説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】液体中のナノバブルとマイクロバブルを短時間で分離して、ナノバブルを多く含む液体を基板に対して供給して使用することができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体Lを生成する微小気泡生成器32と、マイクロバブルMBとナノバブルNBを有する微小気泡を含む液体Lを溜める貯蔵部33と、貯蔵部33内の微小気泡を含む液体Lを加圧した状態で通す液体案内部50と、液体案内部50内を通る微小気泡を含む液体に対して電場を付与してマイクロバブルとナノバブルとを分離する電場付与部51とを有して、分離されたナノバブルNBを含む液体Lを基板Wに供給する微小気泡分離器40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関し、特に例えば液晶パネル基板や半導体基板の洗浄や表面改質等の処理に用いる基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、液晶パネル基板や半導体基板等の基板の製造工程では、基板に対して純水や薬液等の液体を供給して、例えば基板の洗浄等の処理を行い、基板の表面に付着したパーティクル等を除去する。
【0003】
基板を洗浄するために、特許文献1では、基板処理装置に対してマイクロバブル発生部を接続して、マイクロバブル発生部からマイクロバブルを含む純水を処理槽内の基板に供給することが提案されている。
【0004】
このマイクロバブル発生部の構造は、特許文献1の図9に記載されており、マイクロバブル発生部は、ケーシングの中に送水管と、この送水管を取り囲む送気路とを形成した構造になっている。送気路は窒素ガス供給部と真空ポンプに接続されており、送気路を流れる窒素ガスの圧力は、真空ポンプの作動により調整してケーシング内を加減圧できる。これにより、ケーシング内を減圧した場合には、送水管を流れる純水から余分な気体が過飽和となって析出し、その気体は中空子分離膜を通って送気路へ流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006―179765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されている技術ではマイクロバブルを用いている。ナノバブルの粒径に比べて大きな粒径のマイクロバブルは、基板に付着して基板の処理に必要な反応を抑制してしまうために、基板の処理には不要である。微小気泡を液体に含ませる工程では、ナノバブルを生成するとマイクロバブルも同時に液体中に存在してしまうため、ナノバブルとマイクロバブル(マイクロナノバブルも含む)とは可能な限り分離する必要がある。従来では、ナノバブルとマイクロバブルを分離するために、時間をかけてマイクロバブルが液体中で浮き上がって液体中から大気に放出されるのを待つ必要がある。
【0007】
このため、ナノバブルとマイクロバブルを分離するための待機時間が長く、基板の生産性に影響を及ぼすために、ナノバブルとマイクロバブルを短時間で分離して、好ましくはナノバブルを含む液体だけを基板に対して供給できることが望まれている。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体中のナノバブルとマイクロバブルを短時間で分離して、ナノバブルを多く含む液体を基板に対して供給して使用することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板処理装置は、基板に液体を供給して前記基板の処理をする基板処理装置であって、液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体を生成する微小気泡生成器と、マイクロバブルとナノバブルを有する前記微小気泡を含む液体を溜める貯蔵部と、前記貯蔵部内の前記微小気泡を含む液体を加圧した状態で通す液体案内部、前記液体案内部内を通る前記微小気泡を含む液体に対して電場を付与して前記マイクロバブルと前記ナノバブルとを分離する電場付与部を有して、分離された前記ナノバブルを含む液体を前記基板に供給する微小気泡分離器と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の基板処理方法は、基板に液体を供給して前記基板の処理をする基板処理方法であって、微小気泡生成器では、液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