説明

変速制御装置およびそれを備えた自動二輪車

【課題】手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車において、リンプホーム性を向上させる。
【解決手段】変速制御装置50は、有段のドグクラッチ式のシフト機構43と、シフト機構43のギアポジションを変更するシフトアクチュエータ70と、クラッチ44と、クラッチアクチュエータ60と、運転者によって操作され、シフトアクチュエータ70およびクラッチアクチュエータ60によるシフト機構43のギアポジションの変更を指示するシフトスイッチ72と、運転者によって操作され、手動モード運転と自動モード運転とを切り換えるモード切換スイッチ71と、ECU90とを備えている。ECU90は、所定の故障時に、自動モード運転を規制しかつ手動モード運転を許可する運転許可部93を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速制御装置およびそれを備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車において、電動モータ等のアクチュエータによりギア段を切り換える自動変速機構が知られている。また、自動変速機構を備えた自動二輪車において、運転者がモード切換スイッチを切り換えることにより、運転者がシフトスイッチを操作することによってアクチュエータを駆動する運転(以下、手動モード運転という)と、制御装置が自動二輪車の走行状態に応じてアクチュエータを自動的に制御する運転(以下、自動モード運転という)とを選択可能にしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−67741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な従来の自動二輪車では、比較的軽微な故障であっても、運転を継続しにくかったため、リンプホーム性が低かった。すなわち、比較的軽微な故障が発生した場合であっても、自力で整備工場等に移動することが難しく、第三者に運搬してもらう必要があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車において、リンプホーム性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車体と、複数のギア段を有するドグクラッチ式の変速機と前記変速機のギア段を変更するアクチュエータとを有する自動変速機構と、を備える自動二輪車に搭載される変速制御装置である。前記変速制御装置は、運転者によって操作され、前記アクチュエータによる前記変速機のギア段の変更を指示するシフトスイッチと、前記自動二輪車の走行状態に基づいて前記アクチュエータを自動制御する自動制御装置と、前記運転者のシフトスイッチの操作に基づいて前記アクチュエータに前記変速機のギア段の変更を行わせる手動モード運転と、前記自動制御装置の自動制御によって前記アクチュエータに前記変速機のギア段の変更を行わせる自動モード運転とを運転者の操作によって切り換えるモード切換スイッチと、所定の故障時に、前記自動モード運転を規制しかつ前記手動モード運転を許可する運転許可装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車において、リンプホーム性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】パワーユニットの内部構成を示す断面図である。
【図3】実施形態1に係る変速制御装置の制御構成図である。
【図4】操向ハンドルの概略構成図である。
【図5】実施形態1に係る変速制御装置でのリンプホーム制御が実行されるまでの制御フローである。
【図6】手動モード運転と自動モード運転との切り換えの一例を示す制御フローである。
【図7】手動モード運転と自動モード運転との切り換えの他の一例を示す制御フローである。
【図8】実施形態2に係る変速制御装置の制御構成図である。
【図9】実施形態2に係る変速制御装置でのリンプホーム制御が実行されるまでの制御フローである。
【図10】実施形態3に係る変速制御装置の制御構成図である。
【図11】実施形態3に係る変速制御装置でのリンプホーム制御が実行されるまでの制御フローである。
【図12】自動二輪車に備えられた表示パネルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
図1は、自動二輪車1を示す側面図である。自動二輪車1は、所謂モーターサイクル型の自動二輪車である。ただし、本実施形態に係る自動二輪車は、モーターサイクル型に限定されない。自動二輪車1は、スクータ型、オフロード型、またはレーサーレプリカ型等の自動二輪車であってもよい。
【0010】
図1に示すように、自動二輪車1は、車体100を備えている。車体100は、少なくとも操向ハンドル4と、シート14と、前輪12と、駆動輪である後輪23とによって形成されている。前輪12は車体100の前側に配置され、後輪23は車体100の後側に配置されている。また、車体100は、ヘッドパイプ3と車体フレーム6とを備えている。車体フレーム6は、ヘッドパイプ3から左右一対に後方に延びる2本のフレーム部6aを有している。図1では、フレーム部6aは、1本のみが図示されている。フレーム部6aの後部は、下方に延びてリヤアームブラケット5と接続している。リヤアームブラケット5には、リヤアーム21の前端部がピボット軸22を介して上下揺動可能に支持されている。リヤアーム21の後端部には、後輪23が支持されている。
【0011】
ヘッドパイプ3にはフロントフォーク10が枢支されている。フロントフォーク10の上端には、操向ハンドル4が設けられ、下端には前輪12が回転自在に設けられている。フレーム部6aの上部には燃料タンク13が配置され、燃料タンク13の後方にはシート14が配置されている。
【0012】
フレーム部6aとリヤアームブラケット5とには、パワーユニット20が懸架されている。パワーユニット20は、少なくとも、後述するエンジン45と、クラッチ44と、シフト機構43とを有している(図2参照)。エンジン45と、クラッチ44と、シフト機構43とは、クランクケース26に一体に組み付けられている。
【0013】
図2は、パワーユニット20の内部構成を示す断面図である。図2に示すように、パワーユニット20は、エンジン45と、クラッチ44と、シフト機構43とを有している。メイン軸41は、クランク軸25と平行に配設されている。ドライブ軸42は、メイン軸41と平行に配設されている。また、本実施形態に係る変速制御装置50は、クラッチ44と、シフト機構43と、クラッチアクチュエータ60と、シフトアクチュエータ70と、ECU90(図3参照)とを備えている。クラッチアクチュエータ60が駆動することにより、クラッチ44を断続することができる。シフトアクチュエータ70が駆動することにより、シフト機構43の変速ギアの切り換え、つまりシフト機構43のギアポジションを変更することができる。
【0014】
後述するように、ECU(Electric Control Unit)90(図3参照)は、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70の駆動の制御を実行する。なお、本実施形態では、少なくともシフト機構43とシフトアクチュエータ70とクラッチ44とクラッチアクチュエータ60とECU90とで、自動変速機構が形成されている。
【0015】
クラッチアクチュエータ60が駆動すると、プッシュロッド455が図2の右方向に押されて移動する。これにより、プッシュロッド455は、プレッシャプレート451を図2の右方向に押す。プレッシャプレート451が図2の右方向に押されると、クラッチ44は切断状態になる。クラッチ44では、クラッチアクチュエータ60の駆動力とバネ450の付勢力との大小によって、プレッシャプレート451がメイン軸41の軸方向の一方または他方の方向に移動する。クラッチ44は、前記移動に応じて接続または切断状態になる。
【0016】
メイン軸41には、多段の変速ギア49が装着されている。一方、ドライブ軸42には、多段の変速ギア49に対応する複数の変速ギア420が装着されている。
