説明

基板洗浄装置

【課題】洗浄処理時に外方に飛散する洗浄液によるミストの発生を抑制し、基板への再付着の防止を図れるようにした基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】半導体ウエハWを水平に保持し、鉛直軸回りに回転するスピンチャック20と、鉛直軸回りに回転可能な洗浄部材30と、洗浄部材を鉛直軸回りに回転するサーボモータ39と、洗浄部材をウエハの被洗浄面に沿って移動させる移動機構63と、を具備する基板洗浄装置において、洗浄部材は、ベース部32にスポンジ状の洗浄基部31を接合してなり、ベース部及び洗浄基部の中心部に、洗浄液供給源に接続する吐出口33を設け、洗浄基部の表面に、基端が洗浄液吐出口に連通すると共に、先端が洗浄部材の外周縁部手前まで延びる複数の連通溝35を設け、ベース部における連通溝が位置する部位に、連通溝と連通する排出孔36を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハやFPD(フラットパネルディスプレー)基板等の基板面に付着するパーティクルを洗浄除去する基板洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造においては、例えば半導体ウエハやFPD基板等(以下にウエハ等という)の上に電極パターンを形成するために、フォトリソグラフィ技術が利用されている。このフォトリソグラフィ技術においては、スピンコーティング法によりウエハ等にフォトレジスト液を塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に回路パターンが形成されている。
【0003】
また、半導体デバイスの製造工程においては、ウエハ等を清浄な状態におくことが極めて重要である。このため、各々の処理プロセスの前後においては、必要に応じてウエハ等に付着するパーティクルを洗浄除去する洗浄装置が設けられている。
【0004】
従来、ウエハを水平に保持し、鉛直軸回りに回転するスピンチャックと、スピンチャックの外側を囲むカップと、鉛直軸回りに回転可能な洗浄部材と、洗浄部材を回転する回転機構と、洗浄部材をウエハの被洗浄面に沿って移動させる移動機構と、を具備する基板洗浄装置が使用されている。
【0005】
また、この種の基板洗浄装置において、洗浄部材として、例えばPVA(ポリビニルアルコール)製スポンジを使用し、このスポンジの洗浄面に、中心から側方に開口する溝状凹部を設け、各溝状凹部の中心部に洗浄液吐出口を連通した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このように各溝状凹部の中心部に洗浄液吐出口を連通することにより、洗浄部材の中央部に常に新しい洗浄液が供給される。
【特許文献1】特許第3059641号公報(段落0027、図5,図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、洗浄部材の洗浄面に外周に開口する溝状凹部を設けるため、洗浄処理中に溝状凹部から排出された洗浄液が外周側に飛散し、カップに当たった一部の液が跳ね返ってミストが生じ、そのミストがウエハ表面に再付着するという問題があった。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、洗浄処理時に外方に飛散する洗浄液によるミストの発生を抑制し、基板への再付着の防止を図れるようにした基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の基板洗浄装置は、被処理基板を水平に保持し、鉛直軸回りに回転する保持手段と、鉛直軸回りに回転可能な洗浄部材と、上記洗浄部材を回転させる回転機構と、上記洗浄部材を上記被処理基板の被洗浄面に沿って移動させる移動機構と、を具備する基板洗浄装置において、上記洗浄部材は、ベース部にスポンジ状の洗浄基部を接合してなり、上記ベース部及び洗浄基部の中心部に、洗浄液供給源に接続する洗浄液吐出口を設け、上記洗浄基部に、基端が上記洗浄液吐出口に連通すると共に、先端が洗浄部材の外周縁部手前まで延びる複数の連通溝を設け、上記ベース部における上記連通溝が位置する部位に、連通溝と連通する排出孔を設けた、ことを特徴とする(請求項1)。この場合、上記洗浄基部の中心部に、ベース部の洗浄液吐出口より大径に形成され、洗浄液吐出口及び各連通溝に連通するバッファ用連通孔を更に設ける方が好ましい(請求項2)。
【0009】
このように構成することにより、被処理基板の被洗浄面と洗浄部材の洗浄面とを近接させた状態で、鉛直軸回りに回転する洗浄部材の中心部の洗浄液吐出口から吐出される洗浄液によって置換される清浄な液膜を形成して洗浄処理を行うことができ、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を連通溝及び排出孔から洗浄裏面側に排出することができる。また、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を洗浄部材の外周側(周縁側)から排出せずに洗浄裏面側に排出するので、洗浄部材の回転数を高く設定することが可能となる。この場合、洗浄基部の中心部に、ベース部の洗浄液吐出口より大径に形成され、洗浄液吐出口及び各連通溝に連通するバッファ用連通孔を設けることにより、洗浄液吐出口から吐出(供給)される洗浄液を各連通溝に均等かつ円滑に流すことができる(請求項2)。
【0010】
この発明において、上記連通溝及び排出孔のうちの少なくとも連通溝は、洗浄部材の回転方向に沿って洗浄表面側から洗浄裏面側に向かう傾斜面を有する方が好ましい(請求項3)。
【0011】
