図28を参照し、本実施の形態に係る現像処理方法について説明する。図28は各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0205】
図28に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、現像液供給工程(ステップS51)、リンス液供給工程(ステップS52)、膜厚調整工程(ステップS53)及びリンス液除去工程(ステップS54)を有する。
【0206】
最初に、現像液供給工程(ステップS51)から膜厚調整工程(ステップS53)を行う。現像液供給工程(ステップS51)から膜厚調整工程(ステップS53)は、第1の実施の形態における現像液供給工程(ステップS11)から膜厚調整工程(ステップS13)と同様に行うことができる。
【0207】
次に、リンス液除去工程(ステップS54)を行う。リンス液除去工程(ステップS54)では、ウェハWを略半回転させる際に、ウェハWの略中心上を通るように設けられた、長尺状の吐出ノズル171により、第1の処理液の蒸気44を供給しながら、吐出ノズル171の長尺方向を横切る方向に沿って前方及び後方に設けられた、2つの長尺状の吸引ノズル172により、ウェハWに供給されたリンス液42を吸引して除去する。
【0208】
図27に示すように、吐出ノズル171によりウェハW上に第1の処理液の蒸気44を供給し、吸引ノズル172によりウェハW上からリンス液42を吸引しながら、駆動モータ54によりウェハWを低速例えば30(回転/分)で約半周回転させる。これにより、ウェハWのある位置に着目すると、吐出ノズル171により第1の処理液の蒸気44が供給された直後に、吸引ノズル172によりリンス液42が吸引されて除去することができる。
【0209】
なお、本実施の形態では、ウェハを略半回転させてリンス液を除去する例について説明した。しかし、長尺状の吐出ノズルを4つ組み合わせて十字形状に構成し、その十字形状の吐出ノズルの略全周を取り囲むように吸引ノズルを設けた場合には、ウェハWを略4分の1回転させてリンス液を除去することができる。従って、吐出ノズル及び吸引ノズルの形状を適切に設計することにより、ウェハを任意の角度だけ回転させてリンス液を除去することができる。
【0210】
本実施の形態でも、疎水化剤を含む第1の処理液の蒸気によりレジストパターンの表面が疎水化される。従って、微細なレジストパターンが形成された基板上にリンス液を供給し、その基板からリンス液を除去する際に、パターン倒れを防止でき、かつ、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0211】
一方、本実施の形態では、吸引ノズルによりリンス液を吸引して除去する。従って、被処理基板を高速で回転させずに処理を行うことが好ましい場合にも、パターン倒れを防止でき、また、疎水化剤の使用量を低減し、基板処理を行う際の処理コストを低減できる。
【0212】
なお、本実施の形態では、本発明を現像処理装置に適用した例を説明したが、現像処理装置に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理装置にも適用することができる。また、本実施の形態では、本発明を現像処理方法に適用した例を説明したが、現像処理方法に限定されず、スピンチャックに基板を保持して基板に洗浄処理を行う枚葉式の洗浄処理方法にも適用することができる。
【0213】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0214】
1 塗布現像処理システム
15 リンスノズル
16 蒸気供給ノズル
19 モータ
29 レジストパターン
36 現像液ノズル
41 現像液
42 リンス液
43 第1の処理液
44 第1の処理液の蒸気
52 スピンチャック
54 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジストパターンが形成された基板にリンス液を供給するリンス液供給工程と、
前記レジストパターンを疎水化する第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、前記リンス液が供給された前記基板から前記リンス液を除去するリンス液除去工程と
を有する、基板処理方法。
【請求項2】
前記リンス液除去工程において、前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記リンス液を除去する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記リンス液除去工程において、前記基板を回転させ、前記リンス液を振り切って除去する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記リンス液除去工程において、前記基板の略中心上に前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記リンス液を除去する、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記リンス液除去工程において、前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を、前記基板上で中心側から周縁側に移動させながら、前記リンス液を除去する、請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記リンス液除去工程において、前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を、前記リンス液が振り切られて移動する速度に対応する速度で移動させながら、前記リンス液を除去する、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記リンス液除去工程において、前記基板に照射された照射光が前記基板の表面で反射された反射光の光量を検出し、検出した前記光量に基づいて、前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を移動させながら、前記リンス液を除去する、請求項5又は請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記リンス液が供給された前記基板に、前記リンス液よりも表面張力が小さい第2の処理液を供給する第2の処理液供給工程を有し、
前記リンス液除去工程において、前記第2の処理液を振り切って除去する、請求項3から請求項7のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記リンス液除去工程において、前記基板の略中心上に前記リンス液が供給されている状態で、前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を、前記基板上で周縁側から中心側に移動させながら、前記リンス液を振り切る、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記リンス液除去工程において、前記基板から前記リンス液を吸引して除去する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記リンス液除去工程において、前記基板上を一の方向に移動する長尺状の第1の吐出ノズルにより前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記一の方向に沿って前記第1の吐出ノズルの前方を移動する長尺状の第1の吸引ノズルにより、前記リンス液を吸引して除去する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記リンス液が除去された前記基板に、前記一の方向に沿って前記第1の吐出ノズルの後方を移動する長尺状の第2の吐出ノズルにより、第2のリンス液を供給する第2のリンス液供給工程と、
