説明

大気圧グロー放電プラズマを使用した原子層堆積の方法及び装置

処理空間における基板(6)の表面上への原子層堆積のための装置及び方法。処理空間に様々な混合ガスを提供するためのガス供給手段(15、16)が存在する。ガス供給手段(15、16)は、反応表面部位を前駆体材料分子と反応させて、基板の表面に反応部位を介して付着した前駆体分子の単一層で被覆された表面を得るために、処理空間に前駆体材料とともに混合ガスを提供する。続いて、付着した前駆体分子を活性前駆体部位に変換することができる反応剤を含む混合ガスが提供される。反応剤を含む混合ガス中で大気圧プラズマを生成するためのプラズマ発生器(10)が存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面上への原子層堆積の方法に関する。さらなる態様において、本発明は、大気プラズマシステムを含む、基板の表面上への原子層堆積のための装置に関する。本発明のさらなる態様において、装置は、化学物質又は元素の堆積に使用される。
【背景技術】
【0002】
基板の表面上に材料の層を提供するには、当技術分野では原子層堆積(ALD,atomic layer deposition)が使用される。化学気相堆積(CVD,chemical vapor deposition)及び物理気相堆積(PVD,physical vapor deposition)とは異なり、原子層堆積(ALD)は飽和表面反応に基づく。ALDプロセスの固有の表面制御機構は、基板反応部位と前駆体分子との間の連続的に行われる個々の表面反応の飽和に基づく。飽和機構は、膜成長速度を、CVDやPVDでのような反応物濃度又は成長時間ではなく、反応サイクル数に正比例させる。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0084610号明細書は、基板の表面上への原子層堆積のための化学気相堆積プロセスを開示している。堆積プロセスは、大気圧グロー放電プラズマ等のプラズマ発生器等のラジカル発生器を堆積プロセス中に使用するとより効果的となる。開示されたプロセスにおいて、前駆体分子は表面と反応する前に分解する。
【0004】
ALDは自己制限的な反応プロセスである。すなわち、堆積する前駆体分子の量は、基板表面上の反応表面部位の数によってのみ決定され、飽和後の前駆体曝露と無関係である。理論的には、最大成長速度は1サイクルあたりちょうど1層の単一層であるが、ほとんどの場合、様々な理由により成長速度は単一層の0.2〜0.3に制限される。ALDサイクルは4つのステップからなる。一般に、該サイクルは単一の処理空間内で行われる。該サイクルは、ステップ1として、基板の表面に反応部位を提供することから始まる。次のステップとして、前駆体を反応部位と反応させ、過剰の材料及び反応生成物が処理空間から排出され、理想的には、前駆体の単一層が反応表面部位を介して基板表面に付着したままとなる(ステップ2)。反応剤が処理空間内に導入されて、付着した前駆体分子と反応し、再び反応部位を有する所望の材料の単一層を形成し(ステップ3)、その後未反応材料及び副生成物が排出される。追加の単一層を堆積させるためにサイクルを繰り返してもよい(ステップ4)。各サイクルで基本的に1層の原子層を堆積させることができ、これにより膜厚及び膜品質の非常に正確な制御が可能となる。
【0005】
従来技術では、このALDプロセスにおける反応ステップを促進するために、熱ALDやプラズマ支援ALD等、いくつかの方法が開発された。既知のALD法において使用されるプラズマは、低圧RFプラズマ又は誘導結合プラズマ(ICP,inductively coupled plasma)であってもよく、Al、HfO、Ta、及び他の多くの材料を堆積させるために使用可能である。
【0006】
国際公開第01/15220号パンフレットは、ALDを使用した、集積回路におけるバリア層の堆積のためのプロセスについて記載している。ALDステップにおいて、高温(最大500℃)での熱反応ステップと組み合わせて低圧(約10Torr(1330Pa))が使用される。或いは、反応環境を生成するためにプラズマを使用することが提案されている。開示された全ての実施形態は、使用される装置において特別な措置を必要とする非常に低い圧力環境について説明している。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0219784号明細書は、熱反応ステップ又はプラズマ支援反応ステップを使用した、原子層及び薄膜を形成するための方法について記載しており、そこでは、基板から離れてラジカルが形成され、該基板に移送される。これらのプロセスも、比較的高温(100〜350℃)及び低圧(ほぼ真空、典型的には0.3〜30Torr(40〜4000Pa))で行われる。
【0008】
米国特許出願公開第2003/0049375号明細書は、プラズマ支援CVDプロセスを使用して基板上に薄膜を堆積させるためのCVDプロセスについて記載している。複数の原子層の形成が請求されている。
【0009】
上述のような既知のALD法は、主として低圧条件下で行われ、通常真空機器が必要である。さらに、(室温を十分上回る温度、例えばさらに300〜900℃での)熱反応ステップを使用した上述のALD法は、ポリマー基板等の温度感受性基板上への材料の堆積には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0084610号明細書
【特許文献2】国際公開第01/15220号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0219784号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0049375号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明によれば、驚くべきことに、大気圧プラズマを使用したプラズマ促進ALDもまた使用可能であることが判明した。したがって、上述の知見による方法であって、反応表面部位を提供することにより原子層堆積のために表面を調整するステップ(ステップA)と;反応表面部位を前駆体材料分子と反応させて、基板の表面に反応部位を介して付着した前駆体分子の単一層で被覆された表面を得るために、前駆体材料を表面に提供するステップ(ステップB)と;続いて、付着した前駆体分子を活性前駆体部位に変換することができる反応剤を含む混合ガス中で生成された大気圧プラズマに、前駆体分子で被覆された表面を曝露するステップ(ステップC)とを含む方法が提供される。前駆体材料を提供するステップ及び大気圧プラズマに表面を曝露するステップは、基板表面上に材料の複数層を得るために、連続して繰り返してもよい。プラズマステップは表面解離反応を行うために使用されるため、ステップCの間、すなわち大気圧プラズマの適用中には、前駆体分子が存在しないことに留意されたい。この解離反応は、酸素や水等の反応分子の使用によりサポートすることができる。
【0012】
この方法を使用して、反応した前駆体の単一原子層、又は反応した前駆体の2つ以上の原子層が表面に付着でき、各層は反応した異なる前駆体を含み得る。
【0013】
表面に前駆体材料を提供(本方法のステップB)した後、前駆体分子は反応基板表面部位と反応する。
【0014】
さらなる実施形態において、以後、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用した排出ステップを使用して、過剰の前駆体分子及び/又はこの反応で形成された分子を除去することができる。
【0015】
表面が大気プラズマに曝露されたとき(本方法のステップC)、反応表面部位を介して基板表面に付着した前駆体分子が反応前駆体表面部位に変換される反応ステップが生じる。さらなる実施形態において、多かれ少なかれこの段階で形成された揮発性分子は、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用した排出ステップを介して除去され得る。
【0016】
大気プラズマの使用により、非常に低い圧力での動作の必要性がなくなる。これでALDプロセスの全てのステップを大気圧付近で実行することができる。したがって、処理中に基板表面で真空又は近真空を得るための複雑な構造は必要ない。
【0017】