このように構成することにより、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を洗浄部材の回転に伴って速やかに排出することができる。
【0012】
また、この発明において、上記洗浄基部の洗浄表面の同心円上に、隣接する連通溝に連通する1又は複数の誘導溝を設けてもよい(請求項4)。
【0013】
このように構成することにより、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を誘導溝により連通溝及び排出孔に積極的に誘導して排出することができる。
【0014】
また、この発明において、上記各排出孔に連通する排液管と、この排液管に介設される吸引手段と、を更に具備する構成としてもよい(請求項5)。
【0015】
このように構成することにより、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供した洗浄液を効率良く排出することができる。また、吸引手段により積極的に排出することができるので、洗浄部材の回転数の調整及び洗浄液の供給量の調整が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような顕著な効果が得られる。
【0017】
(1)請求項1記載の発明によれば、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を連通溝及び排出孔から洗浄裏面側に排出することができるので、洗浄処理時に外方に飛散する洗浄液によるミストの発生を抑制し、基板への再付着の防止することができる。また、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を洗浄部材の外周側(周縁側)から排出せずに洗浄裏面側に排出することにより、洗浄部材の回転数を高く設定することができるので、洗浄効率の向上を図ることができる。この場合、洗浄基部の中心部に、ベース部の洗浄液吐出口より大径に形成され、洗浄液吐出口及び各連通溝に連通するバッファ用連通孔を設けることにより、洗浄液吐出口から吐出(供給)される洗浄液を各連通溝に均等かつ円滑に流すことができるので、常に清浄な洗浄液を供給することができる(請求項2)。
【0018】
(2)請求項3記載の発明によれば、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を洗浄部材の回転に伴って速やかに排出することができるので、上記(1)に加えて更に洗浄効率の向上を図ることができる。
【0019】
(3)請求項4記載の発明によれば、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を誘導溝により連通溝及び排出孔に積極的に誘導して排出することができるので、上記(1),(2)に加えて更に洗浄効率の向上を図ることができる。
【0020】
(4)請求項5記載の発明によれば、各排出孔に連通する排液管に吸引手段を接続することにより、洗浄部材によって除去されたパーティクル及び洗浄に供した洗浄液を効率良く排出することができるので、上記(1)〜(3)に加えて更にミストの発生を抑制し、基板への再付着の防止することができる。また、吸引手段により積極的に排出することにより、洗浄部材の回転数の調整及び洗浄液の供給量の調整が可能となるので、最適な状態で洗浄処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る基板洗浄装置を半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムの出口付近に設置し、レジスト膜の形成されたウエハの裏面を洗浄してから後続の露光装置へ向けて送り出す場合について説明する。
【0022】
図1は、レジスト塗布・現像処理システムの概略平面図、図2は、レジスト塗布・現像処理システムの概略斜視図、図3は、レジスト塗布・現像処理システムの概略縦断面図である。
【0023】
レジスト塗布・現像処理システムにはキャリアブロックS1が設けられており、その載置台101上に載置された密閉型のキャリア100から受け渡しアームCがウエハWを取り出して処理ブロックS2に受け渡し、処理ブロックS2から受け渡しアームCが処理済みのウエハWを受け取ってキャリア100に戻すように構成されている。
【0024】
この発明に係る基板洗浄装置1(以下に洗浄装置1という)は、処理ブロックS2から露光装置S4へとウエハWを受け渡す際、すなわち、図1に示すようにインターフェイスブロックS3の入口部にて処理対象となるウエハWの裏面洗浄を行うように構成されている。
【0025】
処理ブロックS2は、図2に示すように、この例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト膜の塗布を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成を行うための第4のブロック(TCT層)B4を、下から順に積層して構成されている。
【0026】
第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、各々反射防止膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する塗布ユニットと、この塗布ユニットにて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理ユニット群と、前記塗布ユニットと処理ユニット群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行う搬送アームA2,A4と、で構成されている。第3のブロック(COT層)B3についても処理液がレジスト液であることを除けば同様の構成である。