体を生成し、マイクロバブルとナノバブルを有する前記微小気泡を含む液体を貯蔵部に溜めて、前記貯蔵部内の前記微小気泡を含む液体を加圧した状態で液体案内部に通す際に前記微小気泡を含む液体に対して電場を付与して前記マイクロバブルと前記ナノバブルとを分離して、分離された前記ナノバブルを含む液体を前記基板に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体中のナノバブルとマイクロバブルを短時間で分離して、ナノバブルを多く含む液体を基板に対して供給して使用することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の基板処理装置の好ましい実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の処理ユニットの構成例を示す図である。
【図3】図2に示す微小気泡生成分離装置をさらに拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の基板処理装置の好ましい実施の形態を示している。
【0015】
図1に示す基板処理装置1は、カセットステーション2と、ロボット3と、複数の処理ユニット4,4を備えている。
【0016】
基板処理装置1は、枚葉式の基板処理を行う装置であり、カセットステーション2は、複数のカセット5,5を有しており、各カセット5は複数枚の基板Wを収容している。基板としては、例えば半導体ウェーハ基板である。
【0017】
ロボット3は、カセットステーション2と複数の処理ユニット4,4の間に配置されている。ロボット3は、各カセット5に収容されている基板Wを処理ユニット4側に搬送する。また、ロボット3は、処理ユニット4側の処理後の基板Wを、別のカセット5に搬送して戻す。各処理ユニット4は、基板Wを保持して回転させて、微小気泡を含む液体を供給することにより、例えば基板Wの表面を洗浄処理するのに用いられる。
【0018】
図2は、図1に示す基板処理装置1の処理ユニット4の構成例を示している。
【0019】
図2に示す枚葉式の処理ユニット4は、微小気泡生成分離装置10と、基板保持部11と、ノズル操作部12と、ダウンフロー用のフィルタ付きファン13と、カップ14と、ノズル15と、処理室16と、制御部20を有する。
【0020】
図2に示す基板保持部11は、円板のベース部材17と、回転軸18と、モータ19を有しており、ベース部材17の上には基板Wが着脱可能に固定される。処理室16内には、カップ14とノズル15とベース部材17とモータ19の回転軸18が収容されている。回転軸18の先端部にはベース部材17が固定されている。モータ19が制御部20の指令により動作することで、ベース部材17はR方向に連続回転することができる。
【0021】
図2に示すノズル15は基板Wの上部に配置されており、制御部20の指令により操作部12が動作すると、ノズル15はZ方向(上下方向)とX方向(基板Wの半径方向)に移動して、ナノバブルNBを含む液体Lを供給もしくは噴射可能である。
【0022】
図3は、図2に示す微小気泡生成分離装置10の構造を拡大して示している。
【0023】
図2と図3に示すように、微小気泡生成分離装置10は、気体供給部30と、液体供給部77と、レギュレータ31と、微小気泡生成器32と、液体貯蔵部33と、電動ポンプ34と、微小気泡分離器40とを備えている。
【0024】
図3に示すように、気体供給部30には、微小気泡を生成させるための気体、例えば窒素ガスが貯蔵されている。レギュレータ31の入口部は、気体供給部30に対して配管35を介して接続され、レギュレータ31の出口部は、微小気泡生成器32の入口部32Bに対して配管36を介して接続されている。このレギュレータ31は、制御部20の指令により気体供給部30内の気体を微小気泡生成器32内に供給する量を調整することができる。
【0025】
微小気泡生成器32には、液体供給部77が配管を介して直接接続され、しかも気体供給部30がレギュレータ31を介して接続されているので、微小気泡生成器32は、液体供給部77からの液体と気体供給部30からの気体を混合して、例えば液体Lと気体を旋回させることで液体中に微小気泡を混合して、微小気泡を含む液体Lを生成することができる旋回式の生成器である。
【0026】
微小気泡生成器32の出口部32Cは、配管37を介して液体貯蔵部33内の液体Lに、微小気泡を含む液体Lを供給して混合できるようになっている。なお、使用する液体Lは、例えば純水である。液体貯蔵部33は微小気泡を含む液体Lをいったん溜めておくためのバッファ容器である。