【0017】
シフト機構43は、シフトカム421を有している。シフトカム421の外周面には、複数のカム溝421aが形成されている。各カム溝421aには、シフトフォーク422が装着されている。各シフトフォーク422は、それぞれメイン軸41およびドライブ軸42の所定のギアに係合している。シフトカム421が回転することにより、複数のシフトフォーク422のそれぞれは、カム溝421aに案内されてメイン軸41の軸方向に移動する。これにより、シフト機構43のギアポジションが変更される。その結果、メイン軸41とドライブ軸42との間では、変速ギア49および変速ギア420を介して、所定の変速比で回転伝達が行われる。
【0018】
なお、シフトカム421は、シフトロッド75が往復移動することによって、所定の角度だけ回転する。シフトロッド75は、シフトアクチュエータ70が駆動することによって往復移動する。
【0019】
エンジン45の駆動時にクラッチ44が接続状態である場合、エンジン45のトルクは、クラッチ44を介してメイン軸41に伝達される。また、メイン軸41とドライブ軸42との間では所定の変速比で回転伝達が行われ、ドライブ軸42が回転する。ドライブ軸42が回転すると、ドライブ軸42と後輪23(図1参照)とを接続する動力伝達機構47(図1参照)によってトルクが伝達され、後輪23が回転する。
【0020】
なお、変速制御装置50は、クラッチアクチュエータ60とシフトアクチュエータ70とで、別々のアクチュエータを備えていなくてもよい。すなわち、変速制御装置50は、クラッチ44の断続を行い、且つ、シフト機構43の変速ギアの切り換えを行う単一のアクチュエータを備えていてもよい。この場合、前記アクチュエータは、クラッチ44の断続を行う機能と、シフト機構43の変速ギアの切り換えを行う機能とを有する。以下では、クラッチアクチュエータ60とシフトアクチュエータ70とを同時に表すものを、単にアクチュエータと称呼する。アクチュエータとは、クラッチアクチュエータ60とシフトアクチュエータ70との総称である。そのため、アクチュエータは、クラッチ44の断続を行う機能と、シフト機構43の変速ギアの切り換えを行う機能とを有したものに限定されない。
【0021】
次に、本実施形態に係る変速制御装置50について説明する。図3は、変速制御装置50の制御ブロック図である。図3に示すように、変速制御装置50は、シフト機構43と、クラッチ44と、クラッチアクチュエータ60と、シフトアクチュエータ70と、ECU(Electric Control Unit)90とを備えている。本実施形態において、ECU90は、少なくとも、自動運転制御部91と、走行状態検知部92と、運転許可部93とを有している。
【0022】
自動二輪車1は、電源装置73とメインスイッチ74とを備えている。自動二輪車1の乗員によりメインスイッチ74が操作されると、電源装置73とECU90との間が通電状態となり、ECU90が作動可能となる。ただし、自動二輪車1は、図示しないリレースイッチ等を備えていてもよい。この場合は、ECU90の一部は、メインスイッチ74が操作されていないときでも作動することができる。
【0023】
パワーユニット20(図1参照)において、クランク軸25(図2参照)には、エンジン回転速度センサS30が設けられている。図3では、エンジン回転速度センサS30は、エンジン45に隣接している。また、メイン軸41(図2参照)には、メイン軸回転速度センサS31が設けられている。図3では、メイン軸回転速度センサS31は、クラッチ44に隣接している。
【0024】
自動二輪車1は、吸気管61、排気管62、アクセル63、スロットル弁65、燃料供給装置66、および点火装置67を備えている。吸気管61は、エンジン45と接続している。また、排気管62は、吸気管61が接続する位置と異なる位置において、エンジン45と接続している。スロットル弁65は、吸気管61の内部に設けられている。スロットル弁65は、吸気管61を流れる空気の量や速度を調整する。また、吸気管61の中途には、燃料供給装置66が設けられている。燃料供給装置66は、所謂気化器であっても燃料噴射装置であってもよい。燃料供給装置66は、燃料タンク13に貯留されている燃料を吸気管61の内部に供給する。さらに、点火装置67は、エンジン45の内部に設けられている。本実施形態において、点火装置67は、電子的に点火時期が制御される。ただし、点火装置67は、機械的に点火時期が制御されるものであってもよい。
【0025】
本実施形態において、スロットル弁65の開度は、電子的に制御される。スロットル弁65の開度は、後述するように、例えば、エンジン45の回転速度、および車体100の車速等に基づいて制御される。また、スロットル弁65は、アクセル63の操作量に基づき、開度が変化する。スロットル弁65の開度が変化することにより、吸気管61を通る空気の量が変化する。
【0026】
また、自動二輪車1は、アクセル操作量センサS33、スロットル位置センサS35、燃料供給量センサS36、点火時期センサS37、およびシフト位置センサS32、を備えている。アクセル操作量センサS33は、アクセル63の操作量を開度として検出する。スロットル位置センサS35は、スロットル弁65の開度を検出する。燃料供給量センサS36は、燃料供給装置66における燃料の供給量を検出する。点火時期センサS37は、点火装置67における混合気の点火時期を検出する。シフト位置センサS32は、シフトカム421(図2参照)の回転角度を検出することにより、シフト機構43のギアポジションを検出する。
【0027】
また、自動二輪車1は、車体100の車速Vを検出する車速センサS34を備えている。前記各センサは、各変位量を直接または間接的に検出するものであってもよく、演算機能を有し、所定の物理量から必要な物理量を算出することにしてもよい。
【0028】
さらに、変速制御装置50は、クラッチアクチュエータ60の駆動量を検出するポテンショメータ38と、シフトアクチュエータ70の駆動量を検出するポテンショメータ39とを備えている。詳細には、ポテンショメータ38は、クラッチアクチュエータ60の回転角度を検出する。ポテンショメータ39は、シフトアクチュエータ70の回転角度を検出する。ただし、前述したように、変速制御装置50が、クラッチアクチュエータ60としての機能と、シフトアクチュエータ70としての機能とを有したアクチュエータを備えている場合、変速制御装置50は、ポテンショメータ38とポテンショメータ39との二つのポテンショメータを備えていなくてもよい。
【0029】
ECU90の走行状態検知部92は、前記各センサの検出値により、自動二輪車1の走行状態を検知する。なお、本実施形態に係る走行状態検知部92は、車速検知部96を有している。車速検知部96は、車速センサS34より車速Vに基づく信号を入力する。これにより、車速検知部96は、車速Vを検知する。
【0030】
また、走行状態検知部92は、スロットル位置センサS35より、スロットル弁65の開度に基づく信号を入力する。これにより、走行状態検知部92は、スロットル弁65の開度を検知する。走行状態検知部92は、燃料供給量センサS36より、燃料供給装置66の燃料供給量に基づく信号を入力する。これにより、走行状態検知部92は、燃料供給装置66での燃料の供給量を検知する。走行状態検知部92は、点火時期センサS37より、点火装置67の点火時期に基づく信号を入力する。これにより、走行状態検知部92は、点火装置67の点火時期を検知する。走行状態検知部92は、エンジン回転速度センサS30より、クランク軸25の回転速度に基づく信号を入力する。これにより、走行状態検知部92は、クランク軸25の回転速度を検知する。走行状態検知部92は、メイン軸回転速度センサS31より、メイン軸41の回転速度に基づく信号を入力する。これにより、走行状態検知部92は、メイン軸41の回転速度を検知する。走行状態検知部92は、シフト位置センサS32より、シフトカム421の回転角度に基づく信号を入力する。これにより、走行状態検知部92は、シフト機構43での現在のギアポジションを検知する。
【0031】