【0027】
一方、第1のブロック(DEV層)B1については図3に示すように一つのDEV層B1内に現像ユニット110が2段に積層されている。そして、DEV層B1内には、これら2段の現像ユニット110にウエハWを搬送するための搬送アームA1が設けられている。つまり、2段の現像ユニットに対して搬送アームA1が共通化された構成となっている。
【0028】
更に、処理ブロックS2には、図1及び図3に示すように、棚ユニットU5が設けられ、キャリアブロックS1からのウエハWは棚ユニットU5の一つの受け渡しユニット、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しユニットCPL2に、棚ユニットU5の近傍に設けられた昇降自在な第1の受け渡しアームD1によって順次搬送される。次いで、ウエハWは第2のブロック(BCT層)B2内の搬送アームA2により、この受け渡しユニットCPL2から各ユニット(反射防止膜ユニット及び加熱・冷却系の処理ユニット群)に搬送され、これらユニットにて反射防止膜が形成される。
【0029】
その後、ウエハWは棚ユニットU5の受け渡しユニットBF2、棚ユニットU5の近傍に設けられた昇降自在な第1の受け渡しアームD1、棚ユニットU5の受け渡しユニットCPL3及び搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、レジスト膜が形成される。更に、ウエハWは、搬送アームA3→棚ユニットU5の受け渡しユニットBF3に受け渡される。なお、レジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロック(TCT層)B4にて更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しユニットCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、反射防止膜の形成された後、搬送アームA4により受け渡しユニットTRS4に受け渡される。
【0030】
一方、DEV層B1内の上部には、棚ユニットU5に設けられた受け渡しユニットCPL11から棚ユニットU6に設けられた受け渡しユニットCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームEが設けられている。レジスト膜や更に反射防止膜の形成されたウエハWは、受け渡しアームD1を介して受け渡しユニットBF3,TRS4から受け取り受け渡しユニットCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームEにより棚ユニットU6の受け渡しユニットCPL12に直接搬送される。ここで、図1に示すように棚ユニットU6と洗浄装置1との間に設置された搬送手段である受け渡しアームD2は、回転,進退及び昇降自在に構成され、洗浄前後のウエハWを夫々専門に搬送する例えば2つのアームを備えている。ウエハWは、受け渡しアームD2の洗浄前専用のアームによって受け渡しユニットTRS12から取り出され、この発明に係る洗浄装置1内に搬入されて裏面洗浄を受ける。洗浄を終えたウエハWは受け渡しアームD2の洗浄後専用のアームで受け渡しユニットTRS13に載置された後、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。なお、図3中のCPLが付されている受け渡しユニットは温調用の冷却ユニットを兼ねており、BFが付されている受け渡しユニットは複数枚のウエハWを載置可能なバッファユニットを兼ねている。
【0031】
次いで、インターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われた後、棚ユニットU6の受け渡しユニットTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。次いで、ウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行われ、搬送アームA1により棚ユニットU5の受け渡しユニットTRSに受け渡される。その後、第1の受け渡しアームD1により棚ユニットU5における受け渡しアームCのアクセス範囲の受け渡しユニットに搬送され、受け渡しアームC介してキャリアに戻される。なお図1においてU1〜U4は各々加熱部と冷却部とを積層した熱系ユニット群である。
【0032】
次に、この発明に係る洗浄装置1について、図4ないし図18を参照して詳細に説明する。
【0033】
<第1実施形態>
図4は、洗浄装置1の斜視図(a)及び(a)のI部拡大斜視図(b)、図5は、洗浄装置1の平面図、図6は、洗浄装置1の縦断面図である。
【0034】
洗浄装置1は、レジスト塗布・現像処理システム内の上記第2の受け渡しアームD2から受け取ったウエハWを略水平に吸着保持する第1の基板保持手段としての吸着パッド10と、この吸着パッド10からウエハWを受け取って同じく略水平に吸着保持する第2の基板保持手段としての役割を果たすスピンチャック20と、ウエハWの裏面を洗浄する洗浄部材30と、を上面の開口したボックス状のアンダーカップ40に取り付けた構造となっている。
【0035】
