説明

尖端バンプの高さ測定装置

【課題】 半導体チップの尖端バンプの高さを測定する。
【解決手段】 尖端バンプを含む複数の半導体チップが形成された半導体ウェハ21の上方に面照射装置33が配置されて、面照射装置33が半導体ウェハ21の上面に光を照射する。一対の撮像装置34,35が、半導体ウェハの斜め上方に配置されて、半導体ウェハ21上の尖端バンプを含む半導体チップを斜め上方から撮像する。コンピュータ36は、一対の撮像装置34,35によって撮像された一対の画像に基づいて尖端バンプの底から先端までの長さをそれぞれ検出して、前記検出した一対の長さと、一対の撮像装置34,35の光軸が半導体ウェハ21の上面となす角度を用いて尖端バンプの高さを計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子をプリント基板に接続するために用いられるスタッドバンプ、円錐バンプ、三角錐バンプなどの尖端バンプの高さを測定する尖端バンプの高さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、搭載される電子部品は小型化が要望されるようになってきた。この要望に応えるべく、従来のリード付き電子部品に代わり、リード無しの表面実装型の電子部品が採用されるようになった。このように電子部品の占有面積を縮小するため、半導体素子をプリント基板上に直接搭載する半導体実装の分野の進展が著しい。この半導体素子とプリント基板を接合する半導体実装方法としては、半導体の電極を下面にして接合するフリップチップ実装方法がある。このフリップチップ実装方法では、半導体の電極上に形成されたスタッドバンプが用いられる。
【0003】
まず、このスタッドバンプの形成について説明すると、図13に時間経過に従って示すよう、キャピラリ1の貫通孔より、金を素材とした直径25μm程度の金属ワイヤ2を押し出し、金属ワイヤ2の先端を放電などにより加熱して球体状のAuボール3に加工する。次に、Auボール3を半導体素子4の電極5に圧着して、超音波振動を加えることにより、電極5の表面上にAuボール3を拡散させて接合する。このAuボール3は、塑性変形して台座部6aを形成する。この後、キャピラリ1を台座部6aから引き離すとともに金属ワイヤ2を引きちぎるようにして切り離し、スタッドバンプ6を形成する。このスタッドバンプ6においては、下部に台座部6aが形成され、台座部6aの上面には金属ワイヤ2による先端が尖った頭頂部6bが形成される。
【0004】
このようにして形成されたスタッドバンプ6を備えた半導体素子4は、図14に時間経過に従って示すように、スタッドバンプ6の形成面を下側にして、スタッドバンプ6の頭頂部6bを転写台7上に設けられた導電性接着剤8に浸漬させた後、半導体素子4を引き上げる。このとき、導電性接着剤8は、表面張力によりスタッドバンプ6に転写される。その後、半導体素子4をプリント基板9の所定の位置に位置決めした後、半導体素子4をプリント基板9の所定の位置の導体ランド10に圧着し、プリント基板9全体を適切な温度に加熱して、導電性接着剤8を硬化させる。これにより、フリップチップ実装方法による、半導体素子4とプリント基板9との接合が完了する。
【0005】
このような半導体素子のプリント基板への接合に利用されるスタッドバンプについて、スタッドバンプが半導体素子上に適正に形成されているかを検査する必要がある。この検査においては、下記特許文献1〜3に示されるように、撮像装置を用いて、スタッドバンプが形成された半導体素子の上方からスタッドバンプを撮像して、スタッドバンプの台座部及び頭頂部の位置、形状及び寸法を測定し、測定した位置、形状及び寸法が許容範囲にあるかを判定することにより、スタッドバンプを検査するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−55854号公報
【特許文献2】特開昭10−242219号公報
【特許文献3】特開2005−166743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術においては、スタッドバンプの高さを測定するものはなかった。スタッドバンプは、通常、金で形成されているために、表面は鏡面を構成している。そのために、スタッドバンプの表面に入射した光は散乱することなく、一方向へ反射される。したがって、スタッドバンプの台座部の上面にはほぼ平坦な部分が存在するために、同部分に上方から入射した光の多くは上方へ反射するために、スタッドバンプの台座部に関しては何とか撮像できる。しかしながら、スタッドバンプの頭頂部は尖っており、同頭頂部へ入射した光は、散乱することなく、しかも入射位置に応じて種々の異なる方向へ反射することになり、スタッドバンプの頭頂部を撮像することはできない。このために、従来技術では、スタッドバンプの高さを測定することはできず、スタッドバンプの高さに関する検査を行えなかった。また、スタッドバンプの場合と同様に、半導体素子上に形成された先頭の尖った円錐バンプ、三角錐バンプなどの尖端バンプの高さを測定することもできなかった。
【0008】
本発明者は、このような状況の中、尖端バンプの高さを測定することが可能な解決原理を発見した。具体的には、尖端バンプから反射する光による像を撮影するのではなく、尖端バンプの形成された半導体素子の表面(すなわち電極表面)にて反射される光が尖端バンプによって遮られた結果としての像(すなわち尖端バンプの影に相当)を撮影することにより、尖端バンプの形状、特に尖端バンプの頭頂部の形状を測定することに成功した。そして、この測定された尖端バンプの形状を用いて、尖端バンプの高さが測定される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記従来の問題に対処するためになされたもので、その目的は、前記解決原理を用いて、尖端バンプの高さを測定する尖端バンプの高さ測定装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、尖端バンプ(23)が上面に形成された半導体チップ(21a)の上方に配置されて、半導体チップの上面に光を照射する光照射手段(33)と、半導体チップの斜め上方に配置されて、尖端バンプを含む半導体チップを斜め上方から撮像する撮像手段(34,35)と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて尖端バンプの底から先端までの長さを検出して、前記検出した長さと、撮像手段の光軸が半導体チップの上面となす角度とを用いて尖端バンプの高さを計算する高さ検出手段(36,S12〜S15)とを備えたことにある。