変速制御装置50は、後述するシフトスイッチ72の操作に基づいてアクチュエータにシフト機構43のギアポジションの変更を行わせる運転を実行することができる。また、変速制御装置50は、自動運転制御部91の自動制御によってアクチュエータにシフト機構43のギアポジションの変更を行わせる運転を実行することができる。以下では、シフトスイッチ72の操作に基づいてアクチュエータにシフト機構43のギアポジションの変更を行わせる運転を手動モード運転と称する。また、自動運転制御部91の自動制御によってアクチュエータにシフト機構43のギアポジションの変更を行わせる運転を自動モード運転と称する。すなわち、自動運転制御部91は、手動モード運転の制御と、自動モード運転の制御とを実行することができる。
【0032】
本実施形態に係る自動運転制御部91では、手動モード運転の制御と、自動モード運転の制御とが切り換え自在に構成されている。以下では、手動モード運転の制御を手動モード制御Mcと呼称し、自動モード運転の制御を自動モード制御Acと呼称する。
【0033】
手動モード制御Mcと自動モード制御Acとは、例えばモード切換スイッチ71により切り換えが可能である。モード切換スイッチ71は、ライダーによって操作され、手動モード運転と、自動モード運転とを切り換える。
【0034】
図4は、操向ハンドル4の模式図を示している。操向ハンドル4は、ハンドルバー4dと、左グリップ4aと、右グリップ4bとを有している。本実施形態において、右グリップ4bはアクセル63を形成し、所定の回転角度内で回転自在である。アクセル63は、ライダーに操作されることによって前記所定の回転角度内で回転する。アクセル63が操作されることにより、エンジン45の出力が調整される。また、操向ハンドル4には、フロントブレーキレバー4cとリアブレーキレバー4eとが設けられている。ハンドルバー4dの左側には、スイッチパネル40が設けられている。
【0035】
モード切換スイッチ71は、例えばスイッチパネル40の正面に設けられている。モード切換スイッチ71は、例えばプッシュ式のボタンになっている。モード切換スイッチ71が一回切り換えられるごとに、変速制御装置50は、手動モード運転から自動モード運転に、もしくは自動モード運転から手動モード運転に切り換える。
【0036】
モード切換スイッチ71は、プッシュ式のボタンに限定されない。モード切換スイッチ71は、例えばスライド式のスイッチであってもよい。この場合、スライド式のモード切換スイッチ71が例えば左右方向に関して左側に位置しているとき、変速制御装置50では、手動モード運転が実行される。また、スライド式のモード切換スイッチ71が例えば左右方向に関して右側に位置しているとき、変速制御装置50では、自動モード運転が実行される。
【0037】
また、スイッチパネル40には、シフトスイッチ72が設けられている。シフトスイッチ72は、シフト機構43の上段側のギアポジションに変更させるシフトアップスイッチ72aと、下段側のギアポジションに変更させるシフトダウンスイッチ72bとを有している。
【0038】
自動運転制御部91において手動モード制御Mcが実行されるとき、ライダーによりシフトスイッチ72が切り換えられると、シフト機構43のギアポジションが変更される。自動運転制御部91は、ライダーによりシフトスイッチ72が切り換えられると、所定の場合を除き、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70を駆動させる。つまり、自動運転制御部91は、手動モード制御Mcが実行されるとき、ライダーによりシフトスイッチ72が切り換えられると、所定の場合を除き、シフト機構43のギアポジションの変更を開始する。
【0039】
前記所定の場合とは、例えば、シフト機構43のギアポジションが最上段に位置している場合、ライダーによりシフトアップスイッチ72aが操作されたときである。また、前記所定の場合とは、例えば、シフト機構43のギアポジションが最下段に位置している場合、ライダーによりシフトダウンスイッチ72bが操作されたときである。シフト機構43でのギアポジションは、後述するシフト位置センサS32によって検出される。
【0040】
図3に示すように、自動運転制御部91は、モード切換スイッチ71の作動に基づく信号を入力し、手動モード制御Mcと、自動モード制御Acとを切り換えることができる。また、自動運転制御部91は、自動モード制御Acを実行しているときにシフトスイッチ72が切り換えられたことを検知することにしてもよい。このとき、シフトスイッチ72は、モード切換スイッチ71の機能を有している。つまり、自動運転制御部91が自動モード制御Acを実行しているときにシフトスイッチ72が切り換えられると、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換わることにしてもよい。
【0041】
なお、自動運転制御部91は、走行状態検知部92より、自動二輪車1の走行状態に基づく信号を入力する。自動運転制御部91は、自動二輪車1の走行状態に基づいてアクチュエータを自動制御する。
【0042】
自動運転制御部91は、車速センサS34の検出結果を用いてアクチュエータの自動制御を行う制御部97を有している。制御部97は、車速検知部96より車速Vに基づく信号を入力し、アクチュエータの自動制御を行う。
【0043】
ところで、メインスイッチ74(図3参照)がライダーによって操作され、電源装置73と変速制御装置50との間の電力の供給がオフからオンになったときは、変速制御装置50では手動モード運転に設定されている。以下では、手動モード運転と自動モード運転との切り換えの一例について説明する。
【0044】
図6に示すように、ステップSA1では、メインスイッチ74が運転者によって操作され、変速制御装置50は電源装置73との間にて通電状態となる(図3参照)。電源装置73と変速制御装置50との間が通電状態になったときは、変速制御装置50では、ステップSA2のように手動モード運転が設定されている。
【0045】
ステップSA2に続いて、ステップSA3では、モード切換スイッチ71が操作されたか否かが判定される。ステップSA3において、ライダーがモード切換スイッチ71で自動モード運転を選択する場合には、ステップSA4に進む。ステップSA4では、手動モード運転から自動モード運転に切り換えられる。ステップSA3において、ライダーがモード切換スイッチ71で自動モード運転を選択しない場合には、ステップSA2に戻る。
【0046】
ステップSA4に続いて、ステップSA5では、モード切換スイッチ71またはシフトスイッチ72が操作されたか否かが判定される。ステップSA5において、ライダーがモード切換スイッチ71で手動モード運転を選択する場合には、ステップSA2に戻る。ステップSA2では、自動モード運転から手動モード運転に切り換えられる。また、ステップSA5において、ライダーによってシフトスイッチ72が操作された場合には、ステップSA2に戻る。ステップSA5において、ライダーがモード切換スイッチ71で手動モード運転を選択しない間またはライダーによってシフトスイッチ72が操作されない間は、ステップSA4とステップSA5とが繰り返されている。
【0047】
手動モード運転と自動モード運転との切り換えは、図6に示すものに限定されない。以下に、手動モード運転と自動モード運転との切り換えの他の一例について説明する。
【0048】
図7に示すように、電源装置73と変速制御装置50との間が通電状態になったときは、変速制御装置50では、ステップSB2のように手動モード運転が設定されている。自動運転制御部91(図3参照)は、ステップSB2とステップSA2とで、同一の手動モード制御Mcを実行している。
【0049】
ステップSB3において、ライダーがモード切換スイッチ71で自動モード運転を選択する場合には、ステップSB4に進む。ステップSB4では、手動モード運転から自動モード運転に切り換えられる。ステップSB3において、ライダーがモード切換スイッチ71で自動モード運転を選択しない場合には、ステップSB2に戻る。
【0050】
ステップSB4に続いて、ステップSB5では、シフトスイッチ72が操作されたか否かが判定される。ステップSB5において、ライダーによってシフトスイッチ72が操作された場合には、ステップSB6に進む。ステップSB6では、自動モード運転から手動モード運転に切り換えられる。一方、ステップSB5において、ライダーによってシフトスイッチ72が操作されない場合には、ステップSB9に進む。
【0051】
ステップSB9では、モード切換スイッチ71が操作されたか否かが判定される。ステップSB9において、ライダーがモード切換スイッチ71で手動モード運転を選択する場合には、ステップSB2に戻る。ステップSB9において、ライダーがモード切換スイッチ71で自動モード運転を選択しない場合には、ステップSB4に戻る。
【0052】
ステップSB7では、モード切換スイッチ71が操作されたか否かが判定される。ステップSB7において、ライダーがモード切換スイッチ71で手動モード運転を選択する場合には、ステップSB2に進む。ステップSB7において、ライダーがモード切換スイッチ71で手動モード運転を選択しない場合には、ステップSB8に進む。
【0053】
ステップSB8では、ステップSB6にて自動モード運転から手動モード運転に切り換えられた後で、所定の時間が経過したか否かが判定される。このステップSB8では、ステップSB6にて自動モード運転から手動モード運転に切り換えられた後で、自動二輪車1(図1参照)が所定の距離を走行したか否かを判定することにしてもよい。ステップSB8において、ステップSB6にて自動モード運転から手動モード運転に切り換えられた後で、所定の時間が経過した場合には、ステップSB4に戻る。ステップSB8において、ステップSB6にて自動モード運転から手動モード運転に切り換えられた後で、所定の時間が経過していない場合には、ステップSB6に戻る。
【0054】
図3に示すように、ECU90は、変速制御装置50の所定の故障時に、自動モード運転を規制しかつ手動モードを許可する運転許可部93を有している。変速制御装置50では、運転許可部93により、運転許可装置が形成されている。
【0055】
変速制御装置50の前記所定の故障時とは、変速制御装置50において、自動モード運転による運転は不能であるが、手動モード運転による運転が可能な故障である。つまり、運転許可部93は、自動モード運転が不能かつ手動モード運転が可能な故障の時、自動モード運転を規制しかつ手動モードを許可する。
【0056】
運転許可部93は、走行状態検知部92より、自動二輪車1の走行状態に基づく信号を入力する。運転許可部93は、入力する前記信号に対して、走行状態検知部92または前記各センサに故障がないか判定している。また、運転許可部93は、自動運転制御部91より、アクチュエータの制御に基づく信号を入力する。運転許可部93は、入力する前記信号に対して、自動運転制御部91に故障がないか判定している。
【0057】
運転許可部93は、車速検知部96より、車速Vに基づく信号を入力する。運転許可部93は、入力する前記信号に対して、車速検知部96または車速センサS34に故障がないか判定している。また、運転許可部93は、制御部97より、アクチュエータの制御に基づく信号を入力する。運転許可部93は、入力する前記信号に対して、制御部97に故障がないか判定している。
【0058】
ECU90は、メモリ94を有している。メモリ94は、変速制御装置50での制御に必要なデータを記憶している。メモリ94は、変速制御装置50の故障について、自動モード運転が可能かつ手動モード運転が不能な故障と、手動モード運転が可能かつ自動モード運転が不能な故障と、手動モード運転および自動モード運転が不能な故障とを記憶している。
【0059】
運転許可部93は、走行状態検知部92および自動運転制御部91より入力する信号と、メモリ94に記憶されているデータとを比較することにより、変速制御装置50に故障がないか判定する。本実施形態において、運転許可部93は、車速検知部96および制御部97より入力する信号と、メモリ94に記憶されているデータとを比較することにより、変速制御装置50に故障がないか判定する。すなわち、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、車速センサS34または制御部97の故障を判定する。
【0060】
運転許可部93は、前記所定の故障時に自動モード運転に設定されている場合には、ライダーの操作に係らず自動モード運転から手動モード運転に切り換える。本実施形態において、運転許可部93は、車速センサS34または制御部97の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作に係らず自動モード運転から手動モード運転に切り換える。このときには、自動運転制御部91では、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換わる。
【0061】
ただし、本実施形態において、自動運転制御部91が実行する車速センサS34または制御部97の故障時の手動モード制御Mcは、故障時でない手動モード制御Mcと異なっている。つまり、後述する制御部95は、変速制御装置50が手動モード運転である場合には、前記所定の故障時と前記所定の故障ではない時とで、異なる制御を実行する。前記所定の故障ではない時の手動モード運転には、通常の手動モード運転が含まれる。通常の手動モード運転とは、変速制御装置50にていずれの故障も起こっていない場合の手動モード運転である。ここで、自動運転制御部91が実行する車速センサS34または制御部97の故障時の手動モード制御Mcを、リンプホーム制御と称する。
【0062】
さらに、前記所定の故障ではない時には、前記所定の故障とは異なる故障の時が含まれる。後述する制御部95は、変速制御装置50が手動モード運転である場合には、前記所定の故障時と前記所定の故障とは異なる故障時とで、異なる制御を実行する。
【0063】
自動運転制御部91は、エンジン45を制御する制御部95を有している。制御部95は、スロットル弁65の開度、燃料供給装置66での燃料供給量、または点火装置67での点火時期を調整する制御を実行する。制御部95は、リンプホーム制御を実行する場合、手動モード制御Mcとは異なる制御を実行する。すなわち、自動運転制御部91において、リンプホーム制御が実行される場合と、手動モード制御Mcが実行される場合とでは、エンジン45の出力が異なる。具体的には、自動運転制御部91において、リンプホーム制御が実行される場合と、手動モード制御Mcが実行される場合とでは、リンプホーム制御が実行される場合の方が、エンジン45の出力は抑制される。
【0064】
以下では、前記所定の故障時に、自動モード制御Acより手動モード制御Mcに切り換えられ、リンプホーム制御が実行される制御について説明する。図5には、本実施形態に係る変速制御装置50のECU90において、リンプホーム制御が実行されるまでの制御フローが示されている。
【0065】
先ず、ステップS11では、変速制御装置50に故障があるか否かが判定される。ステップS11において、変速制御装置50に故障がある場合には、ステップS12に進む。ステップS11において、変速制御装置50に故障がない場合には、ステップS11に戻る。
【0066】
ステップS12では、ステップS11において判定された故障が、車速センサS34の故障であるか否かが判定される。車速センサS34が故障している場合には、変速制御装置50では、例えば、車速Vが正確に検出できなくなる。ステップS12において、車速センサS34の故障であると判定される場合には、ステップS14へ進む。ステップS12において、車速センサS34の故障ではないと判定される場合には、ステップS13へ進む。
【0067】
ステップS13では、ステップS11において判定された故障が、制御部97の故障であるか否かが判定される。制御部97が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、車速Vに基づいてアクチュエータを駆動させることができなくなる。つまり、制御部97が故障している場合は、自動運転制御部91では、車速Vを利用した制御を実行することができない。ステップS13において、制御部97の故障であると判定される場合には、ステップS14へ進む。ステップS13において、制御部97の故障ではないと判定される場合には、リンプホーム制御は実行されず、本制御は終了する。
【0068】