一実施形態において、基板はポリマー材料のフレキシブル基板である。さらなる措置を必要とせずにその動作環境(温度、圧力)においてそのような材料を使用できるという点で、本処理方法はそのような基板材料に特に適している。また、本電極構造では従来技術のシステムの場合よりも広い電極間のギャップが許容され、これにより最大2mmの厚さを有する基板を使用することができる。
【0018】
さらなる実施形態において、反応剤は、酸素等の反応ガス、酸素含有剤、窒素含有剤等である。前駆体材料は、例えば、Si基板等の上にAl層を成長させるトリメチルアルミニウム(TMA,tri-methyl-aluminum)である。さらなる実施形態において、反応剤混合物は、希ガス、窒素、及びこれらのガスの混合物から選択される不活性ガスを含む。
【0019】
本発明の一実施形態において、原子層堆積のために基板の表面を調整するステップは、OH−基又はNH−基等の反応基を表面に提供するステップを含む。
【0020】
使用される大気プラズマは、当技術分野では既知のいかなる大気プラズマであってもよい。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、大気プラズマは、大気圧グロー放電プラズマである。さらなる実施形態において、大気圧グロー放電プラズマは、プラズマ中の局所的不安定性を解消する安定化手段により安定化される。
【0022】
大気圧下でALDプロセスを実行することは、より高い生産性へとつながり得るより速い反応速度が可能であるというさらなる利点を有する。本方法では、例えば1層の単一層ほどの薄さの平行薄膜層を得ることができ、該膜は、従来技術の方法により生成された膜に匹敵するか、又はそれより良好な性能を有する。
【0023】
基板が高温に耐えられない場合には、従来技術のALD法を使用できない。大気圧でのプラズマを使用して、ALDプロセスを室温でも実行することができ、これにより、プラスチック等の合成材料上への薄層堆積を含め、非常に広い適用領域が可能となる。また、これにより、ポリマー箔等の処理のために本方法を適用することもできる。本発明の堆積プロセスにおいて使用される基板はこれらの箔に限定されず、ウエハ、セラミック、プラスチック等を含み得る。
【0024】
本発明の一実施形態において、基板は固定位置にあり、ステップB及びCは同じ処理空間内で行われる。
【0025】
さらなる実施形態において、前駆体材料は、不活性ガス(Ar、He、N等)とともに混合ガスとしてパルス的に提供され、反応剤は、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に導入される。本方法は、前駆体材料のパルス供給及び反応剤のパルス導入のそれぞれの後で、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するステップをさらに含む。
【0026】
代替の実施形態において、前駆体材料は、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に提供され、反応剤は、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに混合ガスとして連続的に導入され、前記方法は、前駆体材料のパルス供給の後、及び大気圧グロー放電プラズマの適用中に、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するステップをさらに含む。
【0027】
さらなる代替の実施形態において、前駆体材料は、基板の表面の近くの第1の層のみに連続的に提供され、反応剤は、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして前記第1の層の上方の第2の層に連続的に導入される。
【0028】
他の実施形態において、基板は連続的又は断続的に移動している。この場合、ステップBが第1の処理空間で行われ、ステップCが他の第2の処理空間で行われてもよい。さらなる実施形態において、前駆体材料と不活性ガス又は混合不活性ガスとの混合物の連続的又はパルス的なフローが第1の処理空間に提供され、反応剤と不活性ガス又は混合不活性ガスとの混合物の連続的又はパルス的なフローが第2の処理空間に提供される。
【0029】
さらなる実施形態によれば、前駆体材料は10ppm〜5000ppmの濃度で提供される。この濃度は、本方法のステップBにおいて基板表面上に前駆体分子の均一な層を得るために十分である。
【0030】
さらなる実施形態において、反応剤と不活性ガスとの混合ガスは、1%〜50%の間の反応剤を含む。これは、本方法のステップCにおいて良好な反応結果を得るために十分である。
【0031】
本発明は、さらに、本発明の方法を実行することができる装置に関する。
【0032】
本発明の一実施形態は、処理空間における基板の表面上への原子層堆積のための装置に関し、前記装置は、処理空間に様々な混合ガスを提供するためのガス供給手段であって、基板の反応表面部位を前駆体材料分子と反応させて、基板の表面に反応部位を介して付着した前駆体分子の単一層で被覆された表面を得るために、処理空間に前駆体材料を含む混合ガスを提供し、付着した前駆体分子を活性前駆体部位に変換することができる反応剤を含む混合ガスを提供するように構成された、ガス供給手段を備え、前記装置は、処理空間内の反応剤を含む混合ガス中で大気圧プラズマを生成するためのプラズマ発生器をさらに備える。処理空間は、処理チャンバ等の制御された筐体であっても、基板ウェブの一部として等、制御された処理の場所であってもよい。
【0033】
一実施形態において、装置は、単一の処理空間内で本方法のステップB及びCを行うように特に設計される。そのために、装置は、動作中に基板が位置する第1の処理空間をさらに備え、ガス供給手段は、関連する方法クレームのいずれかを行うようにさらに構成される。
【0034】
他の実施形態において、装置は、1つはステップB用、1つはステップC用の、2つの異なる処理空間を有するように設計される。この実施形態において、装置は、前駆体材料を含む混合ガスに基板が供される第1の処理空間と、反応剤を含む混合ガス及び大気圧プラズマに基板が供される第2の処理空間と、第1の処理空間と第2の処理空間との間で基板を移動する移送手段とをさらに含む。ガス供給手段は、過剰の反応物及び/又は形成された反応生成物を除去するための洗浄ステップを含む、2つの処理空間を利用する上述の関連した方法実施形態を適用するように構成されてもよい。
【0035】
さらに他の実施形態において、装置は、ステップB及びステップCのための処理空間の複数のシーケンスを有するように設計される。例えば、複数の第1及び第2の処理空間が、環状又は直線状構成で交互に連続して配置される。
【0036】
上述の装置実施形態は、基板が連続的に移動するウェブ又は断続的に移動するウェブを備えることができるように設計されてもよい。
【0037】
さらなる実施形態において、ガス供給手段はバルブ手段を備え、様々な混合ガスを連続的又はパルス的に提供し、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するために、前記ガス供給手段がバルブ手段を制御するように構成される。バルブ手段は、1つ又は複数のバルブを備えてもよい。
【0038】
さらなる実施形態は、前駆体材料が基板表面の近くに保持されることを確実とすることに適している。このために、ガス供給手段は、基板の表面の近くに位置する射出バルブを有する射出チャネルを備え、導入チャネルのみを使用して基板の表面の近くの第1の層に前駆体材料を連続的に提供し、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして反応剤を前記第1の層の上方の第2の層に連続的に導入するために、前記ガス供給手段がバルブ手段及び射出バルブを制御するように構成される。
【0039】
さらなる実施形態において、プラズマ発生器は、大気圧グロー放電プラズマを生成するように構成される。プラズマ発生器は、プラズマ中の局所的不安定性を解消するために、パルス大気グロー放電プラズマを安定化させる安定化手段をさらに備えていてもよい。
【0040】
さらに、本発明は、例えば基板上に材料の層を堆積させるための、本発明の装置の使用に関する。基板は、例えば、有機LED又は有機TFTの生産等のために電子回路が提供される合成基板であってもよい。基板はポリマー材料等のフレキシブル基板であってもよい。基板の厚さは最大2mmであってもよい。これらの種類の基板は、本発明の実施形態を使用した処理に特に適し、一方、従来技術のシステム及び方法での処理は実用的ではなく、又は不可能ですらあった。或いは、フレキシブル基板上にフレキシブル光電池を形成するためにプラズマ堆積装置が使用される。また、本発明は、本発明の装置及び方法を使用して堆積された原子層を備える基板に関する。