【0011】
上記のように構成した本発明においては、光照射手段によって半導体チップの上面に光が照射されると、半導体チップの上面からの反射光はあらゆる方向に散乱して、その一部は撮像手段に入射する。一方、尖端バンプは一般的には金などによって形成されていて、その表面は鏡面であるので、光照射手段によって照射された光による尖端バンプからの反射光は特定の方向にしか進行せず、撮像手段にはほとんど入射しない。特に、尖端バンプの頭頂部は尖っているので、尖端バンプの頭頂部からの反射光は全くと言ってよいほど撮像手段には入射しない。したがって、尖端バンプを除く半導体チップの表面にて反射される光のうちで、尖端バンプによって遮られた結果としての像(すなわち尖端バンプの影に相当)が撮像手段によって撮像されることになる。その結果、高さ検出手段が、撮像手段によって撮像された画像に基づいて尖端バンプの底から先端までの長さが検出して、前記検出した長さと、撮像手段の光軸が半導体チップの上面となす角度とを用いて尖端バンプの高さを計算するので、尖端バンプの高さが検出される。これにより、本発明によれば、比較的簡単な構成で、尖端バンプの高さを測定でき、尖端バンプの検査をその高さをも含めて行うことができるようになる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、尖端バンプ(23)が上面に形成された半導体チップ(21a)の上方に配置されて、半導体チップの上面に光を照射する第1の光照射手段(33)と、半導体チップを挟んで半導体チップの斜め上方の両側に配置されて、尖端バンプを含む半導体チップを斜め上方からそれぞれ撮像する第1及び第2の撮像手段(34,35)と、第1及び第2の撮像手段によって撮像された第1及び第2の画像に基づいて尖端バンプの底から先端までの長さをそれぞれ検出して、前記検出した第1及び第2の長さと、第1及び第2の撮像手段の光軸が半導体チップの上面となす角度とを用いて尖端バンプの高さを計算する高さ検出手段(36,S12〜S15)とを設けたことにある。
【0013】
これによれば、第1及び第2の撮像手段により、第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の両側の尖端バンプの形状が第1及び第2の画像としてそれぞれ撮像される。そして、高さ検出手段が、前記撮像された第1及び第2の画像から検出した尖端バンプの底から先端までの第1及び第2の長さをそれぞれ検出し、前記検出した第1及び第2の長さと、第1及び第2の撮像手段の光軸が半導体チップの上面となす角度とを用いて尖端バンプの高さを計算する。この場合、高さ検出手段は、例えば前記計算した尖端バンプの2つの高さを平均化するなどの処理を行えば、尖端バンプの頭頂部が傾いていて、第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の尖端バンプの底から尖端までの長さの一方が誤差をもっていても、この誤差が是正されて尖端バンプの高さを精度よく検出できる。また、高さ検出手段は、2つの高さのうちで理想的な高さから離れている側の1つの高さを選択して、スタッドバンプの高さの検査が厳格に行われるようにしてもよい。
【0014】
さらに、本発明の他の特徴は、前記本発明の他の特徴に加えて、半導体チップの上方に配置されて、半導体チップの上面に光を照射する第2の光照射手段(44)と、半導体チップの上方に配置されて、尖端バンプを含む半導体チップを真上から撮像する第3の撮像手段(43)と、第3の撮像手段によって撮像された第3の画像に基づいて第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の尖端バンプの幅を検出する幅検出手段(45,S22〜S24)と、幅検出手段によって検出された幅を用いて高さ検出手段によって検出された尖端バンプの高さを補正する高さ補正手段(60,S31、S32)とを設けたことにある。
【0015】
前記第1及び第2の撮像手段によって撮像された第1及び第2の画像に基づいて、高さ検出手段によって計算される2つの高さは、実際には、第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の両側の尖端バンプの底から先端までの傾斜部の長さである。したがって、第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の両側の尖端バンプの幅が小さければ、高さ検出手段によって計算される尖端バンプの高さには大きな誤差は含まれない。しかし、この幅がある程度大きくなると、前記計算される尖端バンプの高さに大きな誤差が含まれることになる。この本発明の他の特徴によれば、幅検出手段が第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の尖端バンプの幅を検出し、高さ補正手段が幅検出手段によって検出された幅を用いて高さ検出手段によって検出された尖端バンプの高さを補正するので、前記誤差がなくなる。その結果、この本発明の他の特徴によれば、尖端バンプの高さをさらに精度よく検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るバンプ高さ測定装置の全体概略図である。
【図2】図1の第1測定装置の具体例を示すブロック図である。
【図3】図1の第2測定装置の具体例を示すブロック図である。
【図4】第1測定装置内のコンピュータによって実行される高さ測定プログラムを示すフローチャートである。
【図5】第2測定装置内のコンピュータによって実行される幅測定プログラムを示すフローチャートである。
【図6】統括コンピュータによって実行される高さ補正プログラムを示すフローチャートである。
【図7】(A)は半導体ウェハの一例を示す概略図であり、(B)は半導体ウェハを載せたXYステージの移動方向を説明するための説明図である。
【図8】半導体ウェハ内の一つの半導体チップのイメージ図である。
【図9】(A)は第1測定装置によるスタッドバンプの撮影画像を示す図であり、(B)は(A)の撮影画像を画像処理した後のスタッドバンプの撮影画像を示す図である。
【図10】(A)(B)は、スタッドバンプの実際の高さと、撮影画像によるスタッドバンプの測定高さとの関係を説明するための説明図である。
【図11】第2測定装置によるスタッドバンプの撮影画像を示す図である。
【図12】スタッドバンプの高さの補正演算を説明するための説明図である。
【図13】スタッドバンプの形成方法を説明するための説明図である。