ステップS14では、自動運転制御部91において、現在実行されている制御が自動モード制御Acであるか否かが判定される。ステップS14において、自動運転制御部91が自動モード制御Acを現在実行していない、つまり、手動モード制御Mcが現在実行されていると判定される場合には、ステップS16へ進む。ステップS14において、現在、自動運転制御部91が自動モード制御Acを実行していると判定される場合には、ステップS15へ進む。
【0069】
ステップS15では、自動運転制御部91の実行する制御が、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換えられる。ステップS15において、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換えられると、ステップS16へ進む。
【0070】
ステップS16では、自動運転制御部91において手動モード制御Mcが実行される。ここでは、通常の手動モード制御Mcよりもエンジン45(図2参照)の出力が抑制されたリンプホーム制御が実行される。以上のように、変速制御装置50では、前記所定の故障時に、自動モード運転から手動モード運転に切り換えられる。
【0071】
(作用および効果)
以上のように、本実施形態に係る運転許可部93は、前記所定の故障時に、自動モード運転を規制しかつ手動モード運転を許可する。運転許可部93は、走行状態検知部92より、自動二輪車1の走行状態に基づく信号を入力し、入力する前記信号に対して、走行状態検知部92または前記各センサに故障がないか判定している。また、運転許可部93は、自動運転制御部91より、アクチュエータの制御に基づく信号を入力し、入力する前記信号に対して、自動運転制御部91に故障がないか判定している。
【0072】
これにより、本実施形態に係る変速制御装置50では、自動モード運転は困難であるが自動二輪車1の走行自体は可能な故障時には、自動モード運転は規制されるが手動モード運転は許可される。言い換えると、自動運転制御部91では、自動モード制御Acは困難であるが手動モード制御Mcが可能である故障時には、自動モード制御Acは実行不能であるが手動モード制御Mcは実行可能である。例えば、自動モード制御Acは困難であるが自動二輪車1の走行自体は可能な故障時には、ライダーのシフトスイッチ72の操作によってアクチュエータを駆動させることができる。これにより、自動モード運転は困難であるが自動二輪車1の走行自体は可能な故障時には、シフト機構43のギアポジションの変更が可能である。
【0073】
そのため、本実施形態に係る変速制御装置50では、自動モード運転は困難であるが自動二輪車1の走行自体は可能な故障時には、手動モード運転によって自動二輪車1の運転を継続することができる。したがって、本実施形態によれば、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車1において、リンプホーム性を向上させることができる。
【0074】
本実施形態に係る変速制御装置50では、前記所定の故障時には、モード切換スイッチ71の操作の如何によらず、自動モード運転から手動モード運転に自動的に切り換えられる。つまり、本実施形態に係る変速制御装置50では、自動モード運転は困難であるが自動二輪車1の走行自体は可能な故障時には、手動モード運転に自動的に切り換えられる。そのため、本実施形態に係る変速制御装置50では、自動二輪車1の運転の継続が容易である。したがって、本実施形態によれば、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車1において、リンプホーム性を向上させることができる。
【0075】
本実施形態において、前記所定の故障は、車速センサS34または制御部97の故障である。車速センサS34が故障している場合、変速制御装置50では、例えば、車速Vが正確に検出できなくなる。また、制御部97が故障している場合、変速制御装置50では、例えば、車速Vに基づいてアクチュエータを駆動させることができなくなる。
【0076】
しかしながら、本実施形態に係る変速制御装置50では、車速センサS34または制御部97の故障時においても、手動モード運転が可能である。変速制御装置50は、自動運転制御部91にて手動モード制御Mcが実行されることにより、手動モード運転が可能である。手動モード制御Mcは、車速センサS34にて車速Vが正確に検出されない場合でも実行可能である。また、手動モード制御Mcでは、制御部97が車速Vを利用してアクチュエータを駆動させなくても、ライダーのシフトスイッチ72の操作によってアクチュエータを駆動させることができる。
【0077】
すなわち、本実施形態に係る変速制御装置50では、車速Vに係る故障があっても、手動モード制御Mcの実行が可能である。そのため、本実施形態に係る変速制御装置50では、車速Vに係る故障があっても、手動モード運転によって運転を継続することができる。したがって、本実施形態によれば、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車1において、リンプホーム性を向上させることができる。
【0078】
本実施形態に係る自動二輪車1は、エンジン45を備えている。また、本実施形態に係る変速制御装置50は、エンジン45を制御する制御部95を備えている。制御部95は、前記所定の故障時における手動モード運転のときには、通常の手動モード運転のときとは異なる制御を行う。すなわち、制御部95は、変速制御装置50が手動モード運転である場合には、前記所定の故障時といずれの故障も起こっていない時とで、異なる制御を実行する。そのため、本実施形態に係る変速制御装置50によれば、前記所定の故障時には、通常時と異なる制御を行うことができる。これにより、前記所定の故障時には、その故障に応じた制御が可能となり、自動二輪車1に対する負荷を軽減することができる。
【0079】
また、制御部95は、変速制御装置50が手動モード運転である場合には、前記所定の故障時と前記所定の故障とは異なる故障時とで、異なる制御を実行する。そのため、本実施形態に係る変速制御装置50によれば、前記所定の故障時には、他の故障時と異なる制御を行うことができる。
【0080】
前述したように、本実施形態に係る変速制御装置50では、自動モード運転は困難であるが自動二輪車1の走行自体は可能な故障時には、手動モード運転によって自動二輪車1の運転を継続することができる。つまり、本実施形態に係る変速制御装置50を搭載した自動二輪車1では、リンプホーム性の向上が図られている。
【0081】
<実施形態2>
前記実施形態1において、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、車速センサS34または制御部97の故障を判定していた。しかし、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、他の故障を判定することにしてもよい。以下では、本実施形態に係る変速制御装置50について説明する。なお、前記実施形態1と同様であるものについては、同符号を付し、説明を省略する。
【0082】
図8に示すように、本実施形態に係る走行状態検知部92は、検知部98を有している。検知部98は、アクセル操作量センサS33よりアクセル63の操作量に基づく信号を入力する。これにより、検知部98は、アクセル63の操作量を検知する。以下では、アクセル63の操作量を、単にアクセル操作量と呼称する。
【0083】
自動運転制御部91は、アクセル操作量センサS33の検出結果を用いてアクチュエータの自動制御を行う制御部99を有している。制御部99は、検知部98よりアクセル操作量に基づく信号を入力し、アクチュエータの自動制御を行う。
【0084】
運転許可部93は、検知部98より、アクセル操作量に基づく信号を入力する。運転許可部93は、入力する前記信号に対して、検知部98またはアクセル操作量センサS33に故障がないか判定している。また、運転許可部93は、自動運転制御部91のうちの制御部99のアクチュエータの制御に基づく信号を入力する。運転許可部93は、入力する前記信号に対して、制御部99に故障がないか判定している。
【0085】