【0041】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】活性表面部位としてSiOH基を有する基板上にAl層が堆積される例示的実施形態の、原子層堆積プロセスにおける様々なステップの概略図である。
【図2】単一処理空間を使用した本発明の実施形態におけるガスフローの時間プロットである。
【図3】単一処理空間を使用した本発明のさらなる実施形態におけるガスフローの時間プロットである。
【図4】単一処理空間を使用した本発明のさらなる実施形態におけるガスフローの時間プロットである。
【図5a−5b】本発明に従い基板を処理するための構成の概略図である。
【図6】2つの処理空間を使用した、移動基板を備えた実施形態の概略図である。
【図7】繰り返し処理空間のシーケンスを有する装置の実施形態の図である。
【図8】2つの処理空間を使用した連続堆積プロセスの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明によれば、大気圧プラズマを用いた原子層堆積(ALD)プロセスを実行するための改善された方法が提供される。ALDプロセスは、材料、例えばAl、HfO、Ta、及び他の多くの材料の原子層の無欠陥コーティングを堆積するために使用することができる。従来技術の方法は、適正な動作のために、典型的には50mTorrから10Torrの間の低圧、及び/又は高温を必要とする。
【0044】
化学気相堆積(CVD)及び物理気相堆積(PVD)とは異なり、原子層堆積(ALD)は飽和表面反応に基づく。ALDプロセスの固有の表面制御機構は、基板と前駆体分子との間の連続的に行われる個々の表面反応の飽和に基づく。飽和機構は、膜成長速度を、CVDやPVDでのような反応物濃度又は成長時間ではなく、反応サイクル数に正比例させる。
【0045】
ALDは自己制限的な反応プロセスである。すなわち、表面に付着する前駆体分子の量は、反応表面部位の数によってのみ決定され、飽和後の前駆体曝露と無関係である。
【0046】
前駆体としてトリメチルアルミニウム(TMA)を使用し、反応剤として水蒸気を使用した、固定基板6上へのAlの例示的原子層堆積に関する図1に示されるように、実際のALDサイクルは4つのステップからなる。
【0047】
ステップA:反応表面部位(この場合、図1の(A)で示されるようにSi基板6の表面上のヒドロキシル基)を提供することにより、表面6を原子層堆積のために調整する。
【0048】
ステップB:前駆体を投与する。このステップ中、前駆体分子(TMA)は、図1の(B1)で示されるように、反応表面部位と反応する。この結果、多かれ少なかれCH等の揮発性の他の反応生成物とともに、反応部位を介して基板6に付着した前駆体分子が得られる。これらの揮発性生成物は、可能性のある過剰の材料とともに処理空間から排出され、理想的には、図1の(B2)で示されるように、前駆体の単一層が基板6の表面に付着したままとなる。
【0049】
ステップC:反応剤(水蒸気)が基板6の表面の近くに導入され、前駆体の単一層と反応して、図1の(C1)で示されるように、所望の材料(Al)の単一層及び多かれ少なかれ揮発性反応生成物(CH等)を形成する。表面では、Alに付着したヒドロキシル基の形態で反応部位の分布が保たれる。揮発性反応生成物及び未反応剤は、図1の(C2)で示されるように排出される。
【0050】
追加の単一層を堆積させるために、ステップB及びCのサイクルを繰り返してもよい。各サイクルで1層の原子層を堆積させることができ、これにより膜厚及び膜品質の非常に正確な制御が可能となる。理論的には、最大成長速度は1サイクルあたりちょうど1層の単一層であるが、ほとんどの場合、様々な理由により成長速度は単一層の0.2〜0.5、即ち0.25〜0.3に制限される。これらの理由の1つとして、吸収された前駆体分子による立体障害が挙げられる。
【0051】
本発明によれば、反応を達成するためにステップCにおいて大気圧プラズマが使用される。ステップC中、図1に示される例における水蒸気等の反応剤が挿入され、プラズマを使用して配位子の除去を促進しそれらを他の原子又は分子で置換する。前駆体としてTMAを使用した上述の例示的な場合では、配位子はメチル基により形成され、酸素原子及びヒドロキシル基で置換される。これらのヒドロキシル基は、ステップBから再びプロセスサイクルを開始するのに適している。
【0052】
ALDプロセスは、従来技術に記載されるように行うことができるが、ただし標準的な低圧誘導結合プラズマ(ICP)又はRFプラズマが大気圧プラズマステップで置き換えられる。結果として、関与する全てのステップを大気圧下で行うことができる。
【0053】
本発明は、基板6がポリマー箔等の高温に耐えることができない材料である場合に有利に使用することができる。しかし、本発明はポリマー箔に限定されず、表面上に活性部位を保持する全ての種類の基板6を使用することができる。基板6は、例えば、セラミック、ガラス、ウエハ、熱硬化性及び熱可塑性ポリマー等から選択することができる。
【0054】
本発明の方法のステップAにおいて、使用される基板の表面には反応表面部位が提供される。これは、例えばCVDステップにより行うことができる。このCVDステップ中、堆積は均一でなければならず、基板表面にわたり活性部位の均一な分布を提供しなければならない。図1の例では、これらの活性表面部位はSi−OH基である。これらのSi−OH基は、前駆体分子との反応に適している。しかし、本発明はこの特定の実施形態に限定されない。肝要なのは、基板の表面が、前駆体分子と反応することができる活性部位を備えていることである。一実施形態において、そのような表面活性部位はヒドロキシル基を含み、他の実施形態において、活性表面部位はNH−又はNHR−基(式中Rは短鎖脂肪族基又は芳香族基であってもよい)を含み得る。これらの活性基は、Si、Ti、Al、Fe等の様々な原子と連結していてもよい。P又はSを用いてさらなる活性部位を想定することができる。
【0055】
ステップBにおいて、基板の活性表面部位は前駆体分子と反応する。これらの前駆体分子は、有機金属化合物及びハロゲン化物等、又はハロゲン化物と有機配位子の両方を含む物質から選択され得る。これらの前駆体の元素は、例えば、コバルト、銅、クロム、鉄、アルミニウム、ヒ素、バリウム、ベリリウム、ビスマス、ホウ素、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、鉛、マグネシウム、マンガン、水銀、モリブデン、ニオブ、オスミウム、リン、白金、ルテニウム、アンチモン、ケイ素、銀、硫黄、タンタル、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム等から選択することができる。複数の元素を含む前駆体分子もまた使用可能である。これらの分子の例は、ビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナート)コバルト(II);(N,N’−ジ−sec−ブチルアセトアミジナート)銅(I);(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナート)銅(I);ビス(N,N’−ジ−tert−ブチルアセトアミジナート)鉄(II);ビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナート)ニッケル(II);アルミニウムsec−ブトキシド;ジエチルアルミニウムエトキシド;トリメチルアルミニウム、トリス(ジエチルアミド)アルミニウム;トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム;ジボラン(水素中10%);トリメチルホウ素;トリメチルガリウム;トリス(ジメチルアミド)アルミニウム;ジゲルマン(H2中10%);テトラメチルゲルマニウム;塩化ハフニウム(IV);ハフニウム(IV)tert−ブトキシド;テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(IV);テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV);テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV);ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(II);ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(II);ビス(エチルシクロペンタジエニル)マンガン;モリブデンヘキサカルボニル;ニオブ(V)エトキシド;ビス(メチルシクロペンタジエニル)ニッケル(II);ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(II);シクロペンタジエニル(トリメチル)白金(IV);ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II);トリス(ジメチルアミド)アンチモン;2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン;ジメトキシジメチルシラン;ジシラン;メチルシラン;オクタメチルシクロテトラシロキサン;シラン;トリス(イソプロポキシ)シラノール;トリス(tert−ブチルオキシ)シラノール;トリス(tert−ペントキシ)シラノール;ペンタキス(ジメチルアミド)タンタル(V);トリス(ジエチルアミド)(tert−ブチルイミド)タンタル(V);ビス(ジエチルアミノ)ビス(ジイソプロピルアミノ)チタン(IV);テトラキス(ジエチルアミド)チタン(IV);テトラキス(ジメチルアミド)チタン(IV);テトラキス(エチルメチルアミド)チタン(IV);ビス(tert−ブチルイミド)ビス(ジメチルアミド)タングステン(VI);タングステンヘキサカルボニル;トリス(N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(III);ジエチル亜鉛;テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV);テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV);テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)である。これらの化合物の混合物もまた使用可能である。
【0056】
このステップBは、処理空間5(例えば後述の図5の説明を参照)内で行うことができ、そこでは反応部位を有する基板6が固定位置に位置して移動しない。前駆体がこの処理空間5に導入され、その後活性表面部位との反応が生じる。前駆体は不活性キャリアガスを介して加えられる。この不活性キャリアガスは、希ガス及び窒素から選択することができる。また、混合不活性ガスもキャリアガスとして使用可能である。キャリアガス中の前駆体濃度は10〜5000ppmとすることができ、表面反応を完了させるのに十分とするべきである。反応は、ほとんどの場合即時的である。活性表面部位と前駆体との間の反応が完了した後、処理空間5は、不活性ガス又は混合不活性ガス(前駆体のキャリアガスとして使用されたものと同じガス又は混合ガスであってもよいが、異なるガス又は混合ガスであってもよい)で排出又は洗浄される。このステップBは、最も好ましくは室温で行われるが、高温で実行されてもよく、ただしいずれの場合でも基板が劣化し始める温度を十分下回らなければならない。ポリエチレン等のプラスチックの場合、温度は例えば好ましくは80℃未満に維持しなければならないが、例えばウエハ、ガラス、又はセラミック等の場合は、温度は必要に応じて100℃を超えてもよい。前駆体分子を備えた基板6は次のステップまで保存されてもよく、又はすぐに次のステップに供されてもよい。
【0057】
一般に、ALDプロセスにおけるステップCは、高温及び減圧下で行われる。このステップにおいて、活性表面部位を介して基板6に付着した前駆体分子は、付着した前駆体の反応剤との熱反応又は低圧誘導結合プラズマ若しくは低圧RFプラズマにより促進された熱反応等の熱反応後に、前駆体分子から形成される、化学化合物の単一層に変換される。したがって、他の堆積ステップBに適した、前駆体分子から活性部位を有する化学化合物の単一層への完全な変換を得るために、従来技術では、ステップCは一般に高温、即ち100℃を超える温度、及び低圧で行われる。上述のように、従来技術の方法を用いると、加熱ステップに起因して、基板6として比較的低いガラス温度Tgを有する多数の熱可塑性ポリマーを使用することは不可能である。
【0058】
出願人は、驚くべきことに、反応剤と不活性ガス又は混合不活性ガスとの混合ガス中でプラズマが生成される大気プラズマを使用して、穏やかな温度及び大気圧下でステップCを行うことができることを見出した。不活性ガスは、希ガス及び窒素から選択することができる。混合不活性ガスは、希ガスの混合物又は希ガスと窒素の混合物であってもよい。ガス又は混合ガス中の反応剤濃度は、1%〜50%となり得る。反応剤は、基本的に、ステップBにおいて活性部位を介して基板6に付着した前駆体分子の配位子と反応する。この反応剤は、酸素、又は、オゾン、水、酸化炭素若しくは二酸化炭素等の酸素含有ガスであってもよい。反応剤はまた、NH、窒素酸化物、酸化二窒素、二酸化窒素等の窒素含有化合物を含み得る。
【0059】
一般に、大気圧プラズマは、2つの電極間に生成される。電極が、少なくとも前駆体分子で被覆された基板表面と同じ大きさの表面積を有している場合、基板6は2つの電極間の処理空間に固定することができる。上記基板6が電極面積よりも大きい場合、基板6は、好ましくは線速度で電極ギャップを移動する必要がある。
【0060】
大気プラズマは、当技術分野では既知のいかなる種類の大気プラズマであってもよい。パルス大気圧グロー放電(APG,atmospheric pressure glow discharge)プラズマを使用すると非常に良好な結果が得られる。最近まで、これらのプラズマは安定性の悪さという弊害を被ってきたが、例えば米国特許第6774569号明細書、欧州特許出願公開第1383359号明細書、欧州特許出願公開第1547123号明細書、及び欧州特許出願公開第1626613号明細書に記載のような安定化手段を使用して、非常に安定なAPGプラズマを得ることができる。一般に、これらのプラズマは、プラズマ中の局所的不安定性を解消する安定化手段により安定化される。
【0061】
ステップCの後、ステップCで形成された化学化合物の単一層を備えた基板が得られる。この単一層自体もまた、ステップB及びCを繰り返すのに適した活性部位を有し、それにより基板にいくつかの単一層を重ねて適用することができ、10、20、50、100、さらには200層もの層を重ねて適用することができる。
【0062】
ある特定のサイクルにおいて前駆体を変更することにより、異なる組成の単一層を重ねて適用することができ、これにより非常に特異的な特性を得ることが可能となる。
【0063】
本発明のALD法のステップを実行するための様々な実施形態が存在する。
【0064】
一実施形態において、ステップは単一の処理空間5内で行われる(例えば後述の図5aを参照して説明される実施形態を参照)。この実施形態において、基板6は処理空間5内の固定位置にある。ステップBの前駆体分子の堆積中は、基板6は固定位置にあることができ、ステップCの大気プラズマでの処理中は、基板6は固定位置にあることができるが、電極のサイズと比較した基板6のサイズに依存して、線速度を有してもよい。
【0065】
満足し得る単一層堆積法を得るためには、ガスフローを制御する方法を得ることが重要である。一実施形態において、前駆体を含む混合ガスが処理空間5に加えられて反応が完了した後、処理空間は(混合)不活性ガスで洗浄され、その後、活性ガスを含む(混合)不活性ガスが処理空間内に導入され、プラズマが点火され、基板のサイズが電極よりも大きい場合には基板6がプラズマ空間を線速度で移動する。この後、処理空間5は再び(混合)不活性ガスで洗浄され、所望の数の単一層が得られるまでステップB及びCを繰り返すことができる。この方法において、前駆体材料は、(混合)ガスとしてパルス的に提供され、反応剤もまた、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に導入され、この方法は、前駆体材料のパルス供給及び反応剤のパルス導入のそれぞれの後で、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するステップをさらに含む。これは、一実施形態として図2に概略的に示されており、前駆体としてTMA、洗浄ガスとしてアルゴン、及び反応剤として酸素が使用されている。
