説明

情報端末装置及び情報提供サーバ

【課題】使用する通信機器に応じて、適切な情報提供サービスを提供することが可能な情報端末装置及び情報提供サーバを提供する。
【解決手段】情報端末装置は、情報提供サーバと通信するための通信機器を備える。例えば、情報端末装置として通信型ナビゲーション装置が使用される場合、通信機器としては携帯電話や無線LAN用の通信機器などが使用される。通信機器の通信能力を示す通信機器情報が情報端末装置内又は情報提供サーバ内に記憶される。情報提供サーバは各種の情報提供サービスを提供するが、それぞれの情報提供サービス毎に、通信能力に関連するサービス提供条件が規定されている。よって、情報端末装置に接続された通信機器の通信能力と、各情報提供サービスのサービス提供条件とに基づいて、当該情報端末装置に対して提供可能なサービスが選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供サーバと通信可能な通信型ナビゲーション装置などの情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信手段を用いてサーバから地図データを受信し、ナビゲーションを実行する通信ナビゲーション装置が知られている(例えば特許文献1及び2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−93486号公報
【特許文献2】特開2005−274348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムでは、ナビゲーション装置に接続された通信機器によって通信費の料金体系、通信可能エリアなどの環境に依存した接続性、通信速度などが個々に異なるが、そのような相違に拘わらず一律に情報提供サービスが行われている。従って、ある通信機器を利用してある情報提供サービスを受ける場合には通信コストが非常に高くなるとか、通信速度が不足するために実質的に十分な情報が得られないなどの不具合が生じうる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、使用する通信機器に応じて、適切な情報提供サービスを提供することが可能な情報端末装置及び情報提供サーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、情報端末装置であって、情報提供サーバと通信するための通信機器と、前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶手段と、前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段と、提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項7に記載の発明は、情報提供サーバと通信するための通信機器を備える情報端末装置において実行される情報提供要求方法であって、前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶工程と、前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択工程と、提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項8に記載の発明は、コンピュータ及び情報提供サーバと通信するための通信機器を備える情報端末装置において実行される情報提供要求プログラムであって、前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶手段、前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段、提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0009】
請求項10に記載の発明は、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバであって、前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶手段と、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段と、提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項14に記載の発明は、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報提供方法であって、前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶工程と、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択工程と、提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項15に記載の発明は、コンピュータを備え、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報提供プログラムであって、前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶手段、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段、及び、提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態では、情報端末装置は、情報提供サーバと通信するための通信機器と、前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶手段と、前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段と、提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求手段と、を備える。
【0013】
上記の情報端末装置は、情報提供サーバと通信するための通信機器を備える。例えば、情報端末装置として通信型ナビゲーション装置が使用される場合、通信機器としては携帯電話や無線LAN用の通信機器などが使用される。通信機器の通信能力を示す通信機器情報が情報端末装置内に記憶される。情報提供サーバは各種の情報提供サービスを提供するが、それぞれの情報提供サービス毎に、通信能力に関連するサービス提供条件が規定されている。よって、情報端末装置に接続された通信機器の通信能力と、各情報提供サービスのサービス提供条件とに基づいて、当該情報端末装置に対して提供可能なサービスが選択される。情報端末装置は、提供可能とされたサービスを情報提供サーバに要求することにより、その情報提供サービスを受けることができる。こうして、通信機器の能力に応じて適切な情報提供サービスを受けることが可能となる。
【0014】
上記の情報端末装置の一態様では、前記通信機器情報は、前記通信機器の通信速度及び通信コストを含み、前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度及び通信コストを、各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度及び基準通信コストと比較し、通信速度が前記基準通信速度より高くかつ通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低いか又は通信コストが前記基準通信コストより高い場合には当該情報提供サービスを選択しない。