吸着パッド10は、図4に示すように、洗浄装置1内に2つ備えられており、各々の吸着パッド10は例えば細長いブロックから構成されている。2つの吸着パッド10は、ウエハWの裏面の周縁部近傍部(第1の領域)を略平行に支えて保持できるように配置されている。吸着パッド10は、図示しない吸引管と接続されており、図5に示した吸着孔11を介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。図4に示すように、それぞれの吸着パッド10は細長い棒状のパッド支持部12の略中央部に取り付けられており、これら2本のパッド支持部12の両端部が夫々2本の桁部13に取り付けられることによってパッド支持部12と桁部13とからなる井桁14が構成されている。
【0036】
2本の桁部13の両端は、アンダーカップ40の対向する2側壁(図1に向かって手前側と奥側との側壁)の外側にこれらの側壁に沿って張設された2本のタイミングベルト15に夫々固定されている。夫々のタイミングベルト15は、2個1組からなるプーリ16に巻き掛けられており、各プーリ16は上述の2側壁と各々平行に設置された2枚の側板17に取り付けられている。プーリ16の一つは移動手段をなす移動機構19に連結されており、プーリ16やタイミングベルト15を介して桁部13を動かして、井桁14全体を図4,図5に示したX方向に自在に移動させることができるように構成されている。
【0037】
また、図4に示すように夫々の側板17は、その底面を昇降部18aと、昇降部18aを昇降するシリンダ部18bとからなる2組の昇降機構18によって支えられ、洗浄装置1の図示しない筐体床面に固定されている。これらの昇降機構18の1つには図示しない駆動機構が設けられており、昇降部18aをシリンダ部18b内で昇降させることにより、井桁14全体を図中のZ方向に昇降させることができるように構成されている。
【0038】
また、井桁14上には、洗浄液の飛散を抑えるためのドーナツ状のアッパーカップ41が跨設されている。アッパーカップ41の上面には、ウエハWより大口径の開口部42を設けてあり、この開口部42を介して搬送手段と吸着パッド10等との間でのウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。なお、井桁14上に跨設されたアッパーカップ41は、図6に示すように、井桁14の動きに伴ってX方向とZ方向とに移動するように構成されている。
【0039】
上記スピンチャック20は、ウエハWの裏面中央部(第2の領域)を下方から支持する円板である。スピンチャック20は略平行に配置された2つの吸着パッド10の中間に設置されており、夫々の基板保持手段(吸着パッド10、スピンチャック20)により支えられているウエハW裏面の第1の領域と第2の領域とは重ならないようになっている。図6に示すように、スピンチャック20は軸部21を介して駆動機構例えばスピンチャックモータ22に連結されており、スピンチャック20はこのスピンチャックモータ22によって回転及び昇降自在に構成されている。また、吸着パッド10と同様にスピンチャック20も図示しない吸引管と接続されており、図5に示した吸着孔11を介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。
【0040】
スピンチャック20の側方には、昇降機構23に連結された支持ピン24がウエハWの裏面を支持して昇降可能なように設けられており、外部の搬送手段との協働作用によって搬送手段から吸着パッド10へ、またスピンチャック20から搬送手段へとウエハWを受け渡しできる。
【0041】
更に、図4に示すように、スピンチャック20や支持ピン24の周囲には、これらの機器を取り囲む囲み部材をなすエアナイフ25が設置されている。エアナイフ25は、円筒(囲み部材)の上端に周方向に沿って気体の噴射口26が形成されており、この噴射口26からウエハW裏面へ向けて例えば圧縮エア等の気体を吹き出すことにより洗浄液を円筒の外側へ吹き飛ばして、スピンチャック20へとウエハWが受け渡される際に、スピンチャック20の表面とこのスピンチャック20で支えられる基板の裏面(第2の領域)とを互いに乾燥した状態で接触させるようにする乾燥手段としての役割を果たす。図17に示すように、エアナイフ25は例えば二重円筒より構成され、図示しない供給部から供給された気体をこの二重円筒間の中空部を介して噴射口26に供給できるようになっている。
【0042】
次に、ウエハWの裏面洗浄を行う洗浄部材30について、図7ないし図12を参照して説明する。洗浄部材30は例えばPVA(ポリビニルアルコール)製スポンジにて形成される円板状の洗浄基部31と、洗浄基部31の下面に接合される例えばプラスチック製の円板状のベース部32とで形成されており、ベース部32及び洗浄基部31の中心部に、洗浄液供給源50に接続する洗浄液吐出口33(以下に吐出口33という)を設が設けられている。
【0043】
この場合、洗浄基部31の吐出口は、ベース部32の吐出口33より大径に形成されている。また、洗浄基部31の外周部に、基端が連通孔34に連通すると共に、先端が洗浄部材30の外周縁部手前まで延びる複数(図面では4個の場合を示す)の連通溝35が設けられている。
【0044】
また、ベース部32における連通溝35が位置する部位に、各連通溝35と夫々連通する複数(4個)の長孔状の排出孔36が設けられている。また、ベース部32の中心部下面には、吐出口33に連通すると共に、洗浄液供給管51を介して洗浄液供給源50に接続する取付部37が設けられている。なお、取付部37の外周には雄ねじ37aが刻設されており、カプラ37bを介して連通路38aを有する支持軸38が取付部37に連結されている。また、支持軸38の下端は回転機構であるサーボモータ39に連結されており、サーボモータ39の駆動によって洗浄部材30が鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0045】