【図14】スタッドバンプを形成した半導体素子のプリント基板に対する接続方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るバンプ高さ測定装置について説明すると、図1はバンプ高さ測定装置の全体概略図である。このバンプ高さ測定装置は、測定対象物である半導体ウェハを載置する資料テーブル20と、スタッドバンプの高さを測定するための第1測定装置30と、測定したスタッドバンプの高さを補正するためにスタッドバンプの幅を測定するための第2測定装置40と、半導体ウェハを移動させる搬送装置50と、このバンプ高さ測定装置の全体動作を制御する統括コンピュータ60とを備えている。
【0018】
資料テーブル20は、測定前の複数の半導体ウェハ21A及び測定後の複数の半導体ウェハ21Bを載置するためのテーブルである。複数の半導体ウェハ21A,21Bは、それぞれ資料テーブル20の所定の位置に所定の方向を向けて載置される。これらの複数の半導体ウェハ21A,21Bの一つの半導体ウェハ21を図7(A)に示す。この半導体ウェハ21は、マトリクス状に配置された複数の半導体チップ21aからなる。一つの半導体チップ21aを代表して図8に示す。この半導体チップ21a上には平板状の複数の電極22が形成され、複数の電極22上にはスタッドバンプ23がそれぞれ形成されている。このスタッドバンプ23に関しては、背景技術の項で説明したとおりである。
【0019】
第1測定装置30は、図2に示すように、1つの半導体ウェハ21を水平に載置させて同半導体ウェハ21をX方向及びY方向に移動させるXYステージ31を備えている。なお、X方向及びY方向は、水平方向の互いに直交する2方向である。このXYステージ31は、ステージドライバ32によってX方向及びY方向に駆動される。XYステージ31の上方には、面照射装置33が配置されている。面照射装置33は、マトリクス上に配置された複数のLEDと、複数のLEDの下方に設けられてLEDによって発光された光を全ての方向に拡散させる拡散板とを備え、半導体ウェハ21の上面全体を全ての方向から照射する。なお、拡散板は、例えば透明のアクリル板で構成されている。
【0020】
面照射装置33の左右両側には、一対の撮像装置34,35が配置されている。より厳密には、一対の撮像装置34,35は、後述する撮像時のXYステージ31の移動方向(図示左右方向)において、面照射装置33の中心に対して対称に位置する。そして、撮像装置34,35の光軸は、水平面すなわち半導体ウェハ21(半導体チップ21a)の上面に対して所定角度θだけ傾いた方向にある。この所定角度θは、例えば30度乃至60度の範囲内の角度である。これらの撮像装置34,35は、カメラ部34a、35a及びレンズ部34b,35bからそれぞれなる。カメラ部34a,35aは、複数のCCDを1列に配置したラインセンサと、その周辺制御回路とからなる。ラインセンサは、図2の紙面垂直方向に延設されており、その長さは、撮影された1つの半導体チップ21aの一辺であって、後述する撮像時のXYステージ31の移動方向に直交する方向の一辺の長さ(図7(A)の縦方向の一辺の長さ)に等しい。レンズ部34b,35bは対物レンズ、リレーレンズなど複数のレンズからなり、半導体ウェハ21の表面からの反射光による像をカメラ部34a,35aの各ラインセンサ上に結像する。
【0021】
ステージドライバ32及び撮像装置34,35には、CPU、ROM、RAM、その他のメモリなどからなるコンピュータ36が接続されている。このコンピュータ36は、統括コンピュータ60によって制御され、図4に示す高さ測定プログラムの実行により、ステージドライバ32を制御してXYステージ31のX方向及びY方向への移動を制御することにより(図7(B)参照)、撮像装置34,35による半導体ウェハ21の撮像位置を変更しながら、撮像装置34,35のカメラ部34a,35aからの画像データを入力し、入力した画像データに基づいてスタッドバンプ23の高さを計算する。
【0022】
第2測定装置40は、図3に示すように、1つの半導体ウェハ21を水平に載置させて同半導体ウェハ21をX方向及びY方向に移動させるXYステージ41を備えている。このXYステージ41は、ステージドライバ42によってX方向及びY方向に駆動される。XYステージ41の上方には、撮像装置43が配置されている。より厳密には、撮像装置43の光軸は、半導体ウェハ21(半導体チップ21a)の上面に対して垂直である。撮像装置43は、カメラ部43a及びレンズ部43bからそれぞれなる。カメラ部43aは、前記第1測定装置30の撮像装置34,35の場合と同様に、複数のCCDを1列に配置したラインセンサと、その周辺制御回路とからなる。この場合も、ラインセンサは、図3の紙面垂直方向に延設されており、その長さは、撮影された1つの半導体チップ21aの一辺であって、後述する撮像時のXYステージ41の移動方向(図示左右方向)に直交する方向の一辺の長さ(図7(A)の縦方向の一辺の長さ)に等しい。
【0023】
レンズ部43bは、対物レンズ43b1、ハーフミラー43b2、リレーレンズ43b3などを内蔵しており、半導体ウェハ21の表面からの反射光による像をカメラ部43aの各ラインセンサに結像する。また、レンズ部43bには、同軸照射装置44が組み付けられており、同軸照射装置44から出射された光はハーフミラー43b2によって反射されて、上方から垂直に半導体ウェハ21を照明する。
【0024】
ステージドライバ42及び撮像装置43には、CPU、ROM、RAM、その他のメモリなどからなるコンピュータ45が接続されている。このコンピュータ45は、統括コンピュータ60によって制御され、図5に示す幅測定プログラムの実行により、ステージドライバ42を制御してXYステージ31のX方向及びY方向への移動を制御することにより(図7(B)参照)、撮像装置43による半導体ウェハ21の撮像位置を変更しながら、撮像装置43のカメラ部43aからの画像データを入力し、入力した画像データに基づいてスタッドバンプ23の幅を計算する。
【0025】
搬送装置50は、資料テーブル20上の測定前の複数の半導体ウェハ21A中の1つの半導体ウェハ21を第1測定装置30のXYステージ31上に搬送して、同搬送した半導体ウェハ21を所定の向きにしてXYステージ31の所定の位置に載置する。また、搬送装置50は、第1測定装置30のXYステージ31上の高さ測定後の1つの半導体ウェハ21を第2測定装置40のXYステージ41上に搬送して、同搬送した半導体ウェハ21を所定の向きにしてXYステージ41の所定の位置に載置する。さらに、搬送装置50は、第2測定装置40のXYステージ41上の幅測定後の1つの半導体ウェハ21を資料テーブル20の複数の半導体ウェハ21B内に戻す。