【0015】
上記の情報端末装置の他の一態様では、前記通信機器情報は前記通信機器の通信速度を含み、前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度を各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度と比較し、通信速度が前記基準通信速度より高い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低い場合には当該情報提供サービスを選択しない。
【0016】
上記の情報端末装置の他の一態様では、前記通信機器情報は前記通信機器の通信コストを含み、前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信コストを各情報提供サービス毎に設定された基準通信コストと比較し、通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信コストが前記基準通信コストより高い場合には当該情報提供サービスを選択しない。
【0017】
これらの態様では、通信機器情報として通信速度を使用することにより、実質的に情報提供サービスの効果が得られないような低速度でのサービス提供を防止することができる。また、通信機器情報として通信コストを使用することにより、情報提供サービスを受けた際に膨大な費用がかかることを防止することができる。
【0018】
上記の情報端末装置の他の一態様では、前記情報提供サービスは、周期的に情報を提供するサービスであり、前記通信機器情報に基づいて、情報の提供を受ける周期を決定する周期決定手段を備える。この態様では、通信機器の通信能力が高い場合には頻繁に情報を取得し、通信能力があまり高くない場合には情報を取得する周期を長くして通信コストの増大などを防止する。
【0019】
上記の情報端末装置の他の一態様では、前記通信機器情報に基づいて、前記情報提供サービスにより提供を受ける情報量を決定する情報量決定手段を備える。この態様では、通信機器の通信能力が高い場合には一度に多くの情報を取得し、通信能力があまり高くない場合には一度に取得する情報量を抑えて通信コストの増大などを防止する。
【0020】
上記の情報端末装置の他の一態様では、前記情報端末装置には複数の通信機器が接続されており、前記情報端末装置の移動状態の変化を検出する検出手段を備え、前記サービス選択手段は、前記移動状態の変化が検出されたときに、前記複数の通信機器の通信速度及び通信コストの変化を検出し、変化後の通信速度及び/又は通信コストに基づいて、前記情報提供サービスを選択する。この態様では、情報端末装置は複数の通信機器を備えている。情報端末装置が移動することにより、各通信機器の通信速度や通信コストが変化したときには、変化後の通信速度や通信コストに基づいて、適切な情報提供サービスが選択される。
【0021】
上記の情報端末装置の他の一態様では、前記情報端末装置には複数の通信機器が接続されており、前記情報端末装置が特定の通信環境を有するサービスエリアの内部にいるか外部にいるかを判定するエリア判定手段を備え、前記サービス選択手段は、前記情報端末装置が前記サービスエリアの内部にいるか外部にいるか否かに応じて前記複数の通信機器の通信速度及び通信コストの変化を検出し、変化後の通信速度及び/又は通信コストに基づいて、前記情報提供サービスを選択する。この態様では、情報端末装置は複数の通信機器を備えている。情報端末装置が特定の通信環境を有するサービスエリアに出入りすることにより各通信機器の通信速度や通信コストが変化したときには、変化後の通信速度や通信コストに基づいて、適切な情報提供サービスが選択される。
【0022】
本発明の他の好適な実施形態では、情報提供サーバと通信するための通信機器を備える情報端末装置において実行される情報提供要求方法は、前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶工程と、前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択工程と、提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求工程と、を備える。この方法によっても、通信機器の能力に応じて適切な情報提供サービスを受けることが可能となる。
【0023】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータ及び情報提供サーバと通信するための通信機器を備える情報端末装置において実行される情報提供要求プログラムは、前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶手段、前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段、提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求手段、として前記コンピュータを機能させる。この情報提供要求プログラムをコンピュータ上で実行することにより、通信機器の能力に応じて適切な情報提供サービスを受けることが可能となる。この情報提供要求プログラムは記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【0024】
本発明の他の好適な実施形態では、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバは、前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶手段と、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段と、提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供手段と、を備える。
【0025】
上記の情報端末装置は、情報提供サーバと通信するための通信機器を備える。例えば、情報端末装置として通信型ナビゲーション装置が使用される場合、通信機器としては携帯電話や無線LAN用の通信機器などが使用される。情報提供サーバは、通信機器の通信能力を示す通信機器情報を情報端末装置から受信し、記憶する。情報提供サーバは各種の情報提供サービスを提供するが、それぞれの情報提供サービス毎に、通信能力に関連するサービス提供条件が規定されている。よって、情報端末装置に接続された通信機器の通信能力と、各情報提供サービスのサービス提供条件とに基づいて、当該情報端末装置に対して提供可能なサービスが選択される。情報提供サーバは、選択された提供可能サービスを情報端末装置に提供する。こうして、情報端末装置に接続された通信機器の能力に応じて適切な情報提供サービスを受けることが可能となる。
【0026】
上記の情報提供サーバの一態様では、前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度及び通信コストを、各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度及び基準通信コストと比較し、通信速度が前記基準通信速度より高くかつ通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低いか又は通信コストが前記基準通信コストより高い場合に当該情報提供サービスを選択しない。
【0027】