本実施形態において、運転許可部93は、検知部98および制御部99より入力する信号と、メモリ94に記憶されているデータとを比較することにより、変速制御装置50に故障がないか判定する。すなわち、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障を判定する。
【0086】
本実施形態において、運転許可部93は、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作に係らず自動モード運転から手動モード運転に切り換える。このときには、自動運転制御部91では、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換わる。
【0087】
ただし、本実施形態において、自動運転制御部91が実行するアクセル操作量センサS33または制御部99の故障時の手動モード制御Mcは、故障時でない手動モード制御Mcとは、異なっている。つまり、制御部95は、変速制御装置50が手動モード運転である場合、前記所定の故障時と前記所定の故障ではない時とで、異なる制御を実行する。ここで、自動運転制御部91が実行するアクセル操作量センサS33または制御部99の故障時の手動モード制御Mcを、前記実施形態1と同様に、リンプホーム制御と称する。
【0088】
制御部95は、リンプホーム制御を実行する場合は、手動モード制御Mcとは異なる制御を実行する。すなわち、自動運転制御部91において、リンプホーム制御が実行される場合と、手動モード制御Mcが実行される場合とでは、エンジン45の出力が異なる。具体的には、自動運転制御部91において、リンプホーム制御が実行される場合と、手動モード制御Mcが実行される場合とでは、リンプホーム制御が実行される場合の方が、エンジン45の出力は抑制される。
【0089】
以下では、前記所定の故障時に、自動モード制御Acより手動モード制御Mcに切り換えられ、リンプホーム制御が実行される制御について説明する。図9には、本実施形態に係る変速制御装置50のECU90において、リンプホーム制御が実行されるまでの制御フローが示されている。
【0090】
先ず、ステップS21では、変速制御装置50に故障があるか否かが判定される。ステップS11において、変速制御装置50に故障がある場合には、ステップS22に進む。ステップS21において、変速制御装置50に故障がない場合には、ステップS21に戻る。
【0091】
ステップS22では、ステップS21において判定された故障が、アクセル操作量センサS33の故障であるか否かが判定される。アクセル操作量センサS33が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、アクセル操作量が正確に検出できなくなる。ステップS22において、アクセル操作量センサS33の故障であると判定される場合には、ステップS24へ進む。ステップS22において、アクセル操作量センサS33の故障ではないと判定される場合には、ステップS23へ進む。
【0092】
ステップS23では、ステップS21において判定された故障が、制御部99の故障であるか否かが判定される。制御部99が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、アクセル操作量に基づいてアクチュエータを駆動させることができなくなる。つまり、制御部99が故障している場合は、自動運転制御部91では、アクセル操作量を利用した制御を実行することができない。ステップS23において、制御部99の故障であると判定される場合には、ステップS24へ進む。ステップS23において、制御部99の故障ではないと判定される場合には、リンプホーム制御は実行されず、本制御は終了する。
【0093】
ステップS24では、自動運転制御部91において、現在実行されている制御が自動モード制御Acであるか否かが判定される。ステップS24において、自動運転制御部91が自動モード制御Acを現在実行していない、つまり、手動モード制御Mcが現在実行されていると判定される場合には、ステップS26へ進む。ステップS24において、自動運転制御部91が自動モード制御Acを現在実行していると判定される場合には、ステップS25へ進む。
【0094】
ステップS25では、自動運転制御部91の実行する制御が、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換えられる。ステップS25において、自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換えられると、ステップS26へ進む。
【0095】
ステップS26では、自動運転制御部91において手動モード制御Mcが実行される。ここでの手動モード制御Mcは、通常の手動モード制御Mcよりもエンジン45(図2参照)の出力が抑制されたリンプホーム制御が実行される。以上のように、変速制御装置50では、前記所定の故障時に、自動モード運転から手動モード運転に切り換えられる。
【0096】
本実施形態において、前記所定の故障は、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障である。アクセル操作量センサS33が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、アクセル63の操作量が正確に検出できなくなる。また、制御部99が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、アクセル63の操作量に基づいてアクチュエータを駆動させることができなくなる。
【0097】
しかしながら、本実施形態に係る変速制御装置50では、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障時においても、手動モード運転が可能である。変速制御装置50は、自動運転制御部91にて手動モード制御Mcが実行されることにより、手動モード運転が可能である。手動モード制御Mcは、アクセル操作量センサS33にてアクセル63の操作量が正確に検出されない場合でも実行可能である。また、手動モード制御Mcは、制御部99がアクセル63の操作量を利用してアクチュエータを駆動させなくても、ライダーのシフトスイッチ72の操作によってアクチュエータを駆動させる制御を実行することができる。
【0098】
すなわち、本実施形態に係る変速制御装置50では、アクセル63の操作量に係る故障があっても、手動モード制御Mcの実行が可能である。そのため、本実施形態に係る変速制御装置50では、アクセル63の操作量に係る故障があっても、手動モード運転によって運転を継続することができる。したがって、本実施形態によれば、手動モード運転と自動モード運転とを切換可能な自動二輪車1において、リンプホーム性を向上させることができる。
【0099】
<実施形態3>
前記実施形態1において、運転許可部93は、車速センサS34または制御部97の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作に係らず自動モード運転から手動モード運転に切り換えていた。
【0100】
ただし、前記実施形態1において、運転許可部93は、車速センサS34または制御部97の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作に係らず自動モード運転から手動モード運転に切り換えなくてもよい。すなわち、車速センサS34または制御部97の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作によって自動モード運転から手動モード運転に切り換えられ、自動運転制御部91にて自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換えられることにしてもよい。
【0101】
また、前記実施形態2において、運転許可部93は、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作に係らず自動モード運転から手動モード運転に切り換えなくてもよい。すなわち、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、モード切換スイッチ71の操作によって自動モード運転から手動モード運転に切り換えられ、自動運転制御部91では自動モード制御Acから手動モード制御Mcに切り換えられることにしてもよい。