【0027】
図3に示す液体貯蔵部33の底部は、配管38と電動ポンプ34を介して微小気泡分離器40の入口部41に接続されている。これにより、電動ポンプ34が制御部20の指令により作動すると、液体貯蔵部33内の微小気泡を含む液体Lは、配管38を介して微小気泡分離器40の入口部41から微小気泡分離器40内に加圧して送液できるようになっている。
【0028】
図2と図3に示すように、微小気泡分離器40は、液体案内部50と、液体案内部50の周囲に配置される電場付与部51と、を有している。
【0029】
図3に示すように、液体案内部50は、例えば円筒状の容器であり電気絶縁性を有する材質、例えば樹脂やガラスあるいはセラミックスにより作られている。しかし、プラス電極55とマイナス電極56に対応する部分は、絶縁体ではなく導電体材質部分99を有している。
【0030】
ところで、プラス電極55とマイナス電極56に対応する部分はこの導電体材質部分99を用いずに、次のように構成することもできる。すなわち、導電体材質部分99では、導電体の平板のような板状部材が剥き出し状態になっていてプラス電極55とマイナス電極56が液体に触れている状態である。しかし、この導電体材質部分99に代えて、絶縁体の平板に均一に複数の孔を空けたり、または絶縁体の平板に不均一に複数の孔を空けることで、これらの孔に導電性材質部分を配置して、この孔に配置した導電性材質部分が液体に剥き出しになって、プラス電極55とマイナス電極56が液体に触れるように構成してもよい。
【0031】
液体案内部50は第1端面部52と第2端面部53と外周部54を有する。第1端面部52と第2端面部53は対面しており、第1端面部52の中央部には、上記入口部41が形成されており、配管38を介して電動ポンプ34が接続されている。
【0032】
電場付与部51は、プラス電極55とマイナス電極56を有している。プラス電極55とマイナス電極56は、液体案内部50の外周部54の外側に対向して配置され、プラス電極55とマイナス電極56は、電源部150に電気的に接続されている。制御部20が電源部150に指令して、電源部150がプラス電極55にプラスの電流を印加しマイナス電極56にマイナスの電流を印加することで、液体案内部50内に加圧して送液される微小気泡を含む液体Lに対して所定の直流電圧をかけることができる。プラス電極55とマイナス電極56は、液体案内部50の第1端面部52側から、液体案内部50の中心軸CLに沿って液体案内部50の外周部54の中間位置MCに至るまで配置されている。
【0033】
図3に示すように、液体案内部50の内部には、微小気泡分離部材60が、液体案内部50の軸方向CLに沿って配置されている。この微小気泡分離部材60は、微小気泡をその微小気泡の直径の大きさの差により分離するための分離板である。
【0034】
液体貯蔵部33内の微小気泡を含む液体Lには、マイクロバブルMBとナノバブルNBが共存している。すなわち、微小気泡生成器32が微小気泡を含む液体Lを生成する時には、微小気泡を含む液体Lは、微小気泡としてのマイクロバブルMBと微小気泡としてのナノバブルNBを含んでいる。液晶パネル基板や半導体基板をウェット工程で使用する場合には、ナノバブルNBの直径に比べて大きな直径のマイクロバブルMBが液晶パネル基板や半導体基板に付着して反応を抑制してしまうために、マイクロバブルMBは液晶パネル基板や半導体基板の処理には不要であるので、可能な限り取り除くことにしている。
【0035】
ここで、微小気泡は、マイクロバブル(MB)やマイクロナノバブル(MNB)、ナノバブル(NB)などの概念を含む微細気泡である。例えば、マイクロバブルは10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは数百nm以下の直径を有する気泡である。
【0036】
そこで、微小気泡を含む液体LからマイクロバブルMBだけを可能な限り分離除去して、ナノバブルNBを含む液体Lだけを、例えば基板Wに対して供給する必要がある。微小気泡分離器40は、例えば電気泳動作式ゼータ電位測定器で採用されているように液体中に電圧をかけることで、バブルの粒径の差による移動速度差を測定する原理を利用して、異なる直径を有するマイクロバブルMBとナノバブルNBの分離を行うものである。
【0037】
図3に示すように、液体案内部50内には、微小気泡分離部材60を設定することにより、第1室61と第2室62が形成されている。微小気泡分離部材60は、外周部54の中間位置MCから第2端面部53の内面まで、液体案内部50の中心軸CLに沿って配置されている。