【0026】
これらの半導体ウェハ21の搬送は、統括コンピュータ60により制御され、定常状態では、第1及び第2測定装置30,40による半導体ウェハ21の測定後、第2測定装置40から資料テーブル20への半導体ウェハ21の搬送、第1測定装置30から第2測定装置40への半導体ウェハ21の搬送、及び資料テーブル20から第1測定装置30への半導体ウェハ21の搬送の順に行われる。また、測定の初期においては、資料テーブル20から第1測定装置30への半導体ウェハ21の搬送のみが行われたり、第1測定装置30及び資料テーブル20から第2測定装置40及び第1測定装置30への半導体ウェハ21のそれぞれの搬送のみが行われたりする。また、測定の終了時においては、第2測定装置40から資料テーブル20への半導体ウェハ21の搬送のみが行われたり、第2測定装置40及び第1測定装置30から資料テーブル20及び第2測定装置40への半導体ウェハ21のそれぞれの搬送のみが行われたりする。
【0027】
統括コンピュータ60も、CPU、ROM、RAM、その他のメモリなどからなり、図示しないプログラムの実行により、前記搬送装置50による半導体ウェハ21の搬送を順次制御し、半導体ウェハ21の搬送後に第1測定装置30によるスタッドバンプ23の高さ測定を指示するとともに、半導体ウェハ21の搬送後に第2測定装置40によるスタッドバンプ23の幅測定を指示する。また、統括コンピュータ60は、図6に示す高さ補正プログラムの実行により、第1測定装置30によるスタッドバンプ23の高さ測定結果を、第2測定装置40によるスタッドバンプ23の幅測定結果に応じて補正する。この統括コンピュータ60には、キーボードなどからなる入力装置61及び液晶表示器を有する表示装置62も接続されている。
【0028】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。半導体ウェハ21の搬送後、第1測定装置30は高さ測定プログラムの実行によりスタッドバンプ23の高さを測定し、第2測定装置40は幅測定プログラムの実行によりスタッドバンプ23の幅を測定し、その後、統括コンピュータ60は、前記測定されたスタッドバンプ23の高さを前記測定されたスタッドバンプ23の幅を用いて補正する。以下、このスタッドバンプ23の高さ測定、スタッドバンプ23の幅測定、及びスタッドバンプ23の高さ補正の順に説明する。
【0029】
まず、スタッドバンプ23の高さ測定について説明する。コンピュータ36は、図4のステップS10にて高さ測定プログラムの実行を開始し、ステップS11にて、XYステージ31を移動させて、一対の撮像装置34,35から複数の同じ半導体チップ21aに関する一対の画像データをそれぞれ取得する。XYステージ31の移動について説明すると、コンピュータ36は、ステージドライバ32を制御して、図7(B)に示すように、XYステージ31をX方向に移動させる。
【0030】
この実施形態においては、1回目の移動においては左から右にXYステージ31を移動させ、2回目の移動においては右から左にXYステージ31を移動させ、その後もXYステージ31を左右交互に往復運動させる。この場合、カメラ部34a,35aのラインセンサは、撮影した半導体ウェハ21の1つの半導体チップ21aの図7(A)の縦方向の一辺の長さに等しい。そして、前記左右方向への移動量は、半導体ウェハ21の横一列に並んだ複数の半導体チップ21aの合計長さに等しい。このようにXYステージ31を移動させ得るのは、半導体ウェハ21の構成すなわち半導体ウェハ21上の半導体チップ21aの配置は予め分かっており、この半導体チップ21aの配置を表す情報に基づいて図4の高さ測定プログラムが構成されているためである。この結果、前記ステップS11の処理による1回目のXYステージ31の左から右への移動により、図7(A)の最上段の複数の半導体チップ21aのラインセンサによる画像データがRAMに記憶される。なお、RAMの容量等により、XYステージ31の1回の移動量は適宜設定されるものである。
【0031】
前記ステップS11の処理後、コンピュータ36は、ステップS12にて、一対の画像データの中から、次の1つのスタッドバンプ23(1つのスタッドバンプ23を含む半導体チップ21a上の1つの電極22部分)に関する画像データをそれぞれ抽出する。この画像データについて簡単に説明しておく。面照射装置33から半導体ウェハ21の上面に照射される光は、あらゆる方向に拡散された拡散光である。そして、半導体チップ21a及び電極22の上面は鏡面ではなく、面照射装置33からの光はあらゆる方向に乱反射する。一方、スタッドバンプ23は金製であって、その表面は鏡面であるので、スタッドバンプ23の表面で反射された光は乱反射することなく、一定の方向に反射されて、ほとんどの反射光は撮像装置34,35には達しない。特に、スタッドバンプ23の頭頂部23bは尖っているので、頭頂部23bからの反射光は撮像装置34,35には入射しない。また、撮像装置34,35の光軸は、半導体チップ21aの上面に対して所定角度θだけ傾いている。したがって、撮像装置34,35のカメラ部34a,35aには、面照射装置33から出射されて半導体チップ21a及び電極22の上面にて撮像装置34,35の方向に反射された光による像であって、スタッドバンプ23で遮られた暗い部分(いわゆる影部分)を有する像が結像される。
【0032】
図9(A)は、このスタッドバンプ23を表す像を示している。ドットで示す部分は暗い部分であり、スタッドバンプ23の台座部23aの多くの部分は暗い部分であり、一部明るい部分がある。そして、スタッドバンプ23の頭頂部23bは特に暗い部分である。これは、台座部23aには一部平坦な部分があり、この平坦な部分にて反射した面照射装置33からの入射光の一部が撮像装置34,35に入射するためである。その台座部23aの他の部分及び頭頂部23bは急傾斜であり、この急傾斜の部分にて反射した面照射装置33からの入射光のほとんどは撮像装置34,35に入射しないためである。なお、図9(A)において、スタッドバンプ23の台座部23aの下方の部分23a’は、半導体チップ21a及び電極22の上面の鏡効果による写像である。
【0033】
前記ステップS12の処理後、コンピュータ36は、ステップS13にて、前記抽出した一対の画像データをそれぞれ加工して、各画像データからスタッドバンプ23の台座部23aの下方の部分23a’をそれぞれ除去する。これは、スタッドバンプ23に関する画像データによる画像は予め分かっているので、この台座部23aの下方の部分23a’を画像処理により簡単に削除できる。図9(B)は、このデータ加工処理後のスタッドバンプ23に関する像を示している。