また洗浄部材30は、これを支える支持部材60の先端に取り付けられており、支持部材60はウエハWや桁部13と干渉しないように、クランク状に屈曲した形状となっている。この支持部材60の基端は、図4においてスピンチャック20の設置されている方向から洗浄部材30を見て奥側の側壁に沿って張設されたタイミングベルト61に固定されている。タイミングベルト61は2つのプーリ62に巻き掛けられており、これらのプーリ62は上述の奥側の側壁外面に取り付けられている。プーリ62の一方は移動機構63に連結されており、タイミングベルト61や支持部材60を介して洗浄部材30を図4,図5に示したY方向に自在に移動させることができる。
【0046】
なお、洗浄液供給管51には洗浄液供給源50側から洗浄部材30側に向かって開閉弁52と流量調整弁53が介設されている。流量調整弁53とサーボモータ39は図示しない制御手段であるコントローラに電気手に接続されており、コントローラからの制御信号に基づいて洗浄液の流量及び洗浄部材30の回転数が制御されるようになっている。
【0047】
上記のように構成される洗浄部材30は、その上端の洗浄面をウエハWの下面に近接した状態でサーボモータ39の駆動によって鉛直軸回りに回転すると同時に、洗浄液供給源50から供給される洗浄液を吐出口33から吐出(供給)し、スピンチャック20の駆動によって水平回転するウエハWとの間に洗浄液の液膜を形成した状態で摺動させることにより、ウエハW下面のパーティクルを除去できる。このとき、図16に示すように、ウエハWの下面(被洗浄面)と洗浄部材30の上面(洗浄面)との間に形成された液膜Fのうち、洗浄に供された洗浄液は連通溝35を介して下方に開口する排出孔36から下方に排出される。したがって、洗浄に供された洗浄液はアッパーカップ41に当って飛散してミストが生じるのを抑制することができる。
【0048】
なお、図10に示すように、連通溝35及び排出孔36のうちの少なくとも連通溝35に、洗浄部材30の回転方向に沿って洗浄表面側から洗浄裏面側に向かう傾斜面35aを設ける構造としてもよい。具体的には、図10(a)に示すように、連通溝35及び排出孔36に、洗浄部材30の回転方向Rに沿って洗浄表面側から洗浄裏面側に向かう傾斜面35aを設けるか、あるいは、図10(b)に示すように、連通溝35に、洗浄部材30の回転方向Rに沿って洗浄表面側から洗浄裏面側に向かう傾斜面35aを設け、排出孔36を傾斜状の連通溝35の下端開口部35bに連通する垂直状に形成してもよい。
【0049】
上記のように、連通溝35及び排出孔36のうちの少なくとも連通溝35に、洗浄部材30の回転方向に沿って洗浄表面側から洗浄裏面側に向かう傾斜面35aを設けることにより、洗浄部材30によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を洗浄部材30の回転に伴って速やかに排出することができる。
【0050】
また、図11及び図12に示すように、洗浄部材30の洗浄基部31の洗浄表面の同心円上に、隣接する連通溝35に連通する誘導溝35cを設ける構造としてもよい。図面では誘導溝35cが2本設けられているが、1本あるいは3本以上であってもよい。
【0051】
このように構成することにより、洗浄部材30によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を誘導溝35cにより連通溝35及び排出孔36に積極的に誘導して排出することができる。
【0052】
この他、図6に示すように、アンダーカップ40の底部には、アンダーカップ40内に溜まった洗浄液を排出するためのドレイン管43と、洗浄装置1内の気流を排気するための2つの排気管44とが設けられている。排気管44はアンダーカップ40底部に溜まった洗浄液が排気管44へ流れ込むのを防ぐため、アンダーカップ40の底面から上方へと延伸されていると共に、上方から滴り落ちてきた洗浄液が排気管44に直接入らないように、エアナイフ25の周囲に取り付けられたリング状のカバーをなすインナーカップ45によって覆われている。
【0053】
なお、アッパーカップ41の開口部42の上方には、ウエハWの洗浄終了後にウエハW外周縁近傍に上方から圧縮エア等を吹き付けて残存する洗浄液の乾燥を補助するためのブローノズル46が配設されている。このブローノズル46は、図示しない昇降機構を備え、ウエハWの搬入出時には搬送中のウエハWや搬送手段と干渉しないように上方へ退避するようになっている。また、アッパーカップ41の内方側には、洗浄部材30からの洗浄液の供給と共に洗浄液をウエハW裏面に供給するための洗浄液ノズル47が設けられている。
【0054】
また、各タイミングベルト15,61の張設されていないアンダーカップ40側壁には、UVランプ48を納めたランプボックス49が取り付けられている。処理対象のウエハWは、左X方向より洗浄装置1内に搬入出され、その際UVランプ48の上方を通過するように構成されている。UVランプ48は、洗浄を終えて搬出されるウエハWの裏面に紫外光を照射して、ウエハW裏面に残存しているパーティクルを収縮させる役割を果たす。
【0055】
また、図5に示すように各移動機構19,63や、UVランプ48、排気管44に設けられた図示しない圧力調整部等は、塗布、現像装置全体の動作を制御する制御手段であるコントローラ70により制御されるようになっている。コントローラ70は、例えば図示しないプログラム格納部を有するコンピュータからなり、プログラム格納部には外部の搬送装置から受け取ったウエハWを吸着パッド10とスピンチャック20との間で受け渡したり、ブラシ5により洗浄したりする動作等についてのステップ(命令)群を備えたコンピュータプログラムが格納されている。そして、当該コンピュータプログラムがコントローラ70に読み出されることにより、コントローラ70は洗浄装置1の動作を制御する。なお、このコンピュータプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶手段に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0056】