上記の情報提供サーバの他の一態様では、前記通信機器情報は前記通信機器の通信速度を含み、前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度を各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度と比較し、通信速度が前記基準通信速度より高い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低い場合には当該情報提供サービスを選択しない。
【0028】
上記の情報提供サーバの他の一態様では、前記通信機器情報は前記通信機器の通信コストを含み、前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信コストを各情報提供サービス毎に設定された基準通信コストと比較し、通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信コストが前記基準通信コストより高い場合には当該情報提供サービスを選択しない。
【0029】
これらの態様では、通信機器情報として通信速度を使用することにより、実質的に情報提供サービスの効果が得られないような低速度でのサービス提供を防止することができる。また、通信機器情報として通信コストを使用することにより、情報提供サービスを受けた際に膨大な費用がかかることを防止することができる。
【0030】
上記の情報提供サーバの他の一態様では、前記情報提供サービスは、周期的に情報を提供するサービスであり、前記通信機器情報に基づいて、情報の提供を受ける周期を決定する周期決定手段を備える。この態様では、通信機器の通信能力が高い場合には頻繁に情報を取得し、通信能力があまり高くない場合には情報を取得する周期を長くして通信コストの増大などを防止する。
【0031】
上記の情報提供サーバの他の一態様では、前記通信機器情報に基づいて、前記情報提供サービスにより提供を受ける情報量を決定する情報量決定手段を備える。この態様では、通信機器の通信能力が高い場合には一度に多くの情報を取得し、通信能力があまり高くない場合には一度に取得する情報量を抑えて通信コストの増大などを防止する。
【0032】
本発明の他の好適な実施形態では、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報提供方法は、前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶工程と、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択工程と、提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供工程と、を備える。この方法によっても、通信機器の能力に応じて適切な情報提供サービスを受けることが可能となる。
【0033】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備え、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報提供プログラムは、前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶手段、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段、及び、提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供手段、として前記コンピュータを機能させる。この情報提供プログラムをコンピュータ上で実行することにより、通信機器の能力に応じて適切な情報提供サービスを提供することが可能となる。この情報提供プログラムは記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【実施例】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0035】
[情報提供システム]
図1に、本発明を適用した情報提供システムの構成を模式的に示す。以下の実施例では、情報端末装置として、通信型ナビゲーション装置を使用している。情報提供システムは、複数の通信型ナビゲーション装置1(以下、単に「ナビゲーション装置」とも呼ぶ。)と、情報提供サーバ100を備える。通信型ナビゲーション装置1は、車両などの移動体に搭載され、携帯電話、無線LANなどの通信手法を利用して情報提供サーバ100と通信する。図1においては説明の便宜上、2つのナビゲーション装置1を図示しているが、実際には情報提供サーバ100と通信可能な多数のナビゲーション装置1が存在する。
【0036】
図2は、情報提供サーバ100の機能構成を概略的に示す。本実施例の情報提供サーバ100は、経路探索部101と、渋滞情報生成部102と、施設情報生成部103と、地図データ更新処理部104と、音楽配信部105とを備える。なお、これらの構成要素は、実際には情報提供サーバ100に含まれるCPUなどが所定のプログラムを実行することにより実現される。さらに、情報提供サーバ100は、データベース(以下、「DB」と呼ぶ。)として、地図DB111、渋滞情報DB112、通信機器DB113、サービスDB114、音楽DB115を備える。
【0037】
地図DB111は地図データを記憶する。地図データは道路ネットワークデータ、施設データなどを含む。
【0038】
渋滞情報DB112は渋滞情報を記憶する。渋滞情報は、例えばVICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞情報とすることができる。この場合、情報提供サーバ100は、VICSセンタから配信されるVICS情報を定期的に受信し、渋滞情報を抽出して渋滞情報DB112に記憶されている渋滞情報を更新する。なお、渋滞情報はVICS情報に含まれるものには限られず、例えば実際の道路を走行している多数の車両から収集した情報に基づいて生成される渋滞情報や、過去の統計に基づいて作成される渋滞予測情報なども利用することができる。
【0039】
通信機器DB113は、ナビゲーション装置1に搭載されている各種通信機器の情報を記憶する。図3に通信機器DB113の記憶内容例を示す。本例では、各ナビゲーション装置1毎に装置IDが付与されており、ナビゲーション装置1に搭載されている通信機器に関する通信機器情報が装置IDに対応付けされて記憶されている。通信機器情報は、各通信機器の通信能力を示す情報であり、具体的には通信機器名、通信方式、通信速度及び通信コストを含む。通信機器名は、通信機器の種別や方式などを示す名称や分類名などであってもよく、機器自体の型番などとしてもよい。通信方式は各種の無線通信方式名を示す。通信速度は単位時間当たりの通信データ量を示し、通信コストは単位時間又は単位データ量当たりの通信費を示す。
【0040】
なお、ナビゲーション装置1には、複数の通信機器を搭載することが可能である。図3の例では、装置ID「0001」に対応するナビゲーション装置1は通信機器として機器Aのみを搭載しているが、装置ID「0002」に対応するナビゲーション装置1は通信機器として機器B及び機器Cを搭載している。詳細は後述するが、情報提供サーバ100は、図3に示すような通信機器情報を各ナビゲーション装置1から受信し、通信機器DB113に記憶する。
【0041】