【0034】
前記ステップS13の処理後、コンピュータ36は、ステップS14にて、前記加工した一対の画像データに基づいてスタッドバンプ画像におけるスタッドバンプ23の高さ(底から先端までの長さ)Hy1,Hy2をそれぞれ測定する(図9(B)参照)。次に、コンピュータ36は、ステップS15にて、下記数1,2を用いて前記測定した高さHy1,Hy2を実際のスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2に変換する。
【数1】

【数2】

【0035】
この数1,2について説明する。図10(A)は、スタッドバンプ23を撮像装置34,35で撮像した状態を模擬的に示している。LENは撮像装置34,35のレンズ部34b、35bのレンズ機能を示しており、Hx(Hx1,Hx2)は半導体チップ21a(電極22)上のスタッドバンプ23の高さ(実際のスタッドバンプ23の高さ)を示し、かつHy(Hy1,Hy2)はレンズ機能LENによりカメラ部34a,35aに撮像されたスタッドバンプ23の高さを示している。なお、この実際のスタッドバンプ23の高さHx(Hx1,Hx2)は、半導体チップ21a(電極22)上のスタッドバンプ23の垂直な高さである。この場合、カメラ部34a,35a(レンズ機能LEN)の光軸は、半導体チップ21a及び電極22の上面に対して所定角度θだけ傾いているので、実際のスタッドバンプ23の高さは前記数1,2のように表される。なお、aは撮像装置34,35による倍率であり、XYステージ31及び撮像装置34,35の配置は予め決められているので、倍率aは予め決められた所定値である。
【0036】
前述のように、実際のスタッドバンプ23の高さHx(Hx1,Hx2)は、半導体チップ21a(電極22)上のスタッドバンプ23の垂直な高さである。しかし、撮像装置34,35によって撮像されるスタッドバンプ23は、実際には、スタッドバンプ23の外形が半導体チップ21a及び電極22の上面で反射した光を遮った像であるので、実際に測定されるスタッドバンプ23の実際の高さHx(Hx1,Hx2)は、図10(B)に示すように、スタッドバンプ23の外形上の傾斜面の長さである。この傾斜面の長さをHxとすると、下記数3が成立する。
【数3】

【0037】
前記数3の分母のcos(θ−Δθ)の部分を変形すると、下記数4のように表される。ここで、Δθは、スタッドバンプ23の頭頂部23bの先端の角度の半分にほぼ等しく、極めて小さいことを考慮すると、cosΔθはほぼ「1」であり、sinΔθはほぼ「0」である。したがって、前記数3は下記数5のように変形され、スタッドバンプ23の実際の傾斜面の長さHx(Hx1,Hx2)も、カメラ部34a,35aで撮像されたスタッドバンプ23の高さHy(Hy1,Hy2)を用いて、前記数1,2のように表される。
【数4】

【数5】

【0038】
前記ステップS12〜S15によるスタッドバンプ23の左右両側からの高さHx1,Hx2(すなわち傾斜部の長さHx1,Hx2)の測定後、コンピュータ36は、ステップS16にて、前記ステップS11の処理によって取得した画像データ中の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定を終了したか否かを判定する。この場合、左右両側とは、XYステージ31の移動方向に沿った方向である。画像データ中の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定を終了していなければ、コンピュータ36は、ステップS16にて「No」と判定して、ステップS12に戻り、前述したステップS12〜S15によるスタッドバンプ23の左右両側からの高さHx1,Hx2の測定を繰り返す。
【0039】
そして、前記ステップS11の処理によって取得した画像データ中の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定を終了すると、コンピュータ36は、ステップS16にて「Yes」と判定して、ステップS17にて、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の左右両側からの高さHx1,Hx2(すなわち傾斜部の長さHx1,Hx2)の測定を終了したかを判定する。半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定を終了していなければ、コンピュータ36は、ステップS17にて「No」と判定して、ステップS11に戻り、同ステップS11にて、XYステージ31を移動させて、一対の撮像装置34,35から複数の同じ半導体チップ21aに関する次の一対の画像データをそれぞれ取得する。そして、前記ステップS12〜S16の処理により、前記ステップS11の処理によって取得した画像データ中の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2を測定する。そして、画像データ中の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定を終了すると、コンピュータ36は、ステップS16にてふたたび「Yes」と判定して、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定が終了するまで、前記ステップS11〜S17の処理を繰返し実行する。
【0040】
そして、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の測定が終了すると、コンピュータ36は、ステップS17にて「Yes」と判定して、ステップS18にて、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2を統括コンピュータ60に出力して、ステップS19にて高さ測定プログラムの実行を終了する。この場合、スタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の統括コンピュータ60への出力においては、半導体ウェハ21を表す情報と、スタッドバンプ23の高さHx1,Hx2を測定順に出力する。統括コンピュータ60は、この出力された半導体ウェハ21を表す情報と、スタッドバンプ23の測定順の高さHx1,Hx2を記憶する。この場合も、半導体ウェハ21上の半導体チップ21a及び半導体チップ21a上のスタッドバンプ23の配置に関しては予め分かっているので、半導体ウェハ21上のスタッドバンプ23を特定することができる。これにより、半導体ウェハ21の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2(すなわち傾斜部の長さHx1,Hx2)が、半導体ウェハ21を特定するための情報と共に統括コンピュータ60内に記憶される。そして、搬送装置50によって新たな半導体ウェハ21がXYステージ31に搬送されるごとに、この高さ測定プログラムを実行することにより、異なる半導体ウェハ21の全てのスタッドバンプ23の高さが順次測定されることになる。