【0066】
他の実施形態(図3のタイミング図で概略的に示される)において、前駆体材料(この例ではTMA)が不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に供給され、反応剤(酸素)が(アルゴンとともに)混合不活性ガスとして連続的に供給されるが、これは、処理空間5内に導入される混合不活性ガスが反応剤を連続的に含み、前駆体が不連続的に加えられることを意味する。この実施形態は、前駆体及び反応剤が気相中では互いに反応しない、又は実質的に反応しない場合に可能である。この実施形態において、ガス供給法は第1の実施形態よりも幾分単純である。この方法において、過剰の材料及び反応生成物は、前駆体材料のパルス供給及び放電プラズマのパルス適用のそれぞれの後に、反応剤を含む不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して処理空間から排出される。
【0067】
さらに他の実施形態において、図4のタイミング図で示されるように、前駆体材料(TMA)は、混合不活性ガスとして基板の表面近くの第1の層のみに連続的に提供され、反応剤(酸素)は、不活性ガス(アルゴン)又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして前記第1の層の上方の第2の層に連続的に導入される。この実施形態においては、層流が必須条件である。この実施形態は、前駆体及び反応剤が互いに反応しない、又は実質的に反応しない場合に有利に適用される。しかし大気プラズマ処理はパルス的に行われ、それにより本方法は、前駆体を活性表面部位と反応させるプラズマオフ時間と、表面に付着した前駆体分子が必要な化学物質に変換されるプラズマオン時間とを含む。この実施形態ではプロセス中に様々な混合ガスの組成が変化しないが、層流を提供するためにはフローの制御が重要である。
【0068】
上述の実施形態は全て、1つの処理空間5が利用可能な場合に適用され得る。方法は、少なくとも2つの処理空間1、2を使用する際にも適用可能であり、第1の処理空間1は前駆体の活性表面部位との反応に使用され、第2の処理空間2は大気プラズマ処理に使用される(後述の図5B及び6の実施形態を参照)。この実施形態では、ガス組成及びガスフローの制御がより容易であり、より高い効率を得ることができる。この実施形態において、基板6は処理空間1及び2を通して連続的に移動される。プラズマ処理ステップにおいて生じる関連した反応は非常に急速であるため、1m/分の移動速度が非常に一般的であるが、10m/分等のより速い速度を使用することができ、ある特定の場合においては、100m/分もの速い速度を使用することができる。この実施形態におけるガスフローは連続的であってもよく、処理空間1においては前駆体を含む(混合)不活性ガス、及び処理空間2においては反応剤を含む(混合)不活性ガスが導入される。この実施形態のさらなる利点は、第1の処理空間1及び第2の処理空間2における温度は同じである必要がないということであるが、ポリマー基板の場合は、温度は好ましくはガラス転移温度を下回るべきであり、これはあるポリマー基板では100℃を下回る可能性があるが、両方の処理空間1、2において100℃を上回る可能性もある。さらなる実施形態(後述の図5bの説明を参照)において、基板6は、1つの処理空間から他の処理空間へ、連続的ではなく断続的に移動するが、処理中は基板6は移動しない。
【0069】
さらに他の実施形態において、処理空間1及び2、並びに処理される基板6はループを形成し、これによりステップB及びステップCのシーケンスは、原理的に無限に繰り返されることが可能である。この実施形態の実践が図6及び図8に概略的に示されており、これについては以下で詳細に説明する。
【0070】
さらに他の実施形態において、複数の第1の処理空間1及び第2の処理空間2が交互に配置される。この実施形態では、連続的プロセスを使用して、同じ又は異なる組成の様々な単一層を重ねて適用することができる。第1の処理空間1及び第2の処理空間2の構成に関し厳密な要件はない。処理空間1、2は、直線状、環状、又は連続プロセスに適した他のいかなる構成で配置されてもよい。
【0071】
さらに他の実施形態において、処理空間2内で、例えば1Torr、又は10、20、若しくは30Torr等の圧力で減圧プラズマを使用することができる。
【0072】
さらに他の実施形態において、処理空間1及び2は分離しているが、これはまず処理空間1内で前駆体分子が基板6の活性部位に付着し、この修飾された基板6が、この基板6が安定となる条件下で保存され、別の時点で基板6が処理空間2内で処理され、プラズマ処理に供されることを意味する。
【0073】
本発明はまた、本発明の方法を行うように構成された装置に関する。
【0074】
図5aに概略的に示される一実施形態において、装置は、処理空間5と、基板6が配置される該処理空間5内に大気圧プラズマを生成するためのプラズマ発生器10とを備える。プラズマ生成のために、基板6は、(図5aにおいて基板6の接地で示されるように)プラズマ発生器の電極の1つの誘電体として機能することができる。代替として、大気プラズマは、処理空間5内で2つの電極間で生成され得る。装置は、ガス供給手段15をさらに備える。この実施形態において使用される様々な成分(前駆体、反応剤、(混合)不活性ガス)は、例えばガスボックス又はガス供給手段15を使用して空間5内に射出される。ガス供給手段15は様々なガス容器を備えてもよく、様々なガス成分を均質に混合することができる混合手段を備え、同時に異なる組成の様々な混合物を正確に提供するか、又は様々な混合ガスを順次提供し、また長期にわたり安定したガスフローを維持することができる。ガス供給手段15は、前駆体、反応剤、及び排出用ガスをパルスによりプロセスに供給することができる、2つ、3つ、又はそれより多くの出口を備えるガスシャワーヘッドからなってもよい。しかし、堆積の均一性のためには徹底した混合が重要である。
【0075】
この設定では、上述の図2及び3の実施形態の場合に、高速切替バルブ17、18が使用され、単一又は複数のガス流がパルス的に適用される。したがって、例えば図2に示されるプロセスにおいて、様々な混合ガスを同時に調製することができ、これはつまり、ガス添加のシーケンスがバルブ17(の組)により制御されることを意味する。したがって、ステップBを実行するときに、バルブ17は前駆体を含む混合ガスに切り替えられて前駆体を含むガスのパルスが可能となり、このパルス後に、このバルブ17(又は他のバルブ17)は、排出のための不活性ガス組成物に切り替えられ、その後、バルブ17は、ステップCを実行するために反応剤を含むガス組成物に切り替えられる。最終ステップとして、バルブ17は、別の排出ステップのために不活性ガス組成物に切り替えられる。バルブ17は、当業者には既知であり、したがってこれ以上詳述しないが、ガスフローにおける混合を防止し遅延時間を削減するために処理空間5に可能な限り近くに設置される。拡散によるガスの混合を制限するためには、1m/sを超える幾分高いガスフローが必要である。さらに、上で説明されたように、図5aに示されるような実施形態の前駆体射出は、前駆体のフローを限定し拡散を制限するために、基板6の表面に可能な限り近くでなければならない。そのようにしてALDモードを維持することができる。これを達成するために、例えば、図5aに示されるように、独自のバルブ18が設けられた別個の射出チャネル16を使用して、前駆体ガスが空間5に射出される。
【0076】
任意選択の特徴として、装置は、例えば移送機構の形態で、処理空間5を通して基板6を線速度で移動させる移動手段を備えてもよい。
【0077】