サービスDB114は、情報提供サーバ100が提供可能な情報提供サービスについて、サービス提供条件などを記憶している。図4にサービスDB114の記憶内容例を示す。図4の例では、情報提供サーバ100が提供可能な情報提供サービス毎に、サービス提供条件として、通信速度条件及び通信コスト条件が記憶されている。通信速度条件は、各情報提供サービスを受けるために通信機器に要求される基準通信速度を規定している。例えば、地図データ更新サービスは、通信速度が「X1」以上である通信機器が使用可能な状態になければ受けることができない。通信速度条件を設ける理由は、通信速度が不足すると情報の送信が非常に遅くなり、実質的に十分な情報提供サービスを受けられなくなるからである。
【0042】
同様に、通信コスト条件は、各情報提供サービスを受けるために通信機器に要求される基準通信コストを規定している。即ち、地図データ更新サービスは、通信コストがY1よりも低い(即ち、通信コストがY1より安い)通信機器が使用可能な状態になければ受けることができない。通信コスト条件を設ける理由は、通信コストが高いと、情報通信量が大きい情報提供サービスを受けたときにかかる通信費が高くなるためである。
【0043】
なお、図4においては、説明の便宜上、通信速度条件及び通信コスト条件のみを示しているが、この他に例えばナビゲーション装置に要求される機能に関する条件、ナビゲーション装置のユーザに適用される条件など、情報提供サービスに毎に要求される他の条件をサービスDB114に記憶してもよい。
【0044】
音楽DB115は、楽曲データを記憶する。ナビゲーション装置1のユーザは、好みの楽曲を情報提供サーバ100からダウンロードし、車内などで再生することができる。
【0045】
経路探索部101は、ユーザが経路探索サービスを要求したときに、地図DB111に記憶されている地図データを利用して、経路探索を実行する。具体的には、ユーザが指定した出発地、目的地、経由地などに基づいて経路探索を行い、得られた案内経路を示す案内経路データをナビゲーション装置1へ送信する。
【0046】
渋滞情報生成部102は、ユーザが渋滞情報提供サービスを要求したときに、ユーザが指定したエリアなどにおける渋滞情報を生成し、ナビゲーション装置1へ送信する。なお、渋滞情報生成部102は、ユーザが指定したエリアにおける渋滞情報を渋滞情報DB112から抽出する。
【0047】
施設情報生成部103は、ユーザが施設情報提供サービスを要求したときに、地図DB111に記憶されている施設データに基づいて施設情報を提供する。例えば、ユーザがある地点の周辺にある特定の施設(例えばコンビニエンスストア)の情報を要求したときには、施設情報生成部103は施設データを利用して、指定された地点の周辺にあるコンビニエンスストアを検索し、その情報を施設情報としてナビゲーション装置1へ提供する。
【0048】
地図データ更新処理部104は、ユーザが地図データ更新サービスを要求したときに、要求されたエリアの地図データを地図DB111から取得し、ナビゲーション装置1へ送信する。なお、地図データの更新方法としては既知の各種の方法を適用することができ、本発明では特に制限はない。
【0049】
音楽配信部105は、ユーザが音楽配信サービスを要求したときに、指定された楽曲データを音楽DB115から抽出し、ナビゲーション装置1へ送信する。なお、配信する楽曲データの決定方法としては、ユーザが楽曲自体を指定する方法の他、ユーザがジャンル、曲の雰囲気などの条件を指定して音楽配信部105がそれらの条件に合致する楽曲を選択して提供する手法などもあるが、本発明では特に制限はなく、各種の手法が適用できる。
【0050】
なお、後述する提供サービス決定処理の実施例において、情報提供サーバ100側で提供可能なサービスの選択を行う場合には、情報提供サーバ100内の図示しないCPUがサービス選択手段及びサービス提供手段として機能する。
【0051】
[ナビゲーション装置]
図5に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置1の構成を示す。図5に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信機器38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0052】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0053】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0054】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0055】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0056】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0057】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0058】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。また、データ記憶ユニット36には、音楽配信サービスを利用して情報提供サーバ100からダウンロードした楽曲データを保存することができる。
【0059】
通信機器38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICSセンタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。また、本実施例では、ナビゲーション装置1は通信機器38を利用して情報提供サーバに接続し、各種の情報提供サービスを受ける。
【0060】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイ44などの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイ44の表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0061】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、ディスクドライブ31、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0062】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0063】
なお、後述する提供サービス決定処理の実施例において、ナビゲーション装置1側で提供可能なサービスの選択を行う場合には、システムコントローラ20がサービス選択手段、サービス要求手段、周期決定手段、情報量決定手段、検出手段などとして機能する。
【0064】
[提供サービス決定処理]
次に、本発明を適用した提供サービス決定処理の実施例について説明する。
【0065】
(第1実施例)
第1実施例による提供サービス決定処理では、通信機器の通信能力を示す通信機器情報に基づいて、ナビゲーション装置側で提供可能なサービスの選択を行う。図6は第1実施例に係る提供サービス決定処理のフローチャートである。この処理は、図5に示すシステムコントローラ20が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、第1実施例では、ナビゲーション装置1には1つの通信機器が接続されているものとする。
【0066】