【0038】
第1室61は、外周部54と第2端面部53と微小気泡分離部材60の上側の第1面60Bにより形成された半円柱状の空間である。同様にして、第2室62は、外周部54と第2端面部53と微小気泡分離部材60の下側の第2面60Cにより形成された半円柱状の空間である。上記マイナス電極56は、第1室61側に対応しており、プラス電極55は第2室62側に対応して配置されている。
【0039】
プラス電極55とマイナス電極56は、液体案内部50の第1端面部52側から、液体案内部50の中心軸CLに沿って液体案内部50の外周部54の中間位置MCに至るまで配置され、微小気泡分離部材60は、外周部54の中間位置MCから第2端面部53の内面まで、液体案内部50の中心軸CLに沿って配置されている。このため、電場付与部51によりマイクロバブルMBの移動速度とナノバブルNBの移動速度が変わるので、第1室61ではマイクロバブルMBを多く含む液体に分け、第2室62にはナノバブルNBを多く含む液体に分けることができる。つまり、本発明の実施形態では、液体中の多く含有されたナノバブル水を取り出すことができることが特徴である。
【0040】
第1室61側の第2端面部53の部分53Dには、出口部68が形成され、第2室62側の第2端面部53の部分53Fには、出口部69が形成されている。出口部68には、戻し配管70の一端部が接続され、出口部69には、供給用の配管71の一端部が接続されている。
【0041】
戻し配管70の他端部は、微小気泡生成器32の戻し口部32Dにフィードバックできるように接続されており、マイクロバブルMBを多く含む液体Lだけを微小気泡生成器32内に戻すことができるようになっている。供給用の配管71の他端部は、ノズル15に接続されており、ナノバブルNBを多く含む液体Lだけをノズル15に供給できるようになっている。
【0042】
次に、図2と図3を参照して、上述した基板処理装置1の処理ユニット4による基板処理方法について説明する。
【0043】
図2と図3に示す気体供給部30内の気体は、配管35とレギュレータ31と配管36を通じて微小気泡生成器32の入口部32Bから微小気泡生成器32内に供給される。気体は、微小気泡生成器32内で液体供給部77から供給される液体Lとともに旋回することで混合される。混合された液体と気体はさらに旋回速度を増加させ、旋回速度の変化により生じたせん断力で微小気泡を生成する。生成された微小気泡を含む液体は、配管37を介して液体貯蔵部33内に供給されて溜まる。
【0044】
図3に示すように、液体貯蔵部33内では、微小気泡を含む液体Lが貯蔵されることになるが、この微小気泡は異なる直径を有するマイクロバブルMBとナノバブルNBの両方を含んでいる。マイクロバブルMBとナノバブルNBを含む液体Lには、マイクロナノバブル水も含む。このようにマイクロバブルMBとマイクロナノバブルとナノバブルNBを含む液体Lは、制御部20の指令により電動ポンプ34を作動することで配管38を通じて、微小気泡分離器40の入口部41から微小気泡分離器40の液体案内部50内に加圧して送液される。これにより、微小気泡を含む液体Lを液体案内部50内に確実に送液して、ナノバブルNBを含む液体Lを基板Wに確実に供給して、マイクロバブルMBを含む液体Lを微小気泡生成器32に確実に戻して再利用できる。
【0045】
図3に示す制御部20がプラス電極55とマイナス電極56に通電されているので、液体案内部50内のマイクロバブルMBとナノバブルNBを含む液体Lには電場が付与されており、マイクロバブルMBとナノバブルNBはマイナス電位を保持している。マイクロバブルMBとナノバブルNBを含む液体Lは、電動ポンプ34により液体案内部50内で加圧してS方向に向けて送液される。この加圧送液の道中には電場をかけていることにより、マイナス電位を持ったマイクロバブルMBとナノバブルNBはプラス電極55側に吸引されようとする。
【0046】
しかし、マイクロバブルMBの粒径がナノバブルNBの粒径に比べてかなりの差があることから、マイクロバブルMBがプラス電極55側に移動しようとする移動速度V1と、ナノバブルNBがプラス電極56側に移動しようとする移動速度V2との間に移動速度差(V2−V1)が生じる。このマイクロバブルMBの移動速度とナノバブルNBの移動速度との差を利用して、微小気泡分離部材60は、移動速度の速いナノバブルNBと移動速度の遅いマイクロバブルMBを分離させることができる。このため、第1室61ではマイクロバブルMBを多く含む液体に分け、第2室62にはナノバブルNBを多く含む液体に分けることができる。つまり、本発明の実施形態では、液体中の多く含有されたナノバブル水を取り出すことができる。