図5bに概略的に示されるさらなる実施形態において、装置は、第1の処理空間1に様々な混合ガスを提供するためのガス供給手段15を備えた処理空間1を備える。混合ガスは、前駆体及び不活性ガス若しくは混合不活性ガス、又は、不活性ガス若しくは混合不活性ガスを含み得る。ガス供給手段15は様々なガス容器を備えてもよく、またガス供給手段15は、様々なガス成分を均質に混合することができる混合手段を備え、同時に異なる組成の様々な混合物を正確に提供するか、又は異なる混合ガスを順次提供し、また長期にわたり安定したガスフローを維持することができる。ガス添加のシーケンスは、バルブ17(の組)によって制御することができる。したがって、処理空間1内で本発明のステップBを実行するときに、バルブ17は前駆体を含む混合ガスに切り替えられて前駆体材料を含むガスのパルスが可能となり、このパルス後にこのバルブ17又は他のバルブ(図示せず)は、排出のための不活性ガス組成物に切り替えられる。さらに、この実施形態の装置は、大気圧プラズマを生成するためのプラズマ発生器10を備えた第2の処理空間2と、第2の処理空間2に様々な混合ガスを提供するための射出チャネル16とを備える。混合ガスは、反応剤と不活性ガス若しくは混合不活性ガスとの混合物、又は不活性ガス若しくは混合不活性ガスを含む。射出チャネル16はさらなるガス供給手段に接続されてもよく、該手段はまた、様々なガス容器と、様々なガス成分を均質に混合することができる混合手段とを備えてもよく、同時に異なる組成の様々な混合物を正確に提供するか、又は様々な混合ガスを順次提供し、また長期にわたり安定したガスフローを維持することができる。処理空間2においても、ガス添加のシーケンスは、バルブ18(の組)により制御され得る。基板6が第2の処理空間2に進入した後、大気放電プラズマを点火することによりステップCを実行するために、バルブ18は反応剤を含むガス組成物に切り替えられ、最終ステップとして、バルブ18は排出ステップのために不活性ガス組成物に切り替えられる。装置は、例えば移送ロボットの形態で、第1の処理空間1から第2の処理空間2に基板6を移動するための移送手段20をさらに備える。
【0078】
図5a及び5bに示されるような上述の実施形態は、以下の共通の要素を有する。処理空間1、2;5における基板6の表面上への原子層堆積のための装置であって、前記装置は、処理空間1、2;5に様々な混合ガスを提供するためのガス供給手段15、16を備え、ガス供給手段15、16は、反応表面部位を前駆体材料分子と反応させて、基板6の表面に反応部位を介して付着した前駆体分子の単一層で被覆された表面を得るために、処理空間1、2;5に前駆体材料を含む混合ガスを提供するように構成される。続いて、付着した前駆体分子を活性前駆体部位に変換することができる反応剤を含む混合ガスが提供され、前記装置は、前記反応剤を含む混合ガス中で大気圧プラズマを生成するためのプラズマ発生器10をさらに備える。さらに、ガス供給手段15、16はバルブ手段17、18を備え、様々な混合ガスを連続的又はパルス的に提供し、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するために、前記ガス供給手段15、16がバルブ手段17、18を制御するように構成される。ガス供給手段15、16は、基板6の表面の近くに位置する射出バルブ18を有する射出チャネル16を備え、導入チャネル16のみを使用して基板6の表面の近くの第1の層に前駆体材料を連続的に提供し、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして反応剤を前記第1の層の上の第2の層に連続的に導入するために、前記ガス供給手段15、16がバルブ手段17及び射出バルブ18を制御するように構成される。
【0079】
この装置実施形態のさらなる代替例において、移送手段20は、第1の処理空間1から第2の処理空間2へ(並びに、本発明のステップB及びCを繰り返す場合はその逆)、基板6を線速度で連続的に、又は断続的に移動させるように構成される。
【0080】
基板6が無限のウェブ基板の形態で提供されるさらなる装置実施形態を図6に概略的に示す。装置は、2つの主駆動シリンダ31及び32を備え、これらは引張ローラ33並びに処理ローラ34及び35を介して基板6を駆動する。処理ローラ34は、本発明のステップBを行うための第1の処理空間1に沿って基板6を駆動し、処理ローラ35は、本発明のステップCを行うための第2の処理空間2に沿って基板6を駆動する。
【0081】
さらなる装置実施形態において、基板6は、図8に示されるように回転可能なシリンダ51の周りに巻かれる。シリンダ51が回転すると、基板6は、本発明のステップBを行うための処理空間1を通過し、さらに回転すると、本発明のステップCを行うための処理空間2を通過する。この実施形態において、原子層の連続的堆積を達成することができる。シリンダ52の駆動は、図8に示されるようにシリンダ52に接続された駆動シャフト52を駆動するモータ53を使用して達成され得る。基板6の洗浄は、図8において参照番号50で示されるように、シリンダ52の周りに処理空間1又は2が存在しない段階で行うことができる。
【0082】
さらなる装置実施形態において、図7a、b、及びcに概略的に示される様々な実施形態に示されるように、装置は第1及び第2の処理空間1及び2(或いは、処理空間47)のシーケンスからなる。これらの実施形態において、ウェブ等の形態の基板6は、巻戻しローラ41から巻取りローラ42に移送される。巻戻しローラ41と巻取りローラ42との間には、複数の引張ローラ46が位置している。これにより、第1及び第2の処理空間1及び2の順序で基板6を線速度で連続的に又は断続的に移動させることができる。様々な処理空間1、2が、前駆体及び反応剤を制限された領域内に保持するためのロックを備えてもよい。この実施形態の装置は、フレキシブル基板上に様々な層を堆積させるのに非常に適しており、このとき処理される基板6は巻戻しロール41から巻き戻され、処理された基板6は巻取りロール42に再び巻き取られる。
【0083】
図7aに示されるような代替実施形態において、基板6はまず、例えば上述のように本発明に従い第1の前処理ステップAを実行するための前処理空間45で処理される。次いで、基板6は引張ローラ46に沿って第1の処理シーケンスローラ43に移動する。第1の処理シーケンスローラ43の外周に沿って第1及び第2の処理空間1、2のシーケンスが位置するが、示された実施形態においては2つの対が位置しており、これにより基板6上に2つの原子層を提供することができる。次いで基板6はさらなる引張ローラ46に沿ってさらなる処理シーケンスローラ44(又は、さらには複数のさらなる処理シーケンスローラ44)に移動されるが、この処理シーケンスローラも第1及び第2の処理空間1、2のシーケンスを備える。
【0084】
図7bには代替の構成が概略的に示されている。巻戻しローラ41と巻取りローラ42との間には、多数の引張ローラ46が設けられている。第1の引張ローラ46の周縁部には、本発明のステップAが基板6に適用される前処理空間45が設けられている。さらなる引張ローラ46に、ステップB及びCが基板6に適用される処理空間47が設けられてもよい。代替として、ステップB又はステップCを交互に適用するために後続の処理空間47が配置されてもよい。
【0085】
図7cにはさらなる代替の構成が概略的に示されている。巻戻しローラ41と巻取りローラ42との間には、複数の引張ローラ46が設けられている。2つの引張ローラ46の間には、本発明のステップB及びステップCを交互に適用するために、第1の処理空間1又は第2の処理空間2が設けられる。
【0086】
装置実施形態に使用されるプラズマは、好ましくは連続波プラズマである。より好ましいプラズマは、パルス大気放電プラズマ又はパルス大気グロー放電プラズマであり得る。さらに好ましいのは、オン時間及びオフ時間を特徴とするパルス大気グロー放電プラズマの使用である。オン時間は、非常に短い時間、例えば20μsから、短い時間、例えば500μsまで変動し得る。この結果、オン時間の総持続時間で、動作周波数での一連のサイン波期間を有するパルス列が効果的に得られる。
【0087】
大気グロー放電プラズマ用の設定において使用される回路は、好ましくは、プラズマ中の不安定性を相殺するために安定化手段を備える。プラズマは、広範な周波数を提供する電源4(図5a、5bを参照)を使用して生成される。例えば、該電源はオン時間中に低周波数(f=10〜450kHz)電気信号を提供することができる。また、例えばf=450kHz〜30MHz等、高周波数電気信号を提供することもできる。また、450kHz〜1MHz又は1〜20MHz等、他の周波数も提供することができる。プラズマ電極は様々な長さ及び幅を有することができ、電極間距離は使用される基板に依存し得る。好ましくは電極ギャップは3mm未満であり、これにより処理される基板の厚さが2mm程まで許容され、より一般的には電極ギャップは1mmであり、これにより基板の厚さが0.5mm程の高さまで許容される。
【0088】