まず、システムコントローラ20は、通信機器38としてナビゲーション装置1に接続された通信機器の通信機器情報、即ち、通信方式、通信速度、通信コストなどを取得する(ステップS101)。なお、通信機器情報の取得方法としては、接続ケーブルなどにより通信機器を接続したときにシステムコントローラ20がそのハードウェアを検出し、通信機器と通信することでその情報を取得する方法、ユーザが事前に通信機器情報としてナビゲーション装置1に設定した情報を取得する方法などが考えられる。システムコントローラ20は、取得した通信機器情報をRAM24などに記憶する。
【0067】
次に、システムコントローラ20は、情報提供サーバ100から、提供可能なサービスに関する情報を取得する(ステップS102)。具体的には、システムコントローラ20は、情報提供サーバ100のサービスDB114に記憶されているサービス情報(図4参照)を取得する。
【0068】
次に、システムコントローラ20は、取得したサービスについて、現在接続されている通信機器の通信機器情報が、通信速度条件を満たしているか否かを判定する(ステップS103)。通信速度条件を満たしていない場合(ステップS103;No)、システムコントローラ20はそのサービスを選択しない(ステップS104)。通信速度条件を満たしている場合(ステップS103;Yes)、システムコントローラ20は通信機器情報が通信コスト条件を満たしているか否かを判定する(ステップS105)。通信コスト条件を満たしていない場合(ステップS105:No)、システムコントローラ20はそのサービスを選択しない(ステップS104)。一方、通信コスト条件を満たしている場合(ステップS105;Yes)、システムコントローラ20はそのサービスを選択する(ステップS106)。こうして、現在の通信機器情報に基づいて、各情報提供サービスを提供すべきか否かが判定され、現在の通信機器により適切に提供可能なサービスのみが選択される。例えば、地図データ更新サービスなどは通信データ量が多いため、無線LANなどの通信速度が速く、通信コストが安い通信機器を利用する場合にのみ受けることができ、携帯電話などの通信速度が遅く通信コストが高い通信機器では受けることができない。
【0069】
次に、システムコントローラ20は、ステップS106で選択された情報提供サービスの各々について、そのサービスが周期的なデータ送信を伴うサービスであるか否かを判定する(ステップS107)。周期的なデータ送信を伴うサービスである場合(ステップS107;Yes)、システムコントローラ20はそのサービスについて、現在の通信機器情報に応じてデータ取得周期を決定する(ステップS108)。例えば、通信機器が携帯電話などの通信コストが高い通信機器である場合にはデータ取得周期を長くし、無線LANなどの通信コストが安い通信機器である場合にはデータ取得周期を短くする。なお、周期的なデータ送信を伴わないサービスである場合(ステップS107;No)、処理はステップS109へ進む。
【0070】
次に、システムコントローラ20は、ステップS106で選択された各サービスについて、要求データ量(情報量)が可変であるか否かを判定する(ステップS109)。要求データ量が可変である場合(ステップS109;Yes)、システムコントローラ20は、通信機器情報に基づいて要求データ量を決定する(ステップ110)。例えば、渋滞情報提供サービスを利用する場合、携帯電話などの通信速度が遅く通信コストが高い通信機器を利用する場合は自車位置周辺の渋滞情報のみを要求し、無線LANなどの通信速度が早く通信コストが低い通信機器を利用する場合は現在の案内経路上の広範囲の渋滞情報を要求する。なお、要求データ量が可変でない場合(ステップS109;No)、処理はステップS111へ進む。
【0071】
次に、システムコントローラ20は、こうして決定された情報提供サービスの内容をRAM24などに保存し(ステップS111)、情報提供サーバ100へ通知する(ステップS112)。なお、情報提供サービスの内容とは、ステップS106で選択された情報提供サービス名に加え、ステップS108で決定されたデータ取得周期、ステップS110で決定された要求データ量などを含む。これに応じて、情報提供サーバ100は、通知された情報提供サービスを提供する。
【0072】
なお、ステップS112では、選択された情報提供サービス全てを情報提供サーバ100へ通知するのではなく、それらのうちからユーザが選択したもののみを通知するようにしてもよい。
【0073】
また、情報提供サービスを実行する際のサービス提供タイミングについては、前述のデータ取得周期に基づいてナビゲーション装置1から情報提供サーバ100へデータ要求を行い、これに応答して情報提供サーバ100からデータを送信することとしてもよいし、データ取得周期に基づいて情報提供サーバ100がプッシュ型通知を行ってから、データを送信することとしてもよい。
【0074】
情報提供サービスを実行する際の要求データ量については、ステップS112でナビゲーション装置1から情報提供サーバ100へ要求データ量が通知されるので、情報提供サーバ100は通知されたデータ量のデータを送信すればよい。
【0075】
(第2実施例)
第2実施例による提供サービス決定処理では、通信機器の通信能力を示す通信機器情報に基づいて、情報提供サーバ側で提供サービスの選択を実行する。図7は第2実施例に係る提供サービス決定処理のフローチャートである。この処理は、情報提供サーバ100内のCPUなどが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0076】
なお、第2実施例では、ナビゲーション装置1に接続されている通信機器に関する通信機器情報がナビゲーション装置1内、例えばRAM24に記憶されているものとする。また、第1実施例では、ナビゲーション装置1には1つの通信機器が接続されているものとする。また、第2実施例における処理自体は、第1実施例においてナビゲーション装置側で実行された処理とほぼ同様であるので、第1実施例と重複する説明は行わない。
【0077】
まず、情報提供サーバ100は、ナビゲーション装置1に接続された通信機器の通信機器情報、即ち、通信方式、通信速度、通信コストなどをナビゲーション装置1から取得し、当該ナビゲーション装置1の装置IDと対応付けて、図3に例示するように通信機器DB113に保存する(ステップS201)。次に、情報提供サーバ100は、サービスDB114から、提供可能なサービスに関する情報を取得する(ステップS202)。
【0078】
次に、情報提供サーバ100は、取得したサービスについて、処理の対象としているナビゲーション装置1に現在接続されている通信機器の通信機器情報が、通信速度条件を満たしているか否かを判定する(ステップS203)。通信速度条件を満たしていない場合(ステップS203;No)、情報提供サーバ100はそのサービスを選択しない(ステップS204)。通信速度条件を満たしている場合(ステップS203;Yes)、情報提供サーバ100は通信機器情報が通信コスト条件を満たしているか否かを判定する(ステップS205)。通信コスト条件を満たしていない場合(ステップS205:No)、情報提供サーバ100はそのサービスを選択しない(ステップS204)。一方、通信コスト条件を満たしている場合(ステップS205;Yes)、情報提供サーバ100はそのサービスを選択する(ステップS206)。こうして、ナビゲーション装置1に接続された通信機器の通信機器情報に基づいて、各情報提供サービスを提供すべきか否かが判定され、現在の通信機器により適切に提供可能なサービスのみが選択される。
【0079】