以上に説明した構成に基づいて、ウエハWの裏面を洗浄する動作について図14〜図18を参照しながら説明する。図14及び図15は、ウエハWの裏面洗浄に係わる洗浄装置1の各動作を説明するための概略縦断面図である。図16は、洗浄部材30の洗浄状態を示す概略断面図、図17は、洗浄時のウエハW下面の状態を示す概略断面図である。また図18は、吸着パッド10又はスピンチャック20に保持されている夫々の状態において、ウエハWの洗浄される領域を模式的に示した概略平面図である。なお、これらの図においては、図示の便宜上UVランプ48やブローノズル46等の記載を必要に応じて適宜省略している。
【0057】
図14(a)に示すように、例えば馬蹄形状の搬送手段(第2の受け渡しアームD2)は処理対象ウエハWを洗浄装置1内に搬入してアッパーカップ41の開口部42上方で停止し、支持ピン24はスピンチャック20の下方から上昇して搬送手段の下方にて待機する。搬送手段は支持ピン24の上方から下降してウエハWを支持ピン24へと引き渡し、洗浄装置1の外へと退出する。このとき、吸着パッド10はウエハWを保持する面が洗浄部材30の上面よりも高くなるような位置で待機し、スピンチャック20は洗浄部材30の上面よりも低い位置まで退避している。このような位置関係により、支持ピン24が下降すると、ウエハWは先ず吸着パッド10に受け渡される(図14(b))。
【0058】
この後吸着パッド10はウエハWを吸着保持し、ウエハWを保持したまま右方向へ移動する。そして、ウエハWを予め決められた位置(例えばエアナイフ25の左端がウエハWの左端と略一致するような位置)まで搬送した後、吸着パッド10は下降してウエハWの裏面を洗浄部材30の上面に押し当てる(図14(c))。
【0059】
次いで、エアナイフ25を作動させてスピンチャック20の表面に洗浄液が廻り込んで付着するのを防止した後、ウエハWの下面に近接する洗浄部材30を回転すると共に、洗浄部材30の吐出口33より洗浄液を供給してウエハWの裏面洗浄を開始する。裏面洗浄は、吸着パッド10によるウエハWの移動と洗浄部材30の移動との組み合わせにより進行する。具体的には、例えば図18(a)に示すように洗浄部材30は図中のY方向を往復し、洗浄部材30の移動方向が切り替わる際に洗浄部材30の直径よりも短い距離だけ吸着パッド10を左X方向へ移動する。これにより、洗浄部材30は矢印で示したような軌道を描いてウエハW裏面を移動し、同図中に左上斜線で塗りつぶした領域T1を満遍なく洗浄することができる。
【0060】
ここで洗浄の行われている期間中、ウエハWの裏面全体は図16及び図17に示すように洗浄液の液膜Fに覆われており、洗浄部材30で除去されたパーティクルは、洗浄に供された洗浄液と共に洗浄部材30の連通溝35及び排出孔36を介して下方のアンダーカップ40へ流れる。したがって、図16に示すように、洗浄部材30によって除去されたパーティクルを含む洗浄液はアッパーカップ41の内壁に当たって飛散してミストを発生するのを抑制することができる。その他の洗浄部材30で除去されたパーティクルは、ウエハW裏面から流れ落ちる洗浄液と共にアンダーカップ40へ洗い流される。また、エアナイフ25の噴射口26からはウエハW裏面へ向けて気体が噴出され、洗浄液がエアナイフ25の外側へ向けて吹き飛ばされることにより、エアナイフ25と対向するウエハW裏面は乾燥した状態が保たれている(図17参照)。このような構成により、ウエハW裏面を覆う洗浄液がエアナイフ25内側にまで回り込んでしまうのを防止することができる。この結果、スピンチャック20の表面は常に乾燥状態に維持され、処理された洗浄液による汚染やウォーターマークの形成を防止すること可能となる。
【0061】
上述の領域T1の洗浄を終えたら、吸着パッド10を移動させてスピンチャック20の上方にウエハW中央部を位置させ(図15(a))、次に吸着パッド10からスピンチャック20へのウエハWの受け渡しを行う。ウエハWの受け渡しは、例えばエアナイフ25を作動させたまま洗浄部材30の移動や回転、洗浄液の供給を停止し、吸着パッド10によるウエハWの吸着を解除する一方で、退避しているスピンチャック20を上昇させてウエハWの裏面を支え、次に吸着パッド10を下方へ退避させることにより行われる。
【0062】
ウエハWを受け渡されたスピンチャック20は、吸着パッド10と略同じ高さでウエハWを吸着保持するので、洗浄部材30はウエハW下面(被洗浄面)に近接した状態となる。そこで再び洗浄部材30を回転させ、洗浄液を供給することにより裏面洗浄が再開される(図15(b))。この際、裏面洗浄はスピンチャック20の回転と洗浄部材30の移動との組み合わせにより進行する。具体的には、例えば図18(b)に示すように、先ずウエハWの最外周を洗浄できるような位置まで洗浄部材30を移動させてからウエハWをゆっくりと回転させ、ウエハWが一回転したら先の動作で洗浄された環状の領域よりも洗浄部材30の直径分だけ内周面を洗浄できる位置まで洗浄部材30を移動させてから同様の動作を繰り返す。このような動作により、同心円状の軌道を描きながらウエハW裏面を移動し、同図中に右上斜線で塗りつぶした領域T2を満遍なく洗浄することができる。
【0063】