2つの処理空間1、2を有する実施形態において、処理空間2は、例えば1Torr又は10、20、30Torrの圧力で減圧グロー放電プラズマを使用することもできるように構成され得る。
【0089】
本発明は、様々なALD用途に有利に適用することができる。本発明は半導体用途に限定されず、パッケージング、有機LED(OLED,organic LED)又は有機薄膜トランジスタ(OTFT,organic thin film transistor)用途等のプラスチック製電子機器等の用途にまで拡張することもできる。また、例えば高品質光電池をフレキシブル基板上に製造することもできる。実際に、本発明の方法及び装置は、基板上への様々な単一層の堆積を必要とするいかなる用途にも使用可能である。
【0090】
大気圧での材料の段階的な堆積に起因して、達成可能な総堆積速度は、低圧条件でのものよりも大幅に速い。本発明を使用して、膜厚がわずか10〜20nmの非常に高品質のバリア膜(10−5〜10−6g/m/日の水蒸気透過速度(WVTR,water vapor transmission rate))を得ることができる。そのような薄い厚さはまた、機械的ストレスに対する耐性の改善も示唆している。
【実施例1】
【0091】
ステップA:TEOS(テトラエトキシシラン、tetraethoxysilane)又はHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン、hexamethyldisiloxane)から非常に薄いSiO2膜が堆積する短いCVDステップによって、ポリマー表面をALD反応が起こりやすいようにする。薄いSiO2表面がSi−OH基により終端され、図1の参照符号(A)で示される基板6に対応する表面層を形成する。
【0092】
ステップB:第1の実施形態において、電極ギャップ(基板6の表面の上方)を洗浄するために前駆体と反応剤との間の排出ステップを維持しながら、TMA前駆体及び酸素ガスのパルスを交互に与える。排出ステップは、不活性ガス(この場合Ar)を使用して行うことができる。これは、単一のサイクル時間の間のそれぞれのガスフロー及びAPGプラズマパルスを示す、図2の時間プロットに概略的に示される。大気圧に起因して、TMAはヒドロキシル基と非常に速やかに反応する。TMAの典型的な濃度は200mg/hrである。
【0093】
ステップC:ギャップを洗浄して前駆体を除去した後、アルゴン中10%の濃度の酸素を導入する。続いて、単一のパルス列、又はパルス列の短いシーケンスとして、安定化された大気グロー放電プラズマを点火し、基板6の表面を完全に酸化する。これは、サイクル時間を1秒とした例について以下の表に示される。
【0094】
【表1】

【0095】
この実施形態におけるプラズマ条件は、誘電体バリア放電形態を使用し、周波数が150kHzであり、DBD電極と基板6との間のギャップ幅1mmであった。用いた総プラズマ処理時間は100msである。
【0096】
この酸化ステップの後、放電容積を不活性ガス(図2を参照)で洗浄し、サイクルを繰り返した。
【実施例2】
【0097】
さらなる実施例において、図3に概略的に示されるように、ステップA及びステップBの両方において連続的反応ガス(例えばアルゴン中10%の酸素)流を使用し、一方パルスTMA前駆体処理を用いる。0.8秒の全サイクル時間の間、アルゴン及び酸素を連続的に導入する。この実施形態におけるプラズマ条件は、上述の実施形態に関し説明された条件と同じである。
【0098】
【表2】

【実施例3】
【0099】
この実施例においては、図4の時間プロットに示されるように、TMAの投入も連続的であり、ALDプロセスを促進するためにAPGプラズマのみがパルス的に加えられる。化学気相反応を低減するために、TMAフローは、Alが堆積されるべき表面6に非常に近接した領域に制限されなければならない。この実施形態では、以下の表に示されるように、わずか0.3秒という非常に短いサイクル時間を得ることができる。
【0100】
【表3】

【0101】
ここでもプラズマ条件は上述の2つの実施例における条件と同じである。
【実施例4】
【0102】
図6の連続ループ構成において、前駆体反応ステーション(又は第1の処理空間1)及び反応剤ステーション(又は第2の処理空間2)は交互に設けられる。本実施例において、この単純な設定は、ポリマー基板上への無機層の堆積に使用された。引張ローラ46を備えるダンサーロールシステムを使用して良好なウェブ配列を維持した。ポリマーシートを20、50及び100回ALDプロセスラインに移送することにより、非常に均一なコーティングが達成された。
【0103】
【表4】

【0104】
典型的な線速度は1m/分であった。均一な放電を維持するために変位電流制御を使用してプラズマを安定化し、したがって表面上の反応速度が増加した。
【0105】
層の厚さは、インライン型の分光偏光解析法(SE,Spectroscopic Ellipsometry)により特性決定し、ALDプロセスを通過した数の関数として層の成長を決定した。さらに、これらの3つのサンプルに対し、水蒸気透過速度(WVTR)を決定した。結果を以下の表に示す。
【0106】
【表5】

【0107】
上記のように、層の厚さの成長は通過数に対して線形性を有しており、これは各サイクルの間に1層の原子層が堆積していることを示唆している。さらに、無機層のWVTR性能が、層の厚さの関数として改善することが分かる。
【0108】
微小空洞内で点火したAPGプラズマを使用することで、堆積膜の非常に速い堆積速度と優れた適合性を達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面上への原子層堆積の方法であって、反応表面部位を提供することにより原子層堆積のために前記表面を調整するステップと;反応表面部位を前駆体材料分子と反応させて、前記基板表面に反応部位を介して付着した前駆体分子の単一層で被覆された表面を得るために、前駆体材料を前記表面に提供するステップと;続いて、前記前駆体分子で被覆された表面を、前記付着した前駆体分子を活性前駆体部位に変換しうる反応剤を含む混合ガス中で生成された大気圧プラズマに曝露するステップとを含む方法。
【請求項2】
基板(6)が、ポリマー材料のフレキシブル基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板(6)が、最大2mmの厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
反応剤が、酸素等の反応ガス、酸素含有剤、窒素含有剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
基板が合成材料表面を備えている、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
原子層堆積のために基板の表面を調整するステップが、前記表面に反応基を提供するステップを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
反応剤混合物が、希ガス、窒素、及びこれらのガスの混合物から選択される不活性ガスをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前駆体材料が第1の処理空間内で表面に提供され、該表面が前記第1の処理空間内で曝露される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前駆体材料が、不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に提供され、反応剤が、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に導入される請求項8に記載の方法であって、
各前駆体材料のパルス供給後及び反応剤のパルス導入後に、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するステップをさらに含む方法。
【請求項10】
前駆体材料が、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに混合ガスとしてパルス的に提供され、反応剤が、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして連続的に導入される請求項8に記載の方法であって、