【0041】
次に、スタッドバンプ23の幅測定について説明する。コンピュータ45は、図5のステップS20にて幅測定プログラムの実行を開始し、ステップS21にて、XYステージ31を移動させて、撮像装置43から複数の半導体チップ21aに関する画像データを取得する。この場合のXYステージ31の移動に関しては、コンピュータ45がステージドライバ42を制御する点を除けば、前記図4の高さ測定プログラムのステップS11の処理と同じである。
【0042】
前記ステップS21の処理後、コンピュータ45は、ステップS22にて、前記取得した画像データの中から、次の1つのスタッドバンプ23(1つのスタッドバンプ23を含む半導体チップ21a上の1つの電極22部分)に関する画像データを抽出する。この場合の画像データに簡単に説明しておく。第2測定装置40においては、同軸照射装置44から半導体ウェハ21の上面に照射される光は、ハーフミラー43b2で反射されて半導体チップ21a、電極22及びスタッドバンプ23に上方(ほぼ真上)から照射される光である。この場合も、半導体チップ21a及び電極22の上面は鏡面ではないので、同軸照射装置44から半導体チップ21a及び電極22に入射した光は、半導体チップ21a及び電極22からあらゆる方向に乱反射して、撮像装置43に入射する。一方、スタッドバンプ23は金製であって、その表面は鏡面であるので、スタッドバンプ23の水平な部分からの反射光のみが上方に反射して撮像装置43に入射し、その他の傾斜した部分からの反射光は上方へ反射されることなく撮像装置43に入射されない。したがって、撮像装置43のカメラ部43aにて結像される像は、図11に示すようになる。図11において、ドットで示す部分は暗い部分であり、スタッドバンプ23の台座部23aの多くの部分は暗い部分であり、一部明るい部分がある。そして、スタッドバンプ23の台座部23aの下部及び頭頂部23bは特に暗い部分である。
【0043】
前記ステップS22の処理後、コンピュータ45は、ステップS23にて、前記抽出した画像データに基づいて、スタッドバンプ画像におけるスタッドバンプ23の幅Dyを測定する(図11参照)。この場合の幅Dyの方向は、XYステージ41の移動方向であって、第1測定装置30の一対の撮像装置34,35の配列方向に対応する。この場合、撮像装置43によって撮像される画像は、スタッドバンプ23を含む半導体チップ21aの平面図であるので、スタッドバンプ23の台座部23aの直径に相当する長さが幅Dyとして測定される。次に、コンピュータ45は、ステップS24にて、下記数6を用いて前記測定した幅Dyを実際のスタッドバンプ23の幅Dxに変換する。なお、数6中のaは、撮像装置43の倍率である。
【数6】

【0044】
前記ステップS22〜S24によるスタッドバンプ23の幅Dxの測定後、コンピュータ45は、ステップS25にて、前記ステップS21の処理によって取得した画像データ中の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定を終了したか否かを判定する。画像データ中の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定を終了していなければ、コンピュータ45は、ステップS25にて「No」と判定して、ステップS22に戻り、前述したステップS22〜S24によるスタッドバンプ23の幅Dxの測定を繰り返す。
【0045】
そして、前記ステップS21の処理によって取得した画像データ中の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定を終了すると、コンピュータ45は、ステップS25にて「Yes」と判定し、ステップS26にて、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定を終了したかを判定する。半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定を終了していなければ、コンピュータ45は、ステップS26にて「No」と判定して、ステップS21に戻り、同ステップS21にて、XYステージ31を移動させて、撮像装置43から複数の半導体チップ21aに関する次の画像データを取得する。そして、前記ステップS22〜S25の処理により、前記ステップS21の処理によって取得した画像データ中の全てのスタッドバンプ23の幅Dxを測定する。そして、画像データ中の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定を終了すると、コンピュータ45は、ステップS25にてふたたび「Yes」と判定して、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定が終了するまで、前記ステップS21〜S26の処理を繰返し実行する。
【0046】
そして、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の幅Dxの測定が終了すると、コンピュータ45は、ステップS26にて「Yes」と判定して、ステップS27にて、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の幅Dxを統括コンピュータ60に出力して、ステップS28にて幅測定プログラムの実行を終了する。この場合、スタッドバンプ23の幅Dxの統括コンピュータ60への出力においては、半導体ウェハ21を表す情報と、スタッドバンプ23の幅Dxを測定順に出力する。統括コンピュータ60は、この出力された半導体ウェハ21を表す情報と、スタッドバンプ23の測定順の幅Dxを記憶する。この場合も、半導体ウェハ21上の半導体チップ21a及び半導体チップ21a上のスタッドバンプ23の配置に関しては予め分かっているので、半導体ウェハ21上のスタッドバンプ23を特定することができる。これにより、半導体ウェハ21の全てのスタッドバンプ23の幅Dxが半導体ウェハ21を特定するための情報と共に統括コンピュータ60内に記憶される。そして、搬送装置50によって新たな半導体ウェハ21がXYステージ41に搬送されるごとに、この幅測定プログラムを実行することにより、異なる半導体ウェハ21の全てのスタッドバンプ23の幅が順次測定されることになる。