【0102】
以下に、本実施形態に係る変速制御装置50の制御について説明する。本実施形態では、変速制御装置50の所定の故障時に、ライダーの操作によって手動モード運転が選択され、その結果、自動運転制御部91で手動モード制御Mcが実行される。なお、以下の説明において、前記実施形態1または前記実施形態2と同様であるものについては、同符号を付し、説明を省略する。
【0103】
図1に示すように、自動二輪車1は、表示パネル15を備えている。図1に示す表示パネル15は、自動二輪車1に備えられるものの一例であり、図に示す構成に限定されない。表示パネル15は、ライダーがシート14に乗車しているとき、車体100のうち、容易に視認される位置に配置されている。自動二輪車1では、表示パネル15は、フロントカウル24の内側に配置されている。
【0104】
例えば、表示パネル15には、点灯部8と点灯部9とが設けられている(図12参照)。そのため、現在、車体100が手動モード運転にて運転されている場合、点灯部8が点灯する。また、現在、車体100が自動モード運転にて運転されている場合、点灯部9が点灯する。これにより、自動二輪車1に乗車するライダーは、現在、車体100が自動モード運転および手動モード運転のいずれのモードにて運転されているのかが、表示パネル15にて視認できる。
【0105】
ただし、表示パネル15には、点灯部8と点灯部9とが、別々に設けられていなくてもよい。例えば、表示パネル15には、点灯部8と点灯部9とが一体式の別の点灯部が設けられていてもよい。この場合、前記点灯部では、車体100の手動モード運転による運転時と、車体100の自動モード運転による運転時とで、例えば異なる色で点灯する。これにより、自動二輪車1に乗車するライダーは、車体100が自動モード運転および手動モード運転のいずれのモードにて現在運転されているのかが、表示パネル15にて視認できる。また、表示パネル15には、車体100の手動モード運転による運転時と、車体100の自動モード運転による運転時とを液晶表示する液晶表示部が設けられていてもよい。この場合は、前記液晶表示部では、車体100の手動モード運転による運転時の表示と、車体100の自動モード運転による運転時の表示とで、異なる表示である。
【0106】
なお、図12に示すように、表示パネル15には、速度計16、エンジン回転速度計17、および燃量計18が設けられている。
【0107】
図10は、本実施形態に係る変速制御装置50の制御ブロック図である。図10に示すように、ECU90は、表示切換部89を有している。本実施形態では、表示切換部89は、自動運転制御部91に設けられている。表示切換部89は、自動運転制御部91にて現在実行されている制御について、表示パネル15での表示を切り換えることができる。つまり、表示パネル15は、表示切換部89が出力する信号に基づき、自動運転制御部91において手動モード制御Mcまたは自動モード制御Acのいずれの制御が実行中であるかを表示する。
【0108】
運転許可部93は、前記所定の故障時に、車体100の手動モード運転による運転時および車体100の自動モード運転による運転時と異なるように、表示切換部89に対して表示パネル15での表示を切り換えさせる。前述したように、表示パネル15では、自動運転制御部91が手動モード制御Mcを現在実行している場合は、点灯部8が点灯し、自動運転制御部91が自動モード制御Acを現在実行している場合は、点灯部9が点灯する。
【0109】
表示切換部89は、前記所定の故障時に、運転許可部93より変速制御装置50の前記所定の故障に基づいた信号101を入力する。これにより、表示切換部89は、前記所定の故障時に、車体100の手動モード運転による運転時および車体100の自動モード運転による運転時と異なるように、表示パネル15での表示を切り換えることができる。
【0110】
表示切換部89は、車速センサS34または制御部97の故障時に、運転許可部93より信号101を入力する。これにより、表示切換部89は、車速センサS34または制御部97の故障時に、車体100の手動モード運転による運転時および車体100の自動モード運転による運転時と異なるように、表示パネル15での表示を切り換えることができる。また、表示切換部89は、アクセル操作量センサS33または制御部99(図8参照)の故障時に、運転許可部93より信号101を入力することにしてもよい。これにより、表示切換部89は、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障時に、車体100の手動モード運転による運転時および車体100の自動モード運転による運転時と異なるように、表示パネル15での表示を切り換えることができる。
【0111】
本実施形態では、表示切換部89は、点灯部8が点灯している場合、または、点灯部9が点灯している場合のいずれの場合にもかかわらず、前記所定の故障時に、点灯部8を点滅させる。これにより、自動二輪車1に乗車するライダーは、変速制御装置50において、自動モード運転による運転継続は不可であるが、手動モード運転による運転継続は可能である故障の発生を認識することができる。
【0112】
ただし、表示切換部89は、点灯部8が点灯している場合、または、点灯部9が点灯している場合のいずれの場合にもかかわらず、前記所定の故障時に、点灯部8を点滅させることに限定されない。表示切換部89は、前記所定の故障時に、車体100の手動モード運転による運転時および車体100の自動モード運転による運転時と異なるように、表示パネル15での表示を切り換えればよい。
【0113】
ただし、自動二輪車1は、自動モード運転による運転継続の不可を通知するものとして、表示パネル15を備えることに限定されない。自動二輪車1は、例えば、音声出力により自動モード運転による運転継続の不可を通知するものを備えていてもよい。
【0114】
以下では、前記所定の故障時に、表示パネル15での表示が切り換えられ、リンプホーム制御が実行される制御について説明する。図11には、本実施形態に係る変速制御装置50のECU90において、リンプホーム制御が実行されるまでの制御フローが示されている。
【0115】
先ず、ステップS51では、変速制御装置50に故障があるか否かが判定される。ステップS51において、変速制御装置50に故障がある場合には、ステップS52に進む。ステップS51において、変速制御装置50に故障がない場合には、ステップS51に戻る。
【0116】
ステップS52では、ステップS51において判定された故障が、車速センサS34の故障であるか否かが判定される。車速センサS34が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、車速Vが正確に検出できなくなる。ステップS52において、車速センサS34の故障であると判定される場合には、ステップS54へ進む。ステップS52において、車速センサS34の故障ではないと判定される場合、ステップS53へ進む。
【0117】
ステップS53では、ステップS51において判定された故障が、制御部97の故障であるか否かが判定される。制御部97が故障している場合は、変速制御装置50では、例えば、車速Vに基づいてアクチュエータを駆動させることができなくなる。つまり、制御部97が故障している場合は、自動運転制御部91では、車速Vを利用した制御を実行することができない。ステップS53において、制御部97の故障であると判定される場合には、ステップS54へ進む。ステップS53において、制御部97の故障ではないと判定される場合には、リンプホーム制御は実行されず、本制御は終了する。
【0118】
ステップS54では、自動運転制御部91において自動モード制御Acの実行が不可である通知が行われる。つまり、車体100の手動モード運転による運転時および車体100の自動モード運転による運転時と異なるように、表示パネル15での表示が切り換えられる。このとき、表示パネル15では、点灯部8が点滅する。
【0119】