次に、情報提供サーバ100は、ステップS206で選択された情報提供サービスの各々について、そのサービスが周期的なデータ送信を伴うサービスであるか否かを判定する(ステップS207)。周期的なデータ送信を伴うサービスである場合(ステップS207)、情報提供サーバ100はそのサービスについて、現在の通信機器情報に応じてデータ取得周期を決定する(ステップS208)。なお、周期的なデータ送信を伴わないサービスである場合(ステップS207;No)、処理はステップS209へ進む。
【0080】
次に、情報提供サーバ100は、ステップS206で選択された各サービスについて、要求データ量が可変であるか否かを判定する(ステップS209)。要求データ量が可変である場合(ステップS209;Yes)、情報提供サーバ100は、通信機器情報に基づいて要求データ量を決定する(ステップS210)。なお、要求データ量が可変でない場合(ステップS209;No)、処理はステップS211へ進む。
【0081】
次に、情報提供サーバ100は、こうして決定された情報提供サービスの内容を、ナビゲーション装置1の装置IDなどに関連付けて一時的に保存し(ステップS211)、ナビゲーション装置1へ通知する(ステップS212)。これに応じて、ナビゲーション装置1は、通知された情報提供サービスの全て又は一部を情報提供サーバ100へ要求する。この場合、ナビゲーション装置1では、ステップS212で通知された情報提供サービスの一覧などを表示し、ユーザに必要な情報提供サービスを選択させることとしてもよい。
【0082】
(第3実施例)
第3実施例は、第1実施例と同様にナビゲーション装置側で提供可能なサービスを決定するものである。但し、第3実施例では、ナビゲーション装置1が搭載された車両の移動状態を考慮する点、及び、ナビゲーション装置1に複数の通信機器が接続されている点が第1実施例と異なる。図8は第3実施例に係る提供サービス決定処理のフローチャートである。この処理は、図5に示すシステムコントローラ20が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0083】
また、第3実施例の前提として、例えば高速道路のパーキングエリアなどの所定のエリアには無線LAN設備があり、そのエリア内では無線LANによる高速、低通信コストの通信が可能であるものとする。一方、車両の走行中はそのような無線LAN通信は不能であり、携帯電話による通信が利用されるものとする。
【0084】
まず、システムコントローラ20は、距離センサ13から出力される車速パルスや車両のパーキングブレーキの情報などに基づいて、車両の状態が変化したか、即ち、停車状態と走行状態との間で変化したか否かを判定する(ステップS301)。なお、個の判定を車速パルスに基づいて行う場合には、あまり頻繁に車両の状態の変化が検出されないように、一定時間にわたる変化に基づいて判定を行うなどの工夫を行うことが望ましい。車両の状態が変化した場合(ステップS301;Yes)、システムコントローラ20は、その変化が走行状態から停車状態への変化であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0085】
走行状態から停車状態への変化である場合(ステップS302;Yes)、システムコントローラ20は、現在使用している通信機器よりも、低通信コスト又は高速な通信機器が使用可能となったか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、車両が上記のような無線LANエリア内で停車した場合には、無線LANを利用した低通信コスト、高速の通信機器が利用可能となる。
【0086】
低通信コスト又は高速の通信機器が利用可能となった場合(ステップS303;Yes)、システムコントローラ20は、低通信コスト又は高速の通信機器を選択する(ステップS304)とともに、予め情報提供サーバから取得したサービス情報に基づいて、通信速度条件及び通信コスト条件を満たすサービス、例えば比較的大容量のデータを扱う地図データ更新サービスなどを選択する(ステップS305)。そして、システムコントローラ20は、選択されたサービスを情報提供サーバ100へ要求する(ステップS306)。
【0087】
なお、この場合、第1実施例と同様に、ステップS305で選択されたサービスから、ユーザが選択したサービスのみを情報提供サーバ100へ要求してもよい。また、第1実施例と同様に、通信機器情報に基づいて、データ取得周期、要求データ量などを決定し、サービス内容に含めて情報提供サーバ100へ通知してもよい。一方、車両が停車した場所が無線LANエリアではなく、低通信コスト又は高速の通信機器が利用可能とならかなった場合(ステップS303;No)、処理は終了する。この場合は、それまで使用されていた通信機器が引き続き使用される。
【0088】
一方、ステップS302で、走行状態から停車状態への変化ではないと判断された場合(ステップS302;No)、即ち、停車状態から走行状態への変化である場合、システムコントローラ20は、現在の通信機器よりも通信回線が安定な通信機器があるか否かを判定する(ステップS307)。通信回線が安定な通信機器がある場合(ステップS307;Yes)、システムコントローラ20はその通信機器を選択する(ステップS308)。例えば、無線LANエリア内に停車していた車両が移動を開始すると、無線LANを利用する通信機器は不安定又は通信不能となる。このような場合には、携帯電話による通信の方が安定となるので、携帯電話が選択される。
【0089】
通信回線が安定な通信機器が利用可能となった場合(ステップS307;Yes)、システムコントローラ20は、安定な通信機器を選択する(ステップS308)とともに、予め情報提供サーバから取得したサービス情報に基づいて、通信速度条件及び通信コスト条件を満たすサービス、例えば比較的小容量のデータを扱う渋滞情報提供サービスなどを選択する(ステップS309)。そして、システムコントローラ20は、選択されたサービスを情報提供サーバ100へ要求する(ステップS310)。
【0090】
なお、この場合、第1実施例と同様に、ステップS309で選択されたサービスから、ユーザが選択したサービスのみを情報提供サーバ100へ要求してもよい。また、第1実施例と同様に、通信機器情報に基づいて、データ取得周期、要求データ量などを決定し、サービス内容に含めて情報提供サーバ100へ通知してもよい。一方、通信回線が安定な通信機器が利用可能とならかなった場合(ステップS307;No)、処理は終了する。この場合は、それまで使用されていた通信機器が引き続き使用される。
【0091】
以上説明したように、第3実施例では、複数の通信機器がナビゲーション装置1に接続されており、車両の移動状態に応じて別の通信機器が使用可能となった場合には、その通信機器の通信速度や通信コストなどに応じて、提供可能なサービスが決定される。よって、車両の移動に伴う通信環境の変化に追従して、常に適切な情報提供サービスが利用可能となる。
【0092】
(第4実施例)
第4実施例は、第1実施例と同様にナビゲーション装置側で提供可能なサービスを決定するものである。但し、第4実施例では、ナビゲーション装置1が搭載された車両が無線LANなどのサービスエリアに入っているか否かを考慮する点、及び、ナビゲーション装置1に複数の通信機器が接続されている点が第1実施例と異なる。図9は第4実施例に係る提供サービス決定処理のフローチャートである。この処理は、図5に示すシステムコントローラ20が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0093】
また、第4実施例の前提として、所定のエリアには無線LAN設備があり、そのエリア内では無線LANによる低通信コスト又は高速の通信が可能であるものとする。このように、特定の通信方式による通信が可能なエリアを「サービスエリア」と呼ぶ。