前駆体材料のパルス供給後、及び大気圧グロー放電プラズマの適用中に、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するステップをさらに含む方法。
【請求項11】
前駆体材料が、基板の表面の近くの第1の層のみに連続的に提供され、反応剤が、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして前記第1の層の上方の第2の層に連続的に導入される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
基板が固定された位置にある、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前駆体材料が、第1の処理空間(1)内で表面に提供され、前記表面が、第2の処理空間(2)内で曝露され、前記第1の処理空間(1)と第2の処理空間(2)とは別個である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
基板(6)が、連続的又は断続的に移動している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1の処理空間(1)において、前駆体材料と不活性ガス又は混合不活性ガスとの混合物の連続的又はパルス的なフローが提供され、第2の処理空間(2)において、反応剤と不活性ガス又は混合不活性ガスとの混合物の連続的又はパルス的なフローが提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前駆体材料が、10ppm〜5000ppmの濃度で提供される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
反応剤と不活性ガスとの混合ガスが、反応剤を1%〜50%含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
大気プラズマが、パルス大気グロー放電プラズマである、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
パルス大気グロー放電プラズマが、プラズマ中の局所的不安定性を解消する安定化手段により安定化される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第2の処理空間(2)内で、表面が減圧グロー放電プラズマに曝露される、請求項13〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
処理空間(1、2;5;47)内での基板(6)の表面上への原子層堆積のための装置であって、
前記処理空間(1、2;5;47)に様々な混合ガスを提供するためのガス供給手段(15、16)であって、反応表面部位を前駆体材料分子と反応させて、前記基板(6)の前記表面に反応部位を介して付着した前駆体分子の単一層で被覆された表面を得るために、前記処理空間(1、2;5;47)に前駆体材料を含む混合ガスを提供し、続いて、前記付着した前駆体分子を活性前駆体部位に変換することができる反応剤を含む混合ガスを提供するように構成された、ガス供給手段(15、16)を備え、
前記反応剤を含む混合ガス中で大気圧プラズマを生成するためのプラズマ発生器(10)をさらに備える装置。
【請求項22】
動作中に基板(6)が位置する第1の処理空間(1)をさらに備え、ガス供給手段(15、16)が、請求項9〜12、16、17のいずれかに記載の方法を実施するようにさらに構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前駆体材料を含む混合ガスに基板(6)が供される第1の処理空間(1;47)と、反応剤を含む混合ガス及び大気圧プラズマに前記基板が供される第2の処理空間(2;47)と、前記第1の処理空間と第2の処理空間(1、2;47)との間で前記基板(6)を移動する移送手段(20)とをさらに含む、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
ガス供給手段(15、16)が、請求項13〜17のいずれかに記載の方法を実施するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
複数の第1及び第2の処理空間(1、2;47)が、環状又は直線状構成で交互に連続して配置される、請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
基板(6)が、連続的に移動するウェブを備える、請求項23、24、又は25に記載の装置。
【請求項27】
基板(6)が、断続的に移動するウェブを備える、請求項23、24、又は25に記載の装置。
【請求項28】
ガス供給手段(15、16)が、バルブ手段(17、18)を備え、様々な混合ガスを連続的又はパルス的に提供し、不活性ガス又は混合不活性ガスを使用して過剰の材料及び反応生成物を除去するために、前記ガス供給手段(15、16)がバルブ手段(17、18)を制御するように構成された、請求項21〜27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
ガス供給手段(15、16)が、基板(6)の表面の近くに位置する射出バルブ(18)を有する射出チャネル(16)を備え、導入チャネル(16)のみを使用して前記基板(6)の表面の近くの第1の層に前駆体材料を連続的に提供し、不活性ガス又は混合不活性ガスとともに、混合ガスとして反応剤を前記第1の層の上方の第2の層に連続的に導入するために、前記ガス供給手段(15、16)がバルブ手段(17)及び射出バルブ(18)を制御するように構成された、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
プラズマ発生器(10)が、大気圧グロー放電プラズマを生成するように構成された、請求項21〜29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
プラズマ発生器(10)が、プラズマ中の局所的不安定性を解消するために、パルス大気圧グロー放電プラズマを安定化させる安定化手段をさらに備えた、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
プラズマ発生器(10)が、減圧プラズマを提供するように構成された、請求項23〜29のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
基板(6)上に材料の層を堆積させるための、請求項21〜32のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項34】
基板(6)が、ポリマー材料のフレキシブル基板である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
基板(6)が、最大2mmの厚さを有する、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
基板(6)が、電子回路が提供される合成基板である、請求項33に記載の使用。
【請求項37】
フレキシブル基板(6)上にフレキシブル光電池を形成するためにプラズマ堆積装置が使用される、請求項33に記載の使用。
【請求項38】
堆積層を備える基板であって、前記堆積層が、請求項1〜20のいずれかに記載の方法、又は請求項21〜32のいずれかに記載の装置のいずれかを使用して堆積される基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a−5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−540128(P2009−540128A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515325(P2009−515325)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050270
【国際公開番号】WO2007/145513
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505232782)フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. (50)
【Fターム(参考)】