【0047】
これにより、図3に示すように、移動速度の速いナノバブルNBを多く含む液体Lは、プラス電極55側の第2室62に移動して、第2室62から供給用の配管71を通じてノズル15に送られてノズル15から基板Wに対して供給もしくは噴射されるので、基板Wの表面はマイクロバブルMBを含んだ液体を用いるのに比べて効率良く洗浄処理できる。
【0048】
これに対して、マイクロバブルMBを多く含む液体Lは、マイナス電極56側の第1室61に移動して、第1室61から戻し配管70を通じて微小気泡生成器32の戻し口部32Dに戻されて再利用される。これにより、気体供給部30からの気体は、この戻されたマイクロバブルMBを含む液体Lに対して混合されてマイクロバブルMBを破壊してナノバブルNBを生成してナノバブルNBの数を増やしながら、配管37を介して液体貯蔵部33内の液体L内に供給される。このため、液体貯蔵部33内の液体LにはマイクロバブルMBとナノバブルNBが混合された状態を維持することができる。そして、マイクロバブルMBとナノバブルNBを含む液体Lは、電動ポンプ34により再び液体案内部50内で加圧した状態で送液をして、この加圧送液の道中に電場を付与ことにより、マイナス電位を持ったマイクロバブルMBとナノバブルNBの粒径の差により生じる移動速度の差を利用して、微小気泡分離部材60で分けることで、第1室61ではマイクロバブルMBを多く含む液体に分け、第2室62にはナノバブルNBを多く含む液体に分けることができる。図3に示すように、ナノバブルNBを含む液体Lは、第2室62から供給用の配管71を通じてノズル15に送られてノズル15から基板Wに対して供給もしくは噴射されるので、基板Wの表面を効率良く洗浄処理できる。
【0049】
すでに述べたように、ナノバブルの粒径に比べて大きな粒径のマイクロバブルは、基板に付着して基板の処理に必要な反応を抑制してしまうために、基板の処理作業には不要である。そこで、マイクロバブルMBとナノバブルNBを含む液体LからマイクロバブルMBだけを可能な限り分離して、基板Wに対して供給しようとする液体LにはナノバブルNBだけを含ませるようにする。
【0050】
従って、マイクロバブルとナノバブルの両方を含む液体Lから第1室61ではマイクロバブルMBを多く含む液体に分け、第2室62にはナノバブルNBを多く含む液体に分けて、ナノバブルNBを多く含む液体Lを基板Wに供給または噴射することで、マイクロバブルMBによる基板に必要な反応抑制を極力防止することができるとともに、ナノバブルNBによる基板Wの洗浄効果を上げることができる。ナノバブルNBは、マイクロバブルMBに比べて基板Wの表面において基板Wの表面の汚れと結びやすいので、洗浄効果が上がる。このため、基板の例えば洗浄作業が効率よく行え、基板の製造時の生産性を向上できる。
【0051】
本発明の基板処理装置は、基板に液体を供給して基板の処理をする基板処理装置であって、液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体を生成する微小気泡生成器と、マイクロバブルとナノバブルを有する微小気泡を含む液体を溜める貯蔵部と、貯蔵部内の微小気泡を含む液体を加圧した状態で通す液体案内部、液体案内部内を通る微小気泡を含む液体に対して電場を付与してマイクロバブルとナノバブルとを分離する電場付与部を有して、分離されたナノバブルを含む液体を基板に供給する微小気泡分離器と、を備えることを特徴とする。これにより、液体中のナノバブルとマイクロバブルを短時間で分離して、ナノバブルを多く含む液体を基板に対して供給して使用することができる。
【0052】
本発明の基板処理装置では、液体案内部内は、マイクロバブルを多く含む液体を通す第1室と、ナノバブルを多く含む液体を通す第2室とに分けて形成されている。これにより、マイクロバブルとナノバブルは、移動速度の差で分離された後に第1室ではマイクロバブルを多く含む液体に分け、第2室にはナノバブルを多く含む液体に分けることができる。
【0053】
本発明の基板処理装置では、マイクロバブルを多く含む液体を微小気泡生成器に戻すための配管が、第1室と微小気泡生成器を接続している。これにより、マイクロバブルを多く含む液体を微小気泡生成器に戻して再利用しながら、マイクロバブルを破壊して小さくすることができ、マイクロバブルの数を減少できる。
【0054】
本発明の基板処理装置では、微小気泡を含む液体を加圧して液体案内部内に送液するポンプを備える。これにより、微小気泡を含む液体を液体案内部内に確実に送液して、ナノバブルを含む液体を基板に確実に供給し、マイクロバブルを含む液体を微小気泡生成器に確実に戻して再利用できる。