【0094】
まず、システムコントローラ20は、ナビゲーション装置1に搭載されている各通信機器が、その通信方式によるサービスエリアに入ったか否かを判定する(ステップS401)。この判定は、各通信機器によりテスト通信を行うことなどにより実行できる。
【0095】
次に、システムコントローラ20は、現在使用中の通信機器がサービスエリア外となったか否かを判定する(ステップS402)。この判定は、例えば現在使用中の通信機器による通信速度が不十分となったり、通信不能となったりすることを検出することにより行われる。
【0096】
現在使用中の通信機器がサービスエリア外となった場合(ステップS402;Yes)、システムコントローラ20は、ナビゲーション装置1に接続されている他の通信機器でサービスエリア内となっているものがあるか否かを判定する(ステップS403)。サービスエリア内の非使用中の通信機器があった場合(ステップS403;Yes)、システムコントローラ20はそのうち、最も低通信コスト又は最も通信速度が速い通信機器を選択し(ステップS404)、その通信機器の通信機器情報に基づいて利用可能なサービスを決定する(ステップS405)。なお、ステップS403で、非使用中の通信機器でサービスエリア内のものが無い場合、処理は終了する。
【0097】
一方、ステップS402で、使用中の通信機器がサービスエリア外になっていない場合(ステップS402;No)、システムコントローラ20は、現在使用していない、非使用中の通信機器で、サービスエリア内となったものがあるか否かを判定する(ステップS406)。サービスエリア内となった通信機器がある場合(ステップS406;Yes)、システムコントローラ20は、その通信機器が、現在使用中の通信機器より低通信コスト又は高速であるか否かを判定し(ステップS407)、低通信コスト又は高速である場合(ステップS407;Yes)、使用する通信機器をその通信機器に変更する(ステップS408)。そして、システムコントローラ20は、変更後の通信機器の通信機器情報に基づいて、利用可能なサービスを決定する(ステップS409)。
【0098】
以上説明したように、第4実施例では、複数の通信機器がナビゲーション装置1に接続されており、車両の移動などに応じて、通信機器がサービスエリア内に入ったり、サービスエリア外に出たりした場合に、それに応じて通信可能となった通信機器の通信速度や通信コストなどに応じて、提供可能なサービスが決定される。よって、通信環境の変化に追従して、常に適切な情報提供サービスが利用可能となる。
【0099】
[変形例]
上記の実施例では、情報提供サーバ100と通信する情報端末装置としてカーナビゲーション装置を挙げているが、本発明の適用はこれには限られず、例えばクライアント端末としてPC、PDAなども利用可能である。
【0100】
上記の実施例では、通信機器情報中の通信速度及び通信コストについては、1つの条件(基準通信速度、基準通信コスト)が規定されているが、本発明の適用はこれには限られず、複数の条件を設定してもかまわない。その場合には、複数の条件に基づいて、各情報提供サービスの利用可否が決定される。例えば、基準通信速度や基準通信コストを3つ以上のグループに分類し、いずれのグループに属するかで、提供可能なサービスを決定することとしてもよい。
【0101】
また、上記の実施例では、通信速度及び通信コストを同時に使用して提供可能なサービスを決定しているが、本発明の適用はこれには限られず、いずれか一方を利用して提供可能なサービスを決定することとしてもよい。即ち、通信速度が基準通信速度を満たしているか否かにより提供可能なサービスを決定することとしてもよいし、通信コストが基準通信コストを満たしているか否かにより提供可能なサービスを決定することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明を適用した情報提供システムの構成を模式的に示す。
【図2】情報提供サーバの概略構成を示すブロック図である。
【図3】通信機器データベースの記憶内容例である。
【図4】サービスデータベースの記憶内容例である。
【図5】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施例による提供サービス決定処理のフローチャートである。
【図7】第2実施例による提供サービス決定処理のフローチャートである。
【図8】第3実施例による提供サービス決定処理のフローチャートである。
【図9】第4実施例による提供サービス決定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
60 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供サーバと通信するための通信機器と、
前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶手段と、
前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段と、
提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求手段と、を備えることを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
前記通信機器情報は、前記通信機器の通信速度及び通信コストを含み、
前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度及び通信コストを、各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度及び基準通信コストと比較し、通信速度が前記基準通信速度より高くかつ通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低いか又は通信コストが前記基準通信コストより高い場合には当該情報提供サービスを選択しないことを特徴とする請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記通信機器情報は前記通信機器の通信速度を含み、
前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度を各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度と比較し、通信速度が前記基準通信速度より高い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低い場合には当該情報提供サービスを選択しないことを特徴とする請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項4】
前記通信機器情報は前記通信機器の通信コストを含み、
前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信コストを各情報提供サービス毎に設定された基準通信コストと比較し、通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信コストが前記基準通信コストより高い場合には当該情報提供サービスを選択しないことを特徴とする請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項5】
前記情報提供サービスは、周期的に情報を提供するサービスであり、