続いて、ステップS55では、自動運転制御部91において、現在実行されている制御が自動モード制御Acであるか否かが判定される。ステップS55において、自動運転制御部91が自動モード制御Acを現在実行していない、つまり、手動モード制御Mcが現在実行されていると判定される場合には、ステップS57へ進む。ステップS55において、自動運転制御部91が自動モード制御Acを現在実行していると判定される場合には、ステップS56へ進む。なお、ステップS54とステップS55とは、ステップの順序が入れ替わっていてもよく、並列したステップであってもよい。
【0120】
ステップS56では、ステップS54の後、モード切換スイッチ71またはシフトスイッチ72の切り換えがあったか否かが判定される。ステップS56において、ステップS54の後、ステップS56においてモード切換スイッチ71またはシフトスイッチ72の切り換えがあった場合には、ステップS57へ進む。ステップS54の後、ステップS56においてモード切換スイッチ71またはシフトスイッチ72の切り換えがない場合には、ステップS56が繰り返される。
【0121】
ステップS57では、自動運転制御部91において手動モード制御Mcが実行される。ここでは、通常の手動モード制御Mcよりもエンジン45(図2参照)の出力が抑制されたリンプホーム制御が実行される。以上のように、変速制御装置50では、前記所定の故障時に、自動モード運転から手動モード運転に切り換えられる。
【0122】
なお、表示パネル15での表示は、ステップS54の後、ステップS56においてモード切換スイッチ71またはシフトスイッチ72の切り換えがあった場合には、点灯部8の点滅から点灯部8の点灯に切り換わってもよい。または、表示パネル15での表示は、ステップS54の後、ステップS56においてモード切換スイッチ71またはシフトスイッチ72の切り換えがあった場合には、点灯部8の点滅が続行されていてもよい。
【0123】
前述したように、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障時に、自動モード運転に設定されている場合には、ライダーがモード切換スイッチ71を操作することによって自動モード運転から手動モード運転に切り換えられることにしてもよい。この場合は、図11に示すステップS52は、図9に示すステップS22に読み替えるものとする。また、図11に示すステップS53は、図9に示すステップS23に読み替えるものとする。
【0124】
<その他の変形例>
前記実施形態1において、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、車速センサS34または制御部97の故障を判定していた。また、前記実施形態2において、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障を判定していた。しかし、運転許可部93は、前記両実施形態の故障を判定することにしてもよい。つまり、運転許可部93は、変速制御装置50に係る故障として、車速センサS34または制御部97の故障と、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障と、を判定することにしてもよい。そのため、前記実施形態3において、運転許可部93は、車速センサS34または制御部97の故障と、アクセル操作量センサS33または制御部99の故障とを判定し、表示切換部89に対して表示パネル15での表示を切り換えさせることにしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 自動二輪車
43 シフト機構(変速機)(自動変速機構)
44 クラッチ(自動変速機構)
45 エンジン
50 変速制御装置
60 クラッチアクチュエータ(アクチュエータ)(自動変速機構)
63 アクセル(アクセル操作子)
70 シフトアクチュエータ(アクチュエータ)(自動変速機構)
71 モード切換スイッチ
72 シフトスイッチ
89 表示切換部
90 ECU(自動変速機構)
91 自動運転制御部(自動制御装置)
93 運転許可部(運転許可装置)
95 制御部(エンジン制御装置)
97 制御部(第1の制御部)
99 制御部(第2の制御部)
100 車体
S34 車速センサ
S33 アクセル操作量センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、複数のギア段を有するドグクラッチ式の変速機と前記変速機のギア段を変更するアクチュエータとを有する自動変速機構と、を備える自動二輪車に搭載される変速制御装置であって、
運転者によって操作され、前記アクチュエータによる前記変速機のギア段の変更を指示するシフトスイッチと、
前記自動二輪車の走行状態に基づいて前記アクチュエータを自動制御する自動制御装置と、
前記運転者のシフトスイッチの操作に基づいて前記アクチュエータに前記変速機のギア段の変更を行わせる手動モード運転と、前記自動制御装置の自動制御によって前記アクチュエータに前記変速機のギア段の変更を行わせる自動モード運転とを、運転者の操作によって切り換えるモード切換スイッチと、
所定の故障時に、前記自動モード運転を規制しかつ前記手動モード運転を許可する運転許可装置と、
を備えた変速制御装置。
【請求項2】
前記運転許可装置は、前記所定の故障時に前記自動モード運転に設定されている場合には、前記自動モード運転から前記手動モード運転に切り換える、
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項3】
前記自動二輪車は、前記車体の速度を検出する車速センサをさらに備え、
前記自動制御装置は、前記車速センサの検出結果を用いて前記アクチュエータの自動制御を行う第1の制御部を有し、
前記所定の故障は、前記車速センサまたは前記第1の制御部の故障である、
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項4】
前記自動二輪車は、エンジンと、運転者によって操作され、前記エンジンの出力を調整するためのアクセル操作子と、前記アクセル操作子の操作量を検出するアクセル操作量センサと、をさらに備え、
前記自動制御装置は、前記アクセル操作量センサの検出結果を用いて前記アクチュエータの自動制御を行う第2の制御部を有し、
前記所定の故障は、前記アクセル操作量センサまたは前記第2の制御部の故障である、
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項5】
前記自動二輪車はエンジンを備え、
前記エンジンを制御するエンジン制御装置をさらに備え、
前記エンジン制御装置は、前記手動モード運転に設定されている場合に、前記所定の故障時といずれの故障も起こっていない時とで異なる制御を実行する、
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項6】
前記自動二輪車はエンジンを備え、
前記エンジンを制御するエンジン制御装置をさらに備え、
前記エンジン制御装置は、前記手動モード運転に設定されている場合に、前記所定の故障時と前記所定の故障とは異なる故障時とで異なる制御を実行する、
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項7】
前記自動二輪車は、電源装置と、前記電源装置と前記変速制御装置との間の電力の供給をオンとオフとに切り換え自在であり、運転者によって操作されるメインスイッチとを備え、
前記電源装置と前記変速制御装置との間の電力の供給がオフからオンになったときは、前記手動モード運転に設定される、
請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の変速制御装置を備えた自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−151307(P2010−151307A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164931(P2009−164931)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】