ここで、領域T1と領域T2とを合わせた領域は、図18(b)に示すようにウエハW裏面全体を包含しており、洗浄されないデッドスペースを生じないように各機器のサイズや移動範囲が調整されている。また、ウエハWをスピンチャック20で保持して洗浄を行っている期間中は、洗浄部材30からの洗浄液の供給だけでなく、図15(b)においてエアナイフ25の左側方に設置されている洗浄ノズル47からも洗浄液を供給している。このように洗浄ノズル47からも洗浄液を供給する理由は、ウエハW表面に濡れている領域と乾燥している領域とが混在していると洗浄液を乾燥させた際にウォーターマークを生じる原因となるので、洗浄液を満遍なく行き渡らせてウォーターマークの発生を抑制するためである。
【0064】
こうしてウエハW裏面全体の洗浄を完了すると、洗浄部材30の回転や移動、洗浄液の供給、スピンチャック20の回転を停止して、洗浄液の振り切り乾燥の動作に移る。振り切り乾燥は、スピンチャック20を高速で回転させてウエハW裏面に付着している洗浄液を振り切ることにより行われる。既述のように満遍なく濡らされたウエハWを一気に振り切って乾燥させることにより、ウォーターマークの発生が抑制される。このとき、上方に退避していたブローノズル46を下降させ、同時に洗浄部材30横のブローノズル46をウエハW周縁部に位置させるように支持部材60を移動させて、ウエハW周縁部の上面と下面とから気体を吹き付けることにより、振り切り乾燥を促進される。なお、スピンチャック20に保持される第2の領域については振り切り乾燥を行うことができないが、エアナイフ25によって乾燥された状態でスピンチャック20と接触するようになっているのでウォーターマークの発生することは殆どない。
【0065】
以上に説明した動作によりウエハW裏面全体の洗浄と乾燥とを終えたら、搬入時とは逆の動作でウエハWを搬送手段へ引き渡して搬出する。このとき図4〜図6に示したUVランプ48を点灯して馬蹄形状に搬送手段の下方からウエハW裏面へ向けて紫外線を照射して、万一パーティクルが付着している場合であっても、例えば有機物は紫外線の照射により分解されるので、このようなタイプのパーティクルを収縮させて、デフォーカス等の影響を小さくすることができる。
【0066】
ウエハWの搬出動作と並行して、吸着パッド10やスピンチャック20は図14(a)に示した位置まで移動して次のウエハWの搬入を待つ。そして図14〜図18を参照して説明した動作を繰り返し、複数のウエハWを順次洗浄する。
【0067】
<第2実施形態>
図19は、この発明に係る洗浄装置の第2実施形態を示す概略断面図である。
【0068】
第2実施形態は、洗浄部材30によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を積極的に排出するようにした場合である。すなわち、図19に示すように、洗浄部材30に設けられた各排出孔36に排液管81を連通(接続)し、この排液管81に吸引手段である吸引ポンプ80を接続して、洗浄部材30によって除去されたパーティクル及び洗浄に供された洗浄液を積極的に排出するようにした場合である。この場合、吸引ポンプ80と洗浄部材30の回転機構すなわちサーボモータ39及び洗浄液供給管51に介設される流量調整弁53は、制御手段であるコントローラ70に電気的に接続されており、コントローラ70からの制御信号に基づいて制御されるように構成されている。なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0069】
上記のように構成される第2実施形態の洗浄装置1によれば、洗浄により除去されたパーティクル及び洗浄に供した洗浄液を効率良く排出することができる。また、吸引ポンプ80の吸引作用によって積極的に排出することができるので、洗浄部材30の回転数の調整及び洗浄液の供給量の調整が可能となり、最適な状態で洗浄処理を行うことが可能となる。
【0070】
なお、第2実施形態の洗浄装置1を用いることにより、ウエハWの下面の洗浄以外にウエハWの上面の洗浄処理にも適用可能となる。
【0071】
<その他の実施形態>
なお、図1〜図3に示したレジスト塗布・現像処理システムでは実施の形態に係わる洗浄装置1をインターフェイスブロックS3の入口部に設けた例を示したが、洗浄装置1を設置する位置はこの例に限定されるものではない。例えばインターフェイスブロックS3内に当該洗浄装置1を設置してもよいし、処理ブロックS2の入口部、例えば棚ユニットU5に設置してレジスト膜の形成される前のウエハWを裏面洗浄するように構成してもよいし、キャリアブロックS1内に設けてもよい。
【0072】
更に、本実施の形態に係わる洗浄装置1を適用可能な装置は、レジスト塗布・現像処理システムに限定されない。例えばイオン注入後のアニール行程を行う熱処理装置にも本洗浄装置1は適用することができる。ウエハWの裏面にパーティクルが付着したままアニール行程を行うと、この行程中にパーティクルがウエハ裏面から入り込み、このパーティクルと表面のトランジスタとの間に電流路が形成されてしまうこともある。このため、この行程の前にウエハWを裏面洗浄することにより製品の歩溜まりを向上させることができる。
【0073】
なお、上記実施形態では、この発明に係る洗浄装置を半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムに適用する場合について説明したが、半導体ウエハ以外の被処理基板、例えばFPD(フラットパネルディスプレー)基板,マスク基板等にも適用できる。
【実施例】
【0074】
次に、この発明に係る洗浄装置における洗浄部材30と従来の洗浄部材の洗浄効率を調べるために行った評価実験について説明する。
【0075】
<評価条件>
・試料:比較例{中央部に洗浄液吐出口を有する洗浄部材}
実施例{第1実施形態に係る洗浄部材30}
・押し当て力:0.8N
・洗浄部材の回転数:500rpm
・洗浄部材リンス:0.0L/min.