前記第2の吐出ノズルから前記基板に供給された前記第2のリンス液を、前記一の方向に沿って前記第1の吐出ノズルの後方を移動する長尺状の第2の吸引ノズルにより、吸引して除去する第2のリンス液除去工程と、
前記第2のリンス液が除去された前記基板に、前記一の方向に沿って前記第2の吐出ノズル及び前記第2の吸引ノズルの後方を移動する長尺状の第3の吐出ノズルにより、気体を供給して前記基板を乾燥させる乾燥工程と
を有する、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記リンス液除去工程において、
前記基板を回転させる際に、前記基板の略中心上を通るように設けられた長尺状の吐出ノズルにより前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記吐出ノズルの長尺方向を横切る方向に沿って前後に設けられた複数の長尺状の吸引ノズルにより、前記基板に供給された前記リンス液を吸引して除去する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項1から請求項13のいずれかに記載の基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
レジストパターンが形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部が保持した前記基板に、リンス液を供給するリンス液供給部と、
前記リンス液供給部から前記リンス液が供給された前記基板に、前記レジストパターンを疎水化する第1の処理液の蒸気を供給する蒸気供給部と、
前記蒸気供給部から供給された前記第1の処理液の蒸気を含む雰囲気で、前記リンス液が供給された前記基板から前記リンス液を除去するリンス液除去部と
を有する基板処理装置。
【請求項16】
前記リンス液除去部は、前記蒸気供給部により前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記リンス液を除去する、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記リンス液除去部は、前記基板を保持した前記基板保持部を回転させることにより、前記リンス液を振り切って除去する回転部である、請求項15又は請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記回転部は、前記蒸気供給部により前記基板の略中心上に前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記リンス液を除去する、請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記蒸気供給部を前記基板上で移動させる移動部を有し、
前記回転部は、前記蒸気供給部から前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を、前記移動部により前記基板上で中心側から周縁側に移動させながら、前記リンス液を除去する、請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記回転部は、前記蒸気供給部から前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を、前記リンス液が振り切られて移動する速度に対応する速度で移動させながら、前記リンス液を除去する、請求項19に記載の基板処理装置。
【請求項21】
前記基板に照射された照射光が前記基板の表面で反射された反射光の光量を検出する検出部を有し、
前記回転部は、前記検出部により検出した前記光量に基づいて、前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を移動させながら、前記リンス液を除去する、請求項19又は請求項20に記載の基板処理装置。
【請求項22】
前記リンス液供給部から前記リンス液が供給された前記基板に、前記リンス液よりも表面張力が小さい第2の処理液を供給する第2の処理液供給部を有し、
前記回転部は、前記第2の処理液を振り切って除去する、請求項17から請求項21のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項23】
前記蒸気供給部を前記基板上で移動させる移動部を有し、
前記回転部は、前記リンス液供給部により前記基板の略中心上に前記リンス液が供給されている状態で、前記蒸気供給部から前記基板に前記第1の処理液の蒸気を供給する位置を、前記移動部により前記基板上で周縁側から中心側に移動させながら、前記リンス液を振り切る、請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項24】
前記リンス液除去部は、前記基板から前記リンス液を吸引して除去する吸引部である、請求項15又は請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項25】
前記蒸気供給部は、前記基板上を一の方向に移動可能に設けられた長尺状の第1の吐出ノズルであり、
前記吸引部は、前記基板上を前記一の方向に沿って前記第1の吐出ノズルの前方を移動可能に設けられ、前記第1の吐出ノズルにより前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記リンス液を吸引して除去する、長尺状の第1の吸引ノズルである、請求項24に記載の基板処理装置。
【請求項26】
前記一の方向に沿って前記第1の吐出ノズルの後方を移動可能に設けられ、前記リンス液が除去された前記基板に第2のリンス液を供給する、長尺状の第2の吐出ノズルと、
前記一の方向に沿って前記第1の吐出ノズルの後方を移動可能に設けられ、前記第2の吐出ノズルから前記基板に供給された前記第2のリンス液を吸引して除去する、長尺状の第2の吸引ノズルと、
前記一の方向に沿って前記第2の吐出ノズル及び前記第2の吸引ノズルの後方を移動可能に設けられ、前記第2のリンス液が除去された前記基板に気体を供給して前記基板を乾燥させる、長尺状の第3の吐出ノズルと
を有する、請求項25に記載の基板処理装置。
【請求項27】
前記基板を保持した前記基板保持部を回転させる回転部を有し、
前記蒸気供給部は、前記基板の略中心上を通るように設けられた長尺状の吐出ノズルであり、
前記吸引部は、前記吐出ノズルの長尺方向を横切る方向に沿って前後に設けられ、前記基板を保持した前記基板保持部を前記回転部により回転させる際に、前記吐出ノズルにより前記第1の処理液の蒸気を供給しながら、前記基板に供給された前記リンス液を吸引して除去する、複数の長尺状の吸引ノズルである、請求項24に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−135002(P2011−135002A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295390(P2009−295390)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】