【0047】
次に、スタッドバンプ23の高さ補正について説明する。統括コンピュータ60は、図6のステップS30にて高さ補正プログラムの実行を開始し、ステップS31にて、次のスタッドバンプ23に関する高さHx1,Hx2及び幅Dxを読出す。この場合、前述の図4の高さ測定プログラム及び図5の幅測定プログラムの実行時に、統括コンピュータ60には、半導体ウェハ21を表す情報と、同情報によって表された半導体ウェハ21の全てのスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2及び幅Dxが記憶されている。したがって、次のスタッドバンプ23に関する高さHx1,Hx2及び幅Dxの読出しにおいては、同一の半導体ウェハ21の同一スタッドバンプ23に関する高さHx1,Hx2及び幅Dxを順次読出すことができる。
【0048】
前記ステップS31の処理後、統括コンピュータ60は、ステップS32にて、前記読出した高さHx1,Hx2及び幅Dxを用いた下記数7の演算の実行により、スタッドバンプ23の補正した高さHを計算する。
【数7】

【0049】
この高さHの補正演算について説明すると、スタッドバンプ23に関する高さHx1,Hx2は、図12に示すとともに前述したように、スタッドバンプ23の左右両側(XYステージ31,41の移動方向)の傾斜部の長さである。そして、スタッドバンプ23の幅Dxは、スタッドバンプ23の台座部23aの左右方向(XYステージ31,41の移動方向)の長さである。したがって、前記数7の演算により、スタッドバンプ23の実際の高さH、すなわち補正された高さHが計算される。
【0050】
この補正高さHの計算後、統括コンピュータ60は、ステップS33にて、この補正高さHと、予め決められたスタッドバンプ23の理想的な高さHrefとの差H−Hrefの絶対値|H−Href|を計算して、この絶対値|H−Href|が予め決められた許容値以内であるか否かを判定する。前記絶対値|H−Href|が許容値以内であれば、統括コンピュータ60は、ステップS33にて「Yes」と判定して、ステップS34にてエラーフラグERRを“0”に設定する。一方、前記絶対値|H−Href|が許容値以内でなければ、統括コンピュータ60は、ステップS33にて「No」と判定して、ステップS35にてエラーフラグERRを“1”に設定する。これらのステップS34,S35の処理後、統括コンピュータ60は、ステップS36にて、前記計算した補正高さH及び判定結果であるエラーフラグERRの値を、半導体ウェハ21を表す情報及びスタッドバンプ23を特定する情報と共にメモリ装置内に記憶する。
【0051】
そして、前記ステップS36の処理後、統括コンピュータ60は、半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の高さHに関する補正及び判定を終了したか否かを判定する。全てのスタッドバンプ23の高さHに関する補正及び判定が終了していなければ、統括コンピュータ60は、ステップS37にて「No」と判定して、ステップS31に戻り、前述したステップS31〜S36からなるスタッドバンプ23の高さHに関する補正及び判定の処理を繰り返す。これにより、1つの半導体ウェハ21内の全てのスタッドバンプ23の高さHに関する補正及び判定が終了すると、統括コンピュータ60は、ステップS37にて「Yes」と判定して、ステップS38にてこの高さ補正プログラムの実行を終了する。そして、この高さ補正プログラムの実行を順次行うことにより、異なる半導体ウェハ21のスタッドバンプ23の高さ補正及び判定を順次行うことができる。
【0052】
上記実施形態によれば、面照射装置33によって半導体ウェハ21の上面が照射されると、半導体ウェハ21の複数の半導体チップ21a(電極22)の上面からの反射光はあらゆる方向に散乱して、その一部は撮像装置34,35に入射する。一方、スタッドバンプ23の表面は鏡面であるので、面照射装置33によって照射された光によるスタッドバンプ23からの反射光は特定の方向にしか進行せず、撮像装置34,35にはほとんど入射しない。特に、スタッドバンプ23の頭頂部23bは尖っているので、スタッドバンプ23の頭頂部23bからの反射光は全くと言ってよいほど撮像装置34,35には入射しない。したがって、スタッドバンプ23を除く半導体チップ21a(電極22)の表面で反射される光のうちで、スタッドバンプ23によって遮られた結果としての像(すなわち尖端バンプの影に相当)が撮像装置34,35によって撮像されることになる。
【0053】
そして、コンピュータ36が、高さ測定プログラムを実行して、撮像装置34,35によって撮像された画像に基づいてスタッドバンプ23の底から先端までの長さHy1,Hy2を検出して、前記検出した長さHy1,Hy2と、撮像装置34,35の光軸が半導体ウェハ21(半導体チップ21a及び電極22)の上面となす角度θとを用いた上記数1,2の演算の実行によってスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2を計算するので、スタッドバンプ23の高さHx1,Hx2が検出される。これにより、上記実施形態によれば、比較的簡単な構成で、スタッドバンプ23の高さを測定でき、スタッドバンプ23の検査をその高さをも含めて行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、同軸照射装置44によって半導体ウェハ21(半導体チップ21a)が上方から照射され、撮像装置43がスタッドバンプ23を含む半導体チップ21aの上面を撮像する。そして、コンピュータ45が、幅測定プログラムの実行により、撮像装置43によって撮像された画像に基づいて、撮像装置34,35を結ぶ方向のスタッドバンプ23の幅Dxを検出する。さらに、前記スタッドバンプ23の高さHx1,Hx2及び幅Dxはそれぞれコンピュータ36,45から統括コンピュータ60に出力される。そして、統括コンピュータ60は、高さ補正プログラムを実行して、上記数7の幅Dxを用いた補正演算によって高さHx1,Hx2を補正する。その結果、撮像装置34,35を結ぶ方向の両側のスタッドバンプ23の幅がある程度大きくても、高さHx1,Hx2の誤差を小さくすることができ、スタッドバンプ23の高さHをさらに精度よく検出できるようになる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0056】