・バス(Bath)DIW流量:0.2L/min.
・試料基板:PSL(Polystyrene Latex)付着のウエハ
(親水性:0.309μm 15000個程度付着)
・計測機:SP1(♯1 2F)=SurfscanSp1TB1(BZ−0200,
BZ−0104){KLA−Tencor Ltd.製商品名}
・検査条件:検査粒径0.10μm,0.16μm,0.20μm,1.0μm
・検査領域:φ65−296mm
・実験機:ブラシ洗浄モジュール。
【0076】
<評価方法>
まず、比較例と実施例の洗浄部材を洗浄バスで十分水に浸す。次に、洗浄部材圧がゼロになる位置を、洗浄部材押し込み量ゼロとし、押し込み量2.5mmに合わせた後、ウエハ(試料基板)のイニシャルを計測機(SP1)で測定する。次に、パラメータを設定して、所定の時間バス洗浄機構で洗浄を行って実際の試料を処理し、処理後のパーティクル数を計測機(SP1)で測定する。
【0077】
上記評価実験の結果、比較例では表1に示すような結果が得られ、実施例では表2に示すような結果が得られた。
【表1】

【表2】

【0078】
上記評価実験の結果、この発明に係る洗浄装置における洗浄部材を用いた実施例によれば従来の洗浄部材(比較例)に比べてパーティクルの除去率を大幅に上回ることが判った。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明に係る基板洗浄装置を適用したレジスト塗布・現像処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】上記レジスト塗布・現像処理システムの概略斜視図である。
【図3】上記レジスト塗布・現像処理システムの概略縦断面図である。
【図4】この発明に係る基板洗浄装置の第1実施形態を示す斜視図(a)及び(a)のI部拡大斜視図(b)である。
【図5】上記基板洗浄装置の平面図である。
【図6】上記基板洗浄装置の断面図である。
【図7】この発明における洗浄部材を示す断面斜視図である。
【図8】上記洗浄部材の平面図である。
【図9】図8のII−II線に沿う断面図である。
【図10】この発明における連通溝と排出孔の別の変形例を示す断面図であって、図8のIII−III線に沿う断面図である。
【図11】この発明における洗浄部材の別の形態を示す平面図である。
【図12】図11のIV−IV線に沿う断面図である。
【図13】第1実施形態の基板洗浄装置におけるエアナイフを示す斜視図である。
【図14】第1実施形態の基板洗浄装置の動作を説明するための第1の工程の概略断面図である。
【図15】第1実施形態の基板洗浄装置の動作を説明するための第2の工程の概略断面図である。
【図16】この発明における洗浄部材の洗浄状態を示す概略断面図である。
【図17】洗浄時のウエハ下面の状態を示す概略断面図である。
【図18】第1実施形態の基板洗浄装置の各動作において洗浄される領域を示す概略平面図である。
【図19】この発明に係る基板洗浄装置の第2実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0080】
W 半導体ウエハ(被処理基板)
F 液膜
R 回転方向
10 吸着パッド(保持手段)
20 スピンチャック(保持手段)
22 スピンチャックモータ
30 洗浄部材
31 洗浄基部
32 ベース部
33 吐出口(洗浄液吐出口)
34 連通孔(洗浄液吐出口)
35 連通溝
35a 傾斜面
35c 誘導溝
36 排出孔
50 洗浄液供給源
51 洗浄液供給管
53 流量調整弁
70 コントローラ(制御手段)
80 吸引ポンプ(吸引手段)
81 排液管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を水平に保持し、鉛直軸回りに回転する保持手段と、鉛直軸回りに回転可能な洗浄部材と、上記洗浄部材を回転させる回転機構と、上記洗浄部材を上記被処理基板の被洗浄面に沿って移動させる移動機構と、を具備する基板洗浄装置において、
上記洗浄部材は、ベース部にスポンジ状の洗浄基部を接合してなり、
上記ベース部及び洗浄基部の中心部に、洗浄液供給源に接続する洗浄液吐出口を設け、
上記洗浄基部に、基端が上記洗浄液吐出口に連通すると共に、先端が洗浄部材の外周縁部手前まで延びる複数の連通溝を設け、
上記ベース部における上記連通溝が位置する部位に、連通溝と連通する排出孔を設けた、
ことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板洗浄装置において、
上記洗浄基部の中心部に、ベース部の洗浄液吐出口より大径に形成され、洗浄液吐出口及び各連通溝に連通するバッファ用連通孔を更に設けた、ことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の基板洗浄装置において、
上記連通溝及び排出孔のうちの少なくとも連通溝は、洗浄部材の回転方向に沿って洗浄表面側から洗浄裏面側に向かう傾斜面を有する、ことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板洗浄装置において、
上記洗浄基部の洗浄表面の同心円上に、隣接する連通溝に連通する1又は複数の誘導溝を設けた、ことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板洗浄装置において、
上記各排出孔に連通する排液管と、この排液管に介設される吸引手段と、を更に具備してなる、ことを特徴とする基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−16098(P2010−16098A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173387(P2008−173387)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】