【0055】
本発明の基板処理方法は、基板に液体を供給して基板の処理をする基板処理方法であって、微小気泡生成器では、液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体を生成し、マイクロバブルとナノバブルを有する微小気泡を含む液体を貯蔵部に溜めて、貯蔵部内の微小気泡を含む液体を加圧した状態で液体案内部に通す際に微小気泡を含む液体に対して電場を付与してマイクロバブルとナノバブルとを分離して、分離されたナノバブルを含む液体を基板に供給する。これにより、液体中のナノバブルとマイクロバブルを短時間で分離して、ナノバブルを多く含む液体を基板に対して供給して使用することができる。
【0056】
本発明は上記実施の形態に限定されない。気体としては、窒素ガスに代えてオゾンガスや空気を用いることもできる。液体としては、純水の他に酸性液やアルカリ液を用いることができる。基板としては、例えば半導体ウェーハ基板の他に例えば液晶パネル基板等であっても良い。
【0057】
微小気泡生成器32は、上述した旋回式の生成器の他に、多孔質フィルタに気体を通すことで微小気泡を液体内に含ませるフィルタ式の生成器であっても良い。
【0058】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 基板処理装置
4 処理ユニット
10 微小気泡生成分離装置
11 基板保持部
15 ノズル
20 制御部
30 気体供給部
31 レギュレータ
32 微小気泡生成器
33 液体貯蔵部(貯蔵部の一例)
34 電動ポンプ
35,37,38 配管
40 微小気泡分離器
50 液体案内部
51 電場付与部
52 第1端面部
53 第2端面部
54 外周部
55 プラス電極
56 マイナス電極
60 微小気泡分離部材
61 第1室
62 第2室
70 戻し配管
71 供給用の配管
MB マイクロバブル(微小気泡の一例)
NB ナノバブル(微小気泡の一例)
L 微小気泡を含む液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に液体を供給して前記基板の処理をする基板処理装置であって、
液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体を生成する微小気泡生成器と、
マイクロバブルとナノバブルを有する前記微小気泡を含む液体を溜める貯蔵部と、
前記貯蔵部内の前記微小気泡を含む液体を加圧した状態で通す液体案内部、前記液体案内部内を通る前記微小気泡を含む液体に対して電場を付与して前記マイクロバブルと前記ナノバブルとを分離する電場付与部を有して、分離された前記ナノバブルを含む液体を前記基板に供給する微小気泡分離器と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記液体案内部内は、前記マイクロバブルを多く含む液体を通す第1室と、前記ナノバブルを多く含む液体を通す第2室とに分けて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記マイクロバブルを含む液体を前記微小気泡生成器に戻すための配管が、前記第1室と前記微小気泡生成器を接続していることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記微小気泡を含む液体を加圧して前記液体案内部内に送液するポンプを備えることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板に液体を供給して前記基板の処理をする基板処理方法であって、
微小気泡生成器では、液体と気体を混合させて微小気泡を含む液体を生成し、
マイクロバブルとナノバブルを有する前記微小気泡を含む液体を貯蔵部に溜めて、
前記貯蔵部内の前記微小気泡を含む液体を加圧した状態で液体案内部に通す際に前記微小気泡を含む液体に対して電場を付与して前記マイクロバブルと前記ナノバブルとを分離して、分離された前記ナノバブルを含む液体を前記基板に供給することを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−192549(P2010−192549A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33382(P2009−33382)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】