前記通信機器情報に基づいて、情報の提供を受ける周期を決定する周期決定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報端末装置。
【請求項6】
前記通信機器情報に基づいて、前記情報提供サービスにより提供を受ける情報量を決定する情報量決定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報端末装置。
【請求項7】
前記情報端末装置には複数の通信機器が接続されており、
前記情報端末装置の移動状態の変化を検出する検出手段を備え、
前記サービス選択手段は、前記移動状態の変化が検出されたときに、前記複数の通信機器の通信速度及び通信コストの変化を検出し、変化後の通信速度及び/又は通信コストに基づいて、前記情報提供サービスを選択することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報端末装置。
【請求項8】
前記情報端末装置には複数の通信機器が接続されており、
前記情報端末装置が特定の通信環境を有するサービスエリアの内部にいるか外部にいるかを判定するエリア判定手段を備え、
前記サービス選択手段は、前記情報端末装置が前記サービスエリアの内部にいるか外部にいるか否かに応じて前記複数の通信機器の通信速度及び通信コストの変化を検出し、変化後の通信速度及び/又は通信コストに基づいて、前記情報提供サービスを選択することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報端末装置。
【請求項9】
情報提供サーバと通信するための通信機器を備える情報端末装置において実行される情報提供要求方法であって、
前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶工程と、
前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択工程と、
提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求工程と、を備えることを特徴とする情報提供要求方法。
【請求項10】
コンピュータ及び情報提供サーバと通信するための通信機器を備える情報端末装置において実行される情報提供要求プログラムであって、
前記通信機器の通信能力を示す通信機器情報を記憶する通信機器情報記憶手段、
前記情報提供サーバが提供する情報提供サービスのうち、前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段、
提供可能サービスを前記情報提供サーバへ要求するサービス要求手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする情報提供要求プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報提供要求プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【請求項12】
情報端末装置と通信可能な情報提供サーバであって、
前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶手段と、
前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段と、
提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供手段と、を備えることを特徴とする情報提供サーバ。
【請求項13】
前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度及び通信コストを、各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度及び基準通信コストと比較し、通信速度が前記基準通信速度より高くかつ通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低いか又は通信コストが前記基準通信コストより高い場合に当該情報提供サービスを選択しないことを特徴とする請求項12に記載の情報提供サーバ。
【請求項14】
前記通信機器情報は前記通信機器の通信速度を含み、
前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信速度を各情報提供サービス毎に設定された基準通信速度と比較し、通信速度が前記基準通信速度より高い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信速度が前記基準通信速度より低い場合には当該情報提供サービスを選択しないことを特徴とする請求項12に記載の情報提供サーバ。
【請求項15】
前記通信機器情報は前記通信機器の通信コストを含み、
前記サービス選択手段は、前記通信機器の通信コストを各情報提供サービス毎に設定された基準通信コストと比較し、通信コストが前記基準通信コストより低い場合に当該情報提供サービスを選択し、通信コストが前記基準通信コストより高い場合には当該情報提供サービスを選択しないことを特徴とする請求項12に記載の情報提供サーバ。
【請求項16】
前記情報提供サービスは、周期的に情報を提供するサービスであり、
前記通信機器情報に基づいて、情報の提供を受ける周期を決定する周期決定手段を備えることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の情報提供サーバ。
【請求項17】
前記通信機器情報に基づいて、前記情報提供サービスにより提供を受ける情報量を決定する情報量決定手段を備えることを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載の情報提供サーバ。
【請求項18】
情報端末装置と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報提供方法であって、
前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶工程と、
前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択工程と、
提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供工程と、を備えることを特徴とする情報提供方法。
【請求項19】
コンピュータを備え、情報端末装置と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報提供プログラムであって、
前記情報端末装置から、当該情報端末装置に搭載された通信機器の通信能力を示す通信機器情報を受信し、記憶する通信機器情報記憶手段、
前記通信機器情報がサービス提供条件を具備する情報提供サービスを提供可能サービスとして選択するサービス選択手段、及び、
提供可能サービスを前記情報端末装置へ提供するサービス提供手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の情報提供プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−301097(P2008−301097A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143926(P2007−143926)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】