上記実施形態においては、撮像装置34,35,43のカメラ部34a,35a,43aの撮像素子を1列に複数のCCDを配置したラインセンサで構成した。しかし、このラインセンサに代えて、複数のCCDをマトリクス状に配置したエリアセンサを用いるようにしてもよい。この場合、図4の高さ測定プログラムのステップS11及び図5の幅測定プログラムのステップS21のXYステージ31,41の移動においては、エリアセンサに半導体チップ21aの部分を撮像するごとに、撮像した部分の長さに対応した長さだけXYステージ31,41をそれぞれ移動させるとよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、第1測定装置30によってスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2を測定し、第2測定装置40によってスタッドバンプ23の幅Dxを測定し、統括コンピュータ60によって前記幅Dxを用いて前記高さHx1,Hx2を補正してスタッドバンプ23の高さHを検出するようにした。しかし、これに代えて、第2測定装置40によるスタッドバンプ23の幅Dxの測定を省略するとともに、統括コンピュータ60による高さHx1,Hx2の補正を省略して、第1測定装置30によって測定したスタッドバンプ23の高さHx1,Hx2の平均値(Hx1+Hx2)/2をスタッドバンプ23の高さHとして計算するようにしてもよい。これによれば、幅Dxの大きなスタッドバンプ23の高さHにおける誤差はある程度大きくなるが、幅Dxがそれほど大きくなければ、それほど大きな誤差とならず、スタッドバンプ23の検査においてこの誤差を許容できる場合もある。また、スタッドバンプ23の2つの高さHx1,Hx2のうちで理想的な高さから離れた側の1つの高さを選択して、スタッドバンプ23の高さの検査が厳格に行われるようにしてもよい。
【0058】
さらに、第1測定装置30によるスタッドバンプ23の2つの高さHx1,Hx2の測定を1つだけの高さの測定にすることも可能である。この場合、第1測定装置30における一対の撮像装置34,35の一方を省略して、1つの撮像装置によりスタッドバンプ23の高さHy1(又はHy2)を測定し、コンピュータ36の高さ測定プログラムの実行によって前記測定した高さHy1(又はHy2)をスタッドバンプ23の実際の高さHx1(又はHx2)に変換すればよい。この場合も、前記と同様に誤差は生ずるが、スタッドバンプ23の形状がXYステージ21の移動方向においてほぼ対称であれば、前記幅Dxによる補正を省略した場合と同様なスタッドバンプ23の高さHを得ることができ、スタッドバンプ23の検査において前記誤差を許容できる場合もある。
【0059】
また、上記実施形態においては、スタッドバンプ23の高さを測定する高さ測定装置について説明した。しかし、上記実施形態の高さ測定装置を用いて、金粒子を吹き付けて形成する円錐バンプ、三角錐バンプなどの高さを測定することもできる。すなわち、スタッドバンプ、円錐バンプ及び三角錐バンプを含む先端の細い尖端バンプは、通常金などの表面を鏡面とするとともに細い先端部分を有する点で共通しており、この共通点を利用して、スタッドバンプ、円錐バンプ、三角錐バンプなどの尖端バンプの高さを測定することができる。
【符号の説明】
【0060】
20…資料テーブル、21,21A,21B…半導体ウェハ、21a…半導体チップ、22…電極、23…スタッドバンプ、30…第1測定装置、31…XYステージ、33…面照射装置、34,35…撮像装置、34a,35a…カメラ部、34b,35b…レンズ部、36…コンピュータ、40…測定装置、41…XYステージ、43…撮像装置、43a…カメラ部、43b…レンズ部、44… 同軸照射装置、45…コンピュータ、50…搬送装置、60…統括コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尖端バンプが上面に形成された半導体チップの上方に配置されて、前記半導体チップの上面に光を照射する光照射手段と、
前記半導体チップの斜め上方に配置されて、前記尖端バンプを含む半導体チップを斜め上方から撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて前記尖端バンプの底から先端までの長さを検出して、前記検出した長さと、前記撮像手段の光軸が前記半導体チップの上面となす角度とを用いて前記尖端バンプの高さを計算する高さ検出手段と
を備えたことを特徴とする尖端バンプの高さ測定装置。
【請求項2】
尖端バンプが上面に形成された半導体チップの上方に配置されて、前記半導体チップの上面に光を照射する第1の光照射手段と、
前記半導体チップを挟んで前記半導体チップの斜め上方の両側に配置されて、前記尖端バンプを含む半導体チップを斜め上方からそれぞれ撮像する第1及び第2の撮像手段と、
前記第1及び第2の撮像手段によって撮像された第1及び第2の画像に基づいて前記尖端バンプの底から先端までの長さをそれぞれ検出して、前記検出した第1及び第2の長さと、前記第1及び第2の撮像手段の光軸が前記半導体チップの上面となす角度とを用いて前記尖端バンプの高さを計算する高さ検出手段と
を備えたことを特徴とする尖端バンプの高さ測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の尖端バンプの高さ測定装置において、さらに、
前記半導体チップの上方に配置されて、前記半導体チップの上面に光を照射する第2の光照射手段と、
前記半導体チップの上方に配置されて、前記尖端バンプを含む半導体チップを真上から撮像する第3の撮像手段と、
前記第3の撮像手段によって撮像された第3の画像に基づいて前記第1及び第2の撮像手段を結ぶ方向の前記尖端バンプの幅を検出する幅検出手段と、
前記幅検出手段によって検出された幅を用いて前記高さ検出手段によって検出された前記尖端バンプの高さを補正する高さ補正手段と
を備えたことを特徴とする尖端バンプの高さ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−79835(P2013−79835A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218993(P2011−218993)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(503130345)ソフトワークス株式会社 (1)
【出願人】(596044169)英光産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】